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2013年6月28日 第3回 不妊に悩む方への特定治療支援事業等のあり方に関する検討会

雇用均等・児童家庭局母子保健課

○日時

平成25年6月28日(金)14:00~16:00


○場所

中央合同庁舎5号館 厚生労働省省議室(9階)


○出席者

委員

吉村委員(座長) 石原委員
小崎委員 齊藤委員
島崎委員 鈴木委員
鶴田委員 平山委員
松本委員 見尾委員
村上委員 森委員
柳田委員

参考人

徳島大学医学部部長 苛原教授

事務局

石井雇用均等・児童家庭局長 鈴木大臣官房審議官
定塚総務課長 桑島母子保健課長
小宅母子保健推進官 渡利課長補佐
内山課長補佐

○議題

1.開会
2.議事
(1)不妊に悩む方への特定治療支援事業の今後のあり方について
(2)その他
3.閉会

○議事

○渡利課長補佐 それでは、定刻になりましたので、ただいまから第3回「不妊に悩む方への特定治療支援事業等のあり方に関する検討会」を開催いたします。

 委員の皆様には、お忙しい中お集まりいただき、まことにありがとうございます。

 本日は今村委員が所用により欠席の連絡をいただいております。

 また、本日は妊婦の年齢と出産リスクに伴う合併症のリスク評価について御説明をいただくため、徳島大学医学部部長の苛原教授に御出席いただいています。

 カメラの撮影はここまでとさせていただきます。よろしくお願いいたします。

(報道関係者退室)

○渡利課長補佐 傍聴される皆様におかれましては、傍聴時の注意事項の遵守をよろしくお願いいたします。

 それでは、議事に移りたいと思います。座長、よろしくお願いいたします。

○吉村座長 それでは、議事に入りたいと思います。

 まず、お手元にお配りしております資料につきまして、事務局から御確認をお願いいたします。

○渡利課長補佐 お手元の資料でございますが、議事次第がまず1枚ございます。後ろの面が座席表になっております。

 資料1「特定治療支援事業の助成対象者の状況(平成24年度)」。

 資料2「年齢と妊娠・出産に伴う合併症のリスク評価について」。

 資料3「不妊治療に関する支援のあり方についての論点」。

 資料4「不妊治療に関する支援のあり方についての基本的な考え方(これまでの議論の整理)(案)」。

 資料5「不妊専門相談センターの現状」。

 資料6「第1~2回検討会の主な意見」。

 参考資料1は、開催要項です。

 参考資料2は、これまでの検討状況でございます。

 参考資料3はパンフレットになっておりまして「知っていますか?男性のからだのこと、女性のからだのこと」。

 参考資料4「日本産科婦人科学会登録施設(総数552施設)における年間対外受精実施数の状況(2010年)」。

 それから、ワーキンググループから報告書案を御提出いただいております。右上に未定稿と書いてございます。

 その次に、今回欠席されております今村委員からの提出資料がございます。

 また、お手元のドッチファイルには前回までの資料一式がございます。

 不足等がございましたら、事務局までお申しつけいただければと思います。

○吉村座長 よろしいでしょうか。

 それでは、本日はまず事務局から平成24年度の特定治療支援事業の助成対象者の状況について説明をしていただきまして、その後、徳島大学医学部の苛原教授から、妊婦の年齢と出産リスクについて御説明をいただきます。

 その後に私の方から検討会全体の進め方について御説明させて頂いた後、論点1妊娠や不妊等に関する知識の普及啓発、相談支援の充実について御議論いただいて、最後にワーキンググループから論点2の特定治療支援事業の実施医療機関の要件、情報の取り扱いについて御報告をいただく。その後、時間がございましたら、その点についても御議論をいただくということで、きょうは少なくとも論点2のワーキンググループからの報告までは進みたいと考えております。

 それでは、早速事務局より資料の御説明をお願いいたします。

○内山課長補佐 資料1をお開きください。特定治療支援事業の昨年度、平成24年度の助成対象者の状況でございます。各自治体の協力を得まして母子保健課でまとめたものでございます。

 まず1つ目、1枚目の上ですが、助成件数。これは平成24年度の速報値ですけれども、延べ件数が134,881件ということで、右側に書いております23年度の112,000件と比べまして、19.7%の増となっております。

 実人員数でございますが、こちらは7万9,205人ということで、昨年23年度の6万8,000人と比べると16%の増となっております。

 1人当たりの平均回数につきましても、1.70回ということで少し増加をしております。

 ざっと計算をしますと、国負担分と地方負担分と合わせて200億ぐらいという規模になります。

 その下をごらんください。助成年数別・回数別の対象者数でありますけれども、それぞれ書いておりますが、各年ともに1回だけしか助成を受けていない方よりも、2回以上助成を受けた方のほうが多くなっているといった状況でございます。助成年数につきましては、年数がふえるについて実人員数が減っていくといった状況でございます。

 その裏をごらんください。今度は助成対象者の年齢別の状況であります。上のほうが総助成件数の分布でございます。年齢ごとの分布でグラフをつくっておりますけれども、一番多いピークになっているところが39歳であります。右の枠内をごらんいただきたいのですが、40歳以上が32.7%、41歳以上が24.5%、42歳以上がごらんのとおりの数字となってございます。

 平成23年度につきましては5歳刻みのデータしか出しておりませんでしたけれども、23年度のほうは40歳以上が30.1%ということで、24年度は2.6%ふえております。45歳以上につきましては23年度は3.4%でありましたけれども、24年度は4.0%にふえているといった状況であります。

 その下をごらんください。こちらは初めて助成を受けた方の年齢分布を示しております。こちらにつきましてもピークが39歳のところにあります。また、右の枠内をごらんいただきたいのですが、初めて助成を受けた方全員に占める40歳以上の割合が26.0%、41歳以上はごらんのとおりの数字となっております。

 以上でございます。

○吉村座長 ありがとうございました。

 事務局のほうで非常にわかりやすくまとめていただいたと思いますけれども、何か御質問ございますでしょうか。

 それでは、続きまして苛原教授からプレゼンテーションをしていただきたいと思います。よろしいでしょうか。

○苛原参考人 ただいま御紹介いただきました、徳島大学の苛原です。

 本日はこういう発表の機会をいただきまして、どうもありがとうございました。

 今回この検討会において、年齢と妊娠・出産に伴う合併症リスクの評価についてということで、これは主として日本産科婦人科学会の周産期委員会が集めたデータをもとに、幾つかの合併症の発症リスクについて検討したものです。

 共同研究者は国際医療福祉大学の松田教授と、現在、日本産科婦人科学会の周産期委員長をされています、長崎大学の増崎教授でございます。

PP

 まず最初に、年齢と妊娠合併症に関する報告につきましては、これは非常に広くあるような感じがするのですけれども、調べてみても世界的にこれだけリスクが高いんだということを明確にしているものは余りございません。しかし、少し代表的なものだけ掲げますと、1993年からの報告では、前置胎盤、胎盤早期剥離の発生頻度は、高齢妊娠において上昇し、それはARTなどの影響があるかもしれないということがあります。しかし、もしそういうARTとか妊娠回数というリスクファクターを除いたとしても、34歳以上では前置胎盤の発生頻度が上昇するという報告がございます。

 若年妊娠ではたばことかお酒を飲む、そういう飲酒率の上昇あるいは教育歴の低下によって早産が多かったり、出生児の体重低下につながることが示されておりますが、こういう喫煙とか飲酒とか教育歴の低下というリスクファクターを除いたとしても、若年妊娠で早産とか低体重出生児が多いことが言われていまして、それには子宮の未熟な発達、血流不全、臨床的な感染症の増加、性生活の活発化による臨床的感染の増加とか、プロスタグランシン産生の増加との関連が示唆されると報告されています。

2005年には、胎盤の早期剥離は加齢とともに生じる血管内皮障害の影響により、妊娠の高齢化と関係するという報告が出ております。諸外国でもこういう観点に立って年齢と妊娠合併症の検討が行われておりますが、現在集まっているものについてはこういうところでございます。

PP

 今回でございますが、日本で社会環境の変化に伴いまして、高齢妊娠の割合がふえておりまして、それがハイリスク妊娠の増加の原因になっていると考えられますし、若年妊娠でも逆にリスクを伴うことも報告されておりますが、産科合併症と母体年齢の関係についてはまだまだ不明な点も多いと言われています。

 そこで、先ほど言いましたように妊産婦学会の周産期委員会の大規模データベースを用いまして、主な産科合併症における母体年齢の関連性について検討を行いました。

PP

 方法は全国の主要な周産期医療施設。これは総合周産期母子医療センターを初め、大規模なところが中心となっています。そういうところから集めたものであります。全部のお産を網羅しているわけではありませんが、ちゃんとしたデータがとれる施設からいただいているデータでございます。

2001年から2010年の10年間分の単体に限りました。単体である575,927例を対象といたしまして、頻度の高い8疾患を対象としました。Cochran-Armitageの傾向検定によって発症頻度と年齢の関係について、それが直線的な変化をするか否かを検討いたしました。

PP

 対象とした8疾患と言っても、早産については結果的に早産に終わったものでありますので、さまざまな理由がここに入っておりますが、疾患としては前期破水、絨網膜羊膜炎、切迫早産で37周までで生まれたもの、あるいは子宮頸管無力症、前置胎盤、常位胎盤早期剥離、妊娠高血圧症候群でございます。

PP

 このCochran-Armitageの傾向検定ということで少し御説明いたしますと、3つの検定をしておりまして、1つは直線性。これは発症率が直線的に変化するかどうか。それから、異質性。これはどこか直線的にならない部分がある。急に下がったり、急に上がったり、そういうところがあるかどうか。それから、全体の傾向というのは、年齢層によって全体的に発症率が変化しているかどうかということの検定でありますので、もし直線性が有意で、異質性が有意ではないとしたら、それは比較的なだらかにずっとどちらかに傾いていっていることが言えますし、直線性の検定の結果が有意で、異質性の検定も有意であった場合には、どちらかに傾いているのですけれども、それが急にくっと変わっているところがあろうということを示してございます。

