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2013年7月3日 第9回中央訓練協議会議事録

職業能力開発局能力開発課

○日時

平成25年7月3日(水)11:00~12:30


○場所

中央合同庁舎第4号館1214特別会議室


○議事

○今野座長 ただいまから、第9回「中央訓練協議会」を開催いたします。本日の参加者の御紹介については、お手元の座席表と、参考資料2を御覧ください。本日は、高橋委員が欠席です。事務局に異動がありましたので紹介いたします。新たに職業能力開発局長に就任された杉浦さんです。
○杉浦職業能力開発局長 杉浦です。3年ぶりに能開行政を担当させていただくことになりました。この協議会は、皆様方関係の方々から幅広い御意見を頂き、今後の公共職業訓練並びに求職者支援訓練の実施に反映させていただきたいと考えておりますので、どうか貴重な御意見をよろしくお願いいたします。
○今野座長 今回は、平成24年度の公的職業訓練の実施状況を概観した上で、最近の新規求職者の動向等を踏まえ、現時点で考えられる平成26年度の公的職業訓練規模について意見交換をしようということです。まず、事務局から資料の説明をしていただき、その後に議論をいたします。
○小野寺就労支援訓練企画官 資料1と資料2に基づいて御説明いたします。資料1は、公共職業訓練と求職者支援訓練の実績についてです。
 1ページは、公共職業訓練の実績です。平成23年度、平成24年度と回復の兆しも見え始めましたが、雇用情勢は引き続き厳しいということで、高齢・障害・求職者雇用支援機構と都道府県において、施設内訓練を約4.5万人、委託訓練を19万人弱、合計約23万人ということで、セーフティネットとしての十分な訓練量を計画して進め、実績としては両年度ともおおむね15万人でした。設定した訓練定員に対し、充足率は8~9割で推移しています。就職率は施設訓練が約8割、委託訓練が約7割という状況でした。
 前回お示しした平成24年度の就職率が更にリバイスされております。平成24年度は施設内訓練は80.6%とありますが、前回は79.9%という報告でしたので、若干改善しております。委託訓練についても、前回は66.7%と報告しておりますが、66.8%という最新の数値を入れております。
 併せて平成25年度の実施状況の報告も追加しております。平成25年度は、雇用情勢等を踏まえ、平成24年度よりも予算上の計画数を縮小し、約16万5,000人で事業をスタートしております。実施状況については、受講者と充足率がそれぞれ入っております。今のところは4月の1か月分の実績ですが、平成24年度に比べるとやや受講者数が減少傾向になっております。
 2ページは、求職者支援訓練の実施状況です。平成23年度は上半期までが基金訓練でしたので、求職者支援訓練としては下半期6か月分の実績で約5万人です。平成24年度は通年実績で1年間が求職者支援訓練ですが約10万人です。施行1年半の状況としては、年間おおむね10万人規模になっております。就職率は基礎コース、実践コースともに事業目標を上回っています。平成25年度に入り、昨年度もこの場で御議論いただきましたが、訓練規模については縮小の方向としつつも、雇用情勢それから施行状況を踏まえた上で、適切な水準を見極めていくという結論でしたので、実施状況等を踏まえ、訓練定員を削りながらも足りなくならない水準として調整を経た結果、13万9,200人ということで今年度は事業をスタートしております。
 平成25年度の実績は5月までの2か月分で1万5,060人となっております。まだ2か月分の状況ではありますが、受講者数は今のところ前年度よりはやや減少しています。ただ計画定員の削減もありましたので、開講率、開講した訓練コースの充足率ともに、平成24年度、平成23年度に比べて向上・改善をしている状況です。
 3ページは、求職者支援訓練の受講者数を月別に見たデータです。月によってでこぼこはありますが、平成24年度の月平均で見ると約8,200人です。このグラフにはありませんが、平成23年度6か月分の実績で見ても約8,500人前後ですので、大体8,000人前半のオーダーで推移してきた状況です。平成25年度については4月が7,000人、5月が8,000人ということで、このぐらいの水準で推移していくのかと思っています。
 資料2は、規模を御議論いただく際の参考として3つの資料をお出ししております。1つ目は、公的職業訓練受講者状況[1]ということで公共職業訓練の状況をグラフにしたものです。黒い棒グラフは、公共職業訓練の受講者数の実績です。併せてグレーの薄いほうの棒グラフが、公共職業訓練の受講の対象者となる雇用保険受給者新規求職者数の実績です。この雇用保険受給者新規求職者数を分母にして、実際の受講者数を分子にした比率を折れ線グラフとして示しております、訓練受講比率です。
 新規求職者数については、リーマンショック以降、平成20年、平成21年と急増し、平成22年度から減少傾向ということで、受講者実績は平成21年度をピークとして、平成22年度は減少して、平成23年度と平成24年度はほぼ横ばいという形になっております。恒久制度として長きにわたって運用しております公共職業訓練ですので、受講者数および新規求職者数は雇用情勢に基づいて増減ありますが、受講比率は結果として6~8%の比率で、比較的安定して推移しているということです。
 そうした中でも、下の表にあるように応募倍率は1倍台そこそこあります。ある程度の競争がありながらも、過剰な振り落としが生じているという状況でもありませんし、開始される訓練コースについても、おおむね充足率は9割ということで、総じて安定的な運用という状況が見受けられます。
