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2013年9月20日 第1回労働市場政策における職業能力評価制度のあり方に関する研究会議事録

職業能力開発局能力評価課

○日時

平成25年9月20日(金)13:00~15:00


○場所

中央合同庁舎第5号館専用第13会議室


○出席者

参集者

今野参集者(座長)
大久保参集者
北浦参集者
黒澤参集者
谷口参集者
内藤参集者
松浦参集者

事務局

杉浦職業能力開発局長
尾形総務課長
伊藤能力評価課長
篠嵜主任技能検定官
小野能力評価課企画調整専門官
内田基盤整備室長
河野実習併用職業訓練推進室長
鈴木職業安定局派遣・有期労働対策部企画課長
岡労働基準局労働条件政策課労働条件確保改善対策室長

○議題

1 労働市場政策における職業能力評価制度のあり方について

2 その他

○議事

○小野専門官 ただいまから、第1回「労働市場政策における職業能力評価制度のあり方に関する研究会」を開会いたします。本日は、参集者の皆様におかれましては、御多忙のところを御参集いただきましてありがとうございます。座長が選出されるまでの間、司会を務めさせていただきます、職業能力開発局能力評価課の小野と申します。

 開催に当たり、職業能力開発局長の杉浦より御挨拶申し上げます。

○杉浦局長 局長の杉浦です。本日は、この研究会の開催に当たりまして御参集を頂きましてありがとうございます。皆様方には、日頃から各方面で能力開発行政に御協力、御理解を頂きまして、改めて御礼を申し上げる次第です。

 職業能力評価につきましては、これまでも職業能力開発促進法に基づきまして、国家検定である技能検定、それから、近年ではより幅広い業種・職種を対象にした職業能力評価基準の普及といった施策を講じています。一方、最近は、経済のグローバル化や円滑な労働移動施策といった観点、さらには、6月に閣議決定されました「日本再興戦略」の中にも、「多様な正社員」等へのキャリアアップ支援といったことが盛り込まれておりまして、能力評価の観点から、「職業能力の見える化」を促進することが重要な施策課題になってきています。

 そこで、現在、私どもが取り組んでいます技能検定を始めとした能力評価に関する施策、また、ほかの様々な資格制度、その他の能力評価に関する取組を含めまして、幅広い観点から職業能力評価及び関連分野の問題について方向性やその論点を明確化していただきまして、さらには、できれば何らかの成果が出ることを大いに期待しています。幅広い論議を頂きまして、できれば年度内を目途に一定の方向性をまとめていただきたいと考えています。

 限られた時間の中ですので、何かと御無理を言って、スケジュール等をお願いすることもあろうかと思います。大変恐縮ですが、この課題の重要性に鑑みまして、どうぞ忌憚のない御意見を頂いてお取りまとめいただきますよう、よろしくお願いいたします。簡単ですが、私からの挨拶とさせていただきます。

○小野専門官 本日は第1回なので、御参集いただきました参集者の皆様及び事務局を御紹介させていただきます。お手元の資料2「参集者名簿」に沿って、名簿順に御紹介いたします。

 まず、学習院大学経済学部教授の今野参集者、リクルートワークス研究所所長の大久保参集者、(公財)日本生産性本部参事の北浦参集者、政策研究大学院大学教授の黒澤参集者、職業能力開発総合大学校能力開発学科准教授の谷口参集者、慶應義塾大学法学部教授の内藤参集者、株式会社ニッセイ基礎研究所主任研究員の松浦参集者です。なお、中央大学経済学部教授の阿部参集者と国立教育政策研究所生涯学習政策研究部長の笹井参集者は、本日、所用により欠席との連絡を頂いています。

 続いて事務局のメンバーです。職業能力開発局総務課長の尾形、同じく職業能力開発局能力評価課長の伊藤、同じく能力評価課主任技能検定官の篠嵜、職業能力局基盤整備室長の内田、職業能力開発局実習併用職業訓練推進室長の河野、労働基準局労働条件政策課労働条件確保改善対策室長の岡、職業安定局派遣有期労働対策部企画課企画課長の鈴木です。

 では、本研究会の開催要綱について説明いたします。資料1「研究会開催要綱」を御覧ください。まず、1「目的」です。職業能力評価制度については、これまでも、ものづくり分野を主な対象とした技能検定制度に加え、近年ではより幅広い職種を対象とした職業能力評価基準の整備等を進めてきたところです。一方、先日閣議決定されました「日本再興戦略」などを踏まえ、「多元的で安心できる働き方」の導入促進、「多様な正社員」等へのキャリアアップ、円滑な労働移動といった労働市場政策の観点から、業界検定等の能力評価の仕組みを整備することが重要な課題となっています。こうした観点から、今後の職業能力評価制度の体系のあり方全般について検討を行い、論点・方向性の明確化を図るため、本研究会を開催するものです。

 次に、2「検討事項」です。(1)は、職業能力評価基準の意義として、能力の構造と要素の捉え方、評価方法の関連性、労働市場政策上の評価制度の意義の明確化。(2)は、現行の技能検定制度、認定社内検定制度、職業能力評価基準などの意義・課題。(3)は、今後の能力評価制度のあり方、業界検定整備等の今後の推進の方向性、諸外国との比較の観点を踏まえた能力評価体系全体のあり方、また、評価制度と職業訓練、キャリア・コンサルティング、ジョブカードなどの関連施策との効果的な関連付けなどを検討事項として御審議いただきたいと考えています。

 続いて、座長の選出に入ります。要綱の3「会議の運営」の一番下に、座長は参集者の互選によって選出するとされています。事務局では、今野委員に座長をお願いしたいと思いますが、参集者の皆様はいかがでしょうか。

(異議なし)

○小野専門官 それでは、本研究会の座長を今野参集者にお願いいたします。今野座長に今後の議事進行をお願いいたします。

○今野座長 お手元の次第に従って進めたいと思います。まず、議事の公開について確認したいと思いますので、事務局から説明してください。

○小野専門官 議事の公開について、お手元の資料3に沿って説明いたします。議事の公開については、一番下の※に書かれているとおりで、厚生労働省が定める「審議会等会合に関する公開の指針」に沿ったものです。研究会は原則公開。ただし、次の1~4、例えば個人に関する情報を保護する必要がある場合など、座長が非公開とすると判断した場合には非公開とするとしています。

○今野座長 よろしいでしょうか。面倒なので、毎回公開にしますかどうかという確認はしません。そういう必要があったときだけ皆様の御意見を頂くことにさせていただきます。

 議事次第の2番目の「労働市場政策における職業能力評価制度のあり方について」、事務局に、このテーマに関わる最近の状況や論点を整理していただいています。まず、その説明を伺ってから議論したいと思います。

○伊藤課長 能力評価課長の伊藤です。座長からお話がありましたように、議題2に関わる配布資料7までと参考資料について一括して説明いたします。本資料と参考資料はそれぞれホチキスで束にしています。基本的には本資料に沿って説明いたしますが、一部、参考資料も御覧いただく部分がありますので、参考資料シリーズも横に置いて説明をお聞きいただきたいと思います。時間の制限もありますので、できるだけポイントを絞って説明し、必要に応じて後ほどの質疑で補足したいと思います。

 まず、資料4を御覧ください。本研究会で検討をお願いする背景、前提等の枠組みのポイントについて簡単に触れさせていただきます。6月に閣議決定されました「日本再興戦略」の「多様な働き方の実現」「多元的で安心できる働き方」の導入促進の項の中に、業界検定等の能力評価の仕組みを整備し、職業能力の見える化を促進するという、本研究会に直接関わる方向性が示されています。それ以外にも、例えば参考資料の2ページ以下に示していますとおり、本年4月の「人的資源活用検討会」等の様々な場面で職業能力の見える化と労働市場政策の関わりなどについて提言されています。こうした方向性を踏まえ、資料の左側にあるとおり、人材力強化の必要性、円滑な転職支援の必要性、また、多様な働き方の実現支援の必要性等の観点から、いわゆるジョブ型労働市場を重点に業界共通の能力評価の「ものさし」、キャリア・ラダー(Career Ladder)とも言い換えられるかもしれませんが、こうしたものを整備し、経験・能力等に応じた採用・処遇がなされる基盤を整備する必要があるのではないかということが、この研究会を開催させていただくことになった大きな問題意識です。

 それに対応して、右側にあるとおり、後ほど補足説明いたしますが、業界検定等のツールの策定、また、様々な教育訓練プログラム、また、多様な正社員モデルの普及との結び付けといった基本的な政策、問題意識を持っています。特に、多様な正社員モデルの普及・促進との関わりに関しては、先の産業競争力会議でも大臣から2ページにあるような資料でプレゼンテーションを行っています。

3ページを御覧ください。改めて、職業能力評価の現行労働市場政策、制度上の位置付けについて簡単に触れさせていただきたいと思います。下の囲みにありますとおり、現行の職業能力開発促進法や雇用対策法の中で技能検定を含む職業能力検定、また、職業能力の評価のための適正な基準の設定などの労働政策上の位置付けについて規定されています。能力評価それ自体が技能振興に関わる中心的な仕組みであると同時に、この図にあるとおり、教育訓練に関わる施策、就職支援に関わる施策と相まっての労働市場政策上の重要な位置付けをもともと備えたものであるということです。

 教育訓練との関わりでは、資料にあるとおり、能力評価のものさしが教育訓練の目標設定、動機付けになったり、また、能力評価の成果を求人・求職者それぞれの側で客観化することによるマッチングの効率化といった成果・効果が期待されます。日本再興戦略の方向性などを鑑みれば、資料の右側にあるような、職業能力の見える化の観点で、それぞれの仕組みの的確な質保証を図ること、また、労働市場政策の観点から、これらの各関連制度を統合的に設計・運用し、そのための共通基盤の整備をすることが求められているのではないか。そのような問題意識を事務局として持っています。それに関わる現行の主な制度、技能検定制度、職業能力評価基準については、後ほど詳しい資料がありますので、ここでは省略いたします。

