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2013年6月11日 第5回今後のがん研究のあり方に関する有識者会議議事録

○日時

平成25年6月11日(火)
13:00~16:00

 

○場所

厚生労働省 低層棟2階 講堂
(東京都千代田区霞ヶ関1-2-2)

○議題

1 開  会

2 議  題 
 (1)今後のがん研究のあり方について
 (2)その他

○議事

○岡田推進官 それでは、定刻少し前ではございますけれども、構成員の皆様方おそろいでございますので、ただいまより第5回「今後のがん研究のあり方に関する有識者会議」を開催いたします。
まず、構成員の皆様方の出席状況について御報告いたします。本日、石川構成員、上谷構成員、上田構成員、野木森構成員、道永構成員から御欠席との御連絡をいただいております。
続きまして、資料の確認をお願いいたします。
まず、座席表、議事次第。
続きまして、資料1、「第4回有識者会議等での主なご意見」。
資料2、「今後のがん研究のあり方について(報告書案・暫定版)」。
資料3、「今後のがん研究のあり方に関する有識者会議のとりまとめに関する要望書(眞島構成員提出資料)」でございます。
参考資料1、「今後のがん研究のあり方に関する有識者会議開催要綱」をお配りしております。
また、前回までの会議の資料につきましては、ファイルにとじた形で構成員の皆様方の机上に配付させていただいております。会議終了後、恐縮ですが机上に残してお帰りいただきますよう、よろしくお願いいたします。
資料に不足、乱丁等ございましたら、事務局までお申し出ください。よろしいでしょうか。
それでは、以上をもちましてカメラのほうはおおさめいただきますよう、よろしくお願いいたします。
後の進行は、堀田先生、よろしくお願いいたします。
○堀田座長 堀田でございます。皆さん、こんにちは。
それでは、ただいまから早速議事に入りたいと思います。
前回の第3回の会議では、報告書素案を事務局から提示していただいて、それに基づいてさまざまな御意見をいただき、議論をしてまいったところであります。そこでもたくさんの意見が出まして、相当書きかえろみたいな話もありましたが、その後も各構成員の皆様から御意見をいただいて、リバイスをしたものが本日事務局から提案されます。そのもとになります資料1としての第4回有識者会議での先回の主な御意見、それから、資料2として、今後のがん研究のあり方の報告案の暫定版となっている、その意味も含めて事務局から取りまとめいただいたので資料の説明をさせていただきたいと思います。よろしいでしょうか。
○宮嵜課長 今、座長から御説明ありましたが、前回、素案として示させていただきましたものに、資料1にありますように御意見を多数いただきました。それを踏まえて修正させていただきまして、資料2で報告書案ということで示させていただいておりますので、中のほうを担当から説明させていただきます。
○事務局 それでは、資料2を確認いただければと思います。
前回の会議であるとか、これまでの会議との間の期間でいただいた御意見をもとに、全てを反映しているわけではございませんが、資料2、報告書案・暫定版を作成しております。
まず、前回の会議でいただいた御意見の中で大きかった事項として、まず、この資料を見ていただくと、「1.新たながん研究戦略の位置づけ」という記載をしていますが、こういった項目で研究基盤に関する記載の追加をしてはどうかという御意見がございました。
また、「求められる研究」の項目では、課題であるとか、求められる研究から具体的な研究事項へスムーズな流れで報告書が読めるように気をつけて記載をしてはどうかという御意見がございました。
また、個別の研究事項に関しては、がんの本態解明に関する報告を別途設置してはどうかという御意見をいただきました。
加えて、難治性がんに関しては、一つ独立をして項目を立ててはどうかといった御意見をいただいたところでございます。
こういったことを受けて資料2を作成しております。
まず、「1.新たながん研究戦略の位置づけ」といった点ですが、1ページ目には大きな変更はございません。これまで3つの戦略に基づいて進んできたこと、第3次対がん10か年総合戦略は今年度で最終年度を迎えること。その間に、がん対策基本法に基づいてがん対策基本計画が策定され、その全体目標に沿った研究の推進が求められること。そして、昨年6月に閣議決定をされたがん対策推進基本計画の中では、1ページの下ですが、基本的施策であるとか、2ページの個別目標といった事項が定められているということ。そして、2ページの下の段からですが、赤字、そして下線を引いた部分というのが、前回会議資料から変更を加えた主な箇所になってございます。
2ページの下から2つ目の段落ですが、基本計画での位置づけを受け、新たながん研究戦略は、「わが国全体で進めるがん研究の今後のあるべき方向性と具体的な研究事項等を明らかにし、がん対策の推進を一層加速させることにより、『基本計画』で掲げられた全体目標の達成を目的とするものである」という、こちらの記載は、前回の資料では2番の「目標とするがん医療と社会の姿」のほうに記載をしていたものですが、全体の整理の中でこちらに記載をさせていただいております。
また、次の項目では、「『がん研究戦略』に基づいて進められるがん研究については、その成果を客観的に評価し、その評価結果を受け必要に応じて『がん研究戦略』の見直しを行うこと等により、限られた研究資源を有効活用して最大限の効果を産み出すことが求められる。また、『がん研究戦略』に基づき、産官学が連携し、必要な研究資源の投下とともに、一体的にがん研究が推進される必要がある」といった記載を追加してございます。
続いて、大きな2番、「目標とするがん医療と社会の姿(今後のあるべき方向性)」の項ですが、まず1つ目の段落、そして2つ目の段落で、がんを取り巻く現状について記載をしてございます。そして、3つ目の段落で、がん患者とその家族は、現在さまざまな背景を抱えており、ニーズが多様化している。こういったニーズへ対応したがん医療と社会の姿が求められる。また、小児、働く世代、高齢者など、患者のライフステージによってニーズが異なることから、それぞれのニーズに応える医療と社会の実現を目指した研究を推進することが必要であるといった記載をしてございます。
3ページの一番下の段落ですが、これは、今、がんと闘い、ともに生きている患者とその家族にとっての思いとしてまとめてございます。まず、自分にとってよりよいと思われる治療法が選択できることが必要である。このためには、有効で安全な新しい治療法が世界に先駆けて開発されることや、最も効果の期待できる治療法の組み合わせの開発と最新の標準治療としての確立・普及が求められる。
続いて、追加をした項目ですが、「ドラッグ・ラグ・デバイス・ラグが解消され、諸外国で受けられる有効な治療が日本でも遅れることなく同じように受けられることが求められる。そしてがんによる苦痛が軽減されるとともに、治療の前後で家族全体での生活の質が維持されることが必要である。また、がん患者の家族にとっては、精神的支援を含む、患者支援のための環境整備が必要である」といった記載をしております。
次の段落は、各ライフステージに着目したニーズについての記載です。ここでは、「高齢世代の患者とその家族にとって」というところで、「身体機能の低下や他疾患の併存等、若年者とは異なった高齢者の特性に適した治療が受けられることが求められる。根治をめざす治療が実用化されることが必要である一方で、根治が困難な状況では緩和的治療が適切に実施され、いずれの場合にも日常生活を大きく変えることなく、体への負担のより少ない治療や介護が受けられることも必要である」といった記載をしてございます。
続いて、「がんの予防、早期発見の観点」の段落ですが、まず、予防、早期発見というのが「日常生活において簡易に実践できる予防法が普及する」ということ、そして、予防、早期発見といった観点からは、「特に働く世代を中心として、効果的ながん検診にアクセスできる環境が整うことが求められる」といった記載をしているところであります。
続いて、5ページの3番、「求められる研究(具体的な研究事項等)」につきまして、この大きな3番の中で段落をくくるような形で、まず「これまでの成果」といったところで3つの段落について記載をしています。続いて、「現在の課題」といったところで、6ページになりますが、5段落の記載をしてございます。最後に、「求められる研究」といったところで記載をしております。
5ページに戻っていただければと思いますが、まず、前段、「これまでの成果」といったところで、3つ重ねてきたがん戦略の経緯であるとか、その成果を記載しているところです。
6ページに移っていただきまして、「現在の課題」の部分では、これは前回の資料では1つの段落として記載をしていたところですが、5つの段落に分けて記載をしております。
1つ目の段落が、がんの本態解明に関するような項目でして、がんの本態の理解に立脚した治療法の開発に関しては、分子標的薬を初めとして多くの成功例が出ている。しかし、ほとんどのがんに関して、その転移・再発例は、いまだ根治に至ることが少ないことからも、がんの多様性・可塑性の解明が不十分であり、その制御法が確立していないことが示唆される。このように、いまだがんの本態解明が十分なされたとは言えない。また、中国や韓国等の新興国の急速な追い上げにより、基礎生命科学分野での日本の相対的な国際競争力は低下している。さらに、近年の米国における大規模ゲノム解析戦略に対しても、我が国はおくれをとっている現状である。
続いて、予防、早期発見のほうですが、バイオマーカー開発等によるがんの予防につながる個人のがん罹患リスクの層別化が可能となりつつあるが、ほとんどのがんに対しては実用化には至っていない。また、禁煙や節酒、感染制御など、がんリスクを確実に減少させる変容可能な要因が明らかになってきたにもかかわらず、これらが必ずしも十分には実践されていない。加えて、早期発見に対する効果の明らかながん検診に対して、科学的根拠に基づく新たな手法は平成12年の乳がんに対するマンモグラフィー以降、健康増進法に基づくがん検診に導入されておらず、現行のがん検診に関しては受診率も高いとは言えない。
続いて、がん治療に関する現在の課題ですが、いわゆるドラッグ・ラグ、デバイス・ラグが解消されていないことであるとか、日本初のがん治療薬に関する創薬研究の成果が実用化された事例がいまだ少ないといったことを課題として記載しております。
続いて赤字のところですが、「小児がんをはじめとする希少がん、膵がんをはじめとする難治性がん、転移・再発に対して有効な治療法が確立していないがんが存在すること、高齢者の特性に適した治療法が確立していないこと等の課題が残っている。また、ドラッグ・ラグ、デバイス・ラグについては企業が米国と日本の審査機関に申請する時期の差で示される開発ラグと米国と日本の審査期間の差である審査ラグからなり、現在、審査ラグについては解消されつつあるが、開発ラグは解消されていないことが問題となっている」。
政策課題に関する現在の課題としては、がんの予防、早期発見手法の確立や、診断、治療法の確立等のほかに、がん患者の増加を背景とした充実したがんのサバイバーシップの実現が求められている。また、高齢化社会を踏まえた在宅医療を含む医療提供体制や終末期医療のあり方など、さらに研究を推進する必要性が高い領域が多く、今後なお一層の努力が必要である。
続いて、研究の基盤に関する記載でありますが、がん研究の効果的な推進のための基盤に関する課題として、異分野の融合など学際的な研究の展開を可能にする我が国の科学の総合力の強化が必要である。また、がん研究の企画・設定における省庁間連携や、国内のがん研究の実施状況の全貌の把握とさらなる戦略的・一体的な推進の実現も課題として指摘されている。また、がん研究の目標や方向性が患者や国民に対して適切に伝えられておらず、その進捗状況を的確に把握し評価するための体制が不十分である。さらに、研究にかかわる専門の人材育成については、若手の柔軟な発想を日本初の科学的エビデンスに育て上げるため、次代を担う若手研究者による画期的成果創出に向けての集約的な支援が必要である。特に先進的な研究手法を自在に使いこなせる若手がん研究者の育成や、放射線治療分野等の臨床研究人材の育成が必要であるといった項目について課題を述べてございます。
こういった課題を解決するために求められる研究として続いての項目を立てていますが、今回、まず一番初めに、長期的視点を持って研究成果を生み出すためには、産官学が一体となり、「がんの本態解明に向けた研究」と「実用化をめざしたがん研究」とが融合し合って一体的に推進されることが必要であるといったことをまずお伝えしております。
続いて、がんの本態解明について求められる研究として、がんが発生し、治療抵抗性等の生物学的悪性度を獲得しながら、浸潤、転移をしていく多段階過程の分子機構の全貌を明らかにするとともに、その理解を基盤として適切な治療介入点を同定することが求められている。そのためには個別のがん関連分子の同定・解析にとどまらず、各分子が構成するシステムの破綻としてのがんを理解する必要がある。がんの本態となり得る病理・病態学的特性、生化学・代謝系特性、免疫学的特性、幹細胞性等を含む多様性・可塑性等の特性を、がんと患者の相互作用の観点を交えて明らかにすることで、広く生命現象の根幹にかかわるがんの本態を深く理解し得られる知見を、それを強力に制御する本態標的治療開発につなげることが求められる。病理学・生化学・免疫学・オミックス科学・バイオインフォマティクス等に加えて、iPS細胞等幹細胞生物学、イメージング技術等の異分野の知識や技術を積極的に組み合わせることで研究の新たな切り口を創成し、世界を主導するすぐれたがんに関する知の創出を実現することが重要であるといった、がんの本態解明に関する記載を追記いたしました。
続いては、がんの予防、早期発見の項目ですが、臨床現場からの病理試料を活用した取り組みが重要との記載に加えて、「がんの発症前の生体試料」といった文言を追加してございます。
続いての段落は、前回の資料では全身治療の項目としてまとめていたところですが、今回、「新規薬剤開発において」という格好で段落を設けさせていただきました。具体的に記載の追加となっている項目としては、黒字の後半から紹介申し上げますが、「リバーストランスレーショナル・リサーチを推進するとともに、アカデミア発のイノベーティブながん医療シーズの創出と育成の継続的な推進を図るべきである。また、さらなる産官学の協力体制を強化するとともに、『創薬支援ネットワーク』を活用し主に応用研究や非臨床研究試験までの創薬研究に対して切れ目のない実用化支援を行うことが求められる。また、企業が着手しづらい領域を中心に、臨床研究中核病院をはじめとする臨床試験実施体制の整備された施設において実施される、医師主導治験に対する支援を行うことにより、日本初の個別化治療に資する診断薬、治療薬の研究開発や、免疫療法や遺伝子治療等をはじめとする新しい治療開発を強力に推進すべきである。さらに、未承認薬や適応外薬について開発ラグを解消するための研究を推進すべきである」。
続いての項目は、前回は局所治療としてまとめていた項目でございますが、新規医療技術開発として記載をしております。追加した項目としては、「根治性の高い手術療法」であるとか、粒子線のみならず、「次世代X線治療等の放射線治療」に関する研究の促進が重要であるといった記載でございます。
続いて、がんの集学的治療開発に関する項目でございますが、これに関しては9ページの上になりますが、新しい治療として期待されている免疫療法や遺伝子治療等についての臨床試験を推進するといった記載を追加したこと、そして、効率的な研究の推進のために、「がん診療連携拠点病院による全国規模の多施設共同臨床試験の実施体制の確立を推進する」といった記載を追加したということがございます。
さらに、治療の有効性向上のみならず、安全性や治療中・治療後のQOL向上を目指した支持療法を含む標準治療の開発を推進すること、支持療法の新規開発に当たっては、治療の効果判定法の確立についての研究も同時に推進すべきである。また、医学的効果と医療経済的な観点の双方からバランスのとれた治療開発がなされる必要があるといった記載を追加しております。
