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2013年2月28日 第9回今後の労働者派遣制度の在り方に関する研究会 議事録

職業安定局派遣・有期労働対策部需給調整事業課

○日時

平成25年2月28日(木)14:00~16:00


○場所

厚生労働省 専用第12会議室(12階)


○出席者

構成員

鎌田座長、阿部委員、木村委員、竹内(奥野)委員、山川委員

事務局

岡崎職業安定局長、宮川派遣・有期労働対策部長、尾形企画課長
富田需給調整事業課長、牧野派遣・請労働企画官、佐藤需給調整事業課長補佐

○議事

○鎌田座長 定刻に少し早いのですが、本日は欠席の方、そして遅れて来られる方がいらっしゃいますが、第9回今後の労働者派遣制度の在り方に関する研究会を開催いたします。まずは事務局より、委員の出欠状況と資料の確認をお願いいたします。
○佐藤補佐 委員の出欠状況でございますが、本日は奥田委員それから小野委員から御欠席と御連絡をいただいております。
 お手元の資料ですが、議事次第それから座席図のほか、資料1として前回の研究会の議事概要、資料2として御議論いただきたい事項の1枚紙両面のもの、資料3として関係資料という束のものになっております。資料に不備等ございましたら、お申しつけください。以上でございます。
○鎌田座長 資料等については漏れがありませんでしょうか、大丈夫でしょうか。よろしいですか。それでは議事に入ります。
 本日は、前回欠席された竹内委員に御出席いただいていますので、まずは前回の研究会の場で議論した論点について、竹内委員から御意見をいただければと思います。それでは竹内委員、よろしくお願いします。
○竹内委員 前回は、大学の用務で欠席となりました。申し訳ございませんでした。前回の資料の中に「第8回の御議論いただきたい事項」という資料が入っておりますけれども、そこの中で触れられている1の(1)(2)(3)について議論がなされたと、事前に御連絡いただいております。ですので、その1の項目に関して申し上げたいと思います。
 まず(1)の登録型派遣について、全体的な議論事項としては、この登録型派遣の在り方をどうするかと。最も端的に言えば、認めるか、禁止にもっていくかという議論かと思います。一方では、登録型派遣について迅速なマッチング機能があるとされており、特に,派遣元が,登録している人のいろいろな属性というものをある程度継続的に蓄えているとされています。このような継続的にかつ迅速にマッチングする機能を考慮した場合には、これを一律に禁止することが適切かどうかは,慎重に検討する必要があるという考えであります。
 他方で、その登録型派遣として問題視をされている事柄というのも当然ございまして、その1つは雇用が不安定だと言われることだと思います。ここでいう登録型の雇用の不安定が何かということをもう少し考えてみる必要があるかと思うのです。これが全てではないかもしれませんけれども、1つには登録型で登録をして、それで派遣をされて、派遣先で就業をしている中で、担当している派遣先での業務は一定程度継続的に存在する。しかし、他方で,雇用期間は、派遣期間と雇用期間は、例えば3か月と設定されている。それを更新して繰り返しているという場合、そういう場合にはいつ何らかの事情で雇止めとなるか分からない。これは労働者を派遣するという契約を打ち切られて、かつ、それに合わせる形で派遣元でも労働契約を終了させられるという形で、いつ雇止めとなるかが分からない。そういう場合が1つ考えられるかと思います。
 言い換えますと、有期雇用であることが登録型派遣の雇用不安の1つであると思います。それに加えて、かつ、雇止めとなるその前提が労働者派遣にかかる企業間、すなわち派遣元と派遣先での労働者派遣契約の打切りに由来をしている。これは言い換えますと、間接雇用であるということがこの有期雇用に合わさって、かつ、御存じのとおり、有期雇用の契約更新、雇止めに係る保護が、派遣労働者の場合については直接雇用されている場合に比べて、現在は裁判例ないしは判例上限定をされている。これは,伊予銀事件の判断ですけれども、そういう状況の下で、雇用の不安定というのが生じているのではないかと思います。ここの点はその検討、何らかの対応を考えないままではいけないのではないかと思っています。もちろん,有期雇用であることの雇用の不安定さというのは、直接雇用の場合であっても指摘されているところではありますが、間接雇用であるがゆえに,直接雇用の場合に比べて、その有期雇用について契約更新に対する期待がかなり制限されると現在の判例の下では考えているわけですけれども、そういうところは検討の余地というものがあるのではないかというふうに思います。
 あと、その雇用の不安定さに対してはどう対応するかということですけれども、もちろんそういう不安定な雇用は使ってはいけないという考え方はあると思います。もう1つは、より安定的と考えられる直接雇用の、そういうふうなものと言い切っていいかどうかは議論の余地あるかと思いますが、より安定的と考えられる直接雇用にいかにその転換を促していくか、そういうところの措置を講じるという形での対応というのもあり得ると思います。そういう意味では、その登録型派遣そのものを禁止しないとしても、より安定的な雇用に持っていくという策を講じる。そういう道も考える価値というのはあるのではないかと思います。
 また、この点についてもう1つ補足をして付け加える形で申し上げておきたいのは、例えば、仮に,登録型派遣を禁止する,言い換えますと、雇用が不安定と考えられる間接雇用の一定形態を制限すると、そういうことによって直接雇用が、ではそれによって増えるかということは、私はよく分からないところであります。世上の議論でも、一定の雇用形態を禁止して、例えば正社員が増えるかというと、それは分からないという議論はよくなされているところかと思います。
 これらに関連して、私は統計等の根拠がを用意しているわけではないのですが、登録型派遣等を禁止した場合に、正社員が増えないというのは置いておくとしても、請負等で就労するという形態、就業するという形態がかえって増えてしまうという懸念もあるのではないでしょうか。それは,見方によっては、まだ派遣のほうが,現在は労働法上の規制が掛かっているところ、そういう規制がより掛かりにくい所に就労が潜り込んでしまうという懸念もあるのではないかなと思います。派遣法自体、元々は放置しておくよりかは合法化して網を掛けていこうという発想でできているかと思います。より問題だと考えられるような、あるいはより現在規制の外に置かれているような、そして適切性に議論がいろいろあるような就労ないしは就業形態というものへの影響というものも含めて、その派遣の規制と、もちろん派遣以外の規制も併せて検討できる場であれば、そういうふうな全体的な検討もあろうかと思います。少なくとも派遣の在り方について検討していく中でも、ほかの働き方への影響というものを念頭に置いて考えることも必要かと思います。登録型派遣に関しては、ほかにもありますけれども、基本的には今のような形で御意見申し上げさせていただきたいというふうに思っています。
 (2)製造業派遣に関しては、前回の議論の概要を拝見させていただいたところ、申し上げたいと思う事項についての指摘が既にあるように思います。製造業派遣は,解禁されるまでは、派遣が利用できなかったということだけだと思います。どういうことかと申しますと、派遣に係る、例えば法的な構造とか、そういうものに関していえば、他の業務に派遣されている場合と全く変わらないと考えることができます。いわゆる「派遣切り」が社会的に非常に注目を集め,特に、製造業で注目を集めたということで、聖堂行派遣に関する議論が出てきているということだとは思うのですが、法的には製造業派遣とほかの派遣等を特に区別して、製造業派遣についてだけ特殊な法規制ないしは法緩和を考える必要は特にないのではないかなと、現時点では思っております。ですので、これはほかの派遣、派遣一般に関する問題の中で、同様に取り扱かっていけば足りるのではないかと考えております。
 (3)の項目についてですが、常用型派遣というものの整理ですけれども、以前の研究会でも申し上げさせていただいたかもしれませんが、常用かどうかということが、法的に見て意味があるかということが検討される必要があるかと思います。雇用終了の場面において法的な保護がどのように及ぶか及ばないかという意味では、有期雇用と無期雇用が区別されております。ところが、常用雇用というのは、無期雇用の場合と、かつ、1年以上継続が見込まれる有期の場合というものが混在しており、法的な保護の在り方が異なっている人たちが、ある意味一緒な区分にされているところがあります。そういう法的な区分の違という点から見た場合には、常用とそうでない人、つまり,臨時,あるいは、一時的,と区切る区分というのは、適切な分類とはいえないと考えます。そういう意味では、この御議論いただきたい事項の問いかけの中にあるように、無期雇用とそうでない場合という形で、法的な雇用保護に対する現行の区分を踏まえた上での区分と揃えたほうが適切だと考えます。以上であります。
○鎌田座長 ありがとうございます。それでは、本日の議論に入りたいと思います。本日は、前回の議論の積み残しということで、派遣可能期間の制限の在り方について、御議論いただきたいと思います。まず、事務局から資料の御説明をお願いいたします。
○佐藤補佐 資料の御説明をいたします。資料1は前回の議事概要ですので、説明は省略をいたします。資料2と資料3です。
 資料2、細かい点は後ほど御説明を申し上げますが、本日主に御議論いただきたい事項ということで、大きく5点ございます。まず1番目は、いわゆる26業務について、2番目は前回御議論いただきましたが、「業務」と「人」について、3番目は常用代替の在り方について、4番目は常用代替の防止の手法について、5番目として派遣期間の上限についてです。
 こういう前提で資料3を構成しておりますので、資料3を御説明申し上げます。資料3、関係資料という横の資料です。最初の1、2枚は26業務の概要、26業務の変遷ですので、説明は割愛いたします。
