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2013年4月23日 第12回今後の労働者派遣制度の在り方に関する研究会 議事録

職業安定局派遣・有期労働対策部需給調整事業課

○日時

平成25年4月23日(火)10:00~12:00


○場所

厚生労働省 専用第12会議室(12階)


○出席者

構成員

鎌田座長、阿部委員、小野委員、木村委員、竹内(奥野)委員、山川委員

事務局

岡崎職業安定局長、宮川派遣・有期労働対策部長、尾形企画課長
富田需給調整事業課長、牧野派遣・請負労働企画官、亀井需給調整事業課長補佐

○議題

労働者派遣制度の在り方について

○議事

○鎌田座長 定刻に少し早いのですが、委員の皆様は全員お揃いということですので、「第12回今後の労働者派遣制度の在り方に関する研究会」を開催します。事務局より、委員の出欠状況と資料の確認をお願いします。
○亀井補佐 4月1日付けで佐藤の後任として着任いたしました亀井と申します。どうぞよろしくお願いいたします。本日の委員の出欠状況を確認しますが、奥田委員より御欠席の御連絡を頂いています。資料については、お手元にお配りしている議事次第のとおり5種類お配りしているので、御確認ください。
○鎌田座長 よろしいですか。それでは、議事に入ります。本日は、前回欠席された阿部委員にも御出席いただいているので、前回の研究会の場で御議論いただいた論点について御意見を頂ければと思います。阿部委員、よろしくお願いします。
○阿部委員 2点ほどあり、1点目ですが、「特定目的行為の在り方」の所で、無期雇用の派遣労働者について事前面接を解禁するかどうかで御議論があったようですが、無期雇用が派遣元との雇用契約は無期であると認識しているのですが、その場合に、なぜ派遣先へ派遣する際に事前面接を解禁することがあり得るのかがよく分からなかったのです。もし、これが派遣先への無期の契約で派遣するということであれば、面接することはもちろん望ましいのかもしれませんが、それは無期の派遣ということは、前からも議論しているように間接雇用よりも直接雇用の方が望ましく、その場合には派遣ではなくて紹介ということで面接をすることになろうかと思うので、このあたりを整理して、無期雇用の派遣労働者の面接とか、解雇権濫用の法理の適用とかは議論すべきではないかと思っています。
 もう1点は、「調査結果を踏まえた対応について」といった所で、紹介予定派遣について少し興味を持ちました。特に派遣会社が紹介予定派遣を余りしていないことがデータでも明らかになっている。ただ、その一方で紹介予定派遣を利用したいという派遣労働者もそれなりにいるし、特に職業紹介予定派遣を利用するつもりがなくても、正社員になりたいと答えている派遣社員は相当数に上っているので、紹介予定派遣をどのように位置づけて、これを活用するかも、もう一度議論すべきではないかと思いました。驚くべきことは、ノウハウがないのでやってないという派遣会社が結構あるというのは、びっくりしました。
○鎌田座長 本日の議論に入ります。本日は、改正法の施行状況とこれまでの主な議論について、御議論いただきたいと思っています。また、前回、御議論いただいた実態調査について、クロス集計の結果がまとまったとのことですので、こちらについても後ほど御報告いただきたいと思います。事務局から、資料1から4までの説明をお願いします。
○亀井補佐 お配りしている資料について、説明します。資料1「前回の議事概要」ですが、こちらは毎回お配りしている前回の御議論の概要を事務局において整理したものです。御参考です。おめくりいただき資料2ですが、本日、御議論いただきたい事項を2つ挙げています。1つに、改正法の施行状況を踏まえ、今後更に検討すべき事項はあるか。1つに、これまで頂いた御議論を踏まえ、更に深めていただくべき論点等はあるかです。後ほど説明する資料3と4は、それぞれこれらの議論の参考として用意したものです。
 資料3について説明します。「参考資料」という形でタイトルを付していますが、中身としては、改正派遣法の施行状況について、事務局において、東京・大阪・愛知の各労働局から施行状況に係る情報を集めて整理したものです。表紙をおめくりいただき、1枚目です。1.「グループ企業内派遣の8割規制に係る状況」です。派遣元における対応状況として2つ挙げていますが、1つ目として、事業報告の未提出が懸念されるということです。2つ目として、8割規制を避けるために、派遣元同士で派遣先の紹介を行い、その間相互に派遣料金の数パーセントを手数料として徴収しているといったケースが見られるということです。
 下半分が寄せられている問合せや意見ですので御覧下さい。2つ目について補足すると、こちらは全国的な団体から、地方の傘下の団体からこういった意見が寄せられているということで、東京・大阪・愛知の事案ではないということです。
 2つ目のマージン率の公表です。対応状況ですが、1つ目にあるとおり、これから対応するという所が多いという状況です。2つ目に、既に対応している所ではどういったやり方があるかですが、ホームページでの情報提供、事業所へのリーフレット等の備え付けにより、しっかり御対応いただいているということです。3つ目ですが、賃金の交渉に利用されている労働者もおられるということです。
 寄せられている問合せ・意見としては、1つ目のポツと4つ目のポツのように、マージン率の公表が義務づけられた趣旨について、十分に伝わっていないケースが見られるということです。その他、2つ目と3つ目にあるとおり、マージン率が派遣先に知れると、派遣料金の切り下げにつながるといった御意見とか、マージン率とセットで公表すべき「その他参考となると認められる事項」について、どのような情報を公表すればよいかといった問合せが多いということです。
 おめくりいただき、改正派遣法の施行状況について2です。3の「無期転換推進措置」です。対応状況としては、以前と比べてまだ目立った対応を開始したとか、大きく対応が改まったということは見られないということですが、具体的な対応を始めている所の例としては、2つ目にあるように、教育訓練等の実施、無期雇用を派遣先に勧めている、紹介予定派遣の順に多い印象であるということです。3つ目に寄せられている声として、実際のところ、派遣元や派遣先での無期雇用化は難しく、教育訓練が精一杯という声もあるということです。
 4の「均衡を考慮した待遇の確保」ですが、こちらについても対応状況の1つ目にあるとおり、何かしら配慮をしようという派遣元も見られますが、待遇が大きく変わったという所は少ない印象であるということです。対応している所は具体的にどのようなことをやっているかが2つ目ですが、賃金の引上げが多いということです。3つ目、4つ目ですが、では賃金の引上げなどを決定する際にどのようなことを勘案しているかですが、派遣先の水準を考慮しているケースと当該労働者の能力や経験などを考慮するケースが、半々ぐらいかという印象であるということです。派遣先の賃金水準を考慮する上で派遣先の情報が必要となるわけですが、労働者や営業社員を通じて確認しているケースが多い。中には賃金の情報を提供してくれない派遣先もあるということです。
 5の「待遇に関する事項」の説明についてですが、こちらについては全体として御対応をいただいている印象です。
 おめくりいただいて、改正派遣法の施行状況について3、6.「日雇派遣の原則禁止」について、説明します。こちらは寄せられた情報量が非常に多かったため、(1)(2)という形で会社と労働者の対応に分けて情報を整理しました。(1)の「派遣会社の対応」ですが、例外として認められている範囲で日雇派遣を続行するケース、日々紹介に移行するケース、廃業・撤退するケース、それぞれ見られるところでして、具体例は以下のとおりとして挙げています。
 日雇派遣を続行するケースですが、印象としては、ほかのケースに比べて非常に多いということです。具体的な対応としては、2つ目、3つ目にあるように、雇用期間を制限のかからない範囲に長くして複数の派遣先への派遣といった形で対応する。また、例外に当てはまる業務や労働者で対応する所が多い。これに関連して3つ目にあるように、例外が認められる要件を満たす労働者を囲い込む派遣元が施行直後は多かったようで、これによって就業機会を失った労働者からの苦情が多数寄せられたということです。4つ目ですが、中には例外要件を満たすために、形式的に年収500万円以上である旨の誓約書を出させたり、31日以上の雇用契約を結んだりといった形もまま見られたということです。
