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2013年7月11日 政策評価に関する有識者会議第2回福祉・年金WG議事録
政策統括官付政策評価官室
○日時
平成25年7月11日(木)10:00~11:41
○場所
厚生労働省専用第22会議室
○出席者
高橋座長、梅田委員、菊池委員、山田委員 |
○議事
(以下、議事録)
○高橋座長
定刻になりましたので、第2回政策評価に関する有識者会議福祉・年金WGを開催いたします。大変暑く、また御多忙のところ、大学はそろそろ試験のシーズンですがありがとうございます。本日は、堀田委員が御欠席です。本日の議題は、議事次第のように、テーマの実績評価について、委員の皆様に御議論いただきます。「平成25年度に実施する政策評価について」、進め方を事務局より説明をお願いいたします。
○政策評価官
昨日付で政策評価官を拝命いたしました政策評価官の原口です。どうぞよろしくお願いいたします。併せて、本年3月31日付けで政策評価審議官の異動がありましたので御紹介いたします。山沖政策評価審議官です。
○政策評価審議官
山沖です。前職は、財務省で大臣官房担当の参事官をしておりました。どうぞよろしくお願いいたします。
○政策評価官
資料の確認を含めて御説明させていただきます。議事次第、座席図、有識者会議の参集者名簿、施策目標評価予定表の4点です。
評価予定表については、厚生労働省の72の施策目標を、どのWGで御議論いただくかを示したものです。「厚生労働省における政策評価に関する基本計画(第3期)」に基づき、5か年の基本計画期間中に、少なくとも1度は施策目標の実施評価書を、各WGにお諮りすることとしており、5年間で全ての施策目標について御意見を頂くことを予定しております。赤枠で○が付されているものがありますが、今年度各WGにおいて意見聴取をする政策目標です。
資料1-1から資料1-4までありますが、本WGで御議論いただく実績評価書及び参考資料です。参考資料1は有識者会議開催要綱、参考資料2は5年間の基本計画、参考資料3は資料1-1から資料1-4の事前分析表です。参考資料4は、福祉・年金WG分野のモニタリング結果の報告書です。落丁等がありましたら事務局までお申し付けください。
議事の進め方は、議事次第の順番で、テーマごとに担当課の入替えという形を取らせていただきます。1テーマごとの時間については約20分程度と考えております。まず、担当課より有効性の評価、必要性の評価等を中心に説明をしていただき、その後15分程度御議論いただくという形で進めさせていただきます。何とぞよろしくお願いいたします。
○高橋座長
本日は4本の実績評価・指標についてのヒアリングが予定されております。初めに「地域社会のセーフティネット機能を強化し、地域の要援護者の福祉の向上を図ること」(施策番号7-2-1)の説明を担当課からお願いいたします。
○社会・援護局
地域福祉課長の矢田です。どうぞよろしくお願いいたします。座長、それから各委員の皆様には社会・援護局、特に社会の関係では社会福祉全般、それから生活保護制度というもので大変お世話になっております。この場をお借りいたしまして御礼申し上げます。本日は、どうぞよろしくお願いいたします。
地域社会のセーフティネット機能強化、それから福祉向上についての説明をさせていただきます。まず指標の考え方を簡単に説明いたします。地域福祉関係の施策は本当に幅が広いです。地域コミュニティの関係から始まり、各種福祉施策の対象者、高齢者施策であるとか、障害施策、労働施策まで含め、そういう方々も対象にしております。切り口は違いますが、低所得者対策という切り口もあります。ネットワークの関係では、民生委員、児童委員の関係もありますし、800数十万いると言われているボランティアの関係も、この地域福祉の中に含まれます。地域福祉の施策の中心である、社会福祉協議会の体制、地方改善の対策等々非常に幅が広いです。
この中で「要保護者の福祉の向上」と書いてありますが、その対象となる要保護者を特定するのは難しいです。そういう意味で、逆にこの指標をどのように設定していくのかが1つの課題でした。非常に幅が広いので、1つとしては法律等に施策の根拠があるものにまず限っていこうか、中心にしていこうかという切り口。数値化することが比較的国民の皆様に分かりやすいというものを指標化、最近よく言われている見える化ということで指標にしていこうということでセレクトし、4つの指標を掲げさせていただきました。
第1の指標は、ホームレスの人数です。これは社会現象の1つでもあると言われていますが、住居も、生活費もない、言わば最低の生活状況の現れがどうなっているか。その観点でホームレスの人数を指標にしようということにいたしました。第2の指標は、ホームレスの自立支援センターの自立の人数です。施策の効果の切り口から指標として挙げさせていただきました。第3の指標は、福祉サービスの苦情処理対応状況です。福祉施設のサービスを中心にした、施設といっても高齢者、障害者、低所得者の施設もありますが、こういう施設全般の対応の観点からの状況ということでこの指標を選ばせていただきました。第4の指標は、日常生活自立支援事業の契約の件数ということで、在宅の方々のいろいろな諸施策がありますが、そういう中で在宅で判断能力が不十分な方全般の対応の観点での指標を挙げさせていただきました。この4つについて、実績値を並べてあります。
1ページの下の方で「実績値」です。各年度の数値を掲げております。一部、集計中がありますけれども、いずれの実績も目標値を上回る状況がここ続いております。私どもとしては、一定の成果を上げていると判断しております。
2ページで「有効性と効率性の評価」です。いずれも数値としては基準値を達成しているということで、一定の効果はあると判断しております。この中で、特にホームレスの関係に絞って説明をさせていただきます。
ホームレスの関係は、次の束になっている横になっている社会・援護局関係の資料を御覧ください。1ページで「ホームレスの数」です。平成15年度と比べて、平成25年1月に調査をしておりますが約8,000名超ということで、10年前と比べると67%減少しています。2ページはホームレスの方々に対する施策です。アウトリーチから始めるということで、巡回をして、それから緊急の宿泊施設、それから6か月の自立支援センターです。生活支援から始めて、ハローワーク等との連携をしながら、就労支援までを含めた支援を行っていきます。その後、在宅を確保した後もフォローアップということで伴奏支援なども行います。施策については、こういうものを毎年拡充させてきている状況です。対応の仕方については、NPO等の共同も積極的に取り入れてきました。
予算の関係は5ページです。ホームレス法ができ、平成15年度から施行されております。その当時は21億円でしたが、現在は約100億円という状況です。かなり増額したと見えますが、実は平成21年度の一時補正の所を見ると、平成21年度よりも倍増しています。リーマンショック後、ホームレスの方々の対応をしっかりしなくてはいけないということで、それまでは2分の1の補助でしたが、平成21年度補正からは10分の10ということで、積極的に国がこの対応を行っていくという方針を打ち出しております。この後に基金事業等を活用し、予算の確保を行いつつ、施策を拡充させてきている状況です。
