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2013年4月23日 第1回 平成25年度化学物質のリスク評価に係る企画検討会 議事録

労働基準局安全衛生部化学物質対策課化学物質評価室

○日時

平成25年4月23日(火) 15:30~


○場所

厚生労働省 6階 共用第8会議室


○議事

○岸化学物質評価室長補佐 定刻よりも若干早いようですけれども、皆さんおそろいになりましたので、ただいまより第1回「化学物質のリスク評価に係る企画検討会」を開催させていただきます。本日御参集の皆様は、資料の参考1に名簿が載っております。吉田委員につきましては、所用のため欠席となっておりますが、その他の皆様の御参集の中で開催ということとなります。櫻井先生に座長をお願いすることといたします。以降の議事進行は櫻井座長にお願いいたします。
○櫻井座長 議事進行を務めさせていただきます、よろしくお願いいたします。本日は、3つの議題が予定されているようです。最初に、事務局から資料の確認をお願いいたします。
○岸化学物質評価室長補佐 議事次第の裏面に、配布資料一覧があります。資料1、資料2-1、資料2-2、資料3の4種類の資料が用意されております。参考資料1から参考資料6までの6種類を用意しております。それぞれ資料の右上に番号が付されておりますので、御確認いただき、不足等がありましたらお申し出ください。
○櫻井座長 議事に入ります。1番目の「平成24年度のリスク評価の実績について」、事務局から説明をお願いいたします。
○岸化学物質評価室長補佐 資料1を御覧ください。「平成24年度のリスク評価の実績について」です。リスク評価に当たり、各検討会で様々な検討を行ってまいりました。「化学物質のリスク評価に係る企画検討会」が、昨年度は3回実施されました。第1回は平成24年4月17日に開催されました。そこでは、平成23年度の化学物質のリスク評価の実績について。平成24年度の化学物質のリスク評価の実施方針(案)について、ジフェニルアミンのがん原性試験の評価について、他制度と連携したリスク評価推進のための対象物質選定方法の検討についての4つの項目について検討していただきました。
 その中で、平成23年度の労働者の健康障害防止に係る化学物質のリスク評価の実績について報告するとともに、平成24年度のリスク評価実施方針(案)を説明し、了解を得ました。有害性の評価小検討会におけるがん原性試験の評価結果(ジフェニルアミン、高用量でのみ腫瘍発生増加有り)を報告し、この物質については幅広く情報収集を行った上で、リスク評価を実施することとなったという結論が得られました。
 第2回は平成24年6月28日に開催されました。有害物ばく露作業報告対象物質の選定について検討されました。その中で、平成25年有害物ばく露評価作業報告の対象物質として、以下のカーボンブラックほか計17物質が選定されました。
 第3回は平成25年2月27日に開催されました。発がん性評価の加速化に関する検討結果の報告、発がん性試験の対象物質の選定について、発がん性試験結果の評価について(平成24年度)、リスク評価結果を踏まえた政省令改正の状況について、平成23年度ばく露実態調査対象物質のリスク評価結果についての5つの項目について検討されました。その中で平成24年度のリスク評価及び健康障害防止措置に関する取組結果について報告を行うとともに、有害性評価小検討会における発がん性試験の評価結果(メチルアミン、3-アミノフェノールの2物質、いずれも発がん性無し)を報告しました。平成25年度に実施する発がん性試験(スクリーニングとしての中期発がん性試験)の候補として4物質(2-ビニルピリジン、3,3'-ジメチル-4,4'-ビフェニレンジイソシアネート、1,3,-ジブロモプロパン(予備)、4-tert-ブチルフェノール(予備))を選定しました。
 「化学物質のリスク評価検討会」は3回実施されました。平成24年4月12日、5月10日、5月22日に開催され、8月1日に報告書を公表しました。報告書は別添2を付けておりますので御確認いただければと思います。詳細リスク評価としては4物質評価いたしました。4物質のうち、今回ばく露調査結果に基づくリスク評価ではリスクは高くないと考えられるが、有害性の高い物質であることから、国は事業者が自主的なリスク管理を行うよう指導すべきであるものとして、1,3-ジクロロプロペン、パラ-ジクロロベンゼン、4-ビニル-1-シクロヘキセンの3物質を評価しました。
 中間取りまとめとして、ナノ粒子に関するリスク評価結果を待って、両者の整合を図りながらも、最終的な評価を行うこととしたものとして酸化チタンの1物質を評価いたしました。初期リスク評価としては5物質評価しました。その中で、更に詳細なリスク評価を行うべきものであり、国は、事業者がばく露低減のため適切な管理を行うよう指導すべきであるものとしてアンチモン及びその化合物の1物質。今回のばく露実態調査に基づくリスク評価ではリスクは高くないと考えられるが、有害性の高い物質であることから、国は事業者が自主的なリスク管理を行うよう指導すべきであるものとして、2-アミノエタノール、キシリジン、ニトロベンゼン、メチレンビス(4,1-フェニレン)=ジイソシアネートの4物質を指定しました。
 この検討会には小検討会が2つ設けられています。その1つである「有害性評価小検討会」は8回開催されました。平成24年9月10日、10月16日をはじめとして8回開催され、以下のような検討がされました。リスク評価に係る有害性評価と評価値の検討ということで、平成24年度ばく露実態調査対象物質の6物質について評価値が未設定でしたので評価値を設定しました。
 リスク評価手法の検討として、発がん性以外の有害性に注目して選定した化学物質に係る一次評価値の設定について検討し、「リスク評価の手法」の改訂案を作成しました。
 国が行う有害性試験に関する検討として、がん原性試験があります。そのがん原性試験の対象物質の選定に当たり、フィジビリティ試験が終了している7物質のうち、平成25年度から試験を開始する物質として2-ブロモプロパンを選定しました。試験結果の評価としてはメチルアミン、3-アミノフェノールの2物質について、「発がん性は無い」との試験結果を確認しました。
 国が行う発がん性評価の加速化に関する検討については、国が行う化学物質の発がん性評価を加速化するため、次のような方針を取りまとめました。この方針に基づく、具体的な実施方法等に関する検討会は、本年度より小検討会の下に「発がん性評価ワーキンググループ」と「遺伝毒性評価ワーキンググループ」の2つを設けて行うこととなりました。