 日々紹介へ移行したケースですが、一言で申し上げると、日々紹介に切り替えてはいるのですが、実態としてはまだ切り替わっていないといった例が見られるということです。その他、短期の派遣紹介から撤退したケース、特定派遣に切り替えたケースなどがあります。参考意見として一番下の「その他意見」ですが、ある派遣先では日雇派遣労働者に直接雇用の声を掛けるのですが、通勤が不便な場所にあるなどの理由から応じてくれない、また、日々紹介を受け入れた場合の賃金計算など事務処理の余裕がないなどといった声が寄せられているということでした。
 おめくりいただき、改正派遣法の施行状況について4、6.「日雇派遣の原則禁止」の続きです。こちらは労働者の状況や御意見をまとめたものです。状況として、先ほど日々紹介の所で実態が未だ切り替わってないという声もある所の説明をしたところですが、労働者サイドとしても日雇派遣・日々紹介において、改正法施行後に目立った労災の事例は承知していないけれども、ユーザー側の安全管理体制は、日雇派遣でも日々紹介でも変わらない印象を受けるということです。
 寄せられている意見としては、500万円の年収要件に関わる御意見は、非常に高過ぎるために就業機会が減ったということとか、3つ目ですが、派遣会社の担当者に家計の状況を明かすことに抵抗があるといった御意見があります。就労機会の関係ですが、2つ目にあるように、育児・介護とか、年齢的に通常の派遣で就労する機会がないので、日雇が制限されてしまうと就業の機会がなくなったという声も寄せられております。4ポツ目の日々紹介に切り替えた結果、収入が下がったという御意見については、これは単価が下がったということなのか、機会が減ってトータルで下がったということなのかは、確認ができていません。けれども、こういった御意見が寄せられているということです。
 7として、「離職後1年の派遣禁止」ですが、こちらの対応状況は、一言でいうと、対象となる労働者の把握をどうやって行うかということです。寄せられている意見としては、60歳以上の定年者が雇用されるケースであれば例外に当たるということですが、実際、60歳以前から雇用契約を更新して65歳で雇止めされたケースは、この例外に当てはまらないということについての苦情があったということです。
 最後に、8の「労働契約申込みみなし制度」ですが、こちらについては問合せが非常に少ないということです。あるものとしては、契約法の無期雇用契約への転換と混同されるケースが見受けられる、政令業務を厳格に適用することとなったために、直接雇用を考えていない企業から派遣を使いにくくなる、といった声が寄せられているということです。資料3の説明は以上です。
 資料4の説明に移ります。お手元の「今後の労働者派遣制度の在り方に関する研究会におけるこれまでの主な議論」という資料です。こちらの資料は、これまで様々な事項について研究会で御議論いただいた内容を、事項ごとに事務局において要約しつつ並べたものです。
 初めに、1.「登録型派遣の在り方について」ですが、1つ目と2つ目については、登録型派遣の意義に係る御意見ということです。登録型派遣というシステムについて、労使のニーズは大きい、マッチングのシステムとして構築度が高いといったことで、就業期間が未確定であったり短期間の場合の受入れには、非常に適しているということです。
 3つ目と4つ目の○は登録型派遣の課題に係る御意見でして、雇用の不安定性を挙げていただいています。5つ目の御意見として、登録型派遣を一律に禁止するのではなくて、雇用の不安定性という側面には、より安定的な雇用形態へ転換していけることを促す対策を講じることが必要、という御意見です。
 2の「製造業務派遣の在り方について」です。1つ目から3つ目については、製造業や製造業務派遣において指摘される課題とそれに係る御意見です。1つ目ですが、製造業はほかの業種と比べて非常に厳しい競争に晒されている、労働需要が景気や為替の変動によって影響を受ける、そもそも海外移転の可能性も大きいというところで、ほかの業種とは異なるといった難しさがあると。しかしながら、そこから生じる問題は製造業全体に関するものであって、派遣固有のものではないと。
 2つ目ですが、危険・有害な業務に短期間充てられている課題があるけれども、これについては安全衛生教育で対応するべき、3つ目ですが、製造派遣によると現場の技術力が落ちるという課題が指摘されますが、こちらについては労働法の範疇ではないという御意見です。4つ目としては、製造業派遣を禁止した場合に生じ得る課題です。
 その他、製造業務派遣の在り方を考える際には、雇止めの問題など多くの弊害がある、こうした弊害と派遣先のニーズのバランスを考慮すべき、といった御意見です。あと、登録型派遣と製造業務派遣の問題点は共通のものであって、製造業だけを分けて議論することは適当ではないのではないか、といった御意見を頂いています。
 3点目の「特定労働者派遣事業の在り方」です。こちらについては、平成20年の研究会の報告書において問題提起を頂いていますが、今回頂いている御議論としては、常時雇用される労働者という区別ではなくて、有期・無期という区別で揃えるべきであるという御意見です。2つ目ですが、派遣元で無期雇用されているのであれば、契約と雇用が連動することはなく正規雇用により近い形態ですので、特定労働者派遣は無期雇用という形の派遣元に限定することが妥当ではないかといった御意見です。最後の○は、許可制とすべきか否かといったことの御意見ですが、無期雇用の労働者のみを対象とするということであれば、許可制とする必要性は低いのではないかということです。
 4の「期間制限の在り方について」です。26業務についてと常用代替防止の在り方について、それぞれ御議論いただいています。26業務については、常用代替の恐れがない業務ということで、専門的な知識を有する、あるいは特別の雇用管理を行う必要があるとされますが、これらについては時代状況によって変わるものであるので、引き続きこうしたことを判断する際の基準とするのは難しいといった御意見です。
 一方、2つ目ですが、今の基準が引き続きというのは難しいとしても、新たに設けることも現実的には難しいということで、最後の行ですが、26業務という区分自体廃止することも選択肢としてあり得るのではないか。3つ目としては、26業務派遣は業務の範囲に厳しい制約があるので、派遣労働者の仕事の広がりや向上を阻害しているのではないかといった御意見を頂いています。
 (2)の「常用代替防止の在り方」についてですが、こちらについては派遣労働者による派遣先の雇用の代替といったミクロな観点と、労働市場の中で非正規の割合が増えるのを防ぐといったマクロの観点と、それぞれ御議論をいただいていますが、1つ目と2つ目の○にあるように、派遣という形態だけを抑えたとしても、ほかのところで反作用が起こるということで、非正規労働者全体を視野に入れた御議論が必要という御意見を頂いています。
 3つ目と5つ目の○ですが、こちらは常用代替を防止することの意義に係る御意見で、3つ目ですが、不安定雇用は社会的にも弊害があるので、安定した雇用が望ましいといったこと、5つ目ですが、常用代替防止という考え方には、ミクロの観点もあれば、先ほど申し上げた労働市場全体で不安定雇用の比率が上がることを防ぐといった観点もあるということです。
 4つ目の○と5つ目の○ですが、常用代替防止のために派遣元はどのようなことができるかということで、4つ目ですが、派遣労働者の保護のために、派遣が終了したら次の派遣先を紹介することを義務づけるなど、派遣元の雇用責任の強化が必要ではないかといった御意見や、最後の6つ目の○ですが、派遣元で無期雇用されていれば、本人にとっての問題はクリアされるといった御意見を頂いています。
 (3)として「業務と人について」ということです。こちらは現在の期間制限の在り方が業務を切り口として設けられていますが、附則にもあるように、この在り方について検討することとなっています。ここで仮に人を切り口に設定した場合には、どのようになるかということで御意見を頂いていますが、1つ目の○ですが、派遣期間の上限設定を業務から人単位に変更することによっ、任せる仕事に幅が生まれるなど、キャリアアップにつながるといった見方があると、肯定的な御意見です。次の○は反対の御意見でして、人単位に変更した場合には、仕事はあるけれども、人を替えていけば派遣先はいつまでも派遣を受けられることができるということで、これこそ正に常用代替防止の趣旨と合わないのではないかという御意見です。
