ホーム> 政策について> 審議会・研究会等> 厚生科学審議会(予防接種・ワクチン分科会 予防接種基本方針部会)> 第2回厚生科学審議会予防接種・ワクチン分科会予防接種基本方針部会議事録(2013年6月24日)




2013年6月24日 第2回厚生科学審議会予防接種・ワクチン分科会予防接種基本方針部会議事録

健康局結核感染症課

○日時

平成25年6月24日(月) 10:00~12:00


○場所

三田共用会議所3階大会議室(A~E)
(東京都港区三田2—1—8)


○議題

(1)予防接種基本計画の策定について
・国、地方公共団体その他関係者の予防接種に関する役割分担に関する事項
(2)小児用肺炎球菌の予防接種について
(3)その他

○議事

○嶋田室長補佐 おはようございます。定刻となりました。ただいまより「第2回厚生科学審議会予防接種・ワクチン分科会予防接種基本方針部会」を開催いたします。
 本日は、御多忙のところ御出席をいただき、まことにありがとうございます。
 本日の議事は公開ですが、カメラ撮りは議事に入る前とさせていただきますので、プレス関係者の方々におかれましては、御理解と御協力をお願いいたします。
 また、傍聴の方には「傍聴に関しての留意事項」の遵守をお願いいたします。
 初めに、本日の委員の出欠状況について御報告いたします。
 本日、委員10名のうち、池田委員、庵原委員、岡部委員、小森委員、坂元委員、多屋委員、中野委員、中山委員の8名に御出席いただいております。
 また、澁谷委員、宮崎委員の2名の委員より欠席との連絡をいただいております。
 現時点で、厚生科学審議会の規定により定足数以上に達しておりますので、本日の会議が成立したことを御報告いたします。
 なお、本日、参考人といたしまして、茨城県保健福祉部保健予防課長、入江ふじこ様、国立感染症研究所疫学センター長、大石和徳様、ファイザー株式会社ワクチン・リサーチ部長、菊地主税様の御出席をいただいております。
 それでは、議事に先立ちまして、配付資料の確認をさせていただきます。
議事次第、配付資料一覧、委員名簿、資料1から9、参考資料1から3を用意しております。配付資料一覧と照らして不足しております資料がございましたら、事務局職員にお申しつけください。
 引き続き、審議参加に関する報告をいたします。
 予防接種ワクチン分科会審議参加規程に基づき、各委員及び参考人から、ワクチンの製造販売業者からの寄附金等の受け取り状況、申請資料への関与について申告いただいております。
 中野委員につきましては、議題2の小児用肺炎球菌ワクチン、議題3の風しんワクチンについて、ワクチンの製造販売業者から寄附等の受け取りについて50万円超500万円以下の申請、申請書類作成への関与について申請されております。
 菊地参考人は、議題2の小児用肺炎球菌ワクチンについて、申請書類作成への関与について申請されております。これらの取り扱いについてお諮りいたします。
○岡部部会長 それでは、ここから先は議長のほうでやりたいと思います。ただいま事務局から審議参加について話がありましたけれども、菊地参考人は、当然ながら、メーカーの方ですので関与していると思いますけれども、それを理解した上でデータや何かをお聞きするということですので、もちろん意見を述べていただいて、議事にはもともと参加はしませんので、参考人の方ですから。ということでいきたいと思いますけれども、まず、菊地参考人についてはよろしいでしょうか。
(「異議なし」と声あり)
○岡部部会長 ありがとうございます。
 それから、中野委員につきましては、これはほかの審議会もそうですけれども、公平な立場で参加していただいているので、当然、専門家としての公平な意見を言っていただくと、ただし、議決のときには遠慮していただく。ということが、ほかの審議会、関連のところでもそのように行われていると思いますので、私も貴重な意見はやはりいただいたほうがいいと思いますので、そのような形で進めたいと思いますけれども、いかがでしょうか。
(「異議なし」と声あり)
○岡部部会長 これも委員全員の方の御了承をいただいたので、そういうような形で今回の委員会を進めたいと思います。よろしいでしょうか。
 事務局のほうもそれでよろしいですか。
○嶋田室長補佐 はい。
○岡部部会長 それでは、これから委員会を開催したいと思いますけれども、きょうは幾つか大きい議題もあります。お暑い中、お集まりいただいて、さらに熱い議論になると思うのですけれども、よろしくお願いいたします。事務局は大変なのですけれども、ここは少し涼しいので、本省でやるよりはそういう点はいいのではないかと思います。
 それから、参考人の方々、お忙しい中、わざわざおいでいただいてありがとうございました。メーカーの方が来ているということですけれども、この中ではできるだけ効果があり、安全性が高くて、なおかつできるだけ安いということもキーワードになると思うのですけれども、そういうようなワクチンの供給がないと実際にはできないですから、そこら辺を実際の取り扱っているメーカー、あるいは販売される社の方が来て、意見を伺うということは当然のことだと思います。それを聞いて、私たち委員が公正に判断をするということですので、この点も一応、念のためですけれども、そういうような形で参考人の御意見を伺うというふうにしておきたいと思います。
 それでは、先ほど資料の確認はされていますので、早速議題に入りたいと思うのですけれども、議題は予防接種基本計画の策定と肺炎球菌、それから、風しんの問題もありますので、活発な御議論と、それから、時間内でということで、進行に御協力をいただければと思います。
 それでは、最初の「予防接種基本計画の策定について」、事務局から御説明をいただきたいと思います。これは幾つかの議題があるわけですけれども、今回は国、地方公共団体その他関係者の予防接種に関する役割分担というところについて、まずは集中していきたいと思います。
それでは、それぞれの役割ということで、説明をいただくことになるのですけれども、最初は事務局から説明をいただいて、茨城県からおいでいただいている入江課長から、それから、川崎市からは坂元委員がおいでになっているので坂元委員から、それから、全体の疫学状況ということで、参考人として来ていただいた大石センター長と、それから、委員の多屋室長からお話をいただく、そういう順番でいきたいと思います。全体について話をしていただいて、それから議論に入りたいと思いますので、よろしくお願いします。
 それでは、最初は喜多専門官からお願いします。
○喜多ワクチン対策専門官 それでは、資料2-1をごらんいただきたいと思います。「関係者の役割分担」という議題については、昨年度までの予防接種部会で御議論いただきまして、平成22年の6月の部会で御議論いただいた際の御意見などを平成22年10月の予防接種部会で、資料2-1のような形でまとめていただきました。それぞれ、国の役割、都道府県の役割、市町村の役割、医療機関の役割、メーカーの方々の役割、あとは臨時接種が想定する地域的な蔓延予防のケースの話から、国とか市町村、その他の関係者の方々の役割について御意見をいただいたものを、ここでまとめさせていただいておりました。
 それをもとに、平成24年の5月に第二次提言をおまとめいただきましたが、その中で「関係者の役割分担」という項目が立てられておりまして、1つ目が、関係者の役割分担については、今後、評価・検討組織における議論を経た上で、予防接種の総合的な推進を図るための計画で定めるということで記載いただいております。
平成25年3月の末に予防接種法を改正いただきまして、法の中で予防接種の総合的な推進を図るための計画というところで、第二次提言の際に御提言いただいたものを基本計画として定めるということで法に盛り込みまして、基本計画の中で関係者の役割分担について再度座御議論いただいて決めさせていただきたいと思います。
資料2-2に、先ほど平成22年10月の資料でまとめさせていただいたものをベースに、第二次提言の中でも、国、都道府県、市町村、また医療関係者、メーカーについて、それぞれ、こういった役割を担うべきであろうということで盛り込ませていただいております。
その中で、参考資料3になりますが、予防接種法で国の役割ですとか、地方公共団体の役割として具体的に書いているのも抜粋させていただいておりますので、議論の中でごらんいただければと思います。
 以上でございます。
○岡部部会長 ありがとうございました。
 それでは、今の都道府県の役割、全体的な流れのお話をいただいたのですけれども、現状では自治体の役割ということになっていますので、まず、それについて、予防接種に関する都道府県の役割、もちろん全体を代表するわけではないのですけれども、茨城県の状況を御紹介いただいて、県が実際にどういうふうにやっているかということの理解にいきたいと思います。入江課長、よろしくお願いします。
○入江参考人 茨城県の保健予防課の入江と申します。
 それでは、都道府県の役割分担について御説明いたします。資料3をごらんいただきたいのですけれども、まず、茨城県について少し申し上げますと、人口約295万人と、人口規模では全国11番目に位置しておりますけれども、市町村はいずれも人口規模が小さく、政令市や中核市など、保健所設置市は一つもございませんし、12カ所ある保健所は全て県型の保健所です。また、人口10万人当たりの医師数や診療所数がいずれも全国で下から2番目など、医療資源が大変乏しいという事情がある中で、県としましては、最低限の質を確保しながら、法に基づいて、正確に安全に予防接種が実施されるよう、日々努力をしております。
 予防接種の実施主体は市町村であることから、県の役割は、技術的な助言や広域的な視点に立った連絡調整などによって、市町村が行う接種事業の円滑な実施を促進することであると考えております。ここでは昨年の第二次提言を参考に、県の役割を5項目に整理いたしました。
 まず1つ目が「予防接種に関わる医療関係者等の研修」ですが、接種医療機関や市町村関係者の資質向上を目的としたセミナーや研修会を開催したり、ワクチン接種に関する技術的助言を行っております。本県では、県立こども病院に予防接種センターを設置しまして、研修会の開催のほか、電話等で市町村や医療機関からの医学的な相談にも随時応じております。
 ここで、ワクチン接種に関する技術的助言についてなのですけれども、新しいワクチンの導入や法改正など、新たな動きがあるたびに、市町村や医療機関から県に対して多くの相談が寄せられます。医学的な観点だけではなく、行政的な判断も求められることから、国に確認しなくてはならないことも多く、担当部局としても非常に苦労しているのが現状でございます。都道府県の力だけでは限界もございますので、予防接種リサーチセンターなども含めまして、技術的助言を行う体制のさらなる充実について、国としても御配慮いただければありがたいと存じます。
 また、県では、誤接種などの事故防止に関する指導や情報提供も随時行っておりますが、近年のように予防接種の種類もふえてくる中で、正しい情報を周知徹底させるためには、例えばですが、接種医を対象とした研修を義務化するなどの対応も将来的には検討すべきではないかと考えております。
 次にまいりまして、2つ目の役割としまして「関係機関との連絡調整」が挙げられます。県では、感染症対策委員会を設けておりますけれども、ここでは感染症の専門家のほかに、市町村、医師会、教育関係者などの代表者が集まっておりますけれども、市町村ごとの接種率、対象者への通知、接種勧奨の方法など、予防接種の実施状況に関するデータを整理して、県全体の予防接種施策の評価を行っております。
ここで、ワクチンの接種率についてですけれども、現在は年度ごとにしか集計ができませんけれども、例えば、市町村の接種台帳のシステムに手を加えて、接種動向を月ごと、あるいはリアルタイムで迅速に把握するようにできれば、接種勧奨やワクチンの円滑な供給にも役立てることができるのではないかと考えます。国レベルでも御検討いただければと思います。
なお、就学前後の子供の接種率を高めるためには、保育所、幼稚園、学校など、特に教育関係者との連携が重要です。茨城県では、たび重なる麻しん集団感染事例を経験したことから、MRワクチン接種の3期、4期導入に合わせまして、平成20年から茨城県麻しん対策会議を設置しまして、麻しん排除に向けた予防接種促進対策に特に力を入れてまいりました。
「都道府県麻しん対策会議」を通じた予防接種促進対策を4つ目のスライドに示しましたけれども、茨城県の麻しん対策会議の例を御紹介しますと、会議では、教育関係者もメンバーに入って、予防接種促進のための提言を発表して、個別通知による接種勧奨のほか、学校や保健センターを会場とした集団的接種の実施などを推進しました。特に県の教育庁の協力を得て、市町村教育委員会を通じて学校ごとに積極的に接種勧奨に取り組む体制をつくりました。さらに、学校欠席者情報収集システムなどを県内全域で導入して、麻しん疑い患者を迅速に把握し、その後の検査診断や未接種者への緊急接種など、蔓延防止を目的とした対応にも活用しました。このような努力の結果、昨年度、本県では麻しんゼロ宣言をすることができました。
続きまして、3つ目の「緊急時におけるワクチンの円滑な供給の確保や連絡調整」ですが、平成21年の新型インフルエンザ発生時のように緊急にワクチン接種が必要となった場合には、国からの情報をいかに正確に迅速に県内全域に周知するかが重要なポイントになります。市町村や医療機関に対して、一斉メールやFAX送信システムによる情報提供を行うほか、県民の受診行動に混乱を招かないよう、マスメディアを通じた広報も県の役割です。また、新型インフルエンザワクチンなど、大人も対象となる臨時接種では、居住地以外でも接種が受けられる広域予防接種体制の構築が必要となりますので、県として集合契約の締結などに調整を行うことも求められると思います。さらに、医薬品卸業組合やワクチンメーカーと連携して、ワクチンの在庫や流通状況等に関する情報収集を行うことになります。
4つ目の「健康被害の救済」ですが、予防接種法に基づく健康被害救済制度につきましては、県は市町村が国に行う被害救済の申請に関する助言を行うとともに、給付金支払いの手続を行っております。
