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2013年8月23日 第2回スイッチ直後品目等の検討・検証に関する専門家会合 議事録

医薬食品局総務課

○日時

平成25年8月23日(金)


○場所

厚生労働省講堂(低層棟2階)
東京都千代田区霞ヶ関1-2-2


○議題

1.スイッチ直後品目及び劇薬の特性等について
2.その他

○議事

○尾崎薬事企画官 それでは皆様、お集まりいただきましたようなので、ただいまから第2回スイッチ直後品目等の検討・検証に関する専門家会合を開催します。

 構成員の皆様方におかれましては、御多用中、本検討会に御出席いただき、誠にありがとうございます。開催に当たりまして、本日はとかしき大臣政務官にお越しいただいていますので、政務官より御挨拶をいただければと思います。

○とかしき政務官 おはようございます。厚生労働大臣政務官を拝命しておりますとかしきなおみです。本日は、第2回スイッチ直後品目等の検討・検証に関する専門家の会合ということで御参加をいただきまして、私からも御礼を申し上げます。第1回目はちょっと公務が重なって出席することがかないませんでしたので、今日は第2回目ですが、これから参加をさせていただきたいと思います。

 改めまして、今回、委員になっていただきましたことを厚く御礼を申し上げます。特に6月に閣議決定をさせていただいた日本再興戦略会議で「スイッチ直後品目」と「劇薬指定品目」について、医薬品、医療用に準じて慎重な販売・使用を促す仕組みについて、今回検討をいただくことになっています。

 どうも、国民の皆様の中には、薬を飲めば治るものである、リスクはそんなに高くないのではないかと、まだまだそういう誤解を招いている方々が多くいらっしゃいますし、良く効く薬はそれだけリスクも大きくなることを、やはり1人でも多くの国民の皆様に理解していただき、さらに専門家の先生方にも、そういった発進をしていただくためには、どうしていったらいいのか、そして、専門家の関与の度合いをどういうふうにしていったらいいのか。今回は、そういったことを検討していただく大変重要な会議となっています。

 是非、医学や薬学の専門である先生方から忌憚のない御意見をいただき、これからの国民の命と健康を守るために、この薬の行政を通して大きく貢献できるようにお力添えいただけますことをお願い申し上げて、本日の御挨拶とさせていただきます。どうぞ、よろしくお願いいたします。ありがとうございました。

○尾崎薬事企画官 それでは、はじめに、出席状況について御報告します。本日は、飯島構成員より御欠席の連絡を頂いています。

 次にお手元の資料の確認をさせていただきます。配布資料は、議事次第、座席表、本検討会の開催要項の他、資料1「スイッチ直後品目の製造販売後調査について」、資料2「スイッチ直後品目の副作用報告(死亡症例)」、資料3「長期連用等によるリスクについて」、資料4「イブプロフェンのリスク区分の見直しについて」、資料5「劇薬指定成分について」です。

 その他参考資料として、参考資料1「第1類医薬品が医療用として販売されていた時の副作用発生状況について」、参考資料2「一般用医薬品及び劇薬について」、参考資料3「スイッチ直後品目等の一覧」です。以上になります。

 不足等がありましたらお申し付けください。よろしいでしょうか。

 そうしましたら、カメラのほうはここまでとさせていただければと思います。

 以下の進行につきましては、五十嵐座長にお願いしたいと思いますので、よろしくお願いします。

○五十嵐座長 みなさん、おはようございます。それでは議題に入りたいと思います。

 前回、御指摘いただきましたいくつかの点につきまして、事務局から資料が提出されておりますので、議題1として御説明をお願いしたいと思います。

○山本副作用情報専門官 それでは事務局より資料の御説明をさせていただきます。まず、資料1「スイッチ直後品目の製造販売後調査について」を御覧ください。前回の検討会におきまして、製造販売後調査のモニター店のカバー率などの御質問をいただきましたので、スイッチ直後品目の製造販売後調査について、改めて御説明をさせていただきます。1ページを御覧ください。前回も簡単に触れさせていただいていますが、製造販売後調査は、1.特別調査と2.一般調査の2種類の調査により行われます。非常に簡単な言い方をさせていただきますと、特別調査は、副作用の発現の有無にかかわらず一定の数の使用例を調査し、副作用の発現頻度を調べるもの。一般調査は使用者の数を限定せず、有害事象の報告を広く集めるものです。

 はじめに特別調査の流れについて御説明します。特別調査の調査対象患者数は内用薬が3,000例、外用薬が1,000例ですが、この対象患者数に応じて、まず製造販売業者が当該医薬品を取り扱う薬局、薬店の中からモニター店を選定し協力を依頼します。そして、それらのモニター店で当該医薬品を購入する購入者に対してアンケートへの協力が依頼され、承諾していただいた購入者に対してアンケート用紙が渡されます。購入者は医薬品の使用後に副作用等の有害事象の発生の有無にかかわらず、受け取ったアンケート用紙への記入を行い、購入した販売店に届け、届いたアンケート用紙をメーカーの担当者が回収・集計を行うことで調査が実施されます。

 前回、御指摘をいただきましたモニター店の選定について御説明をします。2ページです。こちらは製造販売後調査の実施方法を定めた基準についての指導通知です。さらに4ページは実施基準の内容ですが、このうち2.調査の(1)特別調査、1)「モニター店による副作用頻度調査」を御覧ください。このうちの1)に、調査予定施設数:施設数は特に限定しない。ただし、調査地域に片寄りがないように配慮する。2)調査予定例数:原則として内用薬は3,000例、外用薬は1,000例とすると記載されているとおり、実施基準においては特に施設やその選定方法については定められておらず、各製造販売業者の自主的な運用により決定されています。

