ホーム> 政策について> 審議会・研究会等> 健康局が実施する検討会等> 移植用臍帯血基準検討会> 第3回移植用臍帯血基準検討会 議事録(2013年7月30日)




2013年7月30日 第3回移植用臍帯血基準検討会 議事録

○日時

平成25年7月30日(火)18:00~21:00


○場所

厚生労働省共用第9会議室(19階)


○議題

1 移植用臍帯血基準の今後の検討事項等について
2 その他

○議事

○西脇室長補佐 定刻になりましたので、ただいまより「第3回移植用臍帯血基準検討会」を開催いたします。
 本日はお忙しいところ、また夜おそくにお集まりいただきましてありがとうございます。
 健康局長の佐藤より、御挨拶を申し上げます。
○佐藤健康局長 ただいま御紹介をいただきました健康局長の佐藤敏信でございます。
 私のことをちょっと申しますと、前任の矢島局長を引き継ぎまして7月2日付でこの職にまいりました。どうかよろしくお願いいたします。
 少し振り返って見ていたんですけれども、私はちょうど20年前に疾病対策課、そして併任の形で臓器移植対策室の話もしておりまして、1993年に第1号の骨髄移植の移植が行われたということを懐かしくきょう思い出していたんですが、そうしてみますと20年ぶりにこの仕事に戻ってきたということです。
 当時は、骨髄バンクが91年にできて、今も申しましたようにようやく第1例目ということで、バンク組織をどうやって軌道に乗せていくか。また、きょうも笑われそうですけれども、当時はドナーを10万人集めるという、当時としてはかなり野心的な目標であったわけですけれども、きょう担当から聞きますと43万人分集まっているということですから、大変この間に長足な進歩を遂げていただいたものだなと思います。
 また、当時はまだ臍帯血バンクの話も実験的な段階にとどまっておりまして、私の記憶が正しければ多分、信州大学におられました中畑龍俊先生がかなり研究班の中で御活躍をいただいていたように思います。
 そうしているうちに、この話に末梢血幹細胞移植の話も入ってまいりましたから、私がこの健康局を離れております間に長足の進歩を果たしたところもあり、また、なかなか進まない部分もあるだろうと思っております。
 そういう中で、私もまた戻ってきてこの仕事の一端を担当することになりまして、大変うれしくもあり、また緊張するところもございます。
 きょうはお忙しい中お集まりいただきまして、冒頭、西脇のほうから話もありましたように、恐らく3時間ぐらいのかなり大変な会議になりそうに承ります。お暑い中で大変かとは思いますが、どうか審議のほどをよろしくお願いします。
 なお、きょうは私も昔の知識を振り絞って移植用の臍帯血基準の案を見せていただきましたけれども、大変短い間に極めて精緻に、かつ合理的なといいますか、リーズナブルな案をお考えいただいたようで、この点についてもこの場を借りて敬意を表し、また御礼を申し上げる次第でございます。
 余り冒頭に長々と話をすると審議の時間に差し支えますのでこのぐらいにいたしますが、いずれにしましても引き続き御審議をいただき、また、この臍帯血移植を含めました肝細胞移植全体が進みますように祈念をいたしまして、簡単でございますが、冒頭の挨拶にかえさせていただきます。
 活発な御議論を、どうぞよろしくお願いいたします。
○西脇室長補佐 臓器移植対策室長にも異動がございましたので、御紹介をさせていただきます。臓器移植対策室長の泉です。
○泉臓器移植対策室長 泉でございます。どうぞよろしくお願いいたします。
 局長と同じ日の7月2日付で臓器移植対策室長を拝命させていただいております。誠心誠意務めさせていただきたいと思います。どうぞよろしくお願いいたします。
○西脇室長補佐 次に、資料の確認をさせていただきます。
 お手元の資料、議事次第に書いております配付資料に沿って御確認ください。
 資料1、「保存検体の使用について」。
 資料2、「移植用臍帯血基準の今後の検討事項について」。
 資料3、「移植用臍帯血基準(案)」。
 おそろいでしょうか。不備等ございましたら、事務局までお伝えください。
 それでは、以後の議事進行を座長の神田先生にお願いいたします。
○神田座長 自治医大さいたま医療センターの神田です。きょうもよろしくお願いいたします。
 きょうが第3回の検討会になりますけれども、早速、議事次第に沿って進めていきたいと思います。
 今回は「移植用臍帯血基準の今後の検討事項について」ということで、これまで基準案をつくるために2回の会議が行われましたけれども、今度は一段高いハードルということになりますが、数年後を見越した検討ということでお願いいたしたいと思います。
 メールでいろいろな重要なポイントについては既に御議論いただきましたので、比較的速やかに進むものではないかと思いますけれども、早速まず「保存検体の使用について」というところの内容を検討したいと思います。
 まず、説明をお願いできますでしょうか。
○西脇室長補佐 それでは、「保存検体の使用について」を御説明申し上げます。資料1をごらんください。
 まず「保存検体の意義について」ですが、1つには「出庫前検査や感染症検査などの遡及調査を可能とすること」、そして「保存検体を研究に利用することで、治療成績の向上につながる可能性がある」ということが挙げられます。
 1枚めくっていただきまして、2ページ目の上です。ここからは、6月21日の造血幹細胞移植委員会で議論されました臍帯血の研究目的利用についての資料を御紹介いたします。
 まず、研究目的としましては、「造血幹細胞移植の有効性・安全性の向上のための研究であること」「疾病の新たな予防法又は治療法の開発を目的とする研究であること」としております。
 研究の類型としましては、臍帯血を人の体に投与する「臨床研究」と、人には投与しない「非臨床研究」に加えて、「保存検体の利用が不可欠な研究」が考えられます。
 その下ですけれども、臍帯血バンクが保存している臍帯血の種類については次のように整理しております。人の体内に入れても大丈夫な安全性が確認されているものをA、調製が不十分など安全性が確認されていないものはBとしています。Aの中で、通常の移植に用いるのに十分な細胞数があるものをA1とし、これが造血幹細胞移植用に公開されているものに当たります。このA1のうち、公開後5年以上経過したものをA1’としています。そして、安全性は確認されていますがA1に含まれないもの、ここには細胞数不足のものや、年数経過による公開されていないものなどが含まれますが、これをA2としています。
 次は、「研究目的での利用・提供の基準案」についてです。移植に用いる場合と同等の細胞数を要する臨床研究には、公開期間が5年以上となるA1’を用いることとし、研究目的での提供数については前年度の造血幹細胞移植用の提供数を超えないこととしています。移植に用いる場合と同等の細胞数を要しない臨床研究にはA2、非臨床研究にはA2、もしくはBを用いることとしています。
 さらに表の一番下ですけれども、保存検体の利用が不可欠な研究には、移植用に出庫した臍帯血の保存検体の一部を用い、遡及調査の実施に支障が生じない範囲としています。これについては、後ほど詳細を御説明いたします。
 3ページ目の下ですけれども、「研究目的で提供を受け、利用することが認められる主体」についてですが、「臍帯血供給事業者が自ら利用するほか、原則として自ら倫理審査委員会を設置する医療機関・研究機関に対し、一定の手続きを経て、広く提供すること」としています。
 4ページ目の上は「保存する検体の種類と保管方法について」ですが、これは前回この検討会で御議論いただきました基準案にあるものを表としたものです。臍帯血細胞、血漿、DNA、妊産婦血清、DNA、移植を受けた者のDNA、そして血漿を保存することとしており、変更点としましては、臍帯血の細胞について4本以上としたことがこれまでと変わったところとなっています。
 ここで、先ほどの3ページ目の上に出てきました、保存検体を用いる際の量に関して「遡及調査の実施に支障が生じない範囲について」ですけれども、最低限、次のものを確保することとし、これを上回るものについては研究に提供できることとしてはどうかと考えております。
 臍帯血細胞については、細胞数5×10^6のものが1本、臍帯血血漿が1ml、臍帯血DNAと移植を受けた者のDNAについてはそれぞれ50μg、移植を受けた者の血漿については1mlとしてはどうかと考えております。
 最後に、「公開期間・検体保存期間について」の確認をいただきたいと思います。先ほど、臨床研究に使用するA1’を公開期間5年以上と御説明しましたが、これはここにグラフで示してありますように、通常移植に用いる臍帯血は採取から5年以内のものが約9割となっているということを参考としております。このグラフから考えましても、公開期間につきましては現行と同様に、引き続き臍帯血採取後10年間としてはどうかと考えております。以上です。
○神田座長 御説明ありがとうございました。
 では、今の御説明について質問、あるいはコメント等がありましたらお願いいたします。
○浜口委員 「保存する検体の種類と保管方法について」というスライドの中で、移植を受けた者の「血漿1ml/本、2本以上」という記載がありますが、基準書の中にはこれが1ml以上となっていたかと思うんです。ここは、どちらかに合わせる必要はないということですか。
○西脇室長補佐 この案のものは、臍帯血の血漿に合わせた形にしてあります。
 現在の基準書は1ml以上となっていて先生のおっしゃるとおりなんですけれども、この案に記してあるものは、ここの上のところの臍帯血の血漿の量に合わせる形にという記載にしてあります。
○高梨委員 資料の3の9ページの2)後ろのほうに「1ml以上」でとめてあるので、2本にするか、1本にするかということかと思います。
○神田座長 移植を受けた者の血漿のところが矛盾しているということですね。
○浜口委員 どちらかにしないと。
○神田座長 そうですね。統一しないと変ですね。
○西脇室長補佐 これに関しては、資料3のほうに書いてあるものが現在のネットワークの基準書に準じたものになっているので、そちらのほうに統一することでよろしいでしょうか。
 それでは、「1ml以上」という記載に、表のほうを修正させていただきます。
○高橋委員 同じ表の、妊産婦の検体を採取する時期というか、タイミングについては、例えば1週間前後とか何か、細かく決めておいたほうがいいのかどうかということです。
○西脇室長補佐 それについては、資料の4ページの米印で書いてあるところは現在の基準をそのまま受けたもので、「妊産婦の採血は分娩前24時間以内もしくは分娩後1週間以内」としてありますけれども、先生がおっしゃるように、ちなみに国際基準のほうでは前後7日間となっているので、そちらに合わせたほうがいいという御意見があれば検討いただければと思います。
○高橋委員 現状は1週間前後、もっと狭い範囲で集めていらっしゃるんですか。
○高梨委員 分娩前は24時間、その後は1週間ということです。
○高橋委員 現状に合わせていただいていいかと思いますけれども。
○原委員 採取できなかった場合に採血しておくとかわいそうなので、うちでは採取できてから採血しています。採取した日に採血をするのは嫌だという人がたまにいるので、その場合には分娩後3日目に全員採血するので、ではその日に一緒にとりますよという形にしています。臍帯血がとれる前にとっていることはほとんどないです。
 この状態にしておいて問題はないと思います。
○神田座長 あえて前を1週間広げる必要性はないですか。
○原委員 ないと思います。
○神田座長 その点は、このままの現状で大丈夫そうですか。
○原委員 今のところで、2本以上というのはこのままでいいんですか。後ろの資料3のほうは何本ということは書いていないみたいですが。
○神田座長 案に合わせるということは、血漿1ml以上だけで本数は書かない。
○西脇室長補佐 こちらにそろえるという形でよろしければ、そういうふうにしようかと思います。
 先生が言われたのは、移植を受けたものの血漿の話ですね。
○神田座長 この点は、1ml以上という記載のみでよろしいでしょうか。
(異議なし)
○神田座長 それでは、ほかの点についてはいかがでしょうか。
 遡及調査の件で高梨先生からコメントいただいていたと思うんですけれども、この点は大丈夫そうでしょうか。
○高梨委員 感染症であれば、まず母体血の血清血漿があればそこから通常はいたします。