続いて、5つ目の「予防接種の安全性・有効性の向上を図るための調査への協力等」ですが、地方衛生研究所は、国の感染症流行予測調査において、医療機関やと畜場から検体を収集し、抗体価の測定などを行っております。また、医療機関の協力を得て、県では予防接種後健康状況調査を実施しているほか、県内の副反応発生状況を把握して市町村に還元しております。
以上、5つの項目を申し上げましたけれども、予防接種は感染症対策の1つとして、市町村を超えた広域にわたる対応が必要であり、また緊急時には短期間で一斉に実施しなければならないという側面があります。したがって、市町村合併等が進んでも、都道府県の役割は重要であると思いますし、また、今後は、予防接種にかかわるさまざまな組織や機関がうまく連携を図る仕組みを都道府県が積極的に構築していくことが必要であると考えます。
以上でございます。
○岡部部会長 ありがとうございました。
 今、御説明いただいたのは、ほぼほかの都道府県に共通であると考えてよろしいですか。あるいは茨城県だけユニークなところがあるということがあったら、言っていただけますか。
○入江参考人 麻しん対策については特に力を入れまして、昨年度の接種率は、例えば、MRワクチンの1期から3期はいずれも95%を超えたということで、集団的接種を中学校等で行ったというのは、ほかの県と少し違うところかなと思います。
○岡部部会長 ありがとうございました。
 ちょっと加えますと、茨城県は麻疹について早目に問題点がスタートしたところなのですけれども、それだけにいち早く取り組んでいただいて、相当苦労されたわけですけれども、はしかゼロということにも、早々と宣言をして、今も続いているといった状況があります。自治体としての取り組みが功を奏しているということだと思います。
 次は、県と違って、政令市ですとまた少しニュアンスが違ってくると思うのですけれども、坂元委員、よろしくお願いします。
○坂元委員 川崎市の坂元でございます。
 先ほど入江課長からもありましたように、予防接種は市町村の実務となっておりますので、実際、市町村において、どのような流れで予防接種業務が行われているのか御説明申し上げたいと思います。市町村によって実務の流れは本当にさまざまでありまして、我々が知っている範囲で、ここはこうだというふうには述べさせていただきたいと思います。
 資料4で、まず、何を行うかというと、予算を決めるために、接種していただいている医師会の先生方との、いわゆる問診料とか、そのときの診療報酬等々の実情に合わせて接種単価の交渉を行って、その費用を決定いたします。これが第1番でございます。
 2番目に、ワクチンの購入に関してでございますが、これは川崎市独自の方法でございますが、川崎市はワクチンの一括購入を行っております。購入価格が非常に高いので、WTOの対象となっておるために、そのための公示期間等々を設けて、公募をして、問屋から一括購入をするという形をとっております。この点、ほかの都市に比べると、若干ではありますが、ワクチンの購入価格が落とせていると思っております。これは川崎市独自の方法でございます。多くの市は、接種される先生が購入されたワクチン価格を後で還付するという形でやられていると伺っております。
このメリットは、どの先生に何本、いつ、どういうふうに流れているかということを行政側が全て把握できているために、副作用が起きたときに、どのロットで、どの番号かということが速やかに把握でき、対処がとれるということで、最近、厚生労働省の努力により、ほぼタイムリーに地方市町村に副作用情報が来ますので、それとマッチングさせて、適宜対応がとれるというようなシステムになっております。
先ほどの医師会の先生方の接種の委託料プラスこのワクチンの価格を合わせたものが、実際、市町村が予防接種に係る費用となっております。資料の3番目です。市町村における実務の流れの予算算定というところでございます。実際、川崎市では、25年度予算で年間大体35億円という費用を予防接種に費やしております。
参考までに、この25年度、川崎市は今まで不交付団体になっているのですが、たまたま14.6億円の地方交付税がついたということで、次の費用負担という資料を見ていただきますように、ここが若干大きな誤解を生んでいるところでございますので、政令都市の会議でもぜひ周知に努めていただきたいという要望がありましたので、改めて御説明申し上げます。
現在言われているのは、市町村が負担する予防接種費用の9割を地方交付税で見ているという誤解がありますが、これは誤解でありまして、正確には市町村が負担する9割を地方交付税の算定根拠とするというだけでありまして、一体幾らを算定根拠としているのか、中身が全く見えない。政令都市間の情報交換によりますと、ほとんどの都市が実際の負担にはいっていない。例えば、川崎市の場合は35億円。地方交付税全体ですね。これは保健・医療・福祉に限らず、全てのものが含まれて14.6億円なので、9割という数字からはほど遠いということで、その辺の実態の誤解がないようにということで、この辺に関しましては、まだまだ市町村側からは非常に費用的には苦しいという声があることを1つ御承知願いたいと思います。
それから、予診票の作成ということでございますが、これも市町村業務でございまして、全ての予防接種ワクチンに対しまして、このように市町村が独自に予診票というものを作成します。この作成過程におきましては、医師会の先生の御意見、有識者の御意見、それから、しばしばメーカーとの意見交換もされます。メーカーの添付文書の中身とかも見させていただいて、意見交換をした上で、このような予診票を作成させていただきます。この予診票は、川崎市独自の方法として、納入されているワクチンのアンプルとこの予診票の色をマッチングさせるということで、間違いが起こらないような工夫をさせていただいているところでございます。現在、川崎市は同時接種の予診票はまだ作成しておりませんが、今後の一つの課題であると思います。
次の被接種者への個別通知というところをごらんいただきたいと思います。これも市町村によって接種通知方法はさまざまでございまして、個別通知をやっている市町村は少ないと把握しております。川崎市では、全例に対して個別通知を行っております。このように、毎月行っているものと、年1回行っているもので、受ける対象者に、漏れなく全員に個別通知を行っております。
一つの問題といたしましては、住民票を移してしまった後、そのフォローがなかなかできないということがありますが、そのような通知をして、その中に必要な書類を全て添付しております。
それから、接種した後の予診票のチェックというのは、多くの市町村では業者委託という形をとっているところがあるかと思いますが、川崎市では独自に区役所で全ての予診票をチェックしております。大体、月6,000枚の予診票を我々が直にチェックしておりまして、その中の記載項目のミスとか、例えば、保護者の欄の署名と実際に来られた人の署名が違うとか、接種料とか、いろいろなものの、これだけの項目を全てチェックして、その内容に疑義がある場合は随時先生方と相談させていただいております。かなり厳しいチェックを行って、安全性とか、そういうものの担保を行っているところでございます。
それから、次に、接種医に対する研修会といたしまして、川崎市では、予防接種に参加していただいております医療機関全てに対して研修会を実施しております。これは必須でございます。この研修会に御参加いただかなければ、予防接種機関としての資格を認めないということで、この研修会には、行政から、法制の説明、制度の説明、それから、有識者の先生においてタイムリーな内容の講演等を行っているところでございます。これは、「予防接種の手引き」という川崎市が独自に作成したガイドラインに従っております。先ほど厚労省の方に一冊お預けしましたので、後で回覧いたしますので、ごらんいただければと思います。
それから、その次の接種状況の把握のための接種済み調査、これは最も大事なものでございまして、川崎市では、1歳6カ月健診、3歳児健診を独自に市役所で行っております。現在、多くの自治体が医師会の先生等に個別健診という形で委託している自治体も多いかと思いますが、川崎市は独自にやっております。特に1歳6カ月の場合、大体、住民の96%が来所され、3歳児健診では94~95%が来るという、非常に高い健診率を誇っているところでございまして、この健診の前に保護者の方にアンケート用紙を配りまして、その中に、現在の年齢で済まされている予防接種の項目にチェックを入れていただいて、それを当日持参して、健診前にその内容を保健師等がチェックして、予防接種済み率を出しているところでございます。かなり精度の高い方法で行っており、90%以上の接種率を確保しているということでございます。
それから、さらに就学前に、教育委員会と連携しまして、予防接種済み率を全ての児童に対して行って、再度ここでも予防接種済み率を把握して、予防接種済み率の向上を図っているところでございます。
それから、次の予防接種運営委員会でございますが、これは昭和46年から開かれているものでございまして、こういう委員会を設けている市と、設けていない市があると伺っております。川崎市では、この予防接種運営委員会に医師会の先生初め医療関係者、行政、教育関係者、それから、外部の学識経験者にも参加していただいております。ここにおられる多屋先生にも、委員の一人として、いつも厳しい、貴重な御意見をいただいているところでございまして、この委員会において、発生した予防接種とか、種々の問題点を論議し、それを最終的には市長に諮問するという形になっております。毎回かなり厳しい意見が出されているところでございまして、非常にこれが有効に動いていると思っております。
それから、最後に、他都市との情報交換でございますが、政令指定都市間で毎年1回、感染症担当課長会議というものを開きまして、そこにおいて、各都市における予防接種の進捗状況、価格、問題点等を議論して、それぞれの市の予防接種の向上に努めているところでございます。
以上です。ありがとうございます。
○岡部部会長 どうもありがとうございました。
 これも全てがモデルではなくて、むしろ川崎市独自のやり方があると思います。
 それでは、もう一つの話題提供といいますか、きっかけになるのが、いわゆるVPD、ワクチンで防げる疾患についての国内疫学情報で、膨大なデータをいただいているので、全部やっているとそれだけで十分午前中いっぱいですので、短目に、要領よくお願いします。
最初に、大石センター長から、よろしくお願いします。
○大石参考人 昨年度の予防接種制度の見直しについての第二次提言の概要の中で感染症サーベイランスということがうたわれておりまして、この点につきまして、感染研の感染症疫学センターでは、ワクチンで予防可能疾患のサーベイランスを研究業務として行っているわけであります。お手元の資料5の2枚目のスライドに定期接種と任意接種について分けて記載がされております。
 1枚開いていきますと、スライド3枚目に全数把握対象疾患の年次累積報告、これは2013年の2月までのものが記載されております。
 スライド4枚目には、定点把握対象疾患の年次累積報告書が記載されております。
 その次のページから各論に入りますけれども、最後のページにありますエクセル表の「ワクチンで予防可能疾患の国内サーベイランス」というのがありますので、最初にこれについて概要を説明させていただきたいと思います。よろしいですか。
 上の段には、定期接種に組み込まれている疾病とワクチンの組み合わせが書かれておりまして、侵襲性インフルエンザ菌感染症と、今度、定期接種化されましたHibワクチンですね、これについて記載があります。この疾患については、ことしの4月から全数把握疾患となりました。後ほど、この発生動向調査の暫定報告でありますけれども、報告したいと思います。病原体サーベイランスについても、今年度から感染症流行予測調査の中で実施が進められようとしてきています。抗体保有状況についてもサーベイランスの一部として実施しておりますけれども、これにつきまして、2010年にワクチン需要予測事業として調査を実施しております。
 次の枠が小児の侵襲性肺炎菌感染症でありまして、PCV成分、プレベナーが定期接種化されたところであります。これにつきましても5類全数把握疾患となりまして、この発生動向調査についても後ほど報告いたします。病原体調査につきましても、Hib菌と同様に感染症流行予測調査として感染源の調査を今年度から実施する予定になっております。また、抗体のほうは、ワクチン需要予測事業、ヒトの肺炎球菌に対するEIA抗体及びオプソニン抗体保有状況ということで、昨年度に調査を実施しております。
 あと、ポリオにつきましても、感染症発生動向調査に基づくサーベイランスの対象になっております。抗体保有状況についての調査も実施されております。
 以下同様、ジフテリア、百日咳、破傷風、結核、結核のところは病原体のサーベイランスだけでございまして、抗体保有調査は実施されておりません。
あとは麻しん、そして風しん、先天性風しん症候群、あとは日本脳炎、ヒトパピローマウイルス感染症、このヒトパピローマウイルス感染症につきましては、5類感染症定点把握疾患として患者発生動向が調査されておりますけれども、病原体サーベイランスは実施されておりませんで、感染症流行予測調査につきましては、今年度、抗体保有状況の準備をしているところであります。
インフルエンザに関しましては、御存じのとおり、発生動向調査は5類定点、そして感染症発生動向に基づく病原体サーベイランスが行われておりますし、また、ブタからのウイルス分離ということも毎年行われていまして、抗体保有調査も継続的に実施されております。
 下の段にまいりまして、水痘、ムンプス、B型肝炎、成人の肺炎球菌感染症、ロタウイルス感染症、これらは今後、定期接種化を検討しているワクチンでありますけれども、これらにつきましても、患者発生動向、病原体、抗体保有状況が以下のように記載されているような状況でございます。
成人の肺炎球菌感染症につきましては、先ほどの小児の発生動向調査で見ましたけれども、同様に小児、成人ともに侵襲性肺炎菌感染症の動向調査が実施されております。病原体のサーベイランスにつきましても、感染源調査を今年度から実施する予定であります。抗体調査については実施はしておりません。
ロタウイルス感染症につきましては、現在、感染症発生動向調査、5類定点把握疾患でありますけれども、この秋からロタウイルス胃腸炎、重症例、入院例につきまして、全国500医療機関の機関定点サーベイランス開始を予定しているところであります。病原体のサーベイランスの対象となっております。
