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2013年5月25日 第4回今後のがん研究のあり方に関する有識者会議議事録

○日時

平成25年5月25日(木)
14:00~17:00

 

○場所

厚生労働省 17階 第18~20会議室
(東京都千代田区霞ヶ関1-2-2)

○議題

1 開  会

2 議  題 
 (1)今後のがん研究のあり方について
 (2)その他

○議事

○岡田がん対策推進官 それでは、定刻となりましたので、ただいまより第4回「今後のがん研究のあり方に関する有識者会議」を開催いたします。
まず、構成員の皆様方の出席状況について御報告いたします。
本日は、後藤構成員、野木森構成員から御欠席との御連絡をいただいております。
続きまして、お手元にお配りしております資料の確認をお願いいたします。
座席表
議事次第
資料1 事前意見調査結果のまとめ
資料2 今後のがん研究のあり方について(報告書素案)
参考資料1 「今後のがん研究のあり方に関する有識者会議」開催要綱
参考資料2 バイオ医薬品関連政策の視点
参考資料3 事前意見調査
不足・乱丁等ございましたら、事務局までお願いいたします。
また、前回までの会議資料につきましては、ファイルにとじた形で構成員の皆様方の机上に配付させていただいております。本ファイルにつきましては、会議終了後、机上に残してお帰りいただきますよう、よろしくお願いいたします。
では、撮影は以上をもちまして御遠慮いただければと思います。
以後の進行を堀田座長、よろしくお願いいたします。
○堀田座長 それでは、ただいまから早速議事に入りたいと思います。
今回は会議資料を作成するに当たりまして、皆様から事前意見調査をさせていただきまして、その内容を資料1にとりまとめております。また、前回第3回会議での議論と、資料1の事前意見調査を踏まえまして、事務局として資料2にありますように、本有識者会議の報告書素案をたたき台という形で出させていただいております。きょうはそれを中心にお話を願うことになります。
まず、事務局から資料の説明をお願いします。それでは、経済産業省さんからお願いします。
○江崎生物化学産業課長(経済産業省製造産業局) 経済産業省の江崎でございます。
御審議いただく前に、前回最後に御説明させていただきました資料でございますけれども、厚生労働省さんのホームページにアップする前に、資料だけでは趣旨がちゃんと伝わらないのではないかというアドバイスもいただきまして、今回少し修正をさせていただいておりますので、その変更点だけ御説明させていただきます。
参考資料2をお開けいただきますでしょうか。前回の議論でも何点か御確認いただいた事項をできるだけ文字に落として、わかりやすくするという趣旨で修正をしております。
まず、前半はほとんど前のままでございますので、8ページをお開けください。こちらで若干修正しておりますのは、まず一番上の青いところです。この中で何をしたいのかという論点を明確にしております。今後のバイオ医薬品、特にがんの治療薬になろうかと思いますけれども、そのためにこの国においてバイオ医薬品が競争力ある産業として継続的な成長を果たすためには、①として供給サイドの視点、どこに強みがあるのかということ。そして、②として利用者サイドの視点、財政的な観点や医療サービスの利用者である患者のニーズといったことを十分取り込むことで、今後の開発の方向を検討することが必要と。恐らく本有識者会議でも多分こういう視点かと思い直しました。
変更点は一番下でございます。利用サイドの視点ということで、前回はここはありませんでしたので、社会的経済的視点の導入と、患者サイドの視点の導入を明確しております。
次に、12ページをごらんいただけますでしょうか。特にこういった図がいろいろなインテロゲーションを生んでしまうので、少し言葉を足してございます。青いところの文章でございますけれども、患者のQOLの改善幅や社会経済的ポテンシャルがともに、ゼロまたはマイナスとなるものは、治療による効果が得られていない、いわゆるアン・メットな状態にあることが示唆されるということを明記しております。その上で、副作用は患者のQOLを低下させるため、これを勘案した場合には円が左にシフトすると、この間は口頭で言ったのですけれども、図の中に矢印でこういうことですよと明記しているものでございます。
それから、13ページは追加をいたしました。前回は口頭だけで説明したのですけれども、この後がんに対する分析のところが砕けてわかりにくいということで、患者の年齢、ステージ、種類ということで分けて分析しますよと。ただ、これはあくまで公開情報に基づく暫定的なものであるということも含めて説明したものでございます。
それから、15ページは、がんの分析モデルをするに当たって、単純にどうこうと言う前に、何をしたかったのかを明確にしたほうがいいのではないかということで追加しております。これは社会的ポテンシャルが縦軸、患者の余命の延伸幅を横軸とした場合に、膵臓がんのケース、前回は口頭でゼロゼロのところに固まると申し上げましたけれども、現状が治療によって将来、緑の点線のようになることが、患者にとっても社会にとっても本来こうした研究治療の目的であるということが前提だと。特に社会的ポテンシャルで誤解が多いのは、若いほうが当然高くなるのではないかという議論がありましたので、効果の高い治療、薬や治療期間が短ければ、いかなる年齢であっても社会的ポテンシャルは上に上がるのだということも明記しているものでございます。
その上で、16ページから前回の資料ですけれども、特に野田構成員から御指摘がありましたところに吹き出しをつけました。ここは何なのかと、ここが無駄ではないかと、切り捨ての議論ではないかという議論がありましたので、そうではなくて、ここがアン・メットになっているんですよということを吹き出しで、「余命の延伸がほとんど期待できない一方で、副作用は大きいため、患者のニーズが満たされていない極めてアン・メットな状態」と。ここをできれば右上に持っていくために、この研究がどうあるべきかということを明記するということでございます。
それから、この上に実はコメントで若いほうがいいとか書いてあったのですが、そういうコメントは変なことを予見させるので削除してございます。
それから、17ページ、18ページは同じように、特に高齢とかいろいろ書いてありましたが、それをやめて図にしたものでございます。
最後19ページでございます。ここも年齢がどうのこうのといろいろ書いてあったのですが、特に一番上の青いところの文章でございますけれども、「年齢ステージによってがんに対するアプローチの手法を変えるとともに、患者のニーズが満たされない領域については、現行の治療を続けることは適当でなく、新たな治療方法等を開発すべき」ということにしております。
それから、右下の四角の中もいろいろ誤解されるといけないので丁寧に書いております。①が効果が期待しにくい治療に大きなお金が払われているということと、特に②は高齢云々ということではなくて、より早いステージで発見・治療することが大事だというメッセージにしております。③は、治る方がたまにいるという意味は、どのような患者に有効性が高いかについての検証に注力していただきたいということ。そして、そうでない分野については、新たな開発を行うことが必要と。恐らくこういったことが、まさにこの有識者会議の次の10年を計画するに当たっての検討の材料だと。これを分析した上で次にいっていただきたいという趣旨でございますので、御理解のほどをお願いいたしたいと思いますし、こういう修正でホームページにアップしたいと思っております。
以上でございます。
○堀田座長 それでは、事務局から一部修正を含めて補足説明がございました。前回、急に出てきたのでちょっとびっくりしたというか、少し違和感を感じた方もおられたかもしれませんが、趣旨はアン・メットメディカルニーズがどこにあって、そこにどういう研究が必要かという視点で見てほしいということでしたが、何か特別に御発言ございますか。
○白岩構成員 一言よろしいですか。資料をいただいて勉強させていただいたのですけれども、推計は多分御苦労されたのではないかと思っていますけれども、やはり課長がおっしゃっているように、今の段階では推計として非常に粗い段階になっているのではないかと思いまして、こういった研究というのは入れる数値によって結果が大きく変わってしまったりすることも多くありますので、数値のようなものがひとり歩きすると、誤解を招いたり、患者さんに変な影響を与えてしまったりすることもあるのかなと少し心配しております。ですので、結果の公表等々については慎重に検討していただいたほうがいいかなと思っております。
○堀田座長 ありがとうございます。そういうことを踏まえて、この資料を参考に今後の議論に資するようにしていただきたいと思います。
それでは、門田構成員どうぞ。
○門田構成員 修正されたところはわかりやすくてよくなったと思いますが、前のディスカッションのときに3ページの輸入金額の云々のところで、国内企業が外国で産生してどうだこうだという話があって、経産省で調べていただけるのではないかということだったと思いますが、その件についてどうなったのでしょうか。
○江崎生物化学産業課長(経済産業省製造産業局) 野木森構成員がいらっしゃらなかったので飛ばしてしまったのですけれども、ここは計算は可能です。実は我々はこの計算をしようと思ってトライしたのですが、企業の中でないとわからない部分がありまして、我々はモデルを使って推計しています。きょう野木森構成員がいらっしゃったらお願いしようと思っていたのは、そこの部分を出していただければ、これはすべて公開データや入手できるデータでやっておりますので、そうでないとアンフェアかなと思っていますので、製薬企業さんから出していただければ、むしろこれは正しい数字を出したいなと思っております。我々が推計すると余り変わらないです。なので、そういうことをやった上でどうなのかということをやるべきかなと思っております。
○門田構成員 わかりました。
○堀田座長 よろしいでしょうか。
それでは、眞島構成員どうぞ。
○眞島構成員 新たに膵臓がんをモデルにしたページをつけていただきまして、ありがとうございました。膵臓がんというのは非常に厳しいがんですので、この図でどういうふうに分布が出てくるのかなと思っていました。ステージⅠ、Ⅱ、Ⅲ、IV全部が重なっている状態で、それもQOLYが本当にゼロに近いということがわかりました。膵臓がんの患者さんにしてみれば右上の将来と書かれている分布になるよう、がん研究の成果に期待したいと思います。どうもありがとうございました。
○堀田座長 ありがとうございました。我々が今まで余り気づかなかった視点を入れていただきましたので、誤解のないような形で御利用いただければと思います。
それでは、事務局から資料の説明をお願いします。
○宮嵜がん対策・健康増進課長 引き続き資料の説明をさせていただきます。
冒頭、堀田座長からもお話がありましたが、これまで第1回から第3回までに構成員の皆様方からいただいた御意見をとりまとめるに当たりまして、さらに第4回の前に構成員の皆様方から御意見をいただいております。参考資料3を見ていただければと思いますが、事前調査ということで、これまでにいただいた意見で特に具体的な研究事項というものを拾い上げまして、事務局で便宜的にと言うとちょっと語弊があるかもしれませんが、①~⑧の項目立てをして、それぞれいただいた意見、研究事項等を整理させていただいたものを送らせていただいて、修正があるかあるいは追加があるか等について御意見をいただきました。
