ホーム> 政策について> 審議会・研究会等> 厚生科学審議会(疾病対策部会造血幹細胞移植委員会)> 第44回厚生科学審議会疾病対策部会造血幹細胞移植委員会(議事録)(2013年8月30日)




2013年8月30日 第44回厚生科学審議会疾病対策部会造血幹細胞移植委員会(議事録)

健康局疾病対策課臓器移植対策室

○日時

平成25年8月30日(金)17:00~19:00


○場所

厚生労働省 共用第8会議室
(東京都千代田区霞が関1-2-2 中央合同庁舎5号館)


○議題

(1)移植用臍帯血基準(案)について
(2)関係団体からのヒアリング
  (1)認定特定非営利活動法人 全国骨髄バンク推進連絡協議会
  (2)特定非営利活動法人 血液情報広場・つばさ
  (3)特定非営利活動法人 さい帯血国際患者支援の会
  (4)一般社団法人 日本造血細胞移植学会
  (5)公益財団法人 骨髄移植推進財団
  (6)日本さい帯血バンクネットワーク
  (7)日本赤十字社
(3)基本方針(案)について
(4)その他

○議事

○吉田室長補佐 定刻より少し早いようですけれども、本日御出席予定の委員の皆様、おそろいになりましたので、ただいまから「第44回厚生科学審議会疾病対策部会造血幹細胞移植委員会」を開催いたします。

 本日は、お暑いところ、またお忙しいところお集まりいただきまして、ありがとうございます。

 本日は、武藤委員、吉村委員から御欠席との御連絡をいただいております。また、今村委員からは、所用によりおくれてお見えになられるとの連絡をいただいております。

 また、本日は参考人として、認定特定非営利活動法人全国骨髄バンク推進連絡協議会理事長、野村正満様。

 特定非営利活動法人血液情報広場・つばさ理事長、橋本明子様。

 特定非営利活動法人さい帯血国際患者支援の会理事長、有田美智世様。

 公益財団法人骨髄移植推進財団理事長、齋藤英彦様。

 日本さい帯血バンクネットワーク会長、加藤俊一様。

 日本赤十字社血液事業本部血液事業経営会議委員、田所憲治様に御参加いただいております。

 ここで、健康局長より御挨拶申し上げます。

○佐藤健康局長 皆様、こんにちは。今、御紹介いただきました健康局長の佐藤でございます。御承知のように、7月2日までは前任、矢島という者が局長をしておりましたけれども、私は2日からこの職を引き継いでおります。どうかよろしくお願いいたします。

 きょうは、お暑い中、またお忙しい中、委員の皆様にはお集まりをいただきまして、ありがとうございます。また、参考人の皆様におかれましても、お忙しい中を御参画いただきまして、本当にありがとうございます。

 本日は、これまでにも御議論いただいておりました基本方針(案)につきまして、いよいよ取りまとめの議論が進むということで、限られた時間ではございますが、どうかよろしくお願いする次第です。私自身が15年ぐらい前に、一瞬でありましたけれども、骨髄移植の担当もしておりましたので、その当時、大変お世話になった先生方と再度お会いすることができて、懐かしくもあり、また身の引き締まる思いでございます。どうか、その点も含めてお見知り置きをいただければと思います。

 いずれにしましても、限られた時間、どうかよろしく御審議のほど、お願いいたします。

○吉田室長補佐 それでは、資料の確認をさせていただきます。

 お手元の資料でございますけれども、資料1-1といたしまして、「移植用臍帯血基準の今後の検討事項について」。

 資料1-2といたしまして、「移植用臍帯血基準(案)」。

 資料2-1といたしまして、全国骨髄バンク推進協議会連絡協議会から提出いただいた資料。

 資料2-2といたしまして、つばささんから提出いただいた資料。

 資料2-3といたしまして、日本さい帯血バンクネットワークから御提出いただいた資料。

 資料2-4といたしまして、日本赤十字社から御提出いただいた資料。

 資料3といたしまして、「基本方針(案)」。

 さらに、参考資料-1といたしまして、「兵庫さい帯血バンクに対する臍帯血の出庫見合せの要請について」といった資料。

 また、参考資料-2といたしまして、「平成26年度造血幹細胞移植対策関係概算要求の概要」といった資料。

 また、これに加えまして、お手元にさい帯血国際患者支援の会さんのリーフレットのほう、お配りしておりますので、御確認いただければと思います。

 資料のほう、過不足等ございませんでしょうか。何かございましたら、事務局までお伝えいただけたらと思いますけれども、よろしいでしょうか。

 また、机の上に、これまでの委員会の資料をまとめたファイルを置いておりますので、議論の際の御参考にしていただければと思います。

 それでは、議事進行を小澤委員長にお願いいたします。

○小澤委員長 それでは、法施行に向けた議論の第11回となります。よろしくお願いいたします。

 最近は少し秋の気配を感じたのですけれども、それも束の間、きょうは灼熱地獄の中を皆さんお集まりいただきまして、ありがとうございます。順調に進めば、きょうで一段落という形になるかもしれませんけれども、議論の進み方次第ですので、よろしくお願いします。

 早速、議事次第に従って議事に入りたいと思います。

 最初の議事は、「(1)移植用臍帯血基準(案)について」であります。6月21日の当委員会で、移植用臍帯血基準検討会の座長の神田先生より、移植用臍帯血基準(案)について御報告をいただきました。その後の検討会で、臍帯血の品質向上に向けた今後の検討の方向性についてもまとめられたようですので、その報告を事務局からお願いします。

○西脇室長補佐 それでは、資料1-1、1-2について御説明いたします。

 まず、資料1-2としまして、「移植用臍帯血基準(案)」をつけておりますが、これは、ただいま小澤委員長がおっしゃっていただきましたように、6月21日の当委員会で移植用臍帯血基準検討会の神田座長から御説明いただいたものに若干の修正を加えたもので、内容としましては大きな変更点はございません。これは、臍帯血のさらなる品質向上に向けて段階的に改善を図っていくことを前提とした当面の基準であることから、移植用臍帯血基準検討会では、将来の基準に係る方向性・検討項目について、さらなる議論が行われ、今後の検討事項として取りまとめられましたので、事務局より御報告申し上げます。

 資料1-1を1枚めくっていただきまして、別添に沿って御説明いたします。

 初めが、母体血感染症検査です。臍帯血の感染症検査は母体血で代用されておりますが、臍帯血移植では、臍帯血は人の体に投与されることを考えますと、安全性の観点から血液製剤と同様の対応が必要と考えられます。現在、核酸増幅検査と同等の感度の高い検査を実施できているさい帯血バンクと、そうではないバンクとがありますが、方向性としましては、日本赤十字社の協力を得て、さい帯血バンクが核酸増幅検査と同等の検査を行える体制を早期に整備し、全てのバンクで体制が整った段階で必須とする方向で考えております。

 2つ目の〇は、情報の一元的な管理についてですが、課題としましては、さい帯血バンクに届いてからの管理方法が統一されていない。また、採取施設において採取された臍帯血について、廃棄されたものも含め、全体の流れが把握できていないということがあります。

 方向性としましては、少なくともさい帯血バンクへの受け入れから出庫まではバーコードを用いて、同一の識別コードにより一元的に管理できるような体制を早急に整備する。また、トレーサビリティ確保の観点から、採取施設で廃棄したものを含む全ての臍帯血について、さい帯血バンクが把握できるようにする必要があると考えられます。

 続いて、3つ目ですが、採取から凍結開始までの時間についてでけれども、今回の基準(案)では、36時間を超えないことが見込まれることとしております。

 課題としまして、時間経過によって臍帯血が無駄になることがないようにしてほしいという現場からの声があることと、国際基準では採取から48時間以内に凍結保存を開始することとされていることが挙げられます。

 方向性としましては、凍結開始までの時間による質の変化に関するデータが乏しいことから、まずデータを蓄積し、集積された段階で海外と同様に48時間とすることについて検討したいと考えております。

 次に、3ページ目の初めの調製開始の細胞数についてですけれども、課題としましては、公開の目安を10×10^8、つまり10億個とすると、調製開始基準は12×10^8が望ましい一方、基準を引き上げることによる供給量の低下が懸念されます。また、造血幹細胞のマーカーであるCD34陽性細胞については、計測方法が統一されていなかったため、基準となるようなデータが乏しいのが現状です。

 方向性としまして、基準(案)における調製開始時の有核細胞数をおおむね12×10^8以上とし、おおむねの範囲として5%を許容する。その上で、全てのさい帯血バンクで土曜日もしくは日曜日の調製保存が安定的に行われるようになった段階で、「おおむね」を取って12×10^8以上とするということを検討したいと思います。また、CD34陽性細胞数についてもデータを蓄積し、見直し時には調製後に移植に必要なCD34陽性細胞数が見込める基準を検討するのがよいと考えております。

 次に、臍帯血供給事業者の管理体制についてですが、課題としましては、例えば薬事法関連では、製造責任者と品質管理責任者は兼任しないこととされており、チェック機能が働くようにされておりますが、規模の小さなバンクでは人員が不足しており、現在、そのような体制がとれていないところもあります。

 方向性としましては、人員体制を確保し、体制が整っていく中で、兼任を認めないこととするという方向で考えております。

 最後に、さい帯血バンクの受入体制についてですが、基準(案)では、採取病院の臍帯血について、バンクで受け入れる基準をあらかじめ定めておくこと。十分な細胞数を期待できる容量等を定めることが望ましいとしております。

 容量として60mlを当面の受入基準の目安としつつ、今後検討に必要なデータを収集していく方向で考えていきたいと思います。

 以上です。

○小澤委員長 ありがとうございました。

 それでは、今、御説明いただいたことについて質疑を行いたいと思いますけれども、何か御意見ありますでしょうか。山口委員。

○山口委員 1点目の臍帯血基準のNATの感度を、今、日赤がやられている感度にするというのは、別にそれでよろしいかと思うのですけれども、ちょっと気になりますのは、日赤のほうで検査をしている機関は多分3つぐらいであったかと思うのです。それの輸送体制とかは、いわゆる血液製剤としてきちんと担保されているということだと思うのです。そういう輸送体制もきちんと同じようにやらないと、36時間以内の処理というのがちょっと難しくなるから、その辺をちょっと心配しております。

○小澤委員長 ちょっと細部ですけれども、何かありますでしょうか。

○西脇室長補佐 その辺に関して、各バンクと日赤との間で、今後具体的な運用については検討していくという段階です。現在、具体的に決まっているというわけではないですけれども、今後検討していくことになると思います。

○小澤委員長 張替委員は何かありますか。

○張替委員 基準(案)に触れているのですけれども、最終施設での保存といいますか、とってから運送業者に渡す。そこの保存条件というものが結構大事で、その辺の整備をしたほうがいいのではないか。

○西脇室長補佐 それに関しては、現状の基準では、今のネットワークが定めているものと同じ4℃から25℃となっていますけれども、そこについても、ただいまの意見を受けまして、今後、次に向けての検討課題かなと思います。

○小澤委員長 ほかにはいかがでしょうか。今後の検討事項ということでありますので、いろいろな議論がこれから行われることになるかなと思います。方向性としてはよろしいでしょうか。

 それでは、(1)に関しましては、このあたりとさせていただきます。

 次が、(2)の関係団体からのヒアリングということでありますけれども、本日は、ことしの1月28日と2月4日にヒアリング行いました関係7団体にお越しいただいております。時間の都合もありますので、全体を2つに分けてお話を伺った後に、委員からの質問を受けるという形にしたいと思います。

 まず、全国骨髄バンク推進連絡協議会、つばさ、さい帯血国際患者支援の会、及び日本造血細胞移植学会の4団体のお話を伺った後に質疑を行い、引き続いて、骨髄移植推進財団、日本さい帯血バンクネットワーク、日本赤十字社の3団体のお話を伺い、質疑を行いたいと思います。なお、各団体におかれましては、事前に事務局からも御連絡しておりますとおり、時間は5分厳守でお願いいたします。4分経過時点で合図をいたしますので、おまとめいただきますよう、よろしくお願いいたします。

 それでは、まず全国骨髄バンク推進連絡協議会の野村様、よろしくお願いいたします。

○野村参考人 野村でございます。1月に我々の団体の説明をいろいろさせていただきましたけれども、その1週間以内に我々の会長でした市川団十郎が、闘病中でありましたが、亡くなるということがございまして、ことし7月から役員体制等を一新いたしまして、私も1月の時点から肩書が変わっております。それでは、法制化に当たっての私たちの考えについて述べさせていただきます。