PP

 結果について御説明を申し上げたいと思います。

PP

 これは早産全体でございます。8万587例につきまして検討いたしました。これはちょうどごらんのように直線性、異質性、全体としても、このように全部有意性を持っていまして、ですからなだらかに一定の傾向で上がり下がりがあって、全体の年齢もこのように年齢層によって有意差があることを示していまして、とり方はどうもあるのですけれども、若年と3536歳以上、3738歳ぐらいでしょうか、それ以上で両側で高くなっていまして、2535歳ぐらいで最も少ない値を示しております。

PP

 次に切迫早産。約1,800例でございますが、切迫早産は若年者に多いことが言えます。そして加齢とともに減少する傾向にありますが、特にごらんいただきますと10歳代から2223歳ぐらいまで急に下がってきて、その後、なだらかに下がっていっている。ですので、この前半のあたりが若年者に非常に多いということが、これからわかってくるかと思います。

PP

 前期破水は約2万例でございますが、これはなだらかに少し変化がありますが、急な変化はございません。全体的に若い人に少し多いのですけれども、減少する傾向にありますが、それはなだらかでありまして、加齢とともに減少する傾向にありますけれども、急に上下をしているところはございません。

 前期破水の原因につきましては、例えば感染症とかそういうものが言われております。そういう妊娠中の感染等の原因も理由に挙げられると考えられます。

PP

 これは絨毛羊膜炎でございまして、先ほどの前期破水あるいは早産とも関係が深いのですけれども、これはごらんのように加齢に伴って下がってくるのですけれども、特に前半に非常に高いということが言えまして、急にすとんと下がって、あとは低くなっているということであります。ですので、これは若い女性に非常に多いということが言えるかと思います。

PP

 次は頸管無力症でございまして、これも約8,000例の値でありますが、これは加齢とともに増加する傾向がございます。それで徐々に増加をしておりまして、多分これは3638歳ぐらいが少し高くなっておりますが、そういうところが若干異質性の問題に似ているのですが、そのところは置いておいても、少し全体として加齢に伴って増加する傾向にあることがわかります。

PP

 次は前置胎盤でございますが、前置胎盤はごらんいただきましたように明らかに加齢に伴って増加していき、かつ、ごらんのように右肩上がりでずっと上がっていっていることが言えます。こういう形で年齢に伴って増加をしていっている。特に40歳を超えてきますと、これは数の問題もあるのですが、非常に高頻度を抱えていることが言えます。

PP

 妊娠高血圧症候群は2万例ぐらいでありますが、これも加齢とともに急激に増加しまして、特に40歳を超えますと急激に増加していっていることがわかります。特に異質性も非常に有意差がありまして、右肩が急峻に上がっていっているということで、特に妊娠高血圧症候群においては加齢、それも30歳後半、40歳ぐらいから急激にふえていくことが言えるかと思います。

PP

 胎盤早期剥離に関しましては、これは基本的には加齢とともに若干増加していっているのですけれども、急激なところはなくて、徐々に増加していく傾向にあります。先ほどの高血圧症候群とは少し違いますが、これは数の問題もあろうかと思いますので、早期剥離に関しましても年齢によってふえていくことが考えられますが、なだらかな上昇を描いていると言えます。

PP

 今度はリスク分析をいたしまして、これは松田先生が2001年から2005年までの間に218,855例の症例から一部を取り出してきまして、多変量解析を行った結果でございます。2001年から5年ですので4~5年前のデータでありますが、リスク比の算出に当たっては、このころは5年ごとの区切りでNを求めて比較をしておりますので、こういう値になっております。ケースコントロールというのは、全くそういう異常がないものとあるものを比較したわけではなくて、全体とそれがどうかという比較をしたものでございます。

PP

 そうしますと、妊娠高血圧症候群は2034を1と考えますと、右側が3539、一番右が40歳、2034よりも左が20歳未満でありますが、ごらんいただきましたように3539においては、妊娠高血圧症候群が1.66ということが言えます。前置胎盤で1.76というリスク比がございますが、あとは1前後の値を示しております。

40歳以上になりますと、これが妊娠高血圧症候群では2.55、前置胎盤で2.19ということで、2034歳の相対リスクを1としますと、少なくとも2倍以上のリスクが考えられる。20歳未満に関しましては、早産が多いということは確かに1.78で少し多いのですけれども、あとは1前後で大きな差がなかったということで、年齢別のリスク比で特に問題になるのは妊娠高血圧症候群は40歳以上で2.5倍になる。前置胎盤で2.2倍ぐらいになるということが、この比較から言えるかと思います。

PP

 これがそれを図にしたものでありまして、こういうように一番上の常位胎盤早期剥離あるいは妊娠高血圧症候群、前置胎盤、切迫早産が大きく年齢によって変わってくるわけでありますが、例えば妊娠高血圧症候群だと20歳以下は1よりも左にありますが、35歳から40歳はぐんと右に傾いていまして、リスクが上がっていることを示しています。前置胎盤もほぼ同様でございますし、一番上の早期剥離も1をかぶっているものもございますが、40歳を超えると超えているということで、これらが年齢によってリスクが上がるということが考えられます。

PP

 実は今のあれが5年ごとに見たものですけれども、今回の2001年から2010年の50万件のものから同じようにリスクを、妊娠高血圧症候群について見てみました。これはですから30歳の年齢を1として、39歳以上につきまして同様にリスクを計算してみました。そうしますと39歳で1.6540歳で1.7241歳で1.8642歳で1.8643歳で2.1844歳で2.5645歳で2.68ということで右肩上がりに上がっていると同時に、43を超えると2倍以上にリスクが30歳に比べてなっているということがわかりました。

PP

 このリスクの解釈なのですけれども、確かにこの数字で1を挟んでいるかどうかというのも1つのポイントでございますが、少なくとも2倍以上のリスクを抱えているということは、これは明らかに異質であって、問題ありと解釈してよかろうと考えております。

PP

 一方、30歳の相対リスクを1とした場合の切迫早産、これは逆の場合です。年齢比で切迫早産の方ですが、これは特に年齢によって大きな変動はございませんでした。こういう形で結果が出ております。

PP

 これは特別、本日のものとは関係ありませんが、体外受精によって日本産婦人科学会倫理委員会の登録・調査小委員会、齊藤先生が小委員長をされています委員会から出ておりますが、これでは見ていただくのは流産が30歳後半からふえてきておりまして、流産率がずっと上がってきていまして、40前後では3040%を示しております。流産ということも、きょうお話したのは主として妊娠後期に起こってくるような問題でありますが、流産も妊娠中に起こってくる問題でありますので、こういうことも年齢によって変化してくるものではないかと思っております。

PP

 最後にまとめでございますが、結果的に早産した症例は2535歳で最も少なくなっておりまして、20歳前半あるいは35歳後半でふえる傾向にございました。それから、前置胎盤、常位胎盤早期剥離、高血圧症候群は加齢とともに直線的に上昇して、加齢そのものが影響する疾患と考えられました。特に妊娠高血圧症候群は40歳以上の高齢妊娠で急峻に発症が増加することが判明しまして、これは今までの報告から血管障害疾患の増加などと関連すると考えられます。

 それから、子宮内感染が想定される前期破水や絨網膜羊膜炎、切迫早産は若年者に多く、加齢とともに減少する傾向が見られました。これは子宮の未熟性とか性生活の活動性及び感染症の増加と関連が考えられます。

 妊娠高血圧症候群と前置胎盤は、5歳ごとのまとめでは2034歳に比較して、40歳以上で2倍以上の相対リスクがあり、また、1歳ごとに見た場合には、特に妊娠高血圧症候群で43歳以上で2倍以上の相対リスクを示しておりました。このことから、特に40歳を超えてきますと、前置胎盤あるいは妊娠高血圧症候群等が有意に増加し、ハイリスクになることが妊産婦のデータからも推測されると思っております。

 一応、話を申し上げるのは以上でございます。

○吉村座長 ありがとうございました。

 それでは、今の苛原教授の御説明に何か御質問ございますでしょうか。どなたでもどうぞ。

○鈴木委員 苛原先生、どうもお話ありがとうございました。

 いろんな幾つかのリスクのうち、特に妊娠高血圧症候群、前置胎盤、常位胎盤早期剥離がリスクとして多いというのはわかったのですけれども、妊娠高血圧症候群などの場合、分娩後の弛緩出血などとの関連も言われますね。異常出血というようなこと。それから、例えば胎盤早期剥離の場合、赤ちゃんはじゃあどうなるのだろうということも気になります。そのあたりの児に与えるリスク、それから、母体が結果としてどうなるのかということを、もし教えていただければ。

○苛原参考人 きょう私たちがやった分析の中には、先生がおっしゃったものは入っていないのです。ただし、今までのさまざまな報告でよければコメントとして追加させていただきたいと思いますが、やはり年齢によって明らかに周産期の死亡率及び母体死亡率が上昇しています。これは変わっておりません。

 そして、その大きな原因はおっしゃったように分娩時の出血あるいは常位胎盤早期剥離を含めた胎盤機能の異常による胎児とか新生児の問題と報告をされておりますので、妊娠高血圧症候群そのものが常位胎盤早期剥離の100%の原因かどうかというのは別にしまして、半分以上はこれが原因になっていると私自身は思っておりますので、そういうことから考えますと、妊娠高血圧症候群の頻度が高くなって、その結果、その後の異常がふえて母体死亡、胎児死亡、出生直後の新生児死亡につながっていっていることは十分考えられると考えております。