 次のページは、求職者支援訓練並びに基金訓練の実績を示したグラフです。新規求職者のうち、雇用保険受給者と在職者を除いた、いわゆる特定求職者数の推移がグレーの棒グラフです。特定求職者を対象として実施した基金訓練及び求職者支援訓練の受講者数の推移が黒い棒グラフです。同じように、受講比率が折れ線グラフで示されております。基金訓練については、平成21年度の途中から開始しておりますので、受講者の実績自体を示す黒い棒グラフは平成21年度から現れてきています。平成21年度は事業創設ということもあり、比較的実績は低調でした。この比率が1.2%になっております。平成22年度の比率が7.2%、平成23年度が6.9%ということで、基金訓練と、平成23年度は半分求職者支援訓練が入っておりますが、それぞれを足し合わせると大体公共並びの7%という受講比率になっていました。ただ、純粋に平成24年度の求職者支援訓練のみになった1年間については、受講比率が2.9%ということで減少しております。
 平成23年度においては26万人という受講者の実績になっておりますが、このうちの21万人という大多数が基金訓練で、残りの5万人が求職者支援訓練でした。仮にこの半年5万人を1年ベース10万人ということで推計すると、受講比率は2.6%ぐらいになりますので、大体施行1年半においての求職者支援訓練の受講比率は、今のところおおむね約3%ぐらいという形になっております。この3%という受講比率について、求職者支援訓練は制度編成もありましたし、まだ施行後1年半という状況であること、それから公共職業訓練の受講対象となる雇用保険受給者に比べ、これらの訓練を受けられる方は職歴がなかったり、乏しい方、長期失業者、職業意識がまだ不明確な方といった様々な状況の方がいますので、そういうことも影響しての率かと思っております。
 ただ、そういう中においても下の表のように、応募倍率についてはまだ1倍を切っております。それと併せて設定した訓練についても充足率は6割弱ということで、設定した訓練コースへの応募が低調であったり、設定した訓練に対しても、受講者を受け入れる余地はまだまだある状況です。したがって、訓練枠を増やすよりも、引き続き運用上の課題把握にも努めながら、一層の受講者確保への取組を進めていくべきと思っております。求職者支援制度については、求職者支援法の検討規定に基づき、今後制度見直しについて、労働政策審議会の方でも御議論いただくことになっております。
 3ページは、新規求職者数の推移を月別に見ているものです。表の上半分が全国、下半分が被災3県のデータです。それぞれ雇用保険受給者と、特定求職者ということで整理しております。平成24年度を月ごとに見ると、季節要因の影響もあって増減はありますが、月で平均約16万人で推移しております。平成23年度は月17万人でした。同じように特定求職者についても、月平均で見ると大体28万人になりますが、前年度は32万人でしたので、いずれにしても減少傾向です。ただ、ここ直近の状況を見ると、どんどん減り続けるというよりは、比較的落ち着いた状況です。その辺りも踏まえて御議論いただければと思います。
 被災3県についても同じような傾向です。特に増加していくような状況はありませんで、大体落ち着いた状況です。今申し上げました受講状況、新規求職者の方の状況等を踏まえて御議論いただければと思います。どうぞよろしくお願いいたします。
○今野座長 今の説明について御質問、御意見をお願いいたします。
○関口常任理事・総務委員会委員長 全国専修学校各種学校総連合会の関口です。一番最後に説明のあった、新規求職者数の推移の中の、特定求職者数についてなのですが、この分類といいますか内訳、特に新規大卒未就労者はこの中に含まれるとは思うのですが、その内訳は何かデータはありませんか。
○小野寺就労支援訓練企画官 こちらは、ハローワークでの新規求職登録に基づくデータですが、その内訳として学卒未就職者という取り方は恐らくしていなかったと思います。もし何か参考データがあればお示ししたいと思いますが、無業者という取扱いで把握している層だと思います。
○関口常任理事・総務委員会委員長 例えば年齢的にというのは。
○小野寺就労支援訓練企画官 年齢内訳は取れると思います。
○関口常任理事・総務委員会委員長 未就労の人たちでもレディネスといいますか、訓練を受ける状態が、学卒未就労者とそうでない人とまた違ってきていることもあると思います。私どもの方には、卒業してから大分して専門課程に入学してくる方がたくさんおられます。特に、専修学校専門課程については長期化といいますか、高度化に対応して3年課程とか、4年課程が増えている状況も片方であります。そういうことは、内容とも関係してくると思います。そのレディネスの問題と、それへの対応といいますか、そのような観点から少しこの内訳といいますか、そのようなことにも目を向けるべきではないかと感じているところです。
○小野寺就労支援訓練企画官 御指摘のあったようなことも踏まえ、データとして整理をしていきたいと思います。今は学卒未就職者のコースを特定コースとして設定している所もありますので、その辺りでの受入れ等も含め、引き続き運用において対応していきたいと思います。
○今野座長 他にはいかがですか。
○新谷総合労働局長 連合の新谷です。求職者支援訓練の報告を頂きました。資料1の2ページと3ページに実施状況があります。この制度が発足してから3年度目に入ってきて、年間10万人体制で訓練がなされています。これは非常に新しい制度として、我が国において恒久化された制度です。ヨーロッパにおいては生活扶助があるわけですが、日本においては求職者支援制度が、第2のセーフティネットとして構築されたわけです。受講者数について年間10万人というのがマクロで示されていて、月平均で8,200人ということですけれども、今後の発展のためにもう少し制度に関する情報の開示をお願いします。これはこういう場で行うのか、あるいはJILPTに委託して行うのか分かりませんが、例えば属性別に見たときに、性別、年齢別、有扶養者・無扶養者の区分でのコース別の受講状況とか、どういう方がどういう訓練を受講されているのかことについて、今後のこの制度の発展のためにも是非開示をして、様々な視点から、学術的な分析も含めてなされていくことで、この制度が更に発展していくのではないかと思います。そういうデータの開示に向けて、是非努力をしていただきたいと思いますし、何かの機会、こういう機会にオープンにしていただくと有り難いと思います。