 一番最初に、市民シンポジウムを3年前の12月に我々は開催しております。そのときのタイトルが「骨髄バンク・さい帯血バンクの抜本的制度改革への道すじ」というものでございまして、サブタイトルとして「造血細胞移植推進法(案)の制定に向けた戦略」というものでした。そういう市民シンポジウムを開きまして、きょうは資料でそのときの出席者で採択したアピール文を参考資料に掲載させてもらっております。

 その中で、私たちが求めていた法制化の姿というものを簡単に御説明しますと、骨髄バンクとさい帯血バンクを一体的に運営してほしい。窓口を一元化してほしい。患者擁護部門を新設してほしい。それから、移植データベースの運営管理と情報提供。それから、諮問監視協議会(Advisory Council)の設置。この委員会がこれまで年に一度も開かれていないような状況もありましたし、これからどのような形でこの委員会が運営に関与していくのかということは、我々も注目しているところでございます。そうでなければ、Advisory Councilというものを新たに設置してほしいということでございます。それから、日赤がもう少し濃厚に事業に関与してほしい。

 こういうことを我々は考えていたところですが、昨年、法制化になりました。しかし、法律の内容は現状を継ぐもので、我々は若干がっかりしたところでございます。つまり、抜本的改革ということをうたっていたわけです。とは言うものの、根拠法ができたということは大きな前進であろうという位置づけでおります。

 さて、前回のこの委員会で基本方針の骨子が明らかにされまして、それを読ませていただきまして、基本方針への要望事項をまとめまして、委員長あてと臓器移植対策室長あてに要望書という形で提出させていただきました。別添の資料でございますが、きょうはその中から何点か抜粋して、時間もないので申し上げたいと思います。

 まず、ドナー登録における地域間格差の問題でございます。地方自治体の役割が法律に書かれておりますが、実は地方によって非常に濃厚なところと希薄なところと温度差がありまして、いわゆる沖縄方式と呼ばれるもの、あるいは近年埼玉県で行われているドナー登録の状況。対人口比で、ドナー登録状況の高さと低さというものが圧倒的に明らかになっております。その地域間格差が顕在しているのだということを、まず皆様、委員の先生方に御理解いただきまして、地方行政が担うべきこれからの施策というものを、ぜひ基本方針に盛り込んでいただきたい。いかにアグレッシブに地方自治体に関与していただくかということの議論を、ぜひ深めていただきたいと思っております。

 次に、ボランティアが果たしている役割についてでございます。実は、骨髄バンクには地方組織がございませんで、ボランティアが中心となってドナー登録体制が推進されているわけです。そうした現状をどのように評価して、この活動に生かしていくのかという部分を、ぜひ基本方針の中で明らかにしていただけたらと思います。

 さらには、ドナー登録の数だけでなく、質の問題でございます。アクティブドナーとドナーリテンションと書いてございますけれども、10年から20年という長きにわたるドナー登録という状況にございますので、ドナー登録のモチベーションを維持していくような部分についても、はっきりと基本方針の中でお示しいただきたいと思います。

 それから、コーディネート体制が希薄でございます。血液専門医がボランティアとして調整医師も担っていただいている。財団のコーディネーターは130人ほどおりますが、それもほとんどボランティアで貢献させられているような状況でございます。雇用形態の分析をきちんとしていきたいと思います。もうすぐ終わります。

 それから、我々、窓口を一元化してほしいということでしたが、その方向性の動きがございまして、骨髄バンクとさい帯血バンクのほうでそういう窓口を設けるということですが、そこにはさい帯血バンクの関係者がいない状況でございますので、ぜひこれは財団、さい帯血バンクだけじゃなくて、日赤が中心となってなったものにしていっていただきたい。

 いずれにしましても、組織体制、人的体制、財政問題。現状をどう評価していくのか、どういう方向性で改革すべきか、ぜひ基本方針で言及して盛り込んでいただきたいと思います。

 以上です。

○小澤委員長 どうもありがとうございました。

 続いて、血液情報広場・つばさの橋本様、よろしくお願いいたします。

○橋本参考人 よろしくお願いします。私は、骨髄バンクを立ち上げるところからかかわった立場として、さらに現在は暮らしの中でのがん闘病を、電話相談という形で支えていることも含めて発言させていただきます。

1991年に日本は骨髄バンクのある国になり、2013年に骨髄バンクには根拠法が与えられました。併せてその経緯への感想と感謝をお話します。

 私は1987年から骨髄バンク設立運動を開始しました。私の長男が白血病になった事が運動開始の理由ですが、あのころ母としては非常に厳しかった心理状態にあって最も聴きたかった、助けられるかもしれないと言う言葉を言ってくれたのは移植医だけでした。ほかの囲む人々に力がないとか、応援する気がないということではなく、可能性が示せたのは移植医療だけだったということです。そして、今に至ります。移植医、やがてそこに加わってきた移植看護や骨髄移植推進財団初めバンク関係者など移植医療に連なる人たちが、どれだけの苦労をしてきたかを私はずっと見てきたことになります。

 また、移植成績向上を支えることになる、G-CSF等の支持薬も登場、そういう意味では創薬、そして行政も、実に様々な角度からの応援が発展しつつ囲んできたことになります。その様子を電話相談や医療フォーラムに参加する患者・家族からの声を通じて感じ取りながら、私は徐々に培われる医療文化の向上を見させていただいたと思っております。

 そうは言っても一市民でしかない私にできるのは、暮らしの中で、移植が必要かもしれないと言われた当事者の心情をフォローすることしかできません。繰り返しますが、それだけが私たち当事者支援の実践家にできることだなと自覚しつつ今に至っていますが、どれだけ医療現場や骨髄移植推進財団にかかわる人々、そしてボランティアが大変頑張ってきているということを感じてきました。

 本法律は、これまでの無数の努力と想いの集大成であって、法律がほしいという目標が前提にあったわけではありません。この法律の成立は、多くの関係者が培ってきたことをさらに発展させるように、という社会の評価だ、と受けとめております。審議会の委員の皆様、本当にありがとうございます。お世話になっております。おかげさまで徐々に文言が整えられ、どこへ出しても恥ずかしくない、すばらしい法律として施行されていくという様子を見させていただいております。

 最後にひとつだけ、とりわけ私にかかわる事について申し述べさせていただきます。条文中の5.造血幹細胞の提供に関する情報の一体的な提供について、の中にある、患者相談というところです。これまで20年近く、淡々と患者相談をしてきましたが、その手さぐりの実践の継続が少し認められたかな、そして、さらに頑張るように励まされたようにも思っています。

 資料に相談事例を1つ挙げてありますが、このようにその日までは地道に普通に暮らしてきた人たちが日々相談してきます。相談対象は全がんですが、血液、リンパの人たちが半数近くを占めています。つまり血液のがんは闘病が非常に長いことから、悩みも長期に続くということを意味しているようです。長く闘病できるということは、短期決戦だった大昔のがん闘病を考えれば本当にすばらしいことです。血液がんとの闘病は大変なことですが、長く闘病しながらも天寿をまっとうできる時代を迎えられたことを共に感謝したいと思います。

 以上です。終わります。

○小澤委員長 ありがとうございました。

 続いて、さい帯血国際患者支援の会の有田様、よろしくお願いいたします。

○有田参考人 有田です。私たちは、法律を推進してきた立場から、この委員会を最初からずっと傍聴・参加させていただきました。最初のヒアリングのときに申し上げたのですけれども、委員の皆様方の議論をお聞きして、それを参考にして、今後、私たちは何をしたらいいかというのを考えながら、ずっと聞かせていただいておりました。

 臍帯血のほうは別途委員会がありまして、そちらも傍聴・参加させていただいて聞かせていただきまして、きょうの資料を見て、あの議論がこういう形の文章になって出てきたのかと思いながら、これが施行のところで役に立っていくのだなと、参加してきて、自分たちもその中の一員だと思って、心からうれしく思いました。

 厚労省から提起された資料というのは、よく出されているなと思いながら、肯定的にずっと見させていただきました。それに対しての委員の皆様方の本当に熱心な、要望者の私たちじゃないのかなと思うような、本当に真剣な議論を毎回聞かせていただいて、私たちは帰るときに、今回もよかったね、成功だねと言いながら帰りました。本当にありがとうございます。心から感謝しております。

 出てくる文章というのは、バランスのとれた、それなりのものが出てくるのだろうと思いますけれども、聞かせていただいた議論の一つ一つを私たちもまた思い出しながら、それが施行されていく中で、本当に患者の役に立つのかということを、今度は監視していく立場で見ていくことになるのだなという考えも、今、持っております。

 特に関心を持って聞かせていただいたのは、浅野委員、鎌田委員、患者経験者ということで、この人たちがどういうことを発言されるのかというのが私の一番の関心事でした。移植を受けた人たちが、その後幸せだと思うような社会生活が送られていなければ、それは決して成功ではないと思っております。浅野委員の遠回しの逆説的な意見とか、鎌田委員の遠慮しながら遠回しに発言するというのを見させていただいて、移植を受けた患者は、決して心から本当のことを社会に訴えてはいない。そして、訴えられるような社会環境ではないのだなということも感じさせていただきました。

 私たちは、これまで法律を求めていろいろと言ってきたのですけれども、それは法律の施行に伴って、よくなっていくだろうと期待しております。過去は過去として、過去にやってきた活動はそのまま推進していきますけれども、別途、今度は、これまで取り組んでこなかったところに運動の軸足を向けていきたいなと思いました。それは、橋本さんもおっしゃいましたけれども、長く生きるようになった。寿命を全うするような長い年月を生きるように、この移植医療は患者をそういうところまで高めてくれたと思っています。本当にありがたいことだと思っております。世界一だと言われて、本当に鼻が高い思いでいます。

 そして、この医療はもっとよくなっていくはずですから、患者はもっとたくさん助かり、もっと長生きをするようになっていく。では、その長く生きていく間に、移植を受けた患者が移植を受けてよかった、幸せだなと思って初めて、私たちが進めてきた法律は成功したのだなと私は思っております。

 「さい帯血は生命のお母さん」という資料の一番下のほうに「また、『移植難民』を出さないために、地方発の活動を広げます」と一文入れたのですが、これが私たちのこれからの中心になる運動になります。移植難民とは、移植を受ける前はよりよい医療が見つからなくてさまよっている人。そして、移植を受けた後は、社会生活において幸せと思えなくて、いろいろな困難な問題に遭っている人。そこのところの支援が何かできないかということを、また浅野委員、鎌田委員、これからお話を聞かせてください。そして、患者さんたちのお話も今、どんどん聞いておりますので、これから、関係者のみなさまに御相談させていただきながら、応援させていただきたいと思います。

 以上です。ありがとうございました。

○小澤委員長 ありがとうございました。

 続いて、日本造血細胞移植学会の岡本委員、よろしくお願いいたします。

○岡本委員 岡本です。これまで日本造血細胞移植学会では、この議論を理事会、それから将来構想委員会で共有して、その議論をフィードバックする形でここまで参りましたので、基本的には、この基本方針(案)については、これまで議論して求めてきたものが適切に網羅されてまとめられていると理解しております。最終的に基本方針(案)を理事会及び将来構想会議でもお諮りしましたけれども、大きなコメントはございませんでした。

 幾つかの点を少し指摘させていただきたいのですが、1つは、学会が大きく関与するデータセンターでございます。これまでデータセンターは、学会が自主的に移植の患者さん、それから提供するドナーの方のフォローアップ事業を学術団体として行ってまいりました。これが新しく設立された社団法人日本造血細胞移植データセンターへ移管されるわけですけれども、これに関して、インディペンデントな、そして透明性を保ったデータセンターになるということでございますが、ここに私たちアカデミックオーガニゼーションのエキスパートが積極的に関与し、全面的にバックアップすることは不可欠ではないかということで、それを8月の理事会で再確認したということがございます。

 また、データの一体的な提供ということに関しては、質の高いデータ、及び統計解析を背景とした移植成績研究の活性化というものも非常に重要なことでございまして、そういったことをしっかり行っていく必要があるという意見もあったことを、ここにお話したいと思います。

 もう一点は、移植推進拠点病院というものが、採取件数の増加に加えて、人材の育成を期待した教育活動を担う施設として選定がこれから進んでいくと思います。従来のがん拠点病院とはややニュアンスが異なる施設であるということ。

 そして、それがこれから選定される中で、どの移植施設も目標にできるような、お手本となるといいますか、全くかけ離れた、規模の全く違う病院ということではなくて、どの施設でもそこを目指して頑張って質の向上を図っていけるといった施設を、ぜひ認定していただきたいと思いますし、これは初年度3施設ということですけれども、それだけでは十分ではございませんので、ぜひ地域性を考慮した上で、日本全体をうまくリードできるようなものをそこに挙げていただきたいと考えております。