○見尾委員 ありがとうございました。見尾ですけれども、意外と現場の人間としては年齢とこういう疾患との間の関連性が余り色濃く出ていないような印象を持ちました。実際には例えばこれは自然分娩に限ってはいないと思うのですが、例えば我々が高齢の妊婦さんに接する場合は、必ずリスクのことをお話しますけれども、見るとさほど大きな影響を伴っていないようで、例えば帝王切開の割合がどうなっているかとか、先ほどのお話もありましたけれども、胎児死亡あるいは胎児のモダリティ、罹病率がどうなっているとか、そういったことに関しては何かデータをお持ちなのでしょうか。

○苛原参考人 先ほども申しましたように、今回検討した内容については今の範囲なのです。帝王切開率とかモダリティの問題は別途調査をすれば、分析すればある程度わかってくると思うのですが、これはあくまでも全国の全部を調べたわけではなくて、基本的な分娩施設から集めたデータでございますので、そういう意味では結構しっかりしたデータが出てきているのではないかと思っておりまして、先生がもう少し異常が多いのではないかと思われる、私もそういう感じはするのですけれども、考えてみますと実はここで考えておかないといけないのは、そのあたりにいきますと高齢になりますとどうしてもNが低くなってきますので、そういう意味では1つ大きな有意差が出ていますが、そういうところが関係しているのではないかと思います。

 でも、帝王切開あるいは多分先生のところもそうでしょうけれども、35を超えると3040%ぐらい今は帝王切開をしておりますので、そういう意味からは高齢で帝王切開する率は非常に高いと考えていいのではないかと思います。

○石原委員 非常に貴重なデータをありがとうございます。

 1つ気にかかりますのは、コホート自体がかなり偏ったコホートである可能性が高い。今、異常が少ないというお話が出ましたが、早産が全体の14%ぐらいになりますので、これは異常に高くて、恐らく若年層の場合にはかなりハイリスクな問題のある人がこの総合周産期を初めとする大病院に搬送されていますので、だから高年齢層の部分につきましては高年齢層だということによって早い時期から依頼されている可能性が高いわけですので、そうしたサンプリングバイアスがかなりあることを前提として、このデータは見るべきではないかと思います。

 そうでないと、早産関連のデータが一般に言われていることと少し違うのと、もう少し若い人と高齢の方には見尾先生おっしゃいますように、もっと大きな違いが本当はあるのではないかという気がいたします。

○苛原参考人 確かにそういう面は考えられると思いますが、ただ、全体を眺めて、それは同じ施設に同じように毎年毎年やってきますので、若い人から高齢まで同じように入っていますから、頻度としては全体を丸々示しているかどうかというのはあれなのですけれども、ただ、全体の傾向としてはこれで十分読みとれるのではないかと思っています。ですので、少なくとも2535ぐらいの一番いいときに比べると、相対リスクは相当高齢者で上がっていることは言えるのではないかと思います。

○吉村座長 そのほかいかがでしょうか。よろしいですか。

 少しサンプリングバイアスも考えていただかなければいけないのですけれども、例数として57万、一応の数があります。施設が偏っているということもあるのかもしれませんが、傾向として私も非常にもう少し3~5倍程度を示すのではないかと思っていたのですが、2ないし3倍というご報告でした。これが切迫早産と早産が違うというのはどういうことなのでしょうか。

○苛原参考人 早産というのは結果的に早産をしたもので、切迫早産というのは切迫早産から早産したものですので、早産には例えばいろんな異常があったりして早産させたのもあるでしょうし、途中で来てあれしたものもありますので、切迫早産から早産したものがこれだということです。

○吉村座長 早産率は高齢者で多いということは、帝王切開などで早産をさせているケースが多いという認識ですか。

○苛原参考人 そのとおりだと思います。

○吉村座長 わかりました。そういうように理解して読んでいただければよろしいかなと思います。

 それでは、苛原先生、どうもありがとうございました。

 次の議題に移りたいと思いますが、まずこの検討会全体の進め方について、少し私のほうから整理をさせていただきたいと思います。

 本日、苛原先生から年齢と出産のリスクについて報告をいただき、また、事務局から助成対象者の状況を説明していただきました。不妊治療の支援のあり方に関する検討の前提となる医学的データは、これまでに随分出そろったという感じがします。

 資料3を見ていただきたいと思いますが、論点が1~3ございまして、論点1ですが、普及啓発、相談支援につきましては、これまで事務局から地方自治体の取り組みの状況とか、平山委員から不妊のカウンセリングについて説明をしていただきました。そして、事務局から不妊専門相談センター、普及啓発用のパンフレットについても資料が提出されているわけであります。

 論点2に関しましては、前回、特定治療支援事業のアンケート結果を事務局から報告していただきました。きょう恐らくワーキンググループがたたき台を作成されておりますので、御報告をいただけると思っております。

 論点3は、助成対象範囲につきましては齊藤委員から不妊治療の現状、事務局からは諸外国における体外受精に関する経済的支援の状況。見尾委員から、先生のところのクリニックの治療成果と実際の取り組みなどについても御説明を受けたわけでございます。

 さらに今回、苛原先生からこの報告を受けたということと、助成対象者の現状についての御報告もあったということでございます。また、前回は鈴木委員と松本委員からは患者団体の取り組みについてもお話をいただきました。

 この2、3につきましては、基本的にワーキンググループでたたき台を作成後、それを発表していただきます。助成の対象範囲につきましても、きょうの苛原先生から出していただきました医学的データに基づいて、次回の検討会までにワーキンググループで意見を交換していただきたいと考えています。

 こういった考え方について、改めて委員の皆さんと認識を共有しておきたいと考えています。妊娠、出産、とくに子供を産むか産まないかということは、当事者の男女がどのようにして考えるかということが極めて大事なことだと思っております。これが基本でございますし、不妊に悩む人たちがより安全で安心な妊娠・出産をするために、公的補助をするということについても、こうした認識の上に立って考え方を進めていかなければいけないということを皆さんと共有していきたい。そして、それを国民に対してわかりやすく丁寧に説明していく姿勢が必要なのではないかと思います。

 これまで島崎先生からも問題提起をいただきましたし、他の委員の皆さん方からも同様の御意見をいただいたと思っております。

 そこで、本討論会で各論点について議論するに当たっては、今、私が話したような基本的な考え方について、委員全体で確認と共有することが必要であるということでお話をさせていただいたということであります。

 本日はまず時間の許す範囲内で論点1の普及啓発、相談・支援について議論をしていただきたい。そして論点2の実施医療機関の要件、情報の取り扱いについて、ワーキンググループから報告を受けるということでございます。

 まず初めに資料4を見ていただきながら、事務局から御説明をお願いしたいと思います。

○内山課長補佐 それでは、資料4をお開きください。読み上げます。

 不妊治療に関する支援のあり方についての基本的な考え方。

 妊娠・出産に係る意思決定、すなわち、子どもを産む産まない、いつ産むのか、といった判断については、当事者である男女が自らの意思で行う事柄である。

 不妊に悩む方々が、より安心・安全な妊娠・出産をするための公的支援についても、こうした認識に立って、適切な支援のあり方を検討することが重要であり、また、その基本的な考え方を整理し、これを国民に丁寧に説明し、共有することが重要である。

 このため、まず第一に、当事者である男女が希望する妊娠・出産を実現するために必要十分な情報が提供され、それを前提とした判断がなされるように、国が医学的な情報を整理し、正確に国民に提供することが何より重要である。

 特に、不妊治療に関し、妊婦が高年齢になるほど母体と胎児に与えるリスクは増大する一方、出産に至る確率は低下することや、不妊の原因が男性側にある場合も少なくないといった医学的知見などについて、国が国民に対して正確に幅広く提供していくことが必要である。

 また、不妊に悩む方々が、その悩みに応じた相談・支援を受けられるようにすることも重要である。妊娠や不妊治療に関する専門的な知識を有する医師等による専門的な相談を受けられるようにすることはもちろん、不妊治療は患者にとって身体的・精神的な負担が大きいことなども踏まえ、心理的な側面も含めた適切な支援も必要である。

 不妊治療に関する公的な助成のあり方を考えるに当たっては、関連する医学的知見を踏まえ、より安心・安全な妊娠・出産が可能となるような実施医療機関の要件や助成対象範囲のあり方について、具体的な形を示し、その考え方とともに、国民に丁寧に説明していくことが重要である。

 以上です。

○吉村座長 ありがとうございました。

 この委員会での、要するに不妊治療に関する支援のあり方についての基本的な考え方を、このように事務局でまとめていただきました。

 簡単に申しますと、この妊娠・出産にかかわる意思決定というのは、あくまでも当事者の男女がみずからの意思で行うということ。もう一点は、医学的な知識は医療者側が与え、そして、幅広い知識を国民に対して与えていくことが大事であるということと、心理的なサポートというのが極めて重要であるというようなことがこの中に含まれていると思います。もう少し基本的な考え方の中にこういった点を入れたほうがいいとか、これはこういうふうに変えたほうがいいということがありましたら、御意見をいただきたいと思いますが、いかがでしょうか。これは最も大事な前提となるところでありますので、この点を御議論いただきたいと思います。

○見尾委員 この中に実際には入っているのかもしれないのですけれども、実際に高齢で妊娠・出産を希望される場合というのは、出産がゴールではなくて、その赤ちゃんを成人まで育て上げることが最終のゴールだと思っていますので、だとすればこれは高齢で40歳を超えて妊娠・出産をされた場合というのは、御自身の健康の保障というものを何もない状態のところまで育児にかかわらないといけないということが入ってくると思うのですけれども、そういったことについてはこの中に含まれているのでしょうか。

○吉村座長 どうでしょうか。私もその点が少し欠けているのかなと。だから妊娠・出産というところで終わって、育児ということをいかにして子供を育てていくか。自分の健康管理を行いながら要するにどうして子供を育てていくのかという観点があったほうが、よいと思います。

