ホーム> 政策について> 審議会・研究会等> 社会保障審議会(介護保険部会)> 第46回社会保障審議会介護保険部会 議事録(2013年8月28日)




2013年8月28日 第46回社会保障審議会介護保険部会 議事録

老健局総務課

○日時

平成25年8月28日(水)9:00~12:11


○場所

東海大学校友会館「阿蘇・朝日の間」


○出席者

山崎、伊藤、井上、岩村、内田、大西、岡、勝田、河原、
久保田、黒岩(代理:小島参考人)、小林、齋藤(訓)、齊藤(秀)、 齊藤(正)、鷲見、
高杉、内藤、林、藤原(代理:河村参考人)、布施、桝田、山本、結城 の各委員
(土居、本間 各委員は欠席)

○議題

1 社会保障制度改革国民会議報告書、法制上の措置の骨子について

2 地域包括ケアシステムの構築に向けて
  ○1 地域包括ケアシステムの構築について
  ○2 介護保険事業計画について
  ○3 在宅医療・介護連携について
  ○4 地域ケア会議について
  ○5 ケアマネジメントについて

○議事

 

○吉田企画官 定刻となりましたので、ただいまから第 46 回「社会保障審議会介護保険部会」を開催いたします。

 委員の皆様方におかれましては、大変お忙しいところお集まりいただきまして、まことにありがとうございます。

 河村参考人におかれては、若干おくれるという連絡が入っております。

 まず、前回の会議から委員の御異動がありましたので、新任の委員を御紹介いたします。

日本介護福祉士会副会長の内田千惠子委員でございます。

○内田委員 内田でございます。よろしくお願いいたします。

○吉田企画官 日本介護支援専門員協会会長の鷲見よしみ委員でございます。

○鷲見委員 鷲見でございます。よろしくお願いいたします。

○吉田企画官 また、事務局でも異動がありましたので御紹介いたします。

大臣官房審議官の有岡です。

○有岡審議官 有岡でございます。よろしくお願いいたします。

○吉田企画官 総務課長の高橋です。

○高橋総務課長 総務課長の高橋でございます。介護保険計画課長からの引き続きでございますので、よろしくお願い申し上げます。

○吉田企画官 介護保険計画課長の榎本です。

○榎本介護保険計画課長 榎本でございます。どうぞよろしくお願いいたします。

○吉田企画官 高齢者支援課長の高橋です。

○高橋高齢者支援課長 高橋でございます。どうぞよろしくお願いいたします。

○吉田企画官 私は企画官の吉田です。よろしくお願いします。

それでは、カメラ撮影はこれで終わりにしたいと思います。

(カメラ退室)

○吉田企画官 それでは、山崎部会長に議事進行をお願いいたします。

○山崎部会長 まず、議事に入る前に委員の出席状況を確認いたします。

本日は、黒岩委員、土居委員、藤原委員、本間委員が御欠席でございます。

黒岩委員の代理として小島参考人、藤原委員の代理として河村参考人が御出席でございますので、お認めいただければと思いますが、いかがでしょうか。

(「はい」と声あり)

○山崎部会長 それでは、議事に入りたいと思います。

まず、事務局より資料の説明をお願いいたします。

○高橋総務課長 総務課長の高橋でございます。

本日、幾つか資料を用意しておりますので、通しで一括して御説明をさせていただきます。

まず、議事次第の次にございます資料1「社会保障制度改革国民会議の報告書(概要)」をごらんいただきたいと思います。

ことしの8月6日、社会保障制度改革国民会議の報告書が取りまとめられました。国民会議は、皆様御存じのように、昨年の社会保障制度改革推進法に基づきまして設置された国民会議でございまして、社会保障全体の改革についての議論がされたということでございます。

今後、この国民会議の報告書を踏まえまして、また後ほど出てまいります「法制上の措置」の骨子というのも閣議決定しておりますが、このようなものに基づきまして、具体的なものは当介護保険部会で御議論をいただきたいと思ってございます。

それでは、資料1の「第1部 社会保障制度改革の全体像」というところでございます。

1が「国民会議の使命」となっております。

2 社会保障制度改革推進法の基本的な考え方

(1)自助・共助・公助の最適な組合せ

○ 日本の社会保障は、「自助を基本としつつ、自助の共同化としての共助(=社会保険制度)が自助を支え、自助・共助で対応できない場合に公的扶助等の公助が補完する仕組み」が基本。

(2)社会保障の機能の充実と給付の重点化・効率化、負担の増大の抑制

○ 社会保障の安定財源の確保と機能の充実の必要性や経済成長を上回る給付費の伸びを踏まえれば、国民負担の増加は不可避。国民負担について納得を得るためには、同様の政策効果を最小の費用で実施できるよう、同時に徹底した給付の重点化、効率化が必要。

○ 現在の世代に必要な給付は、現在の世代で賄うことが必要であり、「自助努力を支えることにより、公的制度への依存を減らす」、「負担可能な者は応分の負担を行う」ことにより、将来の社会を支える世代の負担が過大にならないようにすることが必要。

(3)社会保険方式の意義、税と社会保険料の役割分担

○ 日本の社会保障は、社会保険方式が基本。その上で、負担能力に応じた保険料や免除制度などにより、無職者等を含めたすべての者が加入できるように工夫した仕組み。

等々となっております。

ページをおめくりいただきます。

(4)給付と負担の両面にわたる世代間の公平

○ すべての世代に安心感と納得感の得られる全世代型の社会保障に転換することを目指す。

○ 将来世代への負担の先送りを速やかに解消して、将来の世代の負担ができるだけ少なくなるようにすることが必要。

3 社会保障制度改革の方向性

(1)「1970年代モデル」から「21世紀(2025年)日本モデル」へ

(2)はその内容でございます。

○ 「21世紀日本モデル」の社会保障は、すべての世代を給付やサービスの対象とし、すべてが年齢ではなく、負担能力に応じて負担し、支え合う仕組み。

となっております。

若干飛びまして、次のページです。

(8)成熟社会の構築へのチャレンジ

○ 人口構成の変化や高齢化等をネガティブに考えるのではなく、様々な課題に正面から向き合い、一つ一つ解決を図っていくことを通じて、世界の先頭を歩む高齢化最先進国として、「成熟社会の構築」へチャレンジすべき。

4 社会保障制度改革の道筋

○ 短期と中長期に分けて実現すべきである。

○1 短期:今般の一体改革による消費税の増収が段階的に生じる期間内に集中的に実施すべき改革。

○2 中長期:いわゆる団塊の世代がすべて75歳以上となる2025年を念頭において段階的に実施すべき改革。

このようにされております。

 次のページから「第2部 社会保障4分野の改革」ということで逐次まとめられております。

 ローマ数字1が「少子化対策分野の改革」ということで、省略します。

 もう一枚おめくりいただきまして、6ページでございます。

ローマ数字2 医療・介護分野の改革

 今回の報告書では、医療・介護分野ということで、医療と介護を一体的に記述されております。したがいまして、医療のところにもかなり「介護」というのを書いておりますので、ごらんいただきたいわけでございます。

 6ページの下のほうです。

(1)改革が求められる背景

○ 高齢化の進展により、疾病構造の変化を通じ、必要とされる医療の内容は、「病院完結型」から、地域全体で治し、支える「地域完結型」に変わらざるを得ない。

その次の○で「そのために、医療・介護サービスの提供体制改革の実現が課題である」。

 次のページです。

(2)医療問題の日本的特徴

(3)改革の方向性

この中の4番目の○です。

○ 急性期医療を中心に人的・物的資源を集中投入し、早期の家庭復帰・社会復帰を実現するとともに、受け皿となる地域の病床や在宅医療・介護を充実。川上から川下までの提供者間のネットワーク化は必要不可欠。

というふうになっております。

次のページです。

2 医療・介護サービスの提供体制改革

(1)(2)(3)と医療の部分がございます。

(3)のところには「医療法人制度・社会福祉法人制度の見直し」という記載もございます。

(4)医療と介護の連携と地域包括ケアシステムというネットワークの構築

○ 「医療から介護へ」、「病院・施設から地域・在宅へ」の観点から、医療の見直しと介護の見直しは一体となって行う必要。

○ 地域包括ケアシステムづくりを推進していく必要があり、平成27年度からの介護保険事業計画を「地域包括ケア計画」と位置づけ。

○ 地域支援事業について、在宅医療・介護連携の推進、生活支援サービスの充実等を行いつつ、新たな効率的な事業として再構築。要支援者に対する介護予防給付について、市町村が地域の実情に応じ、住民主体の取組等を積極的に活用し、柔軟かつ効率的にサービスを提供できるよう、受け皿を確保しながら、段階的に新たな事業に移行。

とされております。

これにつきましては、次回9月4日の議題としまして詳細な御議論をいただきたいと思っておりますが、介護予防給付につきまして、地域支援事業に段階的に移行していくという提案がされているわけでございますけれども、地域支援事業というのは介護保険制度の中の制度でございますので、給付を事業にというふうに仕組みを変える、こういう御議論と承知しております。あくまでも介護保険制度の中のサービスということで、財源構成も変わらないものになるということでございまして、次回の部会で詳細な説明を申し上げたいと思っております。

(5)医療・介護サービスの提供体制改革の推進のための財政支援

○ 医療・介護サービスの提供体制改革の推進のために必要な財源については消費税増収分の活用が検討されるべき。

○ 消費税増収分は、具体的には、病院・病床機能の分化・連携への支援、急性期医療を中心とする人物・物的資源の集中投入、在宅医療・在宅介護の推進、更には地域包括ケアシステムの構築に向けた医療と介護の連携、生活支援・介護予防の基盤整備、認知症施策、人材確保などに活用。

となっております。

消費税につきましては、5%のうち4%分は社会保障制度の安定的な運営のために、1%分が充実のために、こういう整理がされておりますけれども、充実分につきまして、このような記載がされておりまして、介護につきましては、「更には地域包括ケアシステムの構築に向けた医療と介護の連携、生活支援・介護予防の基盤整備、認知症施策、人材確保などに活用」、このような記載がされています。

 この具体化が検討課題でございまして、このあたりにつきましては、本日と9月4日の介護保険部会の議題として詳細を御議論いただけるように資料を用意しております。

 主に地域支援事業の充実などによります医療・介護連携とか、生活支援・介護予防の基盤整備とか、認知症施策。

 一方、人材確保につきましては、主に介護報酬の改定の議論に財源的にはなるというものでございまして、それは介護人材の賃金水準の問題でございますとか、そういう論点になっていこうかと思っております。

 そのほか、3つ目ので「診療報酬・介護報酬の体系的見直し」という記述。

 4つ目の○で、全国一律に設定される診療報酬・介護報酬とは別の財政支援の方法として基金方式という提案もされています。

これにつきましては、どのようなものができるかというのは、医療サイドの医政局とともに検討中でございまして、まだ具体案をお出しできる状況にはございませんけれども、そのような提案がされてございます。

 そして、次のところ「介護サービスの充実なども対象とする柔軟なものとする必要」という記述がございます。

 その後、「(6)医療の在り方」ということで、医療関係がしばらく続きます。

11 ページ「4 介護保険制度改革」でございます。

○ 一定以上の所得のある利用者の負担は引き上げるべき。

一定以上の所得とはどのくらいかということにつきましては、今後の部会で具体案を提案しながら、御議論を賜れればと思っております。9月25日を予定しております。

○ 食費や居住費についての補足給付の支給には資産を勘案すべき。

○ 特養は中重度者に重点化を図るとともに、デイサービスは重度化予防に効果がある給付への重点化を図るべき。

○ 低所得者の1号保険料について、軽減措置を拡充すべき。

となっております。

上の3つは重点化項目。

4つ目の低所得者の1号保険料の軽減措置については、保険料水準がだんだん上がってまいりますので、低所得者の部分の上昇を抑制して軽減すべきである。これを別枠の公費で行うべきである。これも消費税の充実分の経費の議論になってこようかと思いますけれども、充実分の記載がされておるというものでございます。

その次のは「介護納付金について、負担の公平化の観点から、総報酬額に応じたものとすべきだが、後期高齢者支援金の状況も踏まえつつ検討」となってございます。

介護納付金の第2号保険料でお願いしている分につきましての総報酬割の議論がございますが、これは医療のほうの議論がございまして、医療のほうは10ページの3の(1)の2つ目のに出ています。「後期高齢者支援金に対する負担方法を全面総報酬割にする」といった議論もされておりまして、これが27年度に向けた議論になるということでございまして、その状況を踏まえつつ、介護納付金につきましての議論をする。

そうなりますと、今回改正ですぐという議論になかなかなりにくいということかと思います。これにつきましても、部会で10月2日に御議論いただけるように資料等を用意したいと思っております。

 そのほか、「引き続き、介護サービスの効率化・重点化に取り組む必要がある」という記載でございます。

 これが概要でございます。

次に、資料2「社会保障制度改革推進法第4条の規定に基づく『法制上の措置』の骨子について」でございます。

これは先般8月21日に閣議決定をしたものでございまして、社会保障制度改革推進法、昨年の8月10日成立、8月22日施行の法律でございまして、この改革推進法第4条におきまして、「政府は、社会保障制度改革のために必要な法制上の措置については、推進法の施行後一年以内に、社会保障制度改革国民会議における審議の結果等を踏まえて講ずるものとする」、こういうふうになっております。

「法制上の措置」ということでありますが、現在国会が閉会中でございますので、「法制上の措置」の骨子ということで、推進法の期限に間に合うように閣議決定をしたというものでございます。

中身をごらんいただきますと、頭書きがございまして、下のほうのパラグラフで、「政府は、本骨子に基づき、社会保障制度改革推進法第4条の規定に基づく『法制上の措置』として、社会保障制度改革の全体像及び進め方を明らかにする法律案を速やかに策定し、次期国会冒頭に提出する」となっておりまして、いわばプログラム法のようなものでございますが、次期国会、臨時国会になろうかと思いますが、その冒頭に提出するということとされております。

 一 講ずべき社会保障制度改革の措置等

 人口の高齢化が急速に進展する中で、活力ある社会を実現するためにも、健康寿命の延伸により長寿を実現することが重要である。このため、以下の社会保障制度改革を推進する。

となってございます。

 具体的には2ページ以降、「1.少子化対策」とありまして、「2.医療制度」とございます。

「医療制度」の(3)の中に「地域包括ケアシステム(医療、介護、住まい、予防、生活支援サービスが身近な地域で包括的に確保される体制)」という定義がございます。

介護につきましては、5ページの「3.介護保険制度」というところでございます。

(1)個人の選択を尊重しつつ、介護予防など自助努力を行うインセンティブを持てる仕組みの検討など、個人の主体的な取組を奨励する。

(2)が、制度改革の部分でございます。

(2)低所得者を始めとする国民の保険料に係る負担の増大の抑制を図るとともに、給付範囲の適正化等による介護サービスの効率化及び重点化を図りつつ、地域包括ケアシステムの構築を通じて必要な介護サービスを確保する観点から、次に掲げる事項その他介護報酬に係る適切な対応の在り方等について検討を加え、その結果に基づいて必要な措置を講ずる

  ○1 地域包括ケアシステムの構築に向けた地域支援事業の見直しによる次に掲げる措置

 イ 在宅医療及び在宅介護の連携の強化

ロ 高齢者の生活支援及び介護予防に関する基盤整備

ハ 認知症に係る施策

ということで、3つの点の充実事項、医療・介護連携、生活支援・介護予防、認知症施策という充実のポイント、地域支援事業の見直しによる措置というのを掲げてございます。

 ○2 地域支援事業の見直しと併せた地域の実情に応じた要支援者への支援の見直し

 表現は幅広く書いておりまして、具体的には、次回御議論いただきます介護予防給付の地域支援事業の段階的移行等の論点がここに含まれると考えております。

○3 一定以上の所得を有する者の利用者負担の見直し

○4 いわゆる補足給付の支給の要件に資産を勘案する等の見直し

○5 特別養護老人ホームに係る施設介護サービス費の支給対象の見直し

これは中重度者への重点化といった点を踏まえている表現でございます。

○6 低所得の第一号被保険者の介護保険料の負担軽減

ということでございまして、充実項目と重点化項目というものを取りまぜておるわけでございます。

 (2)の柱書のところでございますが、この骨子は、これらについて検討を加え、その結果に基づいて必要な措置を講ずるというふうになっておるものでございます。

 (3)第6期介護保険事業計画が平成27年度から始まることを踏まえ、(2)に掲げる必要な措置を平成27年度を目途に講ずる。このために必要な法律案を平成26年通常国会に提出することを目指す。