 それから、もし生きた細胞で染色体までという話が出る場合、4本保存することになっておりますので、そこで1本残っていればそれを使うことができるということでとりあえずは納得いたしました。
 この4本なんですが、調製保存の最終段階で万が一、3本しかつくれなかったときに、その全体を廃棄とするには余りにも苦しいと思いますので、4本という手順でなるべく作業を進める手順にいたしますけれども、万が一のときに出庫前検査のときに1本から2種類の検査を行うなどの手順で補うことができれば、それを捨てずに済むような考え方でいきたいと個人的には思いますので、御審議いただければと思います。
○神田座長 確かに、3本しかとれない場合、全てが無駄になるというのは余りにもったいないところであります。これに対して、現在の記載上は保管できなかった場合にどうするかまでは規定していないですね。保管する検体が足りなかった場合、それを破棄とするというのはちょっと考えにくいと思うんですけれども。
○西脇室長補佐 保管する検体が足りなかった場合というのは、とれなかった場合ですか。セグメントを分けたときに足りなかった場合ということではなくて。
○高梨委員 最終的なセグメント中にサンプルが入っている範囲が予想よりも少な過ぎたとか、またはシールをしてみたけれどもそれが甘かった場合、だけどもう一回シールをすると切れてしまうかもしれないとか、リークが起こるかもしれないという場合は十分考えられるかなと思っています。
○西脇室長補佐 その場合、チューブに別にセグメント以外の方法で保存するということは難しいでしょうか。
○高梨委員 事前にとっておくことはできるのですが、全てセグメントまでいった場合ですと、そこでさらにサンプルをとるというのは難しいです。
○西脇室長補佐 3本しかとれなかった場合に関しては、恐らく例外的な扱いになると思うので、そういった場合にどういう対応にするか、また検討させていただいてメールなりで御連絡させていただくようにしたいと思います。
 この4本というのはあくまでも原則なので、これはこれでいこうということにしたいと思いますけれども、やむを得ず3本になった場合の取り扱いについて、確かに先生の言われるようにそれだけで全部廃棄になってしまうのも問題かと思いますので、その対応についてまたこちらでも検討させていただきたいと思います。
○神田座長 ちなみに、1本、2本と3本未満になるような場合もありますか。
○高梨委員 その場合、いろいろなことが起こり得るということはあると思います。
 ただ、1本の長さが十分あれば、同じ日のうちに提供前の回収率の検査と、HLAの確認検査を1つのセグメントから行うことはできるだろうと思いますので、余りここを厳しく運用すると最終段階で残念なことになりますので、減損がふえてしまうかと思います。
○神田座長 セグメントが仮に1本や2本になったとしても、移植を行うという点では運用で何とかできるということですね。その研究用に残すということがなければ。
 では、それはせっかくの臍帯血が無駄にならない方向で進めて、何らかのそういう文言を残しておくことがよろしいかと思いますが、いかがでしょうか。
(異議なし)
○神田座長 では、少しそのラインで検討していただけますでしょうか。
 そのほか、いかがですか。
○高橋委員 資料の3ページの下のスライドで、「研究目的で提供を受け、利用することが認められる主体」ですが、この研究目的というところは以前にもいろいろ御説明があって目的自体非常にわかりやすく書いてあると思うんですが、これに当てはまるというふうに誰が判断するかというところはどういうふうに考えておられるのでしょうか。
○西脇室長補佐 臍帯血バンクの倫理審査委員会です。
○高橋委員 そうすると、次の4ページ目の下のスライドの、遡及調査が必要かどうかということについてもそうだということですね。
 遡及調査が必要ですよというふうに判断をするのは。
○吉田室長補佐 恐らく、実際に倫理審査委員会で審査する場合、こういった遡及調査に支障がないということを確認する際の目安として、これだけの検体が残っているということを御判断いただく基準として用いていただくということだと思います。
○高橋委員 そうすると、実際に調査をするか、しないかということについては、ここでは規定する必要はないということですね。
○神田座長 ちなみに、この移植に用いる場合と同程度の細胞数を要するものとして、新たに移植適用となる可能性のある疾病の治療などというのがありますけれども、例えば一般に既に移植適用となっている疾患での細かな、例えば前処理とか、GVHDの予防法の臨床研究といったものはここに含まれないと考えてよろしいですね。
○西脇室長補佐 そういったものは、通常の移植として取り扱っていただくということでいいと思います。
○神田座長 ここで臨床研究として扱うのは、あくまでも新たな疾病と。
○西脇室長補佐 極端なことで、最近の話ですとHIVの場合だとか、そういったことを想定しています。
○神田座長 わかりました。そのほかいかがですか。
 矢部先生、お願いします。
○矢部委員 3ページの「研究目的での利用・提供の基準案」の一番右上のところですけれども、数量の「前年度の造血幹細胞移植用の提供数」という、この縛りは全ての移植数ということでよろしいですね。
 例えば今、年間1,000例ぐらいが移植されていて、そのうち5年以上経過したものが100例ぐらい、先ほど話があったように10%ぐらいということだと100例を超えない、100件を超えない中で、研究目的で使用を認めるという意味でよろしいですか。
○西脇室長補佐 これは、それぞれの臍帯血バンクで前年に移植用に提供したものを超えない。要するに、臍帯血バンクで前年に100例出庫したとした場合、その次の年にそのバンクから研究用で出すものが100を超えないということなので、この規定を置いた意味は、この臍帯血バンクは移植用の臍帯血バンクであるので、その本業の範囲を超えないという意味の規定です。
○矢部委員 例えば、倫理委員会に申請があって、広い複数の臍帯血バンクにまたがるような研究の申請があった場合には、それぞれのバンクの中で前年度移植数の該当する5年以上のものの中でそれを超えないという意味でよろしいわけですね。
○西脇室長補佐 そういうことです。
○神田座長 現実には、先ほどの臨床研究の定義からすると、到底超えることはあり得ない。
○西脇室長補佐 恐らくかなり緩いというか、現実問題になるような範囲ではないと思いますけれども、本末転倒にならないようにという意味でこの規定を置いてあるということです。
○神田座長 ありがとうございます。そのほか、いかがでしょうか。
 公開期間に関してはこれまでどおり10年というラインで、実際には5年の時点で相当数が使用されてしまっているんですけれども、一応、現行に合わせて10年という案にしております。この点については、いかがでしょうか。
○矢部委員 今までの実績からすれば10年というのは妥当なところかと思いますので、それ以上延長してもデッドストックがふえる可能性は高いですし、問題ないと思うんですが、1つ、臍帯血のセグメントの保存検体のほうですけれども、例えば実際に移植に用いられた臍帯血のセグメントを、例えば研究に1本残したとして、それは一応全部液体窒素で起こせるように保存という前提でよろしいですか。
 結構、各臍帯血バンクでは今までもう既に移植が完了した臍帯血のセグメントを10年保管ということでとっていると思うんですけれども、結構、液体窒素で小さいものをいっぱい保管しているのは負担が大きいかと心配しています。特に高梨先生、問題ないですか。
○高梨委員 実際に行うとなれば、ほかの箱を用意し、順次そこにためていく必要があるかと思っています。
○西脇室長補佐 細胞に関しては起こせるようにということで、通常の細胞保存と同じく液体窒素で保存ということを想定しています。
○神田座長 移植後、さらに10年というのを規定してためていくと数年間上がっていってどこかでプラトーになると思うんですけれども、想定される本数というのは各バンク大丈夫ですか。かなりの数になりそうですが。
○高梨委員 そうですね。ただ、セグメント1本でよくあるような100本の箱に入れていこうと思えば、1年間に数百であろうバンクもありますけれども、恐らく対応できるだろうと思います。
○神田座長 ありがとうございます。
 それではこの公開期間10年、そして検体に関しては移植後さらに10年という基準案どおりでよろしいでしょうか。
(異議なし)
○神田座長 それでは、ここまでのところ、検体の保管、公開期間等を含めてほかは特にありませんでしょうか。よろしいですか。
 それでは、次の議題に移りたいと思います。
 資料2に移りまして、「移植用臍帯血基準の今後の検討事項について」ということで、前回は基準案として現状を十分に尊重しながらやっておりまして、「望ましい」という表現があちこちに出ているわけですけれども、今後さらに1段階上のところを目指していって検討すべき事項がこれから挙げられていきます。
 それでは、事務局からお願いいたします。
○西脇室長補佐 それでは、資料2について御説明いたします。
 まず1ページ目の下ですけれども、「検討すべき事項」はここに挙げてあります項目を考えております。これらはできるだけ早期に行ったほうがよいと思われるものから挙げておりまして、特に上の2つに関しては体制が整い次第、できるだけ早期に行うのがよいのではないかと考えております。ここに挙げてあるものは、前回御議論いただきました基準案で今、「望ましい」だとか「努めること」とか、そういった記載になっているものからピックアップしております。順に説明させていただきます。
 2ページ目の上で「母体血感染症検査について」ですけれども、基準案では「HBV、HCVおよびHIVは核酸増幅検査と同等の感度の検査を行うことが望ましい」となっております。
 「現状」で、各バンクの現状ですけれども、この表に示してありますようにNAT検査、PCR検査を行っているバンクと、行っていないバンクがあるのが現状です。
 「課題」としましては、「安全性の観点からは、血液製剤等と同等の対応が必要ではないか」。また、「HBV、HCV、HIV-1の3項目の核酸増幅検査を別々に施行すると費用がかかる」という問題もあります。そして、複数名の検体をプールして3種類のウイルスについて同時に検査を行うNAT検査については、現在日本では日本赤十字社が行っていると聞いております。
 「方向性」としましては、「日本赤十字社の協力を得て、臍帯血バンクがNAT検査を行える体制を早期に整えてはどうか」。そして、「すべての臍帯血バンクで体制が整った段階で、核酸増幅検査と同等感度の検査を必須としてはどうか」というふうに考えております。
 次に3ページ目ですけれども、「情報の一元的な管理について」です。基準案では、「臍帯血の鑑別のために適切な表示を行わなければならない」としており、ISBT128に定義された符号を用いることが望ましいとしています。また、「採取から出庫まで同一の識別コードにより一元的に管理できる体制を構築するよう努めること」となっております。
 現状は、この表に示してありますように、バーコードで管理しているバンクと、使用していないバンクがあり、対応はさまざまとなっております。
 「課題」としましては、「臍帯血バンクに届いてからの管理方法が統一されていない」「採取施設において採取した臍帯血について、廃棄されたものも含め、全体の流れが把握できていない」ということがあります。
 「方向性」としましては、少なくとも臍帯血バンクでの受け入れから出庫まではバーコードを用いて、同一の識別コードにより一元的に管理できるような体制を早急に整備してはどうか。また、臍帯血バンクでコードを振り直す場合には取り違いがないようなチェック体制をとることが必要であろうと考えられます。そして、トレーサビリティー確保の観点から、採取施設で廃棄したものを含む全ての臍帯血について、臍帯血バンクが把握できるようにする必要があるのではないかと考えられます。
 次に4ページ目ですけれども、「臍帯血採取から凍結開始までの時間について」ですが、前回の当検討会では「36時間を超えないことが見込まれること」としました。
 「課題」としましては、「時間経過によって、臍帯血が無駄になることがないようにしてほしいという現場からの声がある」ということ、「国際基準では採取から48時間以内に凍結保存を開始することとされていること」があります。これは記載がダブっておりますが、訂正をお願いします。
