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2013年8月6日 第63回独立行政法人評価委員会医療・福祉部会議事録

○日時

平成25年8月6日(火)9:27~12:30


○場所

厚生労働省専用第14会議室


○出席者

真野部会長、平井部会長代理、五十嵐委員、石渡委員、三田委員、名里委員、橋田委員、松原委員

○議事

(以下、議事録)

 

○真野部会長

 それでは、定刻より若干早いですが、今日は非常に盛りだくさんで、2つ評価していただくということで、早々に始めたいと思います。それでは、政策評価官からよろしくお願いします。

 

○政策評価官

 おはようございます。それでは、本日の議事について御説明いたします。ただいま部会長からお話がありましたとおり、まず、前半では、医薬品医療機器総合機構の平成24年度業務実績に関する個別評価、続きまして、国立重度知的障害者総合施設のぞみの園の平成24年度業務実績に係る個別評価について審議していただくことが大きな柱でございます。

 なお、机上に「医療・福祉部会平成24年度実績に係る自己評定一覧表」を配布しておりますが、本日の審議に当たっては、全体の項目について、医薬品医療機器総合機構は18項目ありますが、4パートに、のぞみの園も18項目を、4パートに分けまして、パート毎に法人から御説明いただき、御質問等行っていただくという段取りとさせていただきます。また、表の右側の自己評定については、各法人の自らの評定を記載してありまして、一番右端の平成23年度の評定結果については、昨年度御審議いただいた結果を記載してありますので、本年度の個別評価を付ける際に参考にしていただければと思います。

 また、皆様方の評定記入用紙は医薬品医療機器総合機構につきましては資料1-4、のぞみの園につきましては資料2-5になりますが、個別の評定を記入しながらの議事になりますけれども、仮に会議時間内に記入が終わらない場合は、本日の資料をお持ち帰りいただき御記入いただくか、本日、評定記入用紙を電子媒体にてメールで送付いたしますので、そちらに御記入の上、提出いただくことでも結構でございます。その場合につきましては、大変お忙しい中、恐縮ですが、88()までに事務局に御提出いただきますよう、重ねてお願いいたします。

 また、医薬品医療機器総合機構につきましては、平成25年度が第2期中期目標期間の最終年度になっております。事前に委員の皆様方にはメールにて御連絡しておりますが、本日は24年度について個別評価をしていただいて、813()の部会において、前年度に係る総合評価に加えて、初年度~4年度までの4年間分の業務実績に係る暫定評価と、法人の組織・業務全般の見直し当初案について、御意見を頂くことになりますので、あらかじめ申し上げておきますので、よろしくお願いいたします。事務局からは以上でございます。

 

○真野部会長

 それでは、早速議事に入ります。医薬品医療機器総合機構の評価をさせていただきます。最初に理事長から御挨拶と24年度の状況をお話しいただきます。

 

○医薬品医療機器総合機構理事長

 皆様おはようございます。理事長の近藤と申します。どうぞよろしくお願いいたします。委員の皆様方におかれましては、平素からPMDAの運営に関しまして、温かい御示唆、御鞭撻いただきましたことを、重ねて感謝申し上げます。

PMDAは健康被害救済・審査・安全対策の3つの業務を行っておりますが、これは、医薬品や、医療機器などの開発から使用までの全般に関わる、国民の健康を視点においた「セイフティトライアングル」という日本独自のすばらしい仕組みにもなっております。この仕組みの下で、PMDA職員全体で策定いたしましたPMDAの理念に基づきまして、国民の命と健康を守るという絶対的な使命感をもって、職員が心を1つにして、日々の業務に取り組んでおります。

 業務運営に当たりましては、業務の科学性、透明性を高めるために、特に社会、国民の倫理感に基づいたレギュラトリーサイエンスの推進に力を入れており、その一環として、平成24年度においては、科学委員会の設置、連携大学院の拡充、大学等との人材交流などの取組を行っております。このうち、科学委員会においては、全国の大学などの第一級の研究者を委員としてお招きして、アカデミアや医療現場とのコミュニケーションを密に取ることを通じまして、一層の科学的判断情報の強化を図っているところです。

 また、平成24年度には、審査センター長が専任化いたしました。また、新たに副審査センター長を設けまして、1つは医療機器担当、もう1つは再生医療・バイオ医療担当、それぞれ1名ずつ配置いたしました。都合2名です。こうした取組によりまして、この分野でのレギュラトリーサイエンスを強化して、世界の最前線に出ていくための体制を整えております。

 国際的な取組に関しては、1つには規制当局としての世界トップレベルの実力を確保すること。もう1つは、アジア諸国との緊密なパートナーシップを図ること。3つ目には、規準等の国際調和に積極的に貢献することなどを目指して、幹部職員による戦略立案の場を設けて、国際会議への積極的な参加、若手職員の学会への派遣などに取り組んでおります。

 平成24年度の主な実績などについて申し上げます。まず、法人全体に共通する部門ですが、引き続き無駄削減や一般競争入札の促進など、大幅な一般管理費や事業費の削減を達成しております。また、救済業務ですが、請求件数が大きく増加しております。事務処理の更なる促進化を求めるとともに、救済制度の周知に努めて参りました。それから、審査業務ですが、新医薬品につきましては、優先品目、通常品目共に総審査期間に関する年度目標を大きくクリアいたしました。また、医療機器に関しても、新医療機器については、優先品目、通常品目共に総審査期間に関わる年度目標をクリアいたしました。しかしながら、改良医療機器に関しては、年度目標に届きませんでした。しかしながら、審査に長期間掛かっていた品目を優先的に処理いたしまして、大半については、審査を終えることができております。

 最後に安全対策については、大学病院等の診療情報を元に、大規模なデータベースを構築して、医薬品等安全対策に活用するための事業を着実に進めております。

 このような取組は私自身が出席いたしました国際会議の場におきましても、海外の規制当局等から「非常にオリジナリティのある改革である。また、それに沿って毎年成果が出ている」と高く評価されており、昨年より日本で認可された医療機器が、実はメキシコでそのまま認可されるようになり、世界から見ると、日本の認可制度に客観的に高い評価と関心が持たれているということです。今後は、薬事に関わるあらゆる分野で日本の認可を世界のブランドにできる方向で強化していく方針でおります。

 今後目指すものといたしましては、本年の6月に閣議決定された「日本再興戦略」、また、関係大臣の申合せによる「健康・医療戦略」において、PMDAの業務の更なる迅速化、高度化という方向が示されました。また、その実現に向かって人材の質と量の両面での強化が求められております。今後とも、日本の豊富なシーズを医薬品、医療機器に確実につなげて、より有効でより安全な医薬品、医療機器をいち早く国民に届けるために役職員一同が一丸となって、努力していきたいと考えております。どうぞよろしく、御指導、御鞭撻いただきたいと思います。簡単でございますが、私の御挨拶とさせていただきます。

 

○真野部会長

 どうもありがとうございました。続きまして、評価ですが、先ほども出ましたが、4つのパートに分けてパート毎に評価を行っていきます。最初にパート1、法人全体の業務運営の改善です。所要時間は法人からの説明が15分、質疑10分ですが、少しタイトですので、なるべく時間厳守でよろしくお願いします。

 

○医薬品医療機器総合機構企画調整部長

 企画調整部長の平岩と申します。よろしくお願いいたします。

 私から資料1-1に基づきまして説明をさせていただきます。資料の右下のスライド番号を示しながら御説明させていただきます。

 パート18ページです。法人全体について、こちらに書いてあります5つの項目で評価を頂くことになっています。

9ページ、1.-(1)、目標管理による業務運営、トップマネジメントです。自己評定については「A」を付けさせていただいています。24年度における取組内容については、スライドの10番に書かせていただいております。目標管理による業務運営については、年度目標に基づく業務計画表を作成し、計画的に業務を遂行させていただいています。また、年度途中には幹部によるヒアリングを実施し、必要に応じて方向性を指示いただくなど、臨機応変に対応しています。

 業務管理体制の強化、トップマネジメントについては、理事長の経営判断を迅速に業務運営に反映させるために、幹部会を始めとして、各種委員会を定期的に開催しています。24年度においては新たに「国際戦略会議」を設置しています。

 再生医療技術の進展に伴い、機構もそれに対応していくということで、生物系審査部門の体制強化を行っております。更に、部だけではなく、機構内で連携が取れるように、連絡会議も設置をしています。また、審査体制の強化のために、審査等改革本部も設置しております。こちらは、後ほど御説明いたします科学委員会の事務局になっています。

12番です。1.-(2)、審議機関の設置による透明性の確保です。こちらについては自己評定「A」を付けさせていただいています。

 平成24年度の取組については、13番のスライドを御覧ください。私どもでは、学識経験者の方々、関係業界の代表の方々、健康被害を受けた方々の代表によって構成される運営評議会を定期的に開催いたしまして、業務の効率化、公正性・透明性を確保にするようにしております。運営評議会については、会議の資料や議事録をホームページで公表することはもちろん、企業出身のPMDA職員の就業状況について御報告をするとともに、私どもが専門的なアドバイスを頂いている専門委員の方々の寄附金等の受取状況についても、この場で報告させていただいております。

14番のスライドです。科学委員会の設置です。私どもの業務は、科学的な根拠に基づいて行う必要があるということで、最先端の治験をフォローするということで、平成245月に科学委員会を設置いたしました。開催状況については、点線の枠組みで囲ってあるとおり、最先端の科学をフォローしながら業務運営を行っています。

 また、同じような目的ですが、専門委員の方々、平成253月末で1,000名を超える方に委嘱させていただいておりますけれども、各分野の専門的な助言を頂きながら、業務運営にいかしています。

 そのほか15番のスライドにありますように、データベース化の推進、業務・システムの最適化を進めながら、適切に業務を行っているところでございます。

16番のスライド、2.-(1)、各種経費節減ということで、自己評定は「S」を付けさせていただいております。

24年度の取組状況です。17番のスライドを御覧ください。左上に中期計画期間の目標を書いていますが、実績の所ではそれを1年ごとに割り振ったものを書かせていただいております。一般管理費については、24年に3%削減を見込んでいたのですが、8.6%の節減を達成しております。また、事業費については、年1%の削減を見込んでいたところ、10.2%の節減となっております。人件費については、13.1%の削減ということで、これは17年度に比べて1人当たりの人件費ということですが削減を行っています。また、随意契約の見直しも順調に進めています。

2.-(2)の拠出金の徴収及び管理です。中期計画上は、拠出金の収納率を99%以上にするという目標が設定されていました。24年度の実施状況ですが、副作用拠出金の関係は100%ということで、これは今期初めて達成できました。感染拠出金のほうは、前年に引き続き、100%を達成しておりますし、安全対策等拠出金についても、順調に伸びてきており、24年度は99.8%ということで、いずれも目標をクリアしております。

19番のスライドにありますように、管理システムを活用したり、薬剤師会に協力を仰ぎながら、各種方策を実施しながら、今後とも高い収納率を維持していきたいと考えています。

20番のスライドです。3の相談体制の整備、業務内容の公表等についてです。自己評定は「A」とさせていただいています。

 取組内容については、21番のスライドを御覧ください。まず広報の関係です。こちらについては、ニュースレターを毎月発行するとともに、毎年10月に設定されます「薬と健康の週間」に併せて、その前後に集中的な広報を実施しています。また、薬害根絶フォーラムにもお邪魔させていただき、パネルの展示、相談の実施などを対応させていただいています。また、私どもPMDAに設置されている、一般相談窓口については、平成24年度は2,000件を越える相談に対応させていただいています。

2の監査ですが、外部監査法人による会計検査を実施するほか、内部監査についても計画的に実施をさせていただいています。

22番のスライドが予算についてです。自己評定は「A」を付けさせていただいています。先ほど申し上げましたように、随意契約等の見直しが進んでおり、経費削減を達成しております。また、審査セグメントについては、後ほどまた御説明しますが、審査期間が非常に短縮してきているということに伴い、手数料収入が見込みを上回って増加しております。また、コストのほうも節減できていることから、当期利益が27.5億ということで出ております。また、安全セグメントにおきましても、拠出金収入が見込みを上回ったことと、コストが節減できたということで、利益が6.2億円ということで出ています。

24番のスライドを御覧ください。こちらは5番目ということで、人事に関する事項、セキュリティの確保です。自己評定は「A」を付けさせていただいております。

24年度の取組につきましては、25番のスライドを御覧いただきたいのですが、人事評価制度については、昇給等に適切に反映する等、着実に実施をさせていただいたところです。また、研修の実施については、一般体系コース、専門体系コースに分けて実施をしております。とりわけ専門体系コースにありますように、実地研修であるとか、現場重視の考え方にのっとって研修をさせていただいています。また、新たに総合職向けの研修なども24年度は充実をさせています。

 スライドの26番です。公募による人材の確保です。これまでドラッグ・ラグの解消ということで、審査は要員、あるいは安全対策要員を中心に増員を行ってまいりました。その経緯は下の表にあるとおり、2541日現在で、708名まできております。24年度の特出すべき事項としては、上級スペシャリストを設置したということ、それから、6月にこれまで理事が兼務をしていた審査センター長を専任化するとともに、副審査センター長ということで、細胞・加工製品分野の方、医療機器分野の方、それぞれ担当するポストを6月に新設しました。

2のセキュリティの確保ですが、私どもの取り扱っている情報は、企業秘密の塊のようなものです。入退室の管理をしっかりするためのシステムを備えるとともに、電子メール等につきましても、セキュリティの強化を引き続き実施しています。駆け足でしたが、説明は以上です。

 

○真野部会長

 それでは、評価項目の記入をよろしくお願いします。質問はあるかと思いますが、いかがでしょうか。

 

○橋田委員

PMDAとして組織も大きくなっておられまして、人も増えておられるということで、前からこういうお話をさせていただいておりましたが、いかに人を育てるか、特に若い人の育成ということで、力を入れておられるのではないかと思います。なかなかそういう部分を定量的に評価するのは難しいと思いますが、メンター制度などいろいろなシステムを作って研修をやって育てておられるということですので、実際にその辺りの成果と申しますか、PMDAとして随分戦力は充実してきたというように理解してよろしいですか。