あと、A型肝炎、狂犬病、黄熱、髄膜炎菌感染症、天然痘、こういったものについてのサーベイランスを実施しているところであります。
 私からは以上でありまして、先ほどの資料5の各論のところから、多屋委員に御説明をお願いしたいと思います。
○多屋委員 時間が余りないのですけれども、どれぐらい大丈夫なのでしょうか。
○岡部部会長 5分ぐらい。ディスカッションの時間をとりたいので、済みません。
○多屋委員 わかりました。それでは、1ページ10秒ぐらいでいきたいと思います。
 まず、2ページ目までは大石センター長がお話ししてくださいましたので、3ページ目からになります。各論になります。まず、麻しんの患者数が2008年と比べて96%減で、年齢分布も10代、20代が減ってきているというグラフです。
 4ページ目にまいりまして、ことしの麻しんの患者数は、現時点で100人台とかなり少なくなっております。人口100万人当たり1未満が目標ですけれども、現在、1.1という状況です。
 5ページ目に行きまして、全数の検査診断を今、力を入れて、衛生研究所の先生方と感染研で一緒に頑張っているところですけれども、IgM抗体だけではクロスの反応がありますので、PCR法によるウイルス遺伝子の検出が中心に行われています。
 6ページ目に行きまして、衛生研究所に搬送されますと、麻しんウイルスの遺伝子型も検討していただいているところが多く、世界ではどういう遺伝子型が流行しているのかのグラフがWHOに載っていますので、これらをもとに、その下にある、日本で検出されている遺伝子型と比較して、どういったところから持ち込まれたかということを検討しています。
 次に、7ページ目は風しんです。風しんは以前は小児科定点でのサーベイランスでしたので、大人の把握ができておりませんでした。それが2008年からは全数になり、大人が把握されていますが、2004年、小さくマルをつけていますけれども、子供でのメーンの流行でしたので、大人のほうは把握ができていません。しかし、いろいろなサーベイランスの情報、あるいは積極的疫学調査の結果から、大人での集団発生もあり、結局、10人のCRSの赤ちゃんが報告され、緊急提言に結びついたのが平成16年となります。
 次のページに行きまして、今はこういう調査は報告されていませんが、風しんによる人工流産の数と風しんの報告数が時期をぴったり一致させるということも以前はわかっておりました。
 その次が、生年月日別に見たほうが御自身の予防接種歴がわかりやすいだろうということで、このような表をつくっております。
 次に、9ページ目に行きまして、1回だけの接種では抗体ができない方がどうしてもいらっしゃいます。その割合が感染症流行予測調査事業からわかってきます。水色の部分が抗体陰性の方です。黄色の部分が低いという方です。1回接種者の方はこういう状況なので、2回接種が必要と言われていると思います。
 その下が接種状況で、毎年の接種率が95%以上を達成すれば赤という形でグラフ化しています。
 次のページに行きまして、結局、224万7,786人が未接種だったわけですけれども、2011年に海外から入ってきた風しんウイルスは国内で広がり始め、2013年、非常に大きな流行となっています。
 11ページ目に入りまして、風しんの流行は全くとまろうとしておりません。毎週1,000人規模で増加が続いています。昨年の23週と比較しますと、ことしは30倍の報告数となって、非常に危惧される状況となっております。
 次のページに行きまして、地域別に見ますと、首都圏と近畿地方が多いですけれども、その次の横の23週だけを見ると、もう既に近畿地方のほうが首都圏よりも多い状況となって、近畿地方での増加が著しい状況となっています。それ以外にも、九州の鹿児島県、あるいは大都市圏を含む地域での報告が多くなっています。
 これを人口100万人当たりにしますと、12ページ目の下ですけれども、今、最も多いのが大阪府、そして東京、和歌山、鹿児島、兵庫、神奈川といったところで、人口100万人当たり100人を超えています。感染地域は99%以上が国内での感染であると報告していただいています。
 次に、14ページ目に行きまして、ことし、かなり取材が多いのですけれども、取材に来てくださる記者が私の話をもとに、こういったわかりやすい図をNHKがつくってくださいまして、そこにちょっと私のほうで書き加えたところもありますけれども、御自身がどういった予防接種を受けていたのかということを見る資料としては非常に重宝されていると思います。
 それをもとにその下を見ていただきますと、予防接種の制度とぴったり、ことしの風しんの流行は一致していることがわかります。男性が女性の3.3倍、子供は少なく、全体の1割、全体の9割を大人が占めます。20、30、40代の男性が多く、女性は20代が多い。15ページ目の上ですけれども、まさに妊娠・出産・育児世代の方々に風しんが流行しているということで、その下の先天性風しん症候群の報告がこの夏から秋にかけてふえてくるのを非常に心配しております。2012年10月以降で11人のCRSの患者の報告があり、これらについても詳細に今後検討していかなければいけないと思っていますけれども、今後の報告が危惧されるところです。
 次のページに行きまして、結局、11人の赤ちゃんのお母様については、赤で囲っている時期に感染を受けられていた方だと思います。これがことしは30倍以上になりますので、心配しているのがこういうところから来ます。
 その下が感染症流行予測調査事業といって、ここに書いてある県の先生方が測定をしてくださっている結果をまとめたものです。都道府県の衛生研究所の先生方が測定してくださって、県の先生方が検体を集めてくださっています。男女差が大きく、特に30代、40代の男性と女性の差は青で囲っているところですけれども、男性は2~3割が抗体陰性、一方、女性は95%程度が抗体陰性です。20代と50歳以上では予防接種の制度に変わりありませんので、男女差がないという状況になります。
 次に、17ページに行きまして、百日咳ですけれども、ことしはちょっと少ないのですが、大人が多くなってきているというのが、その下のグラフにわかります。
 5分たったので、あとはごらんいただきたいと思います。抗体保有率のグラフが18ページ、19ページがジフテリア、そして20ページが破傷風、これも抗体保有率と患者の発生がぴったり一致しています。
21ページ目は結核研究所の先生がおまとめになられたものです。
22ページからはポリオに行きまして、ポリオも抗体保有率が、生ポリオワクチンの接種率低下によって下がっていることがわかります。
日本脳炎は積極的疫学調査の差し控えで非常に接種率が落ちましたけれども、24ページに行きまして、患者がこのように出ているということ、抗体保有率が積極的勧奨の差し控えで随分解消してきているということが26ページ目に書いてあるグラフでわかります。
ワクチン未接種者の抗体保有率から見ると、どれぐらいの日本脳炎の患者が出ているかという推計が27ページ目。
その次が水痘ですけれども、水痘は毎年150万人ぐらいの患者が出ていると推計されていますが、ことしは若干少ないように思います。水痘、麻しん、風しん、ムンプスでは最も多い死亡数が水痘ということになります。
30ページに行きまして、おたふく風邪も5~6年に1回、大流行を繰り返していまして、100万人規模の大きな流行となっています。これはまだ子供たちが中心の流行で、ことしは若干少ない印象です。
その後は、A型肝炎、B型肝炎、これも年度差がありますが、A型肝炎の集団発生があったのが2010年、B型肝炎につきましては33ページ目からですけれども、性的接触を感染経路とした報告が現在は多い状況にあります。
35ページ目以降は侵襲性感染症のサーベイランスで、先ほど大石先生がお話しされましたように、侵襲性肺炎球菌、インフルエンザ菌、髄膜炎がサーベイランスされています。それが36ページ目、37ページ目、そして庵原先生の御報告で患者が減ってきているということも研究班などで報告されています。一方、19Aという7価に含まれていない肺炎球菌の割合がふえていることも報告されています。
39ページ目、急性脳炎、これもVaccine Preventable Diseasesで非常に多いですけれども、どういう患者が報告されているかというサーベイランスをしています。
最後、インフルエンザですけれども、インフルエンザのサーベイランスはよく報道されるので皆さん御存じだと思いますが、予防接種状況なども感染症流行予測調査事業で把握されています。大体半分で維持されています。
その後は尖圭コンジローマのサーベイランス。
ロタウイルスは、このように一部という状況なので、今後改善されると聞いています。
最後は狂犬病で、2006年以降、報告はありません。
 以上、駆け足でしたけれども、こういったことをやっております。
○岡部部会長 どうも駆け足で済みませんでした。少し前まではワクチンで防げる病気のサーベイランスも余りはっきりしていない部分があったのですが、全国の先生とか、行政機関からの報告による膨大なデータを感染研でまとめるようになり疫学データーが出てきたと思います。せっかくできたデータは皆さんにぜひ共有をしていただきたいものなので、いろいろなところで使っていただければというのは、元情報センターにいた者としては、お願いであります。
 それでは、時間も限られているのですけれども、特に自治体とか、都道府県、それから、市の役割とか、そういったところで御意見をいただければと思います。
前提なのですけれども、この分科会の前の予防接種部会、では、基本的には日本の場合は国が中心になって方針や何かを決めていく、実施主体は地方にあるといった国と地方の関係、このところは一応、崩さなくてもいいのではないかということが議論されています。決まりとしてもかなりリジッドな部分があるので、ここはいじれないという話もあったということが前提です。ただ、費用の問題、その他、いろいろなことがあると思いますので、その点で御意見をいただければと思います。参考人の方々もどうぞ自由に意見をおっしゃっていただいて結構ですので、よろしくお願いします。それでは、どうぞ。
 では、小森先生から中野先生に。
○小森委員 ありがとうございます。茨城県のことについて2点教えていただきたい。予防接種台帳について、市町村の台帳に手を入れて云々というお話がございました。また、一方で国でも検討してほしいということがありましたけれども、茨城県下の市町村の予防接種台帳をそろえるというような方向性の議論、そして現状について教えていただきたいということでございます。
 それから、ワクチンの円滑な供給の確保、連絡調整というところですが、インフルエンザワクチンのときにも流通改善の問題が多々ございました。今、MRワクチンの不足等についても必要でないかなと思っておりますが、卸、それから、県の行政並びに県医師会等が密接な連携をとって、過剰な在庫を持っている医療機関等に対する注意喚起をすることが重要と思っていますが、そういったことについて、どのような状況かということを教えていただきたい。
 最後に、川崎市で坂元委員が強く強調されましたけれども、私も3大臣合意における9割を地方交付税で措置ということについては評価をしているわけですが、現実に予算30億円について、全て合わせての地方交付税が14.6億円ということについての事務当局の考え方について、一回御説明をいただきたいと思います。
 一応、以上でございます。
○岡部部会長 最初に入江課長からお願いします。
○入江参考人 市町村の予防接種台帳につきましては、特に県のほうで関与はしておりませんで、現状としては市町村に任せている状況です。ですから、いろいろな業者にシステムを委託しているので、多分、中はばらばらだということです。
○岡部部会長 坂元先生、加えていただけますか、市として。
○坂元委員 川崎市では一括購入しておりますので、先生方はどの程度の在庫を持っているかを全市で把握しております。したがって、流通状況から全て把握しておりますので、今、多屋先生から説明があった、風しんの問題に関しては、ちょっとMRワクチンが不足気味かなということで、これ以上プロモーションをかけてしまうと、実際に受けるお子さんたちに行くのかなという不安、そういう流れは市で一括して、かなり詳細に把握しております。
○岡部部会長 予防接種台帳の問題は随分前から言われていて、部会のほうでも、これは改善をしなくてはいけない、基本的には予防接種台帳をつくらなくてはいけないということにはなっているのですけれども、実際にはいろいろな問題からできてなく、また、実施主体がそれぞれやるといったことでばらばらであるということもあるので、基本問題としては、今後の課題として一つ取り上げておく必要があると思うので、これはノートをぜひお願いします。
 中野先生、お願いします。
○中野委員 冒頭、部会長がワクチン全体の費用のことを御指摘されました。私もとても大切なことで、費用それぞれを切り詰めないと、多くの方にワクチンが普及しないと思っています。その点で、坂元委員が御紹介になられた川崎市の入札による一括購入というのはすばらしい試みだと思うのですが、今までの定期接種の多くのワクチンは、ワクチン間に経験的に互換性がございました。しかし、新しい種類のワクチンが出てきたり、定期接種の種類がふえますと、互換性が証明されていない、逆に同じものを使ったほうがいいというワクチンが幾つか出てまいります。それに対する対処策というか、特に不都合は、この後ございませんでしょうか。
○坂元委員 ワクチンに関しましては、先ほど申し上げました予防接種運営委員会という中において、いわゆる専門家の先生方に入っていただいてチェックしていただいておりますので、その辺の問題も含めて議論になっているところでございます。確かに1つの問題点といたしましては、ある先生は、自分はこのワクチンを使いたいのだ、こっちは嫌なのだといったときに、市で統一してしまっているという問題があることも認識しておりますが、現時点においては今の方法を継続していきたいと思っています。
○岡部部会長 先ほど伺うのを忘れた交付税の関係は、今の議論が終わってから、後で事務局でお願いします。
 庵原先生、どうぞ。