 右下3ページ以降、26業務に関してこれまで指摘されている事項をまとめております。
 1番目、附帯決議です。昨年3月に成立をいたしました改正労働者派遣法で、どういった指摘があるかということで、これまで何回かは御説明申し上げましたが、26業務に該当するかどうかによって派遣期間の扱いが大きく変わる現行制度について、労働者あるいは派遣元、派遣先に分かりやすい制度となるよう速やかに見直しの検討を開始することといった附帯決議が付されております。
 右下4ページ目以降です。4、5ページ目は、国会の議事録を幾つか添付をしております。国会でも、26業務についてはいろいろと御指摘を頂戴をしております。例えば、4ページの一番上は高橋千鶴子議員から、下線引いておりますが、5号の事務用機器操作あるいは8号のファイリングなどは今では専門業務ではないというのは当然であるが、全体について検討し、絞り込むべきではないかというような御指摘です。
 あるいは、その次、大村秀章議員からは、これも下線引いてありますが、限界的なマージナルな所がいっぱい出てくる、あるいは派遣元、派遣先も含めて、非常に労働省の解釈通達でいろいろと右往左往しているとか、あるいはその下ですが、制度自体マージナルなところ、限界なところが非常に分かりにくいとか、もっと分かりやすくて透明で使い勝手のいいものに見直していくべきだとあります。
 それから一番下ですが、加藤勝信議員からは、例えばITでいうと、5年前とその後では専門性の結論あるいは判断が大きく変わってくるのではないか。そういうことを考えると、今の26業務という規制の在り方自体、その辺りまで遡った議論が必要ではないかとか、そうした御指摘がございます。
 5ページについても基本的に御指摘と同じですが、衛藤晟一議員からも、同じように、関係者が混乱を来たしているとか、あるいは田村智子議員からも、真にその26業務限定的にするというようなことをやらなかったらいけないのではないかとか、こういったいろいろな御指摘があります。
 6ページ目は、関連する閣議決定です。関連する閣議決定でも、26業務の在り方についてはいろいろと検討していくべきだという決定が行われております。
 7ページは、前回の研究会でも少し議論ありましたが、付随的業務についてです。付随的業務というものは、一番上の点線の箱、枠囲いで書いてありますが、26業務等の期間制限のない業務と併せて、その他の業務を行う場合には、全体として本来は派遣期間の制限を受けるわけですが、期間制限のない業務の実施に伴い、その他の業務を付随的に行う場合で、かつ、その時間数が全体の1割以下の場合には、全体として派遣期間の制限を受けないという整理で、今は運用をしております。下のほうは業務取扱要領という関係通知の関係部分を抜粋をしておりますので、説明は省略をいたします。
 8ページは常用代替防止の考え方についてです。この研究会でもいろいろと御議論ありますが、労働者派遣制度は、法律を作ったときから常用代替の防止という観点で制度設計が行われております。法律を作ったときはポジティブリスト方式でしたが、その後、平成11年改正で、ネガティブリスト方式に転換した際にもこの考え方は活きているというものです。例えば、昭和59年11月の中央職業安定審議会の報告書ですが、下線の下のほうですが、このため新規学卒者を常用雇用として雇い入れ、企業内でキャリア形成を図りつつ、昇進、昇格させるという、我が国の雇用慣行との調和を図る必要がある。その下は平成10年5月の審議会の建議ですが、1番の派遣期間の在り方についてです。下線引いていますが、常用雇用の代替のおそれが少ないと考えられる臨時的・一時的な労働力の需給調整に関する対策として労働者派遣事業制度を位置づけるという基本的な考え方に基づいて、制度設計をしていくべきだという報告あるいは建議がなされております。
 9、10ページは、26業務あるいは自由化業務について、業務別の派遣契約期間ということです。契約件数の割合で数字の記載をしております。9ページは単発の派遣契約で、10ページは通算の派遣契約となっております。9ページのほうで申し上げますと、単発の派遣契約については、例えば上半分が大体26業務、政令で定める26業務となっております。1か月超3か月以下、6か月超1年以下の間が多い状況になっている。一方で、政令で定める26業務以外の業務について、1か月超~3か月以下が、一番多い。3か月超の場合もありますけれども、そういう状況になっているということです。
 10ページは通算の契約期間です。上半分26業務については1年超3年以下あるいは3年超という所が、それなりの数字があるわけですが、政令で定める26業務以外の業務、下半分の自由業務については6か月超から1年以下あるいは1年超から3年以下という所は、比較的多いことになっております。
 11ページは一定期間経過後の直接雇用あるいは無期雇用化に関する、現在の労働者派遣法における規定です。幾つか種類あります。まず上のほうですが、労働契約の申込み義務です。ア、次の場合派遣先は派遣労働者に対する労働契約の申込みが義務づけられる。1自由化業務について、最長3年という派遣受入期間の制限への抵触日以降も派遣労働者を使用しようとする場合には、その労働者に労働契約の申し込みを義務づけられている。2いわゆる26業務について、同一の業務に同一の派遣労働者を3年超えて受け入れており、その同一の業務に新しく雇い入れようとする場合、無期雇用の場合は除きますが、そういった場合には、同じように労働契約の申込み義務が発生をするということです。イには、自由化業務に1年以上同一の労働者を受け入れており、その派遣の受入れ終了後は、新たに労働者を雇い入れようとする場合には、派遣先はその派遣労働者を雇い入れるように努めなければならないという努力義務が課せられております。
 11ページの下では、有期雇用の労働者の無期雇用への転換推進措置ということで、派遣元での雇用期間が通算して1年以上である有期雇用の派遣労働者に対しては、派遣元がその労働者本人の希望に応じて、無期雇用への転換あるいは紹介予定派遣の対象とすることで、直接雇用を推進するとか、教育訓練を実施するとかいった措置を講じるように努めなければならないという、現在の規定がございます。
 12ページは常用労働者に対する派遣労働者の比率です。事業所の規模別、これは常用労働者で規模を分けておりますが、事業所の規模別に派遣労働者の比率を出しております。派遣労働者の就労割合が25%未満という事業所は7割から8割を占めている状況です。
 13、14ページは諸外国の派遣制度の概要です。これまでの研究会で何回か資料としては添付しておりますが、若干修正をするなり、新しく追加するなりしております。以前も御説明申し上げているところですが、日本の場合には13ページですが、業務区分による規制があるところが、一番の特徴になっているということです。13ページの一番下に、派遣が許可される事由で、例えばフランスやベルギーでは、一定の理由の場合に限って派遣労働の利用が可能ということで、入口での規制が掛かっている状況です。
 14ページ、上の表の真ん中ぐらいに、通算の派遣契約期間とありますが、日本の場合には、1年から3年の派遣期間、通算の契約期間が一番多いわけです。例えば、一番右側のフランスとかベルギーなどでは、比較的短期の派遣が多い。あるいはイギリスなどでも、3か月未満が3割弱、3か月から半年が50%、こういう状況になっているということです。
 15ページからは中国、16ページ以降ドイツです。中国とかドイツの派遣法あるいは派遣労働者に対する規制の例を付けております。15ページですが、中国では昨年12月に、労働契約法が改正されております。これによって労働者派遣についても新しい規制が盛り込まれております。主な改正内容で書きましたが、例えば、一番最初に参入規制の強化、2番目として同一労働、同一賃金の徹底、3番目として派遣可能業務の明確化、4番目、派遣労働者比率の制限ということで、具体的には派遣先の企業は派遣労働者の人数を厳格に管理をするとともに、全労働者数に対する派遣労働者の割合が一定の比率を超えてはならないということで、比率で規制をするという内容になっております。具体的な比率については、改正法の施行までに決定する見通しだと聞いております。
 16ページ以降、ドイツの例です。ドイツにおける派遣受入れへの従業員の関与についてです。ドイツの労働者派遣法では、派遣先が派遣労働者を受け入れる前に、派遣先の事業所委員会が関与をしなければならないという規制になっております。下のほうに、労働者派遣法の日本語訳、これ本庄先生に御協力いただいているものを添付をしております。この第14条の3項というか、(3)で付けている所です。労務給付のために派遣労働者を受け入れる前に、事業所組織法第99条に基づき、派遣先事業所の事業所委員会は関与をしなければいけないということです。
 この事業所組織法99条というのは何かというのが、17ページです。17ページに、事業所組織法の99条を添付しております。一番上の点線の括弧に書いてありますが、ドイツの事業所組織法では、企業における人事上の措置について、それが事業所の労働者の不利益となる場合などに、事業所委員会は拒否することができるという規制になっております。具体的には、99条の(1)、常時20人を超える選挙権を有する労働者を擁する企業では、その使用者は、個々の採用とか格付けあるいは配置転換等で、それに先立って事業所委員会に通報をして、必要な応募資料を示して、関係する人物に関する情報を提供しなければいけないとなっております。その上で(2)ですが、事業所委員会は以下の場合に、同意を拒否することができるということで、1から6までいろいろ理由が書いてあります。
 例えば、1でいうと、法律あるいは命令等々に違反をする場合、3、4番辺りに、人事上の措置によって事業所に雇用されている労働者が解雇をされるとか、あるいは不利益を受けるとか、そういった懸念がある、そういった取扱いをされるといった場合などには、事業所委員会が同意を拒否することができるというようなルールになっております。この拒否をする場合には(3)、下のほうですが、事業所委員会が拒否する場合には、その使用者による通知から1週間以内に使用者に対して通知をしないといけない。こういうルールになっているというのが、ドイツの事業所組織法の99条の内容です。