 それ以外の御意見ですが、常用代替を防止するという考え方からは業務単位が自然ではないかと。一方で、業務単位で期間制限を行ったときには、派遣労働者の保護や雇用安定のためにはならないといった課題もあるという御意見です。一方で、人単位で期間制限を設定するというのは、これは常用代替とはまた違った切り口からの考え方で、同一の派遣先で同一の労働者が何年も派遣という形で働くべきではないという考え方ではないかという御意見です。その他、労働者派遣は労働サービスという役務を提供するものであって、人を送り込むという考え方ではない。人単位としても派遣先の業務に対して労働サービスを提供する点は変わらない、といった御意見をいただいています。
 (4)ですが、諸外国の例も参考に「常用代替防止の手法」を御議論いただいたものです。1つ目、そもそもとして特定の雇用形態を増やすために法律によって経済活動を縛ることは望ましくない、ほかに影響が及ぶという御意見です。2つ目は、あるとすれば、ドイツのような事業所委員会が受入れの判断に関わる仕組みはあるのではないかと。一方で、3つ目でして、派遣先が判断するという枠組みでは、派遣労働者自身が除外されているということに留意が必要、常用代替防止と派遣労働者の保護とのバランスを考えるべきという御意見です。
 5の「派遣先の責任の在り方」について、ヒアリングの際に頂いた団体交渉の応諾義務について御議論いただいていますが、こちらは労組法の一般的枠組みで考えることが妥当ということです。その他、派遣先の使用者性については、判例の枠組みで考えていくことが基本といった御意見です。
 6の「派遣労働者の処遇」ですが、こちらは均衡待遇や労働社会保険の適用促進など、処遇に係る事項をこの項目でまとめています。1つ目ですが、均衡待遇に制度的な対応はどのようなものがあり得るかという御議論に対しては、単に均衡待遇の配慮義務を設けても、実際の均衡待遇は進まないのではないかと。2つ目にあるように、結果に法が直接介入することは難しいと。あり得る方法としては、説明義務を設けるとか、ガイドラインを示すとか、そうした御意見を頂いています。
 労働社会保険の適用促進の部分については、派遣労働者のこれらの保険への加入率はパートと比べても高いので、派遣に限定して加入促進の対策を講じる必要性は低いのではないかという御意見を頂いています。
 派遣労働者のキャリアアップ措置ですが、4ページにお進みいただき、1つ目と2つ目の○は対象とする方々の話です。正に正社員を望んでいるけれども、なれなかったので派遣で働いているという方には、派遣が職業能力を伸ばす場として活用できるようにすべき。2つ目は、キャリアアップを御自身が希望されない方や家計補助的に働きたい方については、こうした方々までキャリアアップ措置が必要ということではないという御意見です。3つ目と4つ目の○については、キャリアアップにどういった主体が関わるかといった御意見でして、派遣元や派遣先にはインセンティブは低いので主体になるのは難しい、どのようにバックアップするかを考えるべきである、といった御意見です。4つ目ですが、キャリアアップは実際の仕事の中で実現していくものであるので、派遣先にも人材を育てていく意識を持ってもらうことが必要ということです。
 その他の御意見としては、常時雇用の中でも、無期の方が教育訓練の受講率は高くて、能力開発の面でもメリットがあるという御意見とか、派遣はもともとジョブ型の外部労働市場であるので、いろいろな職場で働くことが本来の姿であって、若い人や特に正社員を希望している方々には、キャリアアップのためにも様々な職場で様々な経験を積んでいただくことが必要といった御意見を頂いています。
 最後、その他の御議論を8としてまとめています。特定目的行為、いわゆる事前面接の在り方については、平成20年の報告を受けて御議論いただいているところですが、仮に無期雇用のものであれば事前面接を解禁するとしても、2に挙げているように、複数を連れていって、そこから選別するといったケースは解禁すべきではないといった御意見とか、無期雇用のものに解禁するとしても、2つ目の○ですが、性別による差別の禁止等、一定のルールを設けるべきであるといった御意見です。その他、事前面接等をしなくても的確にマッチングするのが派遣先の能力であって、現行のままでもよいのではないかといった御意見を頂いています。
 (2)として、「無許可・無届け事業所に対する指導監督の在り方」ですが、こちらはこうした会社があるために業界全体のイメージが悪化しているということで、こうした所に対する行政処分を行えるようにすべきとか、こうした所に改善命令などを行うことができるのかどうか、技術的な検討が必要といった御意見を頂いています。以上、資料4についての御説明は以上です。
○鎌田座長 ありがとうございます。議論に入る前に、本日の資料1から4まで御説明ありましたが、これについて何か御質問がありますでしょうか。御質問があればこれからの中身の議論の中で御指摘いただければと思います。
 それでは、中身の議論に入りたいと思いますが、改正法の施行状況と今まで御議論いただいた事項ということで、大きく2つに分かれておりますので、これも分けて皆さんに御意見を頂きたいと思います。まず最初に、改正法の施行状況について委員の皆様からの御意見をお願いします。
 質問ではないのですが、東京、大阪、愛知の各労働局から情報提供を頂いたということですが、この3つから頂いたということは、何か理由があるのでしょうか。
○富田課長 本来であれば全労働局から情報を取るべきだと思ってはいるのですが、時間的な、余裕的な問題、あるいは事例がたくさん集積しましたので、大規模局だということがありますので、大規模局から取れば、ある程度の情報は取れるという認識で、3局に限定してやらせていただいたということです。また、今後も引き続き、各労働局から情報は取っていきたいと思っております。
○鎌田座長 ありがとうございます。大規模な地域ということで、当面ということで情報提供いただいたということであります。
○木村委員 状況から検討すべきことを述べればいいということですね。
○鎌田座長 はい。
○木村委員 まだ期間が経っていないということもあるのでしょうけれども、問題が比較的見えやすいところについて、特に気づいたところを申し上げますが、まず2番のマージン率の公表で、「対応はこれからという所が多い」とあるのですが、施行状況を見るということ以上に、まずはこれが本当に意味があるのかどうかということですね。そういった点も踏まえて、少し議論が必要かなということがあります。そこに派遣料金の切下げであるとか、労働局からの指導を懸念するとかいう声があるのですが、マージン率が高いとどうなのかとか、低いとどうなのかとか、それが結局派遣労働者の待遇改善になるかというと、例えばマージン率が低くて、若干派遣労働者の給料が高くても、それが例えば派遣会社で働いている、派遣社員の管理をしている人の労働条件を切り下げているとか、派遣労働者への各種サービスが損なわれているとかいうこともありますので、単に数字で公表するということで意味があるのかどうかを検討したほうがよろしいのかなと思います。
 あとは、6番の日雇派遣なのですが、やはりいろいろと意見が多いところではありますが、今回の改正法で例外として学生さんとか収入条件とかありましたが、結局労働者の声も出ているように、実際に本当に働きたい人の場が失われたとか、紹介して事実上日雇派遣になっていて、特に安全管理にも差がないとか、日雇派遣を原則禁止して守るべき労働者というところがちょっとずれているかもしれないというところの、原則禁止のあり方、禁止するかどうかも含めて、議論が必要ではないかと思います。
 あとは、7番の離職後1年の派遣禁止ですけれども、ここのルール化の問合せ・意見の所ですが、定年退職の例外とはならない。定年で退職しないと例外とはならないというのが、抜けているところだと思いますので、定年でなくて高齢期に就職した人の扱いもきちんと決める必要があるかなと思います。以上です。
○鎌田座長 そのほか。
○竹内(奥野)委員 「改正派遣法の施行状況について」の2ページの4、均衡を考慮した待遇の確保の対応状況の4つ目では、均衡を考慮した待遇を配慮しなければいけないというのは、派遣元の義務であるわけですが、派遣元が義務を果たすに当たっては、特に派遣先の同種の業務に従事する労働者との賃金水準を考慮していくというような場合においては、やはりその情報が必要であると思います。情報が必要であるということだと、もちろん派遣元が頑張って取ってくるというようなことも必要かと思いますが、派遣先がそれにきちんと協力をするということが欠かせないという気がいたします。この点について、何らかの規定があるかどうか確認はし切れていませんが、この点について派遣先がどこまでできるかは議論の余地が十分あろうかと思いますが、派遣先が均衡を考慮した待遇の確保の実現に向けて、何らかの協力を求めるという余地がないかについては、検討をする必要があると思います。