 「方向性」としましては、凍結開始までの時間による質の変化に関するデータが乏しいことから、まずはデータを蓄積して集積された段階で海外と同様に48時間とすることについて検討してはどうかと考えております。
 4ページ目の下ですけれども、「調製開始の細胞数について」です。前回御議論いただいた基準案では、「調製開始の基準として、有核細胞数11.4×10^8以上であること」としており、またCD34陽性細胞数の測定方法についてはシングルプラットフォーム法で行うこととしています。
 「課題」としましては、公開の目安を現在8×10^8個であるものを10×10^8個に上げようということを考えますと、調製開始基準は12×10^8個が望ましい。一方、基準を引き上げることによる供給量の低下が懸念されます。
 また、CD34陽性細胞数については、計測方法が統一されていなかったため、基準となるようなデータが乏しいのが現状です。
 「方向性」としましては、基準(案)における調製開始時の有核細胞数をおおむね12×10^8以上とし、おおむねの範囲として5%を許容する。その上で、全ての臍帯血バンクで土曜、もしくは日曜の営業が安定的に行われるようになった段階で、「おおむね」を取って12×10^8以上とすることを検討してはどうかと考えます。
 また、CD34陽性細胞数についてもデータを蓄積し、見直し時には調製後に移植に必要なCD34陽性細胞数が見込めるような基準を検討するのがよいのではないかと考えております。
 5ページ目ですけれども、「臍帯血バンクの管理体制について」です。基準(案)では、調製保存管理者を置き、その監督のもとに調製保存部門と品質管理部門を設け、それぞれ調製保存責任者、品質管理責任者を置くこと。そして、調製保存管理者と調製保存責任者、または調製保存管理者と品質管理責任者を兼ねることはできますが、調製保存責任者と品質管理責任者は兼任しないことが望ましいとしております。
 「課題」としましては、例えば薬事法関連では製造責任者と品質管理責任者は兼任しないこととされていますが、規模の小さなバンクでは人員が不足しているということがあります。
 「方向性」としましては、「人員体制を確保し、体制が整えば、見直し時を目処に兼任を認めないこととするのがよいのではないか」と考えております。
 次に、5ページ目の下で「臍帯血バンクの受入体制について」ですが、基準(案)では「受け入れる基準についてあらかじめ定めておくこと」、そして「十分な細胞数を期待できる容量等を定めることが望ましい」としております。
 「現状」は表に示しますように、採取室で採取されて届けられた臍帯血は全て受け入れているバンクが多いという現状になっております。
 「課題」としましては、「受入基準となる容量等の根拠となるデータが少ない」という現状があり、「効率的に質の高い臍帯血を確保することが求められている」ということがあります。
 「方向性」としましては、「臍帯血の容量と細胞数のデータを蓄積し、あらかじめ受入基準を明確にする方向で検討してはどうか」と考えております。以上です。
○神田座長 御説明ありがとうございました。
 重要なポイントがかなり幾つかあると思いますので、一つ一つ区切りながら進めていきたいと思います。
 まず、感染症検査の件ですね。NATを義務づけていくということが今後、課題かと思いますけれども、この点についていかがでしょうか。
○矢部委員 これは私の解釈では、日本赤十字社が支援機関として位置づけられているので、各バンクから時間に余裕を持って検査を依頼するものかと思っていたんですが、むしろこれは各バンクが日赤の指導で検査できるようにするという意味だったんでしょうか。
○西脇室長補佐 そういうことではなくて、必要なバンクに関しては日赤に依頼するという形でもよいということで、必ず依頼しないといけないというものでもありませんし、日赤が率先してやるというものでもありません。あくまでも、各バンクの依頼を日赤に受けてもらえるようにしてはどうかということです。
○矢部委員 実は、私のところ以外のバンクからもNATはなかなか難しいという話を聞いたことがあるものですから、現実的にはかなりのバンクがお願いすることになるんじゃないかと予想はしているんです。
○神田座長 それは、体制としては受け入れ可能ということでよろしいでしょうか。
○高梨委員 受け入れるかどうかは難しいのですけれども、機器に通すと思えば専用のチューブに規定量以上のサンプルを入れ、また、ラベリングもそこで同じ機械が使うラベルを振るという作業が発生します。そういうことで、お互いその条件をのめるかということがかかってくるのかなというのが気がかりではありますけれども、できないものではないだろうと思います。
 ただ、今のところ、日赤は検査機関じゃないということがございますので、そこを乗り越えるためには各方面での御協議が必要かと思います。
○神田座長 いかがでしょうか。この点に関しての位置づけとしては、やはり早ければ早いほどいいというものだとは思うんですけれども、すぐにというのはまだ難しそうですね。
○高梨委員 まだ、受ける、受けないの話に至っていないのが現実なので、もし国のほうの親委員会でもその方向でというのが定められますと、改めてどうやって受けたらいいのか、受けられるのか。そこで、改めて内部での協議をしなければいけないと思います。
○神田座長 ありがとうございます。
 ちなみに、この文章上で「すべての臍帯血バンクで体制が整った段階」というのは、各施設の検査ということではなくて、日赤への依頼を含めて体制が整ったということでよろしいですか。
○西脇室長補佐 そういうことです。
○神田座長 複数名の検査というのは、結局何人か分をまとめてやってポジティブになったら一人一人分けて同定するということですか。
○高梨委員 輸血用の血液は現在20プールと呼ばれていて、20人分の血清学的陰性なものの血清をプールして、マルチプレックスと呼んでいますけれども、3種類のウイルスが同時に検出できるようなものでNAT検査を行います。
 ただ、臍帯血に関しては一件ずつ流していただいています。ただ、試薬は同じマルチプレックスということで、母体血であればその検査が成り立つとは考えています。
○神田座長 では、お願いします。
○浜口委員 私もこのNAT検査というのは非常に重要だと思いますし、できるだけ早いうちにやはり入れるべきだ。そのときに、日赤にこれを依頼しながら模様を眺めてというのも少し不十分かなという気がするんですね。
 日赤自体がそもそも検査を業としているわけではありませんので、やはり日赤がもしかかわらなくてもNAT検査が施行できるような体制も一方では考えておく必要があるかと思います。要するに、費用がかさばるのでできないということではなくて、やはりこれは非常に重要な検査なので、多少費用がかかってでもちゃんと赤字にならないような形で運用できるようなサポートというか、それが必要ではないかと思います。
○神田座長 現状において、日赤以外にNATを依頼するということはできないですね。検査会社でNATというレベルの検査はやっていないですか。
○西脇室長補佐 恐らくPCRを個別にオーダーするということになると思います。
○神田座長 かなりの金額になりますね。
○西脇室長補佐 そうですね。ですから今、浜口先生が言われたように、NATで日赤というのはこれが最終形というふうに考えているわけではないのですが、一方で早くやる必要があるということと、先ほど矢部先生がおっしゃったように支援機関として想定されているということで、総合的に考えて日赤にお願いできるところをまず道を切り開いてはどうかというような考えです。それで、最終的にそれで全部よいという話とはまた少し違うと考えています。
○高橋委員 具体的に考えると、日赤にお願いする。もう一つは、各バンクがテクニカルに充実する。もう一つは検査会社、今は大手が幾つかありますので、そこでそういう技術を確立するという3つぐらいだと思うんですが、多分あとの2つというのはちょっと計画にはまだ乗っていないというか、各バンクで今、実際にNATをやっているところはないんですか。日赤はあるんですね。
○高梨委員 多分、各バンクでというのはないと思いますが、明らかではないです。
 私はHBVは個別に検査会社に出していると聞いたことがあるので、ちょっとそれがこの資料では見えませんけれども、一部はやっていたのかなとは思いました。
○高橋委員 そうすると、一番早道は恐らく日赤なんだろうという話が今、進んでいるんだと理解しているんですけれども、前々回だったか、高梨先生がおっしゃっていた、血液製剤はNATで確立されているが、臍帯血という検体をNATでやるということ自体は確立していないんだというお話があったと思うのですが。
○高梨委員 試薬としてそれを認めていないという意味なので、臍帯血でやった検査結果についてはキットをつくられるメーカーさんは保証しないという意味です。それで、この場合は母体血血清を使えば問題ございません。
○神田座長 今の点ですけれども、一応、今、母体血というところで話が進んでいますが、臍帯血も検査をすべきだという意見も出てくる可能性はあるかとも思ったのですが、その辺は母体血でよろしいですか。
○高梨委員 海外は、国際的には国が検査試薬として認めた試薬で検査をしなさいという規定が各所に出てきます。そういう意味では、臍帯血を使った検査サンプルとして臍帯血を含むキットというのはとりあえず世界にはないということなので、自動的に母体血で検査をしています。
 それで、何が問題かというと検体の希釈が問題にされていますので、この場合はやはり母体血で行うのが適当かとは考えます。
○神田座長 ありがとうございました。
 ちなみに、現状ですぐできる日赤以外の方法とすると検査会社にPCRということしかないんですけれども、例えばこれもその複数検体をプールしてコストを下げるということは技術的に可能なんでしょうか。
○高梨委員 検査会社がプールを保証するかどうかはまた別問題ですが、自分たちでプールしてそれをサンプルとして出すのは不可能ではないとは思いますが、そこでまた感度をどこと認識するかという問題点が生じます。
○神田座長 ありがとうございます。いずれにせよ、これは少し検討課題として今この場では決定できない問題ということでよろしいでしょうか。ただ、急ぐべき課題であることは間違いないと思いますので。
 これは、今回の後はどういうふうに進んでいくことになりますか。
○西脇室長補佐 一応、今回の案、将来性のものをまとめて造血幹細胞移植委員会のほうにもう一度御提示する形になると思います。あとは、実際ここに書いてあるように進めていくということになると、日赤にもし頼むのであればどういう形で受けられるかということで、具体的な話を進めていくことになっていくと思います。
○神田座長 今、想定している流れは、委員会に上げて、そこでこれが承認されたらまずは公式なお願いを日赤に依頼を出すということですね。
○西脇室長補佐 一応、日赤のほうで支援機関の業務としてその検査を行ってもらうということは、臍帯血のこの検査という限定した依頼はしていないんですけれども、支援機関として検査を受けるということに関しては日赤にもお話は既に始めているという段階です。
○神田座長 よろしいですか。
○吉田室長補佐 ちょっと補足だけです。
 以前、造血幹細胞移植委員会のほうでも支援機関の業務というものがどういった形になるかということは既に一度御議論いただいていまして、その中でいわゆる支援機関の業務として造血幹細胞の提供関係事業、いわゆる骨髄バンクですとか臍帯血バンクから必要な協力をすることということが支援機関の業務になってございまして、その中の一つの業務のイメージとしてこの臍帯血の感染症検査もあり得るんじゃないかということで、一度委員会で御議論しております。
 ただ、実際のやり方は先ほど高梨委員からもお話がありましたように、どういう形でやれば本当にそういったものができるのかということにつきましては、臍帯血バンクさんと当然、支援機関との間で具体的な協議を進めていかなければできないという形になってございます。
○神田座長 わかりました。ありがとうございます。
 それでは、この点はよろしいでしょうか。
(異議なし)
○神田座長 それでは、次のポイントに進めたいと思います。「情報の一元的な管理」ということで、こちらも現状から一段進んだところを目指しているということになりますけれども、この点いかがでしょうか。
 廃棄したものも含めて、全て把握というのが恐らく望ましい点だと思いますけれども、これは採取されている現場ではいかがでしょうか。