 18ページは前回の研究会でも資料としてお出ししておりますが、ドイツのIGメタルという金属産業労組における派遣労働者の受入れの例ということで、事業所委員会との共同決定、先ほど申し上げた事業所組織法との内容に類似をしているものですが、派遣労働者を受け入れる前に事業所委員会といろいろと交渉し、同意を得なければならないとか、一定の場合には拒否ができるとか、こういったルールになっております。大きな2番目として、派遣の利用理由について制限をかける、注文のピークとか専門的な労働力が必要とか、そういった場合を除いては派遣労働者の投入ができない。こういった労働者の受入れの例があるものです。
 資料2に戻り、本日御議論いただきたいことです。先ほど大きな5点ということで申し上げましたが、1番最初の26業務については、現行の制度は26業務への該当性の有無、あるいは付随的業務への該当性の有無について分かりにくいといった指摘がございますが、この辺りについてどう考えるか。2番目、業務と人について、前回の研究会でも御議論を頂戴したところですが、一番最初の○については、業務について。現行の制度は、いわゆる業務を切り口とした制度設計となっておりますが、こういう業務を切り口とした常用代替防止の仕組みについては、先ほど申し上げた26業務の該当性等々のほか、どういった問題点があるのか。また、それらは克服できないようなものなのか、特に業務による派遣期間の制限は日本独自の規制であり、労働者の保護になっていないという見解もあることを、※で付けております。2番目の○は、人にする場合の話です。無期雇用の者を除いて、同一の派遣労働者について、同一の派遣先での派遣期間の上の限を設けるべきという考え方については、人を交替させることによって永続的に派遣を続けることができることになります。したがいまして、臨時的・一時的な需要への対応という労働者派遣制度と相容れないという御指摘を、前回の研究会でいただいておりますが、ほかに人を切り口として問題点としては、どういったものがあるのか、また、それらは克服できないようなものなのかということです。ここでも同じように※を付けておりますが、前回鎌田座長から頂戴した整理ですが、あくまでもその派遣期間の上限を設定する際に、労働者個人ごとの上限を設定するというもので、労働者派遣はあくまでも役務の提供であることが前提です。
 3番目、常用代替防止の在り方についてです。一番下の○ですが、これまでの研究会では派遣先の正社員の仕事を派遣労働者が奪われないようにするというミクロレベルでの視点、それから労働市場全体で労働者個人が非自発的に非正規雇用の労働者にならないようにしていくというマクロレベルでの観点で議論すべきという御意見が提供されておりますが、更に深めていくべき点はないかということです。裏面の一番上の○ですが、これまでの研究会では常用代替防止の対象となる常用労働者に無期雇用の労働者も含めることも考えられるといった指摘もございますが、代替防止の対象となる労働者の範囲をどう考えていくのか。大きな4番目、常用代替防止の手法について、先ほど申し上げたとおり、諸外国の制度では均等待遇が実質的な歯止めになっております。これはEUの例です。入口の事由で制限をしている、フランスの例です。それから法令で派遣労働者の人数制限あるいは割合制限を行っている中国の例。ドイツのような事業所委員会の同意を必要とする例。こういった例がありますが、我が国の制度を検討していく上で参考となるようなものがあるのかというのが、4番目です。5番目、派遣期間の上限。現行最大3年となっていますが、これを延長してほしいという御指摘もありますが、この辺りについてどう考えるのか。以上の5点について御議論を頂戴できればと考えております。以上です。
○鎌田座長 ありがとうございます。それでは、まず、本日の資料について御質問があればお願いしたいと思います。今のところ、特に御質問はないようですので、議論の中で必要に応じて質問していただければと思います。
 中身の議論に入りたいと思いますが、本日も、御議論いただきたい事項が多岐にわたりますので、資料2の検討事項について、分けて御議論いただければと思います。
 まず、資料2の検討事項の1番目の26業務等について、2番目の「業務」と「人」について、この2つの事項について、委員の皆様から御意見をいただきたいと思います。よろしくお願いいたします。
○竹内(奥野)委員 私のほうからは、1番目に関連して御意見を申し上げたいと思います。この26業務に該当するかどうかというところですが、26業務とそれ以外の業務とで区分をしているのはなぜかというところを考えてみると、26業務であれば、派遣可能期間については基本的に制限がないと。26業務以外については、原則1年で、3年まで延ばし得るという形になっているわけです。
 その背景には、恐らくは雇用が安定しているということがあると思います。26業務に関連して、関係資料の1ページ目のところ、いわゆる26業務とは何ですかという資料に関して,先ほど御説明いただきましたが、12に該当することに加えて、かつ、本文のほうで、常用代替との関係で問題がないというふうに書かれています。そう考えると、26業務というのは、常用代替との関係で問題がないものだと受け止めることができます。それ以外は、常用代替との関係で問題が生じてくる側面があるのだと分類されているのだと思います。
 そう考えると、関係資料の中で御紹介いただいた国会審議等の中でも、この業務が該当するのではないかとか、かえって、これは除いていいのではないかとか、いろいろ議論があって、かつ、該当性が分かりにくいという話もありますが、26業務とそれ以外の区分ということを考えるに当たっては、現在の区分の考え方を前提とするならば、常用代替をしてしまうような業務内容なのか、あるいは、そういう侵触の問題がない業務内容なのかという観点から考えていかざるを得ないという感覚を抱いております。
 そうすると、問題が飛んでしまうのかもしれませんが、結局、3番目の常用代替の防止という考え方の議論が項目にありますが、2ページ目にある2つ目の○に関連することかと思いますが、常用代替防止と言おうとしているときの「常用」とは何かということを検討して、26業務の区分を考えていく必要があると考えております。問い自体の答えではないかもしれませんが、どういう資格から考えていくかに当たっては、常用代替防止ということの理解を踏まえて検討する必要があるかと思っております。以上です。
○鎌田座長 どうもありがとうございます。そのほか、御意見ありませんでしょうか。
○木村委員 まず、1の論点の26業務について申し上げます。資料1にありますとおり、今、竹内委員から御説明いただきましたが、常用代替との関係で問題がないものとして2つとあります。資料2の1ページの1です。その業務を迅速かつ的確に遂行する云々というのと、もう1点が、就業形態、雇用形態等の特異性によって特別の雇用管理が必要であると、この2つであります。ポジティブリストであった時代に、この26業務があったときには、この業務の性質というものが意味を持ったと思うのです。派遣できるかできないかということに関わってくるので。ですが、今はネガティブリストなので、基本的にはどの業務も派遣はできると。この26業務がある意味は、期間制限をするかしないかの話に絞られてきているということであって、この12であっても、その他であっても、要は派遣はできるということであります。
 それを考えると、例えば2の条件、就業形態、雇用形態が特殊であるから、ずっと派遣という形態で人材を活用することがやむを得ないのだというのは、非常に理屈が通るのですが、1のほうの、業務を迅速かつ的確に遂行するので、期間制限なく派遣が使えるのであると。それ以外のものは駄目なのだとあるというのは、理屈的にちょっと難しいということ。
 もう1つは、1の条件に当てはまるのは、この26業務だけなのかと。いわゆる自由化業務は1に当てはまらないのかというと、自由化業務の中にも、業務を迅速かつ的確に遂行するために、経験等が必要であるものはあることもありますし、この26業務という職種の中に括られる業務の中にも、さほどそういうものが必要ではないものもあるということで、ここに関しては、期間制限の合理制は、時代の変化というか環境の変化とともに薄くなっているのではないかと思いますし、常用代替との関係においても、では、この1に対しては26業務というのは常用代替のおそれがないのかというと、そうでもないのではないかと考えられます。
 もう1つは、常用代替ということと、派遣労働者の保護ということを考えると、この26業務が、先ほど申し上げたとおり、期間制限をするかしないかの境目になってくるわけなのです。ですから、この26業務が存在することが、派遣労働者にとっても業務制限になるわけなのです。これが、業務の広がりを阻害することに関わってきますので、派遣労働者の保護ということでいくと、労働条件に比べて業務範囲を過大に広げるなどというネガティブな面もありますが、業務が広がることによって、仕事の幅、能力の幅が広がるということで考えると、それを派遣労働者の保護と言うべきかどうかは分かりませんが、キャリア開発といった点の支援という意味では、保護と言えるかもしれない。そういうことを考えると、この26業務で、少なくとも1の条件で、期間制限をすることに合理性が十分ではないのではないかという考えがあります。
 こういった、十分でないものに基づいて、26業務に該当するか否かの判断で、現場は非常に混乱しているというのが適切な状況ではないのかと考えます。
○鎌田座長 どうもありがとうございます。ほかに何か御意見はありますか。
