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2013年7月26日 第3回再生医療製品患者登録システムの在り方に関する検討会・第1回体内埋植型医療機器患者登録システムの在り方に関する検討会 議事録

医薬食品局安全対策課

○日時

平成25年7月26日(金)18:00~20:30


○場所

厚生労働省専用第12会議室(12階)


○議事

○事務局 第3回「再生医療製品患者登録システムの在り方に関する検討会」及び第1回「体内埋植型医療機器患者登録システムの在り方に関する検討会」の合同検討会を開催したいと思います。本開催に当りまして、去る7月2日付けで、新たに医薬食品局長に着任いたしました、今別府敏雄からの御挨拶がございます。
○医薬食品局長 今別府でございます。今、御紹介がありましたように、7月2日付けで着任をいたしました。実は私は、昭和の終わりから平成の初めに当時の薬務局におりまして、当時、再生医療の関係のベンチャーの支援をやっておりましたし、また、医療機器開発課というのを作ったりしていましたので、今日、それから25年の時を経てどうなっているのかという意味で非常に関心をもって参加をさせていただきます。
 今日は、初めての合同会議ということでありますが、週末のこの時間を使うのにふさわしい有意義な議論を期待しております。よろしくお願いします。
○事務局 次に、構成員の先生方を御紹介いたします。まず、再生医療製品に係る検討会の構成員を御紹介いたします。座長として、大阪大学大学院医学系研究科外科学講座心臓血管外科教授の澤芳樹先生です。長崎大学大学院医歯薬学総合研究科顎・口腔再生外科学教授、朝比奈泉先生ですが、少し遅れていらっしゃるようです。再生医療学会評議委員の大須賀俊裕先生です。山口大学大学院医学系研究科消化器病態内科学教授、坂井田功先生です。東京大学大学院医学系研究科外科学専攻口腔外科学分野教授、高戸毅先生です。独立行政法人理化学研究所発生・再生科学総合研究センター網膜再生医療研究チームリーダー、高橋政代先生です。東京女子医科大学大学院先端生命医科学系専攻教授、大和雅之先生です。大阪大学大学院医学系研究科脳神経感覚器外科学(眼科学)教授の西田幸二先生が御出席予定ですが、30分ほど遅れていらっしゃるとのことです。
 本日、京都大学再生医科学研究所の戸口田淳也先生及び、慶応義塾大学医学部整形外科学准教授の中村雅也先生につきましては、本日御欠席との御連絡をいただいております。
 続いて参考人の先生方を御紹介いたします。本日の参考人として、再生医療イノベーションフォーラム(FIRM)テルモ株式会社研究開発本部研究主管の鮫島正様です。テラ株式会社取締役専務執行役員の飯野直子様です。(株)ジャパン・ティッシュ・エンジニアリング薬事部長の杉本晃様です。同じく、安全管理課課員の角谷正規様です。
○事務局 次に、体内埋植型医療機器に係る検討会の構成員の御紹介をさせていただきます。まず、本会の座長ですが、開催前に構成員による互選の手続を事務局で取らせていただきました結果、自治医科大学学長の永井良三先生にお願いすることとさせていただきます。永井先生、一言御挨拶をお願いいたします。
○永井座長 自治医科大学の永井でございます。非常に重要な課題がございますので、皆様方の御協力をいただきまして、円滑に議事を進めたいと思います。どうぞよろしくお願いいたします。
○事務局 続きまして、構成員を御紹介いたします。京都大学大学院医学研究科整形外科准教授の秋山治彦先生です。帝京大学医学部内科学講座教授の一色高明先生です。独立行政法人国立循環器病研究センター移植部部長の中谷武嗣先生です。本日、大阪大学大学院医学系研究科教授の祖父江友孝先生、及び東京大学医学部附属病院心臓外科准教授の本村昇先生につきましては、所用により御欠席との御連絡をいただいております。なお、本村先生の代理として、お二人の先生に参考人として御出席いただいておりますので御紹介いたします。三井記念病院院長、JACVSD代表幹事の高本眞一先生です。東京大学医学部医療品質評価学講座准教授、JACVSD・NCD専門委員の宮田裕章先生です。
 続きまして、事務局を御紹介いたします。7月の人事で新たに着任している者も合せて御紹介させていただきます。先ほど御挨拶申し上げました今別府局長です。成田大臣官房審議官です。鎌田総務課長です。森口安全対策課長です。広瀬安全使用推進室長です。工藤安全対策課課長補佐です。私は安全対策課安全使用推進室室長補佐の高畑と申します。どうぞよろしくお願いいたします。また、オブザーバーの方々も合わせて御紹介させていただきます。
 内閣官房健康・医療戦略室の浅野武夫企画官です。厚生労働省医政局研究開発振興課の堀裕行再生医療研究推進室長です。厚生労働省健康局疾病対策課臓器移植対策室の西脇室長補佐です。独立行政法人医薬品医療機器総合機構安全第一部の石井医療機器安全課長です。紹介は以上です。これ以降は議事に入りますのでカメラ撮りはここまでとさせていただきます。
 先ほど御紹介が遅れました朝比奈先生がお見えになりましたので、御紹介いたします。長崎大学大学院医歯薬学総合研究科顎・口腔再生外科教授の朝比奈泉先生です。
 それでは以後の議事進行を座長にお願いしたいと思いますが、本日は再生医療製品と埋植型医療機器の両検討会の合同開催ということで、これまでの先行した議論の流れを汲みまして、全体の座長は再生医療製品に係る検討会の澤座長にお願いしたいと思います。
○澤座長 それでは、大変僭越ではございますが、今の事務局からの御説明どおり、御指名ですので座長をさせていただきます。それでは事務局から、本日の配布資料の確認をお願いいたします。 
○事務局 まず1枚目に議事次第がありまして、その下が配布の資料の一覧となっております。次が座席表です。資料1-1として「体内埋植型医療機器患者登録システムの在り方に関する検討会」構成員等名簿、資料1-2「検討会設置要領」、資料1-3「体内埋植型医療機器患者登録システム整備事業について」ということです。
 資料2-1として「再生医療製品における使用成績調査」です。こちらにつきましては、企業の機密に関わる事項もありますので、構成員・参考人限りの配布とさせていただいており、傍聴の方々には配布しておりません。後ほどスクリーンを使ってプレゼンテーションしていただきますので、御覧いただければと思います。御了承ください。
 資料2-2「J-MACS日本の補助人工心臓市販後レジストリ」、資料2-3「造血細胞移植一元化登録データを用いた登録研究について」、資料3が「論点項目(案)」となっております。
 裏面の参考資料が3点です。再生医療製品患者登録システムの在り方に関する検討会構成員等名簿。参考資料2が設置要領。参考資料3が前回の検討会の議事録となっております。以上でございます。不足等がございましたら、事務局までお申し付けください。
○澤座長 よろしいでしょうか。それでは、議事を進めてまいります。議題1の体内埋植型医療機器患者登録システム整備事業及び再生医療製品に係る検討会との合同開催について、事務局から御説明ください。
○事務局 それでは、事務局から、本事業の経緯、事業概要、本検討会の役割、再生医療製品検討会との合同開催について御説明をさせていただきます。
 本検討会の開催要領、資料1-2を御覧ください。「目的」の所に書かれておりますとおり、本検討会は体内埋植型医療機器患者登録システム整備事業における埋植型医療機器の患者登録システムの在り方、及びその仕様を検討することを目的として開催いたします。したがって、検討事項は埋植型医療機器患者登録システムの在り方と、当システムの仕様です。大きな目的、検討事項は、参考資料2に示しております再生医療製品の検討会と同様です。本検討会では、どのような医療機器にどのような登録システムが必要で、どのように構築、運営していくかを議論いただくことになります。構成員等、運営については記載のとおりで、こちらも再生医療製品の検討会と同様です。資料1-1には、埋植医療機器の検討会の構成員等の名簿を示しております。
 続いて、資料1-3を御覧ください。本事業の概要について説明いたします。まず背景ですが、埋植型の医療機器については、長期の安全性が求められるものなどがありますが、市販前には十分に確認できないというものや、また、革新的な医療機器などで国内外での使用経験が余りなく、市販後に未知の不具合をいち早く把握すべきといったようなものがあります。そういったものは、市販後の使用データを網羅的に収集し、データを分析することが有用であると考えられます。図に示しているものは、今後検討いただくにあたってのイメージ図です。各医療機関で使用された埋植型医療機器について、患者情報や診療情報がデータベースセンターに集められ、関係学会等の御協力の下、その医療機器の有効性及び安全性の検証が行われ、更には医薬品医療機器総合機構(PMDA)において市販後の安全対策に役立てられることを想定しております。大枠のスキームとしては、再生医療製品でも同様なスキームを想定しているところです。
 事業スケジュールですが、再生医療製品の登録システムと同様で、本検討会において今年度一杯この登録システムの在り方を検討していただく予定としております。平成25年度に、その在り方についての検討結果をまとめていただき、その結果を踏まえて、平成26年度から具体的な患者登録システムの開発や構築に入っていく予定です。
 これまで、2回にわたり再生医療製品の検討会を開催し、御議論いただいてきておりますが、今回から埋植型医療機器についても検討を開始するということで、登録システムの議論としては共通する部分も多分にあると思われますので、今回両検討会を合同で開催することといたしました。まずは、合同で共通的な部分を議論いただき、再生医療製品、埋植型医療機器それぞれで検討すべき点については、必要に応じてそれぞれの検討会で議論いただくことになろうかと思っています。事務局からの説明は以上です。
○澤座長 いかがでしょうか。是非、委員の方々からの御質問、御意見をいただきたいと思います。特に、再生医療のほうは、これまで2回議論をしてまいりましたが、医療機器のほうは今回参加された方は初めてですので、何か御意見などをいただけましたら幸いです。
○永井構成員 登録システムをつくるのはよいのですが、目的、目標を最初に明確にしておいていただいたほうがよろしいと思います。
○事務局 後ほど、議題3でも議論いたしますが、今後の論点項目の中に、まず目的を議論していただく形となります。ここで、医療機器、再生医療それぞれどういった形で、どういった目的で今後の登録システムを構築するのかを議論していただきたいと考えております。
○澤座長 永井先生、よろしいですか。もう少し大きな観点でお話いただいたほうがいいかと思うのですが。
○安全対策課安全使用推進室長 やはり、この再生医療製品についても、埋植型医療機器についても、長期に着実に効果なり安全性なりを追い掛けていくことが、きちんとその製品を評価していく上で重要だと思っております。再生医療製品の場合には、施術を施してしまうと、あとから見分けがつかないこともあります。また、埋植医療機器についても、機器は、場合によっては取り出せば機器にIDの番号などがあるかもしれませんが、そうでないとなかなかその機器の把握ができないという問題もありますので、このようなシステムが出来上がっていくことで、きちんとそのような評価の体制が確立できるのではないかと思っております。