5ページを御覧ください。今回、御議論いただくに当たって、そのテーマとなる職業能力の構造・評価について、どのように捉えるべきなのか、事務局としての試案です。左側にある職業能力の構造は、後ろでまたより詳しい資料で説明いたします。上にあるのは、職業能力のうちジョブ型労働市場で特に重視される業種・職種固有、また、業種共通性の高い能力に特に着目した上で、知識、技能、実践力といった、能力のそれぞれの特性に応じた実践的な評価の枠組みなり、個々のツールの整備が必要ではないか。試案として、このような問題意識に触れた上で、右側にあるとおり、そのために能力評価体系・ツールが満たすべき要素として、業界の主体性、質保証の観点での国の関与の必要性、レベルに関わるものさしの必要性、それぞれの能力要素・側面に適合した評価手法の設定・組合せの必要性といった基本的な考え方について触れ、右下のとおり、こうした問題意識の下での具体的な取組を挙げています。

1つは、今度の概算要求に「業界検定スタートアップ支援事業」を盛り込んでいます。その具体的な内容は次のページのとおりです。これまでの職業能力評価基準に関わる予算の中の1つの項目という位置付けですが、非正規雇用労働の活用が進み雇用吸収力がある、ジョブ型市場が形成されているといった、一定の要件を満たす業界団体を主体とし、委託事業の形で厚生労働省としてサポートしながら、中身としては能力評価基準などをベースに、能力分析、能力を客観化できる評価ツール(検定等)の整備、評価者の育成、また、これらの試行的運用等に取り組む。そのためのスタートアップ支援として、予算規模としては、今回の概算要求に約15,000万円を盛り込んでいます。このような取組を、実践やモデル創出を進めながら、冒頭に局長からも申し上げたような、能力評価制度体系のあり方全体について、第一人者の皆様方に労働市場政策の観点御議論いただくために本研究会を開催するものです。

7ページのポンチ絵は、先ほどの要綱の内容とほぼ同様ですので説明は割愛します。

 次に、より具体的なデータ、制度を紹介いたします。8ページを御覧ください。この一連の資料は、この研究会でのターゲット設定に関わる資料です。まず最初に、雇用形態という着眼点のものです。これは参集者の皆様にはよく御案内のとおりですが、雇用形態を正規・非正規と分けた場合に、非正規が増加傾向で、現在35%台という高水準にあるというデータです。

910ページは、雇用動向調査によるもので、産業別、年齢階級別の入職・離職のフローを示したものです。産業別に見ると、こちらにあるとおり、卸売・小売、宿泊・飲食サービス、医療・福祉といった分野が特に入職のボリュームゾーンになっています。年齢別に見ると、本データには学卒就職も含まれるので必然ではありますが、20代前半、20代後半といった若年層が入職・離職のボリュームゾーンになっている点が、これらのデータから確認されます。

11ページ以下は、少し違う切り口で、マッチング機関における取扱いという観点からの、産業別・職種別内訳です。私どもの手元にあるこのような詳細なデータはハローワークのものなので、こちらはハローワークにおける産業別・職業別の新規求人等のデータです。産業別の新規求人では、シェアが15%以上のものを網掛けにしていますが、卸売・小売、医療・福祉サービスなど、先ほどの雇用データと大体重なり合うような傾向が出ています。

12ページは、同じく職業別の新規求人シェアです。4%以上のものを網掛けにしています。医療専門職、社会福祉専門職、事務、商品販売、飲食物調理、自動車運転といった職種のシェアが高い状況が見て取れます。

 また、需給関係について、職業別の有効求人倍率で示したデータを次のページに掲げています。こちらもやはり、医療・福祉専門職、販売類似、家庭生活・衛生等のサービス、保安等の職種の求人倍率が高い。求職者数との関わりで求人ニーズがより大きな職種、一般的な意味でマッチングニーズが高い分野と言えるのではないかと思います。

 次に、14ページ以下では、現行の能力評価に関わる制度、その実績などについて紹介しています。14ページは、職業能力評価制度として4つの制度を掲げています。大きくは、左側の3つがいわゆる検定制度です。右側の、職業能力評価基準は検定制度そのものではなく、職業能力に関わる業種・職種別のある種のディクショナリーとして御理解いただきたいと思います。

 左側3つの大まかな関係だけ申し上げます。技能検定は、法律に基づく技能検定、公証制度で、いわゆる名称独占型の資格の1類型です。認定技能審査、認定社内検定については、大臣告示により、民間、非営利団体、個々の企業が実施する検定・審査で、一定の質を満たすものとして厚生労働大臣が認定するという仕組みです。手法については後ほどまた補足しますが、実技試験、学科試験等によるもので、この3つの仕組みはかなりの程度共通しています。技能検定との関係では、認定技能審査は、特定地域のみに存在する観点で技能検定とは競合しないものです。また、認定社内検定については、後ほど企業特殊スキルの説明もいたしますが、個別企業における先端的評価に値する能力評価で、技能検定を補完するものという観念整理をしています。

 技能検定制度については、1516ページに少し詳しい資料が出ています。制度は多くの参集者の皆様に御案内のように、現行128職種のうち、指定試験機関方式で、民間指定の自主方式によるものが16ページの赤線の14職種です。これまで製造・建設分野を中心としていたものに、これ以外の特定分野について指定試験機関方式の技能検定制度が付け加わっています。また、この指定試験機関方式を導入した平成14年以降、技能検定受検申請者数が大幅に増加しました。ただ、従来型の都道府県方式でも受検申請者が減っているわけではなく、資料中の緑のグラフのとおり、28万人前後でプラトー状態にあるという点を御確認いただきたいと思います。

17ページ以下は、技能検定制度について今回初めて算出、お示しするデータで、技能検定カバレッジです。カバレッジという場合、技能検定制度が制度的に世の中の職種のどのぐらいをカバーしているかという視点、それから、実際に技能検定を受けている人がどれぐらいかという、2つの視点があります。17ページ以下の資料は、最初の、制度的カバレッジです。技能検定128職種に関して、国勢調査の職業分類小分類と原則11で対応付けした場合、国調ベースの当該職種の就業者数が全就業者に対してどれぐらいの比率かという観点で積み上げたものです。これによりますと、全体が6,000万人弱の全就業者のうち、技能検定職種と11で対応する職業分類の就業者数の積み上げは2,000万人弱で、下にありますとおり、単純シェアとしては33.7%、3分の1です。仮に、分母からライセンス型、公務員型、プロスポーツ選手等の国家検定がなじまないと通念されるような分野を除いた場合には、4割弱のシェアです。

 技能検定による技能士の実数等の、先ほど申したうちの第2の意味でのカバレッジについては、別途、把握に努めています。

 認定社内検定、認定技能審査については、2223ページに詳しい資料をお示ししています。具体的にどのような分野、どのような業界が実施しているのか。認定技能審査では、例えばCADトレース、葬祭ディレクターなどが、現在、受検者数では大きなウェイトを占めています。その辺りのイメージをお持ちいただきたいと思います。

24ページ以下は、検定以外の能力評価に関わる主な仕組みとして、能力評価基準についての説明です。これは、先ほど申し上げたとおり、ある種の職業能力ディクショナリーです。

 特徴の1点目は、対象分野として、技能検定等に比して、サービスその他の、いわゆるものづくり分野以外の分野にかなりウェイトを置いています。24ページの下に示したとおり、対象業種は現在50業種あります。内訳を御確認ください。

 もう1つの特徴について、25ページを御覧ください。ここでは、例としてスーパーマーケットを挙げています。業種を特定した上で、当該業種の代表的な職種をピックアップします。例えば販売、例えばチェッカー、例えば店舗運営です。それを、レベル14といった共通のレベル設定をした上で、当該職種の能力ユニットに関わる、代表的・典型的な職業能力を列挙する。そういう意味でのディクショナリーで、その1例が25ページの右側です。「○○の業務を遂行している」「○○の対応をしている」といった行動様式に着目した記術内容になっています。

 この職業能力評価基準は、平成1314年に着手して、当時の中高年ホワイトカラーの再就職問題等も念頭に置いての、エンプロイアビリティ向上対策、ある種のコンピテンシィ対策という問題意識で開発されて、このような設計になっているものだということで大枠を御理解いただきたいと思います。この評価基準をキャリアマップや能力評価シートの観点でコンバートしつつ、企業の採用選考、能力開発等の支援、いわばテンプレートとして活用しています。

 能力評価基準とともに、労働行政に関わるある種の職業能力ディクショナリーとして活用されているものについて説明いたします。もう1つ、27ページ以下に示しています、高・障・求機構が開発・運用をしています「生涯職業能力開発体系」があります。具体的な内容については、29ページの図を御覧いただくとイメージが湧くと思います。こちらも、職務・能力要素・細目という体系を設けた上で、必要な能力をディクショナリー的に整備するという意味では、職業能力評価基準と相当程度類似しています。相違点としては、高・障・求機構は職業訓練に関する専門機関なので、30ページにあるとおり、職業能力開発体系をいろいろな観点で活用していますが、その最大の眼目は教育訓練コースの開発で、習得可能性の高いスキル、ナレッジという観点に主に着目して、分析・整理しています。29ページの下の図にもありますとおり、知識、技術・技能という観点で記述して整理をしていますので、御確認いただきたいと思います。

 それ以外にも、31ページにある「ビジネス・キャリア検定」。これは、もともと平成5年に、当時の労働省の事業として、事務系職種の技能検定的役割を担うものとして、予算事業として運営してまいりました。その後、平成21年の行政刷新会議の事業仕分けの対象となりまして、現在は中央職業能力開発協会の自主事業という位置付けの下で、8分野14部門の事務系職種に特化した形で試験を実施しています。実績は31ページの下に掲げているとおりです。