○桑島母子保健課長 見尾先生の御指摘のとおりだと思いますので、そういった点も加味して、またこの基本的な考え方を直させていただきたいと思います。

○吉村座長 少し広げればいいかなと思います。

 小崎委員、どうぞ。

○小崎委員 小児科医の立場として一言申し上げたいと思います。

 今、お話がありましたように妊娠・出産というのはゴールではなくて、子育ての出発点、家族がこれからでき上がっていくというところの一番の出発点になるところだと思います。私たち外来でお子さんとお母さんたちの診察に当たっておりますけれども、長い不妊治療の末、子育てのエネルギーを少し失ってしまったかな、お疲れのようかなというお母さんたちにお会いすることが時々あります。

 これまでの検討会の中で、生殖医療、生殖補助医療について論じておられますけれども、ぜひそれだけではなくて、子育ても含めた長いスパンの中の一部分だということを考えていただけるとありがたいと思います。

 単に妊娠率を上げるとか、流産率を下げるとか、合併症妊娠を避けるだけのために早期の妊娠をすすめるのではなくて、できれば30代、体力、気力、知力ともに最も充実している時期に奥様だけではなく御主人と一緒に、また、おじいちゃん、おばあちゃん、家族と一緒に子育てを楽しんでいただく。そういった考えがあってもよいのかなと思います。

 もし可能であるのであれば、そういったことを生殖医療の立場の中でも少し考えていただければよいなと思います。それは普及とか啓発活動がとても大事なことなのではないかと思っております。

 以上です。

○吉村座長 今、非常に貴重な御意見だと思います。これまで余り不妊に関してそういったことが基本的なコンセプトとして出てこなかったこともありますので、それは基本的な考え方に入れていきたいと思います。

 森先生、看護のほうから何かありますか。

○森委員 看護としては「実施医療機関の要件」の箇所が該当すると思いますが、心理的なケアも含めて、心身の健康のバランスの支援という点で看護を入れていただけると、よりよいと思います。

○吉村座長 わかりました。

 鈴木委員、どうぞ。

○鈴木委員 的外れかもしれませんが、これは最終的にこの委員会が報告を出すときの前文になってくるようなものという理解でよろしいですね。

○吉村座長 はい。

○鈴木委員 そうしますと、1番目から5番目までは、どちらかというと女性のことに限らず、不妊治療あるいは不妊治療をしている方、不妊に悩む方全般に対する支援のあり方というのは、このほうがよいのではないかという話が幾つか書かれているかと思います。当該の助成に関して書かれているのは6番目なのかなと思うのですが、助成に関して実は当事者として、結局これは何で助成してくれているのだろうということが実はずっと引っかかっておりまして、当事者の中では要するに少子化対策で助成してくれているならもっと金額を上げてとか、例えば年齢切捨てはやめてくださいという声も、例えば少子化で悩むのだったらという前振りがつくことは、このお金のことに関しては結構多いのです。

 非常に悩ましいところではあるのですが、これは少子化対策なのですかと。実はそうではなく、むしろこういったパブリックヘルスと言うのでしょうか、そうした視点で行われている事業なのだということがもしあるのであれば、そのようにどこかに示していただきたいなと実は思っております。位置づけが曖昧かなと思っていたので。

 だとすれば、こうした形で国が公的な補助、助成ということをするに当たって特に不妊治療というよりは体外受精、ARTに対する適正な運用を促す効果も実は期待されているのではないかと思いますので、それを入れるか入れないかはともかく、そういったことも私としては意識をしたいなと考えております。

○吉村座長 少子化対策でやっているというわけではない。体外受精を受けられるカップルは3%ですから、少子化の助けにはなるかもしれないけれども、少子化対策としてやっているというわけではないと皆さんも考えられていると思います。

○鶴田委員 先ほどの議論に戻ってもよろしいですか。国民に正確な判断ができる情報提供をしようということであれば、先ほどの例えば40歳を過ぎてお産をした場合の本人の健康であるとか、子育てにかかるものというのは、今までデータとしては示されていません。そういう40歳を過ぎて産まれた子供たちがどうであるかとか、40歳を過ぎて産んだお母さんたちの健康がどうであるかというデータがあったら、もっとよりわかりやすく、理解が深まるかなという感じがします。データがきっとないかなとは思いますけれども。

○吉村座長 なかなかそのデータは難しいかもしれないですね。産婦人科医もそういったことについて余りデータを持っていないかもしれません。

 平山委員、どうぞ。

○平山委員 先ほどの先生方の御意見で、基本的な考え方についてのところなのですけれども、多分、少数意見だと思いますし、ここに載せていただきたいということではないのですが、少し危惧を感じたのは家族イデオロギーといいますか、男女がいて、夫婦がいて、子供がいるのが望ましい。そしておじいちゃん、おばあちゃんもいて育てるのが望ましい、一番いい形なんだみたいなイデオロギーが強過ぎると、そうではなくて、いろんな多様な生き方の中でそういう子供を産み育てることを考えていくことが大事なのではないかと個人的には思っているので、余りにも旧来の家族主義的なものを助長するような、あるいは強調するような形というのは、少しだけ危惧を感じたので発言をさせていただきました。

○吉村座長 その危惧はいつも一部のマスコミの方からも受けるのですけれども、やはり基本は不妊症で子供が欲しいと思っておられる方に対する支援をどのようにして基本的に考えていくかということになります。先生の今おっしゃったことも大変考えにはいれなければいけないことだとは思います。

 そのほかありますか。島崎委員、どうぞ。

○島崎委員 前回の検討会は欠席いたしまして、失礼しましたが、文書で意見を提出させていただきました。

 結論から申し上げれば、事務局のまとめたペーパーは基本的にその意見の趣旨と同じであり、本検討会における基本的な考え方としては、これでよろしいかと思います。

 その上で若干付け加えて申し上げますと、そもそも我々はどういう社会像・国家像を描いていくのかということがベースにあろうかと思います。この検討会の議論とは少し離れるかもしれませんけれども、そのような社会・国家と個人の関係を捉えているかというと、個人は人格的に自立しており、その意思を尊重するということが基本だと思います。各人の人生は自ら自由に決めることができる。言ってみれば、人生という白紙のキャンパスに自分の絵を自由に描いていくというイメージであり、国家はそのことに基本的には干渉しないという社会像・国家像が基本に据えられていると思います。

 特に妊娠・出産といった事柄については、プライベートな性格が強いわけですから、それに対して国家が干渉する筋合いの話ではありません。ただし、そのことと国家が適切な情報を提供することが矛盾するかというと、そうではありません。個人が本当に望んでいることが何かを判断するには当然知識が必要になりますから、国や行政が必要な情報を適切に提供し個人の選択・判断を支援するというのは、それと矛盾するわけではなく、むしろ積極的に奨励されることだと思います。

 もう一つ申し上げると、研究者の間で科学的なエビデンスに関する議論をしている場合と、その結果を政策的に展開する場合の情報の取扱いは同じではありません。研究者がある事象をマスとして研究対象として取り扱う場合と、個々の人間に対して説明する場合では求められる説明の丁寧さや仕方は違ってまいりますし、さらに言いますと、その言葉が相手方に対してどういう印象を与えるかどうかということについても注意する必要があります。つまり、ワーディングについても丁寧な配慮が必要だと思っています。

 先ほど少子化対策という言葉がありましたけれども、私は今の大学にまいる前、国立社会保障・人口問題研究所に席を置いておりました。そのころは少子化対策という言葉を使うことにもかなり神経を使っておりました。「産めよ増やせよ」を目指すのかという受けとめられ方をされる懸念があったからです。

 そのことはともかく、この検討会の議論に引き戻してみますと、1つの例ですが、「妊孕力」という言葉があります。普通の人はこの「孕」という字はまず読めないと思います。また、妊孕力という言葉は何気なく使っているかもしれませんが、その字義は妊娠する能力を持っているかということですから、かなり強い言葉です。

 誤解があるといけないので申し上げておきますが、私はだから少子化対策という言葉や妊孕力という言葉を使うなといった「言葉狩り」をしているわけではありません。申し上げたい趣旨は、その言葉がどういう意味を持っているか、相手方に対してどういう印象を与えるかということに対して、絶えずイマジネーションを働かせていくことは重要なことだということです。また、現実問題として、この検討会における議論が我々この検討会あるいはこの各委員の意図と違った受けとめられ方をされないようにという意味からも、そのことは重要だと思います。以上、長々と申し上げ失礼いたしました。

○吉村座長 医学的なエビデンスをどのように社会に対して展開していくかということは非常に難しいところがありまして、医学的なエビデンスだけで物事を語れないということはあると思います。どのようにして社会的な展開をしていくかというのがこういった検討会の意味あるところだと思います。今のような御意見というのは極めて大切ですので、そういう意味では非常によく皆さんも、基本的な考え方を共有できたのではないかと思います。

 それでは、基本的な考え方は大体この程度でよいと思います。

 それでは、次に論点1妊娠や不妊等に関する知識の普及啓発、相談支援の充実について、事務局からの関係資料の説明をお願いいたします。

○内山課長補佐 それでは、お手元の資料5をお開きください。

 資料5で不妊専門相談センターの現状ということで、事務局でまとめさせていただきました。

 まず、不妊専門相談センターの実施場所についてですけれども、1枚目の上でございますが、今、実施している自治体の数は60となっております。これは間違いがありまして、申しわけありませんが、訂正していただきたいのですけれども、実施市町村数と書いておりますが、これは事業主体になっておりますのは都道府県と政令指定都市と中核市ですので、都道府県と市ということであります。全体で108ございまして、そのうちの60自治体が実施している状況であります。

 実施場所については、私どもが各自治体さんに出しております要綱の中では特に指定をしておりません。地元の産科婦人科学会とか、産婦人科医会等々の関係者の意見を聞いて決めることが望ましいと書かせていただいております。

 実施場所についてですけれども、一番多いのが保健所で27%、大学・大学病院が25%となっております。

 その下、不妊専門相談センターの実施方法についてですけれども、こちらの要綱では特段定めておりませんが、電話による相談をやっていただいているのが全体の82%、面接による相談が95%、メールによる相談をやっていただいているのが34%であります。