 その方針としては、国が行う長期発がん性試験の効率化については、発がん性が疑われる化学物質について、これまで2種のげっ歯類(ラット及びマウス)を使用し、長期試験を行っていたものを、今後は1種のげっ歯類を使用し、長期発がん性試験と、中期・短期in vivo試験系による試験を実施することとなりました。
 もう1つは発がん性のスクリーニングについてということで、職場で使用される化学物質の発がん性を効果的にスクリーニングするため、スクリーニングの方法を取りまとめたものです。
 「ばく露評価小検討会」は、平成24年4月12日と4月26日の2回開催し、検討を行いました。その中では、平成23年度にばく露実態調査を行った、詳細評価4物質、初期評価5物質について検討を行いました。その他、測定分析法の検討として、ばく露実態調査をこれから行う8物質についての、測定分析法についても検討が行われました。
 「リスク評価にかかる情報提供の推進」ということで、リスクコミュニケーションが3回実施されました。第1回は平成24年12月10日に東京で開催されました。テーマとしては、化学物質のリスク評価結果と改正特化則等に関する意見交換会でした。基調講演、事例発表、意見交換などが行われ、225名の出席がありました。第2回は、平成25年2月14日に東京で開催され、テーマは化学物質の発がん性と労働者の健康障害防止のためのリスク評価に関する意見交換会ということで、基調講演、事例発表、意見交換が行われ、102名の参加がありました。第3回は、平成25年2月25日に大阪で開催され、テーマは化学物質の発がん性と労働者の健康障害防止のためのリスク評価に関する意見交換会ということで、基調講演、意見交換が行われ、58名の参加がありました。
 計3回の「パブリックコメント」を行い、国民の意見を募集しました。1回目は、8月に化学物質による健康障害を防止するための指針の対象となる化学物質の追加及び当該化学物質による労働者の健康障害を防止するための指針に係る意見募集です。2回目は、10月から11月にかけて、労働安全衛生規則第95条の6の規定に基づく厚生労働大臣が定めるもの等の一部を改正する件(案)に係る意見募集ということで、ばく露作業報告の対象物質をパブリックコメントに掛けたものです。3回目は、10月から11月にかけて、インジウムの化合物等を製造し、又は取り扱う作業場において、労働者に使用させなければならない呼吸用保護具(案)に関する意見募集です。
 「リーフレット関係」では、4回リーフレットを作成しております。1つ目は、特化則改正の説明リーフレット(全体版、操業者向け)を作成し、情報提供を行ったこと。2つ目は、変異原性が認められる化学物質による健康障害を防止するための指針の一部を改正し、これを厚生労働省のホームページに掲載したこと。3つ目は、発がん性物質による労働者の健康障害を防止するための指針の改正について説明するリーフレットを作成し、厚生労働省のホームページに掲載したこと。4つ目は、平成25年報告対象平成26年報告版の「有害物ばく露作業報告の書き方」パンフレットを作成し、対象物質や様式等の改正、Q&Aなどを記載し、情報提供を行いました。
 以上が概略ですが、昨年度の実績ということで御報告させていただきます。
○櫻井座長 当委員会の3回の実施経過等も報告の中に含まれておりましたが、何かお気付きの点、記載しておいたほうがいいかと思われるような事項などがありましたらお願いいたします。
(特に発言なし)
○櫻井座長 特に指摘事項はないようですので、平成24年度の実績については、報告のとおり承ったということでよろしいでしょうか。
(異議なし)
○櫻井座長 ありがとうございました。そのようにさせていただきます。議事の2、「平成25年度の労働者の健康障害防止にかかる化学物質のリスク評価実施方針(案)について」を、事務局から説明をお願いいたします。
○岸化学物質評価室長補佐 私の方から平成25年度のリスク評価方針(案)を説明し、その後、リスクコミュニケーションの進め方については中西から説明させていただきます。資料2-1「労働者の健康障害防止にかかる化学物質リスク評価方針(案)」ということで、平成25年度版を作成しております。冒頭から読み上げていきます。
 職場における化学物質の取扱いによる健康障害の防止を図るためには、事業者が自らの責務として、個々の事業場でのばく露状況等を把握してリスクを評価し、その結果に基づき、ばく露防止対策を講じる等の自律的な化学物質管理を適切に実施することが基本である。しかし、中小企業等においては、自律的な化学物質管理が必ずしも十分ではないことから、平成18年度から、国は、重篤な健康障害のおそれのある有害化学物質について、労働者のばく露状況等の関係情報に基づきリスク評価を行い、健康障害発生のリスクが高い作業等については、リスクの程度に応じて、特別規則による規制を行う等のリスク管理を講じてきている。平成25年度においては以下の方針により、化学物質のリスク評価を実施する。
 1つ目は、各検討会におけるリスク評価です。「化学物質のリスク評価にかかる企画検討会」において3つあります。1つ目は、リスク評価に係る方針の策定ということで、いま御検討いただきます平成25年度のリスク評価に係る方針の策定を行う。2つ目は、リスク評価の対象物質の選定ということで、リスク評価対象物質の選定作業を平成25年夏頃までに実施することにより、平成25年12月までに告示が発出される平成26年有害物ばく露作業報告の対象物質に反映されるようにする。3つ目は、リスクコミュニケーションの推進ということで、リスク評価に関する関係者間の相互理解を促進するため、労働分野におけるリスクコミュニケーションの実施について検討するというものです。
 「化学物質のリスク評価検討会」における取組です。平成24年度ばく露実態調査の対象物質(詳細評価3物質、初期評価7物質)について、1,2-ジクロロプロパンについては平成25年5月末をめどに、その他の物質については平成25年夏までに、「化学物質のリスク評価検討会報告書(案)」を取りまとめるということです。また、有機溶剤中毒予防規則の対象物質のうち、発がん性が認められるものについてリスク評価を行うことと考えております。
 2つの小検討会においては、以下の検討を行うということで、「有害性評価小検討会」においては、国内外の疫学・毒性等に係る情報を基に、今後、初期リスク評価を行う物質の有害性評価を行うとともに、発がん以外の有害性から選定した物質の一次評価値について引き続き検討を行う。また、有機溶剤中毒予防規則の対象物質のうち、発がん性が認められるものについての有害性評価を行う。さらに、国によるがん原性試験(長期試験終了予定物質「吸入試験:N,N-ジメチルアセトアミド」「経口試験:4-tert-ブチルカテコール」)の結果について評価を実施する。