○庵原部会長代理 三重県の場合は、ワクチンは市の一括購入ではなくて、各接種医が購入する形にしています。ただ、委託料金は統一です。各市町によって、当然、委託料金は異なります。ですから、ある意味で、各医療機関の企業努力という形で購入価格が動く。ですから、Aという医療機関とBという医療機関は購入価格は異なるということが現実に起こっている。
なぜ三重県はそういう方法をとっているかというと、先ほど中野先生が言われましたように、接種する医師がいろいろな勉強をした結果、やはり私はこのメーカーのワクチンを使いたいという意見が強く出るからです。ということは、逆に言うと、勉強した医師ほどその要求が強くなるので、お上の言うことはなかなか聞かないよという意見が強く出てくるというのが三重県の実情です。ですから、逆に言いますと、茨城県のようにいろいろな研修会をやればやるほど、各医療機関の意見が強く出るというのが現状でないかというのが私の意見です。
○岡部部会長 実情によって判断しなくてはいけないところがあるので、この辺はどうも統一がとれないところかもしれないですね。イギリスなどは国が全部統一でやって、共通のものをやっています。しかし、あそこは医療制度が違うので、日本にないGP制度を用いているので、そういうことの実情の差もあるのではないかとは思います。しかし、それぞれ参考にしていただいて、その地域によりよい方法を取り入れていくということも必要だろうと思います。
 先ほどの交付税のことに関しては、事務局のほうからお願いします。
○宮本予防接種室長 交付税の仕組み全般のことで御指摘いただいたのかなと思います。地方交付税の仕組みですけれども、財政基盤の違いによって自治体間の事業に実施差が出ないようにということで、不足する自治体には多目に地方交付税が国を経由して配分されると、こういった仕組みの中での対応になりますので、私どもとしては、そこはある程度やむを得ないのかなと思っております。一方で、今回の予防接種法の改正に並行しまして、算定基準ということではございますけれども、その割合を9割までふやすことができたというのは、多くの自治体で安定して実施をできる、そういう機運がつくれたのかなと思っております。そこはいろいろな御意見あるかと思いますけれども、また伺いながら進めてまいりたいと思います。
○岡部部会長 自治体としては、それだけ求めやすくなったということですかね。予防接種に関して。
○宮本予防接種室長 個々の自治体によってそれぞれ御事情はあると思いますけれども、日本全体として見てまいりますと、基盤は充実したのかなと思います。
○岡部部会長 なかなか説明の難しいところではありますけれども、坂元先生、それでよろしいですか、説明としては。
○坂元委員 当然、自治体によって財政力の背景がさまざまでございますので、地方交付税の配付に関して差があるということは十分承知しているところでございますが、政令指定都市の会議で、どこに伺っても、本当に反映されているのかという議論が出ておりますので、もうちょっと努力していただいたらという思いを込めて意見を述べさせていただいたところでございます。
○岡部部会長 国側としては、こういうシステムなので、ぜひ予防接種に費用を回してくれということを自治体担当課はおっしゃっていただいてもいいシステムではないかと思いますので、よろしくお願いします。
 時間があれなのですけれども、もう1つ2つぐらい議論したいと思うので、庵原先生、どうぞ。
○庵原部会長代理 今、川崎の意見を聞いていますと、問診票をきちっとつかんで、予定の日よりもずれた場合、ペナルティーのように、接種した医療機関に文句を言うというか、意見を述べるということをやっておられる。地域によっては、予防接種台帳をきちっとやるところはそういうことをやっているところがあるのですけれども。ということは、ワクチンは一体誰のためにやっているのだという、その視点は、今の意見だと、行政が自分のためにやっているように捉えられるのですね。ワクチンはあくまでも病気になることを予防する、子供なり、要するにVPDにかかるのを予防するのがワクチンであって、そうすると、基準の間よりも1日か2日ずれてもワクチンは効くわけなのですね。それを、ワクチンは法律からずれているからだめであるよということを行政がやられると、一体誰のために、何のためにワクチンやっているのかという視点が飛んでしまっているのではないか。ですから、もう少し広くものを考えるような視点でワクチンをやっていかないと、逆に言うと、行政がだめだと言うから、結局、接種率を落としているのではないのと。結局、接種率を高めるためにはどうしたらいいかと考えると、やはり子供のための、病気になったら困る人たちのための視点でものを考えていかないと、いつまでたっても接種率が上がらないのではないかというのが私の意見です。ですから、もうちょっと受ける人に優しいようなシステムを考えていかなくてはいけないのではないかというのが行政への注文です。
○岡部部会長 どうぞ、坂元委員。
○坂元委員 決して排除するという方法ではなくて、実際には、年間、そのような問題は本当に数例ということで、それを受け付けないという方法ではございません。行政としては、やはり法律というものがあって、それに沿っていないと、後に副作用が起きた際に、種々法律的な問題になりますので、法律の範囲の中でやらせていただいているということで、今、庵原先生からありましたように、ワクチンはあくまでも市民のために、どうやったらいいかということを行政は考えておりますので、決して排除するためという方法ではありませんことを御理解いただければと思います。
○岡部部会長 庵原先生、どうぞ。
○庵原部会長代理 済みません。いつも問題になりますのは、ワクチンの範囲を超えた場合に、万一副作用が起こった場合というのを行政が非常に怖がっているわけですね。もし万一副作用が起こった場合に、国としては、それは定期接種の枠から外れているとして健康被害を受け付けないのか、いやいや、子供のためを思っているので、健康被害は受け付けますよというのか、そのスタンスは一体どっちに向いているのか、その辺を明らかにしてもらえば、行政はもっとやわらかい、温かい方向へ進むのではないかと思うのですけれども、この辺、国の意見を聞きたいのです。
○岡部部会長 例えば、間隔が6日間でやらなくてはいけないところを、7日目で発熱が起きて、けいれんを起こして入院したと。そういった場合が被害救済の対象になるか、ならないかという質問だと思うのですけれども、事務局のほうはいかがでしょうか。
○難波江課長補佐 まず、接種の規則は、省令、また通知で定められております。対象年齢については政令で定められているのですが、今おっしゃられているのは、対象年齢よりも接種間隔のお話かと思います。例えば、接種間隔1週間から3週間の間に次の接種を打つ。それが3週間を超えてしまった場合、どうするかと。今の規定では、発熱等のやむを得ない事情の場合は認められるという形で、今回の改正に合わせても、その辺、より認められる方向で記載を見直し、また、その対象のワクチンもふやし、いろいろな自治体への説明会でも、こういう規定がありますということを常に周知はしているところであります。
 もう一つの救済のほうについては、ケース・バイ・ケースで判断せざるを得ないかと思います。
 もう一点ですが、接種率の向上については、当然、我々も接種率の向上を図らないといけないと思っているところでありまして、昨年、麻しんの指針の議論でもあったのですけれども、例えば、今、1期接種だと95%の接種率を超えている。2期接種が93%で、相当高い接種率がある。これを対象をもう少しふやすかどうかという議論があった中で、この間に打たないと定期接種ではないと、いつでも打てるような仕組みにしてしまうと、逆に接種率が下がるのではないかという議論もあったことを言及させていただきます。
○岡部部会長 一定のルールに基づいたところでは、これをやらないと契約に違反するということだと思うのですけれども、一方で、忘れてしまった人とか、事情のある場合、これは例外的に定期接種と認めるようになってきているのですけれども、そういう場合をどういうふうに取り扱うか、これは課題として検討を続けていきたいと思います。
 では、そろそろ最後なので、最後の御意見を大石先生。
○大石参考人 中野委員がおっしゃったように、定期接種化すべきワクチンが非常にふえているので、価格は非常に重要だと思います。庵原委員がおっしゃった医師の裁量というのも柔軟な対応が必要かとは思うのですけれども、川崎市がされたような、一括購入してコストダウンするということもすごく重要な方針だと思うのですけれども、国としての立場としては、基本的に自治体の判断に任せるということなのですか。国としての方針というのは決まったものはないのでしょうか。
○難波江課長補佐 価格については、最終的には実施主体である市町村なり、医療機関のほうでの契約となる。つまり、国が契約主体ではないため、我々ができることは、お願いはいたします。今回、例えば、Hibワクチンについて、定期接種化されたことを受けて、メーカーのほうで御配慮いただいたと。そういった働きかけ、要請は行っていきますが、最終的には契約主体である市町村なり医療機関と卸メーカーとの合意の中でなされていくというものでございます。
○岡部部会長 ありがとうございました。
 では、そろそろ次に移りたいのですけれども、1点、私のほうから、川崎市から発表のあった予防接種の研修会とか、それから、予防接種運営委員会、私はこれはいろいろな自治体で既にやっているのかと思ったら、意外にそうではなくて、別にそういうことは規定がないといったこともあるのだそうですけれども、先般のB型肝炎の集団予防接種による検討会の中でも、こういったものをきちっとやって、できるだけ接種医が、現在複雑になっている予防接種というものを理解できるようなことを自治体がサポート、あるいはリードしていかなくてはだめではないかという意見もありました。その辺も、今後、自治体にとって必要なものという形で、何らかの形で検討して、この会の意見として出していただければと思います。
 さらにもっと問題はあるとは思うのですけれども、今まで話していたのは、あくまで通常の定期接種の場合なので、臨時接種といった場合、具体的に言えばパンデミックワクチンなどは別のところで検討しているので、ここではそのままに置いておくというふうにしたいと思います。幾つかの課題も出てきているので、それをノートしておいていただいて、今後、もう一回、案を出しながら、それについて検討を加えていくということですので、そのほかにも課題がありましたら、事務局ないし私のほうに連絡をしていただければと思います。
 それでは、議事を移したいと思います。次は極めて実際的なところになりますけれども、今後必要なワクチンとして、小児用の肺炎球菌ワクチンは既に7価ワクチンが導入されておりますが、これが導入された当時から既に13価が目の前にあるけれども、これを次にどうするかという課題がありました。それで、今回13価ワクチンが薬事法の承認もとれたということで、今後の切りかえをどのようにするかといったことが議論すべきことになります。その点について、まずは菊地参考人からお話を伺いたいと思いますので、よろしくお願いします。
○菊地参考人 ファイザーでワクチンの開発を担当しております菊地と申します。本日はどうぞよろしくお願いいたします。
 それでは、早速、小児用13価肺炎球菌結合型ワクチン、プレベナー13の臨床試験データの概要を説明させていただきます。資料6-1をごらんください。
 本日説明させていただきたいのは、こちらの3点でございます。1つ目としまして、簡単に13価肺炎球菌結合型ワクチン(PCV13)について、2点目としまして、国内第3相試験(3024試験)の概要、3点目といたしまして、7価から13価への切りかえ及び13価のサプリメンタルドーズの免疫原性及び安全性の評価をしました2つの外国臨床試験データでございます。
 それでは、2ページ目をごらんください。プレベナー13は、4月現在、126カ国で承認され、弊社社内調査では69カ国で定期接種化されてございます。
 特徴といたしましては、現在、プレベナー7価がカバーしております7つの血清型に加え、新たに6つの血清型を追加しております。それにより、より広範囲のIPDに対する予防効果を発揮するものと期待されております。
 また、アジュバンドにつきましては、7価と同じリン酸アルミニウムを使用しておりまして、同量を含んでおります。
 キャリアタンパク量につきましては、追加6価血清分の増加をしております。
 開発の経緯でございますが、2004年より海外で第1相試験を開始いたしまして、2007年以降、国内で2つの第3相臨床試験を実施しております。
欧州では2009年、米国では2010年にそれぞれ承認されまして、日本では本年6月18日に承認されております。
 また、具体的な発売時期でございますけれども、現時点では未定でございますが、年内発売を目指して、今後準備を進めてまいりたいと存じます。
 それでは、3ページ目の国内第3相試験(3024試験)の概要を説明させていただきます。
 本試験の目的は、3種混合ワクチンDPT併用下で、7価、あるいは13価を同時接種した場合の免疫応答の非劣性の検証、13価同時接種及びDPT単独群でのDPTに対する免疫応答の類似性の確認及び7価、13価とDPT同時接種時の安全性を検討いたしております。
 主要評価項目といたしまして、免疫原性に関しましては、初回免疫後のIgG抗体濃度の保有率が閾値(0.35μg/mL)以上に達した被験者の割合とGMCを評価しております。
 安全性につきましては、局所反応、全身反応、有害事象を評価しております。
 4ページ目にまいりまして、こちらは試験デザインでございます。本試験は、多施設共同、実薬対照、二重盲検比較試験で実施しておりまして、生後3カ月から6カ月の乳幼児を対象に、被験者を3群に割りつけまして、3回の初回免疫及び追加免疫を接種していただきました。
 その下が抗体保有率のデータでございます。赤いバーが13価、青いバーが7価の群を示しておりまして、左側の7共通血清型に対しましては、7価と13価で同程度の抗体保有率をほぼ100%示しております。1より右側の6追加血清型に対しましては、13価で、いずれも高い価を示しております。
 次の5ページでございますが、こちらはGMCのデータでございます。先ほどと同様に、右側の7つの共通血清型に対しましては、7価と13価でほぼ同程度の免疫応答を示しておりまして、6追加血清型に対しましては、全て13価で高い価を示しております。