一番最後の6ページですが、さらにこれらすべての研究成果を上げるために、あるいはそれぞれ個別の項目について成果を上げるために必要な基盤についても御意見があればあらかじめいただければということでいただきました。
それをとりまとめましたのが資料1でございます。「1,これまでに出たご意見(具体的な研究事項について)」ということで、例えば「①がんの予防法や早期発見方法の実用化を目指した研究」ということで、○が事前に事務局で整理させて送らせていただいた項目でございますが、さらにそれに追加あるいは修正をいただいたものが◎になっております。それを①~⑧までまとめさせていただいております。
それから、これらの研究成果を上げるため必要な基盤・仕組みについてということでいただいた御意見につきましては、5ページからまとめさせていただいております。
これをもとにさらに御議論いただくために資料2をつくらせていただいておりますが、例えば①具体的な研究というものも、これをすべてこのまま取り込むのではなくて、こういう研究が入るようにということで、ある程度事務局で包括的なまとめ書きをしていますので、そういうものが適切かどうか、あるいはそういう表現が適切かどうか、あるいはそれでは具体的なところがわからない、あるいは追加の項目があるかという観点からいろいろ御指摘をいただければと思います。
資料2の方がそれらすべてをとりまとめたものでございますが、資料2につきましては山下補佐から説明させていただきます。
○事務局 それでは、資料2について説明させていただきます。
今、説明がありましたように、これまでの会議での議論として事前の意見調査を踏まえ事務局で作成したものです。「今後のがん研究のあり方について(報告書素案)」としてまとめております。
まず「1,新たながん研究戦略の位置づけ」として以下の項目をまとめております。がん研究に関しては、昭和59年以降、10か年戦略による取り組みを推進してきました。現在は平成16年に策定された「第3次対がん10か年総合戦略」に基づいて推進しているところですが、この戦略が今年度で最終年度を迎えます。
そしてこの間、平成18年には「がん対策基本法」が制定され、そのもとに「がん対策推進基本計画」が策定され、基本計画に沿ってがん対策が推進されております。そして、現行の基本計画では3つの全体目標を掲げており、まず、がんによる死亡者の減少、そして、すべてのがん患者とその家族の苦痛の軽減と療養生活の質の維持向上、がんになっても安心して暮らせる社会の構築でございます。
また、がん研究については、基本計画を策定する際に、がん対策推進協議会のもとに設置されたがん研究専門委員会において計8回の議論を行い、これを踏まえた上で基本計画の取り組むべき施策と別目標として、以下の事項をとりまとめております。
下に取り組むべき施策を羅列しております。これらすべてを読み上げることはいたしませんが、例えば1ページの下から2番目ですと、公的なバイオバンクの構築や解析研究拠点等の研究基盤の整備、であったり、2ページの2つ目は、研究成果に対する透明性の高い評価制度の確立・維持、がん研究全般の実施状況とその成果の国民への積極的な公開による、がん患者が主体的に臨床試験に参画しやすい環境の整備。そして一番下は、若手研究者や研究専門職の人材を初めとするがん研究に関する人材の戦略的育成といった項目をまとめてございます。
続いて個別目標では、1つ目、国は国内外のがん研究の推進状況を俯瞰し、がん研究の課題を克服し、企画立案の段階から基礎研究、臨床研究、公衆衛生学的研究、政策研究等のがん研究分野に対して関係省庁が連携して戦略的かつ一体的に推進するため、今後のあるべき方向性と具体的な研究事項等を明示する新たな総合的ながん研究戦略を策定すると定めております。
こういったことを踏まえ、新たながん研究戦略では、我が国全体で進めるがん研究の今後のあるべき方向性と、具体的な研究事項等を明らかにし、がん対策の推進を一層加速させるものであります。
続いて3ページ目「2,研究の推進により目標とするがん医療と社会の姿」でございます。これは先ほどありました今後のあるべき方向性として位置づけております。これも項目に沿って説明させていただきます。
まず、2つ目は現状認識を書いておりますが、現在小児の病死原因の1位はがんです。そして、働く世代の死因の約40%ががんであると言われています。がん対策の推進により75歳未満の年齢調整死亡率は低下傾向にありますが、今後の急速な人口の高齢化に伴って、がんの罹患率は上昇し、高齢者のがんが増加するとともに、がんによる総死亡者はさらに増加することが予想されています。一方で、がん患者全体では約60%の5年生存率が言われており、今後もがん経験者は増加すると予想されます。他方、我が国におけるがん検診の受診率は20~30%程度であり、依然として諸外国に比べ低いということがあります。
こういったことを踏まえ、今後がん患者のニーズの多様化への対応が求められるといえます。また、小児、働く世代、高齢者等、患者のライフステージによってそれぞれのニーズが異なることから、それぞれのニーズに応える医療と社会の実現を目指した研究を推進することが必要です。
一番下の○以降で、各患者が求めていると考えられるニーズについて記載しております。
まず、今がんと闘い、ともに生きている患者とその家族にとって共通の思いとしては、自分によってよりよいと思われる治療法が選択できることです。このためには、有効で安全な治療法が開発され、標準治療として確立され、普及されることが求められます。そして、治療の前後で生活の質が維持されることも必要です。また、がん患者の家族にとっては、患者支援のための環境整備が必要であると言えます。
続いて4ページです。今がん患者とその家族全体が求めるニーズについて記載しましたが、以下3つでライフステージ別に着目したニーズとして記載しております。
まず、小児がん患者とその家族にとっては、根治を目指した新しい治療法が早期に実用化され、治療の選択肢がふえること、そして、有効で安全な治療にアクセスできること、そして、社会復帰等に関する問題についての不安や困難が軽減されることが必要です。
続いて、働く世代の患者とその家族にとっては、根治を目指したより体への負担の少ない治療法が早期に実用化されるとともに普及し、こういった治療を社会活動を継続しながら受けられることが必要です。
3つ目ですが、高齢世代の患者とその家族にとっては、現在の生活を大きく変えることなく、個々の価値観に応じた治療が受けられることが必要です。
続いて、がんの予防や早期発見の観点からは、個人個人が自己の発がんリスクについてしっかり把握することができ、そのリスクを軽減するための対応策を実践できること、そして、超早期発見手法にアクセスできることが求められています。
最後に、国民ががんの疫学であったり、予防、診断、治療等に対する正しい知識を持ち、がんを自分のこととしてとらえることができ、予防・早期発見に取り組むとともに、提供されるがん治療により、経済的な負担も含めてがん患者とその家族のニーズがどの程度満たされるかということが社会全体で共有され、自分や家族ががんになっても適切な情報をもとに価値観に応じた療養生活をマネジメントできる社会を目指すとしております。
続いて「3,求められる研究」について記載しています。これは、前段の具体的な研究事項を意識して書いた項目です。
まず、1つ目では、これまでのがん研究戦略の経緯について記載しておりまして、続いて、5ページの一番上ですが、この10年、第3次対がん10か年総合戦略の間に、例えばがんの本体解明であるとかトランスレーショナル・リサーチ、そして、薬事承認を目指した医師主導治験、また、臨床研究や疫学研究等を推進してきたと。その中で具体的に得られた研究成果として、2つ目に記載しております。
一番下ですが、こういったことを受け、今現在がん研究において課題として考えられることについてまとめております。それはどういうことかと申しますと、例えば、異分野融合を含むがんの本体解明を推進し、基礎・基盤研究による世界をリードするすぐれた知の創出の実現が重要であること。また、低侵襲治療のさらなる開発であるとか、個人のがん罹患リスクの層別化の実用化、がんリスクの減少方法の実践や、がん検診等の課題が残っており、これらについてはいまだに研究を推進する必要性が高い領域であると考えられます。今後なお一層の努力が必要です。
続いて、6ページ以降ですが、ここからが3の領域の後段で具体的な研究事項を記載しているのですが、こういった具体的な研究事項へつながる項目の記載となっております。
まず、がんの予防・早期発見に関してですが、がんの一次予防については臨床現場からの病理試料を活用した取り組み等を組み入れつつ、個人のきめ細やかなリスク層別化を的確に行い、個人に最適化された予防法を確立し、個々の実践を可能とすることが求められている。二次予防に関しては、医療機器開発や新たな検診手法の有効性を検証するための大規模疫学研究の推進が必要である。また、これらが効果的に実践されるには、国民一人一人の行動変容が必要不可欠である。さらに、転院・再発の予防や治癒可能な段階で再発診断を行うことも重要な研究課題である。
続いての項目ですが、全身治療としてまとめてあります。全身治療においては、臨床情報を基礎研究へフィードバックするリバーストランスレーショナル・リサーチを推進し、アカデミア発のイノベーティブながん医療シーズ育成の継続的な推進を図ることにより、根治を可能にする個別化治療の研究開発を強力に推進すべきである。
続いての項目は局所治療についてまとめてありますが、局所治療においては、より患者にとって負担の少ない低侵襲治療を可能にするために、ロボットや粒子線治療や内視鏡等、革新的な医療機器開発を促進することが重要である。
続いての項目は、集学的治療や標準治療の開発について記載していますが、がん治療というのは手術や放射線、化学療法、免疫細胞療法等を組み合わせた集学的治療が最大の治療効果を発揮することがあるため、これらを開発するための多施設共同臨床試験を推進することが重要である。また、臨床試験を推進する際には、今後はより個別化・層別化の視点を組み入れた計画を立てることが必要ですし、アジアを中心とした国際共同研究に積極的に取り組むとともに、我が国が先導的役割を担うことが求められています。
続いての項目ですが、これまでは患者数の多い5大がん等を中心に研究資源が投入されてきましたが、これらに対する評価を十分行うとともに、患者ニーズの多様性を勘案して、今後は小児がんや高齢者のがん、そして希少がんを初めとする企業が治療開発に着手しづらいがんなど、必要に応じて重点的に研究を推進するべきである。
続いての○で今回「がんのサバイバーシップ」という言葉を使っております。サバイバーシップとは、診断治療後を生きている状態あるいは生きていくプロセス全体を指すと定義されておりますが、より充実したがんのサバイバーシップを実現するためには、がん患者を初めとした国民全体を対象として精神心理的不調であるとか、その原因になっているような社会的要因に着目して、その是正を目指すような研究が求められております。
続いて政策に関連する事項として、政策科学的研究を進めることによって、基本計画にて掲げた目標が達成されているかを適切に評価して、今後のより効率的ながん対策のための基礎データを収集する必要があると記載しております。