 一方、発がん性に重点を置いた化学物質の有害性評価の加速を図るため、発がん性評価ワーキンググループと遺伝毒性評価ワーキンググループを新たに設け、スクリーニング試験の実施等、効率かつ効果的な手法を検討する。
 「ばく露評価小検討会」においては、「労働者の有害物によるばく露評価ガイドライン」に沿って、平成24年度のばく露実態調査の対象物質(詳細評価3物質、初期評価7物質)の結果の評価を実施する。今後、リスク評価を行う物質の測定分析法についても検討を行うことを考えております。
 「化学物質の健康障害防止措置等に係る検討会」では、リスク評価結果が取りまとめられた物質について、政策ベースの検討が可能となるよう、関係事業者、保護具メーカー等からヒアリングを行うなどして、最新の技術開発動向や、規制の導入に当たって考慮すべき事項を積極的に聴取し、円滑かつ適切な健康障害防止措置の導入を目指すための検討を行う。平成25年度においては、化学物質のリスク評価検討会において取りまとめられる「化学物質のリスク評価検討会報告書」を踏まえ、物質ごとに健康障害防止の検討を行うとともに、その結果について、「化学物質による労働者の健康障害防止措置に係る検討会報告書」に取りまとめる。
 また、有害性評価小検討会において行われる国のがん原性試験結果の評価を踏まえ、必要に応じ、労働安全衛生法第28条第3項の規定に基づく指針(がん原性指針)に関連する技術的検討を行う。
 3つ目は「リスク評価にかかる情報提供等の推進」ということで、規制措置の導入に際してパブリックコメントを通じて、国民の意見を積極的に募集するとともに、リスク評価の節目にリスクコミュニケーションを実施し、意見交換やパンフレットの作成などを通じて、国民に分かりやすい情報提供に努める。このほか、ばく露実態調査のために策定された測定・分析法についても積極的に情報提供し、事業者自らのリスク管理導入に支援するということです。続いて中西から説明いたします。
○中西化学物質情報管理官 資料2-2を御覧ください。リスク評価に係る情報提供等の推進に関係してですが、「平成25年度のリスクコミュニケーションの進め方」について御説明いたします。リスクコミュニケーション、以下リスコミと略させていただきます。リスコミについては、単に国が決めたリスク低減措置について一方的に説明を行い、その内容に理解を求めるものではなく、リスク評価の開始からリスク低減措置の導入に至る各段階において、利害関係者の双方向の情報交換や対話を通じ、相互理解を促進し、適正なリスク低減措置を取りまとめ、措置の円滑な導入を図ることを目的として実施しております。
 平成25年度においても、引き続き、各段階において行政手続法に基づく意見募集(以下「パブリックコメント」という)を実施するとともに、意見交換会を開催することとする。
 「パブリックコメント」の実施時期として、国におけるリスク評価において対象物質の追加選定、リスク評価を踏まえた健康障害防止措置の導入等が予定されていることから、各段階において、行政手続法に基づく意見募集(パブリックコメント)を実施することとしたいと考えております。実施方法については、パブリックコメントの実施に当たっては専門家による検討会等における検討結果等の情報提供を併せて行う。また、パブリックコメントの実施について、関係事業者団体等への周知を行い、意見の提出の機会が確保されるよう配慮するとともに、ここで示された疑問・意見等に丁寧に対応してまいりたいと考えております。
 2の「意見交換会」の開催時期としては、関係者の方々の意見を幅広く反映させる観点から、年3回リスコミを開催することとしております。リスク評価結果公表後に2回、そして健康障害防止措置の検討期間中に1回を考えております。
 開催要領としては、効率的・効果的な方策として、平成24年度の3回の会合については、一般募集型の国のリスク評価全般の説明を目的とするリスコミとして、これに関する講演者の説明の後、事前又は当日参加者から募集した質問・意見に答える形でパネルディスカッションを行い、意見交換を実施いたしました。これを踏まえて平成25年度においては、以下の3点に留意し、効率的かつ効果的な開催に努めることとする。
 1点目は参加者の募集です。地方開催については、特に参加者への周知が必要であり、「全国産業安全衛生大会」や「日本産業衛生学会」等に開催情報を提供するとともに、消費者団体等幅広に情報提供することを考慮したいと考えております。2点目は、開催地及びテーマの設定です。テーマごとに参加者の利便性を考慮した開催地を選定することが重要である。平成25年度においても、地方の事業者の方々の参加が容易なように、東京のほか主要地方都市での開催を検討する。また、関係事業者の参集しやすい場所、機会に開催することを考慮したいと考えております。
 会合の持ち方については、開催時間は最大でも現在実施しているリスコミ時間で、全体を3時間として、意見交換を1.5時間とすることが妥当と考えております。意見交換の方式は、参加者から当日募集した質問・意見に答える形でパネルディスカッションを行う現行方式が有効であること。そして、出席者から意見・質問が出しやすいよう、あらかじめ質問・意見提出用シートを配布する方式が適当と考えております。参集者についても、100名程度の会合が適当であると考えております。
 意見交換会について、その他としてはリスクコミュニケーションの普及促進の観点から、国は事業者・業界団体にリスコミの開催を呼びかけるとともに、事業者等の主催するリスコミへの講師派遣、資料提供等を行うなどして連携の強化を図ることとする。国はリスコミに係るPDCAサイクルを成立させるため、リスコミの事業評価を行う必要があります。その評価手法の1つとして、リスコミ会合参加者へのアンケートを行っておりますが、平成25年度、平成26年度に向かって、アンケートやパネラーへのインタビュー等の結果を踏まえ、ニーズにマッチした効率的・効果的な開催を行うことと考えております。
 パンフレットについては、リスク対象物質の周知や、リスク評価を踏まえた健康障害防止措置の導入に当たっては、その趣旨をパンフレット等に記載し、相互理解を促進するとともに、意見交換会で、特に質問・意見が多かった議題、案件については、制度改正を説明するパンフレットにQ&Aを掲載し、改定等の際に更新する等、情報提供の方法を工夫することが必要であるということで、進め方を考えております。以上です。
○櫻井座長 平成25年度のリスク評価方針、リスクコミュニケーションの進め方についての案が説明されましたが、御質問、御意見がありましたらお願いいたします。