1ページ目に戻り1.1つ目のポツで、モニター店の数は、こちらの資料にはおよそ1002000施設と記載させていただきましたが、こちらは過去の事例のうち、最も多いもの、少ないものの概数を示しており、実態としては製品の販売数の予測や各企業の判断により、おおよそ500件~1,000件の間で設定される例が多いようです。また、全国の一般用医薬品の販売店の数はおおよそ数万件ですので、モニター店のカバー率は全体の数パーセント程度になると御理解いただければと思います。また、取扱い店の中からどういった店舗を選ぶかといったモニター店の選定方法については、先ほど御覧いただいたとおり、基準では調査地域に片寄りがないようにする以外は特段の規定はなく、実態としては企業によってやり方はさまざまなようですが、例えば全国の北から南まで各地方の営業所ごとに店舗数を割り当てて、各営業所ごとに協力してもらえるお店を探すやり方によって、特定の地域に片寄りが出ないように店舗を申請しているとのことです。このようにして選定されたモニター店においてアンケート用紙の配布・回収が行われることになりますが、アンケート用紙では、副作用発生の有無のほかに使用目的、症状に対する効果がどうだったか、あるいは添付文書の説明に分かりにくい点がなかったかなど、医薬品の適正使用に関する質問項目を追加しても良いこととされています。

 また、購入者から店頭に提出されるアンケートの中に、体調に異変があったなど副作用の発生を疑わせる回答が含まれていた場合には、医薬品との因果関係の有無を判断するため、販売店でアンケートを受け取る際に、発生した症状の詳しい内容や医薬品の服用状況、アレルギーの有無、併用薬などを薬剤師が具体的に聴き取った上で、その結果も併せて製造販売業者に報告することとされています。これらの調査は、購入者から回答をいただいたアンケート調査票が各モニター店合わせて3000例を超えるまで続けられ、その結果を集計することで、関連が疑われる副作用の内容とその発生頻度を分析することになります。

 続いて2.の一般調査ですが、薬局、薬店に対して、購入者から副作用の報告があった場合に、必要な情報を聴き取った上で、製造販売業者宛てに連絡をしていただくよう、当該医薬品を取り扱う全ての薬局、薬店に対して文書にて協力依頼を行うことで、有害事象に関して広く情報収集をするものです。また、薬局、薬店に寄せられた情報だけでなく、例えばメーカーのお客様相談センターのようなところを通じて、製造販売業者に直接報告があった場合についても同様に情報収集を行うこととしています。また一般調査は、特別調査のように3000例を超えた時点で終了するのではなく、承認条件で指定された調査期間が終了するまで続けられることになります。

 これらの特別調査及び一般調査は並行して実施されますが、その実施開始に当たっては、アンケート調査項目などを定めた製造販売後調査計画書を作成し、PMDAに提出すること。また、中間報告書や最終報告書も提出することが求められています。その後、調査期間中に情報収集した副作用の発生状況の分析結果に基づき、リスク評価を行っていくこととなります。

 駆け足の説明となり大変恐縮ですが、資料1の説明は以上です。

○五十嵐座長 どうもありがとうございました。スイッチ直後品目の製造販売後の特別調査と一般調査につきまして、具体的に説明をいただきましたが、何か御質問、御意見ございますか。

○池田構成員 このアンケート調査は非常に重要だと思うのですが、実際、回収率というのは、恐らく、それぞれのメーカーが指定した施設によって変わってくると思うのです。それからシークエンシャルにこうやっていくことになるのでしょうか。それでシークエンシャルにやっていって回収率がどれぐらいかとある程度みていくと、それぞれの施設がどういうような役割を果たしているか分かると思うのですよね。その辺について、何か情報を教えていただきたいと思います。

○山本副作用情報専門官 回収率については、御指摘のとおり、患者さんに、購入していただいた方にアンケート用紙をお渡しして、御自宅で記入して持ってきていただくという制度ですので、例えば忘れてしまったり、あるいはその薬局、薬店になかなか行く暇がなくて御回答いただけないといった患者さんも多数います。ですので、品目によって回収率に相当ばらつきがありますので、ちょっと一概に申し上げることはできないのですが、調査自体は回答が3,000例になるまで続けることになります。それが集まるまで、例えば3,000例集めるのに対してモニター店が1,000件であれば、1店舗当たり3例になりますので、その3例の患者さんの回答が集まるまで調査を続けていただくといった形になります。

○池田構成員 お聞きした理由は当然のことなのですが、結局、そういうのに協力してくれる人と、何もなくても回答を寄せてくれる方もいらっしゃる。そういう方はどちらかというと薬局とのコミュニケーションがいい方で、やっぱり医薬品のリスク、あるいはベネフィットに対して、多少なりとも理解があり、協力してくれる方だと思いますね。

 むしろ、全くそういうリスポンスがない方の中にやっぱりリスクがあったり、あるいは副作用があったりしても、隠れていることが往々にしてあるわけですから、その辺のところを明らかにしていかないといけないとちょっと思ったものですから、回収率について聞かせていただいたのです。

 今後、地域の薬局、これは医師でもそうだと思いますが、やっぱり患者さんと医師のコミュニケーション、あるいは薬局と患者さんたちのコミュニケーションがよくいっている場合はこういうシステムはうまくいくと思うのです。私も医者ですけれども、昨今、医師と患者のコミュニケーションの不足がいろいろな問題を投げかけているという指摘があちこちで見られるわけですけれども、そのコミュニケーションをうまくやっていく地域の薬局の役割と、あるいは地域の医師の役割というものと非常に共通したものがあると思いますので、その辺をもうちょっと改善していかなければいけないと思います。

○五十嵐座長 よろしいですか。ほかにいかがでしょうか。

 それでは、次の資料2の説明をお願いします。よろしくお願いします。

○山本副作用情報専門官 続きまして資料2について御説明します。資料2「スイッチ直後品目の副作用報告(死亡症例)」を御覧ください。前回の検討会において、副作用報告のうち、死亡症例については特に注意をしておく必要があるとの御指摘をいただいたことを踏まえ、こちらの資料では、平成164月以降に報告されたスイッチ直後品目等28品目の成分による副作用報告のうち、死亡症例を抜粋して集計しました。

1ページ目は目次で、報告数の多い順にロキソニンSからナザールAR、コンタック鼻炎スプレーまで12製品を並べ報告件数と掲載ページを示しています。表にありますとおり、ロキソプロフェンナトリウムが62例で、イブプロフェンが6例、ブチルスコポラミンが2例、イコサペント酸エチルが5例と続き、最後にメキタジンとベクロメタゾンが1例ずつとなっています。なお、28品目のうち、この表に載っていない残りの16品目の成分については死亡例の報告はありません。