続いて、「より充実したがんのサバイバーシップの実現のため」といった項目でございますが、これは前回の会議でも御意見がございましたように、「再発予防や合併症予防を含めたがん患者の健康増進に関する研究」といった記載を追記しております。それに加えて、がんの予防であるとか、早期発見に関する国民の行動変容を促すための研究であるとか、がんに関する情報提供と相談支援に関する研究、医療資源の適正配置や高齢化社会における在宅医療や緩和医療等を含む医療提供体制のあり方に関する研究等が一体的に推進される必要があるという記載をしております。
行政的ニーズから拾い上げた課題の解決へ向け、多分野の研究者が関与する政策科学研究の推進といったことも追加して記載をしておりまして、それぞれの研究成果が政策立案につなげられるとともに、基本計画の目標が達成されているかを適切に評価すること、そして、現在進められているコホート研究の成果並びに既存資料の照合による大規模データ解析を活用すること、こういったことから今後のより効率的ながん対策のための基礎データを収集する必要があるといった記載をしております。
続きまして、「小児」と書いた段落以降ですが、これ以降、特に重点領域として小児がん、高齢者のがん、難治性がん、希少がんといった順で記載を続けております。
小児に関しては、小児の病死原因の第1位である小児がんについては、乳幼児から思春期、若年成人まで幅広い年齢に発症し、希少で多種多様ながん種から成るといった多様性に着目した治療開発研究とともに、未承認薬や適応外薬の早期実用化を目指した臨床研究が求められる。また、強力な治療による合併症や、成長発達期の治療による晩期合併症、また、二次がん等に着目した疫学研究等を計画的に進める必要がある。
高齢者のがんに対しては、自律機能の低下や他疾患の併存という高齢者の特徴に適した予防、診断、治療法の開発が必要であり、生物学的な視点を含め、高齢者の特徴解明のための研究を推進するとともに、高齢者に最適な根治を目指した治療法やQOLを維持向上させるための支持療法の開発が求められる。
難治性がんの定義に関しては、がん患者全体の5年生存率が約60%と改善してきた一方で、膵がんを初めとする難治性がんの治療成績向上は喫緊の課題となっている。適応外薬や未承認薬の開発ラグの解消を目指した研究の推進とともに、日本初の治療開発を目指した研究を強力に推進する必要がある。また、早期発見が困難であることから難治となっているがんについては、がんの存在診断のための革新的技術を開発することが求められる。さらに、難治性がんを克服するために、浸潤・転移といったがんの特性を解明する研究を推進することが求められる。
続いて、希少がん等に関する段落ですが、これまで患者数の多い5大がん等を中心に研究資源の投入がなされてきたが、今後は民間主導の研究開発が進みにくい、肉腫、口腔がん、成人T細胞白血病などを初めとする希少がんについて、適応外薬や未承認薬の開発ラグの解消を目指した研究を含む治療開発に積極的に取り組む必要がある。また、希少がんの原因究明や予防法、治療法の開発には、個々の疾患に着目することによる情報集積が必要不可欠であり、こういった取り組みと一体的に進めることが求められる。また、がん発生の国民性の違いを考慮し、例えば成人T細胞白血病など、日本を初めとするアジアに多い疾患の研究について積極的に取り組む必要がある。
続いて、追加した項目ですが、また、がん患者を初めとする国民のニーズを把握し、それが経済的負担を含めどの程度満たされているかについて分析を行うことにより、社会全体として効果的な研究資源の配分を行うとともに、各分野の研究を効率的に進め、患者・疾患視点を考慮した戦略的な基礎研究と臨床・公衆衛生研究、政策研究のそれぞれをつなぐための基盤を整備する必要があるとして、研究基盤の整備につながる一文を追加してございます。
こういったことを受け、(1)から(7)になりますが、具体的な研究項目を挙げております。前回から大きく変わっているところとして、「(1)がんの本態解明に関する研究」を追加したこと、そして、13ページですが、「(7)ライフステージや個々の特性に着目した重点研究領域」として、「小児がんに関する研究」「高齢者のがんに関する研究」「難治性がんに関する研究」「希少がん等に関する研究」として項目を整理したところでございます。個別の丸番号の項目に関しては御紹介いたしませんが、後ほど御意見をいただければというふうに思います。
続いて、14ページ、「4.研究の効果的な推進のための基盤」として新たに大項目を追加しております。
まず1つ目の段落は、研究の推進体制についての項目になりますが、具体的な研究事項について効果的に研究を推進するには、国内外のがん研究の推進状況の全体像であるとか、がん患者を初めとする国民のニーズを把握した上で課題の企画立案や進捗管理を行うこと、そして、課題ごとに研究特性に即した研究計画やエンドポイントの設定を明確化した上で中間・事後の評価を行うことなど、我が国全体で推進するがん研究の成果を確実なものにすることが求められる。
続いて、国民への情報公開と普及啓発に関する記載ですが、また、研究成果等について国民に積極的に公開するとともに、国民ががん研究のあり方に関して意見を述べられるような環境整備と教育・普及啓発を進めることが求められる。
続いて、人材育成に関する項目になりますが、がん研究の継続的な推進には、次代を担う若手研究者への支援が必要であり、日本発の科学的エビデンスを創出するため、医学・薬学・生命科学・生物情報学・生物統計学・医学物理学・放射線生物学・社会学等、幅広い分野の若手の柔軟な発想を育てることが必要である。そのためには、大学及び大学院等におけるがんに関する教育の充実を図り、一貫した戦略的な研究者育成システムを確立するとともに、多様ながん研究の推進に必須である橋渡し研究を初めとするがん研究に従事するレジデント、女性研究者、放射線治療等分野の研究者、臨床試験コーディネーター、データマネジャー等、各種の専門職の育成とともに、安定したポストを国内に創出することが急務である。さらに、がん診療連携拠点病院等における研究環境整備などを含むがん研究を行う体制の強化と整備が求められているというふうに記載をまとめてございます。
続いて、4番の最後の項目になりますが、さらに、個々の研究を効果的に推進するためには、それぞれの研究分野の特性に着目した以下の基盤整備が求められるといたしまして、1つ目のポツでは、予防法や早期発見手法の開発のための基盤について、前回同様の記載をしておりますし、2ポツ目に関しては、個別化治療の実現、創薬・育薬の推進のためといたしまして、赤字で追加した項目としては、こういったことのためには、ゲノム研究の推進とデータベースを構築し、得られた解析を臨床現場に組み込むための体制整備を図るため、質の高いバイオバンクの構築とその効果的な運用や解析拠点の整備、がんゲノム解析用のスパコンの共同利用体制の確立が求められる。
続いて、追加をした臨床試験に関する項目ですが、モニタリングであるとか監査等により、研究の科学性・倫理性を担保できるなど、研究結果の正当性を担保するための適切なデータマネジメントを行うことができる多施設ネットワークによる研究体制を確保することを目的として、多施設共同臨床試験グループの基盤整備をさらに推進させるとともに、グループ間での機能集約化等を進めることが求められるという記載をしてございます。
続いては、小児がんに関する基盤整備でございます。
その次、高齢者に関する記載をしてございます。
「希少がんに関する研究の推進」といったところですが、患者情報を集約する場合については、各種がん登録の連携などにより、即時性の高い登録制度を構築し、生体試料を含む情報の活用を推進することが求められると追記をしてございます。
政策研究の推進について追加をしてございますが、個人情報保護とのバランスを保った既存資料の照合による大規模データ解析のための基盤整備を進めることが求められるといったように4番の記載を追加しております。
最後、「5.おわりに」といった項目でございますが、前回の資料から記載をしていた「新たな『がん研究戦略』は、各研究において得られた成果を臨床現場まで届けるには一定の期間が必要とされることを踏まえ、長期的方向性を明らかにするため10か年戦略とするが」といったところの次で、今後の基本計画の見直しに加えて、「『がん研究戦略』の進捗状況を踏まえ必要に応じて見直しを行うこととするとともに、戦略の中間評価を行うことが必要である」といった記載を追加してございます。
最後の段落になりますが、今後、具体的な研究事項に示すがん研究の推進が求められるが、基本計画において掲げられた研究基盤の整備についても、研究の効果的な推進のための基盤の視点から、一層進められる必要がある。基本計画にて掲げられた全体目標の達成へ向けて、省庁連携のみならず産官学連携を確保した上で、必要な研究資源が確保され、総合的かつ計画的に推進されることが求められるといったところで取りまとめてございます。
以上でございます。
○堀田座長 ありがとうございました。
ただいま説明していただきましたように、前回の素案に比べると相当書き込んであると思います。皆さんの積極的な御意見をいただきましたし、一方で私も、構成員の中では患者の代表としては1人だけだというバランスを考えまして、患者代表の皆さんと意見交換をして、この素案についての御意見をいただいたものを少し反映させていただくという手順も踏ませていただきました。そういうことを踏まえて、代表する皆さんの御意見はここに集約されたのかなというふうには思いますけれども、またこれは逐一御返答をいただくことにしたいと思います。
その前に、きょうは資料3として眞島構成員から資料の提出がございますので、まずその説明を受けてからにしたいと思います。
眞島構成員、よろしくお願いします。
○眞島構成員 前回出されました第4回今後のがん研究のあり方に関する有識者会議の報告書(素案)をもとにしまして、5月30日に国立がんセンターにおいて、堀田理事長のお声掛けで、患者・家族、有志の方たちが集まって意見交換をしました。そこでは、素案に対して皆さんからかなり厳しい意見が出ました。例えば、今がん患者が苦しんでいる問題に答えていないのではないかとか、6月に閣議決定されたがん対策推進基本計画とリンクしていないのではないかなど、さまざまな意見が出ました。こちらに要望書という形でその意見を取りまとめましたので、お時間を頂戴して御説明させていただきたいと思います。
「1.ドラッグ・ラグ、デバイス・ラグについて」。
ドラッグ・ラグ(特に適応外薬のラグ)については、がん対策基本法ができる大きなきっかけの一つとなっており、今もなお患者が必要な治療薬や治療機器にアクセスできずに苦しんでいるという現状があります。また、がん研究の分野においても世界の標準治療薬が日本では使えないことから、国際共同治験に日本が参加できない事態や、日本においてシーズが開発された治療薬や治療法が海外で先に開発される事態もいまだにあり、今のがん患者、未来のがん患者を苦しめる大きな問題となっております。素案の中の1ページ目に「ドラッグラグ・デバイスラグ解消に向けて」と書いてありましたが、それらに関する解決策として具体的な内容が全く書かれていなかったことは、問題とされました。救える命を救わないがん研究に対して、患者や国民の理解は得られません。
ポツ1、現状において、ドラッグ・ラグが多くの患者を苦しめていることを記載すること。この問題は、がん対策推進協議会及びがん研究専門委員会に対しても患者の要望が大きかったことから、当有識者会議の報告書においても重点的課題として取り上げていただきたい。
ポツ2、先ほど開発ラグの話がありましたけれども、適応外薬の適応追加にかかわる臨床試験、ICH-GCPに基づいた医師主導治験、先進医療を利用した臨床試験などに医療機関が取り組みやすいよう、研究課題とし、患者に医薬品を届けることを目標とした開発に取り組んでいただきたいというふうに思います。
ポツ3、これはがんの格差をなくしてほしいという要望ですけれども、希少がん及び難治がんについては、ドラッグ・ラグに苦しんでいるという声が根強いため、臨床試験がより積極的に行われるよう研究課題としていただきたい。
ポツ4、欧米で導入されている、いわゆるコンペンディウムのようなものを日本のがん医療において導入できないかという研究を行っていただきたい。コンペンディウムに関しては下に書いてありますので省略させていただきます。
「2.がん研究の体制について」。
素案では、がん診療連携拠点病院が臨床研究において、これから重要な役割を果たすべく記載されているが、臨床研究においては、早期探索的臨床試験拠点病院などの基盤整備事業やアカデミア、ARO、臨床試験グループなども取り組んでおり、それらにより質の高い臨床研究を行ってもらうための取りまとめを行うとともに、国内の臨床試験グループの質の維持向上と人的、財政的支援を盛り込むこと。
ポツ2、がん研究においては、人材の確保や人材の育成は大きな課題であり、医政局の臨床研究・治験活性化5か年計画2012とリンクし人材の育成を行うとともに、研究の公平性と透明性を担保するための施策を盛り込むこと。がん研究コミュニティーの育成ということは非常に重要な課題であるという認識です。
ポツ3、がん研究を行う人材・資源・ネットワークなどについては全般的な問題であり、全てのがん研究に関連する問題でもあるので、1つの項目として取り上げていただきたい。
「3.がん研究のマネジメント」。
ポツ1、がん対策基本法に定められたがん対策推進基本計画、科学技術イノベーション総合戦略などのがん研究に関連する部分について、報告書の冒頭で引用し、整合性を持たせてほしいこと。
ポツ2、第3次対がん10か年総合戦略の成果をその目標と照らし合わせて評価し、第4次対がん10か年総合戦略を進めていただきたいこと。
ポツ3、研究活動の成果は、最終的には患者の生存率・QOLの向上(アウトカム)にインパクトを与える診断・治療の開発、解決すべき課題の明示や進むべき道筋の提示など(アウトプット)であることから、検証可能なアウトプット・アウトカム等の目標を設定し、目標を達成するための基本的戦略・方針を明確にし、定期的な評価を行い、プロジェクトの進捗状況については国民に開示すること。
ポツ4、がん研究の目標は、がん患者の生存率・QOLなどの向上のためであることから、今後、本会議をもとに研究のプロジェクト選択・リソース配分、定期的な評価などを行う際には、患者の立場を代表する者が複数名参加すること。
「4.その他」。
たばこ対策に関しては、特に10代の子供、若い女性、家族を喫煙、たばこの薬物依存から守り、がんを予防し、命を救うための研究をすること。
ポツ2、緩和ケアに関しては、がん対策推進協議会においても除痛率などをどう出すか、在宅の問題など多くの問題が定義されている。きちんと項目立てを行い研究すること。
ポツ3、希少がんと難治がん、働き世代のがんと小児がんと高齢者のがんなど細分化して研究を行うべき事柄と、全てのがんのステージにおいて課題となるべき項目とあるので、きちんと分けてわかりやすくまとめること。
ポツ4、厚生労働省と文部科学省、経済産業省との連携のみならず、厚生労働省内の健康局と医政局、医薬食品局などとの省内連携を図り、医政局や医薬食品局においてがん研究の推進に資すると考えられる取り組みも盛り込むこと。
以上です。
○堀田座長 ありがとうございました。
これについては随時議論の中でまた反映させていただくといたしまして、これから資料2に基づいて、素案暫定案でありますけれども、これについて本日は一通り御意見をいただきたいと思います。
先ほど眞島構成員からいただいた内容についても、前回の見直しの中にかなり反映してはおりますけれども、改めてまた御指摘いただければというふうに思います。
また、資料1のほうに戦略のテーマが見える形にすべきだといった意見等がありまして、そういったことで、資料2に意見交換を行った後のがん研究戦略を国民に伝えるためにわかりやすい短い言葉、キャッチフレーズといったものも後で議論できればと思っているところであります。
そんなところでありますので、まずはこの報告案の暫定版の順序に従って皆さんの御意見をいただきたいと思います。
どうぞ。