○山川委員 まだ考えが固まっているわけではなくて、ブレーンストーミング的な議論というか、検討課題の指摘的なことでもよろしければということなのですが、1と2で、基本から考えると、1での問題のは2つの次元があるように思われます。1つは制度の仕組み自体をどう考えるかという問題で、もう1つは、制度の運用の在り方というか、実効性の確保のような問題で、今の仕組み自体は別に問題はなくても、その運用の仕方に問題があるということであれば、それを改めれば仕組みを変えなくていいということが出てくるわけです。
 そういえるかどうかは、また別の問題なのですが、制度の仕組みから基礎的に考えていくと、そもそも、なぜ派遣というものを労働者供給の禁止という原則のあった頃に、特に派遣という一定の場合に解禁したかということから考える必要があると思いますが、1つは、現実レベルでの必要性があって、もう1つは弊害の問題で、なぜ26業務という形で制限をかけたかというと、解禁するに当たって、やはり弊害の防止のために一定の制約を置いたということではないか。
 その際、理屈の上では更に2つ考えられて、1つは、本来、労働者供給の原則禁止の例外を認めることであったからには、本来の労働者供給の禁止の根拠である中間搾取のおそれのようなものがないというものが本来はあってしかるべきだったのかもしれませんが、現実がすでに進んでいたということから、本日の資料の3の8ページ、これは抜粋ですので、全部見れば別かもしれませんが、日本の雇用慣行との調和ということが中心にあって、対象分野を業務によって限定するということについては、余り中間搾取云々という話は出てきていなかったように思われます。しかしこれが、弊害を考える際のもう1つの視点であるべきであったと思います。
 もう1つは、お二人の先生方からも議論が出ている常用代替の防止という点になるわけです。ところが、それが更に2つ以上に分かれると思います。これは前から申し上げている点で、本日の論点3にもありますがマクロレベルでの常用代替防止。つまり全体として常用労働者が減らないようにすること。もう1つは、ミクロレベルというか、派遣先における常用代替防止ということに分かれるかと思います。
 マクロレベルをもう1つ言えば、派遣労働者にとっての常用代替防止というものがあるかもしれませんけれども、それはさて置くとして、もう一度、資料3の8ページに戻りますと、労働者派遣制度ができたときの中職審の報告書では、先ほど申したような、日本の雇用慣行との調和ということが中心で、派遣先の常用代替防止ということは余り明確には出てこないのですが、ここで、なぜ専門業務に限定して解禁することが常用代替防止と考えられたのかを、先ほど若干御指摘がありましたが、もう一度確認する必要があるかと思われます。ボリューム的にというか、非常に量が小さいから余り影響はないと考えるか、それとも、こういう特殊な業務は、そもそも日本的な雇用慣行の枠外にあるとして、特に選び出したのか。本当にそうだったかどうか、後の展開から見ると疑問がなくはありませんが。
 そのような、当初の常用代替の防止の考え方を、もう少し洗い直す必要があるように思われます。派遣先での常用代替防止というものは、それほど明確には出てこないようです。意識はされていたとは思いますが。
 ところが、同じ資料の下にある、平成10年の建議においては、ここで自由化業務というものが出てきて、臨時的、一時的な労働力の需給調整という観点から自由化業務も認めるということになったわけです。この段階では、同じ資料の2の(1)にあるように、派遣先は同一業務について一定期間を超えて労働者派遣を受け入れてはならないということで、この段階ではもう、派遣先における常用代替の防止というものが明確に出てきたということになっているのではないかと思います。
 したがって、今後どうするかというのは、また別の問題なのですが、同じようなことを繰り返して申し上げるようですが、もともと、専門業務についての労働者派遣を認めた趣旨にも立ち返って、そもそも常用代替防止とは何なのかという観点で、あるいは、もしもそういう発想が正しいとすれば、その実現のためにどういう手法があるのかということを、少し基礎的なところから考え直す必要があるのではないかと思っております。以上です。
○鎌田座長 どうもありがとうございました。今、委員の先生方から幾つかの御指摘をいただきました。まず、26業務については、問題点としては、その区分が分かりにくいと。これは付随的業務との関係です。
 もう1つは、専門性というけれども、時代に伴ってそれも変わっているし、そもそも、これで必要十分条件なのか、あるいは必要条件なのかということが、現在では問われているのではないかという御指摘がありました。
 さらに、山川先生から、当時は13業務でしたか、そもそも当初に13業務を指定したときに、これは職安法44条の労働者供給事業の禁止の例外として認めるという趣旨から、一定の業務に限って派遣ができる、そういうポジティブリストとして、この13業務が出たわけですが、そのときに常用代替防止という視点が、果して現在におけるような、派遣先の常用代替防止というニュアンスで、こういう考え方がとられていたのだろうかという問題提起がなされました。
 これについては、ある程度、歴史的に確定できる事柄もあると思うので、もし、事務局で、当初の13業務時代、派遣法が成立した1985年当時で、この13業務に限って常用代替防止のおそれがないとして、こういった業務を抜き出して認めたということの背景事情が、もし御存じであればお願いします。今、手元になければ私の記憶でいきますが、高梨先生の委員会で報告書を出されているのです。そのあと国会討議もされていて、その中での私の記憶で、こういうことではなかったのではないかというのはあるのですが。今すぐには出てきませんね。私も手元にはないのですが。
○佐藤補佐 ありませんので、整理した上で次回にお示しをするようにいたします。
○鎌田座長 私の記憶ですと、法的な問題というよりは、やはりバーゲニングパワーのことをおっしゃっていたのではないかと思います。つまり、専門的な業務の方たちについては、いわば派遣という働き方をしても、受け入れる側も、派遣される側も、いわば濫用的な利用にはならないだろうと。こういったような文脈で、専門的業務の優位性ということをおっしゃっておられたのではないかと思います。これは高梨先生の理論とも結び付いていたのです。専門的労働市場と言ったか、専門型労働市場と言ったか、そういったものをいかすような形で、派遣制度を活用したらどうかというようなことです。
 ですから、山川先生の御質問に関して言えば、いわば法的に、そのときに派遣先と限定したようなニュアンスではなくて、労働市場論というのですか、そういったニュアンスで専門業務についての括りが、位置づけがなされていたのではなかろうかという記憶があります。次回でもよろしいので、可能であれば事務局のほうでそのことについてご説明をお願いします。
○佐藤補佐 整理した上でお渡しします。
○鎌田座長 ただ、先ほど山川先生がおっしゃったように、平成11年のネガティブリスト化するときには、はっきりと派遣先における業務を切り口にした常用代替防止という視点が出てくるのは間違いないということです。
 私は高梨先生の理論を正確に理解しているわけではないのですが、ある種、専門的労働市場論というのか、そういったものがあって、それを一定の背景として派遣制度を適正な、意味のある、価値のある就業形態として捉えていくという考え方があったような気がするのですが。阿部先生は、何か御記憶というか、そういう視点での経済理論などは関係ありますか。
○阿部委員 先ほど山川先生がお話になった中間搾取のところで、専門的職業の人たちは派遣元との交渉のときでも、派遣先とでもバーゲニングパワーが強いので、中間搾取はないだろうという予想の下で、もしかしたら許可している可能性があるのではないかとは、お話をお聞きして思ったのですが。
 関連して言えば、当時、法施行時の13業務のときは、基本的に禁止という状態から、ここは許してあげましょうということで出てきたものであって、今、議論しているのは、完全に全部自由化された下で、どこを特別扱いするかという議論で、当時の背景や状況とは違うような気がするのです。その辺りを、この26業務を考えるときにどうするか。
 特に、期間制限を付ける付けないというところにいきそうな気がするのですが。もし、期間制限が自由化業務と同じであれば、わざわざ26業務を指定する必要はないですし。ですから、26業務が期間制限をなしにする理由が何かというのが、むしろ大事なような気が、皆さんのお話を伺ってしてきているのです。なかなか、これが専門だからなどという切り口は、時代とともにその専門性も変わるし、難しいような気がするのです。
○鎌田座長 その点について阿部先生は、「業務」と「人」、あるいは常用代替防止との切り口のところで、今の議論等を踏まえて、前回の議論の繰り返しでも結構ですが、お考えを述べていただければ。
○阿部委員 基本的に、なぜ派遣というのが、今、必要なのかということを考えていくことが大事だろうと思うのです。労働市場の需給調整機能を派遣は担っているわけですが、そのときに、紹介業も需給調整機能は担っているわけで、そうすると、紹介と派遣とでどう違うかということだと思います。そうすると、それは間接雇用か直接雇用かと。どう考えるかなのですが、直接雇用が望ましいとすれば、多分、派遣よりも紹介のほうが望ましいわけですよね。ただし、この前と同じことを言っているわけですが、短期的に、その労働サービスのニーズが発生したところに、すぐに労働サービスが供給できるような仕組みは、紹介と違って派遣が持っている特性だと思うのです。だからこそ、派遣というものが必要であって。そこのところを注目していくと、比較的短期の、そして突然必要になった労働サービスのニーズに、瞬時にというか、比較的早く対応できるような労働市場の調整機能ということで、派遣は必要だということだろうと思うのです。
 そうすると、やはり、専門だろうが専門ではなかろうが、比較的短期で突然ニーズが涌き起こって、すぐに欲しいというところに、すぐに労働サービスが供給できるというものを、派遣業だと考えるべきなのではないか。そうでなければ、直接雇用のほうが望ましいのであれば、紹介のほうがいいわけで、長期的に必要な人材や、それがどれぐらいの期間かというのはなかなか難しいわけですが、それは有期雇用もありますから、直接雇用のほうが望ましいのではないかというのならば紹介でいいのではないかと。こういうふうに分けていけるのではないかと思います。
