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2013年8月5日 第22回独立行政法人評価委員会高度専門医療研究部会議事録

○日時

平成25年8月5日(月)9:53~12:06


○場所

厚生労働省専用第12会議室


○出席者

永井部会長、内山部会長代理、祖父江委員、藤川委員、斎藤委員、花井委員、三好委員

○議事

(以下、議事録)

 

○永井部会長

 それでは皆様おそろいですので、ただ今から第22回厚生労働省独立行政法人評価委員会高度専門医療研究部会を始めさせていただきます。委員の皆様方におかれましては、お忙しい中お集まりいただきまして、ありがとうございます。本日は、福井委員、本田委員が御欠席です。では、議事につきまして事務局から説明をお願いいたします。

 

○政策評価官

 本日の議事について御説明申し上げます。本日は、国立循環器病研究センターの平成24年度の個別評価について御審議いただくこととなっています。

 なお、お手元に配布している机上配布資料は「高度専門医療研究部会 平成24年度実績に係る自己評定一覧表」という形になっています。左のグループ区分に4つのグループで分けています。そのグループごとに、担当法人から御説明いただき、説明及び質疑を進めていただければと思います。また、その表の右側については、法人の自己評定及び平成23年において、委員から御審議いただいた評定の結果を記載していますので、評定される際に御参考にしていただければと思います。以上です。よろしくお願いします。

 

○永井部会長

 ありがとうございます。では、国立循環器病研究センターの個別評価に入ります。最初に、橋本理事長から御挨拶及び平成24年度の業務実績概要の御説明をお願いします。

 

○国立循環器病研究センター理事長

 国立循環器病研究センター理事長の橋本です。本日は、評価委員会の先生方におかれましては大変暑い中、そして膨大な資料と長時間にわたる御審査をいただき、大変感謝申し上げます。座ってお話させていただきます。

 これで、独法化してから3回目の評価委員会となります。その間、前回、前々回高く評価された部分については、我々としても大変励みになりまして、更にそれを推進していくという心構えでやってまいりました。また、厳しく御指摘を受けた点については、我々の視点で考え方をあるいはやり方を見直して改善に取り組んできたつもりです。そして、今日、第3回目の御審議を受けるということです。過去2回の委員の先生方の御意見は、我々にとりまして、事業の推進に大変役立ちました。この点についても改めて感謝申し上げたいと思います。

 資料1-1です。これに沿って簡単に全体を御説明申し上げます。3ページの2でセンターの概要についてです。ここに書いてある以外のこととして実は、今年の6月に長い間の懸案であった移転建替えが決定しました。

 これは、昭和52年に開設されてから医療イノベーションあるいは医療のいろいろな状況が変わる中で、単に建物が古いということではなく、我々の成すべき任務を考えたときに単なる建替えではないということから、移転をして建て替えるということに決定しました。これが決まったことで、職員全員新たな志に燃えてセンターの改革について取り組んでいくつもりです。

5番の組織について御覧ください。独法化したときに、研究開発基盤センターというものを作りました。これは、トランスレーショナルリサーチを含め、臨床研究・試験推進、今こういうことで大いに威力を発揮してまいりましたし、また知財・産学連携あるいは事業化戦略というところで、大きな仕事をしています。これの具体的なことについては、また後ほど御説明しますが、平成24年度には医学倫理研究室というものをこの基盤センターの中に立ち上げて、臨床研究あるいは研究等で倫理について室長、研究員、2人の専門家を配属することができました。今後のセンターの研究開発というところに大変大きな力になってくれると思います。

 また、バイオバンクは平成23年に開設しましたが、事実上平成24年から運営を開始しています。バイオバンクという重要性を鑑みて、我々のところで組織として設置しました。プロジェクトであってはいけない。恒久的に続くという視点から組織の大きな一部分として設置をして、部長を配置しています。

 次の役職員数については、レジデント、専門修練医。ここで、レジデントの数というのは適当数があるので、無下に増やすということはできないが、専門修練医というのは、臨床研修が終わって、レジデントを3年やった更にその上で研鑽を積む。非常に、覚悟とインセンティブがなければ専門修練医というところに残ることはできない、あるいは応募することはできないと思いますが、平成22年に29人だった専門修練医が、平成23年には35人。そして、平成24年には56人に倍増しています。これは、センターにおける一連の研究教育あるいは医療の質の向上が若い人たちに認められて、専門修練医に応募し、そして入ってくる人が倍増したという結果となって表れてくるものだというふうに理解しています。

 次のページです。各事業についてまとめていますが、ここで「S」が多すぎるのではないか、イージーにSを付けているのではないかという御意見があるかと思います。我々の視点でSだと思うものは、Sと付けたつもりです。例えば、効率的な業務運営体制。これを「A」にしましたが、後でまた申し上げますが、診療事業収支は、昨年よりも7.2億増えています。

 また、新入院患者数は、独法前は月に760だったものが右肩上がりで、平成24年度は870。そして、救急入院も284316。紹介患者も月毎ですが、465から538というように右肩上がりに増えてます。数が増えればいいというものではないが、大幅な運営費交付金削減の中で病院経営あるいは数が増えたというのは、いろいろな改善がなされたということで、交付金が減らされた中で、累益、累計の損益計算では、100%を超えてるということがあります。こういう意味で、私自身はSを付けてもいいのではないかと思いましたが、関係者で協議をしています。それ以外の点についてはまた個々のところで御説明を申し上げたいと思います。

5ページです。ミッション達成への取組です。平成22年度、23年度、24年度と書いてますが、もちろんこれは連続したもので、全く別のことをしているわけではなく、基本的に独法化したとき、平成22年初年度は、センターの基本的なフレームを作るということと方向性を明確にするという視点でやったつもりです。

 その中で、これ以上更に効率的に運営する、あるいは研究を推進するボトルネックは何かと考えたときに、これはいろいろな組織、あるいはものの考え方が縦割りである。長年国立の中でやってきた中で縦割りという点があります。これを意識改革をして、いかに横断的に物事に取り組むか、横との繋がりを大切にするかということを強調してまいりました。

 平成23年度は、いわば平成22年度が骨格フレームを作ったということに対し、平成23年度は、それに対して肉付けをする、実行のための基盤を作るということに重点を置きました。これは、例えば電子カルテの導入など、あるいは重症・超急性期医療体制の強化等で、ある意味たくさんのところで投資を行うということをやってきましたが、そういうことで実際の体力を付ける。肉付けを行うというのを平成23年度にやってきたつもりです。そのような中で、平成24年度というのは、この骨格を作り、肉付けをしたナショナルセンター、これをどう確実にスムーズに力強く効率的に動かすかということを考えてきました。その中でいろいろなことをやってきましたが、例えば情報統括部というものを独立して設けて、情報に関するいろいろな仕事を独立してやっていただくという組織を作り上げて、これは機能していると思います。

 また、先ほど申し上げた医学倫理研究室を立ち上げた。あるいは独法の枠組みの中で、いろいろな制限があります。その中で、1つの解決方法としては、やはり寄附研究プロジェクトを作るということだろうと思いましたので、寄附研究プロジェクトを立ち上げて、センターでより推進したいという部門についてテコ入れを行ったというところです。このようにして、平成24年度は方向付けを行って肉付けを行った国立循環器病研究センターをいかにスムーズに力強く動かすかという視点でいろいろな改善をやってきたつもりです。この中で、一連を通してやってきたものというのは当然のことかもしれないが、意志決定の迅速化と権限と責任を明確化する。この点についてはかなり強調してやってきたつもりです。

 そして、ガバナンスチェック機構、これについても後で説明をいたしますが、これも整備し、そして可能な限り横断的な取組をしていくということで、病院と研究所の連携あるいは病院内で……との連携。そういうものについて、強力に押し進めるということをやってきました。総論として、センターが平成22年度から、そして今年度やってきたことについて簡単に御説明申し上げました。以上です。

 

○永井部会長

 これから評価を進めます。まず個別評価については評価シートの個別項目4つのグループに分けています。グループごとに評価を行ってまいります。いつも御説明いたしますけれども、計画どおりであれば「B」、中期計画を上回っていれば「A」、想定外の要因を加味しており、かつ計画を大幅に上回っている場合には「S」の評価といたします。

 最初に第1グループ項目1、研究・開発に関する事項、臨床志向の研究・開発の推進、病院における研究・開発の推進についての評価です。法人から説明10分、そのあと15分の質疑、合計25分でお願いいたします。それでは、御説明をお願いします。

 

○国立循環器病研究センター研究開発基盤センター長

 研究開発基盤センター長の妙中から説明させていただきます。評価シート1、資料1-16ページです。評価項目1「臨床を志向した研究・開発の推進」に関して、研究所と病院と、それから総長からもお話がありましたように、独法化と同時に設立した研究開発基盤センター、この3つが三位一体となって進めています。評価項目2も続けての話です。数値目標については、このグラフに表れているのが数値目標に関する達成状況です。研究所と病院の共同研究の数、それから企業との共同研究、職務発明委員会の特許出願審査件数です。研究所と病院の共同での研究はほぼ中期目標計画を達成しておりますし、企業との共同研究は御覧いただくように、当初の計画を大幅に上回って、21年度に比べ、約2.5倍弱、非常にたくさんの共同研究が行われています。これに伴い現在中期目標に関しての特許出願数はほぼ順当にきていますけれども、恐らくこの共同研究の増加に伴い特許件数も今年度以降、上積みされていくものと思われます。達成した内容は、バイオバンクを設立してそれが軌道に乗り始めたこと。病院と研究所等が連携した共同研究として、評価資料7ページのものがいくつかあります。1つは生理活性ペプチドの研究での評価が、研究所、病院を通じて実際に行われていますし、新聞報道等でも出ていますけれども、血管保護による新しいがんの転移の治療法の開発ということで、これは循環器の領域を超えて、がんの研究所等とも連携して、心臓ホルモンによるがんの転移が抑制できる非常に素晴らしい研究成果が出ています。これ以外にも多くのペプチド研究も行われています。

 更に医療機器に関して、体内植込型の補助人工心臓や、もう少し割とリスクの低いものとして手術中のいろいろなモニター、そういうことも含めて産学連携の下に製品化のプロセスにどんどん進んでいっています。更に産学連携の成果として、循環器病センターが持っているノウハウ、特に食の事業ですが、病院の予防食、治療食としての減塩食がありますけれども、これは循環器病センターが非常においしい病院食を提供していたのですが、これを事業化することで、全国に広げる。このことは収益を確保することも1つありますが、国民の循環器疾患に関する大きな意識付けと言いますか、予防の効果と言いますか、それを元に循環器病を減らしていく、そういう事業を、事業化したからこそできたという1つの大きな成果ではないかと思っています。