 次頁の1ページよりロキソニンから順番にそれぞれの成分による副作用報告の概要を1症例1行の形式で表にしています。こちらは医薬品医療機器総合機構のウェブサイトにおいて公表している情報を基に加工した資料です。この表の見方について御説明しますと、左の項目から、報告のあった時期、2番目の種類は、医師等の医療関係者の自発的な観察からの症例を「自発報告」としており、臨床試験等の試験結果から判明したものは「試験」、それらが不明のものは「その他」と記載しています。報告職種は、報告を寄せてくださった方が分かっているものについてはその旨を記載し、不明なものは空欄になっています。続けて患者の性別、年齢、身長、体重を記載しており、転帰の欄は、今回は死亡症例のみを抜粋しておりますので、全て同じ記載となっています。その右で、原疾患や合併症が報告されているものについてはその旨を記載。被疑薬、販売名は、今回は成分ごとにリストをまとめていますので被疑薬の欄は同一で、1ページ目の例ですと全てロキソプロフェンナトリウムになっています。販売名はそれぞれの薬品の販売名が記載されています。

 その右に、当該医薬品が投与された適用理由、投与経路、1回投与量、そして、被疑薬の処置の欄は、副作用発生時に医薬品に対して取られた処置を記載しています。更に右側に、発生した副作用名と発現日が分かっているものについては括弧書きで発現日を記載しています。更に併用被疑薬、こちらは併用していた医薬品のうち、販売名を記載された医薬品以外にも被疑薬がある場合にはその一般名を記載しています。また、患者が併用していた医薬品のうち、被疑薬でない医薬品については、その他の併用薬の欄に記載しています。最後に、右端の「注」の欄にABCの記載がありますが、こちらは被疑薬と死亡との因果関係について、PMDAにおいて専門委員と協議し決定した評価結果を記載しています。詳しくは、頭紙に()として記載しておりますので1枚目を御覧いただければと思います。

1枚目の下に記載しておりますとおり、被疑薬と死亡との因果関係について、原疾患との関係や薬理学的な観点、時間的な経過などの要素を勘案しまして、医学・薬学的観点から総合的に判断し、その評価をABC3つに分類して表記を行っています。Aは被疑薬と死亡との因果関係が否定できないもの。被疑薬との関連が疑われている有害事象が、直接死亡の原因となったことが否定できない症例。Bは被疑薬と死亡との因果関係が認められないもの。被疑薬との関連が疑われている有害事象が、直接死亡の原因となったとは認められない症例。Cは情報不足等により被疑薬と死亡との因果関係が評価できないもの。被疑薬と死亡との因果関係の評価のできない症例となっています。

 先生方には御案内かとは存じますが、この3分類の中ではAが最も死亡との関連性が疑われるという評価になります。1ページ目以降のそれぞれの症例についての説明は割愛させていただきますが、頭紙の目次に記載しましたページ数を御参照いただき、御確認をいただければ幸いです。資料2についての説明は以上です。

○五十嵐座長 ありがとうございました。スイッチ直後品目とその死亡症例との関係についての資料ですけど、何か御意見、御質問はございますか。

 特によろしいでしょうか。ありがとうございました。それでは資料3の説明に移ってください。

○井上審査管理課長補佐 資料3「長期連用等によるリスクについて」です。まず、スイッチ直後品目等についてです。長期連用には大量服用によるリスクが高まることを防ぐため、添付文書等において必要な注意喚起、例えば「長期連用をしないでください」、また、「数日間使用して症状の改善が見られない場合は使用を中止して医師の診察を受けてください」といった注意喚起を基本的にはしています。以下、いくつか長期連用におけるリスクの具体例を示しています。

 まず、1つ目です。長期連用による薬剤性鼻炎についてです。こちらは、抗アレルギー薬ですが、効能・効果として、アレルギー症状の緩和を効能・効果とするものです。こちらについても、長期連用をしないでください、また、連続して使用する場合は、2週間以上あけてくださいといった注意喚起をしています。審査の段階における留意点ということで、本剤は血管収縮成分であるナファゾリン塩酸塩の長期連用や過度の使用による薬剤性鼻炎が起こることが懸念されたということです。したがって、ケトチフェンフマル酸塩の効果が得られるまでの期間を考慮すると、使用期間は2週間、また、休薬期間を設けた上で本品を用いる、又は、ケトチフェンフマル酸塩単剤等の血管収縮剤を含まない薬剤への切替えが必要である。それに関して、薬剤師による情報提供及び使用者の十分な理解が必要とされたことも、審査時の注意点として審査報告書の中で残しています。

 同じく、長期連用による薬剤性鼻炎の2つ目の事例です。1ページ目の下の欄です。こちらも局所血管収縮剤でして、アレルギー性鼻炎等を効能・効果とするものです。こちらにおいても、添付文書において使用上の注意事項等の欄に記載しています。長期連用又は大量使用をしないでくださいということを注意喚起しています。本剤についても、審査時の留意点ですが、医療用の添付文書において、「急性充血期に限って使用するか又は適切な休薬期間をおいて使用すること」とされている。また、ガイドラインにおいても、血管収縮剤の使用については短期間の使用に限るべきこと、といった注意事項が記載されていることも踏まえて、2ページ目ですが、長期連用による鼻粘膜の肥厚や薬剤性鼻炎の懸念が指摘されていることで注意喚起をしたところです。また、包装単位についても、漫然と使用されることがないように、10日間程度で使い切れる「8mL」という容量が選択されたことを審査の報告書の中で記載しました。

 続いて、長期連用による薬物乱用頭痛の例です。ロキソニンですが、効能・効果は、頭痛・月経痛等、また、解熱です。使用上の注意事項等ですが、まずは添付文書には長期連用しないでくださいと注意喚起しています。また、併せて、使用者向けの情報提供資材も製造販売業者で作成しています。薬そのものによって頭痛が誘発される薬物乱用頭痛を引き起こす場合があるということで、薬を服用するのは多くても月に10日までということで情報提供をしています。本剤についても、審査時において頓用であることと副作用への懸念ということで注意喚起、また、包装単位を小包装、具体的には112錠ですが、その点の記載を審査報告書でしています。