 それ以外の取り組みといたしまして、グループ相談とか出張相談、講演会、交流会といったことをやっていただいている自治体もございます。

 次をお開きください。相談件数と相談内容についてですけれども、こちら平成23年度の実績では左側にありますが、延べ件数は約2万2,000件となっております。相談内容について、その右側ですけれども、一番多いのが不妊症の検査・治療についてが約6,700件、費用や助成制度についてが約6,500件といった状況になっております。

 その下をごらんください。相談対応者ですけれども、こちらは要綱では不妊治療に関する専門的知識を有する医師、その他社会福祉心理の知識を有する者ということで書いておりますが、いずれも医師、助産師、保健師で大体8~9割といった状況になっております。

 次のページをごらんください。開設頻度についてですけれども、こちらも開設頻度については要綱では特に定めておりませんが、左側の電話相談につきましては週5日以上やっていただいているところが43%、右側の面接相談ですが、一番多いのが週1回以下の49%といった状況であります。

 その下をごらんください。働いている人に配慮した開催状況となっているかという点で調べましたけれども、平日夜間や土日開設している割合がどれぐらいあるかということでございますが、平日夜間18時以降にやっていただいている割合が電話で11%、面接で7%、土日開設している割合が電話で13%、面接相談15%といった状況でございます。

 その裏をごらんください。こういった状況を踏まえて見直しの方向性でございますけれども、まず第1回の検討会で委員の方から、相談窓口を見つけにくい場合があるといった御指摘をいただきました。それから、働いている人が利用しにくいといった御指摘もいただきました。

 そういったことを踏まえまして、まず現状の1つ目としましては、相談窓口を見つけにくい。それに対しては、これは各自治体がやっている事業なので強制はできないのですけれども、厚生労働省から各自治体に積極的な周知方法を改めて依頼するということをやりたいと考えております。

 2つ目の○、課題として働いている人が利用しにくいといった状況でありますけれども、先ほど申し上げたような開設状況でありましたので、各自治体に働いている人が相談しやすいものとなるように、運営の見直しをお願いしたいと考えております。

 それから、今回の実態調査をやりまして、やはり各自治体ごとに取り組みに非常にばらつきがある。格差があるといった状況がございますので、まず厚生労働省といたしましては、各自治体の取り組み状況を把握いたしまして、創意工夫ある取り組みをやっている自治体等がありましたら、そういったものを他の自治体にも情報提供していきたいと考えております。

 以上です。

○吉村座長 参考資料も続けて説明していただけますか。

○木下課長補佐 続きまして、お手元にきょうお配りしておりますパンフレットについて、簡単に御説明させていただければと思います。

 パンフレットの裏をごらんいただけますでしょうか。こちらのパンフレットですけれども、平成24年度、昨年度の厚生労働科学研究費において作成されたものになります。

 1ページ裏のほうをめくっていただきますと、研究代表者は山梨大学の山縣先生。研究分担者としまして金沢大学の吉川先生、岐阜大学の山本先生。研究協力者としまして、そちらに掲載させていただいております先生方の御協力を得ながら、研究班において作成されたものになります。

 まずこちらの研究班ですけれども、研究班の中におきまして大学または短期大学の学生の健診結果をもとに分析を行いまして、その結果としまして従来指摘があったところでございますが、いわゆる女性の低体重、やせの問題でありますとか、貧血といった課題があることが改めて明らかとなりました。

 加えまして、大学における健康教育活動の取組状況のほうも調査を行っておりまして、メンタルヘルスといった心身の健康に関する講義なり取り組みは約半数程度の大学において取り組まれていたものの、健康に関する教育活動、特に妊娠・出産といった活動に関しましては、余り実施されていないという結果が得られたものを受けまして、そういったものに対する取り組みの1つとして、正しい知識を身につけることが必要であろうという問題意識のもとに、こちらのライフプランに関する検討の際に必要になるであろうパンフレットの作成を、研究班において取り組まれたところでございます。

 本年度に関しましては、研究班においてこのパンフレットを用いて、実際に大学の保健管理センターを中心に大学生を対象としまして、このパンフレットの効果的な活用方法でありますとか、パンフレットを利用した前後におきます妊娠・出産に関するような健康に対する知識、認識の変化といったものに関しまして調査研究を進めていき、今回、作成いたしましたパンフレットの内容につきましても、項目が適切であるかとか、情報の量、内容等についても必要に応じて見直しを行っていきまして、今後さらに効果的な情報提供のあり方について調査研究を進めていくというふうに伺っております。

 以上になります。

○吉村座長 ありがとうございました。

 資料5と参考資料3ですが、これについて御意見をお伺いしたいと思いますけれども、不妊専門相談センターの現状について何か御意見ある方、お見えになりますか。

○平山委員 物すごく基本的な質問なのですけれども、どうして国の事業なのに、何をやるかが自治体に示されていないのですか。具体的なやることがこれだけばらばらになってしまったのはどうしてなのですか。地方の実情に合わせるというあれなのかもしれませんが、余りにもやっていることがばらばらで、だからよくないというのはわかるのですけれども、何でこうなってしまったのかというのを教えてください。

○内山課長補佐 確かにどこまで国のほうで、実施要項で具体的にどういうふうにやっていただくというのをどこまでお願いするかというのはなかなか難しいところでありますけれども、基本的に実施要綱の中でどういった相談をしてほしいとか、大まかな事業内容については書いておりますが、ただ、どの程度相談の体制を組めるかといったことについては、各自治体によってかなり非常に差があると思いますので、そういったところについてはある程度各自治体の裁量に委ねているところはあります。

 ただ、基本的なところ、事業の基本的な考え方とか、基本的なところについては要綱でざっとは書いております。

○吉村座長 松本委員、どうぞ。

○松本委員 それに付随するかもしれないのですが、そもそも相談事業の目的は何なんでしょうか。

○内山課長補佐 基本的に要綱に事業目的が書いておりますけれども、読み上げますと、女性は妊娠・出産と特有の機能を有するだけでなく、女性特有の身体的特徴を有することにより、さまざまな支障や心身にわたる悩みを抱えている。このため、生活に密着した身近な機関において、女性がその健康状態に応じて的確に自己管理を行うことができるように健康教育を実施し、また、あわせて気軽に相談することのできる体制を確立するとともに、不妊や不育症の課題に対応するための適切な体制を構築することによって、生涯を通じた女性の健康の保持、増進を支援することを目的とするというふうに書いております。

○松本委員 長くてわからなかったのですが、つまり女性の健康のための相談事業という捉え方で合っていますか。

○内山課長補佐 そうですね。今、申し上げたのは不妊専門相談センター事業とあわせて女性健康支援センター事業をやっておりますが、それを合せての目的ということであります。

○松本委員 合わせての目的で、不妊専門相談センターだけの目的は何になりますでしょうか。

 つまり、私が感じたのが、そこがよくわからなくて、相談をする側としても何を相談できるのかとか、自分で相談したいことがあって電話をしたのに、その専門家ではなかったりとか、つまり情報が欲しいのか、心の悩みなのかというのは全然違うことだと思うのです。そういったことでうちにも声が上がってきますけれども、そこが明確にされているのが双方にとってハッピーなことのような気がするのです。

○内山課長補佐 事業内容としましては、いろいろ要綱で書いておりまして、まず夫婦の健康状況に的確に応じた不妊に関する相談指導とか、不妊治療に関する情報提供、不妊相談を行う相談員の研修等々、そういったことをやっていただきたいと書いております。

○松本委員 なるほど、何となくわかりました。ありがとうございます。

○吉村座長 森委員、どうぞ。

○森委員 私は6年ぐらい前に全国行脚でいろいろ各地を回ったのですけれども、そのときに必ずしも不妊専門相談センターの方ばかりではありませんでしたが、自治体によって非常に温度差があったり、取り組みに格差があることは肌で感じた経験があります。

 不妊専門相談センターにかかわる人たちが毎年定期的に集まって、連絡協議をするというような会があったのかどうかということをお伺いしたいと思います。

○吉村座長 そういった会議体はないのではないかと思うのですが、ありましたでしょうか。

○内山課長補佐 特にございません。

○吉村座長 やはり自治体で本当に取り組みに温度差があるのです。非常に熱心なところと、そうでないところがあって、その辺がなかなか国としてもそういったことを通達は出すことはできても、あなたのところしていないからどうなのというふうなことはなかなか言えないのではないかと思うのです。それがこういったセンターが機能するかどうか難しいところということで、恐らく本当に機能しているところというのは10施設もないのではないか。その程度しかないのではないかという感じはしますが、いかがでしょうか。

○森委員 しかし、そういう集まりの会があるだけでもお互いに情報交換をする場ができますし、同じか、違っていても限られた中でも予算はおりてきているわけですから、それをどういうふうに使うかということに関しては、お互いに情報交換する中で切磋琢磨できるのではないかと思います。

○桑島母子保健課長 国のほうで決めております内容について、もう一度御説明を申し上げたいと思います。

 先生方のドッチファイルの中に、第1回目からの資料をとじておりますけれども、その中の第1回目の資料3の5ページになろうかと思います。5ページの下のほうのパワポの資料になりますが、不妊専門相談センター事業ということで説明資料を添付してございますけれども、その中で上の2つ目で事業内容としてその事業を整理してございます。

 お手元で確認がとれにくいかもしれませんが、かなり後ろのほうの資料になります。とりあえずまず口頭で御説明をしてまいりますけれども、事業内容として4つ書いてございまして、不妊について悩む夫婦に対し、専門的な知識を有する医師などが医学的な相談や心の悩みについて指導を行うというのが1つでございます。

 2つ目に、不妊について悩む夫婦に対し、診療機関ごとの不妊治療の実施状況などに関する情報提供を行います。

 3つ目に、不妊相談を行う専門相談員の配置をする。

 その他の必要な事項というふうに定められております。

 その意味では、一応、国としてやるべきことはお示ししているのでございますけれども、先ほど来の御議論にございますようにマンパワーの違いでありますとか、あるいは実施機関の違いによって、それぞれの対応能力の違い、あるいは地方自治体のさまざまな予算的なこともあろうかと思いますけれども、いろんな対応の状況になってございますが、これを国としてどういうふうにレベルアップを図っていくかということも、今後検討が必要なものと考えてございます。