 医療機器に関しては、薬と違いどのように使用するかとか、実際に機器を使ってチームを教育することも必要ですので、こういうことをするために新しく作らせていただいた医療クラスター棟の中も含めてのトレーニングセンターが、人工心臓については今年度は4件、前年度から数えて日本全国の先端的な人工心臓治療をやっているチーム、全国の北から南までの大きな施設のトレーニングをしていますし、企業との連携によってカテーテル開発の評価等もここを使ってやらせていただいています。非常に有機的に活動させていただいた結果、企業との共同研究の増加であったり、いろいろな評価が出てきていると思います。

 知財の評価に関しても、外部の有識者を取り入れて、またアメリカのミネソタ州が非常に大きなクラスターでこういう評価等もいい指標を持っているということで、そことも連携して、循環器病研究センター独特の医療機関としての、新しく出てきた知財の評価指標を作って、適宜運営しており、しっかり活動させていただいたと思います。数値目標、内容ともに非常に成果の上がった年ではなかったかと思っています。

 次に評価項目2「病院における研究・開発の推進」についてお話いたします。御理解いただけると思いますけれども、臨床を志向した研究とシームレスに繋がって、それの病院でのアウトプットというところになろうかと思います。数値目標としてはこの8ページの下に書いてありますものが中期目標の中に含まれており、治験依頼から契約、締結までの期間ですが、これも前年に引き続き目標を大きく下回る成果を上げることができております。数値目標以外に我々としましては、総長から御説明がありましたように、独法化したときには計画がなかった、厚生労働省あるいは文部科学省等を含めての臨床試験の活性化のところの、新しい項目がこの中期目標には書かれていないところですけれども、我々にとって循環器病センターに課せられた大きな目標だと思っています。これに関しては2つの事業が厚生労働省を中心に行われています。それのまとめが9ページ目に書かれています。早期・探索的臨床試験拠点整備事業という、しっかりした早期・探索的な臨床試験ができるように整備しようというものです。それから、革新的医薬品・医療機器・再生医療製品実用化促進事業です。これはPMDAと厚生労働省が連携して、人材交流をしながら、レギュラトリーサイエンスの質を上げていくという研究です。これに関しては非常に大きな成果が上がったと思っております。赤字で8ページに書かせていただいていますが、早期・探索的拠点整備事業が常勤換算で31.9人の人員を配置しています。対前年度11.35人の増加、最終的には41.7人体制の、このまま順当にいけばこれも達成できると考えております。

 先ほどお話したPMDAとの交流事業は、非常に有効な作用を発揮しつつあります。1つは循環器病センターから2人の審査官をPMDAに派遣させていただいています。また反対にPMDAとの間で利益相反の話をいろいろさせていただいたのですが、それがしっかり出来上がってから定期的に今は来ていただけるようになって、昨年度は3回、3人の審査官の方が循環器病センターに来ていただいて、循環器病センター内、あるいは共同研究を行っている企業との間で、薬事に対する指導、相談、戦略を練るという成果を上げてきています。こういう結果もあり、9ページの右上のように、医療機器に関しては既存2件、これは医師主導の試験を行うという計画で準備をしてきていましたが、これに新たに13のシーズを加え、臨床治験に向けて動き出しています。レギュラトリーサイエンスの中で非常に重要なものとして、9ページの真ん中辺りのガイドラインというのが2つ立ち上がっています。1つは我々が専門としている「次世代型の補助循環システムの評価方法」ワーキンググループを作って、きっちりした臨床試験をやる、ガイドラインに従ってパブリックコメントとしたようなガイドラインをしっかり作ることをやっています。もう1つはレギュラトリーサイエンス全体の流れとして、基礎研究から、非臨床試験、臨床試験、それから製品化されたあとの市販後の調査等を含め、全体が一連のレギュラトリーサイエンスの重要な要素である、その観点からそのための調査研究というか、ガイドラインもしっかり作っていこうということも行っています。ガイドラインの活用を踏まえた研究及び人材育成ということで貢献させていただいています。

 倫理性、透明性の確保については、総長からもお話がありましたように、倫理関係の室を研究所、病院から独立させ、研究開発基盤センターの中において倫理性を確保していく役目を果たしています。更にシームレスできているというお話をしましたが、6ページの、ISOの認定取得は、臨床試験をきっちりした形でやっていくことに必要性があったわけですが、臨床検査室に関しての国際標準規格のISO15189の認定を受けていますし、医療機器の開発に関しては、品質保証のための基準であるISO13485の承認に向けて準備を進行しています。この信頼性保証は非常に重要なところで、我々臨床試験をしていく、あるいは非臨床試験をしていくのにとても重要です。研究の透明性を確保することで、しっかりしたSOPを含めて体制をつくっていくことで、臨床研究部長を責任者として、生データまで実験計画書をしっかり確保すること、生データまで必ず遡ることができるような品質保証の体制、いろいろな研究計画の変更ごとにちゃんとしたドキュメントを残す、そういう形を我々は整備を始めていまして、このことは薬事的なもの以外に、将来的には臨床研究の質を上げることにも繋がっていくと思います。そういう体制もこの取組の中でさせていただいています。

 数値目標に関しても計画どおりであり、それを上回っている早期・探索であったりとか、新しい臨床試験を行うことに関しての、当初予定をしていなかったことについても国の方針に従ってしっかり運営させていただいて、シーズ等も含めて、多くの臨床研究、機器だけではなく、生理活性物質などに関する臨床研究も数多く並行して走らせていただいているところです。以上です。

 

○永井部会長 

 御質問等をお願いいたします。

 

 

○内山部会長代理

 臨床研究について、非常に配慮されて、倫理性を高めていることがよく分かりましたが、統計などについてはどこかと組んでやっていらっしゃる、あるいは内部に専門家がいらっしゃるんでしょうか。

 

○国立循環器病研究センター研究開発基盤センター長

 医療統計専門の者を雇っています。今年、残念ながら途中で1人欠員になったのですが、すぐに補充するように準備をしています。内部でしっかり常勤を確保していますし、非常勤のサポートの方も確保しています。

 

○永井部会長

 いかがでしょうか。

 

○祖父江委員

 非常に素晴らしい内容だと思います。今の質問に少し関連しますが、早期・探索的臨床試験拠点整備という、非常に進んでいることがよく分かりますが、ちょっと触れられた人材育成にかなり力を入れておられると思うのですが、具体的には。生物統計のことをおっしゃったのですが、具体的にどういう人材育成システムのようなものを考えておられるのか。PMDA2人派遣されたということで、それも1つの流れだと思いますけれども、その辺をよろしいですか。

 

○国立循環器病研究センター研究開発基盤センター長

 医療機器とか両方ですか。製薬等も含め、臨床研究という意味でですか。1つは本当に基礎的なことで言いますと、研究倫理とか、臨床研究を推進するための教育を、あとで出てくると思うのですが、数多くそういう講習会みたいなことをさせていただいております。

 もうちょっと専門的なところになりますと、今、お話したようにPMDAに送って、習う以外に向うから来ていただいた方々を使って、講習会等も行っています。もう1つは個別に案件ごとに、研究者とそういう方々がしっかり会話をする、いわゆるPMDAの薬事戦略相談レベルの話をしょっちゅうやらせていただいていまして、そのことは臨床研究の推進、非臨床試験も含めてすごく効果が出ていると思います。

 医療機器に関してはもう少し、もう一歩進んでいて、トレーニングすることで、その使用方法は、治験をする場合でのトレーニングということもありますし、反対にそれが普及させる承認を得た場合にそれは安全にチーム医療として使ってもらうためのトレーニングをする。そのことも人材育成という意味ではすごく重要なポイントだと思って、推進をさせていただいております。

 

○永井部会長 

 ほかにいかがでしょうか。

○藤川委員

 御説明で、目覚ましい成果のところを非常に重点的に説明していただいたのでよく分かりました。最近、医療の研究に関するいろいろな問題が出てきており、一般的な素人の国民としては、非常に不安があるところです。先ほど8ページの所で倫理性、透明性といった御説明がありましたが、安心して「S」を付けられるようなその辺りの制度、組織といったところについて、またあとで内部統制のお話もあるのかもしれませんけれども、ここのところで重点的な説明をいただけるとありがたいです。

 

○国立循環器病研究センター研究開発基盤センター長

 それは1つ、医学倫理関係のところを独立させたことがすごく重要だと思うのです。これまで病院とか研究所に属していたのではなくて、それとは離れた第三者的な立場で、センターの中にあるとはいえ、研究開発基盤センターの中に独立してこれを作ったことが1つ大きなポイントではないかと思います。

 それから倫理だけではなくて、先ほど少しお話しましたけれども、5ページの右3の「2非臨床試験の信頼性保証システム体制構築」、このようなところはすごく重要なポイントで、今、お話しましたように、研究計画書であったりとか、出てきたデータをいつも元データまで遡って検証することができることとか。そこから得られた成果が本当に客観的に出てきているのかというようなことをきちんとしたドキュメントで残して、それからシステムの中に入れて動かすことが重要です。これは私たちは一応、非臨床試験からスタートしますけれども、内部で言っているのはこれら将来的には、臨床試験にはちゃんとそういうシステムが広げられるような形、従来の研究のやり方ではなくて、これはどちらかというと企業の品質管理システムに近いもので、国際的な基準ISOの基準などにも載っていくことだと思うので、そういうものに対しての準備を昨年度始めさせていただいて、今年はそれをしっかり形として作っていくことで、外部委託も含めて、きちんとした部屋を設けるとか、データを確保するようなシステムを作るそういうこともやっていまして、それがうまくいくと、更に透明性が高まっていくのではないかと考えております。

 

○斎藤委員

2つ教えてください。資料1-213ページ、「研究支援体制の整備」の所に表があります。これを拝見しますと、24年度は23年度から随分数が減少しているようですが、これはどういう理由なのかを教えていただけますか。

 それからもう1つ、「かるしおレシピ」というのは、専門の方だけではなくて、私のように一般の専門知識のない国民に対する啓蒙活動として、大変ユニークで評価できるものだと思っております。これは事業化なさったと先ほど御説明いただきました。初年度アマゾンで一番になるなど、結構売れているようですが、採算としてはどうだったのかを教えてください。

 

○国立循環器病研究センター研究開発基盤センター長

 採算はあとでお話に出てくると思いますけれども、本だけの売上げで4億円程度だったと思います。ロイヤルティーとして3,000万円ぐらいの収入が循環器病研究センターの中に入っています。それ以外の事業もすごく、お金の面以外で私は重要だと思っていますけれども、今の御質問にはそういう答えになると思います。

 前半の質問については、治験推進部長の山本からお答えいたします。

 