 大きな議論に関しては、この2点だったと思います。以上です。

○小澤委員長 ありがとうございました。

 それでは、これまでの4団体について、御質問等ありましたら、よろしくお願いいたします。梅田委員。

○梅田委員 野村さんに補足の説明をお願いしたいと思うのですが、9ページ、要望書ということで9点ほど要望をいただいています。この中で一番大きなポイントということで、1番目に来ているのだろうと思うのですが、骨髄バンクの事業、さい帯血バンクの事業は、医療関係者、日赤さん、善意のボランティアなどの献身によって発展してきているということで挙げられております。私も、この委員会で何点かこういう点を、発言させていただいていますけれども、野村さんのところから、特にボランティアを統括している団体として、「献身的な努力の発展」ということを、補足といいますか、補強いただきたいと思います。よろしくお願いします。

○野村参考人 実は、今までは健康局長通知が事業の根拠となるというくくりでやってきたわけでございますが、そこにはボランティアに関する記述が一切ございません。でも、実際、骨髄バンクのドナーリクルートの分野においては、全国のボランティアが草の根の活動を展開して、ここまでのドナープールができ上がってきたことは間違いございません。それに対する総括をきちっとするべきでしょう。今までやってきた現状を分析して、現状を正しく把握するから将来的展望が見える。そのために現状分析として、その辺をこの基本方針の中できちんと記述していただいて、さらに今後はどうしていくのだという部分で、ボランティアが必要なのか、要らないのか。

 私は、もう法律ができたのですから、日赤が主体となってドナー登録を推進していただく。ただ、我々はそこにいて、中心的な役割ではないですけれども、地域の中で呼びかけたり、そういう形での教育が幾らでもできるし、また一生懸命やりたいと思います。そういうつもりで全国のボランティアはおりますので、その辺を基本方針の中でもどこかで言及していただけたらと思います。

 以上です。

○梅田委員 基本方針(案)の中には私の意見も取り込まれてはいるのですが、全国、北海道から沖縄までの各ボランティアの方が、登録会とか普及啓発のところで非常に頑張っているというのは、常日頃感じており私もボランティアの1人として頑張っているところであります。これからも、さらにこういうボランティアにいろいろなところをフォローいただいて、よりよい体制にしていただければなと思っております。

○野村参考人 申し上げておかなきゃいけないのは、今まではボランティアが中心になってやってきたけれども、これはきちんと事業として、仕事として担っていっていただきたいというのは、我々の願いです。その仕事として確立するような、ボランティア頼りではない事業として、ドナー事業等が推進できるような体制をつくっていただきたいと思います。

○小澤委員長 ありがとうございました。きょう、最後のほうで議論します基本方針に関してですけれども、そういったものをどういうふうにまとめるのか、あるいはどういう体裁にするのかということと関係してくるかなと思います。これまでの背景のようなところを、基本方針の中なのか、あるいはちょっと別の形で触れるのがいいのか、そういったことも含めて、事務局のほうではいかがでしょうか。

○泉臓器移植対策室長 基本方針の中身にかかわることで御意見いただいたという気がいたしますので、その場であわせて御議論いただくということではいかがでございましょうか。

○小澤委員長 では、後ほどですね。

 そのほかに何か、先ほどの4団体について、御意見、質問あるいは確認しておきたいこと、いかがでしょうか。よろしいですか。

 それでは、どうもありがとうございました。3団体の方、席のほうにお戻りください。

 それでは、引き続きまして、公益財団法人骨髄移植推進財団、日本さい帯血バンクネットワーク、日本赤十字社の3団体のお話を伺いたいと思います。これらの団体は、今回の法律を受けて、造血幹細胞の提供に関する事業の実施主体となることが想定されておりますので、基本方針の骨子を受けて、今後の取り組み等をお話いただければと思います。

 それでは、骨髄移植推進財団の齋藤先生、よろしくお願いいたします。

○齋藤参考人 ありがとうございます。

 この基本方針は、さまざまな論点・課題を網羅・整理して、大変バランスよくまとめてあると思います。財団としましては、この基本方針に沿って、ドナーの安全を担保し、患者さんのために、さらに努めたいと考えております。

 具体的には5点ほどあります。

 まず、年齢等を加味した、より効率的なドナーリクルート。末梢血幹細胞移植の普及。そして、先ほど話題になりました移植推進拠点病院などにより、コーディネート期間の短縮。それから、一元患者登録窓口の運営等を通じて、より多くの移植を必要とする患者さんたちに移植の機会を提供することに努めます。特に、移植推進拠点病院には、骨髄採取を速くするという点で、大いに期待しております。

 コーディネート期間の短縮には、いろいろな方法を組み合わせることが必要と思います。また、ドナーに選ばれた後、提供をスムーズにするようなドナー休暇制度、それから市のドナー給付金、生命保険会社・損保会社のドナー給付金特約などにより、環境を整備することも重要だと考えております。

 2点目です。さい帯血バンクと共通の委員会等は統合して運営することなどにより、また日本赤十字社には必要な支援をお願いすることにより、患者さん一人一人にとって最良の造血幹細胞を最適な時期に移植できる仕組みを構築することに努めます。

 3番目です。全国の移植医は、造血幹細胞移植の普及と成績向上、並びにドナーの安全に強い関心を持って、日々仕事をしております。学会及び新しくできたデータセンターと連携し、適正な造血幹細胞移植医療の発展に努めます。

 4番目です。患者負担金の軽減については、かねてから財団として募金などで努力してきたところであります。今回、12ページに造血幹細胞移植を受ける者の経済的負担の軽減として、国が支援することを基本方針に明記していただいたことは、大変ありがたいと思います。

 5点目は、過去20年余、骨髄バンク事業は全国のボランティアによって支えられ、発展してきました。法律制定後、そのボランティアの方々の役割は、より大きくなると考えます。骨髄バンクは、これからもボランティアの方々とともに、移植を必要とする患者さんを一人でも多く救済するように努めます。

 最後に、基本方針の細かい表現についての要望があります。

 まず、3ページですが、適合ドナーが95%の確率で見つかると記載されていますが、これはあくまでも3座6抗原の血清レベルであって、C座を加えた4座8抗原のDNAレベルではない。具体的なデータが出ていないのですが、これより低いことは確実だと思います。

 それから、「コーディネートを開始しても、ドナーの都合がつかない、ドナーに連絡がとれない、ドナーの家族の」云々と書いてありますけれども、健康上の理由が第1位で、ドナーの都合がつかないが2位で、連絡がとれないが第3位なので、健康上の理由ということを入れていただきたいと思います。

 そして、9ページの「骨髄、末梢血幹細胞のドナー登録者の情報や臍帯血供給事業者が保存する臍帯血の情報が一元的に管理され、インターネットを通じて医師が患者に適合する造血幹細胞を一括して検索することができ」というところです。情報の一元化とか利用というのはいいのですけれども、さらにスムーズにコーディネートするためには人が介在しないとできない。つまり、主治医を支援することが必要で、このためには財団がこれまで培った人的機能を発展させることが重要だと考えております。具体的には、例えばHLA適応とか治療方針に関する主治医の相談ということであります。

 それから、最後、12ページです。ここに研究のことが書いてありまして、「臨床応用を念頭に置いた造血幹細胞の基礎研究や造血幹細胞移植の適応疾患について移植以外の治療の選択肢を広げるための研究開発を推進」と書き込まれておりますが、ここにぜひ研究基盤の整備、つまり「検体の保存」も必要だということを書き込んでいただきたいと思います。これが、ひいては移植治療成績向上のための重要な一環でありますので、ぜひ研究基盤の整備ということを書き込んでいただきたいと思います。

 以上です。

○小澤委員長 どうもありがとうございました。3ページのところは、HLAの適合性は新しいものでは既に修正されていますので。

○齋藤参考人 そうですか。はい。

○小澤委員長 ありがとうございました。

 続いて、日本さい帯血バンクネットワークの加藤先生、よろしくお願いいたします。

○加藤参考人 さい帯血バンクネットワークの加藤でございます。

 まず最初に、昨日、8月29日、我が国における非血縁者間臍帯血移植が1万例に到達いたしました。これもここにおいでの多くの方々の御支援、そして患者さんたち、あるいは医療関係者の努力が実ったものと思っております。我々の責任は、なお一層重いと受けとめております。

 それでは、本日の基本方針(案)への意見ということで、2ページにまとめているものをもとに申し上げます。

 全体的な意見でございますが、この委員会は、大変精力的かつ充実した検討が行われ、各委員から積極的に貴重な意見が出されたことに、心から敬意を表したいと思います。基本的な方針として、既に存在する造血幹細胞供給体制の枠組みを維持しつつ、法律の精神に沿って変更あるいは整備をするということがまとめられたと受け取っています。

しかし、幾つかこれから申し上げますが、例えば国際協力の推進についても、総論的には示されましたが、具体的なものはまだ示されていないと思いますので、これは今後の課題かと感じております。短期的な対応に加えて、今後はこの委員会を中心にしながら、あるべき姿ということの議論が必要であると考えております。

 次のページをごらんください。この法律によって、最も変化するであろう、あるいは変化しなければいけないのはさい帯血バンクであると認識しております。初期的な3年前後の課題は、日本におけるさい帯血バンクは、複数の異なる母体によって事業体が運営されます。この異なった事業間での連携は、不可欠であります。これまで「日本さい帯血バンクネットワーク」というものが存在しておりましたが、それにかわる横の連絡組織が必要であろう。それを「日本臍帯血バンク連絡協議会(仮称)」という形で、今後は維持していく必要があるだろうと考えております。それは、臍帯血の品質向上、あるいはインシデント・アクシデント情報の共有をしながら、それぞれのバンクが充実したものになっていくために必要だと思います。

 冒頭で臍帯血のことについて事務局からお話ございましたが、組織、人員、財政が極めて脆弱な中で、これまで頑張ってまいりましたが、これを改善する。バンクごとに人員の増員、そして組織を整備する必要が第1点であります。そのためには、国による財政支援の増強をお願いしたいということであります。

 特に、この委員会でも議論されましたが、採取現場、産科医療における支援というものをもっと行っていかなければ、この事業そのものが成り立たないと考えております。次に、技術あるいは手続等の統一と集約化。先ほどもありましたように、Single point of accessというものを実現するために、支援機関による支援、そしてポータルサイトを構築していくということがここで示されてまいりました。これは、第一歩であります。

 しかし、中期的な課題として、先ほどもボランティアの方々からもありましたように、移植を受ける患者さんたちは骨髄バンクもさい帯血バンクも同じ人たちであります。したがって、アクセスする方法があちこちばらばらではいけないということで、この法律ができたわけでありますので、ぜひそれを実現していくべきだと思います。申込窓口の一本化、そして初期コーディネートの一本化ということです。

 下の左上に現在の体制がございます。骨髄バンク、そして8つのさい帯血バンクがネットワークを形成しております。私のミスで、ここに日本赤十字社が書き込まれておりませんが、今後法制化の中で日本赤十字社は支援機関として、この全体を支えていく役割を担うわけです。より一体的にこれが運用されるためには、それぞれの組織の独立性を保ちながら、全体として一体的な機能を持つべきだと考えております。

 下の左、右は、私の試案でありますが、さい帯血バンクが一体化され、あるいは骨髄バンクとも一体化されて、全体として機能すべきものと考えております。

 以上です。

○小澤委員長 ありがとうございました。

 続きまして、日本赤十字社、田所先生、よろしくお願いいたします。

○田所参考人 今回、制定された造血幹細胞提供推進法において、日本赤十字社は支援機関ということで想定されておりまして、これに対しては前向きに取り組んでいきたいと考えております。

 この造血幹細胞提供推進法第45条の中で支援機関の業務というのが規定されており、それは1号から4号業務とされております。

 それを図式化したのが下にございますが、第1号業務としては、提供者の登録、それから、あっせん事業及び供給事業者に対する協力ということになっております。従来より、ドナーの登録及びデータ管理はやってきておりますので、これは引き続きやるとして考えております。臍帯血の品質向上のための共同事業というのは、法律には書かれておりませんが、国の予算の中で取り組まれておりますので、これも積極的に取り組んでいきたい。

 必要な協力というのは、事業それ自体としては、あっせん事業者あるいは供給事業者の責任ではありますけれども、そこでは十分なし得ない事項について、協力依頼があるという問題。例えば、財団からドナーの募集、あるいはさい帯血バンクからの検査受託ということについては、協議に基づいて実施を考えております。

