ホーム> 政策について> 審議会・研究会等> 厚生科学審議会(予防接種・ワクチン分科会 研究開発及び生産流通部会)> 第1回厚生科学審議会予防接種・ワクチン分科会研究開発及び生産・流通部会議事録(2013年5月23日)




2013年5月23日 第1回厚生科学審議会予防接種・ワクチン分科会研究開発及び生産・流通部会議事録

健康局結核感染症課

○日時

平成25年5月23日(木)18:30~20:00


○場所

厚生労働省省議室(9階)
(東京都千代田区霞が関1-2-2)


○議題

(1)厚生科学審議会予防接種・ワクチン分科会研究開発及び生産・流通部会について
(2)ワクチンの研究開発の促進及び生産基盤の確保について
(3)その他

○議事

○今井室長補佐 定刻になりましたので、ただいまより「第1回厚生科学審議会予防接種・ワクチン分科会 研究開発及び生産・流通部会」を開催いたします。
 本日は、御多忙のところ御出席をいただき、ありがとうございます。
 本日の議事は公開ですが、カメラ撮りは議事に入るまでとさせていただきますので、関係者の方々におかれましては、御協力をお願いいたします。
 また、傍聴の方は、傍聴の際の留意事項の遵守をお願いいたします。
 初めに、本日の委員の出欠状況について御報告いたします。現時点で、委員10名のうち8名の出席をいただいておりますので、厚生科学審議会の規定により、定足数に達しましたので、本日の会議は成立したことを御報告いたします。
 部会の開催に当たりまして、高島大臣官房審議官より御挨拶を申し上げます。
○高島大臣官房審議官 官房審議官の高島でございます。本日は大変お忙しい中、そしてまた夕方やや遅い時刻に皆様お集まりくださいまして、大変ありがとうございます。
 本日は、第1回の厚生科学審議会予防接種・ワクチン分科会研究開発及び生産・流通部会ということで開催させていただきます。
 御存じのとおり、3月末に予防接種法を改正いたしまして、定期接種の数を増やしたわけでございますが、それに合わせまして、副反応報告の制度や基本計画をつくるなど、予防接種をしっかりとした体制でやっていく仕組みをつくったところでございます。
 これに合わせまして、審議会の組織も見直し、その一環としてこの部会も立ち上げさせていただきました。
 この部会におきましては、これから作成を急ぎます基本計画の中に、予防接種の研究開発やワクチンの供給についての主要な事項を盛り込むこととしております。その中身につきまして御審議いただくとともに、あわせまして個別のワクチンの研究開発や生産流通につきましても議論していただきたいと思っております。
 これからまた皆様の専門的な知識と御経験をこの審議会でお聞かせいただき、できる限り厚生労働省としての今後のワクチン政策の推進に努めてまいりたいと思いますので、よろしくお願いしたいと思います。
 本日は本当にありがとうございました。
○今井室長補佐 それでは、第1回の部会ですので、本日御出席の委員の方を五十音順に御紹介申し上げたいと思います。
 独立行政法人国立病院機構本部研究センター臨床研究統括部長、伊藤澄信委員。
○伊藤委員 伊藤でございます。よろしくどうぞお願いいたします。
○今井室長補佐 公益社団法人日本医師会感染症危機管理対策担当常任理事、小森貴委員。
○小森委員 小森でございます。よろしくお願いいたします。
○今井室長補佐 全国衛生部長会副会長、坂元昇委員。
○坂元委員 坂元です。よろしくお願いいたします。
○今井室長補佐 昭和薬科大学学長、西島正弘委員。
○西島委員 西島です。よろしくお願いいたします。
○今井室長補佐 大阪市立大学大学院医学研究科公衆衛生学准教授、福島若葉委員。
○福島委員 福島でございます。よろしくお願いいたします。
○今井室長補佐 福島県立医科大学小児科学講座教授、細矢光亮委員。
○細矢委員 細矢でございます。よろしくお願いいたします。
○今井室長補佐 青山学院大学経営学部教授、三村優美子委員。
○三村委員 よろしくお願いいたします。
○今井室長補佐 国立医薬品食品衛生研究所客員研究員、山口照英委員。
○山口委員 よろしくお願いいたします。
○今井室長補佐 また、本日は御欠席ですが、国立病院機構三重病院院長、庵原俊昭委員、神戸大学大学院医学研究科臨床ウイルス学分野教授、森康子委員の2名の委員にも、本部会に御参画いただいております。
 次に、事務局を紹介させていただきます。
 正林健康局結核感染症課長。
○正林結核感染症課長 よろしくお願いします。
○今井室長補佐 宮本結核感染症課予防接種室長。
○宮本予防接種室長 よろしくお願いします。
○今井室長補佐 難波江結核感染症課課長補佐。
○難波江課長補佐 よろしくお願いします。
○今井室長補佐 嶋田予防接種室長補佐。
○嶋田室長補佐 よろしくお願いします。
○今井室長補佐 氏家予防接種室長補佐。
○氏家室長補佐 よろしくお願いします。
○今井室長補佐 喜多ワクチン対策専門官。
○喜多ワクチン対策専門官 よろしくお願いします。
○今井室長補佐 予防接種室の今井でございます。
 以上です。よろしくお願いいたします。
 それでは、議事に先立ちまして、配付資料の確認をさせていただきます。
 議事次第、配付資料一覧、委員名簿、資料1~8まで、参考資料1~15まで御用意しておりますので、配付資料一覧と照らして、不足しております資料がございましたら、事務局にお申しつけください。
 冒頭のカメラ撮りにつきましては、ここまでとさせていただきますので、御協力をお願いいたします。
(報道関係者退室)
〇今井室長補佐 次に、審議参加に関する報告をいたします。
 審議参加に当たり、予防接種・ワクチン分科会参加規程に基づき、委員の方々に申告をいただいております。本日の出席委員の申し出内容と本日の議事内容から、今回の審議への不参加委員はおりませんことを御報告いたします。
 それでは、議事に入らせていただきます。
 議題1は、「厚生科学審議会予防接種・ワクチン分科会研究開発及び生産・流通部会について」です。
 最初に部会長の選任と、部会長代理の指名についてでございます。
 部会長の選任は、厚生科学審議会令第6条第3項で、部会長は当該部会に属する厚生科学審議会委員の互選により選任するとなっております。
 また、厚生科学審議会令第6条第5項により、部会長があらかじめ指名する者が、その職務を代理するとなっております。
 本部会では、庵原委員と西島委員が厚生科学審議会委員ですので、西島委員より御報告をお願いします。
○西島委員 西島でございます。ただいまお話にありましたけれども、私と庵原委員と二人で相談しましたところ、部会長は庵原委員にやっていただくことになりました。また、庵原部会長より、私が部会長代理に指名されましたので御報告申し上げます。
○今井室長補佐 ありがとうございました。ここからは、西島部会長代理に議事進行をお願いいたします。
○西島委員 それでは、本日、私が司会を務めさせていただきます。
(西島委員、部会長代理席へ移動)
○西島部会長代理 それでは、改めまして以後の議事を進めさせていただきます。