○治験推進部長

 先進医療治験推進部長の山本です。お示しになった表は新規の支援の数だけを挙げております。臨床研究は通常、数年かかって1つ終わりますので、23年度は非常に依頼が多くて、それを全部受けたのですが、この受けている研究は全て24年度も続いております。24年度は特に減ったというのか、臨床研究の中でも特に介入試験と呼ばれる患者さんに治療介入を行う試験だけを支援対象にするというように、たくさんありまして、全部受けているとマンパワーが足りないので、患者さんに直接リスクがかかる試験だけを支援対象とするように区切りましたので、その関係上、数字が減っています。患者さんのリスクに関わる臨床試験、介入試験については、ほぼ全て支援をするようにしており、たまたまそういう計画が24年度は少し少なかったと考えております。

 

○斎藤委員

 ありがとうございます。

 

○永井部会長 

 ほかにいかがでしょうか。先ほどがんの研究をしようということでしたけれども、これは実際には体制はつくれるのでしょうか。

 

○治験推進部長

 がんの研究ですけれども、国循の中では基礎研究を主にやっています。手始めとして、肺がんについては、近隣の阪大病院の呼吸器外科の先生方と、今ちょうど共同でやるということで、研究資金獲得に動いていまして、その獲得ができれば、阪大病院を中心とする在阪の呼吸器外科の数病院で臨床試験が行えることになっております。

 

○祖父江委員

 また治験のことで申し上げるのですが、国際共同治験とか、特に血管系ですとアジアとの関係が非常に大事なところですが、それは今どんな状況でしょうか。

 

○治験推進部長

 我々の所にきているものではやはり医療機器が多いですので、主に米国のメドトロニック社とか、ああいうペースメーカーの会社、それからカテーテルの会社さんが持ってくる共同臨床試験が多いです。アジアと一緒に組むという、特異的にほかの国と組んでやる形ではなくて、米国本社が依頼してくる治験に対して我々も参加するという形になっています。

 

○国立循環器病研究センター研究開発基盤センター長

 機器に関してはアジアはすごく重要な今後の指標になってくると思っておりますし、日本が貢献できる重要なポイントだと思います。実際にやっていることは、これは昨年度の事業ではなくて、今年度の事業ですが、この9月の終わりから10月にかけて、医療機器に関して、アジア、韓国、中国、台湾、シンガポール、アラブ首長国連邦だったと思いますけれども、そこのキーオピニオンリーダーの方々の病院の先生方も含めて、循環器病研究センターに来ていただいて、トレーニングセンターと研究所の実際の動物実験をやる所などを見ながら、その方々をまず、トレーニングをするきっかけにしようと思っています。対象の機器としては人工心臓であったり、カテーテルであったり、我々の所で製品化した先ほどの術野カメラであるとか、あるいは心肺補助システム、人工肺を組み込んだものそういうものをしっかり見ていただいて、トレーニングをしてそれをアジアに広げていこうという計画を練っています。今年度のことなので、来年またお話させていただければと思います。

 

○花井委員

 すみません、資料1-213ページの右下の研究支援相談の件ですが、外部の研究者に対する相談も受けるようになってということで、これはPMDAとの人事交流の上でやっていると思うのですが、PMDAは大阪に今度できたのですね、そことの関係とか、あと薬事戦略相談並みのことがここである程度対応できるようになると、結構ニーズはあると思いますが、それはPMDAとある程度相談の上に何かやっているのですか。もう一度詳しく御説明ください。

 

○国立循環器病研究センター研究開発基盤センター長

 言われるとおりで、PMDA-WESTは今年10月に設立されて、主として薬事戦略相談をやると。あとQMSとかそれをやると言っていますけれども、戦略相談をやるということです。我々がやっているのは既にそのPMDAとの間で、利益相反もきっちり埋めて、薬事戦略相談のうち、個別面談であったり事前相談とか、対面所見はちょっとまだ無理ですけれども、そこまでは循環器病センターに来ていただいている方とやってもいいということをPMDAとの間で合意できて、それを実際にやっています。それに加えて、先ほど資料の前のほうにもあるのですが、企業の出身者の医療機器に関しては、薬事をやっておられた方をヘッドハンティングをしている我々の研究開発基盤センターの中に特任部長として来ていただいています。その方には非常に有効な相談をしていただいて、共同研究をする上でしっかりした道筋を立てていくということで、すごく重要な薬事的な観点から考えて、やれる体制もつくっています。それは早期・探索の事業で、今お話したPMDAとの連携事業と両方をうまく使いながらそのレベルの話をやらせていただいております。

 

○永井部会長

 よろしいでしょうか。それでは、評価表への記入をお願いいたします。

 その間に第2グループに進みます。項目3「研究・開発に関する事項、担当領域の特性を踏まえた戦略的かつ重点的研究・開発の推進」です。また10分で御説明をお願いいたします。

 

○国立循環器病研究センター研究所長

 研究所長の寒川です。この戦略的、重点的な研究開発の推進については、評価シート2659ページに詳細が書かれています。資料1-110ページ、評価項目3を説明させていただきます。循環器病疾患の解明と医療推進に大きく貢献する成果ですが、これは何が大きく貢献する成果というところはありますけれども、昨年はインパクトファクター4.5で出しますと、非常に件数が多かったのですが、今年はおおよそ15以上に設定しました。その結果、年5件以上が今年は9件の約2倍になっております。主な成果は9件のうち5件を1から5で示しています。1番と2番は基礎的な研究の、特に1番は血管マイス細胞です。新たな機能をクリアにすることができたということ。2番目は心筋梗塞等による左室不全になったときに免疫関係の細胞である樹状細胞の役割が非常に大きいという、これも新しい治験である基礎的な研究であります。そのほか主には臨床のコホートスタディーで、345番は全国規模の研究の病院外での心停止におけるAEDの効果、あるいはここ5年間ぐらいにおけるイベントにおける予後の改善がなされているものです。5番目は最近よく使われています薬剤溶出性のステントです。これの治験を始めてから5年間の評価を多施設共同研究で出しております。

 それから、難治性克服の事業での取組みとして、特発性心筋症に関する調査研究をセンターが主体となって継続しております。主だった研究開発ですが、これも非常にたくさんありますけれども、1つは私自身も中心になっていますグレリンという食欲とか成長ホルモンの分泌に関与する、胃から分泌されるペプチドが心筋梗塞の急性期、あるいは慢性期で保護的効果があるという、これまで胃と心臓、そういった関連はあまり考えられてなかったのですが、そういった面で非常に重要だということが分かってまいりました。

 そのほか再生型の小血管です。これは報道もされましたけれども、ダチョウの長い首の血管を使って再生型の血管を作ること。それから、マウスの循環器系で使われるモデル動物ですが、小さい動物の拍動を、速い心臓の血管を高精度で観察する手法です。これは最近よく使われる遺伝子操作マウスといったものの病態の評価する上で非常に重要な、兵庫県の播磨にあるSpring-8の高輝度X線を使って観察することも開発しております。

 もう1つ、数値目標の、臨床研究及び治験の実施件数の合計数ですが、中期計画中に5%以上の増加ということで、対21年度に対して24年度は26%の増加で、非常に大幅に目標をオーバーしています。

 循環器病センターはいろいろな分野での疾病に着目した研究を行っていますけれども、循環器病の本体の解明ということでは、ペプチドームと言いまして、いわゆる培養した細胞から分泌される微量なホルモン等をマウススペクトロを使って解析して、新しいものを探し出すという、センターでしか恐らくできないような技術を用いての新しいホルモンの発見にも貢献しています。

 循環器病の実態把握としては、脳神経血管内の治療に関する登録研究、あるいは不整脈、先天性のQT延長症候群等、こうした致死性の不整脈に関する世界最大規模のデータベースを作成して、これも継続しております。

 次に先駆的及び標準的な予防、診断、治療の開発ですが、先ほども妙中先生のほうから報告がありましたが、これも私自身が直接関係していまして、ANPという30年前に心臓から発見し、20年前からは心不全の治療薬として非常に広範に使われているホルモンが、血管を保護することによって、がんの転移を、特にこれは臨床研究でのエビデンスから出てきたものを現在センターのほうで基礎的な動物を使ってコンファームする実験をしています。また更にそれをランダマイズの臨床研究へともっていく必要があるのですが、それは先ほど言いましたようにセンターで企画しております。ただ、資金面で、資金がないと進められないのでそれの獲得ということで現在いろいろ努力しております。これはやはり循環器病で扱う血管というのが、がんにおいても非常に大事だということで、領域を超えたもので、逆に言いますと、がんの研究者からはなかなか出てこない研究ということで、我々はこれに関連した研究を細かいところまで進めていますけれども、今後そういった成果が発表できると思います。

 もう1つこれも非常に重要なことですが、BNPという心不全の診断薬になっているホルモン、心臓ホルモンです。これも私自身が発見したものですが、心不全あるいは心筋梗塞といろいろなイベントで増えますけれども、その中の分子がいわゆる活性をもったBNPと前駆体であるBNPとあります。そういった病態によって前駆体に糖の負荷が起こり、それが起こると活性型になかなか変換されないことがあり、その2つの分子を計り分けることによって、同じBNPが高くても、実際の心不全等の疾患がより細かくできるというものです。

 そのほかにも、ヘパリン起因性の血小板減少症に対する高感度な測定法、こういったものはセンターでしかできないもので、全国からそうした検体の依頼がきております。

 新しい医薬品、医療機器の開発では、国循型の人工心臓の改良、それと動圧浮上式の高耐久性のポンプ、そういったものを積極的にやっています。以上ですが、いろいろな数値目標もかなり目標をオーバーしているということです。それからいろいろな研究開発において、予想した以上のいい成果が出ているということで自己評価として「S」を付けた状況です。

 

 

○永井部会長 

 御質問御意見をお願いいたします。

 

○三好委員

1点、数値目標、この10ページの下の臨床研究328件で、中期計画26.6%増、参考までに平成23年度の数を教えていただきたいのですが。

 

○政策評価審議官

 資料1-257ページです。

 

○三好委員

 分かりました、ありがとうございます。337件ですね。もう1点、非常に素晴らしい最先端の研究をされているようですが、ちょっと私は専門家ではないので判断が難しいところがあります。これだけたくさんされていて、この中で、画期的なものを3つ選んでいただけると、例えばどれが画期的なものなのでしょうか。そんな区別できないと言われるかもしれないですけれども、ちょっと教えていただけますか。

 

○国立循環器病研究センター研究所長

1つは自分自身でやっていることですけれども、ANPががんの転移が抑制できるということで、これ自身は私自身も20年前からこういった心臓の研究をしていまして、なぜ、心臓にはがんが転移しないのかを非常に不思議に思っていまして、その結果が、心臓はANPをたくさん出しているので、保護しているということに基礎的な研究でもなったわけです。