○澤座長 今までの再生医療の観点からのまとめで意見を言わせていただきますと、従来の医薬品の臨床や治験や市販後調査は、やはり医薬品を中心としており、医療機器や再生医療の議論をしてきたときには、それは馴染まないだろうと。特に再生医療では、早期条件付承認という議論も出ている中で、まず安全性を見ながら、かつ効果を見ていくのに、長期にわたって症例数が医薬品ほど膨大ではない中で、どのような在り方を考えるべきかとしたときに、やはりしっかりレジストリなりエビデンスを出していくのが大事です。それは学会もそうですが、むしろ国民目線から明らかになるような国の政策としてのレジストリが重要ではないかと思います。この辺りが、J-MACSが始まった所以ではないかと思うのですが、中谷先生いかがですか。
○中谷構成員 
埋植型医療機器が先行しているという意味では、体内植込型補助心臓に関するシステムがあります。これに関しては、デバイスラグの1つの典型的なものとして問題になっていました。この体内植込型補助人工心臓の開発・臨床応用においては、米国でも実際にいろいろな種類が出てきたときに、どういうシステムにするかということが問題となり、INTERMACSという形で新たな臨床登録システムが、学会というよりもNIH、FDA、CMS等が主体となるような形で構築され、実際に2006年から登録が開始されています。
 我が国における植込型補助人工心臓の開発も、その中で一緒にやっていく、あるいは対抗してやっていくには、同じようなシステムが必要と考えられるようになり、Harmonization By Doing(HBD)の絡みもあり、また、我が国でも開発を進めていたものに関してどう進めるか、そして治験に関しても従来のように60例の臨床例が必要となると、とてもできない。そうかといって、数例で認めていいのかという問題を解決するためには、このような登録システムがあれば、少数例で認可し、その後新たな登録システムで検討を続けることが可能であることが理解され、J-MACSをつくる機運ができて、実際に構築がおこなわれたことで、日本での植込型補助人工心臓の認可が早まりました。また、J-MACSがあったお陰で、1社のデバイスの不具合に関しても比較的早い段階で検出し適切な対応をとることができています。そういう意味では、わが国で先行する形でできてきていると思います。これは、今日あとで説明があると思うのですが、そのような形で先行してきているところもあるが、ほかの機器も同じようなコンセプトで登録システムを構築することが必要だろうということは、我々はやっていて感じるところですので、時を得た検討会になるのではないかと思っております。
○澤座長 これまで、再生医療製品のほうの患者登録システムでも同じ議論がありましたので、やはり今回埋植型の医療機器と合同で行うのは、非常に意義が深いのかなと思っております。その他、御意見はいかがでしょうか。再生医療の先生方、医療機器と一緒に行うことに関して、よろしいですか。ほかに御意見がないようでしたら、次の議題に移ります。
 議題2、患者登録システム・市販後調査の事例についてです。これまでの再生医療製品「ジェイス」に係る使用成績調査、既存の患者登録システムの現状等について報告いただき、今後の議論の参考にしていただきたいと思います。まず最初に、再生医療製品ジェイスに係る使用成績調査について、本日参考人としてお呼びしておりますジャパン・ティッシュ・エンジニアリング株式会社の杉本様、角谷様から説明をお願いいたします。
○杉本参考人 本日は、このような説明の機会をいただき、ありがとうございます。弊社は、自家培養表皮ジェイスを、平成19年10月28日に製造承認をいただき、これまで約6年間、全例使用成績調査を実施してまいりました。本日は、この使用成績調査の実際ということで、弊社の行っていることを包み隠さず説明したいと思いますので、よろしくお願いいたします。
 本日の内容ですが、まず自家培養表皮ジェイスの概要について説明をいたします。そのあと、使用成績調査の全例調査の実際について説明をし、その中で抱えている課題、最後に提案をさせていただければと思います。まず、自家培養表皮ジェイスですが、先生方は御存じだとは思いますが、患者様の皮膚を頂き、それを細胞レベルにばらばらにし、これを培養してシート状にして、また患者様に戻すというものです。
 こちらが、自家培養表皮ジェイスの製造販売までの経緯です。弊社は、ジェイスの開発段階では、今はなくなったのですが、確認申請制度がありまして、この確認申請においてPMDAで審査をいただき、品質、安全性が確認されたものでなければ治験に入れなかったということです。弊社が設立されたのは、1999年なのですが、そこから導入の研究を行い、確認申請を行ったのが2000年の12月です。その後、確認申請の審査をいただき治験に入ったのが、2002年の10月です。治験が終了し、承認申請を行ったのが、2004年の10月です。審査をいただき、製造承認をいただいたのが、2007年10月です。その後、保険の適用申請を行い、保険の適用をいただいたのが2009年1月です。この段階から、本格的に製造販売を開始しております。製造販売後調査に関しては、承認取得をいただいてから開始しているところです。
 ジェイスの使用目的、効能又は効果について、簡単に説明いたします。こちらに示してあるとおりなのですが、重症熱傷の患者様です。深達性2度熱傷及び3度熱傷の合計面積が、体表面積の30%以上の熱傷です。3度熱傷ですので、真皮がない所には真皮を再構築して、その上にジェイスを適用するとなっております。
 こちらが、承認時にいただいた承認条件です。こちらの3番に基づいて、全例を対象とした使用成績調査を実施しました。このほかに、製造販売後の臨床試験も別途実施しております。それから、保険の関係ですが、一番最初に保険の適用をいただいたのは、この条件でした。こちらで1つ注目いただきたいのは、一連につき20枚を上限ということで、20枚の使用上限となっております。これは、1人の患者様について20枚までしか保険が適用されないということでしたので、それ以上必要な患者様については、弊社から無償で提供させていただいた状況です。
 もう1つは、広範囲熱傷集中治療管理室の施設基準の届出を行っている医療機関においてのみ使用できるということでした。こちらの条件が非常に厳しく、適用当初は全国で23施設しかありませんでした。その後、いろいろ御検討、御配慮をいただき、その辺りの施設基準を少し緩和をしていただきました。それから、枚数制限に関しても40枚ということで緩和をしていただきました。
 こちらが、ジェイスの受注から移植までの流れになります。最初に、医療機関からジェイス使用の御連絡をいただきます。ここで、医療機関と弊社で打ち合わせをしまして、日程などを調整し、ジェイスのお申し込みをいただきます。その後、すぐに組織運搬セットを送付します。そして、患者様の皮膚組織を採取いただいて、弊社にお送りいただき、その後弊社で製造し、最終的に患者様に戻す、弊社から医療機関に送らせていただきます。
 では、ここから使用成績調査の内容についての実際を説明いたします。ジェイスの使用成績調査ですが、調査対象としては、再審査期間に登録した全症例です。先ほど示しました承認時、2007年の10月28日以降、ジェイスを使っていただいた患者様については、全ての症例が使用成績調査の対象です。もう1つ、調査方式は中央登録方式でやっております。これは、臨床試験などでも普通に用いられている方法なのですが、最初に医療機関から患者様を企業の管理部門あるいは登録センターに登録いただいて、その全例について調査を行う方法です。あとで、結果によって選別し、何か偏りのようなものがないようにということに配慮した方法だと思っております。それから、調査期間は再審査期間の7年間ということで、2014年10月28日までが調査期間です。調査期間の概念図なのですが、実際には2007年10月28日に承認をいただきましたので、再審査期間は2014年10月28日までですが、この期間が登録期間となります。ですので、この期間に登録された患者様は、全て調査を続行し、最終的に登録された患者様が全て終了するまでが調査の期間となります。ですので、実際には2016年3月までの契約で、今、医療機関には動いていただいております。
 現在までの進捗ですが、弊社から5年次の報告を毎年PMDAに提出しているのですが、2012年10月28日までの調査カード回収完了分ということで、報告症例が192例、移植が115例、移植前中止が77例ということで、これが全体の報告症例の約4割です。移植前中止の主な理由ですが、一番多いのが死亡ということで、移植前死亡された患者が60例ということで、全体の約3割が死亡されている状況です。
 こちらが、使用成績調査と、ジェイスの使用の連絡から移植までの主な流れです。これから、この流れに従って、順次説明をいたします。
 まず、ジェイス使用の連絡を医療機関からいただきます。このようなフォームを使います。これは、実際には連絡は電話でいただくのですが、弊社でこのようなフォームを使い、情報をいただいています。この中で、医療機関の情報、それから患者の情報としていただくのは、受傷日時、年齢、性別、熱傷面積や重症度などがあります。このような形で記入をします。この段階で、組織コードを発行します。メモの後半ですが、移植枚数、パターン算出表という所で、採皮の日時、納品場所。移植枚数、パターンというのは、1回目に何枚、2回目に何枚、3回目に何枚というような大体の計画をいただきます。
 次に、組織採取の段階になります。組織採取のときに、実際に注文書を弊社で頂くことになっております。フォームはこのような形なのですが、その中に移植予定、確認事項などをチェックいただき、これを書面で頂きます。これは記入例なのですが、このような形になります。移植日、何日に何枚というような形で頂きます。
 次は、注文書の下半分なのですが、そこに採取記録があります。採取日や時間、採取面積、これはあらかじめ弊社からどのぐらい採取してくださいとお願いをするのですが、それに対して実際どのぐらい取られたか。それから、採取組織の状態と術前検査の結果をいただいてまいります。このような形ですね。このときに、症例番号がありまして、これは先ほどの組織コードは組織固有の番号で、こちらの症例番号は患者様固有の番号です。ですので、2回目に採取をしても、この番号は変わらないということです。
 実際に、組織採取から弊社は使用成績調査が始まりますので、ここで調査カードを発行いたします。調査カードの内容ですが、全体のボリュームとしては38ページということで、恐らく普通の医薬品などの使用成績調査に比べるとかなりボリュームがあるほうではないかと思います。項目数としても、約1,000項目あります。調査の項目は、大体このぐらいたくさんあるというのを御覧いただければと思うのですが、組織採取日から最終的には移植1年後まで取るという形になっております。
 主な項目として、こういったものがあるということで説明いたします。「調査対象となる患者様の状態」ということで、患者様背景と、組織採取に関する情報で、組織採取日、面積、採取部位。それから真皮再構築は、先ほど申し上げましたように、3度熱傷ですと真皮再構築を行わなくてはなりません。その真皮再構築の状態を記入いただきます。これは、実際の調査カードの中ですが、こちらはお配りした資料には入っていないと思うのですが、このように各部位別に全て調査をしております。真皮再構築、その部位についてどのような方法を取ったかを全部調査しております。それから、移植時に関しては、移植日、移植部位、移植面積、移植枚数。それから、アブレーションというのは壊死組織などを掻爬する方法、それから手術中の出血量等です。これが実際の調査カードの中身なのですが、移植に関しても同じように部位別に全部移植面積や枚数を記録し、このあとずっと部位別に全部フォローしていきます。ということで、かなり情報量が多くなります。