 私、今は昭和薬科大学におりますけれども、60歳まで約三十数年にわたって国立感染症研究所で、細胞化学部の部長という職を含めまして勤めておりました。その後、国立医薬品食品衛生研究所、山口委員も、今、おられますけれども、そこの研究所長として勤めておりました。そういうバックグラウンドでございまして、ワクチンも多少はかかわってまいりましたけれども、それほどプロではございませんので、この重荷が務まるかどうかわかりませんが、全力を尽くしてやっていきたいと思っておりますので、先生方の御協力をよろしくお願いしたいと思っております。
 それでは、本日の議事に移りますけれども、まず初めに、資料1~5につきまして、本部会の設置に関する説明を事務局のほうからお願いいたします。
○宮本予防接種室長 資料1~5を御用意いただきたいと思いますが、あわせて参考資料の11も横のほうで少しごらんいただきたいと思います。
 本年4月1日に施行いたしました予防接種法の改正の中に、幾つかの改正項目が含まれてございます。そのうちの幾つかを簡単に紹介させていただきますと「予防接種の総合的な推進を図るための計画の策定」を進めることとされております。これは後ほど御紹介いたします。
 あわせまして「評価・検討組織への付議」という項目がございます。「厚生労働大臣は、予防接種施策の立案に当たり、専門的な知見を要する事項について、評価・検討組織に意見を聴かなければならないこととする」と定められております。
 関連しましてもう一つ、「副反応報告制度の法定化」がされておりまして、これまで実施してまいりました副反応報告制度を、通知に根拠を基づくものだとしてこれまで実施してまいりましたが、法律上に位置づけまして、医療機関から厚生労働省に報告することを義務づけ、またその報告につきましては、今、御紹介いたしました評価・検討組織に報告し、その意見を聞いて必要な措置を講ずることとされております。
 これらの状況を踏まえまして、資料1にございますように、厚生科学審議会予防接種・ワクチン分科会の設置が行われることとなりました。これは、これまで厚生科学審議会の感染症分科会の中で、予防接種に関する施策の検討が行われてきたところでございますけれども、この仕組みを改組いたしまして、資料にあります予防接種・ワクチン分科会を設置し、その中に「予防接種基本方針部会」、本日開催しております「研究開発及び生産・流通部会」「副反応検討部会」の3つの部会を設置するという形で改組を行うものでございます。
 それぞれにつきまして、年3・4回程度の定例で開催することを予定しておりますが、本年につきましては、予防接種基本計画の策定がございますので、集中的に開催してまいりたいと思います。スケジュールのほうは後ほどごらんいただきたいと思います。
 資料2でありますけれども、予防接種・ワクチン分科会と、3つの部会について設置をする規定を設けております。それぞれ簡単に示しておりますが、関連するものとしましては、作業班の設置ですとか事務局の機能など、必要に応じて対応してまいりたいと思います。
 続きまして、資料3を説明させていただきます。予防接種・ワクチン分科会参加規程でございます。これは審議に当たりまして、それぞれの委員の方が審議の対象となる製品、またその製品の企業との関係において参加資格を規程するものでありまして、申請資料作成関与者の取扱い、特別の利害関係者の取扱い、寄附金等の額に応じた参加資格の取扱いなどが定められております。この内容は、既に予防接種・ワクチン分科会におきまして確認されているものでございます。
 続きまして、資料4をお願いいたします。先ほど申し上げました予防接種法の改正の項目の中で、予防接種基本計画の策定が定められております。
 具体的な内容といたしましては、「厚生労働大臣は予防接種に関する施策の総合的かつ計画的な推進を図るため、予防接種に関する基本的な計画を定めなければならない」とされておりまして、これを受けた対応であります。
 進め方については、真ん中の欄にまとめております。「予防接種・ワクチン分科会において、予防接種の総合的かつ計画的な推進を図るための計画を検討・提案する」ということを目指します。
 具体的な進め方としましては、平成25年中に予防接種基本方針部会と研究開発及び生産・流通部会において原案を検討いただきます。途中の段階で予防接種・ワクチン分科会の確認を得ながら、平成25年末までに成案を得ることといたします。
 厚生労働省は、予防接種・ワクチン分科会の提案を踏まえ、予防接種基本計画を策定いたします。
 策定されました予防接種基本計画は、その後少なくとも5年ごとをめどに見直しを進めてまいりたいと考えております。
 基本計画の項目は、予防接種法の中に8つの項目が規定されております。本部会におきましては、このうち特に5番目「予防接種の研究開発の推進及びワクチンの供給の確保に関する施策を推進するための基本的事項」の内容について集中的に御審議をいただきたいと考えております。
 資料5は、今、お話しした内容の具体的なスケジュール、イメージではありますけれども示しております。一番左の欄に「予防接種・ワクチン分科会」、次の欄に「予防接種基本方針部会」、そして「研究開発及び生産・流通部会」、もう一つ「副反応部会」、それぞれの開催のイメージを示しておりまして、基本計画についての審議を、特に基本方針部会と研究開発及び生産・流通部会においてそれぞれ行っていただき、最終的には12月をめどに基本計画の策定を行ってまいりたいと考えております。
 私ども厚生労働省といたしましては、基本計画の策定を受けまして、告示を行うという運びで進めてまいりたいと思います。
 それでは、皆様方の熱心な検討をお願いしたいと思います。
 私からは以上です。
○西島部会長代理 ありがとうございました。
 ただいま事務局から、本部会の設置でありますとか運営について御説明がございましたけれども、今の点につきまして、設置の目的、運営等につきまして、委員の先生方から御質問、御意見がありましたらお受けしたいと思いますが、いかがでしょうか。よろしいでしょうか。
 今、御説明ありましたように、本部会の審議する内容としましては、予防接種の研究開発の推進とワクチンの供給の確保ということについてフォーカスを合わせて御議論いただくということでございますが、よろしいでしょうか。
(「異議なし」と声あり)
〇西島部会長代理 それでは、特に御質問等はございませんので、本日の一番のメーンの議題でございますけれども、議題(2)に移りたいと思います。
 議題(2)につきましては「ワクチンの研究開発の促進及び生産基盤の確保について」ということについて御審議をお願いしたいと思っております。
 これにつきまして、まず事務局のほうから御説明をお願いいたします。
○今井室長補佐 資料6と資料7について、簡単に御説明させていただきます。
 資料6ですが、ワクチンの研究開発の促進及び生産基盤の確保について、これまでの経緯と現在の取組みをお示ししております。
 平成19年3月に「ワクチン産業ビジョン」が取りまとめられております。ここでは「ワクチンは感染症の脅威等に対し、効果的で効率的な対策の柱となることを再認識し、国の関与により、将来にわたり我が国において必要なワクチンを開発し、安定的に供給する体制を確保すべき」と提言されておりまして、アクションプランとしまして「基礎研究から実用化(臨床開発)への橋渡しの促進」など、ここに記載の7項目が取りまとめられております。
 これらにつきましては、一定程度達成されているという状況でございまして、その状況をまとめた資料を参考資料13につけております。