 あと、2号業務には、業者間の連絡調整。3号業務では、ドナー情報あるいは患者情報の一元的な登録。そして、その情報の提供。4号業務では、普及啓発ということか挙げられております。

 今回、骨子の中では、この法律に基づいて支援機関に関係する事項が書かれております。それがここにピックアップされた1、2、3。これは我々がまとめたものでございますが、大きな項目では、移植に用いる臍帯血の品質の確保ということが挙げられております。2番目には、造血幹細胞の提供に関する情報の一元的な管理、提供。3番目に、安定的なドナー登録者の維持、確保ということが触れられております。

 これらの事項について、まだ認定されておりませんので、具体的に支援機関として認定された場合、どのようなことが考えられるかということが最後のところに書いてございます。

 移植に用いる臍帯血の品質の確保ということにつきましては、研修会の開催というのを考えております。これについては、調製保存の技術、採取技術、それぞれについて日赤内部だけではなくて、ほかのさい帯血バンクに対しても開かれた研修の場をつくりたいと考えております。それから、会議体の設置ということで、技術について議論する場として臍帯血技術委員会を設置する。あるいは、調製等の中でインシデント事例が起きた場合、それらを集積して共有する場をつくっていきたいと考えております。

 2番目の造血幹細胞の提供に関する情報の一元的な管理、提供ということでは、ここでは患者だけ書いてありますけれども、ドナー及び患者の情報の共有データベースを構築して、あわせて一元的な窓口にしていく。そして、これをポータルサイトとしても活用して、医師等ヘの情報提供をしていくことを考えております。

 そして、安定的なドナー登録者の維持、確保という点では、従来の骨髄データセンター事業であります骨髄データの検査・登録というのは引き続き行うと同時に、あっせん業者である骨髄バンクからの依頼に基づいて、ドナーリクルートに関する協力あるいは登録者のリテンションに対する協力も考えていきたいと考えております。

 今回の骨子には書かれておりませんけれども、法案に書かれております関係者間の連絡調整あるいは普及啓発ということについても、取り組んでまいりたいと考えております。

 以上です。

○小澤委員長 どうもありがとうございました。

 それでは、後半の3団体について、委員から御質問等ありましたらよろしくお願いいたします。何か御意見、いかがでしょうか。梅田委員。

○梅田委員 日赤さんにちょっとお願いです。

 1ページで、第4号業務、移植に用いる造血幹細胞の提供に関する普及啓発ということで挙げられております。それから、3ページに、それを受けて、安定的なドナーの登録者の維持、確保ということで、ドナー登録者への働きかけ(リテンション)、それから若年層の重点的なリクルートということを挙げていただいています。大変心強く思っております。この辺の働きといいますか、先ほども出ていましたけれども、ボランティアの立場で私どももかなり頑張ってきたところではありますが、今後はぜひとも日赤さんに前面に出ていただいて、こういうところも働きかけていただければと思います。

 先ほどもいろいろありましたが、私の立場としてはこちらのほうも全面的に一緒にやらせていただきたいと思っております。よろしくお願いいたします。

○小澤委員長 日赤はこれから重責を担うことになったなと思いますけれども、何か追加の御発言はありますか。

○田所参考人 現在、ドナーのリクルートについては、財団とも協議しておるところです。従来も献血現場での登録ということが多いですので、その点で我々がどうできるかということが重要になるかと思います。従来、ボランティアの方が本当に大きな役割を果たされてきたわけですけれども、今後、献血の場が主となるとすると、移植ということだけではなくて、献血ということもあわせて考えていただけるような方向を同時に考えていかないと、両方成り立っていかないということがあろうかと思います。

 その意味では、業務ということでお話がありましたけれども、引き続きボランティアの方の協力も必要であろうと思っております。その際には、今、申し上げましたように、両方の視点で考えていただけることを要望したいと思っております。

○小澤委員長 ほかには御意見、いかがでしょうか。坂巻委員。

○坂巻委員 田所先生にちょっとお聞きしたいのですけれども、造血幹細胞移植の提供で一元的な患者登録を行う仕組みは、基本的な方針の中でも一つの大きな目玉だと思っておりますが、実際にはシステムをつくっていく中ではかなり難しい点もあるのかなと思うのですが、現在、どの程度進んでいるとか、見込みが立っているのでしょうか。

○田所参考人 日赤、骨髄移植財団、ネットワークが今それぞれシステムを持っています。それを1つのポータルをつくって、基盤もつくりまして、それをつないでいくということで、全てを最初からつくり上げるのではなくて、3つをつなげる形で情報を共有していく。そこにデータセンターともリンクしていくということで、それぞれ関係者が担当者を中心に協議を重ねておるところです。ほかの時間も恐らくかかるだろうと思いますけれども、方向としては、その方向で鋭意努力もしていますし、進めていく必要があるのではないかと思っております。

○小澤委員長 ほかにはいかがでしょうか。浅野委員。

○浅野委員 日赤さんにお伺いします。今、御説明になったようなことで、これからやることというか、法律には第1号業務として登録について必要な協力を行うとありますね。それから、3枚目に安定的なドナー登録者のリテンションということも業務に入っている。これは、今までも実態上はやっていますね。

○田所参考人 リテンションについては、手紙を配布するとき、住所等、お手伝いしているということが主なところかもしれません。

○浅野委員 そうですか。そうすると、今回、こういう方針が明記されることになると、今まで以上に、例えばドナー登録者のリテンションということについてはやる。というか、これは義務のように書かれているのですか。

○田所参考人 義務としては書かれておらなくて、法律上は、主語はあっせん業者の業務になっておると思います。その中で依頼人を通じて協力するというのが、現状の法律の考え方であろうと思います。

○浅野委員 もとに戻って、法律の1号業務で必要な協力ということがありますね。これは、登録について必要な協力と書いてあるわけですけれども、どれが必要かということは誰が判断するのですか。

 それから、求めに応じて。だから、骨髄バンクの求めに応じて協力を行うことになるのか、必要ということを御自分で日赤が判断して、これで協力しようと日赤のほうからやっていく。若干気になっているのは、骨髄バンクのほうに聞かなくちゃいけないのですけれども、余計なお世話とは言わないと思うのです。やってもらえばいいと思うのです。ただ、そういう実態になった場合にあり得るのではないかと思っているのですが、その辺についてはどうお考えですか。

○田所参考人 御質問の趣旨がちゃんと理解できているかどうかわかりませんけれども、現状のあっせん事業というのは、コーディネーション、プラス、ドナーリクルートメントが入っているような解釈のようです。血液事業ではちょっと違いますけれども、現状の考え方はどうもそのようですから、法律の解釈によれば、事業主体者はあっせん事業者である骨髄移植財団になります。ですから、基本的にはそこの責任においてやらねばならない。そこに基づく協力を我々はするというのが、今の解釈によればそうなってしまうと思います。

○浅野委員 その必要なルールというのは、どんなことを想定されていますか。実際に今、やられていますね。変わらないと思うのですが。

○田所参考人 やられていることと、やられていないことがあろうかと思いますし、場所によって、やっているところとやっていないところもあると思います。献血現場で、今は主にボランティアの方あるいは説明員の方が呼びかけを行って、そこで登録された場合は我々が受け入れるという形になっているかと思います。

○浅野委員 そうすると、必要な教育ということの内容は、日赤さんが判断するのですね。

○小澤委員長 では、事務局。

○吉田室長補佐 事務局でございますけれども、今、話題になっています法律の第45条第1号業務の考え方についてでございます。先ほど田所参考人からお話いただきましたが、改めて御説明いたしますと、骨髄・末梢血のあっせん業務というのは、募集のところから最後の提供の出口のところまで一体的に考えて、あっせん業務と考えるのが一つの考え方でございます。

 その中で、支援機関の業務といたしまして、第1号業務で提供する意思がある方の登録という業務は明確に記載した上で、そのほかに必要な協力を行うと書いていますので、ドナー登録につきましてはある意味明確に書いてあるのですけれども、その他の部分につきましては、先ほど参考人からもお話ありましたように、基本的にはあっせん業務は事業者がやるべきことではあるのですけれども、支援機関さんのほうの支援をどのように仰いでいくか、どのように協力を得ていくかという意味で、そこはあっせん事業者のほうから日赤と相談しなから、実態としてどういう形でやっていくかを決めていくということになろうと考えております。

○浅野委員 そうすると、今の説明だと骨髄バンクの求めに応じてということですね。

○吉田室長補佐 基本的には、そのような形になります。

○小澤委員長 細かい話は別として、もっと一般的なことで、齋藤参考人から何か御意見ありますか。

○齋藤参考人 今の浅野委員の御質問に関連してです。我々もいろいろなことを日本赤十字社さんにお願いしたいと思っています。ところが、日赤の立場から言うと、どんどん引き受けて、予算の裏づけがないようなところまでやるのは大変だなというお気持ちが多分あると思います。ですから、こういうシステムをスムーズに動かすにはお金がかかるということは、皆ではっきりさせておいたほうがいいと思います。

 以上です。

○小澤委員長 山口委員。

○山口委員 加藤先生の1枚目のスライドの一番下のところで、ちょっとお考えを聞かせていただければありがたいのですけれども、今回のものは短期的な対応だとお考えで、今後、将来的にあるべき全体像。多分、これは骨髄バンクのほうで議論されていることを想定されているのかなと思って、その辺について、将来的な骨髄バンクのあり方について、ちょっと御説明いただければ。ごめんなさい、さい帯血バンクです。

○加藤参考人 2枚目の一番下に書いたのが、今の山口先生に対する答えになるかと思うのですが、さい帯血、さい帯血バンクは現在8つあるわけですが、患者さんたち、あるいは主治医は、それぞれ別個に手続をしながら、また変更するときにも改めて手続をしなければいけないという大変複雑な、煩雑な手続を必要とされています。骨髄バンクにはコーディネートというプロセスがあることを皆さん、はっきり認識していただけていると思いますが、さい帯血バンク、さい帯血移植にもコーディネートが存在するわけでありまして、この初期のコーディネートのプロセスをぜひ一元的にどこかでまとめていく。そして、最後の提供の場面は各バンクが、個別の問題ですから、できるようにしていくべきだと思います。

 このポータルサイトは、ある意味でそういうことをネット上で実現する手段ではあるのですが、先ほど齋藤先生からもお話がありましたように、例えば自動音声でいろいろな申し込みをしたりするようなシステムだけでは不十分で、オペレータガイドの心のこもったコーディネートというものが必要である。今、申し上げたコーディネートというのは、ある意味でさい帯血バンクだけの問題ではなく、骨髄バンク、さい帯血バンク、両方に共通するものですから、そういうものが将来的には一元化されていくべきだと考えています。

 長年、骨髄バンクにも、さい帯血バンクにもかかわってきた経験から、何より患者さんのそばで移植をやってきた立場から、そのように考えておりましたので、こういう図を示させていただきました。

○小澤委員長 どうぞ。

○山口委員 今度は田所先生にお聞きしたいのですけれども、先ほど齋藤先生がおっしゃられたように、予算の裏づけがある、ないという話があると思うのですけれども、もう一つ、日赤としては血液事業というものが薬事法の中で動いている。そこは、予算的な裏づけがきちんとあってやっている事業と、それから、こういうふうな支援というもの。例えば品質管理とかになってくると、血液事業でやっている行為とちょっとオーバーラップしてくるような部分があったと思うのですね。それをどういうふうに今後、切り分けていくというか、オーバーラップしている部分をうまく使ってということになるかもしれないですが、それについてちょっと教えていただければ。

○田所参考人 調製に当たって、調製する担当者と、それをコントロールする品質管理者という仕組みはつくっていかなければいけないと思っていますが、現状、臍帯血独自の人たちを置くというのは重複することになりますので、血液事業で働いている人たちに今は行っていただいています。それが業務として、どれぐらいの負荷になるかということについて、まだ算定まではしておりませんけれども、それは今、事業の見直し等もして、それぞれの費用がどれぐらいかかっているのかということも見直しをしています。それは、我々の中での会計基準を統一して検討して、かかる費用を算出しています。

 そういう費用を今後、きちんと算出して、これぐらいかかるというものをお示しするようにして、今後、どれぐらい予算としてつくっていただけるものかということの参考にも、ぜひしていただければなと考えております。

○小澤委員長 そのほか、各団体からいろいろな御意見、要望等、出ていますけれども、事務局のほうからは、それについて何かありますでしょうか。よろしいですか。

○泉臓器移植対策室長 基本方針(案)の中で具体的に記述させていただいている部分もありますので、一旦、その部分をごらんいただいてから、まとめて御議論いただくということではいかがかと思います。