 そのあと、移植後、大体1週から4週、8週ぐらいまでは、上皮化前の状態ということで、表皮形成率、感染の有無、浸出液の有無、表皮形成不全部分の処置等。それから、上皮化後の情報としては、主に安全性に関わる情報を収集しております。全体的には、第三者的に評価をいただけるように、写真も弊社では頂いております。それから、安全性評価は全体的に有害事象と併せてやっているのですが、再生医療製品に関しては、腫瘍性病変の発現、アレルギー症状の発現、それから原因不明の未知の感染症が重要な3つの項目といわれておりますので、これに関しては重点項目として調査をしております。
 こちらが有害事象のページなのですが、こういったような形になっています。まず、最初に、採取部位の層の状態を調査しなさいということでいただいておりますので、これはあらかじめ入っている状態です。この後ろに、有害事象が出た場合は、有害事象を書きます。
 総合評価としては、有効性・安全性の評価、それから生存の有無、救命に関する寄与の考察もいただいております。このように調査票を担当の先生に書いていただき、その後これを弊社で回収したあとで、今度は調査票の内容確認を行っております。これは調査票のチェックリストなのですが、約641項目について調査票の中に相互に矛盾がないかどうか、あるいは未記入の部分がないかを全部調査します。
 チェックリストの主な内容ですが、日付の整合性の確認という意味では、受傷日や組織採取日、真皮再構築などを見まして、実際に組織採取記録の日付と同一であるかといった整合性の確認、それから組織採取日がきちんと条件に合っているか、登録日以降で移植日より前であるといったようなことを確認します。
 それから、処置に関する確認としては、真皮再構築に関して具体例でいいますと、このようなところです。図で、真皮再構築部位と調査カードの移植部位の図の整合性があるかどうかを調査いたします。評価に関しても、このようなところで確認をしています。
 有害事象は重要なところですが、これは感染の有無の所を具体例として挙げているのですが、「感染あり」の場合、有害事象のページに該当する事象の記入があるかというところで、「感染あり」にチェックをされた場合は、有害事象にきちんと書いてあるかということです。全体としては、空欄が記入漏れなのか、実際にデータがないのかの確認です。
 こういったような内容を、今度はクエリー、疑義確認票という用紙に書き、これをもって担当者が医療機関に確認をします。最終的に、この確認が終わり、疑義がなくなった段階で、調査カードの内容がこれ以上変更がありませんという固定宣言書を出します。それと同時に、データマネジメントの連絡書で、調査カードを全てそのまま入力すればいい状態にはなっておらず、先生方に確認いたしますので、いちいち全部書いていただくことができなかった部分があり、そういった所に関してはデータマネジメント連絡書で確認した内容をこちらに書いて、DM部門に渡します。
 こちらは、データベース入力の模式図ですが、頂いてきた調査カードから、まず2人の異なる人間がダブルエントリーをします。これを比較プログラムに掛けまして、一致するまで入力の修正をします。一致しましたら、今度は入力データとしてこれを帳票出力し、再度、調査票のコピーと読み合わせをし、確認いたします。これが終わりましたら、SASという統計解析ソフトに移行します。こちらは、MSアクセスで入力をして、SASに移行します。その場合は、SASの変換プログラムを介し、入力データとSASに集積をします。SASの中で論理チェックをして結果を出すというのは、症例検討会等で症例逸脱があった場合、調査計画からの逸脱などがあった場合は、これを出します。
 次は、統計解析のシステムです。SASの内容から、今度は解析用データセットをプログラムを介して作り、これを実際に統計解析します。この場合もプログラムを、メインのプログラマーとサブのプログラマーがいまして、この2人で別々にプログラムしまして、一致したもの、一致した場合それを実際の結果として出すと。一致しなければ、これを何回もやり直します。
 このようにして、弊社で使用成績調査をやってきたのですが、これまでに投入してきた経営資源で、使用成績調査に関わった人員としては、管理部門9人、実施部門19人です。管理部門というのは、先ほどの実際に調査カードの内容チェックを行ったり、あるいはデータマネジメントや統計解析を実際に行うものです。それから実施部門は、実際に医療機関に行って調査カードを先生方に確認したり、説明をしたりするものです。これが併せて28人おります。弊社の従業員数が164人ですので、大体全従業員数の17%の人員がここに関わっています。
 費用ですが、調査に要した費用が6年間で約3.6億円、医療機関に納めた費用が860万円で、併せて約3.7億円です。これが、6年間のジェイスの総売上げ11.6億円の約32%ということで、売上げの約3割をこちらに投入しております。
 次に社内体制ですが、上半分は一般的な製造販売業の社内体制です。総括製造販売責任者がおりまして、品質保持部門、安全管理部門があり、その下が使用成績調査に関する体制です。先ほど申し上げました管理部門の人間がおりまして、実施部門の人間がいます。それから、社内評価委員会は、年次報告を毎年出しますが、その内容についてきちんと第三者的に評価する委員会です。
 こちらが調査部門の詳細なのですが、実際の人数を人の形で表してあります。調査等管理責任者がおりまして、QC部門があります。QC部門は、先ほど申し上げました調査票のチェックをするものです。それから、データマネジメントと統計解析の者がおります。弊社では、実施部門は営業と臨床開発部門がやっております。
 課題は、1つは調査方法の手順、設定についてです。先ほどまで申し上げましたように、調査項目が非常に多いのですね。ただ、治験の場合は多分同じように多いのだと思いますが、それとは異なってCRC、いわゆる治験コーディネーターの支援が受けられないとなっております。それから、医療機関への調査依頼契約手続、場合によってはIRB審査も必要ということで、この辺りの担当医師の負担が大きいことや、CRCの方の支援を受けられたとしても、かなり高額になるということで、全例調査にあたってはかなり負担が大きくなってしまうので、なかなか難しいかなというところです。それから、契約手続、IRB審査が必要な場合は、特に時間がかかります。
 自家細胞を用いる再生医療製品ですので、調査登録日(調査開始日)が当該製品を製造するための組織採取日となってまいります。それに伴い、何が起こってくるかと申しますと、有害事象に関しても組織採取日から全部収集する形になります。ジェイス移植前に死亡した場合でも、ジェイスを移植しなかった症例に関しても、データ収集は必要となります。実際、5年次では、約40%がジェイスを移植していない症例です。
 調査の信頼性の確保については、私どもは再審査に提出させていただく資料ですので、信頼性の確保には気を使っておりまして、信頼性を確保するために調査内容の詳細なチェックや担当医師への疑義確認を経て調査票の信頼性を確保した上でなければ、データベース入力をしないという方針を取っております。ということで、調査票の内容が詳細にわたることから、調査票の配布から回収までかなり手間がかかり、何回か医療機関と往復しなければなりません。それから、私どもはこの業務に多くの経営資源を費やす必要がありました。担当医師にとっても、対応しなければいけないので負担が大きいということです。
 それから、現行の薬事制度との整合性について書かせていただきました。実施計画は、最初に確定しなくてはいけません。もう1つは、全例調査のため、網羅的に安全性情報が収集されてきます。これは、正しいことでもあるのですが、最初に確定しなくてはいけないところでは、調査が進んで得られた情報から、調査項目を変更、あるいは追加、削除することは適切と判断されても、PMDAに相談をさせていただき了承されなければ、変更届けは出せない状態になっています。あとは、担当医師が有害事象と考えていない事象まで、こちらの全例調査で調査票の記載事項となるということで、具体例としては原疾患である重傷熱傷の合併症なども、全部有害事象として拾ってくると。それから、有効性の限界に起因する事象も、不具合として当局報告の対象となる可能性があるということで、ジェイスの場合では、やむなく生ずる剥離・脱落も、全部不具合報告の対象になります。
 このような問題解決のためにどうしたらいいのだろうかと考えたのですが、最初のほうの詳細なチェックはなかなか難しいかなと思います。最初に確定しなければいけないといったようなところで、こういう方法を取れば、より効率的に意義のあるデータが集められるのではないかということで書かせていただきました。
 まず、この提案の1つのポイントは、安全性情報に関しては、当然きちんと集めます。もう1つは、有効性情報に関しては、2段階で収集するということで、例えば最初の1年間程度は探索的に期間を設けて、その間に一般的情報を検証的に収集するということで、先ほど申したような調査のチェックのようなデータクリーニングを一切行わずに、ありとあらゆる情報を集めてきて、それを基に探索期間に集積された情報から、より適切な対象・使用方法・評価方法を絞り込んで、調査実施計画を立案し、今後新法で制定されます期限付き承認への期限までに使用成績調査を行い、有効性を収集するというような方法です。
 「根拠」と書かせていただきましたが、あらかじめ定められた方法で情報収集内容や方法が適切でない場合も多く想定できるだろうと。そのような場合でも、適正使用の探索、想定外の有効性の存在、想定できなかった課題、医師のラーニングカーブ等探索的評価期間が必要だと思います。これを経て、製品別に提供者が収集情報の決定を行うことが合理的だと考えます。
 もう1つは、弊社で行っているようなデータクリーニングはかなり手間が掛かりますので、こういったようなことを公的機関で行うことはなかなか難しいかなということで、このようなことを考えさせていただいた次第です。以上です。ありがとうございました。
○澤座長 包み隠さずお話いただきまして、本当にありがとうございました。皆様から御質問、御意見をお願いいたします。最初に、再生医療検討会側の先生方から、御感想も含めて御意見を頂けますか。
○朝比奈構成員 確認も含めてなのですが、使用成績調査に関わる人数が20人弱でした。それと、費用が6年間で3.7億円ということです。皆さん、この調査だけにプロパーに専念されている方の費用なのですか。
○杉本参考人 そちらは、営業部門というところでは営業活動を行っている時間もあります。その辺の切り分けがなかなか難しいところではあります。
○大和構成員 一番最後の御提案のところは大変興味深いと思います。ざっくりしたところで、この御提案でいくと、どれくらいコストが下げられるかという見積りはございますか。
○杉本参考人 コスト削減効果というのは、現状ではよく分からないのですが、ただ、効率的なデータ収集にはかなり資するかとは考えます。今まで網羅的に結構集めていたものを、必要な情報に絞って集められますので、その辺りはいいかなと思います。
○高戸構成員 