 また、平成23年3月に「混合ワクチン検討WG報告書」が取りまとめられております。ここでは「混合ワクチンには多くの利点(負担軽減、利便性向上、接種率向上等)があり、社会のニーズに合わせた混合ワクチンを速やかに開発することが必要」「将来的には、我が国のワクチンを海外へ提供できるようワクチン開発基盤の強化が重要」と提言されております。
 現在の取組みとして、ここに3点記載しております。細胞培養法ワクチンの開発・生産体制整備事業は、平成21年度に予算措置しまして実施している事業でございます。細胞培養法を開発することにより、現在の鶏卵培養法では1年半~2年を要する全国民分の新型インフルエンザワクチンの生産期間を、ワクチン製造開始後から約半年で生産可能となるような体制を構築しているところでございます。
 混合ワクチンにつきましては、昨年、ジフテリア、百日咳、破傷風、不活化ポリオを含む4種混合ワクチンが開発されたところでして、昨年11月より定期接種に導入しております。
 また、厚生労働科学研究費補助金による事業によりまして、新しいワクチンや混合ワクチンの開発に向けた研究を促進するために、公募を実施しているところでございます。公募の資料は、参考資料15につけております。5月13日から開始しております。
 次に資料7ですけれども「研究開発及び生産・流通部会での議論の進め方(案)」をお示ししております。
 まず、2枚目をごらんください。これまで、ワクチンの研究開発、生産・流通につきましては、国会などで指摘されているところでございます。
 「国会における主な指摘事項」としましては、ワクチンの研究開発促進のため、新しいワクチン候補について予防接種基本計画に記載すべきではないか。
 混合ワクチンなどワクチンの開発、生産等について、国内の産業の振興、メーカーに対する支援を成長戦略の観点から検討すべきでないか。
 感染症対策に必要なワクチンが迅速に開発されるよう、国内のワクチン産業を振興すべきではないか。
 ワクチンの安定供給などの観点から、輸入製品に過度に依存するべきでなはないといったことが指摘されております。
 また、4月に開催されました「予防接種・ワクチン分科会」におきましては、接種率の向上、被接種者の負担軽減の観点から、混合ワクチンの開発などについて議論し、予防接種基本計画に混合ワクチンの開発についても盛り込むべきではないか。
 よりよいワクチンをできるだけ早く実用化できる方法を議論すべきではないかという御発言がございました。
 1枚目に戻っていただきまして、今後の議論の進め方ですけれども、予防接種基本計画に記載することを念頭に、主に次の事項について議論することとしてはどうかと考えております。
 ワクチンの研究開発の現状及び促進策について。
 開発優先度の高いワクチンについて。
 ワクチンの生産体制について。
 ワクチンの流通体制について。
 ワクチンの需給状況及び安定供給について。
 ワクチン価格について。
 また、予防接種基本計画のほか、個別のワクチンの開発についても御議論いただきたいと考えております。例えば、ここに「不活化ポリオワクチン第2期接種について」と記載しておりますけれども、これは昨年まで開催いたしました「不活化ポリオワクチンの円滑な導入に関する検討会」におきまして、第2期接種の必要性について検討するよう御意見をいただいておりますので、こうした個別のワクチンの開発についても御議論いただきたいと考えております。
 「2.ヒアリング(案)」ですけれども、次の政府関係機関や学会、製造・卸売代表等から、ワクチンの開発の取組み、医療ニーズの高いワクチン、ワクチンの流通体制、需給状況、適切なワクチン価格などについて御説明していただくこととしてはどうかと考えております。
 関係機関としましては、国立感染症研究所、医薬基盤研究所、関係学会、日本ワクチン産業協会、日本医薬品卸売業連合会などの方に参加していただいてはどうかと考えております。
 資料の説明は以上でございます。
○西島部会長代理 ありがとうございました。
 ただいま、事務局のほうから御説明がございましたとおり、本部会におきまして、予防接種基本計画にどのような記載をするかということを、これから5回ぐらいのこの部会で御議論いただくわけです。それとともに、それに向けて今後の議論の進め方について、この2点について御説明いただきましたが、これからしばらくお時間をとりまして、基本計画にどのようなことを記載するのがよいかということ、また、今後の議論の進め方について自由に御議論いただきたいと思っておりますので、よろしくお願いいたします。
○小森委員 よろしいですか。
○西島部会長代理 どうぞ。
○小森委員 この部会の前身とも言えるのは「ワクチン産業ビジョン推進委員会」。2007年に3回、2008年に2回、2011年に1回かと思いますけれども、その議事録をずっと拝見していますと、諸外国の動向がどうかというウオッチする必要があるということで、倉田先生が班長となって視察を行った。それから、ACIPのアジェンダがいつも議題として出ているのです。そういった、もちろんヒアリングの対象に何の異論もないわけですが、諸外国の状況といつも並行してものを考えていくという視点も大事だと思うのですが、そのあたりのことについて事務局はどのように考えていらっしゃるのか、ちょっと確認も含めて教えていただきたいと思います。
○西島部会長代理 事務局、お願いいたします。
○宮本予防接種室長 国内の状況もあわせ、海外の状況も大変重要かと思っております。特に今後のワクチンの開発という点を考えますと、新規なもの、大規模な開発というのは、海外の市場も視野に入れなければならない。このように関係者からも伺っているところでございます。
 私どもとしましては、今ほど紹介いたしましたヒアリングを進めていく中で、業界関係者の動向を十分説明いただいて、あわせてその中で日本の状況ですとか海外の状況について紹介いただいてはどうかなと、今のところこのように考えております。
○西島部会長代理 よろしいでしょうか。ほかにございますか。
 坂元委員、どうぞ。
○坂元委員 最終的には、例えば国内のワクチンメーカーが生産したものが海外に発展していくという産業の観点から言うと、最終的にはそういう展開を目指しているのかなという気はします。ただ、国会での指摘事項でも輸入に過度に依存するべきではないという指摘もありますが、一方、過去のいろいろな輸入されたワクチンの中で供給不足とか種々の問題が起きていることも事実であって、やはりその点、今、小森委員からもありましたけれども、例えば、日本のワクチンの承認制度を含めて、海外での承認制度がどうなっているのか。
 将来、日本のワクチンが海外に出ていったときに、今のいわゆる生物学的なものをつくるという競争力以外にも、海外の治験に出ていかなければいけないという競争力もあるときに、現在、海外のメーカーから見たときに、国内にいろいろ障壁があるという声も、例えばワクチンの検定に際して国際基準に合っていない等々の声も聞きますし、前回いろいろな供給不足に陥った理由もそれなりに聞きますと、海外で生産ラインを拡大するときに生産ラインをほかにした場合、別途承認という形で日本に持ってくるときに、工場単位の承認が1年近くかかってしまうとか。そうすると、当然その見通しからいって供給不足に陥るとか、我々が海外に出ていくとき、海外が入ってくるとき、さまざまな問題があって、そこを一回クリアにしていかないと、この国の問題だけを考えてもワクチンの問題は解決しないと思いますので、これは私からの提案なのですけれども、ここでヒアリングを行う案が出ていますが、そこの中に例えば米国系の団体、ヨーロッパ系の団体、そういう製薬の団体からもぜひ意見を聞いて、国内市場をどう見ているか、自分の国での開発のどういう問題があるかということも、今後の日本のワクチン産業の基盤強化のために、ぜひそういう方々を呼んで意見を聞いたほうがいいのではないかと思います。