○堀口委員 多分質問に当たると思うのです。これまで、リスクコミュニケーションを進めてきて、いろいろな会場でたくさんの質問を受けて、それなりに順調にと言っていいか分からないのですが、進んできたと思っています。1点、これは方向性としてどうしたらいいのかというところが私にも分からない点なのです。今回、例えば何か1つ特定の化学物質で、労働者に健康危害が及んだ事例が、メディアから突然流れてくることがあったと思います。それで、自分の工場とは関係がない化学物質かもしれないのですが、国として化学物質に対してそのリスク評価をしていて、労働者の健康を守ることをやっているところで、メディアに対してこの検討会とか、評価委員会がきちんとやっているということを伝えていくことも重要なのではないか。
 例えば食品だと、評価の機関が食品安全委員会という別の機関になっているので、そこが見える形には必然的になるのですが、厚生労働省の中で、化学物質のリスク評価をきちんとやっているというところを、メディアの人たちにもなるべくきちんと説明をしていくことが必要なのかと思っています。利害関係者の中に、労働者と企業という書き方なのですが、その中にメディアも入れておいたほうが、今後のためにいいのではないかと思いました。
○櫻井座長 大変具体的な提案の1つだと思いますが、それについて追加の御意見がありましたらお願いいたします。今までのマスコミの論調には、国が既に今までやってきているリスク評価事業についての研究はほとんどないですね。
○堀口委員 そうです。
○櫻井座長 認識されていないような気がいたします。
○岸化学物質評価室長補佐 また後でお話しますけれども、資料3の中で、リスク対象物質選定の考え方のところでも、2ページの(3)で、国内において有害性に係る懸念や不安が広がっているものとして、例えば最近マスコミ等で取り上げられる頻度が高いようなものについては、リスク評価の対象とするという道筋は一応立っておりますので、これに沿って私たちは取り組めばいいと思うのです。そこを皆に知らしめるところが大事だということですね。
○堀口委員 そうです。
○櫻井座長 リスクコミュニケーションを実施する際に、どういう方々に広報を出すかということは何かありましたよね。どこかに書いてありましたか。
○名古屋委員 リスコミは行政が直接開催するのではなくて、中災防が委託されて、中災防が主催という形になっていますよね。
○堀口委員 やっています。資料2-2の24ページにあるように、参加者の募集が「全国産業安全衛生大会や日本産業衛生学会等に開催情報を提供するとともに、消費者団体等」と書いてあるのですが、やはりここにメディアも一言入れておくと、本当の皆に周知するというところが伝わるのではないかと思います。
○櫻井座長 そうですね。その部分の御意見はありますか。
○山口委員 意図は非常によく理解できるのですが、実際にマスコミの方は、安全であるということに関してはほとんど興味を示さない場合が多くて、危ないということにのみ着目して報道されるケースがほとんどです。こういうリスクコミュニケーションを通じて、国はちゃんと化学物質の安全性を確認して、リスクに基づいて対応しているということに関しては、要するに、ちゃんと安全にやっていますということに対して、本来はもっと国民にアピールしていただきたいのです。一般市民は、安全ということに対しては、一時的な興味しか示さないし、危ないというところにしか着目しないということがありますから、御努力いただければありがたいと思うのです。基本的にはそういうところがあるということを考えていただいて、継続的には難しいかもしれませんけれども、その機会を見て働きかけるというのは効果的ではないかと思います。
○櫻井座長 石井さんはいかがですか。
○石井委員 具体的な提案ではないのですが、私が今リスク評価について話を一般市民にお話させていただくようなときには、一般市民の反応として労働者に対するリスクは余り考えられていないという感じがあります。特にアメリカのカリフォルニアポジション等々に対しては、消費者ばく露とか、労働者ばく露について、消費者団体がかなり気を付けて働きかけをしているということをよく聞きます。
 それに対して日本の中では、消費者製品に関しては割合敏感に反応しているのですが、労働衛生についてはは、時々話題になればというところがあるのかなと。そこは、もう少し地道に根気よくコミュニケーションを取っていく必要がある。決して労働者だけの問題ではない、全体のリスク、全体の基盤を上げ、土壌を広げていくことが重要なのではないかと思っています。
○櫻井座長 24ページの「参加者の募集」の所に、マスコミをどういうふうに入れたらいいか、何かそういう一言を入れておくのは悪いことではない、忘れてしまいがちなので、それをきちんと入れておくと、その都度考えるということで、いいことのように思われますが、そういう方向にいたしましょうか。
○奈良化学物質対策課長 はい。大変貴重なお話を頂戴いたしましてどうもありがとうございました。私ども、リスク評価に関する検討会を含め、御承知のように基本的には個別の事業場に関わるような情報が提供される場以外について、基本的には全てオープンになっています。厚生労働省のホームページの中で、5月2日の検討会の情報提供がなされておりますが、そういう形で常に事前に情報を提供し、またそれぞれの委員会、検討会で使用された資料についても基本的にホームページで全て公開しているという、非常にオープンな形で進めております。
 マスコミの方々も、こういうものが開かれるということを知り得る状況には正直言ってなっているところですが、今お話がありましたように、リスクコミュニケーションの場をセッティングする場合には、マスコミの皆様を含めて事前の情報提供ということについて、今後一層配慮してまいりたいと思います。
 昨年来の胆管がんの問題を通じて感じたのは、マスコミの方について、先ほど山口委員からお話がありましたが、危険性なり有害性のほうには着目して取り上げてくださるのですが、国全体としてリスク評価がどういう形でなされているのか。一番困ったと思ったのは、新規の物質については、全然野放しの状態で世の中に出てきているのだという報道があり、実際上は御承知のように新規の物質については、有害性の調査、一定の調査をして、それについての有害性の評価をなされているわけですが、その辺のことについてきちんと伝わっていないと。これは、我々行政サイドの努力不足もあるのかということを痛切に感じた次第です。
 繰り返しになりますが、本日お話いただいたことを契機とし、我々自身で、マスコミの皆様と普段からのコミュニケーションを大事にしていきたいと思います。どうもありがとうございました。
○櫻井座長 その他何かお気付きの点はありますか。24ページの(3)「その他」の2行目ですが、「事業者等の主催するリスコミへの講師派遣、資料提供等を行うなどして、連携の強化を図ることとする」と書いてありますが、これは、前からこういうスタイルになっていたでしょうか。実績はどうなのだろうという疑問が出たものですから。余り、その結果どうなったという話は聞きませんので、事務局の方でそういう資料が、今はお手元にはないと思いますけれども。山口さん、何か動いていますか。