この項目を見て、余りにも多岐にわたるので、全ての領域の再生医療製品に適用するのは難しいという印象を正直受けました。一方、埋入型とはいいますが、ジェイスは広い意味では埋入ですが、表に見える製品だけに、かえって評価項目が非常に増えるという印象を受けます。
 関節軟骨などは、手術する前、手術中という所見は非常に大事ですが、再生医療製品の幾つかは埋入されてしまうと、今度はなかなか細かい評価は非常にしにくいという状況も多々あると思います。個々の、再生医療製品において差はあるでしょうが、多岐にわたるのも大事でしょうが、個々の臓器において適切な範囲でやるのが非常に重要という印象を受けました。
○杉本参考人 ありがとうございます。
○澤座長 確認ですが、この項目とか調査は会社の方で作るのですか。それとも、PMDAと相談しながらですか。
○杉本参考人 原案は弊社で作り、その後審査の段階でPMDAの審査も受けております。その後、実際に開始するときも相談しながら開始するということです。
○朝比奈構成員 これは、恐らくPMDAからの注文なのですけれども、7年間調査するということです。御社の考え方では、その後PMDAの審査が終わって、これは良かろうということになったら、その後の調査というのは、これだけの経営資源は投入しないと思うのですけれども、それを同じことをやれと言ったら、恐らく無理だと思うのです。それは続けていくのでしょうか。多分この会の意図と、会社がどのぐらい負担するのだろうというところが一番フォーカスになるのではないかと思うのです。
○杉本参考人 その辺りは、まだ実際にどうしようと決まっているわけではないのですけれども、企業姿勢としては必要かと思っております。
○澤座長 参考人の方も御意見がありましたらどうぞ。
○鮫島参考人 質問になってしまうのですが、先生が今おっしゃられたことと関連するのですが、もし登録システムがあった場合に、御社がやられてきたものと、どの部分がはっきり削減されるのかというお考えはありますか。
○杉本参考人 これはシステムにもよると思うのです。詳細なチェックが要らないようなシステムがもしできれば、かなりの削減にはなると思います。ただ、私どもが最後に提案させていただいたようなものは、今の段階ではなかなか難しいという仮定に立っております。そうすると、費用の削減とか、コスト削減は余りないです。
○鮫島参考人 以前の議論で、先生方の負担があるとなかなか動かないですよね、というお話があったと思うのです。先生方の負担、医療機関側の負担については共通のシステム、例えば御社がこれまでやられたのと何か変化があるかどうかというのはいかがでしょうか。
○杉本参考人 それに関しては、先生方の御負担というところでは、調査項目が合理的に設定されれば、最初の探索期間を経て、調査項目が合理的に設定されれば、その調査のボリュームとしては減る可能性があるというところで、先生方の御負担も少なくなるのではないかと思います。
○高橋構成員 質問なのですが、有害事象がこの製品に起因するものかどうかという判断はされているのでしょうか。ヒト幹では、モニタリング委員会がそれをすることになっていますけれども、その判断は医師がされたのでしょうか。
○杉本参考人 有害事象との因果関係に関しては、まず先生の御判断というのもあります。それから、弊社での判断もあります。それを両者併せ持って、最終的な判断にしています。先生方が、因果関係がないと言われても、弊社で、あるとする場合もあります。
○澤座長 これは、2例で承認されています。そのときにこの調査は必ずやるようにという話でスタートしているのでしょう。7年ということですけれども、何例やるかというのと、その比率からいうと市販後のほうが圧倒的に大変のように思うのです。その掛けた努力の比率的なイメージを教えてください。
○杉本参考人 その比率的というのは、承認前の治験ということですか。
○澤座長 そういうことです。
○杉本参考人 治験の場合は2例でしたので、比率的というのはどちらとも言えないのですが、圧倒的に市販後のほうが。
○澤座長 それは、クオリティが治験とかなり近いレベルでこれはスタートしているわけですね。
○杉本参考人 そうです。当初はそういう形で治験の例数が少なかったので、別に製造販売後臨床試験も行っています。同じようなレベルで使用成績調査もと考えていたところもあります。ただ、それだと余りにも現実的でないというところで、使用成績調査に関してはレベルを落としたというところはあります。
○西田構成員 質問です。53ページの説明に、「有効性の限界に起因する事象も、不具合として当局報告の対象になる可能性がある」というのは、もう少し具体的であれば、「治療の有効性の限界であっても、有害事象として報告する」ということだと思うのです。有害事象と有効性と安全性は表裏一体であるという考え方から、こういった考え方にならざるを得ない部分もあるのかと思うのです。不具合として当局の報告となった場合に、何か問題点というのか、この後で普通は評価しますよね。治験であれば、それが治療に起因した有害事象であるかどうかとか評価しますけれども、今度は評価しないことになるのですよね。
○杉本参考人 現状はまだ再審査期間ですので、PMDAから指示を頂き、網羅的にその辺りを取るということで、先ほどお話がありましたような剥離に関しても、実際に表皮形成率が80%だったら、20%剥離しているのかという話もあります。そこまで厳密には取っていません。
 有効性の裏返しというところで、100%を切った場合は有害事象というところで剥離になってしまいます。原因不明の剥離とか、あるいは感染による剥離とか、その原因はいろいろあるのですが、そういう形で一応収集しています。これを、実際には再審査の段階で、どういう形で御審査いただくのかというところは、これからまた相談していきます。
○高本参考人 このデータベースは、ほぼ完璧に近いぐらいに良くできています。その分だけお金がかかっているわけです。入力も、メインとサブがあります。それから論理チェックをされています。メインの統計解析と、サブの統計解析をやっておられます。もし、これをメインだけでやった場合に、ここで出てきたデータとどのぐらいのディスクレパンシーがあるか。あるいは、このメインの解析とサブの解析でどのぐらいのディスクレパンシーがあったのか、それを教えてください。
○杉本参考人 そちらに関して私は余り専門でないのでよくは存じないのですが、通常製薬会社ではこういう形を取られていると聞いていて、それに従ってやっているところです。
○宮田参考人 非常にコストを掛け、手間を掛け、そしてすごく経緯を感じて大変勉強になりました。高本先生がお話したことと関連するのですが、いわゆるコストをどこに掛けていくかということで、幾つかオーバークオリティだったというお話もありました。例えば、ダブル入力とか、ダブル解析の部分に追跡可能性を保障して、そこはシンプルにして、一方で中立性を担保するという意味では、統計プログラムの妥当性を外部の専門家とか、あるいは外部のPMDAなどが入って、御社のデータを検証する、というようなことを確保することにより、総合的に品質を維持する方法も1つあり得るのかと思うのです。今回のこのデータに関しては、基本的には御社の中から一連のノウハウ自体は出ていないという理解でよろしいのですか。
○杉本参考人 そうです。この作業に関しては、全て社内で行っております。
○永井構成員 これはどのようなシステムを使っているのかということと、そのシステムの維持にどのぐらいの経費がかかっていますでしょうか。先ほどは人件費の話がありましたが、セキュリティやどのぐらいコストをかけているかを教えてください。
○杉本参考人 システムというのは、データベースのほうですか。
○永井構成員 データベースのほうです。
○杉本参考人 こちらはMS-ACCESSとSASです。こちらのほうのシステムです。これを通常のWindows上で動かしています。
○永井構成員 パソコンレベルですか。
○杉本参考人 そうです、パソコンレベルです。
○永井構成員 セキュリティは大丈夫なのですか。
○杉本参考人 社内できちんとセキュリティを掛けております。当然いわゆるセキュリティソフトも入っています。それから、ITのセキュリティに関しては、社内に専門家がおりますので、そういう人間が管理しています。それに関しても、定期的に監査等も入っております。
○永井構成員 誰がアクセスしたか、ログも残るようになっていますか。
○杉本参考人 残るようになっています。
○永井構成員 これから造腫瘍性のことが再生医療では問題になると思うのです。6年間で腫瘍化した症例はなかったのですか。
○杉本参考人 ありません。
○秋山構成員 現在、移植した症例が115例ということですので、数としてはそれほど多くない症例数です。このシステムを続けて、万が一症例数が年間何百とか多くなってきたときに、データのクオリティも下がってきますから、かなりのマンパワーが必要になると思うのです。このシステムを維持して、この登録制度を維持していくために、大体年間何症例ぐらいは可能だと思っておられますか。
○杉本参考人 そこまで考えたことはないのですが、このあと弊社の方では、自家培養表皮に関しては重症熱傷対象ということで、御指摘のように余り症例数がないということはあります。今現在、弊社で昨年承認を頂きました自家培養軟骨、ジャックのほうですけれども、こちらはもう少し症例数が増えてくるだろうと予想しています。それについては、もう少し調査カードを簡略化し、実際にジェイスとは対象疾患の違いというところもありますので、ジェイスほどは手間がかからない設計にはしております。
○澤座長 次に進みたいので手短かにお願いいたします。
○中谷構成員 問題点で、実際に植えられていない症例にすごい手間が掛かるような形が書かれていたのですが、そこは最初から想定されていなかったのですか。例えば調査を打ち切るとか、そういう感じではできなかったのですか。特に死亡例についてはどうなのでしょうか。
○杉本参考人 調査を打ち切るというか、こちらは死亡した患者様に関しては、死亡した時点でその患者様は打切りです。それをデータベースに含めることに関しては、PMDAからの指導もあり、採取した患者様に関しては全情報を集めて解析するという形で、最終的な監修には対応しております。
○澤座長 議論というか、御質問も尽くされたかと思います。ジャパン・ティッシュ・エンジニアリングの皆様にはありがとうございました。御苦労様でした。
 次にJ-MACSの補助人工心臓の市販後レジストリについて、本検討会にオブザーバー参加しております、PMDAの安全第一部の石井医療機器安全課長から御説明をお願いいたします。
○石井PMDA安全第一部課長 PMDAの石井です。それでは、日本の補助人工心臓市販後レジストリ(J-MACS)についてご説明させていただきます。このJ-MACSは、PMDAの中期計画に基づいて現在実施しております。お手元の資料と、スライドの画面は全く同じものです。なお、本日は時間の関係から、J-MACS全体のうち、これまで当検討会の中で、構成員の先生方から発言のあった点を中心にまとめさせていただいております。
 このレジストリの目的は、登録された情報を解析することで、植込型補助人工心臓の性能を把握し、生存期間やQOLに影響を与える因子の探索を行い、今後の重症心不全の患者さんへの臨床評価や、臨床管理に役立てていくことが1つの目的です。また、日本では心移植までの待機期間が約3年と非常に長いことからも、植込型補助人工心臓の長期稼働におけるリスクとベネフィットを明らかにして、さらに信頼性の高い次世代の人工心臓の開発に、この市販後のデータを役立てていこうというのがもう1つの目的です。