 以上です。
○西島部会長代理 ありがとうございます。
 グローバル化を考えたときに、いろいろ考慮しなくてはいけないという御指摘かと思いますが、事務局はこれにつきまして、この時点でお考えはございますでしょうか。
○宮本予防接種室長 それぞれ重要な課題だと存じますので、進め方につきましては、また座長とも相談させていただきたいと思います。
○西島部会長代理 そのほか、いかがでしょうか。
 日本のワクチン産業というのは、非常に規模が小さいことが今までだったと思うのですけれども、その中でも開発に当たりましては、国立感染症研究所がかなり主導的なことをしてきたことがあるかと思います。その中で、感染症研究所におりまして私が目にしたところでは、百日咳のワクチンなどは、感染症研究所の研究員の努力で非常に世界的にすばらしいワクチンができたと思っておりますけれども、今後、ワクチンの開発につきましては、もちろん感染症研究所のような研究所が一つまたこれからも働きをしなくてはいけないと思うのですけれども、民間の企業でそういう開発のところから進めていくということにつきましては、どう国として指導するのかということが大事かと思いますが、山口委員、その辺につきまして幾つかかかわりがあったと思うのですけれども、御意見ありましたら。
○山口委員 今、国際動向の話が幾つか出たと思いますので、それに関連して申し上げますと、西島先生がおっしゃるように、感染研というのはワクチンの生物学的製剤基準とかをつくるということで、承認申請されてきたものに対する基準策定という重要な役目と、国家検定をやっているというところがあると思うのですけれども、今度もう一つの観点から見たときに、申請されてきたものの評価はそれでいいのかもしれないのですけれども、新しく申請されてくるものの評価をどういうふうに、今後、先導的にどうやっていくかということが問題になってくるのかなという気がするのです。
 例えば、問題になっています新型インフルエンザワクチンで、H5N1とかを含めて、今、開発を政府が後押ししているわけですけれども、その評価基準というのが、今、EMEAのプロトタイプワクチンの評価基準を採用している。そういうことを考えたときに、そういう先導的な研究というものが国内でされていかないと、どういう開発をしていくというのを一企業に任せていいのかという話があると思います。そういう開発をどうリードしていくかというところも、国研とかが担わないといけないのではないかなという気はいたします。
 それともう一つ、関連した話なのですけれども、例えば今、海外の承認状況を見れば、正確なところは覚えていませんけれども、EMEAなどは6価のワクチンとかすごくたくさんの多価のワクチンを、ここでも挙げていただいているものを開発されていると思うのですけれども、それはそれでもう開発が割と行ってしまっている話で、今後どういうものを開発していくかということに関しては、企業としてもノウハウを持って、どういうところにターゲットがあるかというのをかなり考えていると思うのです。その辺は、多分、企業だけではなくて、いろいろなところへアプローチしていかないといけないのではないかという気がいたします。
 WHOのバイオロジカルのほうに関連したことがあるのですけれども、今、WHOに韓国のKFDAの審査官が毎年のようにずっと行っているのです。要するに事務局に入り込んでいて、世界動向を割と韓国はそういうところでは把握しようとしている。日本はなかなか割とそういうところに行っていないという、状況が十分把握できていないのではないかと危惧は覚えています。
 以上です。
○西島部会長代理 今のような点については、やはり厚労省の指導が非常に大事だと思うのですけれども、その辺はこれからの議論になるかと思いますが、一つ大事なところかと思います。その辺について、現段階で何かありますか。これからの議論の中に含まれるかと思います。
○坂元委員 言い忘れたのですけれども、ワクチンを開発しようというときに、多分、これは別に国内、国外問わずメーカー側の一つの考えとして、これが定期接種として認められるのかどうかということはかなり大きな、いわゆるメーカーがワクチンを開発する際のモチベーションになると思うのです。なぜならば、売上ベースを見てみると、定期接種化されるかされないかによって2倍程度違うということは明らかなので、ワクチン開発といっても、任意でやるための開発促進と、定期でやるための開発促進とはおのずから力の入れ方が違うので、やはりその辺の方向性を、これは定期化にするための開発なのかどうかというのをまず一つ示さないと当然難しいということがあるのと、それから、やはりいろいろなメーカーの人たちに聞くと、1つの国内での開発の難しさ。これは外資、国内問わず、ワクチンを開発するためには、当然そのベースにある疫学的な情報がどれだけしっかりしているかということ。例えばアメリカのCDCというのは、かなり細かい、いわゆる血清の分類とかそういうところまでやるので、ワクチンを開発するときに、例えば型の拡大とかに対しても非常に応用性がきく。ただ、日本の場合のデータベースの弱さというのが逆に国内メーカーの開発を阻害している部分もあるので、ベースにはそういう感染症の情報を、もうちょっと疫学的なしっかりしたベースを、ある意味では国家が指導するという形で積み上げないと、どうしてもワクチン開発はその上に成り立っていくものなので、やはりそこら辺、基本的なベースが必要かなというのは感じます。
○西島部会長代理 ありがとうございます。今の点につきましては、先ほどの進め方の中にありました開発優先度の高いワクチンということも大変大事なことかと思いますが、これは、今の疫学的な調査に基づいたところも含めて検討するということになると思いますが、この辺につきましては何か。本日の議論の中で何かございましたら、御意見をお願いしたいと思います。
○細矢委員 全く同じ意見なのですけれども、やはり研究開発にはかなりお金がかかるわけで、本当に開発しようと思えば、ある程度の市場が見込めないと企業も参入できないのだろうと思います。官の指導のもとというのも大事なのですけれども、例えば民間の新たな発想で新しいワクチンというのもやはり必要だと思うので、定期にならないワクチンについても、何か医薬品として認める形である程度の市場を想定して開発できる仕組みをつくってあげないと、予防接種法から少し離れてしまうかもしれませんけれども、そういうものがないと開発の促進には結びつかないのではないかなと。
 例えば、現在MRワクチンがありますけれども、ムンプスのワクチンと水痘が定期になっていないとなると、MMRVとかを開発しようと思ってもなかなかしにくいところがあるのではないかと思いますので、そういった点もあわせて検討する必要があるのではないかなと感じています。