 次に、安全性のデータでございますけれども、局所反応といたしまして、発赤、腫脹、圧痛を評価しております。7価、13価ともにDPTと同時接種で発現頻度は類似しておりまして、忍容性に問題はございませんでした。
 次の6ページでございますが、発熱のデータでございます。DPT単独群よりも若干頻度は高くなりましたが、7価と13価を比較した上では類似しておりまして、忍容性に大きな問題はございませんでした。また、発熱のほとんどは39度以下でございました。
 次のスライドが、以上、国内第3相試験の結果のまとめでございますが、このように13価の免疫原性は有用であることが確認され、また、安全性に関しましては、7価と同様のプロファイルであることが確認されました。
 次の7ページでございますが、切りかえ及びサプリメンタルドーズの外国試験データの紹介をいたします。この外国試験データに関しましては、国内では皮下注でやっておるのですけれども、外国では筋注で実施されております。
 まずは008試験、フランスで実施された試験の概要でございます。生後2カ月の乳幼児を対象といたしまして、7価及び13価を4回接種した群と、7価を3回接種した後に13価に切りかえた群の免疫応答を比較評価いたしました。
 8ページにデータがございます。まず、抗体保有率のデータでございますが、青いバーが3回の7価接種後に13価に切りかえた群でございますが、6追加血清型に対しまして、赤の4回13価を接種した群とほぼ同様の高い抗体保有率が得られております。
 次のスライドでございますが、こちらはGMCでも同様に、青の13価へ切りかえた群では、6追加血清型に対しまして、赤の13価を4回接種した群と、低いものの、高い抗体率が得られております。
 9ページ目でございますけれども、こちらは安全性に関するデータでございます。切りかえ時の局所反応と発熱に関しましては、他の群とほぼ同様の傾向が認められまして、安全性に関する懸念はございませんでした。
 次に、3011試験、米国で実施された試験の概要でございます。対象被験者といたしましては、3回以上の7価接種歴のある15カ月超5歳未満の小児に対しまして、13価のサプリメンタルドーズを接種した試験を実施いたしました。
 10ページ目でございますけれども、こちらは15カ月超2歳未満の抗体保有率のデータでございます。13価のサプリメンタルドーズの接種前後で、接種後におきまして6つの追加血清型に対しまして高い抗体保有率が得られております。
 次のスライドは、2歳以上5歳未満の抗体保有率のデータでございますが、同様に13価のサプリメンタルドーズの接種により、6追加血清型に対しまして高い抗体保有率が得られております。
 11ページ目のデータでございますが、こちらは15カ月超2歳未満のGMCのデータでございます。抗体保有率と同様の傾向が認められております。
 その下のデータでございますが、2歳以上5歳未満のGMCのデータでも同様な結果が得られております。
 12ページ目に移りまして、こちらは安全性に関するデータでございます。各接種回ともにほぼ同様の局所反応が認められておりまして、4回を超える接種でありましても、特に局所反応が増強するといった傾向は認められませんでした。
 次のスライドにつきましては、発熱でございますけれども、こちらもサプリメンタルドーズによって特に増強される等の安全性の懸念は認められませんでした。
 13ページ目が外国試験データのまとめでございますけれども、以上より、7価から13価への切りかえ及び13価のサプリメンタルドーズによって、6追加血清型に対して免疫応答を得ることが確認できておりまして、また、7価完了者に対しまして、13価をサプリメンタルドーズで追加することによって、安全性につきましても特に問題となるような点はございませんでした。
 以上でございます。
○岡部部会長 どうもありがとうございました。
 それから、医療経済的な調査研究も重要であるということが前回の予防接種部会からずっと続いているので、その点について、池田委員から御紹介をお願いします。
○池田委員 池田でございます。
 私は、今回の小児用肺炎球菌ワクチン、現状7価で接種されているわけですが、これを13価で接種をすることになった場合の医療経済的な影響についての推計を行いました。ただし、これは既に実施されているものではございませんし、長期的な予後予測、あるいは医療費の推計ということになってまいりますので、前提条件を変えると結果も多少変わってくる部分もございます。
 資料7の上のスライドに今回の推計の前提条件をお示ししてございます。以前の作業チームの報告書の中で、7価のワクチンについては費用対効果の推計を行っておりますけれども、そのときと若干推計方法を変更している部分がございます。当然ですが、13価を接種した場合の選択肢を含めて検討しております。さらには、7価のワクチンの接種を4回終わっているけれども、その後に13価のワクチンを追加接種するという選択肢についても、18カ月での接種、24カ月での接種という2通りのものを比較対象として入れてございます。
 費用の推計でございますが、これは前回の作業チームのときと同様でありますけれども、肺炎球菌ワクチンの接種費用並びに肺炎球菌に関連した疾病の治療費を合わせた金額を5年間ということで推計をしております。ただし、髄膜炎、菌血症といった侵襲性肺炎球菌感染症に関しましては、これ自体の医療費、あるいはワクチンによって、これがどれだけ減らせるかというデータがあるのですが、肺炎と急性中耳炎に関しましては、必ずしも肺炎球菌が原因になっていない罹患についても費用として入っておりますので、そこは御注意いただきたいと思います。接種費用は、希望小売価格及び診察料を参考に設定をしております。有効率等についてはここに示したとおりでございます。
 なお、前回は割引率、将来起きてくる健康改善とか、あるいは将来発生する費用を現在価値に割り引くということで、年率3%ということで推計をしておりましたが、昨今、諸外国でも、小児に対してそういった割引率を適用しますと、将来の予後に関する評価が非常に低くなるということで、割引率の値を見直すということが各国ありまして、今回は割引率を適用せず推計をいたしました。
 その下のスライドでございますが、これはワクチンを接種しない場合に比べて、現状の7価ワクチンを接種するという形で費用がどうなるかということを示したものです。ワクチン費用は当然かかりますが、中耳炎等の医療費の節約がある。全体的には1万6,000円程度費用が増加する形になりますが、この分、多くの患者が救われているという点で、費用対効果の点については後ほど、その数値はお示しをいたします。
 これに加えまして、13価を接種した場合の計算をしますと、7価を接種している場合に比べましてワクチン費用は若干上がりますが、それ以外の疾病の罹患、それに関連した医療費が削減されるということが計算の結果として示されております。
 次に、費用だけではなくて、効果の点も含めまして、二次元的に結果を示したものが2枚目の上のグラフでございますが、ワクチンを投与しない場合に比べまして、横に行けば行くほど健康改善がある、あるいは死亡や罹患が防げることを示しております。上に行けば行くほど、ワクチン費用と医療費の合計額がふえていくということでございます。非投与の場合に比べまして、13価を接種した場合には若干の費用の増加はありますけれども、大きな健康改善があることが見てとれるかと思います。
実は、横軸は質調整生存年、クオリティー・アジャステッド・ライフイヤーズという単位を使ってございます。これはQOLと生命予後、生存ですね、両方を統合した指標でございまして、詳しい説明は時間の関係で省略をいたしますが、2枚目の下の表にございますように、ワクチンを接種しない場合に比べまして、13価のワクチンを4回接種するということで推計をいたしますと、1質調整生存年、すなわち1年の健康な命の価値をふやすのに258万1,920円という推計結果となっております。
ただ、これはさまざまな前提条件を置いて長期的な予後を推計しておりますので、あくまでも暫定的な、中間的な推計結果だということで御理解をいただきたいと思います。より詳細な分析に関しましては、今後、庵原先生の研究班で引き続き検討させていただく予定としております。ただ、ここで示されました数値というのは、先進国で一般に考えられております1質調整生存年獲得当たりの追加費用の基準からいきますと、妥当、費用対効果は良好だという判断がなされるものであります。
現状やっている7価で接種する方法に比べて、13価を接種することにいたしますと、上のグラフでごらんいただきますように、医療費も含めた費用は下がります。健康結果はより改善いたします。これはいわゆるドミナント、有意な選択肢というのですが、費用は削減され、効果が確認されるということで、認証的にも経済的にも、可能であれば13価を接種ということが推奨されるかと思います。
なお、参考までに行いました、これまで7価の接種が終わった児に対して、18カ月、あるいは24カ月で13価のワクチンを1回補助的に追加接種するという選択肢に関しましては、上のグラフでごらんいただきますように、点が、追加接種のほうが右側に行きますので、当然、疾病は一定程度防げて、効果は改善します。ただし、上のほうに点が行っておりますので、7価を接種する場合に比べまして、病気は防げるけれども、ワクチンの費用がよりかかってくるという形になっております。
試みにこの費用対効果を計算したのが下の表になります。18カ月の場合は1QALY当たり800万円程度、24カ月ですと3,000万円程度でございまして、もちろんこれは推計ですので、条件を変えると若干数字は変わってまいりますが、費用対効果として、接種するのであれば、早目に接種したほうが費用対効果はいいという結果になります。
ただ、ここからは私の個人的な意見でございますが、分析結果はこのようなことで、7価に変えて13価を接種することは、医療経済的には推奨されることだと思います。
補助的追加接種に関しましては、打つ年齢によって結果が変わってまいりますが、これはあくまでも過渡的な、数年間での接種の方法ということになりますし、この対象となる児も限られておりますので、財源的な点で許されるのであれば、追加接種は行うべきであると、個人的には考えております。
以上でございます。
○岡部部会長 ありがとうございました。
 対補助的追加接種というのは、3プラス1をやった後の1回目ということですね。
○池田委員 そうです。
○岡部部会長 3プラス1で1つのシリーズと考えていて、そこででき上がったものに対して、もう一回確認というか、ブースターをかけるという意味で、補助的追加接種という言葉を使っているので、誤解のないように、一応、確認だけさせていただきました。
 それでは、氏家補佐から、このスケジュールの計画のような形でお話をお願いします。
○氏家課長補佐 これから、承認となった13価について定期接種に加えることの検討を行いたいと思いますが、池田委員からお話があったように、希望小売価格について、資料6-2にありますので、こちらを菊地参考人から追加して説明していただきたいと思います。お願いします。
○菊地参考人 6-2の資料につきまして説明させていただきます。
 真ん中ほどにございますけれども、現在、7価のプレベナーに関しましては、希望納入価格は6,800円でございますが、今回、プレベナー13に関しまして、新たに6種類の血清が追加されるということでございまして、希望納入価格といたしましては7,200円を予定しております。ただ、最後の部分でございますけれども、13価、本年度中の切りかえに関しましては、プレベナーの価格を維持しまして6,800円ということでございまして、来年の2014年4月1日以降、7,200円を適用することを考えております。
 以上でございます。
○岡部部会長 では、事務局のほうで続けてください。
○氏家課長補佐 ありがとうございました。
 資料8をごらんください。13価小児用肺炎球菌、PCV13と略させていただきますが、こちらの導入スケジュールの検討について、事務局から説明させていただきます。
 まず、内容としましては、小児肺炎球菌ワクチンに関する変遷をお話しした上で、委員の先生方に大きく3つの論点について御議論いただきたいと考えています。
1つ目は、13価小児肺炎球菌の定期接種として使用することについて御議論いただきたいと思います。
2番目の論点として、PCV13の導入まで、どのような対応ができるのか、こちらについて検討していただきたいと思います。
最後に、菊地参考人からはサプリメンタルドーズという説明がありましたが、事務局では補助的追加接種という名前で呼ばせていただいています、こちらの検討について行っていただきたいと考えています。
 次の2ページ目の上の段をご覧ください。小児肺炎球菌ワクチンに関する変遷ですが、7価の小児肺炎球菌が平成21年10月に薬事承認されまして、その4カ月後、平成22年2月にワクチンが発売されました。その年の11月にはワクチン接種緊急促進基金事業が開始されまして、先般、平成25年3月の予防接種法改正により定期接種化が行われました。平成25年6月、13価小児肺炎球菌ワクチンが薬事承認されておりまして、供給ワクチンの確保が可能となり次第、25年内の発売が予定されているところでございます。
 2ページ目、下の段ですが、13価小児肺炎球菌ワクチンの使用についてということで、小項目として3つ、論点を整理してあります。
先ほど説明のあった製品説明、そして医療経済評価から、先般承認されたPCV13を定期接種として用いることについて御議論いただきたいと思います。
次に、予防接種のスケジュールの対象者ですが、現在行っている定期接種の要領と若干変更がございますが、同様のスケジュールにおいて、このPCV13で置きかえる形で用い定期接種を実施していくことについて御議論いただきたいと思います。
最後に、製造販売会社のほうでは、発売に応じて一斉切りかえを予定しているところでございますが、定期接種についても同様に一斉切りかえとすることについて御議論いただきたいと思います。
3ページ目の上段と下段ですが、これは現在施行している予防接種実施要領で、上の段が現在のもの、下の段が変更を予定しているものでございます。
まず、7価が13価に変わっている点が1つ目の変更点。