○小澤委員長 先ほどの齋藤参考人からの何点かの要望についても、後ほどお答えいただく形でよろしいですね。

 そのほか、御意見、何か確認。張替委員。

○張替委員 田所先生から、支援機関としての業務の御説明があったのですけれども、実際のバンクの事業主体として実績を積まれているわけで、その事業に関しての方向は日赤としてはどのように考えていらっしゃるか。というのは、加藤先生の案で言うと、バンクの一体化みたいなことは日赤が主体とならざるを得ない。その辺を含めて、事業としての方向性をお伺いしたい。

○田所参考人 さい帯血バンクにおける保存・提供の中で日赤が占める量というのは、だんだんふえてきていまして、提供については確かに半数以上を占めていることがあって、そういう意味では我々の責任は大きいと考えています。また、いろいろな品質基準等が今後、さらに高く求められるとすると、それに対応して、我々もやっていかなければならないし、どこまで上がるかは別として、具体的にそれに対応していけるのは、血液事業でのいろいろな積み重ねでやってきた我々が主な主体にならなければいけないだろうと考えています。

○小澤委員長 では、どうもありがとうございました。参考人の先生方、席のほうにお戻りください。

 それでは、議題(2)に関しましては、このあたりとさせていただきたいと思います。

 次に、(3)基本方針(案)についてに参ります。前回の委員会で基本方針の骨子(案)について御議論いただきました。そこでの御意見を踏まえまして、基本方針(案)を事務局にまとめてもらいましたので、事務局から説明をお願いします。

○吉田室長補佐 それでは、資料3をごらんください。

 1ページ目に目次を記載しておりますけれども、前回お示しした骨子と同様でございまして、法律で定められた記載事項の区分けが一から四のとおりございまして、そのもとに小見出しをつける形で整理しております。

 おめくりいただきまして、2ページ目以降、前回の委員会での骨子についての御議論を踏まえまして基本方針の案文を作成いたしましたので、読み上げる形で御説明させていただきます。

一、移植に用いる造血幹細胞の適切な提供の推進に関する基本的な方向

1.現状

○ 造血幹細胞とは、骨髄、臍帯血等に多く含まれている血液のもととなる細胞であり、造血幹細胞移植は、血液のがんと言われる白血病等に有効な治療法である。これにより、通常の抗がん剤投与よりも強力な治療が可能になるほか、造血機能の回復、免疫系異常や代謝異常の改善等の治療効果が期待される。

 

○ 代表的な血液がんである白血病及び悪性リンパ腫の患者数を見ると、それぞれ約7千人、約1.3万人(平成23年厚生労働省「患者調査」)となっている。これらの患者に対しては、化学療法、放射線療法等が行われ、一部の患者については造血幹細胞移植が行われる。

 

○ こうした中、高齢化に伴う骨髄異形成症候群等の患者の増加や、骨髄非破壊的前処置の進歩による移植年齢の上限の引上げ等を受けて、高齢者を中心に造血幹細胞移植の件数は増加している。一方で、分子標的治療薬等の新薬開発等により、造血幹細胞移植の実施が減少している疾患も存在している。

 

○ 平成24年度における非血縁者間での造血幹細胞移植の件数を移植細胞ソース別に見ると、骨髄移植1,321件、末梢血幹細胞移植15件(公益財団法人骨髄移植推進財団(以下「骨髄移植推進財団」という。)調べ)、臍帯血移植1,199件(日本さい帯血バンクネットワーク調べ)となっている。

  また、造血幹細胞の提供に係る医療機関の状況を見ると、骨髄については、非血縁者間骨髄採取認定施設が171施設、非血縁者間骨髄移植認定施設が171施設(平成25年6月末日現在、骨髄移植推進財団調べ)、末梢血幹細胞については、非血縁者間末梢血幹細胞採取施設が55施設、非血縁者間末梢血幹細胞移植認定施設が55施設(平成25年6月末日現在、骨髄移植推進財団調べ)、臍帯血については、臍帯血採取認定施設が98施設、臍帯血移植認定施設が210施設(平成25年6月末日現在、日本さい帯血バンクネットワーク調べ)となっている。

  世界的には、非血縁者間での造血幹細胞移植において末梢血幹細胞移植が最も大きな割合を占めているが、我が国では非血縁者間末梢血幹細胞移植の占める割合は小さい。

 

○ 造血幹細胞移植は、「患者」と「医療機関」だけでは成立せず、任意・善意の下での「ドナー」があって初めて成り立つという特徴を有しており、国民の理解が不可欠なものである。

  骨髄、末梢血幹細胞のドナー登録者数や臍帯血の公開数は増加しており、造血幹細胞の提供に関する国民の理解は着実に広がってきている。


○ また、国民の理解を得て、広く造血幹細胞移植が実施されるためには、造血幹細胞の提供に当たっての公平性を担保するための「あっせん機関」が必要であり、これまで、骨髄移植推進財団が中心となって骨髄、末梢血幹細胞のドナーのあっせんを、さい帯血バンクが臍帯血の保存、供給等を行ってきた。 


○ 骨髄移植推進財団は、骨髄バンク事業の中心として、平成4年から骨髄移植のためのコーディネート業務を実施し、加えて、平成22年からは末梢血幹細胞移植のコーディネートも開始し、これまでに合わせて1万5千例を超える移植のコーディネートを行ってきた。

  ドナーコーディネート開始から骨髄提供までの期間(中央値、骨髄移植推進財団調べ)を見ると、平成15年には147日を要していたものが、平成24年には122日となっており、短縮してきているものの、欧米と比較すると依然としてコーディネートに時間を要しているとの指摘がされている。

 

○ 骨髄、末梢血幹細胞のドナー登録者数については、平成25年6月末日現在で43万人を超えており、骨髄移植、末梢血幹細胞移植を必要とする患者にヒト白血球抗原(HLA)型が血清レベルで6抗原適合するドナーが95%の確率で一人以上見つかっているが、遺伝子レベルで見るとHLA型が適合する確率は低下する。

  また、HLA型が適合したドナーとの間で、移植に向けたコーディネートを開始しても、ドナーの都合がつかない、ドナーに連絡がとれない、ドナーの家族の同意が得られない等の理由により、骨髄、末梢血幹細胞の提供につながらない事例が相当数存在している。

○ さい帯血バンクの取組みは、平成7年以降広がりを見せ、各地でさい帯血バンクが設立された。平成11年には公的さい帯血バンク事業が開始され、日本さい帯血バンクネットワークが設立された。平成25年6月末日現在で全国に8つのさい帯血バンクが存在しており、年間約1,000件を超える臍帯血移植がさい帯血バンクを介して実施され、これまでの累計は1万例に達しようとしている。

 

○ さい帯血バンクが保存している臍帯血は、順次増加してきており、現在では約2.5万個の臍帯血が移植用に公開されているが、実際に移植に用いられている臍帯血を見ると、総細胞数の多いものの利用率が高くなっている。

 

○ 日本赤十字社は、骨髄バンク事業において骨髄移植推進財団と協力して骨髄、末梢血幹細胞のドナー登録業務を行っており、臍帯血に関しては、自らさい帯血バンクを運営するほか、日本さい帯血バンクネットワークの事務局を担っており、造血幹細胞の提供において、重要な役割を果たしている。

 

○ 関係学会では、これまで20年以上にわたり造血幹細胞移植の成績等についてのデータベースの構築及びデータ解析に取り組んでおり、これにより得られた知見を活用して、治療成績は向上している。平成18年からは、関係学会を中心に造血幹細胞移植の成績等の一元化登録の仕組みが構築され、運用されている。

  しかしながら、造血幹細胞移植に先立って一元的に患者登録を行う仕組みが整備されていないため、造血幹細胞移植を必要とする患者の全体像の把握が難しい状況にある。

 

○ 造血幹細胞の提供においては、ボランティア等が大きな役割を果たしてきており、骨髄、末梢血幹細胞のドナー登録の推進や採取施設とさい帯血バンクの間の臍帯血の搬送、患者相談の取組み等において、活躍している。

 

2.基本的な方向性

○ 移植に用いる造血幹細胞の適切な提供の推進に関する法律(平成二十四年法律第九十号。以下「法」という。)においては、基本理念として以下の事項が掲げられている。

(1) 移植に用いる造血幹細胞については、造血幹細胞移植を必要とする者が造血幹細胞移植を受ける機会が十分に確保されることを旨として、その提供の促進が図られなければならない。

(2) 移植に用いる造血幹細胞の提供は、任意にされたものでなければならない。

(3) 移植に用いる造血幹細胞の提供については、造血幹細胞移植を必要とする者が造血幹細胞移植を受ける機会が公平に与えられるよう配慮されなければならない。

(4) 移植に用いる造血幹細胞の提供については、移植に用いる造血幹細胞が人に由来するものであることに鑑み、その安全性が確保されなければならない。

(5) 移植に用いる骨髄及び移植に用いる末梢血幹細胞の提供については、その採取に身体的負担が伴うことに鑑み、移植に用いる骨髄又は移植に用いる末梢血幹細胞を提供する者の健康の保護が十分に図られなければならない。

(6) 移植に用いる臍帯血の提供については、移植に用いる臍帯血の特性及びその提供に調製、保存等の過程を伴うことに鑑み、その安全性その他の品質の確保が図られなければならない。

 

○ また、法に基づき、造血幹細胞移植に関わる者には、以下のような責務が課されている。

(1) 国は、基本理念にのっとり、移植に用いる造血幹細胞の適切な提供の推進に関する施策を策定し、及び実施する責務を有する。

(2) 地方公共団体は、基本理念にのっとり、国との適切な役割分担を踏まえて、移植に用いる造血幹細胞の適切な提供の推進に関する施策を策定し、及び実施する責務を有する。

(3) 骨髄・末梢血幹細胞提供あっせん事業者、臍帯血供給事業者、造血幹細胞提供支援機関は、移植に用いる造血幹細胞の提供において中核的な役割を果たすべきことに鑑み、移植に用いる造血幹細胞の適切な提供の推進に積極的に寄与するよう努めなければならない。

(4) 医療関係者は、国及び地方公共団体が講ずる移植に用いる造血幹細胞の適切な提供の推進に関する施策に協力するよう努めなければならない。

 

○ 造血幹細胞移植に関わる者が、法に基づき課せられた責務を果たすとともに、法に掲げられた基本理念の実現に向けた取組みを進めることを通じて、造血幹細胞移植を希望する患者にとって、病気の種類や病状にあった最適な造血幹細胞移植が行われるとともに、患者の生活の質の改善が図られることを目指す。

 

 

二.移植に用いる造血幹細胞の提供の目標その他移植に用いる造血幹細胞の提供の促進に関する事項

1.造血幹細胞の需要について

○ 移植適応は時代によって変化するため、移植に用いる造血幹細胞の総需要の予測は難しいが、高齢者に対する移植技術の進歩等もあり、基本的には高齢者の増加に比例して、当面、造血幹細胞移植を必要とする患者は増加すると考えられる。

○ 骨髄、末梢血幹細胞、臍帯血の3つの移植細胞ソースごとの需要予測は、医学的な見地からも困難であるが、骨髄及び末梢血幹細胞については、両者を合わせて、造血幹細胞移植の実施数における骨髄移植及び末梢血幹細胞移植の現在のシェアに相当する需要は見込む必要があると考えられ、それに対応したドナーが必要である。

 

○ また、臍帯血については、造血幹細胞移植の実施数における臍帯血移植の現在のシェアに相当する需要は見込む必要があり、それに加え、骨髄又は末梢血幹細胞の移植を予定していたものの、何らかの理由でドナーからの提供が急遽困難となった状況等において、緊急に移植に用いる場合の需要も見込む必要がある。 

 

2.造血幹細胞の提供について

○ 移植に用いる造血幹細胞の提供の前提として、患者の状況に応じて適切な移植細胞ソースを用いた造血幹細胞移植を選択できるようにすることが必要であり、造血幹細胞移植の実施に先立って一元的に患者登録を行う仕組みを整備するとともに、造血幹細胞移植を受けた患者の移植後の健康状況等を把握し、そのデータの分析を行う取組みが必要である。

 

○ 骨髄、末梢血幹細胞については、引き続きドナー登録者を維持・増加させる取組みが必要である。

  また、電子メール等を活用したドナー登録者への継続的な働きかけやドナー休暇制度の普及、さらにはドナーの家族に骨髄移植等について理解してもらうための働きかけ等に取り組み、実際に骨髄、末梢血幹細胞の提供に応諾するドナー登録者を増加させる必要がある。

 