 次に、6番目の日雇派遣のところで、今、木村委員からもありましたが、日雇であってもそのような働き方が全くないというような場合に比べて、職が失われてしまうということが問題で、日雇で働きたいというニーズとの関係で、原則禁止を見直すべきだという御意見があったかと思います。そのような主張はありうるところだとは思いますが、施行直後の状況ですので、数字や傾向という点では、ある程度慎重にこれらの声を見ていく必要も他方であろうかと思います。必ずしも原則禁止を見直すことに、現段階で確たる結論というのは私にはまだありませんが、その点は必要かと思います。
 あと、6の(1)の2つ目に、日々紹介へ移行とありまして、そこで先ほども御意見ありましたが、安全管理体制が不十分な形で日々紹介になっているというところがありますが、法的に見れば日々紹介の場合ですと、それまで派遣先に相当していた主体が、正しく雇用主というような形になるわけでして、派遣先に相当する主体について法的に言えばむしろこちらのほうがフルに安全管理も含めて責任をとっていることになります。そうすると、日々紹介へ移行して、しかし実態は日雇派遣となっているというのが何が問題か、というと、法規制の内容的には実は余り問題な状況はなくて、きちんと法規制の履行の確保ができているかどうかに問題があるのだと思います。そして、このような意見があるというのは、むしろ、逆に日雇派遣のほうが、安全管理体制について派遣先がちゃんと責任をとっていない状態ではないかという見方も可能かと思います。そのような意味では、日々紹介に移行していることで、安全管理体制が不十分というような記述もありますが、日雇派遣の場合と日々紹介と、どちらが問題かどうかというのは、もう少し確認をして議論をする必要があるかと思います。以上です。
○小野委員 若干そもそも論でもあるのですが、改正派遣法が施行をされている中で、どこまで意見を言ってどうなるのかという疑問も多少あるのですが、2つです。
 1点目のグループ企業内派遣の8割規制についてですが、私の認識では、常用代替を防ぐために8割規制というのが入れられた経緯ではないかと思っていますが、それは間違いないですか。
○鎌田座長 そうです。
○小野委員 ですよね。
○鎌田座長 労働市場における有効な派遣事業の活用ということで、常用代替とはちょっと違うのですね。
○小野委員 ちょっと違いますか。大部、長い間、グループ企業内派遣というのは議論されてきていたと思うのですが、商社であったりとか金融で、いわゆるその一般職の、主に女性の事務職の方たちが、グループ内の子会社の派遣会社に移行させられて、そこから派遣社員として派遣をされるという状況が多く見られた時代に、これを入れようという経緯があったかなと思ったりしていたのですが、どうでしょうか、違いますか。
○阿部委員 1つはそれもあると思いますが。
○小野委員 かなり状況としては変わってきて、グループ内派遣の1つの子会社で8割というのはあるとは思うのですが、合併などをして、8割に満たないのだけれども、5割5割とか、3割3割とかというような形で、企業の規模は大きくなっていて、派遣している派遣先というのは、余り変わっていないという状況もあったりするのです。
 今回の議事録にもありますが、例えば正社員を派遣に代替していくというようなことが防止できるかといったら、私はちょっと疑問もありまして、例えば今逆に派遣会社から直接雇用に転換していくということが派遣先に起こっているのですが、それが直接雇用ではあるけれども、非正社員の形の直接雇用として転換しているということもありますので、同じ非正社員の中での代替というような形で、こっちを抑えたらこっちが上がるという形でしか動かないのかなという気があります。そういう意味において、このグループ企業内派遣の8割規制というのが、どれくらい有効かというのは、ちょっと疑問なところではあります。私の見解から申し上げました。
 それともう1つですが、日雇派遣の原則禁止ということに関しては、やはり派遣労働の労働市場の中での機能が奪われているような気もします。今回調査でとられた集計の中にもありますが、やはり迅速な人員調達というものが一番に派遣労働を使う理由として挙げられているというところがあります。やはり日雇で、今、明日ほしいから、1週間ぐらいの短期間で何か仕事をバッとやらなきゃいけないから、人がほしいと言ったときに、それを瞬時に人を確保できないところが、かなり厳しいかなという気はします。とは言うものの、先ほどあったように、安全衛生であったりとか、いろいろな面については、確かに抜け落ちている部分もあるなという認識もあるので、その辺はどう落とし所をつけるかというところが課題だと思います。やはり派遣先にもどういう所で就業させるかという責任はある程度人を働かせる職場として持ってもらわないと困るなというところもあるので、やはり安全衛生については、派遣先と派遣元で両方で見ていってもらわないと困るなという気はいたします。その部分がクリアできれば、私は日雇派遣はやってもいいのではないかなという印象は持っています。以上です。
○山川委員 1つは質問を含みますが、グループ企業内派遣の8割規制につきまして、先ほど来、その位置づけについて若干御議論があったかと思いますが、1つは理念的にはやはり派遣というのは労働力のマッチングのシステムで、いわば外部労働市場的な事業モデルです。ところがグループ企業内での派遣はいわば人事部のような役割になる場合があり、それはある意味では常用代替に近いことになりうる。あるグループ内の企業の間での労働者の遣り繰りみたいな形で、常用代替の機能を含むということへの懸念も結果的には含むのかなという感じはします。
 質問として考えておりましたのは、この規制への対応として派遣元間での紹介を行って、派遣割合を下げて、その場合の派遣料金の数パーセントを手数料として徴収しているという状況が報告されているわけですが、これが法的にどのような評価をうけるかというか、問題があるのかどうかという点も含めてお伺いしたいのですが。
 もう1つは、日雇派遣についてですが、それはかなり竹内先生や小野先生の言われたことと共通していますが、やはり安全衛生の問題が気になります。もともと平成20年の研究会報告でも短期であるということ自体の問題というよりも、短期であるがゆえに、雇用主としての責任を果たせないというのではないかということが、この問題の出発点にあったという感じがあります。当時は研究会報告では原則禁止というような明示的な位置づけであったかどうか、やや疑問があるところですが、そこで議論されたときには、紹介に移ることが考えられるが、紹介に移ったとしても、同じような問題が発生するのではないかというような指摘もあったかもしれません。もしここに書かれているようなことが出てきているとすると日々紹介とか日々雇用になった場合の、雇用主の安全管理責任自体の問題ではないかと。それはこの研究会で取り上げる対象ではないのかもしれませんが、世の中には従来から日々雇用という形態はあったわけですので、そこで安全管理責任がどうなっているのか。その辺りにもしかして問題があるのかどうか検討して、あったらやはり別途、直用であっても問題があるという観点からの対応が必要になるかもしれないという気がします。以上です。
○阿部委員 まず、グループ企業内派遣の8割規制ですが、これ、今まで議論されたとおりですが、多分1つ、当時というか、相当前のところでは、それまで社内で働いていた人をグループ企業の中の派遣会社に移して、それで派遣してもらう。それで事実上の条件の切下げを当初やっていたということもあって、規制をかける。あと、それ以外のことも今までお話されたとおりですけれども、問合せや意見のところでいろいろ出ていますが、もちろんグループ内の内部事情や専門的知識に通じた人材を活かしていくというのは、もちろん8割規制をクリアできれば別にそれは可能であって、ほかの派遣先を探してくれる努力をすればいいのに、しないだけとしか私には理解できなくて、なぜ派遣会社をやっているのでしょうかということになりかねないのではないかと思うのです。それが顕著に表われるのは、是正指導を受けても是正困難というのは、その他の派遣先を探す意思がないのではないかというところがあるのではないか。あるいはもともとそういうことができないのではないか。もしこういうことがあるのであれば、別に派遣会社を作る必要はなくて、直接雇用でやればよくて、例えば、スーパーマーケットとか、百貨店などは、直接雇用でも様々な従業員をうまく雇い入れて活用しているわけで、それができるのではないかと思うのです。
 そういう意味では、ある人が本社の人事が、最近イノベーションを起こしていないと言っていましたが、イノベーションが全くできていないという人事制度が問題なのではないかと思うのです。特にグループ企業内ですから、本社とグループ会社の関係ですから、やはりそれは本社の人事部がしっかりしろというように私は言いたいです。