 

○医薬品医療機器総合機構理事

 それでは審査担当理事の内海からお答えさせていただきます。今、橋田委員から御指摘がありましたメンター制度を含めて、御承知のとおり、私どもの組織は、ここ数年で人数が非常に増えました。審査関係も倍、あるいは2.5倍というように増えたわけですが、その多くの者ほとんどが、大学院の修士卒という、まだキャリアを積んでいない者でございます。そういう者たちに対してOn the Job Trainingを含め、昨年御報告させていただきましたが医療機器に関しては、Buddy制というものを作りまして、シニアの人が若手を指導するという形を取っています。そのお蔭で、多くの滞貨についてはかなり消化でき、そして、また彼ら自身が外からいわゆる医薬品産業の方々にアンケートで評価していただいているのですが、非常に良い評価を頂いていますので、着実に若手が伸びてきている。これからはこの次の段階にどう入るかというところで、今日また後ほど話が出ますが、質の問題、最先端に対してどのように対応するかということで、ちょっと触れましたが、科学委員会、あるいはアカデミアの方々との連携を図りつつあるところです。大変御貴重な御意見をありがとうございました。

 

○真野部会長

 ほかの委員はいかがでしょうか。

 では、次のパート2に入りたいと思います。パート2は健康被害救済給付業務の業務運営の改善です。最初に法人からよろしくお願いします。

 

○医薬品医療機器総合機構企画調整部長

 パート2について説明させていただきます。スライド番号は27番からが健康被害救済給付業務です。こちらは4つの項目で評価を頂くことになっています。

 最初の項目はスライドの28番を御覧ください。救済制度の情報提供、相談体制の充実です。自己評定は「A」を付けさせていただいております。こちらについては数値目標として救済制度に関する一般国民の確実認知度を25年度までに10%以上にするという目標が掲げられています。この目標達成に向け、様々な広報等の工夫をしておりますが、その内容については29番のスライドを御覧ください。

 まず最初に給付事例等の公表ということですし、2積極的な広報活動の実施ということで、医療関係団体等を訪問し、研修実施等について協力を依頼させていただいています。また、先ほども出てまいりましたが、「薬と健康の週間」を含む3か月間を集中的広報期間と定め、「ドクトルQ」というのが真ん中の小さいところに出ておりますが、親しみやすいキャラクターを継続的に使うということで、工夫をしながら広報を進めています。

 また、24年度に特出すべき事項としては、11月に一般の方々を対象にしたシンポジウムを開催しております。これだけで終わってしまうのではなくて、この模様を3月にNHKテレビで報道をしていただくというようなことで、広報を進めております。

30番のスライドを御覧ください。こちらが認知度調査の結果です。これによると、一般国民の認知度は、「知っている」は5.3%、「名前は聞いたことがある」というのが15.4%ということで、合わせて20.7%となっています。一方、医療関係者のほうは、比較的高くなっておりまして、合わせて80%を超えているという状況です。職種別に見てみますと、特に薬剤師さんについては、非常に高くて98.5%の方が認知されているという状況です。

 一般国民のほうは、なかなか認知度が伸びていないところがありますが、救済制度というのは、被害者になる確率は国民誰でもが持っているわけですが、実際にその当事者になるまでは、なかなか関心が向かないのであろうというように我々は考えております。ですから、現状を考えまして、私どもとしては医療関係者の理解が非常に高くなっておりますので、引き続きその理解を高めていただくとともに、医療関係者の方々自身がメディアとなって、いざというときに被害者が確実にこの制度を使っていただけるようにという仕組みを作っていきたいと考えています。

31番のスライドですが、2つ目の項目で、業務の迅速な処理、体制整備ということです。自己評定については「A」を付けています。こちらも24年度の数値目標としては2つありますが、年度内に決定した総件数のうち、70%以上を8か月以内に処理するというのが1つ、2つ目が6か月以内に処理する件数を55%以上にするという2つの目標があります。24年度の実績は、8か月以内に処理する件数につきましては75.9%ということで、70%の目標をクリアしています。一方、6か月以内の処理は、45.5%ということで、残念ながら目標には達していませんでした。処理件数自体は、いずれの区分においても前年を越えて、過去最高を記録しています。特に6か月以内のほうを目標達成できなかった要因は、我々としましては、非常に請求件数が見通しを越えてかなり多かったというのがあろうかと考えております。

 スライドの32番を御覧ください。私どもとしては、副作用被害救済の請求件数は第2期を通じて、大体1,000件程度と見込んでおりましたが、23年度ぐらいから徐々に伸びており、24年度は1,280件となっています。先ほど少し御説明しましたが、広報や周知の効果がこの請求件数となって表われてきているのではないか。認知度というと、中間的な数値は余り伸びていないのですが、最終目標である請求件数が伸びてきており、嬉しい悲鳴というのが一方であるのですが、件数が見込みを越えてきている関係で、それに伴い、複雑でかつ難しい案件も増加しております。そういったものについては、専門委員の方々への御相談であるとか、あるいは一部必要な書類等が全然揃っていなくて、また新たに追加していただくというような手続がどうしても伴ってしまいますので、平均的な処理期間がどうしても延びてしまうというようなところがございます。その辺につきましては、24年度中からより分かりやすい説明をするとか、専門委員とのやり取りをより効率化するといった対応をしてきており、25年度に入ってからは、55%を超えるぐらいの速度でやらせていただいています。

 次に33番のスライドを御覧ください。3番目の項目です。部門間の連携、保健福祉事業の実施ということです。自己評定は「A」を付けています。

 取組の内容については、34番のスライドを御覧ください。まず最初に部門間の連携ですが、救済給付請求事例等の情報については、これを安全対策部門を通じて「医薬品適正使用のお願い」ということで、適正使用の徹底の呼びかけに使わさせていただいています。

2番目の保健福祉事業の実施ということですが、健康被害者に係るQOL向上等のための調査研究事業を2種類やっているわけですが、引き続き24年度も実施しています。また、福祉の専門家を常勤で配置しまして、健康被害を受けた方々に対する精神面などに関する相談事業なども実施しています。

 また、副作用の原因と考えられる医薬品名等を記載した受給者カードがございます。これを持っておりますと、実際に医療機関等に行ったときに、より正確に医師等に情報提供ができるということで、希望する方にお配りをしているのですが、こちらについては24年度は432人の方に発行させていただいています。

4つ目の項目の各種受託支払業務等の実施です。自己評定は「A」を付けさせていただいております。36番のスライドに、スモン患者に対するもの、HIV感染者に対するもの、特定C型肝炎の感染者に関するものということで、それぞれの支給状況を記させていただいています。説明は以上です。

 

○真野部会長

 それでは、御質問などいかがでしょうか。

 

○平井部会長代理

 広報が行き届いて、かなり知名度が上がってきたということなのですが、伸び率というか、経年的なのが、ここには出ていなかったので、どれぐらい伸びているのかなというのが知りたかったのですが、いかがでしょうか。ちょっと前のを忘れてしまいましたので。

 

○医薬品医療機器総合機構救済管理役

 大変恐縮です。お手元の資料1-2ですが、34ページに全体の評価ということでお示しをしています。今回「知っている」と回答頂いているのが5.3%と、「名前は聞いたことがある」を含めれば20%を越えているという数字です。ただ、昨年度23年度は「知っている」というのが5.0%、「名前を聞いたことがある」というのが23.9%ということで、全体としてはほぼ同じぐらいの数値だったということです。

 

○橋田委員

32枚目の被害救済の実績という所でも、昨年度より増えたというお話、それから、30枚目のホームページのアクセス件数も増えたということで、これは認知度が今まで制度から漏れてきたものも含めて上がってきているということなのか、あるいは何か特別なイベントがあって上がったのか、24年度は何かあったのか、その辺りはいかがでしょうかということと、もし救済件数が増えてきたときに、私はシステムを十分理解していないのですが、拠出金の問題など、そういうところは何か影響はあるのですか。

 

○医薬品医療機器総合機構理事

 認知度が上がってきたという実感として、件数も増えているということです。ただ、特にこの間に救済関係で大きな事件は起きていませんので、ある特殊的な事情で何か増えたということではないと思います。よく言われるのは、認知度というのは、何かサリドマイドとかそういうことで、大きな事件が起きれば認知されるという傾向があるかと思いますが、そういったイベントというのは、ここ12年は余りありませんので、日頃の努力によって、だんだん着実に、そうした認知で、申請件数も増えてきたのだなという感じでイメージしています。それから、予算のことについては、十分給付数が増えても対応できています。

 

○橋田委員

 分かりました。

 

○医薬品医療機器総合機構企画調整部長

 少し補足させていただきますと、財源の関係は、将来の支払いの見込みなどを考え、責任準備金や剰余金などそういうものを見込んで対応させていただいています。将来の給付が厳しくなってくると、拠出金率を引き上げたりとか、そういう対応は必要なのですが、実は昨年、拠出金率を引き下げるというようなことで、一応財政的には今のところ安定しているのではないかと考えています。

 

○真野部会長

 変な質問かもしれませんが、今の話でこれはやはり別のものなので、つまりPMDAの手数料として、かなりの利益があるわけですが、それはあくまでもそれという考え方なのですね。

 

○医薬品医療機器総合機構企画調整部長

 それぞれ別会計、別勘定になっています。

 

○真野部会長

 ありがとうございました。

 

○石渡委員

 これはPMDAの範疇ではないのかもしれないのですが、例えば私ども、若い女性に関わる仕事をしておりますと、昨年辺り子宮頸がんのワクチンの副作用ということなどが話題になりまして、ああいうことの相談などは、例えばPMDA、薬害被害というところにまでいくのかどうか分かりませんし、まだあれをどのように理解したらいいのかというのも、明確にはなり切れていないのではないかと思うのですけれども、やはりとても若い女性に関わっている立場として、不安は大きいのですが、こういうことに何か相談に乗っていただくようなことができるのかどうか、ちょっと教えていただけますでしょうか。

 

○医薬品医療機器総合機構理事

 救済制度について、救済の対象になるのか、ならないのかとか、そういうことの御相談については、PMDAの相談窓口とか、パソコンのインターネットを使って御相談いただくのは、それは結構で、ただ、救済制度自体としては入院相当の障害ということですので、聞いている範囲ではそこまでというよりも、通院で神経的な痛みとかそういうことですので、そこら辺がなるならないということはあるかと思いますが、そこについては御相談はいただけるということですので、御相談いただければと思います。それから救済になったものもございます。

 

○医薬品医療機器総合機構総括調整役

 予防接種制度に基づくワクチンの接種は、厚生労働省のほうでやっておりますが、いわゆる任意接種で接種したワクチンについては、副作用被害救済の対象になるということで、そういったものについてPMDAの救済の対象として、給付金が出されたりなど、そのような事例はございます。

 

○石渡委員

 ありがとうございました。やはり被害の救済という以前に、国民感情としては、こういう不安に対してどこで相談に乗ってくれるのかというところが、とても切実な課題になってくると思うのですが、そういう場合の御相談なども例えばお問合せをしたらば、適切な所を御紹介いただくというようなこともできるのでしょうか。

 

○医薬品医療機器総合機構理事

 できるだけ丁寧に対応するように心がけておりますので、御相談いただければ。事実いろいろな御相談があります。それに対してきちんとどう対応したかというのも、幹部はきちんと把握して、できるだけ丁寧に対応するように努めています。

 

○石渡委員

 ありがとうございました。

 

○真野部会長

 よろしいですか。ほかはよろしいですか。

 ではパート3に入りたいと思います。パート3は審査等業務の業務運営の改善で、いつもいろいろと議論の出るところです。時間は法人の説明が15分、質疑が5分となっています。よろしくお願いいたします。

 

○医薬品医療機器総合機構企画調整部長

 スライドの37番を御覧ください。パート3というのが、審査等業務に関するものです。こちらについては、大きく2つの項目に分けて、評価を頂くということになっています。

38番のスライドですが、まず、医薬品の関係ですが、業務の迅速な処理及び体制整備ということです。自己評定については、「S」を付けさせていただいています。平成24年度の取組については、40番、41番のスライドを御覧いただきたいと思います。まず、的確かつ迅速な審査の実施ということで、審査員を増員し、審査体制を強化してまいりましたし、進行管理も適切に行っています。また、なるべく効率化を図るということで、電子化の促進にも取り組んできているところです。

 スライドの41番は、第2期から始められた新しい審査方式ということですが、事前評価相談制度というのを、平成24年度も実施してきています。また、リスクマネージャーを配置しまして、治験段階から市販後まで、一貫して安全性を確認するという、このリスクマネジメントチーム、12審査チームを配置しまして、実施をしているところです。

 こうした取組の結果ですが、42番のスライドを御覧ください。平成24年度の目標については、総審査期間ですが、医薬品の優先品目が9か月だったところを、実績の所の下、真ん中の段の表ですが、いちばん右側の平成24年度、6.1か月ということです。9か月のところが6.1か月ということで、目標をクリアしています。

 それから通常品目については、総審査期間12か月の目標のところ、今度は一番下の箱になりますが、10.3か月ということで、こちらも目標をクリアしています。これを横に御覧いただきますと、平成20年度、4年前から比べますと、もう半分ぐらいまで来ているという状況が御覧いただけるかと思います。

 それから、細かく見ていきますと総審査期間だけではなくて、行政側の持ち時間、申請者側の持ち時間についても、それぞれ目標が定められていますが、こちらについては基本的に目標が達成されていますが、通常品目の申請者側期間の所については、目標が達成できていませんでした。ここの所については、これもまた過去からの推移を御覧いただきたいと思いますが、一貫して改善してきています。これについては、相手のある話ですので、私どもとしてはお願いをするしかないのですが、2点、企業さんのほうにお願いをしていまして、まずは治験相談をきちんと受けてくださいと。そこで論点整理をしてから、正式に申請をしていただくことによって、審査がスムーズに進むということと、それから、どうしても医薬品メーカーというのは、国際的な多国籍企業ということになっていますが、日本向けの申請にも十分なリソースを割いてくださいということで、開発本部等にお願いをさせていただいているというようなことがあります。そういったものが一応、効果としては現れてきているのですが、引き続き努力を続けていきたいと思っています。