○ これまでドナー登録が可能な年齢を拡大しながら、広くドナー登録を呼びかける中でドナー登録に対する理解が進み、多くの患者への移植につながってきたことを踏まえると、登録可能年齢の上限の引き下げは行わないことが適当であるが、ドナー登録を広く受け付けつつも、ドナーとなる意思を持つ者にできるだけ長い期間ドナー登録をしていただくという観点から、若年層への重点的・積極的なドナーリクルートに取り組むことが必要である。

 

○ 移植に用いる臍帯血については 、現状、需要を上回る数量を確保できているが、今後、造血幹細胞移植を必要とする高齢者が増加すると見込まれる中で、細胞数の多い良質な臍帯血に重点を置いて、効果的・効率的に確保することが必要である。

  そのため、臍帯血供給事業者の営業時間の拡充による臍帯血の受入数の増加と併せ、臍帯血を安定的・定期的に採取してもらえる医療機関を中心に協力を依頼しつつ、臍帯血の採取技術の向上を図ることにより、細胞数の多い良質な臍帯血の確保に取り組むことが必要である。 

 

3.造血幹細胞の提供までの期間の短縮について

○ 骨髄移植については、骨髄採取を行う医療機関の手術室の確保やドナーの仕事の都合の調整等に時間を要し、骨髄の採取行程がコーディネート期間の相当部分を占めていることから、その短縮を図るための取組みが必要である。

  そのため、骨髄採取を行う医療機関において、骨髄採取のために定期的に手術室の枠を確保すること等により、早期に骨髄移植を行うことが必要な患者が早期に骨髄移植を受けることができる体制を整備することが必要である。

  また、ドナー休暇制度の普及に取り組むとともに、早期の骨髄採取の実現のためにドナーに対し、検査や採取のために比較的遠方の病院まで移動してもらう等一層の協力を依頼することに取り組むことが必要である。

 

○ 末梢血幹細胞移植については、末梢血幹細胞の採取に当たって、全身麻酔の実施や手術室の確保が不要であり、骨髄移植と比較してコーディネート期間が短いことから、造血幹細胞の提供までの期間の短縮の観点からも更なる普及に取り組む必要がある。

  しかしながら、非血縁者間末梢血幹細胞採取施設及び非血縁者間末梢血幹細胞移植施設は骨髄と比較して少なく、現状では採取施設が存在しない県も存在しており、また、ドナー保護の観点から、ドナーは末梢血幹細胞採取施設に短時間に通える場所に居住していなければならないとする制限があること等により、末梢血幹細胞移植は普及していない。

  そのため、非血縁者間末梢血幹細胞採取施設及び非血縁者間末梢血幹細胞移植施設の増加を図るとともに、末梢血幹細胞の提供に当たってのドナーの居住地の制限の緩和を検討する必要がある。

 

○ 臍帯血については、臍帯血供給事業者から即日出庫することが可能な場合もあり、迅速な対応が可能であることから、早期に移植を実施するという観点から、骨髄又は末梢血幹細胞の移植が急遽困難となった緊急時の対応も含め、臍帯血移植の活用を進めていくことも必要である。 

 

4.造血幹細胞の提供に係る医療提供体制の整備

○ 造血幹細胞移植の基盤整備を目的とし、全国をブロックに分け、患者数やドナー登録者数等を勘案しつつ、造血幹細胞移植の推進のための拠点的な医療機関(以下「造血幹細胞移植推進拠点病院」という。)の整備を段階的に進める必要がある。

 

○ 造血幹細胞移植推進拠点病院は、モデル的に以下の事項にバランスよく取り組むものとする。

(1) 適切な診断に基づき、患者の状況に応じて適切な移植細胞ソースを用いた造血幹細胞移植を実施できる体制を確保すること。

(2) 地域における造血幹細胞移植に関わる医療従事者の研修・育成や地域の他の医療機関への診療支援を行うこと。

(3) 早期の骨髄移植を必要とする患者が早期に骨髄移植を受けることができるよう、骨髄の早期採取に積極的に取り組むこと。

 

○ 特に、早期の骨髄採取の実現に向けて、造血幹細胞移植推進拠点病院は、骨髄採取のための手術室の定期的な枠を確保するほか、日本造血細胞移植学会認定の造血細胞移植コーディネーターを配置すること等により、早期の骨髄採取及び移植の実現に向けた体制を整備する必要がある。

 

○ なお、骨髄採取の早期化を目指すに当たっては、造血幹細胞移植推進拠点病院のみが積極的に骨髄採取を行うのではなく、現状では骨髄の採取件数が少ない医療機関での採取数を増やすこと等    により、全体として骨髄の採取件数の増加及び骨髄採取の早期化を図ることが必要である。

 

○ また、非血縁者間末梢血幹細胞採取施設及び非血縁者間末梢血幹細胞移植施設については、地域間のバランス等を見ながら、引き続き増加に向けて取り組んでいくことが必要である。

 

5.造血幹細胞の提供に関する情報の一体的な提供

○ 骨髄、末梢血幹細胞のドナー登録者の情報や臍帯血供給事業者が保存する臍帯血の情報が一元的に管理され、インターネットを通じて医師が患者に適合する造血幹細胞を一括して検索することができ、また、造血幹細胞の提供に向けたコーディネートの状況等を随時把握できる体制の整備が必要である。

 

○ 患者やドナー、国民が知りたい情報を手軽に入手できる造血幹細胞移植に関するポータルサイトが必要であり、ポータルサイトで提供する情報については、これまでの患者相談の取組みにおける相談内容を踏まえたものとすることが望ましい。

  併せて、患者が受け取った情報を整理・理解した上で、主体的に治療法を選択できるよう、必要に応じ、患者相談窓口を設けている団体等の支援を受けられるようにすることが必要である。

 

○ 特に、造血幹細胞移植の治療成績については、患者や国民向けの情報に加え、医療機関、研究機関、患者相談窓口を設けている団体等に、リスクの度合い等を調整した詳細な情報についても提供できるようにする取組みが必要である。

 

 

三.移植に用いる造血幹細胞の安全性の確保に関する事項

○ 造血幹細胞が人体に由来するものであることにかんがみ、移植に用いる造血幹細胞の提供に当たっては、安全性が確保される必要がある。
 

○ 移植に用いる骨髄及び末梢血幹細胞については、これまで骨髄移植推進財団が専門家の意見を踏まえて策定する骨髄採取マニュアル及び末梢血幹細胞採取マニュアルを遵守することにより、その安全性及び品質が確保されてきた。今後も、これらのマニュアルに準拠することにより、安全性及び品質の確保に取り組む必要がある。

  なお、より多くの造血幹細胞の患者への移植、ドナーへの倫理的配慮や骨髄、末梢血幹細胞の安全性の確保の観点から、当面、骨髄及び末梢血幹細胞は原則凍結保存を禁止し、緊急に造血幹細胞移植を実施する必要がある場合には、臍帯血の利用等により対応することが適当である。

 

○ 移植に用いる臍帯血については、提供に当たって調製、保存等の過程を伴うことも踏まえ、安全性及び品質の確保を図る必要がある。

  今般、法に基づき、臍帯血の安全性その他の品質の確保のための基準を策定することとしており、臍帯血供給事業者は当該基準を遵守することが求められることとなる。これにより、移植に用いる臍帯血の安全性及び品質の確保を図る。

  臍帯血の安全性その他の品質の確保のための基準については、血液事業等関連する他の制度の基準との整合性や品質基準に関する国際的な動向を考慮するとともに、安全性とトレーサビリティの確保のための情報管理等に配慮したものとする。

  なお、基準については、臍帯血の更なる品質向上に向け、段階的に改善を図っていく。

 

 

四.その他移植に用いる造血幹細胞の適切な提供の推進に関し必要な事項

1.関係者の連携

○ 国、地方公共団体、骨髄・末梢血幹細胞提供あっせん事業者、臍帯血供給事業者、造血幹細胞提供支援機関及び医療関係者は、移植に用いる造血幹細胞の適切な提供の推進を図るため、相互に連携を図りながら協力する。

 

2.造血幹細胞提供関係事業者及び造血幹細胞提供支援機関の安定的な事業運営の確保

○ 移植に用いる造血幹細胞のあっせん等を行う骨髄・末梢血幹細胞提供あっせん事業者及び臍帯血供給事業者(以下「造血幹細胞提供関係事業者」という。)は、非血縁者間での造血幹細胞移植を実施する上で必要不可欠なものである。

 

○ また、造血幹細胞提供支援機関は、以下の業務を担い、移植に用いる造血幹細胞の提供において重要な役割を果たすものである。

(1) 骨髄、末梢血幹細胞のドナー登録のほか、造血幹細胞提供関係事業者に必要な協力を行うこと。

(2) 造血幹細胞提供関係事業者の事業について必要な連絡調整を行うこと。

(3) 移植に用いる造血幹細胞に関する情報を一元的に管理し、造血幹細胞移植を行おうとする医師等に提供すること。

(4) 移植に用いる造血幹細胞の提供に関する普及啓発を行うこと。

 

○ 造血幹細胞提供関係事業者及び造血幹細胞提供支援機関は、移植に用いる造血幹細胞の提供において中核的な役割を果たすものであり、造血幹細胞移植を必要とする者が造血幹細胞移植を受ける機会を十分に確保するためには、造血幹細胞提供関係事業者及び造血幹細胞提供支援機関の安定的な事業運営が必要であることから、国は法に基づき必要な措置を講じるほか、必要な助言、指導その他の援助を行う。

3.造血幹細胞のドナーの保護

○ 移植に用いる骨髄及び移植に用いる末梢血幹細胞の採取に当たっては、ドナーの身体的な負担を伴うことから、ドナーの健康の保護のための措置が図られることが必要である。

  そのため、骨髄・末梢血幹細胞提供あっせん事業者は、骨髄、末梢血幹細胞の提供は任意によるものであることや骨髄、末梢血幹細胞の採取の意義、リスクについてドナーに対して十分に説明し、書面により最終的な同意を得る。また、採取前及び採取後に健康診断を実施する等ドナーの健康の保護のための措置を講じるとともに、万が一、骨髄又は末梢血幹細胞の採取に伴って健康被害が生じた場合における補償の措置を講ずる。

 

○ また、臍帯血供給事業者は、移植に用いる臍帯血の採取に当たって、提供する母体や新生児に影響が及ぶことがないよう必要な措置を講ずる。 

 

4.造血幹細胞移植を受ける患者の経済的負担の軽減

○ 造血幹細胞移植を必要とする者が造血幹細胞移植を受ける機会が十分に確保されるよう、国は、造血幹細胞提供関係事業者が行う低所得者に対する患者負担金の減免の取組みを支援する。

5.研究開発の促進

○ 国は、造血幹細胞移植の治療成績と安全性の向上のための研究開発のほか、臨床応用を念頭に置いた造血幹細胞の基礎研究や造血幹細胞移植の適応疾患について移植以外の治療の選択肢を広げるための研究開発を推進する。

 

○ 臍帯血供給事業者は、臍帯血供給業務の遂行に支障のない範囲内において、採取した臍帯血を研究のために自ら利用し、又は提供できることとされており、これを通じた新たな医療技術等の研究開発の促進が期待される。

 

6.国際協力の推進

○ 人道的な見地に立ち、国外で造血幹細胞移植を必要とする患者に対して造血幹細胞を提供できる体制及び国外から造血幹細胞の提供を受けることができる体制を整備する必要がある。

 

○ 国は、臍帯血の品質確保のための基準等の国際的な調和に向けた関係学会等の取組みに協力する。

 

7.見直し

○ 本方針は、造血幹細胞移植を取り巻く状況の変化等に的確に対応する必要があることから、法の施行状況を勘案し、再検討を加え、必要があるときは、これを変更する。

 

 以上でございます。

○小澤委員長 ありがとうございました。

 それでは、この基本方針について議論を進めていきたいと思いますけれども、細部の文言の修正に入る前に、この基本方針の位置づけのところを再確認しておきたいと思うのです。基本的には、あくまでもこれは基本方針でありまして、この方向で今後の議論を具体的に進めていくことになるかと思います。

 内容を読みますと、法律からとってきたところの文章はちょっとわかりにくいところもあったりしますけれども、それは変えられないということですので、後半の方でその辺はわかりやすくする。あるいは、前回、「必要である」という表現の重みづけができないかという議論もありましたけれども、そこは難しいようですね。

 最初に、事務局のほうから、具体的な基本方針のまとめ方について、少し整理して、よろしくお願いします。

○泉臓器移植対策室長 ありがとうございます。

 今回の基本方針の案につきましては、10回にわたりまして、各委員の皆様からの議論をいただいたもの。それから、きょうお集まりの参考人の皆様方からいただいた意見を集約してまとめてまいりました。厚生労働省だけでは到底集約できないような基本方針(案)ができたものと思っております。まずは、御礼申し上げたいと思います。その上で、今、参考人の皆様、そして各委員の皆様のやりとりの中で、少しこうしたほうがという意見もございましたので、まずはそういったところに触れさせていただいて、その後で委員の皆様方の御議論に移っていただいてはどうかと思いますが、よろしゅうございましょうか。