○原委員 やっていないのでわからなかったんですけれども、この間、矢部先生がメールで送ってくださったものを見れば、あれでばっとシールがたくさん出てくればやれるのかなとは思います。
○神田座長 各採取施設にそのシールを打ち出すハードウエアを置いてですね。
○矢部委員 これが、現物のシールです。
○神田座長 これが各施設で打ち出されるわけですね。郵送とかではなくて。
○矢部委員 採取病院にPDAと小さいプリンターが置いてあって、ペンで名前だけ入力すると一連のこのラベルがざっと出てきます。
 ですから、問診票とか臍帯血のバックとかをそれぞれぺたぺたと張っておいて、それでひとまとめにしてバンクに搬入されてくるんですね。バンクの受け入れ業務では、そのときにバーコードリーダーで一個一個やると、同意書OKとか、そういうふうな情報が自然と読み込まれるので、それで何か欠落があると後でチェックが簡単にできるというシステムになっています。
 それで、この場合、実際には名前で運用しています。それが産科の施設が一番間違えにくいので、そういう運用です。
 ただ、搬入していろいろ調製保存をして、それからいろいろ検査をしたり、その検査の情報をリンクさせるところはまた別のシステムが必要になりますので、正直、全部の一貫したものにはまだ残念ながらなっていません。
○高梨委員 今の矢部先生のおっしゃるラベルは、廃棄の分を把握することができるのでしょうか。
○矢部委員 一応、受け取ったものは全部これを張っていますので、私どものバンクでは廃棄のものも一旦全部受け入れ業務をやっていたんです。それで、提供してくださってありがとうございましたというお礼のおはがきだけは差し上げていました。
 ただ、これはかなりの事務的な作業が発生しますので、それが本当にいいかどうかというのは議論の余地があるかと思います。一応、そこでそのたびに廃棄されたとか、そういうものはこのデータに載っている限り簡単に集計はとれます。
○高梨委員 この廃棄まで把握するというところが、やはり一番、今のところ難しいかと思っていて、ラベルのありなしというのはとりあえずかかわりなく、採取施設での廃棄分というのは今まで多くのバンクはカウントしていなかったところなんです。
 それで、これをカウントしようと思うと搬送にかかわります。つまり、3日に1回搬送業者さんが動いていたところが連日動く可能性がありますので、ここのところは予算とか試算に大きくかかわるところかと思います。本当にそれが必要であればやらなければいけないので、ちょっととり損ねたと、産科の先生が今までであればそこですぐに処理をしてしまったものまでも保管をし、それを搬送に持っていくという業務が生じます。ちょっと大事なところかと思いますが。
○西脇室長補佐 ここで言っている廃棄というのは、廃棄になるものを全部臍帯血バンクに運ばなければいけないということではなくて、産科の施設で捨てたものに関しても、帳簿が何かでも結構なんですが、どれだけとったかということを把握していただければそれでよいということです。
 例を出しますと、臍帯血バンクの採取施設ですということで、産科の施設で臍帯血をとったものを、バンクには廃棄しましたということにして、それがどこかに流れたりとか、そういったことになったりするといけないので、廃棄したものは廃棄したという記録がバンクのほうで把握できればそれでよいということです。
○原委員 このラベルは、通し番号があるわけですか。それがバーコードですか。
○矢部委員 このバーコードは、二次元バーコードと管理コードと2つ出てきますので、どういうふうにプログラムしたかを私は正確には知らないんですけれども、問題なく運用はできています。
○原委員 そうすると、こちらで例えば廃棄したものは、1番から5番まではちゃんと臍帯血バンクに出したけれども、6、7、8番は全部一応張って採取施設で廃棄しましたということをバンクに出すんですか。
○矢部委員 このシステムでやるとすれば、例えば同意書とかだけ回収して集計に用いて、それで実際の臍帯血はそれぞれの採取施設で破棄ということは可能じゃないかと思います。それで、同意率とか保存率とかのデータが出ると思います。
 ただ、その場合に最後のページにもかかわってくるんですが、ちょっと心配しているのは、採取施設が独自に廃棄しなければいけなくなると、その採取病院でのコストがふえる心配があるかと思います。それが協力病院のモチベーションに影響しないかがちょっと気になるんですけれども。
○原委員 廃棄するのに何かあるんですか。
○矢部委員 そういうのは別にないんですか。
○原委員 そのまま、多分。
○矢部委員 今まで全部、持ってきたものをその施設で廃棄する場合、それでコストがふえるのかなと心配していたんですけれども、それは問題ないんですね。胎盤か何かと一緒に処理するんでしょうか。
○原委員 胎盤は全然別なんですけれども、多分、医療廃棄物としてそのまま処理してしまっているんじゃないかと思いますね。ちょっと確認できていないですが。
○高梨委員 産科の施設にとって、帳簿管理が多分1つの用がふえるかと思います。
 それで、望むらくは、分娩台帳のところに臍帯血提供の同意の有無という欄があり、実際に採取に至ったかどうかの欄があれば、私どもの受け入れ数から引き算をすると廃棄数も出るかとは思うんですけれども、原先生の施設でそういう帳簿管理といいますか、同意の有無、採取の有無のどこかに記載をしていくことは可能でしょうか。
○原委員 この間、申し上げたように、分娩サマリーの中には入るんですけれども、同意書はお返ししてしまっているし、ではそれをまとめてどうするのかとか、そういうことはちょっとわからないので、どうしたらいいかよくわからないんですけれども。
○神田座長 ただ、今後バンク側で情報を一元化するとしたら、それもバンク側で帳簿も全てPC上に載ってくるということになるんじゃないですか。
 今、東海大学ではいかがですか。
○矢部委員 同意書とか、事務作業は全部バンクのほうでやっていますので、同意書あり、採取あり、母体血ありとか、全部帳簿には載ってきます。
○神田座長 現場の負担がそんなにふえることはないですか。
○矢部委員 採取施設では、多分慣れたら大したことないと言われたんですが、最初はPDAにペンで入力するのが面倒臭いみたいに言われましたけれども、すぐに慣れていただいて、張るのはそんなに大した作業ではないので、搬入してからお礼のはがきを送るための住所とか、いろいろ入力するのがむしろ手間だったぐらいじゃないかと思います。
 多分、採取病院のほうは大丈夫な気がするんですが。
○高梨委員 全件受け入れという臍帯血バンクは、むしろ少数派だと思います。
 資料の5ページ目の下のほうで、全てのところが多いですけれども、実は採取施設でスクリーニングをかけて、その後、搬送に至ったものを全て受け入れるかどうかという答えじゃないかとこれは思いますので、実は全て受け入れていらっしゃるバンクのほうが少ないと私は認識しています。そういう意味では、廃棄を把握するというのをこの半年、1年の間に体制に持っていくというのはかなり大変なことだなと自分では思っているんです。
 それで、ラベルのほうはあるなしにかかわらず、結局、名前で確認をしなければいけません。個人の同定と、母体血の書類全て確認はしなければいけませんので、それは問題ないと思いますけれども、その母数管理ですね。本当は全件拾いたいのは山々なんですけれども、そこの母数管理に至るまでは多少余裕がなければできないかと思っています。
○神田座長 この点に関して、先ほどの感染症などと比べれば、もっと遠い将来の目標ということでよろしいですね。
○西脇室長補佐 初めに申しましたように早くやれるような順番になっているので、これは高梨先生が言われるように、そんなにすぐということではないですが、一応こういうことを将来的にはやれるような方向で検討していただきたいということです。
 あとは、矢部先生のところのような管理になれば、恐らくバーコードを一回出してしまえばそれで全部、管理できるんだろうと思いますけれども、最初の段階では高梨先生が先ほど言われたように、1つ帳簿を置いておいていただいて後で拾うという形の管理でもよいかなとは思っていますので、これに関してはいつという明示はちょっとまだ難しいかというふうには認識しております。
○神田座長 恐らく、バーコードシステムを全てに普及させて完全な管理ができるようにするためには、システムの開発とハードウエアですね。それを統一して国側の予算でやって配付するという形でないと、多分、各バンクにやれといっても難しいかという気がするんです。
 前回のお話で、たしか室長の方も予算は問題ないということでよろしいんでしたね。
○吉田室長補佐 前回のお話のときは、たしかバーコードの機械をどうするかというところで、そこに対しては必要であれば必要な予算を我々としてもきちんと手当てできるように頑張っていきたいという話は申し上げたと思っています。
 それで、1点だけですけれども、先ほどの採取施設のところでの全体像を把握したいと我々が御提案申し上げておりますのは、ちょっと話が立ち返るんですけれども、今度、臍帯血バンクが法定化される中で、業務としては採取から最後の出口のところまでが臍帯血バンクの業務だという形に法律上なっております。
 そういう意味では、採取するというところも臍帯血バンクが責任を持って見ていただかなければいけない部分と、今はそれをまさに原委員がおっしゃるように採取施設のほうにお願いしてとっていただいているわけですけれども、業務を委託している中での業務の管理というのをきちんと臍帯血バンクのほうにもしていただかなければいけない。
 先ほど西脇から申し上げたように、臍帯血バンクに提供しますといって妊婦さんから提供いただいたのに、それが臍帯血バンクじゃないところに流れてしまうとか、そういった事態はきちんとバンクの責任で避けていただければいけないと思っています。
 それで、採取施設のほうの実際の全体像の廃棄した、廃棄していないという管理につきましては、先ほど矢部委員からもお話があったようにバーコードで管理するという方法もあると思いますけれども、一方で高梨委員がおっしゃったように帳簿みたいな形で、捨てたか、捨てていないか、きちんとバンクに送ったかというものだけでもわかるような形か、こちらについてはできるだけ早い段階でと思っているんですが、実務的にすごくハイレベルなものをというよりは、やはりきちんとして何件のものをいただいて、何件のものはバンクに送られて、何件のものは捨てたのかということはできるだけ早い段階でわかる形に、それはバーコードとは限らないと思っています。
 ただ、帳簿でよろしいとは思うんですけれども、そういったものについて本当にどれぐらいの時間がかかるのかというところについて改めてお伺いしたい。バーコードを入れるとなれば、先ほどお話があったように機械をどうするかという話もありますけれども、ある意味、アナログ管理でどこまでできるのか、できないのかというところも含めて御意見いただければと思います。
○高梨委員 1つ2つの誤差を許容すると思えば、今、採取バックを採取施設にお送りすると、物品管理のつもりで廃棄したかどうかを書いていただいていますので、採取バックの使用量から私どもの受け入れ量を引いたものが廃棄というのは明らかになると思います。
 ただ、その1箱が空になってから私どもにその使用記録が戻りますので、そういう意味では多少、毎月の誤差が出てくるだろう。そういうことで、その誤差を許容するのであればその程度の管理はできると思います。
 実は、数年前に全体のシステムを持っているバンクに私が訪問して中を見せていただいたときの記録を、気楽に読んでいただきたいということで回したことがありますけれども、あれはまずお母様が36週以前の同意であって多胎妊娠でないということをまず入力してしまうと、その後は各施設に決まったナースがいらっしゃって、その人たちが全部入力するんですね。同意書から家族歴から問診までを、全部そこでナースが管理をしています。
 それで、またバンクで受け取ったものを紙からさらにそこに入力するという形で、本当にあれは全件がウエブでつながったシステムなんですけれども、それを構築するというのはやはり並大抵ではなく、何年もかかり、膨大な費用がかかるものだと思います。
 そういうことで、とりあえず今でもできるアナログ的な多少の誤差を許容する方法はあるという話です。