 ステロイド成分の長期連用です。有効成分はベクロメタゾンプロピオン酸エステルで、OTCとして初めてステロイドを含有する点鼻薬です。効能・効果ですが、季節性のアレルギーです。使用上の注意事項等の欄ですが、まず、効能・効果に関して、季節性のアレルギーに限定する。また、添付文書においても、1年間に1か月以上使用しないという注意喚起をしています。審査時の留意点の欄ですが、こちらにも長期連用による鼻粘膜への副作用が懸念されるということで審査報告書に記載をしています。

3ページです。長期連用の結果により他疾患等への誤使用につながる恐れという事例です。1つ目は、イノセアバランスですが、トロキシピドを有効成分とする粘膜の防御因子を増強するというものです。効能・効果は、記載があるとおり、胃痛、胃部不快感等の効能・効果を持つものです。急性胃炎とか慢性胃炎の急性増悪期の効能・効果です。こちらも添付文書において、長期連用しないことという注意喚起をしています。併せて審査時の留意点で、慢性胃炎患者が本剤を長期連用することを避ける、注意喚起が必要ということが審査報告書に記載されています。

 最後です。エルペインコーワです。こちらは、イブプロフェン等を含む製品です。効能・効果は、生理痛です。使用上の注意事項等の欄ですが、添付文書において、56回服用しても症状が良くならない場合は服用を中止し、医師又は薬剤師に相談をしてくださいという注意喚起をしています。審査時の留意点の所は、本品の服用により子宮の過剰収縮以外に原因がある続発性の月経困難症の発見を遅らせるということで、受診の機会を逸することがないようにということで注意喚起をし、また受診を促すことが必要である旨を審査報告書で記載をしています。

 資料3の長期連用等によるリスクについての説明は以上です。

○五十嵐座長 ありがとうございました。ただいまの御説明について、御質問、御意見はございますか。

○橋田構成員 長期連用の問題になるケースということで、審査の時点でいろいろな留意点が指摘されて、それを受けて添付文書を変える、あるいは包装を変えるということで対応されているのだと思います。これは確か、例えば薬局、薬剤師向けの情報提供資料とかもそれぞれについて出ていると思いますが、そういうところではもっと内容が専門的な情報も含めて提供されているということでよろしいですか。

○井上審査管理課長補佐 はい、本日はちょっと御用意していませんが、特にスイッチ直後品目に関しては、より詳しい販売店向けの資材、そのほかまたお客様向け、先ほどロキソニンのがありましたが、より分かりやすくしたようなものも各社工夫をし用意をされているところです。

○五十嵐座長 ありがとうございました。ほかにいかがですか。よろしいですか。それでは、次の資料の御説明をお願いします。

○山本副作用情報専門官 続いて、資料4「イブプロフェンのリスク区分の見直しについて」を御覧ください。前回の検討会において、妊婦の服用に特に注意すべき医薬品について御指摘があったことから、その1例として、イブプロフェン含有医薬品のリスク区分変更の事例を御紹介します。こちらの資料は、昨年8月に開催された医薬品等安全対策部会での配付資料と同じものです。イブプロフェンは、平成21年の新販売制度施行当時は第二類医薬品に分類されていましたが、1.2つ目の○にあるとおり、平成24424日付けの使用上の注意の改訂通知により、添付文書の禁忌欄に妊婦後期の婦人が加わったことを踏まえて、リスク区分の見直しが行われることになりました。

2ページ目です。こちらが添付文書の改訂指示を行った通知です。具体的には3ページ以降に改訂と内容が記載してあります。3ページが医療用の経口薬、4ページが医療用の坐剤、5ページが一般用医薬品のイブプロフェン含有製剤の添付文書の改訂内容となっています。5ページにあるとおり、一般用医薬品の添付文書の[してはいけないこと]の項に、「次の人は服用しないこと 出産予定日12週以内の妊婦」という記載を追加するよう求めています。

1ページ目の頭紙に戻り、2.対応を御覧ください。先ほど申し上げた禁忌事項を追加する添付文書改訂が実施されたことを踏まえて、1つ目の○ですが、「相互作用」又は「患者背景」において特に注意すべき「禁忌」がありその要件に該当する者が服用した場合に健康被害に至るリスクが高まるもの等を指定第二類医薬品としていること。その次の○、同じように、妊娠後期の婦人を禁忌とするNSAIDSであるアスピリンも、指定第二類医薬品として分類されていること。これらの理由から、イブプロフェンのリスク区分を第二類医薬品から指定第二類医薬品に変更する案を示し、安全対策部会にて御審議をいただきました。審議の結果、指定第二類への変更が了承され、その後リスク区分の改正が行われています。

 資料4についての説明は以上です。

○五十嵐座長 ありがとうございました。これについて、御質問、御意見ありますか。よろしいですか。それでは、次の資料の御説明をお願いします。

○井上審査管理課長補佐 続いて、資料5「劇薬指定成分について」です。こちらは、前回第1回の専門家会合において、本日は参考資料3としてお配りしていますが、劇薬指定成分を含む製品に関して個票を作成しお配りしたところです。劇薬の関係、追加の情報を取りまとめています。薬学等の教科書ですとか、その辺りから追加の情報をまとめてありますので、御説明を追加でいたします。

 まず、1ページです。ヨヒンビンです。いくつか薬理学の教科書に記載があります。一番上の薬理学の書です。ヨヒンビンに関して、α 2 アドレナリン受容体拮抗薬であるということで、西アフリカの原産のヨヒンベといういう茜草科の植物の樹皮に含まれるアルカロイドという説明があります。本剤について、頻脈、血圧上昇、発汗、振戦などの自律神経に対する中枢性の効果が現れるというとことが記載されています。

2つ目の正書文献です。グッドマンギルマン薬理書という所で、真ん中の四角囲みです。こちらにも同様に、α 2 受容体に選択性がある競合的拮抗薬です。ヨヒンベの樹皮ですとか、ラウオルフィアの根に存在をし、構造はレセルピンに類似しているという情報です。ヨヒンビンに関しては、容易に中枢神経系に入り、そこで作用することにより血圧と心拍数を増加する。また、運動を促進し、振戦を引き起こすという記載があります。また、ヨヒンビンですが、セロトニンの受容体の拮抗薬であることから、男性の性機能不全の治療に広く用いられているという記載もあります。

1ページ目の下から2ページ目にかけてです。こちらも薬理学の教科書です。同じように記載があり、交感神経終末のα 2 受容体を遮断することによって神経衝撃によるノルエピネフリンの遊離を促進する。作用の持続は短いといった記載があります。

