ホーム> 政策について> 審議会・研究会等> 社会保障審議会(児童部会ひとり親家庭への支援施策の在り方に関する専門委員会)> 第5回児童部会ひとり親家庭への支援施策の在り方に関する専門委員会 議事録(2013年7月25日)
2013年7月25日 第5回児童部会ひとり親家庭への支援施策の在り方に関する専門委員会 議事録
雇用均等・児童家庭局
○日時
平成25年7月25日(木)19:00~21:00
○場所
厚生労働省(中央合同庁舎第5号館)9階 省議室
○出席者
委員
小杉委員長 (労働政策研究・研修機構特任フェロー) |
海野委員 (全国母子寡婦福祉団体協議会理事) |
大塩委員 (全国母子生活支援施設協議会会長) |
兼子委員 (浜松市こども家庭部長) |
島崎委員 (政策研究大学院大学教授) |
新保委員 (神奈川県立保健福祉大学教授) |
杉澤委員 (山形県子育て推進部子ども家庭課長) |
中田委員 (全国母子自立支援員連絡協議会会長) |
三木委員 (戸田市こども青少年部長) |
参加人
新川参加人 (NPO法人WINK理事) |
赤石参加人 (NPO法人しんぐるまざあずふぉーらむ理事長) |
片山参加人 (NPO法人全国父子家庭支援連絡会代表理事) |
佐藤参加人 (ハンドインハンドの会主任研究員) |
事務局
石井雇用均等・児童家庭局長 |
鈴木大臣官房審議官(雇用均等・児童家庭担当) |
定塚雇用均等・児童家庭局総務課長 |
小野家庭福祉課長 |
高松家庭福祉課母子家庭等自立支援推進官 |
度会家庭福祉課課長補佐 |
○議題
ひとり親家庭への支援施策の在り方について
(中間まとめに向けた議論)
○配布資料
資料 中間まとめに向けた議論の整理 |
○議事
○小野家庭福祉課長
定刻より若干早いのですが、皆さまおそろいですので、始めさせていただきたいと思います。
ただ今から「第 5 回ひとり親家庭への支援施策の在り方に関する専門委員会」を開催いたします。本日は、委員 9 名全員のご出席をいただいております。委員の皆さまには、お忙しい中をお集まりいただきまして誠にありがとうございます。
それでは、議事に移りたいと思います。小杉委員長、よろしくお願いいたします。
○小杉委員長
はじめに、本日お手元にお配りしております資料の確認を、事務局よりお願いします。
○小野家庭福祉課長
配布資料でございますが、議事次第と資料として「中間まとめに向けた議論の整理 ( 案 ) 」を配らせていただいております。それから、机上には海野委員からご提供いただきました資料を 3 種類配布しております。資料の欠落等がございましたら、お申し出いただければと思います。
○小杉委員長
では次に、参加人の参加についてです。本日は、 NPO 法人ウインクから新川てるえ理事、 NPO 法人しんぐるまざあず・ふぉーらむから赤石千衣子理事長、 NPO 法人全国父子家庭支援連絡会から片山知行代表理事、ハンド・イン・ハンドの会から佐藤俊恵主任研究員の参加を求めますが、よろしいでしょうか。
(「異議なし」の声あり)
○小杉委員長
ありがとうございます。それでは、本日の進め方です。本日は、中間まとめに向けた議論を行います。事務局にこれまでの議論を整理した資料「中間まとめに向けた議論の整理 ( 案 ) 」を作成させましたので、まず、事務局からこれについて説明を聴取します。続いて、この議論の整理 ( 案 ) の項目ごとに、これまでの議論や資料を踏まえて、意見交換をしてまいります。
概ねの時間配分ですが、最初に支援施策全体と実施体制についての総論部分に 40 分程度、その後、就業支援、子育て・生活支援、養育費確保支援、そして経済的支援の個別分野ごとに概ね 10 ~ 15 分程度、最後に、全体にわたって 20 分程度を想定しておりますので、議事運営にご協力をお願いいたします。
まず、事務局から資料の説明をお願いいたします。
○小野家庭福祉課長
それでは、説明させていただきますが、その前に 1 点、前回の会議で話題になりましたことについて、ご報告させていただきます。机上のファイルの中にあります第 4 回の資料 6 の 9 ページをお開きいただけますでしょうか。そこに ( 再掲 ) として指定都市・中核市の母子自立支援員の設置状況がございます。前回の会議で、川崎市のところが 0 人となっているのは、なぜなのかというご質問を頂戴しました。それにつきまして川崎市に確認したところ、「母子自立支援員」という名称で任命している人はいないということでございました。ただし、母子自立支援員の仕事をしている人はいらっしゃるということでございます。具体的には母子自立支援プログラムを策定されている人がいらっしゃいまして、その人が母子自立支援員の相談の役割を担っているということでございまして、それ以外にも、一般の行政職の職員が相談業務に当たっているということでございましたので、ご報告させていただきます。
それでは、本日の資料をご覧いただけますでしょうか。「中間まとめに向けた議論の整理 ( 案 ) 」でございます。これは今回の会議に向けまして議論のたたき台ということで出させていただきました。本日いただいた意見を踏まえまして、中間まとめの案を次回の会議で提出してまいりたいと考えております。
大きく 1 ~ 3 に分かれています。 1 は「検討に当たっての留意点」ということで、全体を見ていく前に心がけておくべきこと。 2 として「支援施策全体、実施体制の在り方について」ということで、支援の総論でございます。 3 ページ目からになります 3 は「支援政策ごとの在り方について」ということで、各論編でございます。それぞれ (1) から (4) まで整理させていただいております。 2 と 3 の支援施策の部分につきましては、まず「課題」を提示した上で、進むべき方向、検討の方向ということを提示させていただいております。
では、 1 から順に説明してまいります。 1 「検討に当たっての留意点」でございますが、一つ目の丸でございます。ひとり親家庭への支援施策を検討するに当たりましては、ひとり親家庭に特有の課題だけでなく、非正規雇用の増加、男女の賃金格差、仕事と子育ての両立の難しさ、子どもの貧困など、社会全体の課題が背景にあることを認識する必要があるということでございます。
2 点目でございますが、ひとり親家庭の支援ニーズは多様なものがあるため、その支援施策については、個別の支援メニューと、それを家庭の事情に応じて適切に組み合わせて行う支援が必要であり、これら双方の充実が必要であるということです。
3 点目でございますが、ひとり親が安定した仕事に就き自立した生活を送ることは、子どもに及ぼす影響の観点や寡婦 ( 夫 ) となった後の生計維持の観点からも望ましいことから、できる限り就業による自立を目指すべきであり、そのための支援の充実が望まれるということを書いております。
2 「支援施策全体、実施体制の在り方について」でございます。総論の個所ですが、「課題」といたしまして 4 点を提示しております。1ひとり親家庭の支援施策につきましては、支援メニューについて地域によっては実施されていないものがある場合や、実施されていても提供体制が十分でないために利用しにくく、ニーズに応えられていない場合があるなど、地域によって取組にばらつきがあることから、どのように自治体における支援メニューの提供体制の整備を進めていくかということを提示しております。
2でございますが、地域で支援メニューが準備されていたとしても、その支援を必要としているひとり親家庭に知られておらず、十分に活用されていない状況にあることから、どのように施策の周知を進めていくかということでございます。
3でございますが、相談支援については、母子自立支援員の体制が十分でなく、相談支援に当たる人の支援メニューに関する知識などの専門性も十分でないため、相談支援が十分に行えていない地域もあることから、どのように相談支援体制を確保していくかということ。
4でございますが、父子家庭の中にも支援を必要としている家庭があるものの、制度面で対応できていないものや、父子家庭が利用しにくいものもあることから、どのように父子家庭への支援を進めていくかという 4 点を整理しました。
次に、方向性といたしまして (1) から (5) まで 5 点整理しております。 (1) は「自治体における支援メニューの整備と提供体制の確保」ということでございますが、こういった支援メニューと提供体制が地域における支援ニーズに的確に対応したものとなっているかどうか、各自治体において地域の支援ニーズを把握した上で、現状のメニュー提供体制を見直し、計画的に支援ニーズに適合したものとするように、国が必要な助言・支援を行い、取組を促進することが必要ではないかということでございます。
(2) の「支援施策の周知」につきましては、支援を必要とする家庭に必要な支援が届くように、支援施策の更なる周知と利用の促進が必要ではないか。紙媒体をはじめ、インターネットメディアの活用を含め接しやすい方法による周知が必要ではないか。
(3) の「相談支援窓口体制の整備」でございます。 1 点目は、どのような悩みや課題を抱えていたとしても、まず相談できて、その家庭に応じた適切なメニューにつなげられる相談支援窓口の体制を整えて周知していくことが必要ではないか。
2 点目のところには四つのことがございます。この相談窓口では次のような相談支援を行うことが必要ではないかということで、一つ目でございますが、どのような悩みや課題を抱えている場合でも、その家庭の抱える課題を把握・分析して、支援メニューを組み合わせて支援することができるような包括的・総合的な相談支援。二つ目でございますが、具体的な支援ニーズを引き出した上で整理して適切なメニューにつなげていくような継続的・計画的な支援や関わり合いができて、自立への意欲の維持にも資する寄り添い型の相談支援。三つ目でございますが、さまざまな行政や支援機関との接点を持って、相談から支援メニューにつなげていくといったような潜在的な支援ニーズに応える積極的な相談支援。四つ目でございますが、それぞれの事情に応じてさまざまな地域の支援機関が有する支援メニューを適切に組み合わせて支援することができる地域連携型の相談支援。
3 点目の丸でございますが、支援の窓口体制については、地域によって支援ニーズや社会資源の在り方が多様であるため、地方自治体が地域の実情に応じた相談支援窓口体制の在り方を検討して整えることが適当でありますが、国は、自治体が効果的な取組を行えるように必要な支援を行うことに加えて、先進的な取組等の収集・情報提供を行うことが必要ではないか。
(4) は「母子自立支援員の体制確保と資質向上」ということですが、母子自立支援員については、各自治体において十分に相談支援が行えるよう体制を強化するとともに、積極的に研修に参加させるなど母子自立支援員の待遇改善を図り、その資質を向上させることが必要ではないか。
(5) は「父子家庭への支援」でございます。父子家庭においても、経済的に厳しい環境に置かれた家庭もあることから、母子自立支援員等による相談支援の実施や、母子寡婦福祉資金貸付金の貸付対象の拡大など、引き続き支援の推進が必要ではないか。また、施策の名称についても父子家庭が対象となっていることが分かりにくいという指摘を踏まえまして、父子家庭も支援を受けられることを周知徹底する方策が必要ではないかということでございます。
3 「支援施策ごとの在り方について」、各論の (1) 「就業支援」でございます。「課題」として 2 点挙げております。1ひとり親の多くが就業しているものの、さまざまな背景で非正規雇用の割合が高く、稼働所得が十分な水準とはいえない状況にあることから、どのように就業支援を進めていくか。
2他方で、直ちには就業できないひとり親家庭の自立に向けては、どのように支援を進めていくか。方向性としまして、幾つか整理しております。 1 点目でございますけれども、非正規で働く者が多く、稼働所得が十分な水準とはいえない状況を踏まえまして、より安定し、よりよい所得が得られるように転職やキャリアアップの支援の推進が必要ではないか。そのためには、休日夜間などにも相談支援を受けられることが必要ではないか。