 J-MACSは、産官学の連携による全植込み施設参加型の多施設共同市販後調査です。計画自体は2008年からPMDAでスタートし、データの登録開始は2010年6月からです。約2年間このレジストリの組織体制づくりや、調査項目の検討、システム開発などに時間を要したという現状です。
 J-MACSのレジストリの対象機種は、現在、植込型補助人工心臓3機種及び体外式の補助人工心臓1機種ですが、新規に該当する補助人工心臓が承認された場合、順次J-MACSの対象品目となる予定です。
 データ登録率を高める方策として、関係学会の協力により、植込型補助人工心臓の植込み実施施設基準の中に、J-MACSへの参加同意、データ登録を義務付けていただいております。このようにJ-MACSへのデータ登録の強制力と申しますか、インセンティブと申しますか、保険適用と連動した施設基準の1つの要件としていただいておりますので、現在100%の登録率です。6月現在、関係学会から施設認定を受けている医療機関は全国で27施設という状況です。
 J-MACSの体制を簡単に申しますと、左下にある施設認定を受けた医療機関から、Web上で患者データをデータセンターに登録していただくシステムになっています。データセンターについては後ほどお話しますが、PMDAから外部に委託しております。データセンターに登録されたデータのうち、自社製品に係るデータについて、企業は確認入手することができるような仕組みとなっております。各社そのデータを使用して薬事法に基づく不具合報告や、再審査に利用していくという形を取っております。
 先ほどのジェイスの薬事法に基づく市販後調査が、企業主体で行われているのに対し、J-MACSでは登録されたデータを、各企業が利用可能な状態にすることにより、医療機関側に対して、J-MACSへのデータ登録と企業の使用成績調査への協力という二重の負担を掛けることのないような工夫をさせていただいております。
 J-MACSの組織としましては、一番上に運営委員会を設置しております。人工心臓に関連する学会の先生方をはじめ、業界の代表者などで構成されております。その下に実際の業務管理や実施計画の検討など、実務を行っていただく委員会として業務委員会を設置しております。これら運営委員会と業務委員会に関しては、関係企業との利益相反ルールを設けさせていただいております。
 その下の運営事務局が現在PMDAです。その横に外部に委託しているデータセンターがあります。データセンターでは医療機関から登録されたデータの質を担保するために、施設訪問監査を定期的に行っております。施設に実際に出向き、登録がされていない症例や、重大なイベントの登録漏れがないか、あるいは登録されたデータが、実際のカルテなどと一致しているか、そういう観点からチェックし、データの質の確保を行っております。
 このJ-MACSの組織を、外部から第三者的に監視していく組織として、観察研究モニタリング委員会を設置しております。観察研究モニタリング委員会の役目としては、実際の運営状況、あるいはこの後にお話する患者さんへの同意といったものなど、倫理面等を監視していく業務を行っております。また、発生した有害事象の評価、例えば死亡等と、人工心臓との因果関係について、第三者的な立場で評価を行う有害事象判定委員会も設置しております。
 J-MACSのプロトコールについて簡単に御説明させていただきます。植込み手術が決定されると、患者さんあるいは代諾者から、この調査研究への参加、データ登録に関する同意を得る形を取っております。その後、植込み前の状況や、植込み手術時のデータ登録後は、1週間後、1か月後、3か月後、6か月後、それ以降は6か月ごとにデータを登録していただくプロトコールになっております。その他、これらの定期調査時期以外に、死亡などの有害事象が発生した場合には、随時その情報を登録していただく形になっております。
 調査の中止基準ですが、術前の患者登録後に植込みが実際に行われなかった場合、あるいは患者本人や代諾者から、同意撤回の申出があった場合です。なお、現在までに同意の撤回は1例もございません。調査の完了時期としては、登録患者の死亡時点、もう1つは心臓移植への到達や人工心臓の不具合等により人工心臓が抜去されるまでの時点が調査期間となります。なお、心移植に到達された患者さんに関しては、心移植後1年後の経過データをもう一度登録していただく形になっております。
 調査項目については、患者さんのプロファイルをはじめ、既往歴、合併症、NYHAの分類から血行動態、装置のパラメータ、併用している薬物治療の内容や臨床検査値、QOL、Trail Making Testや6分間歩行と、人工心臓という特殊性から、かなり調査項目が多岐にわたっております。
 このスライドは、先ほど御説明したデータ収集のタイミングについて並べたものですので、詳細な説明は割愛させていただきます。人工心臓の特性上、製品の不具合をはじめ、様々なイベントが多数発生します。特に1年目までの調査のタイミングは多くなっております。また、各種イベントの下に、「転院」という項目があります。製品の特性上、植込み患者さんが来院されなくなるということはありませんが、植込み手術後、患者さんが転院される場合があります。他の認定施設に転院された場合には、患者さんのIDを引き継いでいただいて、その施設で引き続き患者さんをフォローアップして、データを登録していただく形になっております。
 次に、データ送信などのシステム環境についてです。先ほど申しましたとおり、J-MACSはWeb上でのデータ登録システムを採用しておりますので、施設側にはネット環境の整った院内のパソコンのIPアドレスを登録していただくことになっております。1台ではなく、医局や病棟などいろいろな場所で、院内であればIPアドレスを複数登録いただくことが可能です。データセンターに保存されるデータは、遠隔バックアップされる仕組みとなっております。こちらが、外に委託しているデータセンターの体制です。左からJ-MACS用のヘルプデスク、データマネジメント、施設訪問監査、システムの管理・運営といった、約10名前後のスタッフを擁しておりますが、J-MACS専属というわけではなく、複数のプロジェクトに関与しているとのことです。
 J-MACSへのデータ登録までの流れとして、医療機関側の話を少しさせていただきます。関係学会から、施設認定後、その施設からデータセンターの方へJ-MACSの担当責任者として、施設代表者1名、施設管理者1名、計2名を登録していただく形を取っております。その後、その方々と調整の上、J-MACSに関する概要説明会を施設の方で開催させていただいております。施設での説明会には、実際にデータ入力などの実務を担当するスタッフとして想定される、いわゆる人工心臓に関連した心臓外科チーム、あるいは循環器内科チームの医師や看護師、臨床工学技士の方々などにお集まりいただき、J-MACS全体の説明会をさせていただいております。その後、施設側では施設内の倫理審査委員会等で審査と承認をいただいた後、データ入力に関わる利用者のアカウントを申請していただき、データセンターからIDとパスワードが発行される形となっております。その後、実際のデータ入力に関するシステム説明会を再度その施設で開催した後、調査をスタートする流れになっております。
 これが、IDとパスワードにより、J-MACSのシステムに入ったときのWeb上の画面です。左側にコンテンツが並んでおり、一番上が新規登録、その下が患者情報の編集で、追加情報などのデータを入れていく画面に展開されます。少し下には、実施計画書や、データ入力に関するFAQなどがあり、随時この画面上からダウンロードして閲覧することが可能な仕組みになっております。右下のほうに、定期調査時期が来ている患者さんの一覧が確認できます。フォローアップが長期に及びますので、植込み患者さんが複数おられる施設では、その定期調査時のタイミングを管理するのは大変な作業になりますので、このような工夫をさせていただいて、調査時期が近付いている植込み患者さんの情報が表示されるような仕組みになっております。
 これは患者検索の画面です。詳細は割愛させていただきますが、この入力システムでは、検査値や死亡所見などの記述情報を除き、可能な限りプルダウンメニューなどから項目を選択する方法を取り入れております。その他、J-MACSのシステム上の機能としては、先ほども申しました、メイン画面上で患者さんごとに調査時期を示す以外に、施設から登録されたアドレス宛に、メールで調査時期が来た患者さんのIDをお知らせする機能もあります。
 その他、登録データの簡易集計や、データの出力機能を有しておりますので、全施設中における自施設の状況なども随時確認できる機能がございます。また、データ登録時に、検査数値の誤入力や、植込み日と退院日がひっくり返って入力されてしまうような、考えられない数値や日時の誤入力に関しては、全てロジカルチェックの機能ではじかれるようになっております。
 有害事象が発生した場合は、随時データセンターに登録していただくプロトコールになっておりますが、その重篤性から死亡、装置の不具合、主要な感染、神経機能障害(脳卒中)、大量出血の5つの事象については、発生後15日もしくは30日以内にデータセンターに登録していただくプロトコールになっております。その他の事象については、定期調査時に登録していただきます。ここに示した(1)~(18)までのイベントについては、人工心臓を植え込む上で避けられないイベントとして、あらかじめデータ入力システム上にリストアップされております。有害事象が発生した場合には、その項目を選択していただいて、データセンターに送信していただくシステムになっております。
 なお、各施設で有害事象の捉え方が異なることがあります。そのため、ある医療機関からは多く報告されるけれども、他の医療機関からはほとんど報告がされないというような、データの質に影響を与えるようなことが生じないように、プロトコールの中で、各有害事象の定義を定めております。それを確認できるように、先ほど13ページのスライドで御説明した、システム画面上の左側の3番目の、有害事象一覧をクリックすると、各有害事象の定義が常に確認できるような仕組みとなっています。
 データセンターに登録された有害事象に関しては、その製品に該当する企業にメールで連絡される仕組みとなっております。企業は、その情報入手後、適宜その医療機関に詳細調査を行って、薬事法に基づく不具合報告などをPMDAの方に行い、その後、有害事象判定委員会で評価される仕組みになっております。
 情報のフィードバックですが、このような市販後のレジストリに協力していただく医療機関側へのメリットの1つは、情報のフィードバックだと考えております。現在、PMDAのホームページ上に、J-MACSのサイトを立ち上げており、データの公開を開始しています。その幾つかを紹介いたします。まずは毎月ごとの登録患者数、いわゆる植込み患者数の推移を累計で示しております。こちらはホームページ上で御確認いただけると思いますが、7月1日現在でデータ登録数が201例、植込型が144例、体外設置型が57例という状況です。その他植込型と体外式を比較した生存率などのデータに関しても、公開を開始しております。
 先ほど御説明した有害事象についても、有害事象判定委員会での評価の後、評価判定済みの症例としてホームページ上で掲載するとともに、イベントを取りまとめた年間の報告書なども公開を開始している状況です。以上、これまでの御説明のまとめとしてJ-MACSの特徴的な部分を少し羅列させていただきました。