 それから43番のスライドですが、こちらは国際的な話です。連携の強化ということで、アメリカのUSPや、あとはEU、ヨーロッパのほうのEMAに、職員をliaison officerとして、置いています。また、守秘協定を新たにブラジル、イタリア、フランスと結んでいます。この守秘協定というのは先ほどもありましたが、私ども当局が扱っている情報というのは、本当に企業秘密の塊ですので、こういった守秘協定を結ぶというのが、連携の大前提ということです。

 こういった取組が進んでいるところですし、その下にありますように、スイス規制当局との人材交流というのも、準備を進めているところです。そのほか、ICHを中心とした国際調和活動を進めるとか、あるいは人的交流の促進ということで、アジア向けのトレーニングセミナーを開始したり、インドネシアから研修生を受け入れるなどして、日本の存在感と言いますか、日本の制度や仕組みを理解していただいて、アジアで適切な役割を果たすことができるように、こういった取組も進めているところです。

44番のスライドですが、国際広報、情報発信ということで、業務報告や審査報告書の海外への発信ということです。英語版を作成して、行っています。また、国際共同治験についても進めてきているところです。

45番のスライドは、治験相談ということです。こちらについては、受付から対面助言まで、2か月程度でやるということ。それから、相談から記録確定まで30日以内にやるのを80%以上にするというところについても、目標を達成しているということです。93.9%というのを出していますが、こういったことで迅速に対応するとともに、件数もここの箱に書いてありますように、こういった件数の対応をさせていただいているということです。

 ページをめくっていただくと、また大きな表が出てきていますが、こちらは薬事戦略相談に関するものです。こちらは6月に閣議決定された「日本再興戦略」でも、何度も指摘されている、重要な事業だと認識していますが、概要については48番のスライドを御覧ください。日本の大学や研究機関、それからベンチャー企業というのは、極めて有望なシーズを持っておられる所が多いのですが、なかなか実用化するノウハウというのが、少し不安に思っておられる所が多いということでして、そういったニーズに応えまして、こういう事業をやっているわけですが、3つ相談を受ける体制になっています。個別面談というのが、薬事戦略相談というのはどういう事業に対して適用されるのかとか、あるいは事業がどんな内容なのかというのを説明するもの。それから事前面談というのが、相談内容の整理をして、論点整理をするということで、ここで論点が整理できますと、実際に対面助言ということで、実際に審査する審査チームなどとも科学的な議論を交わして、助言を行っていくということです。

 最後の段階だけが有料ということになっていますが、46番のスライドにお戻りいただきますと、この対面助言についても71件ということで、平成237月から開始していますが、累計で71件まで上がってきている。ますます「日本再興戦略」等によって、進めていかなくてはいけないということで、頑張っていきたいと思っています。

 それから、今までは新薬の話でしたが、それ以外の薬の関係で、49番のスライドを御覧ください。後発・一般用・部外品についても、それぞれ目標が定められていまして、こちらは行政側機関だけなのですが、それぞれ10か月、8か月、5.5か月ということになっています。平成24年度の実績については、下にありますように行政側機関、5.94.14.9か月ということで、いずれも目標をクリアしているという状況です。

50番のスライドですが、ここからが医療機器の関係になります。医療機器については、自己評定「A」と付けさせていただいているところです。平成24年度の取組内容については、53番のスライドを御覧ください。先ほど内海理事から御紹介がありましたけれど、平成24年度もこのBuddy制度を活用して、審査に当たっています。それから、その審査手続における電子化を促進するなど、効率化にも努めて、迅速な審査を心がけてやっているということです。

 それから、医薬品と並びですが、事前評価相談制度についても平成24年度から正式な実施を開始しているということで、新しい取組も行っているということです。これらの結果ですが、スライドの54番にあります。平成24年度の目標ですが、総審査期間で新医療機器の優先品目が13か月のところ、先ほどと同じですが、真ん中の箱を御覧いただきますと、平成24年度の実績は9.3か月ということで、目標をクリアしています。それから、通常品目については17か月の目標に対して、12.7か月ということで、こちらも目標が達成できているということです。

55番のスライドは、改良と後発の医療機器の関係です。平成24年度の目標については、総審査期間で改良(臨床あり)12か月のところ、17.3か月ということで、目標を少し超えています。それから、(臨床なし)については9か月のところ、9.7か月ということで、こちらも少し目標に届いていません。それから、後発については4か月だったところを4.0か月ということで、ぎりぎり目標をクリアということです。

 特に改良医療機器については、件数などはかなりいい線にいっているのではないかと思っているのですが、審査期間が目標に少し達していないということですが、その理由については、今回、私どもは滞貨品目と呼んでいるのですが、審査が長期化している品目の処理というのを、平成24年度に集中的に進めたというのがあるかと思っています。

56番のスライドを御覧ください。上下に(臨床あり)(臨床なし)で分けて書いていますが、例えば上の(臨床あり)については、平成21年度に申請された(臨床あり)の品目。それが、平成23年度末に終わっていなかったものが5件ありました。これは、時間がかかっているということは、やはり難しいものということで、滞貨品目なのですが、これが平成24年度末にはゼロになっているということで、一応全部片付けたということです。

 下側を御覧いただきますと、(臨床なし)の品目についても、平成21年度に申請されたものが、平成23年度末に25件残っていたのですが、それを7件まで減らしたということです。

 それから、そういうのと合わせまして、平成22年度の分については53件を16件にしましたし、平成23年度のものについては139件あったのを36件まで減らしているという状況で、一応、平成24年度は滞貨品目を集中的に減らして、第2期全般で見て、最終的に目標を達成できるようにということで、集中的に滞貨の処理に取り組んだという結果が、こういう数字に出てきているのではないかと分析しているところです。

 スライドの57番は国際関係ですが、これも医薬品並びで連携の強化、それから国際調和、そういった活動に取り組んでいるところです。

 スライドの58番は、治験相談の話です。申込みがあった全ての治験相談に対応するということ。それから、記録確定まで30日以内に行うというのを、60%という目標を設定していたところ、89.3%ということで、目標をクリアできたということがあります。治験相談の実施状況については、表に示してあるとおりです。

1.-(3)ということで、各種調査の実施状況についてです。こちらは自己評定「A」ということで、付けさせていただいています。

 取組の内容は60番のスライドに書いてありますが、信頼性適合性調査、これはもともと数値目標として、50%以上にしようとしていた企業訪問型書面調査、これが84.0%ということで、目標をクリアしていますし、それからEDC管理シート、これは電子的な書類システムですが、業務プロセスを効率的に確認するというシステムを導入して、業務の円滑な実施に努めているところです。そのほか、GMP/QMSの調査についてもリスクを勘案して、よりリスクの高い所を優先的に、実地調査を実施するなど、円滑な実施に努めているところです。

 各種調査の実施状況については、スライドの61番、62番に書いてあるとおりですが、基本的に各調査とも、前年を上回る件数を実施しているという状況です。

63番のスライドですが、信頼性の向上に関する所です。自己評定は「A」を付けさせていただいています。具体的な中身についてはスライドの64番にありますが、研修の充実ということで、手術の立会いであるとか臨床現場といった、現場重視の考え方に基づいて、研修を行っていますし、あと平成24年度には、新たに第2ME技術研修という、医療機器の関係が特に重要ということで、こういったものを実施するといったことで、研修を充実させてきています。

 人材交流の話が2としてありますが、連携大学院構想ということで、これまでも11校と連携して行っていましたが、平成24年度には新たに6校と協定を締結しまして、協力を行っています。

 それから、厚労省から補助金をいただきまして、革新的製品の実用化促進事業ということで、平成24年度は21の大学と人材交流を行っていまして、こちらのほうが受け入れる特任職員と言いますが、18名の研究者を受け入れていますし、こちらからは30名を派遣しているということです。

 そのほか、65番にありますように、ゲノム薬理学への対応、審査報告書等の情報提供の推進、こういった事業についても適切に進めてきたところです。長くなりましたが、説明は以上です。

 

○真野部会長

 質問などはいかがでしょうか。では、私が最初に、スライドの43ページです。分かりにくい質問かもしれませんが、ブラジル、イタリア、フランスとの守秘協定、あるいはスイスとの人材交流という話がありますけれど、先ほどメキシコというお話もあったのですが、例えばEMAとリエゾンするというのはすごく分かりやすいのですけれど、個別の国がパラパラ出てくるというのは、お付き合いの関係で出てきたのかもしれませんが、何か制度的に親和性があるとか、何か理由があるのでしょうか。

 

○医薬品医療機器総合機構理事長

 この45年の間に規制当局間のサミットというのがありまして、それが年に一度あります。それで、それぞれの国のいろいろな御意見を伺う、2日から3日ぐらいかけてやる会があるのですが、そういう中で毎年顔を合わせていくと、例えばレギュラトリーサイエンスの話などが出てきたりしますよね。

 それから、いろいろな話題が重なってくると興味を持たれて、やはり日本の規制当局に関心が出てくる所が多くて、先ほど申し上げたブラジル、イタリア、フランス、スイスもそうだと思いますし、カナダもそうですが、交流しようということになる。そういう流れの中で、こういうのがどんどん進んできた。ほんの数年の話です。

 

○真野部会長

 よく分かりました。非常にいい動きということでしょうね。ほかはいかがですか。

 

○橋田委員

 ドラッグ・ラグ、デバイス・ラグの解消というのが非常に大きな目標で、実際にデバイス、医療機器で滞貨となっていたものが一部あったみたいですが、あとは非常にいい形で、数字の短縮もしておられて、実績を上げられたということです。1つそれに対しまして、そのプロセスとして事前評価相談というのが入っているということでしたが、これは今問題になっている審査の期間の中には入っているのでしょうか。それとも、これは事前ですから、審査の前のものですか。

 

○医薬品医療機器総合機構理事

 事前評価相談は治験相談の中の1つでして、申請する前に前もって、フェーズ3に入る前くらいのデータについて、あらかじめ私どものほうで審査しておいて、それから審査しながら相談して、その間にまたフェーズ3が出て、それを今度は追加する形で審査するということで、結果的には審査期間が短くなるのですが、そういう形のものです。

 したがって、ドラッグ・ラグと直接関係するわけではありませんが、これがうまく機能しますと、最終的にはフェーズ2の段階ぐらいまでを評価してありますから、期間的に短くなるということで、今は試行的にそういうデータが出つつあるところです。

 

○橋田委員

 ありがとうございます、よく分かりました。失礼な言い方をすれば、こういう制度を前に作ることで、期間を切り分けて何かしておられるのではないかということも少し思ったのですが、そういう意味では全然ないわけですね。

 

○医薬品医療機器総合機構理事

 そうです。

 

○橋田委員

 結果として、プロセスが効率化されるというのは、そのとおりだと思います。

 

○医薬品医療機器総合機構理事

 恐らくこの制度が始まって、まだ期間が短いものですから、これからだんだん見えてくるのではないでしょうか。今までの成果について、これが直接反映されたということではありません。

 

○橋田委員

 それから、例えばドラッグ・ラグの解消に関しまして、これはもちろん数値目標があって、その解消に努めていただいているわけですが、もう1つ、この問題の大きな背景は、もちろんそれがあるがために、例えば外国の企業が、日本での治験、開発をパスすると言いますか、後回しにする。あるいは日本の企業も、場合によっては外国での開発を先行させて、後回しにするということが、実際の問題だと思うのですが、そのような意味では最近の傾向はいかがでしょうか。こういう形でドラッグ・ラグをどんどん短くしていきますと、いい形で影響が出ているのかどうか。

 

○医薬品医療機器総合機構理事

 申請をどの当局にやるかというのは、ドラッグ・ラグだけの話ではなくて、それぞれの医薬品医療機器の市場性の問題もあるのですが、ただ、業界の方々が最近いろいろなことを調べられ、またお話になるのですが、ファースト・イン・ヒューマンというのが私どもの所で、今、非常に多く出ています。

 私どもが世界に先駆けて最初に承認したものもありますし、それから同時承認、ほぼ同時と言ったらいいのですが、1か月ぐらいの差を追って承認し合った。承認し合うというのは、特に競争し合っているわけではないのですが、そういう意味では世界同時承認という薬が、今、市場に出ています。

 そうなってきますと、今度は審査の体制、あるいは中身を、どうしても審査の段階では、全ての情報が十分あるわけではないので、後のほうの安全性をどう担保するかという、次の話になりますが、そういうところについても十分これから配慮するということが求められている段階です。

 

○医薬品医療機器総合機構理事長

 内海先生からしっかり説明していただいたのですが、少し加えさせていただきますと、先ほどメキシコの話をしました。橋田先生はよく御存じだと思いますが、あのとき意外に世界中が、日本の審査当局の判断をよく見ているのだなと思いました。我々の判断、審査報告書は全て日本語で書いてあるのですが、それでも見ている。

 それで、医療機器に関しては、少なくともアメリカとカナダと日本に関しては、そのまま認めるよというのがメキシコの判断。これは私どもにとって、非常に衝撃的でした。こういうことなんだな。つまり世界が、日本の判断を見ているのだと。その意味は、まずクオリティの問題だと思います。クオリティを結構よく見ているのだなと。

 それからもう1つは、日本は国民皆保険制度があります。したがって認可されると12,000万、13,000万の国民の方々に、保険で償還されるわけです。つまりクオンティティも入っているのです。クオリティとクオンティティが入っている審査の報告というのは、ものすごく価値が高いです。

 そうすると、そういう流れというのは欧米の企業から見ても、日本で最初に審査するということは価値が高い。しかもマーケットが広い。今問題になっているのは、世界で最初に認可される可能性も出てくるし、そうすると日本で最初にスプレッドする。日本で皆保険というのは、多くの国民にそのまま新しい新薬が使われる。世界で最初に薬が広がる国は、日本になりつつあるのです。ということは、世界で最初に大きな副作用というものも出てくる可能性がある。そういうことに我々が今、一生懸命、副作用対応をやろうとしている。世界の国々は日本の副作用報告に、非常に関心を持っている。つまり、いろいろな角度で日本の審査の対応、日本国の対応が、世界中に影響を与えている。いい意味で、非常に大事な役目をやりつつあるということです。