2 点目でございますが、マザーズハローワークにおける支援や生活保護受給者等就労自立促進事業などのハローワークでの支援については実績が上がっていることから、更なる周知と活用が必要である。また、自治体の相談支援体制の整備に当たっては、こうした国が実施する就業支援と連携強化が必要ではないか。
3 点目でございますが、ひとり親の就業に役立つ資格の取得が有効であることから、高等技能訓練促進費等事業等につきましては、自治体において対象資格を拡大すること等によりまして、更なる活用促進を図る必要があるのではないか。
4 点目でございますが、「母子家庭の母及び父子家庭の父の就業の支援に関する特別措置法」に沿いました就業機会の確保ために、国や自治体による取組を推進する必要があるのではないか。
5 点目でございますが、ひとり親の中には、さまざまな課題を抱えている人もおり、直ちに就業できない人に対しては、個別の事情を踏まえた回復への支援などから入っていくなど、継続的・計画的な寄り添い型の支援が必要ではないか。
(2) 「子育て・生活支援」の「課題」では、 3 点挙げております。1ひとり親が就業 ( 修学 ) と子育て・家事を両立していくためには、一般の子育て支援とともに、ニーズに即応した子育て・生活支援を組み合わせて支援することが重要であり、どのように進めていくか。
2他方で、さまざまな課題を抱えていることから、直ちに就業が困難であり、まずは日常生活を安定して送ることができるようにすることが必要なひとり親家庭もある。そのような多様な状態像に応じた支援をどのように進めていくか。
3ひとり親家庭の子どもが置かれている環境にかかわらず、心身ともに健やかに成長することが支援の目指すところである。また、貧困の連鎖を防止する必要があることからも、子どもを対象とした支援も重要なので、これをどのように進めていくか。ということで、 5 点挙げております。 1 点目でございますが、就業状況等に応じた保育体制の整備や就業時間等への配慮など一般の子ども・子育て支援施策の充実が必要ではないか。
2 点目でございます。ひとり親家庭の日常生活支援事業につきましては、地域によっては十分な提供体制がないなどの指摘を踏まえまして、それぞれの自治体におきまして地域のひとり親家庭のニーズに的確に対応できる体制を確保することを促進する必要があるのではないか。
3 点目は再掲でございます。直ちに就業できない人に対しては継続的、計画的な寄り添い型の支援が必要ではないか。
4 点目は母子生活支援施設でございますが、地域の社会資源としてさらに活用することが望ましく、母親や支援者への周知、広域的な利用など積極的な活用、支援の質の向上、職員体制の充実、施設の偏在に対応する体制整備が必要ではないか。
5 点目でございます。ひとり親家庭の親や子どもの心の支えも重要であり、当事者同士が悩みを打ち明け合うことができるような相互交流や情報交換の機会の確保のための支援の充実や活用促進が必要ではないか。
6 点目でございます。子どもへの支援については、早期から十分な学習機会を確保し、学習や進学への意欲を維持できるよう、また、社会との関わり合い持ち、心の支えを持つことができるように学習支援ボランティア事業などの子どもへの支援施策の充実や活用促進が必要ではないか。
(3) は「養育費確保点支援」。「課題」として 2 点挙げさせていただいています。1養育費確保については、取り決めとその履行が十分には進んでいない状況を踏まえて、どのように養育費確保の支援を進めていくか。
2面会交流は、養育費の確保の観点からだけでなく、子どもの立場からも重要であるため、どのように面会交流の支援を進めていくか。
方向性として 4 点挙げております。 1 点目でございますが、養育費確保につきましては、周知啓発を図るだけでなく、例えば、相談の機会をとらえて養育費の取り決めや確保のための支援や制度を紹介して利用を促すなど、養育費の確保に消極的なひとり親も含めまして取組を促す支援が必要ではないか。
2 点目でございます。母子自立支援員や母子家庭就業・自立支援センターなど、地域において養育費相談が受けられるようにすることが必要であります。このためには、地域で相談に携わります相談員の資質の向上が不可欠であるということでございます。このため、養育費相談支援センター事業で行っております相談員への研修事業等の活用を促すことが必要ではないか。
3 点目でございますが、養育費の取り決めや支払いを義務付けることを検討すべきとの意見もあったが、民法の根幹に関わる問題であるため、容易にできる議論ではないという意見もあり、慎重に検討すべき課題ではないか。
最後に、面会交流については、子どもの立場から両親がその意義について認識し、取り決め・実施が適切になされるような周知啓発がさらに必要ではないか。また、支援に当たっては、三者の心のケアなど独自の専門性が必要であることから、関係機関や民間団体の協力を得て、面会交流支援事業の充実を図る必要があるのではないか。
(4) は、経済的支援でございます。「課題」として二つ挙げております。1児童扶養手当につきましては、公的年金との併給制限の在り方などについて指摘されていますが、限られた財源の中で、どのように対応していくか。
2母子寡婦福祉資金貸付金につきましては、貸付対象の父子家庭への拡大等について指摘されているが、どのように対応していくか。それに対して、 3 点挙げております。 1 点目は、児童扶養手当よりも少額の公的年金を受給する場合に児童扶養手当が支給されないこと、いわゆる併給調整でございますけれども、差額について児童扶養手当を支給するなどの方法により、児童扶養手当の水準の所得を保障することが必要ではないか。
2 点目でございますが、児童扶養手当の 5 年経過後の一部支給停止措置につきましては、同措置がとられている者の状況の把握について検討する必要があるのではないか。
3 点目でございますけれども、母子寡婦福祉資金貸付金につきましては、支援を必要とする父子家庭には母子家庭と同様に対象とすることが適当であることから、貸付対象を父子家庭に拡大することが必要ではないかとさせていただいています。
以上でございます。
○小杉委員長
ありがとうございました。それでは、この「議論の整理 ( 案 ) 」の項目ごとに、ひとり親家庭への支援の方向性について、ご意見を伺いたいと思います。最初は、 3 ページの中ほどまでを、 40 分ぐらいかけて議論したいと思います。
まず、委員の皆さまから、ご意見を伺いたいと思います。いかがでしょうか。最初に、 1 と 2 です。個別の支援の在り方ではなくて。 3 ページの前半まで。
○大塩委員
大塩でございます。 2 ページの (1) 「自治体における支援メニューの整備と提供体制の確保」についてですが丸の中で上から 3 行目です。「各自治体において地域の支援ニーズを把握した上で、現状の支援メニューと提供体制を見直し、計画的に地域の支援ニーズに適合したものとするよう」という文言が盛り込まれています。もう一つ上の「地域における支援ニーズに的確に対応したものとなっているかどうか」とか、「地域の支援ニーズを把握した上で」という、地域の支援ニーズがどのようなものなのか。どこをもって判断するのか。そのニーズ調査をどうするのか。何がニーズとして地域に横たわっているのかということが全く提示されていないので、この「支援ニーズを把握する」ということを、どのような手法をもってやるのかということが、まず 1 点です。この 1 点だけ、質問です。
○小杉委員長
支援ニーズの把握の方法に、何か具体的な考えがあるのかということですね。事務局、お願いします。
○小野家庭福祉課長
支援ニーズの把握につきましては、今、確かに私どもの方で何か「こうやってやりなさい」と示しているものはないわけでございますけれども、例えば、児童扶養手当などの相談に来られる方、あるいは一般的な生活支援の相談に来られる方々の声であるとか、受給の状況といったことを踏まえて、各自治体において分析して施策に結びつけていくというようなことがございます。
○大塩委員
児童扶養手当の現況届のときに、そのようなニーズを聞き取るようなことがされているのかどうかということと、ひとり親家庭の方々がどのような支援をしてほしいと思っておられるのかということを聞き取っていく調査をしなければ、施策に結びつけられないのではないかと思っています。これは意見です。
○小杉委員長
聞き取りのきちんとした調査をする必要があるということですね。
○新保委員
大塩委員のおっしゃるとおり、そのようなニーズ調査はとても必要だと思っております。
その上で、各自治体において地域支援ニーズを把握するもう一つの方法というのは、現在、母子及び寡婦福祉法の中で自立促進計画の策定ということについての記述があるのですが、その記述に従うということについて、必ずしも全ての自治体が自立促進計画を策定しているという状況には、残念ながらないように思います。このことについては、もう少し強めに指導できるような形、もしくは自立促進計画の策定を努力義務のような形で示していただくような形にすることが、多分大塩委員がおっしゃるニーズということに直接ではないかもしれませんが、側面から制度的に支えることになるのではないかと思いますので、この部分について、策定を義務付ける、もしくは努力義務にしていただくという形に持っていっていただけないかと思います。
○小杉委員長
自立支援計画を努力義務化すれば当然ニーズ把握はしなければならないということですね。
○海野委員
川崎の海野ですけれど。児童扶養手当のときの相談窓口では、書類を整理しているだけではなくて、聞き取りなどをやっているのは見聞きしています。けれども、全国的に共通のチェック点のようなものがないと、全国的にどういう状況であるかというのは把握できないので、「このような点をチェックしてください」というような項目を作ってもよいのではないかと思っています。
○小杉委員長
チェックのフォーマットのようなものを用意できるのか。これは質問ですか。意見ということでよろしいですね。
○島崎委員
いろいろあるのですけれど、最初に、 1 の「検討に当たっての留意点」のところですが、書いてある中身について、間違っているということではないのですが、最初の丸のところの「ひとり親家庭に特有の課題だけでなく、非正規雇用の増加、男女の賃金格差、仕事と子育ての両立の難しさ、子どもの貧困など、社会全体の課題が背景にある」と。そのことを検討に当たっての留意点として書くことに、どういう意味があるのでしょうか。つまり、後ろの方のことと、どう結びつくのですかということ。意地悪くいえば、日本の場合は非正規雇用が増加していて、あるいは男女の賃金格差がもともとあるから、ひとり親家庭独特の固有の施策を展開していくことは難しいのだよということなのか。つまり、最初の「検討に当たっての留意点」を挙げることが、後ろとどう結びついているのか、よく分からない。
確かに、私自身がこういうことを言ったのは事実ですけれども、私が一番言いたかったのは、支援体系についていえば、ひとり親家庭のためだけにということを、なかなか施策の広がりをもたせることはできないのではないか。つまり、そのために人を専属に何人か配置していくことは、今の各自治体の実施体制のことを考えると難しいのではないか。むしろ、全体の子育ての対策の中にひとり親家庭の問題をきちんと位置付けていく方が適切なのではないかという趣旨で申し上げたのですけれども、そういうことと結び付いているのかという疑問があります。これは意見です。
それから、2番目の「支援施策全体、実施体制の在り方について」申し上げると、今言ったことと関係するのですけれども、養育費の取り決めは離婚した後に何年か経ってやろうと思っても、もちろん法律的にはできないことはないけれども、実際には難しい。むしろ、そうなる以前に、あるいは離婚する前にいろいろな支援をしていくことが重要だと思いますが、そういう視点が少し乏しいという感じがいたします。