 もう1つは、再生型の小口径の人工血管です。こういったものは臨床に繋がるわけでして、そういったものがいくつも開発が進んでいることが挙げられます。

 もう1つはセンターでずっと先端的な研究を行っています、人工心臓です。特に小型の動圧浮上型のタイプ性のポンプです、こういったものが治療に向けて着々と進んでいる点が挙げられるのではないかと思います。私がここでお尋ねされて単にパッと出てきたものですので、それが正確な評価かどうかは分かりませんけれど。

 

○三好委員

 ありがとうございます。

 

○永井部会長 

 ほかにいかがでしょうか。

 

○藤川委員

 すみません、1グループでお聞きしていた研究開発に関する内容と、今お聞きした内容と混乱してきてしまったので、何が違って、どういう違いによる素晴らしさがあるのかがよく分からないのですが。

 

○国立循環器病研究センター研究所長

1のグループでは、臨床応用についての説明でありまして、私の場合は、もちろんそれに向かってのことが多いのですが、それに向けての基礎的な、あるいは臨床的な検討から更にそれをアドバンスするための研究というように受け取っていただければと思います。1は臨床応用、あるいは臨床研究ということで述べていることです。

 

○斎藤委員

 すみません、頓珍漢な質問かもしれませんけれども。iPSを利用した、活用した研究は多分、こちらの機関が日本で一番先に達成なさると思うのですが、これに関してはもう始めていらっしゃるのでしょうか。その辺りをちょっと教えていただけますか。

 

○国立循環器病研究センター研究所長

 これもチェックしておりますが、こうしたiPS細胞を全国的にいろいろな専門の病院、あるいは研究所でそれぞれ得意な分野で疾患の患者さんからというような形で始めるわけですけれども、これがどういった形ですぐに臨床に結びつくかどうかはまだクエスチョンがあります。ただ、そういったものを使っての研究を進めるための道具としては非常に重要だと考えてやっております。

 

○斎藤委員

 既にもう研究に着手していらっしゃるのですか。

 

○国立循環器病研究センター研究所長

 はい。

 

○祖父江委員

 どうもありがとうございました。非常にオリジナリティの高いコンセプトを研究のレベルに上げておられるということで、とても素晴らしいと思います。

先ほどもちょっと話が出ましたけれども、1の所の研究との関係になるのかもしれませんし、今後こういうものを臨床に持ち上げる1つのプロモーションになってくるのかもしれませんが、先ほど「バイオバンク」というお話が出まして、これを恒常的にするために部長も置かれて、プロジェクトではなくて、恒常的にやっていくと。このバイオバンクはまだ立ち上がったところだというお話だったのですが、現状はまだこれからかもしれませんけれども、こういう研究とどういうリンクをしながらやっていこうとされているのですか。

 

○国立循環器病研究センター研究所長

 やはり本当は10年前にこういったものはすべきだったのです。特に遺伝子のミレニアムといったことの反省に立ち、これまでこうした臨床研究あるいは検体を用いた研究とか、研究費が付いて個人の研究的な位置づけがあったのですね。それで研究が終わるとデータとか検体も含めて保管ができないので積み重ねができないわけです。そういうことで独法になったのを機会にバイオバンクは、私自身や神経センターの香坂先生と相談して、6ナショセンへの研究所長が合意して始めたのです。それが厚労省のほうでも支援していただけることになりました。臨床データ、あるいは検体を個人ではなく、組織の財産資産としてそれを積み重ねていくことが極めて重要だということです。昨年から始め、1,000件以上できまして、年間3,000件ぐらいを目標にして、45年後には1万以上の予定です。この研究に使う検体は自分自身でちゃんと確保して、それに基づいた質のいい臨床情報と検体をということですね。それで今後、ある一定の期間経れば、なくてはならないバイオリソースになると考えています。これは着々と進めていますし、それについては厚労省等から、これは1020年と継続しなければいけないわけで、そういう面での財政的な支援を、特にそれに関わる人材についての支援が必要としています。これまでにない質のいいものがそれぞれの疾患を持っているのと6つのナショセンが連携すればできるというように考えています。

 

○永井部会長 

 ほかにいかがでしょうか。

 

○藤川委員

 先ほどの確認ですけれども、1グループでは臨床応用、臨床研究関連で、2グループでは基礎研究だったと思いますが。

 

○国立循環器病研究センター研究所長

 はい。特に、基礎研究でも臨床に結びつくのにはどうしていくかということです。

 

○藤川委員

3つ挙げるとしたらという中に、血管保護による新しいがん転移治療法の開発があると。1グループでも同じものが挙がっていたけれども、テーマとしては1つの非常に大きな研究だけれども、それのフェーズというか、それが違ってと、そういうことで考えればいいのですね。

 

○国立循環器病研究センター研究所長

 そういうことです。実際に1グループは医師主導ですね、治験に向けての方向。我々の所はそこにもっていく、もう少し前の段階を中心にやっているというように理解していただければと思います。

 

○藤川委員

 非常に重要な研究なので、それを一丸となってやっていらっしゃると考えればよろしいですか。

 

○国立循環器病研究センター研究所長

 そういうことです。

 

○藤川委員

 分かりました、ありがとうございます。

 

○永井部会長

1つ、毎回お話するのですが、法人化前に比べて論文数と引用回数が減っているのですね。先端的なところは非常にいいと思うのですけれども。

 

○国立循環器病研究センター研究所長

 これは1つの原因としまして、独法になり予算の質も変わりまして、それまでは循環器病研究委託費というので、いろいろな大学と研究機関と連携した特に臨床研究が多かったのですが、予算の関係でそういった外との連携に主に使われるのではなしに、センター内でやりなさいと、一度システムがリセットされました。その後も重要なものはまた復活して、もっといい体制でやっていますけれども、そういったものが一度ストップしたことで成果を元にしたアウトプットが減っているのは事実です。

 

○永井部会長

 そこは研究者の数とか、モチベーションとか何かうまく持ち上げないと底辺というか、基盤のところですよね。

 

○国立循環器病研究センター研究所長

 はい、対策は行っていますので、それは徐々に回復してくると思っています。

 

○永井部会長

 ちょっと細かいことで申し訳ないのですが、インパクトファクター15点以上にサーキレーションが入っているようですが、2011年のインパクトファクターは14.7ですね。だから四捨五入すると15ですけれども、ここは15.0以上ということで整理していただきたいのですが。

 

○国立循環器病研究センター研究所長

 今、事務所から発表されたのは、2012年度、「15.202」となっていると。

 

○永井部会長 

 「2011年度のインパクトファクターで計算すると」と明記されていますので。

○国立循環器病研究センター研究所長

 そうですか、それではちょっとそこの辺は。

 

○永井部会長

 来年は非常に上がるということで、あまり焦ることもないというように。

 

○国立循環器病研究センター研究所長

 それとこれは1つ、我々の所は医療機器とか、いわゆる人工血管とかといった分野でも研究所の約3分の1ぐらいはいい研究が出ているのですが、残念ながらそういうところはインパクトファクターの高いジャーナルがないということですね。

 

○永井部会長

 評価の指標は複数あって、インパクトファクターというのはあくまでも参考だと、1つの指標だと思います。

 

○国立循環器病研究センター研究所長

 はい。

 

○永井部会長

 よろしいでしょうか。それでは次に項目の49まで併せてお願いいたします。「医療の提供に関する事項」です。説明は10分でお願いします。

 

○国立循環器病研究センター病院長

 項目49については、病院長の内藤が報告します。概要資料に沿って説明する前に、病院診療の基本的なスタンスを述べると、センターの理念が循環器病の究明と制圧ですので、それに基づいて高度の医療を提供するだけではなくて、次の医療をつくるというスタンスで病院のスタッフ全員頑張っているところです。

 ターゲットとしては、動脈硬化症とそれに起因する心筋梗塞・脳卒中等がメインではありますが、次世代のターゲットとしての心不全・不整脈・成人先天性心疾患に関しても、注目してやっているところです。

 昨年報告した組織改変については、総合入院センターが順調に動き出したこと、高性能のドクターカーが動き出したことについては、後で触れたいと思います。電子カルテも昨年1月から動いていますが、これは大きなトラブルなく順調に経過しています。資料の11ページにある評価項目4については、2点、カテーテルを用いた経皮的肺動脈形成術のことと、ドクターカーの活用の2点だけ話します。

 カテーテルを用いた経皮的肺動脈形成術は、2010年に我々の施設で始めて、現在、35例行われていますが、慢性血栓塞栓性肺高血圧症という非常な難病があり、これは手術で内膜剥離をするのが今まで唯一の治療法だったのですが、それができない人は死を待つばかりというものに対して、カテーテルで風船で血管を末梢まで膨らませていって、症状を改善すると。患者の中には、「今まで生きて待っていてよかった」という声まで出ているという非常にインパクトの強い治療法で、ガイドラインを書き換えるほどのインパクトがあると思っていますが、現状ではガイドライン書き換えにまだ加わっていないというところで、S評価とはしていません。

 少し余談になりますが、ベストプラクティスはこれだという病院実績評価会を年1回独法化後にスタートして、毎年150200人の多職種が集まって、その年度での診療実績に関するベストプラクティスは何かという選考会をして、平成24年度の第1がこの肺動脈の形成術となりました。金賞10万円を獲得しています。ガイドラインは、書き換え済みになったそうです。ただ、平成24年度の実績ではありません。

 ドクターカーですが、平成244月から、これはマイクロバスサイズで複数人が立ち仕事可能、補助循環装置が入っていてもいい、小児・乳幼児もOKと。走るICUという装置ですが、平成24年度の1年間で106件。このうち転出が56%、転入が29%。日本中から注目される世界にも類を見ないドクターカーの運用に関しては、特に重症心不全の患者を運ぶのに非常によいことが分かってまいりました。この項目については、承認された先進医療、心臓移植、これは後述しますが、等に加えて最新の高度先駆的医療の推進が計画を上回っていると判断し、自己評価は「A」としました。

 項目5です。これは資料12ページを御覧ください。総合入院センターのことです。昨年1月からスタートしましたが、病床運用統括室と専門医療連携室が一体となって、入院患者の手続、説明、オリエンテーション、検査等を1回にやってしまうということで、患者の入院待ち時間が減少し、ムラのないサービスが提供できて、病棟作業の省力化も著しいということで、これはベストプラクティスの昨年度の銀賞を得ています。

MSWの活動が非常に活発化した。もともと平成2210月に、当時、常勤1、非常勤11.5名体制から4名に上げたのですが、それが特に病棟カンファ等に積極的に参加するようになって、活動が非常に活発化しています。