となっておりまして、当部会で具体的な議論をお願いしたいと思っております。

 次のページでございます。

(4)(2)に併せて、後期高齢者支援金の全てを総報酬割とする措置に係る検討状況等を踏まえ、介護納付金の算定の方法を被用者保険者については総報酬割とする措置について検討を加え、その結果に基づいて必要な措置を講ずる。

という中長期的な論点が掲載されてございます。

 以上が「法制上の措置」の骨子でございます。

 続きまして、資料3です。

 これらの国民会議の報告を踏まえまして、「法制上の措置」の骨子に基づいて、具体的な内容を部会で御議論いただきたいのですけれども、本日は、そのうち「地域包括ケアシステムの構築に向けて」ということで、資料3の表紙にありますように、「地域包括ケアシステムの構築について」「介護保険事業計画について」「在宅介護・医療連携について」「地域ケア会議について」「ケアマネジメントについて」という資料を用意してございます。

 表紙をおめくりいただきます。

この資料の構造は、それぞれの項目について、現状と課題、論点、対応する国民会議の報告書、それらの論点に係る資料、こういう構成で編集をしてございます。

 1ページの「現状と課題」の2つ目の○、「団塊の世代が75歳以上となる2025年に、各地域で、それぞれの地域の実情にあった地域包括ケアシステムの構築を目指す必要がある」ということで、平成24年に4月に施行された介護保険法改正で「地域包括ケア」に係る規定の創設、法律上の規定を設けました。

また、24時間対応の定期巡回・随時対応サービスとか、複合型サービスとか、地域包括ケアのための必要な新サービスの導入を図ったわけでございます。

 また、日常生活圏域ニーズ調査とか地域ケア会議の実施、医療・介護情報の「見える化」等を推進しておりますし、「認知症施策推進5カ年計画」も策定して推進をしているところでございます。

 「論点」のところは概括的に書いてございますけれども、「地域包括ケアシステムの構築・推進に向け、中長期的な視点に立った事業計画の策定、在宅医療・介護の連携の強化、地域ケア会議の推進、ケアマネジメントの見直し、総合的な認知症施策の推進、生活支援・介護予防の基盤整備等が必要ではないか」としてございます。

 このうち、認知症施策につきましては次回の部会で資料等をお出ししたいと思っております。

 2ページからそれに該当する国民会議の本文の記載でございます。説明は省略します。

 5ページは、「地域包括ケアシステム」ということで、いつもの図でございます。

6ページは、24年の改正で入りました「地域包括ケア」に係る理念規定、第5条第3項でございます。

7ページは、「市町村における地域包括ケアシステム構築のプロセス(概念図)」ということで、2025年に向けてどのように地域包括ケアシステムを進めていくかということでございます。

左から、日常生活圏域ニーズ調査とか、地域ケア会議、あるいは医療・介護情報の「見える化」、こういうものによりまして地域の課題の把握と社会資源の発掘を進めていく。

その上で、地域の関係者による対応策の検討。介護保険事業計画は3年ごとの策定プロセスがありますけれども、住民参加のもとに、住民会議、いろんなセミナー、パブリックコメント等をやりまして、各市町村において地域の関係者参加のもとに対応策を検討する。

また、地域ケア会議で日ごろから課題の把握・抽出等を行いまして、それを反映するというもの。

 その上で、対応策の決定・実行ということで、介護サービス、医療・介護連携、住まい、生活支援、人材育成等を進めていくということでございます。

 介護保険では3年ごとのサイクル、PDCAサイクルを推進して、より一層介護サービスの充実を図っていくということでございます。2025年までこのサイクルがあと数回回転できる時間があるわけでございまして、その推進が重要だと考えております。

 次の8ページでございます。

そのためにも医療・介護関連情報の「見える化」ということです。これは来年度予算でも予算を要求しておりますが、各地域の状況を比較できるようなもの、わかりやすいチャート図などで提示できるようなシステムをつくってまいりたいと思っております。

次のページは「在宅医療・介護の推進について」ということで、これまで医療・介護連携、在宅医療推進のための取り組みを進めておりました。

下のほうにありますが、24年度、25年度の在宅医療・介護の推進、それから医療サイドでも医療法の改正などを検討しております。

前回24年度の同時改定では、在宅医療・介護を重点的に評価するということを行っておりますし、省内にもプロジェクトチームを設置して推進しているところでございます。

次のページは「医療・介護機能の再編」ということで、一体改革関係での図でございます。

11ページからは「2.介護保険事業計画について」でございます。

○ 平成24年度からの第5期の介護保険事業計画では、以下のような新しい取組を開始している。

○1 日常生活圏域ニーズ調査の実施による地域の課題・ニーズの的確な把握。

○2 地域の実情を踏まえ、認知症支援策の充実、医療との連携、高齢者の居住に係る施策との連携、見守りや配食などの多様な生活支援サービスといった地域包括ケアシステムの実現に必要な要素の記載。

24年度の計画からもこれらの地域包括ケアの重点記載事項を記載していくということで、各自治体に取り組みをお願いいたしました。

 かなりの記載はしていただいているのですけれども、これはまだまだ不十分でございます。スタートしたばかりでございまして、これをもっと充実していく必要があるという課題意識でございます。

 「論点」のところでございます。

○ 平成27年度からの第6期事業計画以後の介護保険事業計画は、団塊の世代が75歳以上となる2025年に向け、「地域包括ケア計画」として、第5期で取組を開始した地域包括ケアシステム構築のための取組を承継発展させるとともに、在宅医療介護連携等の取組を本格化していくべきではないか。

 法律上の名称は「介護保険事業計画」のままだと考えておりますが、これを名実ともに地域包括ケア計画にふさわしい内容に充実させて、そのように通称で呼べるようなものにしていく。こういう論点と考えております。

○ 2025年を見据えた対応を進めていくために、各保険者が計画期間中の給付費を推計して保険料を設定するだけでなく、2025年のサービス水準、給付費や保険料水準も推計して記載することとしてはどうか。

これは、3年ごとの事業計画でございまして、サービス量を見込んで保険料を設定する、これが事業計画の大事な役割でございまして、これは今後とも続くわけでございますが、それに加えまして、2025年までのサービス水準、あるいは給付費、保険料水準も推計する、こういうことにしまして、長期的な視野のもとで、第6期、次をどういうふうにしていくかということを考えていくべきではないかという論点でございます。

 この推計のためには、老健局でワークシートという推計シートを自治体に提供しているわけでございまして、これにつきましても、3年分の推計に加えて、10年分の推計もできるようなものを提供していきたいと考えております。

○ 在宅医療連携拠点の機能や認知症への早期対応など地域包括ケアシステムを構築する各要素について、当面の方策と段階的な充実のための施策をより具体的に記載することを求めることとしてはどうか。

 第5期でもそのような記載がございますけれども、これをより充実した記載ができるようにしていく必要がある。

○ 第5期から実施した日常生活圏域ニーズ調査については、より積極的な活用を促すべきではないか。

○ 市町村が具体的な取組を開始できるよう、好事例の把握・情報提供など、市町村への支援を行うべきではないか。

 本日も参考資料をつけておりますけれども、こういう好事例を集めまして情報提供してまいりたい。

12ページは国民会議の記載でございます。

 「2015(平成27)年度からの第6期以降の介護保険事業計画を「地域包括ケア計画」と位置づけ、各種の取組を進めていくべきである」等々の記載がございます。

13 ページは、この論点をイメージ的に図示したものでございます。

 第6期につきましては、第5期からの取り組みを引き続き承継するとともに、第6期から2025年に向けた中長期の見通しも記載した上で、在宅医療介護連携等の取り組みも含めまして、地域包括ケアのための取り組みを推進していく、こういう位置づけではないかという論点でございます。

14ページからは参考でございまして、事業計画の策定と被保険者の地域支援事業とか地域ケア会議とか、保険者機能を発揮することが大事ではないか。共同連帯の仕組みである介護保険でございますので、どのような保険料水準でどのようなサービス水準を目指していくのかというのは、各地域で関係者が議論した上で事業計画を策定し、どういうサービスにウエートを置いてサービス提供を充実させていくのか。これを議論し、運営していくということが大事だと考えております。

15ページは、各地域の高齢化の状況でございます。

75歳以上の将来推計人口について、全国で大幅にふえると申しましても、量がふえるのはむしろ大都市部でございます。この図では、埼玉県などでは2025年の指数が全国で一番高いというところでございますけれども、2025年までの伸び幅が非常に大きい。2015年からの10年間での伸びが1.5倍ということで、急速な量の拡大がある。

 一方で、山形とか秋田では1.1倍ということで、余り大きくない。

 島根のようなところですと、2030年以降、むしろ後期高齢者の数が減り始める。こういうところもございます。

 それぞれの地域特性に合わせた事業計画の中長期の検討が必要ではないかということでございます。

16ページは、これを市町村単位で見たものでございます。

75 歳以上の人口についての指数でございまして、左側にありますように、2015年を100としたときの2025年の指数が100を下回るところ、これから後期高齢者人口が減っていく市町村が16.9%もございます。

一方で、150以上、1.5倍以上にふえるところが多数あるということで、市町村別に見ますと相当な差があるということでございます。

17ページからは「介護保険事業計画について」ということで、現行の制度の資料でございます。

19ページは、日常生活圏域ニーズ調査の取り組み等でございます。

22ページは、「3.在宅医療・介護連携の推進について」でございます。

 「現状と課題」の1つ目でございます。団塊の世代が75歳となる2025年には、高齢者の人口が2,000万人を超えるということでございまして、特に単身の高齢者、認知症高齢者が増加し、地域包括ケアシステムの実現のためには医療と介護の連携がますます重要ということでございます。

 下の「論点」のところでございます。

 在宅医療・介護連携拠点というのは、厚労省の医政局のほうで進めてきたモデル事業でございます。

○ 在宅医療・介護連携拠点の機能について、現在の地域包括支援センターによる包括的支援事業や地域ケア会議と役割分担や連携方法に留意しつつ、介護保険法の中で制度化してはどうか。

○ これまで在宅医療の提供体制等への関与が少なかった市町村の取組を推進するために、都道府県が積極的に支援することが必要はないか。

○ 小規模市町村での取組を円滑に進めるため、複数の市町村による共同での事業を認める等の措置が必要ではないか。

○ 在宅医療・介護連携拠点の機能については、医療計画との調和も図りながら、介護保険事業(支援)計画に記載することとしてはどうか。

という論点を掲げてございます。

 在宅医療・介護連携につきましては、地域の医師会との連携、医師会への委託ということが重要になってまいりますので、小規模な町村では、郡市医師会とか広域でお願いするということもあろうかということで、3つ目のを記載してございます。

 次のページでございます。

社会保障制度改革国民会議でも同様な記載がございます。

国民会議では、「地域支援事業」のことを「地域包括推進事業」と名前を変えてはどうかというのがございます。

「これまで取り組んできた在宅医療連携拠点事業について、地域包括推進事業として制度化し、地域包括支援センターや委託を受けた地域医師会等が業務を実施することとすべきである」という提言がされてございます。

24ページは、「在宅医療・介護の連携推進の制度的な位置づけ(イメージ)」でございます。

 1つ目のです。在宅医療連携拠点事業、医政局で進めてきたモデル的な事業の成果を踏まえまして、在宅医療・介護の連携推進について、介護保険法の中で恒久的な制度として位置づけ、全国的に取り組むこととしてはどうか。

 これまでのモデル事業でございますので、これを全国で行うためには恒久的な制度化、市町村が行うという位置づけが必要ではないかということでございます。

○ 具体的には、介護保険法の地域支援事業の包括的支援事業に位置づけ、市町村が主体となり、取り組むこととしてはどうか。

 その際、現行制度では包括的支援事業を委託する場合、事業の全てにつき一括して行うことと規定されているが、医療に係る専門的な知識及び経験が必要である業務の趣旨に鑑み、在宅医療・介護の連携推進に係る事業については、これらを適切に実施できる事業体に、他の事業とは別に委託できる仕組みが必要ではないか。

 下の図にイメージがございますけれども、包括的支援事業、介護予防ケアマネジメント業務、総合相談支援業務、権利擁護業務、包括的・継続的マネジメント支援業務とございまして、これを一括して1つのところに委託できる。市町村の直営でもいいわけなのですが、直営または外部に委託する場合には、これらを地域包括支援センターに一括して委託する。こういうふうになっておりまして、包括的支援事業の中に1項目「在宅医療・介護の連携推進に係る事業」というものを追加してはどうかという点。そして、この部分については、ほかとは切り離して別に委託可能としてはどうかという点でございます。

 具体的なイメージは次のページでございます。

 市町村で地域の現状把握・連絡調整等を行うわけでございますけれども、地域包括支援センターと連携をとりつつ、在宅医療・介護連携拠点機能の業務を委託する。例えば地域の医師会等に委託し、連携をとって推進する。

 広域調整、後方支援は都道府県、保健所なども行うというようなイメージでございます。

 「(参考)想定される取組の例」は、これまでの拠点の事業で行ってきたものでございます。

想定される例としまして、

○1地域の医療・福祉資源の把握及び活用

 ○2在宅医療・介護連携に関する会議への参加又は関係者の出席の仲介

 ○3在宅医療・介護連携に関する研修の実施

 ○424時間365日の在宅医療・介護提供体制の構築

 ○5地域包括支援センター・介護支援専門員・介護サービス事業者等への支援

等々が想定されます。

26ページは、「在宅医療の体制」です。
27ページは、24年度在宅医療連携拠点事業の実績などの記載がございます。

説明は省略します。

30ページは、「4.地域ケア会議について」でございます。

 「現状と課題」のところです。

○ 高齢者が住み慣れた地域で安心して暮らせるためには、医療との連携、自助・互助・共助・公助の適切なコーディネート、サービス資源の開発など、包括的なケアシステムの構築が必要であり、地域ケア会議はその実現のための重要な手段。

と考えております。

 3つ目のです。

○ このため、地域包括支援センターの設置運営通知(平成24年4月改正)に「地域ケア会議」を明記し、センター長等を対象とした研修に取り組んでいる。

 「論点」のところでございます。

○ これまで通知に位置づけられていた地域ケア会議について、介護保険法に制度的位置づけを行うべきではないか。

○ その際、以下の点に留意すべきではないか。

○1 個別事例の検討を通じ、多職種協働によるケアマネジメント支援を行うとともに、地域のネットワーク構築につなげるなど、地域ケア会議が実効性あるものとして定着するよう普及すること。その際、介護支援専門員の協力を得ることが必要。

○2 地域ケア会議で取り扱われる個人情報の守秘義務について取り決めること。

○3 地域ケア会議で行政側に提案された政策課題等については、着実にその実現に取り組むこと。

○4 保険者たる市町村は、在宅医療連携拠点事業等の関連事業や多様な機関等の連携を通じて、地域のニーズに合った政策形成を行うこと。

でございます。

 次のページは、国民会議報告書の抜粋でございまして、地域ケア会議の役割、重要性についての記載がされております。

32ページは、「地域ケア会議」につきましての図でございます。

 図にありますように、地域ケア会議は2種類ありまして、上の地域包括支援センターレベルでの会議(地域ケア個別会議)ということで、個別ケースを取り上げながら、その課題分析の積み重ねにより地域課題を発見していったり、個別ケースの支援内容を通じたネットワークの構築とか、個別のケアマネジメント支援とか、地域課題の把握などを行うものでございます。

 下の市町村レベルの会議(地域ケア推進会議)は、市町村レベル全体で地域課題への把握、地域づくり・資源開発、政策形成への結びつけ等を行うものでございまして、どちらかといいますと、市町村レベル会議(地域ケア推進会議)のほうは各自治体で進んでおりますが、地域ケア個別会議のほうは、進んでいるところとこれからのところがあろうかと思っておりまして、このような法的な位置づけもした上で充実が必要ではないかと考えております。