それから、地域の格差というか各自治体における取組の格差が大きいという問題が、これまでも指摘されてきたと思います。そのときに、それをどうやって底上げをしていくかというと、結局のところ、国が必要な助言・支援といっても先駆的な取組をしているところを拾い上げて PR していく、突き詰めていうと、それぐらいしかないのではないか。そこをどのように考えていけばよいのか。繰り返しますが、地方分権という中で限界があるのは現実ですけれども、そこのところをどう考えていくのかという視点が弱いのは、正直言って寂しいなという感じがします。
それから、「母子自立支援員の体制確保と資質の向上」のところも「母子自立支援員の待遇改善を図り、その資質を向上させることが必要だ」ということについて全く異論はありませんけれども、問題は、どのようにやっていくのかということですよね。具体的にどうやれば資質が向上するのか、あるいは待遇改善が図られるのでしょうか。最後のところは質問であると同時に、意見でもあります。
○小杉委員長
ありがとうございます。質問と意見が混じっているのですが、今の段階で、何か事務局でお答えできますか。
○小野家庭福祉課長
いろいろなご意見をいただいたのですが、最後の個所は質問であり、ご意見であったということなので、その点で。母子自立支援員について、どうやればということにつきましては、ここで書いてあることは確かに抽象的でございまして、我々の方でこれをいただいた後、そもそも、その説明をしていなかったのですが、これをいただいた後、我々の方で例えば予算要求であるとか必要な法律改正があれば、法律改正に結びつけていくことになります。その中で、ここで委員の先生方におっしゃっていただいたことを踏まえて、具体策、これこれこういう予算を付けましたといったことを考えていく。その中で考えさせていただければと思っております。また、それで具体的に例えばこうした方が良いということがあれば、そういったこともご提示いただけると大変ありがたいところでございます。
○島崎委員
今の話は、このように理解してよろしいのですか。この検討会に当たって、私どもは、こうあるべきではないかという方向性を言うことが求められている。「言えば」というと無責任な言い方かもしれませんが、それを予算要求なり税制改正要望といった形でも、それを具体的にどのように施策に落とし込んでいくかは行政の役割であって、もちろん個別にこうあるべきだという具体策について提言してもらってもよいけれども、むしろこうあるべきだという方向性をしっかりと打ち出してほしいという趣旨ですか。
○小野家庭福祉課長
基本的にはそのように申し上げたつもりでございます。
○小杉委員長
最後の母子自立支援員の話で、私からも若干意見を申し上げたいのですが、今は十分ではないので資質向上・体制確保しなければならない。そのための研修をしなければならないという方向性でよいと思いますが、一体何の研修をするのか。専門性を高めるという「専門性」とは一体どのように定義されているのか。その議論がないのだと思います。まず、母子自立支援員は一体どういう資質・能力、あるいは具体的にどういうコンピテンシーが必要なのかということについて、私はしっかり専門職として確立しなければいけないのではないかと思いますので、ぜひ、これからも方向として考えるならば、その専門性をきちんと確立する。研修するのはよいけれども、一体何を研修して、どういう仕上がり像を考えるのか。その仕上がり像まできちんと言及していくべきだと思いますので、母子自立支援員の資質向上はどのように向上させるのかという議論まで、ぜひしていただきたいと思います。
三木委員、どうぞ。
○三木委員
今のことに関連してですが、島崎委員がおっしゃっていたように、専門性、人の配置が各自治体にできるかどうかというところが大きくなると思います。一般の子育て支援策を各自治体がやっていて、そこから声を拾い上げることもできますという中で、ある程度専門性を持った人が広域的なところにいてもよいのではないかと思います。各市に必ずいれば本当はよいのですけれども、先ほどおっしゃったようにどこまでの専門性を求めるかがありますが、本当の専門性を持った方を配置するとなると、当面は難しいのではないかというところです。ただ、広域性というのが、どの範囲か分かりませんが、そういった方を配置することは必要だと思います。
○海野委員
母子自立支援員が、ある程度公務員化してしまうと、動かないというか申し訳ないけれども、私たちは母子自立支援員を母子福祉センターで採用しているので、そうすると採用に当たっても、とりあえず企業にも「ここ見つけてきたから行ってください」とか、そういう形で追いかけることができるけれども、公務員的な立場になると、それができなくなってしまう。採用されてみれば、実際問題、机の前から動いていないです。企業へ行ってどういう状況か。まだまだきれいごとで男性社会です。だから、そこへ食い込んでいくにはよほどしっかりと母子自立支援員が動いてくれないと、そこのところで採用の時点で中に立った人がそういう感じだと、この人が連れてきた人なら嫌だという感じで見られてしまう。だから、積極的にそういうことを推していける人が母子自立支援員になっているのかどうかということも問題であると思いますし、結局当事者にとってもそういう人の後についていって大丈夫だろうかという不安感もあるし、そういう点で採用したからと、のほほんとしているのではなくて、しっかりと後ろを押すような体系もないと駄目なのではないかと思います。
○小杉委員長
ありがとうございます。他に。今は母子自立支援員の話ばかりになっていますが、大事なポイントはこの中に幾つか入っていると思います。広報の話もかなり今まで出ていますが、何かご意見等がございますか。
○大塩委員
先ほど島崎委員が発言された 1 番の「検討に当たっての留意点」に戻りますが、私は最初の丸が非常に気になっておりまして、確かにこういうご意見を出されて、社会情勢の中でひとり親世帯だけではなく、社会の中でも厳しい状況が広がっているということが出て、島崎委員はそれを子育てというか子どもの支援に特化したところで間口を広げていくことが適当ではないかとおっしゃったのは記憶しております。議事録でも拝見しました。しかし、ここでもう一度確認したいのは、社会の中は非正規雇用が増加していたり、男女の賃金格差、仕事と子育ての両立の難しさ等がありますけれども、その中でもひとり親世帯は本当に大変な状況の中で生活しておられるということを、きちんとここに書き込んでいただきたいということです。文言の中で「子どもの貧困など」と出ておりますが、子どもの貧困率もひとり親世帯は 50% 以上になっているこの貧困率をどうやっていくのかというところも、非常に大事なところだと思いますので、ひとり親世帯の置かれている状況をきちんと書き込んでいただきたいと思っています。
○小杉委員長
ありがとうございます。最初のところが世の中皆大変なのだからという議論の逃げ場にならないように、島崎委員がおっしゃった意図をよく汲んで書いていただきたいということだと思います。他に、委員からご意見を、どうぞ。
○大塩委員
2 ページの (3) 「相談支援窓口体制の整備」の中の一つ目の丸ですが、「相談支援窓口の体制を整え、これを周知することが必要ではないか」ということと、次の丸に書いてあることと、黒ポツ四つは本当にそうなのですけれども、では具体的にどうやっていくのかというところが全然見えていないので、具体的にどのようにやって相談体制の窓口をきちんとやっていくか。最初の相談窓口の対応が非常に大切なので、そこをきちんとやっていくことが大事なことだと思います。そのことが一つ。
もう 1 点は、ひとり親家庭の支援の窓口のスタートラインは妊娠のときからだと思います。妊娠され母子手帳をもらいに来られたときに、ひとり親としてやっていこうと思っておられるのかどうかということを状況の中で聞き取れたら、そこから支援が始まります。そこから制度に乗せて、こういう支援がありますよということを伝えていくことがとても大事なことだと思いますので、相談支援の枠の中には妊娠中からも入れていただきたいと思います。
○小杉委員長
他に、ご意見がありますか。どうぞ。
○兼子委員
今、大塩委員がおっしゃった「妊娠中から」ということですけれども、母子保健の現場においては、要保護児童の対応ということで特定妊婦というくくりもあるものですから、各自治体はその枠の中でひとり親も含めて対応していると思います。
○中田委員
先ほどから母子自立支援員の専門性ということについてお話がありますので、私からもぜひ発言させていただきたいと思います。専門性というのはどこまでいっても限りなく人間の人生に関わること全てについて知っていなければならないと思うほど、母子自立支援員にはいろいろな専門性が求められていると思います。しかし、現在の状況では、プレゼンテーションのときにもお話ししましたが、母子自立支援員の専門性を理解していない自治体も少なくないようですので、母子自立支援員が配置されていないところもありますし、雇止めといいますか、短期間でどんどん替えていくところもある中で、母子自立支援員が研修などを受ける機会もなく、ただ窓口要員として座っていればよいとしか考えていない者もいるということも残念ながら事実ではないかと思います。そのためにも自治体が母子自立支援員のひとり親福祉に対する重要性をもう少し認識していただいて、母子自立支援員が安定した立場で雇用されて、何年も続けてひとり親家庭の方と向き合い、研修も受けていく中で、だんだん専門性というものが身に付き磨かれていくのではないかと考えています。ですので、ぜひ公務員という安定した立場で雇い止めの心配もなく、安定した雇用の中で専門性を身に付けていけるような体制をぜひ作っていただきたいと考えております。
○三木委員
先ほど、私は専門性というところで、イメージとしてすごい専門性を持った方というイメージを持ちました。ですので、各市 1 人いればよいけれども難しいとお話ししたのですが、人を育てていくというところであれば、そこに力を入れていく。 3 ページの (4) に「母子自立支援員の体制確保と資質向上」という項目で、さらに具体的なものは今後の検討となるようですので、そこのところはきちんと行っていく。各自治体の認識不足というところもあるというのは重々承知しておりますが、実態としてそういうひとり親家庭のさまざまな相談窓口だということを認識していただくという国の通知なりになるのかどうか分かりませんが、そういったところは必要だと思います。
○島崎委員
相談支援窓口体制の整備に関してですけれども、率直にいうと相談支援の今の体制そのものが非常にいろいろな機関に分散していて、専門性も分散している。従って総合性は欠落しているし、ワンストップサービスではないという問題がこれまで指摘されてきたのだろうと思います。私はそのことは当たっていると思っていて、では、具体的にこの文章をどのように書くかという話ではありますが、まず、そういう問題なのだということは事務局の方に正確に認識を持っていただきたいと思います。これは結構根の深い話で、これをさらにいうと、ひとり親家庭のいろいろな問題というのは、中身によっては就業の話も絡むし、法律マターも絡みます。例えば DV のように身に危険が及ぶような問題まで絡みますし、各種の福祉施策も絡むということを考えていくと、実をいうと、難しい問題で相当本腰を入れて取り組んでいかないと、これまでの相談支援の窓口を微修正すれば済むという話では本質的にないという認識をきちんと持つべきだと思います。
もう一ついうと、地域の実情に応じて相談支援窓口の在り方は多様であってしかるべきですが、私は民間でもしっかりしているところは、それを使えばよいと思います。例えば母子生活支援施設を使うということも、大塩委員がいらっしゃるから申し上げたわけではないのですが、そういうリソースを使うことも十分あり得ます。要は、民間団体がしっかりしているのであれば、それを使うということも考えるべきであって、「官」か「民」かにこだわらず一番役に立つものを有効に使っていくという視点が必要ではないかと思います。
○小杉委員長
ありがとうございます。そろそろ参加人の方にもお時間が必要だと思いますので、参加人の皆さまから、今の議論に関してご意見がございますでしょうか。まず、片山参加人から。
○片山参加人