○青山能力開発課企画官 求職者支援訓練を受講されている方の属性などは、今、JILPTにも調査を依頼して取りまとめ中であります。そういうものを参照しながら今後、協議会なり、審議会で御議論いただく際に、詳細な資料を御提示しながら、今後の制度の在り方を御議論いただければと思っております。
○今野座長 JILPTの調査というのは今やっているのですか。
○佐々木求職者支援室長 今、調査をやっている途中です。訓練受講前の状況や、受講されてからどういう状況かということを、順次調査を取りまとめている最中です。出せるものから、こういう場や審議会の場に御提示させていただければと思います。
○今野座長 いつ頃報告書は出るのですか。待っているようですから。近々というのはなしです。半年後とか、今年度中とか。
○佐々木求職者支援室長 先ほど資料の御説明の際に、求職者支援制度については、審議会でも御議論という話があったかと思います。その場にも出させていただきたいと思っています。時期を明示できなくて恐縮ですが、できるだけ早くとは思っております。
○今野座長 他にはいかがですか。本日は、一番最初に私が申しましたように、平成26年度の公的職業訓練の規模をどのぐらいにしたらいいのだろうかということについて、事務局としては情報や意見を欲しいということがメインだと思います。その点も含めて御意見を頂ければと思います。
○小林労働政策部長 規模についてです。資料1の2ページでいくと、平成25年度は約13万9,200人というのが予算上の規模で確保されているのですけれども、大体この数字ぐらいに落ち着いてきたのかなという感じがしています。以前は24万人とかかなり大きい数字が出ていたのですが、月ベースでいけば8,200~8,500人ぐらいが受講するような形になってきています。平成26年についても、産業のいろいろな構造上の変化があるとは思うのですけれども、おおむねこのぐらいで動くのではないのかという感じでは捉えています。
 1点気になるのが、公共職業訓練に比べて若干認定のコースへの充足が充足率の面でいくとちょっと少ない部分があるかと思うのです。その辺に何か要因があるのか、原因があるのか、分かっている範囲で、厚生労働省で把握している部分があれば教えてください。
○今野座長 いかがですか。
○小野寺就労支援訓練企画官 現場でよく聞く話としては、受講に際して受講者自身が、制度の説明を聞いたときに、自分は訓練を受講しても続けられるかという不安を持つと。例えば当たり前ですけれども出席についてもきちんと出席していただくような制度になっています。その辺りを踏まえやや受講に躊躇するような場面も見受けられるとは聞いています。いずれにしても、この辺りも先ほど申し上げましたような調査等の中において把握していきたいと思っておりますし、見直しの議論にもつなげていくのかと思っております。
○今野座長 先ほどお話がありましたように、傾向的には充足率は上がってきていますね。
○小野寺就労支援訓練企画官 今年度に入って、充足率は上がってきております。これまでは、確かに受講を想定されるべき方々に対して、訓練の設定量がやや多かったという状況も否めないのかと思っております。飽くまでも雇用情勢が悪いときにはセーフティネットとして、安心材料ということで十分な訓練を設定するという発想でやっておりましたので、その辺りは昨年度の議論を踏まえて見直しを図って、今の状況があるということで御理解いただけると思います。
○今野座長 訓練する側は、今まだ調整の途中ですか。最初にバッと作ったけれども、売れないと言ってはいけないですけれども、今そういうのを調整しつつある。でも、これは充足率100%では困るのですよね。何かが起きたときに余裕がなくなるからね。
○小林労働政策部長 最初のときにはいろいろなコースができて、基礎コース、専門分野のコースを各地域ごとで、それぞれ同じような地域訓練協議会を作ってコースを設定されたと思うのです。基礎コースは比較的充足はいいのですけれども、実践コースの部分では、地域性がもうちょっと出るのかなと思ったら、そうでもない側面もあります。実践コースの、そちらの設定というのを、成長分野を視野に入れて、いろいろコースを考えましょうみたいなことで当初は始めてきたのですが、実際にはそちらへ行かないとか、行けないとか、その設定がないとか、その辺もせっかくですから研究していただければ有り難いと思います。
○小野寺就労支援訓練企画官 御指摘を踏まえてですけれども、地域訓練協議会、各都道府県の訓練協議会の議論も、毎年度、毎年度少しずつ実のあるものになってきつつあり、地域の実情を踏まえているところをより一層出していけるように、各都道府県労働局を指導してまいりたいと思っております。
○今野座長 他にはいかがでしょうか。
○谷治専務理事・総務委員長 資料1の3ページの毎月の推移を見ると、大体月8,000人ということで、年間10万人というような形です。基礎とは違って実務といいますか専門の方になると、いろいろな資格の基準の改定があったときに、一時的に変化が生じてきます。今年は介護の初任者研修が大きく変わりましたので、その辺で若干受講の変化が出てくるかもしれないのですが、一時的なことと考えれば、大体この辺の推移でいくのかと思っています。その制度の違いによって、専門の方は大分いろいろな動きが出てくるのかと思います。
○今野座長 その辺は4月、5月についてどのような状況かを教えてください。