 まず、野村参考人、梅田委員を初めとして、ボランティアに関する記述というお話がございました。今までやってきたことの総括が必要ではないかという御意見もいただいております。今、読み上げたとおりでございますが、ボランティアの記述につきましては、4ページ目の4つ目の〇に、ボランティアは大きな役割を果たしてきたこと、そして、ドナー登録の推進、採取施設とさい帯血バンクの間の臍帯血の搬送、患者相談の取組み等において、活躍しているということでございます。ここにつきまして、定量的な分析、どれぐらい、何%貢献したのかみたいなことはなかなか書きづらいと思いますけれども、私どもとして、ボランティアに関する活動をここに整理させていただきました。

 さらに、今後のボランティアの位置づけについて、どう考えるのかという御発言もあったところでございます。ここも私ども、ボランティアというのはそもそもその役割・本質からして、厚生労働大臣の施策の基本方針の中に、これをやりなさいという形で位置づけるべきものかどうか、若干悩みどころでございました。一方で、今後、ボランティアの皆様方が一定の役割を果たしていかれるであろうこと、また、行政も内心それを期待していることも隠すようなことではございません。

 考えましたのは、4ページ目の4つ目の〇のところに、大きな役割を果たしてきており、活躍しているという現在進行形の形で書かせていただいて、その後、ボランティアについて、今後こうしてください的なことまで書くのは、ボランティアの本質論からするとずれるだろうということでございます。なお、委員の皆様の間で御議論いただければと思います。

 それから、ドナー登録の関係につきましては、これはボランティアがやるということではなくて、そもそものボランティアの登録の件でございます。6ページ目の一番下の行のところ、ドナー登録者の関係につきまして、引き続き、維持・増加させる取組みが必要であること。また、電子メール、ドナー休暇、あるいはドナーの家族の皆様に御理解いただく働きかけなどに取り組んで、応諾するドナー登録者を増加させる取り組みが必要であるということでございます。

 ここまでの御議論では、ドナー登録者を引き続き増加させる取り組みが必要という御議論がこの委員会の場でもあったかと思いますが、さらに実際に提供、応じてくださる方を増加させる必要があるという御意見の比重が大きかったと思いますので、この基本方針におきましては、そのような書き方をさせていただいております。

 それから、もう退席されましたけれども、岡本委員から、データ収集・解析の必要性と情報提供の必要性について御発言がありました。

 まず、データ収集・解析の必要性につきましては、6ページ目の4つ目の○、2.造血幹細胞の提供についてということで、下半分にかかったところに書いてございます。研究、収集解析の必要性については、この○のところで整理させていただきました。

 岡本委員は情報提供の必要性まで御発言いただいておりましたが、実はそのことは9ページ目の一番下の○に、情報提供の必要性、造血幹細胞移植の治療成績については、医療関係者の皆様方だけではなくということですけれども、リスクの度合い等を調整した詳細な情報について提供する必要があるという形で整理させていただいています。

 それから、これは参考人、齋藤理事長からでございますけれども、適合ドナーの関係につきましては、基本方針のデータ上の整理はさせていただきました。しかし、3ページ目のところ、ドナーが見つからない理由で、健康上の理由が多い。下から5行目、6行目ぐらいでしょうか。「またHLA型が適合したドナーとの間で、移植に向けたコーディネートを開始しても、ドナーの都合がつかない」というところで、健康上の理由もあるのだという御指摘をいただいたかと思います。恐らく、これは事務局のほうで漏らしているかと思いますので、追加させていただきたく思います。

 それから、研究基盤の整備について御発言がございました。研究基盤の整備につきましては、12ページの5.研究開発の促進のところで、研究開発関係について一定程度記述させていただきましたけれども、恐らく研究開発と言うだけでなくて、研究基盤が研究には大事だという御指摘だと思います。ここは、事務局のほうで、委員の皆様方に御依存がなければ、座長と相談する形で研究基盤という文言の整理もさせていただいてはどうかと思います。

 あとは、さまざまいただいておりますけれども、基本方針に書くという意味では、実際の制度が動き始めてから、運営主体同士が調整して、あるいは相談して、実務的に進めていくべき部分もありますので、そういった部分については、まさにそれら実務的な運営主体同士の相談に委ねたらよろしい部分もあろうかと思います。参考人の皆様の意見と、委員の皆様の意見を伺っておりまして、基本方針のほうに反映させていったほうがよさそうな事実関係、あるいは方針につきましては、今、私が述べたとおりでございます。なお、御意見あろうかと思いますので、どうぞ忌憚のない御意見を賜れればと思います。

 ありがとうございます。

○小澤委員長 ありがとうございました。少し私のほうから確認してもよろしいですか。

 3ページでは、先ほど齋藤参考人のほうからドナーの健康状態の理由などもあるようなことを言われていましたけれども、それは書き込んでいただけるのですね。

 それから、9ページの5番の最初の○のところ、インターネットでいろいろな情報が入るだけではなくて、何とかうまく相談もできるようなシステムをつくっていただきたいようなお話もあったかなと思うのですけれども、この辺、何かうまい文章を入れられますか。

○泉臓器移植対策室長 今、そのような意見をいただきましたけれども、そういったことが必要ということも御指摘としていただいたのですけれども、具体的にどうしていくかみたいなところについては、なお、今後の議論に委ねたほうがよさそうな部分があろうかと、正直思っております。ですので、この場において、そういった議論があったことはレジスターさせていただきますけれども、基本方針の上では。

○小澤委員長 ちょっと具体的過ぎるかもしれないですね。

○泉臓器移植対策室長 はい。そこまで、どうしたらいいかということが熟していないという言い方でよろしいですか。

○小澤委員長 今後の議論の中でシステムをつくっていただくということになろうかと思います。

 それから、その下の二、三行目ですが、「リスクの度合い等を調整した詳細な情報」というのは、何となくわかりにくい表現だと思うのですね。全部とってしまって、詳細な情報だけでもいいかもしれませんし、強いて言えば「リスク別の成績などの詳細な情報についても」という形でもいいかなと思います。これもちょっと検討していただければと思います。

 それから、その次の10ページの最初の○、これは法律がわかりにくいとお聞きしたこともあるのですけれども、「造血幹細胞が人体に由来するものであることにかんがみ」。これはドクターですとわかるかなと思うのですけれども、一般的な方が読んでも、意味するところがもう少しわかりやすいような表現に変えていただければと思います。これは、今、何か言えますか。

○泉臓器移植対策室長 ここは、「由来するものであることにかんがみ」というのは、法律上の用語から引っ張ってきていますので、離れて大丈夫かというのがちょっと。

○小澤委員長 これは、先ほどの法律の文章をそのまま引っ張ってきた場所とは違って、解説みたいな内容ですね。

○泉臓器移植対策室長 引用ではないですね。わかりました。それでは、ちょっと。

○小澤委員長 人ですから、どんな感染症があるか。

○泉臓器移植対策室長 立法府に注文をつける形になると、ちょっと問題なので、そうではないということを強調しつつ、ちょっと検討させていただきます。

○小澤委員長 わかりました。

 それから、12ページの5.研究開発の促進のところで、先ほど齋藤参考人から基盤整備の話が出ましたけれども、検体保存のことも出ましたが、これはどこかに。あるいは、これも具体的過ぎる。

○泉臓器移植対策室長 研究基盤の整備ということをおっしゃって、その意味するときの言葉が検体保存ということは理解しておりますが、いささか具体的過ぎるところもありますので、研究基盤の整備というワーディングの形で整理させていただければありがたいと思います。

○小澤委員長 わかりました。幾つか気がついたところをちょっと質問させてもらいましたけれども、委員の方から何か確認しておきたい事項、いかがでしょうか。野村委員。

○野村委員 済みません、ずっと私も考えながらわからなかったのですけれども、先ほどのボランティアさんの位置づけについて、参考人さんのほうからも出ていましたけれども、法律が制定されて事業としてはっきりと位置づけていくためというのは、もちろんあるかと思うのですが、それによってボランティアさんが必要なくなるということではないと、皆さん認識していらっしゃると思うのですけれども、法律ができて、きちんと決められている以上、ドナーさんという最もボランティアの方が介在する医療をやっていく中では、法律ができたら終わりではない。

 それを監視する意味でも、また国民の方に、私たちに知らせていただくためにも、今までのボランティアさんは物すごく重要な役割を示していらっしゃいましたので、それについては事業としてしっかりさせていく必要と、ボランティアさんの役割がさらに重要になってきたということは、ボランティアさんのほうにもさらに活躍していただきたいというのが、もちろんマスコミとともに、監視していただいた立場としてもボランティアさんの役割というのは非常に大切だと思っていますので、基本方針とは違うのですけれども、その辺をお願いしたいと思っています。

 そういう意味で、何か文言に入れられないかとずっと考えて、私も探したりしていたのですけれども、例えば情報の一体的な提供の、2つ目はちょっと厳しいのかなと思ったのですけれども、3つ目のところに、詳細な情報についても提供できる対象として、患者相談窓口を設けている団体さんは当事者団体さんであることも大きい。ボランティアさんももちろんいらっしゃいますけれども、それに加えて、例えばドナー普及のボランティア団体みたいな文言を入れると、細か過ぎるのでしょうかというのが意見としてあります。

○小澤委員長 どうでしょうか。

○泉臓器移植対策室長 正直申し上げて、ボランティアの皆様の御活動に行政が注文をつけるというのは、極めて変なことで、厚生労働大臣が決めている基本方針の中でどう位置づけるのかというのは、さっき申し上げたような思考回路をたどって、今の記述になっているのです。

 ただ、一方で、ボランティア団体の皆様方がこれぐらいは書いても許してやるかみたいな話があるのであれば、逆に書いても差し支えないということはあろうかと思います。だから、ボランティアの自立的で、かつ自発的な活動を阻害しないという前提で、どう具体的に書けるかということです。

○野村委員 ボランティアさんが、よしやってやるぞ的な気持ちになれるような。もちろん、国の方たちがボランティアさんの活動に口を出すのは、やってはいけないことだと思っていますし、ボランティアさんもそれを待っていてはいけないと思うのですけれども、ボランティアさんが力になったり、武器になったりするような、できるみたいなところで何か入れられたらいいのではないかと思ったのです。

○辰井委員 それに関連する意見で。

○小澤委員長 辰井委員。

○辰井委員 国の側からというのは、おっしゃるとおりだと思います。それで、私もどこかに入れられないものかなと思って、少し考えたのは、11ページの1.関係者の連携というところがあります。これで、もちろん主体をボランティア側に設定するのは難しいので、そうではなくて、国や地方、ここに書かれているような主体がボランティアと協力するとか、ボランティア等の協力を得るとか、そのような形で、ボランティア側の義務としてではなくて、国や何かの責務として、もう存在しているボランティア活動があるのであれば、それと協力してやっていくということを入れるというのは、一つの案かなと思いました。

○小澤委員長 はい。

○浅野委員 すごく重要なところだと思うのですけれども、この骨髄バンクというか、登録者は当然ながらボランティアというか、任意でやるわけです。だけれども、考え方によっては、ドナー登録の推進というのをボランティアがやるということを決めつけるものでは本当はないのです。それで、国としては、ここで決意表明をする必要もあるのではないか。つまり、ドナー登録の推進については、これを全部国がやるとか、そういうことは考えておりません。そこまで言わなくもいいのですけれどもね。

 つまり、このドナー登録の推進といった事業は、どういうふうに書いたらいいですかね。これまでどおりボランティアが中心となってやるということは変わりませんということは、言うべきなのではないですか。つまり、ボランティアは実際上、全体の流れの中で非常に大事なことをやっているわけです。本当は、これを国がやるべきなのですね。だけれども、それをボランティアに頼っているということは、そうだということを引き続き言うべきことは、本当は必要なのではないですか。

○小澤委員長 文章をどういうふうにするか、なかなか難しいところはありますけれども、梅田委員は何かありますか。

○梅田委員 今、3委員の方から意見をおっしゃっていただいたのですけれども、私もすぐに文章が浮かばないので、補強いただければなと思います。

○小澤委員長 室長。

○泉臓器移植対策室長 今、浅野委員の意見があった、ドナー登録の協力というところについて、今までボランティアの皆様が大変な御協力をされて、そして恐らくはこれからもずっと協力をいただき続けるのだろうということは重々承知しているのですが、何をしてくださいと国からお願いするのも、ちょっと変な感じがいたします。ですので、具体的な事業について、こうしてくださいということを書くのは難しいのです。