○山口委員 日化協は、RCの地域対話ということで、地域住民とこういうことに関し、労働安全も含めて対話は進めています。基本的な興味が、労働安全よりも、どちらかというと保安防災的な方に興味が行きがちですので、話しても興味が余りないというところがあります。厚労省から頂いたいろいろな情報に関しても、日本化学工業協会の中のRCということで、リスクコミュニケーションを進めている部署とも連携しながらやっています。
 やはり、相手の興味のある所はどうしても集中することがあって、今後は折を見て、去年は胆管がんのこともありましたので、そういったことも入れながら努力していきたいと思いますので、その際には厚労省にも場合によっては御協力いただきたいと思いますので、よろしくお願いいたします。
○名古屋委員 事業主ではないのですが、作業環境測定協会に関係した所は、リスク評価検討会で検討された事が、その後に規制がかかってくる事があり、結果として、分析や作業環境測定に影響を与えることが多くあるので、測定協会を通しての講演依頼や直接支部からの講師依頼があります。行政を通すのではなくて、測定協会等が、この委員会の委員に個人的にお願いしてくるケースは結構あると思います。だから、事業主が主催する所はなかなかないかもしれませんけれども、関連した業界所とかでは、測定をする人たちや規制を受ける業界関係者は結構興味を持っていますので、支部ごとや業界毎で結構やられています。
○堀口委員 実際にリスクコミュニケーションをやっていて、会社で参加されている方と、ある団体として参加している方が会場におられます。団体は代表して、特に中小・零細企業の団体になっていると思うのですが参加していて、その方々から多分同じ団体の会員に向けて情報が発信されていると思うのです。例えば、リスクコミュニケーションを実施する場において、ある団体がリスコミを主催する場合に、講師の派遣が可能ならば可能ですというインフォメーションはこれまでしていないので、そこでしてみるという可能性はあるかと思います。
 資料に関しては、当日参加した方がお持ち帰りいただいているので、それをコピーすることも可能ですし、また中災防のほうがいろいろなパンフレットを作成していますので、それが当日会場に並んでいるので、それをお持ち帰りいただくことは全然可能になっています。
 ただ、リスコミの場で、例えば本日お話している先生方に、ある団体から依頼をしたときに、それについては別途検討しますというようなインフォメーションを今まではしていなかったと思うので、それをしていく可能性はあるかと思います。
○櫻井座長 気が付きませんでしたが、それも何か良さそうな気がします。他に何かありますか。ただいまの幾つかの意見を反映し、若干の修正を加えた上で、平成25年度の化学物質のリスク評価方針についてはまとめていただきたいと思います。どうぞよろしくお願いいたします。次は、議事3の「リスク評価対象物質・案件選定の考え方」についてです。事務局から説明をお願いいたします。
○岸化学物質評価室長補佐 リスク評価対象物質の選定については、また7月頃の企画検討会で検討していただくことになるかと思いますが、それに先立って基本的な考え方について、この場で説明させていただきます。資料3です。これは平成21年に定めた資料ですが、今後のリスク評価の対象物質・案件については、次の(1)から(3)のいずれかに該当するものの中から選定するものとするということです。
 (1)ヒトに対する重篤な有害性を有する、又は有するおそれのある化学物質・案件として以下に該当するものということで、有害性に係る次の(ア)から(エ)の情報において、以下の丸数字1から丸数字5に掲げる重篤な有害性があるか、又はあることが示唆される化学物質・案件ということです。その情報としては、国際機関又は外国政府の有害性に係る分類・情報。国内外の産業衛生に係る学会等における有害性に係る分類・情報。また、国内外の主要な学術誌に掲載された論文。国が実施した吸入ばく露試験、国に届け出られた有害性調査結果の内容。これらの中から、丸数字1発がん性、丸数字2生殖毒性、丸数字3神経毒性、丸数字4ヒトの生体で蓄積性があり、蓄積することにより疾病を発生する毒性、丸数字5その他、ヒトに対して非可逆的な障害を発生させる毒性という5つの毒性について対象としております。なお、有害性の程度が低く、かつ当該物質の物理的性状から見て、ばく露程度が低いと判断されるものについては、リスク評価の対象から除外して差し支えないものとするということです。
 もう1つの重篤な有害性に関するものとしては、イとして、労働に伴う疾病に関する次の(ア)(イ)の情報において、化学物質による疾病が増加し、又は増加するおそれが示唆される化学物質・案件ということで、(ア)労働災害の発生等に係る情報、(イ)大学、医療機関、又は国の試験研究機関に所属する有識者からの疾病の発生に係る情報ということで、これらのヒトに対する重篤な有害性を有するものについては対象とするということとしております。
 (2)は国内における健康障害防止措置等に係る次のア、イの情報において、当該措置について問題が生じている又は生じるおそれが示唆される化学物質・案件ということで、労働安全衛生に係る行政からの情報、又は労働安全衛生団体からの情報について、健康障害防止措置に関することで情報があったら対象とすることとしております。
 (3)は、国内において、有害性に係る懸念・不安が広がっているものとして、次のア、イに該当する化学物質・案件ということで、パブリックコメントその他でリスク評価の要望が高かったもの、最近マスコミ等において取り上げられる頻度が高いものということです。なお、当該条件に該当するものについては、有害性評価を先行して実施し、労働者等に対して正確な情報提供を行うこととするとしております。
 なお、(1)(2)に該当する場合にあっては、対象物質・案件から除外するものとするということですが、1つ目としては国内における製造又は取扱いがない場合や僅かである場合。もう1つは、既に法令等により適切な対策が講じられているようなものということです。
 次に、リスク評価の円滑な推進に当たって、リスク評価対象物質・案件数を絞り込む場合に当たっては、専門家の意見を踏まえ、ヒトに対する有害性の確度が高いもの、有害性の程度、物理的性状等から見てリスクの高いもの及び対象物質を取り扱う事業場、労働者数から見て影響度の高いものを優先的に選定するということで、選定に対する考え方です。