その効果は4ページです。ホームレス法の人数ですが、ホームレス法では「路上生活をしている方」と定義をされていて、その調査の結果が8,000数百名になっております。最近よく言われているのが、路上ではない所、例えばマクドナルド難民と言われている方々とか漫画喫茶という所をグルグル回っていて、路上に出ていない方々が増えているのではないかと言われております。その1つの調査でもあるのですが、ホームレス自立支援センターに年間入っている利用者の数は、大体7,000~8,000名程度で、それも年々増えている傾向があるということで、路上に出ているホームレスの数自体は、いろいろな対策を進めているので減ってはきていますが、見えなかったホームレスになるおそれのある方々が、だんだんとこのホームレス対策の利用をしているという状況になっています。
ホームレス法自体の対象にはなっていませんが、予算上はこういうおそれのある方も対象にしていますので、この自立支援センターの利用者が増えているということです。このうちの3分の1は就労に結び付いて、自分で生活ができる状況になっています。あとの3分の1の方々は、障害者の施設とか、場合によっては年金を受けられるようになるとか、生活保護を利用するということで生活ができるようになりました。残りの3分の1の方々は、自分でこういう生活は嫌だということで、施設から出て行き、こういう方々がまた路上にということで、これは対策の1つの課題になっております。こういう状況で、かなり効果を上げていると考えています。
このホームレス法は、10年の時限立法で、昨年8月にこの法律が切れる予定でしたが、いろいろと議論を深め、更に5年間延長し、この法律を運用していくことになりました。5年ごとに国がしっかりとその施策の方針を決めるということが法律の中に書かれていて、現在、今年の8月からの新しい基本方針をパブリックコメント中ということです。このようなことで進めています。
今後の方向性については、同じ資料の11ページです。先の通常国会は6月26日に閉まりましたが、新聞報道でも重要法案が通らなかったということで報道されておりましたが、生活保護関係2法案の関係は審議未了で結果的には廃案になりました。この対策の中に1つ新法があります。「生活困窮者自立支援法案」ということで提出しておりました。
この法案については13ページを御覧ください。生活困究者の自立を図るということで、アウトリーチも含め、総合相談機能を充実させて、今までの縦割りの施策を包括的に相談を受け止める。そして、世帯に応じた支援をプランしていく早期、それから包括的に実施していくといった考え方での制度です。内容的には、住宅施策、生活支援、就労支援、学習支援を行えるように恒久化を図っていくという法律です。裏を返せば、これは正に地域作りの集約的な機能を持ち合わせる第2のセーフティネット制度の確立のための法律だと言うことができるかと思います。
4つの指標を示しておりますが、今後についてはもっと広くこの法律でカバーをして、制度化を図って推進していきたいと思っております。廃案にはなりましたが、また早いうちに再チャレンジということで再提出することを考えております。簡単ですが、以上私からの説明です。よろしくお願いいたします。
○高橋座長
時間は少々押しておりますが、ただいまの説明について、御意見、御質問等がありましたらお願いいたします。
○菊池委員
3点確認させていただきます。説明がありましたように非常に広い施策というか、補助金についてもいろいろなものが入っていて、どうやってピックアップするのかというのは難しいのだろうと思います。他にも、例えばセーフティネット支援対策等事業費補助金ですと触法障害者・高齢者の地域生活定着支援事業とか、それがここの範疇に入るかどうかは分からないのですが、少なくとも補助金の中には、そういう指数化できそうなものもあるのではないかと思うのですが、なぜそういうものがこの表の中に入ってこないのかをお聞きします。つまり、この施策の目標に対する他にも評価し得る指標があり得るのではないかということが1点目です。
2点目は、これもなかなか評価が難しいと思うのは、自立支援センターで68%という成果を上げているというのはそのとおりだと思うのです。中身が随分変わってきている。その対象者が随分変わってきていて、先ほど数字も挙げていましたが、横の資料の4ページで、平成23年度は就職による退所が3分の1というお話でした。平成15年度、平成16年度というのは、就職による退所割合は低いわけです。御案内のとおり自立支援センターへの入所者はこの10年間ものすごく大きく変わってきています。10年前は、いわゆる飯場でずうっと働いていた50代以降の方が非常に多かったわけです。平均年齢は、この10年で15歳ぐらい下がって、今は40歳過ぎぐらいだと思うのです。内容も本当に若い方が多くなったとか、対象者がかなり変わっている中で、68%という評価をどう見るか、というのはすごく難しいと思うのです。
例えば、就職による退所者の割合が増えているというのをどう見るか。いろいろな施策を打っているのは分かりますので、その効果が出ていると評価しているのか、そうではなくて若い人が増えて、就労可能者が増えた効果だと見ているのかという辺りで、この数字の中身の話なのですけれども、そこをどう分析しているのかをお聞きしたいのが2点目です。
3点目は評価そのものからは外れるのですが、是非勉強させていただきたいのです。これから新しい法案が出ていて、この辺は多分動くと思うのです。自立支援法案で、国庫負担4分の3ということですけれども、先ほどの説明のホームレスは10分の10ということでした。多くの補助金の国庫負担は2分の1というのが多いです。生活保護は4分の3です。自立支援法の4分の3というのはどういう考え方なのかをお聞きできればと思います。
○高橋座長
随分内容が豊富な御質問なのですがかい摘まんで、時間を見計らってよろしくお願いいたします。
○社会・援護局
第1点の指標の選択の関係です。確かに刑務所から出られた方の対策も社会・援護局で持っております。新しい事業と言えば新しい事業です。引きこもりの対策も、新しくセンター等を作って対応しております。そもそも、厚労省内の話で申し上げるのはなかなか言いにくいところもありますが、地域福祉そのものをストレートに対応できるというものではないと思います。理解は必要だと思っています。対象者像とか、例えば法務省の関係もありますので、今回はこの指標からは外させていただいております。
引きこもりの関係についても、対象者としては知的障害者も多いといった調査もあります。そういう意味で、これもストレートには地域福祉という所で整理するものではなく、関係はあるということで、今回は指標としては除かせていただきました。指標をたくさん作っても、なかなか判断が難しいので、そういう意味で広い範囲のものに絞り込んだ形のほうがよく分かるということにさせていただきました。