 職業能力の体系整備の先例の1つとして、32ページ以下に、内閣府が中心となって整備してまいりました実践キャリアアップ戦略である「キャリア段位制度」の概要を示す資料を添付しています。介護プロフェッショナル、カーボンマネジャー、6次産業プロデューサーなど、成長分野に対応する職種に焦点を絞った上で、ここにあるような共通のレベル設定をし、評価者(アセッサー)の養成を行い、個々の労働者の能力評価の取組が進められているものと理解しています。

 次に、34ページ以下は、職業能力、職業資格制度の構造についてです。これも多分に試案的な資料ですが、説明いたします。「職業能力」の構造に関して、今回この研究会で御議論いただくに当たりまして、参考資料の22ページ以下に添付しているとおり、国、民間、個々の学識者の方々、また、OECDをはじめとする国際機関による、私どもが考える職業能力に関する様々な分析を掲げています。34ページにありますとおり、こうした様々な研究なりプロジェクトを通覧しますと、おおむね共通し、何らかの方法で測定可能、生産現場で価値を生み、ひいては募集採用、人事評価等の場面でインデックスとなるような、おおむね、労働者の保有する能力という共通的な捉え方がされているのではないか。また、職業能力を分類する軸として、次にあるような、業種・職種特殊性があるのか、また、共通・普遍的なものなのか、企業特殊性が高いのか共通性が高いのか、潜在性が高いのか顕在化したものなのか、教育訓練などによる開発可能性が高いのか低いのか、そして、適合する評価方法。代表的にはこのような軸の下で、職業能力についての様々な分析がされていると理解しています。そうした「軸」を当てはめると、おおむねこのような全体構造の整理ができるのではないか。それが、34ページの台形の図です。職業能力そのものではありませんが、その基底となるような価値観、人格。最近は非認知型能力という言い方をされていますが、そういった能力が基底としてあった上で、具体的な職業能力の中での一番の基底としては、知的能力、対人関係能力など基礎能力があり、その上に業種・職種個有の能力があり、これを更に先ほどの軸で分類すると、業界内共通能力と企業特殊能力という分け方が可能ではないか。また、その2つの分野に共通して、能力の性格という意味で、知識(knowledge)、技能(skill)。さらに、これらを活用する力を含めた実践力といった大まかな分類が可能ではないか。冒頭に申し上げたように、今回の研究会開催に至る私どもの問題意識からすると、この台形の図の赤点線の部分の、業界内共通能力に主に着目して御検討いただく必要があるのではないか。そういった、私どもの大まかな問題意識を仮の試案としてここでお示ししています。このような基本的な考え方についても、御指摘、御議論いただきたいと思います。

 以上申し上げましたようなスキームを、具体的な制度に当てはめた場合にどのようなことが言えるのか、35ページを御覧ください。技能検定制度に関して言えば、技能検定で行っている学科試験、実技試験です。後ほど質疑の中で具体的な手法について補足したいと思いますが、ここで直接、評価・測定しているのは、先ほどのスキームで言うと、知識・技能の部分であると私どもは認識しています。この技能検定は、右下にあるとおり、一定の準則訓練、就労、一定の実務期間を有する、このような受検資格を設けています。こうした受検資格を満たすことが、ある種、確率的ですが、行動特性・思考特性等を含む実践力を間接的に担保していると言えるのではないか。まだまだ、私どもとして実際に運営しながらで、この辺りの考え方の整理が不十分な部分がありますが、スキームと現行制度とのおおまかな関係付けとしてお読みいただきたいと思います。

 これまでの説明は、主に能開法に基づく体系を主体としていましたが、翻って36ページは、世の中にあまたある職業資格全体がどのような形でマッピング可能かという観点で、違う視点で整理したものです。一般的に、様々な職業資格については、資格付与者としては、国家試験、公的試験、民間資格。資格の効力の観点では、業務独占、名称独占、その他の能力認定。このような分類が一般的に可能ではないかと思います。また、職業資格制度の機能・目的の観点を考えると、多分に観念的ではありますが、生命・安全の確保、スタッフの能力・質保証を通じた製品やサービスの質保証。また、そういったものに余り影響しない、能力習得の動機付けといった分類も可能ではないかと思います。

 これらの二次元マトリックスの下で、日本において比較的代表的と思われる職業資格を、あくまでも相対的な差異ですが、マッピングしたものが36ページです。その地の部分に、LicenseCertificationQualificationという概念を、多少、無理矢理ですが、当てはめています。EUOECD等をはじめとする国際機関における職業資格の議論上は、このような、LicenseCertificationQualificationといった分類がなされており、このマトリックスの中でこの3つの概念を当てはめると、このような関係になるのではないかと思います。ただ、改めて考えますと、一般的に「免許」と訳されるLicenseは一定の資格を持っているということで原則禁止されている事項を解除するということで、この意味合いは明確ですが、CertificationQualificationについては、OECDの定義などもここに付していますが、日本的に考えた場合には絶対的な差異はなかなか見出しにくいのではないかと思います。この辺りの資格制度の構図や分類の軸などについても専門的な見地から御議論、御意見いただければ有り難いと思っています。

 最後に、資料7を御覧ください。今まで申し上げた材料なども踏まえ、私ども事務局として本研究会で御議論いただきたい主な論点を、たたき台としてお示しています。先ほどの要綱の検討事項を書き出したものです。

 まず、大きな1点目は、労働市場政策上の評価制度の意義です。先ほどの資料にもその一端が出ていますが、評価の対象とすべき能力の要素、構造について、先ほど試案的に申し上げた幾つかの軸なども念頭に置いて、どのような捉え方ができるのか。こうした職業能力要素とこれに適した評価方法の関連性をどのように捉えるべきか。これらを踏まえ、関係者の能力評価に関わるニーズをどのように捉え、冒頭から申し上げているような今日の労働市場政策上の主要な視点の観点から、能力評価基準、検定制度を含めた能力評価の仕組みにどのような意義を見出すべきなのか。これらのごく基本的な観点が1点目です。

 大きな2点目は、具体的に、現行の各種検定制度の意義・課題として、技能検定制度、認定社内検定制度、能力評価基準等をはじめとする現在活用・運用されている様々な検定・評価基準について、1番に挙げたような問題意識の下で、どのような効果・課題があるかといったものです。

 大きな3番目は、これらを踏まえての今後の能力評価制度のあり方です。今回の概算要求の中に、業界検定スタートアップ支援事業を盛り込んでいると申しましたとおり、現行で国が関わっていない、民間スタンドアローン型の様々な業界検定があるのですが、こういった業界検定について、12の議論を踏まえた上で、どのように見立てるか。また、そういった仕組みの中で国が関わることの意義・課題をどのように捉えるのか。

 職業能力評価については、国際機関や主要先進国でも様々な議論、取組がなされています。そういった諸外国の取組を、我が国における職業能力評価制度のあり方を考える上で、どのようなインプリケーションがあると捉えられるのか。さらに、能力評価制度だけではなく、職業訓練、キャリア・コンサルティング、ジョブカード、また、ハローワーク等とのマッチングといった関連施策との効果的な関連付けのあり方も重要な点ではないかと思っています。

 その他、今後の能力評価制度や関連する仕組みのあり方に関連して、いわば内部労働市場、人事・労務管理との関わり、能力評価策を担う専門人材のあり方。就職などの観点ですぐに成果が把握しにくい、また、アピールしにくいという問題意識を私どもは持っていまして、能力評価制度やその運用の成果をどのような指標・手法でモニターすることが可能なのかといった点も重要な課題ではないかと思っています。

 大変雑駁ですが、最後に紹介いたしましたこの研究会の論点・たたき台も含め、議題2に関する素材となる資料について一渡り説明いたしました。

○今野座長 最後に論点が出てきましたが、こんなにたくさんの論点を今年度末までにやれということです。我々がいろいろなことを議論して、いろいろ要求をしても、全部事務局が応えるということでしょうから、こういう日程を設定したということはそういうことだと思っています。そういうことを踏まえて、今日は自由に議論したいと思います。今説明していただいた資料の中の質問でも結構ですし、それとは別に御意見でも結構ですので、御自由にお願いします。

 議論しにくかったら、この資料の質問にしましょう。そのほうがやりやすいかもしれません。質問はありますか。ここにはこんなことが書いてあるけれども、これは本当かとか、御自由にお願いします。

 質問がないようでしたら、私からさせていただきます。幾つかありますが、1つは、今日、技能検定のカバ率のデータを出していただきましたが、職種分類と技能検定職種とマッチングさせたわけですね。作られた感じとしては、11でマッチングというのは難しいと思うので、例えば職種分類のほうが少し広めで、その中に技能検定の職種が当てはまるという関係だったら、先ほどの33%が上限だと考えればいいのですね。逆であれば下限だと考えればいいのですが、その辺りは作られた感じはいかがですか。

○伊藤課長 本体資料の17ページ以下を御覧ください。今の座長の御指摘を踏まえて補足説明をいたします。先ほど申し上げましたように、オーバーエスティメイトにならないように、可能な限り技能検定職種と国調の職業分類を11で対応させました。ただ、座長からも御指摘がありましたように、その概念の幅はもともとぴったりのはずはないわけで、全体的に言うと、17ページに代表例を挙げていますが、技能検定職種の「造園」と職業分類の「植木職、造園師」、この辺りはほぼ11の対応と見ていいだろうと考えております。

 次の「機械加工」と「金属工作機械作業従事者」については、厳密に言うといろいろ入り繰りがあり得ますが、感覚的には技能検定職種のカバー率が少し狭いと見るのが妥当ではないかと思っております。