○神田座長 廃棄についてどこまで管理するかなんですけれども、今、高梨先生がおっしゃったのは廃棄の数は管理できるということで、同意をいただいた方、個々の人のどれが廃棄されてというところまでは管理は不可能ですね。
 それをどこまでまず求めるかというのが、最初のポイントになってくるんじゃないかと思います。廃棄の数だけでよいか。それとも、同意をいただいて採取という一人一人のお母様の作業が発生したら、それはちゃんと廃棄というところまで確認すべきかという点です。恐らく、事務局では一件一件管理ということをイメージされているんじゃないかと思いますけれども、すぐにやるのはかなり。
○高橋委員 今、座長のまとめられたお話は全くそのとおりだと思うんですけれども、要は数の廃棄だけをカウントするというイメージじゃなくて、一つ一つの臍帯血がそれこそどこかに流用されていないかどうかとか、そこのところが一番危惧されるところだということを考えると、まさにトレーサビリティーという観点から一個一個の臍帯血を管理していかなくてはいけないというのが理想であるというのは皆、同意されるところだと思うんですね。
 あとは、それが現実に可能かどうかという話になってきていると思うんですが、現実的にはバーコード管理しかないだろうというふうに私は思うんですが、ただ、そうすると今、東海大学の矢部先生がお示ししたシステムも、あれは採取の現場だけのバーコードシステムですね。それが、恐らくバンク側にいったときに、またつけ直さなくてはいけないという問題が出てくる。そこのところが一番危ういところかと思います。
 私は専門家ではないので、神田先生のほうがおわかりになっているかもしれませんけれども、例えばオンラインで全て一元化のバーコードシステムをつくられる。さっき座長が言った新しいシステムの構築というのはそういうことだと思うんですが、そういうことも含めて、今そういうものがあるのかどうかということも含めて検討しなくてはいけないところかと思いました。
○神田座長 恐らくアナログベースで一件一件の廃棄まで管理するというのは、採取現場がかなり大変ではないかと思うんですが。
○原委員 そうですね。高梨先生がおっしゃっているような数というのは、例えば開けてしまったけれども、実はその人は希望していなかったということで捨てられているパックもあると思うんですね。だから、本当に一つ一つということを言うと、先ほどのパターンでは無理だと思うんですね。
 それから、このトレーサビリティーということであれば、うちが出したバーコードがそのまま臍帯血バンクで同じものを使ってということを今、言っているわけですね。それだと、なかなか難しいのかなとちょっと思います。
 あとは、本来だったら臍帯血はどうやって廃棄するべきだったんですか。本当に医療廃棄物として出してしまっていたんですけれども、その辺はどうしたほうがよかったんでしょうか。
○高梨委員 感染性廃棄物としてだと思います。今アナログで、しかも一件ずつの把握をしなければならないと思うと、採取施設に同意書は全部管理をお願いするしかないかと思います。かつ、採血をしたかどうかのチェック欄をつくり、チェック欄が入っていて、かつ臍帯血、母体血と一緒に届かなかったものは現場で廃棄になったというふうにカウントしていくしかないかと思います。つまり、紙の管理です。同意書という紙の管理になります。
 それで、全国的なウエブシステムというのはなかなかできないだろうと思えば、それでいくしかないかと思います。
○神田座長 あるいは、これは各バンクにどれぐらいの余裕があるかにもよるんですけれども、その同意を得た時点で各バンクに登録して、各バンクがシールを郵送なり何らかの方法で送って、そのバーコード出力機のかわりをするというのが純アナログ的な方法で、採取現場の負担を少し減らせる方法かとは思うんです。
 逆に、もちろんバンク側にものすごい負担がかかってくると思いますが、そういうことはやはり難しそうですか。
○高梨委員 御出産のために入院するときに書類を忘れていらっしゃっていて、もう一度書き直さなければいけないとか、その場でぱっと同意をくださる方もまだいらっしゃるように伺っていますので、本当に前もって全部計画ができるかというところは難しいかもしれません。
○原委員 前もっては、やはり無理だと思うんですね。その場でというのもかなりあると思うんですけれども。
○神田座長 では、東海大学のシステムはその場でもすぐにバーコードがぽんと出せるんですか。
○矢部委員 あれは、本当に分娩のところでバーコードは打ち出しています。分娩室に入ったときに、打ち出しております。
○神田座長 遠隔採取施設はないんでしたか。
○矢部委員 採取病院が10施設ありますけれども、それぞれの病院で分娩室のところにプリンターとPDAを置いて、その妊婦さんの名前を入力してラベルが出て、それで臍帯血、母体の血液の同意書、分娩記録とかをぺたぺたと張っていくシステムです。
○神田座長 なるほど、わかりました。
 そうしますと、現状においては難しいですね。そのシステム構築というのが、将来的に予算があるのかというところも出てくると思います。
○西脇室長補佐 システムに関しては、採取施設でとったものを臍帯血バンクのシステムと全部同じにしようと思うと、恐らく全部つないでという話しかないと思うんですけれども、ここで言っているのは、それができればもちろん理想なのですが、それはかなり難しいと思うので、少なくともバーコード管理に関してはバンクに届いた以降はバーコード管理ということと、採取施設で採取したものに関しては、採取して廃棄したという記録が残ればいいと思っています。それに関しては、高梨先生が言われたようにアナログでももちろんいいですし、バーコードでもいいとは思います。
 ですから、一応バックである程度という話は以前からも伺っておりますが、それでは今回意図していることとは少し違うことになると思います。
○原委員 そうなると、最初にラベルは東海大学のようにやって、でもバンクに入ったらまた新たなものを振るという作業も。
○西脇室長補佐 そういうことも想定しています。
 当面ですけれども、最初から最後まで一通りというのが理想ですが、国際基準でもバーコードを張り直す場合にはこうしなさいという基準が書いてあるので、一応そういうふうに受け入れたところで張り直すということも想定しています。
 ですから、3ページ目の方向性の2番目のところですけれども、そのコードを振り直す場合に間違えないようなというのは、そういうことを想定していた記載になっています。
○神田座長 これは、それをやるとすると、ただ純粋に採取施設の負担増ですね。
○原委員 それはそうかもしれないけれども、でもラベルがああいうふうに出てきてしまえば張るのは同じかもしれないので、あとは同意書をストックするということで、ではどのぐらいこれを持っていなければいけないかとか、それのほうが大事でしょうか。
○神田座長 現状においては、そのラベルも出せないわけですね。
○高梨委員 現在は、東海大学の採取施設にはあるかもしれないけれども、日赤系の採取施設にはないです。
 それで、採取現場のラベリングについては、結局妊婦さんのお名前で私どもは扱うんですけれども、そこにラベルがついていた。1施設から2件きたときに、そのラベルと名前と、採取バックの名前と母体血チューブに書いてある名前と張り違いがないかの確認をもう一回しなければいけないのかしらと思うと、名前だけ見て振り直したほうがよほど早いかなとやはり思ってしまったりするのですが、その辺り、ダブルチェックの体制というのを採取施設にまたそこで負担をかけるというのは、今の体制ではちょっと合理的ではないと思います。
 特に臍帯血バンクが管理する責任範囲であるということであれば、受け入れ時に名前であってもそれは全く問題はないかなというのが今の感想です。
○浜口委員 今、ちょっと聞いていると私がよく思うのは、一番肝心なことはバンクが採取施設でどういう状況だったかということをある程度把握することが大事なのかと思います。そのラベルを張るとか、張らないとかというよりも、何件採取をして何件が廃棄されたかということのある意味で台帳のコピーをバンクがきちんと保管できるというか、そうすることによって実際に現場でどういった状況になっているかわかるのだろう。
 ただ、それを効率的にやろうとすると、ラベルを利用したりということになるでしょうけれども、それが非常に複雑になってくると張り直しということにもなるかと思います。
 ですから、私の希望としてというか、思っているのは、やはり採取現場での状況をきちんとバンクが把握するような道筋をまずはつくってもらう。そのために必要なステップというのは多分あるでしょうから、一元管理も最終形としてはあるかと思います。
○神田座長 恐らく、それが先ほど高梨先生がおっしゃった各採取施設で同意書をとって、それを台帳をつくっていって管理するという、アナログだけれども確実に管理できる方法ですね。
 ただ、それは採取現場として実施可能ですか。
○原委員 一応、送ったものだけは台帳をつくっているんですけれども、送っていないものに関しては台帳はないので、各方のカルテを引かないとわからないです。
○神田座長 今後は、例えば同意を得た時点で全て通しナンバーをつけていって台帳をつくっていって、廃棄ならば廃棄とそういうことは可能でしょうか。
○原委員 不可能ではないですけれども、結構大変だと思います。
 私は数をこの間ここで申し上げてもう忘れてしまったんですけれども、結構な数を廃棄しているので、その分まで全部その人たちの名前を台帳として手書きでやらなければいけないというのはちょっと大変かもしれないですね。
○神田座長 今、事務局で意図しているのは、同意をとった時点から採取の過程は始まるということですね。
○西脇室長補佐 台帳を手書きにするか、デジタルにするかはどちらでも、それは本質的な話ではないのでやりやすい方法でいいと思うんですが、こちらの意図としては一応全部廃棄になっているか、なっていないかにかかわらず、同意の段階からリストにして、チェックをしていくだけでも結構ですけれども、それで全体像を把握していただきたいということが一番の意図になります。
○原委員 今、うちではサマリーを書く医療秘書がいて、その人が全部チェックしているので、うちだけの問題とすればそのチェックは年間1,500のお産でもやれると思うんですけれども、多分バンクの中のほかの施設がそれをやれるかといったら、臍帯血が希望があったけれどもとれないのか、量不足だったのか、そういうようなことまでチェックできないんじゃないかと思います。
○神田座長 その点はいかがでしょうか。私は、ちょっと採取現場はわからないんですが。
○高梨委員 原先生の施設は、大変臍帯血をとってくださる施設なので体制はある程度とれるだろうと思いますが、時々、担当の先生が思い出したのでとります、または非常に小規模な病院で開業の先生がとるとおっしゃるからとりますというぐらいのところですと、組織的な対応は非常に難しいと思います。
 この法制化の中を読みますと、もちろんバンクの責務というのはよく承知しますけれども、採取現場はどうしても本当の末端の現場はボランティア扱いなんですね。そこのところを余りにも厳しく初めに締めてしまうのはどうかというのは個人的な感想ではあります。
○原委員 やはりボランティアということで、なかなかとるのに手間がかかるというのはどうしてもあると思うので、このことが最後までいくので同意書をしっかり管理しろとか、そういうことになってくると、ではいいか、もう面倒臭いからやめておこうとなってしまわないかどうか、ちょっと心配です。
○神田座長 そうですね、その辺も含めて、現実的には採取施設の負担をふやさずにしっかりとしたトレーサビリティー率を確保するためにはシステムをつくる予算が必要なのではないかと思うのですが、確保できるめどはいかがでしょうか。
○吉田室長補佐 にわかには申し上げられないと思うんですけれども、当然、現場の御負担というのもよくあるというふうには理解しておりますし、その中で厳しいという御意見もいただく中で、先ほど浜口委員からいただいたお話というのがまさに我々の思いでございまして、バンクのほうにはやはりどうなっているかということをきちんと把握していただきたい。
 それが、まさに方法論のところで今うまくかみ合っていないのかと思います。方向として皆さんが一致しているのはわかるんですけれども、現場の御負担ができるだけない形で方法論としてどういった形がいいのか。