○小野寺就労支援訓練企画官 御指摘のとおりで、今年度に入り、やや実績が低調な労働局にヒアリングを行ったところ、介護について資格制度の変更があって、その申請手続が追い付いていないということで、特に介護の分野での設定が進んでいない状況が散見されています。その辺りは恐らく秋口以降に、逆に設定がされるのかと見込んでおりますが、御指摘のとおり、そういう状況が4月、5月は見受けられています。
○今野座長 今の御意見を踏まえると、求職者支援制度は大体10万人がベースで、あとはそういう変動要因があるから、少し余裕を設けて設定するということでいいだろうという感じになっていますね。余裕は1%なのか、5%なのか、10%なのかというのは経験的に考える以外にないです。他にはいかがでしょうか。
 本日の説明は、公共職業訓練の方は大体年に15万人ぐらいで安定的にいっていますし、受講比率も7%ぐらいで安定している。求職者支援制度の方は10万人ぐらいのベースです。気になるのは、受講比率がちょっと不安定だということはありますけれども、そのような現状である。更にこれのベースにあるお客さん集団である、母集団である求職者の方は大体安定的に推移するだろうと。そのような状況だと思います。皆さんの御議論を踏まえると、今私が言ったような訓練実績等を踏まえて規模を設定してもらえばいいのではないかということになるかと思います。いかがでしょうか、それでよろしいですか。
(異議なし)
○今野座長 それでは、我々が本日与えられたミッションである、平成26年度公的職業訓練の規模についてはそのように意見をまとめさせていただきます。本日はもう1つ、文部科学省から資料を提出していただいておりますので、それについて説明をしていただいてから、議論をさせていただきます。
○圓入専修学校教育振興室長 資料3です。文部科学省としては「職業教育」という言葉になりますが、大学から専修学校まで、職業教育を施行する学校への支援に長年取り組んでおりました。最近の社会的な御意見として、学校群としては職業、社会のニーズに沿った教育プログラムが提供できていないのではないかという御批判を受け止めさせていただいており、例えば産業界の方々との連携というところで、もう少し実質的な連携ができないかということを考えています。この事業については平成23年から小規模の調査研究を始めさせていただき、平成24年度から本格的にスタートしております。
 また、今年度から1枚目の前段の趣旨の所に書いてありますように、大学・短期大学から高等学校まで対象を広げさせていただいて、産業界等の方々との実質的な連携の中で、実践的な職業教育を提供していただくような取組を支援させていただいております。
 内容については、学校から職業への移行という趣旨で、高校まで進学して就職する方、中には一旦就職して学び直しをしてキャリアアップしたり、一旦離職して復職するときに、学校を活用していただくことを前提としております。
 そういう中で、学校組織としてこういう学校を作るとか、学科を作るという考え方だけではなく、もう少し短期の教育プログラムを含めて提供できるような仕組みを作らせていただければと思います。それは、例えば諸外国ではユニットやクレジットという言葉を使ったりして、単位として幾つかの必要な知識・技術を塊として提供するという考え方があります。
 一方で、日本では、まだ浸透していないと思うのですが、120単位時間以上勉強していただくようなコースを作ると、履習証明、Certificateという学校教育としての制度があり、これは国際的に通用するものです。また、専修学校の中には、1年制から4年制まであり、1年制については経済的に厳しい方が早く就職したいということで、就業意識が明確な方が進学する学科もあります。この事業では、そうした1年制の専修学校から大学院まで含めて柔軟に対応できるようにということを想定しております。
 その中では産業界の方々の御意見を伺いながら、従来はカリキュラムを作ったり、改善を図るということがなされていたのですが、それだけではなく、学ばれたことが社会に出たときにきちんと評価していただくことが重要だと考えておりますので、今回の事業の中でのポイントとしては、モデルカリキュラムを作ることだけではなくて、評価をする際の指標も作っていただくことを依頼しております。ただ、実践的な職業教育というと、単なるペーパーテストだけでは評価してもらえませんので、きちんと身につけて動作ができるかどうかを評価する達成度評価指標づくりも含めてお願いしております。
 要件としては、業界の中できちんとパートナーシップを組んでいただいているかどうかですとか、最近はグローバル人材ということで、非常にニーズが高いのですけれども、我々は「中核的専門人材」と書いてあるように、ボリュームゾーンとして、中間層の方々で、現職も含めて幅広い方々のレベルアップにつながるようなことを想定しております。特にニーズが高いのは、中小企業の方々で、アジアへ海外進出する際に必要なものは何なのか、ということにテーマを絞ったプロジェクトを実施いただいたということもあります。
 それから、高等教育に進学する前の段階で、後期中等教育機関というのがあります。ほとんどが高等学校、8割方が普通科で、残りの2割ぐらいが専門高校になります。その他専修学校については、高等専修学校という職業を目的とした教育機関もあります。そういう所も幅広く参加していただきながら、最終的には職業という目的を明確にしていただきながら、次の高等教育段階に進学するときに当たり、例えば高校と専門学校、高校と短大と大学ということで、実践的職業教育プログラムの開発をしていただいて、少し後期中等教育段階で、高等教育段階における職業実践的な教育を受けていただくようなプログラムをアドバンスコースと言っておりますが、そういうものを地域単位で開発していただくというようなメニューを並べております。これは、どのコースでも申請していただけるという形を取っております。当初スタートしたときには、専修学校の立場で説明させていただいたのですが、今年度については大学や短大も含めて、現在審査を行っており、予算額を大幅に超える形で申請を頂いている状況です。