 次のページは、その詳細です。

34ページは、「地域ケア会議に関する取組状況」でございます。

35ページは、「5.ケアマネジメントについて」でございます。

 「現状と課題」の1つ目のでございます。

○ ケアマネジメントについては、介護保険部会等において様々な課題が指摘され、ケアマネジメントを担う介護支援専門員について、別途の検討の場を設けて議論を進めるとされたことから、「介護支援専門員(ケアマネジャー)の資質向上と今後のあり方に関する検討会」を開催し、平成25年1月7日に中間的な整理がまとめられた。

 その概要は、36ページにあるとおりでございます。

35ページの「論点」のところでございます。

(1)居宅介護支援事業者の指定権限の委譲について

○ 高齢者が住み慣れた地域で自立した日常生活を営めるようにするには、地域包括ケアシステムの構築とともに、高齢者の自立支援に資するケアマネジメントが必要となってくることから、地域において、ケアマネジメントの役割を担っている介護支援専門員の育成や支援などに市町村が積極的に関わっていくよう、保険者機能の強化という観点から、居宅介護支援事業者の指定権限を市町村に委譲すべきではないか。

○ なお、指定権限を委譲した場合でも、市町村の体制面を考慮し、引き続き都道府県が市町村を支援する仕組みが必要でないか。

という論点でございます。

 (2)は「地域ケア会議について」ということで、先ほど出てきたものでございます。

 (3)介護支援専門員実務研修受講試験の受験要件の見直し

○ 介護支援専門員の専門性の確保及び向上を図っていくため、受験要件を見直し、法定資格保有者、または生活相談員等で、必要な実務経験が5年以上ある者を受験対象者としてはどうか。

という論点でございます。

 (4)介護支援専門員の研修制度の見直し

○ 介護支援専門員の資質の向上を図り、ケアマネジメントの質の向上させるため、研修カリキュラム等の具体的な見直しを進めてはどうか。

 (5)主任介護支援専門員による現場での実務研修等の実施

○ 主任介護支援専門員の資質向上を図るため、更新制を導入(更新時に研修実施)するとともに、主任介護支援専門員の具体的な役割として、地域の介護支援専門員に対する現場での実務研修の実施などを位置付けではどうか。

という点でございます。

 次の36ページは、ことしの1月の中間的な整理の概要です。

 一番下にありますように、「今後、制度的な見直しに係るものについては介護保険部会、報酬改定に係るものについては給付費分科会で議論を進める」となってございました。

 制度的な見直し事項としては、先ほどの論点の(1)にある指定権限の委譲というのは法律事項でございますので、介護保険部会で特に御議論いただきたい点でございます。

37ページは、「検討会における議論の中間的な整理のポイント」でございます。

38ページからそのスケジュール感が出てございます。

「ケアマネジメントの質の向上に向けた取組」として、ニーズの適切な把握に向けた課題の整理表とか評価表というものは、25年度中に作成しまして、26年度、研修の場などで活用して、実施をしていく。

2つ目の「介護支援員に係る研修制度の見直し」につきましては、研修カリキュラム等の見直しを今年度検討しまして、これは告示改正事項ですので、年度内に告示改正をし、来年から準備をし、27年度から施行。

 その下「主任介護支援専門員の資質向上」につきましては、更新時の研修等々でございますけれども、これも今年度カリキュラムを検討しまして、省令等改正を年度末に行いまして、準備の後、27年度からの施行。

 次のページでございます。

 「実務研修受講試験に係る見直し」につきましては、原則、国家資格保有者の受験要件などの規定をするということでございますが、これを今年度検討いたしまして、省令改正を年度内に行い、27年度試験から施行。

 「2.保険者機能の強化等」につきましては、指定権限の委譲等の論点でございますけれども、これを介護保険部会で御議論いただきまして、介護保険法改正に載せて、施行する。

「ケアマネジメントの評価の見直し」については、介護給付費分科会マターになります。

医療・介護連携の取り組みにつきましても、告示等の改正。

このようなスケジュール感でございます。

 次の40ページでございます。

これは制度マターで、法律改正事項でございます。現状、左のように都道府県、指定都市、中核市まで居宅介護支援事業者の指定権限がおりております。

 都道府県、指定都市、中核市が事業所の指定と指導・監査、勧告、命令、指定取り消し等々を行うということでございます。

 現在でも市町村は指導・監査を行う事務がありますけれども、指定は都道府県等であった。

 これを市町村において取り組みが推進できるようにということで、右の改正案のところ、事業所の指定、指導・監査の権限の部分につきましては市町村に委譲してはどうか。その際、市町村が支援してはどうかというものでございます。

42ページは、「介護支援専門員実務研修受験試験の受験要件の見直し(案)」でございます。「1.法定資格」「2.相談援助業務」「3.介護等業務」とありますが、主に3番をなくした上で、1番、2番をきちっと規定していくというものでございます。

43ページは、「介護支援専門員の研修制度の見直し(案)」ということで、省令、告示、通知等事項でございます。それぞれ見直し項目が記載してございます。

44ページは、「主任介護支援専門員による現場での実務研修等の実施(案)」ということです。主任ケアマネに更新制を導入するとともに、現場での役割をしっかり位置づけるということで、地域の介護支援専門員に対する現場での実務研修を主任ケアマネがやる。そういう位置づけをすることによりまして、ネットワークの構築という役割を担っていけるように位置づけられるのではないかという点でございます。

 長くなりましたが、ここまでが資料3でございます。

 駆け足で恐縮でございます。

次は資料4でございます。これは、御議論いただく際に、今後のスケジュール感を頭に入れながら、順次各項目を御議論いただきたいと思いまして、今後の介護保険部会の予定について資料にまとめてございます。

 本日は、国民会議の報告書、「法制上の措置」の骨子についてと、1つ目の論点、地域包括ケアシステムの構築、充実という点。

 次回9月4日は、生活支援、予防給付、認知症、人材。

9月18日が在宅等施設。

 9月25日が1号保険料の軽減強化、一定以上所得者の利用者負担、補足給付。

10月2日がその他の論点ということです。

 ここまでが議論の一巡ということで、内容によっては、まず概括的な段階にとどまって、細かいものは残るポイントが多いと思います。

 それにつきましては、10月の第2ラウンドということで、1016日、30日と2回分、「更に議論が必要な項目について」を予定したいと思ってございます。

 その後、11月に「とりまとめに向けた議論」ということで、日程を調整してございます。

 いずれにしましても、これは現時点での予定ですので、今後変更があり得るわけでございます。1127日にきれいに報告書がまとまるかどうかもこのときの状況次第でございまして、今後変更があり得るものであることを御留意いただきたいと思います。

 あと、参考資料が2つございます。

参考資料1は「介護保険制度を取り巻く状況等」ということです。先般5月15日にお出しした資料などを、その後、時点を新しくしたり、若干資料などをふやしてございます。

この中で前回お出ししていなかった資料は11ページです。

11 ページは「第1号被保険者1人あたり給付費(年額)の保険者分布」ということです。左側が介護給付、右側が予防給付でございます。市町村別に1人当たり保険者の予防給付費や介護給付費がこのような分布になっているという資料でございます。

12ページは、月額の保険料の分布、認定率の保険者分布等の資料でございます。

 あとの資料は、従来もごらんに入れている資料だと思います。

 参考資料2は、各自治体での地域包括ケアシステム構築のための取り組みの参考情報をどんどん流していこうということで、その第1弾として今年のに夏に作成したものでございます。幾つかの自治体の取り組みを事例としてまとめてございます。

今後さらにこのような取り組み事例集を充実して、自治体に提供してまいりたいと思っております。

若干時間が長くなりましたが、資料の説明は以上でございます。

○山崎部会長 ありがとうございました。

 それでは、各委員から今回の資料に関しまして一括して御意見、御質問をいただきたいと思います。

 御質問につきましては、数人分をまとめて事務局からお答えをいただきたいと思います。

 まず最初に、資料として提出されております井上委員と結城委員から御発言をお願いいたします。

 井上委員、どうぞ。

○井上委員 井上でございます。おはようございます。

 今、いろんな説明がありましたので、これからの私の報告が適切かどうかと考えながらうかがっておりました。

実は6月ぐらいに「地域住民活動」アンケートという質問票をつくりまして、私が勤務している大学があります千葉県東金市、住んでいる大網白里市におきまして、社会福祉協議会の協力をいただき配布、回収をしたものでございます。

 5月の末あたりに介護保険サービスからの軽度者切りというのが新聞に大きく取り上げられて、私なども質問をされたものですから、では、調査をしてみようということでやってみました。

 これは、あくまでも一般市民ニーズではございません。地域で活動をやっている方たちから「軽度者切りでみんな互助になるのではないですか」というふうに質問をされることが多かったので、では、地域の実態はどうなのかということを調査いたしました。

 そうしましたら、きょうの説明では、全部切り捨てではなくて、介護保険サービスとして介護保険資金の中から受け皿をつくるのだということなので、少しばかり安心ましたけれども、この調査は地域住民活動者に対して行ったものであることを御理解ください。

東金市、大網白里市というのは、九十九里の周辺地域になります。東京から2時間ぐらいかかるところです。

人口は、東金市が6万、大網白里市が5万ということで、地域性の強いところです。

ただ、大網白里市に関しましては、東京へ通う人がふえてきて、もともと住んでいた住民と新しい住民との摩擦がないわけでもありません。しかし、私が知るところでは、地域活動が活発なところだと思っております。

 調査対象者は、民生・児童委員、地区社協役員、町内会役員、老人クラブ世話人といった地域活動をしている方たちです。

 有効回答票数が195人。

 回答者内訳は下に書いてございます。女性が多く、年齢は60代の方たちが一番多いという状況です。

 簡単に説明いたしますが、アンケートの調査結果は、図1、2、3、4にあります。これをまとめて発表いたします。

 アンケートの調査票に関しましては、この報告資料の最後のページの「アンケートのお願い」を見ていただければわかりますように、その場で簡単に書けるようなアンケート調査にしております。

 結局、住民同士による助け合い活動の内容を尋ねたところ、図1に示しておりますが「見守り・安否確認」が50%弱、「相談・話し相手」が30%ということで、近所づき合いの延長に属する活動がほとんどでした。ごみ出しこそ10%近くあるものの、買い物の手伝い、部屋の掃除、家事手伝い、病院への送迎といった活動は それぞれ5%にも満たない状況でした。

また、次にこれらの活動をしていない住民同士が感じている理由はどんなものかと尋ねたところ、「隣近所と親しくない」「多忙で時間がない」という答えが得られました。

住民同士の助け合いをしない理由としては、「支援の必要な人には公的サービスで行うべき」という回答が最も多く見られました。

要支援・軽度の要介護者へのサービスについて、私ども「高齢社会をよくする女性の会」は介護保険制度のサービスを主張してまいりましたが、この調査においては、住民活動をやっている方たちは、NPOを含む公的な資金的・管理的な援助の必要性を表明する人が多数でした。確かに住民は互助活動をすべきであり、その活動を行うことは期待できるという回答もございました。

そういう意味では、これから互助活動としての社会資源の開発、住民互助の発掘ということはやるべきであって、期待できるという回答もありましたけれども、住民に互助活動と具体的な要支援・軽度の要介護者への具体的支援事業の区別が明確化されているとは言いがたいと思います。

したがって、今後、地域包括ケアシステムに関する事業を展開するとしても、あくまでも公が責任を持ち、見守りや話し相手などのボランタリーな活動と公的な資金に基づく住民参加型事業との区別を明確に行う必要があると思われます。今後、地域の独自性、知恵を生かした事業が大きく期待されるわけですが、その場合、地域格差を生じさせないためにも、一定のナショナルミニマムと申しますか、基準を設けた上で、新しい形、地域独自の仕組みづくりを検討する必要があると思われます。

 ちょっと補足ですけれども、「互助」という言葉は、国民会議にはなかったのですが、今回の資料には出てきておりますので、社会保障審議会のほうでその辺の捉え方が若干違うように感じました。

 以上でございます。ありがとうございました。

○山崎部会長 それでは、結城委員、お願いします。

○結城委員 資料を用意しましたので、それに沿ってお話をさせていただきたいと思います。

1点目、きょうの国民会議の報告書を拝見いたしまして、私もずっと国民会議の決定過程を見ていくうちに、介護分野における議論は非常に時間が短かったのではないかと思います。

また、今回の最終報告書にもあるように、文章表現も曖昧であり、介護の分野の箇所が少なかったと思います。

そのようなことを考えますと、国民会議の報告書に大きく乖離することはできないと思いますけれども、当審議会できちっと各論まで深めて議論するべきで、報道によると大枠が決まっているような感じですが、今回の審議会での議論が大事かと思います。

質問1として、この報告書における枠組みがこの審議会でどの程度まで影響があるのかどうかの位置づけについて、事務局に聞けばいいのか、部会長に聞けばいいのか、ちょっとわかりませんけれども、その辺を確認したいのが1つです。

2つ目は、地域包括ケアシステムについての意見でございます。

事務局側が提示している地域包括ケアシステムのコンセプトに関しては、私も賛同いたしますし、国民会議での結論についても賛同いたします。

しかし、それを具体的に実行していく場合に、日本全国を見る限り、なかなか難しい現状があると思います。どの地域でもある程度の水準を見据えながら、この包括ケアシステムができることを議論していくことが前提で、一番うまくいっているところをやっていくということは、結局は机上の空論になっていくのではないかと考えます。

3点目の介護保険事業計画については、従来から申しているように、市町村の現場力低下は否めないと思います。今、公務員は四、五年置きに異動しておりまして、介護現場を熟知している人が一部の自治体では非常にいますけれども、なかなか難しいのではないか。

今回の制度改正においては、市町村の現場力というか、事業計画力が非常に問われていると思いますので、ぜひ市町村の事業計画策定や現場を見据えた議論に期待したいと思います。

4点目は、今回の資料にあった地域包括支援センターに在宅医療・介護連携についての機能強化が期待されています。事務局から説明があったように、医師会に委託できるということが検討課題として挙げられていますが、包括支援センターは非常に忙しく、業務量もあるので、果たしてこれがどこまで実現できるのかどうかというのは、議論の余地があるのではないかと思います。

5点目は、事務局から地域ケア会議についての法制化について御検討の議題がありましたが、地域ケア会議の資料、32ページ、33ページ、34ページを見ていると、利用者不在、家族不在に陥りやすい会議になるのではないかと思うのですけれども、地域ケア会議における利用者や家族の視点というのはどのように入れていくのか。これを2つ目の質問にさせていただきたいと思います。

6番目のケアマネジメントについては、市町村への権限移譲については、おおむね賛同できます。しかし、自治体側の現場力が低下している、しかも、今の自治体において、福祉専門職等の専門職がかなり少ない。一部政令市では福祉専門職を採っているところがありますけれども、ほとんど事務職が四、五年置きに異動している。そういうところにおいてきちっと指定権限まで担保できるのかどうかという議論が残されているので、この辺のことが非常に大事かと思います。

私の意見と2つの質問です。

以上でございます。

○山崎部会長 ありがとうございました。

それでは、勝田委員。

勝田委員 国民会議の報告書を読ませていただきましたが、この中で、自助・共助・公助論は改革推進法の基本的な考え方で、最適な組み合わせとしています。

共助は、みんなで協力して行う自助だと説明しており、自助と共助の境目が曖昧になっています。

その反面で、公助は、自助・共助でやむを得ない場合のみと位置づけ、あくまで例外としています。

 果たしてそうでしょうか。一人一人が自助を行っても、それでカバーし切れないことがあるから助け合う。当たり前です。

でも、限られた仲間内だけで助け合ってもカバーし切れないことがあるから、広く国家という枠組みで助け合おうと考える。それが社会保障ではないでしょうか。

そう考えれば、自助も共助も公助も全部つながる話です。むしろ自助の最も安全で完璧な形態が公助であり、社会保障だと言えます。

本当は公助はだめだけれども、仕方がないときに例外的に認めますなどと言うほうが、実は論理的には説明がつかないのではないかと思います。

憲法25条による公的責任というのはどこにあるのでしょうか。

介護保険制度改革については、前回6月6日の第45回部会で「家族の会」の「2013年度総会アピール」を配付して、利用者の声を皆様に届けました。

その中で私たちが最も危惧している動きは、要支援と要介護度の低い人たちを介護保険から外す動きや、その人たちが利用できるサービスを抑制する動き、その人たちの利用料を引き上げる動きです。どれが実施されても、初期・軽度の人たちがサービスを使いにくくなります。これでは認知症への対応としては正しくありません。