 次にコストの件です。J-MACSのシステム構築や運用経費などについて最後に御説明しておきます。当初のシステム開発費を含め、約6年間で1億6,000万円、平均すると現時点で年間約3,000万円ほどです。また、関係企業の薬事法に基づく市販後調査も兼ねていることから、企業側から業務の一部委託費として約3年間で約2,700万円程度の金額をデータセンターへお支払い頂いております。なお、ここには運営事務局であるPMDAの担当者の人件費等について含まれておりません。
 最後に、参考までに米国で行われている補助人工心臓の市販後レジストリ、INTERMACSについてお話させていただきます。INTERMACSはJ-MACS同様、産官学の連携による事業として、2006年から開始された登録レジストリシステムです。INTERMACSのプロトコールなどについては、J-MACSがINTERMACSを手本にしておりますので、ほぼ同様のプロトコールと考えていただければと思います。
 このスライドは、INTERMACSのホームページです。J-MACS同様、登録延べ患者数や施設数などが公開されております。7月15日時点で米国では延べ1万人以上の患者さんが登録されていて、医療機関数は149施設という状況です。
 最後のスライドです。INTERMACSの運営コストについて参考までに紹介いたします。2011年4月の第5回INTERMACSのAnnual Meetingの際に公開された資料です。今後の運営プランとして、2010年12月から2015年11月までの5年間の計画として、年間約3億円程度でINTERMACSを運営していく予定が示されました。グラフに示されたとおり、薄いブルーの部分がNIH、国費ですが、NIHからの支出が年々減少して、コストシェアリングということで、医療機関や企業からの支出を毎年上げていくという話でした。
 しかしながら、2013年4月に行われた第7回INTERMACSのAnnual Meetingでは、実際に2010年12月から2013年3月29日までの2年少しで、実際にかかった費用が1ドル100円換算で約12億4,000万円でした。年間約5億円程度かかっているということで、当初の予定の3億円をかなり上回っていましたが、その要因などを含め具体的なコストの内訳等については、情報開示はされておりませんが、参考までに御紹介しておきます。
 J-MACSも、運営経費の面ではかなり厳しいものがあります。システムの開発や立上げにはPMDAが中心となって行ってきました。現状は、行政主導のレジストリという感じでありますが、米国同様、今後はレジストリの長期安定的な運営を考えると、コスト面を含めて運営主体の見直しや移行計画、それから施設側のデータ登録の負担軽減のために、調査項目のスリム化といったものなどについて、J-MACSの運営委員会の先生方と協議していかなければならない、現在、過渡期だと考えております。以上でJ-MACSの説明を終わります。
○澤座長 皆様からの御質問、御意見をお願いいたします。
○大和構成員 最後のスライドで、INTERMACSはホスピタルから約3億円出ています。企業からはその10分の1の3,000万円ぐらいです。このホスピタルが出すというのはどういう仕組みになっているのでしょうか。
○石井PMDA安全第一部課長 具体的な米国での各病院からの支出の仕組みは我々も存じ上げていないのですけれども、参加費という形で、一部INTERMACSの運営費を各施設から取っていると聞いております。それが登録症例数ベース、1症例当たり何ドルというような感じなのかどうか、そこまでは分かりません。
○大和構成員 比較はできないのかもしれませんけれども、先ほどのジェイスの件だと、1件当たり何とか万円を先生の方に払っているのに比べると、かなり真逆ですよね。非常に面白いと思いました。
○石井PMDA安全第一部課長 企業が、薬事法に基づいて実施しているジェイスの市販後調査に関しては、その症例の作成費として1件当たり数万円を施設の方に払っております。米国では、企業に課せられた市販後調査義務とか、再審査制度はございませんので、症例謝金的な、企業から医療機関へというのは多分ないものと思います。
○大和構成員 植込み型補助人工心臓の方で27施設が認定されていて、先ほどのお話の中で、患者さんにIDが付いていて、施設をまたいでも大丈夫というお話があったと思います。私は素人なので教えてほしいのですが、施設を移るときは、やはりその27施設の中のどこかに移るというイメージなのですか、それとも全然違う所に行ってしまってもいいのですか。
○石井PMDA安全第一部課長 基本的に現在は、27施設の中での移動です。それは実際ございます。ただし、27施設以外で患者さんをフォローされるということがあったとしても、現在のプロトコール上では、責任を持って植え込まれた施設の方で、6か月ごとの定期調査などをしていただくということになっております。
○西田構成員 非常にうまく作られているシステムだと思って参考になりました。課題は、最後に言われたサステイナビリティということで、コストをどうしていくかということ。この場合に累積の数を見ると、1年間で大体60例ぐらいと。データセンターの初めのシステム開発が終わった後は、データセンターの運営費が主になる。外部委託ということなので、それが主になるのかと思ったのです。データセンターの外部委託費というのは、1年間にどれぐらいでしょうか。
○石井PMDA安全第一部課長 おおよそですが、データベースの維持管理費と、データセンターの人件費等を含めて年間大体3,000万円ぐらいです。それが、適正な価格かどうかというのは分からない部分もありますが。
○西田構成員 年間60例ぐらいで、データセンターに大体3,000万円と。再生医療でいろいろなものが出てきた場合に、こういう仕組みを全部使うわけにはなかなかいかないと。データセンターへの委託費をどうするべきかということで何か考えられていますか。どうやったら、こういうのがうまく維持できるような仕組み、キャッシュフローとしてできるのか、何か御意見はありますか。
○石井PMDA安全第一部課長 正にそこが課題で、今後の長期安定な運営、一度市販後にこのようなレジストリを始めると終わりがなく、延々に新しい症例が登録され続けるという現状です。コストを、どこから、誰から捻出するのかというのが大きなテーマです。企業あるいは関連する学会、あとは行政側と、米国のようなシェアを考えていかざるを得ないのかとは思います。
○永井構成員 この問題を、私は社会保障国民改革会議で発言したことがあります。これは診療の一部なわけです。そうであれば、月に1回外来で来られたときに、診療報酬費として支払側がきちんと負担する、ということを検討したことはないですか。それでなければ、このシステムの継続は無理だと思うのです。例えば、1回の外来受診のときに、1万円とか1万5,000円払っていただければ、随分維持に役立つのではないかと思うのです。
○石井PMDA安全第一部課長 そういう御指摘も頂いております。実際に植込み手術費等の中に、データセンターへの登録費を上乗せして保険診療上のフィーとして支払って、それをJ-MACSの運営費用に充ててはいかがか、という意見も頂いたことがあります。他局である保険局との話でもあり、今後また。
○永井構成員 それは交渉しないと費用は出てこないと思うのです。
○中谷構成員 1点追加させてください。そこまでは行かなかったのですけれども、植込型補助人工心臓装着患者を管理する意味では、人工心臓管理技術認定士という新たな資格を設定して、さらに彼らにもこのJ-MACSのデータ管理にも参加してもらうシステムとしました。植込型補助人工心臓装着患者の指導管理料の設定においては、このことも含めてほしいと要望しました。金額が妥当かどうかは別として、一応このコンセプトは認めてもらっています。それに更に上乗せというのを、先生が言われたような形で行なうことは考えるべきと思います。
○永井構成員 要するに日本の医療というのは市場原理でもないし、社会主義的でもありません。ですから、制御機構が非常に難しいのです。そうすると、データに基づいて制御するしかないわけです。そのデータを作るというのは、診療行為の一部です。つまり、地図がないまま飛行しようとしているわけです。地図を作るのも診療行為の一部だというように考え方を変えたほうがよろしいと思います。
○澤座長 大変重要な議論なのですが、もう時間なのです。申し訳ないのですが、最後に論点項目の所で整理しますので、そのときに一色先生から御意見を頂けますか。それでは、石井さんありがとうございました。
 続いて、造血幹細胞移植の症例登録について、厚生労働省健康局疾病対策課臓器移植対策室の西脇室長補佐から説明をお願いいたします。
○西脇健康局疾病対策課臓器移植対策室長補佐 健康局臓器移植対策室の西脇です。それでは「造血細胞移植の一元化登録データを用いた登録研究」について、お話させていただきます。造血幹細胞移植分野における移植登録成績の歴史ですが、まず、造血幹細胞移植について簡単に御説明いたします。これは白血病や悪性リンパ腫という難治性の血液疾患の治癒を目指して行われるもので、必ずドナーが必要になる医療です。そのドナーの候補として兄弟、もし兄弟でHLAといわれる白血球の型が合わなかった場合には第三者のドナー、お聞きになったこともあると思いますが骨髄バンク、臍帯血バンクといった所から造血幹細胞をいただいて、それを患者さんに移植して、造血機能そのものを入れ替えてしまうということです。学会の先生方は、これは再生医療の先駆けで、今や一般医療として行われているものとおっしゃっています。
 そのデータ蓄積の歴史は古く、ここに経緯としてお示ししてありますように、1983年に日本小児血液学会が中心となって、小児領域のデータを集めてきました。1993年からは、現在の日本造血細胞移植学会が成人の血縁、主に兄弟間の移植の成績を、そして骨髄移植推進財団、いわゆる骨髄バンクのことですが、全ての非血縁者間の骨髄移植、これが第三者間の骨髄移植になりますが、そのデータを集めてきました。1999年からは、臍帯血バンクがそれぞれ調査票を用いて、情報を収集してきました。
 課題としては、この4つの組織が別々に存在していることで、組織における重複や、データベースを一括して解析する際などに混乱などが生じていたという問題がありました。
 そこで、この右側に示してありますように、2006年から造血細胞移植学会が中心となり、このデータの一元化を行ってきました。真ん中にTRUMPと書いてありますが、移植登録一元管理プログラムの略で、TRUMPと呼んでおります。
 このTRUMPを用いて何を行ってきたかといいますと、このTRUMPでデータを集積することで、研究につなげてきた経緯があります。そしてテーマごとに、それぞれ学会の中にワーキンググループを作り、解析を行ってきました。また、これらは今の状態ですと、大体6万5,000件ぐらいのデータベースとなっていますので、このデータを解析するにはそれなりの専門知識が必要ということで、統計解析の効率化と質の向上もテーマとして学会が取り組んできました。
 登録項目としてはおよそ1,000、疾患別で疾患特異的なものも含んでいますので、1疾患当たりにすると大体800~900項目と言われております。登録については主に移植医が行っていますが、近年、病院によってはデータマネージャーを雇い、可能な限り入力を行っていると伺っております。実際の登録項目の例を出しておりますが、移植時の年齢、性別、身長から移植前の情報、そしてこちらが病気の情報になりますが、細かい項目で大体800~900項目を入力しています。