○西島部会長代理 ほかに何かございますでしょうか。先ほど事務局から検討する事項について御提案がございましたけれども、今、開発等についての御議論が多かったと思いますが、ワクチンの流通等のついては何か。
 どうぞ。
○三村委員 先ほどの御議論とも大変関係いたしまして、実は非常に流通とか現場からすると、緊急性とかいわゆる危機管理型の形で供給しなければいけないところと、先ほどの定期であるとか定常的に行われる場合では全く流通のあり方が違ってきます。そういう話をしますので、どちらに重点を置いていくかということを少し問題点として、両方とも必要であると思うのですが、整理しておく必要があると思います。
 ここのビジョンのところでも、やはり一種の供給のある段階の調整がとても大事という話は前から出ていたのですが、そうすると、定期的な場合には、調整機能というのはある程度仕組みとして持ち込めるのですが、やはり緊急的な事態に入ったときにはそれが非常に難しくなってきますので、少し問題点の整理があったほうがいいのかなという感じがございます。
 それからもう一つ、今の規模というのは大変大事で、非常に特定の用途とか特定のところにいわゆる対応されるものと、そうではなくて比較的広く対応されるものとは、やはり供給体制も一旦変わりますし、メーカーと卸の供給体制も変わってきますので、上の御議論とともに流通の特性に合わせたところの整理を少し入れていくと、今の流通と供給の問題の整理がやりやすくはなるかなと思っております。
○西島部会長代理 ありがとうございます。そのほか。
 伊藤委員、お願いいたします。
○伊藤委員 ワクチン産業ビジョンのときから参画をさせていただいておりまして、ワクチンの開発、流通の問題とかには大変興味を持っております。
 それで、ワクチンだけではないのだろうと思うのですけれども、先ごろは医薬品の輸入額が大変ふえていて、エネルギーの次ぐらいに輸入額が多くなっている。今後の我が国を支えるということから考えても、ワクチンも含めて医薬品を海外に輸出できるような開発というのは必要なのではないかと思っております。
 もう一点、この場で議論することではないのかもしれませんが、海外でのワクチンの接種の状況などは、例えばアメリカなどは、開業医の先生方が子供さんたちに対して個別に接種をする、それに対して経済的な補填をするという形になっているのだろうと思います。接種義務のあり方ですが、今は余りにも地方自治体に依存し過ぎている気がするので、もう少し、例えば医療現場に近いところで接種することにしたらどうだろうか。なぜそんなことを申し上げるのかというと、やはり接種率を向上するためには、ある程度患者さんに近い方がワクチンの接種を常に促すような仕組みづくりというのが必要なのではないかと思うので、そういったことも含めて考えていただけるといいのではないかと思っているところでございます。
 以上でございます。
○西島部会長代理 そうすると、今の点については、例えば地域の小児科の先生がもっともっと主導をとってということなのでしょうか。
○伊藤委員 持病がなくてもかかりつけの先生方がいらっしゃれば、例えば自分のところに来ている患者さんがお子さんであれば、接種しているかいないかという管理はもっとしやすくなるのではないか。それが接種率の向上につながるのではないかという感じも持っておりますので、意見を述べさせていただいたところでございます。
 もちろんかなり過激な意見であるということを十分承知した上で述べさせていただいておりますので、そういった意見もあるということで御検討いただければと思います。
○西島部会長代理 どうぞ。
○坂元委員 私も伊藤先生の御意見に賛成というか、私も市町村の一員として予防接種自治事務という形でやらせていただいているのですが、やはり一つの問題として、こういう時代なので市、自治体域を越えて医療機関も移動される方が多々ある。自治体を越えてしまうと、一つは料金が違うとかいろいろな問題等々があって、個別にそこと一々契約を結んでいかなければいけないという作業が出てくるので、本来的には、自治事務という法律上の縛りがある中で、感染症やワクチンというのはグローバル化していて、国民がどこに行ってもどんな条件においても均等な条件で受けられるというのが本来的なものであると思うのですが、なかなかその自治事務という範囲では非常に難しいところもあるので、そこを自治事務でありながら何かもうちょっと国内統一的にできる方法があればなというのは、自治体側としても非常に関心の高いところです。
○西島部会長代理 この部会は、接種率の向上という点からは目的とするところが違っていると思いますが、接種率の向上に向けてこの部会もかかわるところがあれば議論をしていくということができれば、伊藤委員のおっしゃることが反映されるかと思います。そのほか。
 どうぞ。
○三村委員 今の御意見と若干近い意見なのですけれども、先ほどの需給調整的な要素というのはどこで持ち込むかという話があったときに、先生が、今、おっしゃるように、少し自治体の枠組みをもう少し機動的に緩やかにできる話があれば、もう少し楽になるのかなという意見は、過去に何度か聞いたことがございます。
 ですから、あくまで今の体制の中でしないときちんとした数値的なものもつかめないとか、あるいは予測的にもできにくいということはあるのですけれども、本当に先ほどおっしゃいましたように、日本全国ある程度一元的にできる体制がもう少しどこかでできれば、需給調整を今まで以上に、今よりはやりやすくなるかもしれないというのは私も感じておりました。
○西島部会長代理 この議論の事項の中に、ワクチンの価格についてということがございますが、これについては何か。
 どうぞ。
○細矢委員 ワクチン産業ビジョンの報告のところを見たらば、米国では、例えば保険に入っていない子供に対しては、国がワクチンを買い上げて接種する。それで、かなり買いたたいているみたいな記載がありました。これは意外にいいのではないか。メーカーには大変なのかもしれないですけれども、ある程度まとまった量を確保する、必ずそれは接種する。それを国が例えば買い上げる形にして、接種料金を安くする方策は考えられないかというのも議論に加えていただければありがたいと思います。
○西島部会長代理 どうぞ。
○小森委員 今、細矢委員がおっしゃったことも大変重要だと私たちも思っております。やはり、強いメーカーが日本で育ってくれるということが重要でありまして、不活化ポリオワクチン等については、既存の製品でありながら、さまざまな理由がメーカーとしては当然あるわけですが、諸外国に比べて非常に極めて高い料金設定がされていた。そのことについて、日本医師会としてもメーカーに対して要望を出したということもございました。しかし、大変残念なことにのまざるを得なかったという状況の中で、やはりそういったことに対して我が国の国富を守る観点、また、子供たち、親御さんに適切な接種体制をしく上でも極めて大事なことだと思っています。
 その中でそういう例の一つとして、ちょっとワクチンと離れますけれども、タミフル、リレンザについてです。これは備蓄という観点で国は大量の購入をしておられる。したがって、そのことを、保険薬として使えないとかいうさまざまな契約があるわけですが、実際に購入価格は極めて安い価格で購入をしておられるわけで、今、細矢委員が言われたことも大変重要な議論だと思っております。