 ですから、26業務をどう考えるかというと、そういう意味でも、もしかしたら期間制限をどう考えるかということになるのではないかと思っています。まだ私自身も整理がついていませんが。そういうふうに思います。
○鎌田座長 ありがとうございます。平成11年の、ポジティブからネガティブリストへの転換をしたときに、派遣というものをどう位置づけるか、自由化業務というか、一般的な派遣をどう位置づけるかといったときに、臨時的、一時的労働需要に対する需給調整として受け入れるというのは、今、阿部先生がおっしゃったように、そういったような需要と働き方、はヨーロッパなどで言うテンポラリーワーク型というものです。フランスやベルギーや、イギリスもそうかと思いますが、いわゆる派遣というとテンポラリーワークなのだと考えて、それは国際的な1つの大きな潮流だったと思います。
 日本は、そういう意味では出発点は専門職型派遣という、独自の出発点を持っている。その出発点の背景は、正に、職安法44条で労働者供給事業を禁止し、それを解禁するというから、専門職労働市場とのつながりで、そういうふうに認めていった。ところが現在は、26業務の専門職性というものが先ほど来、話題になっているように薄れてきているとすれば、やはり、臨時的な、一時的な労働市場の問題としてこの問題を整理していくということが、1つの考え方ではないかと。そういうお考えかなと。
○阿部委員 はい、そうです。結果的に、そういう短期間のテンポラリーな仕事がA社、B社、C社と幾つか出てきて、派遣元は、そういう派遣先がいろいろ出てくるところに、自分のところに登録している労働者を、雇用安定を図りながらうまく数珠つなぎに派遣していくというのが最も望ましい。うまくできるかどうか分かりませんが、それが最も望ましい。だから、登録や常用派遣などがあってもいいのではないかとは思っています。
○鎌田座長 ただ、そうすると、先ほど来、ほかの委員の先生からありましたように、テンポラリーワークとしての意義というのはあるとしても、しかし、日本においては、比較的長期にわたる派遣が存在していて、では、これは何かといえば、ある意味で、いわゆる正社員の代替というのか、本来であれば恒常的な業務を正社員として雇うところが、いわばグローバル化の中で、そういう言葉がいいのかどうか分かりませんが、様々な経営上のリスクを回避するためのバッファーとして、派遣というものが濫用的に利用されるというような問題がある。それは弊害があるのだということが、常用代替防止という観点から言われてきた経緯があるのではないかと思うのです。そういったニュアンスで、例えば竹内先生は、雇用の不安定などと言われていたのですが、その不安定の中身をどう捉えればいいのでしょうか。確かにテンポラリーなので短いといえば短いのですが、比較的長いものもある。これは専門家の方たちにお話を聞いても、ドイツなど比較的短いのです。日本は比較的長い。そういったことを考えた場合に、単に臨時的な、一時的な労働需要に対しての需給調整というだけではないのではないかという危惧があると思うのです。
○竹内(奥野)委員 私が先ほど、前回の検討事項に関してコメントを申し上げたところでも、雇用の不安定ということを申し上げましたが、そこで申し上げたのは、主として、特に登録型派遣を念頭に置いて、有期雇用であるというところで申し上げたものです。つまり、現実的には雇用が反復・継続されて、長期間の雇用になるかもしれないわけですが、いつの契約期間満了時点で終了とされて、かつ、無期雇用の場合に比べて、期間満了時点における雇用の保護が厚いとは言えないということを、主として念頭に置いたものです。
○鎌田座長 あと少し別な観点というか議論になるのですが、「業務」と「人」というところで、更に少し御意見を伺いたいのですが、これは幾つかの団体から派遣期間の上限設定について、業務を切り口にして一定期間限定することで、常用代替防止を図ろうということがあり、それに対する問題点を指摘されてきました。一方で、それを人単位で考えてみようという提案もありました。
 この、人単位で考えてみたらどうかということについて、先ほど木村先生が、業務という切り口に対して、人に着目して考えていくというのは、仕事の範囲、業務の幅が柔軟に捉えられ、その人のキャリア開発に資するものではないかといった趣旨の御発言がありましたが、「人」に着目したというのは、関連でおっしゃったことだったのでしょうか。
○木村委員 そちらを意識したというよりは、業務に期間制限をすると。期間制限のありなしを区別したときに、派遣先の場合、例えば期間制限のない業務からある業務に業務を転換したくはないなと。ですので、それが派遣労働者個々人の担当業務の範囲を狭めてしまうという意味で申し上げたことであって、先ほどの発言は「業務」と「人」との扱いとは少し違ったのですが。
○鎌田座長 「業務」と「人」の切り口のメリット、デメリットというか、特にこういったようなことについて何か御意見をいただければと思います。業務を切り口にしたというのは現行制度ですので、それは常用代替防止の仕組みとして仕組まれていることは先ほど来確認されていますが、人を切り口とした場合に、ここでは問題点としてはどういうものがあるか。その前提として、人を切り口にした場合にどういったようなポジティブなものが期待されるのかということを。ネガティブなことでも結構ですが。
○木村委員 網羅的に言えるわけではないですが、人に切り替えることによっての使う側というか、派遣先側からのメリットはずっと使えるということですね。それは、逆に言えばネガティブですが、業務が同じでも人を入れ替えればいいということですので、派遣先としては使いやすいというのがあります。
 もう1つのケースで労働者側からのことを言うと、業務の制限期間だと2013年3月で終わるというときに、その仕事で働いていた派遣労働者が予定どおり2013年3月まで働いてくれて、そこで業務と派遣契約が切れるとは限らなくて、その派遣労働者が何らかの一身上の都合で2013年1月に働けなくなることがある。残り2か月の業務はある、派遣の依頼もあるけれども、人だけがいない状況になったときに、その2か月は私が派遣労働者で行くとなると、私の仕事は2か月で、2013年3月以降は派遣就労ができなくなります。その状態でいくと、私はその派遣先に行くのが長く仕事をしようと思っていたら、仕事としては余り良くないです。私が4月以降、別の仕事が確保されていればいいのですが、そうでないときは3月で強制的に切られる仕事であって、仕方なく就くかもしれませんが、自分の雇用機会はその先はないということですし、その仕事はそもそも2か月だったらやめようということで別の仕事を探すことになるかもしれなくて、ある意味、雇用機会を制限することになっているかもしれない。つまり、契約満了をみんながするとは限らなくて、途中で人が入れ替わるということですが、入れ替わったあとの人の期間が非常に短くなる。ケースとして、どれぐらいこれが起こっているのかということの検証はできていないですが、人に切り替えることによって、人が替わればそれから先1年、3年大丈夫だということであれば、今のような問題は起きないと思います。
○鎌田座長 いわば2人目というか、1つの業務について3年のうちの仮に2年半働いてもう1人入れる場合に、この人の就業期間というのは必ず制限されるという意味では、その人についての雇用が不安定ということになるわけですね。
○木村委員 そうです。
○鎌田座長 常用代替募集というのは、正にシステムの問題と派遣先の正社員との関係ですが、その派遣労働者の視点に立った場合に人単位でいくのか業務単位でいくかを見た場合には、今の木村先生の発言は、少なくとも派遣される人の視点には立っていないという御指摘だったと思います。
○阿部委員 ただ、もともと派遣という仕事に就いているということは、自分の専門性を売るということで派遣就業をしている人もいると思います。その場合には、2か月であろうが自分の専門能力を売るということで、派遣労働ってそういうものだと決まれば、皆さんそう考えるのではないかと思います。ただ2か月が終わったとしたら、派遣元がその後にどれだけ準備できる能力を持つかということで競争していただきたいと個人的には思います。そうでなかったら、ただ単に人のやり繰りだけで稼いでる企業というのを想像してしまうので、本来派遣会社がやるサービスとは何なのかというのを理想論的に近づけていけば、今の問題というのは少ないのではないかと思います。ただ、そこまで言い切れるかというと自信はないです。逆に人にしてしまった場合には、人が替わればその業務は永遠に派遣に切り出せるわけで。
○鎌田座長 新たな規制があればまた別ですが。
○阿部委員 となると、常用代替の趣旨とは合わないのではないかと思います。ここで常用代替というのは、結局は直接雇用を代替するような間接雇用を禁止するというか、間接雇用を避けるというような意味だと思いますが、そういう意味では直接雇用を減らすようなことはできないような仕組みを理想として掲げているのであれば、私は人よりは業務でやったほうがいいのではないかと。今、木村さんが言ったような問題は、しつこいですが、それは派遣会社の問題あるいは派遣会社と派遣労働者の問題であって、そこまで考えて派遣法を考えるべきなのかどうかというのは私にはまだ分かっていません。
○鎌田座長 ヒアリングの中で人単位で考えようといったときに、その人のキャリア形成の視点も大切だという文脈で人単位という話も出てきたように記憶しています。
○木村委員 確か、長く就労できるかなということですよね。そのことでおっしゃっているのですね。
○鎌田座長 それから今は受入期間制限がありますので、業務の幅は相当厳格にせざるを得ないのです。ところが、それが人単位で見てくると、26業務をどう扱うかにもよりますが、少しその人の従事する業務の範囲についてもフレキシビリティが出てくるのかなと、そのヒアリングのときに聞いていた記憶があります。