 チーム医療に関しては、薬剤師の病棟配置がICUなどを除いて完了して、これで病棟薬剤業務の実施加算が取れるようになっています。

 連携登録医が一気に増えています。これはグラフ3を御覧ください。これは紹介コーナー、カード、検索ページをホームページ上に作ったということが功を奏したものと思います。

 医学倫理研究室のことは先ほどから何回か話に出ているかと思うのですが、これが実際の臨床現場でも非常にアクティブに活動するようになって、研究倫理の委員会に出すほどではないけれども、臨床的にはまだ未承認の機械をどう使うか、あるいは薬をどう使うかという相談を行って、後に病院長とそれに関する委員会との裁定で実際の使い始めをするという形が既にスタートしています。これは将来的には病院のエディカルコミッティー、ホスピタル・エディカルコミッティーという形に発展していく予定になっています。

 患者の待ち時間について、簡単に触れておきます。現在、初診外来と特殊な外来は、1時間、1人何分でできるかということのはっきりしている外来については、完全時間制にしており、これは待ち時間の問題はありません。ただ、専門外来は1日の外来600人のうちの7割ぐらいを占めるのですが、これが原則30分で3人という運用になっています。これは昔から我々の施設の専門外来は、15分で終わる方から、130分以上かかる方までかなりバラエティーに富むこともあって、このような30分枠で3人という運用をしていました。一時、平成20年の調査では待ち時間34分という時代があったのですが、その後運用を改正して、平成212223年と大体10分ぐらいの待ち時間に短縮してきた経緯があります。それが平成24年になり、また20分に延びてしまっています。この10分の延びは、電カルの導入と関係しているかもしれないと思っており、その電カルが使い慣れないこと、電カルの枠の中では、主治医が自由に患者を入れることができるといったことが関係しているのではないかということで、今年の調査がまた9月に行われることになっているので、それを見て少し厳格な対応を考えたいと思っています。

 ただ、電カルが入ったことが必ずしも悪いわけではないというのは、外来の再来回数が電カル導入後に5%ほど減っているので、検査と診察の予約が一気に取れるということが、ある意味功を奏している部分があるかもしれません。この項目については、全職員対象の研修会が中期目標を大きく上回ること、多職種回診も計画以上で、連携医登録数が大幅増になったこと、入院センター、MSW活動、薬剤師の病棟配置など、大きな患者支援が進んだということを併せて、自己評価は「S」としました。

6については、資料13ページを御覧ください。ここでは重症心不全に対する医療のことと、成人先天性心疾患に対する医療のことの2点を報告します。特に、重症心不全に関しては、移植は法改正後に年10例ペースで順調に進んでいます。今回強調したいのは、植込型の補助人工心臓が出てきたということで、補助人工心臓、左室の補助人工心臓は、1982年から我々の施設では180例ほどの実施がありますが、最近は月に12例というペースできています。平成24年度は、17例のバスの装着者のうち9例が植込型で、その在宅管理が進んでいるということから、1つは在宅の患者の外来を作らなければならなくなったこと、もう1つは病棟が順調に動くようになったことがあります。

 成人先天性の心疾患では、現在、日本に40万人ほどいて、年に1万人ずつ増えていくということですが、診療がなかなか難しくて、どこにかかっていいか分からない、医療難民化している状況があります。これに関してはセンターは診療科を作り、外来を始め、専門修練医のコースを作り、カンファレンスを始めるというセンター内での努力に加えて、永井先生が主宰しているACHDのネットワーク、聖路加の丹羽先生の主宰する教育セミナー等にも積極的に関与して、ここは何とかうまくやっていくことを考えています。

 臓器移植法の改正に伴う心臓移植の増加に対応し、国内移植医療の先頭を切っていること、補助人工心臓についても、開発植込型機器の心胸応用トレーニング実施等、指導的役割を果たすこと、加えて本邦での成人先天性心疾患医療のシステム構築にも取り組むことを併せて、自己評価は「S」としました。

 項目7については、14ページを御覧ください。これについては、教育研修の体制づくりのことと、レジデントのこと、若手医師の研究支援のこと等をお話したいと思います。研究体制については、教育研修部の中に医師の部会と拡大部会という2つを設けて、多職種の教育研修を統合する形をつくって、これがようやく形づくりができています。それがプログラム数のグラフ1の目標達成につながっています。

 レジデントは、1978年から今までで約1,400人ほど、専門修練医も合わせると1,700人ほどの卒業生がいるというもので、教授も100人以上輩出しているという制度ですが、数は先ほど少しお話がありましたが、レジデントの数が平成22232425年と。レジデントは、後期研修に当たる卒後3年目以降の3年間、専門修練医は、その後の更に専門性を高めた2年間というものですが、レジデントが専門修練医と合わせて平成22年が124人、平成23年が131人、平成24年が153人、平成25年が145人となっていますが、このうちレジデントは90数人でずっと同じ動きですが、専門修連医が平成2425年と、それまでの30人ほどから50人にアップしています。これは多分この世代のドクターに求められるものと求めるものとが一致して増えているのだと思っています。

 若手医師、これは医師だけではなくて若手職員の研究支援という意味では、研究費の配分とアワードの設置を行い、このような方の最大の問題である学位の取得に関して、特に連携大学院制度を設けて学位が取れるという道を開いたところは、非常に大きいと思っています。

 ここの項目では、教育研修プログラム数が2年目に中期目標を達成し、3年目もこれを維持と。センター外の医療従事者等に対する研修も、中期目標を大きく上回ると。教育研修部の統括管理ができ上がったと。アワードの設置、大学院入学等、レジデントの意識向上が著しく、また、看護リーダーの育成も進んでいるということから、内部評価は「S」としました。

8については、資料1516ページを御覧ください。ここでは、「かるしおレシピ」のこと、ホームページのこと、脳卒中啓発プログラムのこと、多施設登録のことをお話します。「かるしおレシピ」は、東日本大震災の被災地の循環器病予防である国循減塩プロジェクトの全国展開の手段として、センターの病院食をレシピ本として発売したもので、医療食の裏付けのある「おいしい国民の健康食」を提示できたと認識しています。25万部が売れて、アマゾンで1位になったことは、先ほどの報告のとおりです。ホームページについては、改修を重ね、リニューアルとコンテンツの見直しを行った結果、ページビュー数が、これはグラフがありますが、平成222324年と最初、235,000から336,000、それから495,000と、平成22年に対して平成24年は倍増以上となっています。

 脳卒中の啓発プログラムは、アニメ動画、漫画冊子等の組合わせで、これも非常に反響が高かったものです。

 多施設登録研究実施については、1つは、日循のワーキンググループ、循環器疾患の診療実態調査を行っていますが、この事務局が国立国際医療センターから国循へ移行したと。それで、これの活動を始めたということの報告です。

2つ目は、拡張期心不全の全国登録が始まった。これは先ほども話にあったことかと思います。病院食レシピ本の発行が大好評を博し、おいしい国民の健康食が提示できたこと、情報収集発信については、ホームページのリニューアルに伴う改善が著しく、予想以上の魅力あるサイトに変貌した。画期的なビュー数の伸びを示したこと等を併せて、自己評価は「S」としました。

9については、資料17ページを御覧ください。ここでは政策提言として、rt-PAの時間延長のことと、公衆衛生上の重大危機対応として、東日本大震災対応のこと、国際貢献に関しては脂質基準の分析室の活動を開始したことの3点を報告します。

rt-PAの治療ですが、これは脳梗塞の症例に対して血栓を溶かすという薬を入れる。ただ、今まで適応が発症後3時間以内ということになっていたのを、4時間半まで日本脳卒中学会の治療指針が改定された。この改定を主導したのが、センターと認識しています。これに伴い、改定後は薬品の出荷量が30%上昇、センターの実施も40%増えた、へき地では適応の拡大が見込めるということから、これは非常に大きなインパクトがある提言を行えたものと理解しています。

 東日本大震災に関しては、震災の冊子を昨年3月に電子版が出て、4月に本が出たので、それを挙げたことと、厚労科研で震災関連で私の主宰するもの、橋本総長の主宰するもの、日本医大の木田先生の主宰するものの3つの班が、連携して活動を続けています。

 国際貢献に関して、脂質基準の分析室ですが、これは米国CDC認定による血清脂質測定標準化事業で、非常に権威のあるものと認識しており、世界に10施設しかない、うちの1つが、我々の所にあると。これの本格活動が開始されたということを報告します。東日本大震災の支援活動の中から発生した減塩プロジェクトが、レシピ本など、想定を上回る全国展開となったこと、医療戦略の中核を成すガイドラインや提言にも大きく関与できたこと等を併せて、自己評価は「S」としました。

 

○永井部会長

 いかがでしょうか。外来のことが気になるのですが、30分に3人入れるのなら、10分に1人入れればいいのではないかと思うのです。ドクターを見ていれば、この人は時間がかかるというときは20分にするとかですね。問題は、患者が3人の患者は30分に何人待っているか知らないわけです。そうすると、みんなが早く来てしまう。だから、予約したとおり診なさいということではなくて、診ているように予約するとか、患者にばらけて来ていただくということが、待ち時間を減らす非常に重要なポイントだと思うのです。

 歯医者はそうなっているのです。歯医者は待たせないのに、なぜ病院は待たせるかは、実はそこに複数の人を入れてしまうというところに大きな問題があると思うのですが、どうですか、それはなかなか難しいのですかね。

 

○国立循環器病研究センター病院長

 今やられていることは、30分の中に3人以上入れる場合には、入れる方自身がこれぐらいになるという待ち時間があることを御説明はしているようです。

 

○永井部会長

30分に3人入れるのではなくて、10分ずつ枠を1人ずつ作っておいて、たまには2人入れてもいいのでしょうが、基本的には11枠だというのが外来診療の基本だと思うのです。つまり、我々がアポイントを取るときに、同時刻に3人、4人は取らないわけです。30分に4組だったら、7分半ずつだとか分けるわけなので、それが患者が早目、早目に来てしまう1つの大きな理由だと思うのですが、これがなかなかできないのです。

 

○国立循環器病研究センター理事長

 私は臨床を今は離れているので、臨床現場の直接の感覚ではないかもしれませんが、私が大学にいたときは、11枠でした。60分であれば6枠です。ただ、最後の1枠か2枠はエンプティーで残しておいて、何かがあったときに、そこをクッションとして使う。それが基本的にいい方法だと思います。ですから、センターに行っても、1つはそういうサゼスチョンもしました。