 今回の風疹の大流行等についても、強いメーカーがないという限定的な中で、風疹の単独ワクチンを、急にラインをふやすことはやはりできないということもございました。やはりこういった感染症というのは時として突発的に、おおよそ予期できないわけではありませんけれども、とはいえメーカーとしての対応というのは極めて難しいことが多々ございまして、そういった中でも強いメーカーをつくっていくというのは、最終的には子供さんやワクチンを必要とされる国民の方々の利益になることですので、そのあたりのことを複合的に考えていく必要があるのだろうなと思います。
 とはいえ、この前もCDCのドクターオートンがいらっしゃいまして、私も意見交換をさせていただきましたけれども、ここは非常に難しいのは、産学官という結びつきというのはアメリカでも大変大きくて、やはりそこにはアメリカのワクチン製薬メーカ—の方も一緒に同席をされて盛んにお話をしたがるといいますか。私は目的が違ったものですから、あえてそちらの話は余り聞かないでCDCの公的な立場の話だけしていたのですけれどもね。そのあたりのことを含めて大変微妙なスタンスというのもございますので、事務局としては、そのあたりのことをちょっと整理しながら議論を進めていただきたいなということがございますので、またぜひよろしくお願いしたいと思います。
○西島部会長代理 ほかにいかがでしょうか。
○坂元委員 済みません。
○西島部会長代理 どうぞ。
○坂元委員 価格の問題に関しては、実はうちは市全部として一括購入という入札購入をやっているのですけれども、川崎市、140万ぐらいの市ではそんなに価格が落とせない。一括購入をして入札をしてもそんなに落ちないということで、これはやはりワクチンそのものの価格が高いということもあってさほど落ちるわけではない。比較すると、ばらばらに購入しているより若干安くなるという事実はあるのですけれども、そんなにさほど落ちないということです。
 あとは流通の問題として、常時ではないのですけれども、新しいワクチンが供給されるときに、メーカーから問屋さんへの流通の仕方によって、市町村によって割と豊富に供給されるところと、その問屋さんの力が弱くてうまく取れないところで、かなり初期の段階ではそういう流通のばらつきがあって、問題になることがあるのは事実なのですけれども、通年ですとそんなに問題ではなくなるのです。だから、非常事態とか新規のときというのは、やはり流通のあり方はしっかり考えておかないと、どうしてもばらつきが出るという事実はあるかと思います。
○西島部会長代理 今回の、本部会での議論に事項には入っていないのですけれども、予防接種の基本計画の中には、国際的な連携に関する事項ということもございますけれども、これにつきまして我が国のこれからの国際的な貢献ということを考えたときに、この部会におきましても、何か基本計画に盛り込めることがあればと思うのです。
 感染症は、我が国では世界的に見れば非常に感染症の少ない国になっておりますけれども、世界的に見ればアフリカ等のところでの感染症が非常に重要だと思うのですが、そういう地域への貢献についても、開発、生産の面から考えてもいいのではないかと思いますが、いかがでしょうか。
 どうぞ。
○福島委員 先に坂元委員がおっしゃったことで、研究開発のベースになる疫学データをやはりきっちりと見直すべきという御意見がございました。確かに、諸外国と比べて日本のデータが弱いという御指摘ももっともでございます。
 私も研究開発というのを議論する前に、そのベースとなる疫学データをしっかり見直して、そしてやはり優先度の高いワクチンを議論するに当たっては、日本でどれだけその病気の疾病負担があるかということを明確にする必要があると思います。その上で免疫原性、有効性、安全性といったワクチン特有のものを議論して進めていくべきだと思いますので、日本における疾病負担というのを明確にできる手法を議論できたらと思います。
○西島部会長代理 実際にそういう疫学的なところは、どういうところで行われたらよろしいでしょうか。
○坂元委員 よく聞くのですけれども、例えば肺炎といっても、肺炎の原因菌が同定されていない場合、ワクチンをやるときに、ワクチンというのは肺炎にやるわけではなくて、その根底にある原因菌に対して効くか効かないかということをやるものなので、肺炎といってもその肺炎がどういうものによって起きたかというものがちゃんとデータベース化されていないと、実際その肺炎をどのぐらい下げるかという、今、言った疾病負担を見るときに、そこはきっちりしたデータがそろっていないとかなり難しいということと、例えば、ちょっとこれは直接関係ないと思うのですけれども、今、国では麻しんゼロという、麻しんを減らそうと、はしかを減らそうと努めているのですけれども、その中の一つの問題として、必ずしも麻しんという診断が上がってきて、そのベースとなる、本当にそれが麻しんなのかどうかというきっちりした、いわゆるウイルスまでの情報がとれない臨床診断のまま行ってしまうという場合、それが否定されないと数としては麻しんとして出てきてしまうという、究極的にいえばそのもの、何によってそれが起きているかという原因菌、原因ウイルスまでしっかり確認した上での疾病とのいわゆる疫学情報。そういうものをしっかりつくっていくということがないと、例えば海外に出ていくときに、このワクチンがどうして必要なのか、このワクチンによってどういう疾病がどれだけ下がって、どれだけコストが落ちるのかということは当然求められていくと思うのです。そういうものが国内情報にないときに海外に進出しようと思っても、海外の国にそれを売り込むラショナルがなくなってしまうと思うのです。やはり、そういう面も含めた根本的な対策というのを考えていく必要があると思います。
○西島部会長代理 ありがとうございます。
 どうぞ。
○福島委員 まさに、今、おっしゃったとおりだと思うのですけれども、ワクチンギャップということに加えて、リサーチギャップというのもやはり国と世界であると思いますので、そういうところを、国際的なよいところを、日本で可能なシステムの部分で取り入れていければと思います。
○西島部会長代理 どうぞ。
○山口委員 情報に関していうと、私の理解が間違っているかもしれないのですけれども、多分、国内での感染症に関しては国立感染研が情報を一元的に集めるシステムを持っているのではないかなという気がいたしますが、その理解でよければそこがかなりのデータベース、定期報告もされていますし、それぞれどの機関からの情報もあそこに一元的に集まるのかなという気がいたしております。
 ただし、もう一つは、海外に出ていったときにはそれぞれ海外の、例えばタイとかそういうところのいろいろな感染研も協力しているでしょうし、そういうところの情報というのは、ある国々のベースになってしまうのです。
 もう一つは、WHOとの協力関係というのは非常に重要なポイントだと思うのです。CDCも世界的に動きますけれども、やはり主はアメリカです。そういう意味では、WHOとの協力関係というのは重要ではないかなという気がいたすのです。
○西島部会長代理 事務局、どうぞ。
○難波江課長補佐 では、事務局のほうからサーベイランス制度について少し御説明させていただきます。