これらの項目に関して、後段で(1)~(8)の研究事項を掲げ、それぞれにこれまでの議論や事前意見調査を踏まえて、各研究項目の中で項目立てをさらにしております。そして、点線で囲った枠は、括弧の数字の研究領域の研究を推進するために必要な仕組みとして事前意見調査等で意見を出していただいた項目として記載しております。
まず(1)としては、個々のリスクに応じたがんの予防法や長期発見手法に関する研究として、①~④の項目を立てております。研究推進に必要な仕組みに関しては、個別化予防や早期発見を実践するためには、対象者の捕捉であったり、追跡を効率的に行うことができる仕組みが求められているといった御意見をいただいております。
続いて、8ページの(2)では、がんの全身治療に関する研究として、①~④の項目立てを行っております。がんの全身治療に関する研究を推進する仕組みについては、ゲノム及びエピゲノム解析の推進であったり、臨床情報治験を基礎研究へフィードバックする仕組みが求められるといった御意見をいただいております。
(3)では、がんの局所治療に関する研究として、①~④の項目立てをさせていただいております。
(4)では、支持療法を含む明日の標準治療に関する研究として①②の項目を立てております。支持療法を含む標準治療に関する研究推進のための仕組みとしては、臨床試験に携わる人材育成であったり、例えば、がん診療連携拠点病院等において研究者主導型臨床試験を行う体制を評価するといったことが意見としてございました。
(5)ですが、小児がんに関する研究として①~④の項目を立てており、小児がんに関しては、研究の推進のため各学会や小児眼拠点病院の連携のもと、対象疾患の選定、臨床試験の立案、実施施設の選定という流れで進めることが必要であるという意見をいただいております。
(6)は高齢者のがんに関する研究でございまして、①②の項目を立てておりますが、推進するための仕組みとしては、併存疾患等のことがありますので、がん以外の複数領域の研究者を含めた研究グループの育成と組織化が求められるという記載をしております。
(7)は希少がん等に関する研究といたしまして、①~④の項目立てをしております。希少がん研究の推進に関しては、例えば登録制度を構築するなど、情報を集積するといった仕組みが求められるという御意見をいただいております。
最後の項目として(8)ですが、より充実したサバイバーシップの実現とがん政策の効率的推進に関する研究として、①~⑧の項目を立てております。詳細な説明は割愛させていただきましたが、後ほど個別に議論いただければと考えております。
最後の項目として「4,おわりに」とくくりまして、まず1つ目では「具体的な研究事項」について、効果的な研究の推進のためには、研究事業ごとに国内外のがん研究の推進状況を把握し、課題の企画立案や進捗管理を行うこと。また、課題ごとに研究特性に即した研究計画であったり、エンドポイントの設定を明確化することが求められる。また、研究成果等について国民に積極的に公開することが求められるとしております。
続いての項目は人材育成について記載しておりまして、がん研究を継続的に進めていくためには、次代を担う若手研究者への支援が必要である。
続いての項目は、がん研究戦略の期間について書いておりまして、新たながん研究戦略は、各研究において得られた成果を臨床現場まで届ける一定の期間が必要とされることを踏まえ、長期的方向性を明らかにするために10か年戦略とするが、今後、基本計画の見直し等を踏まえ、必要に応じてがん研究戦略の見直しを行うこととする。
最後の項目ですが、今後、具体的な研究事項におけるがん研究の推進が求められるが、研究事項ごとに記載した研究基盤であったり、基本計画において掲げられた研究基盤の整備とともに一体的に進められることが必要であると記載しております。
以上でございます。
○堀田座長 ありがとうございました。
これは事務局が、今までやっていただいた議論を踏まえまして素案としてつくらせていただいたものです。全体の基調としては、今までの3次がんに続く単なる4次がんではなくて、正しい社会的な視点あるいは患者の視点を広くスコープしたがん対策研究という位置づけが一つ。そして、疾患研究として基礎、臨床等と輪切りにするのではなくて、疾患研究として一連のものという形の中で、それぞれの役割あるいは機能を果たしていくという位置づけ、そしてまた、これまで余りなかったライフステージといいますか、小児や高齢者のニーズに合わせた研究開発をやっていくという流れです。
こういったことが全体としてどうかという、今までいただいた御意見はこういう形でまとめさせていただいておりますけれども、まず、項目立てごとに少しずつ区切って御意見を賜りたいと思います。今後は、今日これで決めてしまうというわけではなくて、もう一回いただいた御意見で素案をさらにブラッシュアップしたいと思っております。
それでは、まず「1,新たながん研究戦略の位置づけ」です。ここは推進基本計画に組まれたものの整理という形になっておりまして、この中ではがん戦略においても基本計画の全体目標の達成を目標にするという点では、次期対がん戦略も基本的にはそこにそごがないような形で書き込まれているのと、それから、研究戦略に位置づける取り組むべき政策等が書かれています。2ページの終わりまでで御意見を賜れればと思いますが、いかがでしょうか。
眞島構成員どうぞ。
○眞島構成員 まず、一番最初のページの「取り組むべき施策」で、ドラッグ・ラグ、デバイス・ラグの解消の加速に向けたがんの臨床試験を統合・調整する体制や枠組みの整備と書かれております、ありがとうございます。実は過去30年間、我が国がドラッグ・ラグ問題を解消できなかった点を非常に残念に思っております。ベンチからベッドサイドまでという長いがん研究のパイプラインの出口でがん患者さんは新薬を待っているわけですけれども、実はその目の前のテーブルの上には国際標準治療薬という既に効果のある、エビデンスのあるものが並んでいるわけです。しかし、それに患者さんは手が届かない。なぜか。その前にドラッグ・ラグ、デバイス・ラグというもうひとつの「死の谷」が横たわっているからです。がん研究ではトランスレーショナル・リサーチというところに「死の谷」があると言われていますが、がん患者さんの目の前には今もう既にエビデンスのある国際標準治療薬が並んでいるけれども、それが日本では使えないというドラッグ・ラグ問題に悩んでいるわけです。がん研究の話をするときに、一番川上から川下までスムーズに成果物が流れる道をつくるというのは当然ですけれども、同時に世界の標準治療薬が世界最速で日本の患者さんに届くような仕組みをぜひつくっていただきたいと思います。そうすることによって、日本のがん患者さんの生存率は上がりますし、QOLも改善されると思いますので、まずはその問題にしっかりと取り組んでいただいて解決し、10年後にはドラッグ・ラグという言葉が死語になっているような日本のがん医療体制、がん研究体制をつくっていただければと思います。
○堀田座長 ありがとうございます。その点に関しては、研究としてということなのかどうなのかということになると、また少し違う意見もありまして、どちらかというと行政的なあるいは規制的な問題を解決するというほうが大きいのかもしれません。いずれにしても重要な問題であると認識しております。
そのほかいかがでしょうか。押さえておくべき基本的な考え方ということでよろしいかと思いますが。
それでは、また戻っていただいても結構ですので次に進ませていただきます。「2,研究の推進により目標とするがん医療と社会の姿(今後のあるべき方向性)」です。この項目では先ほど御説明がありましたように、がん研究の今後のあるべき方向性といたしまして、推進基本計画をもちろん踏まえた上で、そして、今後がんによる死亡者数あるいは経験者が増加することが予想される我が国の現状におきまして、がん患者とその家族のニーズに応じた研究が求められるということ。がんステージの問題あるいは患者全体に共通する問題として、生活の維持向上あるいは小児がん、働く世代、高齢者のがんといった切り口でのそれぞれのニーズについて書かれております。がんの予防、早期発見につきましては、個人の発がんリスクを自己で把握することができる、要するに、自分で目標をつくって暮らせるがん対策も要るだろうと。もう受け身だけではないといったリスク軽減の対応策が求められると思います。それから、適切な情報提供によりまして、療養生活のマネジメントが自ら可能となるような方策の策定といったことが書かれておりまして、この辺につきまして、これで言いますと4ページの終わりのほうまでで何か御意見いただくことがありましたら、ぜひよろしくお願いいたします。
祖父江構成員どうぞ。
○祖父江構成員 細かい点かもしれませんが、4ページ目のがんの予防・早期発見の「超早期発見手法」の「超早期」という言葉にやや違和感があって、余り早過ぎる発見というのは不利益をもたらす過剰診断がありますので、むしろ「超早期」というよりはバランスのとれた早期発見と言ったほうがいいのではないかと思います。
○堀田座長 要するに、敏感なというか、早い段階で見つけたいという思いがここにあるのですけれども、表現としては超早期では余りはっきりしないものまで引っかけてしまって、フォルスポジティブがいっぱいというのは困るという話ですよね。
○祖父江構成員 むしろ放っておいてもいいがんをいっぱい見つけるということになりますので、余り早いのがいいわけではないということをもうちょっと認識できるような用語がいいかと思います。
○堀田座長 これを提案していただいた構成員はどなたでしたか。
○岡田がん対策推進官 済みません、いろいろな御意見をいただいていており、どの構成員からの御意見か、今明らかにすることはできませんが御意見の趣旨をふまえて記載しています。
○堀田座長 あえて「超」とつけなくても早期発見の中に含まれるということですね。
○祖父江構成員 そのほうが私はいいと思います。
○小松構成員 「超早期」というのは多分、私の資料の中に書いてあったと思うのですが、特にこの名前にこだわるわけではありませんので。
○堀田座長 わかりました。
眞島構成員どうぞ。
○眞島構成員 早期発見というと、ステージⅠ、Ⅱ、Ⅲ、ⅣとあるうちのステージⅠ、Ⅱを指しているかと思いますが、最近ではステージ0、CISで発見することに重点が置かれてきているように思います。それが早期発見なのか超早期発見なのかわからないのですが、そのあたりはどうなのでしょうか。
○祖父江構成員 もちろん適切なステージでの発見というのがあるわけで、今後さらに先先早く見つければそれでいいのかといったら、そういう考えではなくて、早過ぎることによる過剰診断の不利益も踏まえた上での判断をすべきであるという意味で、ちょっと歯止めをかけておいたほうがいいのではないかというのが私のニュアンスです。
○堀田座長 検診をやっておられる専門の先生方はいつもそう言われるので、要するに、検診だってリスクがないわけではないということで、リスクとベネフィットを考えたときに、医療とは違うにしてもベネフィットが勝らなければだめだということかと思います。
田村構成員お願いします。
○田村構成員 私もちょっとそこが気になっていたんですけれども、ディスカッションがありましたのでそこはスキップしまして、その1つ上の「高齢世代の患者とその家族にとっては」というところを見ていると、これは余り治癒を目指した医療を考えていない文章になっているので、ニュアンスとしては上の働く世代と同じようであるべきだと思っているんですね。高齢者といえどもフィットな患者さんについては、根治を目指した、体への負担の少ない治療法を開発するというところが重要なので、これでいくとQOLさえよければ治癒は目指さなくていいという文章になってくるので、そこを少し盛り込んだ形で入れることが必要です。むしろ高齢者の方は結構生に執着している人もいらっしゃるので、早期発見で早期治療をすれば治りますから、あるいはリンパ腫のように薬をきちんと使えば治せるがんもありますから、高齢者といえどもこの文言だけではちょっと足りないのではないかと思います。