「オレンジプラン」の初期対応重視の方向性とも矛盾しています。

認知症高齢者が462万、軽度認知症が400万人と言われる状況からも、初期・軽度の人たちへの施策は欠かせません。初期・軽度の人へのケアの充実こそが進行を防ぎ、ひいては費用の節約にもつながるのです。

また、消費税を増税する一方で、負担引き上げとサービス抑制をすることは道理にも合わないというアピールです。

今回の報告書では、私たちの思いとは全く真逆の介護サービスの効率化及び重点化とした7項目が出されています。特に要支援認定者に対する介護予防サービスを地域包括支援事業に段階的に移行することや、一定以上の所得のある利用者の負担を引き上げる、特別養護老人ホームは中重度者に重点化する、デイサービスは重度化予防に効果のあるサービスに重点化するなどですが、なぜかマスコミでは先行した形で報道されています。これはいかがなものでしょうか。

 例えばこの部会で、一定所得以上の金額は幾らなのかと事務方に質問した折に、これから討議していくのだと回答されました。

このような報道が先行することは部会を軽視したものではないでしょうか。事務方は、このことについてどのようにお考えなのでしょうか。

地域ケア会議に係る理念として、「可能な限り住み慣れた地域でその有する能力に応じ自立した日常生活を営むことができるように」とあります。自立とは何なのか。サービスを受けないことではなく、サービスを受けることで日常生活が保たれる。これもまた自立だということを再確認しておきたいと思います。

最後になりますが、在宅医療・介護連携の推進についてです。

今ほども結城委員からありましたが、介護保険事業計画では、多くの市町村や県では利用者が参加していますが、地域ケア会議や医療計画にはほとんど利用者が参加していない現状にあります。

認知症の人がふえていく中で、計画策定の段階から利用者の視点も生かせるようにすべきでないかと考えます。

在宅を支える介護家族は、サービスを受ける側であると同時に、介護の中で得られた多くの知恵を持つ社会的な財産でもあります。もっと積極的に活用すべきと考えますが、事務方はどのようにお考えでしょうか。

また、今後、在宅利用者の実態を把握する必要がありますが、全国的に統一した在宅にかかる全国調査がされていません。典型的な自治体の調査などがありましたら、次回で結構ですのでお出しいただきたいと思います。

以上です。

○山崎部会長 それでは、大西委員。

○大西委員 ありがとうございます。高松市長の大西でございます。

きょうのテーマは「地域包括ケアシステムの構築に向けて」ということで、前回2012年の診療報酬、介護報酬の同時改定で地域包括ケアシステムというのが正式に明確に位置づけられまして、それをより具体的に、より実効性があるような形に持っていこう。特に2025年、団塊の世代が75歳以上になる時期に、ある程度有効に機能するようなシステムとして構築できるように今から制度改善を図っていこうという方向性については、もちろん賛成でございまして、ぜひとも現実に合ったような形でこれを進めていただきたいと思うわけでございます。

ただ、今、制度改正の方向性についていろいろお聞きしたわけでございますが、はっきり申し上げて、先ほど結城先生もおっしゃられましたが、不安と懸念がかなり私自身にもあります。現場を預かる者として、果たしてこういう方向でこれだけ性急にやって、全市町村でそれぞれの地域においてうまく機能するシステムができるのだろうか。まだまだ暗中模索といいますか、よくわからないというのが本当のところでございます。

ただ、我々は当事者でございますので、どうにかこの不安や懸念を取り除きながら、うまくやっていけるような方向性を考えていかなければならないということでございまして、それの関係で4点ほど意見を言わせていただきたいと思っております。

まず1番目といたしまして、2025年を目指して、ある程度早急に前倒しで制度改正等をやっていかなければならないという必要性はわかるのですが、一方で、現場の地域を具体的に動かすとなりますと、ある程度の時間的余裕、あるいは地域住民のコンセンサス、意向、意識改革、そういうものが必要なのだという意識になってもらうということが必要でございます。

そのためには時間がかかりますので、現実的なタイムスケジュールをより早く明確にしていただきたいと思います。

特に一番問題だと思っていますのは、医療と介護の連携でございますので、診療報酬と介護報酬、両方かかわってくる話なのですが、片や診療報酬は2年ごとの改定です。介護報酬は3年ごとの改定でして、次の診療報酬改定は来年ですので、その議論はもう始まっているのです。片方で、介護の議論というのは2015年を目指しているということになっていますので、次の診療報酬の改定ではこの辺の話というのが十分取り込めないのだと思います。

その次に2015年の介護報酬の改定があって、診療報酬の次の改定は2016年だ。

2015 年に介護報酬のほうである程度方向性が出ても、それに診療報酬が応えるのが2016年。

その次の2018年に初めて同時改定になって、本格的な医療・介護の連携みたいな制度改正というのができるのではないかなと思っております。

できればもう少し前倒しをしていただきたいと思いますけれども、ただ、現実的な方策で考えるときに、今から2018年の同時改定をにらんできちっとやっていただく必要があるのではないかなと思っております。

そういう中で、特に在宅医療・在宅介護の連携推進の中で、資料3の24ページに「在宅医療・介護の連携推進に係る事業を追加」というところもございます。ただ、これは今、一部の市町村でモデル的にやられている事業ですが、これを次の介護報酬改定の2015年のときから本格事業化するというのは、多分無理だと思います。先ほど言いましたように、全ての市町村がこのような事業を全部うまく行えるというのは無理だと思います。

したがいまして、次回の2015年の介護報酬改定のときには、ある程度任意事業的なものとして位置づけて走り出させて、2018年のときに本格事業化する、あるいは必須事業化するという形も現実問題として考えておくべきではないのかなという気がいたしております。

その辺のタイムスケジュールをまず出していただいて、それに向けて現場できちっと準備を進めていくという方策をぜひとも考えていただきたいと思っております。

2点目は、在宅医療・介護の連携事業の財源についてでございます。

24 ページにありますように、在宅医療・介護の連携推進事業を地域支援事業の包括的支援事業分に加えるということでございますが、この包括的支援事業分ということになりますと、介護保険の2号保険料が財源として入らないということになります。公費負担が79%になっているのです。

これは、いわゆる40歳から65歳までの若年者に対しては、介護予防とは違って直接効果が及ばないという整理なのですが、医療・介護の連携事業というのは、若年者にとっても効果が及ぶというふうな考え方も十分できると思いますので、その辺の財源について一考いただければありがたいと思っておるところでございます。

理屈の問題ですけれども、将来の介護給付の抑制にもつながるという言い方もきちっと説明ができるのではないかなと思っておりますので、その辺の財源をはっきりさせていただくとともに、御一考いただきたいということでございます。

3番目は、先ほど結城先生も言われていましたが、地域ケア会議等におきまして市町村が当事者となって調整役になるわけです。そうすると、最終的な責任は市町村長ということになるのですけれども、そこの市町村長の権限・役割をより明確にしていただきたい。特に総合調整の権限というものをきちっと新たに付与していただかないと、単に会議は開くけれども、結局、どこに責任があるのか、決定権限は誰にあるのか、明確にわからないままになってしまうということでございますので、特に市町村長のその辺の調整権限等について明確化していただきたいと思います。

ただ、一方では地域の医療政策、医療計画というのは都道府県がつくることになっております。基本的に医療政策というのは県で、介護の施策は市町村だというのが今の位置づけなのですが、それを医療・介護連携ということで、市町村が総合調整をするというのはいいのですけれども、都道府県との役割分担、都道府県知事と市町村長との役割分担、市町村長の権限、その辺をきちっと明確にしていただきたいと思うわけでございます。

特に医師会との関係ということになりますと、その辺の権限が明確でありませんと、かなり混乱が起こる可能性もあるということでございます。

最後の4点目は、施設の指定権限を市町村におろそうということで、結城先生も言われておりましたが、基本的な権限委譲、地方分権等の観点からも賛同できるものでございます。

ただ、今、具体的にこの指定権限を持っている市町村、高松市は中核市ですから今も指定権限を持っていますので、もちろんスムーズに移行できるわけですが、それ以外の市町村というのは、初めて指定という作業を行わなければならないと思います。

全国で今、1,700ぐらい基礎自治体、市町村があるわけですけれども、指定権限を持っている政令指定都市・中核市というのは2041で、61しかないわけです。ほかのところは一切やっていない。数から言えば、1,600以上の団体が初めてこういう事務を行うということになりますので、その辺の事務作業等につきまして、あらかじめ実務家等の間において検証していただいた上で、スムーズな権限委譲というものを図っていただきたいと思っております。

以上でございます。

○山崎部会長 内田委員、どうぞ。

○内田委員 内田でございます。

 地域包括ケアシステムが本当にでき上がれば、利用者にとっても大変よいことだと感じておりますが、それには地域包括支援センターの役割が非常に大きくて、ただ、地域包括支援センターがかなりの課題を抱えているまま、そういういろいろな役割をさらに請け負っていくというのはいかがなものかという感想を持っております。

今、地域包括支援センターでもそれなりに効果を上げて働いているところもあれば、そうではないところもあったりするとよく言われておりますけれども、どこに問題があるからそうなっているのかという問題点について早く探っていくということがないと、いよいよ地域ケア会議あるいは医療連携といったことを振られたときに、もうどうにもならないということになるのではないかと思います。

今、非常に人員が少ないと言われていて、3人しか配置されていなくて、今やらなければいけないことが全て中途半端になっているということを言われているところもあります。

その中の職員の教育がまだまだ足りていないのではないかということも言えるかと思います。体系的に教育がなされているわけではなくて、単発的な研修が行政によってなされているということで、その上、例えば予防プランぐらいしかつくっていないわけですので、日々いろいろ困難なケース、あるいは医療連携が非常に必要な御利用者のケアマネジメントをやっているちまたのケアマネジャーのほうが、よほど実力があると言われていることもあるわけです。

ですから、医療連携といったことに関しても、地域包括支援センターばかりでなくて、一般の居宅介護支援の優秀なケアマネジャーをどんなふうに利用するかといったことは重要なことかなと思います。

そこでもう一つ言いますと、主任ケアマネと言われる方々ですが、これは単に研修を受ければそのまま主任ケアマネになれるという仕組みで、最初に御自分のつくったケアプランを出すということはあったとしても、その実力は一体どうなのかということもありますので、更新研修はぜひとも必要で、更新研修の際に、単に更新研修を受けただけでなくて、評価が必要なのではないかと思っております。

それはケアマネジャーも同じで、ケアマネジャーが実務研修の後に受けていく専門研修というものも、内容が実務研修のときと全く同じだという評価や、講師についての評価もちょっと低いということもありますので、講師の人選や専門研修のカリキュラムの内容、なおかつケアマネジャーの評価ということも今後、何か考えていただければと思っております。

地域ケア会議についてですが、今、地域ケア会議を始めているところもあるのですが、その関係者の方から聞くと、地域ケア会議は何をすればいいのかというのがいま一つわからないということを言っている方々がいます。

ですから、先ほど大西委員もおっしゃいましたけれども、誰が責任を持って、どうするのかというのがよくわからないということと、出席メンバーが御利用者関係の方がいないということもあって、どうなのかなということ。

介護事業者などが入っているから、例えば介護関係の介護福祉士等は必要ないと思われているかもしれませんけれども、第三者的あるいは客観的に介護の視点で発言できるような介護福祉士等を加えていただく。出席メンバーについてはちょっと考えていただきたいと思います。

地域ケア会議がうまくいくと、サービス担当者会議もうまくいくのではないかということがあったように思うのですが、サービス担当者会議のほうを充実させないと地域ケア会議もうまくいかないのではないかと考えております。

サービス担当者会議も、1年に一遍か二遍みたいなことで、なかなかケアマネに物が言いにくいといった状況の中で、形骸化しているという状況もあるのですが、地域ケア会議も、どのくらいの頻度で開くのかということによっては、例えばいろいろな関係者とよい関係がつくれるとか、そういうことが期待できるのだろうかというふうに感じておりますので、この辺はしっかり考えていただかないと、絵に描いた餅になってしまうのではないかと心配しております。

以上です。

○山崎部会長 それでは、今までの御質問等につきまして、事務局のほうからお願いいたします。

○高橋総務課長 総務課長でございます。

まず冒頭、結城委員からの質問で、国民会議報告書と当部会で今後御議論いただくこととの関係やいかに、こういう御質問をいただきました。

国民会議は、社会保障制度改革推進法に基づいて設置された会議でございまして、そのようなしっかりとした位置づけがある。推進法に基づく議論が進められたということでございますので、国民会議の議論をしっかりと踏まえながら議論を行っていくというものだと考えております。

 その上で、「法制上の措置」の骨子というものが出ております。これは閣議決定でございまして、今後、具体的なプログラム法をつくっていくということでございますが、この骨子、閣議決定に基づきまして議論を進めていく必要がある。

 しかしながら、国民会議も社会保障全般を議論しましたので、総括的な部分での大所高所の議論が行われたものでございます。骨子につきましても包括的な記載でございまして、制度の具体論は、これからこの部会で御議論をいただく必要があると考えてございます。

井上委員、勝田委員等々、各委員から、報道先行でいろいろ報道がされておるものでございますので、いろいろな不安が関係者の間に広がっている、部会で詰めた議論がされる前に報道されるのはいかがなものかという御意見をいただきました。報道は報道でございまして、国民会議の報告でございますとか、あるいは春先の介護保険部会での議論、あるいはそこで提供された資料等々に基づきながら、見込みも含めた報道がされているのではないかなと思います。

今後、介護保険部会で具体的な資料などをお出しさせていただきながら、御議論をいただければと思っております。

また、井上委員からも、特に軽度者が介護保険から外れるのではないかとか、あるいは軽度者切りとか、そういう報道がされて、不安が広がったということでございますが、これにつきましては、先ほど御説明の中で申し上げましたとおり、介護予防給付の地域支援事業への移行という国民会議で出されている論点は、介護保険制度から外すということではなくて、あくまでも介護保険制度内のサービスの提供ということです。

財源構成も、今の介護予防給付と変わらない財源構成でしっかりと財源を保障しながら、また、この財源の枠を今より減らしてしまうということではなくて、全体の予算規模の上昇のペースは高齢者の伸びに合わせるようなことも必要かと思いますが、現状のサービス水準を落とすということではなくて、給付立てを事業立てにしながら柔軟な取り組みをやることによって、より効果的に、効率的にできるのではないか。そのような論点かと思っておりますので、これは次回、具体的な案についてお出しして、御議論を賜れればなと思っております。

井上先生から、国民会議では「互助」という記載がなかった。自助、共助、公助という3分類法だという御指摘がございました。

社会保障制度改革推進法がこの3分類法で書いてあるので、国民会議でもそのような3分類法で書かれたのだと思いますが、国民会議の報告書、厚い資料の12ページに「互助」の記載がございます。

12 ページの一番上「また、地域内には、制度としての医療・介護保険サービスだけではなく、住民主体のサービスやボランティア活動など数多くの資源が存在する。こうした家族・親族、地域の人々等の間のインフォーマルな助け合いを『互助』と位置づけ、人生と生活の質を豊かに『互助』の重要性を確認し、これらの取組を積極的に進めるべきである」ということで、「さらに」のところでまた続いておりますけれども、「地域の『互助』や、社会福祉法人、NPO等が連携し、支援ネットワークを構築して、こうした高齢者が安心して生活できる環境整備に取り組むことが必要である」ということでございます。