まず 1 点目は、島崎委員がおっしゃった全体的なところであって、ひとり親支援の施策だけの問題ではないというところです。厚生労働省で今、イクメン・プロジェクトですとかワーク・ライフ・バランスの推進をやっていますけれども、そういうところから見ていかなければいけないというところと、日本は結婚が自由で法律婚や事実婚がありますが、離婚の未然防止は言いにくいと思いますが、こういうことを学校教育やパートナーが結ばれるときにしっかりしていかなければいけないと思います。
二つ目の丸ですけれども、支援のニーズというのはパブリック・コメントを拾えばよいと思います。パブリック・コメントをしっかりやっていくということを繰り返しやっていく。これを WEB ですとか 2 ページ目の (2) 「 SNS( ソーシャルネットワーキングサービス ) 」というところも駆使してパブリック・コメントを拾っていけばよいと思います。
3 ページ目の真ん中の (5) 「父子家庭への支援」で、名称は法律の文章には「母子家庭等」となっていますけれども、これを「ひとり親」ですとか「父子家庭・母子家庭」というように分けるという手続きはどのような形を踏んでいけばできますか。要は、母子寡婦福祉法があるなら父子寡夫福祉法を作ってくれとは思いませんが、分けて考えていただきたい。文章全体にいえるのですが「父子家庭」と書いてあるところと「ひとり親」と書いてあるところ、「ひとり親家庭への支援」と書いていても、母子家庭と父子家庭は似て非なるものである部分もあると思いますので、その辺は分けて考えていただきたいと思いました。
○小杉委員長
途中で質問が入っていましたか。「どうすれば」というところは。
○小野家庭福祉課長
どうすればというご質問は難しいのですが、法律で規定されているところで、例えば「母子自立支援員」という言葉であれば、それはその法律を改正することになるわけでございまして、法律を改正する手段という意味でいいますと、政府提案の法律を作るか。あるいは、国会議員のイニシアティブによる議員立法でやるかという形になると思います。こういったことでよろしいでしょうか。
○片山参加人
各法律を閣法ないし議員立法などで一つずつ踏んでいかなければ変えていけないということなのですね。
○小野家庭福祉課長
法律の条文に関してはさようでございまして、法律で決まっているものはそこでしか変えようがないということでございます。
○小杉委員長
続いて、手が挙がった赤石参加人。
○赤石参加人
ありがとうございます。まず、 1 ページ目の留意点のところですけれども、子どもの貧困やいろいろな社会背景が触れられていますが、今のひとり親家庭の厳しい状況をどのようにしていくのか。例えば、貧困率を下げていきたいという意思をここで示すのかどうかというところがほしいところではないかと思います。
それから、表現としてこれは正しいのかなと思いますが、「非正規雇用の増加、男女の賃金格差、仕事と子育ての両立の難しさ」これは一つ一つの事象です。でも、子どもの貧困というのは、そもそも子どもの貧困率の 50.8 %というのが子どものいる世帯の貧困率なので、ここでこのように言うのが正しいのか。その結果として、子どものいる世帯の貧困率が高くなっているという言い方でないと、変だと思っています。
二つ目の丸、職歴の前に学歴の格差があるということがデータにありましたので、入れた方が良いし、中卒や高校中退の方には支援ニーズが違うということも出ています。
二つ目と三つ目の丸で、 DV 被害者のことが今回かなり書いてありますので、そのことも触れられた方がよろしいかと思います。
三つ目の丸ですけれども、就労自立ということをおっしゃっていますが、後の方では就労自立の難しい方がいらっしゃるということも触れています。そうだとしたら、ここにも就労自立では難しい方の生活自立を目指すとか、そういったことが入っていた方がよいということと、就労自立を皆さま希望していますが、あまりにも就労することによって子どもとの時間や自分の健康を守ることも困難になるような、漠と言うと、今はやりのワーク・ライフ・バランスですけれども、それをとれないようではまずいわけです。それで破綻してしまうことになる。だから、「ワーク・ライフ・バランス」という言葉でもよいのですが、「健全な両立」のようなものがほしいと思います。ただ、働けばよいということでは難しいと思いました。
2 のところですが、 2 ページの支援メニューがニーズに合致しているかというところで、いろいろな支援メニューと提供体制の見直しがあります。この委員会でも非常に短い時間だったので支援メニュー全てを検証できなかったのです。それで、そのことと提供体制のことはまた別のことです。ですので、ここは切り離した書き方、支援メニューを検討し、さらに、提供体制は委託先の多様性などもありますので、別のことではないかと思いました。
SNS やインターネットのことを書いていただきありがとうございます。 2 の (3) 二つ目の丸の 2 番目のポツの「寄り添い型の相談支援」ですが、今までも話題に出ておりましたがこれは具体的にどこが受け皿になるイメージなのでしょうか。これは質問です。「寄り添い型の相談支援」私も関わっているところがありますが、非常に困難です。どのような資源をもってこれをやろうと思っていらっしゃるのか。書いてあることはとても美しいけれども、どうなっているのかと思いました。
3 ページの母子自立支援員の待遇改善、私もそのように皆さまの議論を聞いてどのように待遇改善ができるのか。担当課自体のご理解もなくて非常に困っていらっしゃる方もいると聞いていますので、ここの実質的な改善はどのように図れるのかと思いました。以上です。
○小杉委員長
質問が入っていましたが、いかがですか。
○小野家庭福祉課長
2 ページの (3) 寄り添い型の相談支援の担い手ということでございますが、まさにここでいろいろご議論いただいているように、それもその地域によって多様なスタイルが考えられるのではないかと思っています。母子自立支援員ないし市役所の窓口の方ということもあると思います。あるいは、先ほど島崎委員がおっしゃったと思いますが、地域のさまざまなリソースの方にそういったものをアウトソースしていくということも考えられるのではないかと、今の段階ではイメージしています。
○小杉委員長
ありがとうございます。他の参加人の方、佐藤参加人、どうぞ。
○佐藤参加人
佐藤です。ありがとうございます。感想のような形で申し訳ないのですが、書かれていることが具体性に乏しいということが 1 点と、支援体制の整備をいつまでにやるかといった年数です。母子自立支援員の資質を高めますと謳ってはいるのですが、いつまでに何人配置するという目標値がないと、なかなか体制が組めないのではないか。そういったところがこの資料にはなくて、理念だけで掲げられてしまっては、実際に後になっても検証できないと思いました。ですので、まずはニーズをつかむことが大事だと思いますが、母子自立支援員の体制整備が必要だということが分かっているのであれば、どういった形に、どの程度の人口規模であれば何人程度必要で、それをいつまでにやるのか。あるいは、そのためにどういったプログラムが必要なのかということをもう少し具体的に出さないと、 3 年後に検証しますといったときに同じ議論をするのではないか。若干増えました。 10 %増しましたというのではあまり意味がないのではないかと思いました。
相談支援体制の「寄り添い型」と書いてある点についても一言申し上げます。寄り添いというのが抽象的でよく分からないと思います。日本の福祉は申告制ですから、窓口に行って初めてメニューを紹介してもらえるということだと思いますが、困難な状況になってから相談に行くというのでは大変問題が深刻になっているので、そうではない状況のときに、声を掛けるというかアプローチしていく方が良いと思います。大塩委員が母子手帳の配布のときからということも言われました。あるいは、片山参加人からも離婚をしないようにという教育があった方が良いのではないかというところも含めて、総合的にこれをどうしていくかというところを落とし込んでいった方が良いのではないか。実際に離婚をしました。では、これからどうしようといったときに、どこか公的機関が 1 回でも関与する仕組みをぜひ検討してもらいたいと思っています。窓口に行って離婚しました。では、母子家庭のしおりを一つもらって、それを読みこなせない人は大変な状況になってからしか相談に行けない。あるいは、ヘトヘトになってから行くという状況ではないような、あるいは離婚したときにプログラムのようなものを組んで、それをしっかり聞くといった方向性といったものをもう少し具体的に考えていただきたいと思います。
○小杉委員長
よろしいですか。次の議論に移ってもよろしいでしょうか。最後にまた全体をやりますので、次の「就業支援」というパートに入りたいと思います。 3 ページの後半から 4 ページの初めまでということになります。まず、委員からこの部分についてのご意見を伺いたいと思います。
○大塩委員
ありがとうございます。先ほどの赤石参加人からのお話にもありましたが、就業支援をしていくときに、夫婦そろっていても子育てをしていくのは大変な状況の中で、正規雇用を目指して働いていくと子どもとの時間が少なくなってくる。子どもとの時間を選ぶと収入が少ないという究極の選択の中で働いておられると思います。就業支援を議論するときには、ここの委員会だけでは難しいと思いますが、子育て支援がどれだけ充実しているかがとても大事なことになってくると思います。この委員会で言うことではないと思いますが、日本はどのような子育てを目指しているのかということがいつも気になります。 6 歳まではきちんと親子で過ごす時間が保証されているのか。それとも、どんどん働きに出ても子育て支援をする体制が整っているのか。子どもと過ごす時間がきちんと保証されているのか。どちらもない状態の中で究極の選択を迫られている子育ての中の親だと思います。その中でも、ひとり親家庭の方たちはもっと究極の選択を迫られていて、赤石参加人からもありましたけれども、健康を害されたり、ワーク・ライフ・バランスが崩れてしまっているということが起こってきてしまっています。これはここだけの問題ではありませんが、子育て支援と就業支援の充実をセットでやらなければいけないところだと思います。
○新保委員
子育て支援ということについていうならば、現在、子ども・子育て支援に関する大きな制度改正が行われておりますので、その制度改正の中でも、ひとり親家庭に対して認定こども園という仕組みの中においても優先的に保育サービスを受けやすくすることについてはしっかり制度を整えていただきたいと思います。
その上で、もう 1 点ございます。 4 ページになります。ひとり親が就業や転職するに当たって就業に役立つ資格の取得が有効であるということで、高等技能訓練促進費等事業等ということについて、前回も周先生から細かい説明を受けたかと思います。この制度については自治体で実施しているところもあるし、そうでないところもありますが、有効であるということについては、かなり確率が高いのではないかと思いますが、この高等技能訓練促進費をひとり親家庭が受けたときに、受けた費用というものがどうやら所得とみなされているという実態があるように思います。それはもともとの所得のベースが低い方にとってみれば、この高等技能訓練促進費が所得としてみなされた場合には所得税がかかるという可能性、そして、住民税も非課税であったものが課税になるという可能性も出てくるのではないかと思います。この部分については行政でやっていただかなければいけないことかと思いますが、どうにかして所得とみなされないような工夫をしていただくことによって、この制度の利用、そして活用、そして就業自立ということに結び付くのではないかと思います。ぜひ、ご検討をお願いしたいと思います。
○小杉委員長
ありがとうございます。他に。
○海野委員
いろいろ混じってきてしまうのですけれども、養育費の件については離婚届に養育費のチェック欄ができました。養育費は、後ほどですね。
自立支援については、講座等が夜間や休日にやっているところは少ないと思います。高等教育を受けるにはいろいろな講座を受けないと無理だと思います。それには夜間や土日にやっている機関が少ないので、そういう時間帯を利用して、高度な技術にしてあげて今の職を守るということが一番大事なことで、転職するにしても技術は必要であるということを根本に置けば、やはりそういうことも考えないといけないのではないかと思います。