 もう少し複雑なものがあって、技能検定の「ファイナンシャル・プランニング」職種と職業分類の「会計事務従事者」です。専門家の参集者の皆様は、これは一見して少なくとも11ではないと見て取られるかと思いますが、一般的に考えると、あるいは量的に考えると、職業分類よりは狭いと思っております。ただ、逆に職業分類の会計事務従事者以外の職種にファイナンシャル・プランニング技能検定を受検した者、あるいは合格した技能士が存在することも事実です。ですから、この3番目の類型はある種「ベン図的」な関係で、ただ、総量で見た場合には技能検定のほうが狭いと見込まれると。相対で見た場合には、座長から御指摘いただいたように、ある種の上限値的な性格を持っている。ただし、既存の統計の中では最も実態に近い、オーバーエスティメイトの可能性を可能な限り小さくするという発想で推計をしたものということで御理解いただければと思います。

○今野座長 ファイナンシャル・プランニングの場合は、職業分類より、こちらの職種のほうが大きいですね。大きいものと小さいものがありそうですね。

○伊藤課長 そういう限界がある中でのある種の推計です。

○北浦参集者 1つは、今野座長がおっしゃった次のところで、1718ページですが、「国家検定試験がなじまない職種」という言い方でくくられています。確かに芸術系等いろいろありますが、見てみると国家資格になっているものがあるわけです。それは検定試験になじまないというよりは、資格試験があるので、それはあえてやっていないということであって、評価できないということとやれないということは少し違うという感じがするのです。その辺りはあえて一緒にされたのかなという気がするので、その確認です。

 もう1点は、「職業資格」ということで、「資格」という言葉もいろいろ丁寧な御説明をされていますが、これもよく分からないというか、かなり多義的に使われているところがあります。いわゆる民間資格といった場合に、例えば学芸上の資格、いわゆる文部科学省などでやっているような検定試験みたいなものも「資格」と呼んでいたりします。そういうものは職業上の資格になるのかならないのか。これはストレートにはなっていないけれども、そういうものが知識・技能の一部を検定しているわけです。そういうものも、本体ではないけれども、こういうものの外縁として考えなくてよろしいのか、その辺りは視野に入るのかどうか、この2点をお願いします。

○伊藤課長 1点目ですが、17ページの囲みの部分を御覧ください。少し分母を絞った形での試算ということで、幾つかの類型に該当すると思われる職種を分母から割愛したわけです。これが同じ性格のものではないという点は、北浦参集者から御指摘のあったような認識を私どもも同様に持っております。業務独占性を有した資格を有する場合に、現実的に制度的に独占性を持っているということで、名称独占たる技能検定制度を同じ分野で設定をすることは不可能ではないけれども、実質的に機能しない、あるいは付加価値が非常に小さいと思われるという意味合いです。あるいは、プロスポーツ選手や芸術家に関して言えば、個別性にこそプロフェッショナル性の源泉があるので、検定といった標準化、共通化の方法での能力評価の仕組みはなじまないだろうという観点で除去しております。除去している意義については幾つかの類型に分かれますが、ここではいずれにしても一般的に考え、技能検定制度の設定が考え得るか考え得ないかという1つの軸で当てはめた場合に、当てはまりにくいものということで除いたということです。ただ、除いた意味合いは多様であるということは、繰り返しになりますが、北浦参集者の御指摘のとおりです。

 後半に関しては、今回の研究会のテーマの一番核心に関わる部分で、事務局としても自信を持って答えにくい部分ではあります。先ほどCertificationQualificationの関係はなかなか難しいと申し上げましたが、更に一般的な資格ということで、例えば広辞苑などでは「資格」について「身分や地位。立場。また、そのために必要とされる条件。」と、分かったような分からないような解説がされていますが、当然のことながら、こうした一般的な資格(Qualification)の概念の中に「職業」があらかじめ埋め込まれている、限定をされているものではなく、広義の資格の中にもいわゆる職業資格そのもの、明らかに一般教養、趣味と職業と無関係のもの、先ほどの北浦参集者の言葉をお借りすると「外縁」、少し距離はあるのだけれども、あるいは職業能力の一部を構成するのだけれども、特定の職種の職業能力を代表するという効果・性格は有しないものと、幾つかに分類が可能ではないかと思っております。

 今申し上げたような非常に大づかみな3つの分類で言うと、職業との関連性がないものに関しては、事務局の考え方としては今回の研究会で御議論していただく必要はないだろうと思っております。3つ目の類型に関しては、場面によって御検討いただく必要があることもあり得るかとは思いますが、冒頭より申し上げているように、今回の研究会を開催するに当たっての事務局の問題意識からすると、中心的な課題ではないのかなと。必要に応じて関連する資格ということで、この資格のこういう点について分析をということであれば、事務局として対応したいと思いますが、メインターゲットとしては必ずしも考えていないということを申し上げたいと思います。

○今野座長 今の北浦参集者の御質問の前半の件ですが、17ページのなじまない職業のデータは使わないほうがいいと思うのです。「なじまない」というのは曖昧ですから。野球の選手でも、作ろうと思えば作れます。100mボールを投げられたら1級とか。

○松浦参集者 お話を聞いているうちに少し混乱してきたので、確認をさせていただきます。この研究の中で議論するのは、5ページの一番左の図で言うと、業界内共通能力が全面に立っているのですが、一方で課題意識のところでは産業間の円滑な労働移動とあって、業界内で職業能力を見える化して、業界内で適正にマッチングをするという議論と、産業界で業界をまたがってマッチングをするという議論では、職業能力評価基準の考え方も相当変わってくると思うのです。ここの研究会のスタンスとしては、どちらかに重点を置くのか、両方ともフラットに議論するのかを確認させてください。

○伊藤課長 事務局の問題意識は、今日の資料の1番などで説明しておりますが、この研究会を開催する主要な端緒としては、産業競争力会議の議論を通じた多元的で安心できる働き方導入、多様な正社員モデルの普及・促進といった観点です。この場合には、今、産業間、あるいは業界内といった話がありましたが、更には企業内での雇用形態の転換も、当然この中には含まれ得ると考えております。こうした企業内での雇用形態の転換、更には松浦参集者からお話のあったような業界内、産業間の労働移動等いろいろな形態があり得て、その中で今回の議論の端緒を踏まえるならば、1番の左側にあるようにジョブ型労働市場、当該業種・職務における専門的な、専門的なと言ってもいろいろなレベル設定があり得ますが、職業能力に着目をし、採用選考、あるいは雇用形態、処遇等の決定がなされるような分野という枠組みの設定の考え方を持っております。繰り返しになりますが、今のお尋ねの関係で言うと、企業内なのか業界内なのか産業間なのかについては、あらかじめ私どものほうで限定するという考え方はもちろん持っておりませんし、どこに重点を置くかについても、必ずしも明確な方針をあらかじめ持っているわけではありません。ジョブ型労働市場におけるキャリア・ラダー、「ものさし」の整備が必要ではないか。これが出発点としてあり、それを踏まえるならば、これは仮説ですが、5ページの左側にあるように、業種・職種・固有能力の中で業界内共通能力に重点を置くということが考えられるのではないか。これは仮説です。今申し上げた仮説を1つのたたき台にして、様々な観点から御議論いただければ有り難いと思っております。

○今野座長 ということは、松浦参集者の言い方をすれば、フラットでいいのです。要するに何でもやると。1つの例示として挙げたと。多分、この例示を挙げるときに、事務局としては取りあえず業界内で何かを作ろうと考えて、今回の予算でもそうですから、そうなっているからこのようになっているわけで、社会的要請は違うと思います。したがって、議論は更に混乱すると。

○伊藤課長 1点補足ですが、スタートアップ支援によりモデル事業を創設したいと思っている検定の開発・運用の主体は業界です。その業界に向けて、同じ業界の者がこのキャリア・ラダーを使うということももちろんあり得ますし、よその業界からその業界検定を使って、その業界で再就職ということももちろんあり得ます。ですから、業界検定を使う場合であっても、産業間の労働移動の局面で活用されることもあり得ると思っております。

○今野座長 理屈で言えば、業界版を作るときに業界の単位は別に決まっていないから、もし細かく細分化して業界単位のものを作れば作るほど、汎用性がないものを作ることになります。例えば製造業が業界だとすると、非常に広いですね。だから、実際には業界の切り方の問題があると思うのです。

○大久保参集者 資格検定には2つの種類があります。その仕事でどうやって成果を上げるのか、そのためにはどんな職業能力が必要なのかを全体的にカバレッジしたような検定であれば、その資格を持っていることが採用の要件ですと書かれます。

 それに対して、その仕事の求められるたくさんある職業能力の中のごく一部の能力検定の場合、特に実技を保証しているものではなく、知識だけを保証しているものだと、実際には労働市場の中で使われて浸透することは考えにくいと思っております。前者のように、具体的にこれから求人として募集に乗ってきそうな、あるいは増えてきそうな職業そのものを実践的に能力評価するものを作るという話ならば、それができれば目的にかなうのでしょうけれども、そうでないものが世の中にたくさんあり過ぎて問題を感じています。質問としては、この研究会のテーマをどちらを念頭に置くのかということです。その辺りはどのようにお考えでしょうかということです。

○伊藤課長 先ほどの座長の業界のユニット、大きさの捉え方というお話と、今の大久保参集者のお話とは相通ずる部分のある御指摘、御質問と受け止めております。1点目の業界検定に関して、開発・運用側と考えた場合には、具体的な事業所の受皿が存在しない限りはこういった仕組みはあり得ないので、およそ一般的に業界団体として構成をされているユニット、そこにおける代表的な職種ということを念頭に置きつつ、実際の業界検定については、仮に予算が確保された場合には企画競争といった方法での選定になってくるのだろうと思っております。

 その上で、今の大久保参集者の御指摘に関してですが、それぞれの職業を捉えた場合に、その職業における求められる職業能力を相当程度幅広く、かつ実践的に評価できるツールが望まれます。ただ、現実に世の中でそういう観点で労働市場上機能しているものが極めて限られているからこそ、こういう研究の場が必要であることが私どもの問題意識の出発点です。