○堀田座長 この辺の表現はちょっと気をつけてやりましょう。高齢者ももちろんとれるがん、あるいは治せるがんについては積極的にアプローチする必要があるということだと思います。
石井構成員どうぞ。
○石井構成員 まず、2ページ目に出てきている若手研究者や研究専門職の人材を初めとする育成に関して、今後のあるべき方向性の中には出てきていないのですが、それはよろしいのでしょうかということと、もう一つは、4ページの「さらに、国民が、がんの」どうのこうのといろいろ書かれていまして、今の田村構成員との話ともちょっと関係があるのですけれども、家族の一員ががんになるということは、家族全体が同じがんを共有していると考えれば、例えば、高齢者の方もある程度QOLがよくなれば家族全体が社会に復帰できてQOLもよくなるというような、家族単位のがんの克服、戦略をとっていくという流れのほうが私はわかりやすいのではないかと思います。
以上です。
○堀田座長 そのほかの御意見ございますか。
○覚道医療・福祉機器産業室長(経済産業省ヘルスケア産業課) 事務局からで申し訳ありませんが、さっきの超早期という表現のところなのですけれども、実際は経産省のNEDOでやっているプロジェクトで「超早期」という言い方を使っているのですが、我々の政策目的からすると、それを見つけた後どういうふうに判断するのかというはもちろん専門家の先生のいろいろなあれがあると思いますが、できるだけ早めに見つけたほうがとりあえずいいのではないかという問題意識もあってやっているところもあるのですけれども、それを踏まえても、ある一定のレベルより先は余り追求しないほうがいいという感じのところがあるのでしたら、むしろ専門のお立場から御意見をいただければと思ったのですが。
○堀田座長 野田構成員どうぞ。
○野田構成員 先ほどの議論はそうでしたけれども、見つかったものが本当にどういう処置をすべきかというのは、その中には処置しなくてもいいものがあるから見ないほうがいいという議論は、研究の先にあるべき医療の姿ではないと私は思っています。ここで示すのは研究の推進により目標とするべき医療の姿ですから、そこがさっきから微妙にニュアンスが違っているところで、ここでは超早期というのでそれをイメージしたのだと思いますが、NEDOのあのときの予算要求の色が「超」がつくとちょっと強いので、あれは今見つからないものをさらに見つけます、ただ、今見つかっているものをもっと簡単に見つけますというものも全部入るわけですから、ここは「早期」という言葉でいいと私は思います。ただ、超早期で前に見つけることが必ずしもいいことではないというだけで研究のところに入れるべきではないという議論ではないと理解しています。それは祖父江構成員と恐らく意見は違っていると思いますが。
○堀田座長 宮園構成員どうぞ。
○宮園構成員 3ページの2つ目の「我が国におけるがん検診の受診率は20%から30%程度であり、依然として諸外国に比べて低い」というのが、先ほどからの議論を踏まえますともう少し細かく書き込まないと、単に受診率が低いのを上げるだけでいいのかとか、実際に諸外国というのは何を指すかというのはちょっと大ざっぱ過ぎるので、もう少し細かい記載をしてはいかがでしょうか。
○野田構成員 目指すべき姿のほうに切り替えた書き方だといいのではないでしょうか。
○堀田座長 もう少し具体的な形で書くということですか。
○宮園構成員 そうですね。20~30%というのはどういう検診なのかというのも私はよくわかりません。単に諸外国と言われると、どこが諸外国になるのかもよくわからないし、単にふやせばいいのかどうかというのも先ほどから議論になっていますので、少し慎重に書き直したほうがいいと思います。
○堀田座長 基本計画の中には、例えば、がん種によって少し違うということも書き込まれていますよね。それを引用していただいて。よろしくお願いします。
そのほかいかがですか。それでは、次に「3,求められる研究(具体的な研究事項等)」です。ここからますます御意見をいろいろいただくことになると思いますけれども、この部分にいきたいと思います。ここは、幾つかの○にまとめられておりますので、先ほど飛び飛びではありましたけれども、方向性として具体的な研究事項の前段部分は総論的な話で、7ページの真ん中からが本当に具体的な課題になりますが、7ページの真ん中までで何か御意見いただくことがありましたら、よろしくお願いいたします。
○野田構成員 ちょっとよろしいですか。今先生がおっしゃったように、ちょっと読み取りにくいのが、総論的な部分の持つ意味、つまり具体的な研究事項というのは、これからもいろいろな研究施策をやっていくときにきちんとカバーしなければいけない、あるいはそれがちゃんと行われているかという評価事項にはなると思いますけれども、前段の総論はどういう意味を持たせるのか。だからどう書き込まなければいけないのかというのを教えていただかないと、一つ一つのディスカッションに入れないと思います。
○堀田座長 では、事務局から説明をお願いします。
○岡田がん対策推進官 事務局としましては、やはり国のがん研究の戦略という位置づけにつながる議論となりますので、国民の方々全般がどうして個々の研究の事項が必要なのか、目指すべき社会というのがあって研究事項をつなぐ、そこのロジックをぜひここで御議論いただきたいという趣旨で素案をつくらせていただいております。
○堀田座長 基本的には、国民の皆さんに読んでいただいてわかるような表現にもしたいし、そこにつながっていくような説明ができるような文章ということで総論的に書かれているということですが、この部分に関連しまして、ほかに御意見ございませんか。
石川構成員どうぞ。
○石川構成員 先ほども御指摘があったと思うのですけれども、1回目のときに堀田座長からライフステージに応じた治療が重要であるということで、高齢者というキーワードが結構何回も出てきたと思うんです。例えば、先ほどの経産省の図を見ても、高齢者は原点に近くて、それがあるべき姿にシフトしてもまだまだ原点に近くて非常に絶望的な図であったわけで、高齢者のがんに対する対策が、後で具体的な研究方法が出てきますが、どうもいま一つはっきりこの中で見えてこないけれども、現在、高齢化社会を迎える非常に重要なところだと思いますが、この総論の中にそれが余り出てこないですよね。それをもうちょっと入れたほうがいいような気がします。
○堀田座長 ありがとうございます。それはまた御意見として賜ります。
では、経産省、お願いします。
○江崎生物化学産業課長(経済産業省製造産業局) 我々がこれを出させていただいた趣旨は、ああいうグラフを書いてしまうとどうしても、世界的な軸と本になるとそうなんですが、ヨーロッパ型になると社会的な価値で切って切り捨てになってしまうと、それはおかしいだろうということで横軸をつくりました。もっと言うと、患者自身が自分にとってよりよい選択ができることという文章があるのですが、お年寄りにとって物すごい経済的負担と肉体的な苦痛を持っているにもかかわらず、あそこにいるということがすごく大きなアン・メットであるというところで読み解いていただきたいなと思っています。それと、この研究をやった結果どちらかにずれるということもそうなのですが、あの円の大きさ自体に実は物すごく意味があって、本当にそれを何とかしないと社会的にも患者的にも非常におかしなことになっているよという趣旨でございます。
それから、研究の結果が、出口は先ほど眞島構成員がおっしゃったように、患者に届いてこその研究なので、最初のグラフもそうであったように、あそこまでこの国からがんの薬が出ていないということは、がんの薬に関する限り、これまでの膨大な研究がつながっていないというメッセージになりますので、そういう点で先ほど野田構成員がおっしゃったように、これまでの結果何をこれからしなければいけないのか。特にお年寄りに関して言うと、あれだけの経済的なコストと精神的・肉体的苦痛の結果、幸せになっていないというところでこれから何をしなければいけないのかとなると、今後の展開が見えてくるかなと思っています。
○堀田座長 そのほかございますか。眞島構成員どうぞ。
○眞島構成員 文章に書き込む中に、高齢者を切り捨てるということではないということをぜひ明確に出していただきたいということと、やはり高齢者に優しいがん医療を目指すということも、ぜひ同時に表記していただければと思います。
○堀田座長 ありがとうございます。やはり切り捨てるように読み取れますか。
○眞島構成員 ここにはそうは書いていませんけれども。
○堀田座長 そのように読み取られないような形で丁寧に書けという話ですね。
野田構成員どうぞ。
○野田構成員 そういう形でこの総論を見ると、4~5ページにこれまでの10年をそのまま書いてあって、鍵になるのが「一方で」のところなんですね。つまり、5ページの2つの段落まではやった、そしてやれた。そして、5ページの一番下の段落で初めて今の問題が出てくるんです。でも、気をつけなければいけないのは、問題のところでもやるべき姿を示唆するつもりで書かれているのか、それとも問題だけの指摘なのかがちょっと不明瞭で、次のページにいったところから「重要な研究課題である」「強力に推進すべきである」「重要である」「求められる」、これは全部領域としてやっているんです。これが後ろの研究項目の二重に言うのにつながらないで、もっとわかりやすく重要なところを総論的に言えるように少し再構成をする必要がある。その中には一つ高齢者のがんに対する科学を進めるべきであるという段落をつくるべきであるというのが今の話で、そこには先ほどの課長の書き方が入ってくるのではないかと、今、高齢者はそういう感じだと思います。
○堀田座長 わかりました。今の御意見を取り入れた形でもう一回この部分を書き直すとして、ほかにも御意見をいただけるかと思いますが、いかがでしょうか。
祖父江構成員どうぞ。
○祖父江構成員 またちょっと細かい点かもしれませんが、7ページの真ん中の「政策科学的研究を進めることによって」に関連することなのですけれども、政策科学的研究を進めるに重要なポイントは、既存の資料、特に死亡・罹患に関するデータやレセプトのデータ、介護保険のデータを個人単位でリンケージするということが極めて重要であり、そのことが諸外国から比べると非常に遅れているということがあって、そこを進めべきであるということを加えてほしいというのが1点。
もう一つは、こうした政策研究を進める意味は、要するにこれをもとに事業化するというところがあるので、研究成果に基づいた事業の推進をうたってほしいような気がします。いろいろ今がん関係、特にがん検診等で無料クーポンとかHPVのDNAテストを導入するということが進んでいますけれども、ちょっと唐突な導入の仕方なので、まず前段階で研究を行って、そのデータに基づいて政策展開するというような枠組みにならないかなと思います。