そういう点で、自助、互助、共助、公助を組み合わせたものの推進が必要ではないかと考えております。

勝田委員から、国民会議が自助を非常に強調して、また、共助につきましても、自助が集まったものが共助であって、これでは公的責任がどこへ行ったのかといった御趣旨の御意見をいただきました。

介護保険は社会保険の制度でありまして、共助の仕組みというふうに位置づけられておりますが、中身を子細にごらんいただくと、公費も半分入っておりまして、半分公助的な要素も入っている。

一方で、自己負担もございますので、自助の要素も入っており、できる限りの自立支援ということでございますので、自助の要素もちゃんと入っている。

一方で、介護保険制度は、公的制度として市町村の義務実施でございます。給付のところだけではなくて、地域支援事業のところも、中心的部分は市町村の義務実施となっておりまして、そういう意味で、共助の制度も公的な制度としての位置づけの中でしっかりやってまいるということでございます。

勝田委員から、消費税を増税する中で、一方でさまざまな重点化がされてしまうのは不安だというような指摘もございますが、消費税の増収分を活用しまして、先ほどの国民会議の報告書にも出てまいりましたが、地域包括ケアの充実、医療・介護連携の充実、認知症施策の充実、これも次回の議題とさせていただきたいと思いますけれども、認知症推進員とか初期集中支援チームとか、そういうものの体制を充実していく。こういうことが必要ではないか。そのためにも一定の安定財源と安定した恒久的な制度化というのが必要ではないか。これを今後御議論いただきたいと思っております。

大西委員から、これを実施していくのは市町村でありますので、不安、懸念がさまざまある中で、早目にタイムスケジュールを示して、具体的な実務家の間の協議をしっかり進めていくべきという御指摘をいただいておりまして、全くそのとおりだと思っております。

これまでも老健局は市町村の実務担当者とはさまざま意見交換を進めてきておりますけれども、今後具体案を詰めながら、並行して市町村実務にしっかり合うようなタイムスケジュール感覚、あるいはシステム的な準備でございますとか、予算的な面を詰めていきたいと考えております。

残りは振興課長から。

○朝川振興課長 振興課長です。

 幾つか御質問をいただいております。

まず、何人かの委員から、地域ケア会議につきまして、利用者・家族の視点に関する御意見、あるいはサービス担当者会議との関係についての御意見をいただいています。

まず、前提としまして、サービス担当者会議を充実したものにしていくということは大前提でございまして、さらにケアマネジメントの過程では、本人・家族の同意を得てケアプランをつくっていく、そういう大前提がある中で、例えばケアマネジャーさんがこういうサービスを入れましょうということで、関係する事業者さんがサービス担当者会議に参加いただくことはありますが、ケアプランの案に入っていないようなサービスについては、例えばリハのサービスがケアプランに入っていなければ、リハの専門職に集まってもらうことはないという傾向が強いと思いますので、サービスにかかわらない人も含め、より広い多様な視点から多職種でケアマネジャーさんに対してアドバイスをする、そういう場として個別のケースを扱うということを地域ケア会議は考えております。

そういう意味で、サービス担当者会議とは少し性格が違うということ。ケアマネジャーさんのいろんな気づきを多様に与えてあげられるような場、機会をできるだけふやしていこうという趣旨で推進していこうというものであるということが1つです。

 利用者・家族の点につきましては、地域ケア会議の開催の仕方、あるいは招集するメンバーのあり方については、市町村ごとにもう既に多様な形で行われています。利用者・家族に入っていただいて地域ケア会議をやっていただいている例もありますし、入っていないという形態もあります。

 したがって、利用者・家族を積極的に入れるということも可能ですし、仮に入らない場合は、最終的にはサービス担当者会議に地域ケア会議のアドバイスを戻して、さらに本人・家族の同意を得るという形になってきますので、そういうものであるということをまず御説明させていただければと思います。

 地域包括ケアを進める上で、家族に負担が大きくなっていくのではないかという御意見を若干いただいたような気がします。その点については、現状がひとり暮らし高齢者、あるいは高齢者夫婦のみ世帯ということで、家族の介護力に期待ができない世帯類型が非常に多くなってきておりますので、そういう中で地域包括ケアを考えていくということですから、例えば24時間対応ができるような在宅サービスをふやしていくとか、そういうことを通じて、家族の介護力がなかなか期待できない場合でも、サービス提供が可能なものをつくっていくというのがこの地域包括ケアであるということを理解の基本として進めていきたいと思っています。

 包括支援センターについて、業務量が大変で、職員の配置も少なくてというお話をいただいておりますが、最低は基本原則3人、3職種に1人ずつということになっていますが、現状、平均をとりますと5人ぐらいは配置されています。さらに、制度的には業務の量に応じて職員の配置をふやせる仕組みになっておりますので、そういう枠組みをまずは活用いただきながらやっていただくということが重要であろうということ。

次回のテーマであります地域包括支援センターについては、その業務内容についてしっかり評価をしていくということが重要で、その枠組みは今でもあるのですが、もう少し有効に機能するようなことも考えていかなければいけないと思っています。

あと、医療・介護連携との関係で、包括にいる主任ケアマネだけでなくて、居宅介護支援事業所にいる主任ケアマネジャーさん、あるいはケアマネジャーさん、そういった方々の活用もというお話がございました。

医療・介護連携の拠点事業は、まさにそういう多職種のいろんな会議の場であるとか、研修の場であるとか、そういうものをたくさん開いていくことによって、いろんな方々の関係性づくりも含めて、多職種が地域でうまく働き合えるような関係をつくっていきましょうということでございますので、決して地域包括支援センターのケアマネジャーだけを念頭に置いて事業を実施していくというものではなくて、まさに居宅介護支援事業所にいらっしゃるケアマネジャーさんにも積極的に御参画をいただきながらやっていく事業であると考えております。

地域ケア会議について、何をしたらよいかわからないという御意見もいただきました。その手の御意見は、私どもがこの施策を推進するに当たってよく聞くところではありますので、まだまだこれからも努力しなければいけませんが、いろんな取り組みはやっております。

例えば地域ケア会議のマニュアルをつくるとか、いろんな研修会を開くとか、その他、周知・啓発には今までも約1年間取り組んできておりますので、さらにちゃんと趣旨が伝わるようにしていきたいと思います。

居宅介護支援事業者の指定権限の委譲につきまして、多くの市町村でちゃんとできるのか、不安であるという趣旨の御意見をいただいております。

事業者の指定の事務自体は、今でも地域密着型市町村の指定になっておりますので、全く想像ができない事務であるということはないと思うのですが、しかしながら、居宅介護支援事業所は数も多くありますので、事務量として非常にふえてくるということは確かでございますので、そこは時間をかけながら、経過措置も置きながら権限委譲が進むように、あるいは町村部を中心になかなか事務体制がとれないようなところは、都道府県との関係もよく整理しながらこの詳細を検討していきたいと思っております。

 以上でございます。

○山崎部会長 ありがとうございました。

 それでは、河原委員。

○河原委員 ありがとうございます。

 今、大きなテーマが社会保障制度改革と地域包括ケアシステムで、それぞれ所見を述べながら、質問を1つしておきたいと思います。

まず、山崎先生、大変お疲れさまでございました。

46 ページにわたる報告書を読ませていただきまして、全ての世代を全ての世代が支え合う、また応能負担としていくということについて、おおむね肯定的に読ませていただきました。

労働組合の立場で言えば、資料1の3ページ、方向性の中の「低所得者・不安定雇用の労働者への対応」というところでございます。

我々の介護の世界の方たちも、こういった低所得者、不安定雇用というのがございます。低所得者や不安定雇用というのは所得税等の税収の落ち込みを招いておりましたし、もともとこういった方たちを生み出し続けてきた国の責任というのが大きいと思うのです。当局の方は、こういった方たちがなぜこれ程までに拡大していったのかということを、きちっと掘り下げていただきたいなと思いました。

介護保険制度云々のことですけれども、やっと国民会議という報告書の中で大きな立場からお話をまとめられましたが、私たちが今までずっと話してきたこととそんなに大きく変わっているのかと言ったら、実は変わっていないと思います。

ただ、「地域支援事業」を「地域包括支援事業」に変えていくとか、そういったことはございましたけれども、社会保障と税の一体改革から出てきたところからはそんなに大きな方向転換はなかったのではないかと思います。

ただ、これが国民会議で議論されて、推進法が閣議決定されたということであれば、だんだんコンクリートされているわけで、2年前から議論しているものがついに形になろうとしているということだろうと思います。

とするならば、ここでの議論というのは、例えば今、介護予防給付の移行のことがございますけれども、真に介護サービスを必要とする人たちがおりますので、どういった仕組み作りがその方の自立を本当に助けることになるのか、あるいは介護予防に役立つのか、ここはそういった知恵を出し合う場にしていかなければいけないのではないかと思います。

今、課長のほうから制度の具体論を議論するということでしたが、大賛成で、そうしたところにスタンスをしっかり置くべきだと思います。

ただ、一つ苦情を申し上げますと、介護人材の確保については、実は報告書の30ページの中段になお書きで1行半ございました。非常に残念です。

「なお書き」というのを辞書で調べましたら、「つけ加え」と書いてございました。2025年まで地域包括ケアシステムとしていくわけで、そこまでにどれだけの人数が必要かということが明確に出ているわけですから、その辺の踏み込み不足はちょっと不満だったということでございます。

「地域包括ケアシステムの構築に向けて」について何点か申し上げさせていただきます。

これは提案です。報告書の中では、地域包括ケアシステムについて、「21世紀型のコミュニティの再生」という大きな名前がついております。長寿社会の地域社会のあり方をつくっていくということでは、このネーミングはいいと思うのですが、とするならば、もっと国民に宣揚すべきだと思います。ほとんどの人は地域包括ケアシステムを知りません。ひょっとしたら私たちの仲間も知らない可能性がございます。

宣揚するといっても、「ケアシステム」などという言葉で宣揚してもなかなか理解しにくいのでしょうけれども、一方では、消費税増収分の1%は社会保障制度の充実に使っていく。充実に使っていく中に地域包括ケアシステムが当然入っていくわけですから、こういった使われ方をしますよ、2025年にはこういうシステムで、皆さんが地域の中で安心して暮らせるような社会を築き上げていくのですよということを、もう少し計画的に宣揚していくようなプランニングなどもぜひしていただきたいと思いました。

特に在宅医療と介護の連携強化は長寿社会の社会づくりには大変大切だと思いますので、大賛成でございます。制度化することでフットワークがよくなるのであれば、制度化すればいいと思うのですが、制度化したことによるメリットはどういうことがあるのか、制度化することによってどんなリスクを背負うのかということがなかなか理解しにくい。リスクの面はなかなか書きにくいでしょうけれども、そういった制度化によるメリット・デメリット対比表のようなものがあると、賛成、反対の意見もまた違った視点で言えるのではないかと思いました。

第6期以降の介護保険事業計画を地域包括ケア計画と位置づけるということ、このネーミングをゴシックで強調するということで、私は賛成です。

事業計画の中に、人材確保のための記載も充実させるということももちろん賛成です。

県のほうの介護保険事業支援計画の中にはそういう項目があるのですけれども、市町村の中にはなかったということであるならば、書くべきです。

 加えて、2年前にも要望しましたが、市町村の事業計画の中に、御利用者や御家族の介護保険を利用するに当たって守るべきルールの啓発、こういったことも追加するべきだと思います。その啓発活動は市町村の責務において実施すべき。事業者に任せるということだけでなく、それは市町村がまず責任を負うべきだと思います。

 利用する方のルール、マナーのひどさの中で、労働意欲が減退したり、辞職につながることもあるのです。例を出してもいいのですが、そういったルールを守ろうという啓発も計画の中に入れていただきたい。

地域ケア会議が何回か出ておりました。読ませていただきますと、地域ケア会議を周知しても、なかなか市町村のサービスの高度化につながらないと書かれてありました。とするならば、つながらなかった理由、原因をちゃんと突きとめておかないと、制度化しても高度化は無理だと思います。

私が知る範囲では、恐らく市町村のやる気、あるいは部署のやる気、もっと言うならば、担当する方の熱意みたいなものですごく左右しているように思います。

結城先生もおっしゃっていましたが、熱意のある人も数年たつと異動するということであれば、同じことを繰り返すのです。そういったこともぜひお願いをしておきたいと思います。

質問です。

資料3の24ページに、地域支援事業の中で「在宅医療・介護の連携推進に係る事業を追加」として、追加した後に「他の事業とは別に委託可能」と書いてございます。これは非常に重要なポイントです。委託可能はいいのですけれども、委託可能先というのは、医師会のことだけでしょうか。あるいはほかにどういう事業体を考えていらっしゃるのか。その辺のことを確認させて下さい。

私のほうからは以上です。

○山崎部会長 布施委員、どうぞ。

○布施委員 国民会議の報告につきましては、地域包括ケアシステムの構築、要支援に対する介護予防給付を市町村事業に移行すること、一定以上の所得者の利用者負担の引き上げ、補足給付の見直しなどにつきましては、今後の介護保険制度の持続可能性を高めていくということを考えても、これは支持ができると考えております。

 ただ、被用者保険の介護納付金の総報酬割につきましては、後期高齢者支援金の状況を踏まえて検討するという形になっております。

 この件に関しましては、公費の肩代わりとなること、あるいは制度そのものの理念にかかわる問題でございますので、引き続き反対をしていきたいと思っております。

 次に、地域包括ケアシステムの構築についてでございます。資料3の22ページの「論点」にありますように、介護保険事業計画と地域医療ビジョン、あるいはまた都道府県の医療計画を連動させるということは重要かと思います。特に懸念をされております市町村の取り組みのばらつきを防ぐためにも、都道府県が積極的に関与して実効性を高めていくということが重要と思います。

次に、資料3の24ページに、在宅医療・介護の連携推進に係る事業を地域支援事業の中の包括的支援事業の中に位置づけるという提案がされているわけでございます。新たに追加される事業によって、財源になります第1号被保険者の保険料や公費負担の増加を招かないということが重要かと思います。ぜひ効率的な実効性の高い事業展開を図っていくということが重要ではないかと思います。

当然のことでございますけれども、先ほどの大西委員の意見とは全く逆でございますが、従来どおり第2号被保険者の保険料につきましては財源としないという方向で考えていくということが重要かと思います。

以上でございます。

○山崎部会長 小林委員。

○小林委員 在宅医療・介護連携の推進について、一言申し上げたいと思います。

 急激な高齢化により、介護に対するニーズがさらに増大する一方で、現役世代の負担が相当重くなっており、医療保険財政の極めて厳しい状況を踏まえますと、介護保険についても、サービス提供、負担の両方について制度面からの見直しが必要だと思います。

 在宅医療・介護連携の推進に当たっては、医療保険との連続性の視点が必要であり、市町村を主体として、医療、介護サービスが無駄なく、切れ目なくスムーズに提供できる体制を構築するという視点については理解いたします。

一方で、今後さらに費用負担の増大も予想されますことから、制度を支えている被保険者、保険料負担者に求められる負担全体の視点も尊重されるべきであります。

資料3の24ページで、医療・介護の連携推進に係る事業を介護保険法の地域支援事業の包括的支援事業に位置づけるとの提案がありますが、先ほど大西委員から財政負担についての御意見があり、今、布施委員からも御意見がありましたが、私どもは、財政負担については現在の枠組みを基本とすべきと考えておりますので、意見として申し上げたいと思います。

以上です。

○山崎部会長 それでは、齊藤委員、高杉委員の順番でお願いします。

○齊藤(秀)委員 まず、国民会議の報告書に関することであります。

非常に短い時間に集中的に御議論いただいて、大きな方向性を示していただいたわけでありますが、高齢者にとりましては幾つか痛みの伴う内容が含まれているわけであります。

しかし、この議論の過程を通じまして、報告書は基本的に尊重しなければいけないものではないかなと考えておりますし、その上でこの部会の方向性もあるべきなのだろうと思っております。

なお、その上で、本日の議題であります地域包括ケアシステムの構築に向けて、論点が5つ示されておりますが、いずれにつきましても、市町村の役割、責任が非常に重いものになっております。