2点目の、自立支援センターの関係です。確かに先生がおっしゃるように、平成14年、平成15年よりも年齢的には、自立支援センターに入っている方は若くなっています。先ほどおっしゃいましたように、40代の方が非常に増えています。これはどうしてかというのは、やはり路上にいらっしゃる方が最初は対象だったのですが、おそれがある人にまで運用上広げてきました。そういう意味で、先ほど申し上げましたように、路上に入る手前の方々、要するに40~50歳の人が結構多いのですけれども、そういう方々が路上に出ないで、ストレートにこの自立支援センターに入ってきているという状況になっています。
こういう人たちが就労に結び付きやすいのかどうかということです。そういう中に入っている方々の状況を調べると、入ってきている方は若い方が多いのですが、かなり手を掛けないと就労に結び付いていかない。ちょっと言い方に語弊があるかもしれませんが、手帳は持ってないのですが、手帳寸前の知的障害をもった方が非常に多いのです。こういう方々が増えてきた。それではどのように就労の支援をしていけばいいのか、生活の訓練はどのようにしていけばいいのかということで、自立支援センターの中に精神福祉士を置くということも途中から始めています。そういう意味で、私どもはこの施策を改善していった、拡充していったことによる結果だと判断しております。
3点目の法案の関係です。ホームレスの関係は基金事業ということで、予算的には一年一年の勝負です。そういうこともあって、現在は10分の10ということで進めていますが、恒久的な施策として、予算をきちんと確保できるかといった場合には、通常の福祉施策では2分の1です。その中でも、最低生活保障の生活保護の場合には、一番高い負担ということで4分の3になっています。
ですから、恒久化する場合にはどう考えても4分の3が最高だろうと。生活保障を、憲法に基づく最低生活を保障する、その場合でも4分の3ですから、そこを飛び抜けるということは恒久化する場合にはない。それでは、今回の法案の各事業の4分の3の事業、3分の2の事業、2分の1の事業とあります。これは、生活保護世帯の手前の方々を対象にするということで、生活保護に落層しないようにという思いもあります。それから、生活保護世帯の方を、自立して少し上に上がったところで新法で引き受けて、更に上に上がっていただくという、ステップの段階の受皿ということも考えております。
そういう意味で、生活保護とほぼ同等というところもありますので、基本になる相談支援の事業、プランをきちんと立てて相談を受けて、自立の実施をするという基本的なところは4分の3とさせていただきました。そういう考え方です。
○高橋座長
時間のこともありますので、よろしくお願いいたします。
○山田委員
菊池先生と重なる所が多いのですけれども、最初に説明を頂きましたように、要援護者の定義の幅が広いということですので、まずは要援護者というのはどういう構成でいるのかということと、どこにフォーカスしているのかというのは、一応分かるような形に今後していただければ、国民への説明責任ということでは、もう少しこの施策の有効性・効率性が明らかになるのではないか。指標について、ホームレスを今回取り上げたというのは非常に分かりやすいと思いますけれども、まだ他の候補もあるのかと考えております。それが第1点です。
2点目は、新たな生活困窮者支援制度が成立することが期待されますので、早め早めにこうした施策の効果が分かるように、どういう統計を取ればいいのかというのは、今のうちから算段していただければと思います。
第3はマイナーなことですけれども、指標4については、日常生活自立支援事業の新規契約締結件数というのは、数値としては分かりやすいのですけれども、潜在的な充足はどれぐらいなのか、やはり何らかの形で割合にしていただければ。今回はこれで結構だと思いますけれども、次回以降はそうしていただければと思います。以上です。
○高橋座長
これは、要望ということですね。
○山田委員
はい、要望ということで。
○社会・援護局
はい、ありがとうございました。
○高橋座長
他にはよろしいでしょうか。どうもありがとうございました。ただいまの議論を踏まえ、実績評価書の修正というか何というか、意見を踏まえた検討をお願いいたします。ありがとうございました。
○社会・援護局
どうもありがとうございました。
○高橋座長
それでは、引き続き次のテーマをお願いいたします。
(担当課入替え)
○高橋座長
引き続き、施策番号7-5-1「戦傷病者、戦没者遺族等に対して、援護年金の支給、療養の給付等の援護を行うこと」について、担当課から5分程度で説明をお願いいたします。
○社会・援護局
社会・援護局援護課課長補佐の土岐です。「施策の概要」ですが、戦傷病者戦没者遺族等援護法に基づいて援護を、迅速かつ適切に行うとともに、戦傷病者、戦没者遺族等の経験した戦中・戦後の国民生活上の労苦を後世代に伝えるために、様々な施策を実施しています。「施策の背景・枠組み」「予算書」等々はこちらに書いてあるとおりです。
「測定指標」は3つほど設定させていただいております。指標1については私から、指標2と3については後ほど岩楯から説明させていただきます。指標1は、援護年金と弔慰金は申請を受けてからお支払いする流れになります。全受理件数のうち、請求を受理した後6か月以内に裁定を行った件数ということで立てさせていただいております。
そもそもの援護年金や弔慰金のスキームを御説明させていただきます。参考資料の1ページで「目的」です。国と雇用関係又はこれに類似する特別の関係にあった者が、公務(戦争)等により負傷・罹病又は死亡されたことに対し、国が国家補償の精神に基づき使用者の立場から補償するものです。厚生労働省の援護行政で対象としている方々は、この表の右側の点線です。左側の軍人のほとんどの方については、恩給法の対象ということで総務省の所管になります。軍人のうち恩給法の対象にならない、例えば内縁の妻といった方々に対しては援護法の対象にする。あとは軍属です。こちらに例を挙げておりますが、戦地勤務の雇員、よう人、それから元満鉄の職員といった方々のイメージです。準軍属ということで、国家総動員法に基づき被徴用者とか、軍の要請による戦闘参加者。例えば、沖縄で壕を貸してくれというような形で日本兵に壕を提供した方といった方々をイメージしていただければよいかと思います。そういう方々に対し、厚生労働省が援護年金等々をお支払いする形になります。給付内容は下のとおり「障害年金」「遺族年金、遺族給与金」「弔慰金」ということで、年々対象者は減っていますが、こういう形でやっております。
評価書に戻って「有効性の評価」です。これら事務処理については、前年度の実績値以上ということで目標とし、そのような目標として改善に努めてきた結果、請求を受理した後6か月以内に裁定処理をした割合は、平成22年度に92.6%となりました。平成23年度は前年度を下回っておりますが、これは請求者の死亡や、請求者、その親族と連絡が取れず書類整備が遅れたというやむを得ない事情によるものですので、これらの援護は迅速かつ適切に実施されていると我々は評価しています。
「効率性の評価」については、援護年金、弔慰金の事務処理は、請求から審査・裁定に至るまでの記録をシステム一元的な管理により、迅速化・効率化を図ってきております。その結果、事務費も削減し、迅速な裁定をすることができ、効率的な事業の実施ができたと評価しております。
一旦、指標2と指標3について岩楯から説明させていただきます。
○社会・援護局