2ページ目の真ん中の四角です。こちらも同じように記載があります。ヨヒンビンの樹皮に含まれるインドールアルキルアミンアルカロイドであるということです。セロトニンの構造を含んでいるため、末梢性の抗セロトニン作用を示す。また、脳血液関門を容易に通過して中枢に移行するということで、先ほどの記載もありましたが、中枢興奮効果が現れるといった記載があります。以上がヨヒンビンについての記載情報です。

2ページ目の真ん中からです。ストリキニーネについて。こちらは、まず1つ目の薬理学の教科書からです。ホミカ末梢薬です。ホミカという植物の種子から得られたアルカロイドである。主として、脊髄に作用して反射興奮性を高めるといった記載があります。3つ目のポツです。痙攣作用を示すということで、用量が多くなると反射性筋収縮運動が協調性を失い全身痙攣へと拡大する。強直性痙攣と呼ばれていますが、それが特徴であることが記載されています。

3ページです。1つ目の四角囲みです。こちらも薬理学です。同じくホミカの種子に含まれるアルカロイドです。ストリキニーネについては、中枢神経系全体を興奮させることで、グリシンと競合してシナプス後抑制性伝達を遮断し、その結果、運動神経細胞の興奮性を高めて反射機能を亢進させると考えられている。その結果、反射機能が亢進することによって、知覚刺激によって強直性痙攣を起こすようになるといった薬理の作用機序が記載されています。3つ目のポツです。苦味を有するということで、ホミカエキス又はホミカチンキが苦味健胃薬として用いられているという記載もあります。

3ページ真ん中の四角囲みです。こちらも薬理学の教科書です。ホミカの種子で、2つ目のポツの薬理作用の所です。やはり真ん中辺りに記載があります。全ての知覚神経刺激に対して過敏に反応し、ごく軽い刺激で痙攣を誘発するといった記載があります。3つ目のポツで、臨床応用と副作用という記載があります。中毒が問題で、治療法に関してですが、患者を外界から隔離の後、気道を確保し、ジアゼパムを静注、全身麻酔をかけて、神経筋接合部遮断薬を投与するといった記載があります。

3ページの下からです。こちらも薬理学の教科書です。同じようにホミカに含まれるアルカロイドです。ホミカの種子のアルカロイド含有量は約2%で、その約50%はストリキニーネで、ほかにブルシンを含んでいるといった記載があります。また、硝酸ストリキニーネに関しては、白色針状結晶又は結晶性粉末で、味は極めて苦いという記載もあります。

4ページです。薬理作用の項に関しては、先ほどと同様、中枢興奮作用についての記載があります。この薬理作用の項の最後にありますが、種々の動物における痙攣量は、皮下注射でマウス0.4mg/kg、ウサギで0.7mg/kg、イヌで0.25mg/kgといった記載があります。

 吸収及び運命という所は、代謝の関係ですが、ストリキニーネは消化管や注射部位から速やかに吸収されて、ミクロソーム系酵素により代謝されるということですが、約20%は代謝をされず尿中にそのまま排泄されるといった記載があります。

 最後のポツです。中毒ということで、成人では経口で約50100mgが中毒量である。小児では15mgの少量でも発現するといった記載があります。強直性痙攣、次いで激しい伸展痙攣が発現するといった記載があります。治療に関しては、先ほども記載があったとおり、痙攣の抑制と呼吸の確保で、最も有効なのはジアゼパムの静注ということで記載をしています。以上がストリキニーネについての情報です。

 続いて、5ページからです。ホルマリンについてです。こちらはいくつか四角囲みがあります。ホルムアルデヒドに関しては、ホルマリン水溶液15%で、医療用具また室内などの消毒に用いるといった記載があります。極めて強力な消毒作用を持つということで、皮膚に付着すると皮膚炎など過敏症状を生ずることがある。また、目や呼吸器、粘膜に対する刺激性が強いといった記載があります。また、ホルムアルデヒドに関しては、IARCの評価もありますが、発がん性などの毒性があるといった記載があります。

 その下の四角です。こちらは、第十六改正日本薬局方解説書から引用しています。薬効薬理です。ホルムアルデヒドは脂溶性で、かつ、蛋白質を凝固させる作用があるということで、希釈液であっても強力な殺菌作用を呈するということで、消毒、防腐の目的で使用されています。記載にあるとおり、芽胞ですとかチフス、その他バクテリア等に対して作用を示すといったところです。毒性です。本薬を内服した場合ですが、呼吸困難、嘔吐、胃痙攣を催し、口腔、胃に炎症を起こし、多量の場合はチアノーゼ等で死に至るといった記載があります。また、本薬のガスは呼吸器、粘膜への刺激性があるということです。副作用としては、接触した場合ですが、皮膚のそう痒感、発疹などに注意が必要であるといった記載があります。ホルマリンについての御説明は以上です。

 最後のページです。こちらは、これら劇薬の品目に関して販売時の具体的な譲受書のサンプルということで、製造販売業者から御提供をいただいたものです。こういった劇薬譲受書に記載をいただいた上で確認をして販売をする。また、譲受書に関しては保管をするということを規制に基づいてしていただいているところです。

 説明が長くなりましたが、資料5「劇薬指定成分について」は以上です。

○五十嵐座長 劇薬の説明でした。御質問、御意見はございますか。

○橋田構成員 劇薬の成分について説明していただきましたが、実際には、いわゆる製剤というか、製品として含量等々を全て考慮した上で、毒性というか、安全性に問題があるということで薬事法上の劇薬に指定されているということでよろしいのですね。最終的には、製剤というか、医薬品としての指定ですね。

○井上審査管理課長補佐 はい。御指摘のとおりです。製剤として薬事食品衛生審議会にお諮りしまして、劇薬・毒薬といった形で、濃度の制限も告示で書いていたり、ある一定濃度であれば劇薬から外れるという形で規制されています。

○橋田構成員 成分が危険で、かつ、含有量等を考慮しても、より危険性がある。危険性と言いますか、注意が必要だという意味での指定ですね。ホルマリンが、確か、30何%の水溶液とかそのぐらいですよね。そういう意味では、化学物質としてのホルマリンとそれほど変わらない危険性と言いますか、取扱いには注意が必要。消毒薬としての医薬品としての指定になっているのですが、それもそういうことですね。