○野田構成員 いいですか。それはわかるのですけれども、それに持っていくところもまた唐突ですよね。祖父江構成員には政策研究で今やっていることがよく見えるから、それは何につながるものなんだということを書いてくれというのはよくわかるけれども、今ここは10年間やってきたところにも全く政策研究、政策科学というのは触れられていないで、いきなり政策研究はこうだと書いてあるので、政策科学研究がそもそもどういうものであり、今どう足りなくて、そして何を進めてどこにつながるかという段落にこれを変える必要があると思いますが。
○堀田座長 3次がんの評価のところで、臨床研究分野のⅡというところが政策科学研究になっていて、そこにはいろいろ書かれているのだけれども、全体として最終的に本当の政策にはつながるところがちょっと希薄であったという総括になっているんですね。そういうことを踏まえて書かれているのですけれども、ここだけ読んでもちょっと読み取れないかもしれないので、そこはまた考えることにしましょう。
中釜構成員どうぞ。
○中釜構成員 7ページのサバイバーシップの記載なのですけれども、これは恐らくこれまで議論のあったサバイバーを支援するという議論から少し広げた表現だと思います。サバイバーの議論としては治療に伴ったそれに基づいたような精神的な不調が言われていたかと思いますけれども、恐らくここはもう少し広げて、治療効果の多寡によらず、原病によるもの、あるいは治療による精神的・心理的不調、あるいはそれによる社会的な要因への影響を考察する必要があるだろうという記載だと思います。一方で、原病治療に関係する身体的なものもある程度含める必要があるかなと考えるので、その書きぶりを少し修正されてはどうかと思います。
○堀田座長 要するに、治療中も含めたということですか。
○中釜構成員 治療効果の高い低いを問わず、十分な治療効果が得られなかったことももちろんあるでしょうし、それに伴うような身体的な不調もあると思うので、その辺はせっかくサバイバーシップという言葉をサバイバーという表現から広げて使用しているので、そこを多少くんだような書きぶりがいいのかなと思います。
○堀田座長 従来は例えば、治療に関連した身体的な苦痛やいろいろなものはQOLという概念の中に入れていたのですけれども、これをもう少し幅広くサバイバーシップという形でプロセス全体をスコープしているという点はあるのですが、今言われたような点を少し何かの形で組み込んでいきたいと思います。
そのほかに御意見ございますか。
○野田構成員 そうやって整理した総論の中で一番問題だと思うのが、「一方で」という段落が後半になかなか生かされない。ここにいろいろなものがつながってしまっていて、これは単に過去の清算を書いているだけで、先のことはまた後ろにもう一回出てくるのか、それともここで問題だ、だからと書いてある2行ぐらいはやはり大事なものなのかの区別がつかないので言うのですけれども、特にこの中で全体の書きぶりは出口を意識した、つまり国民にわかりやすい何のためのがん研究かによって、これからの研究項目も分離されていきますので、ここでしか言えないのは、やはりまだまだ本体解明が重要で、そのためには知の創出とそれを結集する、それから、新しい技術をとにかく取り入れるという、ここに1行半ぐらいしか書いていない部分なのですけれども、これをぜひ今後の必要な研究の一番頭に1つの段落として入れていただくと。そうでないと、この後の研究項目のところで、予防ですよ、治療ですよとなってきたときに、治療のもとになる知を探さなければいけない、予防のもとになるエビデンスを探す研究が必要だと、一々同じものが並んでしまうので、総論の最初のところで、まだまだ総力を結集して本体を明らかにする努力、それらに関して日本がこれからも先陣を切っていくという意欲をここに出していただくというのが私としては非常に重要だと思っております。
○堀田座長 わかりました。
上田構成員もこの辺は御意見があるところだと思いますが、どうお考えですか。
○上田構成員 今、野田構成員に言っていただいたのですけれども、ここの項目こそが基盤研究の重要性を具体的にするところで、余りにも小さくまとめ過ぎてしまって、結果、内在するエネルギーがもっと大きいのだという可能性、雰囲気が出ていないというのが今のご意見だと思います。基盤研究が活性化しないと日本は生き残れないということがあると思います。そういう点も加味して、決してきれいごとを言うつもりはないのですけれども、やはりそこを強調しておかないといけないと思います。
○堀田座長 わざわざ基礎研究とか臨床と分けなかったのは、すべてのところに本体に基づいた発想が要るということでしていたのですけれども、それがちょっとメッセージとして伝わっていないという意味でしょうか。わかりました。
そのほかに御意見いかがでしょうか。南構成員や道永構成員、今までの議論で何か感じることがありましたら。
○道永構成員 今の野田構成員のお話を伺っていて思ったのですが、5ページの一番上の○で、革新的な予防診断及び治療法の開発を推進してきたと。そして、2つ目の○で内視鏡云々とありまして、治療法の開発等、着実に成果を上げてきている、そこで止まっていて、それを具体的に今後どのように持っていくかという表現がとても大事だと思います。
先ほどからお話が出ている今度のキーワードというのが、ライフステージと高齢者のがん、小児がん、希少がんでしょうか。そのことを一つ一つ詳しく表現したほうがいいのではないかと思いました。
○堀田座長 そのほかに御意見ございますか。
○眞島構成員 その書き込みの部分なのですけれども、やはり日本のがん研究に依存している部分がたくさんあるのですが、当時に世界のがん研究から生まれてくる成果物をがん患者さんに迅速に届けるといったような体制をぜひそこに書き込んでいただいて、それが医師主導型治験を活性化することなのか、あるいはコンペンディウム方式でもって迅速に保険償還することなのかわかりませんけれども、そういった方策がとられることを明確に書き込んでいただければと思います。
○堀田座長 わかりました。今いろいろ御意見をいただきましたので、求められる研究の前段の総論のところで少し書き込みあるいはもう一回推考してみることにしたいと思います。
○野田構成員 一つよろしいですか。今、道永構成員が言われたことで、ここに例えば希少がんが出て、ライフステージが出て、総論のところでそれがライトアップされたときには、それならぜひ言わせていただきたいのは、これだけ進んできているけれども、やはり再発・転移というのはまだまだ治療の対象になっていないわけですから、その克服というのはここに一つ大きなものとして備えないと、何となく過去10か年よくやったね、そして、問題はといって抜けているところになってしまうと何となく過大評価になってしまうので、再発・転移のがんは、いまだになかなか根治されないという部分を克服するのが、この研究のまず一つの大きな目標であるというのは挙げていただきたいなと思います。
○堀田座長 ありがとうございます。
○門田構成員 ちょっとよろしいですか。このあたりを全体的に整理していただくにつけて、3ページの今後のあるべき方向性が先に来て、4ページから5ページの2段落ぐらいが過去の話をして、そして今回の必要性という流れに全体的になっていますよね。このあたりも含めて整理をしていただいたほうが、多分わかりやすい流れになるのではないかと思います。
○堀田座長 今までの議論を聞いていて、順序を逆にしたほうが本当はいいのかもしれません。バックグラウンドを先に書いて、最初は基本計画の骨子、次は求められる姿があって、あるべき方向性というほうがすっきりするかなと。ただ、具体的な研究事項はまた別でその後に来るのかなと思いますが、その辺は引き取らせていただけますでしょうか。
石井構成員どうぞ。
○石井構成員 7ページの希少がんの記載の一番上のほう「必要に応じて重点的に推進するべきである」という記載がありますが、希少がんに関しては一つの重点項目だと思いますので、「必要に応じて」という書き方はちょっと気になります。その特長を生かした研究を推進すべきであるとか、そういう表現にしていただいたほうが、必要ないのなら推進しないのかということになりますので、検討よろしくお願いします。
○堀田座長 ありがとうございます。
それでは、この辺でもう少し先に行って、また戻っても結構ですので。次は、個々の具体的な研究事項に入りたいと思います。ここは皆さんからいろいろ出していただいたもので、例えば、科研費の公募をするときの課題名みたいなものが頭に入ってくるというか、そういうイメージがあるかと思いますが、余り個別的なことではなくて、それを踏まえてお願いします。また、点線の中がそれを進めるに当たっての留意事項だと思いますので、そこも含めて御議論いただきたいと思います。
先ほど野田構成員から、一番最初のところに項目立てとして本体解明を入れるべきではないかと、それがすべての基盤だろうということでしたね。
○野田構成員 ジェネラルなところに一段落設けてくださいと。もう一回整理しますと、ジェネラルな歴史の部分は前に行くかもしれないですね。そして、どこかで切り替えして求められるものが入ってきて、目指す研究が入ってきて、そこから先ほどの今後の研究における総論の重要性が出てくるその最初のところに、とにかく本体解明はまだまだであり、総合力を使って本体解明をすべきだというのを入れてほしいと申し上げました。
今、座長に先回りして言っていただいたことはこれから言おうと思っていたことなので、また研究項目のところで言います。
○堀田座長 先回りして申し訳ありません。そうすると、今の組み換え等は前後あるにしても、今までのことを引き取らせていただいて書き込むと。
具体的な研究事項に入りたいと思いますので、よろしくお願いいたします。一応今のところは8項目という形でまとめてありますが、順番でなくても結構ですから御発言いただきたいと思います。石川構成員どうぞ。
○石井構成員 やはり(6)の高齢者のがんに関する研究がすごく弱いのではないかと思います。結局ここで言っていることはサポーティブケアをするということと、家族・社会の受け入れ体制を積極的にしなさいということですよね。多分私の知っている限り、高齢者のがんの特性、例えば、先ほどの図にもあった予後が悪いということを科学的に基礎研究として余り解明されていない部分が非常に多くて、そこがもうちょっと強くなれば、さっき二次元の分布ももっと原点から遠ざかってくれるという可能性は多々あると思うんです。ですから、①②はサポーティブなことが大事なことは間違いないのですけれども、我が国は未曾有の高齢化社会を迎えるわけですから、そこに率先して高齢者のがん研究に突っ込むんだというような、上田構成員のおっしゃる内なるエネルギーが全然感じられないので、そこをもうちょっと入れたほうがいいのではないかと思います。
これは全くの私見ですけれども、今までのがん治療というのは、やはりがん細胞を殺すことに重点が置かれていて、それで副作用が強かったわけですけれども、一次はやった言葉ですが、がんとの共生という考え方もありますよね。全滅は目指さなくても、それがぐんぐん悪くなるスピードを落とすといったことも一つの視点ではないかと思います。これに書き込むかどうかは別として。いずれにせよ、もう少し高齢者のがんに関する基礎的研究を推進するという項目が、この中にあってほしいなというのが私の考えです。
○堀田座長 ありがとうございます。
野田構成員どうぞ。
○野田構成員 また先ほどの議論に戻るのですけれども、これはやはり出口を意識した、目標を非常に明確にしたがんの研究項目で、それはすばらしいと思いますが、そうするとあした見えているものの実現という研究にどうしてもかかわってきてしまって、石川構成員は高齢者にこだわっているので高齢者のことを言いますが、高齢者であってもこれだけだとそれだけれども、高齢者のがんの特性の把握や、さっきから出ているがんだけれども本当にがんの本体解明に当たるものをこの研究項目ごとに入れるのか、もう少しそれを入れないと今から10か年に関しては弱いのではないかというイメージがあります。