 限られた能力を測定している様々な検定や職業資格が現実にワークしているのかどうかに関しては、私どもも既存のデータ、今日は時間の関係もあって割愛しましたが、能力開発基本調査などによる事業所における技能検定を初めとする職業能力の活用状況等、21ページにお示ししているので、また御覧いただければと思いますが、全体としては何らかの能力評価を実施している事業所はこの調査対象の6割以上あります。その事業所を分母とした場合に、資格を利用している事業所は5割強、更に採用・配置展換、昇進などに技能検定を活用できる事業所も4割あって、活用しているかしていないかという観点で言うと、こういう既存のデータを通じては一定比率の事業所が技能検定制度を初めとする能力評価検定制度を活用していると。ただ、そこは従前から活用されているのかどうか、あるいは大久保参集者が先ほどおっしゃった求人票に現れているのかどうかというのは1つのメルクマールだと思います。これはまだ私どもは定量的にはしっかり把握し切れておりませんが、いわゆる免許や業務独占型以外で求人票に資格が明記されているケースは非常に少ない。十分に活用されていないという話に戻ってくるのですが、それでは少数ながらも活用されている事例があるのかどうか。活用されていないとすれば、何が隘路なのかについて、私どももそれぞれの資格制度の類型に応じて個別の事例を把握していく必要があるのではないかと思っており、今回の研究会の開催に並行する形で、例えば技能検定に関わっている企業、これは都道府県方式・指定試験機関、それぞれあります。それ以外にも、認定技能審査、社内検定といったものを活用している企業等に対する個別のヒアリングを、今、実施しており、次回以降、そういったヒアリングを通じて把握をした、どの部分では活用している、どの部分では活用していないという状況についても報告したいと思います。

 ただ、先ほど指定試験機関方式の技能検定について御紹介した際、職種とどんぴしゃではないと。ファイナンシャル・プランニングしかり、知的財産管理などもそういう側面があるかと思いますが、その一方で、企業の中で知的財産管理の技能検定について社内の職能要件に結び付け、昇格の条件にしたり、あるいは採用選考の基準の1つとして活用しているという事例も皆無ではない。今、個別にヒアリングしている中でも、少数ながらそういう事例も把握しておりますので、その辺りは活用している着眼点と活用できていない背景等については、次回以降材料を御提示したり、後半で御議論いただくように、企業関係者のヒアリングなどもこの研究会で実施をいただければと思っております。そういう議論を通じて、参集者の皆様のいろいろな御指摘、御意見を頂ければと思っております。

○大久保参集者 何に活用するかがとても大事だと思うのです。多くの資格検定は何に効いているかというと、自己啓発に効いているのだと思うのです。その資格を取ろうということが学習の目的になる。そのため、教育機関がプログラムを作って、ビジネスになるということだと思うのですが、では取ってどうなるのだというと、出口がないものが現実にはたくさんあるのです。育成や処遇の場面にそれが出てこないと、本来の目的にはなかなか到達できないと私は思うのです。育成や処遇に出てくるものは、自然に求人にも出てくるわけです。その辺りも、少し具体化してみたほうがいいのではないかと思います。

○今野座長 今の点に関して補足します。一番いい例は製造業の技能検定だと思いますが、あれは昇格や能力開発に使っていて、大企業の場合は人事管理に完全に組み込まれており、ここからここに昇格するには技能検定何級を持っていることというのが必要条件の1つになっているのです。そういう点ではよく使われています。

 しかし、採用に使われているかというと、余り使われていない。どうしてかというと、中途採用しないので、入り口で採用しているから、グリーンボーイがほしいといったときには使われない。そういうことになっているという感じがするので、大久保参集者が言われたように、企業内で昇進・能力開発に使えれば、採用に自動的に使われるということにはならないのではないかと。中途採用が多ければそういう形になるだろうけれども、大企業の場合はそうでないケースもあり得るかと思います。

○谷口参集者 事務局サイドに伺いますが、資料の1ページで大変基本的なところで確認をしたいと思います。職業能力の見える化の必要性が、そもそもこの研究会の発端であるということは間違いないと思いますが、先ほどの御説明で業界内での職業能力の見える化、評価が1つ重要なポイントだという御説明をいただきました。私はそうかなと、果たして業界内が職業能力の見える化を望んでいるのかどうか、必要としているのかどうかという点についてやや疑問を感じます。なぜかというと、業界内ならば、例えば業界内の移動を考えれば、現状でも少々詳しい職務履歴などで大体は想像がつくわけです。採用や、求職者側も自分の力を表現できると思いますが、そういう意味で本当に能力の見える化を必要としているのは、産業間の移動ではないかと素朴に思うのです。

○伊藤課長 企業の側の立場なり実態を捉えた場合、先ほど大久保参集者からも御指摘もあったように、求人票や採用選考の方法に端的に現れると捉え直すと、ハローワークの求人票に現れている募集採用選考、高度な専門職に関しては特に都市部では職務経歴書などを用いての採用選考を行う比率が高まってきていることは事実ですが、今日、御説明したジョブ型労働市場で比較的経験や能力レベルの低い、エントリーに近い層で言うと、職務経歴書を採用選考の応募書類としても使われている例はまだまだ少数で、履歴書と面接時の非常に簡単な志望動機の確認などでマッチングが行われているケースが多いのではないか。

 翻って、企業の立場とは別の応募者、労働者の立場で考えた場合に、今申し上げたような実態の中で、当該分野で一定の経験は積んだけれども、それが離職をして同じ業界内、あるいは関連するほかの業界で再就職をする場合に、これまで培った経験能力は評価されにくい。採用時の処遇に反映されにくい。そういう労働者の側のキャリアアップという側面での課題は、少なくとも存在するのではないか。既に有している、あるいは様々な能力開発の手立てによって、公的訓練等の施策によって向上が図られた能力に関して、採用時もその後も適正に評価されるような仕組みは、少なくとも労働者の側から見た場合に必要であると。ただ、同時に労働者のニーズにだけ合致した仕組みであれば、それがワークしないのは当然なので、企業の側のニーズにも即した形での仕組み、仕掛としてどういうことが考えられるのかという問題意識を持っております。業界のニーズに即するという意味では、こういう要件を満たす必要がある、こういう仕組みである必要があるという点については、是非ともこの研究会でいろいろな御意見を頂ければ有り難いと思っております。

○谷口参集者 私はエントリーレベルだけを捉えて想像したわけではないのですが、仮にそこを焦点化すると、既に厚労省ではYESプログラムのような試みがあったわけですし、それとどのように今回の研究会では違いを見出すのか、もう少し御説明いただきたいと思います。

○今野座長 その前に、私からコメントがあるのですが、それはここで考えろということだと思うのです。私はそうだと思うのですが、意見を聞いてください。

○伊藤課長 先ほどエントリーと申し上げたのは、どちらかというとエントリーに近いという意味合いで、少し言葉足らずでした。まるっきりのエントリーであれば、今日、仮説・試案で説明しているような業種・職種・固有能力の評価という課題はそもそも存在しないわけですので、業種・職種・固有能力、あるいはその裏打ちとしての職務経験や教育訓練受講歴を持っているのだけれど、どちらかというとレベルが低い層に、この能力評価の仕組み整備がより効くのではないかという意味合いだと御理解いただければと思います。

○今野座長 今の谷口参集者の御意見を聞いて思ったのですが、今回の提案ではジョブ型労働市場みたいなものを想定している。これ自身が何かと思うということはあるにしても、ジョブ型労働市場を前提に置くと、業界内資格を重視するといっても、ジョブ型労働市場と言ったとたんに業界を超えてしまうので、業界版資格とジョブ型労働市場は両立しないのではないかと、今、気付きました。ほかにいかがでしょうか。

○内藤参集者 私は、諸先生方と少し分野が違うので的外れかもしれませんが、頂いたポンチ絵の2ページ目を拝見したときに、理想としてジョブ型労働市場のこれからの形成を考えるという意味で、左側に正社員と非正規雇用労働者が並べて書いてあることに注目しました。非正規とは何かというと、頂いた資料の8ページにあるように、現在の段階ではパート、アルバイト、派遣、契約社員、嘱託、その他ということになっています。

 率直に申し上げて、ジョブ型という形になって、非正規と正社員がある一面同等に扱われるというのは、そのジョブに対していくらという賃金が確定され、同一価値労働・同一賃金原則がより実施されやすくなっていくであろう。これは、法律を学ぶ者としても非常に理想的だと思いました。

 しかしながら、現実の社会の中ではそうなっていない。非正規と正社員(正規)がほぼ同じと思われる仕事をしていたとしても、それは企業に対する日本型雇用慣行から、長期雇用のもとにある者と、短期若しくはパートタイマーである者とは、ロイヤリティが違う。若しくは今はまだやっていないかもしれないにもかかわらず、将来マネジメントに関わるということで、何らかの形で単位時間当たり賃金にかなりの差が出てきている、これが現状だと思うのです。そう考えたときに、非正規雇用の労働者の存在を、おっしゃるところの職務型の働き方とか、そういうジョブというものをいかに評価するかという場面に、どう入れていこうと考えているのでしょうか。

 逆に違った視点で申しますと、結局正社員と非正規の間に、単位時間当たり賃金の圧倒的な差があるというのは、もちろん企業の側にしてみれば人事コストの削減につながってくるわけです。それに加えて、先ほど申し上げた、何という表現を使うのか分かりませんが、ロイヤリティであるのか、あるいはマネジメントに関する能力であるのか、エスティメイトしにくいものを評価しているのだということを、これは表現が少々問題かもしれませんが言い訳にしている。その部分を、今回の議論の中にどのように取り込まれるつもりでしょうか。