○井上審査管理課長補佐 特にホルマリンに関しては、今回はエフゲンという製剤が第二類で劇薬ということで紹介しています。使用方法としましては、密閉容器。これは基本的に小売店で一般の方が使うのではなくて医家向けで、粉末でそのまま使っていただくものです。適正に使用していただく範囲であれば問題はないのですが、原体と言いますか、そのものの毒性としては紹介したようなものがあるということです。

○安原構成員 確認です。報告していただいたように、毒性が強いから警告になっている。ですから、医薬品として使うときは当然、含量などを考えて使っていただくのですが、大量購入などすると、それは防がなければいけない。そういう意味で、販売の方法をいろいろと工夫されている。それで、一番最後に付いている譲受書なども出さなければいけないし、確か、販売するときは、受け取る人がきちんと使えるかどうかも確かめるというようなルールになっているという理解でよろしいのでしょうか。

○中井医薬情報室長 そのとおりです。先ほど、ホルマリンの濃度の話にもありましたが、エフゲンであれば1014%の含有域で、取扱いは非常に慎重にしなければいけない。また、ヨヒンビンとストリキニーネについても、リスク・ベネフィットの観点で一定程度の効果があるのだと思いますが、大量に服用すればそれなりにリスクが伴うものです。そういう意味では、非常に慎重に使っていただくという意味で規制が掛かっている理解だと思っています。

○五十嵐座長 ほかにいかがですか。よろしいですか。では、議題2「スイッチ直後品目及び劇薬の特性等について」、前回に引き続いて議論したいと思います。前回もスイッチ直後品目と劇薬指定品目について御意見を頂きましたが、資料をお持ち帰りいただいて御覧いただいたと思いますので、追加して何か御発言があればお願いいたします。

○西島構成員 幾つか述べさせていただきたいと思います。まず、第1点は、前回イイジマ構成員からのお話にもあったとおりで、スイッチ医薬品は、先ほどの説明にもありましたように、3年間は安全性の調査が必要だということなので、一般用のものとは大分違って、まだリスクが不明だという状況にある。そのようなことから大事な点は、一般用医薬品とは大きく異なるものだということで、現時点ではやはり別のカテゴリーとして考えるべきではないかという御発言があったと思います。この点について改めて本日、私から述べたいと思っています。

 このように、一般用としてまだリスクが不明な状況にあるということなので、販売のときには特に注意が必要だという点があります。今も幾つか長期使用や大量使用等で注意しなくてはいけないということがありましたが、そのほか、患者さんが服用している医薬品の種類、あるいは、健康食品としてどのようなものを使っているか、そういう状況を把握した上で相互作用を考える。また、副作用があればその兆候を見逃してはいけないわけで、お医者さんや薬剤師などの専門家からの注意をきちんと守っているかどうか、そういったことを確認しなくてはいけない。このようなためには、医師あるいは薬剤師などの専門家の方たちと使用者との間で双方向のかなり密着したやり取りが必要です。使用者がきちんと使っているかどうかという状況もよく理解して、適切な指導をした上で販売することが、このような、特にスイッチ直後の医薬品については極めて重要なことだと考えています。

 もう1点です。スイッチ直後の医薬品は、繰り返しますが、まだリスクが不明だということがありますので、例えば大量購入については、大量使用などで危険なものが先ほどの説明にもありましたが、大量購入となりますと大変危険なことになります。もし、このようなことがあったときには、ネットなどの所ではなくて、薬剤師が直接関わって対処することが極めて重要であります。そのようなことも十分考慮して、これから考えていかなくてはいけないと思っています。前回の繰り返しにもなりますが幾つか追加の意見として述べさせていただきました。

○五十嵐座長 ほかにいかがでしょうか。

○池田構成員 西島構成員からもリスクの話が出ました。リスクに限って、今この時点ではお話したいと思います。前回、死亡例についての報告をお願いしまして、今回、PMDAでの医療用医薬品のときの死亡例の一覧表が出されています。これを見てもお分かりだと思いますが、A評価をもらった症例が結構ありますね。A評価というのは、私も副作用調査会をやったことがありますが、専門家が症例を詳しく11例見ていって、薬とその副作用の因果関係があるのかないのか、疑わしいものは取っておく、それから、情報が不足しているものはC評価で、評価はそのときはしない。しかし、A評価をした場合は、医師や薬剤師の先生方が見て、これはかなり疑わしいというものをA評価にしているのです。A評価の症例を見てみると、歯が痛いとか喉が痛いなどで20歳の若い方たちが薬を飲んで亡くなられたなどという症例があるのです。一般用にすると、まだ評価が定まっていないので、どのぐらいのリスクがあるのかが分からないのです。ここでは議論する材料がないのですが、一般的に言えば、常識的な考え方からすれば、医療用でもこういうものが起こるということは、一般用にした場合には、かなりやり取りした上で薬を処方していることとは違いますので、当然のことながら、こういう症例がどんどん増えてくる可能性が高くなると見ることが常識だと思うのです。ですから、そういう面では、死亡例が報告されて非常に疑わしいという評価を持ったものは、今のままでは不十分かもしれない。医者が処方してもこういうことが起こっているわけですから、仮に薬局で購入するにしても、もっと違った対応の仕方を改めて考えないと、こういう不幸な例がなくならないのではないか。日本の医療は、やはり、安全が1つのキーワードで国が成り立っていると私は思っていますので、そういう面での考慮が必要ではないかと、今回の資料を提出していただいて改めて思いました。

○五十嵐座長 ロキソニンに限っても、62報告のうち11例がA評価ということですから。

○池田構成員 そうですね。

○五十嵐座長 比較的多いですね。いかがでしょうか、ほかに何かございますか。

○安原構成員 今の池田構成員のコメントに関係しまして、資料2についてです。これは投与の期間は、もともとのデータにはあるのでしょうか。1回目の投与なのか、あるいは、かなり繰り返したときか、そのような情報はあったのですか。

○山本副作用情報専門官 こちらの資料にはお示ししていませんが、内部の資料としましては、どのような期間に投与されていたかという情報は持っています。すみません、本日はそういった資料を用意しておりません。