 簡単でございますが、以上でございます。

○吉村座長 よくまとまってはいますね。これは92億使われているわけですから、実態のあるものにしていくことは大切なことです。これは地方自治体が考えていかなければならないことだと私は思います。地方にはお金が行っているわけですから。

○鶴田委員 地方自治体を代表する立場で発言したいと思います。予算と対応している人数を割っていくと、例えば週に1回やる場合、週2回やる場合で違いますが、この2万2,000件余を61自治体で割って、週1回なら50で割る、週2回とすれば1日2~3例ぐらいの話なのです。1人当たり厚生労働省全体の予算で割ってもらえばいいと思うのですけれども、1万円か2万円要しているのだろうと思うのです。

 相談の内容については、単発的に答えて、それで終わりとするのではなくて、質問したことに対して回答を、例えばQ&Aという形でまとめて、どこでもそれが見られるような形にする。そうでないと効率的な相談指導にならないのではないかと思います。

 各都道府県での症例数は、静岡県だと年間で大体300400件ぐらいです。そのぐらいを各都道府県が例えばQ&Aにして、各47都道府県のQ&Aを見られるような形はどうでしょうか。

 提供の方法としては、担当者が言うには最近は若い人はスマートフォンなんかを見るので、スマートフォンに入る容量であり、なおかつ、これにアクセスしやすい方法。そういうものがあればいいのではないかという意見がありました。

 先ほど示された冊子というのは非常によくできていると思います。ただ、困っている人はこれを全部読まないといけないということになると難しいので、やはりQ&A形式の何らかのものがあったほうが良いかと思います。幾つかランク分けして、自分は治療だとか、自分は医療機関だというのであれば、それだけにアクセスできるような形もあっていいのかなと思います。

○吉村座長 その点につきましては、前の母子保健課から私たち学会が依頼を受けまして、不育症に関してもQ&Aをつくったのです。不妊症に関してもQ&Aをつくりまして、生殖医学会のホームページから皆さんが見られるようになっています。ですから、そういったものがあることを地方自治体にお知らせすることが大切なのではないかと思います。

 これは母子保健課から依頼され、厚生科学研究で行っており、もうアップされていると思います。不育症と不妊症に関してはある一定の知識は皆さんが得られるように、一般の方々のためにQ&Aができております。ただホームページに載せただけではだめかもしれませんので、私たちもそういう点で皆様方に啓発をしていきたいと思っております。

 ですから、今のは非常に大切な御意見で、こういった事業をしていく場合に形態をこれから変えていくことはすごい大事なことです。センターをつくればいいという構想は、これは結構古いでありまして、こういうものを変えていくことがすごい大事なことだと思います。いかにしてわかってもらうかということのほうが大事だと思います。

 そのほか、見尾委員、どうぞ。

○見尾委員 現場の立場から言わせていただきますけれども、それぞれの施設がそれぞれに自助努力でもってこういう不妊相談的なことはやっているわけです。ほとんどの施設がこういうことをやっているわけで、患者さんからすると、そちらのほうで自己完結してしまう場合もかなりあると私は思っています。

 ですから、そういう意味でこのセンターそのものがある意味形骸化してしまったような状況になっているのではないかということをすごく強く感じますので、ここをどういうふうに考えていくのかということを、少しお考えいただく必要があるのではないかと思います。

○吉村座長 鈴木委員、どうぞ。

○鈴木委員 1つ前の理念といいますか、あちらの話との関連ですが、周知なり広報の段階で事業同士の連携もきちんと考えた上で、皆さんに広報していくことをきちんとしていただきたいと思います。

 助成金に関して知らないという方も以前はいたわけですし、助成金をしていても逆に相談センターがあることを知らない可能性も恐らく十分あると思うのです。今、おくればせながらで大変失礼しましたという感じなのですけれども、全て一応この母子保健医療対策総合のカテゴリの中に入ったものなわけです。このお金の助成にしても。そういったことをむしろちゃんとユーザーにわかるように届けていただけないかなと思いました。先ほどの何でこれがやってくれているんですかということの1つ答えとしてという意味なのですけれども、そうしたことも含めて、特にここで大事なのは生涯を通じたもともと女性の健康支援対策ということで本当は位置づけられていた話だと思いますので、そのあたりもきちんとマップが見えるような形で広報していくのも大事かなと思いました。

○吉村座長 ありがとうございました。

 齊藤委員、どうぞ。

○齊藤委員 この事業が始まったのは随分前ですね。不妊相談センターはかなり以前、平成8年に始まったので、私が田舎の大学にいたころだったのです。そのころ不妊専門相談センターはかなり機能していたと思います。しかし、時代が変わって皆さん言われているように情報の伝達網も変わったので、今回ここでちょうど見直していただいたので、これをいかに生かすかという方向でまとめていって、さらにいいものに、活用できるものに変えていただければいいのではないかと思います。

○吉村座長 石原委員、どうぞ。

○石原委員 私もそう思います。

 当初この事業の始まったときから私は埼玉県で関与しておりましたのですが、とてもいいものができたわけです。ただ、そのころは結局インターネットもありませんし、メールも誰も使えないという事情だったわけですが、この間のITの進展であるとか、さまざまなクリニックで提供される情報量あるいは情報の内容の変化を考えると、当初の使命がなくなったのではないかと思いますので、不妊専門相談センターにつきましては、その意義にして根本的にもう一度考え直して、新たな位置づけ、新たに意味づけをしなければならない時期が来ているのではないかと私は思います。

○吉村座長 大体皆さんの御意見がまとまってきたという感じがいたします。このQ&Aは両方とも非常によくできていると私は思いますし、こういったものをわかっていただければ、一般の不妊の治療を受けるまでの心構えとか検査のこととか、いろんなことはわかるような感じがいたします。そういったものを伝えていくことが今後は必要ですし、この不妊専門相談センターについては、もう一つ新たな方向で出直しをする方向性が大事なのかもしれません。従来のものは余り必要なくなったのかもしれません。現状を把握したことで今回非常によかったのではないかと思います。

 ただ「知っていますか?男性のからだのこと、女性のからだのこと」はなかなかいいものではないかと思うのですけれども、なぜ教科書にこういったものが載らないのかなという感じがするのです。教科書よりはよっぽどいいものができているような感じがいたします。非常にバランスもよくとれているし、昔は、性感染症と避妊しか載っていなかったのです。それも大事なことですけれども、それより大事なことがあるということが、こういった雑誌体を通じてわかるのは非常にいいことだと思います。ぜひとも厚労省からこういったことを文科省に対しても言っていただきたいと思います。

 そのほかよろしいでしょうか。松本委員、どうぞ。

○松本委員 済みません、先ほどの話に1つだけ戻るのですが、一言だけよろしいでしょうか。

 不妊専門相談センターの事業の事業内容の1つ目が、どうしても文章的にひっかかるのですが、不妊について悩む夫婦に対し、専門的知識を有する医師などが医学的な相談や心の悩みについての指導を行うと書かれていらっしゃるのです。医師が心の悩みについて指導を行うことが私はどうもそぐわないですので。

○吉村座長 まさにそのとおりですね。それは間違いないです。

○松本委員 このあたりからがらっと見直していただいて、私は心理職の方をもっと多用していただけると本当にありがたいのかなと思います。

○吉村座長 そのほかはよろしいですか。2番などはいいですかね。これも情報提供を実施するかどうかということについては、さまざまな御議論があると思うのですけれども、この点は後からまたワーキンググループからの判断も出てきますし、あとは3、4はよろしいですね。特に1は問題ですね。今度直すときには変えましょう。それでは、大体よろしいでしょうか。

 論点2の特定治療支援事業の実施医療機関の要件、情報の取り扱いについて、これはワーキンググループの座長である石原先生から御説明を20分ぐらいいただきたいと思います。

○石原委員 お手元の資料「論点2特定治療支援事業の実施医療機関の要件、情報の取扱い」右側に未定稿と書いてある書類をごらんください。

 ワーキンググループではこれまでの議論の中で幾つかのことが話題になったわけでありますが、まずその全体といたしまして、基本的な考え方につきまして1ページのものを読み上げさせていただきます。

 不妊治療の質を高めるとともに、治療を希望する者の視点に立った支援の充実を基本とするが、基準を厳しくし過ぎることにより治療を受ける者の利便性を損なうことのないよう配慮する。

 これは今回、見直しという形になっている部分がございますので、ただ、本来、治療を求める人たちの利便性を最大限確保した上でないと、見直しができない部分があることをまず述べております。

 続きまして、医師、看護師等の専門資格取得を促すことを通じて、不妊治療の質を図る観点から、実施医療機関の人員配置基準で専門資格取得について一定の言及をする。

 これは一方でさまざまなテクノロジーの進歩、先ほど申し上げましたいろいろなコミュニケーションツールの発展などもございますが、そうした中で我が国におけます不妊治療のレベルアップを少しずつ図っていく必要があることは間違いがありません。その中で、その方策の1つとして、専門医資格というものについて今後一定の範囲で確保していく必要があるのではないかという考え方でございます。

 3番目が、人員配置基準において努力義務とした専門資格の取得については、今後の取得状況等を踏まえて、将来的には義務とすることも検討すべきである。これは要するに短期的な目標と中長期的な目標というのは両方見ながら考えていく必要があるということでございます。具体的なことは1ページめくっていただきましたところに実施医療機関の基準というものがございます。この内容について1項目ずつ御説明差し上げますが、人員配置基準の見直しというところであります。

 まず実施責任者と実施医師というのがありますが、従来と同様、下の表にございますように現行と見直し案におきまして、もちろん実施責任者と実施医師を配置する必要があるわけでございますが、要件に一部追加をしてございます。