○竹内(奥野)委員 今の点に関連して、今のような形で従事できる業務を広げるという考え方、アイディアですが、いろいろな仕事を経験してキャリアアップにつなげるという意味では、先ほどの木村先生の御発言を聞いていてなるほどと思ったのですが、他方で今の正社員はそれに近いものがあるでしょうけれども、無限定にあの業務、この業務をやってくださいねと。でも、あなたは派遣ですよ。どちらかというと非正社員ですよと、まさしくそういう意味では正社員代替を、より容易にするような方向性の議論でもあると思います。そういう意味では、どちらか一方というのは今すぐに結論は出ませんが、その人のキャリアの可能性を広めるという点も一方で多分あると思いますが、まさしく正社員代替化をするような方向にも働き得る、要するに正社員のように無限定で何でもやろうと思えば大体できるような形になる可能性はないかを考える必要があるのではないかと思います。
○鎌田座長 無限定ではないと思います。
○竹内(奥野)委員 無限定ではないと思いますが、範囲が広がりつつ、それに近いことができる可能性も他方で危惧すべき点として考える必要はあるかなと思います。
○山川委員 論点2は前も申しましたが、業務と人というのがかなり多義的に使われているので、分けて考える必要があるように思います。つまり、業務の種類や性格というのは期間制限をかけるか、かけないかの問題のところで出てくるお話で、仮に専門業務か自由化業務かの区別をしないとすれば、この問題はある意味では消えてしまうわけですよね。ということで、業務の性格によって期間制限をかけるかどうかの問題というのは、26業務の分かりにくさと言われるものに関わって主に議論される問題ですが、それではなくて業務単位か人単位かとか、前回、場所とも申しましたが、これはそもそも期間制限のかけ方の問題になるわけで、そちらのほうがある意味では仕組み方の問題として重要になるように思います。
 阿部先生もおっしゃられるように、ある意味では派遣先の常用代替防止というコンセプトからは業務単位で考えるのは素直な帰結になるであろうという感じがするわけです。ただ、派遣労働者の保護にならない面もあって、特に派遣労働者が常用労働者で、派遣労働者自身の雇用は安定しているけれども、その派遣先には居られないということで、そこは両者、つまり派遣先の常用代替防止の要請と派遣労働者の雇用安定の要請が端的に抵触する部分になるわけです。その問題はともかくとして、デメリットとして1つあるのではないかと思います。
 人単位の場合は、逆に常用代替の防止という趣旨との関係で、一体何のために人単位で期間制限をかけるのか。これも阿部先生が先ほどおっしゃったことと関係しますが、そのあたりから考えていく必要があるかと思います。それは、ひょっとして派遣先の常用代替防止とは別のコンセプトの話なのか。ある派遣労働者が同じ派遣先に何年も居るべきではないというのは、常用代替防止と別みたいな感じがするのですが、まだ整理しきれていないです。ただ、他方で人単位で考えて、もう1つはその派遣労働者が常用であるかどうかによって区別をするという別個の切り口もあって、その場合は派遣先の常用代替防止とはまた別ですが、派遣労働者が常用であれば、その人に着目して規制の在り方を考えるというのは、人単位で考えるある意味ではメリットになりうるかなと思います。以上です。
○鎌田座長 今おっしゃったように、26業務でいう業務の性格の問題と、期間制限のかけ方の単位の問題を分けて考えたほうが混乱はないような気がします。そうした場合に、業務で期間制限をかけることになると、26業務とは話は別ですが、それにしてもどの業務で期間制限をかけるかというのはまた別な分かりにくさもある。それに対して、人というのは分かりにくさがないといえばないです。一方、常用代替防止ということからいうと、ずっと派遣として送り続けることが何らかの形での規制がなければ、それはそれで問題が出てくるのではないかという形でまとめられるのかなと思います。一応、このような整理のところで次の話に移ってよろしいでしょうか。
 次に、資料2の3の「常用代替防止の在り方」と4の「常用代替防止の手法」について御議論をいただきたいと思います。これは、今、山川先生がおっしゃったように、常用ということの意味との関連で代替防止の対象をどう捉えるかという問題が特に3の2で出てまいりますが、この点について御意見をいただければと思います。
○竹内(奥野)委員 これは質問です。3の○の2つ目、裏のページの冒頭の項目は「代替防止の対象となる常用労働者に無期雇用労働者を含める」というふうな書き方になっているわけですが、趣旨としては派遣が無期雇用労働者であれば、常用代替防止という問題に抵触しないという考えで理解をしてよろしいでしょうか。
○鎌田座長 これは、事務局のほうで趣旨を。
○佐藤補佐 竹内先生が御指摘のような趣旨です。
○木村委員 自分でも、うまく整理できていないまま発言しますが、今御指摘がありましたとおり、代替防止は派遣元で派遣労働者が無期雇用であれば、そういった派遣労働者を使うことは、意図として派遣先の常用代替と捉えないということですね。今みたいな話は、派遣先であろうと派遣元であろうと、乱暴に言えば無期雇用の労働者が労働市場にたくさんいればいいと言い替えられると思いますが、こういったときの常用代替の考えでいくと、派遣先の無期雇用を派遣労働者で代替しないようにということですよねと。恐らくマクロで昨今起きていると思われるような、派遣先の直用の非正規なのか派遣労働者なのかということとは違う話になってくるということです。この常用代替ということを純粋に言うと、派遣先の無期雇用と派遣労働者との代替関係ということだと思います。前回か前々回の研究会での無期の派遣労働者に限定すべきだという話の流れを受けましてそうだと思いますが、もう1つは先ほど出た中間搾取という話があって、中間搾取を常用代替とどう関連づけるかという話で、常用であれば派遣でも直用でもいいのかということですが、もともとが中間搾取の防止で例外として生まれたのであれば、無期だったら何でもいいのか。高いかどうかは別として、中間搾取の温床になる可能性もあって、常用代替防止は繰り返しになりますが、純粋に言えば有期と、無期の話でいいのですが、中間搾取ということを考えるとその要素も加えて考えるべきなのではないかと思います。以上です。
○鎌田座長 言葉の問題ですが、中間搾取という言葉が議論されていますが、労基法で定める中間搾取というのはまた独特な定義をされていて、派遣に関しては中間搾取には当たらないということなので、広い意味で言うと何か人を送って、派遣料金から賃金を払うことが、いわばマージンを取るというのが中間搾取のイメージだけれども、法的には中間搾取とは言わないということがまずあると思います。一番最初に山川先生がおっしゃる中間搾取というのは、法的な意味で言ったのですか。
○山川委員 申し上げたのは労働者供給が原則禁止されていて、その趣旨ということで。
○鎌田座長 それは労基法の法的な意味でのことですよね。
○山川委員 はい。
 今の木村先生の御指摘は重要な点だと思います。つまり、常用代替の防止と労働者供給の原則禁止の解除という2つの側面があって、それは前回も奥田先生から指摘された、今日は竹内先生からも言われましたが、間接雇用をどうするかという問題は正に残るので、そのあたりについては別途というべきか、別途ではないのかもしれませんが、常用代替防止をどう図るかとはかなり次元の異なった問題です。日雇派遣の原則禁止というのは、多分雇用主としての責任を果たし難いような短期の派遣を禁止するということで、間接雇用の問題点に着目したものと思いますが、今後いろいろ仕組みを考えていく際には、そちらのほうも間接雇用ゆえの問題点も目配りは必要だと思った次第です。以上です。
○鎌田座長 次回以降、どこかの段階で第44条を解禁したという趣旨で間接雇用の問題を考える場合に、どういったような観点から第44条の問題点を指摘してきたのか。中間搾取という議論が1つ大きくあって、私が今しっかりと定義する準備はないのですが、これはかなり議論がありました。その辺のところも事務局に整理をしていただければいいと思います。よろしくお願いしたいと思います。
○竹内(奥野)委員 今、木村先生、山川先生が御指摘されたこととも重なりはあるかと思いますが、常用代替防止といったときに何をアイディアとして考え得るかと考えてみた場合に、先ほど阿部先生は直接雇用かどうかという観点で切り口を示されて、木村先生は無期雇用かどうかという観点で切り口を示されて、時期の問題はあるかもしれませんが資料の8ページの昭和59年の報告書によると、我が国の雇用慣行との調和を図るという観点で、これはどちらかといえば正社員としての常用という言われ方をしているのではないかと思われます。そういう意味では、常用代替の防止されるべき「常用」というのを必ずしもどちらか1つという選択ではない可能性もありますが、無期かどうかと考える、直用かどうかと考える、さらには正社員かどうかという考え方をするという、幾つかの考える候補というか選択肢があるように思います。
 先ほどの無期かどうかという観点は、正社員かどうかという観点と対比していえば、雇用の存続では同等の保護を図るべきだという点ではいいのかもしれませんが、これは想像もある程度入っていますが、恐らくは無期であっても派遣の方が一般には労働条件水準は低いだろうと思います。先ほど中間搾取という話がありまして、それとはやや異なりますが、無期であっても派遣労働者の場合のほうが賃金水準は低いのではないかなという想像がなんとなくあります。そうすると無期雇用であれば、常用代替防止にならないという考え方は,労働条件面では特に問題視をしない。あるいはそこが抜けているから、何らかの対策も併せて講じるという考え方も出てきうるかと思いますが、雇用の存続という観点で問題を特に限定して捉えるという見方かと思いますし、正社員を代替していけないのだということであれば、労働条件水準も含めて代替するのは問題ではないかという見方になると思います。幾つかの考えられる視点のいずれとして、常用代替防止を立法の改正の当時どうだったかという議論もありますし、また今日的にどう考えるかというところを考えていく必要があるのかなと思います。