 マージン率については、平成20年度の研究会で余り想定していなかった問題が起きているなという気はしています。特にマージン率の中には、社会保険料ですとか、あるいは教育訓練費用とか、マージン率には含まれるわけですね。そういうことを積極的にやればやるほどマージン率が大きくなってしまって、外見的には搾取しているのではないかとか、そのように思われてしまったり、したがって賃金切下げをしようという交渉になってしまうわけで、そうすると良い会社ほど逆に悪い面が出てしまうという、ちょっと問題かなと思っておりますので、マージン率の中身を見せられるような仕組みをうまく作れるといいなという思いがしました。当時このマージン率がなぜ公表されたかという時には搾取の問題が相当あったのではないかと思います。
 それから、均衡を考慮した待遇の確保のところですが、これ、非常にやはり難しいなということで、それはやはり外部労働市場で受給調整される、派遣労働者と企業内の労働市場で調整される正社員と比較することの難しさがやはり表われているのではないかと思います。それをどのように考えるのかというのは、ちょっと難しいですし、今後、いわゆるジョブ型雇用で、そういう市場が創出されてくれば、マーケットで決まる賃金が、もしかしたらこの派遣労働者の賃金に適用されていく可能性はあるかもしれませんが、まだこれからですので、ちょっとそこのところは難しいような気がします。
 日雇派遣のところは、先ほど竹内委員がおっしゃったとおりで、安全衛生管理の責任の所在がはっきりすれば、まず1つ大事なポイントだろうと思うのです。従来の日雇派遣の場合には、責任の所在が曖昧だったというところが問題であって、日々雇用や日々紹介に移ったことで、それが昔の派遣元、だからいまの雇用主に責任の所在があるということがはっきりしたというのが大きく一歩前進したのではないかと思います。ただ、それは責任の所在であって、実際にどれだけ安全衛生管理を積極的にやるかどうかは、それはまた別の話ではあるのですが、それが問題ではなくて、むしろ責任の所在の問題だったというところが大事だろうと思います。前の研究会の議論では、日雇派遣と日々紹介で技術的にどちらも可能ではないかという議論をしたわけです。結局同じようなことしかやっていないわけだから、日々紹介へ移行してもいいのではないかというようなことでした。ただ、日々紹介と日雇派遣の違いは、雇用主が違うということで、大きく違うところであります。もし日雇派遣であっても、雇用主、つまり派遣元と、派遣労働者の雇用契約がしっかりして、責任の所在が明らかになるような仕組みが導入されれば、日雇派遣を今原則禁止されているわけですが、原則禁止ではなくてもいいかもしれないというようなことは思ってはいます。つまり、これまで出てきたいろいろな問題、特に安全衛生の責任の所在や、あるいは派遣労働者がどこに所在しているかがすぐ分かって、何かケアができるとか、そういうことがしっかりできるようであれば、もしかしたら日雇派遣を禁止しなくてもよかったかなということは思います。あるいはこれから禁止をしなくてもいいのではないかとは思います。
○鎌田座長 よろしいですか。
○阿部委員 はい。
○小野委員 付け足しで、先ほどの日雇派遣のところで、4ページの6の労働者の意見の所は、非常に重要だと思っています。収入要件が高過ぎる。収入が少ないため、少しでも収入を得たいという人が働けないのはおかしいということで、私も日雇の方にヒアリングをしたりとか、11年に短期派遣に関する論文も書きましたが、メンタル的病歴が以前にあるような方が、かなり多く日雇の中に含まれているという現実です。彼らが言うのは、日雇でしかある意味働けないからここで働いているのに、ここの職を取られてしまったら、一体何で働いたらいいのだということを強くおっしゃっていたということがあります。だから、日雇派遣はなくさないでほしいというように訴えられた記憶があります。ですから、そこがなくなってしまうと、生活保護になるしかないという現実もありますので、収入要件というものがやはりちょっときついかなというのと、例外規定をどのようにするかという問題はやはり色濃いなということがあります。そういう方たちが多いということは、ある意味そこの部分でそういう方たちを行政の政策的につかめるということがありますので、ある意味就業支援みたいなものを両輪にしたような政策を打てるという可能性もあるのですよね。ですので、そこをなしに禁止だけするというのは、ちょっと今回の法律は厳しかったかなと思っております。
○鎌田座長 どうもありがとうございます。私も少し意見を言わせていただきたいのですが、皆さんに論点を提示してこんなことを言うのも何かおかしいのですが、どうしても法ができてしまいますと、細かな実態が、具合の悪いところが浮き彫りになって指摘されますので、そういったことから、もう少し広い視野に立って、以前議論された状況も踏まえながら、こういった規定が導入された背景をつぶさに調べながら、議論をすべきではないかと思っております。それが総論として私が感じることです。
 いくつか御指摘いただいたもので、それぞれ私なりの感想もあるのですが、1つは日雇派遣のところについて、私の感想も申し上げたいのですが、これも今申しましたように、当時、研究会の中で日雇派遣をどのようにするかということで、非常に社会的な問題としても議論をされたテーマでもありました。皆さんも御存じかと思いますが、やはり安全衛生にとどまらず、派遣元においてやや不明瞭な手数料が控除されているという実態もありました。つまり、様々な面で、派遣先の安全管理、衛生管理、それから派遣元の派遣会社としての労務管理、労働基準法などの法適用の履行においても、様々な問題が社会的に指摘され、大きな問題となっていました。それは先ほど山川委員がおっしゃったように、やはり短期、それも超短期の派遣の雇用主の責任というのは、果たして十分果たされるものであろうかどうかということが、議論の中でクローズアップされたわけであります。しかし、日雇派遣に対するニーズもあるという中で、その代替的な機能として、例えば日々紹介とか、そのほかの人材サービスの中で、いろいろなニーズをうまく活用できるのではないかということも議論をされていたわけです。その中で、今1つの事実が、日々紹介の問題点も、恐らく問題点という形で指摘されているものがここに出てきたのかなというように思っています。それはそれとして、やはりそのような日々の雇用、短期の雇用を求める労働者の希望をどのように確保していくかということが、非常に重要な課題であり、これは必ずしも民間のサービス事業にとどまらず、公的な職業安定行政の中でしっかり確保するということが、全体として取り組む課題であると思っておりますので、短期の雇用に関する労働者の希望をどのように適正な就業環境の中で確保していくかということが、改めて求められているのではないかということだと思います。
 そのようないわば大きな流れの中で、例外についてもいくつか御議論があるということは、私も理解をしておりますし、とりわけ今小野委員がおっしゃったように、年収要件についても御批判を私自身も受けております。ただ私としては、今言ったような、日雇派遣に対する問題点を全体の流れ、本筋を見誤らずに、どういう形で例外を認めるのか、派遣労働者の就業環境が確保される本筋をふまえたうえで、どのような例外を認めていくかという方向性については御確認をいただいて、更に派遣労働者の人たちの様々なニーズに応えていくことが肝要かと思っております。
 あと、途中、事務局に御質問があって、山川委員からでしたね。グループ企業内派遣の8割規制の所の対応状況のポツの2番目に、派遣元間での派遣先の紹介を行い、派遣を行っている間、派遣料金の数パーセントを手数料として徴収しているという、このようなことが法的にどう位置づけられるのだろうかということでしたが、もしよろしければ御質問に答えてください。
○富田課長 まずは、たくさん御意見を頂戴しましてありがとうございました。基本的にちょっとスタンスをまず明確にしておかないといけないと思うのですけれども、厚労省のほうは、改正派遣法、これは労働政策審議会、それから国会で御議論いただきまして、10月1日に施行されたばかりでございまして、国としてはそれをしっかりと検証するということが重要なことだと思っております。ただ、法律が施行されて半年、その状況を明らかにするということは、各方面でいろいろな御意見や御要望が出ている中で、この研究会の先生にも御意見を頂くことが重要かと思いまして、同省とも相談の上、このようにさせていただいたということがございます。私どもも余りスクリーニングせずに、生の声をお伝えしましたので、私どもから見てもかなり厳しい御意見もあろうかと思います。それに対しては、私どもの周知不足というようなこともあろうかと思いますので、それが100%制度の問題かというと、そこはちょっと分けて考えないといけないということは思っております。