 ワーキンググループの中では日本生殖医学会認定の生殖医療専門医、これが約500名ほどおりますが、これであることを要件として求めるべきであるという意見もございました。ただ、厚労省の母子保健課の調査では生殖医療専門医のいる病院は54%、診療所は35%であった。また、資格取得者がゼロである県が先日の資料でございましたことを勘案いたしますと、全ての施設に義務づけることは現実的ではありませんし、小規模の施設につきましては一定の配慮が必要だろうということを考えました。

 一方で、治療件数の多い施設におきましては、より高い専門性が当然求められるわけでございますので、先ほど申し上げましたような論点で、我が国の不妊治療の質の向上を牽引すべきリーダーとしての施設におかれましては、生殖医療専門医の配置を義務づける。すなわちそれは1つの基準としては、年間採卵件数が100件以上の施設についてお願いするのがよろしいのではないかということを考えました。

 ただ、これにつきましては、直ちにというのはなかなか難しい部分がございます。現在500人と申し上げましたが、来年以降、今、日本生殖医学会に生殖医療専門医の取得を目指して登録をしている医師というのが年間約7080人程度ということでございますので、3年ぐらいで約200人が新たに確保されて、そうすると500700ぐらいになるのではないかという見通しがございます。その3年間を考えまして、右の5に案の1、案の2と書いてありまして、日本生殖医学会認定専門医がいることという中で、当面「いることが望ましい」として、3年後をめどに義務化について改めて検討するという案が1つ、そして2としては「いること」と義務化するが、3年間の経過措置、いわゆる猶予期間を置く。そうしたことを考えております。

 一方、100未満の施設におきましては、生殖医療専門医がいることが望ましいという形でとどめてよろしいのではないかというのが、ワーキンググループでの提案でございます。

 下の責務につきましては同様でございます。

 3ページ、看護師について御説明を申し上げます。

 実は看護師は患者さんと接する機会か最も多い職種でありまして、極めて重要であります。特にもちろん専属のカウンセラーの方がいらっしゃればよろしいわけですが、これは後に申し上げますようになかなか難しい部分がまだございまして、現実には直接対応されている看護師さんの能力による部分が相当あります。したがいまして、この不妊治療に従事する看護師の質を確保することが極めて重要なわけであります。

 一方、専門資格としては日本看護協会認定の不妊症看護認定看護師と、母性看護専門看護師という資格がございますが、これは残念ながらまだ数が非常に不足しております。これは前回の検討会でも話題に出ておりましたが、不妊症認定看護師のいる病院は26%、診療所10%、母性看護専門看護師がいる病院は8%、診療所は3%に過ぎないという状況でございます。

 したがいまして、これは先ほどの生殖医療の専門医と比べますと、全ての施設に有資格者の配置を義務づけるというのは現実的ではないと言わざるを得ません。ただ、今後の方向性といたしましては、今後、不妊治療における看護師の重要性をより広く認識していただく必要がございますので、全ての施設に不妊治療に専任している者がいることが望ましいという記載を入れることといたしました。

 さらに、年間治療数が500周期以上の施設におきましては、日本看護協会認定の不妊症看護認定看護師または母性看護専門看護師がいることが望ましいということでよろしいのではないかと考えます。

 続きまして、1ページをおめくりください。泌尿器科医師につきましては、従来配置が望ましいとしておりましたが、残念ながら生殖医療あるいは不妊症、アンドロロジーと呼ばれるような部分の御専門にされていらっしゃいます泌尿器科の先生の数というのは少のうございまして、全ての泌尿器科医師ということで考えましても配置されている病院が53%、診療所は15%でございました。したがいまして、配置ということではなく、連携が望ましいという現実的な記載に見直しをする形になってございます。

 一方、胚を取り扱える技術者、これはいわゆる胚培養士でございますが、病院で既に90%、診療所に77%が配置されております。この専門技術者につきましては幾つかの学会で養成が行われておりまして、その数につきましては十分な数が人員として養成されているという現状がございます。したがいまして、この何年かかの経緯を考慮いたしますと、現行は「配置が望ましい」でございますが「配置」をするということで見直してよろしいのではないかと考えます。

 内容といたしまして、ここにございますように「医師又は、いわゆる胚培養士・エンブリオロジスト」という形で生殖補助医療に精通した技術者を置いていただく形に提案させていただこうと思います。

 一方、先ほどカウンセラーのことにつきまして少し申し上げましたが、コーディネーターとカウンセラーということにつきまして、次のページに書いてございます。コーディネーターはここにございますように、看護師の要件を見直したことで一定の専門性は確保されると考えられることなどから、今回見直しは行わないこととしております。

 カウンセラーにつきましては先日来、議論がございましたように、心理カウンセリングと遺伝カウンセリングが現行の基準では混同されている部分があるという御指摘に応えまして、見直し案につきましてはここにございますように「心理学・社会学等に深い造詣を有し、臨床における心理カウンセリング等の経験を持ち、患者(夫婦)を不妊カウンセリングの側面から支援できる技術を持つ者」といたしました。そして、さらに「患者(夫婦)が希望する場合には、遺伝カウンセリングが受けられるよう、必要な連携体制を確保していることが望ましい」という見直しをいたしまして、配置につきましては「望ましい」というままにしております。

 1枚おめくりいただきまして、ここからは施設内の委員会についてでございます。倫理委員会と安全管理委員会についての記載がございますが、倫理委員会につきましては日本産婦人科学会の基準が変わっております。その中にありますヒト精子、卵子、受精卵を取り扱う研究を実施する施設、非配偶者間人工授精を実施する施設については、倫理委員会を設置することとなっておりますので、こちらにつきましても見直し案、これはこうした研究や非配偶者間人工授精をやらない施設におきましては義務づけられていないことから「設置することが望ましい」というままにしてございます。

 その内容につきましては、日本産科婦人科学会の基準に準じて4項目の記載をそのまま採用しております。

 倫理委員会は中立を保つため委員構成に配慮が必要であり、中立的な外部委員を複数入れることが望ましい。

 倫理委員会委員長を施設責任者・実施責任者が兼ねてはならない。

 施設申請に際しては、倫理委員会の審査記録を添付すること。ただし、新記録には審議議題と結果並びに審査者氏名を含むこと。

 自医療機関で十分な人員が確保できない場合には、他の医療機関・大学等に設置されている、上記会告に準じた倫理委員会に審査を委託してもよいこととする。

 これはこのまま会告のものを移しておりますので、文言については修正する必要があるかと存じます。

 安全管理委員会につきましては、こちらも非常に重要でございまして、産科婦人科学会におきまして詳細な内容につきまして基準が改定されておりますので、こちらも同様の見直しをする必要があるかと思います。そして、こちらの見直し案におきましては「設置すること」という記載といたしまして、ここにございますような5項目、医療に係る安全管理のための指針を整備し、医療機関内に掲げること。

 医療に係る安全管理のための委員会を設置し、安全管理の現状を把握すること。

 医療に係る安全管理のための職員研修を定期的に実施すること。

 医療機関内における事故報告等の医療に係る安全の確保を目的とした改善のための方策を講ずること。

 5として特にダブルチェックのことに言及しまして、体外での配偶子・受精卵の操作に当たっては、安全確保の観点から必ずダブルチェックを行う体制を構築すること。なお、ダブルチェックは実施責任者の監督下に、医師・看護師・いわゆる胚培養士・エンブリオロジストのいずれかの職種の職員2名以上で行う必要があるといたしました。

 最後に8ページでございますが、実施医療機関の情報の取り扱いでございます。こちらも先ほど議論がございましたように、さまざまなインターネット環境の変化などによりまして、情報の取り扱いについてかなり厳密に、そして慎重な取扱いが必要な部分があると思いますが、少なくともこの実施医療機関に関する情報を正確に、客観的に提供することが、先ほど来の議論でございますように不妊治療を受けることを希望する者の医療機関の選択に非常に大きな意味を持ちます。

 したがいまして、正確性・客観性を担保できる情報については、まずは各医療機関が「医療機関ホームページガイドライン」に沿って、ホームページ等により自主的に公表していくことが望ましいと考えられる。また、情報の正確性、客観性が確保されることを前提として、実施医療機関に関する情報を必要とする人たちが広く把握できる方策について、厚生労働省において検討すべきと考えられる。これにつきましては、ここにありますような費用であるとか、治療機関、回数が具体的な情報として挙げられるかと思います。

 一方、治療成績の話になってまいりますと、正確性とか客観性というのがかなり問題がある可能性があります。十分な検討が必要と考えられる情報につきましては、積極的に公表する方向で検討すべきという意見がございますが、一方でまず見尾さんから婦人科学会党での取り組みを注視して慎重に検討すべきであるという意見がありました。これはこんなにすばらしい成績をあげているよということが、検証のないまま一方的にホームページ等に掲げられることについてどう考えるかという、そういうお話でございます。

 いずれにいたしましても、こうした情報につきましては日本産科婦人科学会等関連する学会と、十分に調整していく必要があるということでございます。

 以上、簡単でございますが、内容について御報告させていただきました。

○吉村座長 非常に多岐にわたり検討していただきまして、2のたたき台ができたという感じがいたしますが、きょうお休みの今村委員から御意見が提出されておりますので、事務局から簡単に御説明いただけますでしょうか。

○内山課長補佐 お手元の一番最後に今村先生の資料をつけておりますので、ごらんください。

 特定治療支援事業の実施医療機関の要件、情報の取扱いについて

 1.人員配置基準について

  ➣ p2に示す日本生殖医学会認定生殖医療専門医の配置については、現行の専門医数等を勘案すれば、年間採卵件数が100件以上の施設においても現時点でこれを義務化することは適切ではなく、「案の1」のように努力義務として3年後に改めて検討するのが適当と思われる。

  ➣3の不妊症看護認定看護師、母性看護専門看護師については、現状の配置率を考慮すれば、努力義務とは言え配置に言及することは適切ではないと考える。各施設における看護師の実地教育等による技量のレベルアップが現実的な対応ではないか。