 ただ、やはり最低限、年間1,000件を超えるものをやられる中で、確かにどこまで省力化して管理できるかとなるんですけれども、極端な話、同意書をとって採取したものが丸だったのかバツだったのかぐらいは正直把握してほしいという気持ちが一方、我々にあって、今の御議論の中でなかなか事務局のほうでもこのようにしたらいいのではないかというような適切な提案はすぐには出てこないんですけれども。
○原委員 今のラベルは、具体的には幾らぐらいかかるものなんですか。
○矢部委員 済みません。コストは余り知らないんですけれども、そんなに高いものではないと思います。
 ただ、私自身が思うのは、例えば病院でつくっている磁気式のIDなどを読み込めるようにしたら入力のミスももっと減るし、そこにもう少しいろいろな生年月日とか情報を入れると簡単に、例えばPDAの中にメニューが出て、同意書あり、なしとか、プロットできてというのがあると結構、楽に出来そうな気がするので、ちょっと工夫すればという気もするんですけれども、自分でつくったシステムではないので、正直まだわかりません。
○高梨委員 もしどうしてもラベルというところで、でもその番号はバンクでは使わないということであれば、衛生病院さんだとよく診察券を書類にぱっと押していらっしゃるので、シールをそのままどこかに張っておいていただければ、それで十分名前のかわりで問題ないかとは思います。そういう意味では、余りシールにこだわらなくていいのかなとは思っているのですが。
○神田座長 その場合、台帳はどうされますか。
○高梨委員 お母様方が臍帯血の同意書を持っていらしたら、それはもう全件臍帯血バンクが受け入れるということになるだろうと思います。
 かつ、採取の有無というのを隅のほうにチェック欄をつくっておき、採取してあればチェックを入れて、臍帯血とペアできたものは十分とれたし、臍帯血はこなかったというものであれば、採取はしたけれども現場で廃棄をしたというカウントをしていくしかないかと思います。
○神田座長 今のはかなり現実的なアイデアだと思いますけれども、現場ではエンボスを使って簡単な書類をつくって、それをバンク側に送って、管理はバンク側でやってくださる。それは一応トレーサビリティーも確保されて、さほど負担はふえないと思います。
○原委員 同意書があるので、それは一応いただいて今お返ししていますけれども、それにそれこそうちの診察券番号が入って名前が入っているものを張って、そのままバンクにお届けするということは最も簡単でやれる可能性があるので、それと臍帯血がこなければ廃棄されたんだということはすぐにわかるんじゃないかと思います。
○神田座長 それで、台帳管理はバンク側でやってくださる。それはかなり現実的な線かもしれませんね。大きなシステムができる前の案としては、いかがでしょうか。
○矢部委員 現実的にはラベルであろうが、要するに1枚で確認できるチェックリストがあればいいと思うので、IDをプリントして、本当に同意書があり、それから採取あり、そういう全部が一目でわかるようなものがあれば、あとはバンクで事務処理をして台帳をつくったほうが現場の負担が少なくていいんじゃないかと思います。
○神田座長 いかがでしょうか。今の案は、かなり現実的かつローコストで。
○浜口委員 大事なことは、それがある程度徹底されるというか、そうしないと都合のいい書類だけが集まっても仕方がないので、それはやはり病院側も、採取される側もきちんと管理をしてもらうというか、要は抜けがないようにできるだけしてもらうように努力を促すということでいいんじゃないでしょうか。
○原委員 でも、本当に細かいことを言うと、横流しされてもわからないですね。ちょっとそれは難しいかと思いますけれども、でも今の同意書だけが番号と名前がついたものがバンクに行けば、それは採取できなかったということで一番簡単でわかりやすいと思います。
○高梨委員 これまで保存にならない方、つまり私どもが受け入れない臍帯血のお母様方の個人情報は、無駄にバンクに集めないほうがむしろいいのではないかというポリシーがあったので、そのようにしてきたつもりです。
 ですが、ここで大きな方向転換をしなければならず、ピラミッドの全てのボトムの初めの同意をいただいた方までの同意書が全部くるということは、それだけの個人情報を私どもが預からなければいけないということになりますので、各施設は個人情報、または書類管理の負担が増えるということを自覚しなければいけないと思います。
○神田座長 各バンクですか、各採取施設ですか。
○高梨委員 バンクです。
○西脇室長補佐 ちょっと確認させていただきたいんですけれども、こちらの資料で2つのことを同時に書いてあるのもいけなかったのですが、まず少なくともバンクに受け入れた後、出庫まではバーコードの管理をするということが1点と、バンクが採取施設で採取したもので廃棄したものも含めて把握するということがもう一点。
 それで、今それを全てバーコードでやると、その2つを一緒にやろうという話がしばらく続いたかと思います。その方法論は今、高梨先生が提案してくださったようなものでももちろん構わないと思うので、まず少なくともバンクに届いたものに関してバーコード管理を今後は行っていただくということと、もう一つ、別に廃棄も含めて採取施設で採取したものを把握してもらう。この2点の方向で今後進めていくということでよろしいでしょうか。
○神田座長 各バンクのバーコード管理というのは、現状においても問題ないですか。
○西脇室長補佐 今やっていないところもあるので、やっていただく方向にしたいというのが1点目です。
○神田座長 今はDとHですね。現実はどこのバンクかもわかりませんし、対応が可能なのかというところもあるかもしれませんが、方向性としてはそれを求めていくということでよろしいでしょうか。
(異議なし)
○神田座長 ありがとうございました。それでは、一元的な管理のところも何とか方向性が見えてきたのではないかと思います。
 それでは、次のポイントに進めさせていただきたいと思います。これもメールでかなり熱心に議論いただいた点ですけれども、「採取から凍結開始までの時間」ということで、36時間というのを今回案としましたけれども、将来的に48を目指していけるかどうかという点であります。いかがでしょうか。
 現状においては国内のデータが全くないので、すぐにということは全く無理だと思いますけれども、将来的にまずこのデータを検討する予定はありますか。
○高梨委員 とりあえず今のところはなかったというか、数年前にデータが悪かったものですから、それで36時間を目指してデータの集積をして、現在の基準のもとのデータに使っていただけました。
 もしも必要であれば、改めて検討し直さなければならないと思います。
○神田座長 ちなみに、そのとき48で低かったというのはどれぐらい率が落ちていたんでしょうか。
○高梨委員 20度で50時間ぐらい保存したもので、コロニーが有意に下がりました。通常7~8割の回収率がコロニーでも得られるんですが、20度で50時間ぐらいのものですと6割ぐらいの回収率になり、有意差が出ました。
○神田座長 7~8割のところが6割に落ちてしまうというところですね。ありがとうございます。
 現実的な日本というそんなに大きくない国土のニーズとして、48が必要かどうかというところも問題になってくるのではないかと思いますけれども、今、最長でどれぐらいの時間なのでしょうか。今は、東北から日赤というのが一番長いですか。
○高梨委員 24時間以内で収めるために、昼間の採血しか今はお願いをしておりません。1日の3分の1の時間しか採取ができない状況で、採取施設のモチベーションは非常に低くなってしまいます。そういう意味では、長くすることで1~2時間あるだけでかなり拾える範囲がふえるかと思っています。
○神田座長 今回36時間に延びて、それがさらに48になるメリットというのはどれぐらいですか。
○高梨委員 結局、土日対応ではないかと思います。前日分というのは翌日どうにかなるものだと思うんですけれども、土日の分というのは非常に苦しく、そこをどこまで救えるかがこの時間にかかってくると思います。
○神田座長 わかりました。
 いかがでしょうか。細胞の劣化の可能性はありそうですが、土日の細胞を利用できるということで。
○高橋委員 恐らく土日の細胞を利用できるというか、受け入れ体制側が土日稼動というふうにカバーできる時間を延ばせるようになったときには、例えば時間はそのままでも恐らく供給量は減らない。むしろふえるだろうということですね。メールでも、今までそういう議論になっていたと思います。
 ですから、恐らく1つの方向性としては48時間、50時間というデータが今ありましたけれども、そこで有意差さをもって品質が劣るようになる。それを、国際基準があるからといって、それにまで許容するかどうかというところよりも、むしろバンクの受け入れ体制を充実させるように、そこのところは例えば何らかの予算的な施策を打っていただくとか、そちらのほうを重点的にやっていただいたほうがいいかと思います。
○神田座長 時間の余裕を延ばすよりも、バンク側が土日対応をさらに広げていくと。
○矢部委員 私どもも、かつてそういった保存期間でやってみたことがあるんですけれども、先日、近畿臍帯血バンクの方にも伺ったんですが、やはり48時間になるとばらつきが大きくなるということで、いい臍帯血はかなりよく保たれるんですが、やはり振れが大きくなるので、その品質の保証という意味では臍帯血によってかなりばらつきが出るので、それがプロダクトとしてふさわしいかどうかというのは若干気になる部分です。
 それから、海外の基準というのは、どちらかというと海外の妊婦さんのほうが体格も大きくて、臍帯も太くて、ボリュームもいっぱいとれる。それに比べると、日本の妊婦さんのほうが小柄でしょうから、そういった意味でもともととれる臍帯血の量がある程度限られるとなると、そこにプラスアルファでその時間的な条件を海外と同じにして結果に結びつくのかどうか、ちょっと心配ですので、ここは少なくとも30時間、あるいは36時間というステップを置いての評価は絶対必要のように私は考えています。
○西脇室長補佐 事務局のほうとしましても、この36時間の前回の議論のときにも言ったかもしれないんですけれども、4ページの下のところにも書いてありますように、高橋先生の言われた土日開業でバンクの受け入れをふやすということで、現在もやってくださっているバンクもありますし、全てのバンクでそういった体制を整える準備をしている、検討中と伺っておりますので、それと合わせて今後48時間にそれでも延ばしたほうがいいのかということは議論していくことになるかと思っています。
○神田座長 ありがとうございます。現実問題としてバンクが土日をやるようになったら、日本の国土を考えると48にするメリットは余りないですかね。
○高橋委員 そこで延ばせばいいとは思うんですけれども、先ほど私も予算で裏づけというふうな話で、お金で本当にそれが解決できるかどうかは私はよくわからないんですけれども、そこのところはさっき採取施設への負担という話もありました。バンクへの負担だけ重なっていけばいいというわけではないと思いますけれども、これはお金で解決できるんですか。
○高梨委員 土曜日、日曜日に人を出そうと思えば、それなりの人の対応が必要になります。今は土曜日2人の担当の職員を出していますけれども、そのときは事務対応ができないので、つまり翌日の搬送の手配をする人たちがいない状態で調製室と検査室に1人ずつで働いています。
 そうしますと、やはり日曜日の対応というのはここでできなくなります。日曜日に2人出そうと思えば土曜日の人をふやさないといけないということで、簡単に土曜日、たったの1日というわけにはいかないだろうと思います。
 人の教育訓練には今、多大なエネルギーを有しておりますので、早急にできるわけではないです。
○神田座長 お金は必要なんですね。
○高梨委員 人件費ですね。
○神田座長 ありがとうございます。
○矢部委員 高梨先生、人材は十分にいらっしゃるんですか。私どももCPCが入って調製保存作業で、それこそ宇宙服みたいな格好をしてこの中でやるのですごく消耗するので、1日2回入って調製保存は勘弁してくれと言われちゃうんですね。
 結局、今、担当しているテクニシャンは2人しかいませんので、この前もちょっと話題になりましたけれども、1人が1回に1ユニットだけ持って全部処理をやるべきなんですが、土日もそういう体制でできるだけテクニシャンの方が確保できるのかどうか、非常に問題かと思ったのですが。
○高梨委員 土曜日は2人で、1人が検査室、1人が無菌室ということでやっています。