逆に(0)として、まだまだわかっていないがんの本体解明で並べるという手もありますが、せっかくこういう出口を意識して患者さんに届く場面が見える形での研究項目になっているので、できればそれぞれの研究項目に、後で書き込みますが、それを実現するためにもやはり本体解明、知の創出が必要だという項目を入れていただくような努力をしていただいたほうがいいと思います。イメージングが必要なのはわかりますが、何をイメージングするかが見えなければ実現しないわけですし、その部分がちょっと全体として欠けているという感じがします。
○堀田座長 米倉構成員どうぞ。
○米倉構成員 関連してですが、同じような視点で(1)の個々のリスクに応じたというところを見てみますと、一応、早期発見手法ということが書かれていて、結局ハイリスクの方に対して早く見つけようという視点しかないわけですね。でも、本当はそうではなくて、見つけてどうするんだというところがあるので、今、野田構成員が言われたような視点から、ここは全体としてそういうハイリスクの方に対して、どういう戦略をとるのかというところが見つけられるような研究開発が非常に大事だと思うので、そういうポリシーをぜひ入れていただきたいと思います。
○堀田座長 眞島構成員どうぞ。
○眞島構成員 過去の30年間で重点項目とされていた難治性がんなのですけれども、それが今7番目に来ていまして表題にも書かれていないと。がんの格差と戦う我々としては、難治性がんは治ったんですねという印象が出てしまうのですが、実は膵臓がんと告知されて3カ月で亡くなる方々をたくさん見ている我々としては、難治性がんは重点項目であって、早期発見、治癒につながる治療法をぜひ開発していただきたいと思います。これは「希少がん等」の「等」の中に含まれるのでしょうか。そうではないと思いますので、ぜひこれを重点項目として取り上げていただければと思います。
○堀田座長 そのほかの御意見いかがでしょうか。西山構成員どうぞ。
○西山構成員 9ページ目の一番上の点線ですけれども、なぜこれがここにあるのかがわからないです。これは臨床研究に共通する内容があって、ほかの項目立ての中には臨床研究がすべて含まれていて、これは全部に共通する内容ではないかと思われます。もし、これを全身療法、局所療法、支持療法という形で分けるのであれば、この部分は局所療法や支持療法の重要性や、そのバックグラウンドが書かれなければいけないのではないかと思いますが、この辺の整理が必要なのではないかと思います。
○野田構成員 私が事務局の代わりに言ってもしようがないですが、これはここに「明日の標準治療に関する研究」とついてるので、この項目の後ろの枠に臨床試験の推進が入っていますが、各治療法のエレメントの開発が前にあって、それが患者さんに適応されるところのフェーズをここにまとめて書いてあると理解しています。
○西山構成員   それは私もわかるのですけれども、それを考えると(2)がんの全身治療に関する研究に臨床研究があって、これらも同様なバックグラウンドがあるはずだし、例えば(4)の①は標準的療法、全身療法と言ってもいいので、これは項目立てとして(2)の⑤で入れたほうがもっとわかりやすいだろうと。要するに、この部分で私のような誤解がないようにうまく振り分けていただければと思います。
○野田構成員 単に縦切り、横切りの議論で項目立てなのですけれども、私がこれを見て思ったのは、全身治療に関するところは臨床試験そのものは入っていないんです。つまり、臨床試験に橋渡すところだったり、臨床試験に持っていくものだったりはこっちに入れているけれども、臨床試験にいくものは後ろに含まれるようなイメージで分かれている感じがするというだけなんです。先生が言った臨床研究となると実用化のための臨床研究なので、ちょっと広くなっています。ただ、そこはあれしないと全部に入れることになってしまう。つまり、局所療法であろうが、放射線治療であろうが、化学療法であろうが、臨床試験や何かというのは必要になるので、出口の議論と臨床試験なのか、臨床研究なのかというのはフェーズのステージの議論なので、その分類の仕方を決めないと、今の西山構成員に議論にはいかないと思います。
○堀田座長 当初これは一番後ろに項目立てでまとめて書くかみたいな話だったので、そうするとどこに対応するのかがわかりにくくなってしまうので個々に振り分けたんです。それがここだけかという話になってしまったんですね。
○野田構成員 その切り分けがいいかどうかだと思います。
○堀田座長 中釜構成員どうぞ。
○中釜構成員 7ページの(1)個々のリスクに応じたがんの予防法に関する書きぶりですけれども、既にわかっているような遺伝情報や要因に応じた層別化と読めるところもあるので、未知の発がんリスクを決めるのは遺伝的な因子であるとか、発がん要因の探索的な部分は絶対に必要であるということはせっかく前段の概要も書かれていますので、少し項目として書いておいたらどうかと思います。
○堀田座長 ありがとうございます。そのほかいかがでしょうか。
御発言いただけていない米田構成員、いかがですか。
○米田構成員 前回は欠席しておりますので間違ったことを申し上げてしまったら申し訳ないのですけれども、具体的ながんの全身治療に関する研究ということで「薬剤候補技術」という言葉が出てくるのですが、具体的に候補技術というのはどういうものなのかというのがわからないんです。技術開発なのか、そこがわかりにくいということ。
それから、総論のところで、例えばiPS細胞とかESとかそういうものが出てくるのですけれども、各論に入った途端にそれが全くなくなるというのはちょっと。逆だったらまだわかるのですが、総論で出てきた言葉が各論で全く触れられないというのは、各論になっていないような感じがします。
○堀田座長 iPSの場合は創薬の問題と再生医療と両方かぶるのかもしれませんけれども、再生医療の中に含んでいるということで書かれているのですか。
事務局どうぞ。
○岡田がん対策推進官 事務局としては、まず1つ目の今お話しいただいた薬剤候補技術というのは、確かに余りこなれていない表現かと思いますので、また御意見を伺って改めるべきかと思いました。
また、iPSのくだりで結局、患者さんに到達するという意味では再生医療という言葉のほうがわかりやすいかなということで、局所治療のところなどで書かせていただいておりますけれども、その適切か否かについてもまた御意見をいただければありがたいと思っております。
○堀田座長 その他いかがでしょうか。宮園構成員どうぞ。
○宮園構成員 先ほど野田構成員から転移・再発に関する記載がちょっと乏しいのではないかというコメントがあったのですが、私も8ページの(2)がんの全身治療に関する研究で、再発・転移を予防するあるいは治療するような全身治療をどこかに書き込まないと、膨大な医療費が使われるから転移・再発は何もしないのですかということにもなるので、どこがいいかさっきから考えているのですけれども、転移・再発に関する治療については一言書くべきではないかと思います。
○堀田座長 上田構成員どうぞ。
○上田構成員 今のお話ですけれども、先ほど眞島構成員から難治がんのお話がありましたが、この転移・再発があるからこそ難治がんなんですよね。やはりそこの克服が一番大事だという観点で、その辺を上手にまとめて書かれるといいと思います。
それから、もう一つ、先ほどの米田構成員の御指摘のとおりで、ここの総論をどうするかというので、先ほど野田構成員がおっしゃったように、最初の項目に今望まれている基礎研究はどうあって、それが将来難治がんをどう克服するか、結果的にはそれが難治がんの克服であり、最大予防・治療であるし、二次予防になる、何も基盤研究では出口がないのではなくて、出口はそこであるという論調の1項目を、つくるというのが私は大事ではないかと思います。そうしないと、今できているものを消化するだけで終わった10か年になったら、本当に先がないということでございますし、日本はそこが一番大事なところ、これからの日本に望まれていることだと。やはり先ほどの議論で、そこのまとめ方、それから、先ほどから各論の中に一つ一つ基礎的な研究を入れるのか、それを1つの項目としてまとめて、横串であるとするか、ここは次回までの宿題としたらよろしいかと思います。
○堀田座長 ありがとうございます。
中釜構成員どうぞ。
○中釜構成員 関連して (3)の局所治療で、例えば手術に関しては「先端的技術による手術の実用化研究」と書かれていますが、実際には手術の適応をどのように論点を決めていくか。例えば、早期から血沈に出現するCTCの問題とかいろいろな問題も、やはり複合的に局所療法の中でも考えていく必要がある。それはさっきの転移・浸潤とか、いわゆる難治がんという枠組みに入るのかも知れませんが恐らく入らない可能性があるので、そのあたりで広く新しい領域として必要です。局所療法に関してもそういう考察が必要ではないかと思います。
○堀田座長 基礎とか臨床という分け方ではなくて、要するに本体解明、すべての項目に共通する課題という意味で横串と言っているんですよね。
○野田構成員 再確認で眞島構成員にお聞きしたいのですけれども、私はそこまで言わなかったのですが上田構成員がおっしゃっていましたが、難治がんの項目を立てることは絶対に必要だし、そこでさっきから問題にしている転移・再発、例えば、次世代がんなどでは難治がんの1項目に転移・再発を入れていて、がん種とちょっと切り口は違うけれども並べているのですが、それは例えば、膵がんなどからしたら不純な結合になってしまって、難治がんと言ったときにはがん種で分けたほうが明確だという意識があるか、転移・再発もそこに項目として、例えば難治がんのと言って、(1)で膵がん何とかを初めとする現在の治療成績が極めて悪いものというもの。それから、2番目として例えば転移・再発という項目立ては問題ないですか。
○眞島構成員 それは問題ないと思います。
○堀田座長 そうしましたら、例えば(7)は希少がん及び難治がんとするか、あるいはそれは別項目として立てるかというのはどうですか。
○野田構成員 それは別項目だと思います。
○堀田座長 皆さんそういう御意見ですか。わかりました。
そうすると、難治がんというのはそもそも難治がんというものと、結果難治がんというか、要するに治療してもうまくいかないというもの、それは難治がんの中に含めてもいいということでよろしいですか。
ほかに御意見ございますか。ほかの項目でも結構です。今まで挙がったところでは、具体的な研究事項の一番最初のところに本体解明、全体に共通する項目ということで、すべてに本体解明に基づく研究が重要であるといったことを挙げていただいて個々の項目に入ると。
それから、点線の中の問題については、先ほどそこだけにかかわるわけではないだろうという意見はございましたけれども、どういう整理の仕方がいいか何か御提案がありましたら、よろしくお願いいたします。
○野田構成員 西山構成員が言われたように、1つは、そもそも点線の中の意味というか、項目とはどう違うのかというのがわかりにくいところがあるので、つまり、ただ単に項目立てするだけでは、こういうことが伝わらないから点線部分をつくるんだというのがあってから、分類私もう少し考えたほうがいいように思うのですが、岡田さんどうですか。