社会・援護局援護企画課課長補佐の岩楯です。実績評価書で、私どもは「昭和館」と「しょうけい館」という施設の評価です。昭和館は、戦没者遺児をはじめとする、戦没者遺族が経験した、戦中・戦後の国民生活上の労苦に係る歴史的資料等を後世代に伝える。そういう労苦を伝える機会を提供するということで、平成11年3月に開設された施設です。しょうけい館については、遅れること約7年、対象者は戦傷病者及び戦傷病者の妻が、実際に戦地で体験した労苦又は戦傷病者の夫を支える妻の労苦といったものを、戦中・戦後の労苦を後世代に伝えていく目的を持ち、平成18年3月に開設された施設です。
「測定指標」です。昭和館、しょうけい館とも展示施設ですので、単純な指標としては入館者数の増減をもって毎年の目標としております。目標として掲げておりますのは毎年、前年度を上回るように前年度以上の入館者を得ることを目標としてやってきております。
「有効性の評価」です。両館とも同じですが、新聞広告や雑誌等、広報活動を対象の中心としております。子供たちということですので、小・中学校の学校関係者への来館の働きかけを中心として行っております。常設展示展以外に期間を区切ってやる特別企画展を開催して取り組んだ結果、平成24年度においては平成23年度を両館とも上回り、前年度の実績の目標値を達成しました。したがって、両館ともに国民生活の労苦を広く国民の皆様に継承していくという施策の目標については、達成したことと評価しております。
「効率性の評価」については、両館ともに広報活動なり、事業費を毎年抑制していて、それによって単純ですが入館者は、予算に対して増えておりますので、1人当たりのコストは減っているということで、効率性においても一定の評価をしております。
○社会・援護局
最後に「評価の総括」です。現在は戦後67年、来月で68年という時期になりました。そういう中で戦傷病者、戦没者遺族等は高齢化していて、施策の対象者は減少してはいますが、引き続き着実な援護の実施が求められています。戦中・戦後の労苦の記憶を風化させることのないように、しょうけい館とか昭和館の活動も通じ、確実に後世代に伝えていく必要があると考えております。したがって、平成25年度においても、こういう施策を引き続き続けていきたいと思っております。説明は以上です。
○高橋座長
御質問、御意見等はありますか。
○菊池委員
1点確認させていただきます。指標1ですが、これは6か月という基準にならざるを得ないのだろうかということです。年金機構だと、サービススタンダード2か月とか3か月というところでやっておられます。説明にもあったように、いろいろな記録の問題とか、だんだん縮小の傾向にある中で割ける人員という要因があって難しいのかどうかということです。
○社会・援護局
人員の問題というわけでは必ずしもない場合もあります。身分や死因等に関する事実関係の調査や、医学的な見地からの検討など、そういう諸々のものを引っくるめると、必ずしも早くできるものばかりとは限らないという感じです。
○高橋座長
他にはよろしいでしょうか。ありがとうございました。ただいまの議論にありましたが、よろしく対応を願いいたします。それでは、引き続き次のテーマに移ることにいたします。
(担当課入替え)
○高橋座長
続いて施策番号9-1-2「公的年金制度の信頼を確保するため、公的年金制度の適正な事業運営を図ること」について、担当課から5分程度で説明をお願いいたします。
○年金局
年金局政策企画官の梶野です。私どもは、年金記録問題を担当しております。資料は実績評価書と、横長の資料を使います。実績評価書の施策の目標に書いてありますが、「公的年金制度の適正な事業運営を図る」という目標です。その施策として2つ書いてあります。
私からは「年金記録問題の解決に向けた取組」について、御説明させていただきます。横長の資料の1ページです。そもそもこの年金記録問題の側面は大きく2つあります。1つは未統合記録問題ということで、平成9年に国民一人一人に基礎年金番号を振ったのですが、どの番号にも結び付かないものが約5,000万件あるというのが1つの側面です。2つ目の大きな側面は、記録の内容に誤りがある問題です。昔は、年金記録は紙で記録をしていました。昭和59年とか昭和61年にコンピューターに切り換えていったときに、紙台帳の記録がコンピューターに正しく移し換えされていないといった問題があります。大きくはこの2つの側面があります。
その上でどういう指標を立てているかというと、実績評価書の2ページです。1つ目の側面の問題である、5,095万件の未統合記録の問題については、指標1から指標3ということで、指標1は未解明の件数を減らしていくことを指標として掲げております。平成24年度現在で5,095万件のうち2,186万件がまだ残されています。指標2は、逆に解明していった件数を置いております。これが2,909万件です。指標3につきましては、受給者・加入者に特別便とか、いろいろ年金記録の確認をしていただくためのものを送らせていただいておりますが、これが未送達、届かない方に対して再送付させていただいて、その確認作業をしております。
指標4は、記録問題の2つ目の側面です。紙台帳をコンピューター記録へ移し換えたときの、紙台帳とコンピューター記録の突合をやっている状況ですけれども、この総数が7,900万人分を対象としております。7,900万人分のうち、平成24年度現在で6,000万人分のところまで突き合わせが来ている状況です。指標5から指標9までは、それぞれ諸々の指標、記録問題に関する指標を設定させていただいているということです。
その上で「有効性の評価」ということで10ページです。簡単に御説明させていただいたとおり、「ねんきん特別便」の送付などにより、1点目として、5,095万件のうち約2,900万件が解明されている状況です。それから、紙台帳とコンピューター記録の突合せ作業については7,900万人のうち約6,000万人という状況です。
「効率性の評価」ですが、例えば紙台帳とコンピューター記録の突合せ作業というのは、事業者に委託してやっております。当初は29の拠点において委託しておりますけれども、その事業者のうち低い価格でしていただける拠点から順次やっていただく方式を導入したりして、なるべく効率的にやらせていただいているということです。
11ページの総括で「現状分析」です。まだまだ解明していかなければいけませんけれども、一定程度、未統合記録の解明作業は進んでいるということ。紙台帳とコンピューター記録の突合せ作業は、平成25年度中に作業を終わらせる方向で鋭意進めているということです。
「今後の方向性」については、未統合記録の統合を図るために、本人にいろいろ事務所に問い合わせていただくためのキャンペーンをさせていただいたり、紙とコンピューターの突合せ作業については今年度終わるように進めていくということで、その他も含め、引き続き年金記録問題の解決に向けた取組を進めていきたいと考えております。私からは以上です。
○年金局
年金局事業管理課長です。「公的年金制度の適正な事業運営を図る」という中で、今御説明いたしました年金記録問題への対応というのは、近年の重要課題として力を入れて取り組んでいますが、これから私より御説明するのが通常の年金制度の運営業務の部分になります。