 これから宮城地方の採取時間を延ばすと、恐らく私どもが受け入れるのに午後の2~3時になるだろうということで、秋からシフト体制も組まなければならないと思っていますので、今そのための準備中ではあります。十分にいるというわけではなく、できる範囲で精一杯やっていると思います。
○神田座長 ありがとうございます。この点と次の点はリンクしていて、細胞数の件と土日がどれぐらい進んでいくかというのは、恐らくこの場で結論を出せるものではないと思いますので、この文書にも今後検討していくこととしてはどうかと書かれていますけれども、そういった結論でよろしいでしょうか。
(異議なし)
○神田座長 それでは、重なってくる部分がありますけれども、「調製開始の細胞数」という点についてはいかがでしょうか。
○矢部委員 4ページの下の方向性のところで、文言のことだけですけれども、「土曜日もしくは日曜日の営業が安定して行われるようになった段階で」と、「営業」という表現を使ってしまうと、申し込みから何から全ての業務がここで発生するような印象を持ってしまうのですが厚労省はそれを想定してということですか。
○西脇室長補佐 紛らわしくて済みません。ここは、調製保存作業とかにしたほうがよろしいでしょうか。
○矢部委員 多分、先生のところでもそれでないと厳しいですね。また、人が必要になってしまうということで。
○西脇室長補佐 では、調製保存が行われる体制ということでよろしいですか。
○矢部委員 わかりました。
○神田座長 そのほかは、いかがでしょうか。この細胞数の件は大分、既に議論が行われていましたので、よろしいでしょうか。
(異議なし)
○神田座長 それでは、次は管理体制というところです。こちらについてはいかがでしょうか。
 これは、先生方のところでは現状においてはどうなんでしょうか。
○高梨委員 血液センターは、こういう体制に慣れていることもあって、恐らくきちんと示されていると思います。
○矢部委員 私どもはちょっと人手不足で事務系の正職員、技師が1人と、医師は私だけで今やっていますので、兼任ということで、残念ながら閉じることにはなりましたので対象にはならないんですけれども、今まではできておりませんでした。
○神田座長 たしか、この文言を定めるときにも、現状において幾つかのバンクが厳しいということでこういう文言になったかとは思うんですけれども、今後、兼任を避けていくという方向性ですね。
○西脇室長補佐 これも人がかかわることですのですぐには難しいとは思いますけれども、こういったことを念頭に体制を進めていただければと思っております。
○浜口委員 これからバンクがこういった形で薬事法のもとでいろいろな作業をやるということにおいては、やはり一番大事な体制だと考えます。ですので、品質管理をやる人と、それから製造責任というのはきちんと分けておくということを大原則として体制を整えていくべきだと考えます。
○神田座長 ちなみに、この中で調製保存管理者と、調製保存責任者の兼任はできるんですか。
○西脇室長補佐 それは前回、先生からも言ったかもしれないですが、本来は望ましくないというふうには考えていますが、とりあえず当面はそこは認めると。
○神田座長 この方向性の中でも、その点に関しては、特に。
○西脇室長補佐 なので、ここで一応念頭に置いているのは、3人別ということを目指すということを考えております。
○神田座長 兼任を認めないというのは、全て3か所とも別々ということですね。
○西脇室長補佐 そういうことです。
○神田座長 わかりました。
 そのほか、いかがでしょうか。やはり何かあったときに、外部からこの点を指摘されると全く体制の問題が問われると思いますので、これもできる限り早くにということになると思いますが、方向性として当然兼任を避けていくというのは反論の全くない点だと思いますが、よろしいでしょうか。
(異議なし)
○神田座長 それでは、次が受け入れ体制の点ですね。今、基準が必ずしも統一されていないということで、この点についていかがでしょうか。
 先ほど高梨先生からありましたように、ここで書かれているものと採取施設での廃棄は別問題ということなんですね。そうしますと、今後はその採取施設の判断も含めて統一した見解が必要になってくるのではないかと思いますけれども、今、原先生のところはどういった基準の判断になっているんでしょうか。
○原委員 高梨先生のところからおっしゃられているように、60cc未満のものは現場で廃棄するということです。
○神田座長 純粋な容量での管理というのは、一番やりやすいですね。
○原委員 そうですね、容量だけですね。
○神田座長 この点は、いかがでしょうか。この「全て」と書かれているところでも実際に採取施設で廃棄しているものがあるということでしたけれども、それはやはり同じように60というラインなんでしょうか。
○高梨委員 場所によっては、もう少し多い量を設定しているところもあるように聞いたことがあります。
○矢部委員 東海大学は全部受け入れていましたけれども、余り効率的なことではないので、私もぜひこれは仕切りといいますか、基準を設けたほうがいいと思います。
 先ほど高梨委員がおっしゃったように、それを搬送業者が運ぶのも大変なコストになりますので、ちょっと無駄がふえ過ぎてしまうと思います。
○神田座長 そうしますと、この60というラインが調製開始のラインの12×10^8よりも余裕がないといけない数値かと思いますけれども、この60ccというのは大体そういうデータになるんでしょうか。
○高梨委員 60ccを切ってしまうようなもので保存になるものは1割未満だと思います。
○神田座長 そうすると、かなり余裕があるラインですね。
 そうしますと、60というラインを採取施設のところで閾値を共有するということでよろしいでしょうか。恐らく細胞数をラインにするのは余り現実的ではないでしょうから、もう容量で決めるしかないと思いますので。
○西脇室長補佐 ここにはもう少しデータを集めたらというふうに書いてありますけれども、当面60でやるということであればそれでもよいですし、細胞数の基準はもう少し高くなっていますので、それを踏まえてもう少し上げたほうがいいということであれば御検討で、60というのは各バンクの中で共通認識ということで現在持っていただくのはいいと思いますが、こちらのほうでそう決めていいかどうかということは御意見いただければと思います。
○神田座長 いかがでしょうか。60で現在の細胞数の基準で10%未満しか利用されないということになりますと、ラインを上げるとさらに利用率は減ってくるということで、もしかしたら60を70とか75に上げられるかもしれないということですか。
○西脇室長補佐 そうですね。
○神田座長 ただ、それはまた先ほどと同じで少しデータを整えていかないと、現段階でラインを上げるのは少し難しいでしょう。
○高梨委員 そうですね。つまり、採取現場で廃棄しなければいけないユニット数がふえてしまうので、そちらの扱い、採取施設の方々にとってはストレスが多くなるという意味だと思います。
 現在、60mlというか、重さで風袋を入れて何グラムということで切らせていただいていますので、それを上げれば上げるほど、私ども臍帯血バンクに受け入れるものが減っていき、採取現場での廃棄量がふえてしまうということです。
○神田座長 少なくとも60ccを超えた、例えば60~70の中でどれぐらいの利用率かとか、そういったデータが出てからの課題で、当面は60というラインを引き続き使用するというのが合理的でしょうね。
 では、現状のラインを当面は保って、またデータがそろったところで再検討するということでよろしいでしょうか。
○原委員 でも、この「全て」と書いてあるバンクは60で切っていないということですね。
○高梨委員 恐らく、採取現場でグラムを測って、ある一定以上のものをバンクに送って、バンクは送られたものは全部受け入れて、番号を振って細胞数を測りますという意味じゃないかと思いますので、多分、質問の理解の仕方がそれぞれ違ったかもしれません。
○神田座長 それでは、このポイントについては一応60を統一ラインとするということでよろしいでしょうか。
 用意していた検討事項については以上でありますけれども、そのほかの委員の皆様から追加のコメント、あるいは御意見等がありましたらお願いいたします。
○高橋委員 さっきの採取保存の時間の延長の件もそうですし、管理体制の充実化というところも含めてなんですけれども、ちょっとしつこいかもしれませんが、人件費という、具体的にいうとそこら辺の担保というのか、その増加というのはどうしても法制化のもとでどんどん厳しくしていこうと、それで臍帯血の保存自体がいろいろ立ち行かなくなってしまうことは本末転倒だと思います。
 ですから、そこのところは実際に上の委員会にもきちんと上げていただいて、そういう意見があったということ、現実問題としてそういう問題点が出てくるだろうということも伝えていただきたいと思っております。
○神田座長 予算的なことについて、コメントをいただけますでしょうか。
○泉臓器移植対策室長 沈黙を保っておりました。申しわけありません。
 予算ということにつきましては、予算が国会で成立するまでは行政としてお約束しかねるというのが行政の基本的な立場にはなろうかと思います。
 しかし、必要なものは確保するという姿勢は大切なことだと思っておりますので、皆様方から現場の実態をよく教えていただきながら、一方で財政の効率的な使用、予算の効率的な使用というのは私どもに課された義務でございますので、必要な目標を達成するのに最も必要で効率的なやり方にはどういうものがあるのかということをきちんと我々なりに咀嚼した上で、必要なものはきちんと要求していきたいと思っております。
 きょうのところは、この辺で御勘弁いただければと思っています。
○神田座長 ただ、法制化に対していろいろな予算が既にある程度計算されている部分は、各バングへの待遇というところも。
○泉臓器移植対策室長 ちょっと詳細に申し上げにくいのですが、御要望はきちんと踏まえて要求をしていきたいと思います。
○神田座長 そのほか、いかがでしょうか。
○高梨委員 先ほども少し申し上げましたけれども、採取の現場に対して私ども病院との契約でいたしますが、まとめてお支払いする費用は病院の予算、会計に入ります。それで、現場の方はどうしてもボランティア扱いです。
 そこのところを、仕事をしたということが内外にわかるような待遇についての何か措置ができないかというのをずっと考えているのですが、どうぞこちらでも、また親委員会でも御論議いただきたいと思います。
○矢部委員 東海大学でも臍帯血バンクの運営会議の中で、その採取病院の先生に来ていただいて、何をして差し上げたらモチベーションが上がるかとか、そういう話をするんですけれども、高梨先生がおっしゃるように、実際には病院の金庫に入るだけといいますか、個々の先生のところにはなかなかいきません。最近具体的に聞いた話ですと、どのぐらいの業績を上げれば新しい機器を買えるとか、何か現場にフィードバックできるようなことを考えているみたいな話は伝え聞いてはいるんですけれども、そういうものがなるべく早く実現できるようにということです。
 それから、結構クリニックで、開業で採取していただいている病院もありまして、かなり十分な臍帯血を頑張ってとってくださっています。そういう病院が臍帯血採取施設ですということを標榜できるような形にして、技術的に高いレベルを持っているとか、そういうことが一つのプロパガンダになるようなものがあればモチベーションにつながるんじゃないかとも思います。実際に一部の先生方、開業のクリニックの先生から、実はもうホームページに採取施設になっていますということを入れているのですが、まずいでしょうかということを聞かれたんですけれども、そういったことも含めて採取施設のモチベーション、それからそういった貢献度とか、そういうものが社会に伝わるような形にしていただけるとうれしいかと思います。
○浜口委員 私からもお願いですけれども、やはりボランティアでかかわる一方で、こういう法律のもとでしっかりやれ、教育トレーニングもしっかり受けなさいというようなことでかかわらざるを得ない人たちに対して、やはり何らかのモチベーションを高めるためのインセンティブ、ある意味で資格みたいなものでもいいのかなという気はするんですけれども、そういったものをきちんと認めてあげて、廃れないようにですね。
 廃れるというのは、こういうシステムがどんどん厳しくなるにつれて、参加していただく採取施設がどんどん減らないような形を将来的に見通していただきたいと思います。