 しかし、今、サゼスチョンいただいたところで私、思いますのは、例えば11ページ目の関係者の連携、まさに御指摘いただいたわけですけれども、ここでボランティアの自主性を損なわないような形を注意しつつ、ここに書いた国、地方公共団体、事業者、関係者がボランティアとの連携を図りながらという形で、具体的な事業とか、どの分野で御協力いただくかということを明示しない形だけれども、ボランティアに今後も造血幹細胞移植に関してかかわっていただくということを明記させていただく形で処理させていただくのも一考かなと思います。

○小澤委員長 余り具体的に縛ることのないような上手な表現を考えていただくということで、よろしくお願いします。

 そのほか、いかがでしょうか。梅田委員。

○梅田委員 さっき加藤先生から、8月29日に臍帯血1万例に達したというお話がございました。4ページの上から4行目は、6月末現在ということで枕言葉はあるのですが、これは「8つのさい帯血バンクが存在しており」というところにかかっているということで見れば、この4行目は8月29日に累計1万例に達したという表現で、実績ということで書いたほうがいいのではないかと思いました。

○小澤委員長 よろしくお願いします。

 ほかに、山口委員。

○山口委員 先ほど小澤先生から指摘があった10ページの上のところは、これ自身は人由来原料を使う場合の感染症の懸念ということだと思うので、もしかしたら、その後ろのほうの「安全性」の前に「感染症等の」とつけてもいいのかなという気がいたしました。

○小澤委員長 では、その辺を含めて、文書をよろしくお願いします。

 そのほか。鎌田委員。

○鎌田委員 きょうは、参考人から御意見をいただいた部分についての意見ということですか。

○小澤委員長 それを踏まえて、この基本方針、最終的な形、これでよろしいですかということなのですけれどもね。

○鎌田委員 参考人から御指摘があったわけではないのですけれども、基本方針でよろしいですか。

○小澤委員長 御意見を言っていただければ。

○鎌田委員 済みません。9ページ目の5番の2つ目の○のところなのですけれども、後段について御苦労をされたと思いますが、「患者が受け取った情報を整理・理解した上で、主体的に治療法を選択できるよう、必要に応じ、患者相談窓口を設けている団体等の支援を受けられるようにすること」というのは、まさに必要だと思いますし、基本方針に沿ったものとしてふさわしい文章を考えていただいたのだと思います。ありがとうございました。

 そこに、前回、宮村先生も指摘されていましたが、併せて医療機関による支援があることも私は重要だと考えていたのですけれども、全ての医療機関でそれを行うことが現状では難しいから、ここに書くのはちょっとふさわしくないだろうというお話を伺って、納得しました。ただ、やはりそういうことを目指してほしいということがあったのですが、それは今後、そういう体制がきちんととられている所を拠点病院にしていくことによって、教育などを通じて、そういう体制を広げていったほうがよろしいのではないかというお話で、それもそのとおりと思ったのです。

 そうだとすれば、8ページの造血幹細胞移植推進拠点病院がこういうもので、モデル的にこういうことに取り組むものとするという2つ目の○がありますけれども、そういったところに具体的に患者さんへの支援体制みたいなものも文章として書き込んでいただいたほうがありがたいなと思うのですが。

○小澤委員長 その辺は簡単に入れますか。

○泉臓器移植対策室長 今の鎌田委員の御意見ですけれども、9ページ目の5.造血幹細胞の提供に関する情報の一体的な提供の2つ目の○の、ポータルサイトに関する記述の後段、「併せて」のところをおっしゃった。これは、患者相談を受けている団体などの支援を患者が受けるということなのだけれども、患者というのは、必ずこういった団体と接点があるわけではなくて、医療機関とは必ず接点があるので、患者が受け取った情報を自分なりに整理・理解した上で、主体的に治療を受けるための手助けを医療機関からも得ることが、インフォームドコンセントという概念とは別として必要ではないかという御指摘だと思います。

 現状において、そういったことに、まさに担当者ベースでよく対応できておられる病院もあるかと承知しておりますが、まだ全体的に全ての移植医療の機関でできるようになっているわけではない。しからば、今、鎌田先生が御提示いただいたのは、今後、設置することにしている拠点病院において、そうしたことに取り組んではどうかということでございます。

 今、私がこのように述べることができるのも、前に伺っている御意見だからなのですけれども、済みません。それを書くことが、項目的に若干突出し過ぎるかなということが1つと。また、それだけやっていればいいと受けとめられても困るということがあって、この具体的な基本方針の中で書くのは若干難しいかと思います。しかし、まだ今年度の指定はしていないのですが、今後の拠点病院の指定の中で、具体的にそういうことを病院で取り組んでいらっしゃるかどうかということも確認しながら、拠点病院の指定をしていくということではどうかと思っております。議事録には残した形でとどめさせていただく形で受けとめさせていただければと思います。

○小澤委員長 それでは、よろしいでしょうか。大分時間も過ぎましたので、きょうの議論の基本方針(案)につきましては、これまでの委員会での議論、あるいは委員の皆様の意見を踏まえた形になっているものかと思います。細かい文言の修正等は、私のほうに一任していただきまして、事務局のほうとよく検討しようと思いますので、大筋、この方向性で、この委員会として了承ということにさせていただいてよろしいでしょうか。

(「異議なし」と声あり)

○小澤委員長 ありがとうございました。それでは、そのようにさせていただきます。

 そうしますと、(4)その他のところに移りたいと思います。参考資料について、事務局より説明をお願いいたします。

○泉臓器移植対策室長 時間も超過しているところ、申しわけございません。参考資料として用意させていただきました参考資料-1と参考資料-2、それぞれA4、1枚物でございます。簡単に御報告させていただきたいと思います。

 まず、参考資料-1、表題が「兵庫さい帯血バンクに対する臍帯血の出庫見合わせの要請について」ということで、これは行政のほうで、あるいは関係者のほうで対応されて、この場に対しては報告という形になります。

 兵庫さい帯血バンク様でございますが、もう皆様、御存じのとおりでございます。8つあるさい帯血バンクの1つということで、年間130件程度の臍帯血を提供しておられます。

 ただ、これまでに判明した事実というところでございますが、兵庫さい帯血バンク様から出庫時から移植解凍時までの間に、臍帯血が入っておりましたポリ塩化ビニル製バッグの破損が判明した事例の報告が9件、バンク発足以来、現在までの全期間であったということでございます。このほかに、移植申込みがあって標本を確認した際に破損がわかった、すなわち出庫に至らなかったけれども、バンクの中で破損がわかった事例が複数あったということでございます。

 このこと自体、具体的な健康被害は起きておりませんけれども、破損したバッグは無菌状態が確保されていないということですので、場合によっては患者様の治療結果に影響を与えるおそれがあるということでございます。なお、バッグ破損と申し上げましたが、破れて破裂したみたいな大規模な話ではなくて、ピンホールがあいていたという小さな破損ではございます。済みません、ちょっと補足させていただきます。ただ、その中で液体窒素が入り込んでいたことが認められた例があったということでございます。

 ただ、バッグ破損の原因、ピンホールらしいということはわかったのですけれども、究極的な理由は現在のところ不明ということでございます。現在、兵庫さい帯血バンク様において保存されている、ほかの臍帯血バッグの中にも同様のバッグがある可能性があるということでございます。

 したがいまして、兵庫バンク様におきましては、各移植医療機関に対しまして事実関係を自主的に公表するという形で、8月17日、文書で通知しておられます。そして、現在、原因究明に取り組んでおられると伺っております。

 厚生労働省といたしましては、こうした御報告がございましたので、兵庫さい帯血バンク様と日本さい帯血バンクネットワーク様、両方に対しまして臍帯血の出庫・公開の見合せを文書で要請いたしました。現在、兵庫バンク様の臍帯血の出庫はとまっている状況でございます。

 現在、同様の事象が他のさい帯血バンクで起きていないかということを、これは各移植施設、病院に対して、厚生労働省のほうから直接確認をさせていただいているところでございます。

 以上でございます。それが兵庫さい帯血バンク関係。

 もう一つ、予算の関係について御報告いたします。参考資料-2のほうをごらんいただきたいと思います。平成26年度造血幹細胞移植対策関係概算要求でございまして、毎年8月末までに、各省庁は財務省に対しまして来年度予算要求をすることになっております。厚生労働省の場合におきましては、既にまとまりまして要求いたしておりますので、特にこの造血幹細胞移植対策関係について、どのような要求をしているかということで報告をさせていただきます。

 ごらんいただけますように、総額では25年度予算額18.8億円でございますが、26年度におきましては21.4億円必要であるということで要求させていただきます。

 趣旨といたしましては、二重枠の中に書いてある文章のとおりでございます。患者様の病気の種類・病状に応じて、3種類の移植法から適切な移植法を選択し実施できる医療体制の整備。そして、治療成績の向上を図り、バンクの安定的な運営を支援するというものでございます。

 全ての事業について詳細に御報告しておりますと若干時間がかかりますので、御興味のある方は後々お問い合わせいただければと思います。

 以上でございます。

○小澤委員長 ありがとうございました。

 そのほか、何か全般的にコメント、御意見等ありますでしょうか。よろしいでしょうか。

 それでは、本日の議事は以上になります。本日、基本方針(案)がまとまりまして、今回で昨年の1228日からですか、この議論は。この約8カ月、11回にわたりまして活発な議論をいただきまして、どうもありがとうございました。一区切りついたという形になっております。

 委員の皆様には、それぞれの立場から大変有益な御発言をいただきまして、特に浅野委員は、患者の立場とか元役人の立場から大いに盛り上げていただきまして、ありがとうございました。また、参考人の皆様には、1月、2月にヒアリングを行い、御発表いただきまして、きょうまた、それぞれの立場から御意見をいただきまして、本当にありがとうございました。おかげさまで、いい方向でこの基本方針がまとまったのではないかと思っております。

 したがいまして、予備日としておりました9月13日の委員会は開催しないことにしたいと思います。事務局のほうでは、法施行に向けた準備を進めていただきたいと思います。よろしくお願いします。

 この委員会、次回、いつになるのか、どういうテーマになるのか、よくわかりませんけれども、最後に事務局のほうからお願いします。

○泉臓器移植対策室長 皆様、この基本方針に向けてという意味では、10回にわたりまして御議論いただきました。私は7月から参っただけですけれども、議事録などを拝読いたしまして、皆様方、大変熱心に御議論いただき、御意見を賜ったことをよく承知しております。事務局を代表いたしまして御礼申し上げたいと思います。本当にありがとうございました。

 本日の修正いただきました点につきましては、座長預かりという形になっておりますので、字句修正の上、座長と相談し、整理し、また改めて各委員の皆様に確認していただくという手段をとりたいと思います。

 次回のこの造血幹細胞移植委員会につきましては、当面、開催は未定ということになりますけれども、また適切なタイミング、御報告すべき案件が生じましたところで、皆様方に御出席を賜ることになろうかと思います。どうぞよろしくお願いいたします。

○浅野委員 それで、基本方針がこれで決まりましたね。この後の手続というか、記者会見か何かやるのですか。どういう形で発表されるのか、この扱いですね。

○泉臓器移植対策室長 記者会見までは予定しておりませんが、フォーマルな手続を申し上げるのを忘れていました。申しわけありません。

 一旦、この委員会でオーケーとなった後、パブリックコメントをかける予定でおります。既に今までもいろいろな方々の御意見をいただいたのですけれども、これはインターネット上に載せて、こうした形で基本方針を決めますけれどもという形でパブリックコメントをかけます。30日の期間を区切って御意見を求めます。それに対して御意見が寄せられますので、またそこでごもっとも思われるようなことがあれば、当然修正していく形になります。そして、最終的には法令上の字句の修正はどうしてもやらねばなりませんので、それをやった上で、法令が施行された後で基本方針として厚生労働省告示という形で公表するという形になります。

 ですので、公表のタイミングという意味では、パブリックコメントに乗るというワンポイント。それから、告示という形で官報に搭載されるというワンポイントになりますが、記者会見までするかというと、多分そこまでは必要ないし、またもっと言えば、ここまでずっとさらし続けてきたものを、その時点でのニュースバリューがあるかという、記者会見を受ける側の判断もあろうかと思います。

○小澤委員長 よろしいですか。

 それでは、本日の会議を終了します。どうもありがとうございました。


(了)


※データの累乗を、以下のように「^」で表記しておりますのでご了承ください。
10×10^8

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