 もう1つ、労働安全衛生法において、MSDSの交付、又は表示の対象物質となっていないため、事業者が取り扱った製品に対象物質が含まれているかいないかを確認できない場合等、ばく露調査を実施する上での支障が生じるものについては、MSDS交付の対象、又は表示の対象となった段階でリスク評価の対象とすることとするということです。ただし、有害性に係る懸念・不安が広がり、正確な情報を提供することが必要な場合にあっては、有害性評価を先行して実施し、情報の提供を行うものとするとしております。
 関連情報としては、参考5にリスク評価物質選定の参考資料ということで、これは平成23年5月に作成した物質のリストで、MSDS対象物質633物質から、既に法令措置されているものやリスク評価実施済み、平成23年度の報告対象物質を除いたもののうち、GHS分類において生殖毒性、神経毒性が「区分1」の物質一覧をリストにしているものですので、このようなものも選定の候補になるということです。以上、簡単ですが説明を終わります。
○櫻井座長 ただいまの説明について、御質問・御意見がありましたらどうぞ。
○堀口委員 26ページの(3)のアですが、要望は高い・低い、多い・少ない。要望は高いと言うのですか。要望は多い。
○櫻井座長 そうですね。そう言われてみるとちょっと。
○堀口委員 イですが、最近というのはいつと言われてしまうので、「マスメディアなどにおいて取り上げられる頻度が顕著に増加したもの」とか、そういう言い方ではないでしょうか。内容を否定しているものではありません。
○櫻井座長 この資料3は、平成21年に作ったとき、余りみんなで言葉まで細かく見ませんで、内容はこれでいいだろうということでスタートしたので、今見るとチョコチョコ気になる点がありますので、この際お気付きの点がありましたら修正をしたいと思います。今の点も確かにそうですね。「要望が多かったもの」、最近を取って、「取り上げられる頻度が顕著に増加したもの」。
○向澤委員 質問なのですが、26ページの(3)のなお書き以降で、「当該案件に該当するものについては、有害性評価を先行して実施し」うんぬんとあります。「但し、(1)に該当するものは、この限りでない」ということで、「(1)に該当する場合はこの限りではない」というのはどこにかかるのかについて、先行的な実施とか労働者に対する正確な情報提供、これら全てがこの限りではないにかかってくるのかという確認です。何が聞きたいかといいますと、(1)に該当していて、更に(3)にも該当しているということであれば、より先行して実施すべきことではないかと思うのです。
○櫻井座長 そうですね。そう思いますね。
○宮川委員 ここの意味は、リスク評価と有害性評価、全部やるのではなくて、とりあえず有害性評価だけをやっておけばいいというのがこの「なお」の所で、(1)に該当する場合には有害性評価だけを先行してやるのでは不十分だという意味なのではないでしょうか。
○櫻井座長 今の解説はそのとおりかなと。有害性評価。
○山口委員 確かそういう話だったと思いますから。
○櫻井座長 これはいいですよね。
○山口委員 はい。今回の胆管がんに関して個人的にも疑問に思っているのが、急性症状が明らかに出ているにもかかわらず、何も事業主が対処していないということがあるのではないかということがあります。管理のうち、3つの管理の作業管理、健康管理、作業環境管理で、健康管理の面で、健康診断を受ける場合がほとんどです。そうすると、医療機関から何か同じような症状の病気が出た、(イ)にあるように、情報が入るのだと思うのですが、ここが具体的に何か本当に機能として働いているのかどうかというところで、労働者の健康診断の情報をもう少しうまく使うことができないのかなと。そうすれば、あそこまで行かない段階で、つかまえられたのではないかという思いがありまして、(イ)の所をもう少し何か工夫する余地はないのかと思うのですが、どんなものでしょうか。
○櫻井座長 この(3)のイ。
○山口委員 (1)のイの(イ)ですね。「大学、医療機関、又は国の試験研究機関に所属する有識者からの疾病の発生にかかる情報」ですね。25ページの、主に医療機関ですね。
○櫻井座長 イの(イ)ですか。大学、医療機関、又は国の。
○山口委員 情報を得るということは分かるのですが、具体的に余り動いていないのではないかという。
○櫻井座長 これは有識者に重点が置かれておりまして。
○山口委員 ああ、そういうことですか。
○櫻井座長 一般的な情報を集めるというのではなくて。
○山口委員 ではなくて、有識者からの情報ということになっている。そういう意味で。
○櫻井座長 そういう意味なのです。
○山口委員 そうすると、一般的な医療機関からの健康診断の結果、当然ながら会社の中では必ずフィードバックすることになっているのですが、今回見ると事業主が何もしていないというように思われるので。
○櫻井座長 そうですね。産業医もいなかったようですし。
○山口委員 全く健康診断を受けていなかったのですか。
○櫻井座長 受けていない人も多いような感じがする。
○山口委員 そうですか。そうすると、しょうがないです。了解しました。
○堀口委員 今の行でいうと、有識者は大学の人か、医療機関の人か、国の試験研究機関に限定されてしまうので、「など」を入れておかないと。
○山口委員 そうですね。今回の胆管がんのあれが分かったのも、医療関係の方からですよね、調査で。そういう意味では働いている。
○櫻井座長 あれは有識者からです。でも、これは限定的ですね。医療機関等に。
○堀口委員 「大学、医療機関、試験研究機関など」でもいいのではないですか。違うのですか。国の試験研究機関なのですか。
○櫻井座長 国は入れる必要はないですね。
○堀口委員 あと「など」と入れておかなくていいですか。
○櫻井座長 「医療機関、又は試験研究機関などに属する有識者」。
○堀口委員 有識者にかかっているということですね。
○櫻井座長 そうですね。それをただ説明しているだけですね。だから、限定する必要はないだろうなと思うので。25ページの(1)のアの3行目で、「国際機関又は外国政府の」と、これは外国政府に限定しているのも何だか気になるのです。「国内外の行政機関」、その下で「国内外」と書いてあるのと同じように、ここも「国際機関又は国内外の行政機関」としたいなという気がしますが、どうでしょうか。
○角田化学物質評価室長 昨年、正にこの企画検討会でも議論があったかと思うのですが、報告をさせていただいたときに、化審法とのそういう情報なども考慮して、選定をしていきましょうというお話になったかと思いますので、正に今の御指摘などはそれにかかわるものだと思います。
○櫻井座長 はい。今のはそれでいいですね。「国内外の行政機関」。
○宮川委員 多少そこにかかわるところなのですが、先ほどの「大学、医療機関、その他、試験研究機関等」の所に、例えば地域の産業保健センターはこれの「等」に含まれるという解釈でよろしいでしょうか。もしよろしければ、是非そういうところからの情報も入れてもらいたいというのが1点。