 この結果は日本造血細胞移植学会から全国調査報告書として毎年公表されており、ホームページから一般の方でも見ることができます。その中では、施設別の移植件数や、このようなカプランマイヤー曲線などの成績を疾患ごと、年齢別、様々な切り口で作ったものが公表されております。患者さんへの説明に使われたりしていると伺っております。
 財政基盤についてです。データベースは基本的にはこれまでは学会が費用については負担してきました。伺ったところですと、初めのプログラムの立上げも、内部のプログラマーが行ってきたということです。平成23年より、厚生労働科学研究にて、以下の本邦における造血細胞移植一元化登録研究システムの確立ということで、研究費が支給されております。主な費用としてはデータマネージャー、プログラマー、統計家などの人件費に費用がかかっていると伺っております。
 データ収集の意義についてです。データを集めるという意義がありますが、何に使うか、より知りたいこと、臨床的疑問に焦点を当てた解析ということで、そこから答えを導き出すことをやってきました。例えば、50歳で予後不良と言われる染色体異常を有する急性骨髄性白血病の患者さんで、寛解導入療法、抗がん剤の治療の2コースで寛解になりました。この患者さんに移植をすべきかどうか、するのであればどのタイミングで、どのようなドナーさんからするべきか。そしてどのような前処置、移植前の化学療法や放射線をどのように用いるべきか、GVHDと呼ばれる合併症の予防は何を使ったらいいのか。そのようなものは、先ほどから説明しているデータベースを用いた後方視的な解析を通して答えが導かれてきました。
 これは代表的な例ですが、我が国におけるドナー選択の一般的なアルゴリズムです。まずはHLAが一致している兄弟が第1選択となります。そこで、いなかった場合には骨髄バンクでHLAが一致しているドナー。それでも見つからなかった場合には、現在はHLAが一部不適合のバンクドナー、もしくは臍帯血、もしくはHLAが不適合の兄弟、血縁ドナーまで、ドナー・ソースが広がっております。それぞれ選択肢が広がる中で、ここに示した様々な研究が、全て国内のものですがデータベースを中心に行われてきたことによって、このようにドナー・ソースの拡大が図られてきました。現在、学会では23のワーキンググループが2010年末で出来ており、およそ3年活動しています。その中で141の研究や多くの学会発表等がなされています。
 さらに日本では統計家、統計の専門家は少ないので、実際にはドクター自身が解析を行っておりますので、そのサポートということで、主にStataとEZR、両方とも統計解析ソフトの名前ですが、この両者で学会のデータベースを解析できるようなスクリプトと呼ばれるものを学会が作り、その使い方のセミナーでの解析サポートも行っています。
 これまでの成果です。こちらが年で、青いものがその成果、論文数です。近年、ワーキンググループや一元化の効果もあって、飛躍的に成果が伸びています。学会の先生方は、この1983年から20年以上にわたる蓄積の成果と考えていらっしゃるとのことです。
 少し海外のことについても説明しますと、海外には大きく2つのレジストリがあります。北米を中心として行っているCIBMTRと呼ばれている組織があります。ここではおよそ800件の研究成果をホームページ上に公開されています。欧州はどうかといいますと、各国で施設単位で参加しているEBMTと呼ばれるものがあり、ここでWorking Partyでそれぞれの研究が行われ、およそ560件が現在ホームページ上で公開されています。これらの研究成果を基に、我が国の治療成績にも多大な影響が及ぼされているとのことです。
 このようなデータベースを用いて国際共同研究も行われています。1つはWBMTと呼ばれる世界的な組織に、日本の成績を登録している。そしてAPBMTと呼ばれるアジア太平洋地域を中心とする組織、これは日本が中心となっていて、事務局が日本に置かれていますが、これの移植件数の登録とともに、まだ100項目と少ないのですが、基本項目を登録して、アジア・パシフィック地域全体でデータベースの構築を始めています。海外ですと、先ほど述べましたアメリカを中心とするCIBMTRと、現在3件の共同研究が行われているとのことです。
 登録研究の重要性について、1つは造血幹細胞移植情報の収集に重要なことであり、これは直接患者さんに役立つ情報が得られることです。臨床研究は、通常は前方視的な臨床研究がエビデンスレベルとしては最も高いものとされていますが、特にこの分野では後方視的なこのようなデータベースを用いた観察研究が国際的にも非常に高く評価されています。費用的にも前方視的研究が1つの疑問に応えるのに非常に多くの費用がかかるのに対し、後方視的研究はわりと費用対効果も高いこと、将来的に前方視的臨床研究をやるベースとなるデータともなることで、重要と考えています。
 昨年9月に、移植に用いる造血幹細胞の適切な提供の推進に関する法律が国会で成立し、現在その施行作業を進めております。その中で、造血幹細胞移植患者・ドナー登録支援事業を平成25年度後半の予算事業として考えております。これは何が変わるかといいますと、こちらが現在です。今まで学会中心に取り組んできたデータベースを、学会に中立の立場で第三者機関を作っていただき、ここで研究者だけではなく、国民向けにも、患者団体といったところにも分かりやすいデータを出していくことで、このデータベースをより有効活用していこうという事業を考えております。
 最後ですが、この上の所は、造血幹細胞移植の実施体制、現在のものでかなり複雑になっております。この医療者、主治医は骨髄移植の場合と臍帯血移植の場合とで、それぞれアクセスする所が違っており、また、それとは別に学会のデータベースにデータを入力するという、同じようなデータをいろいろな所に入れないといけないような、非常に煩雑なシステムになっています。今後、ここの主体は現在検討中ですが、一元的な情報の管理を行うことによって医療者の負担も減りますし、国民にも分かりやすい掲示ができるのではないかと考えております。以上です。
○澤座長 皆様方からの御意見、御質問いただきたいと思いますが、いかがでしょうか。これは確認なのですが、今まで、費用は全て学会が出してきたのですか。
○西脇健康局疾病対策課臓器移植対策室長補佐 これまでは、基本的にはほぼ全て学会で、学会を通した企業の寄附とかも一部あると伺っております。国のほうで出しているのは、先ほど少し出しましたが、近年ようやく研究費、厚労科研が出ているということです。
○澤座長 これは登録率はどれぐらいなのですか、100%なのですか。
○西脇健康局疾病対策課臓器移植対策室長補佐 登録率に関しては非血縁、骨髄バンクを通すものはほぼ100%となっています。それはなぜかといいますと、骨髄バンクの移植を行うにも、施設の登録にはバンクの認定が必要なのですが、その認定の更新の要件として、このデータベースにデータ入力しているという条件があるので、ほぼ非血縁に関しては100%、血縁に関しては全ての把握は難しいのですが、学会に伺ったところ、8割程度であろうということです。
○澤座長 アカデミアのそういう研究も含めたアカデミックな活動の1つでもあって、かつ、治療行為としてそのバンクに登録するための基準になっているということなのですね。そこがポイントなのですね。
○西脇健康局疾病対策課臓器移植対策室長補佐 はい。
○澤座長 いかがでしょうか。3つの患者登録システムについて御紹介いただき、いろいろなことが再生医療及び患者登録システムのこれからについて参考になったかと思います。
 続きまして議題3、患者登録システムの在り方に関する論点項目について、事務局から御説明いただけますか。
○事務局 本日最後の資料となっております資料3「患者登録システムの在り方に関する論点項目(案)」について、説明いたします。こちらは再生医療患者登録システムのほうの検討会で、これまでの2回開催された御議論を踏まえ、また、今回が第1回目となります医療機器に関する患者登録についても、ある程度共通するものということを念頭に、事務局で案として整理させていただいたものです。大きくパートとして、1.と2.の2つの部分に分けて整理しております。
 1つ目としては、「患者登録システムの目的と対象範囲」ということで、論点1-1、1-2、1-3ということで大きく3つ。まず、1-1については目的、何を重視した登録システムとするかです。検討のポイントと考えられる点としては、種々のステークホルダーの方々、医療者とか医療機関、学会・研究機関、企業、行政、そして患者御本人様がそれぞれ登録システムから情報として何を得たいのかということです。
 論点1-2は、対象の範囲です。登録の対象範囲をどのようにカテゴライズするか。そこに記載しておりますのは、1つ考えられるものとして例示しております。「医薬品・医療機器等の品質、有効性及び安全性の確保等に関する法律案」、いわゆる薬事法改正法案で定義される「再生医療製品」、「特定医療機器」。また、もう1つの法律の「再生医療等の安全性の確保に関する法律案」で定義される、特定細胞加工物といったもの。これらは例示ですので、詳細につきましては、またこの論点について実際に御検討いただく際に御議論いただければと思います。
 論点1-3は、登録するデータの種類、システムの機能です。この論点1-1、1-2の目的や対象範囲をカバーするためにどのようなデータ項目内容を収集するか。データセンターとしてどのような機能を備えるかというところです。
 2.の「患者登録システムの運営、登録管理、利活用」については、本日のプレゼンテーションの中でも話題になったところです。まず論点2-1としまして、患者登録システムの運営の在り方です。システムの運営主体は誰が担うのか、システムの構築・改修はどのように行われるべきか。システム構築・改修及び運営に係る費用負担について、どのように分担していくか。また、ヘルプデスクではどのようなサービスを提供するかといったことが挙げられると思います。
 論点2-2は、患者登録システムの品質確保ということで、5点ほど挙げております。データ入力は誰が行うのか。どのようなインセンティブを持たせるか。システムへのデータ登録に関して、患者に対してどのような説明と同意取得が適切か。データの入力及び送信に用いるツールに、どのような方式、手順、対策を取るか。登録データのチェックは誰がどのようにして行うか。最後に、関係者に対してのガイダンス・教育をどのように確保していくかといったことを挙げています。
 論点2-3は、アウトプットとしての利活用につきまして、アウトプット及びその利用主体としてどのようなものが考えられるか。利活用の透明性を確保するための方策として、利活用の目的にどのような制限を設けるか。また、オープン利用と制限付き利用の区分について、制限利用の場合の要件や手続をどのようにしていくかというところで、まとめております。
 事務局ではこういった論点項目をまとめておりますが、本日もし何か追加すべき点等ありましたら、御指摘いただければと思います。また、今後の検討の進め方につきましては次回以降、これらの論点につき御了承いただいたら、その論点について各論を御検討いただくべく、例えば次回は1.の「患者登録システムの目的や対象範囲」、次々回は「患者登録システムの運営、登録管理、利活用」についてといった形で進めさせていただければと考えております。どうぞよろしくお願いいたします。