夜間とか朝一番に病気になった場合の問題点が残っていますので、働くには子どもを預かってもらえなければ働けないという現実があります。「病後児保育」というのは多いのですが、「病児保育」がないのです。だから、例えば、市が運営している公営の病院があります。そういうところで取りあえずは、例えば 1 か所でもよいからそういう子どものためのベッドを作ってもらえないかというのが要望です。母子家庭の人は何日も、長い間休めば絶対にクビになります。一般にはまだまだ分かっていないでしょうけれど、要するに企業は 30 日前に言えば解雇はある程度できるわけです。そういう観点からいうと、休みが多ければ一般企業ではクビになるのは当たり前です。そういうことがないようにするためには、休まなくても済むような仕組みが一番大事ではないかと思っています。
○小杉委員長
ありがとうございます。「子育て・生活支援」の方に入っていますが、就業と大変関係がございますので。
○三木委員
今のは、就業支援にはかなり子育て支援策が必要ではないかというご意見で、次の「子育て・生活支援」に、 4 ページの最後の丸に「一般の子ども・子育て支援施策の充実が必要ではないか」と、ここに項目が入っていますので、もし、必要であれば再掲という形で、再掲というと就業支援の方が先になってしまうのですが、それをここに入れるというのも一つの方法ではないかとご意見を伺っていて思いました。
○小杉委員長
他に、主に就業支援に関わるご意見がございますか。
○杉澤委員
3 ページの就業支援の一つ目の丸で「転職やキャリアアップの支援の推進が必要」と。確かにそうだと思いますけれど、現状のままでは、より安定な職が得られないのは確かですけれど、この「転職やキャリアアップの支援」までたどり着ける方というのは、割と少数派で、まだまだ難しいのではないかというところもあって、一律に支援というのではなくて、こういう状況に合う方といいますか、そういうところを捉えて促進といいますか、それが必要だと思います。
○小杉委員長
できることではない。
○大塩委員
申し訳ありません。 4 ページの (2) の「子育て・生活支援」の一つ前の丸ですけれども、この「他方で、ひとり親の中には例えば DV 被害を受けたトラウマに苦しむなど」、「回復への支援などから入っていく」、「継続的、計画的な寄り添い型の支援が必要ではないか」と書いてありますが、ここはまさに母子生活支援施設がやっている支援ですので、広げていただけたらと思います。きちんと「母子生活支援施設が行っている支援など」という形で文言を入れていただけると後々母子生活支援施設の周知にもつながってくるかと思いましたので、お願いいたします。
○小杉委員長
では、参加人の方から、このパートについてご意見がございますか。先に挙がった赤石参加人から。
○赤石参加人
ありがとうございます。まず 4 ページ、丸の二つ目です。「福祉から就労」自立促進事業は「実績が上がっている」となっていて、確かに就労能率はよいということのデータを最初にいただいているのですけれども、何か少し検証が甘いというか、給与額がどれぐらい上がったのかとか、そういう数値がないのです。こういうところが少し残念なところで、「上がっている」と言ってよいのかどうか、もう少し精緻な議論があった方がよいのではないかと思いました。
それから、高等技能訓練促進費事業についての丸の三つ目です。資格の拡大ということは、一応「 2 年以上の就業期間のある国家資格で自治体が定める」ということになっているかと思いますけれども、例示などしていただけると自治体も拡大しやすいと思います。例えば、鍼灸師というようなことでしょうか。社会福祉士・歯科衛生士などの例示をしていただけると自治体の方も拡大しやすいのではないかと思いました。
それから母子寡婦の特別措置法の方です。「国や自治体による取り組みを推進する必要」とは、これは質問なのですが、具体的には何ですか。これだけだと分からなくて。想像するに、国による非常勤の雇用とかそういうことだとすれば、今までも書いてあっても進まなかったので、進んでほしいためには、何かテコ入れが必要だと思います。
それから四つ目の「 DV 被害」のところですが、 DV 被害だけではなく、子ども時代に虐待された方とか、学歴が低い方が困難を抱えていらっしゃると思いますので、何かそういう文言が入るとよいと思いました。以上です。
○小杉委員長
ありがとうございました。一つ質問ということで、お願いいたします。
○小野家庭福祉課長
特別措置法のところで意図しているのは、まさに赤石参加人がおっしゃったとおりです。国などから非常勤雇用の話ということでご理解いただければと思います。
○赤石参考人
ずっと入っているのですが、あまり進んでいないのですけれども。
○小野家庭福祉課長
そういうことですので、我々もここで書かせていただいて、さらに頑張らなければいけないということを自戒を込めて書かせていただいたつもりでいます。
○赤西参考人
頑張る文言がほしいと思います。
○小杉委員長
佐藤参加人、どうぞ。
○佐藤参加人
ありがとうございます。今日は海野委員からのパンフレットがあって、よく見るといろいろな資格の講座など、ご用意されていて素晴らしい取組だと思います。高等技能訓練促進費もそうですが、恵まれた地域に住んでいる、通えるところにいる方にとっては極めて有効かもしれませんけれども、全てのひとり親家庭の方がそういった地理的条件に恵まれてはいないことも念頭に置かなければならないと思っています。
在宅就業に全てとは思いませんけれども、例えば e- ラーニングによりスキルアップを図るといったトレーニングをもっと利用しやすくするとか、それでさらにそこに在宅就労のようなものを付けるとか、全て地理的条件に恵まれた人しか使えない制度というのではなくて、どこに行っても、どういう状況であっても就業に取り組めるような状況を確保していただくような施策を盛り込んでいただけたらありがたいと思いました。
○小杉委員長
ありがとうございました。では、片山参加人。
○片山参加人
ハローワークでの支援ということで、経営者の方に、特定求職者雇用開発助成金のアナウンスだとか意外と知られていないというところがあって、 1 年間の支援ではあるのですけども、 OJT 費用にはなるというアナウンスを経営者側にもひとり親の方にも周知していかなければいけないと思います。これは特別措置法の中には謳っていないものです。
○小杉委員長
中田委員、どうぞ。
○中田委員
中田です。先ほど杉澤委員のご発言の中に、転職やキャリアアップの支援についてお話がありました。私の聞き間違いかもしれないのですけれども、相談を受けていると、今働いてはいるけれども、もっとお給料を上げたいとか、仕方なく今の低賃金に甘んじているという方が多くて、転職とかキャリアアップ希望者はとても多いように思います。同時に、それにつけて、高等技能訓練促進費を利用したいという相談がとても多いと思いますので、その項目はぜひ重要な位置につけておいていただきたいと感じております。以上です。
○小杉委員長
杉澤委員は「この項目は要らない」という話ではありませんでした。
次の話題にいきたいのですが、もう既に入っておりますが、「子育て・生活支援」のパートでのご意見を伺いたいと思います。どうでしょうか。大塩委員。
○大塩委員
ありがとうございます。 5 ページの最初の丸ですが、「日常生活支援事業については、地域によって提供体制が十分ではなく」とあるのですが、ご報告の中でも地域によってかなりの格差が出ていたと思います。この日常生活支援事業がひとり親家庭の方々にきちんと周知されて、具体的な生活支援をしてもらえれば随分違うだろうと思いますので、これを周知徹底していただきたいことと、自治体において取組の差があるというところを何とか解消していただきたいと思います。
それから、この日常生活支援事業の受託団体についても、どのようなところが受けておられるのか。地域の実情に応じたところが受けられるような公募制ですとか、そのような仕組みにしていただけるとよいと思います。
○小杉委員長
海野委員、どうぞ。
○海野委員
日常生活支援事業の格差というのは、県は県知事の認可があればよいし、政令市は市長の認可があればできるので、私たちは自分たちの団体で「こういうことも受け入れてください。ああいうことも受け入れてください」と毎年要望して、徐々に受け入れてもらっています。そういう動きをしないと。国からばかりではなくて、自分たちも動かないと駄目なのだということを実質的に感じています。ですから、地方分権で地方に全部下ろされている以上は、地方でも動きを見せないと駄目だろうと感じています。
○小杉委員長
具体的な取組が重要ということですね。他に、この件に関していかがでしょう。
私から、一言。私は専門が学校から職業への移行研究なので、この学習支援ボランティアというのが全然使われていないのが大変気にかかっております。ものすごく重要な事業だと思います。もっと大学などと連携できないのか。大学も今は地域貢献というのがミッションになっていますので、教育政策もそのように変わっています。あるいは大学の中での学びでも、最近ではアクティブラーニングやサービスラーニングなどラーニングの仕方について、現場にもっと向き合ったラーニングが必要だという議論が中央教育審議会の中でも盛んにされているところです。地域の大学ともっと連携すれば、この事業は大学の資源をもっと使うことができるのではないかと思いまして、そういう関連の資源を持ったところへ積極的に働きかけていけるような施策は何かないものかと思う次第です。
○海野委員
川崎市ではないのですけれど、横浜市でやり始めたのですが、子ども 1 人に大学生が 3 人も 4 人にもなるらしいです。それぐらい応援隊がいるのに、子どもを集めることが今は場所によってできないという現状も起きていることは確かです。
○小杉委員長
数としてはほとんど上がっていないので、何とかこれを広めていただきたいと思います。他に。どうぞ。
○三木委員
私もここに子どもを対象とした支援が重要だと入れるのはとても大事だと思いますので、今のボランティア事業も広めていただきたいと思います。感想です。
○兼子委員
先ほど新保委員の方からも少し出ているのですけれども、今、自治体の方は、子ども・子育て新制度に伴う平成 27 年度からの計画づくりというのがあります。ですので、 4 ページの一番下に「一般の子ども・子育て支援施策の充実」と書かれているのですけれども、新制度のところも少し載せていただければと思います。
○小杉委員長
では、参加人の方。赤石参加人。
○赤石参加人
ありがとうございます。まず一つ目の丸、4ページの下です。保育のところですが、この保育の充実はとても大事だと思います。私がリポートした寡婦控除が税金で付かない母子家庭、婚姻暦のない母子家庭の母親は保育料が年間で大体 20 万円ぐらい違うのです。年収 200 万円で 20 万円ぐらい保育料が違ってきます。それは、あまりにも過重な負担ですので、保育料を算定するときに寡婦控除が付いたものとみなして保育料を算定するという配慮があると随分生活全体が楽になるかと思います。それをぜひ書き込んでいただきたいと思います。
それから、 5 ページの上の二つ目の丸です。日常生活支援事業ですけれども、提供体制が不十分だということをここで認められたということは一歩前進ではあるのですが、解決策は確かに自治体がやるわけですけれども、受託団体を公募するなり、今は子ども支援の団体がいろいろできております。あるいはヘルパー関係の団体もありますので、そういうところを公募した方がよいのではないかと思います。
また、「ファミリーサポート事業」というのもございます。これは一般の子どもたちを預かる仕組みですけれども、この方が使い勝手がよいという方もいらっしゃいます。先ほど、島崎委員が「子どもの支援でユニバーサルな制度に落とし込んだ方がかえってよいのではないか」とおっしゃっていましたが、これはまさにそうかもしれません。ですので、地域の資源によってはファミリーサポート事業と合体し、そこに減免措置を付け、使いやすくするという方を選択できるというように示した方がよいかと思います。全部たこつぼのように制度を作っていく必要はないと思います。