もう一つ目の変更点が、(1)生後12カ月齢以降にという項目がついていますが、これまでは追加接種、4回目の接種に関して、初回接種を生後2、4、6カ月で始めた後、1歳未満でも追加接種を行うことができたという背景がありますが、1歳以降に接種を行うほうが高い予防効果が得られるということがありますので、生後12カ月齢以降にという注意書きを追加させていただいています。
もう一点、(2)で生後13カ月に至るまでと書かれている点の説明ですが、これまで接種を開始する時期が生後7カ月から12カ月になる方に関しては、2回の初回接種が勧められていたわけですが、11カ月齢を超えて2回接種するには、生後12カ月までには接種が終わらないという現状がありました。11カ月以降に始めた方でも初回接種として2回の接種を行っていただけるように、生後13カ月に至るまでに行うことという変更を行っています。
次のページをお願いします。4ページ目ですが、発売日以降の切りかえ案ということで、標準的な接種時期に接種を開始して、発売開始により、製剤の切りかえが始まったところから、次の13価に変えて接種を行っていただくことを示した図になります。
次の論点ですが、PCV13導入までの対応について御検討いただきたいと思います。PCV13は、先ほど御説明いただいたように、7価よりも予防可能な血清型が広くカバーされることから、定期接種であるPCV7の接種控えが生じることも予想されます。ただし、この小児肺炎球菌は年齢の低い方で疾病負担が大きい疾患でもあり、こういった接種控えを行わないような注意喚起を行う必要があると考えられます。
一方で、追加接種を1回でもPCV13に変えて行うことで、追加される血清型についても、高い抗体獲得率があるという説明がございました。
追加接種についてですが、ほかの国などを見ますと、生後18カ月齢までは有意な抗体価の漸減が生じず、追加接種の効果も同等との報告があります。日本では追加接種を標準的に生後12~15カ月で行っているところではありますが、生後18カ月までに追加接種を行っているという国もございます。
こういったことを受けて、PCV7の初回接種後の追加接種については、年内に発売されるPCV13の発売後に行うことで、プラス6価のより広い血清型の予防が可能になり、補助的追加接種を行う場合と比較しますと、全体の接種回数を減らし、副反応のリスクや費用負担を軽減することができると考えられます。
このようなことから、初回接種については、これまでどおり標準的な接種期間である早期の接種が推奨されますが、追加接種については、PCV7の初回接種を完了し、PCV13の発売時に生後18カ月に満たない者においては、発売後の追加接種を選択肢として示すことはどうだろうかということについて御議論いただきたいと思います。
この説明の補足の資料ですが、5ページ目下段を見ていただきますと、昨年2012年のデータですが、実際に7価の血清型による感染例が報告されている方については、ほとんどの方に予防接種歴がないということになります。1例の接種歴がある方が報告されていますが、こちらの方の接種歴は1回接種のみであり、基礎疾患として免疫不全を伴っていたという情報があります。
次のページをごらんください。6ページ目の上段ですが、PCV7を生後2、4、6カ月で3回接種し終えた方が、生後15カ月と18カ月で追加接種を行う前の抗体価を示したものです。生後15カ月と18カ月のところを見ていただきますと、15カ月から18カ月に対しての減少はわずかでありまして、こちらを抗体の0.15μg/mL以上に達したものの割合で見たものが6ページの下段になります。抗体保有率を見ますと、生後15カ月の時点、そして18カ月の時点でそれほど大きな違いがないことが示されている表です。これをもって、ほかの国においては18カ月目の追加接種を推奨している国もあるというような情報になります。
最後に、補助的追加接種の検討についてですが、先ほど申し上げたように、肺炎球菌の感染症というのは、年齢が低い児において高い疾病負担があるものでございます。一般に標準的な接種を終えた1歳半以降で生じる肺炎球菌感染症の割合を示したものになります。2011年と2012年の研究班データを用いております。全体で604人の侵襲性肺炎球菌感染症が報告されていると推計されていますが、全体の77.8%が1歳半未満に報告がございます。
次のページをごらんください。8ページ目の上段は、さらに血清型を加えた評価を行っているものでございます。今回、PCV13を追加するに当たり、カバーされるプラス6価のところを見ていただき、1歳半以降で2011年と2012年に報告されているデータを基に、疾病負担の数を推計したものでございます。1歳半以降にプラス6価の血清型による感染が報告されている症例数が年間で全国47人程度と推計されます。逆に2歳になりますと、さらに疾病負担は軽減されまして、下の段になりますが、全体で29名程度の方の報告があることが推計されています。
最後に9ページ目を見ていただきまして、補助的追加接種を定期接種として用いることの検討についてということで、補助的追加接種を行う場合、そして行わない場合の考えるべき点を列挙させていただいています。まず、補助的追加接種を行うことの否定的な要素としては、年齢が上がるにつれて疾病負担が減少するという要素があります。そして、定期接種化により1歳半未満にPCV13を接種することにより、間接的な集団免疫効果も期待できるということが考えられます。さらに、補助的追加接種後の免疫保持期間、そして実際の疾病負担の減少というエビデンスの点では、抗体の獲得率のみの評価であるという点もあります。最後に、全体の接種回数の増加が費用負担、そして副反応のリスクの増加につながることもあると考えられます。
そして、補助的追加接種を行わない場合の問題点としましては、1歳半以降は、先ほどお示ししたように、カバーされない血清型による侵襲性肺炎球菌感染症の疾病負担を軽減できないという点があります。また、定期接種としてPCV13の補助的追加接種が実施されないことから、PCV13の販売を待って接種を行いたいとするような接種控えを助長する可能性があると考えられます。
事務局からは以上です。
○岡部部会長 ありがとうございました。
 菊地参考人にお尋ねしたいのですけれども、添付文書がまだ完成はしていないのですね。
○菊地参考人 いえ、添付文書につきましては、もう完成しております。
○岡部部会長 完成している。となると、補助的追加接種ということについては記載がないのですね。
○菊地参考人 はい。
○岡部部会長 今後のやり方としてどうしていくかというところなのですが、重要な問題なので少し議論いただきたいのですが、7価から13価への切りかえというのは、もう既に7価導入のときに前提になっていた話でもあるのですけれども、そのときに、効果、安全性の確認されたものが次に出てくるならば議論を、ということであったのが、今回薬事法上の承認が得られて出てきたということになります。ポリオのときに、OPVからIPVに切りかえのときに、IPVが世の中に出るというニュースが出た途端に、ずずずっと接OPVの種率が下がったという一大問題があるので、今回の切り替えにあたってそこはぜひとも避けないといけないところです。年齢の小さいうちに感染する現在ある病気に対して防ぐので、そこをどうするかということを含めて、御意見をいただければと思います。7価から13価の導入についてのそもそもについては、もし御異論があればいまのうちにいただきたいと思うのですが。
 大石先生。
○大石参考人 菊地参考人にお尋ねしたいのですが、資料のページ4、5で、IgG濃度、閾値を0.35とお示しですが、19Aに対する抗体は、0.35を超えるものの比較をされたときに、PCV7の接種、3プラス1だけでもほぼ100%に近くて、IgGの濃度を比較すれば、ページ5では歴然としているのですね。フランスのスタディーでも同じような所見ですね。追加接種してもしなくても変わらないような、0.35を閾値として、これをパーセンテージで見ると差がないように見えるのですけれども、この辺の理論的な説明をお願いします。
○菊地参考人 19Aにつきましては、今、先生がおっしゃられましたように、7価でも非常に高い値を示しておりますけれども、バックアップのスライドの15ページを見ていただきますと、こちらに先ほどの3024試験のGMTのOPA活性のデータがございまして、こちらのデータに関しまして、7価のブルーの19Aをごらんいただきますと、やはり活性自体は低いということでございまして、抗体濃度はある程度上がっておるのですけれども、活性が低いということで、やはり13価の効果が期待できるのではないかと考えております。
○大石参考人 そういうことになりますと、PCV7、13で小児の場合の基準とする、セロタイプ特異的なIgGレベル0.35というのは余り当てにならなくて、オプソニン活性が重要なのだという理解なのですね。
○菊地参考人 そこに関しましては、血清型の抗体個々で濃度が若干違ってくるかとは思うのですけれども、弊社の評価といたしましては、一律0.35で評価しているということでございます。
○岡部部会長 ある程度、評価の限界や何かはあると思うのですけれども、今の大石参考人の御意見は、そこの評価の読み方には少し差が出てくるかもしれないけれども、7価から13価への切りかえに、だから反対だというわけではないですね。
○大石参考人 おっしゃるとおりです。理論的な問題について言及しているだけです。
○岡部部会長 そのほかにはいかがでしょうか。どうぞ、多屋先生。
○多屋委員 今の御報告を聞いていて、7価から13価への切りかえについては賛成なのですけれども、資料の中で教えていただきたいのが、厚生労働省の資料の6ページ目に、初回接種完了後に追加接種をする前の抗体価保有率ですけれども、生後15カ月が赤、生後18カ月が青で、なぜ15カ月のほうが18カ月よりも抗体保有率が低くなっているのでしょうか。
○岡部部会長 済みません、何ページですか。
○多屋委員 6ページ目の下なのですけれども、上のGMCについては下がっているのですが、抗体保有率は18カ月のほうが高いのはどうしてなのでしょうか。
○氏家課長補佐 お答えします。お示ししている論文の中でも記載があるのですが、もともと疾病負担が年齢の低い方のほうが多い疾患でありますが、ワクチンを打たない場合においても、年齢が上がるにつれて、自然感染等により免疫保有率が上がることが示されていますので、年齢が上がったことによる変化というような議論がされておりました。
○多屋委員 ありがとうございます。では、青から赤を引いた分が自然感染によって獲得された抗体と理解していいということですね。
○氏家課長補佐 はい。
○多屋委員 ありがとうございました。
○岡部部会長 ほかにはいかがでしょうか。
 基本的には7価から13価への切り替えは良い、ということでよろしいですね。それから、これは一斉に切りかえるのであって、途中、7価と13価、どちらを使いましょうという期間は全くなくて、基本的には13価のほうに全面的に切りかえるという説明だったと思います。ただし、年度内の予算とか、そういうことがあるので、メーカー側と国との話し合いの中では、一応、年度内においては現在の予算でそれができるという話をしていただいたということになると思います。
 もう一つの問題は、接種控えに対して、きちんと、13価を待っているのでは7価の肺炎球菌への感染の可能性が今あるから、13価が出るまで接種を控えるなどということはしないで早くやってくださいと説明する必要がある。そのかわり、13価で追加接種という形をすれば、これはデータの上でも抗体はきちんと上がってくるので、それ以降は防げる可能性があるから、もし何もやらないで、途中で7価の感染の可能性を考えるならば、早く済ませていただきたいという趣旨だと思いますけれども、それでよろしいでしょうか。
 どうぞ、庵原先生。
○庵原部会長代理 ポリオの場合は、日本でポリオがない状態の切りかえですので、差し控えが出てきても問題はないのですけれども。
○岡部部会長 結果的には問題なかったけれども、心配だったですね。
○庵原部会長代理 でも、今回は、今、氏家さんが出された資料の5ページのところにもありますように、ワクチンを受けていない子供はちゃんとワクチンの7価でカバーされるものにかかっていますので、ということは、差し控えする根拠は逆にないのですね。逆に危ないということがこれで証明されていますので。ですから、差し控えするのではなくて、粛々と打って、13が出たときに切りかえると、そういう方向でいくのが現実的ではないかと私は思います。
○岡部部会長 どうぞ、坂元委員。
○坂元委員 自治体といたしましても切りかえに異議を唱えるわけではございませんが、費用の点では、年度内、もとの価格を担保していただけるというのは自治体にとっても非常にありがたいのですが、既に購入してしまった分とか、切りかえの際、その費用負担をどうするのか等々の問題があって、多分、予算上、いろいろな問題が生じるのではないかと思いますので、その辺の国と自治体との検討、それから、当然、住民の方も、多くのものを防ぐワクチンを打ちたいというのは人情でございますので、その辺、どうやって広報体制を整えていけばいいかということも、また国の知恵も拝借しながら、自治体としても努めていきたいと思っております。
○岡部部会長 その辺は、事務局、いかがですか。
○難波江課長補佐 切りかえについては、スムーズに切りかえが行われるように、関係者で調整をしっかり図っていきたいと思っています。御指摘の点も含めてですね。
 それから、もう既に岡部座長におまとめいただきましたが、差し控え対応ですけれども、坂元委員おっしゃるとおり、人情として、よりブロードなほうを待ちたいと思われる親御さんは多いと思いますので、我々としては、少なくとも初回接種は7をしっかり完了していただきたい。ただ、追加接種については、18カ月までであれば待っていただいても、それは選択肢の一つで、ありですということをお示ししたいというのが、ここに記載されている案になります。
○岡部部会長 どうぞ、大石参考人。
○大石参考人 先ほどの氏家補佐の話で、ちょっと確認なのですけれども、PCV7の3プラス1接種後に19Aを発症したケースが確認されたという話でしたか。
○氏家課長補佐 5ページ目の下段の話でしょうか。
○岡部部会長 5ページは6Bでしょう。
○大石参考人 私の勘違いだったかもしれませんけれども、そういった事例は確認されていますか。PCV7の3プラス1を打った後に19Aを発症しているケースがあったかどうかは分かりますか?