実績評価書の指標10以降です。年金制度については、まず対象者に年金制度に入っていただくという適用業務と、適用した方に実際に保険料を納めていただくという徴収業務と、老後などに年金を支払うという給付関係の業務の大きく3つがあります。さらに、これら3つに関連して相談業務、サービスの改善、オンラインの利用にも取り組んでおります。
国民年金の適用・徴収については、横長の資料の9ページに「国民年金保険料の納付率等の推移」がありますが、徴収率の低下が続いており、今ではおおむね60%を切る水準で推移しております。ただ、直近の平成24年度の当該年度に納めていただいた保険料の納付率が59%ということで、日本年金機構が掲げている目標値60%には到達はしておりませんけれども、若干回復の兆しを示しています。
厚生年金については、横長の資料の11ページと12ページに関係データを記載してあります。適用事業所数はおおむね170万事業所前後で推移していますが、11ページの上から3段目の「適用調査対象事業所数」というのは、従来、未適用事業所と呼んでいたものです。単に「未適用事業所」というと、必ず適用されるべきなのだけれども、未だ適用していないというような印象を受けますが、実際には調査をしてみると、適用すべきものも適用すべきではないものもあることから、誤解を招かないようにこういう呼び方にいたしました。
近年、労働保険などの関係行政機関のデータや、あるいは民間の事業所情報を活用して、社会保険の適用を受けていない事業所について積極的に調査を実施しております。その結果、以前は10万台で推移していた「適用調査対象事業所数」が、平成23年度は24万、24年度には38万という形で増加しております。これらについては、今後調査を行い、積極的に適用を図っていくこととしています。
厚生年金の保険料の収納率は98.1%となっており、国民年金とは違って、徴収がきちんとできていると考えております。
また、給付関係の事業については、指標14にあるとおり、給付事務に要する日数をサービススタンダードとして日本年金機構において設定しております。障害厚生年金の達成率は90%を目標にしているところ、59.3%ということでかなり乖離がありますが、その他については90%という目標をおおむねクリアしております。私からの説明は以上です。
○高橋座長
巨大システムの話なので、短い時間で議論はしにくいのですが、いかがでしょうか。
○山田委員
私からはコメントが2点あります。1点目は記録に関してです。記録1件を解明することによる費用は大雑把にどのぐらいかかるのか。今の説明ではだんだん難しくなっていくというように理解しました。多分そのコストが重要になってくるのではないかと思います。もちろん、記録は本人にとっては非常に重要なことですので、どんどん記録が明らかになっていくのはいいことなのです。一方で効率性の面からは、一定のところでコストもだんだん上がっていくことが予想されますので、そちらのほうについて、もし何か既にお手持ちの資料があれば教えていただきたいのです。
2点目は適用事業所なのですが、気になっておりますのは、非正規労働者で本来被用者保険に適用されなければいけないながらも、なぜか国民年金に来てしまっている人が、研究者の調査ではそれほど無視できない数がいるのではないかというおそれがあると。それについても、国民年金の収納率が下がってきたというのは、本来被用者保険に適用すべき非正規労働者が国民年金のほうに来てしまっていて、それで所得の問題でなかなか払えなくて、未納になってしまうという、アカデミックにはそういう研究があります。そういうところも含め、単に制度ごとに分けるのではなくて、労働者に対象の焦点を当て、どういう実態になっているのかについて。2点目は要望ですけれども、もし指標をより深めることができたら有り難いと思います。それ以外について申し上げる意見はありません。
○高橋座長
いかがでしょうか。
○年金局
1点目ですが、今まで年金記録にかかりました費用は、平成19年からやっていて平成24年度までで3,400億円です。毎年にかかる予算は減少ぎみです。それに対して国民の皆様の年金額の回復状況が、1年分で887億円です。65歳から平均寿命まで行くと、887億円を生涯額で計算すると1.8兆円です。直近の数字は減少してますが、それでも1年間でおよそ0.2兆円というペースでまだ増えております。その効率面だけでは考慮できないところもありますが、効率性の観点でも今言ったような数字が参考としてはあるのかと思います。
○山田委員
だんだんと、経済学でいう限界費用は高くなっているということですか。
○年金局
そうです。最初は統合が簡単にできるところで、今はそれほどはそうではないので、件数でいうとそういうことになります。
○山田委員
今のお話を聞いていると、そういう理解でよろしいのですね。
○年金局
はい。
○山田委員
そういう指標もあればと思います。
○高橋座長
もう1つのほうはどうですか。
○年金局
年金の適用の関係ですが、山田委員の御指摘のとおり、国民年金の適用対象者の中に、サラリーマンというか、非正規労働者やパートの方々が占める割合が高まってきていて、その方々が国民年金の未納予備軍になっているという問題は、私どもも認識をしております。この前の制度改正で、短時間労働者への厚生年金の適用拡大を行いましたが、今後も適用拡大について検討していくことが重要と考えております。現在、国民年金の納付率向上等について内閣官房にプロジェクトチームが設置されており、そちらでも厚生年金の適用拡大の議論がなされています。
また、適用事業所で働いている方に関しては、4年に一度、年金事務所が全事業所を対象として事業所調査を行っており、その調査の中で、被保険者の届出漏れがないかどうかというチェックもしております。
○山田委員
そういうチェックの結果も取り入れて将来的にはいただければと思います。
○梅田委員
2点ほど申し上げます。もともと、私は政策評価とか行政評価を専門領域としているので、その立場から申し上げます。一応事前に読んできて、横長の資料も読みました。今の説明を受けて、ああそういうことかというように私が思ったということは、実績評価書が外へ出たときに分かりにくい書き方がされているのではないか。なぜこんな分かりにくい書き方をしたのかなと、先ほどから考えていました。
問題は、本体ではなくて年金記録問題に焦点を当てています。国民の関心は強いと思うのです。これが公表されたときに、随分取り組んできたので、今はどうなっているのかなと見ると思うのです。私も一般国民の立場で見ました。指標1と指標2は、なぜこんな順番に書かれているのかなと。最初分からなかったときに、なぜこんな書き方をしたのかなと思うまま本日は来ました。
ずばり申しますと、未統合記録5,095万件が、最後の有効性の評価の欄にぽそっと書いてあるのです。これを読んだのですけれども、気付かないです。これとこれを足すと5,095万件になるのですね。指標1と指標2を足すとなりますね。私は、今お話を聞いていて足してみたらなりました。これは、私のような専門の者が読んでも分からなかったです。指標1と指標2を足すと5,095万件という数字になるというのが、今御説明を聞いてやっと分かりました。これは直さないと、表現を工夫しないと。要するに5,095万件あって、今まで取り組んできた結果これだけ解明されて、なお解明されないものがいくらあるということが、パッと見て分かるように書かないと、これは絶対に理解できないというか、私はこの場へ来て、説明を聞いて初めて分かったというような表記はやはりよろしくないので、是非修正していただきたいというのが1点目です。