○宮園構成員 ちょっと重複になりますけれども、私は、文部科学省で行われていますがん研究のあり方に関する検討会というのに出席しておりまして、その座長が上田構成員なのですが、きょう、上田構成員が欠席しておられますので、昨日行われました文科省での前回配られました「今後のがん研究のあり方について(報告書案・暫定版)」に対する皆様のコメントを簡単に御紹介させていただければと思います。よろしいでしょうか。
○堀田座長 よろしくお願いします。
○宮園構成員 最初に出ました言葉は、もちろん小児がん、希少がん、高齢者のがんというのは非常に重要だけれども、やはり何といっても5大がん、難治がんの根治を目指すということ。がんの浸潤や転移に対して、あたかももうほとんど研究が終わっているかのような印象を与えるのはよくないので、5大がん、難治がんを攻略すること、戦略的に研究を行うということをぜひ盛り込んでいただきたいということがございました。
それについては、今回の報告書案はかなり取り組んでいただいておりますが、そのようなコメントがあったことを申し上げます。
それから、この文書の1番の位置づけのところを読んでおりますと、今回の報告書は、これまでのがん研究に対する分析が乏しいのではないか。これまでどのような研究が行われてきて、そして、これからどうやって研究を進めていくのかということが十分な解析がなされていないのではないかということが指摘されておりました。それについても本日拝見しますと、項目2の「目標とするがん医療と社会の姿」というあたりに記載いただいておりますけれども、繰り返しになりますが、何となくこれまでのがん研究の非常にポジティブなところだけ触れられていて、まだまだ不十分な、これから解明されていかなければいけないがんの本態解明等の記載が不十分であったのではないかということが指摘されております。
それから、やはり前回の報告書案は、振り子が臨床のほうにぶれてしまっていて、基礎研究の重要性ということがやや重点が十分ではなかったのではないかということが言われております。基礎研究と臨床研究は両輪であるということはもちろんですが、委員会の中では、むしろ基礎と臨床は分けるべきではない、もっと融合してお互いが研究をしてがん研究を発展させていくべきであるというような意見も出ておりまして、その点についてもきょうの報告書案はかなり盛り込んでいただいているのではないかと思います。
それから、もう一つは、海外からの薬の超輸入大国となっているということ、それから、欧米はもちろんですけれども、アジアの国々のがん研究が盛んになっていく中で日本がどうあるべきか、グローバルな時代にあって、日本が海外諸国と連携を図りながらがん研究を推進していくべきではないかということが指摘されておりました。
それから、もう一つは、診断法、あるいは手術、放射線治療法で革新的な新しい治療法を開発するということがございましたけれども、放射線あるいは重粒子線の専門の先生方からは、新しい革新的な治療法はもちろんですけれども、現在臨床で使われている治療法をさらに発展させることでも十分成績が向上していくのではないかというような指摘もなされております。
あとは、やはり社会との連携、がんの教育をどのようにするか、あるいは、一方で研究者が社会に対するアピールをもう少し十分にしていくべきであり、また、患者さんの声を聞くべきではないかという意見も多数出されておりました。最終的には、位置づけ、課題ということをしっかり書いていただくということで、今回はそういったことをやっていただいているのですが、それと同時に経済的な基盤をしっかりさせるということもぜひ盛り込んでいただけないかということでありました。
この報告書案を拝見しまして、かなり盛り込んでいただいておりますが、一応、昨日の文科省の委員会ではそのような議論がなされたということを報告させていただきます。
以上です。
○堀田座長 ありがとうございます。
せっかくきのう議論していただいたのですが、前回の資料に基づいての議論ということで、まだオープンになっているような話ではないので、きょうは改めてということでありますから、事前に盛り込んでいただいた部分も結構あるということでございます。
それでは、そのほかに何か取りかかる前に御発言いただくようなことはございますか。よろしいですか。
それでは、この報告書案・暫定版に基づきまして、皆さんの御意見を賜りたいと思います。
まず最初に、「新たながん研究戦略の位置づけ」といったところでありますけれども、ここに関しては多くの変更はございません。後ろのほうに追加項目が、戦略についての詰め方、あるいは成果の還元の仕方といったところ、一体的な推進といったことが追加で書かれておりますが、何かここに御意見いただくことはございますか。よろしいでしょうか。
前回もここは余り議論にはならないというか、前提としての話だったと思いますので、それでは、また戻っていただいても結構ですので、次のところに進めたいと思います。
「2.目標とするがん医療と社会の姿」に移ってまいりたいと思います。ここは、今後のあるべき方向性といったところでございますけれども、ここについても後半の部分はかなり追加の部分がございます。読んでいて何か御意見がございましたら、よろしくお願いします。
眞島構成員、どうぞ。
○眞島構成員 今後のあるべき方向性ということですが、実は、前回の第3次対がん10か年総合戦略で目標となったのは、罹患率、死亡率の激減です。数値的な目標が出ていなかったと思うのですが、例えば難治性がんですと、今、膵がんは5年生存率5、6%なので2020年までに倍の12%を実現しようと、米国の患者会と研究コミュニティがその目標に向けて活動しているという例もありますので、何らかの数値目標があったほうがいいのではと思います。我々のあるべき姿、どこを目指すのか、何となくそういう方向に向かっているというのではなくて、こういう目標があって、そこに向かって、では何ができるのかというようなディスカッションが有効ではないかと思いました。
以上です。
○堀田座長 確かにそういう数値目標があったほうが明確ではありますが、どういう根拠でそれを立てるかというのは結構難しい問題であります。
祖父江構成員。
○祖父江構成員 そういう数値目標は基本計画の中で全体目標として、全がんの死亡の20%減少というふうに設定しているのですけれども、これはがん研究に関する方向性の検討であって、実際の成果に関してはがん計画のほうの目標の中で設定していくべきであって、研究そのもので死亡率が下がるとか罹患率が下がるということはロジックとしては飛んでしまっているのではないかと思うのです。
○堀田座長 基本計画のほうには10年間で20%の削減という、死亡率の低下とか、あるいは喫煙率の数値目標とかが出ていますね。基本的にはそこを目標にどういう研究をやったらいいかという設定になるのではないかという御意見ですが、眞島構成員、それでよろしいですか。
○眞島構成員 今のロジックが飛んでしまったのではないかと聞いてびっくりしたのですけれども、第3次総合戦略はそういうアウトカムを目標にして進められていましたので、激減といったときにかなり数値が下がるのではないかというのが国民が期待するところではないかと思うのです。では、10年たってどうなったのだろうかというのも知りたいところだと思うのです。ですから、これから10年間、それなりのお金を使ってがん研究をしていだたく、やはりがん研究をするのは、がん患者を救うためですから、そのがん患者さんにどんな影響を与えるのかというのも、ロジックでどこか漏れのないようにきちんとつなげていただいて、がん研究がきちんと目標を達成できるように、マネージしていただければと思います。
○祖父江構成員 もちろん最終的な目標が、がん死亡の減少、がん罹患の減少といったものは大賛成なのですけれども、そこに至るステップとして、研究が目指すべきものとしては新薬を幾つ開発するかとか、ガイドラインをどのように変えるかとか、新しい標準治療をどの程度開発できるかとか、そこの中途段階での目標設定が適切なのであって、それをいかに普及していくかとか、国民全体の死亡率を下げるためにはもう一段階あると思うのです。なので、研究としての適切な目標設定が必要なのではないかという発言です。
○堀田座長 3次がんの評価といいますか、成果と問題点につきましては、私が代表をさせていただいた3次がんの科学研究の班でまとめましたけれども、結局、今の話、死亡率と罹患率の激減を目指してというのがどこまで達成できたのかという評価はしているのです。死亡率に対しては年齢調整死亡率はほぼ目標に近い格好で下がっているけれども、逆に罹患率については下がるどころか、むしろ全体としては上がっているという問題で、ここは解決していない。これは、恐らく罹患率は早期発見が進んできたということプラス、高齢者がふえてきて、絶対数としてはふえてきたのだということだと思うのです。ここは達成していないという判断をしているので、だから、次期対がんについては予防とか早期発見にもっと力を入れるべきだというふうにシフトしなければいけないのではないかということが出ていると思います。
どうぞ。
○野田構成員 眞島さんにお聞きしたいのですけれども、まず1つは、今までの評価のところで今のようなきちんとした目標と、つまり、前の3次がんから、研究だけではなくてがん対策のイメージが少し入ってきているわけですね。なので、今の2つが少し混じっていると思うのですけれども、そういうものの数値と達成されたかの評価が前のところに必要だというポイントがあるのか。
もう一つは、マイルストーンで置くべきだ、あるいは出口を明確にすべきだという今の議論だと思いましたけれども、これから立てる計画の目標をもう少し明確化すべきだというイメージがあるのか、その2つについてちょっと教えてくれませんか。
○眞島構成員 がん研究をシーズからベッドサイドまでというパイプライン的に考えますと幾つかのステージがあるかと思うのです。それぞれのステージで評価できると思うのです。トランスレーショナル・リサーチが非常に弱い、そこが死の谷だと、だからその手前で終わっているのだという話もあったかと思うのですけれども、それが今度、一気通貫でベッドサイドまでお薬を届けるというプロジェクトが走っていて、それが今どこのステージまできていて、どうだったのかという成果が一つと、それから、患者さんからしてみれば、お薬が出るということが重要ですから、あるいは治療が開発されるというのが重要ですから、そこの部分の見通しはどうなのか。それがプロジェクト全体としてどのくらいインパクトがあったのかということを評価していただいて、できていない部分はさらなる目標として立てていただければいいと思います。がん対策とがん研究が一緒になったようなというお話もありましたけれども、究極は、患者さんががんになってもきちんとよりよく生活できるということが重要ですので、そこは国民が見えるような形でもってどこまで達成できたかということをコミュニケーションしていただけたらいいのではないかと思います。
○野田構成員 となると、今の祖父江先生と眞島さんのとあわせての提案ですけれども、まず1つは、各項目あるいはその事業の内容によって、当然、今言ったマイルストーンの目標は違ってきますが、やはり研究の推進に当たっては明確な目標を、いわゆる先ほどのアウトカムが死亡率の減少、患者さんを治すことであるとすれば、それを目指したアウトプットをきちんと明確にした、そういう目標を立てることが求められるというのをここにきちんと入れておく。今、具体的に一つ一つについてどうこうというよりは、それをまず明確化する。
それから、もう一つは一番前のところで、これががん対策基本計画の下にあるというのであれば、がん対策基本計画における目標をもう一回ここの前に書いて、それは大きなアウトカムですけれども、直接でなくても、マイルストーンではない先の目標がどこにあるのかというのをもう一回リマインドするという、その2つをやったらいいのではないかと思いますが、いかがでしょうか。
○堀田座長 眞島構成員が申したような具体的な目標なり、数値なりといったものについて、この本文に書くのは難しいのですが、実は、この素案のすぐ次のステップとして、各目標のロードマップをつくりたいと思っているのです。その中に数値目標とか書けるものを書いて、いつまでに誰がどうやるかということを書き込めるような工程表といいますか、そういったものをつくれればいいのではないかというふうに思っています。そういう予定も一応考えているのですね。
事務局、どうぞ。
○岡田推進官 まず、先ほど野田先生がおっしゃった基本計画の目標については、1ページの位置づけの2つ目の○のところで、全体目標として掲げられていることを記載させていただいております。
○野田構成員 今の基本計画の数値的な目標は、この2段落目だけなのですか。
○岡田推進官 全体目標としてはこの内容になります。
○野田構成員 全体目標はこれだけなのですか。
○岡田推進官 はい。
もう一方、これまで求められる社会、医療の姿を御議論いただいて、その後の具体的研究事項を御議論いただきました。今、座長がおっしゃられましたような個々の研究、さらにそれをより具体的にした議論をいただく中で、この10か年の中でどういうところからスタートして、どういうところまで到達し得るのかという議論をあわせていただければというふうに考えております。
○野田構成員 座長と事務局のがわからないのですけれども、そこで工程表を誰がつくり、誰が管理するのですか。ここでは、だって、こういう目標を立てるというところのタスクで、それはこういうものだと書かれていますけれども、その後の、今言ったように、これの実施と管理のところはここに全く書かれていないのに、そんな工程表なんて誰かが責任を持って出せるのですか。
○岡田推進官 出せるかどうかも含め、御議論をと思っていたのですけれども、事前にこの会の始まる前に学会を代表する先生方、有識者の先生方に、タイムスパンで御意見をいただいておりますが。
○野田構成員 でも、やはり研究施策、事業の話だから、それは実施主体があるわけではないですか。それで、これから先どういうふうに変わっていくかわからないけれども、僕のイメージとしては、まず3次がんであったものをよくしよう。とすると、3次がんは、ここにあるものを各省庁が、自分たちができることをきちんとこうやりますといって事業化して実施してきたわけではないですか。その事業化に当たって、やはりこの基本計画の目標を意識して、そのマイルストーンとなる何を出す事業なのだという目標を明確にするということをここでまずうたうことが第一であって、そこで誰がフォローするかもわからない、誰が責任持つかもわからない工程表をつくるなんていいかげんなことを言わないでほしいと思います。
○堀田座長 これは、工程表というのは、それぞれの項目でつくっていくものは、具体的には研究計画書というものが出てこないと無理だと思いますけれども。
○野田構成員 先生、それは厚労省の3次がんを意識されているからで、それは厚労省の中で、あのときは厚労省の中で3次がんがあって、その中にマイルストーンがあったからであって、今、この3省庁合同でがん対策基本計画に基づいて何をするかというのを、次、これからどうやってみんなが責任を持って実施しようかとしているのだから、そこのそういうシナリオまでどこかわからない、どこかわからないというのはごめんね、だけど、責任を持つのではないところがつくるのは、僕はおかしいと思います。
○堀田座長 そういう体制を、逆に、今までは厚労科研でやっていたかもしれないけれども。
○野田構成員 いや、厚労科研もやっていたのです。
○堀田座長 それをもう少し一体的にやるとしたら、当然、別の組織が要るという話ですね。それを補完的に進捗管理する。
○野田構成員 でも、今、畑のほうではなくて。
○堀田座長 だから、今、それをどうやって進捗管理していくかということは次のステップで考えないと、ここの中で一緒に考えていくという。
○野田構成員 そういうことです。だから、どういう進捗管理があるべきかというのをここに盛り込むことはいいけれども、その進捗管理の上でこの工程表だよ、どう進捗管理するかのストラテジーや組織も決まらない段階で、そこがやるべき仕事を決めるというのは余りに無責任ではないですかというのが、僕が工程表に対するあれです。
○堀田座長 どうぞ。