○鎌田座長 労働条件水準も少しデータとしてほしいということになりますね。特に無期という形では切っていないので、常用型ということになるのかな。
○佐藤補佐 登録型と常用型ということであれば、データとしてお出しできると思います。無期だと難しいかなと思いますが、どのようなものがあるかは調べて次回お出しをします。
○鎌田座長 他の一定の業種のITの技術者派遣の対象となっている技術者と、その業種での通常の労働者の労働水準の比較ができると少し分かりやすいかなという感じがするけれども、そういうことはできませんか。
○佐藤補佐 何かはあるとは思うので、少し調べてどういった形でお出しできるかは検討させてください。
○山川委員 間接雇用といっても、実質的な間接雇用か法的にも間接雇用かという観点から、派遣と請負、特に今でいう構内下請。つまり、派遣と構内下請の労働条件水準の違いみたいなものがもし分かれば。それは間接雇用の問題の関係では、もしかしたら有益かもしれません。
○鎌田座長 先生、それは派遣と請負労働者ですか。
○山川委員 そうです。
○鎌田座長 あとは、そのときの受け入れた企業の通常の労働者の比較もできると。
○山川委員 もちろんそうです。
○鎌田座長 5、6年ぐらい前に請負に関するガイドラインを作ったときに、そういったようなデータが議論されたような記憶があるのですが。
○佐藤補佐 数字としては若干古い数字になるかもしれませんが、そういったもので集められるものは集めたいと思います。
○鎌田座長 もう余り区切らないで、4の「常用代替防止の手法」「派遣期間の上限」についても、自由に御発言をいただければと思います。既に中身として入っていますので。常用代替防止の手法というか、諸外国の制度において受入先の派遣労働者の受入れについては、幾つかの手法で規制をしているように見えますが、その手法の質問でも結構です。是非、御意見をいただければと思います。
○阿部委員 3の1つ目の○のマクロレベルの観点と4と関連してお話させていただきます。この手法というのはいろいろな手法があって、ここで議論するのは当然派遣法の下での手法だろうと思いますが、多分それでは難しいところがあるのではないか。というのは、非自発的に非正規雇用の労働者にならないようにするためには、法で解決できるような問題ではないのではないかと思います。景気が良くなれば直接雇用というか正社員になる人たちが増えていきますし、実際2000年代半ばは登録型派遣に登録する人たちが減って、なぜかといったら直接雇用に行っているからという現象があったと思います。そういう意味では、景気をどうやって良くするかという方向を目指すべきで、法律で制限することはできないのではないかと思います。そういう意味で4も防止の手法の1つとして、研究会の報告書の中には是非「景気を良くする」とか「雇用創出をする」というのを書いていただきたいと思います。法的に制限をかけるというのは、本来は余り望ましい姿ではないと経済学者たちは思っていますので、もちろん本当に問題があれば法で制限する必要はあると思いますが、防止の手法として一番大事なのは、景気を良くして、直接雇用を増やしていくのが望ましいのではないかと思います。余り貢献しなかったですが。
○鎌田座長 確かにという感じがあります。ただ、こだわるわけではないですが、法によって規制をするという意味の中に、派遣先での常用代替防止ということでいえば、派遣先の労使の意向というか労使自治ということで、自主的にその辺のところをその企業に見合った受入れも考えられるのではないかと思います。ドイツの場合、そういった工夫をしているのかなと思いますが、これはドイツの制度の中で行われていることなのですが、そうした観点から何かある種、労使自治を絡ませたようなもの、ドイツは事業所組織法の中で、共同決定の中で受け入れてやっていると思いますが、日本の場合にこういったものをどう考えればいいのか。
○竹内(奥野)委員 今の点にはある程度関連するかと思いますが、他方面、ざっくばらんなというか、とりとめのない意見になってしまうかもしれませんが、私も前回の議論に関してコメントを申し上げたところで似たようなことを申し上げたかとは思いますが、確定的には法学者としてはどうか分かりませんが、常用代替防止とか何らかの禁止をして、派遣に対して禁止的な立場で臨んで正社員が増えるかというと、そこは少なくとも確証がないなという感じがしております。しかし、他方でそういう意味では感触としては阿部先生の御指摘はなるほどな、そのとおりだと現在は持っていますが、他方で法が何かできないかというところを考えてみると、阿部先生は直接雇用という観点で御発言されていますが、仮に直接雇用が望ましいということであれば、それを促すようなインセンティブを法的に設ける意味での規制というのは、法としてももしかしたら何らかの役割を果たし得るのかなという気がいたします。そういう意味では、直接雇用への転換を促すための諸々の措置を入れるとか、それと併せて何らかのメリット、ユーザーないし派遣元にも認めるということも伴いつつやれば、インセンティブのメカニズムになる可能性はあるかなと思っています。
○阿部委員 今のに関連して、インセンティブという形でいえば、もしかしたら労働法的な観点ではなくて会計法とかそちらのほうで、会計上の取扱いをどうするかというところでインセンティブを与えることができるのではないかと思います。私の認識が間違っていたらあとで修正しますが、例えば大学は人件費をある程度のところで納めなければいけないというのがあったはずです。その結果、人件費が出る部分はどうしても派遣で物品費にしたいというところがかなりあって、多分皆さんの大学でも派遣を受け入れているのはそういうことだろうと思います。なので、人件費の問題をどう考えるかとか、そういうところではインセンティブを付けられるのではないかと思います。分かりませんが。少なくとも大学で言っている話では、そういうところは言えるのではないかと思います。
○鎌田座長 直用化へのインセンティブとして、そういったような制限を。
○阿部委員 なくしたらどうか。なぜ、人件費が高くなってはいけないのかという議論です。大学では、多分補助金の関係か何かではなかったかと思います。余りにも人件費が多くて、研究教育費が低いというのはどうなのだという議論から、補助金カットの対象で、人件費を圧縮するために物品費の派遣を雇ったりするということではなかったかなと思います。間違っていたらごめんなさい。
○鎌田座長 それもどこかで確認して。
○阿部委員 ただ、企業も人件費を少なく見せたいという何かがあるとしたら、派遣も人件費に含めてくださいということをすれば、余り問題はない気がします。
○木村委員 企業では外注加工費にしたりします。それで人件費から切り離すことによって、財務上良く見せる。実際の数字は良くはならないのですが、融資を受ける際に見栄えは良くなるということで、中小企業はよく地元の融資、地元の金融機関から融資を受けるときに有利になるので、それをやっているということもあります。
○竹内(奥野)委員 若干話がずれるかもしれませんが、3、4についての議論に関連して、4は常用代替防止の手法、常用代替防止をすべきだという前提の話になろうかと思いますが、先ほど座長からドイツの手法の形で御意見がありました。そもそも派遣労働者を利用するかどうかというところと、どれぐらい利用ができるかの話は,全くレベルは違うとは思いますが、現在の日本法においても自由化業務については原則の派遣可能期間は1年で,3年に延ばすときに労使協定を結んでできるという手法がみられます。そこは今申し上げたとおり、そもそも利用ができるかどうかと期間をどれだけできるかは根本的な違いがあって、同列には論じられないですし、これは法律の先生方が御承知のとおりだと思いますが、ドイツの事業所委員会のいろいろな組織的、制度的な構築の度合ということと、日本の過半数代表制というものの制度上問題があると言われているところと全く同一視できないわけですが、確かに過半数の代表制度というものを応用する仕方も常用代替防止の手法としては、それを何らかの形で適宜問題とされている点を修正しつつ、考えていくというのはあり得るかと思います。
 ただ、こちらのほうが申し上げたい点ですが、そういう手法というのは派遣先における労働者と派遣先たる使用者との労使自治という点では良いのかなという感じがいたしますが、他方で将来の派遣労働者から見てみれば、そこでいう労使自治からは全く排除されている。むしろ、自分たちが派遣先の直用されている労働者とは対立するであろう側面を含んだ、利害状況からはむしろ除外されているという側面もあるかなと思います。そういうデメリットもあって、そういうところを今申し上げた手法に関しては検討する必要があるかなと思います。
 この問題はもう少し広げて申し上げますと、結局は今回は常用代替防止をどうするかという形で、そこを前提に議論をしているわけですが、それとともに特に現行の派遣法に関しては派遣労働者の保護が法律の条文のタイトル上、あと,目的規定上も明確に入っていることがありますので、常用代替は防止は防止で1つ考える点が必要かと思いますが、派遣労働者の保護をどうするかという観点もあり、それとどうバランスを取るかという形で考えていく視点というのは欠かせないかなと思います。今日の話を越える話かもしれませんが、常用代替防止のことを考えるに当たっては、派遣労働者の保護をどうするかも併せて可能な限り並び立つように考える必要があるかなという気がいたします。