 そういうこともあって、世界のPMDAと言ったりしているところもあって、逆に言うと、これからそういう役目がどんどん強くなってくるだろうと思うし、審査能力をどんどん高めなければいけない。そういう流れと全部重なるわけでして、恐らく欧米の企業は、日本に最初に申請を出してくるようになってくることは、間違いないだろうと思っています。

 

○平井部会長代理

 特にその傾向は今、分子標的薬などが非常に進んでいまして、そうすると今度は経済的な問題が関わってきて、結局、費用対効果とか、そういうことが問題になってくると思うのですが、その辺りはやはりPMDAさんの中でも、検討のグループとか、そういうのは考えていらっしゃるのでしょうか。

 

○医薬品医療機器総合機構理事長

 我々の役目というのは、あくまでも科学的な評価ということでして、そういう経済的なところについては関与しないことになっています。アメリカのFDAもそうです。ただ、ヨーロッパのEMAは違います。やはり今おっしゃられたHTA、非常に関心を持っています。我々も関心がないわけではないのですが。

 

○医薬食品局総務課長

 前職が医療保険ですとか、あるいは医薬品の振興の立場でしたので、御参考までに申し上げますと、ドラッグ・ラグの解消には、審査の迅速化、あるいは治験環境の改善以外にも、市場性の要素もあって、その辺は薬価については新しい加算制度、医療機器についても迅速加算というのがあります。非常に企業も着目していまして、日本で早く開発しようという気運が高まっているのは事実です。

 他方、今御指摘がありました、新しいものは高いのではないかという問題もあります。医療費の伸びも、実は3分の2が医療の高度化が要因ということで、先進的な技術、高度な医療機器、そして革新的な医薬品、これが要因だろうと言われています。そうしますと、今まさに中医協におきまして、費用対効果、HTAの考えを、日本の医療保険制度にどう入れるべきかどうかと議論をしているところです。ただ、一方で先進的に取り組んでいるイギリス、あるいはヨーロッパにおきましても課題があるので、その辺をにらみながら、慎重に検討しているというのが実情です。

 

○平井部会長代理

 的外れなことを申し上げて、申し訳ありません。

 

○真野部会長

 今、旬な話題ですから、必ずしも的外れではないと思います。ほかはいかがでしょうか。

 

○松原委員

 先ほどドラッグ・ラグどころか、日本初というのも出てくるという話で、非常に力強いお話で素晴らしいと思いました。ほかの独法が、割と官民を圧迫しないようにということで、引き気味、引き気味の中で、こちらだけは非常にもっともっと、大きくなれ大きくなれということで、独法の中で非常に特異なお立場だと思います。

 そういう意味でも、本当に応援していかなければいけないと思うのですが、先ほどお話の中で、審査判断結果とかが、海外において日本語であるにもかかわらず読まれているということですが、もっと日本のプレゼンスを高めていくという意味では、その判断結果を英語で出すということも、重要な戦略となるのではないかと思います。

 

○医薬品医療機器総合機構理事長

 ありがとうございます。今、一生懸命、少なくとも新しい新医療機器や新医薬品については、率先して英語でも出すようにしています。もともとこれは日本向けの組織だったのですが、先生がおっしゃられたように、実は世界が見ているというのは、本当に嬉しいと思うところです。一生懸命、対応を始めたところです。

 

○真野部会長

 よろしいでしょうか。

 それでは、次のパート4に移りたいと思います。審査等業務の業務運営の改善という項目です。では、よろしくお願いします。

 

○医薬品医療機器総合機構企画調整部長

 スライド66番になります。こちらは安全対策業務ということで、3つの項目で評価いただくということになっています。

 まず最初は3.-(1)ですが、副作用・不具合情報収集、それから整理・評価・分析の体系化ということになっています。自己評定は「A」を付けさせていただいています。こちらはすぐ下にありますが、もともと評価チーム、12チームの実施を目指してということですが、こちらについては68番のスライドを御覧いただくとお分かりになりますように、12チームの体制は完成していまして、更に部内横断的な業務として、各チームの職員を指名するといったような取組も進めているところです。

 また、少し戻って上から2つ目の矢印の所ですが、平成243月から、患者からの副作用報告もいただくような形で、試行的に進めていまして、安全対策の充実・強化に努めているところです。

 下の表にありますように、私どものほうで添付文書の改訂等が必要というものについては、厚生労働省に報告をさせていただいています。次の69ページには、それを受けて厚生労働省のほうで安全対策措置がとられた件数を記させていただいています。

 次の70番のスライドですが、医薬品の企業等からの報告の状況です。平成24年度については4万件ぐらい。それから、次の71ページを御覧いただきますと、医療機器の関係は1万件。こういった報告を、日々PMDAのほうで評価・分析しているということです。

72番のスライドが、安全対策の高度化ということです。「MIHARIプロジェクト」については、引き続きレセプトデータや病院情報システム、こういったものを使って試行的な調査を続けています。また、平成23年度から始めました医療情報データベース基盤整備事業、これも閣議決定されました「日本再興戦略」で、この事業の拡充であるとか、地域連携の推進といったようなことが求められているわけですが、これも非常に期待の大きな事業です。こちらについて、平成24年度は東大病院にシステムを導入しましたし、残る6医療機関と、システムの改修を開始したということです。そのほか、データマイニングの手法を高度化するなどの工夫を行いながら、安全対策の充実に努めているところです。

74番は企業、医療関係者への情報提供、フォローアップということで、自己評定は「A」を付けさせていただいています。

 スライドの75番にありますように、上の2つの目標、副作用から公表までの期間4か月。それから、文書改訂指示について、2日以内にホームページに掲載するというのが、目標を達成しています。そのほか、数値目標としては、医療情報提供ホームページについて、アクセス件数が、これは平成20年度比で54%増の約10億回まで来ています。それから、メディナビの登録件数については84,000件ということで、ここまで伸びてきているという状況です。

 それからスライド76番、今度は患者さん、一般消費者の方々への、安全性情報の提供です。自己評定は「A」を付けさせていただいています。取組状況についてはスライドの77番を御覧いただきたいと思いますが、市販後安全体制の確立ということで、患者向けの医薬品ガイド、こういったものを作成するに当たっての、企業からの相談を受けている件数を、この表に示させていただいていますし、そのほか、副作用・不具合等の報告は公表させていただいています。

 また、添付文書の改訂指示通知等が出ますと、迅速にホームページに掲載するといったこと。それから、「患者向医薬品ガイド」の作成・公表ということで、ホームページに掲載するなどの取組をさせていただいているところです。

78番は先ほど説明したのと重複ですので、飛ばさせていただきまして、79番のスライドです。医療安全情報の提供ということで、もともとは財団法人日本医療機能評価機構という所が公表していますヒヤリ・ハット事例、これをPMDAでも評価・分析をさせていただきまして、今後、より適正な使用が必要と思われるものについては、PMDAの医療安全情報ということで、提供させていただいているということです。

 あと、スライドの80番にありますが、安全関係ということで一般消費者の方や患者さんを対象に、医薬品相談、医療機器相談というのを実施しています。その相談件数の推移については、表にあるとおりです。説明は以上です。

 

○真野部会長

 御質問はどうでしょうか。では、また私から1つ、79ページの医療安全情報の話です。よく分からなかったのですが、やられたことはよく分かるのですけれど、要するに医療機能評価機構が集めていますね。それで公表しているものを、独自にPMDAで分析されたという意味に理解したのですが、これは例えば医療安全情報とか、そういうものを提供するのが目的であれば、独自に新たに分析し直さなくても、既に公表されているもので、ある程度カバーはできるものではないのでしょうか。

 言い方が分かりにくかったかもしれませんが、要は二度手間をしたわけではないのですか、という意味です。

 

○医薬品医療機器総合機構安全管理監

 これは特に評価機構の情報について医薬品や医療機器の特徴に着目して、「モノ」の側に要因がないかどうかという点を、改めてPMDAで情報を何十件か、あるいは場合によってはもう少し多い件数もあるのですが、集約しまして、そこから出た情報を、専門家などの目も通して見まして、それを改めて医療関係者、医師、看護師、薬剤師などに、適正使用のための情報として、例えばカテーテルの操作のときにどういうことに注意すれば事故を防止できるかということについての情報として、まとめ直すという、そのような形での解析をさせていただいています。

 

○真野部会長

 そうすると、公開情報をうまく活用されたという、そういう理解ですね。

 

○医薬品医療機器総合機構安全管理監

 そのとおりです。

 

○真野部会長

 すみません、失礼しました。

 

○橋田委員

 この医療情報データベース基盤整備事業は、非常に重要な事業だと思います。これからその意義はますます増してくると思うのですが、これは厚生労働省との関係でお尋ねしますが、これはPMDAの主体となった事業ということでよろしいのでしょうか。それから、これを推進するに当たりまして、そういう意味で何か部局を整備されたり、スタッフがおられたり、現状もそうですし、今後の展望ということかもしれませんが、もし教えていただけましたら幸いです。

 

○医薬品医療機器総合機構安全管理監

 これは厚生労働省の予算の事業でして、それをPMDAが実施の主体となってやっているものですが、したがいまして、それに従事しているのはPMDAの職員、あるいは場合によっては契約のコントラクターである企業、それがこの対応を行って、ここまでの開発を行ってまいりました。

 

○橋田委員

 例えば情報の収集もそうですし、データマイニングのシステム作りとか、非常に重要だと思いますが、これからPMDAが積極的に、そういうものを構築していかれるということでよろしいですか。

 

○医薬品医療機器総合機構安全管理監

 そうです。そのために、PMDAだけで不十分な所は外部のリソースを使って、いろいろ開発を進めているところです。

 

○橋田委員

 もう1つよろしいですか。最近の話題ということでお聞きしたいのですが、例の美白をうたった化粧品の件です。あれはもちろん医薬部外品ですが、新有効成分だったということ。それから、いろいろな有害事象が出ているわけですから、その安全性情報の収集ということもあると思いますが、そういうこと全般を通じて、PMDAはどういう御関係にあるかというか、どういう関わりになっているのか。恐らくこういう事例に代表される領域でも、またPMDAの重要なファンクションとしまして、今後社会的にも大事な役割を果たしていただくのだと思いますが。

 

○医薬品医療機器総合機構安全管理監

 医薬部外品につきましても医薬品や医療機器と同じように、薬事法における製造販売企業の報告義務がありまして、その報告すべきものはPMDAに対して報告をいただいて、それをPMDAが評価して、厚生労働省が措置につなげるということをやっています。

 今、御指摘がありました医薬部外品の白斑の件については、企業が研究報告という形で情報をまとめて報告するという義務に基づいて、報告があります。それに対してPMDA、あるいは厚生労働省から指示を行ったりして、今般のような対応を、引き続き今は対応中ですが、そういうことになっています。

 

○真野部会長

 よろしいでしょうか。そうしましたら、まさに時間どおりでして、PMDA側からの御説明も非常にてきぱきしていまして、以上で全ての項目の評価を終わらせていただくことになります。

 事務局のほうから、何か連絡はありますか。

 

○政策評価官室長補佐

 本日お配りしている資料の扱いですが、こちらの郵送を御希望される場合は、会議終了後に事務局のほうにお申し付けください。また、資料をお持ち帰りになって評価される場合については、先ほど御説明がありましたとおり、明後日の88()までに提出をお願いします。以上です。

 

○真野部会長

 ありがとうございました。では、法人及び法人所管課の入替えを行います。

(法人及び所管課入替え)

 

○真野部会長

 それでは、国立重度知的障害者総合施設のぞみの園の個別評価に入りたいと思います。最初に、理事長から御挨拶と平成24年度における業務の概要をお願いいたします。

 

○国立重度知的障害者総合施設のぞみの園理事長

 のぞみの園理事長の遠藤です。本年41日に、第3期の中期目標期間の理事長に再任されました。引き続きよろしくお願いいたします。委員の先生方には、日頃から当法人の運営についていろいろと御指導、御鞭撻をいただいております。この場をお借りして御礼を申し上げます。本日は時間も限られておりますので、早速お手元の資料2-1、「平成24年度における取組(概要)」に沿い、簡潔に説明いたします。

 最初に、入所利用者数の推移などの表があります。平成15101日、独法に移行して以来、入所利用者は年々減少してきており、現在までに200名以上減少しております。他方、通所利用者の数が増えてきまして、地域の障害のある人たちの障害の福祉ということで取り組んでいるウエイトが、だんだんと増えてきております。また、2に地域移行者数の推移を掲げております。独法に移行して以来、地域移行の事業に取り組んでまいり、合計150名の方がのぞみの園を退所されております。また、3の新しい事業として、刑務所や少年院を退所した知的障害のある人たちを受け入れ、地域移行、地域定着を目指しておりますが、その事業の関係では、既に16名の方を受け入れて、13名の方がのぞみの園を退所しております。

2ページは、のぞみの園が提供している障害福祉サービスの一覧です。訪問系のサービスを除き、知的障害のある人たちを対象とするサービスを全般的に提供しています。3ページからは、業務運営の効率化関係の実績です。後ほど詳しく説明いたしますが、常勤職員数、人件費総額、運営費交付金の額など、いずれも目標値を確実に達成しております。特に、平成24年度の運営費交付金は、平成19年度と比較して81,000万余り、34.8%減額となっております。

4ページは、内部統制・ガバナンスの取組等です。専門家の助言・指導を受けながら、法人を挙げてリスク回避・リスク軽減に取り組んでまいりました。ただ、先日資料として別便でお送りしましたように、526日に利用者の死亡事故が発生してしまいました。明け方に、自らの居室のベッドの上で、オムツの破片を喉に詰まらせて窒息したという事故です。これは推測ですが、オムツを取って内側の軟らかくなっている部分をちぎって口に入れて、それがかなり吸水性の高いものであったということで、喉に詰まらせたという事故だと考えております。警察に連絡しまして、早速いろいろと調べていただき、特に事件性は無しということになってはおります。こういった事故について、その検証結果や再発防止について、縷々報告書に書いてあります。いずれにしても、このような事故を起こしてしまったことについて、法人を代表してお詫びを申し上げます。再発防止策を徹底して、利用者の安全・安心のために最善を尽くしてまいります。