 その上で、御質問に対してお答えするわけですが、グループ企業の派遣の2番目のポツの所です。これは労働局のほうで指導あるいは相談に乗っている中で、このようなことを情報として入手したということだろうと思いますが、これもこれだけの情報しかありませんので、違法かどうかということは、一概に判断できないということですが、仮に二重派遣のような形になっているということがあれば、これは違法派遣事業に当たるおそれがありますので、指導していくということになろうかと思います。これ以上の情報が今のところありませんので、現時点はその程度にさせてください。
○宮川部長 先ほど小野委員からのお話にもありましたように、日雇派遣を原則禁止したことによる、一種の批判みたいなものがいろいろ出てきていることは間違いないことですが、当時は、職業安定行政全体として取り組んでいくという中で、先ほど申しましたように、メンタル的な面で、なかなか、現実の日雇派遣的な仕事にしか就けなかったというような方々に対して、例えばキャリアアップハローワーク、若者ハローワークのような形で、派遣のみならずいわゆる様々な非正規という形で働いている方々の、より安定した働き方についての御相談、その中ではキャリアコンサルタントとか、あるいは臨床心理士の方も含めて、いろいろな取組をやっているという形の中で、そういうところに誘導していくというのが1つの在り方としてあるべきだし、今後充実していかなければならないというように考えています。若者雇用対策という意味においても、そこのところはやっていかなければならないと思っております。
○鎌田座長 ということで、今後もう少し様々なデータが揃った中で、そういったような新たな制度の導入の経緯を踏まえて、御議論する機会が得られればと思っておりますので、この部分についての御議論は以上ということで次に移ってよろしいでしょうか。
 それでは、次にこれまでの研究会の議論についてのまとめというか、整理をしていただいたわけですが、資料2の御議論いただきたい事項の2の「研究会におけるこれまでの主な議論について」ということで、1から8までのまとめの要点だけを示していただいていますが、内容については資料4に各委員の御発言をまとめたものが載っておりますので、各委員の皆さん、こういった趣旨で言ったつもりだけどとか、あるいは論点として、もう少しこういった点も追加したらどうだろうかということがあれば、お話を頂ければと思います。どの点についてでも結構ですので、どうぞ、御意見を頂たいと思います。
○山川委員 特になければ、抽象的なお話になろうかと思いますが、前半の議論でも出てきた、派遣元企業がどの程度ビジネスを積極的にやっているかという点です。労働者派遣というものが外部労働市場の中でマッチング機能を果たすということは、その派遣会社自身も市場機能の中でいろいろ評価を受けていくという位置づけになるのではないか。ある意味で、ジョブホッピングのような現象が、特に登録型だと起きるわけですよね。そうすると、これまで議論が出てきたと思いますが、優良企業や健全な企業をより積極的に育成していく、あるいは派遣先が、派遣労働者もそうですが、きちんと優良企業を選別できるような仕組みをつくっていくこと、制度的なことではないのかもしれませんが、ユーザーが優良企業を選別することを促進する仕組みを考える必要があるのではないかと思います。先ほど、阿部先生からも若干グループ内のところで議論があったところです。
 例えば、紹介予定派遣が選択可能メニューとしてありますよということを、より積極的に使いたい企業や労働者が分かるようにするとか、マージン率も同じ話で、これは結局多少マージンが高くてもそれだけのメリットを関係者に与えますよというような宣伝や情報提供がどれだけできるかなど、周知の話にもなるかもしれませんが、そういう形で市場が健全に機能するような仕組みを支援していく必要があるのではないか。あるいは業界団体の役割も関係あるかもしれません。視点だけで申し訳ないのですが、そういうことがありうるかなと思います。
○小野委員 今、山川先生がおっしゃっていただいたことと全く同じようなことを考えています。4ページに、無許可、無届事業所に対する指導監督の在り方と書かれておりますが、そこでも派遣業界の全体のイメージが悪化している中で、悪質なものを排除するということもあります。逆に、いいことをやっている所については、より前面に押し出していくことも重要かなと思っています。先ほどの日雇のところでもありましたが、きちんと雇用責任を果たしているような事業者であれば日雇も大丈夫としてもいいかなとも思いますし、例えば派遣労働者にはキャリアを伸ばしたいという人もいれば、ワーク・ライフ・バランスを重視したいという人もいらっしゃるので、例えばキャリアアップ派遣をすごく重点的にやっているような派遣会社や、ワーク・ライフ・バランスで主婦の方を雇って短時間で働かせて残業がないような所でうまく仕事を与えるようなワーク・ライフ・バランス派遣のようなものを重視してやっているというような、システム的に派遣労働をある意味分けていい取組をやっている所を推奨してあげることは、重要かなと思います。
 やはり、派遣元として派遣労働者を使い捨てにしていないいい派遣をやっている所を峻別して前に出すところは重要かなと思っています。ですから、どこにどう入れるかは少し議論の余地があると思います。
○富田課長 山川委員と小野委員から、今コメントをいただきました。優良の企業を選別する、あるいはPRする仕組みがないのかということです。本研究会は、制度的なものに関わることについて議論いただいているわけですので、議論の対象に挙がっていなかったわけです。実は、別途私どもの事業として、優良派遣事業者の認定制度のようなことを、今年度から新しく立ち上げていまして、今、どのような優良な派遣と認定するのかという基準を、まだ平成25年度予算が成立しておりませんので、予算成立後になるかと思いますが、始めます。その基準に従いまして、このような所は優良企業ではないですかということは認定をしていき、将来的にはそれを厚労省のホームページ等でもPRしていくことはやれないかなということを、現在考えています。ですから、このような制度的なことと併せて、そういうこともやっていくことは必要だと事務局としても思っております。
○鎌田座長 ということで、どうぞ、自由に発言してください。
○木村委員 さらに深めるべき論点ということで、一番疑問が残っているというか、どうしたらいいのかというところは、資料4の2ページの(3)の業務と人について、条件設定をするとしたときに、どちらでやるべきかという話です。それぞれ、業務のメリット、デメリット、人のメリット、デメリットがあります。あと、これに付け加えるとしたら、派遣労働者本人の希望をどう組み入れるかということもあると思うのですが、ただ個人の希望はマクロの常用代替の話と別になってしまうので、必ずしも個人が希望すればいいということではないと思います。今後の法律を考えているときに、結局どちらがいいのかということなのですが、今私が答えを出せる力はないのですが、どちらを単位とするかという議論を深めるべきではないかということだけ申し上げておきたいと思います。
○鎌田座長 今は、どの部分を指摘いただいたのですか。
○木村委員 資料4の2ページの業務と人についての所です。派遣の2ページの一番下です。期間制限の在り方です。
○鎌田座長 そのほかはありませんか。
○竹内(奥野)委員 先ほど、前半の議論で申し上げたことと同じですが、3ページの6、派遣労働者の処遇についてです。もちろん労働条件をどのように設定するかは、労働契約の相手方であるところの派遣元が最終的に義務を負う形になるのは、それでよろしいわけです。ただ、均衡処遇を実現する、あるいはより公正な処遇を実現していくというような観点では、特に派遣先と何らかの対比、参照して公正な処遇をしていくというような観点では、先ほど申し上げたとおり派遣先の働きぶりがどうであるかという情報が欠かせないと思います。情報提供以上に派遣先に何ができるかというと、少しそこは難しいかもしれませんが、今申し上げた労働条件の状況に関する情報の提供等、派遣先も均衡処遇の実現についてできることが何かないかは、少なくとも最低限検討を加えてもよいのではないかという気がします。
○富田課長 均衡待遇の派遣先の情報提供については、実は派遣先が講ずる措置に関する指針があります。その中で、派遣先は賃金水準や教育水準等の事情を、派遣元が把握するために必要な情報を提供するというようなことが、指針で定めなければならないものとして書かれています。お手元の法令集でいきますと、1535ページぐらいを参照いただければと思います。