○山川委員 今の竹内先生の御意見に同感で、先ほど座長のおっしゃられた派遣先の労使自治というのは、常用代替の防止の趣旨が幾つかあるうちで、派遣先における常用代替の防止ということを考えれば、前回もチラッと申し上げましたが、派遣先の労使の意向によって、ある意味では変化が与えられるという点では考慮に値すると思います。他方で、派遣労働者自身の常用化という点からすると、今竹内先生がおっしゃられたように抵触する部分があるわけで、そこは調整は可能ではなかろうかと思います。先ほどチラッとその点も申しました。ただ、基本に遡ると、法律が何ができるかという話になりますが、仮定の話として今の労働者派遣法を全廃したら、職安法第44条の規制が復活して、受入先も含めて刑事罰を課される状態になるので、根本はそこに戻らざるを得ないのだということで、それで法の仕組み方が問題になってくるのだろうと思います。以上です。
○鎌田座長 今、竹内先生の話を聞いて私も思い出しましたが、確かに自由化業務1年原則で延長するときに、過半数組合、過半数代表者の意見を聞くということになっていましたか。
○佐藤補佐 そういうことです。
○鎌田座長 そういう意味では、そういう制度が現にあるということです。延長する場合には。
○木村委員 今日の数字は、資料3の14ページに各国の派遣の人数と派遣期間が載っていますが、日本は2011年の減ったときの数字なので、若干前の年、前々年と状況が違いますが、明らかに言えることは日本は圧倒的に長期派遣3か月以上が多くて、事実上無期に近そうなのが21.4%と長い間派遣を使うということで、実態としては一時的、臨時的ではないという前提があるからこそ、常用代替防止のために期間制限をしようという議論が強くなるのだと思います。よその国はそれがなくても、一時的、臨時的に結果としてなっていますので、外国ではどういう議論が行われているかは分かりませんが、少なくとも日本ではそういう要素が強くなっているということだと思います。
 ここで議論のときに注意すべきことというのが、日本の実態を踏まえて期間制限をして常用代替を防ぐのかということですが、そもそも常用が無期雇用ということと、資料3の8ページの昭和59年の小委員会報告書にあるとおり、新規学卒者で常用雇用として入って、「キャリア形成を図りつつ、昇進・昇格」というところまで狭めると、これを代替してほしくないということで常用代替防止ということであると、この常用代替をしているのが派遣労働者なのかということです。そもそも、昭和59年から日本の企業もいろいろ変化をしてきましたが、このときの常用代替というのが昭和59年の抜粋で書かれている「キャリア形成を図りつつ、昇進・昇格」という労働者の範囲を割合として下げてきたということだと思います。その中の1つが派遣労働者であったことは事実だと思いますが、基本的には昇進・昇格の枠に入らない正社員の中でも少し雇用形態が違うとか、雇用形態は一緒だけれども暗黙のキャリアパスが違うとか、あとはそもそも非正規雇用、有期雇用、契約社員という形で常用代替を募集してきたものであって、派遣労働者というのはこれらを常用代替防止するという側面がありますが、あとは何回も言って恐縮ですが非常用で代替防止をしていることがあるのと、結局はこの常用雇用を狭めて昇進・昇格させていく範囲を派遣社員にしてきたということであって、派遣をもし活用させなかったとしても、別な形で常用代替というのが行われてきた可能性は非常に高いのですが、実証はここではされていないと思いますのでもう実証はできないわけですが、要は派遣だからこのキャリア形成できる層、させる層が、派遣のせいで常用代替されていくという前提で厳しく規制をかけていくというのは、ちょっと違うのではないかということがあります。
 あと、竹内先生がおっしゃられたように、常用代替と派遣労働者の保護を考えなければいけないのですが、この2つは対立ですよね。ある意味、常用と派遣とが人数が増えないのであれば、雇用の、1つの会社で取り合うわけですが、ここで代替関係にあるもの同士を保護しようということでそもそも法律としては非常に難しいことになりますが、今日の範囲を越えると思うので簡単に申し上げますと、派遣労働者の保護というのは派遣元の雇用維持、派遣労働者の雇用継続の責任を強化する方向性で法律を考えていくことによって求めるのがよろしいのではないかと思います。登録型を禁止するという流れでないとすれば、登録型であっても例えば仕事が切れたら次の仕事を紹介するということを、何らかの形でそういった責任を強めていくのが望ましいのではないかと考えます。以上です。
○鎌田座長 今の最後の御提案で一般論としておっしゃったのですが、具体的なイメージがもしあれば、こんなような派遣元の責任を強化するような中身になりますよね。
○木村委員 義務づけは難しいと思います。義務づけになると無期と変わらなくなるので、登録型である以上は次の仕事がすぐに紹介できないかとか、できない場合は雇用し続けて給料を払うことになりますが、登録型を認める以上はそれはできなくて、雇用機会は1回切れるわけですよね。雇用機会が切れたときに仕事を探すのは当たり前ですが、職業能力の評価した情報を蓄積していって、紹介のときに活用するとか、どの程度やれば実効性があるかどうかというのはまだ考え中ですが、普通の正社員をローテーションさせていくようなものを派遣元にもそういった活動をさせていくことによって、円滑に派遣労働者が次の仕事に就けるようにということをやっていく。ただ、登録型の場合は特定の派遣元に固定される必要がないので、ほかの派遣元に行ってもいいわけですよね。そういうことをあまり言ってしまうと、派遣元としてのインセンティブもないのですが、そういったところ労働者全体のことを考えれば、ほかの派遣先にでも仕事が見つかりやすいようにということもあります。それほど派遣元のインセンティブがなくて、このバランスをどう取るのかということ。まだ具体案はありませんが、そういうことを考えております。
○阿部委員 木村委員の前半のお話ですが、確かに常用代替が派遣だけで起こっているわけではないだろうというのはそういう可能性はあると思いますが、ただパートアルバイト、契約社員、嘱託社員と派遣社員との大きな違いはどこに行き着くかというと、間接雇用かそうではないかというところに行き着くのだろうと思います。だからこそ、少しいろいろと制限をかけることが成り立っているのではないかと思います。私は間接雇用が駄目なのか、直接雇用がいいのか、ここの価値判断はなかなか難しくて分からないのです。間接雇用がいけないというのだったら制限をかけるべきだし、間接雇用は別に直接雇用と変わりないということであれば制限をかける必要はないと思います。そこの価値判断というか、間接雇用がなぜいけないのかというところをもう少し考えていくべきではないかと思います。そうであれば、制限かける必要はあると思います。
○木村委員 今、最後に申し上げた派遣元が登録型であっても、派遣労働者の仕事の場を雇用継続させるように努力をさせることと、間接雇用を悪とみないということはセットだと思います。間接雇用から使うときだけ雇って、要らないときに切るということであると、需給調整というか中間的な労働市場としての意義がないので、それを派遣元が果たしてこそ、我々として期間制限をしなくてもいいのではないかという議論とつながるという意味です。
○阿部委員 そこは私は納得しません。
○木村委員 私は阿部先生と同じことを言っているつもりですが。
○阿部委員 期間制限のところは。
○木村委員 だから、期間制限をするか、しないかの話ではなくて、考え方の話です。
○鎌田座長 法的には、職案法第44条の労働者供給事業の趣旨をどう捉えるかという問題でかなり長い間議論がありまして、必要の範囲で事務局に御議論の素材を提示してもらえればと思います。学説でも大変な議論がありますので。
 最後の派遣期間の上限については、何か御意見はありませんか。最大3年となっているが、これを延長してほしいという声もあるがということです。これは、自由化業務についての派遣可能期間の上限ですが。
○竹内(奥野)委員 1点だけ。大した意見ではありませんが、ここも結局派遣として、よりある特定の人が長く働き続けるようにしよう、あるいはそうしたいというニーズがこの背景にあると思います。それは一方で企業のニーズ等もあると思いますし、派遣労働者として働く人のニーズをどう組むかという問題として捉えることができるのかなと思います。しかし、他方でこれを認めていくとなると先ほど言った議論に立ち戻って、常用代替との関係でどうなるかという話があって、具体的に検討すべき論点ではありますが、5の問題も長期にあるいは常用ないしは無期雇用として派遣という働き方をどの程度認めていくか。先ほど来議論されている常用代替との関係でどうするかの問題を解決することによって、5の検討というのも進んでいくのではないかなという気がいたします。
○阿部委員 その労働者が直接雇用が望ましいのか、間接雇用が望ましいのかというのもあると思います。例えば5年とか10年とか、派遣で行っているのがいいのか、有期雇用であっても直接雇用のほうが望ましいのかという議論ではないかと思います。だから、派遣という業態が紹介とどう違うのかというところは、そこなのではないかと思います。
○鎌田座長 かなり難しいテーマで、私の進行のミスもありまして、一定の方向性というのがまだ十分に煮詰まっていっていないような気もいたします。ただ、この問題を考える上で様々な視点というものを出していただきました。事務局には、その観点でデータに当たるようなものを宿題ということで提示をしていただければと思っております。今後、さらに幾つかの問題が残っておりますので、私と事務局で整理をさせていただきながら更に御議論を深めていただければと思っております。本日はこういったところで終了したいと思っておりますが、よろしいですか。もし何か、こういった観点から資料を用意してほしいということであれば、私あるいは事務局に言っていただければ、いろいろと工夫をしてもらおうと思っておりますので、この点もよろしくお願いしたいと思います。
 次回の日程について、事務局から御報告をお願いいたします。
○佐藤補佐 次回の研究会は、3月14日(木)14時からを予定しております。場所につきましては、追って御連絡を申し上げます。以上です。
○鎌田座長 よろしく確認をお願いいたします。
 本日は、どうもありがとうございました。


(了)

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