○伊藤課長 大変難しい御質問を頂きました。必要に応じて基準局、安定局からの出席者にも補足を頂くという前提で、能開局の立場でコメントさせていただきます。今回は繰り返しジョブ型、あるいはジョブ型労働市場という言葉を、必ずしも定義が定まっていないことは十分承知の上で試案的に使わせていただいています。ジョブ型については、最近はジョブ型正社員といった雇用形態と紐付けた形で表現されることが多いわけです。この研究会の中では、ジョブ型という言葉の中にあらかじめ正社員あるいは非正規労働者といった雇用形態を結び付けるという考え方はありません。その雇用形態にかかわらず、正に職務・職業能力そのものに着目した評価、あるいはその活用のあり方という観点で御議論いただきたいというのが基本的な問題意識です。

2点目は、ロイヤリティ等々のお話もありましたけれども、ジョブ型という言葉と一般的に対置して使われるメンバーシップ型に関しては、今の内藤参集者からの御説明からすると、ロイヤリティ等々、本日資料で御説明しております体系図でいうと、職業能力の更にその下にある職業能力そのものではないけれども、職業能力の基底となっているある種の非認知的能力・属性といった部分も含まれて、ある種のメンバーシップ型の新規、学卒、総合職における採用選考活動が行われているのであろうと一般的には通念をし、本日の資料上もそういうことを若干敷衍させていただいております。

 そういう所との対比関係というものも意識をしながら、念頭に置きながら、逆に先ほど申し上げたような意味でのジョブ型労働市場における採用選考、企業内の内部労働市場、人事管理で一貫して使われ得る、流通し得る能力評価のあり方という観点で御議論いただく。内藤参集者から御紹介いただいた2ページの資料でいうと、左の絵の部分の多様な正社員モデルの普及促進が、日本再興戦略における多元的な働き方シフト実現に関わるもう1つの大きな課題です。こちらに関しては、この資料にもあるように、有識者懇談会等で、雇用管理上の留意点について取りまとめという記述がありますが、労働基準局が事務局となって、このテーマに直接関わっての有識者会議もつい先日立ち上がったところです。

 こちらの有識者会議も、私どもの研究会も、当然のことながら最初から具体的な方向付けがあるわけではなく、ただ内藤参集者から御指摘がありましたように、多元的な働き方実現という観点で、非常に密接に関連するテーマですので、それぞれの研究会、有識者会議の議論を並行して進めながら、私ども事務局相互でもその方向付けについて齟齬が発生しないような形で調整をし、更に言えば今野先生は有識者会議の方の座長であられるということで、座長の立場でも双方の施策の整合性が図れるようにいろいろ御指導いただければという勝手なことを思っている次第です。

○今野座長 ここでは能力評価をしようということです。能力評価をして、あるグルーピングしたら資格となるわけです。その能力と賃金の間には距離がかなりあります。余り良い例ではないのですけれども、同じ能力を持っていても、業界が違えば、つまり会社が違えば賃金が違う。つまり、能力がどう使われるかによって、会社にとっての価値が違うから賃金が変わるというのは合理的だし、普通に起こっていることです。能力と賃金との間は距離がすごくあること。

 もう1つは、今は賃金が能力だけで規定されるという前提ですけれども、もしかしたら他の要因もあるかもしれない。ですから少し距離があります。先ほど内藤参集者が言われたような論点は、それはそれで他のファクターも含めて議論しなければいけないので、「ごめん、ここでは勘弁して」としたい。結論はそういうことなのだけれども。

○内藤参集者 ここであえて議論したいという意味ではなく、実を言うと、この検討会が対象とするのはどこまでか。ひとまず現状を確認してから、一歩前進させるために、どうしても正社員とか、先ほどから先生方がおっしゃる業界内、若しくは企業内の能力のエスティメーション、あるいはそれに対する所の開発という話に落とさざるを得ないと思うのです。先ほどからの議論に私は反対するものではありません。ただ、それを将来に向けて、どう考えるべきか確認をしたいと思いました。今、正に座長がおっしゃいましたように、他の部局の担当かもしれませんが。

○今野座長 私は、基準局はどうでもいいのです。整理しただけの話です。

○内藤参集者 どういう形でここに非正規を入れるのか。非正規雇用労働者の方々が35%を超えておりますので、それを全く無視もできない。しかし、その方々の能力開発とかエスティメーションの話になると、大変失礼な言い方をすると非常に問題が錯綜してきて難しい。その辺りをどう整理するのかと思いましたので、確認させて頂きました。

○今野座長 そのエスティメーションというのは、能力の評価という意味ですね。

○内藤参集者 はい。悪い言い方をすると、賃金が正社員に比べてなぜ半分で済むのだろうか、同じ仕事をしているのにも関わらず、という辺りの問題点は当検討会でどう取り上げられるのだろうか、というご質問です。

○今野座長 私の先ほどの意見は、それが正しいかどうかは別にして、同じ能力を持っていて、同じことをしていたときに、同じ賃金になるとは限らないファクターがあるので、そっちまで含めて考えると、それはそれで大問題になる。ですから、ここではそれはちょっと横に置いて、どこか違う研究会でやってくれ、ということにしたい。ただ、正社員も非正社員も含めて能力評価ができるかどうかは別にして、何か良いインデックスができて対等に測れれば、今おっしゃられたような問題に良い方向で、少しは影響を与えるだろうと私は思います。そっちのほうは、ここの議論のメインテーマにしたくない。能力評価のほうに、ここはフォーカスを当てたいと思っています。

○鈴木課長 職業安定局です。能開局と基準局の話が出ましたが、実は多元的な働き方というのは私の所が全部の取りまとめです。ちょっと混乱があるようなので、若干経緯も含めて御説明いたします。これまで多元的な働き方と言った場合には2つの目的がありました。

1つは、正規と非正規が余りにも処遇や働き方の面で離れているので、そこを相互に流通させるためには階段を作っていこうと。間の部分を作ろうという意味で多元的な働き方というのを推奨してまいりました。

 もう1つは、いわゆるワーク・ライフ・バランスでガチガチに長時間労働をして仕事に縛られて働いていると、ワーク・ライフ・バランスが保てないので、それの一助として多元的な働き方、これは短時間正社員などがそうなのですけれども、そういうのを導入してワーク・ライフ・バランスができる働き方をしていく。

 今回出てきた事例は、ジョブ型と言われている多様な正社員の働き方のもう1つ別の側面があります。これは規制改革会議などで特に言われているのですが、今の正社員の、いわゆる固い形での正社員といいますか、柔軟でない正社員については余りにもガチッとしすぎているので、そこで労働移動が起きない。

 したがって、これまでの古い産業から新しい成長産業に良い人材が流れていかない。そこで着目したのがドイツ型のジョブ型正社員と言われているのですが、ドイツ型は解雇規制が非常に強いにもかかわらず、自分の意思で移動します。これは産別賃金とかいろいろな条件があって動くのだと思うのです。そのように自分から動いていって、それも上方移動ができるという形の正社員制度が日本でも導入できれば、旧来の産業から新しい産業の方に人が流れていくだろうと。こういう形の正社員を増やしていくことによって、日本の今後の発展があるだろうという意識で、ある意味で第3の道がそこで目的として示されたと。

 基準局がやっているのは、その中で従来の形から転換するときに、いろいろ不利益を受ける方がいないようにその制度の仕組みを考えていこう、転換のときのルールを作っていこうということです。能開局がこれに絡むというのは、これが変わるときには当然自分で移動してまいりますから、その能力を適切に評価されて、それが賃金に反映されるような仕組み、それはその職務評価であるとか資格制度ということでそこにも使えるだろうということです。

 実は、多様な正社員については、今年の春に出てきたばかりで、どういう方向で、どう普及させるか正に今検討している段階です。その中でこの能力評価をどう使うかというのもまだ決まっておりません。そういう多様な働き方をするときに、ある意味必須の話だろうと。ただし、ここで出てきたのをそのまま使えるというのではなくて、ある程度出来てくれば、そちらにも良い影響が出てくるだろうということなのかなと思っております。

 座長がおっしゃられたように、こちらの範囲内で、この研究会ではものさしを作っていただき、それを私どもとか基準局が頂き、こちらの多様な正社員のほうに活用できるかどうかという話なのかと思っております。

○内藤参集者 鈴木課長の説明はよく理解いたしました。私としては、まず解雇ありきという議論にならないように、是非御検討いただきたいと思います。

○大久保参集者 職業能力評価の観点と、非正規の問題とかジョブ型正社員の問題で私が関心を持って見ているのは、非正規でフリーター、パートタイマーでも実際に賃金分布を見るとかなり分布が広いのです。フリーターもかなり昇給します。その昇給はどういう評価によって昇給していくか。フリーターの場合は正社員よりもシンプルで、やはりどれだけ仕事ができるかによって昇給することがある。

 有期雇用の場合は、今は5年というルールがありますので、どこかのタイミングで一部の人を無期雇用に転換していくという議論が出てきますけれども、そのときに何を見るか。基本的には職務に対する態度の問題と、職業能力の発揮状況のレベルを見ているように思えます。そういうときに、ある人は有期でそれ以上の更新はしない人であり、ある人は無期雇用でジョブ型正社員に登用していく人だと。そこをどうやって分けるかということに、企業は非常に大きな関心を持っています。それを見るときに、職業能力をちゃんと評価できることはすごく大事な要素になってくると思っています。その観点で重要なのかと思っています。

○黒澤参集者 私は本当に雑駁な話しかできないのですが、感想を述べさせて頂きます。今まで参集者の皆さんの御意見を伺っていて、37ページの論点案の13、つまり能力評価制度の意義をまずはとにかく整理をするというのが先にあるべきであると感じました。余りに広いことを見ていかないといけないので、まずはできるを見るのか、分かるを見るのか、特殊性とか共通性とか、それが業界内なのかジョブなのか、そういう議論をしなければいけないと思うのです。それぞれの業界でとか、それぞれの職務でという、その細部に入る前に、そもそも昨今の環境変化の中で、こういう理由で、先ほど大久保参集者がおっしゃったようなこの能力評価というものが確立すると、労働市場の効率性が非常に高まるだとか、公平性が高まるだとか、そういう議論をまずやる。その中で、対象者をどうするか、改革が進められるべきプライオリティを決めるのだとすれば、それはどこなのかということについておおよそ焦点を絞った上で、少しずつ掘り下げていったほうが建設的なような気がします。それが1点です。