 もう1つは、非常に個人的なことですが、私の弟が不整脈で、東京のある大学病院に1回診察を受けて検査、そして何回も行かなくてはいけないのですね。確かに11回は短い待ち時間であっても。ところが、それでラチがあかないので別の大学病院を紹介したら、そこは少し時間がかかりましたが、1日で最初の診察から、検査から、治療方針まで、全部。

 

○永井部会長

 先生、それはいくらでもできるのです。最初の診察を11枠にして、「また戻っていらっしゃい。後で説明します」ということで。そうすると、多少ずれが出るのですが、そういうことは全部経験的に分かるので、そうすると30分に何人診るかとか、少しブランクを所々に入れるとか、それは外来診療医の経験なのです。そういうのはいくらでもできるわけです。

 というのは、今、特定機能病院は、外来は減らしなさいという方向に来ているわけです。私はこれは本当に特定機能病院にとって外来を減らすのがいいかどうかは分かりませんが、その大きな理由が待ち時間が長過ぎるということで、特定機能病院は入院診療に特化しなさいという方向で、国の政策が誘導されているわけです。それに対して30分に3枠やっていると、いつも待たされると、そのクレームはなかなかなくならないだろうと思うのです。

 ですから、最初の診療、顔を合わせるときに枠を作っておいて、いくらでも戻れるようにすればいいわけです。我々は今までそうやってきたし、そこは1つの患者を診る基本的なマナーではないかと思うのです。委員の先生、どうですか。花井先生も御意見おありだと思うのですが。患者のほとんどは、同じ時間に複数の人が待っていることは知らないのです。そこに問題があるのです。

 

○花井委員

 永井先生、私も枠は患者だから見えないところなので、かねてから不思議に思っていたのです。歯科などは必ずそうなっているのに、なぜ病院だとこう。結局、アポイントを取るときに一人一人ということで、大分変わってきます。医師と患者の関係も変わってきているので、できればそのように。私がよくかかっているのは感染症内科なので、そうすると、大体、新患の場合の時間はこれで、何年かたっている患者はこのぐらいの時間で、先生方も患者ごとに大体診療がどのぐらいかかるかを読んで分かっておられるので、多分そこに合わせて時間を取っていけていると思うのですが、疾病領域が違うので、循環器でそれがうまくいくかどうかは分からないのですが、多分、臨床の先生はどのぐらいかかるかは読んでいて分かっている感じですが、そういうことが疾病によって違うと思うのですが、是非やってください。

 

○永井部会長

 そこは経験で十分できる。

 

○国立循環器病研究センター理事長

 私自身、先生のおっしゃるように、自分で診療をやっているときには11枠でやってきたし、そういう方向性をセンターでもと言いましたが、現実問題として30分の待ち時間が10分まで減っていったのです。ただ、電カルを入れたからなったかどうかは分かりませんが、平成24年度は少し伸びたということで、その辺については再検討が必要だと思いますが、少なくとも平成23年度まではどんどん短くなってきていたことは事実です。それで、10分ぐらいまで下がっていたことは事実だと思います。

 

○永井部会長

 いろいろな工夫があるのです、ブランクを空けるとか、午後の最後の枠には複数入れても構わないとか、それはいろいろなことで経験的に調整できるはずです。ただ、夜7時、8時まで外来をする方はいないのですか。

 

○国立循環器病研究センター病院長

 はい、現在は長くても午後6時です。

 

 

○永井部会長

 だから、本当なら午後6時までかかるのなら、午後6時まで枠を作ればいいのですよね。それで、多分枠は午後4時か5時ぐらいで終わっていませんか。そうすると、その患者は1時間待っているはずなのです。だから、午後6時まで私は診るというのだったら、午後6時まで枠を作ればいいわけです。もし、それが病院で許されないのだったら、午後5時までにすると。それで、患者は診療所で診てもらうとかですね。

 

○国立循環器病研究センター病院長

 電カル上での枠の設定は、午後5時か5時半頃までできるのです。

 

○永井部会長

 最後の患者は、うんと待つわけです。そこもいろいろな工夫が必要だと思うのです。現場で患者を待たせない、いろいろな検討をしていただければと思うのです。

 

○国立循環器病研究センター病院長

 はい、1つの努力は、できるだけ診療時間が決まっている診療に関しては、1枠設定をきっちりやって、それは外へ出していく努力はずっと続けています。初診外来も時間枠を設定して、これも待ち時間はありません。

 

○永井部会長

 要するに、再来でしょう。

 

○国立循環器病研究センター病院長

 再診査です。

 

○永井部会長

 そうすると、ほとんど先生が生徒を見るように、この患者はどのぐらいかかるかは分かるのです。外来担当医は学校の先生ですから。そうすると、どういう話が出て、どういう言葉を気をつけるかと。そこをその人に応じて長く取ったり短く取ったりですね。例えば、5分刻みにして、この人は2枠、この人は1枠でもいいと思うのです。いろいろな工夫があり得るので、是非、それは少し。特定機能病院の外来を減らせということは、私はそれは本当にいいのかどうか、若干疑問に思っているのです。それで、必ず言われるのは待ち時間ということなのです。それをいかにスムーズに診ていくかで、もっと効率的な、あるいはいい医療ができるのではないかと思うのですがね。

 

○国立循環器病研究センター病院長

1つは、今年の待ち時間調査が9月頃に行われるので、その結果も参考にしたいとは思うのですが。

 

○永井部会長

 外来に来て、あるいは、例えば9時から9時半といって、10分待ったというのは、何分から、9時から10分待ったということですか、あるいは9時半から10分待ったということですか。というのは、外来予約が9時となったら、皆さんは9時前に来てしまうわけですよね。その計算の仕方もどう計算されているか。10分待ったというのは、9時から10分待ったのか。というのは、外来予約は9時から入っているわけですから、皆さんは850分ぐらいに来ているはずですよね。だから、9時半から待っているというのは、それは違うと思うのです、予約は9時から入っているのですから。そうすると、本当は40分待っているかもしれないですよね。そこの計算式も非常に重要です。だから、10分ごとにすれば、もし920分の枠に入っている人が930分に診てもらったら、それは10分待ちですよね。そう計算すれば、枠を細かく取ったほうが、待ち時間は絶対減るはずなのです。患者が早く来るのは勝手です。オフィシャルな待ち時間は、枠の最初からの時間だということです。

 

○国立循環器病研究センター理事長

 先生のおっしゃること、くどいですが、私もそうやってきたので、その利点については分かっています。センターでそういう方針について話をしましたが、今は覚えていませんが、現場で幾つも問題が出たのだと思います。ですから、先生のおっしゃることをもう一度持って帰って。

 

○永井部会長

 私は東大で循環外来をやっていましたが、何の問題もなかった。ただ、実施するときには反対がありました。だけど、実施したら、何も問題がなかった。それだけのことです。

 

○国立循環器病研究センター病院長

 多分、主治医にとっては、この患者の診察が5分で終わるのか、あるいは30分かかるのかは大体分かっているはずなので、それに合わせた細かい時間取りの形が、我々の施設では一番いいのかと考えているので、それはその方向で検討したいと思います。

 

○永井部会長

 是非、特定機能病院の外来の在り方ということに、あるいは特定機能病院の外来と入院の診療の比重を、実は国の政策に関わってくる問題です。実際、外来からの収入は相当あると思うのです。それを本当に減らして国循はやっていけるかということなのです。そこを考えていただきたい。ですから、間隔を置いて3か月に1回ぐらいにして、その間は診療所で診てもらうとか、何かそういう連携をとっていかないといけないわけで、そのためには外来で待ち時間が少ないことは非常に重要だと思うのです。よろしくお願いします。

 

○祖父江委員

 外来ではなくて入院の話ですが、たまたまですが個人的に関係のある患者が入院で治療を受けさせていただいて、私の印象としては、患者の立場で非常に高度な医療を提供することに、頑張っておられるという感覚を実感しました。医療の提供という点では素晴らしいという印象を持っています。ただ、建物が少し古い感じがあり、これは個人的に何ともしょうがない。先ほど総長がおっしゃったのですが、是非そういう計画が既に実行になるということですので、高度医療の進展をさらに実現できるいい建物を計画していただけるといいと思っているところです。

 もう1点、先ほど研修のことが出ましたですね。先生方は御存じだと思いますが、今、専門医制度が大きく変わってきて、循環器も脳神経外科も神経内科も含めて、専門医資格を取得するためには非常に幅広い修練、非常にスペシャライズされたものではなくて、場合によっていろいろな病院を回らないといけないと、そういうシステムに移行しつつあるというか、そういうことはよく御存じだと思いますが。そうすると、今度はナショナルセンターの非常にスペシャライズしたシステムの中で、高度に専門化した段階では結構いいと思うのですが、そういうものをジェネラルに考えていこうとすると、どういう構想というか、どういう考えをお持ちかを、少しお考えを聞きたいと思っています。

 

○国立循環器病研究センター病院長

 専門医制度が抜本的に変わろうとしている状況ですので、それにいかに対応するかは本当に重要な問題だと思っています。従来、特に外科系の診療については、レジデントが例えば専門医の資格を取るために、幾つかのことをこなさなければならないというノルマがあって、それは外の病院と提携しながら経験を積ますというスタイルを、心臓・脳、どちらもとっています。逆に外からの方を受け入れるというスタイルもとっています。あと、内科系でそういう提携が十分にできているわけではないのですが、それは今後考えていかなければならないことです。

 それから、これはほかのナショナルセンターの病院長の先生から話があるかもしれないのですが、6ナショナルセンターの病院長会議を昨年度から始めて、2回話をしました。その中での1つのテーマが、人事交流、特にレジデント、専門修練医の交流ができないかという話題が出ており、それの形づくりがうまくできれば、その問題も大きく解消するのではないかと思っています。

 

○内山部会長代理

 教えてください。1つは、これだけ高度な医療になってくると、当然、医療安全の講習会とかが大事になってきます。講習会の回数はある程度必要だと思うのですが、参加率なども大切だと思います。特に忙しい病院ですので、ドクターの参加率をあげるのはなかなか大変だと思うのですが、医療安全、あるいは感染管理の講習会において、どのくらいの方が参加できないのか、又は平均の参加回数がどうか。

 もう1つは、先ほど専門医の話が出てきましたが、これだけ高度専門になってきて、しかも循環器の疾患が中心になってくると、糖尿病や呼吸器など、ほかの分野の専門医も必要になってくるのではないかと思います。そのような配置がうまくできているか、あるいは、周辺の病院との連携で十分足りているのか、教えていただきたいと思います。

 