 目的としては、上段に書いてありますように、企業人や離職者等の学び直し機会の充実。それから、人材不足の業種や新たな付加価値を必要とする産業等の専門人材養成の強化ということで、各産業分野等の成長分野という設定をしていただいて申請を頂く。かなり自由度の高い形での設定がありますが、進めていただいているものです。
 下の方にはその体制図が付いています。文部科学省の中に、有識者に参加していただいてこの事業の推進方針を御審議いただいたり、評価をいただいたりということで御協力いただいている企画推進委員会があります。3ページの後段に、「成長分野等における中核的専門人材養成-推進体制-」とあります。こちらに添付させていただいているメンバー表があります。本日御出席の先生方、それから各省の皆様がオブザーバーということで御参加いただいております。今年度以降、そろそろ具体的なニーズを踏まえたプログラムの在り様とか課題というものが見えてくるかと思いますので、更にこういったメンバーの方々に御意見を頂きながら、来年度に向けて詰めさせていただきたいと思います。
 参考までに分野を御説明いたします。昨年度まで11コンソーシアム、36職域プロジェクトという形になっています。コンソーシアムでは、業界代表の方々、学校の代表の方々にお集まりいただいて、ニーズ分析や調査を一緒にやっていただいて、カリキュラムの見直しを進めていただいております。その行程表は2ページの後段に書いてあります。ニーズ調査や分析から、目標の設定から雇用から、モデルカリキュラムを作る。個々の分野によって差はありますけれども、半年か1年ぐらいかかっているケースもあります。
 産業界の方々と、教育界の方々が、後ろの方に各プロジェクトのメンバー表を添付させていただいておりますが、こういった形で学校種を超えて一堂に会していただいて、一緒に調査をしてという機会が今までになかったものですから、目標を共有していただく段階から、かなり時間がかかっているケースが多いです。そこはしっかり取り組んでいただきながら、2年目、3年目になると、企業や業界団体で、どのようにできたカリキュラムを活用していただけるかという位置付けを実証していただく段階になります。今年度は、幾つかの進んでいるグループが、業者団体、企業の方々の御協力をいただきながら、実際にその事業を実施していただく段階に入ってまいります。
 そういうことで、来年度は地域に根付くようなオーダーメイド型という、文部科学省の有識者会議で、平成25年3月にまとめた基本方針なのですが、オーダーメイド型の、例えば中小企業のグローバル化の対応に必要な専門人材も含めて全国展開へつなげさせていただければという御提案を頂いております。今年度からそういうことを視野に全国的なコンソーシアム、職域の方々には準備をお願いしたいと考えております。
 分野でいくと、環境・エネルギーでは建築、土木、電気・電子、情報・通信、電気自動車があります。4ページのように、通常の国家資格を各省で所管しておりますので、自動車整備士、建築士というカリキュラムには規定のものがありますので、そこはしっかりやっていただきながら、必要性に応じて新しい知識・技術・技能を開発していただくということになります。その上の環境・エネルギー対応でいくと、自動車でもスマート自動車ということでEV車とか組込みというのがありますけれども、まず自動車整備士の方々のITの知識も得ながら、新しい付加価値を付けられるような人材があります。建築だと、最近はスマートハウスとか、スマートビルということがありますが、大手の建築企業にも御参加いただきながら、どういうカリキュラムが求められるようになってくるのかを御提案いただいたり、実際に御理解いただければ、企業から講師を派遣していただいて、実習、演習もしていただいたり、教材開発に御協力いただいたりという試みを今までにやっていただいております。
 5ページを御覧いただくと、先ほど申しましたように、我々の学校教育となると、どうしても正規課程という1年制、4年制、2年制といろいろありますので、その中に一部新しい成長分野に必要なものを改善ということで組み込んでいただいたり、中にはプログラム自体を短期プログラムという形にしていただいて提供していただくという段階、レビューをコンソーシアムの中で整備していただき、例えば、社会人が働きながら学びやすいようにということで、短いものを作っていただく。ただ、履修証明、必ず単位認定をしていただきたいということは要件化しております。大学へ進学したい、時間ができたときに大学で学び直しをしたいというときに、以前に学んだ短期プログラムの単位を持って大学に進学するという道行きを、キャリアを測っていただけるようなイメージをしていただけるようなモデルを、各自作っていただいている状況です。
 5ページの後段は観光人材のグループの提案の資料です。どちらかというと、専門学校と大学ということになります。左側が専門学校、右側が大学が得意とする内容です。お互いにお集まりいただいて、お互いに足りない所とか、専門学校であれば大学のカリキュラムの一部の単位を互換していただいたりすると、より付加価値が高まったり、大学からすれば実践性というところで専門学校の単位の一部を学んだりということで、より観光分野の就業に結び付けていく、という議論もしていただいております。
 6ページの後段から建築業界です。建築業界の方々から1年間じっくりお話をしていただいて、調査も一緒に行っていただきます。テーマとしては、インフラ再生とか、インフラ・パッケージとか、最近は長寿命化対応というのが出てまいりました。そういうところでお話をしていただきますと、一番の課題は、若い方が入職してこないというところから、そのモチベーションを高めるためには、企業の方からも協力したいという申し出をいただいたり、といった協力関係を作っていただいている例を添付しています。一旦正規課程、これは4年制課程で作ろうとされているのは3ですけれども、そこをベースにしながら、大学生で単位をもう少し取りたいとか、離職された方、フリーターで何とかモチベーションを高めながら専門学校で勉強したいという方々が受けられる場合には、どういうカリキュラムから入っていただいたらいいかみたいなことも併せて議論していただいています。