5ページ以降に、国民に提供するサービス関係の実績がまとめてあります。これらの点についても、中期目標は全般的に達成できたと考えております。時間も限られておりますので、私からは5ページの矯正施設等を対象とした知的障害者への支援について、若干触れさせていただきます。この政策課題は、厚生労働省と法務省が協力して、平成20年度から本格的に取組が始められました。のぞみの園においても、平成20年度から実際に受入れを開始し、モデル的な支援に取り組むとともに、受け入れた場合の支援プログラムの開発、あるいはほかの施設、事業所で受け入れたときの中心的な役割を担う職員の方々を養成する養成研修事業も行ってきております。これらの取組により、全国の関係事業所・施設にいろいろと成果を提供しているところです。その実績については、先ほど申し上げたとおりです。

 少し割愛させていただき、次に8ページの被災施設の支援について付け加えさせていただきます。一昨年の4月に、福島県富岡町から、社会福祉法人友愛会の利用者と職員の集団避難を一括して受け入れました。のぞみの園の施設・設備を提供し、従来の施設事業を継続できるようにということで、多々協力しているところです。友愛会によると、福島県内に戻って再開したいという強い希望はもっておりますが、なかなか用地取得が難しいと。友愛会としては福島県内の浜通りの地域に施設を作って再開したいという強い希望をもっておりますが、用地取得が大変難しく、なかなか前に進めない状況にあるということでした。御苦労は続いているようですが、のぞみの園としては、福島県に戻れる日まで、できる限り支援をしていくこととしております。以上、大変簡単で恐縮ですが、私からの概要説明とさせていただきます。本日の審議、どうぞよろしくお願いいたします。

 

○真野部会長

 ありがとうございました。続いて、評価ですが、4つのパートに分けて、パートごとに行っていきたいと思います。パート1、業務運営の効率化に関する事項について評価を行います。法人から、よろしくお願いします。

 

○国立重度知的障害者総合施設のぞみの園事業企画局長

 法人から御説明いたします。事業企画局長兼総務部長の湯村と申します。どうぞよろしくお願いいたします。資料2-2、「平成24年度業務実績評価シート用説明資料」により説明いたします。本体の評価シートについても、対応するページを申し上げますので併せて御覧いただければと思います。なお、この説明資料は、主に評価の視点と数値目標に対応した実績という形で作成しております。時間に限りがありますので、評価の視点や数値目標の読み上げは省略いたします。

23ページをお開きください。業務運営の効率化に関する事項の1-(1)効率的な業務運営体制の確立、評価項目1です。評価シートは、14ページです。私どもは、法人運営にあたり、施設利用者のサービスの推進・維持には十分留意しながら、運営の効率化、適正化に努めております。併せて、適正な人員配置にも努めているところです。23ページにもありますとおり、適正な人員配置として、常勤職員数は定年退職者の不補充を原則とし、第2期中期目標の削減目標が20%削減ということですが、平成20年度期首の279名から平成24年度期末で56名を削減し223名としており、計画どおり20%削減目標を達成いたしました。

 また、柔軟な組織編成ですが、平成24年度においても2ページの下の3つの○といった政策に取り組んでおります。1つ目の○に関しては、平成2441日から、地域移行などによる施設利用者の減少を踏まえ、第5次寮再編を行いました。16か寮体制から15か寮体制とし、更なる効率化を図りました。2つ目と3つ目の○に関しては、施行自体は平成2541日からの実施ですが、平成24年度中に準備、検討を行いました。2つ目の○ですが、平成25121日付けで総務省の政策評価・独立行政法人評価委員会から「勧告の方向性」が示されました。その中で、地域移行等による施設利用者数の減少に応じて、関係部門の体制の縮小を図ることとされたことから、施設事業局内の3部体制を2部体制に集約する検討を行いました。就労支援部の事業部門については、地域支援部就労支援課の業務とすることを検討いたしました。3つ目の○に関しては、発達障害児を対象とする通所支援事業(児童発達支援事業と放課後等デイサービス)を、この平成254月から実施しております。その実施を行うための療育支援の体制整備のため、「診療所」を「診療部」に改めて、療育支援を担当する「療育支援課」を設けるとともに、「障害児通所支援センター」を開設する検討を行ったところです。

3ページです。常勤職員数については、ただいま説明したとおりで、平成24年度期末で計画を達成しております。その中で、提供するサービスの質を確保することと新規事業の実施に必要な専門職の採用も大事になってまいります。真ん中の点線で囲まれている部分ですが、平成24年度においては、生活支援員6名、看護師1名、心理療法士2名、作業療法士1名、研究員2名、医療ソーシャルワーカー1名の計13名の専門職員の採用を行いました。また、人件費総額は、約23,100万円の減額を図りました。更に、「国家公務員の給与の改定及び臨時特例に関する法律」に準拠した給与改定を行ったところです。

4ページは、平成24年度のラスパイレス指数です。対国家公務員指数で96.0、対他の独立行政法人との比較では89.8となっており、対国家公務員比の数値目標の98.1以内は達成しております。

5ページです。私どもは、平成20年度から法人業務に必要な各分野の専門家を招聘させていただいており、職員の資質の高い人材確保に取り組んでおります。平成24年度も、引き続き地域支援、高齢者支援、調査・研究などの専門家を招聘いたしまして、実際の利用者の支援、会議、職員研修などの場において、指導・助言をいただいております。そして、より質の高いサービスの提供を行うことができる体制を整えております。

67ページは、大体該当しないものが多いのですが、この中で法定外福利費については、ここに書いてありますとおり、労働基準法、労働安全衛生法にのっとって、適切に対応しております。以上が、評価項目1の説明になります。

2ページに戻っていただきたいと思います。右上に書いてありますが、いずれも計画以上の成果を上げているという評価で、自己評定は「A」としております。

89ページをお開きください。内部統制・ガバナンス強化への取組ということで、評価項目2です。評価シートは48ページです。こちらは、平成213月の基本方針に基づき、内部統制・ガバナンス強化に取り組んでおります。平成24年度は、各部局の長をメンバーとする内部統制向上検討委員会を3回開催いたしました。また、監査法人などの専門的知見を有する第三者の指導を受けながら、適正管理に努めたところです。

 平成20年度から取り組んでおりますが、9ページに取組の流れ図を載せております。優先的に対応すべき3種類のリスクについて、フェーズ2からフェーズ5にかけて継続して取り組んでおります。また、内部統制の必要性やリスク対応計画、取組内容などについて、職員研修会を2日間にわたり3回開催いたしました。それをもって、職員間の共通の認識を深めたところです。

10ページをお開きください。モニタリングの評価会議ですが、平成24年度は5回開催いたしました。モニタリングの結果については、幹部会議や職員向けの園内報などを通じて、周知・反映させるように徹底を図っております。

11ページは、業務の情報開示です。組織業務及び財務情報や業務運営の状況に関する調査などの項目については、当法人のホームページで公表いたしております。また、監査機能の強化ですが、内部監査を専門の部署の監査室で実施しております。内部監査計画を年度初めに策定し、監査を実施し、平成24年度の監査結果を理事長に報告の上、その結果をホームページに公表しております。

 続いて、1213ページです。健康維持対策、感染症防止対策の左側サイドです。日頃から、ここにまとめてありますように徹底して取り組んでおります。仮に、万一インフルエンザが職員や職員の家族などに発生した場合には、速やかに利用者の二次感染防止ということから感染症対策委員会などを開催しており、迅速な対応を図っております。13ページに、インフルエンザの対策として記載しております。平成24年度においても、タミフルの予防投与・手洗い・うがい・マスク着用の励行などを徹底しており、職員や職員の家族等が罹患した場合には、すぐに出勤停止などの措置を取って予防に努めております。その結果、利用者の発症は11名おりましたが、蔓延にまでは至りませんでした。

12ページに戻り、右側の事故防止対策です。これについては、毎月事故防止対策委員会を開催しており、発生原因の分析や事故防止対策等を検討し、その内容については職員に周知し、同じ事故が起きないように取り組んでいるところです。事故件数については、一番下の表に書いてありますように、平成24年度は平成23年度に比べて件数自体は減少しております。ただ、平成24年度に際立っておりますのは、ヒヤリハットが大幅に増えています。平成23年度の79件に対し963件と、前年度比12.2倍になっております。これに関しては、事故防止対策の強化を図るという目的で、のぞみの園としては初めて平成2411月に事故防止対策強化月間を設定し、事故防止対策の強化を図るということで、特にヒヤリハット対策の重要性について、職員に対して周知徹底をいたしました。併せて、ヒヤリハットの報告書自体、なかなか作成しづらいものがあったということですので、簡単なチェック方式のような形に様式の簡潔化を図りました。その結果、報告件数が前年度比で大幅に増加しました。この取組については現在も続けています。

 続いて、14ページです。業務改善の取組として、「国民の声募集」制度と、職員が理事長に直接、業務改善やムダ削減に関する提案等ができる仕組みとして、「業務改善提案箱」を設置しております。過去に、学会発表の内容を研修会等で園内で周知していただきたいという提案があり、実際に実施しているところです。以上が、評価項目2の説明です。

8ページに戻っていただきたいと思います。右上ですが、いずれも計画どおり、又は計画以上に取り組んで成果を上げているということで、自己評定は「A」とさせていただいております。

15ページをお開きください。業務運営の効率化に伴う経費節減、評価項目3です。評価シートは、811ページになります。下の棒グラフなどにありますとおり、第1期においては、運営費交付金についての節減目標が13%に対し実績が13.08%ということで、第1期の目標は達成いたしました。更に第2期においては、23%以上の削減目標に対し34.8%と、目標を大きく上回って削減を達成したところです。

16ページは、予算額の推移を棒グラフで示しております。平成24年度予算額は平成19年度に対して34.8%の減、152,100万円と大幅に目標を達成しております。

17ページは、経費の節減です。中段にある、これまでの取組を御覧ください。常勤職員数の削減は先程来お話したとおりです。そのほか、給与水準の引き下げですが、平成16年度から19年度にかけ14%の削減を役職員等も行ったところです。独立行政法人移行直後から給与水準の引き下げに取り組んできました。引き続き、平成24年度も経費の節減に努めており、2の契約の適正化に関しては、平成22年度に作成しました「随意契約等見直し計画」に基づき、一般競争入札などの契約方式を実施しております。

18ページをお開きください。事業収入の増加を図るための取組です。介護給付費や訓練等給付費に関しては、利用者の減少により若干減少しています。ただ、下段の枠の中にありますとおり、平成24年度における収入の確保に向けた取組を行っております。障害福祉サービスの充実、診療収入の確保、補助金等の確保です。このような取組をした結果、あとで出てまいりますが、平成24年度の自己収入の割合は54.3%となり、40%以上という目標を大幅に上回ったところです。また、診療収入の確保についても、発達障害などの一般外来による新患が、平成24年度は307名増加いたしました。そのようなことから、診療所の収入増にも努めているところです。更に、国の補助事業である調査・研究事業の採択をいただいたり、群馬県の委託事業を受託するなど経費の確保に努めたところです。

19ページです。各部での点検や監査室による監査の結果、冗費は発生しておりません。

20ページです。利用者のニーズに対応した事務・事業ということです。特に、20ページの下の枠の中ですが、高崎市から、毎年、相談支援事業を受託しております。相談支援件数に関しては、約5,500件ということで、受託費のみでは、なかなか全ての経費を賄うことは困難な状況なのですが、5,500件を超える相当なニーズがあり、地域の障害者にとってなくてはならないものとして、平成24年度以降も引き続き実施しております。更に、平成24101日からは、いわゆる障害者虐待防止法が施行され、市町村に障害者虐待防止センターの設置が義務付けられました。このことから、のぞみの園は高崎市から「高崎市障害者虐待防止対策事業」の一部業務委託を受けて実施しております。これは、高崎市内では、のぞみの園1か所で実施、受託している事業です。以上が、評価項目3の説明です。

15ページの右上に戻ります。評価項目3の自己評価としては、予算の削減目標を大幅に上回っているなど、経費節減の成果が著しいという評価で「S」とさせていただいております。

21ページを御覧ください。効率的かつ効果的な施設・設備の利用ということで、評価項目4です。評価シートは、1113ページになります。私どもは、資産利用検討委員会を開催しておりますが、その中には地域の代表の方や高崎市の行政の方や、保護者の代表の方にもメンバーとして御参加いただいて検討会を開催し、有効活用などについて協議・検討を行ったところです。その検討結果を踏まえ、平成24年度においては、旧管理棟の跡地を整地しまして、利用者の日中活動や地域交流の場として活用しております。更に、休日等においては地域住民へ開放し、有効活用を図ったところです。なお、私どもの敷地は写真や図にありますとおり大変広く、232万平方メートルの約70万坪ですが、約8割が資産価値の低い山林、保安林で、かつ起伏が激しい土地ということで、売却は極めて困難な状況です。

22ページを御覧ください。平成211月から、空き寮を活用して設置した活動支援棟サテライトを引き続き活用しております。続いて、平成231月からは、同じく空き寮を活用して自活訓練ホーム、定員7人のものを設置しているところです。また、平成234月からは、空き寮の3か寮などを活用し、東日本大震災による被災施設の社会福祉法人友愛会様への居住の場として提供しているところです。第5次寮再編を平成2441日で施行いたしましたが、それに伴って空き寮ができましたので、平成2411月からは、その空き寮を活用して活動支援棟サテライトを1か所増設したところです。以上のとおり、施設・設備等の有効活用に努めているところです。