○岡田がん対策推進官 そこもあわせて御議論になるかとは思いますけれども、いわゆるこの間の議論では、果実と畑の議論をいただいていて、この点線というのは上にあります個々の研究事項をより成果につなげるために必要な基盤のようなものを、具体の研究事項を視野に入れながら御意見をいただいたものを整理させていただいて、この辺は逆に研究課題そのものというよりは、行政的に何とかここの土壌を整えるという努力をすべきというものを整理させていただいています。
しかしながら、先ほど西山構成員がおっしゃられたように、なかなかスパッと項目ごとに切ることは難しいので、いい智恵があれば教えていただければありがたいと思いますけれども。事務局としてはそういうつもりです。
○野田構成員 そうだとすると、例えば「おわりに」の内容もわかりにくくて、先ほどちらっと出た人材育成が書いてあったりします。そうすると、今言った畑の部分は後ろのほうにまとめて研究の効率的・効果的な推進のためには、以下のこういう整備が必要であると言ってまとめるという手もあるのではないかと思います。
○堀田座長 当然そうですね。当初、どっちにするかということで結果こういう形で事務局がまとめたのだと思いますけれども、後ろにまとめるという方法もあると思います。
門田構成員どうぞ。
○門田構成員 その意見に賛成なのですが、こういうふうに項目別に分けて畑の部分だと言われても、その畑がおかしくなってしまうと思うんですよ。本来、違う畑に植えなければいけないものもあるかもわからないので、そういった意味で、やはりまとめて、前か後ろに書かれるほうが多分、整理はつきやすいのではないですか。
○野田構成員 加えてそうだとすると、やはり先ほどの前段の部分に畑なり整備の部分の段落が1つないと、後ろに畑がただA~Cまで並んでいてもわからないので。後ろの研究項目は前段からスムーズにいっていますよね。でも、畑に当たる部分の前段が今のままだとなくなってしまうので、やはり総論に畑に関する段落を入れることは必要なのではないかと思います。
○堀田座長 田村構成員どうぞ。
○田村構成員 私も後のほうにまとめて書くほうがわかりやすくていいと思いますけれども、その中でぜひ項目立てしてほしいのは人材育成で、その中で我々の今、研究分野で一番弱いトランスレーショナル・リサーチの部分、どこにもその言葉が出てこないので、それを盛り込んだ形で項目立てしていただくといいのではないかと思います。
○上田構成員 後程、まとめて発言しようと思っていたのですが、研究のあり方に関して書いていますね。その研究のあり方はこうあってほしい、こうあってほしいと先ほどから話が出ている、それを支える基盤整備としてこういうものが必要であるというものを整理して前文に入れておくとか、そして、それをきちんと提言することが重要だと思います。
ここで違和感を覚えるのは、小児がんのところだけ特に登録制度を確立せよと、まさに先ほどの基盤整備に近いような課題なのです。ですから、それらを一貫して最後にきちんとまとめるのだという皆さんのコンセンサスが最初にあってこの会議が始まっていると、あり方をどうやって実行するかというための基盤整備であるかと。きょうはまだ話題になっていませんけれども、バンクの問題やいろいろな問題が本当は山積みされているのを、この有識者会議はどこまで踏み込むのか、情報の問題もそうですけれども。そういう総論的なコンセンサスを事務局と我々とが一回すり合わせておいて、次回に整理しないといけないのではないかと思います。
○堀田座長 恐らくこの会議の任務というのは、次期対がんの研究事項を明らかにしていくということで、その基盤をどうするかというところまで踏み込めない。それに基づいていろいろなアクションはできるかもしれないけれども、ここでそれを書き込めるかどうかというのは事務局ではどのように考えていますか。
○岡田がん対策推進官 この会が始まってからその議論があるのですけれども、とりまとめ素案の2ページの一番下でも記載させていただいておりますが、まず、基本計画に照らして新たながん研究戦略、今後のあるべき方向性と具体的な研究事項等を明らかにするということが求められているのかと思っております。その具体的な研究事項と方向性をどういう順番で記載するのが適切かという御議論を本日いただいておりますが、その具体的な研究を進める体制論は、すでに基本計画の取り組むべき施策、1ページ下から2ページ上の部分でも、前段の8回に及ぶ会議の結果こういったタスクをいただいておりますので、この場では今後のあるべき方向性、具体的な研究事項を中心に御議論いただいて、そこでまた基盤論が特により具体に特化したものが御指摘いただけるのであれば、この報告の中に記載していただくということをお願いしたいと思っております。
○野田構成員 よろしいですか。ということは、やはり書いて悪くはないわけで、例えば、さっきの畑に戻ってしまいますけれども、日本の畑がこれしかないから、もっとこういうふうにお金を費やして全体を広げて何とかでということを言っているわけではなくて、ミカンを植えるにはこういう畑が必要ですよと、あなたは何を植えるか考えて畑をつくらなければいけないよという、やはり研究事項を支える密接な基盤はここで書いておく、あるいはここでディスカスしておくということが大事なのだと思いますので、それを書き込む項目が後ろに、そして、そういうものを書いていますよ、考えていますよということがわかる前段が一つあるという形にしていただけるとありがたいなと、そのレベルでどうですか。門田構成員は反対されると思いますけれども。
○門田構成員 いえ、反対はしていないのですけれども、前回の最終的なときに私も発言しましたが、前回も果実の話だけしていたら足りないのではないですかということで一応、皆さんのコンセンサスはその方向でまとめるということになったと私は思っていますので、余り行ったり来たりしないように、何かの果実を確実に育てようと思えば畑の話をせざるを得ない。30年間かかってやってきたところで今の状態で止まっていることに関して、やはり畑に問題があったところについては、何がしかのことをやりましょうという方向性は書くべきではないかと発言しましたし、皆さんもそうだったと思っていますので、ぜひ進めていただきたいなと思います。
○堀田座長 基本的には基本計画の中に随分具体的に書き込まれていますよね。それらを実行する段階でどういう問題があるかということが問題なのではないかと思います。
そういったことで、具体的な研究事項を進める上で特別に必要なことということにしないと、全体の大枠、実は今、別のところでNIH構想がどうのこうのという話になっていますが、その議論に巻き込まれてしまったら大変なことになりますので、ここは研究事項を中心にということでまとめさせていただきたいと思います。
○野田構成員 ちょっと待ってください。何で今の結論がそういう言葉になるのか私にはわかりません。研究事項はもうやっているのだからそれでいいです。ただし、研究事項を実施するのに必要なものは我々が言わなければ、どこかの鑑定だ何だは言えないのだから、やはりここで我々が必要な畑一つ一つを言っているだけですから、その何とか構想とか余り聞いたこともないような話は全然関係ない次元の話だと思います。
大事なのは、この間まで3回やってきて、今までの10年をやったやったとポジティブに評価しただけでは、これからの10年が出てこないというのがすごくよくわかったと思うんです。やはり問題を意識しないとこれからの10年が出てこない。そうなったときには、果実と同時に畑はペアだなというのがあったので、それがマターでないということは私はないのだと思います。研究事項、研究事項と言って、すぐに概算要求あるいはその後の科研費の項目立てになるのをここで考えるというなら、そういう名前の委員会をつくってもらえばいいので、あり方というのはそういうものではないだろうと私は思いますが、今のはちょっと違和感を覚えます。
○堀田座長 済みません、そこまで制限するつもりもないのですけれども、私はともかく基盤的なこと、あるいはシステム的なことは先回のお約束できちんと議論もしましょうということを言いましたよね。それをどう書き込むかというところについては、刻むのではなくて後ろにきちんとまとめてもう一回整理して書くという形にしたいと思います。それで今抜けていること、大事なこと、先ほど人材育成のことがちょっと弱いのではないかという指摘も受けましたけれども。西山構成員どうぞ。
○西山構成員 この中で今まで一番多く議論されていたのは、トランスレーショナル・リサーチを今までもやろうやろうと言っていてできなかった原因という形になっていて、これが前段ではちゃんと「リバーストランスレーショナル・リサーチを推進し」と書いてあるのだけれども、そうした橋渡し研究の問題点というものが生きている研究項目がないのではないかということ。
それから、事前の意見調整でもかなり意見が多かったことの中に在宅、緩和、終末期というものがあって、そうしたものについてもさらなる向上を求めてという希望があるにもかかわらず、その項目がない。確かに、研究項目の大きなものを読み込めば、その中にそれらを全部入れていくということは可能だと思いますけれども、キーワードのような気がして、そうしたものが抜けたままでいいのかという質問です。
○堀田座長 医療供給体制みたいなことですね。
○西山構成員 ですから、人材育成で先ほどトランスレーショナル・リサーチチャーの養成というのがありましたから、節目節目というところでその中に踏み込めばいいかもしれませんし、一番最後の施策の項目の中で、家族を包括的に支援する体制の中に在宅が入っているとか、終末期が入っていると言われればそれで済んでしまうのですけれども、そうしたものに対する現状把握と新たな形のものは、あれほど議論した内容の中にあったように思うので、それらを独立した項目として入れなくていいのかというのが私の質問です。
○堀田座長 これに関しては、そのほかに御意見ございますか。資料1で皆さんにいただいた意見が大体網羅されているのですが、そういう項目立てになっていますか。なかなか読みづらいですね。今、西山構成員から御指摘いただいたような在宅だとか緩和だとか、そういう療養生活といったものに対する視点がちょっと欠けているのではないかということですが。
○野田構成員 よろしいですか。何とも的確ではないのですけれども、西山構成員の言われた前には書かれているのだろうけれどもというのは、やはり目標にするべきがん医療と社会の姿には当然出てくるし、それは書き込まれているわけですよね。次に総論があって、では、今それを実現するための研究項目は具体的に何なのかといったときに、アイデアがなかなか出てこないので後ろのほうに入っていないというのが現状だと思います。ですから問題は、後ろにそういうものをとにかく項目としてつくるというところまで持っていくのか、いや、まだ見えないからそれぞれのところにそれが含まれるというので我慢するならば、その間をつなぐ総論のところに何かそういうものを強調するような段落を入れるのかという、そのどちらかだと思います。
○西山構成員 具体的な項目を入れるとすると、私の意見ではないのですけれども、資料1に入っているように、在宅高齢者のがん予防、早期発見、治療の医療技術と医療機器の開発とか、在宅医療のあり方、評価に対する総合的検討とか、緩和医療等と書いてあるのですけれども、こうした具体的な項目もあって、そうした項目を要するに1つにまとめてもいいけれども、終末期医療、在宅何々にかかわる研究みたいな項目があったほうがいいのではないかとは思ったのですが。