 まず、感染症法に基づきまして感染症発生動向調査というものをやってございまして、これは山口委員御指摘のとおり、国立感染症研究所が中心となって、全国の医療機関から集めているデータを集計して週報として出して、年報を出して、大体日本でどのような感染症がどの時期に発生しているかというものを拾っております。その中には100以上の疾病があるのですけれども、全数で把握しているものから、数が多いので定点の医療機関から把握しているものがございます。
 ワクチンの効果との関係を見る上で、例えばでございますが髄膜炎を取り上げますと、実はこの3月までは細菌性髄膜炎という一くくりで拾っておりまして、それを定点で拾っておりました。その場合に、肺炎球菌とかHib、これが、どのぐらい報告される髄膜炎が肺炎球菌で起きているのかHibで起きているのかと、それだけではわからない状況でございました。その辺は研究班などで、パイロット地域でサンプル調査をしてどのぐらいでやっているのかという形で拾っていたわけでございますが、この4月から肺炎球菌、Hibによる侵襲性感染症ついては、個別に全数調査という形で変更しております。
 ロタウイルスにつきましても、現行の制度でございますと感染性胃腸炎という形で定点報告となっておりまして、そうするとノロが流行したときには、どのぐらいがロタでどのぐらいがノロで、どのぐらいがロタワクチンが効いていたのかよくわからないというものがございまして、研究班なのでそういった調査などはされているのですけれども、もう少し全国的にということで、先般、厚生科学審議会の感染症部会のほうにおいて、ロタウイルスについて基幹定点という形、重症の患者が入院するような医療機関で、ロタという形で把握するということで改正することを御了解いただいたものでございます。
 ただ、それをどこまで広げるのか。それにはコストもかかります。人、手間、検査費用などなどいろいろございますので、そこは全体の流行状況とかワクチンの動向などを見ながら、両方の部会のほうで必要に応じ御審議、御検討いただければと考えております。
○西島部会長代理 ありがとうございます。
 きょう、御提案いただいた中で、今、検討する事項がいろいろございましたけれども、それに加えまして、ヒアリングをするということを御提案いただいておりますが、ここには5カ所ほど挙げられておりますが、これにつきまして、ぜひヒアリングをしていただきたいと思いますが、さらにどこかヒアリングをしたほうがいいとか、そういったようなことで何か御意見ございましたらお受けしたいと思いますが、いかがでしょうか。
 国立感染症研究所は開発と検定ということ、医薬基盤研は開発の支援ということですが、国立医薬品食品衛生研究所についてはいかがでしょうか。
○山口委員 一応、ワクチン類は感染症の所管ということになっていまして、必要に応じて、例えば、今、ワクチンの生産体制なども、新型インフルエンザの場合は細胞培養ということで今までにない生産方法をとるというので、そういうときの支援はもちろん国研としては手伝う必要があるのだろうと思います。
○西島部会長代理 ほかにいかがでしょうか。関係学会につきまして、伊藤委員、何か。
○伊藤委員 庵原先生でないとちょっとわかりにくいのだろうと思います。
 では、一つよろしいでしょうか。
○西島部会長代理 はい。
○伊藤委員 今後、海外に向けてワクチンを輸出するということを考えるのであれば、日本ワクチン産業協会だけでは心もとないなんて言うと怒られるのですけれども、例えば製薬協とか、日本の内資系と外資系の大手の会社が入っている製薬協からも意見を聴取したらいかがかという気がいたします。
○西島部会長代理 そうですね。多分、製薬協ではこの辺は既にいろいろと議論が進められていると思いますので、製薬協に来ていただければまた非常に産業の面からいろいろ情報が得られるかと思います。そのほか。
 細矢委員、どうぞ。
○細矢委員 関連学会なのですけれども、それぞれの立場はあると思うのですが、14ワクチン関連団体が集まって予防接種推進専門協議会というのがございますので、そういったところの代表の方の意見を聞くというのがよろしいのではないかと思います。提案したいと思います。
○西島部会長代理 どうぞ。
○坂元委員 今、伊藤委員が言っていただいたのですけれども、私も先ほど言ったように、製薬協といっても多分構成員がばらばらなので、日本のメーカーとアメリカ系とヨーロッパのメーカーで、開発において何が問題になっているか、どういう点が違うかという点をやはり一度しっかり聞いて、この国においてワクチンの開発とか生産がどこに問題があるのかということを、それぞれのヨーロッパを代表したとか、アメリカ代表した、日本を代表したと、それぐらいに分けて、その違い、問題点などを整理して聞いたほうがいいのかなとは思います。
○西島部会長代理 どうぞ。
○山口委員 今の御意見に賛成です。それで追加なのですけれども、例えば製薬協は一つ日本の代表で、EFPIAというヨーロッパの製薬団体、アメリカだとPhRMAがありますから、それぞれの代表というのも一つの手かなという気がいたします。
 あともう一つは、少しこれはどうかと思うのですけれども、例えばフランスは割と国研がワクチンをつくったりしています。そういう意味で、そういう制度も調べるというか、調査の対象に入れてもいいのではないかなという気がします。企業がつくるのではなくてそうした理由とか、そういうことが明らかになるというのは非常に重要かなという気がするのです。
○西島部会長代理 今、ヒアリングをたくさんやらなければいけないような感じですけれども、これからのスケジュールの中でこれをやる時間はありますか。
○宮本予防接種室長 少しこちらのほうでも整理をして、検討してまいりたいと思います。
○西島部会長代理 ほかに、全体を通して何か追加のことございますでしょうか。
 それでは、一応きょうは8時までという予定でございますので、ただいま、いろいろ御意見いただきました。事務局におきまして、次回以降、本日委員から出ました御意見を踏まえまして議論ができるように準備をお願いしたいと思っておりますので、よろしくお願いいたします。
 また、関係機関に参考人として参加していただいて、現在の取り組みなどを説明していただくということも大変大事ですので、これにつきましても、事務局のほうで関係機関と調整をして、準備をお願いしたいと思いますのでよろしくお願いいたします。
 それでは、本日の審議事項は以上でございまして、次に報告事項に移ります。
 事務局より、資料8について御説明をお願いいたします。
○今井室長補佐 資料8ですけれども、平成25年度のインフルエンザシーズンのワクチン株について御報告いたします。
 1枚目ですけれども、インフルエンザワクチン株の選定につきましては、国立感染症研究所のインフルエンザワクチン株選定のための検討会議におきまして、WHOにおけるワクチン推奨株検討会議の議論や国内外の流行情報、流行株の解析情報などに基づきまして、ワクチン製造株が選定されております。厚生労働省では、選定された株を都道府県や関係業界に通知しておりまして、ワクチン製造販売業者におきまして、決定された株を使用してワクチンが製造されております。