○竹内(奥野)委員 1点補足します。そのような形で指針があることのご指摘、ありがとうございます。不勉強失礼いたしました。そのうえで、このような法律は、やはり施行していってある程度時間を掛けつつ規範を浸透させていくところもあろうかと思いますが、指針は、御存じかとは思いますが、法的な拘束力はないわけで、そのままでいいかどうかは中長期的な課題になるかもしれません。法的規範のレベルとしてどのようなところで規制するかも含めて検討する余地はあるかなということも補足したいと思います。
○鎌田座長 ほかの委員の皆さん、何かありますか。
○阿部委員 紹介予定派遣を、もう少し議論したいなというところはあります。やはり、今回のデータでも19%しかやっていないですね。5社に1社しかやっていませんし、多分派遣会社の規模を見ても、比較的零細な所も多いので、そういう所が職業紹介予定派遣のノウハウがない、あるいは職業紹介の免許を取得しづらいのかなという気はします。どうして、余り紹介予定派遣があるのに使われないのかというところが、少し興味があります。
 ただ、一方で企業側も余りそういう機能を使おうとしていないのはなぜか、あるいは派遣労働者もそこそこ使いたそうなのだけれども現実に使えていないのかなと。その辺りが、どういうところに問題があるのかを少し見てみたい気はします。
○鎌田座長 今の質問なのですが、あとからデータの話を指摘いただくと思うのですが、現状であとから説明いただく予定のデータで、余り利用が多くないことが伺われるようなデータはありますか。突然ですみません。
○富田課長 本日お配りしております資料5でいいますと、15ページに表37が上のほうに出てきます。これで、紹介予定派遣の実施状況と小さい字で書いてあります。これを見ますと、「不明」というのが一番多いのですが、今後とも行う予定がないというのが、「行っている、現在行っていない」に比べると多い数字になっています。「行っていない、あるいは行えない理由について」、これは結構大きな数字が出ておりまして、総数と同じです。顧客からの需要がないというのが82.7%と。ですから、阿部先生がおっしゃるとおり、派遣先のニーズがないことが非常に大きいです。それから、その隣ですが、希望する派遣労働者がいない、少ないが続いてあります。これは、派遣先にも聞いておりまして。
○阿部委員 派遣先は、「今後とも紹介予定を利用する予定がない」が76.7%ですね。
○富田課長 そうですね。ですから、同じような傾向が出ていることが、この統計上からうかがえます。
○阿部委員 ただ、派遣労働者の場合は、「希望する」や、「派遣先によっては希望する」を合わせると、大体30%はいるのですね。「希望しない」と答えているのは32%で、「分からない」が37%ということで、そんなにいないわけでもないような気もするのですね。
○小野委員 JILPTでやった調査では、紹介予定派遣のほかに通常派遣を経て正社員に転換しているのも取っているのですね。これは、実態として派遣元がどれだけ把握しているかにもよりますが、アンダーでやられていることもあるので、その数値を取ったところ、大体紹介予定の規模より3.5倍ぐらいあると。ですから、紹介予定派遣は2010年度で全国で2万3,000人ぐらいなのですが、恐らく今は8万人弱ぐらいは通常派遣を経て引き抜かれているケースはあるだろうと。ここを見ても、顧客からの需要が少ないというのは、紹介予定派遣に関しての需要が少ないのであって、紹介予定派遣以外の方法での転換の需要はもしかしたらあるのではないかと思ったりします。ですから、ある意味紹介予定派遣よりもアンダーでやられている引抜きが3倍ぐらいある状況は、いいのかどうかということですよね。逆でしたらいいのですが。
○鎌田座長 それは、紹介手数料などという細かな掘り下げたような質問はないわけですか。
○小野委員 それはないです。
○鎌田座長 なぜ、そのようなギャップが出るかというような。
○小野委員 はい。ですから、紹介予定派遣でどれだけギャップが出て、なぜ通常派遣で引抜きのほうに流れていってしまうのかは、少し調べてみないと分からないですよね。しかし、何だかこちらに流れるのはあるのだろうという気はします。
○富田課長 恐らく、その辺りは小野先生と木村先生のほうが私よりも十分詳しいと思います。私どもも、企業ヒアリングに幾つかお邪魔しています。私からも、紹介予定派遣が何で使われないのでしょうかと聞いたことがあります。これは、一部の派遣会社の話ですから一般化できないかもしれませんが、その派遣会社の方が言っておられたのは、顧客、要するに派遣先は即戦力を求めると。ですから、人が欲しいのであれば直接雇用で雇いたいと、紹介予定派遣を経ずにすぐに人が欲しいのだというようなことを言われていました。逆に言うと、紹介予定派遣のメリットが余り周知されていない可能性があります。確かに、経営者団体の会合などでも、紹介予定派遣の御説明をするときに、企業の人事担当の方やトップ層の方が「そんなものは知らなかった」と言われることもあります。ですから、恥ずかしい話ですから、私どもの周知不足もあるかなとは思っております。
○鎌田座長 紹介予定派遣については、今御議論いただいたところで、項目として1つここで立ち上げてみましょうか。それが、なぜ活用度が低いのかはいろいろな議論もあるかとは思いますが、もしそれが今のシステムの問題、あるいは宣伝、PRの問題などいろいろあると思いますが、システムの問題であるとすれば、そこは少し改善を考えなければいけないと思っていますので、1つ項目として立ち上げてみてはどうかと思っています。そのほか、何かありますか。
○山川委員 先程来、周知の話が出ておりますが、例えば指針ですと、派遣先も派遣元も関係法令等を関係者に周知することになっています。その辺りを、もっと充実することがあり得るのではないかと思います。例えば、派遣労働者に明示するのは就業条件なのですが、一体派遣法がどういう仕組みをもっていて、例えば派遣元や派遣先はどういうことをやらなければいけないかを、もう少し派遣労働者になるべき人に周知することもあり得るのではないかという感じはします。条文に作るかどうかはともかく、周知の中でいろいろと議論が出ていまして、紹介予定派遣を使えるかどうかもその内容に入るかもしれません。
 ちなみに、これは派遣の話ではないのですが、アメリカでは、労働法の内容を周知させるポスターの掲示を使用者に義務づけることができるかが判例で問題になっていますが、周知の在り方を就業条件以外に広げていくこと、これは一方で、労働者教育などの話でもありますし、公的な周知の話でもあるのですが、企業の中でもそういったことを促進するようなことが考えられないかという点も、1つあり得るかなと思います。
○鎌田座長 結構大きな問題ですね。取り分け、外国人の方が絡むようなときは、いろいろな問題というか周知の仕方については工夫が必要だということで議論したような記憶があります。今おっしゃったのは、一般的にということですね。
○山川委員 はい。
○鎌田座長 よろしいですか。では、前回の調査記録を皆さんに御議論いただき、幾つかクロス集計をしていただきました。その説明と、御意見を伺いたいと思います。事務局から説明をお願いします。
○亀井補佐 資料5について、ポイントを簡単に説明いたします。資料5は、前回お出しした労働者派遣の実態に関するアンケート調査について、派遣元については特定と一般、労働者については男女別にクロス集計を行ったものです。時間が限られておりますので、特徴的な面が出ている部分に絞って説明いたします。
 1ページの表3を御覧ください。労働者派遣事業を行っている事業所数ですが、一般のほうが1社辺りの事業者数が特定よりも多くなっています。続いて表6、労働者派遣事業のほかに行っている事業ですが、特定と一般を比較して見たときに、一般のほうが職業紹介事業と教育訓練事業を併せて行っている場合が多いことが見て取れるかと思います。2ページの表5、派遣労働者の人数です。こちらについては、(a)の常用雇用労働者数の欄を御覧ください。当たり前ですが、一般に比べて、特定のほうが割合が多い特徴があります。次に表6として、派遣労働者を無期雇用している理由ですが、こちらは「本人の希望があったため」という欄を御覧いただきますと、一般のほうが本人の希望で派遣労働者を無期雇用している割合が大きい傾向があります。
 表7から11までは、契約期間について業種ごとに一般と特定に分けておりますが、量が非常に膨大になりますので、恐縮ですが説明は省略いたします。9ページの表12を御覧ください。過去1年間に派遣先より派遣契約が中途解除されたことはあるかという部分ですが、こちらについては一般のほうが特定に比べて中途解除されたことがある割合が高い傾向が出ております。