○石井構成員 よろしいですか。非常に重要なポイントではあるのですが、緩和医療とか終末期医療というのは非常に重要ですが、具体的にどう研究計画を立てて、研究目標はどうなるのかと言われると難しいと思いますので、私は各がん種に入れてもいいのではないかと個人的には思います。
○堀田座長 がん種の中に入れるというのは、どういうことですか。
○石井構成員 難治がん、希少がん等に、例えば難治がんの場合は、終末期医療とか緩和ケアも研究の一つの項目として入れられるかなと思います。
項目立て一つにしても、研究というのはどういうふうにして研究するのですか。私はよくわからないのですが。
○堀田座長 在宅はそれなりにテーマがあるように私は思います。ただ、それをどういう格好で項目立てするかというのがあって、一個ずつやっていると何十項目になってしまうので、ある程度はまとめたいと思います。
事務局からどうぞ。
○宮嵜がん対策・健康増進課長 例えば、患者さんの身体的な苦痛をどう軽減していくか、あるいは精神的・心理的な問題をどう対応していくかというのは当然研究テーマとしてなくはないわけで、それは読めるような形で10ページの(8)の中に、我々も全く失念していたわけではなくて、西山構成員が言われたように書いているのですけれども、実際に例えば、在宅とか緩和ケア医療、ターミナルという言葉が出てきていないというのは、やはり最終的に読まれる国民の方とかそういう人から見てもわかりにくいので、項目立てをするかどうかということは別にして、こういうところでこういうような研究はやるんだよというキーワード的なことも含めて、わかりやすく書いていくということはさせていただければと思います。
○野田構成員 よろしいですか。この(8)に関して私が理解していたのは、出口が明確に全身療法だったり、局所療法だったりと括弧がずっとつながってきて、その中でストラテジーとして政策科学研究や何かはちょっと違うので、そこの部分をまとめたのが(8)で、それこそ祖父江構成員が気にされているような項目はみんなここに入っているのかなと意識していました。なので、今、課長がおっしゃるのはすごくよくわかるのだけれども、逆に、西山構成員が言う在宅ケアや何かの研究と言っているものが、政策科学だけでカバーできるのか。そうではないものがあるとすると、例えば、高齢者を立てるとしたら、あとは高齢者のところに入れられないのかということで解決していく方向でいいのではないかと思います。石井構成員の意見もそのことだったと思うのですが。
○堀田座長 要するに、キーとなるワードが入っていないとなかなかイメージが湧きにくいので、そこはもう少しわかりやすい表現にするということで、それぞれの項目の中にわかりやすく入れるということにしたいと思います。
それでは、最後のところにもう入り込んでしまったのですけれども、「4,おわりに」のところでまとめて。ここは基盤的なこと、あるいはシステム的なことを後ろに持ってくることを前提に見ていただきたいと思います。
○野田構成員 畑を持ってきて、「おわりに」でも畑が出てくるのはやはりおかしいですよね。畑は「おわりに」の前に入るんですよね、そういう意味ですよね。そういうものがそこに書かれた上での「おわりに」だとすれば、ここに書いてあることは結構畑のほうに取り込まれていくのではないかという感じがします。そうだとすると、「おわりに」というのはやはり全体的な施策と各研究事項、つまり果実と畑の関係をより有効に説明し、それを進めていくための考え方をここに書くべきなのだろうと思います。
○堀田座長 よろしいですか。10か年戦略とするというのは最後ですよね。システムの話ではないので一番最後に見直しをかけると。
○野田構成員 当然それはそうです。
○堀田座長 この辺はどうですか、10か年でいいのかどうかというのは門田構成員の問題意識としては。
○門田構成員 私が最初にプレゼンしたときに、後から基本法ができたのだから、それをどこでどう整合性をとるかという話をいたしました。今の学問の進歩のスピードを考えると、多分がん研究も10か年のことを今決めても、どんどん変わっていきますよね。そういう意味において、10か年戦略という単語を使うのがどうかという、ここに事務局が苦労して書いてくれたのだと思いますけれども、基本計画の見直し等を踏まえ必要に応じて見直すということで、ひとまずこの時点において10か年ということで考えた計画がこれですというのであれば、それもそうかなという感じがします。当初は、基本法とそれよりずっと前からやっている対がん10か年というものをシンクロナイズさせて国民にぐっとアピールすることはできないでしょうかというのが最初の提案でしたけれども、こういう表現もちょっと引いて、ありかなと今は思います。だから、この「10か年戦略とするが」というあたりも、どう書くかという表現の方法だと思います。
○堀田座長 シンクロさせるのだったら12年ですか。
○野田構成員 7年です。
○堀田座長 7年か12年ぐらいで。
眞島構成員どうぞ。
○眞島構成員 シンクロさせるというのは国民からしてみれば非常にわかりやすいという利点があるのですけれども、がん研究サイドから例えば今7年というお話がありましたが、そこで支障が出るとかそういうことはあるのでしょうか。
○堀田座長 例えば10というのはまとまりのいい数字だから10となっているのだと思いますけれども、がん対策基本計画は今のところ5年ごとの見直しということになっていますよね。それが7年だとまた中途半端な時間にはなるかなと思いますが。
○宮嵜がん対策・健康増進課長 中身的な話ではなくて事務局からこういう話をしていいのかどうかわからないですけれども、やはり10か年戦略という言葉はわかりやすいし、ある程度10か年を見越してこういう中身を検討してきたというのは重要だと思いますけれども、先ほど言われましたように、シンクロさせると7年とか12年という状況になってきます。実際には例えば、これを仮に10か年でつくって、5年目になるのか、7年目に基本計画に合わせて見直すのか、そこで10か年計画をそのまま継続するのではなくて、7年目のときに次の10か年計画をつくるとかいろいろな方法があるので、10か年を見込んでつくりましたということと見直し規定を入れさせていただいたという考え方ですが、それがいいかどうかも含めて御意見をいただければと思います。
○堀田座長 野田構成員どうぞ。
○野田構成員 前回のときは、法律には書き込まれているけれども、計画のすべての部分に関して見直しがどう行われるかというストラテジーが余りはっきりしないで1回目の見直しが行われて、がん研究もそこで行われました。でも、そこで何となくノウハウも積み重なったので、次の段階では今の10か年計画をもっとよく意識した上での計画の見直しという、間の連携やそういうものはもっととれるようになると思いますので、今課長が言われたように、次の見直しのときにこれをどう考えるか、これをどう評価するか、あるいはどう推進をモニターするかということまで取り込んでいくのは可能だと思います。前のときはちょっとドタバタだったので、今の課長のそこでのシンクロも可能性としては考えるというのは非常にいい考えだと私は思います。
○堀田座長 そうであれば、ここに書いてあるように、まず10か年戦略とするけれども、今後基本計画の見直しに合わせて変更もあり得るという書きぶりがいいかなと思います。
○門田構成員 そうすると、ここの表現に忠実にいこうと思うと、今は第一次、第二次、第三次と来て、第四次目として今集まっているという感じになって、随時これを見直すための何かこういう組織が必要になるということになりますよね。ですから、そのあたりも含めて形をつくっていく必要があるのではないですか。
○堀田座長 それは恐らく全体を俯瞰的に進捗管理も含めてやっていく組織を恒常的につくるかどうかという話ですよね。そこも論点になるところだと思います。
○野田構成員 でも、そのディスカッションをするのは協議会の研究でやるというのがあるので、そこをうまくあれしないと、どっち側がどっち側をということがあるというのが一つ。
それから、やはり推進のシステムや何かをモニターするというのは非常に重要ですけれども、今度は逆に、モニターのために活動していて研究というのはなかなか難しいところがあるので、研究事項のところをきちんと掘り出すためにやっていた議論と今の議論は、もう一つ違ってきてしまうかなという感じがします。
○門田構成員 だれに聞いたらいいのかわかりませんけれども、今、野田構成員が言うように、協議会なのかこちらなのか、あるいはそのほかのところなのか、これは今の決まりでいくとどこがどうすることになるのですか。
○岡田がん対策推進官 今の基本計画で、先ほど申し上げたように、あるべき方向性と具体的研究事項をこの戦略に位置づけていくということが閣議決定されておりまして、そこについて中身の研究事項、これは戦略ですので、これを研究者の方々にお示しして、こういう研究、こういうやり方をしていただくことが、あるべき社会、医療につながるのですよということをお伝えするわけです。そこで、もし方向に変更が生じることになれば、そもそもの対策自体の方向が変わるとか、科学技術の進展によって変わるということがあれば、またお集まりいただいて中身のディスカッションをいただくということかと思っておりますし、また、対策の中の今基本計画に書かれているような部分については、基本計画の見直しの議論の中で御議論いただくのかなと思っております。
○門田構成員 わかりました。どこかで決めておかなければ、この話はなかなかスタートしませんので、そういう理解でしたらわかりました。
○堀田座長 そのほか全体の進め方について何か御意見ございますか。石川構成員どうぞ。
○石川構成員 「おわりに」の2つ目ですけれども、若手研究者への支援が重要だというのはすごくいいことだと思いますが、この書き方ですと「基礎医学・臨床医学・病理学等を修めた若手」と書いてあって、少なくとも医学部の人間だったら何となくわかるかもしれないけれども、医学部ではない諸科学の者にとってはエクスクルーシブな言い方だと思います。ですから、もっと異分野融合が重要だと途中で書いてあるのに、例えば、放射線治療などは物理学がすごく重要ですよね。そういったところを排除しかねないような言い方は、改めたほうがいいのではないかと思います。
○堀田座長 そこは改めましょう。
○宮園構成員 同じことを考えていました。私も、基礎生命科学とか薬学その他を書いておいたほうがいいと思います。
○野田構成員 これは全部書き直しですね。ここの部分を後ろに入れるものをもう少しあれして。
○堀田座長 そうしましたら、きょういただいた意見を全面的に取り込ませていただいて、もう一回リアレンジを含めてやらせていただいて、また事前なり何なりの形で見ていただいて御意見をいただいて、次の会にいきたいと思います。よろしいでしょうか。
○眞島構成員 最後に一言いいですか。難治がんに関しては、新たに項目が立つという理解でよろしいのでしょうか。その際、ドラッグ・ラグに関しての研究もぜひ忘れないで追加していただきたいと思います。
○堀田座長 よろしいでしょうか。ありがとうございます。
それでは、今後の予定等を事務局からよろしくお願いします。
○岡田がん対策推進官 次回の会議につきましては、6月11日の13時から、場所は厚生労働省内を予定しております。
以上でございます。
○堀田座長 それでは、特に何か御発言はございませんか。
それでは、本日はこれにて終了します。ありがとうございました。

 

 

 
(了)

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