2点目は、横長の資料の5ページとか、今後の取組の表現を読んでいて、平成25年度が済むとどうなるのかなというイメージでこの場へ臨んだというかお話を聞きました。それについてのコメントはなかったのですが、国民はここまで解明されたというのは分かる。実績評価書にも平成25年度は1つの節目だと書いてあります。これも分かりにくいのです。横長の資料を読んでいると、ほぼ解決されるというか、ゼロにはならないにしても、ほぼそういうイメージで書いてあります。実績評価書は、その辺は曖昧に1つの節目だという書き方がしてあります。そこの実態の見込みをお聞きしたいのと、国民としては、ここまで解明されて、平成25年度が節目と言っているけれども、どういう節目なのかというところ。少なくとも、もう少し書いていただかないと、国民に対する説明責任を果たしたことにはならないのではないかという感じがいたしますが、いかがでしょうか。
確認と、指標の書き方の修正です。直し方は簡単だと思います。なぜこんな回りくどい言い方にわざわざしているのか。
○年金局
大変申し訳ございません。非常に分かりにくいと思います。急遽横長の資料でこの構造を説明させていただいたのですけれども、これは直します。委員がおっしゃったとおり、まず5,095万件あるのだと。それで解明されたのがこうで、未解明がこうだ、ということを指標1に書いて、指標1と指標2の順番も逆にしたいと思います。
○梅田委員
これは逆だと思います。
○年金局
5,095万件あって、解明しているのが2,900万件で、残りの2,100万を減らしますと。
○梅田委員
こうやってやれば簡単な構図なのでね。
○年金局
大変申し訳ございませんでした。
○梅田委員
要するに、国民は素人で何も知らない。パッと読むだけですから、せめてもそういう表現にしていただきたい。
○年金局
本当に申し訳ありませんでした。これは、しっかり直します。それから節目というか、平成25年度までに一定の計画に基づいて集中的に行うということでやっております。平成26年度以降の在り方については、正に年金記録問題の特別委員会で議論しています。年度末に向けて報告書も作成していくわけです。その中でどのようにするか。未解明記録の2,186万件については6ページに書いてあります。6ページが、5,095万件の状況です。この下が解明されていない2,186万件です。そのうち特に4は特別便を送らせていただいたのですけれども、未回答で返ってこなかった。5は、そもそも記録を見ても持主が分からないところもあります。解明は全部やっていかなくてはいけない中で、今後どうしたらいいのかというのは、正に委員会も含めて検討している状況です。
○高橋座長
5,000万件と言われると、日本の人口の1億2,000万人の5,000万件と取られてしまって、政治的言語としては実に昔なら有効だったのです。ここに書いてあるように、関わりのある人たちがどのぐらいでと。当然歴史的な記録だから、死亡者だとか、所在不明とか、その辺のことが分かりにくく記述されているというのはおっしゃるとおりで、その辺のことをどのように理解していただくか。これは、国民の基本的な生活に関わる制度ですから、本当に技術的な問題と、システムの問題とかいろいろなことが複雑に絡み合っているので大変だと思いますが、よろしくお願いいたします。
他にはよろしいでしょうか。ありがとうございました。いろいろサゼスチョンもありましたので、分かりやすくすることを目指して是非よろしくお願いいたします。
(担当課入替え)
○高橋座長
よろしいですか。それでは、今日はもう最後ですが、施策番号10-1-1「国際機関の活動へ参加・協力や海外広報を通じて、国際社会に貢献すること」について、担当課から御説明をしてください。大体5分程度でお願いします。
○国際課
職業能力開発局海外協力課の内野でございます。1つ目の「アジア太平洋地域技能就業能力計画」について説明します。これはILO(国際労働機関)に対して拠出をしている事業です。中身としては、今アジア太平洋地域は34か国がILOに加盟しておりますが、全体的に見ると、職業訓練あるいは職業能力開発分野で、レベル、内容も差がありますので、先進的な取組、あるいはよい取組といったものを共有して、地域全体の職業訓練あるいは職業能力開発分野の底上げを行う事業です。そのために、ワークショップとか、あるいは好事例をまとめたものを配付するといったことを行っている事業です。額のほうはばらつきがありますが、全部で96,000米ドルを拠出しておりまして、額が変わっているのは為替レートが変動するからです。
評価としましては、参加していただいた参加者、ILOですので、参加者は基本的に対象国の政労使の三者が来て、ワークショップ等に参加していただいて、意見交換あるいは情報交換をして、最終的には、今後それらをどうやって自国の施策に結びつけていくかのアクションプランを作っていただく、ということを主にやっている事業です。
○国際課
細切れで申し訳ありません。国際課の有賀と申します。続きまして「国際労働機関拠出金事業」について、こちらから説明します。先ほど職業能力開発局からもお話がありましたが、国際労働機関(ILO)を通じて、主に東南アジア各国における雇用問題、労働問題の解決を助けて、ディーセントワーク(働きがいのある人間らしい仕事)の実現を図ることを目的とした拠出金の事業です。例えば、ベトナムなどの国で失業保険がないとかで、失業保険制度を作るとか、バングラデシュのような国でビルの倒壊などが起こっていますが、労働者の安全や健康を守るような事業とか。広く南アジアなども対象にしているのですが、その辺りの国のインフォーマル、ILOの専門書を使って、なかなか正規的な雇用に恵まれない方々に企業支援などを実施している事業です。事業の額ですが、平成25年度は4億865万9,000円で、平成26年度は精査中です。
こちらの評価ですが、いくつかプロジェクトがありまして、計画されたものをどのように達成しているかということで指標を測っており、予定されたものは全て実施をしています。評価自体はどのように行っているかですが、年に1度ILO側と年次協議をやっています。もちろんそれ以外にもやりとりはあるのですけれども、そこで事業の進捗、また、どのようにすれば効果的な事業ができるか等々、協議をして。また、プロジェクト自体は数年単位で行われますので、最終年度、途中年度に応じた実施にともなって、今後プロジェクトをどうしていくのか。また、存続、必要性等を検討して、初期の目標を達成した事業については終了していくというプロセスをとっております。以上でございます。
○国際課
国際課のWHO班の堀内と申します。続きまして、国際機関のWHO関係の「世界保健機関等拠出金事業」について説明したいと思います。「施策の概要」ですが、世界保健機関等が行う技術協力事業に対して、協力、支援をすることです。それから、世界保健機関(WHO)、国際合同エイズ計画(UNAIDS)を通じて、感染症対策やエイズ対策などの国際保健分野における諸課題への取組を強化することを目的としております。