 2枚目ですけれども、平成25年度のインフルエンザワクチン製造株につきましては、1.に記載しておりますWHOの推奨株を踏まえまして、2.の「我が国のワクチン製造株について」に記載しておりますとおり、A型のH1N1、A型のH3N2、B型の3つの株をワクチン製造株として決定いたしました。
 報告は以上でございます。
○西島部会長代理 ありがとうございました。2013年、2014年シーズンのインフルエンザワクチンについてということですが、選定のプロセス等を御説明いただきましたけれども、これにつきまして何か御質問等ございますでしょうか。
 きょう、ここでこの報告をするというのは、どういう趣旨なのでしょうか。
○今井室長補佐 これまでも、毎年、株の選定結果を審議会に御報告させていただいているところです。今回も、ワクチンの製造という観点で、研究開発及び生産・流通部会に御報告させていただきました。
○西島部会長代理 わかりました。
 これにつきまして、ほかに御質問はございますか。よろしいでしょうか。
 どうぞ。
○細矢委員 この予防接種・ワクチン分科会、あるいは部会について、非常に小児科医として期待しているところは大きくて、日本版のACIPのような形になってほしいと思っております。そういう意味では、この基本計画をつくる、集中的に審議するというのは非常に重要でよいことだと思うのですが、一方で、喫緊の課題を検討する場も必要なのではないかと思います。
 特に、今の風疹の流行状況を見ますと、感染研情報センターからの報告を見ますと全国に拡大していますし、あるいは先天性風疹症候群が実際にふえているという状況があります。こういった問題をどうかかわらせたらいいかと考えたのですが、例えば聞くところによると、MRワクチンが3期、4期が終了したために少し余っている、期限がもう少しでくるようなワクチンが余っているという話も聞きます。そういったものを例えば半値で購入して接種するとか、そういったことをこの部会で話し合うことができないでしょうかということなのです。
 これは一つの例なのですけれども、そのほか、やはりこれからいろいろな問題がワクチンに関して出てくると思います。そのときに、基本計画は非常に大事なのですけれども、だからといって、今、現実の問題を置き去りにしておくのは問題があるのではないかと思いまして、ぜひそういった課題を検討する場も設けていただきたい。あるいは、そういった意見を聞く窓口のようなものをつくっていただけないかなというのが提案でございます。
○西島部会長代理 今の点につきまして、事務局から何かお答えございますでしょうか。喫緊の。
○小森委員 よろしいですか。
○西島部会長代理 どうぞ。
○小森委員 今、細矢委員が御指摘になったことは、基本方針部会でも私のほうからお願いしたのですが、どこの部会でするかということを含めてそれは整理をしておいていただければなと思います。あちこちの部会で同じことを議論しても仕方がない部分もありますので、よろしくお願いしたいなと。
 それで、ちょっとだけよろしいですか。先ほどもお話ししましたけれども、ワクチン産業ビジョンの報告書が出るには集中的な議論がありましたが「ワクチン産業ビジョン推進委員会」があって、先ほど御紹介したように2007年に3回、2008年に2回。すごく精力的にやられるのかなと思ったらぴたっと終わって、2011年にぽつっと単発であったと。そういう中では、いつも言われるように、米国のACIPのような形でこういったものを永続的な組織として活性化をしていつもやるということが大事だと思っていますし、そういう中で予防接種法改正、第二次提言を踏まえて、予防接種法の改正案が成立をし、事務局から年に3、4回は今後も、今は基本方針等のことでの集中審議ということですが、その後もしっかりやっていくのだというお話だったと受けとめておりますので、ヒアリングについても、今回の基本方針を策定するに当たって、ヒアリングを全て行うというのはやはり無理なのだと思うのですけれども、その後も引き続いて、継続的にそういった活動を続けていく組織になってくれればいいなと私も念じておりますので、よろしくお願いします。
○西島部会長代理 私のほうから、ちょっと本日の議題とは離れてしまうのですが、新聞のニュースで見たのですけれども、コロナウイルス関連の、SARSに似た新しいものが出ているという話が新聞に出ていましたが、これについては何か情報があったらお聞かせ願えますでしょうか。
○難波江課長補佐 昨年から、中東、サウジアラビアとかカタールに滞在した方で、そちらの方々を中心に急性の呼吸器症状で重症化するという報告がございまして、そこの地域にとどまらず、中東に滞在された方でイギリスとかフランスに戻られた方が発症した。最近では、サウジアラビアの院内、1つの医療機関に関係した人で集団のどうも感染、それが本当に院内で全部起きているのかどうかはまだ明らかではないですが、という報告がございました。
 日本にまだ患者は出ていないところでございますけれども、そういう場合に備えまして、まず国として、全国の医療機関に対して、中東の滞在歴がある方で肺病変がある方がありましたら保健所に報告いただいて、保健所のほうから県を経由して国に情報提供いただくということをお願いしているとともに、既に国立感染症研究所のほうでPCR法、プライマーを開発しまして、全国の衛研のほうにも配備して、そういった例があれば検査いただいてという体制をとっているところでございます。
○西島部会長代理 ありがとうございました。ほかに何か。
○坂元委員 済みません。ちょっと。
○西島部会長代理 どうぞ。
○坂元委員 今、細矢先生から風疹の話が出たのですけれども、これは自治体としても非常に頭の痛いところで、多くの自治体が特別予算を組んで費用補助を出しているのですけれども、医師会の先生に聞くとなかなか接種率が上がらないと。たしか厚生労働省のほうも、結婚したときに、結婚届けを出す場面で、そういうものを受けてくれという宣伝もかなり精力的に厚生労働省のほうも努力してやられているし、自治体もやっているのですけれども、何で接種率が上がらないのかというのは、ただにしないからかなという。うちあたりだと2,000円なので、大した負担ではないのですけれども上がってこないということで、やはりこの辺は広く何か皆様方にいいアイデアがあったら、自治体、厚生労働省のほうに来て出していただければ、我々自治体としてもそういう会を持っていますので、ぜひ前向きに努力していきたいと思いますので、ぜひ御提案がありましたらお寄せいただきたいと思います。よろしくお願いいたします。
○西島部会長代理 ほかにございますか。よろしいでしょうか。
 それでは、報告事項も終わりまして、本日の議題、全て終了いたしました。
 そのほか、事務局から何か御連絡ございますでしょうか。
○今井室長補佐 次回の開催につきましては、日程調整の上、改めて御連絡させていただきます。
○西島部会長代理 予定としては、先ほどありましたけれども、大体次回は6月、7月、続きまして8月はお休みで、9月、10月、あと12月ですか。そんな感じになっていますが、おおよそそういうところでよろしいわけですね。細かな日程はこれから調整ということでございます。
 以上で、本日の部会を終了いたします。夜遅くなりましたけれども、ありがとうございました。


(了)

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