○安原構成員 副作用というのも、繰り返し飲むことによって起こってくるものもありますし、ロキソプロフェンなどの場合では、これまでのところでは、少ししか飲んでいないのに腎臓に障害が出たとか、そのようなケースも伺っています。その辺りの判別も、それが一般用医薬品になったときにどうなるのか、判断が難しいところがあると思います。そういう意味で、医療用として厳密に管理されて使っていてなおこういうことが起こるのが、もっとランダムにいろいろなことが起こり得るような状況で使えるような、便利になるというのが一般用の医薬品だと思います。前回もそういう指摘があったと思いますが、その中で、スイッチ直後というのは本当に慎重に見ていく必要があるということが大事なことではないかと思います。

 それから、一般用になった場合、必ずしも御本人がお薬を買いに来るのではない、代理人への販売などがありますし、本来であれば症状が起こっている人に使うものだけれども、まだ起こっていないような人が、この薬が欲しいというようなことも当然あるのではないかと思うのです。それを全て止めることは、例えばお母さんが買いに来られたときに、それは代理人では駄目ですとは言えないのですから、当然あって然るべきだとは思いますが、先ほどから御指摘があるように、特にスイッチ直後のものであれば、来られた代理人の方と薬剤師がお互いに十分に確認をし合う、その部分を臨機応変にやっていかないと、思わぬ事故につながる。十分に適切な指導をした上で、代理人の方も納得されてから、お薬を販売するという、その基本的なスタンスが欠かせないのではないかと思います。

 先ほど、西島構成員からもお話がありましたが、スイッチ直後品目というのは、どうしても、一般用医薬品としてのリスクがまだ分かっていない状況で、代理人への販売も含めて行わなくてはいけないのですから、基本的には対面でお互いに話をしながら十分に分かっていただいて使っていく。一般用医薬品としての安全性が対面販売で確認された上で、ネット販売も含めるような通常の一般医薬品の販売に移行していくというのが、安全性の観点から考えると重要ではないかと思います。ですから、一般用医薬品としてのリスクが不明であるスイッチ直後品目の取扱いについては、やはり、便利性よりもまず安全性を考えて、それを優先してやっていく。そういう意味で、最初からネット販売に載せるというのはかなりリスクが高いのではないかと思います。

 それから、これは言わずもがなですが、一般用医薬品に対して医療用医薬品というものがあるので、医療用医薬品というのは一般用医薬品よりも作用も強いですし、副作用のことも考えながら医師が処方する薬剤ですから、スイッチ直後の医薬品や劇薬指定の品目よりずっと高いレベルで医師と薬剤師が積極的に注意しながら慎重に患者さんには使っていく、そうでなければいけないということも確認したいと思います。

○五十嵐座長 ほかに、いかがですか。

○橋田構成員 私も先生方の意見の繰り返しになると思います。前回と今回いろいろな資料を頂いても、一般用医薬品といえども副作用や安全性の問題が随分あることが分かりました。そういう意味では、まず、安全性を何よりも考慮したコンセプトが必要で、そういう視点が大事だと思いました。具体的に申しますと、劇薬の話では、ヨヒンビン、ストリキニーネ、ホルマリンは、正に非常に危険と言うとおかしいですが、医薬品として適正に使われればいいのですが、いろいろな問題を抱えています。実際に、購入者への提供に当たっても譲受書などのシステムできっちり販売されていることが分かりましたので、やはり、こういうものを守っていくことが必要ではないかと思うのです。そういうものがもし安易な形で社会へ出ていきますと、いろいろな社会的な問題を引き起こす可能性もあるのではないかと感じました。

 それから、スイッチの直後品目についても、前回議論したことですが、医療用として医師の診断・治療の一環として使われる場合と、一般用医薬品になった場合にどういう形で使われるのか分からないと言いますか、可能性が広がっていると思います。それに対しては、今までの制度であれば、製造販売後調査で十分調査しながら、薬剤師・薬店にもある程度専門的な情報提供も行われて、購入者から質問があればそれをきっちり説明するという体制があります。そういった意味では、一般用にスイッチされた時点で、しばらくこういう制度を活用して、安全にそれが使われることが確認できるまでは、そういう形にする。これが安全に使われて、社会でどういう使われ方をしたらいいかが定着して、社会が受け入れれば、それからは一般用医薬品として使えるのだと思います。ある種のそういう時期を置くことは非常に合理的ではないかと思います。

○五十嵐座長 ほかに、いかがでしょうか。

○西島構成員 劇薬医薬品については、ホルマリンなどというものは、私たち研究者にとっては大変に怖いもので、研究所の無菌的な施設では、1年に何回か燻蒸するときに使うものです。これは非常に刺激性が強くて発がん性もある。また、御存じのとおり、シックハウスの原因物質でもあります。こういった危険なものはきちんと制限をかけて販売されなければいけないと思います。また、このような劇薬医薬品は、買いに来た人が取扱いに不安があるのではないかというようなときには交付してはいけないという決まりもあるということなので、そういうことも含めまして、買いに来た人と顔を会わせて観察した上で売らなくてはいけないものですので、その点、劇薬については注意が必要、ほかのものと違った注意が特に必要だと思います。

○五十嵐座長 個別のことでも結構です。

○池田構成員 一般用医薬品は患者さんにとっては便宜を図ってもらえるような仕組みで、それなりに国民にとっては良い仕組みだと思います。ただ、医療というのはリスク・ベネフィットを考えて進めていかなければいけないことは言うまでもないことで、リスクをミニマイズしてベネフィットを上げていくという考え方が必要だと思います。冒頭に申し上げましたように、患者さんと医療従事者、医師、看護師、薬剤師、そういう医療に関係する人たちとのコミュニケーションの在り方をもう1回見直さなければいけないのではないかと思うのです、この時代に。確かにインターネットでもある意味ではコミュニケーションは取れるとは思いますが。私は医者なので、患者さんの顔を見る、あるいは、患者さんの話を十分に聞くと、その内容が人によって全然違うのです。一律には決してならない。患者さんは個人個人が全部違いますので、同じ症状を持っていても違う。そういうことが医療の現場では大事だということが強調されなければいけない時代になってきています。