学習支援ですけれども、私も大事な制度だと思っております。ここもやはり受託団体の問題があるように聞いております。ある県の例ですが、ぜひ受託したいといった時に、「申し訳ございません。既にあるいろいろな他の受託している団体があるので、では、あなたたちがやる市はよけて、そこは何の援助もしないけれど、他の団体が他の市で受託してもらうから」と言われたということを聞きました。言っている意味が分かりますか。その選考というのはいかがなものかと思うわけです。
地方自治体の選択ということになるとは思いますけれども、そういう見えない壁を取り除いてほしいということを徹底すべきではないかと思います。
○小杉委員長
もうお一方。では、先に新川参加人。
○新川参加人
ウインクの新川です。保育体制の整備の部分の多分「受け」になるかと思いますが、キャリアカウンセリングをやっている現場でよく当事者から出る意見の中で、就職活動期間中の猶予が 3 か月しかないということに結構プレッシャーを感じていて、保育園に預けられなくなってしまうので、 3 か月の間でどうしても決めなくてはというのが非常に心の負担になっているのではないかという部分で、よい就労条件が選べないということにつながっている場合もあるので、時と場合によって、寄り添い型の支援という意味では考慮すべきではないかと感じています。
○片山参加人
ここでのテーマではないのかもしれないですけれども、ひとり親家庭の子どもが大人になるときに大学に進学するのが非常に困難であって、奨学金というのは児童ローンというか、子どもが返していくというのはとても困難なことです。国連の人権規約で日本とマダガスカルぐらいしか高等授業料の無償化を批准していないというところは、ここで議論する話ではないと思いますけれども、私の子どもも高校 3 年生で進学を諦めています。そういうところでもひとり親の子育てというところで支援をもう少し幅広く拡充していってほしいというところがあります。 DV ですとか、そういうところです。ひとり親の子育てというところで、特に父子家庭です。私の感覚かもしれないけれども、ひとり親の子どもが何か軽度の発達障害とか、障害を持つ子どもが目立つというのがあります。多動性などで、父親は従来から子育てを見てこなかった。自分の母親・父親の子育てを見てこなかったという部分で、父子家庭の父親は子育てにとても戸惑っています。保育園でも小学校でも、ママ友のところに入っていけないとか、 5 ページ目の丸四つ目ですが、ひとり親家庭の親や子どもの当事者同士の悩みを打ち明けるところが父子家庭にはありません。無理やりコミュニティを自分たちでつくって、手弁当でやっているところとか、全国母子寡婦福祉団体協議会のようなところがないので、父子家庭は父子家庭のための交流する、一杯飲むとかお茶をする、子育て談義をするということです。今、イクメンという事業も少しずつ NPO などで盛んにはなっていますけれども、それもあくまでマイノリティですので、父子家庭の子育てをもう少しクローズアップして支援を広げていく枠組み、システムづくりを国を挙げて協力していただきたいと思います。
○海野委員
子どもの進学問題で私は皆さんに言うのですけれども、「 1 年浪人したと思えば、なんてことはないのだから、 1 年働いて、入学金を貯めて、それで大学進学という道もあるのです」と指導します。何が何でも国から何とかというのではなくて、自分でやればまた自分でしっかりと生きていける基礎ができるから、そのようにするのも一つです。大学の間の授業料は、結構アルバイトで何とかなっていくのです。入学金等の問題があるから最初は無理ですが、 1 年働いても浪人する子どもはたくさんいるのだから、ここの差は絶対に取り返せますから。そういうこともいろいろなやり方で何が何でもおんぶに抱っこではなくて、やれることはやって支援してもらえるものは支援して、できるだけ高度な学校に行っていただきたいと思っています。
先ほどのコミュニティの場所ですが、母子福祉センターなど、多分父子家庭の方でも貸してくださいと言えばお借りできると思います。そこは話し合って、融通し合って、共に子どものためだから、協力し合ってやっていくというのが一つかと思います。私たちの団体も、しんぐるまざあず・ふぉーらむ、ハンド・イン・ハンド、ウインクさんもいます。目的は一緒なのだから、本当は協力し合ってやっていかなければいけないと思っています。
○小杉委員長
ありがとうございました。よろしければ、次の「養育費確保支援」の方に話題を移していきたいのですが、よろしいですか。
○佐藤参加人
1 点だけ。学習支援ボランティア事業について、広くさまざまな大学などで取り組まれるのはよいと思います。広く事業が展開されますと、事故が起きる可能性もなくはないのです。ですから、責任の所在をきちんとするということと、学生に対して十分な研修を行う。あるいは大人がサポートしていくというところをしっかりやって実のあるものにしていただきたいというのが 1 点です。責任の所在がないまま、この事業はいいというのでは、学生も傷つきますし、子どもも傷つくかもしれない。そうしたところを 1 点、この中間報告の中に入れていただけたらと思います。
○小杉委員長
ありがとうございました。では、「養育費確保支援」の方に話を移したいと思います。養育費確保支援については、海野委員の意見を止めてしまいましたので、どうぞ。
○海野委員
養育費の問題は、離婚届に今チェック欄ができましたので、チェック欄に養育費をもらっていない方は相談機関と連携してもらうような組織づくりをしていただければと思います。近くの場所だと目立つということがあれば、例えば階の違う相談室に行ってくださいというような形で送れば、何か解決方法があるのではないかと思っています。ここのところは重要だと思いますので、よろしくお願いします。
○小杉委員長
他に、ご意見は。
○大塩委員
養育支援事業ではなくて、「面会交流」についてですが、 5 ページの課題にも、「面会交流の支援を進めていくか」とか、それから (4) の「経済的支援」の前の、最後の丸ですけれども「面会交流支援事業の充実を図る必要があるのではないか」と書かれています。確かに子どもの権利からしても、面会交流は大切なことだとは思います。しかし中には面会が困難な親子もありますし、 DV 被害を受けていた子ども、虐待を受けていた子どもたちなどもありますので、ただし書きで「面会が困難な親子もある」ということをきちんと明記していただきたいと思います。
○島崎委員
「養育費の取り決めや支払いを義務づけることを検討すべきとの意見もあったが、民法の根幹に関わる問題であるため容易にできる議論ではないとの意見もあり」という部分ですけれども、先ほどの海野委員のご意見もそうですけれども、ここの点については、参加人の個人的な意見あるいは団体としてはどういう考え方なのでしょうか。つまり、私が聞きたい趣旨は、養育費の取り決めであるとか支払いを義務付けるということをするためには、今の協議離婚法制の在り方をかなり根本から見直すということが避けられないと思います。その結果、つまり、本当は離婚したいのだけれども離婚できないという事態も想定されるわけですけれども、従って私はそこのところは簡単ではないということをこれまでの検討会で申し上げてきたところですが、その点についてはどういうご認識なのか。せっかくの機会なので、お伺いしたいと思います。
○新川参加人
養育費の確保については、もちろん養育費確保に消極的なひとり親の取組を促す支援が必要というのは一ついえますが、私は払わない側の啓発が非常に必要だと思っていて、こちらに書いてあるように確かに民法に関わる問題なので安易にできる議論ではないということも重々承知の上で、やはり何らかの罰則規定を設けたいと思っていますし、せめてそれが今すぐにできない状況であるならば、払わない親の啓発をどのようにしていくべきなのかというところを、ぜひ検討課題としてほしいと思っています。
○島崎委員
もっとストレートに言うと、例えば先ほどの海野委員の議論だと離婚届にチェックするだけではなくて、もう少し積極的にコミットしろというご意見ですが、その点についてはいかがですか。
○新川参加人
私もそのように思っています。離婚届に関してはチェック欄が設けられて、それ以上のものは何もないので、現状は取り決めの仕方であったり、面会交流に関してもそうですが、マニュアルのようなものが全くない中で、チェックを入れても入れなくてもよいということで出来上がっている仕組みというのが納得がいきません。
○島崎委員
それは言ってみれば養育費の取り決めをしていることが離婚の要件化に近づくようなことになると思いますけれども、それでも構わないというご意見ですか。
○新川参加人
いろいろなケースの離婚理由があると思いますので、先ほどから出ている DV のケースだったりすると、それは一概に当てはまらないと思いますが、子どもの福祉という観点で考えると慎重に検討していくべきだと思います。
○海野委員
離婚したてというのは両方が感情的になっているのです。だから、話し合いができないのです。だから、届が出たときに相談機関があれば「こういう方法がありますよ」と指導していただければ、もう大人だから少し時間を置けばお互いに分かることなのです。でも、その瞬間というのは感情的になっているから話はまとまらないのです。だから、第三者が入ってくれることによって何とかなる方法もあるのではないかと思って、そういう機関につなげられたらどうかと思っています。
○小杉委員長
ありがとうございました。はい、どうぞ。
○島崎委員
面会交流事業ですけれども、「面会交流事業の充実を図る必要があるのではないか」という結びになっていますが、これはどこが図るのかということをきちんと考えなければいけないのではないかと思います。もっと端的に言うと、厚生労働省がやっていくのか。法務省がやっていくのか。最高裁判所も関与しているかもしれませんけれども、私は単純に養育費の問題を実際上は厚生労働省がやっているから面会交流もという話にはならないのではないかと思います。もっとも、法務省がもう少しコミットするといっても、あるいは最高裁判所がコミットするといっても、実際の「足腰」というか現場での窓口機関がないわけですから、どうするかという問題はありますけれども、これは先ほどありましたように、 DV の問題なども含めて、面会交流のやり方・支援の仕方というのは養育費とは全然違いますので、ここのところは、もし本当にやるのであれば、誰がどういう責任の下に、あるいはそれぞれの関係機関がどういう連携の下にやっていくのかということを、もう少しはっきりさせないとまずいのではないかと思います。これまでの延長線上でやっていくと、かえって後でまずい問題が起こるのではないかと危惧いたします。
○小杉委員長
参加人の方、どうぞ。
○片山参加人
養育費の関係は、父子家庭の父親は全然興味がないです。その中で、私も NPO をやる前に離婚のコンサルではないですけれども、アドバイスということで行政書士事務所の補助者の仕事をしていたことがあって、アドバイスをたくさんしていました。母子家庭の母親から離婚をしたいという相談がある中で、離婚に至るケースにもありますが、先ほどの発言にもあったように、市役所に養育費の確保やパンフレットを置いているものの、第三者、法テラスのような法律を何となく分かる人が間に入るようなことをスムーズに進めていく必要があるのではないか。協議離婚でも離婚協議書を作って公正証書にするという知識が全くないままに進めていく。父親にもう二度と会わせたくないとか、親のエゴによって子どもの面会が断絶される。子どもを会わせたくないから養育費もいらないというような子どもの福祉をないがしろにした離婚がとても多いというところと、離婚件数は横ばいですけれども、若年層の離婚がとてもウェートを占め、増えているところが非常に問題で、これは学校教育にも必要になってくる。パートナーシップをきちんと学校で教育をしていくことが必要だと思います。以上です。
○小杉委員長
赤石参加人。
○赤石参加人