市町村がこれまで以上に熱意を持って保険者機能を発揮していただくということは必要でありますし、そのことが住民パワーを引き出し、それに伴って制度だけに頼らない、インフォーマルなサービスが拡大していく可能性というものはあるだろうと思いますし、また、その方向は目指すべきことであろうと思います。

ただ、非常に重い市町村の役割・責任について、果たしてきょう御出席の大西委員、藤原委員がどういうふうにお考えになっているのかということは大変興味深く、参加をいたしました。

大西委員が不安と懸念を持っておられるということは率直な御意見だと思いますし、そのことについて、市町村の中には、全く意味そのものがわからないというところがありはしないかと危惧いたします。

その一例が地域ケア会議の話ではないかと思います。

私は、地域ケア会議は大事なものだと思っておりますし、困難事例に対して多職種が連携してアプローチしていくという考え方は、非常にすぐれた取り組み姿勢だと思っております。

しかし、一つ一つが大変難しいということがあるわけでありますから、これがよく理解されて機能するためには時間を要するということではないかなと認識しております。

その上で、結城委員もおっしゃっておりますように、自治体にどれだけの体力があるか、能力があるかということが一方で懸念される材料であります。そのことを考えていきましたときに、自治体をどういうふうにサポートするかということが非常に大事だろう。

その意味で、例えば介護・医療関連情報の「見える化」ということも大事な視点でありますけれども、市町村の職員の方々がお困りにならないような研修とか、情報の提供体制というものを今以上に丁寧に強化をしていく、不安のないようにしてあげるということが何よりも大事ではないのかと考えております。

高齢者の負担の問題をこれから具体的に御議論いただくわけでありますけれども、出せる人からは出していただくということは大原則でありますが、しかし、どの程度の人たちにその負担を求めていくかということは、今、サービスを利用されている方々のみならず、今後サービスを利用するであろう方々も、これについては大変不安を持っておられるということは事実であります。

したがって、常識的、無理のない範囲で皆さんにもお願いしていくということを目指さない限り、この制度の持続可能性ということも含めて難しさがあるのではないかなと思っております。

以上、意見として申し上げたいと思います。

○山崎部会長 高杉委員。

高杉委員が終わりましたら、また事務局からお願いいたします。

○高杉委員 日本医師会の高杉です。

 今までの45回の会議を踏まえてではないわけですが、私は介護保険の部会に出て2年目であります。しかし、医療と介護に区別はないはずで、やっと医療が論議されたということにちょっと感動を覚えます。今回の国民会議のまとめにもそのことがふんだんに盛り込まれている。まさにこれからは本当に医療も介護も融合したものにしなければいけない。

 そういう意味では、医政局マターで在宅医療支援事業というモデル事業をやり、応援をし、さらに地域で第三の医療としての在宅医療に医師会は取り組まなければいけないという運動を繰り広げています。

したがって、今回の地域包括ケアは、まさに国策でありますけれども、これについて、老健局と医政局は足並みを組み、厚労省が一体となって動き出したということは実感として感じられますが、さらに言えば、これは国全体の各局にまたがることがいっぱいございます。それをうまく連携し、機能させてほしいなと思っております。

医療の役割が非常に大切になってくるので、地域での在宅医療の展開は我々が責任を持ってこれから進めたいと思いますし、7月28日には、医療機関に足が向けられないお年寄りたちに、どのように必要かつ過剰でなく的確に医療を渡すかというテーマで「日本医師会在宅医リーダー研修会」というのを開催しました。今後、各都道府県医師会でそれが今度は伝達講師になれるようなシステムづくりをやっています。

つぎに第2番目ですけれども、私はずっと言っておるのですが、地域包括支援センター、あるいは地域包括ケアシステムの大もとになるところの地域包括支援センターが機能でみると2種類、3種類ぐらい役目があるだろう。全部を一緒くたにして論議するのではとても機能できないし、例えば地域ケア会議で地域の介護資源、医療資源を統合するような提案になれば、全ての地域包括支援センターに押しつけるというのはとても無理であります。

したがって、市町村でこういうものを考えるところの包括、基幹型と言うのでしょうか、そこには集中的に人を集めて、いろんな提案をする。個別のケアプランをやるところとは別に考えるという視点も必要なのかな。

あるいはそこには人員基準などということを当てはめないで、逆に言うと、ここをしっかりすれば地域の保険料は下がるというような発想で町づくりをすることが大切なのかな。

したがって、きょうの地域包括ケアシステムの中の地域ケア会議のところにありますけれども、もっと柔軟な、やわらかい発想がないと、これはなかなか無理だろうと思います。

もう一つ、そういう中で先駆的に取り組んでいる地域医師会がございます。これは市町村行政と手を組んで動いている。できないという話でなくて、そうやってやっているところもあるということを学びながらやっていくシステムが必要だろう。まさに市町村が俺の町をどうするのだということを真剣に考えることが大切で、大西委員がいろいろと言われましたけれども、まさに町づくりの原点は市長にありと思いますし、市長の配下で生き生きと輝く職員をふやすことだろう。それに我々が外から応援するということが大切だと思います。

○山崎部会長 それでは、ここで事務局からお願いします。

○高橋総務課長 まず、河原委員のほうから、「地域包括ケア」という言葉がまだ余り浸透していない、地域包括ケアについて国民の理解を得ていくような取り組みとか、地方自治体の職員に末端まで浸透していくような取り組みということで、御指摘のようにこれは大事だと思っております。

これまでもいろいろなセミナーとかに老健局の幹部職員を含めて、できるだけ出かけていって説明する。ことしもつい先般、7月の終わりから8月にかけて全国の各ブロックで地域包括ケア研究会の報告書などを含めたシンポジウムなどもやっておりますし、各地方自治体の職員向けのセミナーをセッティングしていただければ、職員を派遣するということもやっておりまして、来年に向けても取り組んでまいりたいと思っております。

齊藤委員から、国民会議の方向感として、年齢にかかわらず、高齢者であっても負担していただける方には負担していただく方向、大原則には賛同するが、不安もあるので無理のないようにという御指摘でございます。

そのとおりだと思います。一定以上所得の負担の問題ですとか、補足給付等々の問題ですとか、9月25日の部会で具体的な御提案をさせていただきたいと思っております。定率負担の1割、2割というだけではなくて、例えば高額介護サービスの上限の設定の問題、あるいは高額医療・介護合算とか、さまざまな多角的な仕組みで負担可能な範囲、無理のない負担がお願いできるような、そのところをまた十分わかりやすく説明していくということも大事かと思っております。そのような取り組みをしていきたいと思っております。

○朝川振興課長 まず、在宅医療連携拠点事業について、幾つか御質問と御指摘をいただいております。

まず24ページ目の委託の関係で御質問をいただいております。この在宅医療・介護連携拠点の事業を今回、介護保険制度上に位置づけて、地域支援事業の中に入れて充実をしようということで、そこのそもそもの背景ですけれども、まず第一に、これからは在宅医療・介護を本格的に充実していく必要がありますので、そういった大きい背景がございますが、それ以外に、今までも在宅医療・介護の連携の推進については、例えば診療報酬改定、介護報酬改定で幾つか取り組まれてきておるわけですけれども、なかなか報酬だけではこの連携の推進が万全にいくというわけではありませんので、それ以外の後方支援的なところをしっかりやる必要があるだろうという認識で、今回こういう事業という形で位置づけたい。想定される事業としては、資料3の25ページ目、多職種の会議とか研修を開いたり、そういう事業ですので、こういうものは報酬で直接何かできるというものでもございませんので、それを後方支援的にやっていこうというところに趣旨があります。

もう一つは、連携をするときに、例えばケアマネジャー側から医師、歯科医師、看護師等に対してアプローチをするというだけでは連携に限界がありまして、在宅医療連携拠点事業は、どちらかというと医療サイドから積極的にこの連携にアプローチをしていこうということで構想されているものでございます。

したがいまして、委託先の話に行きますと、どちらかというと医療に関する専門的な知識が強いところに担っていただくのがよりふさわしい事業だと思っています。

ですから、委託先をここでなければだめだというふうにする必要はないと思いますが、一番有力なものは、地域では地域の医師会があると思いますし、場合によっては、力がある地域包括支援センター自身がやるということもあり得るでしょうし、その他の団体もあり得るということでございます。

齊藤委員からありましたが、市町村の事務がふえて役割が重くなりますので、研修、情報提供をしっかりやっていくべきであるというところは、まさにそのとおりでございますので、それぞれの事業、地域ケア会議であるとか、在宅医療・介護の連携とかが今回取り上げているテーマでございますが、担う人もちょっとずつ違ったり、市町村の役割も少しずつ違ったりしますので、市町村の取り組みやすい支援については、きめ細かくやっていきたいと思います。

以上です。

○山崎部会長 それでは、内藤委員。

○内藤委員 ありがとうございます。

 国民会議の報告書の中で、「治す医療」から「治し支える医療」への転換、こういう視点を我々中間施設としての老健という立場から高く評価したいと考えております。医療と介護の連携、あるいは医療と介護を同時的に提供しながら支える医療という発想ということで、我々老健施設としても、老健の医師の研修制度を見直したりしながら質の向上に努めていきたいと考えております。

 先ほどから在宅医療・介護の連携という格好で話題になっておりますけれども、市町村に包括的支援事業を移行するという点についてです。我々が全国の会員から聞いているところで言いますと、やはり市町村のやる気といいますか、格差が非常に大きい。

地域に応じた包括的な支援事業という方向性はすばらしいと思うのですが、現実的にどうやって市町村をきちっと指導し、あるいはそこを評価できるのかということを慎重に考えていただければありがたいと思います。

地域ケア会議、そういったものに、我々老健には看護職もおりますし、医師もおりますし、リハ職も含めて、積極的に多職種で地域のケアマネジメントを果たしていくというような呼びかけを会員施設にはやっていきたいと考えております。

もう一つは、この報告書の中で介護職員の人材確保について触れておりますけれども、我々は人材確保については非常に危機感を持っております。国の政策の中では、介護分野、あるいは社会保障制度分野を成長産業分野だと位置づけていると聞いておりますが、これからの少子化の中で 本当に若者にやりがいがあって、夢が持てるような介護の現場、社会保障の現場、そういう産業、そういう成長分野として育てる、若者の雇用も研修も確保できるような分野を国の政策としてきちっと位置づけてほしいと感じました。

○山崎部会長 では、鷲見委員。

○鷲見委員 鷲見でございます。

先ほど来、介護支援専門員に対するお話が幾つか出てまいっているわけですが、高杉委員のほうからお話がありましたように、医療と介護の融合といった意味では、今後地域の医師会との連携というのは非常に大きな課題でありますし、いわゆる環境をつくっていく必要があるのだろうと考えます。

そこにつけて、我々自身も我々の手で実践力のある介護支援専門員の育成に力を入れていくことが必要だろうと思っています。

最近、特に自立支援型のケアマネジメントということが言われるわけですが、自立支援という場合には、本人さんの能力であるとか、環境、地域の実情、いろんな実情を踏まえた上で、利用者・家族とともに実現していくものだろうと考えます。

そうなりますと、その方の自立とは何かということをきちっと具体的に示す必要が出てくると思います。単に自立ということで、利用者が求めるサービスが制限されないように注意していくことがまず必要ではないかと考えます。

 また、指定権限に伴うことでございますが、適正なケアマネジメントを実践していくときには、地域の課題の評価と事業所やサービス事業所などに保険者が適切に支援していくことが必要だと考えます。

一方、我々が現在実感しているところでは、地域においては法令等の独自の解釈、いわゆるローカルルールというものが存在します。

我々はサービスを取りまとめるというところにおりますので、地域が小さくなればなるほどそこはローカルルールに傾く可能性がありますので、保険者機能を強化するためにも指導・管理という体制が必要だと思います。

特に指導・監査と適正化事業をともに担う状況が出てまいりますと、保険者に対して建設的な議論が妨げられないように、都道府県または国の適切な関与が必要だと思います。

最後に、地域ケア会議についてです。各市町村において、地域課題の整理と課題の明確化というものがまだはっきり見えてきていないように思いますし、また、地域ケア会議の開催もまだまだ数少ないものと思います。介護支援専門員と地域のケアマネジメントの専門職が一堂に会して適切な意見交換ができる場であってほしいと思います。

先ほどもアドバイスというお話がございましたが、アドバイスはもとより、その方のケースにとっての適切な意見交換という場であってほしい。いわゆる「介護支援専門員たたき」というような言葉もあるのですが、給付抑制だけに偏らないような御指導と機能強化。

地域ケア会議そのものの標準化であるとか、平準化、質の担保というものに対しても十分な配慮をお願いしたいと思います。

以上です。

○山崎部会長 河村参考人。

○藤原委員(代理 河村参考人) 私のほうからは、地域包括システムの構築であります。将来にわたって制度を安定化して維持をする、あるいは施設から在宅介護へのシフトを推進するため、給付の重点化、効率化を図ることが重要だということは承知しております。そういう点で、要支援、要介護が必要な高齢者は、誰でも住みなれた地域で安心して地域の特性に応じた多様なサービスを受けることを望んでいる。そのためにも地域包括ケアシステムは必要だという認識を持っております。

しかしながら、町村を取り巻く状況は今、そういう状況ではございません。

その点で、在宅医療・介護連携等々についても触れながら、この問題について皆様方に御理解をいただきたいと思っております。

在宅医療の拠点事業については、平成23年度から実際に始まっておりまして、資料でも示されておりますけれども、105施設がモデル事業としてやっているという状況で、これをもって27年度の第6期の計画から全市町村に義務づけるということはどうなのか。実施までの間に、支援センターを含めて、我々小さな町村にとってはサービス事業が全部賄えないという状況です。なぜかというと、参入していただける事業者がいない。

したがって、それぞれの町村が、ある一定の事業を町の単独で持ってやっているという状況です。大きな市あるいは大きな町は、事業者が参入して、それで賄えるという状況ですが、そういう状況ではありません。

また、人材の確保もそうでございますけれども、支援センターの中に社会福祉士あるいはそれなりの資格を持った人を確保する。こういう点についても必ずしもすぐに確保できるという状況ではありません。保健師も含めてであります。

そういう点で、先ほど齊藤委員が言われたサポートという意味なのですけれども、こういう人材確保についても、約900ある町村の小さなところに対する人材のサポート、あるいは人材の確保対策、そういうものも含めて実行しないとなかなか難しいなというのが実態でございます。

そういう点で、さらに医療・介護の関係者の連携を具体的にどうしていくかということについても、大枠的な部分だけを示されるのではなくて、もっと詳細に示していただきながら、それぞれの医療関係者、ほかの関係者の理解を得ないと、実際にはなかなか難しいなという気がいたしております。

実施については、私どもの町村会としての考え方でございますけれども、第7期の介護保険事業計画が始まりますときに、必須ということで法律的にやるのではなく、今から十分に検討していただいて、現在の段階では任意事業としてやっていただきたいと思います。

それらが完結できないと、現実には法律で縛られた部分が片肺飛行といいますか、内容が欠けて出発するということが起きるのではないかなと懸念をしております。

ケアマネジメントも法制化しようという考え方でございますが、先ほど申し上げましたように、ケアマネ、保健師、あるいはケアマネを取った人の確保。今、私どもではいろんな状況の中でケアマネが欠けて、それを補充するときに、私自身の町だけでも難渋しています。そういう点で、小さな町村にとっては、そういうケアマネを含めた資格者をいかに確保するかというのが大きな課題でございます。

そういう点で、市町村に一律的に必須条件として法律で決めるということについてはやめてほしい。というのは、各都道府県、市町村によって、今、現実にはそれ以外の事業所の指導あるいは監査等で町村もやっておりますけれども、それ以外の部分ということでありますと、都道府県におきましてはそれぞれの条例の特例条項がございますから、それぞれの都道府県の状況に応じながら、都道府県と協議をしながら、町村でも必要とする分があっていいし、そうでないところもあると思いますので、そういう部分については任意といいますか、希望するというところでやってほしいというのが実態でございます。