予算の関係ですが、下の方に「世界保健機関等拠出金事業」ということで、これはWHOとUNAIDSとを合わせた金額です。簡単に申し上げますと、平成21年度は18億円あったものが裁量的経費ということで、対前年度マイナス10%という影響を受けまして、平成25年度は8億8,000万円強と、年々下がってきています。今年度についてはまた精査をしています。
指標3がWHOの指標です。WHOでまとめている報告書により、主な流行性疾患への備えと対応のために、国家準備計画と標準的作業手段が設置された国の数ということで、平成23年度まで出ていて、95%に達しています。平成24年度のものはまだWHOで発表されておらず、集計中です。
UNAIDSの方が指標4です。平成23年からカウントの方式が変わりまして、現在のもので申し上げますと、エイズ治療のために国連合同チームが技術援助を提供した国の数で、エイズの影響が大きい38か国を対象に報告をしております。平成23年度が18か国、平成24年度が32か国、平成25年度の目標が28か国で、既に目標を達成しました。今後ですが、平成23年から25年の3か年のものですが、平成27年度までには38か国を目標としています。
「有効性の評価」です。世界保健機関等拠出金事業ですが、先ほど申したように、WHOの方は95%の達成率です。それから、保健医療・公衆衛生分野においては、我が国はかつて結核で大分苦しめられましたが、その経験、技術がありますので、その経験を基に、WHOが行う国際的な保健・医療活動支援に貢献することが、世界全体の健康増進・疾病管理を通じて我が国の健康水準の向上をもたらすので、非常に有効性が高いと考えます。
UNAIDSの方ですが、国連合同チームがエイズ治療のために技術援助を提供した国の数は、平成24年度までに目標の28か国を超えて32か国を達成しております。UNAIDSへの拠出で、エイズの予防、それから治療ケアの拡大という国際保健の向上に資することにより、国際社会における日本のプレゼンスを示して、加えて、最近は日本でもHIVの感染が増えていると聞いておりますが、エイズの広がりを防止する観点からも、我が国にも有効性があると言えると思います。
「効率性の評価」です。世界保健機関等拠出金の所ですが、上が、WHOの方であり、感染症対策分野といった日本が国際的な影響力を保ちつつ、日本の国益に関係する分野とともに、食品安全分野・医療安全分野といった内政への直接的な影響が想定される分野に拠出しています。UNAIDSの方は、HIV感染者、エイズ感染者の治療にとどまらず、感染予防対策とか、感染者への社会的対応等に関してのモデルを各国に示すなど、各国連機関が実施するエイズ対策の調整を行う中核的な役割を果たしている機関であり、UNAIDSに拠出することは効率性が高いと言えると思います。
次に、「評価の総括」です。WHOとまとめて記載していますが、「現状分析」の上の方はWHOのものです。結核・マラリア等の感染症の克服、新興・再興感染症のアウトブレイクへの対応のみならず、非感染症疾患、国民皆保険等の保健・医療制度の拡充といった新しい課題に対応していくことが国際的に求められていて、世界一の長寿国の我が国が積極的に貢献していくことが必要とされております。UNAIDSの方は、日本を含めて世界のエイズ対策はこれまで順調に成果が上がっております。2015年のミレニアム開発目標達成、これは2015年までにHIVエイズの蔓延を防止、減少させるという目標と、2010年までにHIVエイズの治療への普遍的アクセスを実現するという目標も出ていまして、一層の努力がいるのではないかということです。長くなりましたが、以上でございます。
○国際課
続きまして、国際課でOECDを担当している千谷と申します。よろしくお願いします。「経済協力開発機構拠出金事業」について説明します。こちらの事業ですが、OECDにおいて、雇用労働・社会問題・保健医療分野など様々な課題に関して、多角的・総合的な研究・分析を行っています。具体的には雇用アウトルックとかヘルスデータなど、先進34加盟国のデータの更新を毎年行っていたり、あとはテーマを決めまして、OECD事務局の方が各国でレビューを行い、こういうふうに施策をしていけばいいのではないか、というような提言などをする事業を行っております。予算ですが、1ページで、平成25年度は2,670万5,000円となっております。
測定指標については、指標5と参考1が関係する指標になっています。こちらの数値についてはOECDのほうで、2年おきに「OECD事業実施報告」というPIRと書いてあるものですが、加盟国に対して、OECDの事業の利用状況を1から5の5段階のアンケート調査みたいなものを行った調査報告を2年に1回出しておりまして、こちらの数値について指標としております。可もなく不可もなくというのが平均の3で、それを超えることを目標としております。平成23年度、24年度に実施した事業につきましては、今年6月に各国のアンケート調査の結果を出したところで、来年年明けに発表されることになっておりますので、数値が少々古いデータになってしまっているのですが、最新のもので、平成21年度、22年度に実施した事業に関して、我が国が拠出した事業についての各国利用状況の評価平均は3.92と。また、参考としまして、全体の平均については3.75という数値となっておりますので、我が国が拠出した事業については平均を上回った形で、有効と判断されていると考えています。
今後についても引き続き、日本の国内情勢や制度を踏まえた質の高い事業が実施されるよう、国際会議等を通じてOECDで積極的に意見交換・情報共有などを行い、効率的な予算の配分を行って、有効な事業にしていければと思います。以上でございます。
○高橋座長
ありがとうございました。いかがですか。私から1つ、質問というか、難しいかなと思いつつ。これは全部、予算の執行額でいろいろなことが書かれているのですが、もう1つ重要なのは人的貢献なのではないか。人的貢献をどう表現するかは別としても、そこら辺の指標化というか、これも何かあり得るのですか。例えば、OECDもいろいろな人が派遣されて、そのプロジェクトを担うとか。WHOももちろん、それぞれの所でそういう形で、もちろんお金を拠出するだけではないはずなのですが、そこら辺は何か表現の仕方はあるのですか。
○国際課
国際機関にどれぐらい日本人がいるかというデータがありまして、例えば、拠出金を出した額よりどの程度日本人職員の割合が多いか。つまり、日本の拠出金の割合はこれぐらいで、それに対して日本人の割合がどれぐらいかというような数はあるのですけれども。ILOだけの話でいえば、これはいいかどうか分かりませんが、拠出金の額はそれほど高くなくて2%ぐらいですが、日本人の割合は4%になっていて、人的な貢献という意味ではそれ自体はできているのかと。少ない予算の面からいって、日本人が国際機関に対して貢献できることはあり得るのかと。それ以外の人的貢献ということで定量化するのはなかなか難しいかと思いますが、そういうものが一応あります。
○高橋座長
いや。よく言われたのは、お金ばかり出して人的貢献はしないではないかという議論がよく。これは任意拠出金なのでなかなか難しいと思いつつ、国連などではよくその議論がされているものですから、気になっただけですか。