○櫻井座長 ここに入れてしまいますか。そうすると、産業保健推進センター、あるいは連絡事務所の相談員、これは大きいですよね。
○宮川委員 もう1点が26ページの一番上の「労働安全衛生にかかる行政機関からの情報」で、ここでいう行政機関は、国内における健康障害防止措置等に関するということなのですが、26ページの一番上の「行政機関からの情報」に「労災申請があったけれども、認められていない、却下されているようなもの」、「監督署に対する労災申請の情報」が含まれるかどうかがちょっと疑問です。情報を集めるという意味では、そういうのも手広く集めた上で確認をするというほうが漏れは少なくなるのかという気はいたします。
○櫻井座長 もう1回おっしゃってください。労働安全衛生にかかる行政機関は。
○宮川委員 労働安全衛生にかかる行政機関からの情報ということで、この行政機関からの情報が具体的に何なのかというのが。
○櫻井座長 考えますね。
○宮川委員 はい。これがいわゆる基準局の中の安衛部から出てくるものだけなのか、あるいは補償から出てくるものも含まれているのかということで。
○櫻井座長 私はこれを見て、すぐ補償のことを考えました。当然だと思いますけれども。
○宮川委員 両方含まれているということでよければ、そういう解釈で、候補物質のときにそういうのが出てくると、そこも参考にして検討することができる。
○櫻井座長 これは括弧して労働局、労働基準監督署、あるいは何々と入れておきますか。補償をここに入れるのも何だから。
○宮川委員 書きぶりとしては事務局にお任せしますが、実際に選ぶときにそういう情報がもし収集可能であれば入れていただくほうが、漏れが少なくなるという気がいたします。
○櫻井座長 気持としてはそうなのですが、事務局でお考えいただいて、入れるか入れないか。入れるとしたら、どんな具合に入れるか。
○岸化学物質評価室長補佐 そうですね。労働安全衛生にかかる行政機関というと、通常は労働局、労働基準監督署ということになりますが、部署的に言えばどうしても安全衛生にかかるとなってしまいますから、そうなってしまうので、(2)の頭で「健康障害防止素置」がどうしてもトップに出てきますから、その辺りを。
○宮川委員 25ページの最後の(2)の頭に「防止措置等に関する」という頭書きが付いているために、防止ではなくて、既に起こったことについては除外するのかなと、ちょっと読める気もしますので、その辺がいろいろ難しい点もあるのかもしれません。
○櫻井座長 なるほど。「防止措置」と書いてあるからね。このように書いてしまうと補償絡みは入らないですね。
○奈良化学物質対策課長 今、御議論いただいている点ですが、一番広く読めるのは多分25ページの1の(1)のイの(ア)なのではないかと思うのです。「労働災害の発生等にかかる情報」はものすごく広いものですから、今お話した(2)は飽くまでも健康障害防止措置が適切なのかどうかということの判断の材料として、ここは列挙しているものだと思います。
○宮川委員 そうすると、その上の(ア)で「労働災害の発生等に」の「等」で、労働災害と最終的に認められたものでなくても、その疑い、あるいは訴えがあったものについても、ある程度はこの行で考慮できるということ。
○奈良化学物質対策課長 ここでかなりできると思います。こういう形で様々な情報を集めた上で、この場でリスク、最終的には評価まで持っていくのかどうか御検討いただくことになると思いますので。
○櫻井座長 よろしいでしょうか。
○宮川委員 もう1点、26ページの最後の4「なお、労働安全衛生法においてMSDSの交付、又は表示の対象物質になっていないため」うんぬんです。これができた平成21年当時は、MSDSの対象については700余りの対象物質があったと思うのですが、その後の議論で「個別に有害性をチェックした結果、GHSの分類に該当するもの」については努力義務という形だと思いますが、MSDSの義務が掛かっておりますので、そういうものを入れようとすると、つまり国が決めた700幾つではなくて、事業者なりが自主的に分類して、あるいは外国政府が分類して、GHSの区分に該当するとなったものについては、国内でもMSDSの努力義務が掛かるということで、そういうものを集めてリスク評価の対象にするところが漏れないようにすることが重要かなという気がいたします。
 具体的に何らかの手段があるかどうかということがちょっと。恐らくその前のページの25ページの(1)の(ア)の辺りで、国際機関や内外の政府が分類するということであれば、そこから拾ってくることはできるとは思うのです。国が決めていないものについても、自主分類で有害性が区分該当するということで、MSDSが、努力義務が掛かるものについて考えると、4の書きぶりがこれでいいのかどうか、ちょっと気になりましたので、事務局で御検討いただければと思います。
○櫻井座長 ただ、少し優先順位を高くしているのだとは思うのです。努力義務は事実上、全ての化学物質に該当することになりますので。
○宮川委員 4の書きぶりは、MSDSのものについては優先順位を高くするということで、今、座長がおっしゃったとおりだと思うのです。ただし、MSDSがないと現場の調査に支障が生じるので、後回しにするという言い方だと思います。本来は努力義務が掛かっているので、そういうものについてはMSDSが出てきてほしいなというのが今の動きだと思いますので、少し書きぶりを検討していただければと。
○櫻井座長 書きぶりを検討する必要がありますね。ありがとうございました。なお、MSDS、Mはもう今は使わない。
○山口委員 そうですね。規格ができたので、Mは取っていただきたいと思います。
○櫻井座長 SDSですね。
○山口委員 SDSです。
○櫻井座長 言葉尻のような話ですが、26ページの3の3行目、「有害性の程度、物理的性状等からみた、リスクの高いもの及び」というのは、リスクが高いと決めつけることはできないと思いますので、「リスクが高いと推定されるもの」とかいう書き方になるのでしょうか。
○山口委員 その結果としてリスクの評価の結果が出たわけですから、確かにそうですね。
○櫻井座長 これも何か言葉尻みたいなのですが、25ページの下から3分の1ぐらいに「なお、有害性の程度が低く(ばく露限界値等の閾値が大きいもの等)」と書いてあるのですが、この「ばく露限界値等の閾値が大きいもの」という閾値を、中毒学的な意味での閾値というように正確な意味で使っているのか、単に数値という意味で使っているのか、どうもはっきりしないのです。例えば「ばく露限界値等によって表現される閾値が大きいもの等」と書いたらいいのでしょうか。あるいは、「ばく露限界値等の数値が大きいもの」と書くのでしょうか。どちらかだなと思うのです。
○山口委員 閾値というと、閾値のあるもののあれになります。
○櫻井座長 閾値なんて使わなくていいのですね。