 10ページの表15-1です。総数の集計がエクセルのミスで誤っております。総数は、正しくは270です。一般は250、特定は20ですが、その訂正を行っていただいた上で「常用雇用以外」の部分を御覧ください。一般のほうが、解雇した労働者が常用以外が多い傾向がみられます。11ページの表23、クーリング期間を経て同一の業務に再度派遣を行ったことがあるかです。こちらは、クーリング期間を経て同一の業務に再度派遣を行ったことがあると回答した割合が、一般のほうが高くなっている傾向があります。12ページ以降、表25から35までは、派遣労働者の処遇について、一般と特定に分けて見られるようにしておりますが、表の量が非常に多いですので、恐縮ですが説明は省略いたします。
 15ページを御覧ください。表36です。派遣労働者を無期雇用に転換した理由で、主なものを3点挙げていただいています。一般と特定で見たときに、「勤続年数が長くなったため」という部分については、一般のほうが顕著に高くなっています。その下の表37は、先ほど説明いたしましたが、紹介予定派遣の実施状況です。こちらは、一般のほうが行っている割合が高く、特定のほうは今後とも行う予定がないという回答が非常に高くなっております。
 16ページを御覧ください。表46です。紹介予定の派遣先で多い業種ですが、こちらは製造業の一般がほかの業種と比較して非常に高いことが見て取れます。特定のほうは、サンプルが小さいこともあり、これだけではなかなかというところかと思います。17ページからは、労働者調査を男女別に見たものです。表5、家庭を支えている主な収入を御覧ください。男女別に見たときに、男性は家計を支えている主な収入が自分という回答が72.4%ということで、主たる生計者が主であることが分かります。一方女性については、自分が43.4%ですが、配偶者及び自分と配偶者の割合も相当あり、男性と比べるといろいろということが見て取れるかと思います。若干これに関連してくるかと思いますが、表8、過去1年間に派遣労働により得た収入を御覧ください。男性は、100から700万円未満に掛けて分布しているのに比べますと、女性は100から300万円のところに集中している傾向があります。
 18ページを御覧ください。表11です。現在の雇用形態として、男女別に見たときに、男性は無期と有期が半々ですが、女性は有期雇用が非常に多いです。その下の表12は、派遣労働の形態ですが、男性は常用雇用型が非常に多くなっていますが、女性は常用雇用が半分強で、登録型が3割強といった形になっております。表15、現在派遣会社と結んでいる雇用期間を御覧ください。男性の契約期間は、30日から1年以内に多くが集まっていまして、それと期間の定め無しが34.8%に2分されるわけです。女性は、男性と比較したときに、30日超3か月以内が非常に多い傾向があります。
 19ページを御覧ください。現在就労している派遣先の業種ですが、男性については製造業が40.6%と非常に多くを占めています。一方、女性については、製造業も相当程度ありますが、男性と比較しますと、卸・小売業、金融保険業、病院、診療所などに分布していることが見て取れるかと思います。一方男性は、情報サービス業についても14.5%と高くなっております。表21-1と21-2は、政令26業務と26業務以外で就労状況を見たものです。21-1について、男性はソフトウエア開発が非常に多くなっており、女性は事務用機器操作、5号の業務が非常に多いです。21-2を御覧いただきますと、男性は物の製造が最も多く、女性は一般事務が最も多い形になっております。
 次に、表26と27を御覧ください。表26を御覧いただきますと、派遣就労をする直前の状況として、派遣以外の就労をしていたというのが、男性は58.4%、女性は62.1%です。20ページの派遣を選ぶ直前に就いていた職業を尋ねますと、男性は正社員が非常に多く67.8%、一方女性は正社員が49.2%と最も多いですが、パート・アルバイトも30.9%とかなりのボリュームになっています。
 表30、派遣という働き方を選んだ理由ですが、男性は女性と比較したときに、左から4つ目の「勤務地、勤務時期、勤務時間を選べる」といった回答が、低くなっています。それから、真ん中辺りの「私生活との両立が図れる」という回答においても、女性とかなりの差がついているということで、スタイルの違いが現れているのかなというところです。21ページを御覧ください。表34の「月収」ですが、先ほども収入の分布が男女で違うということを申し上げましたが、この表34においても、男性の場合は20万円超25万円以下が最も多く、一方女性の場合は15万円超20万円以下が最も多いということです。
 22ページを御覧ください。表44と45です。表44では、能力やスキルが向上したことにより、キャリアアップができたと感じたことということで、こちらでは男性と女性に余り差が見られませんが、表45でキャリアアップができた内容についてお尋ねしたときに、男性は真ん中の仕事の権限が広がったり、責任ある職務に就けたときにキャリアアップができたと感じる割合が非常に高いと。ついで、賃金が上がったと。仕事が高度になったというのは、男女ともに最も高いです。一方、女性は仕事の権限が広がったりという以上に、希望する会社や業種・職種に就けた割合が高く、ついで賃金が上がった。権限や責任はそれにつぐといった形になり、違いが出ているかと思います。
 24ページの表55を御覧ください。仕事におけるステップアップについての希望です。こちらについては、男性と女性で今とは違う雇用形態で働きたいという希望が、女性のほうが男性よりもかなり高くなっています。その下の表56、今後希望する働き方ですが、男性と女性を比較したときに、女性のほうが正社員として働きたい、無期パート、アルバイト、更に無期派遣といった形で働くことを望む方が男性よりも多い傾向が見て取れるかと思います。25ページ以降には、派遣先調査がありますが、こちらは単純集計のままですので、説明は省略いたします。
○鎌田座長 それでは、この資料について御質問、御意見があればお願いしたいと思います。
○小野委員 一番最後の24ページの今後希望する働き方で、男性のほうが今のままの働き方がよいと言っているのが、面白いなと思いました。派遣という働き方を選んだ理由で、男性は特に理由がないというのが多く、何だろうと思うのですが、何かその辺りとも関連するのかなと思いつつ、以前正社員で働いていた方が派遣に来ていることもあるので、もしかしたら正社員で働いているのが嫌になったのかなと。
○鎌田座長 そういうヒアリングがありましたね。
○小野委員 がむしゃらに正社員で働かされるのが嫌になったのかしらと、何となく推測をしたりするわけですが。ある意味、女性のほうが正社員として働きたい、あるいは無期で働きたいということをおっしゃっているということは、非常に積極的にキャリアを積みたいという意思があるのかなと見たいと思います。
○富田課長 今の点は、小野先生のような解釈もあると思うのですが、この実態調査、派遣労働者調査は実は前にも少し出ていましたが、常用派遣の方が多いという実態もありますので、無期かどうかは別にして、男性も常用派遣で安定している方が今のままでいいと答えている可能性はあるかと思います。
○小野委員 なるほど。少し気をつけなければいけないですね。
○鎌田座長 膨大なデータについて、今すぐコメントというのは難しいかもしれませんが、いろいろな形で活用していただくということで、もしお気づきのことがあれば事務局、あるいは皆さんでこの会議外でも共有するようなシステムをメールでも結構ですので、そうしていただければと思います。あるいは、事務局にこのようなデータが出ているのだが、その趣旨はどう理解したらいいのかというようなことで、少しコミュニケーションを取りながら進めていければと思っております。ということで、よろしいですか。今、ここで何かあればお受けいたしますが。ほかにもいろいろなデータが出ておりまして、それとの比較もしながら検討していきたいと思っています。このような貴重なデータをいただいておりますので、私どももこれをしっかりと活かしていきたいと思っております。
 時間もまいりましたので、本日はこの辺りで終了したいと思いますが、よろしいでしょうか。それでは、次回の日程について事務局からお願いします。
○亀井補佐 次回の日程は、現在調整を進めているところですので、また別途御相談をさせていただきます。
○鎌田座長 それでは、本日はどうもありがとうございました。


(了)

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