 最近の若いお医者さんたちは診療の場でコンピュータばかり見て患者さんの顔を見ないということはよく言われます。やはり、入ってきた患者さんがどういう歩き方をして、どういう顔色をして、何を訴えようとしているのかということを、医療従事者としては認識しながら話をしていく。患者さんが訴え、我々が聞く、双方向のコミュニケーションの在り方。これからはいろいろな形で、コミュニケーションの手段がいろいろと出てきましたので、それなりに考えればいいと思いますが、やはり一番大事なのは使用者の状況の把握、これはエッセンシャルだと思います。それがきちんと把握できるような形でのコミュニケーションツールであれば、私は何でもいいと思うのです。テレビの画面で患者さんの顔を見て、いろいろと話ができるというのであれば、それはそういう手段だってあり得ると思います。直接、患者さんが医師の元に訪ねて行かなくてもお薬を手に入れられるという形ができれば、もちろんいいと思います。そういうことが一番大事だということを、もう1回、皆さんに知っていただくことが大事だということです。

 もう1つです。お薬を飲んだときに何を期待して飲むか。期待した効果が得られないで別の兆候が現れる。どんな兆候が現われるか。副作用の初期兆候を皆さんが理解できるような状況も作っておかなければいけないのではないかと思います。これは正に、国民に対する周知徹底ということになると思います。副作用の兆候、初期の兆候をあらかじめ伝えておくようなことに対して、もう少し考えて処置をすること。薬というのは、その薬だけしか飲んでいないことはまずないのです。多くの薬を飲んでいる方たちが副作用を起こしてくることが多いので、薬の相互作用が大事なのだということも知っていただく。こういうことは我々には常識になっていますが、一般の方たちにはなかなか十分に理解されていないこともありますので、そういうことも含めて考えなくてはいけないのではないか。これは一般論としてお話しました。

 今回の話題であるスイッチ直後品目に関しては、冒頭に申し上げたように、医療品のときからいろいろな副作用が出ています。そういうものに関しては、一般用になったら、当然、それは頻度が上がると考えるべきであって、もう1回その対策を立て直さなければいけないのではないかと改めて思いました。

○五十嵐座長 ほかにいかがですか。具体的な品目に関してのコメントでもよろしいのですが、ございますか。特に劇薬については、今のお話では、ネット販売すること自体そのものが本当にいいのかどうかという御指摘もあったと思います。それに関連してでも、ほかのことでも結構ですが、個々の品目について御意見ございますでしょうか。総論的なことについても、もうよろしいですか。

○池田構成員 劇薬についてです。私は医学部の時代に、ヨヒンビンやストリキニーネを使って薬理学の実験をしました。これはもともと、いろいろな中枢神経に作用するのです。これを薬として使う場合には、例えばヨヒンビンであれば外部の血管を拡張することを期待するのですが、それ以外には作用が出ないか。それは人によって様々です。正に、こういうものを安易に使うということは問題だろうと思います。ヨヒンビン、ストリキニーネが一般的に売られていることに関しては、私も余り知識が十分にありませんでしたが、びっくりしたぐらいです。

○五十嵐座長 よろしいですか。

○中井医薬情報室長 追加で説明させてください。先般、参考資料1として、前回6月の検討会のときに出した資料を参考までにお出ししております。これは、第1回のときにも、なぜ医療用と一般用で副作用の発生頻度が違うのかという御指摘がありました関係で資料をお出しいたしました。池田先生からも再三言われています。2ページに3種類の品目に、ロキソニンとアレグラとニコチネルパッチを出していると思います。今回の28品目にはロキソニンとアレグラが入りますが、例えばロキソニンでは医療用と一般用の用法・用量はほとんど同じですが、医療用の副作用発生状況は治験1,354例、主な副作用歴はここに書かれているとおりです。医療用の小児新生児に行われた臨床試験は1,700例ですが、そのうちの副作用発現例は163例、9.6%です。その後、製造販売後調査を6年間やって232例で、発現率は2.0%です。一般用では、8例の副作用で、死亡例が1です。ただ、これは2年間ですが、こういった例があります。もちろん、一番厳しい条件は治験なので、治験の後、医療用の製造販売後調査、その後、一般用というようになってくると思います。どうしても厳密にやっているほうが見付かりやすく、かつ、管理されている状態で、先ほど池田先生がおっしゃったように、副作用の兆候を必ず見逃さないように使用されている状態に置いたまま、段々広がっている。その後、リスクが評価不明だったものをリスクマネージングした後に、リスク低減措置を踏まえた上で一般用にまで使用が広がっていく過程を経た品目です。

 その前の1ページに戻って、一番下の○に、事務局で書いたものですが、一般用に比べて医療用の副作用が多いのは、以下の理由が考えられるとしています。一般用への移行後間もないことと、医療用では専門家の介在があり、副作用との因果関係をまず考慮するということ。それから、一般用では重篤化するまで分からず発見が遅れるということ、また、副作用と分からずに治癒又は治療してしまい報告がなされないということが想定されます。以上、参考資料として付けております。

○五十嵐座長 そのことも含めまして、何かまだ御意見はございますでしょうか。よろしいですか。

○西島構成員 副作用として死亡例がもちろん一番重要な点ですが、この資料を見ていますと、スチーブンス・ジョンソン症候群がいろいろな所に出てきます。これは症候群ということでいろいろなタイプがある。また、原因については恐らくいろいろあると思われていますが、まだ原因についてはほとんど分かっていない。そういう症候群です。こういった症候群がいろいろな医薬品で認められていることは、すごく注意しなくてはいけないと思っています。一般の人は、スチーブンス・ジョンソンと言ってもどんなものか分からないと思うのです。そういうことの情報提供と、それが出たときの対応は、やはり専門家が直々に診て対処しなくてはいけないということを強く思いましたので、発言させていただきました。

○五十嵐座長 ほかにいかがでしょうか。よろしいですか。では、議題3「その他」に移りますが、事務局から何かありますでしょうか。

○尾崎薬事企画官 御審議いただく議題としては特にほかにはありません。次回の日程については、場所等も含めて調整させていただいていますので、決定次第、追って詳細について事務局から御案内させていただきます。

○五十嵐座長 それでは、本日はこれで閉会にいたします。御協力どうもありがとうございました。


(了)
医薬食品局総務課: 03-3595-2377

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