 その他は大部なので資料は添付しておりませんが、昨年度までにおいては、農業の方でも実施していただいております。こちらについてはかなり地域性が強いので、その地域に根付いたものを最初から取り組んでおられます。群馬県、宮崎県がありますが、そういう所では農業大学校や大学の農学部、それから県の農政局の方とか、雇用を支援していただける関係の部署、ハローワークの方々にも入っていただいて議論をしていただきます。そこから何が協力できるか、地域の中でいろいろな資源があると思いますけれども、活用していただきながら、学校をベースにしながら、地域で必要な人材育成をしていくという議論をしていただいております。
 農業で、宮崎県のコンソーシアムはかなり大規模になっているのですが、中心の学校は、今年は求職者支援制度を活用し、6か月コースのプログラムを実施しております。職域プロジェクトでは、新しい学科設置に向けて、来年度は6次産業化の新しい学校を作っていきたい。そのような取組を全国に普及していく職域プロジェクトが、他県でも同時に行われておりますので、その中で全国ネットでコンソーシアムを組んでいただいており、大学が主体のプロジェクトもあったり、調理学校の職域プロジェクトもあります。そのようなモデルとなるようなものを今年度までは中心に作っていただいて、来年度は地域に根付いた産学官連携の場をプロジェクトの全国展開につなげさせていただければと思っております。
 また、社会人の学び直しについて、いろいろな関係会議でも御議論があります。その中で学び直しに必要な経済的な支援が必要ではないかという話があり、また文部科学省としては、奨学金が各学校種に共通した支援策としてありますので、そちらについては制度改正をし、今年度から、例えば専門学校であれば社会人の学び直しを想定した1年半のコース、大学であれば大学別科という正規課程以外のコースが学校教育法上定められており、それらについても新たに日本学生支援機構の奨学金の対象となりました。
 専門学校の例で申しますと、今までは調理師とか製菓衛生師というのも多かったのですが、看護師で一旦離職して、復職する際に社会福祉士、助産師のための1年半コースというのもできてきます。建築士ということであれば、2級を取るための大学4年制卒後プラス1年ということで、1年制課程が作られたりしており、社会人向けのコースが徐々に増えておりますので、そのような正規課程を、日本学生支援機構の奨学金、今までは2年以上しか認められなかったのですが、2年未満についても貸与ができるということが始まっています。今現在300校を超えるぐらいしかスタートしておりませんが、今後社会人向けを意識した学科がかなり増えていくのではないかと思っております。
 そういう観点からも、本日御出席いただいております皆様方からも御意見を頂きながら、文部科学省としては、社会人の学び直しをキーワードに、4ページの前段に、日本再興戦略でも御指摘いただいておりますが、若者の活躍推進のところで、大学・大学院・専門学校・高校・短大・高専とも連携協力させていただきながら、高度な人材や中核的な人材、本日御紹介したのは中核的な人材の方ですが、オーダーメイド型の職業教育プログラムを新たに開発・実施させていただくような形で御支援させていただきます。そのときには学校だけで、文部科学省だけで進めていくことは難しいですので、各省の方々、それから本日御出席の皆様方からも御意見を頂きながら進めさせていただきたいと思っておりますので、引き続き御理解、御協力をいただければと考えております。以上です。
○今野座長 御質問、御意見がありましたらお願いいたします。私から1つ質問させていただきます。どこでもいいのですが、何箇所かに出ているのですが、3ページの上のスライドはLv.1、Lv.2ということでしょう。これは、どんなイメージなのですか。
○圓入専修学校教育振興室長 本日は資料としてお配りできなかったのですが、実際は諸外国で行われている資格枠組みのイメージがあります。この有識者会議の中でお示ししていただいているのが、Lv.1からLv.5です。あくまでイメージですが、Lv.1はある程度後期中等教育段階、高校段階も入ってくるかと思っています。Lv.2からLv.4ぐらいまでが専門学校、短大、場合によっては4年制大学。Lv.6以上はお示ししていないのですけれども、大学院に相当すると思います。
 そういうお示しの仕方だけではなく、私どもは、どのような能力を身に付けているのかを重視していただきたいということがありますので、実際のお示しの仕方は、どういう職務ができるのかというレベル設定を参考としてお示しし、各コンソーシアムの中で独自に設定していただいております。資格枠組みの所でいくと、Lv.3では、ある組織の中でチームリーダーとして実践的専門的な知識等を基礎に業務遂行を指導できるとか、マネジメントできるということがあります。それだけではなくて、3ページの上段にあるように、1つは専門性の高度化を目指しております。職務能力、業務能力を遂行するというレベル設定と、右側に矢印をしております専門性の高度化、これはそれぞれの分野でいろいろな技術・技能が高度化するというイメージです。
 例えばITでも、大体1、2年、若しくは4年でいろいろな国家資格というメニューがあります。そういうのを取り入れながら、更にアプリ開発とか、それぞれの組込み技術はめまぐるしく変わるものがありますので、そういうものはLv.4、Lv.5という形で、取りあえず設定していただきます。それに対応する学校群というのは、必ずしも大学院なのかどうか。専門学校の場合もあったり、短大であったりということもあり得ますので、ある程度、産業界の方々から御意見を伺いながら、その設定も今のところでは作っていただいている形を取っております。