○山口委員 数値ですよね。
○櫻井座長 「ばく露限界値等の数値」でいいですか。そのように。ほかにはないでしょうか。
○向澤委員 1.でリスク評価対象物質・案件をいずれかに該当するものから選定するという、大原則が掲げられていると思います。一方、26ページの3.で、絞り込む場合の選定基準、優先的に選定する基準が並べられています。ここについて異論はないのですが、できればより多くのリスクのある物質を評価する必要があるという中で、理由として「リスク評価の円滑な推進のため」としているのは、確かにそうではあるとは思うのですが、あえてこの「リスク評価の円滑な推進のため」を入れる必要はないのではないかと思います。できれば絞り込まずにやれるのが望ましいと思うのですが、いろいろな制約条件があることは承知しています。ただ、「円滑な推進のため」という言い方には違和感を覚えるところです。
○堀口委員 その下の行も「専門家の意見」と書いてあるので、有識者か専門家か、どちらかで統一されてはどうですか。
○櫻井座長 そうですね。専門家、何となく。
○堀口委員 先ほど有識者と。
○山口委員 これは専門家となっていたのではなかったですか。選定のときに欄がありましたよね。たしか専門家の意見みたいな欄があったと思うのです。
○堀口委員 それで、ここは専門家なのですか。
○山口委員 あれは表現はどうなっていましたかね。確か欄があって、有害物質の情報があって、ここに確か1行、専門家の意見みたいな欄があったと思うのですけれども。
○櫻井座長 具体的には何人かの方に意見を出していただいて、それも参考にして、この場で決めたりしておりますね。
○山口委員 その表現が専門家だったかもしれないなと思いまして。
○櫻井座長 そうかもしれません。専門家の意見を踏まえ、必ずしも専門家の意見である必要があるかないか。でも、専門的な安定した。
○山口委員 「専門家・有識者」を加えるか。
○櫻井座長 安定した判断ができる人である必要はあるだろうなと思うのですが。「円滑な」という所も気にはなりますね。
○向澤委員 何かもう少しうまい言い方があればよいと思います。
○櫻井座長 効率的・効果的とか、よく言葉を使いますね。そういう意味ですよね。リソースの限界がある中で、最善を尽くしましょうということなのですね。必ずしも円滑であるというのではないですね。
○向澤委員 効果的という言い方はありうるのではないかと思います。
○岸化学物質評価室長補佐 効果的とか、効率的とか。
○櫻井座長 効率的・効果的と2つ並べることはよくありますね。それにしますか。「専門家の意見を踏まえ」。
○堀口委員 「専門家の意見を踏まえ」を「優先的に選定する」の直前に置いたらどうですか。順番としては、「ヒトに対する有害性の確度の高い可能性があるもの、有害性の程度、物理的性状等からみたリスクの高いと推定されるもの及び対象物質を取り扱う事業場、労働者数からみた影響度の大きいもの」、そしてそこに「専門家の意見を踏まえ」というところで、順番が「専門家の意見」を第一優先に置かないほうがいいのではないですか。
○櫻井座長 そうですね。「影響度の大きいものの中から、専門家の意見も踏まえ優先的に選定する」ぐらいですか。そんな感じで、大分良くなったかな。
○清水委員 先ほど室長からもちょっと触れられましたが、今、化審法との情報交換をやっていらっしゃると伺いました。化審法も随分時間がたつわけで、過去のデータといいますか、動物実験でいろいろな毒性が出ているものもあったのですが、そういったものはどこかでチェックされているのでしょうか。遡ってみるということは。
○角田化学物質評価室長 化審法の世界で選定をするときにという意味ですか。
○清水委員 いいえ、こちらのいろいろな化学物質をリストアップする場合に、化審法で過去に随分いろいろな物質が出されておりますね。報告されているのですが、28日間の動物経口投与の結果で、例えば神経毒性が出てくるようなものもあるのですが、そういうものはSDSに書き込まれているかもしれないし、あるいはリニューアルされていないかもしれないのですが、そういったところまでは遡ってチェックされていることはなさっていないのですか。
○角田化学物質評価室長 ちょっとまだそこまでは。
○大淵有害性調査機関査察官 一つ一つの物質について、こちらでそれを調べるというところまではないかもしれないのですが、基本的には化審法で行っている旧二監とか三監についてのスクリーニング評価あるいは一般化学物質のスクリーニング評価の結果については、当然誰でも見られる形になっておりますので、私どももそこでの評価結果については活用しながら、こちらの作業を進めるという予定にはしております。その中で、今おっしゃられたような28日間反復投与などの結果なども踏まえてやるケースも、場合によっては出てくるかもしれません。
○宮川委員 今の点ですが、化審法も安衛法も、規制対象になっている物については、3省庁が協力してやっているモデルMSDSを作る事業の中で、少なくともこの5、6年の間に新しいモデルMSDSが作られていて、そこで各有害性が引っかかってくれば、引っかかった形でGHSの区分が付くという形で、データはある程度整理されていると思いますので、そこを引っ張ってくれば、漏らさずに一応確認することはできるような気がしますが、いかがでしょうか。
○櫻井座長 参考5もSDSから取ってきておりますが、その中に。
○宮川委員 SDSがあるのが700物質に限らず、それ以外に化審法で引っかかったもの、化審法の対象物質などについても、多分事業でかなりやったと思いますので、そこから拾ってくることによって。ただ、そこでのデータが多少古いかもしれませんが、少なくとも見直しは5、6年の間に行われていると思います。
○櫻井座長 できるだけ漏れなく情報を集めるという方針ではあるし、実態としてかなりうまく運用されていると思っています。ほかに特にないようでしたら、幾つかの修正点がありました。それを修正したものを新しい選定の考え方にするということで、よろしいですか。そのようにさせていただきます。以上で予定した議事は3つ終わりました。
 その他ですが、何かありますでしょうか。
○岸化学物質評価室長補佐 次回の企画検討会については、日程はこれから調整いたしますが、7月以降で調整させていただきます。題材としては、今、御審議いただいたばく露対象物質の選定とさせていただきますので、またよろしくお願いいたします。
○櫻井座長 ちょっと時間的に余裕がありましたが、閉会とさせていただきます。どうもありがとうございました。


(了)
<照会先>

労働基準局安全衛生部化学物質対策課化学物質評価室
(電話番号)03(5253)1111(内線5511)

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