ほかにいかがですか。もしよろしければ、そんなことで1つ。国際協力というのは効率性という概念からなかなか難しい概念だと思いつつ伺っておりましたが、何をやっているかを国民に広く知っていただくことが大変重要だと思います。ありがとうございました。
(所管課退室)
○高橋座長
皆さん他に何かありますか。
○梅田委員
参考意見だけ言わせていただきますが、測定指標の取り方というのは非常に難しいのですね。それで、最初のセーフティネットで他の委員さんからも、もっと指標があるのではないかと、私も同意見です。測定指標としては3つあると思います。1つは、トピックというか、ここ4、5年というか、国民的、社会的問題になったとか。年金記録など国民の感心も高い、行政上も課題となったというトピック、これも是非指標を挙げなければいけないです。
2つ目が、お金をたくさん使っているのは、是非1つは書かないと駄目だと私は思います。 お金をたくさん使っているものは、何か1つは取り上げないと国民が納得しないというか。要するに、予算の経費をここへ書くということは、総務省が旗を振ってやっとなったのです。私から言わせると、私は自治体でやっていたときの話なのですが、自治体は規模も小さいので、予算と成果を絶えず見るのが政策評価、業務評価なのですね。もともと基本なのです。国は規模が大きいので、ずうっとコストを避けて来たわけです。片や行政事業レビューで財務省主導で出てきたのだけど、やっと去年から総務省が旗を振って様式を統一して、必ずコストを書いてくださいとなって、厚労省としても書くようになったのが初めてなのです。だから、10年かかっています。政策評価法ができてから10年かかって、やっとコストが載るようになったのです。これは遅いのですが、書くようになったのはいいことです。ということは、お金をたくさん使っているものについてはできるだけ指標を挙げて、よくも悪くもお金を使った効果を見せないと駄目なのです。
3つ目は、先ほど座長がおっしゃったことと関連があるのですけど。私は行政価値という言葉を言っていますが、余りお金を使っていない、仮にお金を使っていないとか、世間的に余りトピックにもなっていないようなものでも、今後、行政が追求していく価値ですね。もともと政策評価はそれを極めるためにできた制度というか、作った制度なので。私は18年ほど前からこういうことをやり始めた人間なものだから、その思いが強いのですが。行政の価値を追求するために、行政評価、政策評価法ができたのです。
だから、トピック、それから、予算の義務、これは2つ目ですね。3つ目は、行政がこれから追求していく価値を表す指標、正に座長が最後におっしゃった。だから、そこは行政価値だから議論があるわけですね。それを追求するのかしないのか、考え方が違うから大議論なのですが、できるだけこの3つを書くのが測定指標の考え方だと改めて思ったのです。最後に、どちらかというと、この政策評価担当の方々へ。蛇足ですが、申し訳ありません。
○高橋座長
ほかに。時間がないので一言ずつ。
○菊池委員
梅田先生にお聞きしたいのですが、年金の所ですね。例えば、長期保険の効率性・有効性は難しいのですが、国民の信頼を得るという意味で、年金教育を若者中心にきちっとやっていくのが重要だと思います。指標化というか、効果はなかなか難しいですが、例えば行政として、これからそういうことをやりたいという場合にそれが1つのやり方。
○梅田委員
いや。本当はそれがメインなのです。それを示して、世間をリードするときはリードしていく。それがもともとの政策評価の心髄というか出発点なのです。講演みたいになるのでやめますが。
○高橋座長
いや。ある意味では、やはり反効率主義という言葉がなかったら、ある程度。ナショナルのアイデンティティとか一体性とかが保てないわけで。
○梅田委員
民間と行政は原理が全然違うわけだから。これは最近、余りにも似てると言われ過ぎてしまって。確かに効率も大事なのですが、もともと行政の原理と民間の市場原理は違うわけですから、今なおかつ違うのです。絶対に一緒にはなれないので。だから、公的な行政価値というか、それを指標にして示していくところに価値があって、それが政策評価なので。実は心髄なのだけれども、なかなか理解されない。単なる無駄カットというか、そういうふうに捉えられて私は非常に残念なのです。
○政策評価審議官
今の話で言いますと、まず、今の3つは我々も大切なことですし、今後、次年度以降はこれを基準に考えていくのが1つかと思います。ただ、重要なのは、先ほどから梅田先生もおっしゃっていたように、人によってこれとか、これとか、見方がいろいろあるものですから、本来はこの事業評価をする前に、昨年3月にやっておいたほうがよかったのですね。我々も昨年3月にやるのをなかなか気がつかなかった、試行錯誤のところがありまして。今年3月の時点では事前に皆さんに御議論をして、新年度については測定指標も含めて、こういうことでという話をさせていただきました。また、今後いろいろと、こういう指標があるのではないかというのがあれば、言っていただければ。例えば、今回の実績評価書につきましては、これ自体、この指標は昨年も別途、現下でこれを言うのもあれですが、我々のほうで勝手に作ったもので、本来ならば昨年3月、これを作る前にやっておくべきだったかもしれないと思います。それも直すことにしています。
今回はこれを基準にするしかないのですが、将来的には中身を変更することは可能です。後ろのほうにも付いておりますように、事前評価だけではなくてモニタリングという制度もありますので、こういうふうに皆さんに御議論をいただく以外の年はモニタリングという形で別途を作っております。そちらのほうにはどんどん反映させていこうと思います。ですから、要は必要に応じて中身も変えていこうと考えておりますので、逆に、最後に座長がおっしゃられていたように、こういう人的なものも入れたらどうかという御意見を頂けますと、我々も、そういうのも入れたもので更にブラッシュアップしていくことを考えていくのかと思います。
○山田委員
今、梅田先生が18年間追求しておられた中で、3種類の選ぶべき指標とは何かと、頭が整理されて非常に有り難かったです。私もずうっと考えていたのは、行政が追求すべき価値で、3つ目ですね。それが肝だというのは、今、御説明いただいたのでよく理解しました。目立たないけれども、行政サイドから、次にはこれが重要だということで、それに対して我々もそうですねというふうな対話というか、コミュニケーションというか、それをまた国民に伝える重要性は私もおっしゃるとおりだと思います。
○高橋座長
厚生労働省は事業型官庁なのだけど、法務省などはどうやって制裁を課すのか、そういうことを含めていろいろなことを。平成15年以来、いろいろな形でフォーマットもチャレンジして直してはきたし、いろいろな議論をしてきましたので、このワーキンググループもそれぞれのワーキングによって、また今日のような議論が出ていると思いますので、もう少し集めていただいて、また全体会議があるときに議論していただくと。そんな感じで取り運んでいただくことで、今日はこれでお開きとします。ありがとうございました。
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