○今野座長 そうすると、分野によって大体Lv.3は、分野を越えてこういう人材像とかというのは余りコントロールしていないわけですね。各分野ごとに、ちょっと乱暴にかもしれないけれども、勝手に考えてという感じになっていますね。
○圓入専修学校教育振興室長 本日はお配りしていないのですが、共通する部分を今お示ししていますが、あとは独自に特に専門性の高度化、技術・技能を私どもが全てお示しするということは難しいので、業界の方と一緒に作っていただく。本当に必要なものは何なのかということを共有していただいて、作っていただくということで各コンソーシアム、職域プロジェクトへお任せしている状況です。
○今野座長 他に御質問はありますか。
○新谷総合労働局長 よく分からないのですが、産学官のコンソーシアムの組織化の所は業種別に作られているのですが、地域というか地方との関係で先ほど宮崎県の話も出てきました。業界での中央レベルでの話と、その地域との関わりはどのようにつながってくるのかを説明していただけますか。
○圓入専修学校教育振興室長 すみませんでした。こちらの事業の趣旨は、スタートの時点では地方もいずれということで考えていたのですが、業界によっては全国レベルというのもありました。集まっていただくときに、広域でチーム編成をしていただきたいという要件は課しております。今年までは広域ということを念頭に、特に食・農林水産という分野、観光といった地域性がかなり強い所は、全国区のコンソーシアムを作っていただきながら、その下に、例えば3、4プロジェクトか、地域版のモデルカリキュラムを作るようなチーム編成をしていただいている構造になっております。
 それを、ある程度モデルカリキュラムと、先ほど申しました達成度評価、仕組みというものができてきている所は、来年度は単独で地域に根付いたオーダーメイド型のプログラムを作っていただく、という新しい要素を出させていただくことになると思います。今年までは基本は全国レベルで取り組んでいただくという形になっております。
○新谷総合労働局長 まだよく分からないのですけれども、7ページに具体的な委託内容が書いてあって、環境・エネルギーの分野でコンソーシアムが組まれていて、代表校として専門学校東京テクニカルカレッジがあって、参加機関、団体・企業が記載されています。これを見ると、東京商工会議所とあって、どう見てもこれは東京だと思うのです。こうしたときに、例えば大阪エリアの人たちは、これを権威あるものとして受け入れているのですか。これは、業界団体全体で見ても、このコンソーシアムは業界としても認知されている、あるいは大阪の方も含めて認知されているということで見てよろしいのでしょうか。
○圓入専修学校教育振興室長 その意味で申し上げますと、まだ業界全体でお認めいただいているという段階ではないかと思います。東京テクニカルカレッジは東京にあります。日頃からお付き合いいただいている方々に声を掛けたという経緯もあると思います。その際に御協力をいただけるという了承をいただけた団体において今まで作ってきたモデルカリキュラムの一部を、社会人、特に中小企業の方々に一部を受講していただいて、それで本当にそのカリキュラムが使えるものなのかどうかという検証を今年度はされる予定になっていると伺っています。それがうまく完成すれば、専門学校側は、例えば大阪の学校から、神戸、九州、北関東で群馬もありますが、いろいろな学校が参加しておりますので、こういう学校がうまく機能すれば、それを参考にしながら、来年度以降展開するという仕掛けになってくるのではないかと思います。
 そのときに、私どもが委託させていただくのは学校側になりますので、それぞれの全国の学校側から、例えば経済団体の地元の方に御協力をお願いさせていただくという形が多いです。参考ですが、東京商工会議所の青山委員にも御参加いただいておりますので、来年度以降どのような形で全国的に使っていただけるかという段階になるかと思っております。
○今野座長 他にはいかがですか。
○小林労働政策部長 先ほどの今野先生の御質問ですけれども、今、内閣府で考えている職業能力の関係の段位制度に合わせた形のレベルというのも1つ考えながら、どこの教育機関がそれをサポートできるかというのも視野に入れた、モデルの中核的人材を養成する仕組みを考えてみようではないかという取組なのだと思います。
 当初、中核的人材を養成する産学官のコンソーシアムというのは、全国レベルではなかなかできないので、地域単位で始めましょうということでスタートしました。それも専門学校を中心に一番最初スタートしました。文科省がだんだんこういう予算を拡充し、予算規模も大きくなり、大学も含めた形でいろいろ検討されて、今年からは大学も含めて学の方のコンソーシアム、産業界は産業界で、これは若干全国団体でやるケースも今回申込みもあるのかもしれないのですが、やはり地域を中心にどこかの学校、専門学校なり大学が中心になって、それぞれの成長分野の取組、産業界の人間を養成するような仕組みを考えようという取組をやっているのだと私は理解しています。
 1ページの下の所に書いてありますけれども、環境・エネルギーとか、食・農林水産、医療・福祉・健康、クリエイティブという19分野になっています。専門学校は、これらの産業分野を専門に教える教育機関がかなりあります。大学は大学でも、先ほどは観光を例に話がありましたが、専門学校でもやっていれば、立教大学には観光の分野の教育学科があります。そういう成長分野の教育も、いろいろな教育機関が行ってはいます。大学の観光学科を出た人が、実際に社会に飛び立ったときに、観光に関連する分野、旅行会社だったり宿泊の関係に勤めるかというと、そうではない実情があります。