 2.実地医療機関の情報の取扱いについて

  ➣8の実施医療機関に関する情報の提供の重要性については理解するものであるが、これらの対応は、母体保護法に基づく指定施設等、他の制度にも波及する可能性があり、情報の公開には慎重な対応が求められる。また、具体例として治療成績等について記載されているが、対象者の年齢などの条件により治療結果は大きく左右されるものであり、客観的な指標とし得るものか疑問である。

 以上でございますが、もう一つ、その1つ手前に参考資料4ということで、ワーキンググループの報告書について御議論いただくために、参考になりそうな資料を事務局で添付いたしましたので、これについてもあわせてごらんいただければと思います。

 以上です。

○吉村座長 ありがとうございました。

 ワーキンググループからたたき台が出ましたけれども、次回、恐らくこれが中心となって検討されると思いますが、今、御意見があれば10分ぐらいで。

○見尾委員 すばらしい見直しをされていると思うのですけれども、我々も厳しい実施規定を設けて、実際に施設審査を行っておりますが、いつも問題になるのは7ページにありますダブルチェックの点でございます。

 これは実際に2人あるいはそれ以上の人がチェックをするというふうにここはなっていますし、従来我々もそうしていましたけれども、今はデジタルデバイスといいますか、バーコードリーダーでありますとか、インターネットでもって自宅にいながら画面に名前を映したりとか、IDを映したりとか、そういう先端的な方法も出てきておりまして、特に休日、夜間が2人体制になっている施設というのは、非常に少ないのではないかと思いますので、ここも職員2名以上でという、この項目に関しては何か別の表記をしていただいたほうが、より実際的なのではないかと思いました。

○吉村座長 今のように具体的な項目を挙げていただけるとありがたいです。これは次回の検討課題にします。

 そのほかございますか。

○鶴田委員 基本的考え方のところで、大きくは変わらないのですが、2で不妊治療の質の向上を図ることを目的にして、そのために促すとあります。この順番を反対にしたほうがいいのかなと思いました。この会議においては専門医資格取得を促すことを促進するという観点で記載する。目的は質の向上のために会議でもこういう専門医の取得を促すんだという方針を示すという意味で、通じてというよりは、それを促進するという意味で、てにをはに近い話ですけれども、検討してもらえばと思います。

 あと2つあります。字句については後で修正されるということでしたが、6ページの左上に会告についてのことが書いてあります。だから、その会告についてが上に来るという理解でいいわけですね。この1~4の上にまず会告に準ずる。その中で1~4が来るという理解でいいですね。

○吉村座長 これはそれでよろしいですか。

○石原委員 よろしいと思います。

○鶴田委員 7ページの、先ほどの質問と一緒なのですが、実施責任者の監督下にいずれかの職員2人以上という意味は、3人以上という意味ですか。それとも2人以上という意味ですか。

○石原委員 これは2人という意味ですが、これだと3人と読めてしまいますか。

○鶴田委員 監督下にということは、誰かが監督して、誰かが2人以上と、日本語の読み方かもしれませんけれども、そこは後で字句の検討をして頂ければと思います。

○吉村座長 具体的には2人なのです。ですから実施責任者が責任を持つということの意味で書いてあると思うのです。日本産科婦人科学会のほうは。誤解を招くならそれを変えましょう。

 鈴木委員、どうぞ。

○鈴木委員 質問ですが、4ページの胚培養士の件が見直しで「医師又は、いわゆる胚培養士・エンブリオロジスト」となったのですけれども、胚培養士さんの言い方がいわゆるでいいのかどうか、その辺がわからないなということと、それから、結局これはドクターが1人いればとりあえずいいということになってしまうのかなということの意味合いの確認。

 それから、これは希望というか意見ですが、3ページのナース、看護師さんたちの配置について、今村先生から別の御意見が出てきていますけれども、患者の立場からとしては、むしろこれはぜひ絶対入れておいてほしいと思います。

 これまでそういう意味で長い期間、心理的なケアという意味でいろんなケアになってきたのは、やはり看護師さんたちですので、そこはもっとむしろ大事にしていただきたい。私としてもこれからも頼りにしたいなと思っています。

 この文面なのですけれども、不妊治療に専任している者がいることというのはどういうニュアンスなのか。私には次のほうがむしろはっきりしていてわかりやすいのです。

 それから、今まで例えば体外受精コーディネーター、不妊カウンセラーみたいな言い方がたしかあったような記憶があるのですが、これらはなくしてしまっていいのかどうか。それは検討していただければと思います。

○吉村座長 石原先生、今のことで答えられることがあましたら。

○石原委員 順番にまいりますが、まず胚培養士・エンブリオロジストというところにいわゆるがついているのは、これは国家資格として認められたものがないので「いわゆる」を入れざるを得ないということを指摘されました。そのために入っております。

 不妊治療に専任している者がいることが望ましいという、これはたしか2回ぐらい文言が変わって、もとは何だったか今は忘れてしまいましたが、適切な表現といたしましてはどのようにするのがよろしいでしょうか。もし御意見があれば。

○鈴木委員 というか、要するに何を指しているのでしょうか。

○村上委員 この専任しているというのは、上のほうの注に書いてあるのですけれども、半分程度が不妊治療に従事していることになっているので、できればこの後の看護師は安全のところでダブルチェックのメンバーとかにも加わることになりますし、半分以上というよりも、専ら専門している、それに精通している者がいるということでは、専従している者がいることが望ましいのではないかと思います。

 もう一つは、そこに専任あるいは専従していても、専門の知識を持つナースは内診介助をしたり、注射をしたり、自己注射の指導をしたりとか、そういった業務を兼任しないといけないので、生殖医療というのは御夫婦の自己決定が尊重されることがとても大切なものなので、5のいわゆるコーディネーターという患者の自己決定を支援するという側面から、情報提供を行ったり相談活動をするという専従のスタッフがいることが、さらに私としては望ましいと思いますので、できれば今回は5には余り検討はされていないということだったのですけれども、ぜひここを配置というふうにしていただきたいというのが希望ではあります。

2013年6月現在で、日本不妊カウンセリング学会の体外受精コーディネーターは415名、生殖医療相談士、日本生殖医療心理カウンセリングを養成しているところが183名で、約600名近い認定を受けている人がおられますので、少なくとも100件以上の採卵件数のある施設は、こういった自己決定を支援するという立場のスタッフを置いていただきたいと思いますし、さらに質を担保するという意味では採卵件数が500件以上の施設には、日本生殖医学会が認定する生殖医療コーディネーターを置いていただきたいということを希望したいと思います。

○吉村座長 多分、事務局は変えてくださっていますね。次回その点について話し合いしますので、項目だけでもきょう言っていただけるとありがたいのですが。

○森委員 コーディネーターに関しては「いわゆる」となっていますけれども、2つの学会の認定がありまして、コーディネーターの教育を受けるための基礎資格、教育期間ですとか教育の内容等が不妊症看護認定看護師であることを基礎資格要件とするものと、そうでない、基礎資格の定めがなく、教育の期間および内容も異なる両方のコーディネーターが混在しているという事情がありますので、これを配置にしてしまうと認定看護師でなくてもいいのではないかというようなところともぶつかってくるので、難しいと私自身は考えています。

○吉村座長 その辺の具体的な問題点について、我々はわかりにくいところがありますので、次回にそういった点をすっきりとさせたいと思います。それぞれの立場の方々におかれましては、要するにコーディネーターがどういったスタンスにあるのかというようなことを次回、御説明していただけるとよいかなと思います。

 そのほかございますか。

○小崎委員 6のいわゆるカウンセラーのところで、今回見直し案で遺伝カウンセリングが受けられるよう、必要な連携体制を確保していることが望ましいといったものが見直し案では記されているのですが、そこをもう少し具体的なところで、遺伝カウンセリングが受けられる臨床遺伝専門医、認定遺伝カウンセラーというものがありますので、そういったところまで記載していただければと思います。

○吉村座長 これは恐らく産婦人科でも100名以上いるかなと思っておりますけれども、この点につきましても検討することにします。

 そのほかありますか。

○村上委員 安全管理のところなのですが、生殖医療の中で起こる医療事故を防いでいくには、情報共有というのがすごく大事になってくると思いますので、今、情報共有としてはヒヤリハット、アクシデントとかインシデントのレベルは日本医療機能評価機構に報告をして、それを知るという形になっておりますが、ほかの課の者もたくさんその中に入ってきておりまして、生殖医療の事案を知るというのはかなり難しいので、できれば生殖医療に特化した、少なくとも患者に被害がいったインシデントに関しては、報告を義務化してART登録施設全体で情報共有するところを加えていただければと思います。

○吉村座長 平山委員、どうぞ。

○平山委員 情報のところと全体と関連するところなのですけれども、先ほどの説明だと、人員がそろっていないところでも、患者の利便性を考えると排除はできないという論理でしたね。とするならば、それで当事者はそれでいいのかと思うのです。ということは、つまり何が言いたいかというと、情報の公開というときにどういう人員が何人いるのかも公表すべきではないかと私は思います。

○吉村座長 それでは、時間がまいりましたので、きょうは問題を提起していただいたということで、またワーキンググループが開かれると思いますけれども、きょうの苛原先生の御意見を踏まえて、ワーキンググループのほうで意見を交換していただきたいと思います。

 また、きょう挙がったことに関しましても、もし検討ができたらお願いしたいと思います。

 それでは、次回以降の日程について、事務局から御説明をお願いします。

○渡利課長補佐 次回の検討会の日程につきましては、追って連絡させていただきたいと考えております。よろしくお願いします。

○吉村座長 それでは、本日の検討会をこれで閉会といたします。どうも活発な御討論ありがとうございました。また次回もよろしくお願いいたします。ありがとうございました。


(了)
<照会先>

雇用均等・児童家庭局母子保健課母子保健係

電話: 03-5253-1111(内7938)

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