○神田座長 採取認定施設、あるいは採取認定医師、医師に限らずということになると思いますけれども、そういった制度をつくっていくという方向性は可能なんですか。
○泉臓器移植対策室長 一般論で申し上げますと、国家資格のごときものというのは非常にハードルが高いと思います。
 ただ、認証資格的なものなどは公的な団体で考えられている例が幾つもあり、そうしたやり方というのが、例えば臍帯血の採取の方法などになじむものかどうか。そこは、技術的な議論が必要かと思います。
 もちろん、現場の先生方がここにおられる中で私が申し上げるのも恐縮ですが、手技というんでしょうか、技術というか、コツというか、そういったものは非常に深いものがあると伺っていますので、そういうものを標準化していくようなやり方などが開発された上での資格なり、認証資格ということになるんだろうと思います。
○原委員 資格は、やはり難しいかと思うんです。まずは、臍帯血自身が太いものもあり、細いものもあり、そういうところで同じようにやっていてもとれない場合もあるわけなので、だからといって技術とか、認定するとか、そういうものになじむようなものではないと思うんです。
 ただ、ここは臍帯血をとっていますということを公表するならば、それはそれでいいと思うんですけれども。
○神田座長 先生としては、余り認定というのはモチベーションにはならないですか。
○矢部委員 認定といってしまうと、やはりプレッシャーがかかってくるようなものになるとよくないと思います。
 私、実は骨髄バンクの採取責任医師もやっているのですが、あるときプライベートバンクの採取をしているという看護師さんが骨髄バンクのドナーでこられたことがあって、そのときにどういうふうに教育訓練を受けたんですかとか伺ってみたら、そういったものはなかったというようなことでした。
 ですから、そういうものとは一線を画した実績のある採取施設であるというふうなものは何かわかってもいいのかなと思ったんですけれども、臍帯血バンクネットワークへのいろいろな問い合わせの中で、やはり自分の子供が将来病気をしたときのために保管したいみたいな相談も幾つかきます。そういう中で、プライベートバンクみたいなところに流れる場合もあるかと思うんですが、もちろんこれが認可制になれば今度はそういうことはなくなるわけですけれども、そういったものとはやはり全然クオリティーも実績も違うというところが伝わってほしいなというふうにはちょっと思ったんです。
○神田座長 認定という言葉を使うかどうかは別として、それは骨髄移植推進財団がやっているように恐らくバンクレベルで規定することは可能ですね。
○西脇室長補佐 何かを取り締まるというよりも、頑張ってくださっている先生に、ここは頑張ってくれていますよという目印みたいなものというような意図だと思いますので、そういったことも今後考えていくということです。
 あとは、一応、言い訳だけさせていただきたいんですけれども、採取施設の負担をこちら全く考えていないわけではなくて、造血幹細胞移植委員会のほうでも何とかモチベーションを保つようにということの議論はしていますし、必ずしも今、認定とかの話が出ましたけれども、金銭的なモチベーションだけでもないというような意見も伺っていまして、恐らくいろいろな意見があると思います。
 現在のところは、かなりモチベーションが高い先生方に頑張ってとっていただいているというのが現状だと思いますので、それをモチベーションがなくなってしまうことがないように、今後も引き続きいろいろな意見を伺いながら検討させていただきたいと思っています。
○高梨委員 補助金の使い方はいろいろ決まりがあるのはよく承知していますけれども、病院の全体の会計に入れるお金と別に、例えば医局、またはナースステーションに対してPC一式みたいなものができると、随分いいのにと思うこともございます。
 何かしらしたいのだけれども、財源がないしというのが実は臍帯血バンクなので、日々、困っているわけですけれども、皆さんのお知恵をいただいて、どうにかして現場に感謝が見える形で伝わるといいなと思っています。
○神田座長 ありがとうございます。これも重要な検討課題ということで、今後いろいろなアイデアが出てくるのではないかと思います。
 そのほかは、いかがでしょうか。
○高梨委員 臍帯血バンクで、実際に使う試薬の類いで研究的な試薬というのがあります。それについては、一応きちんとしたつくり方をしていただいていると思っていますけれども、研究的な試薬であるというのは皆さん認識していただかなければいけないのと、輸入品であるというものもございます。それから、それらが手に入らないことがないように、いろいろ各方面の情報を集めるようにはしていますけれども、そちらについても御指導と監督をどこかでしていただけるとうれしいです。
○神田座長 具体的に凍結障害保護液とか、そういった部分ですか。
○高梨委員 DMSOについては輸入品になっています。
 もちろん今、研究用として使わざるを得ないものではありますけれども、国内で生産できないわけはないと思うのですが、マーケットが小さいので誰もそれはやらないだろうとは思っていますけれども、いざというときに日本はどうするつもりなのかなというところもどこかで見ておかなければいけないと思います。
○神田座長 現状において、人の使用が認められた凍結障害保護液はCP1とかも含めて、ないですね。この点は、厚労省として何かお考えはありますでしょうか。非常に難しい点で、もう何十年の。
○西脇室長補佐 そういう意見があるのはいろいろなところで伺っておりますが、検討するということしか言えないかと思います。
○神田座長 例えば、骨髄の採取キットが国内のものが使えなくなったときに、超法規的とはいわないでしょうけれども、かなり速やかな体制でバイオアクセス社のキットが承認されましたね。
 今は、取り急ぎ未承認のものが普通に使われてしまっているからそうなんですけれども、今回こういう法制化されることが一つのいいタイミングなのかと思うのですが。
○西脇室長補佐 それに関しても、そういう要望があることはあるんですけれども、こちらがやりますといったらすぐにできるというか、いろいろ問題はあるようなのでここですぐにお答えはできないんですが、そういう必要性があるということは我々としても認識はもちろんしています。
○神田座長 あとは、供給の確保ですね。
○高梨委員 一応数社ありますのでアンテナを張ってはいますけれども、日本で大体2個所から入っていらっしゃるのかなというふうに認識しています。
 あとは、DMSOのほかにHESというのも研究用試薬になっていまして、細胞数が多い臍帯血を効率よく保存しようと思うとHESはかなり有用な試薬です。海外で自動機器を導入したようなところは、無菌室に入るのが面倒臭いのでHESは使わないというところもありますけれども、やはり大きなユニットに対しては回収率で問題があるようなことも聞いたことがありますので、今のところほとんどの施設はHESを使っています。
○神田座長 CP1というのはDMSOとHESが混じっているんじゃないでしたか。あれを使うのは、コストが高くなるんですか。
○高梨委員 HESも、つまり医療用ではないので、本当に昔は粉のものを自分でオートクレーブで溶かしたこともありますけれども、現在はアンプルのものを研究用としてつくってもらっていますので、ありがたく使わせていただいています。一社依存です。
○神田座長 ありがとうございました。では、この点も検討いただきたいと思います。
 そのほかは、いかがでしょうか。実際の臍帯血の、例えば現状のHLAが6分の4以上とか、TNC2x10^7/kg以上とか、そういう基準の話はここの検討会とは別ですね。
○西脇室長補佐 それに関しては、基本的には移植施設の責任、判断でやっていただくということなので、この臍帯血の品質基準というところとは少し違う話になるかと思っています。
○神田座長 私が個人的に考えていることは、今、細胞数の下限についてはいろいろ議論が出るんですけれども、より多くの患者さんに適切な数の臍帯血を届けるためには上限も設けたほうがいいかと思っています。
 つまり、体重の軽い患者さんにものすごく多いのが使われるのであれば、それはもうちょっと重くて困っている患者さんのためにとっておいてあげたいという気持ちがあって、上限を設けてもいいのかなと思っているんですけれども、そういった議論はここではないですね。
○西脇室長補佐 それに関して、ここは一応最低基準ということで最初に御説明させていただきましたけれども、それを決めるということでやっておりますが、ここの基準に入れるものとは少し性質が違うかとは思います。
 ただ、先生が言われるように上限に関して今回の基準とか、今後の技術の進歩で細胞数がすごく多いものがたくさんになってしまえば、それは理想なんですけれども、その有効活用という意味でそういう意見があるということも伺っておりますし、それを国の基準としてするのがいいどうかという問題はまたあるかと思いますので、どういう形でそういうものを決めるかということは、学会などともお話させていただきたいと思っています。
○神田座長 ありがとうございます。
 そのほか、いかがでしょうか。よろしいでしょうか。将来のところで、かなり重要なポイントを十分議論できたのではないかと思いますけれども。
 それでは、先日の基準案、前回までにまとめていただいた件につきましては、6月21日の委員会で報告を私からさせていただきまして了承されておりますので、それに加えてきょうの将来に向けた検討の方向性を加えた形でこの検討会の最終的な成果物として委員会に最終的な報告をしたいと思います。
 細かい文言については、またメールベースで御相談させていただきまして、最終的なものを私のほうから提出させていただくということでよろしいでしょうか。
(異議なし)
○神田座長 それでは、一応方向性がある程度、定まったと思いますので、8月27日の開催予定については、開催はしないということでよろしいでしょうか。
(異議なし)
○神田座長 ありがとうございました。では、本日の議題は以上になります。
 最後に、事務局から御連絡をお願いいたします。
○泉臓器移植対策室長 本日は、活発な御議論をいただきましてまことにありがとうございました。
 平たく、かつ幼稚な言葉で恐縮でございますが、今回の御検討はお母様方の善意をどのようにして安全、確実に、そして効率的に患者の皆様にお届けするか、その関係者の努力の一環ではないかと思っております。
 エアコンが切れる時間になりましたが、長時間にわたりまして御議論ありがとうございました。
 最終的な取りまとめ案につきましては、先ほど座長からお話がありましたように、事務局から委員の皆様にメールで送らせていただくということでございます。
 臍帯血の品質の向上に向けて、基準については今後見直しを行っていくということでございますが、そうした努力の一環といたしまして、また財政的な面でも財政当局に対してきちんと要求はさせていただきたく思っております。皆様の御協力を得ながら進めさせていただきたいと思います。どうぞよろしくお願いいたします。
 本日の会議ですけれども、一応一区切りではございますが、基準についてまた今後見直す必要があった場合には、再度招集をさせていただくということあり得るべしということで御理解賜ればと思っております。どうぞよろしくお願いいたします。
○神田座長 数年後の一段階上げるというときには、またもう一度こういった会議が行われて新しい基準案をつくるということですね。
○西脇室長補佐 恐らく、そういうことになると思います。それが数年後ということになるのか、もう少し早い段階から検討をいただく必要があるかもしれないので、引き続き御協力をお願いできればと思っております。
○神田座長 わかりました。ありがとうございました。
 それでは、本日の検討会及び予定していた一連の検討会がこれで終わりになりますけれども、今お話ありましたように、メール等を含めて引き続き皆様の御意見、お知恵をいただく場面があるかと思いますので、今後ともよろしくお願いいたします。
 では、きょうはどうもありがとうございました。


(了)


※データの累乗を、以下のように「^」で表記しておりますのでご了承ください。
10×10^6、10×10^7、10×10^8

ホーム> 政策について> 審議会・研究会等> 健康局が実施する検討会等> 移植用臍帯血基準検討会> 第3回移植用臍帯血基準検討会 議事録(2013年7月30日)

ページの先頭へ戻る