○経済産業省商務情報政策局ヘルスケア産業課医療・福祉機器産業室長 実は、私もその点については、先般発表させていただいた立場から申し上げると、多分、この文章は最初は要るのかなと思っていて、普通は「はじめに」というのがあって、この文章はいきなり59年がどうしたこうしたから始まってしまうのですけれども、まさに眞島さんがおっしゃったように、そもそもこの研究は何のためにやるのかという冒頭があって、恐らく基本計画から言うと、3つの目標からすると、やはりがんに苦しむ患者さんの生存率やQOLを向上させるとともに、患者の方の負担を下げるのだという大目標があって、それに対して各研究があって、最終的な目標とは何をやるのか、そこに関しては、患者さんから見た評価の指標というのは多分ないのだろうと思います。ここがあると、先ほどの研究と接続ができてきて、それを評価していくことによって、3次、これまでの研究はどうかと。そうしますと、今の2ページ目の一番下のところにさらっと書いてあるのですけれども、一番下の○です、戦略について、その成果を客観的に評価し、それを受けてとあるのですが、多分ここの部分の議論なのだろうと思うのですが、客観的に評価する指標が患者さんの視点と研究者の視点がどういう点で、それをどういうふうに管理するのかという部分が入っていれば、今の議論は全体がつながるのではないかと思います。
○堀田座長 まさにそのことで、要するに、成果を客観的に評価するというのは、では、誰が評価するかというところが決まっていないねという話だと思うのだけれども、これが今までだったら厚労なら厚労でよかったのかもしれないけれども、3省で一体化してやるとしたらどこなのだという議論は今後やらなければいけない、それが決まらないと研究事項も決まらないという話ではないのではないかと思うのですけれども。
門田さん。
○門田構成員 第3次から今回の変わったことというのは、がん対策基本法が発足して初めての10か年計画に入っていると。だから、3次の内容というのは、先ほど誰かがおっしゃっておられたように、がん対策基本計画によく似た内容になったのですね。1次、2次とは大分変わってきました。その必要性が迫って、社会全体の中でそれが迫ってきてできてきた。さらに法律ができ、そして基本計画ができたわけです。今回も、とにかく基本計画ということを基本に動き出すということを最初から書いてあるわけで、そうすると、私も何度か発言しましたけれども、やはり基本計画、あるいは基本法に基づく基本計画と、今やっている対がん10か年として3次、4次と進んできているものをどういう位置づけにするかということがはっきりしさえすれば、ここに書いておられるように、少なくとも2ページの下のほうに2つ○が書かれていますけれども、その1つに基本計画で挙げられた全体目標の達成を目的とするものであるということもはっきりしているのであれば、それはそれでいいのではないかと。ただし、この基本計画が最初にできてから10か年たった後でどうなるかということ、これは前回発言しましたけれども、その段階でどうなるかということはわからない。そうすると、10か年と整合性が合わなくなる、私はこれは最初から申し上げている。
ですから、それをどうするか。シンクロナイズするとか云々という話をやりましたけれども、もしそれがシンクロナイズするのが難しいのであれば、前回発言したのは、ここに挙がっていますように、やはりその内容について10年ということに限定しないで、その都度見直しする体制をつくりませんかということを私は提案させてもらいましたけれども、やはりそういうことでもってフレキシブルに対応するということで、余り変な決まり事にこだわっても仕方ないのではないかと思うのです。これから先10年間でいろいろ変わっていきます。だから、そういうものにフレキシブルに対応できるような体制を書き込んで、それに基づいてやっていくということを皆さんで合意して、そういう方向で行けばいいのではないでしょうか。少なくとも3省が集まってやっているところでと思いますけれども。
○堀田座長 書き込むというのは、まだ書き込まれていないという認識ですか。
○門田構成員 そこのところはね。ここの今言われたように、2ページの最後のところにちょっと書いておられるだけで、でも、ここの「見直しを行うこと等により」という表現は、余り具体化していないだけで、そこのところをもう少し正確に書かれると、逐次どういうふうに対応できるかというのはここで決められるのではないですか。
○堀田座長 事務局。
○岡田推進官 今、門田先生から御指摘いただいたところについて、16ページの「おわりに」のところでは、その見直しのあり方について記載をさせていただいています。
○野田構成員 今のはもう一回、2つちゃんと考えないと、基本計画とこの戦略との関係があって、その関係も踏まえて柔軟にというのは、僕は書いてくれていると思うのだけれども、やはり前のほうの3ページ目の最後のところで「がん研究戦略」についてはこうこうと書いたこの辺で、やはりもう一回リマインドしておいたほうがいいと思うのです。最後のところは、何となくこういう基本計画と戦略との関係が終わってしまってから書いてある最後なので、この戦略はいつでも見直せるようにフレキシブルにと聞こえる。そうではなくて、全体的な国としての戦略が基本計画の達成のために下にあるものであれば、その枠組み全体の効率的な運用のためにここに見直しが入れば、当然、基本計画との関係が明確になるし、次の基本計画のときには当然これも見直されるしという、そういうことになると思うので、ここに少し入れてもらったほうが。
○堀田座長 わかりました。結局、後のほうには基本計画の見直しとか、あるいは進捗の状況で見直すと書いてあるけれども、ここに書いたほうがいいという話ですね。
○野田構成員 最初にこれの立ち位置と意味合いを規定するところに書いておいたほうが。
○堀田座長 わかりました。確かにそのほうが明確かもしれませんね。
よろしいでしょうか。
それでは、また戻ることもあったとして、「2.目標とするがん医療と社会の姿(今後のあるべき方向性)」というところで御議論いただきたいと思います。ここは、これまでの成果と問題点という形で書かれているところと、それから、ライフステージに着目したニーズと多様性に基づくがん研究といったことが書かれています。
よろしいでしょうか。
○野田構成員 質問なのですけれども、ここの部分は、もう研究がどれだけ貢献できる可能性があるのかどうかはともかくも、目標とするがん医療と社会の姿を書くのか、それとも、その後で行われるべき研究を意識して、それのアウトカムなり指標となり得るところに絞るのかというのが、項目、項目で何となく統一されていない感じがするのですが、それはどちらを事務局としては考えているのでしょうか。
○岡田推進官 今の点、非常に重要だと思っていまして、前々回か前回でも先生からその点御指摘があって、私ども事務局内でもそこをよく考えました。研究の積み上げでがん医療・社会ができてくるという側面はありますけれども、研究ありきという形ではなくて、患者の目線、家族の目線、国民の目線でがん医療・社会の姿というのをまず考えて、そこを形づくるためにどういう研究が必要なのかということで、この項はこの順番で位置づけさせていただいています。
○野田構成員 そうだとすると、つくってから時間がたっているので忘れた、がん対策基本計画をもう一回よく見直して、そこの意味するものの重点項目は、やはりここに反映されるべき必要があると思うのですが、そういう作業はされて、あるいは門田先生のお仕事になるかもしれないけれども。
○岡田推進官 私ども、協議会も事務局は共同で同じ状況ですけれども、基本計画で書いていることは行政として閣議決定した計画になっておりまして、そことここの方向性、がんの研究を進める先を見た医療と社会の姿ですので、よりフェーズとしては先にあるのかもしれないですけれども、方向性は共通のものという認識をしております。
○堀田座長 野田先生ばかりしゃべっているようですから、ほかの人にも御意見を求めたいと思います。どうですか。
後藤さん。
○後藤構成員 ちょっと戻るかもしれないのですけれども、眞島構成員のほうから、次のときには、今度の3期も含めて、がん患者様への治療法の提供、そういうのが具体的にわかるようにしてほしいなというお話があって、そのためには一体的な、先ほどは一気通貫のとおっしゃったけれども、推進体制をというお話があったので、ちょっと1に戻ってよろしいですか。
○堀田座長 どうぞ。
○後藤構成員 この一体的といったときに、多分キーワードがあると思うのですけれども、2ページ、真ん中の「個別目標」のポツ1の2行目に、2年以内に国内外のがん研究の推進状況を俯瞰し、課題を克服するために、企画の段階から云々というところがあるので、ここが基礎研究があって、基礎研究というのは具体的に言うと本態解明研究というふうに言いかえてもいいかと思うのですけれども、この後にすぐ臨床研究があって云々となるという部分で、多分、一体化の部分というのが、言い方はいろいろあると思うのですけれども、応用研究とか開発研究、あるいは橋渡し研究とか、こういう部分がないと一体化という意味の文言が困ると思うので、それをちょっと入れておいていただきたいと思いました。
○堀田座長 趣旨はわかりますけれども、これはがん対策基本計画に書かれている文章をそのまま持ってきてここに書き込んでいるので、これを変えるわけにはいかないと思います。ただ、意味合いはわかります。
そのほかの御意見はよろしいでしょうか。
○門田構成員 実に小さな話をさせていただければ。事務局にあれなのですけれども、この段落ごとの○は何を意味するのかということからあれなのですけれども、あるべき方向性という表現で一つ一つ○があって言っているので、何々する必要があるとか、何々が要求され、求められるとか、何かそういう表現になっていて、最初の2つだけは一般的な何とかであると言われているとか、あるいは課題が指摘されているとか、何かこの○のあれがちょっと違うのではないかと。これは、やはり一つ一つあるべき方向であれば、少なくとも文章上は、あると言われているのでどうなのだというふうな表現にしたほうが整うのではないかと思うのですが。
○堀田座長 多少僕もそれは気になったのですけれども、最初は、むしろ現状認識、課題みたいなので、あとは方向性というので、多分この2つとちょっと異質な話ですね。書き分けるべきか、そういうふうに読み取ってくれというか、どちらですか。事務局、どう思いますか。
○岡田推進官 「今後のあるべき方向性」の中の上2つの○は、実態を説明した導入部分という理解でありまして、これを受けて、それ以降がそれを解釈的にしたものではあるのですけれども、今後、これは内容の整理のためにこういう形の箇条書きにしておりますので、ある程度こういうストーリーで皆さん御理解をいただければ、もう少し文章的な形にしていきたいと思っております。
○野田構成員 最後まで○は必要なのですかね。
○堀田座長 要するに、○は目印という意味ですね。
○野田構成員 それで、今言ったのだと、3に入ると「これまでの成果」とか、今言ったような段落をまとめる言葉が入れられていますね。だから、そういうのを入れて○を抜いて、その下に段落が入るという形でおかしいかという、それはどうなのですか。ちょっと何か○が不自然な感じもしますが。
○岡田推進官 承知しました。
○堀田座長 それは、最後に文章を整理するときにまとめていい形にしましょう。ありがとうございます。確かに○だと箇条書きみたいになってしまうということですね。
○野田構成員 でも、箇条にはなっていないのですね。
○堀田座長 ストーリーになっているけれども箇条になっていない。わかりました。
それでは、もうちょっと進んで、戻っても結構ですから、次の3.のところに行きたいと思います。「求められる研究(具体的な研究事項等)」で、「これまでの成果」と「現在の課題」と「求められる研究」というところがございます。そして、これも後ろのほう、途中で○がいろいろありますけれども、それはまたちょっと置いておいて、中身について御審議いただきたいと思います。
「これまでの成果」というところについては、特に前回のものとそれほど大きなあれはなかったのですが。
どうぞ、眞島先生。
○眞島構成員 「これまでの成果」のところなのですけれども、以前から指摘されていましたトランスレーショナル・リサーチが死の谷であるということと、それから、リスクマネーというのはなかなか日本では充当できないという問題があったと思うのですが、これらの課題に関しては、今どういう成果が出ているのかというのがわかりづらいと思いますので、その辺、御説明いただければと思います。
○堀田座長 誰に聞いているのですか。
○野田構成員 もうちょっとわかりやすく。
○眞島構成員 そうです。もう少し。トランスレーショナル・リサーチが死の谷だということがあって、これを読んでいると、「トランスレーショナル・リサーチを重点的に進めるとともに」と書いてあるのですけれども、実際問題として、死の谷を埋めることができたのか。要するに、橋渡しが今の段階でできているのか、それとも、まだまだそれは課題であって、今後も取り組んでいかなければいけないものなのか。それから、ベンチャーキャピタルの話も出てきましたけれども、そのあたりに対しての対策がどのくらい功を奏して、今どのくらいまでそれが改善されてきて、患者は最終の医薬品が期待できるのか、そのあたりがちょっと読みづらいので、もう少し説明していただければと思いました。
○堀田座長 ここはどうですか。事務局として対応できますか。もう少しちゃんと書き込めよという話であれば、次回の宿題にしたいと思いますけれども。
どうぞ。
○岡田推進官 ちょっと構成がわかりにくかったかもしれないのですが、「これまでの成果」ということで、ここはいいことというか、実績が上がったことを書いていまして、次の6ページからの「現在の課題」で不十分な点を記載しているところがまず1点ございます。
今御指摘いただきましたトランスレーショナル・リサーチ、さまざまな取り組みをしたけれども、その結果どういう状況なのかといったあたりは、ここの場でもいろいろプレゼンテーション等で御議論はいただいているのですけれども、なかなかコンセンサスが得られる、こういう状態にあるというところまで御議論いただけていないところもあって、今、取り組みとそういう方向性と申しますか、その課題が存在しているというような書きぶりで記載をさせていただいております。御議論いただければというふうに思います。
○堀田座長 皆さん、御発言のない方もどうぞ。
田村構成員。
○田村構成員 トランスレーショナル・リサーチという言葉そのものの定義が、何か3省の間で、あるいは研究者の間で必ずしも統一されていないのではないかと思うのです。何となく橋渡し研究ということで言っているのですけれども、本当に詳細を私たちは理解しているのかなと非常に疑問に思って、前回の意見書でも出したのですけれども、ぜひ経産省と厚労省と文科省、文科省は既にいろいろお金をつぎ込んでやって、特に経産省と文科省の間は、私の印象ではその解釈に少しニュアンスが違っているように思うので、トランスレーショナル・リサーチの定義といいますか、どういうふうに考えて動いていらっしゃるのかというのをお聞きしたいと思います。
○堀田座長 それは、それぞれに。
○田村構成員 経産省と文科省。
○堀田座長 経産省と文科省の理解がわからないという意味ですか。
○経済産業省商務情報政策局ヘルスケア産業課医療・福祉機器産業室長 経産省的には、まさに文科省とかでやられているような学術的な研究とか、あるいはいろいろなシーズの部分を実際に医薬品なら医薬品、あるいは医療機器なら医療機器、そして実際に実用化をして、さらに言えば、臨床に届けられる部分までの間の橋渡しをする、まさにそういうふうに理解をしていまして、厚労省さんとのあれによるのかもしれないですけれども、その手前のところで、確かに実際に臨床試験をやらないといけないという部分がきっとあると思うのですけれども、いずれにしても経産省的には最後実用化してという部分が最終ゴールですので、どの部分にある意味一番深い死の谷があるのかというところの理解の違いなのかもしれないのですけれども。
○田村構成員 わかりました。特に文科省はアカデミアにお金をつぎ込んでいますね。アカデミアが橋渡し研究をするのは極めて困難だと思っていて、というのは、人材もいないし、設備も必ずしも十分でない。医学部、大学院は学生を教え、そしてみずからのシーズを見つけるための研究をするところです。その上に今言った橋渡し研究、どこまでやるかは別として、TRをさらにやっていくなんていうのは不可能に近いと思っています。ぜひお互いにギャップを埋めていただくといいのではないかと思っていたのです。