○国立循環器病研究センター病院長

 安全と感染に関しては、年2回全職員の講習を行って、全員参加が原則ということで、我々の施設も何らかの形で職員と称する方は全員参加いただくように努力をしています。それは一応形の上では達成されています。どのような手法をとっているかと言うと、医療安全は、年2回の講習会の後で、それぞれの講習会のDVDを作成して、DVDの上映会を20回ぐらいそれぞれにやっています。どこか時間のあるところで必ず出てもらうという形で、100%を達成すると。

 感染対策は、やり方は少し模索中ですが、平成24年度は1回は全員参加の講演会、後もう1回は小さな講演会を何十回となくやりました。それでどこかで参加していただくという形で、年2回を達成した状況です。ここはかなり自信を持って言いきることができると思っています。

 診療科の連携に関してですが、我々の施設の専門でない診療科との連携も非常に大事な問題です。ただ、腎臓高血圧の内科、糖尿病対象の内科はうちにあるので、これは内部で対応できています。呼吸器は、一応呼吸器関連のドクターはいますが、しっかりした診療科があるわけではない。消科器、整形科等、これもうちではなかなか手薄でどうしようもないというので、これは近隣の連携で何とかしのいでいる状況です。

 先ほどの研修ですが、脳の内科では相互交換の研修をレジデントがやっていたので、追加します。

 

○永井部会長

 肺動脈形成術は、岡山で前からたくさんやっていましたよね。それと国循の技術開発はどういう関係になっているのでしょうか。倉敷で前からたくさんやっていたと思うのですが、それが想定外と言えるかどうかですが。

 

○国立循環器病研究センター病院長

 流れは岡山の流れを汲んでいるのだと思うのですが、我々の施設で新たに肺循環内科医と放射線科医の間ぐらいの専門家が連携した上で。

 

○永井部会長

 作ったということですか。

 

○国立循環器病研究センター病院長

 はい、チームでの動きです。

 

○永井部会長

 それを35例というのは、かなり大変だと思うのですがね。

 

○国立循環器病研究センター病院長

 かつ、1症例に関して1回では済まないので、複数回を。

 

○永井部会長

 それはチーム形成ということですね。

 

○国立循環器病研究センター病院長

 そうです。そのチーム形成は、非常に大きかった。あと、症例に関して1回では済まないので、どういうタイミングでどういうふうに次々とやっていくかも、少し試行錯誤を重ねながら進めて、ようやく形ができたということだと思っています。

 

○斎藤委員

 人材育成のことで教えてください。資料1-3、ページ数は付いていないのですが、順番からいくと21ページに相当するかと思います。ここで研究職員の数、分布が出ていますが、研究職員は大分高齢化が進んでいるようですが、対策をどうお考えなのか。研究職員がドクターとどういう関係かが私にはよく分からないので、研究職員は高齢化しても、それほど問題ないのかもしれませんが、グラフを見ると少し気になりました。

 どこか場所を忘れましたが、昨年、人件費がかさんだのは、ドクターを大分採用なさったからだと書いてあったような気がしますが、人材の採用は必要があれば当然仕方のないことですが、離職率が高いとかいうことはないのでしょうか。そのあたりの定着率、人口動態ではないですが、医者の年齢、その他といったところはどうお考えなのか、計画していらっしゃるのか、少し教えてください。

 

○国立循環器病研究センター病院長

 医師に関しての非常勤職員は、レジデント専門修練医ということになり、これは採用試験をして、うちに来たいという強いモチベーションのある方を採っているので、そこは離職という話は当然ありません。スタッフ職員に関しては、独法化の後で病院人事委員会を立ち上げており、そこで採用に関しては定員数等、必要性等を総合的に勘案して、その採用を進めてよいかどうかという判断の上で募集をかけています。それで応募されてきた方についてのしっかりした審査の上で採用、昔は例えば大学の意向でとか、コネクション等で採用せざるを得ない方もいた時代もありますが、現在はそういう形ではありません。したがって、医師に関しては、スタッフ医師に関しても、それなりにうちで働きたいという強い意思を持った方を採用する形になっているので、これも基本的には退職されると、御自身から退職したいという希望を出されることは、例えば精神的な問題とか、そういうことを除けばないのが現状です。

 もう1つ大きなのは、看護師ですが、看護師もうちに600名以上おられる非常に大きなパワーです。ここの離職も、一般的には非常に大きな問題だと思っています。特に我々の施設はほかの施設に比べてかなり業務がきついです。その分働きがいがあるといえばあるのですが、そういう所から、一般病院に比べると実はかなり看護師の離職率が高い時代がありました。

 ただ、その後、看護部の努力、看護師のインセンティブを確認する作業等、あるいは働きがいの調査をする、研修会をするといった作業を高めることによって、昔は20%近い離職率があったものが、最近、14%ぐらいまで減ってきています。全国平均の看護師の離職率は1213%だと思うので、全国平均に近づいてきたということで、我々の施設の業務のハードさを考えると、かなりよくなってきたと。その最大のポイトは、働きがいがあるということを理解していただくことだと思っており、それに関する働きかけはいろいろやってきたつもりです。

 

○永井部会長

 時間の関係もあるので、次へまいります。第4グループについて、10分で御説明ください。

 

○国立循環器病研究センター企画戦略局長

 それでは資料の18ページについて御説明させていただきます。

 企画戦略局長の三石と申します。18ページがいわゆる財務三表で、貸借対照表、損益計算書、それからキャッシュフロー計算書を付けています。そのポイントにつきましては次の19ページを御覧いただきたいと思いますが、まず経常収支の推移ですが、表の下から2番目の欄に経常利益とありますが、真ん中の平成24年度につきましては残念ながら34,500万円赤字でした。ただ前年度の平成23年度が59,100万円の赤字ですので、前年度に比べますと24,400万円を改善しています。その赤字の主な理由としては2つあると分析をしています。1つは、運営費交付金の減少で、総額で平成23年度に比べまして45,100万円減っています。特にその内訳にありますように研究関連、すなわち研究推進事業、あるいは臨床研究推進事業の額が大きく減っていますが、先ほどからお話がございますように継続された研究が多いわけですので、なかなかこの運営費交付金、研究関連が減ったからといって直ちに研究事業のカットはできないことで、大変悩ましい問題と考えています。また、給与特例法によりまして国家公務員の給与の削減に合わせて運営費交付金が追加削減をされています。これも昨年4月当初からカットをされておりますが、ナショナルセンターの場合には労使交渉の結果、9月からのカットということでタイムラグがありましたので、1年分がカットされているところも大きく響いています。もう1つの理由ですが、費用の増加としまして、平成24年度に放射線障害防止法が改正をされまして、放射線を使って機器等の処理に係る費用を合理的に見積もりができることになったため、これを平成24年度から追加的に費用として計上をせよということになりました。この結果、平成23年度に比べまして13,000万円が費用として増加をしています。特にほかのナショナルセンターと比べますと、私どもの臨床の特徴としましてサイクロトロン3台、ガンマナイフ1台を保有することから他のナショナルセンター、その他の病院などと比べまして大変影響が大きい結果となっています。この運営費交付金と放射線障害防止法改正の影響によりまして、経常収支を合わせますと58,100万円の悪化になったわけですが、この後述べます医業収支の改善がプラス71,800万円などがありましたので、結果的には前年度と比べますと24,400万円経常利益がプラスなったということです。

 右欄の医業収支ですが、今、申し上げましたように71,800万円の黒字ですが、その主な原因としては、そこの表にありますように新規入院患者数、あるいは入院単価、いずれを見ましても前年度の平成23年度を大幅に上回っています。また平均在院日数につきましては、年間平均で1.2日マイナスになるということで、在院日数は逆に短縮をしており、このように患者数を増やし在院日数については短縮を図るというようなことから医業収支については大きく改善をしました。そのツールにつきましては、その下にある具体的な対策に書かれておりますが、ちょっと時間の関係上、省略をさせていただきます。

 続いて20ページの評価項目の10で、効率的な業務運営体制について、A評価とさせていただいています。情報管理につきましては平成24年度に最高情報責任者、CIO、具体的には病院長ですが、これを置いてセンター内の情報部門を集約して情報統括部を設置しました。いろいろな成果がありますが、例えば研究者が臨床研究用データを抽出したいときに、申請を出していただくわけですが、平成23年度は28件に留まっていたものが平成24年度には201件と飛躍的に件数も増えています。また副院長についても3名体制ということで中央部門、内科系担当、外科系担当というような3名体制にしました。また事務部門の改革としては3点ありますが、1つは建替整備などの関係もありましたので、従来の企画戦略室を局に格上げ変更したことと、昨今の研究費の不正支出などもありましたので、この執行適正化のために研究医療課の専門職を新たに導入しています。また診療報酬の算定強化、収益増を図る観点から医事専門職については複数制を導入するようなことも実施しました。

 続いて評価項目の11の効率化による収支改善ですが、A評価とさせていただいています。まず経常収支率については下の赤字のところに数値目標があります。中期計画で5年通算で100%以上になるとのことですが、これを平成22年度から平成24年度までの累計計画にしますと99.75%になりますが、先ほど申し上げたような運営費交付金の多額の削減がある一方で、実績としては100.18%という形で計画を上回っています。また一般管理費ですが、これも下の赤字のところに中期計画があります。平成21年度に比して15%以上の削減を図るということですが、平成24年度は約61,000万円の節減を図っておりますが、平成21年度に比べますと20.7%の削減となっています。3番目に医業未収金比率ですが、これも下の数値目標を御覧いただきますと中期計画では平成21年度に比して縮減に取り組むということです。平成21年度は0.07%が医業未収金の比率でしたが平成24年度は0.04%で縮減を図っています。

 その他、材料費の抑制、あるいは契約見直しによる調達コストの削減等々、様々な効率化を実施しているところです。

 続いて21ページの評価項目の12、法令遵守と内部統制の適切な構築につきましては、A評価とさせていただいています。まず平成24年度は弁護士によるコンプライアンス室長を任命し、外部からセンター内のコンプライアンスをチェックをしていただくという体制を整えています。コンプライアンスについていろいろな定義がありますが、単に法令を遵守するだけではなくて医療倫理、あるいはセンターの職員としての倫理、そういったことも含めて幅広い観点からセンターのコンプライアンスについて、外部の目から見てチェックをしていただくというような体制を取ったところです。2番目に医学倫理研究室の設置ですが、これは先ほど来からお話が出ていますので省略をさせていただきます。