 もう1つは能力の見える化、評価と言ったときに、それが資格にすぐに結び付くとは限らないと思うのです。先ほど谷口参集者がおっしゃったように、職務経験を棚卸してジョブ・カードなり履歴書なりに明記する、その明記の仕方を分かりやすくするということも1つの見える化であるし、もう1つはトライアル雇用のような形で、ちょっと雇用してみてそれで分かるというのも、これもまた見える化の1つの手法であります。ですから、1つの目的を達成するために、資格だけにとらわれずに、いろいろな可能性を見て行ったほうがいいのではないか。

○今野座長 ついでに、今おっしゃられたことで対象者はこの辺にしたほうがいいぞとか、この辺を目標でやったほうがいいぞ、というようなことが何かあったらお聞きしておいたほうがいいと思います。

○黒澤参集者 私はまだ勉強不足なのですが、もしかしたらそういうのはなくて、全般的にやった方がいいぞということになるかもしれないのです。

○今野座長 それは、それでいいです。

○黒澤参集者 それはそれでいいと。ただ、諸外国の事例をみると、やはり大体はエントリーレベルが有効であって、それ以外の所はなかなかないというのが現状です。エントリーレベルでも、高等教育に行かない人たち、要するに若年者を主に対象として、もちろん業界をまたがって移動したいという中高年も含めてなのでしょうけれども、そのエントリーレベルの所で、高等教育というか、アカデミックな教育プログラムと、いわゆる職業訓練プログラムとを、同じレベルで比較し得るような評価体系を作ろうというのが今はヨーロッパではやっているようで、大きな偉業に着手しているところです。そうしたアプローチを、我々も考慮したほうがいいのかどうか私は全然分かりませんが、そういう可能性も含め、いろいろ最初の部分できちんと議論をした上で進めていったほうがいいと思います。

○北浦参集者 話が論点の所になっているので、37ページの論点を見ると、123とある中で結構大変だと座長がおっしゃいました。確かに大変なのですが、それぞれ意味が違うところがあります。先ほど来の議論にあるように、もし移動を前提とするような労働市場政策を前提に考えていくとすると、どちらかというと能力評価論でこれから考えるのは、あるべき論的に考えないといけない。

 ところが、この2は現行検定制度であるわけです。現行の能力評価制度というのは大久保さんが言われているように、内部労働市場的に生きてきたものであり、その延長上の中で出てきている所ですので、もしそれを移動のものなどといったらかなりドラスティックに変えないといけないので、これまた大きな議論になっていってしまう可能性が非常に強いという感じがいたします。

 ただ、労働市場政策という所が曖昧なので、これは別の所で議論するのだという話になっています。全部が全部移動を前提とするわけではないので、そこが二元的になるのかどうか分かりませんけれども、そういう内部的なもの、あるいは外部の移動性のあるものを両方併存するような社会の中に、その能力評価制度があるとすると、これは松浦さんが言われるように、どっちを作るのかというと、2つの制度を作るような議論にもなりかねない。ですから、そこのスタンスは腹は決めていったほうがいいと思うので、もしあるべき論であれば、2はなくて13であればあるべき論で出てしまうのです。それは、余りにも現実性を脱却してしまうなという感じがしますので、その辺のウエイトの置き方はこれからの論議だと思いますが、ちょっと考えていかなければいけない所だと思います。

○伊藤課長 何人かの参集者から相関連する御指摘を頂きました。順不同なのですけれども、北浦参集者から論点案について御指摘を頂きました。12の「検定」の意味合いとしては、必ずしも現行の技能検定、その他能開法上の検定に限定するわけではないという意味で、あえて「検定」という言い方をしています。したがって、現行制度の評価という意味では、むしろこのペーパー上は2の部分で御議論いただきたいということです。

 ただ、13でドラスティックに行くのかどうかという辺りに関しては、2で今の技能検定制度、その他現行制度のコアコンピテンスとしてどういう点があるか。あるいは様々な見直しによってどのぐらい更に効果を発揮ができる可能性があるのか、といった御議論も1に並行していただきながら、既存の制度のモディファイによって相当程度目的が達成されるという方向性もあり得るでしょうし、やはりこういう限界があるのだという御議論もあり得るだろうと。そういう意味では、そこはある種その方向性については私ども事務局として、大まかに今の2つの選択肢でいうと、あらかじめ何か結論・方向性を持っているわけではないことが1点です。

 それから、先ほど黒澤参集者から御指摘のあった、資格に限定しすぎないほうがいいということに関してですが、本日の資料の中では職業能力評価に関わる比較的典型的な体系化した現れということで、検定とか資格に関わるいろいろな説明も申し上げているところです。職業能力評価の表現形態として、資格、検定というものしかないとは私どもも思っておりません。34ページの仮説資料の右側にも、典型的な評価方法として検定とか、あるいは一般的に資格という場合には、検定合格、あるいは特定の講習修了をもって資格取得ということが多いわけです。それ以外に先ほどジョブ・カードという話もありましたが、職場場面での働きぶり、評価といろいろな手法を用いた、いろいろな表現形態があり得て、これまた検定、あるいは資格という表現形態に何か限定した考え方を持っているわけではないということにも触れさせていただきます。

 同じく黒澤参集者から御指摘がありました、そもそもの職業能力評価、あるいはその評価の制度、ツールの意義という点について、本日も幾つかの資料で私どものまだ熟していない考え方を説明させていただきました。確かに参集者の皆様方に十二分に御認識、御理解いただけるだけのものは示していないのは事実ですので、そういう部分を優先的に方向付けが必要だということで御指摘をいただけるのであれば、その議論に資するような整理を試み、またそれに基づいて御議論いただくことを、座長と御相談しながら考えてみたいと思います。

○北浦参集者 労働市場政策におけるというのがこの研究会のテーマになっています。それでくっ付いてしまっているわけなのですけれども、座長も先ほどおっしゃったように、職業能力の評価があることが、直ちに企業における人事評価にイコールなのかどうか、あるいは労働市場における移動という問題のときの全ての要件、つまり必要条件・十分条件的に考えてなるのか。そこのところは距離感がかなりあるわけですので、これはくっ付けたほうがいい。だから能力評価ができれば、確かに役に立つことは事実なのですが、それで全て労働市場政策が完成するという感じで議論してしまうと混乱してしまうと思うのです。もちろん、そこには役立つとは思いますけれども、そちらはそちらの方向性のあり方としての議論で、そのベースとしての能力評価というのは、恐らくどっちのモデルを作るにしても重要なので、そこの部分について現行の制度の体系の限界と発展性を見るのと、それから新しい方向性への何か足りないものを作るというような議論になるのかという感じがいたします。

○尾形課長 北浦参集者の御発言にやや補足させていただきます。内藤参集者の御発言から始まって、やり取りがずっと続いているのだと思いますが、その関連で、多元的働き方、正規・非正規の二局分解の中でのジョブ型労働者と能力評価の関係はどういう話なのかを補足させて頂きます。

 私どもとしては、結局コテコテのピカピカの正社員か、代替的・補助的な雇用の安定を得られない、処遇の低い非正社員かのどっちかしか選べない現状にあるのではないかという問題意識を持っています。基幹的正社員の方にみなが移行できるかといえばそうではない、真ん中の辺りにいろいろな道を作るべきではないかという議論をずっとしてきたわけです。それを作ろうとしたときに、内藤参集者のお話にもあった、処遇をするに当たっての評価はどこを見るかという大きな壁に突き当たる。真ん中でいろいろなものを作ろうとすると、例えばジョブ型を作ろうとすると、どうしても今までのような能力評価の仕方だと、多分そういう新たな雇用形態が生まれてこないのではないか。そういう意味で十分条件ではなくて、そういうものを新たに作っていくためには能力評価に、もう1つの切り口を入れていかないと駄目なのではないかという問題意識で、こういう問題点を入れさせていただきましたが、逆にそれができれば、何でも完結ということではないということを改めて申し上げます。

○大久保参集者 職業能力の見える化をすることが何に貢献するのか。1つは、現状非正規であったり、未就業であったりする人たちが、いわゆる安定した正規の仕事に就きたいと思うときに、そこに行くまでのプロセスが見えないことがあります。そこで、雇用形態の階段も作り、その階段に沿った能力の評価についても見えるようにすることで、一種のキャリアラダーを組み立てていって、つながっていくようにしようという目的があると思うのです。

今、企業に勤めている人たちは、成長産業に主に新しい活路を見い出して、転職をしようとしますが、そう簡単にはうまくはいきません。だから、学び直しという議論が出てくるのだと思うのです。ただ、何を学び直すのかよく分からないところもある。そこに職業能力の評価があって、何を学べばいいのかが見えるようにするという目的もあります。

 もう1つ目的があるとすれば企業内の人材育成の促進です。たまたま本日ここに来る前に、能力開発基本調査をじっくりと見てきました。継続的にOJTをやっている会社は59%、能力開発での最大の課題はそれを指導する人がいないこととなっていました。現状でそういう課題を企業の中に抱えているときに、それぞれの職業の能力評価をちゃんと見えるようにする、その基準を作ること自体は、その中でOJTなり企業内育成の1つの促進剤になるのではないか、やりやすくなるのではないかと思っています。