23ページについては、監事監査において特別な指摘事項はありませんでした。

24ページです。この図の左側にありますとおり、群馬県や知的障害関係団体などからの委託等により、福祉関係者との研修などの活動の場として、私どもが所有しております文化センターなどを提供しております。さらに、図の右側ですが、平成24年度においては、第10回のぞみふれあいフェスティバルで、地域住民の方など約2,100名ほどの方々に御参加いただいておりますし、体育館、グラウンドなどの開放についても、同じく約2,000名ほどの御利用をいただいたところです。診療所の機能の活用ですが、こちらについては、平成21年度から児童精神科医が常勤で勤務し、療育支援、心理・機能訓練相談、発達障害・リハビリ外来など、地域へ多大な貢献をしていると自負しているところです。

25ページです。診療所の機能の活用ということで、施設利用者に対する適切な医療の提供に関しては、健康管理、医療的ケアの必要な寮への訪問看護などを実施しておりますし、内科健診、子宮がん健診なども実施しているところです。さらに、行動障害等の著しく支援が困難な方々に対しては、精神科医と臨床心理士が連携して対応しているところです。図の右側が、地域医療への貢献です。地域には、知的障害者()及び家族等に対して外来診療を実施していることと、発達障害児の保護者を対象に家族心理教育を月2回実施しております。特に、発達障害児の新患の外来の方々に関しては、現在半年先まで予約が取れないような、地域からの強い要請のある状況になっています。なお、右下に書いてありますが、第3期中期目標・中期計画の新たな事項である発達障害児・者のニーズに的確に対応するため、児童発達支援や放課後等デイサービスを行う障害児通所支援センターの開設の準備を平成24年度中に行いました。

26ページに関しては、当法人に対する指摘はありませんでした。以上が、評価項目4の説明です。21ページに戻ります。以上のとおりですが、いずれも計画どおり、又は計画以上に取り組んで成果を上げていることから、自己評定は「A」とさせていただいております。

27ページは合理化の推進、評価項目の5です。評価シートは、1315ページです。この2の表の中で見ていただきますと、競争性のある契約の件数の割合が、平成24年度は42.6%と低くなっておりますが、下段の※12に書いてありますとおり、競争性のない契約については、39件中29件が、いわゆる電気料金・ガス料金・下水道料金などの公共料金となっております。この29件というのを分母の数から引いて計算しますと、競争性のある契約の件数の割合は74.4%にまで高まるということで、目標が競争性のある契約60%以上となっておりますが、そのパーセンテージは確保できているということです。さらに、契約の状況については、のぞみの園のホームページでも公表いたしております。

28ページを御覧ください。会計規程に基づく監事監査を受けましたが、問題となる指摘事項はありませんでした。会計監査人による往査においても、関係書類のチェックをいただきましたが、問題となる指摘はありませんでした。

29ページに関しても、同様に監事監査において、また契約監視委員会において、見直し・点検が行われましたが、問題となる指摘事項はありませんでした。30ページは、該当はありません。

31ページです。契約監視委員会に関しては、平成248月と12月に実施をいたしました。見直し・点検が行われましたが、特に問題となる事項はありませんでした。また契約に関しては、随意契約等見直し計画に基づいて、随意契約によることが真にやむを得ないもの(公共料金等)を除き、全て一般競争入札で競争性の高い契約方式で実施をしております。以上が、評価項目5の説明です。

27ページに戻ります。右上にありますとおり、いずれも計画どおり、又は計画以上に取り組んで成果を上げているという自己評価をさせていただき、自己評定は「A」といたしております。パート1の説明は以上です。

 

○真野部会長

 何か御質問等はありますか。

 

○石渡委員

 のぞみの園がコストの削減等に熱心に取り組まれつつ、新しいニーズに的確に応えて、確実に業務を進めていらっしゃるということを非常に感じております。新しく職員を採用したということで、3ページに13人ほどとありますが、これはどういう部門に配属されているのかお聞かせいただけますか。

 

○国立重度知的障害者総合施設のぞみの園事業企画局長

 発達障害児の通所支援事業を新たに行ったので、そちらに職員を採用しております。作業療法士や心理療法士など、そういうことで採用した者もありますし、生活支援員については寮に配属しております。研究員については、この年2人を採用し、研究部の体制は、全体で非常勤の方も入れて、現在7名という形で対応しております。

 

○名里委員

8ページの内部統制向上検討委員会の説明で、下の四角の中に優先的に対応するリスク3点について継続して取り組んだと書かれています。12ページの事故防止対策委員会と、内容的にはかなり被るのかなと思いますが、内部統制という考え方でいくと、視点が少し違うのかなと思います。例えば、事故等の報告の仕方や、あってはならないと思いますが、隠蔽などといったことに関わるようなことなのかと思いますが、どういった視点でこの委員会をされているのか、もう少し説明をお願いしたいと思います。

 

○国立重度知的障害者総合施設のぞみの園事業企画局長

 事故防止対策委員会は、実際の事故やヒヤリハットの内容について検討しており、原因分析、再発防止策について検討するということで、具体的な事案について協議しております。内部統制向上検討委員会に関しては、9ページに書いてあるとおり、フェーズ1からの内容ですが、のぞみの園が組織を運営していくに当たっていろいろなリスクがあるということで、阻害要因一覧を作成しました。その中で、どのようなものが一番のぞみの園で必要な対応すべきリスクなのかを検討し、3つということではなく、優先的に対応すべき3種類のリスクということで、この3種類のリスクを主体に対応しております。いわゆる利用者の支援に関する一番重要な部分ということで、この3種類について継続して取り組んできているということで、こちらは個別の事案を扱うということではなく、業務を運営していくに当たって業務運営に支障を来すような阻害要因をいかに少なくしていって、安定した運営をしていくかというための検討委員会です。

 

○松原委員

 のぞみの園は、本当に難しい事業に地道に取り組まれていて、大変なお仕事だと思います。いつも御努力いただいてありがとうございます。

3点教えていただきたいと思います。利用者数も減っていて、常勤職員もかなり減らしているということなので、人員配置について、職員の常勤1人当たり何人ぐらいの利用者がいるのか、同じようなことをなさっている施設ではどのぐらいなのか、もし今、分からなければ、これからこういった資料にでも載せていただけると、非常に分かりやすくなると思います。

2点目は、前からのぞみの園は無駄な資産が多いのではないかという指摘があって、でも売れないのだという話がある中で、いろいろ活用に御努力なさっているということですが、例えば休日に地域住民に開放しているというのは、どのように地域の方が使っているのかも教えていただけると評価がしやすいと思います。また、今後、もしカウントが可能であれば、カウントをしていただけると、こちらも評価する際に非常に有り難いと思います。

3つ目は、被災地の法人を受け入れたということで、本当にすばらしいことだと思います。疑問点は、受入れまでに約1か月以上たっているのですが、それまでにこの法人の方々は一体どこにいらっしゃったのかということです。また、今後は、どうせ受け入れるならもう少し早く受け入れられるような体制になると、もっとすばらしいということで、最後は感想です。お願いします。

 

○国立重度知的障害者総合施設のぞみの園理事長

3つのお尋ねのうち1番目と3番目についてお答えします。確かに職員の数を減らして、それに伴って人件費もどんどん減らしているのですが、サービスの質を確保するためには、現場の職員の数はそう減らせないのです。私ども常勤職員数について目標が設定されているので、常勤職員数は確実に目標に沿って減らしていく。他方で、非常勤、非正規職員の方を必要に応じて採用し、それぞれ必要な所に配置していくことによって、サービスの質を確保しております。ただ、非正規、非常勤とはいっても、まず研修を受けていただいて、あるいは定期的にいろいろな研修も受けていただいて、その専門性をできる限り早く身に付けていただき、専門性を向上していただく努力は並行して行っております。

 職員の配置ですが、のぞみの園は従来、非常に重い方たちを全国から受け入れたという沿革もあるので、民間の施設に比べて利用者の数に対する職員の数の割合は少々高くなっております。現場で、利用者2に対して職員が1ぐらいの割合です。これも幾つかの生活寮でグループに分けて支援しているので、非常に高齢化が進んで、医療的なケアも必要な寮については、ほとんど11に近い状態で行っております。そういうことで、生活寮の利用者の年齢、あるいは障害の状況、医療的ケアの状況などに応じて、職員の数も多い少ないということで工夫して配置しております。

 第3点目の被災施設についてです。友愛会という法人の理事長から聞くと、原発の事故が発生した翌日、とにかくどこに集まれということで、集まったらバスに乗って、避難地を自分で見付けなければいけないと。かなり遠くまで避難して、福島県内の三春町の公の施設を一時的に借りて、集団避難したそうです。ただ、当時としては、そんなに長くかからないのではないかと、しばらく三春町の施設に避難していれば、また戻れるのではないかという期待を持っていたようですが、そうではないような状況が明らかになってきたということです。他方で公の施設ですから、これは住民のための施設であるということで、ほかに避難地を探してほしいといった要請を受けたようですが、そこで厚生労働省に、法人の利用者や職員を分割しないで一括して受け入れてくれる集団避難の先を何とかあっせんしてほしいという要請をして、私どももこのぐらいなら受けられると、そこがうまくマッチして、1か月ほど後で受け入れたという経緯がありました。

 

○国立重度知的障害者総合施設のぞみの園事業企画局長

 そのほかの施設設備関係の質問ですが、先ほど申し上げたとおり、私どもは資産利用検討委員会を持っており、定期的に開催し、有効活用等を検討しております。繰り返しになりますが、どうしても8割方が山林、保安林ということで、売却が難しいと。具体的にグラウンド等の活用、県などの関係団体への研修会の場としての活用に関しては、評価シートの1112ページにわたり実績を入れております。グラウンドや体育館などの1年間の貸出状況に関しては12ページの表に入れております。また、研修会などで活用いただくときは文化センターを提供しておりますが、参加者の方々の人数は12ページにあるとおりです。地域との交流や診療所の機能の活用などに関しても、11ページ、12ページに分けて書いております。

 

○三田委員

2点教えていただきたいのですが、説明資料の14ページに国民からの苦情・要望等を聞く「国民の声募集」制度と書いてあって、評価シートの8ページに内容として、実績ということで整備してやっていると書いてあります。私はどこを見ていいか分からないのですが、どんな声があって、どういう対応をしているという中身については、どこを見たらいいのでしょうか。

 

○国立重度知的障害者総合施設のぞみの園事業企画局長

 国民の声に関しては、制度としては持っているのですが、実際には件数がなく、それでシートには記載しておりません。

 

○三田委員

 ゼロということですか。

 

○国立重度知的障害者総合施設のぞみの園事業企画局長

 はい。

 

○三田委員

 分かりました。もう1つは、診療所がとても機能しているというか、地域貢献もされていることもよく分かりました。25ページのスライドで説明をいただいたときに、外来は半年先も予約が取れないような盛況ぶりということでしたが、連携をしながらいろいろな医療を提供している中で、それについての見通し、対策、あるいはどうやって緊急性を決めているのかといったことが、もしお分かりでしたら教えていただけますか。

 

○国立重度知的障害者総合施設のぞみの園理事長

 この半年待ちというのは、いわゆる発達障害の子供を持っている御家族の方から、どうしてものぞみの園にいる専門医に診てほしいというケースが大半です。そのほかに、児童相談所等の公の機関を通じて、のぞみの園の専門医に診てもらいたいといったケースもあります。児童精神科の専門医は全国的にも少ないし、群馬県内でも数えるほどしかいません。のぞみの園には常勤の児童精神科の専門医がいる、しかも非常に若くて、意欲的に取り組んでいるということが口コミでお母さん方にも伝わって、大変希望者が多くなっているのが現状です。半年も待っている方たちは、ずっと待っているのかということですが、多くのケースは小児科にかかったり、通所の事業所で児童発達支援事業などを利用しながらということで、何も支援を受けていない、あるいは医療を受けていないわけではありません。最後は専門のドクターに診てほしいと、そして、できれば定期的に通院なり、あるいは、最近のぞみの園が児童発達支援事業を始めたので、そちらを利用させてほしいという方が多くて、どうしても待機期間が長くなってしまうということです。

 ちなみに、児童精神科のドクターに聞くと、週3回新患を受けているけれども、11人診るのがようやくだということです。時間を掛けて、子供のアセスメントから始まって、これからどのように治療していったらいいのか、支援していったらいいのかを考えていく上で、1日にたくさんの人数を診療することもできないと。そういう現状で、結果として半年待ちになっているということです。

 

○真野部会長

 ありがとうございました。大幅に遅れているので、少し速めにパート2の説明をお願いします。

 

○国立重度知的障害者総合施設のぞみの園事業企画局長

 パート2、評価項目69です。資料は33ページからです。評価項目6、地域移行に向けた取組のうち、施設利用者の地域移行のスピードアップということで、評価シートは1517ページです。地域移行の実績については、資料の中段にありますとおり、第1期で44名、第2期は平成24年度が18名、第2期全体で106名、第1期から通算すると150名です。なお、33ページの表の括弧書きについては、地域移行が決定はしましたが、亡くなられたり病気になられたということで、地域移行を断念せざるを得なかった方の数を上乗せしたものが書いてあります。地域移行の数は、年度目標の1520人を十分に達成してきたと考えております。第1期から通算すると150名で、利用者数の3割縮減という目標値に関しては、平成24年度末の施設利用者は292名ですので、全体で約41分の縮減ということで、目標数値の3割を大きく上回る縮減で、地域移行による方々の減少のみで目標の3割縮減が達成できたという状況です。

34ページです。地域移行が困難な要因・理由と対策ですが、1点目は保護者・家族の同意が得られにくいということです。平成231月の保護者アンケート調査結果での困難な理由として、現在の生活の変化を求めない、のぞみの生活が一番安心できるといったことがありました。このような同意が得られにくい方に関しては、14のような対策を行っております。2点目は、入所者本人の地域生活に対する経験不足です。この対策としては、12にありますように、地域生活体験ホームなどの体験により、本人・家族の地域生活への自信を得る等の政策を行っております。3点目は、入所者の状態です。高齢化に伴って機能低下する方や疾病を併発する方が増加しているということです。4点目は、移行先の確保が困難ということです。これに関しては、のぞみの園には現在39都道府県出身の利用者がいらっしゃいますが、その多くは関東圏の都市部の方々で、東京都と埼玉県、神奈川県で約120名の利用者がいらっしゃいます。そういった大都市圏になると、どうしても施設・ケアホームの数も少なく、地元でも待機者が多いという状況があり、受入れが非常に難しいということです。それを受けて、のぞみの園としては14のような対策を行い、また、厚労省からの協力要請等をしていただき、受入先確保に努めております。このような進め方をした結果、第1期から累計150名の地域移行につながったと考えております。以上が評価項目6です。