○文部科学省研究振興局研究振興戦略官 確かに非常に難しいことでありますので、私どももスタートをしております。単に今までの基礎研究のやり方ではできないものですから、文科省がやっております橋渡し研究のプログラムというのは、それぞれの例えば治験に持っていくための安全性ですとか、知財の管理ですとか、さまざまな専門人材を拠点に配置していって、各過程における治験等に持っていく問題の解決の相談にも乗っていく、そういうこともやりながらプロジェクトを進めていっているという状況です。
成果については、それぞれにそれこそ医師主導治験ですとか、ライセンスアウトをしたもの、それぞれは1回目の会議のときにお配りをしたとおりでございますので、それが十分かどうかというのは、まだまだゴールは先にあるべきだとは思いますけれども、難しいからこそ専門人材を配置し、専門的ないろいろな仕組みをつくってやろうとしているところでございます。
この橋渡しであるとかTRの定義につきましては、今、経産省さんがおっしゃったのと同じような意味合いで私どもも使っておりますが、もっと子細にその定義を確認するということであれば、もう一度事務局同士で、この文言を詰める段階で定義は確認をしたいと思っております。
○堀田座長 それは、ニュアンスが微妙に違うところはあるのかもしれませんが、基礎研究から出てきたシーズをどうやって応用して実用化に向けていく、その途中を言っているのですね。どこに一番の谷間があるかというのは、そこが問題かもしれないけれども、それを埋めるための基盤系に少し力を入れたりして、それで片づくのかどうか知らないけれども。
○田村構成員 だから、そこのところの本当にどこが問題だというのが実は全然議論されていないのです。茫然としていて。
○野田構成員 それは後でディスカスすべきだと思うのです。何でかというと、これまでは、もうやった事業は明確なのだし、これまでこうやりましたよ、ちょっとだけど成果出ましたよ、裏返して言うと出ていませんよと、トランスレーショナルはここに書いてあるところなのだから、これを橋渡し事業と変えるかどうかというのはあるにしても、むしろこれから求められるところで、今言ったものをもっと明確に定義してそこを言うべきだというならあるのだけれども、先生、ここに一つもないのですよ、橋渡しもトランスレーショナルも、求められるところには言葉としては入ってきていないから、やはりそこで今の定義の話に入ったほうがいいような気がします。
○田村構成員 順番はそれでもいいと思います。ここで議論する必要は必ずしもないので。
○野田構成員 先のところで、そこへ行ったら。
○田村構成員 それはそれでいいのですけれども、要は、ここで言っているトランスレーショナル・リサーチが何を指しているのかというのを知りたかったということが1つ。今後、TRが不十分である。それを解決するための次のステップをここで見ておく。
○野田構成員 みんなでイメージを共有することは大事だと思います。
○堀田座長 「これまでの成果」というところは、評価は違ってくるかもしれないけれども、今さらそれを余り変えるようなものではないように思うので、次の「現在の課題」というのは、本当にこれが課題でいいかというところについて少し議論を移していきたいと思いますので、お願いします。
今までなかったのは本態解明といったところをきちんと書き込んであること、それから、国際競争力をどうつけるかということが書き込んでございます。ここが赤字の追加した記述が一番多いところなものですから、御意見もたくさんあったのだろうと思います。
いかがでしょうか。
西山構成員。
○西山構成員 既に御退席なのですけれども、最初に宮園構成員のほうから、文部科学省のほうで同じような有識者会議が行われて、その際に問題になった点として、がん研究の今までの分析が不足しているというような御指摘があったと思いますが、実際に具体的な内容がどのようなものであったのか、できればちょっと知らせていただけると助かるのですが。
○堀田座長 どうぞ、文科省の事務局、お願いします。
○文部科学省研究振興局研究振興戦略官 さほどこういう分析、ああいう分析という議論が出たわけではございませんが、報告書自体が今までこれの前の段階のもので議論をしておりますので、あれもできた、これもできたというところから議論がスタートしていないかということがこれまでの取り組みの分析が不十分ではないか、本当はそこのところの分析をきちんとしてから議論をすべきではないかということの御発言のベースにございました。いいことを書き並べてスタートしていたところです。
○西山構成員 要するに、具体的な話がなくて、何となくそう思うという全体の流れの中でのお話ですね。
○文部科学省研究振興局研究振興戦略官 そもそもの報告書のスタート、きょうの議論にも共通するのですけれども、この初めのところが、あれをやりました、これをやりましたというところから始まり過ぎているだろうと。ここまでは行ったけれども、まだここまでは行っていない、次の課題は何であるという分析もあってしかるべきではないかという御意見はございました。
○堀田座長 書き方として、個々のところで成果と現状と課題と全部一個ずつ書くというのが余りにもスペースを取り過ぎてしまうので、論点を分けて書いてあるので、そこをつなげないとなかなか読みにくいところはあるかもしれませんね。
○文部科学省研究振興局研究振興戦略官 かつ、前回のドラフトで議論をするしか方法がございませんでしたので、きょうのですと、かなりその点のところは分析が進んでいると思いますけれども、その問題はございました。
○堀田座長 そのほか御意見。米田先生、いかがですか。
○米田構成員 「求められる研究」の項目で私が一番気になるところは、10ページに書かれている膵がんとかの。
○堀田座長 今、「これまでの成果」と「現在の課題」のところです。
○米田構成員 そういたしましたら、後で。済みません。
○堀田座長 課題のところぐらいで何かありますか。もしなければ、次のところで発言していただければ。
中釜さん、どうぞ。
○中釜構成員 「現在の課題」の最初のところで、がんの本態解明を続けることが今後のの課題である問題点を克服するために非常に重要であることは間違いないのですが、その後に書かれてある国際競争力とか技術的な面に関して言うと、これは恐らく全体に通じることでもあろうかと思うのです。この国際競争力のためには人材育成も必要でしょうし、さらには基盤整備も必要だと思います。それが伴って初めて達成できるので、これは項目を別立てにしたほうが全体的には一層いいのかと思います。
○堀田座長 本態解明研究ではなくて、国際競争力が。
○中釜構成員 本態解明研究もあろうかと思いますけれども、全体を通じて、全体の基盤整備の必要性です。
○堀田座長 それは基盤のほうですね。
○中釜構成員 基盤もそうですし、人材育成も伴ってこそ初めて国際的な競争力が出てくるのだと思うので、特にここだけに書き込むのではなくて全体に通じることなので、少し項目立てを変えて後半のほうに書き込むというほうがいいのかなと思いました。
○堀田座長 難しい問題ですね。それはまた整理させていただいて、この基盤のところに移すかどうかという話ですね。ここは、あくまで課題といっても、基盤的なこと、あるいは体制的なことではないものですから。
○野田構成員 トータルな国際競争力という項を設けたらいいですね。
○堀田座長 そういう意味でしょうね。
後藤さん、どうぞ。
○後藤構成員 課題というのは、多分3期、あるいは3期の現在までで到達できていない部分が何かというようなことかと。ですから、書きぶりとしては、この部分が不足している、だから、その不足している理由というのはこういうところがあるねといって、次の「求められる研究」の方向性のほうにつないでいくという意味で、何らかのいまだ到達できていない、本態が理解できていない、だから、そのできていないというのは、こういう部分がまだ3期では未到達だったからというような書きぶりがあればいいかなと思いました。
○堀田座長 課題については、3次のがん研究の中で出てきた課題もあるし、新たに取り巻く環境が変わってきたという部分にも対応しないといけないと思うのです。そういう意味では、社会の我々を取り巻く状況というのは随分変化しつつあって、少子高齢化時代を迎えているという問題も一方であり、それから、技術の革新もありながら、一方で解決されていない問題もたくさんあるわけですから、そのあたりのことがきちんと認識されて書かれているかどうかということで、逐一の字句上の問題はさておいて、全体を俯瞰してどうだという御意見で結構だと思いますが、いかがでしょうか。
白岩構成員、どうぞ。
○白岩構成員 ちょっと戻るかもしれないのですけれども、「これまでの成果」のところですが、5ページ目の3番目の○のところで、これは事務局のほうからこれまでのサクセスストーリーだというふうに御説明いただいたと思うのですけれども、そして、幾つか実際に開発された技術の名前が並んでいると思うのです。ただ、この技術が、眞島先生がおっしゃるように、本当に患者さんの最終的なアウトカムにどれほど結びついたのか、それから、例えば診療ガイドラインにきちんと載っているのか、国際的なスタンダードの治療になっているのかとか、そういう最終的なアウトプットが見えないので、これが本当に成果としてサクセスストーリーなのかどうかというのがよくわからないですし、これが実際に開発された技術は使われてこそ何ぼのものなので、こういう技術の現状について事務局のほうで把握されているのかどうかというのを教えていただかないと、これがサクセスストーリーなのかどうかというのは何とも言えないなと思ったのです。
○堀田座長 恐らく、これは3次がんの報告書に書き込まれているのですね。それのエキスのようなところをとってきて書いてあるものだから説明不足かもしれませんけれども、あれはまた長大なものになってしまうので、これで適切な表現かどうかは別にして、やっております。
○白岩構成員 きちんとした患者さんのアウトカムの改善のようなものを証明されていたりするのですかね。
○堀田座長 アウトカムまでは。
○白岩構成員 もちろん技術として開発されたわけで、当然、何らかのベネフィットはあるのだと思うのですが、実際の臨床現場できちんと活用されているのかどうかとか、最終的なゴールに関して状況がどうなっているのかというのを。
○堀田座長 それは、例えば標準治療を確立するための体制と共同研究で、どのくらいのガイドラインに反映されているとか、そういうのはありますよ。しかし、せいぜいそれぐらいしか出しようがないですね。例えば、患者さんの満足度がどれだけ上がりましたかといっても指標もないような状況なものですから。
○野田構成員 もう一回、ここの書き方の問題だと思うのです。3次がんの評価のときも常にそういう同じ、先ほど堀田先生が言われたように、最初に目標としたものがどれだけ達成されたかという評価なのです。最初の目標のときは、何かの技術開発であって、その技術はその次、こういうふうに患者さんに使われるからいいという、そのマイルストーンが目標になってしまっているので、ここはマイルストーンをとらえた書き方になっているのです。なので、今、先生がおっしゃるように言うとすると、やはり、これがさらにその次になって患者さんのほうに向かっているのかどうかというようなところまで書かなければいけないし、そうすると次のこの後の求められる研究のときに反映してくるというところもあるとは思うのです。
○白岩構成員 この3次がんで出てきたアウトプットを、よりこのエビデンスをちゃんと出していくようなものも次の10年間の研究の一つになるのかなと。
○堀田座長 そのほかの御意見。
西山構成員。
○西山構成員 意見というよりも質問なのですけれども、6ページのドラッグ・ラグの項目、下から2つ目の○のところですけれども、ここの文章を読んでいると、「開発ラグが解消されていないことが問題となっている」、これは企業の問題であって、この課題を受けて求められる研究が決まるとすれば、本来、企業が行わなければならない、また企業でしか解決できない課題に出すのは変なのではないかというのが1つ。
もし、それが将来的に、「開発ラグがあるので、日本産・日本育ちの新規創薬研究を進めなければいけない」という理論に帰結するのであれば、そうした課題名に変える、あるいは「企業に任せず医師主導型治験を進める」というところに帰結するのであれば医師主導型治験をテーマににすべき。本来の意図と研究課題名の対応がとれているのか、それとも私の読み違えなのかというところをお聞きしたいのですが。
○堀田座長 ラグの性質のどこに問題があるかという視点で、審査ラグと開発ラグがあるという書き方になっていますね。現在一番大きいのは、着手がそもそも遅いというところに問題があるという指摘はあるのですが、それ自体はそうですね。では、それは誰が着手するかという話に、基本的には市場ニーズがあるものは会社が手を出すでしょうし、そうでなかったら医師主導治験なんかで対応せざるを得ないというのが現状かと思いますけれども。
○野田構成員 もう一回、再確認。ここの、今、西山先生が言われたように、現在の課題に関しては、この課題の解決が次の求められる研究につながるものを意識して書いておりますね、ということですね。だから、今のディスカッションも、西山先生の指摘された開発ラグ、申請ラグのところもあるのかもしれないけれども、開発ラグの部分は、今どういう研究につながるものと意識してこの課題を書かれているのですかというのが西山先生の質問なのです。
○西山構成員 そうです。要するに一番の問題は、最終的にがん対策基本計画に沿っての目標の達成があって、それで今回のいろいろながん研究が成り立っている。実際、目標、問題を認識した上で、その課題を明確にして、それに対応した研究を定めるというのが今までのディスカッションなのですけれども、対応が少しずつ飛んでいるように思われたので。殊に患者さんたちが今一生懸命解決しようとしているドラッグ・ラグに関して、それの解決策はどうか、アウトプットはどうかと問われた場合、「開発ラグ、企業が申請しないから」では、幾ら研究者に言われてもアウトプットは出しようがないわけです。がん対策基本計画の目標をどう研究に反映するのか。ドラッグ・ラグだけではなくて、ほかの研究にも矛盾があるように見えたものですから、まずはドラッグ・ラグから御質問しました。
○堀田座長 それでは、小松さん。
○小松構成員 私も今、デバイス・ラグのところでこの質問をしようかと思ったのですけれども、結局ここで開発ラグがあるということであるならば、では、それをどうしろというのか。要は、企業が頑張るというだけの話なのですかと。だから、そこのところが後ろのほうで何も触れていないのに、ここで何か開発ラグが全体のおくれの原因であるかのように書かれているのはつながらないなというふうに思っております。
○堀田座長 では、どこが原因だと自身は考えているのですか。
○小松構成員 これは、企業が企業の事業戦略でこういうものを開発するわけであって、開発の届け出が遅いからデバイス・ラグが起こっているわけでは決してなくて、やはり今、審査のおくれ、あるいは米国と日本での治験の煩雑さ、こういうことによるさまざまな問題が起こっているのではないかというふうに私は思っています。
○堀田座長 そうすると、どうも認識は一致していないですね。
田村さん。
○田村構成員 まさに認識は一致していないと思います。私は、開発ラグは現実に一番重要な問題だと思っていて、その解決するための研究といいますか、仕組みをつくっていくことがとても重要だと思うのです。仕組みをつくる研究なのか、そこは言葉は難しいのですけれども。
8ページの上から2段落目のところを見ていただくと、赤字のところですけれども、「産官学の強力体制を強化するとともに、『創薬支援ネットワーク』」云々という、これは薬のほうですけれども、ここに先ほどの課題からつながっていると私は思っています。そういう意味では、あそこの文言はそれなりに意味があると思っていますが、いかがでしょうか。
○堀田座長 眞島さん。