そういう点で、今、申し上げましたように、基本的に進む方向は是としますけれども、いろんな中身の問題についてはもう少し詳細に詰めて示してほしい、あるいはその部分をきちっとやってほしいというのが私ども全国の町村としての見解でございます。

○山崎部会長 それでは、桝田委員、山本委員、お願いします。

その後で事務局からまたお答えをお願いします。

○桝田委員 きょうは総論ということですので、国民会議の部分の中で、医療・介護のサービス提供体制の部分について、山崎部会長さんも努力されまして、医療法人と社会福祉法人改革が必要だという部分、私どもの意見も入れていただきました。

この中で、社会福祉法人が今、介護サービスの供給体の中で一番大きい位置を占めています。その中で介護サービスの質の向上とか効率化を図る観点、もう一つ、人材確保の観点から言うと、拡大をしていかざるを得ない。規模の拡大策というのが一つの解決策にならざるを得ない。

というのは、社会福祉法人自体がほぼ零細企業的な部分で、1つの法人の職員数というのは、多分100名未満だと思います。それではサービスの質も人材確保も難しい、キャリアパスも構築できない。

改革を進めていってそれなりの規模になってきたときに、当然広域化をするような形になっていきます。そうすると、1つの都道府県だけでなくて、かなりの地域に広がっていった場合に起こってくる問題。今、介護保険自体は、逆に市町村へ市町村へという形で小さい単位に変わってきている。

そこで起こってくる問題は両方とも必要な問題で、異論はないのですけれども、では、現実問題で起こるのは、効率化を図る部分で非常に阻害される要因がいっぱい出てくる。

今回の居宅介護支援とか、いろんな部分が地元におりていく、市町村におりていくと、指定権限は1カ所でないですから、複数のところに出さざるを得ないところが出てくる。そのときに、同じルールで全てが片づけば問題ないのですけれども、市町村によってルールが違う。

今回一番顕著に出ましたのは、処遇改善交付金であったものが処遇改善加算に変わった。そうすると、都道府県単位の申請と実績報告でよかったものが、地域密着型は全部市町村ですので、そちらのほうに申請をして実績報告を出す。そうすると、様式がかなりの部分で違うわけです。

例えば私どもは中心が徳島県ですけれども、徳島県と高松市にうちの事業所の分を出すと、書類が違うわけです。

なぜ違うかというと、徳島県と香川県がつくっている様式が違う。国が定めている様式にプラスアルファがみんなついてくる。

高松市の場合は香川県と同じなのですが、県が違うために変わってしまうので、とてつもない量の資料要求がされる。例えば給与改善額、毎月の給与改善、1人ずつについて総額を全部出して添付しなさいということで、こんな分厚い書類を出させられる市町村まで出てくる。

そこのローカルルールという部分をかなり考えていただかないと、事業者はいろんな部分で効率化を図って、介護報酬の単価が下がってもやっていける体制をつくっていこうとしたときに、そこでひっかかってくるというのが一つ起こってきます。それをこれからの一つの検討課題として考えていただけたらと思います。

もう一つは、今回の国民会議の中で触れられていない部分で、介護保険の中の小さな問題かもしれませんけれども、いわゆる中間経費と言われる要介護認定の事務的な部分、認定審査会の経費というものが、全国を通じた費用からすると、ばかにならないと思います。そこらの効率化を図る部分ももっと必要ではないか。いわゆる保険料には直接関係ないけれども、費用全体から考えると、市町村がそれだけの部分を負担している。事務的な経費をどう抑えていくかという観点も入れていく必要があると思います。

 もう一つは、措置から介護保険に変わったときの福祉的視点が、今回、低所得者に対するいろんな施策に変わっていってしまった。今までは福祉的な視点というのはもう少し幅が広かったはずなのだけれども、いわゆる低所得者に対してどうのこうのというのは、きっちり考えていっているのですが、それ以外の部分の福祉的視点がどうもそぎ落とされてきているのではないか。

生活支援的な部分。その部分をこれからどのようなサービス提供に結びつけていけるのか。それは地域支援事業の中に織り込んでいくという一つの方法がかなり書かれています。それを有効に活用すると、生活支援的な部分は救えるとしても、それ以外の福祉的視点というのをどこかが見ていく形をつくっていかなければいけないのではないか。

その3点を全体の議論の中に入れていただけたらと思っております。

○山崎部会長 山本委員。

○山本委員 まず、先ほど来いろんな委員から出ています地域ケア会議の関係ですが、私自身、たまたま縁がありまして、大分県の杵築市にお邪魔させていただきまして、地域ケア会議に出席し、傍聴させていただきました。

そのときの印象でございますが、振興課長から御案内があったように、当日は多職種で個別ケースについて議論をするという運営でありました。その中にはPTSTOT、管理栄養士等、総勢20名ぐらいの出席者で、そこに個別のケアプランを事業者が持ち寄りまして議論をし、PTOTST、あるいは管理栄養士からアドバイスがある。こういう内容でありました。非常にすばらしいものだと思いました。

また、いろんな委員から地域ケア会議について、今回懐疑的な御意見、風評が聞かれるという発言がありましたが、私自身、実際出席してみた感想としては、これを大いに推進していくべきだし、振興課長の説明にあった個別ケースについてアドバイスをするという主な趣旨で進めるべきだと思います。

また、利用者の声を聞く場が無い云々とありましたが、それは扱う課題によって利用者が参加すればいいので、個別のケアプランを議論する場には必ずしも利用者の出席は必要ないのでははないかとも思います。

そんなことで、地域会議についてはすばらしい制度で、これからも大いに推進していっていただきたいと思います。

その結果、そこの保険者、行政(杵築市)では認定率が下がり、また、保険料が抑制でき、ひいては市町村の財政の安定ということにもつながったということであります。

そういう意味からしますと、社会保障制度改革国民会議が目指す制度の持続性という観点からも、ただ単に地域ケア会議ということではなくて、制度全体が多くの市町村に適切に運用されれば大きな効果をもたらすものだということ。6月19日に出席させていただきまして、そういう印象を持って帰ってきたところであります。

ぜひ地域ケア会議の充実、あるいは多くの市町村で適切な方法で開設されることを期待したいと思っております。

その中で、行政の係長クラスの方が議長をしていたわけですが、その議長の力量によって会議が大きく左右されると思いますので、行政のほう、保険者としての人材の育成というのが非常に大事なのだろうと思いました。

保険者の係官は人事異動でかわってしまうという意見が出ておりましたが、そういう意味からすると、個人的な見解ではありますが、2回の報酬改定、あるいは2回の制度改正、法改正が体験できるようなローテーションも持つべきだなと思ったところであります。もう一つは別の件ですが、地域包括ケアシステムの構築については大いに賛成ですし、これが都市部から中山間僻地に至るまで制度が構築されれば、非常にうれしいと思っております。

ただ、その際に、地域密着型事業あるいは地域支援事業に民間事業者自身の参入が容易になるよう、参入主体の規制だとか障害になるものをなるべく取り除くような措置を検討していただきたいと思います。

言い方を少し変えれば、予防から配食、看とりに至るまで、全ての事業に全ての民間事業者が参入できるような措置を講じていってほしいと考えているところでございます。

地域支援事業については、3%の枠を当然見直されるものだと思っておりますので、枠の拡大についてどのようにお考えなのか、厚労省の方からお伺いしたいと思っております。

もし要支援1、2が地域支援事業のほうに移行していくということであれば、そのことによって、既存に利用していた地域支援事業との兼ね合いで支給限度基準額の枠が実質縮まってしまうということのないように、限度額の引き上げ等をぜひ検討していただきたいと思います。

最後に、デイサービスの関係であります。

デイサービスについては、資料上、機能訓練ということが出ておりましたが、もともとデイサービスについては一体何だったのかということを考えてみますと、まず第一に、生活の代替機能としてのレスパイトという点。

2つ目に、高齢者の社会参加を促す。

3つ目として機能訓練。

こういうデイサービスのもともとの機能があったはずであります。

その中で、機能訓練に重点云々というところは少し違うのではないかと思います。

機能訓練のデイサービスの機能を充実させていくこと自体に反対するものではありませんが、それに特化した方向性というのはデイサービスが元々持っていた機能からすれば、ちょっと違うのではないかと思っております。

そのことについては、例えばデイサービス自体の実際のケアプランの提供を見た場合に、訪問とデイサービス、あるいは定期巡回・随時対応型訪問介護看護の関係とデイサービスは、2つ、3つの事業と組み合わせて、認知症の独居高齢者あるいは老々介護の家庭がぎりぎりまで自宅で生活できるという事を可能にしている。

すなわち、デイサービスだけで議論というよりも、デイサービスはトータルのケアプランの中の一部としてケアプラン上位置づけられ、それで生活の代替機能、レスパイトを担い、それでひとりのお年寄りが地域で生活できる。こういう機能を担っているわけで、そういった総合的な視点で議論されるべきだと思います。

そういう点について特化した機能という方向性は一つ疑念を感じるところであります。

以上です。

○山崎部会長 それでは、事務局からお願いします。

○高橋総務課長 全国町村会の河村町長さんから御指摘がありましたけれども、今回さまざまな充実を図っていく中で市町村の事務がふえる。特に体制の弱い町村部などで懸念がある。このとおりだと思っております。

 今回考える制度改正では、そういう意味で、必須にするものと、必須にするけれども、経過措置で数年間、時間をとって段階的に進めていくもの。あるいは義務実施とするけれども、やり方にはいろいろ幅があって、まず基本的なものから、あるいはかなり本格的にできる自治体まで、ある程度幅を持ちながらやっていくものなど、幾つか仕分け整理が必要かと思います。このあたりにつきましては、また10月の部会で改めて整理してお出しして、御相談をしていきたいと思っております。

○朝川振興課長 予防給付を地域支援事業に見直していくという話に関連して、3%の上限を見直すべきではないかというお話があり、あれはどうなるのでしょうということでしたが、次回のテーマですので、詳しくは次回ということでお願いしますが、総論として言えば、要支援の予防給付は、全国で大体4,000億円から5,000億円ぐらいの規模でありまして、一方、地域支援事業の現状は、今、1,700億円ぐらいの事業規模だったと思いますので、1,700億円の規模を前提に3%の枠というのが設定されていることを踏まえれば、この上限のあり方というのは見直す必要があると考えています。

 サービスの利用限度が、今、予防給付でやっているサービスと地域支援事業で既にやっているサービスが組み合わさることによって、サービスの利用の限度が小さくならないようにという御意見をいただいたと思います。

 これも、いずれにしても要支援の給付を見直していく、検討していく中で、どういうあり方がいいかということを考えていくという話でございますので、まずは御意見を賜りながら詳細の設計をしていくというふうに考えます。

 デイサービスについて御意見をいただいております。

これも言わずもがなで、余り言わないので、御心配になるところがあるかと思いますが、介護保険は在宅サービスを重視していて、地域包括ケアはまさにそういうことを後押しするという話ですけれども、在宅サービスの中で、ホームヘルプサービス、デイサービスというのは中核的なサービスの一つであることに変わりはなく、今後もデイサービスというのが重要な在宅サービスの一つであるということも変わりないという認識を持っています。

国民会議とか指摘されているのは、在宅サービスの中でも、費用の大きな割合を占めるようになってきている現状を踏まえて考えていくべき。これがいいところかもしれませんが、規制を緩やかにしていますので、サービスの内容について多様なサービスの現状がある。したがって、サービスの内容に応じた報酬設定などを考えていくべきではないかという提言だと受けとめておりますので、決してレスパイトの機能が不要であるとか、そういう議論ではないと思っています。提供しているサービスの内容に応じて総合的に考えていくということだと思っております。

以上です。

○山崎部会長 それでは、齋藤委員から。

○齋藤(訓)委員 きょうは総論ということですが、社会保障制度改革国民会議の報告書を読ませていただいて、一番よかったなというか、こういうときがやってきたなと思いましたのは、「Quality of Death」という言葉が入ったことは非常に画期的だなと思っております。

人間には命が終わるときが必ず来ますので、尊厳ある死を迎えられるようにということで、各事業所単位ではいろいろ努力してきましたけれども、国の報告書にはっきりとこういったものを目指すのだということが掲げられたので、これに基づいて在宅系、居宅系のサービスが、人生の終わりに対して、いかに充実したサービス提供体制をつくれるかということが問われてくるだろうなと思っております。

この方向性を実現していくためにも、今回の地域包括ケアシステム、あるいは在宅医療と介護の連携推進というのは非常に重要になると思っております。

24 ページの連携推進の制度的な位置づけのところが、従来からいろいろ御意見があるところですが、地域包括支援センターが脆弱であることは、他の委員も指摘をしているので、これ以上申し上げませんけれども、一方で、在宅医療連携拠点事業が実施されて、地域にはいわゆる2つの柱があると思います。

将来的にはどちらかが地域包括ケアの拠点となっていくと思います。今はそれをつくり上げていく過程ですから、似たような会議や組織が乱立しているような状況ですが、地域の医療・介護のマンパワーも限られているので、幾つも並列して似たような組織が動くよりも、マンパワーが分散せずに、効率的な連携体制になるように注力をしていかないといけないと思っているところです。

もう一つはケアマネジメントについてです。ケアマネジャーの資質向上のあり方についての検討会で中間的な取りまとめをされて、私もメンバーでしたので、この方向性については賛同しています。本日の資料では、主任ケアマネが居宅介護支援事業所のケアマネジャーに対して、いろいろなスーパーバイズをやったり、研修を実施したりということがあらたな役割として位置づけられているのですが、そもそも、本来自分の所属している事業所で主任ケアマネとして何をしないといけないのかが、明確になっていないように思われます。

このままあらたな役割を増やしたのでは、主任ケアマネに様々な業務のしわ寄せがいくと思いますので、まずは主任ケアマネが、自分の所属先で何をやらなければいけないのかということを明確にしておくべきということ。

もう一つ懸念をしておりますのは、今、利用者の医療ニーズが大変高くなってきていますし、片や、医療制度改革により病院の在院日数が短縮化していく傾向がありますから、病院の治療が終わってほやほやの方が在宅に流れてくるという状況になります。それに合わせて、ケアマネジャーの能力を非常に強化していかないといけないということで、この検討会でもカリキュラムの改正や研修の充実という案が出ましたが、果たしてそれで間に合うのだろうかと非常に懸念をしております。

今後はより一層困難な事例がどんどん地域に流れてきますので、研修のシステムやカリキュラムの改正のみならず、もうちょっと違う工夫が必要になるのではないかなと思っております。給付費分科会のマターになるかもしれませんけれども、その仕組みについてはきちんと検討が必要ではないかなと思っています。

○山崎部会長 齊藤正身委員。

○齊藤(正)委員 地元で第6期の介護保険事業計画の策定にもかかわっていて、その中で非常に感じることなのですが、ニーズの把握に向けた調査などが既に始まっているところではありまして、調査項目を選定したり、私どもの地元の独特のものも入れたりしながら開始されていますが、そんな中で、既に今あるサービスを把握して、そのサービスがどの圏域にどの程度あるのかということまではつかめても、同じサービスでも特徴が違っていたり、必要量を把握することがなかなか難しい。

 地域によっては、何とか通りと呼ばれるくらい同じサービスがたくさんあるような圏域もあり、果たしてこれで圏域ごとにうまく割れるのだろうかという話が地元でよく出ます。

そんな中で、加えて将来を十分考えた上でサービスの見込み量というのを示していかなければいけないわけですが、必要量、どういうサービスがどれだけ必要なのかということと、同じサービスでも特徴がいろいろあって、例えばデイサービスで言えば、うちは認知症が得意だというところもあれば、いろいろとあると思うのです。

それをどう組み合わせていくかということも含めると、市町村に課せられたテーマはかなり大きく、重いものがあり、これをどう整理していったらいいかというのが大事です。

なおかつ、既に多過ぎてしまっているサービスもあるわけですから、これは恐らく各自治体でも悩んでいることだろうと思いますが、ケアマネジャーさんの数もそうでしょう。そうなると、居宅サービスの指定というだけでなくて、規制ではなくて、調整ということもこれから大事になってくるのではないか。もう作らないようにと言っているわけではなく、どのように役割分担をしたり、数を選定していくかということが大事だと思っています。