○氏家課長補佐 PCV7を3回以上接種した後に19Aの侵襲性肺炎球菌が確認できたという症例ということでしょうか。
○大石参考人 そうです。
○氏家課長補佐 今、手元に資料がないので、庵原先生に行っていただいている研究班等を確認させていただく必要があると思います。
○岡部部会長 ありがとうございました。
 庵原先生、何かコメントがありますか。
○庵原部会長代理 3プラス1でやった後に侵襲性感染を起こしている人はいて、ただ、そのときにプラス6でカバーされる割合がたしか40%ぐらいだったと思うのですね。残り60%は、プラス6を加えてもカバーされない割合だった。アメリカだと、プラス6でたしか8割ぐらいまで上がったと思うのですけれども、その辺が諸外国と日本とは条件が違うので、逆に言うと、今、大石先生が言われたのは、サプリメンタリーをどうするかということの議論であって、次のステップの議論だと思います。
○岡部部会長 どうぞ、多屋委員。
○多屋委員 資料の5ページ目の上のほうに、先ほどお話しいただいた18カ月に満たない者はちょっと待つという案が示されたと思うのですけれども、その次のグラフの、先ほど私が質問したように、15カ月と18カ月だと、プラス分は、感染をしてしまったことによる抗体獲得なのだということであれば、待っていることによって、これぐらいの割合の人が感染をしてしまう。だから、待ってくださいというのが、ここのグラフからはいいという判断にはつながらないのではないかと思うのですけれども、そこはどうでしょうか。
○岡部部会長 事務局。
○氏家課長補佐 ここでお示ししたグラフは、カナダが生後18カ月で追加接種を行っていたことの根拠として用いたデータのグラフでして、交差反応まで含めた評価はこちらに記載がされていないですから、抗体が自然に上がったということがイコールで感染しているということなのかどうかまでは、ここではちょっとお答えできないと。ただ、そういった可能性はあると考えています。
○岡部部会長 18カ月まで待つということは一つの選択かもしれないけれども、余り推奨できる待ち方ではないだろうというところではないかと思うのですね。できだけ早目に、3プラス1の1のほうを13でやっていただく。恐らく、供給の問題とか、タイミングの問題で多少ずれたりすることがあるだろうということの想定の部分だと思うのですけれども、多屋先生、何かありますか。よろしいですか。
○多屋委員 感染する人がふえるのだったら、待つのはよくないのではないかと思った次第です。
○岡部部会長 ありがとうございます。
 わずかな時間の中で結論も出さなくてはいけないのですけれども、今の話をまとめると、さっきも申し上げたように、基本的には13に切りかえる。それも、あるXデーを決めて、これからそこに向けて動くわけですけれども、庵原先生がおっしゃったような差し控えはむしろ危険につながる可能性があるので、これはきちんと今までのものでやっていただきたい。ただし、その後13価でやることによって、その後の幅広い免疫が得られるということ。それから、実際に切りかえに当たって、購入したワクチンその他に関しては、もう少し実務的な話を詰めておいていただきたいという自治体からの要望だろうと思います。
 残されているのが、サプリメンタルドーズをどうするかということなのですけれども、ここは先ほどのように添付文書に書かれていない部分でもあろうかと思うので、だからといっていつまでも延ばすわけにはいかないのですが、次のあたりで議論をすることにしておいてもいいでしょうか。大丈夫ですか、それは。
○難波江課長補佐 少し御意見をいただけないかと思うのですが。
○岡部部会長 現在、12時になっているのですが、私の時間配分がうまくいかなかったので申しわけないのですが、もうちょっと肺炎球菌でいただいて、それから、風しんも非常に重要な課題ではあるので、あと全部で15分ほど延長させていただければと思います。御用のある方はもちろん退席していただいて結構ですので、ここから先は議決のような話ではないので、できれば議論に加わっていただきたいと思いますけれども、この点御了承、よろしくお願いします。
 それでは、サプリメンタルイミュナイゼーション、3プラス1プラス1ですね、これを医療経済的に見たことは池田先生からも御説明いただきましたが、これを定期接種という形でやっていくのがいいのか、推奨にとどめるのかということも含めて、全体のバランスというものも考えながら、どういうのが望ましいかということで、少し意見をいただければと思います。よろしくお願いします。
 どうぞ、庵原先生。
○庵原部会長代理 きっかけとして、先ほど言いましたように、結局、サプリメントでやる場合に、それで全てがカバーされるわけではないですよと、30~40%しかカバーされないよということを加えて、果たしてサプリメントをする意味があるのかという話だと私は思っています。しかも、池田先生が出されたように、18カ月でも800万でしたか。ということは、日本のGDPは500万ですので、コーリーからすれば赤ですね。そうすると、コーリーを超えてまで、しかも40%のためにやる必要があるのかと言われると、余り積極派ではないというのが私の立場というか、意見です。たたき台としてください。
○岡部部会長 ありがとうございます。
 徹底的にやろうというと、かなりのエネルギーとお金が要るという部分で、そのバランスを考えなくてはいけないのですが、中野先生も肺炎球菌の治験にかなり加わっておられたと思うのですけれども、いかがですか。
○中野委員 私は、本治験には、最後の治験には加わっていないですけれども、開発に加わっておりますので、発言は慎重にしたいと思うのですけれども、庵原先生の御意見はもっともだと思うのです。ただし、7価が普及すれば、総体的に7価に含まれていない血清型によるIPDは絶対的に目立ってくると思うのですね。費用対効果の点はもちろん私も大事だと思うのですけれども、髄膜炎を守るワクチンがどうして定期接種として導入されたかといえば、例えば、1つの医療機関で年間5人も来ない病気であっても、重い病気であるからこそ定期接種として導入されているわけでございます。ですから、定期で何歳まで出す、出さないの議論は後に置くとしても、予防接種のことを考えるこの部会としては、1つは使えるという選択肢、医学的に使ってあげてどういうメリットがあるのかというのはやはりお示しできたらなと思うのですね。
ファイザーさんに聞くことになるのかもしれませんけれども、3プラス1打った方に1回余分に打つということは、不活化ワクチンがトータルの回数としてふえる。アラムアジュバントも入っているワクチンで、局所反応がふえないかとか、これは現場の医師とか、国民の皆さんからも御質問とか疑問があるかと思うのですね。その点、比較したデータまではないでしょうけれども、通常の3プラス1で打っているデータと、アメリカとかヨーロッパで追加を、いわゆるルーチンとしてやっている国はたくさんあったと思いますから、そのときのデータはお手元にあるのでしょうか。
○岡部部会長 加えて、このサプリンメンタルを、今の御質問と似ていますけれども、ルーチンとしてやっている国、あるいは単に推奨しているか、認めている国とか、3プラス1で基本的にいいかとか、そういったようなデータはありますか。
○菊地参考人 サプリメンタルドーズにつきましては、先ほどお示ししました3011試験のデータが基本的には外国データということになりますけれども、諸外国、例えば、米国ですとか、イギリス、オーストラリア等につきましては、添付文書の中でサプリメンタルドーズを推奨するような形の記載がございます。ただ、これは切りかえの時点のみの適用ということになりますので、その後、添付文書から削除というような形の対応で諸外国ではなされております。
○岡部部会長 ということは、一時的な切りかえのときに必要なサプリメンタルドーズであって、恒常的に使う場合には、サプリメンタルドーズについては、強くリコメンデーションされていないと。ただし、使うこと自体を妨げているわけではないというような言い方ですか。
○菊地参考人 そうです。
○岡部部会長 それから、大石先生が先ほど質問されましたけれども、それを含めた形では、このサプリメンタルドーズをどう考えるかというのは、先生の御意見はいかがでしょうか。
○大石参考人 基本的に、ポリサッカライドワクチンの限界として、ワクチンタイプでしか効かないということがあるわけで、今、PCV7の接種が進む中での非ワクチンタイプによる感染例が目立ってきている。全体として数は減っているのだけれども、非ワクチンタイプの感染が目立ってきていて、19Aによる症例の占める割合が40%ぐらいであるということです。従って、私は19Aによる症例の発生がオプソニン活性の欠如によっているというのであれば、やはりサプリメンタリードーズというのは医学的には必要であろうと考えます。ただ、施行期間は恐らく半年ぐらいの期間になるのですかね。その辺、限定的なサプリンメンタリードーズの施行ということであれば、私は必要なのではないかと考えます。
○岡部部会長 ずっと少なくなっていったところをいかにたたくかということでは、医学的に必要なのだけれども、総合的に考えて、これをルーチンとするかどうかというところが、事務局側の一番悩んでいるところだと思うのですが、いかがですか。
○難波江課長補佐 定期接種の対象とするかどうか。
○岡部部会長 なかなか議論は難しいところだと思うのですが、結局、そこにどのぐらいの費用をかけるかということになると思うのですね。そこら辺のバランスを考えると、池田先生のところでは、先ほどおっしゃっていたように、やったほうがいいけれども、お金もかかりますよという部分ではないかと思うのですね。
 それと、私が余り言うのも何ですけれども、さらにこれから、水痘であるとか、HBであるとか、ムンプスについても議論していかなくてはいけないわけですけれども、そうだとすると、もうちょっと疾病が少なくなってきた段階でこれが必要かどうかという意見がまた出てくるかもしれないのですが、少し課題として置いておく、あるいはもう少したつとデータが出ますかね。事務局のほうはいかがですか。きょう結論を出さなくてはいけないですか。
○難波江課長補佐 いえ、きょう結論をいただかなくても、次回までに調整して、またお示ししたいと思います。
○岡部部会長 ただ、もし定期接種でないとするならば、そのリスクはどのぐらいあるのか、あるいはないのか、今、3プラス1で、この13価を導入することによって、どのぐらいリスクを減らしたかという説明はやっていかなくてはいけないと思うのですね。いずれにせよ100%減少をターゲットにするわけではないので、そこは無理なので、そこの説明を一般の方にしないと、もっといいのをなぜやらないのかという話にもなってしまいますし、一方ではそれしかないのに、こんなお金を使うのかというような意見が出てくると思います。最終的には判断をしなくてはいけないと思うのですけれども、次回を含めて、その辺をもうちょっと議論をしていきたいと思います。きょう話したようなことは、ノートに入れておいてください。
 それでは、残りの時間、これも少し延長で申しわけないのですが、きょうはこれでおしまい、というわけにはいかないのは、風しんの問題があります。風しんの問題を全部ここで検討するわけではないのですけれども、現状の説明と二、三の意見ということでは、あと10分間ぐらいでやりたいと思いますので、御協力をお願いします。
 それでは、事務局のほうから。
○難波江課長補佐 風しんワクチンの需給状況につきましての御報告をさせていただき、御議論いただければと思ったのですが、時間の関係で資料をはしょりまして、6ページから御説明させていただければと思うのですが、6ページの上段は、20年度から24年度のワクチンの供給量で、当時は1期から4期までやっていまして、定期接種対象者からワクチンの供給量を引いた分が任意接種として推計されまして、大体、毎年30万人程度の任意接種が行われていると推計されております。