○眞島構成員 開発ラグという言葉が、ちょっと意味が違うのではないか、誤解を招くのではないかと思います。開発ラグというと、何かまだ開発されていない医薬品がこれから開発されるというようなイメージもあるのかなと。実は、抗がん剤を例にとってなのですけれども、もうジェネリックになっているような古い医薬品でも新たなエビデンスが欧米で見つかる場合があります。それがすぐに国外でも使えるようになればいいのですけれども、それがドラッグ・ラグのために使えないというような状況があります。これは企業にお願いしても、なかなかジェネリックだとメリットがないということで臨床試験などを組んでくださらないということがある。では、誰が日本国内でもってエビデンスを出してもらえるのか。やはり医師主導型試験でデータを出してもらわけなければいけないのではないか。ただ、それも患者さんが待っていれば自動的に試験されるのかというとそうでもないという状況があるので、それを一括して「開発ラグ」と言っていいものだろうかと疑問に思います。
それから、「審査ラグ」に関してなのですけれども、改善されつつあるということは書いてありますけれども、PMDAにしてもFDAに負けないように世界一を目指していただく、それぐらい迅速に安全にいろいろなものを承認していただけるような体制をつくっていただければ患者は本当に救われると思いますので、その辺は第2位でいいとかではなくて1位を目指して頑張っていただきたいと思います。
○堀田座長 こういうドラッグ・ラグはいろいろな切り口があって、例えば本当の未承認と国内の未承認、世界ではもう承認されているもの、それから、適用外のもので保険では使えないというような問題と、いろいろなものがごっちゃになっているのですね。しかし、研究事項としては個々にどうやって対応するかということがない限りはお題目を言っていても始まらないというのがあって、ですから、例えば医師主導治験でどこがやる、どこはコンペンディウムのようなものを導入する、それが本当に日本の中で定着するものかどうかという研究をやってくれというのが本来の姿ではないかと。
○野田構成員 そういう政策科学のほうだけでいってしまうと、何となく患者さんは答えていないと言うと思う。
○堀田座長 もちろん、それで、もう一方でという話です。
○野田構成員 エビデンスをもっと明らかにする必要があるのはみんな感じていると思うのです。
○堀田座長 ほかはよろしいですか。ちょっと先に進ませてもらっていいですか。
次の「求められる研究」のここが一番重要になってくるかと思いますので、そこへまず議論を移したいと思います。
ここでは本態解明と実用化を目指した研究といったものが両輪といいますか、融合して一体的に進めていくものであって、分離したものではないということ。それから、ここには本態解明についてのいろいろなすべき事項が取り上げられていて、ここは前回なかったところでありますので、しっかり書き込まれているところであります。
それから、前回は全身治療とか局所治療とかという分け方になっていたのが、今回は新規治療薬の開発と新規医療技術開発という書き方になっているというところが大きな特徴かと思います。
米田先生、先ほどは申しわけありません。どうぞお願いします。
○米田構成員 「求められる研究」の項目でどこまで具体的に書くかというのは非常に問題があるかなと思うのですけれども、例えば7ページの下のほうに書かれている「異分野の知識や技術を積極的に組み合わせる」というのは、別に今さら言うようなことでもないようなことで、それを本当にどうやるかということまで踏み込んで書かないとあまり意味がないような気がします。今までいろいろな分野でも異分野融合をやらないといけないとずっと言われ続けていたことで、それが進まないから困っているのであって、それをどうするかということまで踏み込まないといけないのではないかなというのが1つ感じることです。それから、ちょっと飛ぶのですけれども、10ページのところで膵がんのこととかを書かれている部分があるかと思うのですけれども、膵がんとか難治性のがんを克服するというのは非常に大事なテーマの一つになるのではないかと思うのですけれども、そのときに、次に書かれている文章とのつながりが私にはわかりにくくて、なぜ難治性なのかということをまず理解して、その次のステップとして、どうするかというような形にしないと、未承認薬が承認されるだけで膵がんが治るのかと言われたら、そんなことはないだろうと思いますので、なぜ難治性なのかという根本的な理由の解明のところから入るべきではないかと思います。
○野田構成員 今のに対して。やはり本態解明のところが重過ぎるので、これを2つに分けるか何かして、ここに膵がんの難治性解明のところのスタートはここにあるので、米田先生の言われた、後ろのほうの上のところにある膵がんの難治性の部分の入り口として、やはり難治性の理解というのがあって、これは何回か繰り返し書いているのですけれども、ここに1つ入れておいて、こちらは、そもそも難治性だから臨床試験をというふうになってしまうと確かにおかしいので、こちらの書き方は少し具体的な今あるものをというような感じのほうに変えると。10ページと7ページのところの。
○堀田座長 7ページと10ページのところを少し組みかえをするという話ですね。
どうぞ。
○石井構成員 そうすると、難治性がんの定義がわかりにくくなってきていまして、6ページのほうの、要するに膵がんを初めとする難治性がん、それから、転移・再発に対して有効な治療を確立されていないがん、そして、その後10ページに、生存率がよくなってきた一方で、膵がんを初めとする難治性がんの治療成績の向上が喫緊の課題となっているというふうに書いて、13ページの具体的なところで効果的な治療法が開発されていない難治性がんというふうに書かれると、では、再発例とか、そういうのは難治がんですね。それから、転移するがんも難治がんというふうになると、難治がんというのは分け方がよくわかりにくい。
○野田構成員 この間のディスカッションで、その2つを含む、ただし明記するということになったのです。
○石井構成員 そうですね。
○堀田座長 難治という意味合いには、そもそも治療する前から難治というたちの悪いやつがある一方、治療したけれども再発・転移でうまくいかないという難治もあるわけですね。両方とも難治というくくりの中にあるけれども、意味合いは違うという話ですね。
○野田構成員 ただ、後ろの項目立てから始まったからちょっと逆行しているのですけれども、後ろの項目立てのときに難治性がんを設けるとしたら、そこには初めからの膵がんのような難治性がんも、項目の中の違う小項目として再発・転移はいまだに難治なのだということで難治がんとして、その2つは項目には一緒に入れましょうということにあのときはなった。そして、それに対して前のほうを書き加えていっているので、今、先生がおっしゃるように、その対象がもうちょっとわかるようにしたほうがいいと思いますので、それはやります。
○堀田座長 中釜さん。
○中釜構成員 細かな点なのですけれども、最初のポツのところで、ここには産官学連携をして、本態解明と実用化研究を融合することが大事だと書かれていて、確かにそうなのですけれども、先ほど来の議論の中で、より本態解明を深め、実用化の推進にも、現在ある死の谷を意識して、そこを強力に推進し、一体化することによって、いわゆるトランスレーショナル・リサーチを強力に推進させるということがこの文言に込められていると思うので、もう少しその部分は丁寧に書き込みをしたほうがいいのではないかと思います。
○堀田座長 ここのところは、前回なかったところのかなりボリューム感のある形になっていますが、この2つ目のポツのところは文章が長いような気がしないでもないけれども、こんなものですかね。
○野田構成員 もうちょっと整理したほうがいい。
○堀田座長 ありがとうございます。今の指摘ももう少しわかりやすく記載するということにできればと思います。
そのほかはいかがですか。
どうぞ。
○野田構成員 もう一回、今のあれで、最後にぽんと頭に入ってきたので、長期的視点を持ってこの2つの融合が必要であるという、まるで何となく最初にお題目のようにぽんと入ったのでわかりにくいと思うのです。だから、やはりこれは後ろのほうで、これの意味するところがあると思うのですけれども、一番大事なのは、西山先生の学会からの発表のときにあったように、要するにシーズプッシュ型でステップ・バイ・ステップで、バイオロジーが完全に明らかになり、完全な治療薬ができ、そして臨床試験をするというふうに進むものではないと。要するに、疾患の概念があって、それが全部クリアになる前にいろいろな治療をしながら、そのリバーストランスレーショナルがあっていくという、それが融合のことを意味しているので、後ろのほうにそういう意味のものをどこか段落立てをしたほうがいいように思います。
○堀田座長 そこは、確かに位置は変えたほうが読みやすいかもしれないですね。それは事務局のほうで織り込んでおいてください。
それでは、その次のあたりはどうですか。サバイバーシップであるとか行政ニーズ、あるいは小児、高齢者、そういったぐあいに続いていきますが、10ページの終わりのところまでで何か御意見いただければ。
どうぞ、米倉構成員。
○米倉構成員
個別の話になるのですが、先ほどの8ページの一番上のところは非常に大事で、いわゆるハイリスクの患者さんについてどのようなことをやっていくか、早期に解明をしていくという話です。真ん中あたりに臨床現場からの病理試料、あるいは発症前の生体試料、これは多分非常に大事な研究だと思うのですが、その後、今度は二次予防の話で早期発見という話になっていって、いわゆる複合的な発がんのプロセスから、それをいかに早く見つけるかという話になっていくのだと思うのです。
そこで、早期発見のための医療機器開発ということがぱらっと書かれているのですけれども、私は、ここで多分イメージング技術というのが今後非常に役立つのではないかと思っているのです。これはまさに基礎研究で得られたバイオマーカー、あるいはいろいろなマーカーですけれども、こういうものを使ってイメージング技術が役立つのではないかと思って、ここは医療機器開発と書かれている部分にイメージング技術という言葉を1つ入れていただくだけでもその意味づけが変わってくるかなと思ったのでコメントをさせていただきました。
○堀田座長 眞島さん、どうぞ。
○眞島構成員 私もこれをずっと読んでいて、予防に関しての項目というのは非常に重要ではないかと。特に今、ハイリスクのがん患者さんはたくさんいらっしゃいまして、その方たちにがん研究に参加していただき、さらに、その方たちのがんが早期発見につながるという診断法が開発できれば、本当にがん患者さんにとってはがん研究の恩恵をもろに受けることになるので、ぜひこのあたりは強調していただければと思います。
○堀田座長 ありがとうございます。
そのほかの御意見。よろしいでしょうか。
新薬開発、あるいは新規医療技術開発はよろしいでしょうか。
サバイバーシップ、行政ニーズからの拾い上げ、それから、それぞれのライフステージにおいて、小児、高齢者に関するもの、よろしいでしょうか。
先ほど10ページのほうに行きまして、これまで5大がんにかなり精力を集中してきたけれども、今度は希少がんや難治がんのほうにシフトするみたいな書き方になっていますけれども、いや、5大がんだってまだ片づいていない難治はいっぱいあるよという話がありましたけれども、それはどうですか。別に5大がんはやらないと言っているわけではないのですけれども。
○石井構成員 希少がんについてもです。
○堀田座長 今まではよりは、もう少しそこに目を向けるという意味合いで。
○野田構成員 「も」だけ入れましょう。
○石井構成員 「も」を入れていただいて。
○堀田座長 「ついても」というふうにすれば両方が。
よろしいですか。次のところ、両括弧のほうへ入ってしまってもいいですか。各項目の研究課題というところ、ここも結構いろいろ御意見あるかと思うし、実は、実際のイメージを語っていただけるとありがたいと思っているのです。字面の問題とか順序ではなくて、ここにはこういう研究があるではないかというようなイメージを語っていただけるとありがたいと思います。
それでは、(1)の「がんの本態解明に関する研究」から、順序を追う必要はありませんが、御意見をいただければと思います。
西山構成員。
○西山構成員 (1)の5と(3)の1、2とはどう区別すればよろしいのでしょうか。
○堀田座長 そこは事務局でも問題になっていた。
○西山構成員 「持続的な薬剤候補をめざしたアカデミア発のイノベーティブな標的シーズの探索・同定と、標的シーズを医療応用するための研究」というのと、「薬剤候補の探索・同定のための研究」、「薬剤候補品を臨床試験に橋渡しするための研究」、これは同じものではないのでしょうか。
○堀田座長 だから、これは事務局でも問題になっていた。
○野田構成員 言葉はちょっと、持続的な薬剤候補というのはどういう候補かわからないので、これは直さないといけないのだけれども、持続的な薬剤候補同定とかでしょうけれども、基本的には、真ん中はいいのですよ、後ろの「標的シーズを医療応用するための研究」というのが、まるでトランスレーショナル・リサーチみたいに非常に幅が広くて意味がわからないので、この本態解明のところにこれが入っていないといけない具体的にこういう研究があるでしょうというのがもしなければ、この前のところは、後ろのここの部分は要らないのではないか。あるいは、ここに必要なのだといえば、後ろに尾を引いたロングテールにしたときのここのところに何を意識しているのかというのを聞きたいのです。
○堀田座長 要は、(1)の⑤番と(3)の1が同じことを言っているのではないのかという話ですか。
○西山構成員 そうです。
○野田構成員 1はリードですから、薬剤候補です。5のほうは標的探索ですから、そこでは線は違うと思う。5は、まずは標的探索を目指したであるから、イノベーティブな標的シーズですから、標的探索とそれに対するリードのスクリーニングはそこで1つステップが変わるので。
○堀田座長 下のほうはリードと読みかえればいいのですか。
○野田構成員 薬剤候補というのはリードでしょう。まさか、これはまさか分子標的ではないでしょう。薬剤候補でしょう。
○西山構成員 そこのところで随分内容が変わってくるのですけれども、リードという意味で事務局は書かれているのですか。
○岡田推進官 構成員の先生からそういった御意見をいただいており、そのような趣旨で書いております。
○野田構成員 だから、ダブっているのは(1)の5の後ろの「標的シーズを医療応用するため」の「医療応用」という言葉が幅広いのでダブってくるように見えるのです。だから、ここで、本態解明のためにどうした医療応用の研究が必要なのかがもし明示されないのだったら、ここはないと。標的同定までと、それか、後ろはリード探索だと思います。
○堀田座長 前のほうの5の薬剤候補はそのままでいいのですか。
○野田構成員 やはり標的でしょう。これは「めざした」なのです。目指したイノベーティブな標的シーズの探索・同定が実態ですから。
○堀田座長 その標的ならわかる。
どうぞ、後藤さん。
○後藤構成員 野田先生と重複するかもしれません。(1)というのは、本態解明に資する研究というのはすごくあると思うのです。ただ、5で言っているのは、(3)につなげるために、こういう部分にちょっと注意した研究も必要ではないかというので入れていると思うのです。ですから、ここの「持続的な薬剤候補をめざした」というのは取っていただいていいと思うのです。「アカデミア発のイノベーティブな創薬標的の探索・同定と」というふうに入れていただいたら非常にはっきりするかなと思います。
それから、後ろのほうは、「薬剤候補の探索・同定のための研究」というか、多分、開発候補品を探索・同定するためのですね、そういう意味で、薬剤候補というと何となくレートステージに見えるから、この部分は文言を変えていただいて、リードというのは一般的にはわかりにくいかもしれないので、臨床開発候補品の探索・同定のための研究とか、そういうふうに入れていただいたらいいかなと思います。
○堀田座長 あとは、私としては本態解明のところは、やはり臨床で見つかった難しい問題をもう一回もとへ戻って振り返って本態に戻るというようなところがあってほしいなと思います。
どうぞ。
○西山構成員 そういう議論ですと、(3)1、2は何をするかというと、アカデミアで巨大なスクリーニング系をつくれとか、あるいは、非臨床、全臨床を行えと、すなわち、薬剤としての安定性やそうしたものをGLPにのっとってできるようにしていけということになるのですけれども、現実にはそういう研究ができるアカデミアというのはあるのでしょうか。