33ページの右上ですが、節減目標、地域移行を達成しているなど成果が著しいということで、自己評定は「S」としております。

35ページ、地域移行の段階的支援(プロセス)の実践のア、本人及び保護者の同意を得るための取組、評価項目7です。評価シートは1719ページです。平成24年度中に25名の保護者の同意が得られました。目標は25人程度ですので、目標は達成しております。

36ページです。地域移行の同意が得られた方々の推移ですが、第1期は66名の方の同意を得て、44名の方の地域移行が実現しました。平成24年度については、同意を得られた方が25名、18名の方の地域移行が実現できたということで、同意を得るための努力がそのまま地域移行の成果につながっていると考えております。括弧書きですが、同意を得られた方のうち、亡くなられたり疾病等によって地域移行を断念した方の数を内数で書いております。

37ページ、施設利用者の自立に向けた効果的な支援の提供ということで、図示したものです。どのような取組を行っているかですが、平均で利用者の方々は約36年間、のぞみの園に在籍しているので、地域生活の体験をしていただくことが非常に大事ということで、のぞみの園独自の事業で地域生活体験ホームとして、施設外の建物を活用して地域生活の体験をしていただいております。短期の宿泊体験と施設内・外での長期の体験利用を経て、地域移行につなげていくということです。平成24年度の宿泊体験の状況は右にあるとおりで、1泊から1か月未満の宿泊体験の一般型の宿泊体験、身体介護等が必要な方の重介護型の宿泊体験、自閉的傾向を有する方の自閉症宿泊体験、合計で実人数19名、延べ34名、延べ日数175日の実績となっております。以上が評価項目7です。

35ページの右上に戻ります。年々保護者の同意を得ることが難しくなっている中で目標を達成したということで、「A」評価としております。

38ページ、地域移行の段階的支援(プロセス)の実践のイ、移行先の確保、移行者に対する地域生活の定着支援、評価項目8です。評価シートは1921ページです。先ほども触れましたが、出身自治体に対する協力依頼については、毎年厚労省のお力を頂き、主管課長会議等で協力依頼をしております。また、当方でも独自に協力依頼した所が、平成24年度は11県ありました。さらに2県を加え、平成24年度は重点自治体は13県ですが、対象者は115名で、このうち地域移行が決定した方が平成24年度中ではケアホームが1人、施設が1人、待機が2人という状況でした。平成25年度に向けた取組としても11県、東京都と埼玉県を重点都道府県と設定し、進めるということです。また、2にありますように、地域のキーパーソンとなる福祉関係者からの御紹介で、平成24年度においては6都県15事業所が新たな協力事業所として確保できました。

39ページ、移行後の地域生活を見守るということで、移行者に対する地域生活の定着支援においては、移行した後のフォローアップが大事ということです。移行された方々が安心して地域生活を行っているかを、施設・事業所に直接出向いて面談、電話等で状況を確認しております。平成24年度においては、移行後1年、5年、状況が変化した方々に対して、対象者116名、合計延べ816回行いました。また、訪問等をした際には17名の方にアンケート調査も実施しました。地域移行する際には、地域移行に向けた支援内容の情報の提供を行い、地域移行後のフォローアップを図っております。以上が評価項目8です。

38ページの右上ですが、新たに15か所の事業所を協力事業所として確保できたことなど、着実に計画を実行していることから、自己評定は「A」評価としております。

40ページ、行動障害等を有するなどで著しく支援が困難な者に対する支援、評価項目9です。評価シートは2126ページです。寮再編に関しては、平成1710月に第1次寮再編を行ってから、平成244月で第5次寮再編まで実施してきております。その中で、施設利用者の高齢化、機能低下を踏まえ、効果的な入所支援を目指して医療的配慮グループ、高齢者支援グループとしての寮再編を実施してきました。その際、利用者の状況に応じた転寮も行うなどして、専門的な支援の充実を図ってきました。この表にありますとおり、併せて職員の育成として13の事柄を行ってきました。1は、平成24年度も引き続き高齢者支援の専門家を招聘し、支援現場での助言・指導や高齢者事例検討プロジェクトチームでの事例検討会議を毎月開催していますが、そこでの助言・指導を頂いております。2は、県外の特別養護老人ホーム等での実務研修の実施をしています。3は招聘している高齢者支援の専門家による体験的な職員研修会を年4回開催するなど、職員の育成に努めております。認知症支援については、『50歳からの支援』という、事例を取りまとめた成果物を刊行し頒布しました。

41ページ、自閉症及び行動障害等を有する者に対する自立支援については、専門的に支援する特別支援グループを平成1710月から設置しております。現在、2か寮で専門的な支援を行っております。支援に当たっては、この図にありますとおり、診療所の精神科医師や臨床心理士などと連携し、自閉症の方の行動特性や行動障害が生じる背景・対応について検討を行いながら、個別のニーズに応じた施設入所支援や日常活動支援の研究を行っております。平成24年度は、行動障害等を有する著しく支援が困難な知的障害者1名を受け入れました。連携して特別支援グループでの支援を行っております。さらに、一番下の枠にありますとおり、平成21年度に受け入れた精神科病院に社会的入院をされていた方については、福祉と医療の連携ということで支援を継続して行い、行動等の著しい改善が認められ、平成245月末に地域移行して退所しました。

42ページ、福祉の支援を必要とする矯正施設を退所した知的障害者への支援については、平成20年度から全国の福祉施設等に対して、この支援事業の取組の普及・拡大に資するということから、先駆的にのぞみの園として取り組んできたものです。受入実績は、平成20年度で延べ16名、うち13名、平成24年度については5名の方が地域移行又は退所となっております。これらの方々は、いずれも性犯罪、窃盗、傷害事件等を犯した中・軽程度の知的障害者で、なかなか人間関係が作れないような、いずれも支援の難しい事例です。

43ページ、支援が著しく困難な知的障害者に対する取組の実践について、どのように知的障害関係施設等に情報提供をしているかです。平成24年度においては、先ほど触れましたが、『50歳からの支援』で、認知症になった知的障害者については事例を通して分かりやすく紹介し、全国の障害福祉施設で応用できるよう編集し、頒布しました。1,500部です。『行動援護サービス提供責任者ガイドブック』に関しては、全国の各地域で行動援護従業者養成研修を企画・実施している担当者を中心に配布しました。200部です。また、『身近な場所で支えてみませんか?~地域でショートステイを推進するために』については、短期入所事業、特に単独型で行われている所の実際と、全国で先駆的に取り組んでいる事例、運用のノウハウを8ページの普及啓発リーフレットとして作成し、全国の市区町村のショートステイ事業所に配布しました。4,500部です。以上のとおり、全国の知的障害関係施設に、積極的に成果物等により情報提供を行っております。

44ページ、矯正施設等を退所した知的障害者等の地域生活の自立に向けた福祉施設等における支援モデル及び研修プログラム構築に関する研究です。国からの補助事業として、全国の相談支援事業所の一般相談を行っている所に対して悉皆調査をし、矯正施設退所者関係の相談の件数について調査しました。その中で、相談支援実績の多い相談支援事業所や地域生活定着支援センターに訪問調査を行い、事例調査を77事例行いました。その報告書を作成し、都道府県地域生活定着支援センターや少年院、刑務所等に約600部配布しました。さらに、啓発活動として、地域生活支援を行う施設職員等研修会を平成249月、12月、平成253月の3回にわたって実施しました。また、群馬県高崎市で国立のぞみの園福祉セミナーとして、「福祉サービスを必要とする罪を犯した知的障害者等の地域生活支援に向けて」と題して平成252月に福祉セミナーを行い、研修会、セミナー、いずれも多くの司法関係者の方々に参加していただき、実施しました。以上が評価項目9の説明です。

 

○真野部会長

 それでは、質問等はありますか。

 

○三田委員

 全体的な質問ですが、親の反対に対してまだなかなか説得ができないとか、御本人の高齢化、あるいは重度の方に対しての地域移行の支援が難しいということが書かれていましたが、このペースでいくと、今残っている200何十名の方のこれからの地域移行の支援の見通しはどうなっているのか、簡単で結構ですので、率直なところを教えていただければと思います。

 

○国立重度知的障害者総合施設のぞみの園理事長

 これは3月の部会でも1度御説明しましたが、もう65歳を過ぎている方は、御家族の方の反対もとても強いということもありますし、御本人も大変機能低下して、いろいろな疾患を併発している方も多いということで、私どもとしては、65歳以上の方たちについては余り積極的な働き掛けをしないという整理をこれからしていくのかなと思っております。

65歳未満の方については、御家族のかたくなな反対、また御本人が医療的なケアが必要であるとか、機能低下ということで、これから地域移行は現実的でないという方も大変多くいますので、これから私どもが取り組んでいく1つの目安としては、1年間に5人ぐらいずつ何とか実現していきたいということで、現在第3期の中期目標期間に入っておりますが、大体年間5人ぐらいを目安に、もちろん、もっとたくさんということであればよろしいのですが、そういう目安で取り組んでいくことにしております。

 

○名里委員

 今の御説明でもありましたが、重度の方でも、御本人が希望されていないのかどうかは、言語的に希望する力がおありかどうかということがあったとしても、言語的でないとしても、その方の希望はどういうことなのだろうかということを見極めていくのが我々の仕事だと思うのです。言語的な形が難しくても、そこは追求していかなければいけないと思いますが、37ページの宿泊体験の重介護型の体験が、実人数で1人というのが気になります。そういう暮らしがいいかどうかは、御本人も体験してみないと分からないと思うので、もう少しここが多くてもいいのではないかと思いました。感想です。

 

○石渡委員

5月の事故の報告をいただいて驚きましたが、あのときの対応や日頃のリスク管理に関しては、きちんとやっていらっしゃると思います。あの報告を読んで、ああいうことがあった後の御家族やずっと支えてきた職員の今の状況がどうなのかと考えたときに、今後、地域移行が年に5人という見込みなども含めて、のぞみの園で最期を迎えられる方も非常に多くなってくるだろうと思いますが、看取りに向けての支援も、本人、御家族、職員の立場等も含めて、そういうことを検討していらっしゃるかどうか。意見として、そういうことに取り組んでいただくことは、非常に重要な課題になってくるのではないかと思います。

 

○国立重度知的障害者総合施設のぞみの園理事長

 看取りの関係ですが、私どもは直営の診療所を同じ地域内、しかも生活寮に近い所に持っているので、そこで13ベッドの入院診療もできるということで、条件には恵まれておりますので、まず、できるだけ医療についてはこの診療所で対応する。仮に悪性腫瘍等で手術が必要な場合は一般の医療機関、専門医療機関にお願いするけれども、できるだけ早くこの診療所に戻ってきていただく。その様子を見ながら、生活寮で生活できそうであれば、できるだけ生活寮に戻っていただく方向でやっております。したがって、残念ながら、がん等でターミナルケアに近い方については、できる限り生活寮で生活しながら、どうしても入院治療が必要な場合には診療所に一旦入っていただいて、そこで応急的な対応をしていただき、また生活寮に戻るということで対応しております。

 ただ、看取りということを考えると、余り診療所と生活寮を行ったり来たりするよりは、1つの所で落ち着いてということも必要だと思いますので、その辺りは医療スタッフと福祉の現場のスタッフとでいろいろと話し合いながら、最終的にどういう形で看取りを進めていったらいいのか検討し始めたところです。

 

○真野部会長

 それでは、パート3に移ります。今のペースだと30分ぐらい遅くなってしまうかもしれないので、法人の説明を短くして、議論を充実させたいと思います。よろしくお願いします。

 

○国立重度知的障害者総合施設のぞみの園事業企画局長

 それでは、評価項目の1015まで御説明いたします。資料は46ページからです。評価項目10です。評価シートの2630ページです。国立のぞみの園研究会議を2回開催しています。外部有識者委員4名、内部委員2名、厚労省障害保健福祉部からのオブザーバーで構成しています。

47ページです。サービスその他の業務の質の向上に関する事項です。平成24年度は、これまで調査が行われてこなかった全国市区町村における高齢知的障害者の実態、並びに障害者支援施設における支援の実態、さらに障害福祉分野の短期入所事業の実態ということで、大規模な悉皆調査の実施をしています。こちらが平成24年度の大きな実施事項です。全体で13の研究テーマを取り上げて研究してきまして、目標の6テーマ以上はクリアしています。

48ページです。研究実施体制で、調査・研究調整会議、調査・研究プロジェクト、調査・研究倫理審査委員会ということで、それぞれ開催して実施しました。

49ページです。成果の積極的な普及・活用で、評価項目11です。評価シートが3032ページです。『研究紀要第6号』の発行をすでに行っておりまして、平成256月に700部発行しています。また、関係団体・学会発表等は、49ページに御覧のとおりの形で成果の発表を行っています。

50ページです。研究紀要の全文をホームページに掲載して報告しています。また、のぞみの園の機関誌の『ニュースレター』でも研究の内容について掲載しています。さらに新たに開設したFace bookの中でも紹介しています。また、繰り返しになりますので省略させていただきますが、『50歳からの支援』『行動援護サービス提供責任者ガイドブック』を刊行物として発行しています。研究の成果の評価に関しては、外部の有識者からなる国立のぞみの園研究会議においても高い評価をいただいているということと、当法人で行っている研修会などで発表する方法においては、概ね9割以上の満足度をいただいています。この評価項目11に関しては、自己評定「A」とさせていただいています。

51ページです。養成・研修、ボランティアの養成、評価項目12です。評価シートは3336ページです。養成・研修事業に関しては、障害者福祉や保健医療に従事する方の質の向上を図るということから、福祉セミナーなどを積極的に実施しています。