 今年度に入りまして、下のグラフになりますが、右下のところで見ていただければと思うのですが、4月で8万5,000人程度で、5月に31万5,000人程度の任意接種が行われたと推計されておりまして、5月だけで例年の1年分を超えている値となっている。
 次の7ページの上段になりますが、今後のシミュレーションになるのですけれども、35万回接種のペースでこのまま続くと、8月にも在庫がマイナスになると推計されております。
 7ページの下ですが、5月の供給の情報を受けまして、国としては、この情報を公開し、安定供給の要請、これまでも行ってまいりましたが、さらにお願いし、それから、優先接種されるべき人はこういう方ですということを改めて周知した次第でございます。
 8ページになりますが、課題としまして、ワクチンをさらにつくろうとすると1年半要しますので、緊急に増産というのは非常に難しい状況だと。そういった状況でこのままの水準で推移した場合、夏にも不足する恐れが出てきている。今後、安定的なワクチン供給を実現するために、さらにどのような対策が考えられるかという、先生方の御意見をいただけないかと思い、今回出させていただきました。よろしくお願いします。
○岡部部会長 御意見をお願いします。坂元委員。
○坂元委員 今、多分、各自治体では独自の予算措置をして、この風しんワクチンを接種していただくように努めているところでございますが、ただいまの話を聞くと、非常に難しいところは、8月、9月になると供給不足に陥ると言ってしまうと逆に上がってしまうとか、今、なかなか風しんの接種率が上がらないので、行政の広報等が足りないのではないかというお叱りもいろいろなところからいただいて、どこの都市もそうだと思うのですけれども、川崎市も、結婚届を出した際にお示しする、それから、母子手帳を発酵するときにお勧めするという形で、かなり具体的なプロモーションをかけている段階ですが、なかなか上がってこない。費用も2,000円程度で受けられるということも配慮しているのですが、なかなか上がらないということで、もうちょっと大キャンペーンみたいなものもやらなければいけないのかなと議論していた中で、この供給の問題が出てきましたので、その辺もまた国と自治体のほうで話し合って、どうやっていけばいいかということも、そういう議論する場がいただければと思います。
○岡部部会長 ほかに御意見がありましたら。どうぞ、小森委員。
○小森委員 いろいろな観点があるのだと思いますけれども、触れられていないのは、輸入ワクチンをどうするかという議論はしっかりしておく必要があると思います。諸外国はMMRが多いわけですけれども、こういうときに安全性そのほかを考えて輸入して実施する、つまり、そのことによるリスクとメリットというものについては、しっかり議論しておく必要があると思っておりますので、その点について、ぜひ皆さんの御意見をお聞きしたいと思います。
○岡部部会長 輸入ワクチンといようなオプションについてどう考えるかということだと思いますけれども、御意見がありましたら、お願いします。 どうぞ、庵原委員。
○庵原部会長代理 アメリカは割とワクチンショーテージをよくしているのですね。特にインフルエンザワクチンなどは絶えずショーテージして、そのときには何をしているかというと、1つは、優先順位をはっきりさせて、優先接種者を先に決めて、その人たちに優先的にワクチンを回しなさいと。もう一つは、インフルエンザワクチンですから、要するに、1回の接種量を0.5ではなくて、0.1にしたらどうですかということが絶えず学問的には出てくるのがアメリカのやり方です。ただ、今回は生ワクチンですので、0.1という選択は出てこないと思います。
今回、事務局からの提案もありますけれども、誰が必要なのかということと、それから、疫学情報センターにお願いしたいのは、今、どこが流行していて、そこが大事なのかという、要するに、流行していないところまでワクチンを打つ必要があるのという、その辺のめり張りをつけた形でやっていかないと、流行していないところまでワクチンをとなってくると、ますますワクチン足らなくなると思います。ですから、現在のワクチンのショーテージを考えたところで、どういう対策がいいかというと、やはり接種対象者をしっかり絞ることと、流行しているところに集中的に投下して、そこで流行をとめてしまうと。今の多屋先生のデータを見ていますと、関東圏はほぼ流行はおさまりつつあります。そうすると、今、ターゲットは大阪と兵庫ではないか。和歌山をターゲットにしてしまえば、おさまらないかな、ないしは鹿児島もターゲットにしてという、そういう話。だから、集中的にあるものを投下していくというやり方がいいのではないか。
先ほど小森先生が言われたMMRの導入は、ある意味では超法規的に、それこそポリオの生ワクチンの導入と同じレベルの話になりますので、その辺は国がどう考えるかだと思います。
以上です。
○岡部部会長 多屋先生。
○多屋委員 都道府県別にどこが流行しているかということなのですけれども、今から2~3カ月前を見ていると首都圏でした。今は近畿地方がふえてきています。でも、もし、今、近畿地方だけにターゲットを当てたら、今、少ない東北や九州、中国、四国地方が今後ふえてきたときに、うちには回ってこないという不公平感につながるのではないかということを非常に危惧します。人口100万人当たり100を超えるのがどんどんふえていっているという状況なので、今、少なくても、ふえてくるという危険性はあると思います。
 それから、輸入ワクチンのこともそうなのですけれども、それより前に国内の製造メーカーでもっとつくっていただくという選択肢はどうしてないのかというのが私の質問です。
○岡部部会長 国内のメーカーに対しての要請は、事務局からお願いします。
○難波江課長補佐 既に働きかけを行っていまして、今年度当初、想定より70万本ふやしていただいて、というのは、ワクチンをまっさらでつくり始めると1年半はかかります。今回、急遽増産をお願いしているのは、原液を既につくっている部分がありましたので、それの製剤化。それだと半年ぐらいでできるということで、年度内の供給が可能となった。トータルで、今のところ、430万ドーズぐらい。つまり、3期、4期を実施していたのと同じレベルの供給を今年度行っていただく予定としております。原液はまだあるのですけれども、来年度の定期の部分をどうするかという課題が出てきます。
○岡部部会長 どうぞ。
○多屋委員 それと、追加なのですけれども、2007年の麻しんのときに同じことが起こって、2007年は麻しんが流行して、ワクチンも足りない、キットも足りないというふうになりました。今、430万ドーズということですけれども、定期の分、約200万を引くと、230万人分ぐらい任意の接種でできるはずなのですが、それが足りなくなるぐらい、本当に今、接種者がふえているのかという問題があります。そして、抗体価が十分であると確認できた方以外の方となると、抗体価を測定する人がどんどんふえてくると思うのですけれども、今度は抗体測定用のキットの増産とかも考えていらっしゃるのかということも、2007年のことを思いますと非常に心配です。
○岡部部会長 ということは、具体的にどうしたらいいか。
○多屋委員 まずは、つくっていただけるのであれば、キットをたくさんつくっていただきたいし、ワクチンをつくっていただきたい。それでも足りないときに、輸入をどうするかということを考えないといけないのですが、輸入を考えるとまた何カ月もかかるので、本当にここ1~2カ月をどう乗り切るかだと思います。
○岡部部会長 わかりました。
どうぞ。これを最後にしたいと思います。中野委員、お願いします。
○中野委員 一小児科医からのお願いとして、1期、2期の定期の接種のワクチンが足らなくなるとか、その世代の接種率が落ちることは絶対に避けていただきたいと思います。今回の風しんの流行でも、何年か前の麻しんの流行でも、未接種集団が集積することによってワクチン予防可能疾患は流行するわけでございますので、そこは絶対に確保していただきたい。それが1つ。
 もう一つ、世界がどうしてポリオ根絶計画と、ポリオには「根絶」という名前を使って、麻しんには「排除」という言葉を使っているか、いつも考えるのですけれども、根絶というのは、それだけすごく手がかかるわけですね。庵原先生はさっきモッピングアップとか、アウトブレークレスポンスとか、流行地のいろいろなパフォーマンスのことをおっしゃっていただきました。きっといろいろな戦略があると思うのですけれども、特別な対策をある疾患についてやろうと思ったら、いろいろな委員の先生方から御意見が出ているように、ワクチンの供給とか、いろいろな準備を整えた上でやらないと、絶対これは足らなくなってくると思うのですね。それが小森委員が御指摘された輸入ワクチンなのか、国内でどれだけ増産されるのか、いろいろなことはあると思うのですが、まず、基本の大事な小児のルーチンは絶対見失わないようにして、次の対策を考えたいと思います。
○岡部部会長 ありがとうございました。
 いろいろ御意見いただいたのですが、このワクチンのショーテージの問題というのは、今、風しんが話題になっていますけれども、よく我が国で引き合いに出されるACIPでも毎年、毎年、ワクチンは安定なのか、少ないのかという話が出ていて、足りなければ、さっき庵原先生がおっしゃったような、優先順位を決めるとか、あるいはキャンペーンを少し緩めるとか、やむを得ぬ方策もやっているので、そこは実際的なところもにらみ合わせながら、かつメーカーの方に増産をお願いするとかいうことをやっているので、ショーテージのこと自体を議論するのは必要なことだと思います。
ただ、今、目の前の火を消すのか、あるいは数年先のことを考えながらやるのか。MRの1期、2期、加えて3期、4期やったというのは、海外からは、なぜ今すぐ全員に接種しないのかと言われたのが、結局、5年間かけて立派な効果があったということもあるので、私の提案は、もう少し中長期的に見て、この風しん問題をどうするかというのを、もうちょっとこの場、あるいはほかのところでも、現在をたたくのか、あるいはもう少し時間をかけながらでもきちんとその数を落としていくのか、その方法はどういう方法があるのか。特に成人ですので、定期の枠の中でやるのはできないわけですから、それも含めて、どういうふうにしたらいいのかということなどを早目に議論したほうがいいと思うので、それを提案したいのですけれども、今の御意見をいろいろまとめたところでは、よろしいでしょうか。次の回、あるいは次々回になるかもしれませんけれども、これからの風しんをどうするかというのは大きい課題として議論していきたいと思いますので、よろしくお願いいたします。
 最後は駆け足になった割には時間を過ぎてしまって申しわけないのですが、時間の配分が悪かったのは私の責任があるのですけれども、この課題を2時間で全部やるというのはなかなか難しいので、事務局も大変でしょうし、出席される方も大変でしょうと思いますけれども、場合によっては2時間半とか3時間の会議の設定も、テーマによっては必要だろうと思います。どうせ午前中使ってしまうわけですから。そういうことも配慮しながら、余り焦らずに議論をやりたいと思いますので、それも含めて、よろしくお願いいたします。
 それでは、一応、議論としてはこれで終わりたいと思います。参考人の先生方もどうもありがとうございました。
 事務局のほうから、次回を含めてアナウンスをお願いします。
○嶋田室長補佐 次回の開催につきましては、7月10日水曜日を予定しております。時間と場所につきましては、追って御連絡差し上げます。
○岡部部会長 それでは、どうもありがとうございました。


(了)

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