ありがとうございます。面会交流について、子どもの立場から重要であるということが四角囲みの「課題」の中にありますが、ここで面会が困難な DV や虐待があった場合、先ほど大塩委員も指摘されていましたが、そこははっきり踏まえておいた方が良いと思います。今、非常に紛争的になっておりますので、した方がよいと思います。
それから、四つ目の丸の面会交流には関係機関の協力を得て充実を図るというのがありますが、養育費の方にはそれがなくて、養育費と面会交流の議論を何とか省庁横断的な裁判所も含めた、裁判所のインフラがないとできないのです。相談をきちんと裁判所で受けていただかないといけないので、そこも含めた委員会をつくられないと、この問題は解決しないのではないかと思っています。
養育費の取り決めを離婚時の義務化にするということで、島崎委員が先ほど「どのように思うのか」というお話がありましたが、非常に微妙な問題で結論は私はまだ出ないと思っていますが、そこは難しいところだと思います。
もう一つ議論になるのは、養育費の義務化のコストを払っていくということになりますと、どこまでの立て替え払い制度なのか。給料天引き制度なのか。いろいろなパターンがありますけれども、そのコストはかなり高いというのが各国の調査で分かっているので、そうなると、それを児童扶養手当の差引になるという考え方もありますので、この辺は微妙で、私も意見をまとめかねているところです。
それから、面会交流の実施をしておられる方から、事実婚と間違われたという訴えがよくございます。ですので、この間も指摘させていただきましたが、事実結婚の規定を面会交流をしやすくするためにも再度規定を見直した方がよいと思っています。
○小杉委員長
ありがとうございました。あとはよろしいですか。
もう一つの話題に移りたいと思います。最後の話題ですが、「経済的支援」という最後の項目です。ここについて、委員の方からご意見を。中田委員。
○中田委員
中田です。母子寡婦福祉資金について一つお願いしたいと思います。第 1 回の会議のときに事務局から地方分権の関係から母子寡婦福祉資金の貸付金を都道府県から市に権限を移譲することが検討対象となっているという説明がありましたが、それについては、ぜひ移譲しない方向で検討していただきたいと考えております。母子寡婦福祉資金の貸付金に係る権限を都道府県から市町村に移譲するということになりますと、比較的財政力が弱いところに事務が移管されることになります。現在でも既に自治体独自の条件を付けたりして貸付が利用しにくくなっているとか、ひとり親が住む自治体によって不公平が起きているという事実が既にありますので、今後そのような市町村に権限が移譲されると、必要な貸付がなされなくなる恐れも出てくると考えますので、ぜひ市町村に移譲しない方向で検討していただきたいということをお願いしたいと思います。
○小杉委員長
分かりました。海野委員、どうぞ。
○海野委員
児童扶養手当の問題ですが、児童扶養手当が切られることによってマイナスになる面が、その証書によって JR の割引とか地方によってはバスの無料パスが受けられないとか、何千円かオーバーしたために、何万円分も受けられなくなるということがありますので、そうすると、働くのを控えてしまおうかという問題も出てきます。先に明かりが見えないことも問題です。国民健康保険の人は、年金をもらっている人は 5 ~ 6 万円の人がほとんどです。考えると、生活保護費より少ない。生活保護の人は家賃助成もあれば医療の無料化もあれば地方によっては公共料金の免除があるけれども、一生懸命働いていてその人たちより以下だったら働かない方が利口。一生懸命働いても年金に希望が持てないから生活保護に甘んじようかということが起きている現実なので、一生懸命働いている人にもう少し明かりが見えるような方法で、 1 年でも早く働いてもらう必要性を感じています。
○小杉委員長
ありがとうございました。他にこの項について三木委員、どうぞ。
○三木委員
少し戻るのですが、中田委員の権限移譲の関係については今は都道府県にあり、そちらの方で行っていて戸田市の場合もそうなのですが、相談等は市で行えることと、県担当者が庁内に来てしているということで、申請者にとっても特に市が行おうが県が行おうがメリットは同じだと考えております。それから、専門性という点からも貸付ということで審査や返済計画、債権回収などかなり専門性もありますので、今の都道府県に置いていただければという意見が一つ。
今の海野委員の児童扶養手当の関係ですが、ひとり親医療制度が戸田市の場合は関連しますが、ある一定の所得で区切るという別の制度ということで、猶予期間というのがどういった意味合いなのか。ある一定の期間なのか。そこをもう少し具体的に教えていただければと今ご意見として、児童扶養手当の制度が切れたら全てが切れるということについて、どのような方策が考えられるのかということをもう少しお聞きしたかったです。
○小杉委員長
海野委員から。
○海野委員
今の制度では児童扶養手当が受けられなくなると即、医療費が切られるのです。だから、切られても例えば 1 年でも 2 年でもその制度だけは生かせてあげますよ。切られた途端に医療費は結構使うのです。そういう点でも保護してあげないと、何のために働いているのだろうということになってしまいますので、前向きに考えるには働いてよかったという思いをさせないと、前向きに働けないと思います。後退的では絶対に明るい日差しは見えない。
それから、今の若い人にははっきり教育の根源だと思いますが、義務を果たして初めて権利が主張できるという根源を知ってもらいたいと思います。そこが若い人にないのです。だから、そこを説得するのがとても難しいけれども、そういうこともきちんと、これからの教育のためには入れていただきたいと思っています。
○三木委員
分かりました。制度からいきますと、 1 年 2 年ひとり親医療を猶予するのは難しいのではないかというのが意見です。以上です。
○新保委員
一つ目の丸のところで、児童扶養手当と公的年金の差額についてここにお書きいただいたということはとても大切なことをお書きいただいたと思います。ぜひ、しっかり財源を確保していただいて、具体的に進めていただきたいと思います。
その上で、その際には自治体側にある程度のお手数をおかけすることになるだろうと思います。お手数をおかけすることになると思いますので、国と自治体の協力の下で事務上の負担をできるだけ減らすような方法、それほど大きな負担をかけないで済む方法を早いうちから考えておいて実施していただきたいと思います。以上です。
○小杉委員長
大事なことですね。杉澤委員、どうぞ。
○杉澤委員
先ほど少し話が出ましたので申し上げたいと思います。ここに出ていない項目として、中間まとめの材料として申し上げておきたいのは、ひとり親家庭への医療給付という制度、自治体単独で独自でそれぞれ設けておりますけれども、これを子育て医療給付もそうなのですけれども、ぜひ国統一の制度で財源もということは、従来から自治体側から要望として出している項目ですが、教育費と並んでその経済支援で医療費というのはどうしてもニーズとして声としては大きい項目ですので、検討のシャットアウトをしないでいただきたいという意味では残していただければというのが 1 点。
それから、母子寡婦福祉資金で蛇足かもしれませんが、ある方から私は聞いたのです。 2 時間ぐらい電話をいただいたのですが、必ず保証人を立てる必要があるというところに食ってかかられましたが、それによって親族崩壊を招いているという話もいただいて、特に施行令で見ますと、修学資金、就業資金、就学支援資金などは必ず保証人を立てる仕組みになっていますけれども、その辺も検討の余地があるのではないかと電話を受けて思いました。要件を見直していただければと思います。
○島崎委員
今のご意見ですけれども、これは実際にこれまでの検討会の場でひとり親家庭に対する医療給付、無料化や現物給付化の話が出ていたのは承知しておりますし、そういう声があるのも承知をしておりますけれども、私は率直に申し上げると賛成できません。これは特に現物給付化してしまうということに関していうと、全てがそうだと申し上げているわけではないのですが、一種のモラルハザードが起きたりしたことがありまして、私は委員として賛成はできません。もちろん、その上でどのように書くかという話はあるかもしれませんが、少なくとも私は医療政策の専門家として、これについては賛成できません。
○小杉委員長
参加人の方はいかがですか。
○赤石参加人
ありがとうございます。経済的支援が最後になっていますが、実際のところは、重要度はかなり高いと思っています。課題の中で、あるいはどこかで児童扶養手当がひとり親家庭の生活の支えになっている、その重要性はきちんと書き込みたいと思います。貧困率の削減効果も測定した論文を見ましたけれども、 2003 年以前は 18% か 19% 、それ以降でも 13% か 14% の貧困率の削減効果がある手当です。足りない収入を何とか 4 万円や 5 万円辺りで補って生活保護基準以下で暮らしている。それがひとり親家庭の大体の生活という感じです。となると、生活保護にいかないための歯止めにもなっているわけですので、ここの重要性は無視できないと思いますので、きちんと書いた方がよいと思います。
併せて、 5 年間受給後の一部支給停止措置については、条文を変えるのは難しいと思いますが、手当の受給から5年を経過した以降は毎年就労証明の給与明細などを出したり、皆さま聞くと一部支給適用除外届と皆言えないです。言えないところで何か来たというので出しているわけです。これが何のメリットがあるのか。郵送費・事務費、本当にかかっておりますので、凍結していただけたら受給者も楽になる。自治体もずっと楽になると思います。
児童扶養手当の公的年金の併給制限のあり方のところだけ限られた財源の中でと書いてありまして、他も全て限られた財源の中でやっていると思いますけれども、ここだけ書いてあるので違和感がございました。どういう意図なのか分かりませんが、したいと思っているのか、曖昧だと思います。
何度も言って恐縮ですが、 2 人目・ 3 人目の多子加算は、多子世帯の貧困率は高いです。そのことは考えていただきたいのと、支払回数を増やすこと、申請から給付までの時間がかなり長くなっていますので、そこが何とかならないかと思っています。
保証人のことは、よく分からなかったのですが、母子寡婦福祉資金貸付金、保証人は要らないという規定もありますよね。どうなっているのか。自治体ごとにバラけていますので教えていただけたらありがたいと思います。償還業務が加重にならないような配慮がほしいと思っています。
言えなくなったら困るので、この中間まとめは、ぜひパブリックコメントを求めていただきたいと思っています。
○小杉委員長
これに対するお答えということですね。小野課長、お願いします。
○小野家庭福祉課長
今、ご質問のありました保証人の話ですけれども、第 1 回の資料の資料番号でいうと一番分厚い資料 5 の 174 ~ 176 ページにありまして、目的によりといろいろな類型の資金が 174 ~ 176 ページに載っていて、ものによって保証人がある場合には無利子であって、ない場合は 1.5% と保証人がなくても借りられるけれども、その場合には金利に差があるという扱いになっているものなどがございます。これはそれぞれの資金の類型によってさまざまな状況になっているところでございます。
また、先ほど財源の話もいただいたところがございますけれども、財源について非常に厳しい状況がございます。何かをするためには必要な財源の確保が、必ず我々には降りかかってまいりまして、その財源の確保の問題を考えると大変厳しいものがあるというのはご承知いただければと思っています。
○新保委員
この経済対策について考えるに当たり、今、社会・援護局から生活困窮者支援対策についての幾つかの案が出ていると聞いております。相談窓口について生活困窮者用のものを用意しようということで、この 8 月から動き出して、 2014 年度からどんどんやっていこうという動きにあるようです。局をまたがる話になると思いますが、今のところの話を聞いている限りは、子ども・子育て、もしくはひとり親家庭の相談窓口との関係についてあまり触れられていないように思います。せっかく一つの省庁の中でできることですので、局をまたがってこの相談システムをお互いに一緒になって作り上げていただければありがたいと思います。以上です。