次は「見える化」の話です。「見える化」については賛成です。

今は特筆するところが見えるようになっているかもしれませんが、どんどん「見える化」のバージョンが広がっていき、いろんなパターンのところが出てくれば出てくるほど市町村にとってはとてもありがたいことです。

実際私たちの地域でも、他がどうなっているかのという議論がよく出るのです。中核市ですから、ほかの中核市はどうなっているのだろうかとか、ほかの都道府県ではどう考えているのかとか、そういう話はよく出てくることなので、とても意味がある。知りたいと皆さんが思っていると思うので、ぜひどんどん進めていただければなと思っています。

3番目は地域包括ケアシステムです。植木鉢は評判がよくて、とてもわかりやすくなったという話をよく聞きますが、問題はあの葉っぱだろう。土壌がちゃんとできたとしても、その葉っぱが均質に育っていくにはどうしたらいいかというのが課題だなという話になっていました。

 これは私が個人的に思っていることですが、地域包括ケア研究会では、自助、互助、共助、公助のマトリックスが出たと思うのです。おのおのはこういう意味合いだよということが書いてあったわけですけれども、あれはあれで終わりにするのはよくなくて、例えば私の専門とするリハビリで言えば、リハビリは、自助に対してどういうことが具体的にできるのか、共助に対して何が役割として持てるのか、公助に対してはどうかと。リハビリはサービスとしては共助のところだよとただ言われてしまうだけではきっと終わらなくて、そこから自助に対するアプローチ。例えば回復期の病棟であれば、自宅に帰られても、この部分は御自分で動いていただくためにどういうことを支援したり、アドバイスをしたり、そういうことをする。自助に対して、互助に対して、公助に対してリハビリは何ができるのかということを考える必要があるだろう。

そう考えると、例えば公助の部分で言えば、リハビリテーションの専門職の数というのはまだまだ限られているところもありますし、遍在しているところもありますから、それを地域包括支援センター等にどのようにサポートするのかというシステムを県単位ぐらいで考えていかないといけない。

実際地域リハビリテーションの支援体制が今、構築されている地域もたくさんあるわけで、そういうところと地域包括支援センターがうまく結びつくようなこと、県に任せるのももちろん大事ですけれども、こういう方法もあるよということを提案していく。これは私の仕事でもありますが、大事だと思っています。

デイサービスに関しては、山本委員と振興課長のお話を聞いて安心しました。敵か味方かという話ではないです。

私は、通所サービスというのはとても大事だと思っていて、それは在宅のサービスと施設のサービスの両方のよいところを持っていますから、レスパイトやソーシャルな部分を大事にしながら、おのおのの通所が持っている特色を生かしていって、冒頭にお話しした組み合わせ、各地域でデイサービスとデイケアが手を取り合っていく、そういうシステムができてくるといいなと思っています。

以上です。

○山崎部会長 では、小島参考人、久保田委員の順にお願いします。

○黒岩委員(代理 小島参考人) 私も都道府県の立場からちょっとお話をさせていただきます。

今回の国民会議の最終報告は、基本的な方向性として、この部会で議論されていたものがほぼ盛り込まれているのかなということで、全体的には賛成だと思います。

特に地域包括ケアの充実については、平成18年の介護保険制度の改正で、当時は「地域ケア体制の構築」と言っていたものが、「地域包括ケア」という名前に変わったということでありまして、従前から医療と介護の連携の強化は必要なのだということが言われ続けていたのですが、介護の側から見ていると、医療の垣根が高く、なかなか同じ土壌で議論ができなかったという背景がございました。

そうした中で、23年度、24年度に医政局が中心になって行った在宅医療連携拠点事業はすごくよかったなと思います。地域の医師会が中心になって在宅医療を考えていこう。そのときには医療の現場だけではなくて、介護の現場に対してもアプローチしていこうということで進められた。

ただ、惜しくは、これがモデル事業で24年度で終わってしまったということです。

今回、今後の方向性の中で、27年度以降は包括的支援事業として実施可能ということなのですが、その間のつなぎがない。そこが問題なのかなということで、我が県では地域医療再生計画を活用して、各市町村に手挙げをしていただいて、この事業を継続しようと。このような関係で継続性を考えていまして、まさしく医療の現場から介護のほうに手を差し伸べていただいた初めてのケースなのかなと思って、すごく歓迎をした事業であります。

 一方で、老健局の事業は多職種連携事業。これも地域ケア会議というものを位置づけるに当たって、どういうふうに進めていくのか。いろんな会議とか連携ネットワークというのは、人が命だと思うのです。ですから、コーディネートをする、リーダーシップを発揮する人をどういうふうに養成していくのか、発掘していくのかということもあるのかもしれませんが、そういう意味では、単純に顔が見える関係が構築できて、名刺交換からスタートして、この地域の課題は何なのかということから始まってもいいのかなと思っておりまして、24年度から始めた事業というのはなかなかいい効果が出ているのではないかなと思います。

ただ、これから27年度に向けていろいろやる中で、私どもは、33の市町村、政令市が3市、中核市が1市ございますけれども、こちらもアンケートをとりますと、今回の改革の方向性は基本的には賛成なのだけれども、どうなるか本当にわからないので不安であるということがほとんどでありましたので、お願いをしたいのは、改革のスケジュールまたは詳細な内容というものを早目に示していただきたいということ。

まさしくこれから地域支援事業の見直しによって市町村の役割が強化されますので、市町村と言っても、私どもは村もありまして、正直言っていろいろでございます。

地域の医師会も1市1医師会ということではなくて、幾つかの市が重なって1つの医師会を形成しているということもあります。先ほど大西委員が言われたように、医療行政は都道府県がやることという認識が根強いということがありますので、まず厚生労働省の中でも、医政局と老健局の垣根を少し取っ払って一緒に議論をしていただいて、都道府県の場合には衛生部局と民生部局が一体になってき始めたのですけれども、まだまだ市町村の場合には部署が違う。そういう縦割りのところがかなりあります。

今回の地域包括ケア、特に27年度からは介護保険事業計画を地域包括ケア計画として位置づけるということなのですが、それぞれの市町村でそこまでできるのかどうか。その辺もお考えいただいて、例えば複数の市町村で地域包括ケア的なものを考える。

従前、保健医療計画には地域医療計画の策定が義務づけられておりましたが、今次の計画では策定は義務づけられておりませんで、地域の課題というのは、全体の都道府県の保健医療計画の中に記載をしているだけにすぎないような内容になってございますので、その辺のところ、今回、保健医療計画との調和というのもあるのですが、複数の市町村、2次医療圏単位で包括ケアの指針になるようなものとか、計画に準ずるようなものとか、そんなものができるようなことを期待したいなと思います。

さらに、随所に「都道府県の支援」という言葉が出てくるわけでございますが、この支援についても、我々は分権の世の中でどんどん市町村に権限をおろしています。ただ、その過程で私どももいろいろサポートをしています。私も過去3回の介護保険事業支援計画をつくるに当たって、各市町村がつくる計画づくりの中で、サービス見込み量の調整であるとか、保険料の設定の調整にも直接参加させていただいて調整をしてきた経緯がございますので、そういう意味では、都道府県の役割というものをもう少し明確にしていただきたいなと思っています。

そういう調整機能が果たしてあるのかどうか。私自身はあると思ってやっておりますけれども、どこにもきちんとした法的な根拠がないというところがありますので、支援ということであれば、そういったところも明確にしていただきたい。

さらには、地域支援事業で一番心配しているのは、市町村みずからが自分たちの中で市町村格差が起きるのではないかと懸念を抱いております。ほとんどの市町村が、隣の市町を気にはするけれども、全体的には同率ではできない、同等の内容ではできないと言っておりまして、格差をすごく懸念してございます。

そういった意味でも、国民健康保険の制度にあるような都道府県調整交付金による、例えばすごくすぐれた取り組みをしている町村には地域支援事業の交付金を重点配分するとか、そういった仕組みの財政調整機能も持たせていただけると、私ども都道府県の役割も強化できるのではないかなと思いますので、その辺も御検討していただければありがたいなと思います。

最後に、ケアマネジャーの関係です。今回、主任ケアマネの更新制の話が出ているのですが、今までの流れからして更新制ということは容認するのかなと思いますが、ただ、人材育成が、例えば現場での研修とかそういう話になりますと、今、研修に追われているような状況、また、受け入れる施設側も業務に追われていて、養成校の生徒さんを受け入れることにもかなりの負担を感じているというところもありますので、そういったところもいろいろ配慮していただきたいなと思っております。

そんなことをるる申し上げましたけれども、次回以降、各論での議論ということでございますので、今後もまた意見を申し述べたいと思います。

以上です。

○山崎部会長 久保田委員、手短にお願いします。

○久保田委員 ありがとうございます。

 きょうの主要テーマであります地域包括ケアシステムの構築、とりわけ医療と介護の連携は非常に重要だと思っておりまして、基本的には資料3の論点に沿った形で進めていただきたいと思っております。

特に我々が関心を持っているところが3点ありまして、一つ目は、当面の施策に加えて段階的に地域包括ケアシステムの構築を進めるための施策についても盛り込むということ。これは非常に重要だと思っていまして、特に将来展望を示す上で、給付、保険料推計もあわせて盛り込んでいただきたい。

2点目は介護・医療関連情報の「見える化」。これも非常に重要だと思っておりますので、ぜひ進めていただきたい。

3点目に、医療と介護の連携推進のための拠点整備といったこともぜひ進めていただいて、顔の見える関係を構築することが重要と考えております。

とりわけこの連携については、医師会を中心とする医療関係者の御尽力が非常に重要だと思っておりまして、先ほどもう既に前向き、積極的に取り組んでいるというお話がございましたけれども、ぜひよろしくお願いしたいと思っております。

以上です。

○山崎部会長 では、伊藤委員、お願いします。

○伊藤委員 まず、国民会議の報告についてですけれども、社会保障制度改革の方向性というところで、全ての人々が働き続けられる社会ということが上位に位置づけられていることは非常にありがたいと思っています。

これを介護保険制度の今の見直しに引きつけて考えて、必要な介護保険サービスが受けられないことになることによって、介護の社会化という方向性が変わってしまい、必要な介護を抱える家族が出ることによって離職がまた進むということは絶対あってはならないので、こういったところをまず前提に議論を進めていく必要があると思っております。

国民会議の報告書の中では医療と介護というのはセットで書いてあるわけで、消費税の税収分についてもパッケージで合わせたような形で書いてあって、1.4兆円分の医療・介護相当のところがどれだけ介護に充てられるのかというのが、今の状況ではわからない。

これはわからない状況ですので、まさにこの介護保険部会で議論を進めて、どこに公費を充てるのかということについて議論を進めていく必要があると思っています。

そういう中で、医療従事者の確保というのは、明確に公費を充てるというものの中に位置づけられているのですけれども、介護労働者、介護従事者については、逆に反対解釈されるような書きぶりになっていることは非常に残念です。

きょうの「地域包括ケアシステムの構築に向けて」という資料のほうでは、介護保険事業計画を市町村でつくるときに、人材確保のための記載も充実させていくべきという論点が示されていますが、市町村で御努力していただけるというのはいいことだと思いますけれども、やれることは限られていると思います。

先ほどから出ているように市町村にはさまざまなレベルがありますし、ここはもっと広域的な対応が必要ですから、都道府県支援計画のほうにも当然あってしかるべきだと思いますし、介護労働安定センターで今、プラットホームの取り組みが始まっていますけれども、それとの関係もありますので、都道府県単位というのが一つあると思います。

もっと言えば、私がずっと言っていることですが、これは国の役割ということで、検討が必要だと考えております。

最後に、市町村の体制のことです。さまざまな委員から御指摘があるとおりでして、これを権限や、こういうことに取り組むべきという法律に書くとしても、自治体のほうで今、行政改革、人員削減が進んでいる中で、非常勤職員などに切りかえが進んでいますので、どうやって体制が組めるのかということを十分念頭に置いて、財政支援や体制も含めた検討を進めていく必要があると思います。

以上です。

○山崎部会長 林委員。

○林委員 済みません。時間になっていますけれども、次の2回は出られませんので、お時間を下さい。

2点簡単に話したいと思います。

1つは、結城先生がおっしゃった市町村の現場力の件です。包括ケアシステムの構築とか市町村への権限委譲によって、市町村職員のスキルアップ、もしくは人員拡充が必要になるというのは、皆さんがおっしゃったとおりだと思います。

ただ、今までおっしゃったような国からの情報提供や都道府県のサポートだけでは、今までさんざん言われてきたように、十分でないと考えられると思います。

これは市町村の福祉関係職員の人事をどうするかというかなり根幹のところにかかわってくると思いますので、これを今後どうするのかというのは真剣に議論しなければいけないかなと思っています。

今までどおり市町村に任せるのか。一部の市町村なら大丈夫でしょうけれども、多くの市町村では、任せきりではだめでしょうということになるかなと思います。

これは財源提供を含めて、国が何らかの形で介入する必要があるのではないかなと思っています。これが1つです。

2つ目は、これも後々のお話になるかと思いますけれども、負担に関してです。さまざまな制度でここからはこうだからといろんな数字が出てくると思いますが、1回データを虚心坦懐に見ていただく。例えば高齢者の所得別の消費パターンについて、全国消費実態調査の個票を用いてしっかり見ていただいて、どれぐらいの高齢者のどれぐらいの所得の人がどれぐらいまで負担でき、余裕があるかというのをイメージできるようなデータを出していただけると、ここでも議論しやすくなるかなと思います。

以上です。

○山崎部会長 それでは、事務局からお願いします。

○高橋総務課長 伊藤委員から、介護人材の関係で、消費税というのが、医療と比べて介護のほうには書かれていないのが残念というコメントがございましたが、国民会議の報告書本文では、30ページの(5)に「医療・介護サービスの提供体制改革の推進のために必要な財源については、消費税増収分の活用が検討されるべき」というくだりの中で、5行目「医療と介護の連携、生活支援・介護予防の基盤整備、認知症対策、人材確保などに活用していく」、このような記載があります。

一方、「法制上の措置」のほうで「介護の人材確保」という単語がないという点もあろうかと思うのですが、人材確保という点は、むしろ介護報酬改定マターになりますので、法律事項でないので明記されておりませんが、「法制上の措置」のほうでも「次に掲げる事項その他介護報酬に係る適切な対応の在り方」というのがありまして、そういうところで位置づけられていると思っております。

 林委員から負担の関係、しっかりとデータを整理して見えるようにしたほうがいいのではないかという御指摘がありまして、そのとおりだと思います。所得別消費パターンなどをイメージして、どういう負担になるのか、どういう所得レベルでどういう消費パターンなのかとか、そういう御示唆をいただきましたので、そのあたりの資料も準備して今後の会議でお出ししていきたいと思っております。

齊藤正身委員から、見込み量、必要量は圏域ごとにそれぞれ違いがあるし、また、その地域の中での供給過多のサービスもあるし、そういうところが市町村の調整もなかなか大変になるというお話がありました。

まさに介護保険事業計画を定めるときには、計画策定委員会で市町村のみならず、事業の関係者、皆さんが入って議論していく。また、地域ケア会議の全体の推進会議もそのような役割でありまして、保険者として市町村の役割がますます大きくなっていきますが、さらに事業の関係者、利用の関係者、また、利用者・家族の声を反映するような声も含めて、こういう会議の場で市町村単位で意見交換をしながら、みんなでよりよい介護保険をつくっていく、こういう取り組みが大事ではないかなと思っていますので、そのような推進を図ってまいりたいと思っております。

○山崎部会長 それでは、おおむね皆さんから御意見をいただいたと思います。

若干時間が超過しましたことをおわびいたします。

今後の介護保険部会について、事務局から御説明をお願いいたします。

○高橋総務課長 今後のスケジュールは資料4でお出ししたとおりでございまして、次回の本部会の日程は9月4日水曜日14時から17時まで、会場は全国都市会館大ホールを予定しております。どうぞよろしくお願い申し上げます。

○山崎部会長 それでは、本日の部会はこれで終了いたします。御多忙の中、ありがとうございました。


(了)

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