○今野座長 大久保参集者が言われたのは、今のは全部だね。

○大久保参集者 全部ですか。欲張りすぎましたかね。

○今野座長 かなり全部だね。欲張りかどうかは別にして、かなり全部だと思います。

○黒澤参集者 確かに今おっしゃったのは、訓練型のジョブ・カードの効果ということで委員会でヒアリングをしたときに、特に中小企業において、企画書を書かなくてはいけなくなって初めて自分たちの従業員にどういう訓練をさせたらいいのかということが分かったというお話がありました。それがもう1つの非常に重要な効果だと感じたことがあります。正にそれは大事だと思います。

○今野座長 そういうのは、考えようによっては今まで人事評価していなかったということですね。

○松浦参集者 これまでの議論をお聞きしていると、まず、企業の中の話なのか、業界の話なのか、産業間横断の話なのかという切り口があります。もう1つは、能力評価の対象となる人材をどうするかという切り口があります。企業と業界については、基本はエントリーレベルの職業能力評価がポイントになるかと思いました。実際に大企業でも、勤続10年ぐらいまでは職能資格制度が多く採用されていますが、それを超えると職務や成果で評価する体系に変わってきています。

 冒頭の方で谷口参集者がおっしゃったように、業界の中で言えば、一人前以降の人材については、職務経歴を見たら職業能力も大体分かるのではないかと思います。そういう意味で、企業と業界については、職業能力評価を必要とする対象者はエントリーレベル、つまり基本的には育成段階における職業能力評価基準が重要なのではないでしょうか。非正規社員がエントリーレベルのどこに位置付けられるのかというのは、業界によって違うと思います。

 一方、産業間横断型については、2つの観点があります。大久保参集者がおっしゃったように、横断型で学び直しを1からということになると、職業能力評価基準というのも1から、つまりエントリーレベルから作らなくてはいけないでしょう。2つ目として、ある程度一人前になった他業界の人を、これまでの経験を生かしながら別の業界に移すという観点でいくと、エントリーレベルでは不十分で、上の方のレベルまで職業能力評価が必要になります。そうすると、産業間横断型では、対象となる人材は、全部ということになるのかと、今までの議論を聞いていて思いました。

○今野座長 どれが重要だと思いますか。感想を聞いておいたほうがいいのでは。

○松浦参集者 あまりにも細かい業界区分で職業能力評価を作っても、これからはどうなのかという気はします。そういう意味で、能力評価を活用できる範囲はなるべく大きいほうがいいと思います。すごく雑駁な言い方で恐縮ですけれども。

○今野座長 大きいほうというのは、業界間ということですか。

○松浦参集者 社会的意義という点からいうと、産業間横断型が重要だと思います。ただ、現状という意味ではかなり距離感があるので、産業間横断型の議論にどこまで踏み込むかは、検討・判断が必要かと思います。

○今野座長 もう少し時間があります。

○谷口参集者 使用者側ではなくて、先ほど来の議論だと集約する所はエントリーレベルで、評価という意味では大体が問題を抱えている若い世代の人たちです。いわゆる純然たる正社員ではない人たちのエントリーレベルの人たちということで考えると、彼らは様々な仕事の経験があるにも関わらず、それが適切に能力評価されないことが恐らく問題だろうと思うのです。そのようなことを議論していたと思うのです。

 彼らが自分の持っている職務能力を、自信を持って表現できない現状です。それを何とかしたいという問題意識があろうかと思います。その際に能力評価の傾向というのは、ますます職務能力、実践的な能力をどう評価するかというところが課題になっていて、それがとても難しいということが側面にあるわけです。そうしたエントリーレベルで、しかもいろいろな仕事を経験している人が、職務能力をいかに表現するか。しかも、それは実際的な職務能力としての能力なのだということでの表現です。そこが重要な視点ではないかと思うのです。

○今野座長 そうなると、先ほど黒澤参集者が言われていたけれども、ジョブ・カードというのはそういうことを狙ったのですよね。

○谷口参集者 そういうことです。

○大久保参集者 エントリーレベルの話なのですけれども、世界各国を見わたすと、職業能力評価というのは、エントリーレベルの所にフォーカスしているものが大変多い。なぜかというと、他の国から入ってきている人たち、民族的にも多様な人たちがいて、そういう人たちの就業力を高めたいと考えているからです。

 もともとイギリスがNVQを始めたのは、イギリスには、高卒者で低スキルの人たちがたくさんいて、そこの底上げを図るという目的があったからです。そういう環境がエントリーレベルの充実に向かわせたのです。現在はかなり上位レベルまで作っているはずですが、それが良いのかどうかは分かりません。

 一方日本ですが、日本人が圧倒的に多く、大学進学率も高く、イギリスと同じではないのです。その国の状況や目的の違いを見極めたほうがいいのではないかと思います。入社してから1年、2年、せいぜい3年ぐらいの導入的なところだけにフォーカスをするのか、それとも一人前になった段階までを見せるのか。どちらが現状の日本に必要なのかということはしっかり考えたほうがいいのではないかと思います。

○北浦参集者 能力評価制度についてもだんだんサービス化が進んでいます。技能検定は典型だったわけですが、製造業的世界、つまり技術が中心になるような所での技能の評価というか、能力の評価の問題と、サービスに対しての能力の評価というのは大分違っているところがあります。技能検定の中にも、サービス業系がかなり入ってきました。例えば知財の検定の中には、コミュニケーション能力まで全部入っていて、それができて、そのまま即働けると、そのぐらいのレベルまで持って検定というところまで行っているわけです。

 ですから、この評価基準にかなり基礎能力的な所が入ってくる。これに対して、他の製造業系の技能検定はそこまでではなく、あくまで技能ということですから、製品の出来映えをいかに良くするかにウエイトが置かれるようになってきている。かなり違っているところがあるので、サービス業系がこれだけ増えてきている中においては、かなりその辺のところはこれから議論する所の新しい考え方で、しかも「エントリー」も意識したような形で能力評価を作りやすい分野だと思      います。

 それに対して製造業系のところは、やはり技術の変化とか、技術によって制約されるところ、それから工法の制約、あるいは企業の特殊性がかなり利いてくるだろうと。そのようにかなり業界なり業種の特性によって違いがあるところは一応考えておいたほうがいいのではないかと思います。

○今野座長 そういうことで、私がもらっているシナリオでは、「御意見は尽きないようですが」と言わなければいけないのですが、予定の時間が参りました。ちょうど1450分です。本日は活発な議論をありがとうございました。本日の議論を整理し、次回以降どうするかは考えたいと思います。今後のスケジュールについて事務局からお願いいたします。いろいろな人からヒアリングをしようかと思っているのですが、そのときにどんなヒアリングをしたらいいだろうかということについて事務局に案を考えていただいていますので、その点も説明していただいて、ちょっと御意見を頂きたいと思います。

○伊藤課長 資料9、資料8の順番でごく簡単に今後のスケジュール等の事務局案を御説明いたします。資料9ですが、第1回は本日の御議論です。今後の議論としては次回の1018日を皆さんに御予定いただいております。次回は、本日御欠席の参集者にも御出席いただき、本日の御議論も踏まえて若干の追加材料も準備しつつ、基本的には引き続き幅広く御議論いただきます。その上で第3回、第4回で大きく2つほどテーマを設定し、関係者のヒアリングを行います。この場合の関係者というのは、本日の参集者以外ということもありますし、参集者の皆様方の特定分野の知見についてお話を聞かせていただくこともあり得ようと思います。

 その着眼点ですが、事務局案としては本日も既にそれに関わる議論が若干出ておりますが、1つは職業能力評価、あるいは能力評価政策等の国際的動向について少し押さえておく必要があるのではないか。本日も参考資料4で、直近の比較的網羅性のあるリポートのエッセンスということで、2012年のJILPT諸外国能力評価制度のアウトプットの一部をお示ししております。本日も一部御紹介いただいておりますような能力評価に関わるなにがしか先進的な取組がなされている主要諸外国、あるいは国際機関における能力評価制度体系、あるいは導入のバックグラウンドの問題意識、日本との違いといった点について、ここにあるような導入の契機、設計の特徴、運営体制、活用実態、実績、何か見直しを行っているのか、日本との共通点といったものを踏まえたインプリケーションといった点、これが私どもが持っている問題意識の大きな1つです。

 もう1点は、本日の議論の中で少し個別の業界団体・企業の話も出ているわけです。先ほども触れましたように、事務局独自で能力評価制度、あるいは検定制度を活用している業界団体・企業のヒアリングも実施しております。いずれにしてもこの場でお聞きできる人数には制約がありますので、そういう資料は次回以降出したいと思っております。

 せっかくですので、ここで御議論いただいているような問題意識に即して、この能力評価に関わっている業界団体・企業等から、ここにあるような導入・活用している制度の概要であったり、本日も御議論いただいた採用選考、教育面、人事評価、その他それぞれのフェーズで具体的にどのように活用しているのか、あるいは活用できていないとすればどういう理由によるものなのか、国の関わり方等についての御意見・要望といった点について、私どものイメージとしては、各テーマについて、2名ないし3名ぐらいの方からお話を伺い、それに基づいて更にディスカッションしていただくというプランです。

 本日は残り時間は余りありませんけれども、こうしたテーマ設定とか、具体的にこういう類型の方からお話を聞くと意義深いのではないかという点についても、各参集者がお気付きの点がありましたら、是非御意見を頂ければと思います。よろしくお願いいたします。

○今野座長 本日は余り時間はないのですが、これだけは言っておきたいということがありますか。1週間ぐらいの間で、このヒアリングの内容についてと、ヒアリング先はこのようにしたほうがいいぞということがあったら、事務局に直接連絡をしてください。皆さんの御意見を頂いてまとめて、事務局と相談をして、ヒアリング項目とヒアリング先の案を決定させていただくことにさせていただきます。最後に、次回の連絡をお願いいたします。

○小野専門官 次回の開催は、先ほどのスケジュールでも説明がありましたが、1018()1012時の開催を予定しております。場所等正式な案内は追って連絡させていただきます。

○今野座長 それでは、これで終わりにいたします。どうもありがとうございました。


(了)

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