52ページです。平成24年度におけるのぞみの園主催のセミナー、研修会の一覧を載せています。福祉のサービスを必要とする、いわゆる触法の関係の方の地域生活支援を行う施設職員等の研修会を年3回実施しました。また、福祉セミナーに関しても2回開催しています。触法関係及び発達障害と虐待についてです。行動援護に関する研修会も2回開催しました。行動援護サービス提供責任者と18歳までの福祉サービスです。障害医療セミナーも1回開催していまして、いずれも先ほど申しましたが、セミナー等の開催に伴って、参加者より満足度のアンケート調査を実施して、セミナー内容等に関しては、平均して満足度94%という高い評価をいただきました。

53ページです。のぞみの園では、社会福祉士、介護福祉士、保育士などの各種養成機関の実習施設として多くの実習生を受け入れています。実績は、ここにありますとおり、大体前年度ぐらいの数字で実習生を受け入れています。その際に平成22年度に作成しました相談援助実習プログラムと平成23年度に改訂しました実習のしおりに基づいて、社会福祉士と介護福祉士の養成に取り組んでいます。また、ボランティアの受入れはその右側です。例年、大体1,000名程度の受入れです。

 以上が評価項目12です。51ページにありますとおり、養成・研修、いずれも積極的な事業実施を行っていること、前年度実績を上回っていること、受講者の満足度は平均で94%いただいていることから、「S」評価とさせていただいています。

54ページです。援助・助言についてです。評価項目13、評価シートの3638ページです。援助・助言の取組については、件数は昨年から13.5%増で227件です。

55ページは、援助・助言の要望者の希望に沿った方法を選択して実施しているという内容です。『ニュースレター』に広報記事を載せたりとか、リーフレットを挟んで援助・助言の利用促進に取り組んでいます。

56ページです。援助・助言のうちの職員派遣の講演・講師・助言者が、前年度比で大幅に増加しています。31件から56件で80.6%増です。発達障害関係、触法関係、高齢者支援関係が多い状況です。

 以上が、評価項目13の説明で自己評定は「A」とさせていただいています。

57ページ、その他の業務です。評価項目14、評価シート3841ページです。附帯業務としての診療所の取組の図ですが、先ほども御説明した内容です。施設利用者に対する適切な医療の提供と地域医療への貢献ということで、掲載しています。

5861ページを御覧ください。診療所の入院患者や外来患者の推移とか診療収入の状況等を4ページにわたって示しています。施設利用者の減少によって、施設利用者自身の利用患者数は減少していますが、一般の外来患者数が増加していることで、医科・歯科ともに前年度比全体では増になっています。また、診療収入は、59ページにありますとおり、前年度比では少し下がっています。原因は入院患者の減で、59ページの左の図ですが、23年度1日平均13,5名の方に対して、24年度は12,0名で、11%ほどの大きな減になります。

61ページ、事業収入の内訳です。決算額にありますとおり、事業収入の合計が12,216万円余です。約1,228万円の減少です。これはその下の段にあります入院患者数の減少による1.524万円の収入減が主たる原因です。その他は概ね増加の傾向です。

62ページは、診療所の沿革と運営の参考資料です。

63ページは、診療所以外の附帯業務を載せています。先ほど御説明しましたので省略しますが、障害者相談支援センターの相談業務と、虐待防止センターの関係の業務を12で書いています。34ですが、短期入所と日中一時支援事業を提供していて、これによって地域の御家族の負担の一時的な軽減を図っています。

64ページです。地域の中に平成215月に設置しました生活介護事業所「さんぽみち」の概要図を載せています。平成24年度は、支援メニューの見直しを図り、利用者数はほぼ横ばいですが、1日平均16,6名です。

 以上が評価項目14の説明です。57ページを御覧ください。自己評定として、いずれも計画どおりということで「A」とさせていただいています。

65ページです。サービス提供等に関する第三者から意見を聴取する機会の確保で、評価項目15です。評価シート4243ページです。第三者の意見をいただく機会として、のぞみの園の運営懇談会を平成24年度は2回開催しました。内容に関しては、御覧のとおりの内容です。運営懇談会の議論要旨はホームページに掲載し、公表しています。

66ページです。第三者評価機関による評価で、平成21年度以来3年を経たところで、平成24年度は実施いたしました。自己評価結果は、ここにありますとおり、8領域287項目という幅広い観点の中から第三者評価をいただいて、評価結果は3段階評価でaが適切で283項目、bが中間で4項目、cは適切さに欠けるということで0項目でした。全体としては、サービスの質及び提供システムは客観的に向上しているという評価をいただきました。

 以上が評価項目15の説明です。こちらについては、いずれも計画以上に取り組んでいると。第三者評価でも高い評価をいただいたことから「A」評価とさせていただきました。御説明は以上です。

 

○真野部会長

 ありがとうございました。それでは、御質問等はいかがでしょうか。

 

○三田委員

 調査・研究及び様々なデータを集めていただいていることに対して、とても熱心にすばらしい人材を結集させてやっていることはよく分かりました。総合施設のぞみの園には診療所があって、研究・調査のスタッフがいると。そこにもたくさんのお金が投入されていますが、そのことと、先ほどの例えば宿泊体験ですが、重度の方が1名とか、あるいは年間に5名の地域移行ということですが、現実的にはそれぐらいになるだろうとか、あるいは親の同意が得られないために困難だということに対して、どういう働き掛けをしたらいいのかとか、先ほど見通しを聞いたのも、つまり、調査・研究をやっていることとのぞみの園でやっている支援とが、どうしても乖離されているような印象しか受けないのです。

 そこで調査をして、あるいはいろいろな方法論が、なぜ現場で地域移行の方への働き掛けだとかにつながっていないのかという印象を私は受けてしまったのです。それが間違っているようでしたら教えていただきたいのです。

 

○国立重度知的障害者総合施設のぞみの園理事長

 地域移行について、これまで大きなテーマとして調査・研究には取り組んできました。ただ、私ども、現に長年のぞみの園で暮らしている利用者にどう取り組んでいくか。どのような働き掛けをして、どのような移行先を見つけて、そちらのほうでどのような生活をしていただくかというのは、非常に個別具体的な取組という意識が強いというのはあります。私ども現に取り組んでいて、確かに御家族、保護者の反対が強いと。それについて、何とか御理解を得るためにどうしたらいいかということは種々工夫してきましたが、これも取り組んできた者の実感ということで申し上げて恐縮ですが、保護者、家族もだんだん高齢化し、あるいは代替わりしていって、このような利用者について、のぞみの園で暮らすのがいちばんいいのだということにかたくなにこだわる事例は、むしろ増えているという実感をもっています。

 そういう意味で、確かに、更にいろいろ工夫して取り組んでいく必要性はあるかと思いますが、あまりこの時点で高い目標を掲げても、掛け声倒れになってしまってもいけませんので、私どもとしては、地道に現実的な数として5名というのを申し上げた次第です。

 ただ、三田先生御指摘のように、私どもの取組について、種々御意見があることも十分承知していますので、私どもとして、これまでの取組をもう一度振り返ってみて、改めて、どういった工夫ができるのかということを検討していきたいと思いますし、また、外部の、いろいろ先駆的にやっておられる方にも、改めて御意見なり御助言をいただいて取り組んでいく必要があるのかなと痛感しています。

 

○真野部会長

 調査・研究は、国立の施設なので、今回の話と直接リンクしないかもしれませんが、ちょっとしっかりやったほうがいいだろうというのは、前々から評価委員会の指摘でもあったと思います。

 

○名里委員

 相談・支援のところの「自立支援協議会に参加し」というあたりの内容がもう少したくさんあってもいいかなと思います。地域移行を考えるに当たっても、これから地域で、どういうネットワークを作って支えていくかという仕組みづくりが非常に重要だと思います。自立支援協議会に参加し、具体的な事例についてはどういうふうな検討をしたとか、どういう取組をしたとかということが、それこそ先駆的な取組として他にも示せるようなものを是非、まとめていただけるといいと思いました。

 

○松原委員

 診療所についての61ページですが、収入について御説明はあったのですが、経費についての御説明は、時間がなかったので出なかったようなのですが、対象が特殊といいますか、医療の内容が特殊ということなのでしょうが、事業収入よりも人件費が上回っていると。平成24年度はいろいろ事情がおありなようですが、物件費さえ収入を上回っているというのは非常に異常な状況なのですが、これは、今後、患者数を増やせば増やすほど赤字が拡大していくような御予定なのか、または、CTも購入なさったということですが、CTの利用者を地域の障害の方とか県外の方とかに呼び掛けるなどして活用を図るとか、収支についてどのような目処をもっていらっしゃるのかお伺いしたいのです。

 運営費交付金が入っているわけですが、ここは評価外なのですか。評価の対象ではないと考えていいのですか。どのようになっているかを知らないと。

 

○国立重度知的障害者総合施設のぞみの園理事長

 ここに挙げてある収支の資料は、いわゆる法人の会計についてセグメントでそれぞれどういう収支でやっているかを、書類としてまとめて提出していますので、その診療所部分のものです。したがって、例えば人件費で言えば、たまたま、この年は5人退職して、その退職金がそのまま経費として計上されています。また、物件費でCTを購入しましたが、その経費が一括して計上されています。減価償却みたいなことをしないで、そのまま丸ごと計上されているといった特殊な事情もあって、特にこの平成24年度は収入に比べて経費が多くかかっているという結果となっています。

 診療所については、1つは、この入所利用者の健康管理、医療を、ここでホームドクター的に対応するという意味で、必ずやらなければいけないというのはあります。これは、診療報酬上、再診料が取れないとか、施設内にある診療所で、なおかつその施設利用者を診療しているということで、保険診療をしているのですが、診療報酬上評価されない部分もかなりありますので、一般の医療機関に比べて診療収入は少ないことはあります。

 また、ここで、先ほど発達障害などの医療、診療をやっていることを説明しましたが、ここら辺は新患の患者数が増えても、診療報酬、収入としてはそんなに上がってこないような分野ですので、私どもとしては、診療所について、確かに収入を増やして、経費を減らしてという努力は必要なのですが、この診療所のもつ役割としては、そのように採算が取れない部分がかなりありますので、経費のほうが上回ってしまうというのはやむを得ないと考えています。足りない部分は運営費交付金を充当せざるを得ませんので、そういうことで、このような資料になっています。ただ、何回も御指摘を受けていますので、こういった経営努力は、引き続き全力で取り組んでいきたいと思っています。

 

○真野部会長

 理事長が言われるように、よく議論になっているところですので、よろしくお願いいたします。最後にパート4に移ります。説明を要領よくお願いいたします。

 

○国立重度知的障害者総合施設のぞみの園事業企画局長

 最後の評価項目1618です。資料68ページです。右下にありますとおり、平成24年度の自己収入の比率は54.3%です。数値目標は、自己収入の比率40%以上ですので、目標を大きく上回っています。

69ページは、その自己収入割合などの推移を載せています。平成22年度以降は50%を超える割合になっています。平成24年度の予算は、第2期中期目標最終年度ですので、運営費交付金は23%削減、自己収入の比率は40%以上の計画を達成することを目標に予算を作成して、予算の範囲内で執行しました。

 以上、評価項目16に関しては、予算の範囲内で執行できたということで、「A」評価とさせていただいています。

70ページは、人事に関する計画、評価項目17です。常勤職員数は、第2期中期目標期間で56名を削減し223名となって、20%削減の目標を達成できました。

 自己評価としては、目標を達成したという評価で「A」とさせていただいています。

71ページです。施設・設備に関する計画、評価項目18です。平成23年度から繰り越しました耐震補強工事6,200万円、法面復旧・雨水対策工事が17,500万円。それぞれの工事について明許繰越の手続を行って、24年度内に工事を完了しています。24年度予算をいただきました施設整備費補助金の給水設備改修工事等の56,100万円についても年度内に工事を完了しました。これらの整備により、地震、台風等の災害対策を実施して、利用者の安全・安心が図れたということで、自己評定も「A」とさせていただいています。御説明は以上です。

 

○真野部会長

 ありがとうございました。御質問はいかがでしょうか。よろしいでしょうか。そうしましたら、委員のほうで各自シートの記入をお願いしたいと思います。

 

○真野部会長

 次に、31日の第61回の医療・福祉部会において審議しました国立重度知的障害者総合施設のぞみの園の第3期中期計画について、部会審議後に、財務当局との調整があり若干の変更があったと伺っていますので、所管課から説明をお願いいたします。

 

○社会・援護局障害保健福祉部企画課施設管理室長

 障害保健福祉部企画課施設管理室長の佐藤です。お手元の資料2-7を御覧いただきたいと思います。変更点のみを申し上げます。4ページです。業務運営の効率化に伴う経費節減についてです。中期目標と書きぶりを統一しました。「16%以上を達成」というように変更を行っています。

 続いて、6ページです。地域移行への取組についてです。これについても、中期目標と同じ、「16%縮減」と表現を合わせています。

12ページです。第4、短期借入金の限度額、14ページ、参考2の中期目標期間中の人件費総額見込み、施設・設備に関する予算額についてですが、具体的な金額が計上されています。これは平成24年度の実績等を踏まえて、精査の上、計上した次第です。主な修正点は以上です。329日付けで大臣認可をしています。以上です。

 

○真野部会長

 ありがとうございました。御質問はありますか。よろしいですか。それでは報告を承ったということで、この議題は終了いたします。本日の議事は以上です。法人のほうの御協力で時間ぎりぎりに終わりそうですが、今後も議論を中心にしたほうがいいと思います。説明が長いと、どうしても質問をしにくい雰囲気になってしまいますので、なるべく要領よく御説明いただければと思っています。

 それでは、事務局から連絡をお願いいたします。

 

○政策評価官室長補佐

 次回の開催についてですが、次回は813日(火)15時から、場所は、本日と同様、厚生労働省専用第14会議室です。審議内容は、福祉医療機構及びのぞみの園の総合評価と最終評価、医薬品医療機器総合機構の総合評価、暫定評価、組識・業務全般の見直し当初案について御審議いただくことになっています。以上です。

 

○真野部会長

 お暑い中、委員の先生方、ありがとうございました。近々、お会いすることになりますが、よろしくお願いします。どうもありがとうございました。


(了)

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