 その他、契約についても様々な事前、事後の重ねてのチェックを実施しています。

 続いて評価項目の13の予算、収支計画及び資金計画等をS評価とさせていただきました。その理由ですが、寄附金あるいは共同研究、ライセンス新規計画、いずれを見ましても昨年度に比べ、飛躍的な想定外の増加を見ています。具体的には寄附金では平成24年度は平成23年度に比べ89.3%増ですが、その大きな要因としては下の※にもありますように大学の寄附講座に相当する寄附研究プロジェクト部門を2部門設置をしまして、それらの効果から飛躍的な増加に繋がっています。2番目としては、先ほど資料の7ページでもお話がありましたように共同研究についても、59.5%増になっています。また3番目のライセンスの新規契約ですが、いわゆる特許等の収益ですが、こちらは昨年度の約800万円から3,600万円で約4.5倍増になり、飛躍的な増加を見ています。ここは最初に妙中のほうから御説明がありましたように研究所、病院、基盤センターが連携してこういった共同研究等を進めるとともに、競争的研究資金の獲得に努めているところです。最後に評価項目の14ですが、その他、業務運営に定める事項も、S評価にさせていただいています。その理由ですが、独立行政法人に平成22年度になって以来、総長のリーダーシップの下に、特に女性の登用、あるいは女性にとって働きやすい職場環境作りに注力をしてまいりました。その結果、医療職や研究職の幹部、具体的には部長クラス以上になりますが、女性の登用については平成22年度には1名であったものが平成23年度には3名、平成24年度には4名のような形で着実に増加を図っています。また働きやすい環境の整備に関しては院内保育所が開設されており、お子さんが写っていれば良かったのですが、下の写真のように、現在、40名の定足数で平均42名が使っており、ほぼフル稼働していまして、また職員からも大変評判の高い保育所です。それからフレックス制や短時間雇用制導入なども反映されているのでしょうが、産後休暇の取得者数も平成24年度は御覧の数字のように飛躍的に伸びています。こういった働きやすい環境の整備などもあり、看護師数も平成22年度、平成23年度さらには今年の4月は着実に看護師数の確保に行き着いているところです。さらに幹部登用の刷新で、若い方も幹部に登用するというような組織の活性化も実施をしています。以上です。

 

○永井部会長

 ありがとうございます。それでは御質問を。

 

○藤川委員

 最後の14番目の評価項目で昨年はA評価だったのですが、今回、いくつか観点を出していただいていますが、2番目以外はすごく飛躍的かどうかと言いますとなかなか数値としては何とも言えない気がしますが、2番目のところは確かに数字は増えていると。ただこれは、母数の問題もあると思うので、対象になる女性が増えるかどうかもあると思いますから、その辺りをちょっと教えていただきたいという点と、それから評価項目の13ですが、これは確かに金額がいずれも非常に増えています。寄附金規定等の整備等と書いてあるのですが、具体的にこれはどういう意味なのか、それから今後もこういう飛躍的な伸びなのか、あとはこれはたまたまと言ったら失礼ですが、ここに書いていらっしゃる寄附金プロジェクト部門の設置もあると思うのですが、何かすごく大きな要因があるのか、もう少し「S」の理由を丁寧に説明していただけたらと思います。

 

○国立循環器病研究センター企画戦略局長

 まず、評価項目の14ですが、おっしゃるように飛躍的にという意味では2番目だと思います。今、ちょっと持ち合いの具体的なデータがありませんので母数が何名かは直ちに申し上げられませんけれども。ただ基本的には1年間で母数、いわゆる女性職員数が急に増えることはありませんので、母数はほぼ変わりはないとお考えいただければと思います。

 そして評価項目の13ですが、いわゆる寄附金を企業等からいただく場合の一応の根拠となるような規定の整備の実施をしています。元々、整備されていなかったところがむしろ問題だったと思いますが、そこは整備をしました。そして特に寄附金、共同研究等ライセンス新規契約につきましては、私どもセンターの特徴としまして研究開発基盤センターが十分に機能して、様々な企業とコンタクトを取って、先ほどの「かるしおレシピ」のお話もあったかと思いますが、そういったセンターの知的資産を収益化することが成功したものと思っています。そして寄附金のこの増の理由は先ほども申し上げましたように寄附研究プロジェクトの2部門が立ち上がりまして、これは6ナショナルセンターの中では初めてでしたが、こういったものが効果を上げていると思います。またライセンス新規契約の中には「かるしお」の印税もありますので、御案内のように印税は割りと安定して入ってきますし、先ほど25万部を売り上げたこともありますし、さらなる売上も期待できますので、是非、平成25年度以降も安定的に入ってくることを期待したいと思っています。

 

○藤川委員

 ほかのセンターに2番目、3番目をやられる前に、またオリジナリティのあるものを是非、やっていただきたいと思います。

 

○国立循環器病研究センター研究開発基盤センター長

 ちょっと付け加えますと、今、局長からもお話がありましたけれど、知的資産の話をさせていただきました。知的財産だけではなくて、国循はいろいろなノウハウであったりとか、人材であったりとか、それから循環器病センターのブランド名だとかそういうものもあって、実際にその知財として登録されているもの以外に循環器病センターの持つポテンシャルをどういうふうに事業化していくか、あるいは転換していくかということで研究開発基盤センターの中に知的資産部を作らせていただいて対応させていただいています。そのことが共同研究やライセンス新規契約等の増加になっています。今、お話がありました本ですが、やっぱりブームがあるので、来年同じだけ稼げと言われてもこれはなかなか難しいかなと思いますが、それなりのいろいろな計画等も練っています。1つは、新しい局長を中心になってやっていただいています食ビジネスの展開であったりとか、もう1つはリハビリとか脳関連運動リハビリフィットネスというのが非常に近い領域のものであって、これは外部のいろいろな企業と共に運動の大切さを商品化して商品化することで一般に広まっていくようなことも計画しておりまして、事業としてうまくいくかは、来年になってみないと分からないところがありますけれども、そういう計画もしています。

 

○祖父江委員

 寄附金が非常に増えている、寄附金と言いますか外部資金ですね、これは非常にいいなと思ったのですが、それとプラス医業収益が7億余ということで、今後も増える可能性があると思います。しかし最初に総長がおっしゃった運営費交付金が今後も減らされていく、それから定員もどんどんと毎年減らされていくという中で、やっぱり新しいミッションに打って出ようと思うとどうしても人を増やす必要があり、スクラップ&ビルドで増やすやり方ももちろんあるでしょうが、パイ全体で人を増やしていくという政策が非常に大事だと思うのですが、こういう、これは一時金の形で多分回収しているのだと思うのですが、人件費に使っていくという、例えば任期制なども敷いてということだと思うのですが、その辺の考えはどういう状況かということをちょっと教えていただきたいのです。国立大学法人では、こういうものを医業収益増などを有効に使って人を雇用して、研究の幅を高めている状況ですので、その辺をちょっと教えていただければありがたいです。

 

○国立循環器病研究センター研究所長

 もちろん今、言いました寄附金も1つになるのですが先ほど先生がおっしゃいました外部資金として競争的資金をかなり獲得としており、ちなみに文部科研では1番になっていますし、特に今年度は昨年申請して若手なんかは大体、50%以上の採択になっており、特にこういった外部資金の間接経費でかなりの人件費として充てています。ですから、やはり中期目標5年間を達成するために交付金が2割、場合によったら3割も減ってきて、それでできるのかという疑問点も出てくるのですね。それでできるのなら、元々それでよかったのではないかと。だから、そこら辺で、外部資金、寄附金等で減った分をどうにかしようと。それから節約、それでどうにかやっているのが現状と理解していただきたいですし、一方で、先生がおっしゃいました人が必要になったときに増やす場合、資金があっても今、国から総人件費のカバーがかかっておりまして、外部資金だからそれで増やしてもいいと、そこは非常に自分で稼げればいいんじゃないかと思うのですが、それと矛盾点があり、そういったことを本当に制度的にもどうしていくべきかということもあります。

 

○国立循環器病研究センター研究開発基盤センター長

 今、お話がありました任期付きの話は重要な話で、我々のところは運営費交付金だけでなくて早期・探索的臨床試験拠点整備事業であったりとか、国の事業はその枠の外側に位置付けされるものであり、そういうところで人員整備をさせていただけたり、ただしそれがあくまで任期付き、あるいは非常勤の形で雇っています。だから、国のいろいろな仕分けの問題であるとか、継続性の問題で変動制の要素がありますけれども、一応、我々はそれで計画に入っている年度までは任期付きの形で採用させていただいて、その人材を確保しているところなのです。これは本当に厚生労働省の国の方針ですごく影響があるところで、どうなるか分かりませんけれども、我々はそういうふうに効率的に運営させていただいています。

 

○三好委員

 ちょっと同じような質問ですが、経常収支、経常利益が昨年度に比べればマイナスだけれど、かなり改善されていると。この中期目標では100%以上なので、あと2年間ですね。そんなにたやすくもない感じがします。運営費交付金が減る、総人件費枠の枠はあるとは言いながら、目標が中期では100%以上ですので、手としてそんなにあるとは思えないのですが、外部資金を増やす方法とコストを減らす方法しかないのですが、どういう見通しを持っておられるか、できる、できないとか、他の要因があるのですよとか、ちょっとそこだけお願いします。

 

○国立循環器病研究センター企画戦略局長

 一応、先ほどの資料の20ページの評価項目11のところで経常収支率の計画と実績を述べましたけれども、この中期計画の平成24年度までの3年間につきましては計画を上回るような実績になっています。では、このあと、本当に最後5年間が終わったときに中期計画の実績を上回れるかどうかに関しましては、もちろん楽観視はできないと思います。1つの要因としては、やはり運営費交付金がずっと下がってきておりまして、恐らくこの傾向は今後も続くことになりますと、じゃあどのぐらい下がって行くのかという点が非常に影響が大きいかと思います。そのためにやはり2つありまして、1つは収入面、先程来ありますような外部資金の獲得、あるいは企業からの寄附金の収益増、これらのものについてさらに努力する必要があるかと思います。もう一方で、やはりコストではこれまでもいろいろな契約の見直しとか様々なコスト抑制に努めてきておりますが、さらに踏み込んでどこまでコストの抑制ができるかということもさらに努力をしていく必要があると思っています。決して楽観視はできない状況かと思っています。

 

○永井部会長

 まだ御議論あるかと思うのですが、ちょっと時間になりましたので本日はこれで終了させていただきます。

 それでは事務局から連絡事項をお願いします。

 

○政策評価室長補佐

 本日、お配りしております資料の送付を希望される場合は、部会終了後に事務局にお申し付けください。また、評定記入用紙をお持ち帰りになられる場合につきましては89日、今週の金曜日までに事務局のほうに評定記入用紙の御提出をお願いします。

 次回の開催につきまして御案内します。次回は89日(金)1315分からの開始となりますので、よろしくお願いします。場所は本日と同じ厚生労働省専用第12会議室、議題は国立国際医療研究センターの個別評価になります。事務局からは以上です。

 

○永井部会長

 それでは国循の先生方、ありがとうございました。これで終了します。


(了)

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