○澤座長 この論点の下に、次回以降、議論を進めたいと思っておりますが、御意見とか御質問とかいかがですか。すみません。先ほどさえぎった一色先生、何かございますか。先ほどの件でも結構ですが。
○一色構成員 初めて参加させていただいたので、完全に把握できているかどうか分からないのですが、先ほどのJ-MACSのところで気になったことがありますので質問させてください。INTERMACSでNIHがおそらく財政の問題から数年間でカットしてくる方向にあるという話があったと思います。J-MACSも年次予算が関わる事業だと思いますので、突然予算が出なくなる可能性があるのではないかと危惧するのですが、この点は大丈夫なのでしょうか。
○石井PMDA安全第一部課長 予算としては、機構の中期計画、5か年ごとにこうした事業の重要性を訴えて、予算を獲得している状況ですので、今後、平成26年以降の次期5か年でもこの事業は継続させていきたいと思っています。ただ、米国同様、この製品のみだけにコストをかけていくわけにはいかない部分があります。他の製品にも展開していきたいということも考えておりますので、できるだけ運営組織のスリム化、あるいは関連学会への委託、委譲といったことも考えながら、少しずつコストの部分を含めて運営委員会と相談していくというのが、正に現状です。
○澤座長 やはりJ-MACSの運営というのが先行して、素晴らしいという観点もありながら、非常に今、次のステップに進むのに、いろいろな議論がある。それを参考にさせていただきながらというのが、非常に重要な論点かと思っております。その他、いかがでしょうか。坂井田委員、よろしくお願いします。
○坂井田構成員 こちらの領域の専門ではないのですが、先ほどJ-MACSもそろそろスリム化する見直しの時期かなとおっしゃいましたね。それで何症例登録したからかとか、具体的に頭の中にあるのか、時代とともにどんどん医療技術も変わっていくので、要らないようなデータもあれば、追加していかないといけないデータも出てくると思うのですが、何か漠然としたものでいいのですが、お考えがあればお聞かせていただければと思います。
○石井PMDA安全第一部課長 目的を何に定めるかによって調査項目も常に変化させざるを得ないと思います。人工心臓はかなり特殊性があり、イベントが多発するということからも調査項目が非常に多く設定されています。それに対して、入力する側の医療機関が疲弊しているとも聞いておりますので、もう少し何を長期的に見ていくかということで、調査項目を減らすような策や、また、今の組織は結構大きな形を取っていますので、もう少し運営組織自体もスリム化し、どの辺りにコストがかかり過ぎているのか、どう見直していくかということも議論していきたいと思っています。
○澤座長 全体を通しての質問はいかがですか。
○中谷構成員 1点いいですか。実は、J-MACSはようやく症例数が出てきて、今、正に始まったとも言える状況です。将来的には現状のかたちではなく自立するなど検討すべきであることは皆分かっているのですが、実はこの4月から、新たな一機種が認可されJ-MACSに入ってきました。それが落ち着くまで1年、2年はかかるであろうと考えています。実際活動が始まった状況で、すぐにスリム化の話が出てくるのに対しては対応が困難であり、ジレンマに陥っています。やはりあと1年、2年なりは現状で続け、その上で、今後のあり方について考えていかなくてはいけないと思っています。最初からスリム化ありきでは、このレジストリシステムの構築は出来ないと思います。しかし、活動が始まり、その数も増えた段階では、スリム化は検討すべきことですし、実際INTERMACSがそういうふうに変わってきています。だから、最初と同じように続ける必要は全くないのですが、J-MACSは、当初想定したのがやっと始まったとも言えるところであることも理解していただきたいと思います。このことは、ほかのところでも問題になるのではないかと思います。
○西田構成員 ここで少し話がずれるかもしれないのですが、永井先生の言われた、診療行為の1つであるという考え方は非常に大事だと思います。やはり時期が早いかもしれないですが、将来的には電子カルテの発展と一緒に開発といいますか、それと一緒にやっていかないと。入力をわざわざするというのは、そこでコストがまた発生したりいろいろしますので、通常の診療行為の中で、例えば電子カルテにこういうレジストリに使う情報は1つのひな型として、全ての電子カルテに置くと。そこから自動的に抽出するというようなシステムを電子カルテのほうで開発していきながら、将来像としてこういうレジストリを考えていかなければならないと思うのです。
○宮田参考人 本日、3つのデータベースの知見、非常に勉強になりました。私どもの目的について、少し考えを述べさせていただきたいと思います。我々、高本先生とともに、外科領域を中心に3,900病院と連携して、データベースを行っております。特に、永井先生もおっしゃられたように、この目的が非常に重要なところと考えています。ただ、目的は1つだけなのかというと、恐らくいろいろなものを目的別に設計することは必要なのですが、例えばデータベースというインフラを共有しながら、我々の場合は医療水準専門医と関連して、その領域の医療の水準を見るための登録、あるいはデバイスとか、手技とかを特定してその治療効果を把握したり、あるいは安全性を吟味するための設計といったものを連動させることによって、その目的あるいは手技、あるいは先ほどの話だと、最初は安全性をかなり念入りに評価して、次のフェーズだともう少し質という観点から、いわゆる構築を違う意図にして、また無理のないような形に設計していく。領域によって、また時期によっても変わってくるかもしれないところがあって。そこの正に目的とそのシステム、あるいは体制の構築を、複数のものを切り分けながら適切に設計するのが必要かと思われました。
○澤座長 宮田委員のおっしゃったのはNCDの話ですね。
○宮田参考人 そうです。
○澤座長 NCDには3,900の病院が入っている。
○宮田参考人 そうですね。
○澤座長 そして、それがほとんど日本国内を網羅しているイメージですか、データベースとしては。
○宮田参考人 そうですね。外科手術に関しては、行政に提出している資料と比較して、手術によって曖昧な記載があるので難しいのですが、食道切除再建術だったり、肺悪性手術に関しては95%以上、行政提出資料と対比して登録をされています。心臓外科は、恐らくそれ以上だと思います。
○澤座長 もうちょっと聞きたいのですが、そうするとそのNCD、例えば最初の手術の登録の部分はそういうNCDで、全体にデータベースを作って。そこから先の個々のものはプラスアルファのところを作っていく、データバイアスを更に上乗せして作っていくようなイメージで。基本はそのNCDのような、大きなデータベースを基にというような、全国を網羅するような、そんなイメージをおっしゃっているのですか。
○宮田参考人 これは飽くまでも我々の話なのですが、悉皆的に把握することと、その2階建て部分という各領域の専門医に関しては、例えば心臓外科の場合は全例登録しているのですが、消化器系外科の場合は臓器ごとに、いちばんある程度、数があって、医療の質に関係すると思われる手術を登録したり。そこに、がん登録が更に入ってきた場合には、やはりTNM分類だったり、あるいは抗がん剤治療とか、そういう目的に応じてその上にまた設計するというような形でインフラを共有しながら、複数のことを見ていく。あるいは、領域のそれぞれのスタンダードに対する考え方も変わってくるので、目的を日々継続的に吟味しながら、それぞれの中で無理がないかどうかというと、それも我々も負担があるのですが、それを継続的に考えていくところは、論点1に挙がっているように、重要なところかと思います。
○澤座長 ありがとうございます。NCDの略はNational Clinical Databaseですし、大変参考になる御意見かと思います。ほかにいかがでしょうか。一応、この論点項目に沿って次回以降この会議を進めさせていただくという方向でよろしいでしょうか。
○高戸構成員 少し見方が変わりますが、現在、加工業の今後の展開と、それから第1、第2、第3というがん免疫や、美容といういろいろ区分けをしようという議論があります。それらは、今まで議論された血液関連、あるいは心臓関連といった再生医療とは若干違うニュアンスがあります。現在の再生医療というのは多くは美容領域で行われているという側面が見られます。その現状を考えると、ある製品が出たときに、製品として今度これを登録するという考え方自体は問題ないと思います。しかし、同じものをある機関から、加工するようにという委託ができるシステムが一方ででてくる可能性があります。例えば鼻の美容で再生医療製品使用される場合、製品としてではなく、医師が依頼した加工物として美容外科で1,000例とかいう単位で使用されたる状況も想定されます。あるいは歯科領域で歯科医が加工を依頼した培養骨が多くの患者に使用されるという場合も考えられます。つまり、ユーザーが非常に多いために登録が困難という状況になるかもしれないし、そもそも同じ再生医療品でも、加工物として使用して、市販される製品として使わない可能性もあります。いろいろな使用する状況があるので、登録システムを考えていく必要があると思います。
○澤座長 そうですね。再生医療全体を考えると、高戸委員のおっしゃったような考え方だと思います。ただ、この患者登録システムは、一応保険内の範囲内での話に今のところは限定している考え方ですか。事務局のほうはいかがですか。
○安全対策課安全使用推進室長 薬事法上、製品としての。
○澤座長 考え方でという範囲内ではあるということなので。高戸委員のおっしゃった話、学会との連携もまた含めて議論があれば。ほかにいかがでしょうか。よろしいでしょうか。そうしましたら、時間もまいっておりますし、この登録システムの在り方論点項目に沿って、次回以降また議論していただけたらと思います。恐らくこの論点の中で議論していただくポイントとしては、市販後調査との関係をどうするかとか、保険収載をどうするかとか、そういう保険との連動ですね。そういうことがポイントになってくるのかと思います。よろしいでしょうか。
 それではありがとうございました。このような御意見を踏まえて、次回以降議論を進めたいと思っております。
 議題4の「その他」ですが、何かございますか。
○事務局 特にございません。
○澤座長 ないようでしたら、最後、事務局からございますか。
○事務局 本日は、大変遅い時間までお忙しいところ活発な御議論、どうもありがとうございました。本日の議事録については速記録が出来次第、先生方に確認、修正をお願いいたしまして、最終的には厚生労働省のホームページへの掲載を予定しております。また、次回の開催予定ですが、9月から10月頃を見込んでおります。日程調整等については12月の年内いっぱいで、あと2回程度開催することを念頭に、各先生の御都合をお伺いさせていただければと考えており、日程調整の結果、また正式に開催の日程については御連絡差し上げたいと思います。よろしくお願いいたします。
○澤座長 長時間にわたりまして今日の会議、ありがとうございました。これで会議を終了したいと思います。どうもありがとうございました。


(了)
<照会先>

医薬食品局安全対策課
(代表電話)03-5253-1111

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