○小杉委員長
分かりました。片山参加人。
○片山参加人
年金ですけれども、遺族基礎年金が来年の 4 月消費税の増税とともにスタートされると聞いています。社会保障と税の一体改革の中に入っている。これで 4 月に大臣と面会したときにもお話ししましたが、これも局がまたがります。年金局の話になると思いますが、母子年金、旦那さんが亡くなって母子家庭の方がもらう年金がずっと昔、明治なのか私は分からないのですけれども、その制度が決まったときに、その日から死別した人が受給されたのか。あるいはその制度が決まったときに死別母子家庭の生きている全員が抱きかかえて過去から支給が決まったのかを、そのときにも回答を求めましたし、確かこの第 1 回の審議会でも伺ったはずですが、これを次回に、年金局の方からの回答になると思いますが、これを教えていただきたい。それによっては父子家庭の津波で奥さまを流された方や今、死別で苦しんでいる大変な父子家庭の方を何とか救済できないかというところで、今は抱きかかえない。制度改正になったら 4 月 1 日以降に死別した人しか遺族基礎年金は支払えないという制度になっています。
厚生年金に関して遺族厚生年金の 55 歳要件というのはそろそろ撤廃するというところで進めていった方がよいのではないかと思います。共働きで奥さまの方も正規雇用になって厚生年金を納めているという家庭も増えていますので、父子家庭に対する遺族厚生年金の 55 歳要件ですとか、母子家庭と同じような制度というのを構築してここで性差別をなくしていってほしいというところと、これは省庁をまたがりますけれども、寡婦控除も厚生労働省からも財務省に提言していただきたいと思います。以上です。
○中田委員
先ほどの貸付金の中の保証人に関することで、また意見を言いたいと思います。子どもの進学などに関する修学資金や就学支度資金に関しては、子どもが借受人となって母親が連帯保証人となることでその家族で貸付をすることができます。しかし、今はまだ都道府県に権限がある段階でも国はそうだというけれども、「うちの県ではそんなことはできない。他に連帯保証人を見つけてもらわないと、こんな親が連帯保証人では全然当てにならないじゃないか」という県が実際にあるところが今の現実です。ですので、現在も国は県に対してなるべく国が思っている子どもの福祉に関して、もう少し都道府県に対しても努力してもらうように働きかけていただきたいと思いますし、先ほども言いましたが、これが市町村に権限が移譲されたら、全くもっと条件が悪くなるということが目に見えていると思いますので、ぜひお願いしたいと思います。
○小杉委員長
どうぞ。
○大塩委員
重なりますが、先ほど赤石参加人からご発言がありました児童扶養手当の 5 年経過後の措置ですけれども、平成 23 年度の厚生労働省が調査されました調査の中でも、母子世帯が 5 年以上経過した後の平均年間収入も 7 万円しか増えていません。父子世帯に至っては平均年間収入が減っているという現象が起きていますし、どう考えても収入が増えていくという社会的な情勢ではないので、事務のことやひとり親家庭の方たちのストレスから考えても、 5 年の経過措置は凍結していただきたいというお願いです。
○小杉委員長
分かりました。今の件に関してですか。どうぞ。
○小野家庭福祉課長
5 年の経過措置の話でございます。確かに、法律上今規定は残っているけれども運用で実際ほとんどの方 99.6% の方は停止されておらず全部支給になっているということでございます。ご意見については重々分かるところでございます。一方で、制度、要するに案内が行って届出が出されていない方まで配慮する必要があるのかというご意見もあるのではないかと思っていることと、そういったことで凍結になってしまうと働きかけの端緒というものが失われていくのではないかと心配しておりまして、実はこの二つ目の丸で書かせていただいている一部状況の把握もしっかりやっていこうということもございます。そこもしっかりやっていくということの対応について我々としては進めていきたいと考えていることはご理解いただければと思っています。推進官から別の件で補足です。
○高松母子家庭等自立支援推進官
先ほど、片山参加人からご発言があった件で、母子年金ができた際の話につきまして、年金局の方にお聞きしたところ、年金制度ということですので、そこの時点から以降に保険事故が発生した場合に対象となるということでございました。 55 歳要件うんぬんのそれ以外のことにつきましては、担当局への要望としてお伝えしておきます。以上です。
○赤石参加人
子ども加算が年金についたとき、障害者は既に子どもがいる障害者には子ども加算がつきましたね。ですので、そこの受給権発生時に子どもがいらっしゃる方には子ども加算がついたので、その運用があるのか。今、子ども加算は受給権発生時に子どもがいないと駄目なので、 20 歳前に子どもを産んでいないといけないということで結構大変ですけれども、その人たちにはカバーしたと思いますので、運用がいろいろなのだと思いました。
○高松母子家庭等自立支援推進官
そもそもの受給ができるかできないかというところの話と、額自体は変わったりもしますので、そこは違うのではないかと思います。
○小杉委員長
もう時間がないのですが、どうぞ。
○佐藤参加人
最後に一言だけ、申し訳ないのですが、児童扶養手当と養育費は併せて考えていく必要があるだろうと思っています。アメリカでは養育費が払ってもらえない、あるいは、教育支援プログラムを受けていないと児童扶養手当相当の受給が受けられないという極めて厳格な運用です。そこまで申し上げるつもりもないですし、日本の現状をおいてそれをするべきではないと思いますが、なぜこういうことを申し上げているかといいますと、個人の責任において全てやりなさい。母親の責任で全部やってくださいということなのです。それは極めて負担が大きくて重くてつらいと思います。養育費を確保してくださいと政府はいいますけれども、一体どうやって手続きや費用の議論が今日は入っていなくてとても残念でした。それがあって就労支援があって初めて児童扶養手当を頼らなくても生活できるということだろうと思いますが、全て個人の責任においてやってほしい。それを少しサポートしますとしか聞こえなくて、とても残念だと思いました。母子寡婦福祉法の基本理念に立ち戻っていただいて、「児童がそのおかれている環境にかかわらず、心身ともに健やかに育成されるため」の支援であることを、ぜひ忘れずに中間報告の取りまとめという作業を着手していただきたいと思います。以上です。
○小杉委員長
ありがとうございました。最後に、全体の話を少ししたいと思っています。どうぞ。
○杉澤委員
母子寡婦福祉資金の保証人関係はいろいろご議論いただいてありがとうございます。いただいたご意見をもう少し詳しく申し上げますと、文部科学省サイドの奨学金の在り方では保証人を立てる代わりに保証料を払っている。それで済んでいる資金もある。あるいは、給付型の奨学金を設定してもよいのではないかというご意見も併せていただいたところです。
先ほどの医療給付の件です。決して反論ではありません。コンビニ受診といいますか限られた財源の使い方として課題があるというのは十分承知した上で申し上げますと、ひとり親もそうですけれども、子育て支援の施策として自治体として、特に首長が非常に重要視している施策であります。現物給付をしていることによりまして、国保の国庫負担金が減額措置をくらっているといいますか、ペナルティ受けていて、山形県全体でいいますと 4 億数千万円ほど減額を受けている。それでもやっているという施策であります。そういう事実だけは立場上、申し上げておきたいと思います。
○小杉委員長
最後に、ほんのわずかな時間ですが、これまでの全ての議論を振り返って、言い残したことがありましたら、どうぞご発言ください。場所は限らないで全体に対してです。どうぞ。
○兼子委員
最初のところの議論の中で具体性に欠けるというお話がありました。前回、周先生から 2007 年の少し古いデータでしたが、各自治体の取組事例がありましたので、自治体側からすると、そういった事例が分かると具体的にどういう事業につなげたらよいのかということが想像できるのではないかと思いました。
もう 1 点ですけれども、予防的な取組の議論もありましたけれども、母子保健という視点をこの中間報告の中に載せていただければと思います。以上です。
○小杉委員長
他に、言い残したことは。今日のところは、よろしゅうございますか。赤石参加人、どうぞ。
○赤石参加人
先ほど、ひとり親に関わることはいろいろな部局をまたいでいるという話がありました。私もそのように思います。ある市でも経済局に関わる、保育のところに関わる、男女共同参画に関わるところもあるかもしれません。そういうところを見ていると、部局をまたいでひとり親支援をしていくという像が浮かびにくいので、そこがないと家庭福祉課だけがやっているのでしょうということになってしまうと、ひとり親の支援はできにくいのではないか。実は、保育課の方がいろいろな事例を持っていたりということがあるかもしれませんので、そこの仕組みも考えていただければと思いました。
○小杉委員長
ありがとうございました。時間が過ぎておりますが、今の段階で厚生労働省から何か発言はありますか。特には、よろしいですか。時間が過ぎております。ただ、皆さまには、まだいろいろ議論がおありなのではないかと思います。本日言い残されたことを明日中でしたら事務局でまだ吸収できる可能性があると思いますので、この後メール等でご意見いただければと思いますが、いかがでしょうか。
ということで、本日の議論はここまでですが、事務局から次回の予定などについてご発言お願いいたします。
○小野家庭福祉課長
今、委員長からもお話しいただきました。我々も頑張りたいと思いますが、明日中で夜中になってしまうと厳しいものがあるものですから、明日の 17 時ごろを目途にメールで、何か追加でご意見がありましたら提出いただければと思っております。
また、これから作業に入るわけでございますが、いろいろ盛り込みたいことがたくさんありますけれども、先ほどから、まさに最後に赤石参加人に縦割りの排除のようなことをおっしゃっていただきながら恐縮でございますが、他の省庁にまたがることをどこまで書けるかというのは我々も検討しなければいけないことがありますので、その点だけは申し訳ないのですがお含みおきいただければと思います。
次回の日程の話でございますが、 8 月 8 日木曜日 15 時からを予定しています。場所については、また追ってご連絡させていただきますが、次回は今日ご議論いただいた内容を踏まえまして、事務局で委員長とご相談の上で「中間まとめ ( 案 ) 」を作成させていただきたいと思っておりますので、それを基に中間まとめのご議論をいただければと思っております。よろしくお願いいたします。
○小杉委員長
最後に一言、どうぞ。
○小野家庭福祉課長
失礼しました。パブリック・コメントですけれども、この中間まとめについては、私どもパブリック・コメントすることは考えておりません。これから予算要求をしていくなり法律改正をしていくなりということになっていくかと思います。パブリック・コメント自体は、政府のルールや政権のルールなどいろいろありますので、後の段階でルールに則って必要に応じてやってまいりたいと思っています。
○小杉委員長
後の段階で必要に応じてパブリック・コメントは考えるということですね。よろしゅうございますか。
本日の専門委員会は、これで閉会とさせていただきます。追って意見はメール等でよろしくお願いします。今日は皆さま、ご出席ありがとうございました。
<照会先>
雇用均等・児童家庭局家庭福祉課母子家庭等自立支援室
代表:03-5253-1111(内線7892)
直通:03-3595-3112
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