○堀田座長 誰に聞いているのですか。
○野田構成員 アカデミアでというと、もう一回すごい根本に戻るのだけれども、このがん研究はアカデミアだけのがん研究戦略ではないかということになるから、まさに創薬支援ネットワーク的なものも書き込まれているのだから、創薬支援ネットワークのカバーするところにはスクリーニングは入っていますから、それをどう分担していくかというのは別だけれども。
○後藤構成員 多分いろいろな議論があると思うのですけれども、GLP、GCP、GNPになってくると、多分、いわゆる基礎研究スキームでは賄い切れない領域ですね。だから、その部分は、先ほど眞島先生がおっしゃったように、ベンチャーキャピタルも含めた違うシステムが必要になるだろうということになると思うので、アカデミアの定義というのは非常に難しいと思うのですけれども、アカデミアをざくっと大学というふうに規定すれば、そういうところは大学発ベンチャーみたいなものが必要になってくるだろうということになると思います。
その前の段階というのは、NIH、NECIにしろ、海外もそうですけれども、アカデミアと企業をつなぐ部分というのはベンチャー的なところもあるけれども、今回の創薬支援ネットワーク的な部分がアカデミアの一部も含めてつないでいくというふうに考えていただけたらいいのではないかと思います。
○堀田座長 そのほか御意見。
田村構成員。
○田村構成員 まさにそこの部分が日本で一番欠落しているということが議論されてきていて、それはベンチャーを立ち上げてほとんど失敗してきている現実がある中で、また同じことを繰り返すというのはナンセンスなので、ここのところは何らかの形で盛り込む文言が要るのではないかと思いますけれども、がんの本態解明に関する研究は、⑤のところは後藤先生がおっしゃったような形でアカデミア発のイノベーティブな創薬標的探索というところで、3番にそういうトランスレーショナルなところをきちんと書いた文章が必要ではないかと思います。
○野田構成員 でも、それは、今、田村先生が言われたのは、やるべきこととやるべきシステムのことが両方一緒になっているので、だから、やるべきシステムは後ろのほうに回す、でも、やるべきシステムに研究されるイメージがちゃんとわかるような、ここに、いわゆる研究開発内容の部分を書く、ここは項目ですね。
○堀田座長 具体的に何かつけ加えるような研究項目ですか。とりあえずいいですか。
では、ほかの部分でいかがですか。
眞島さん、お願いいたします。
○眞島構成員 (2)の「個人のリスクに応じたがんの予防法や早期発見手法に関する研究」の部分なのですけれども、アンジェリーナ・ジョリーの話が出てきて、非常に遺伝情報の重要性ということがメディアを通して認識されつつあるかと思うのですけれども、家族性がん登録制度というのがあるかと思いますので、それに関してもこの中に記述を入れていただければというふうに思います。
○堀田座長 家族性がん登録というのは、遺伝性がんのことを言っているのですか。
○眞島構成員 そうです。
○堀田座長 それは、別に普通のがん登録とは別個あるという意味ですか。
○眞島構成員 今、がん登録とは別に例えば膵がん登録制度というのがアメリカにはありまして、そのような制度を使ってがん研究を促進させているという面があります。まだ日本ではそれが実現できていないかと思いますけれども、そろそろそういうものも乳がんを筆頭として出てくるのではないかと。
○堀田座長 これから行われる、院内がん登録では既にそこは含まれているのですか。それはどうですか。
○野田構成員 全部網羅はしていないです。広がらない。
○岡田推進官 今、眞島構成員から御指摘いただいた点は、事務局としましては、既に御意見として承っておりましたので、14ページの「希少がん等に関する研究」の③として、遺伝性腫瘍等の情報集積等と、その研究の視点から見たものを書いておりましたが、この予防という観点でそういうことを記載すべきということであれば記載したいと思います。
○堀田座長 院内がん登録に関して言えば、希少がんも含めてかなり精査に出るようになりました。ただ、これはあくまで院内がん登録なので、全国の拠点病院を中心にしています。多分、希少がんというのはそこに集まってくる傾向がありますから、かなり補足はされていますが、全国でのカバー率は現状65%ぐらいです。
○野田構成員 わかるのですけれども、今ここに入れたのは、遺伝性がんを希少がんの中に含めていいと思ったからこちらへ持っていったのではないですか。違うのですか。
○堀田座長 それは、もちろん希少がんでしょう。
○野田構成員 いや、希少がんは遺伝性がんではないではないですか。例えば乳がんの遺伝性素因の持っているものをもし遺伝性がんと規定するならば、それは17%とか20%近いので、そこの話です。
もう一回確かめたいのは、希少がんの中に遺伝性がんを含めるのだ、そして、それはここに入っているのだという理由だったのでしょう。
○岡田推進官 希少がんであるかどうかということは学問的な御議論をいただきたいと思うのですけれども、趣旨としてはそういう希少性がある方々の貴重な情報をどこかに集約化して、その情報をもとに予防であるとか治療の方法の開発ということを図るという観点から、希少がん等という中で③として書かせていただいています。
○野田構成員 眞島さんのに答えているかという形です。こちらがいいのか、そうではないか。
○堀田座長 眞島さんの言うのは、希少がんの中にそれが含まれているのか、それは希少とも言えないから外へ出せという話か、どちらですか。
○野田構成員 そういう意味で言っているわけではない。
○眞島構成員 きちんとそういう家族歴のある患者さんたちが登録されて、データをとられて、それが予防、早期治療、発見につながるということが重要だと思いますので、そういう形でまとめていただければと思います。
○堀田座長 今後は、がん登録が進んでいけば、そこら辺のところはかなりはっきりしてきますし、先ほどちょっと言い出したのですけれども、院内がん登録については、かなり希少がんについても頻度とかが出るようにはなっていると思いますので、もっとそれを精緻にする必要があると思います。
○中釜構成員 恐らく、この表現の中に書いてある遺伝情報等に基づいた個人の発がんリスクの層別化というところは、必ずしも希少がんではない遺伝的な素因を意識した研究が重要だということがここに書いてあると思います。例えば乳がんの中の遺伝性がんの割合としての十~三十%は必ずしも希少がんとは言えないわけです。ほかにも、いわゆる遺伝性がんという希少なもの以外にも、遺伝的素因のあるものを意識した研究を推進すべきだということがここに込められていると思います。それが少し伝わりづらいのではないかと思います。少し書き方を変えていただいたほうが。
○野田構成員 個人のリスクというところが下の項目に入っていくと、環境による被曝の自分の現状のリスクと、自分が持っている遺伝性の情報のリスクというのを項目を分けてきちんと書いたらどうかと。
○堀田座長 確かに遺伝性腫瘍という概念と、本当に頻度が少ないというのは別の概念ですね。だから、それを一緒に「等」でくくってしまっていいかどうかというところの話だと思うのですけれども。遺伝性腫瘍については、やはりカウンセリングの問題とかいろいろなほかの問題が入ってくるので、確かに一緒ではないですね。
ここは、事務局、どういうふうに整理しますか。
○岡田推進官 、縦糸、横糸、斜めといろいろな次元で整理をするとなかなか複雑になっていってわかりにくくなっていくので、ぜひ、どう書けばいいかを御議論いただけますとありがたいのですが。
○野田構成員 でも、例えばすごく単純に言うと出口だと思うのです。希少がんにまとめるかどうかというのも、先ほど希少がんに関して院内がん登録があるかと座長がおっしゃったではないですか。でも、院内がん登録で今ここで話していたのだけれども、院内がん登録は何親等までのチェック項目があるのか全然わからないですね。本当に院内がん登録があったら、家族性がんがちゃんとひっかかってくるかというのもわからないし、ここは、やはりその後、何をすべきかというので分けていったほうがいいわけでしょう。だから、遺伝性がんだったら、その後のフォローアップとあれのあり方、それから、そういう患者さんの検体をむだにしない研究の進め方というのがあると思うので、リスクというほうへ持ってきたほうがその点は素直なのだと思うのです。
○堀田座長 ありがとうございます。
どうぞ。
○田村構成員 11ページの(2)の1の中に「遺伝情報や」という一言が書いてはあるのですね。だから、これを分けて書けばいいのではないかというふうに思います。
○堀田座長 そのほかはいかがですか。
まだあるかもしれませんけれども、後ろのほうはどうですか。「ライフステージや個々の特性に着目した重点研究領域」というところで、今、遺伝性がんとか希少がんについては御意見いただきましたけれども、そのほかにあれば。
○石井構成員 その前の(6)に関してでもよろしいですか。幾つか意見を述べさせていただいていたのですが、項目立てが10もあって、例えば5と6というのは、患者と家族の問題ですね。精神心理学的と社会的問題に分けるというふうになっていますけれども、そこのところは1つでもいいのかなと思います。
それから、10は「その他、がんに関する人文社会学的な研究」の意味が全然わからないのですけれども、ほかのところにその他というのはないので、その他を入れるのであれば全ての項目立てにその他を入れたらいかがでしょうか。
○堀田座長 多分、これは個々の項目が別々に出てきたアイデアを詰め込んであるので、必ずしも一貫していないというのがあって、最後はここを整理していきたいと思います。
○野田構成員 でも、それだとあれですから質問するのですけれども、○の中の9番までに人文社会学的な研究は入っているのですか。どれかが人文社会学的なのですか。それとも、この10だけが人文社会学なのですか。
○岡田推進官 1から9にも人文科学的な内容を含めたものはあるかと思うのですけれども。
○野田構成員 それで、その他が10番についている。
○岡田推進官 はい。、重要なものが何なのかということも御議論いただければ。
○野田構成員 そもそも、私でも、一番重要なのだろうなと思うのだけれども、この「エビデンス-プラクティスギャップ」の具体的な例を挙げなさいと言われるとわからないのですけれども、ちょっと言葉として練れていないように思いますが、祖父江先生、教えていただけますか。
○祖父江構成員 ですから、例えばたばこが肺がんの原因であるというのがわかっていても、いまだに喫煙率がゼロにはなっていないと、そういうところだと思います。
○堀田座長 そうですね。乳がんの検診受診率がいい、予防できると言いつつ高まらないというのも、それも一つですね。
ここは確かにほかの項目に比べると10項目と倍ほどあるので、サバイバーシップといっても物すごくいろいろな課題がたくさん錯綜してあるので、多くなりがちかもしれませんが、ほかのところとのバランスを考えてちょっと整理しますか。
よろしいでしょうか。
どうぞ、白岩先生。
○白岩構成員 4、5、6といろいろ項目に分かれているのですけれども、例えば4番で開発したような技術というのは、当然、5番の標準治療のほうに多分移行するのでしょうし、下の標準治療になったものに関しては、医療供給体制ですとか、配置の問題だとかそういうのが出てきて、サバイバーシップなんかの問題にもかかわってくると思うのですけれども、書きぶりとして難しいのではないかと思うのですけれども、流れというか、項目間の連携のようなものをもう少し見れたほうがいいのかなという気もしないではないのですけれども、ちょっと御検討いただければと。
○堀田座長 わかりました。それをうまく表現できるかどうかわかりませんけれども、相互の研究の相関性とか流れとかそういうことですね。
○石井構成員 (5)の「明日の標準治療を創るための研究」がちょっとわかりにくいというか、これは、後のほうに出てくる小児がんとか高齢者がんとか難治がんとか希少がん以外のという意味合いなのですね。つまり、5大がんを中心とした疾患のという意味合いなのでしょうか。というのは、もしこれが別の意味合いであれば、当然ここは項目立てをきちんとしていかないといけないので重要かなと思います。
○堀田座長 事務局、どうぞ。
○岡田推進官 (5)に位置づけていますのは、(7)で「ライフステージや個々の特性に着目した重点研究領域」以外の領域も含んだ幅広い内容の対象の標準治療という意味合いです。
○堀田座長 ありがとうございます。
どうぞ。
○米倉構成員 全体的なサブタイトルのつけ方ですけれども、非常に苦労していろいろ前置きが載っているのですけれども、「個人リスクに応じたがんの予防」、あるいは「新薬創出国として世界をリードする」云々とか、「ものづくり力を活かした」云々とか、何かすっきりしたほうがいいのではないかと思いますけれども。
○堀田座長 これは時代に迎合して、ちょっとキャッチーに。
○野田構成員 だから、例えば「明日の標準治療」と書いて、別にあすでもあさってでもいいけれども、つくるのだから今ないものであることは間違いないのだし、それから、僕も前のときにちょっと言いましたけれども、誤解を与えるのは、個人のリスクに応じたがんの予防法、その下の中で個人のリスクは重要になってくるけれども、やはりまずは予防法が確立されて、そのどの予防法を使うかというのは個人のリスクに応じるのだから、やはり前のところはなるべく削って、そんなに項目なのだから、これ自身がキャッチーなのか、セクシーなのかわからないけれども、そういう必要はないような気がしますけれども。
○堀田座長 皆さんそういう意見ならそれでも。最終的には、国民の皆さんに最後はわかりやすい、訴えかけやすいという形にはしたいと思っているのです。南さん、何かそういう報道したときに、これを記事にしようと思ったときに記事になりますか。
○南構成員 もちろん内容的に、これだけ専門家の先生方がもまれたものですから中身は濃いと思うのですけれども、ただ、例えば今の(1)からの項目立てなんかが、この項目だけで意味を持たせられるのかどうかとか、やはり詳しく書くのは幾らでも書けるとして、いかに情報を大ぐくりに丸められるかということを考えますと、私どもの立場としては、こういったキャッチーといいますか、一言で意味をなすみたいな言葉というのは欲しいわけですね。
○堀田座長 実は、ほかの報道の方からも、その会議の後、前の素案のときにこれでは記事にならないよと言われたのです。どこを拾えば言葉として見出しになるのかと言われたときに、そういえばないなと思って、こういうちょっとキャッチーなものも突っ込んでみたというわけです。余り品がないというのだったらやめておきます。
○門田構成員 やはり書き出すと、例えば、本当にリスク云々というと、それ以外と今、野田先生が言われましたけれども、その下の新薬創出国としての、創出が、これをだめだ、だめだと言われている我が国から出すものを、こんな無理して名前をつけることは、やはり品がないとは言わないけれども恥ずかしいのではないか。やはりすっきりと少なくともタイトルとして出されて、記事を書く人は勝手に書いてもらったらいいので、メディアに対してそこまでサービスすることはないと思います。
○堀田座長 品がない、大体皆さんそんな意見ですか。
どうぞ。
○祖父江構成員 ちょっと大ざっぱな話ですけれども、研究なので何か新しいことを開発しますということでの記述が多いのですけれども、高齢者のがんに関しては新しいことを開発するというだけではなくて、既存のテクノロジーをいかにうまく使うかによって正しい選択というか、よりよい選択ができるような道筋というか、考え方というか、そういうものを示す研究が必要ではないかと思うのです。新しいものを開発するのももちろん重要ですけれども、既存のテクノロジーをうまく利用するような研究というのが必要ではないかと思います。
○堀田座長 確かにそうですね。今の項目立てのところで修飾語が要るか要らないかという話で何か御意見ほかにありますか。なしですっきりと、例えば「標準治療の開発」とか「新薬の創出」とかというだけにしてしまうかですね。いかがでしょうか。