 一方、専門学校は、専門学校でホテルの勉強をしたとすると、その関連の就職をしている。それが、実際に現場で働いて伸びていっているというギャップもあったりします。その辺をそれぞれの教育機関、専門学校の役割、大学の役割も調整しながら、これからいろいろな国から観光客を受け入れる日本の観光産業を育成していこう、ということに取り組んでいると御理解いただければいいのではないかと思います。
 ただ、文部科学省の予算は非常に少ないのです。これは、あくまでも教育のプログラムを作るのがこの事業です。実際に企業からこのプログラムを学びに行くときのお金までは、文部科学省で付けてない。これは、それぞれの企業が負担するのか、能開行政でやっているような雇用保険二事業を使って勉強していくのか。この辺が今後、文部科学省と厚生労働省とか経済産業省等が連携して、国では学び直しということを考えているわけですから、どういう形で学び直しをさせるのか。産業の従業員を派遣させる仕組みを取るのか、ということを考えていく仕組みが必要なのではないかというのは感じています。
○新谷総合労働局長 よく分からないので、改めてまた説明の機会をいただきたいと思っています。いずれにしても、小林委員がおっしゃっていましたが、これを雇用保険2事業との関係でどうするかというのは別の所で論議するべきだと思います。私が先ほど地域との関係で申し上げたのは、行政として職業能力開発の仕組みを組み立てるときに、ユニバーサルサービスとして職業能力開発施策について、東京や大阪はなんとでもなるでしょうけれども、地方がどういう形で国の行政のサービスが受けられるのか、というところが気になっています。
 今は、パイロット的にプログラムを作るだけということのようですから、地域との関係について詳細の論議はこれから行うのでしょうけれども、具体的にこの仕組みを展開するときに、全国津々浦々、国民・労働者がこういうサービスを享受できる体制をどう作るかということも、併せて考えていかなければいけないと思います。それは、また別途考えたらいいと思います。本日は、お聞きした感想だけ申し上げておきます。
○今野座長 もう1つお聞きしますが、この達成度評価というのはどうやるのですか。大体でいいです。
○圓入専修学校教育振興室長 先ほど少し御説明させていただいたのですけれども、大学では既に取り組んでいるケースがあります。実際に学んだことを評価する手法はいろいろなパターンがあります。職業の中でも、ペーパーテストで確認するということだけではなくて、医療・福祉の分野で、こういう行動パターンができるかどうかみたいなものを、一つ一つカリキュラムごとに照らし合わせて確認する。教員がきちんと評価をする、という仕組みが徐々に出来始めています。
 介護福祉師のケースでいくと段位制度も検討されておりましたので、かなりその段位制度によった形で、このコンソーシアムの中でもすすめられつつあります。地方での例を申し上げますと、地域包括ケアに向けて、将来的に例えば介護福祉士がいろいろな医療機関に橋渡しする。そのときに、どういうことをやらなければいけないのかみたいなことも含め、何を勉強してちゃんと身に付いているかを確認する指標みたいなものを作る、というご提案をいただいております。これもいろいろな分野といいますか、例えば業界の方々の要望によって、評価の有り様がいろいろありますので、そこの縛りはこちらからは申し上げておりません。
 本日はお配りしていなくて申し訳ないのですが、このことに取り組んでいただきたいという例を文書化しています。そこで挙げている例としては、例えばユニット単位の履修評価からポートフォリオの評価、その間に企業のご担当者からの評価も入れていただくなど、いろいろな例をお示しして、実証していただく段階になっています。
○今野座長 ザクッと言うと、現場で使えるかどうかということを評価したいというのが達成度評価ということですか。
○圓入専修学校教育振興室長 特に知識の面ではなくて、技術・技能というところで評価をしていただいているかどうかということです。
○今野座長 アングロサクソン的ですよね。ついでに雑談ですが、先ほどの資格枠組みで、ヨーロッパはEQFというのを作って、横につなげています。ベースはアングロサクソン型で作っているので、今おっしゃられたような形で、この仕事ができるかということをやっています。ドイツとかフランスとか北欧は、アングロサクソン的ではなく立派な職業人を作る等の観点からやっています。だから、市民としても立派だとか、そういう面も含めて教育をして、その成果に対して資格を作るということでやっている。EQFをヨーロッパで適用するときに、こうした国の既存の資格との間に矛盾がでてくるのでなかなかうまくいかないということがあります。もともと、学校教育の考え方は比較的後者の方ですよね。
○圓入専修学校教育振興室長 私どもでは人間力とか、例えば社会人基礎力とか、いろいろな面で今まで取り組ませていただいていた一方で、もう少し産業界の方のニーズをお伺いしながらとなると、きちんと使えるかどうかという側面も、両面を見ながらという要素がこちらに入っております。特に学校では、人間力的な教育も行いながら、技術・技能面での新しく求められている知識・技術を取り入れるというのを学校だけでやるのではなくて、産業界の方と一緒に取り組んでいただくという行動パターンを作っていただければというのが今回の目的です。
○今野座長 何かトレードオフがあるのです。産業界で言うことばかり聞いていると、つまり今の仕事ができるかとやると、条件が変わったときに使えなくなってしまう。でも、余り抽象化してしまうと、今の条件では使えない。基本的にトレードオフがありますよね。余計なことを言いました。
 他にありますか、よろしいでしょうか。もっと知りたいという人も若干1名おりましたので、後からでも情報提供してあげてください。他に何もないようでしたら、本日はこれで終了させていただきます。ありがとうございました。


(了)

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