皆さん大体、そうキャッチーにしなくてもいいよという話であれば、そういうふうに上品にまとめます。私がこのキャッチーなコピーを考えたのですけれども。
○石井構成員 個人的には多少あってもいいと思うのですが、ただ、(4)の「ものづくり力を活かした」とか、そういう表現はもうちょっと変えたほうがいいかなと。「明日の標準治療」、格好いいですね。それから、「より充実した」、これも何かいいような気がしますが、少しだけ表現の仕方を変えたらよろしいかなと思ったのですが。
○堀田座長 ちょっと賛同者があらわれましたね。そこはまた考えてみましょうか。ここは本質的な話ではないので。
○門田構成員 有識者。
○堀田座長 有識者らしい上品な表現にします。
それでは、時間の関係もありますので、最後の「研究の効果的な推進のための基盤」といったところで、前回、随分ここが不足しているという御議論もいただいて、かなり書き込んだところでもあるのですが、いかがでしょうか。
○石井構成員 14ページの希少がんの前に難治がんの記載がないので、入れられたほうがよろしいのではないでしょうか。
○堀田座長 難治がんですね。
○石井構成員 そうですね。小児がん、高齢者がん、その次に難治がん、希少がんという流れになっていると思います。
○堀田座長 前回の素案のときには点線で囲った部分のところに書かれたことを大体はここへ持ってきたのです。
○野田構成員 あのとき、難治がんはなかった。
○堀田座長 もともとなかったですか。では、今回もなかったという話ですけれども、つけましょう。やはり、それはちょっと不十分なのかもしれません。
○岡田推進官 事務局としてもぜひつけたいのですけれども、難治がんの研究、今、この13ページの下段からの部分ですね。13ページにある研究の実践をするに当たって、それを効果的に進めていくために必要なことは何か、御意見をいただければと。
○野田構成員 それこそ、先ほどのリバーストランスレーショナルの環境整備ですよ。難治がんをバイオ細胞でやっていてもしようがない。要するに、患者さんの治療で、難治がんの患者さんとくっついてやれる研究というのが難治がんでも絶対に必要だから、リバーストランスレーショナルの環境整備だと思います。
○堀田座長 基盤としてはそうですね。要するに、治療をしてやりっ放しではなくて、その結果をきちんとデータとして、あるいは資料として集めて、それで本態解明にもう一回戻るという仕組み。
ほかによろしいでしょうか。
祖父江さん。
○祖父江構成員 資料1の4ページ目に前回の意見として書かれていて、下から3つ目の「研究全体の推進方策」として、「がん研究の全体像について、省庁を超えて一体的かつ持続的に推進管理する体制が求められており、このことについては明記すべき」と。ここのところは、なぜ明記されていないのかなということなのですけれども。
○堀田座長 そういう意見は、もちろん私も持っておりますが、これは、事務局としては何か慮りがあったのですか。一体的に推進するための組織という意味合いですか。
○岡田推進官 事務局としましては、例えば16ページの「おわりに」の最後の締めくくりのあたりで、「省庁連携のみならず産官学」というようなくだり等々でこういった御意見を反映させていただいておりますが、何か適切な言葉があれば、よろしくお願いします。
○田村構成員 随分この関係では議論したと思うのですけれども、いわゆる日本版のCTEPをつくることをどこかでうたわないと進まないと思うのです。今までずっとTRと言いながら進んでこなかった理由の大きなところです。それから、先ほどお話があった開発ラグというのは非常に幅が広いと思うのですけれども、結局、企業はデシジョンメーキングができない状況があるわけですね。それをヘルプするような組織がないといかんと思うのです。そういった日本版CTEPの必要性が、これだけの文章では、国民の方たちにちゃんと伝わるかどうかですね。そういったところを我々は議論してきたつもりなのですけれども、何らかの形でぜひ入れていただければというふうに私は思っています。
○堀田座長 どうぞ。
○眞島構成員 私も同意見でして、やはりがん研究をスムーズに一気通貫して推進するためにはマネジメントというのは非常に重要ではないかと思います。日本版NIHとか日本版NCIとかというお話も前回させていただきましたけれども、そういったあるべき姿、体制のあるべき姿、マネジメントのあるべき姿ということをぜひ、ここで2行書かれていますけれども、「おわりに」ではなくて、それこそ基盤のほうにマネジメント体制として書き込んでいただければというふうに思います。
やはり、がん研究で誰が責任者なのか、誰が責任を持って患者のベッドサイドまで届けるのかというところが見えないままで、目標だ何だ、予算だと話していても、国民としては本当に理解が進まないと思いますので、ぜひその点、よろしくお願いいたします。
○堀田座長 どうぞ。
○野田構成員 まさにそうで、先ほど私が言ったように、それぞれ目標の設定があって、その実現に責任を持つ人、それから、そういうのがマルチにあったときに、それをコーディネートするべきものというのは必要で、それが研究全体のマネジメントだと思うので、それがわかるように書き込むということは非常に重要だと思うのです。ただ、その先に余りに誤解を与えるような言葉をそこに使うと、トップダウンで全てが本当に行けるのかとかそういう問題になってくるので、やはり本当に目標に向けて効果的なマネジメントをできる組織なり連携を強化すべきであるというような書き方をもう少し深く書くということでいいのではないかと思うのです。今、言葉として日本版何とかとか、あとは、前のサジェスチョンの中で出てきているのは一元的というやつなのですね。その一元的というのは、マネジメントのやり方や評価は一元的でいいけれども、トップダウンとボトムアップの存在をなくすような一元的なのというのは非常に困るという議論もあるので、その辺だけです。それを慮って書いているというだけ。
○堀田座長 そのほかの御意見。
確かに、ここの部分は書き方によっては縛ってしまうということになる、縛り過ぎてもいかんということがあるのですが、今までさんざん議論してきて、前回の基本計画の見直しの中でも明らかにされてきたことは、省庁でばらばらにやっているのだと。いいかげん、その時代は済んだはずだという認識のもとに、きょうもここに3省集まってやっているので、これを恒常的、持続的なものにするにはどうしたらいいかという視点だと思うのです。それを書き込むということにしたいと思います。
○門田構成員 先ほども話題になっていましたけれども、2ページの「個別目標」で基本計画を引用しているところがそういう内容になっているわけですから、これが最初に入るからには、どういう書き方というのは、野田先生が今おっしゃられたようなことも注意すべきところは注意するにしても、何がしのこういう連携というのが、あるいは個々の基盤のところに書き込んでおくというのは大切なのではないですか。
○野田構成員 門田先生、違いますよ。幾ら頑張っても個別計画ではだめでした。最後の最後にひっくり返されて、これをよく読むと、主語と述語をひっくり返されたのです。結局、この書き方は連携や組織は戦略をつくるためだけにあるのです。そういうふうに幾ら書いても、幾ら書いてもこれはひっくり返されたのです。だから、戦略をつくってしまったら、その後の連携は、このがん対策基本計画は、それの実施だ、推進だ、何とかのためのそういう組織というのは、この基本計画には研究に関しては書いていません。つまり、そこをひっくり返してしまったのだけれども、要するにそういうのが集まっていて、戦略をつくるということ。
○門田構成員 だけど、その下のほうは。
○野田構成員 それは、だから、こういうのが連携して一体的に推進するためということで、新たながん診断は、これは研究と違うところのあれなのですね。一番下のボトムは研究の部分とは違います。
○門田構成員 「関係省庁の連携や研究者間の連携を促進する機能を持った体制を整備し」というのは入らないのですか。
○野田構成員 だから、横ですから連携で、これで十分な形の書きぶりになっている。
○門田構成員 省庁の連携にしても、一元ではない連携なら連携でも何らかの形のものを残しておくべきではないのですかね。
○堀田座長 そうしたら、最後の「おわりに」の後段の部分の書き込んだところは基盤のところにきちんと書き込むということで、「おわりに」は見直しを定期的にやりますよということにするというぐあいに整理しますか。
ありがとうございました。まだまだ詰めるべきところはあるかもしれませんけれども、全体を通して何か御意見をいただければ、進め方等で結構です。
どうぞ。
○中釜構成員 ちょっと言いそびれたので、追加のコメントなのですけれども、15ページのクリニカルシークエンスのところの書き方なのですけれども、読んでいくと重複が多いような書き方になっているかと思うのです。そもそもクリニカルシークエンスの定義が曖昧かなと思うところがあります。クリニカルシークエンスは、どちらかというと実用的な部分があるかと思うので、例えばクリニカルシークエンス技術の確立による個別化医療の推進のための基盤整備をするとか、そういうふうな書き方に変えて、全体の重複を少し省いてあげるような書き方にしたほうがわかりやすいかと思うのです。どうも同じような、ゲノム解析とかゲノム研究が繰り返し出てくるようなところがあるので、ここは書き方をちょっと工夫していただきたいと思います。そうしないと、クリニカルシークエンスがざくっと書かれているというのは、若干分かりづらいかもしれません。。
○堀田座長 普通の人にはクリニカルシークエンスでわかりますか。
○中釜構成員 わかりづらいかもしれません。
○堀田座長 わかりやすい日本語にすると。
○中釜構成員 臨床ゲノム解析ということですかね。
○野田構成員 違います。クリニカルシークエンスの定義のときのクリニカルは、アウトカムのほうだから、そのシークエンスの結果がクリニカルデシジョンに影響を及ぼすためのシークエンスという意味です。そういうものを完成させられるのがクリニカルシークエンスです。
○中釜構成員 そうすると、それは研究レベルから少し実用的な入ってくるので。
○野田構成員 クリニカルシークエンス確立のための研究というのが。
○中釜構成員 そういうふうな書き方にしておいたほうがいいと思います。
○堀田座長 余計わからないな。
全体を通していかがでしょうか。今後の進め方も含めてで結構です。議論も3時間もやっていると頭がぼうっとしてきてろくな発言になりませんので、集中して割と短時間でやったほうがいいのかもわかりません。もう既に2時間半ぐらいを経過しますので、そろそろまとめに入りたいのですが、言い残したこと等がありましたら、次回、もちろんこれをもう一回きちんとした形で整理して御提案したいと思います。
何でも御発言いただければ。
○石井構成員 簡単な表現のことで2か所だけ。6ページの「中国や韓国等の新興国」という言い方は、ちょっと相手を刺激するような表現なので、「中国や韓国等のアジア諸国の」ぐらいにしておいたほうがよろしいのではないかと思いますが。
○岡田推進官 そのようにさせていただきます。
○石井構成員 もう1か所、9ページの上から2行目の「免疫療法」なのですけれども、確かに免疫療法は非常に重要なのですが、最近は細胞でも結構やられるようになってきていますので、免疫細胞療法あるいは細胞免疫療法という言い方のほうがよろしいかなと思います。
○堀田座長 それはそうですね。そういうふうに変えましょう。最初、これは化学療法、放射線療法、手術療法と並べてやったのだけれども、それはちょっと位置づけが違うだろうということで少し別枠にやらせていただいたのです。
○中釜構成員 これは次回に向けての議論になるかと思うのですけれども、全体を通じて非常に網羅的に細かなところを詰められて書かれてあると思うのですけれども、全体として大きな重点課題といいますか、大きな方向性というのは少し、先ほど来議論されたキャッチーな言葉で表現する、それをどこかで議論されたほうがいいかなと思うのですけれども、その後については次回の会議での。
○堀田座長 その辺、事務局としてはどう考えていますか。
○岡田推進官 このがん研究戦略、これまで第3次は総合戦略ということでもありましたけれども、今回のこの研究の内容をどういう趣旨でどういう方向を向いたものなのかということをわかりやすく一言なのか、どういう言い方なのかという、先ほども議論がありましたけれども、それを表現するとした場合、どういう形になるのかというのも、ぜひ皆様方の御意見をいただきたいと思っておりますけれども、きょうそこまで行けるかどうかというのは、御検討いただければ。
○野田構成員 それは、がん研究戦略をトータルにどんなものかという、一言と言ったらおかしいけれども、ランニングタイトルなものなのか、それとも、先ほど中釜先生が言ったのは、ある程度重点的なものという、ちょっとイメージが違うのだけれども。
○中釜構成員 全体をぱっと見たときに、非常に事細かく読んでいくと全体像がわかるわけですけれども、大きくここで、特にこういう視点から見ると全体が俯瞰できるキーワードとなるキャッチーになるような言葉があったほうが、より分かり易く全体像が見えてくるのかなと思います。例えば、そもそもがん対策推進計画の中に書かれてある死亡者を減らすとか、がん患者の苦痛を軽減するなどに基づいた議論がずっとされてきているわけです。そうしますと、そういう視点で見直したときに、この全体の提案、課題設定というのはどういう言葉で整理できるのかという議論があったほうが説明する際にも、あるいは先ほど来出ている記事にする際にも少しわかりやすいのではないかと思うのです。
○野田構成員 それは、どういう形でこの報告書に取り込まれるのですか。報告書とは別にということですか。
○中釜構成員 別になるのか、この報告書の中に最後の「おわりに」になるのかですけれども。
○野田構成員 「おわりに」ではなくて、それを言うのだったら、概要があって、一番前に来ますよね。
○中釜構成員 前かもしれません。
○堀田座長 3次がんのときはどういうふうに書かれていたのでしたか。要するに、死亡率と罹患率の激減を目指してというのが書いてあって、そういったタイトルみたいなものが、やはり全体を通しての目標。
○野田構成員 それぐらいの短い、それを考えている。
○堀田座長 そういうことでしょう。それを、例えばかみ砕けば3項目ぐらいになるみたいな、そんな話ではないですか。
○中釜構成員 それは次回の会議で議論されるという理解ですか。それが必要かどうかも含めてですけれども、何となく、ページ数は十五、六ページですけれども、その中でもう少し短い言葉で書かれたものがあったほうが良いように思います。
○堀田座長 それは、僕も全体を通して一言でこの10年間を見通せるような言葉があったほうがいいような気がします。
どうぞ。
○田村構成員 例えば、がん医療の個別化を目指してとか、そんな感じですか。
○堀田座長 そういうものでね。
○門田構成員 やはり、3次がんとは、今までの10か年とは違うわけで、ここに冒頭に書いているように、基本計画の3つの項目を挙げて、そこからスタートするという流れで一応構成されているわけですから、大きなものは3つあるわけです。それを実現するために研究面で、例えばもう少し簡略な何かがあるのであれば、これを実現するために、これを今回はというふうな中間的なものになるのではないですか。
○堀田座長 それについては次回ということにしますか。きょうは、いろいろ温めていただいて、全体を俯瞰して言いあらわせるような短いワードというのか文章でもいいですが、タイトルにつけたいということで、温めておいてください。
そのほか、全体の流れでどうでしょうか。よろしいですか。
ありがとうございました。それでは、この辺でそろそろ締めたいと思いますが、事務局のほうで今後の予定等がありましたら、お願いします。
○岡田推進官 御議論ありがとうございました。
次回の日程につきましては、また皆様方の御都合を伺い、調整の上、速やかに御連絡をさせていただきます。何とぞよろしくお願いいたします。
以上でございます。
○堀田座長 それでは、きょうは予定より30分早いですが、これで散会といたします。
ありがとうございました。
 
 

 

 

 
(了)

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