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2013年6月26日 第11回チーム医療推進方策検討ワーキンググループ

医政局医事課

○日時

平成25年6月26日(水)10:00~12:00


○場所

イイノカンファレンスセンター ROOM-A
(東京都千代田区内幸町2-1-1飯野ビル4F)


○議題

(1)関係団体ヒアリング

○議事

○山口座長 ただいまから、「第11回チーム医療推進方策検討ワーキンググループ」を開催します。お忙しい中お集まりいただきまして、ありがとうございます。事務局から、委員の出席状況と資料の確認をお願いします。
○簑原医事課長補佐 委員の出席状況について確認します。本日は、近森委員、徳田委員、玉城委員、菩提寺オブザーバー、畠山オブザーバーから欠席の御連絡を頂いています。本日は、関係団体からヒアリングをすることにしており、日本薬剤師会の安部常務理事、チーム医療推進協議会の半田会長に御出席をいただいています。また、チーム医療推進協議会から各団体を代表して、委員、オブザーバーの方とは別に日本診療情報管理士会の阿南会長、日本栄養士会の石川理事、日本臨床細胞学会細胞検査士会の片山総務委員会委員長、日本歯科衛生士会金澤会長、日本義肢装具士協会坂井会長、日本臨床衛生検査技師会の下田常務理事、日本救急救命士協会の鈴木会長に御出席をいただいています。
 お手元の資料の確認をします。資料を御覧いただきまして、配布資料ですが、次第と開催要綱があり、資料1が「チーム医療推進方策検討ワーキンググループの進め方について」です。資料2ですが「チーム医療における薬剤師の業務範囲の見直しについて(日本薬剤師会からの御提出の資料)」です。資料3ですが「チーム医療推進に関する要望事項(チーム医療推進協議会からの御提出の資料)」です。参考資料ですが、参考資料1は「医療法等の一部を改正する法律案(仮称)の概要」、先日の社会保障審議会医療部会の資料です。参考資料2は「多職種協働によるチーム医療の推進(平成25年度予算事業)」です。参考資料3は「特定行為に係る看護師の研修制度について(チーム医療推進協議会の報告書)」です。参考資料4は「診療放射線技師の業務範囲の拡大について」です。参考資料5は「歯科衛生士法の改正について」です。資料は以上です。落丁等がありましたら、事務局にお申し付けいただければと思います。以上です。座長、引き続き議事進行をお願いします。
○山口座長 事務局から、資料の説明をお願いします。
○簑原医事課長補佐 資料1を御覧ください。「チーム医療推進方策検討ワーキンググループの進め方について(案)」ですが、こちらも3月のチーム医療推進会議で御議論いただいた内容でして、3月まで看護師の研修制度について、チーム医療推進会議では御議論いただいていましたが、そこについて一定の取りまとめが3月末で行われたところです。
 その後、各医療関係職種、看護師以外の関係職種についても、もう一度各団体の方々からの提出された具体的な業務範囲の見直しに係る提案に基づき、議論を進めるということで、今後の進め方について御了解をいただき、4月以降となっていますが、本日ですが、関係団体の方からヒアリングをして、ヒアリングを踏まえながら業務範囲の見直しについて具体的な議論をするというところで、先日のチーム医療推進会議で御了解をいただいたところです。
○山口座長 今日の進め方ですが、日本薬剤師会及びチーム医療推進協議会から要望事項が出ているので、それぞれから御説明をいただきまして、その後、自由討論にしたいと思いますので、よろしくお願いします。最初に、安部参考人から日本薬剤師会からの要望事項をお願いします。
○安部参考人 日本薬剤師会の安部です。チーム医療推進会議で4月16日に要望として出しました。お手元の資料2、表裏1枚の資料について、私から説明をします。今回のチーム医療に対する薬剤師の業務範囲の見直しに関しての要望については、主に薬剤師の業務に特化した要望にはなっていますが、これは薬剤師が進歩する医療、チーム医療の中で、業務を適切に専門性を発揮するために必要な要件整理と御理解いただければと思っています。
 要望は、主に3つに分けてあります。表の1から裏、2、3と項目が3つに分けているので、順序立てて概要を説明したいと思います。在宅における薬物療養の適切な関与ということですが、過日行われたチーム医療の推進に関する検討会、これの報告書の中では、薬剤師に在宅等での地域医療において、主体的に薬物治療に参加することが求められているわけですが、現状では薬剤師が十分に役割を果たしていることができないという整理がされています。これはお手元の参考資料の7、8、9ページを見ていただくと、例えば7ページ、3つ目の○に枠を付けました。例えば在宅病棟等において、看護師の方が本来の看護師業務の時間に薬の整理をしている。これは専門家でない方が苦労をして自分の仕事の時間を使ってしている。こういったことについては、薬剤師が積極的にしろという御指摘かと理解をしています。
 また、一方で在宅医療はだんだん進んできていますが、在宅医療は当然ながら、御高齢で薬にセンシティブな状態の方が多くの場合薬を利用している。この中で家庭の環境、居宅の環境も含めて薬の管理が必要という回答が、介護保健事業者の方、介護者の方、施設の方から寄せられている。これは参考資料の2~6ページぐらいまでに書いてあるので、今日は時間の都合で詳しく説明しませんが、後で御覧いただければと思います。
 こういった状況の中で要望でありますが、薬剤師が在宅とかチーム医療において、専門性をより発揮できるように様々な業務について少し整理をしたいということです。前提として、要望の1、2ですが、薬剤師が調剤を行う場所は、そもそも薬局、調剤室に限られていたわけです。そういうことでいろいろなルールが決められているわけですが、これが近年、在宅医療に進出するようになってくると、外来では考えられなかった問題も幾つか出てきているということです。
 一部、在宅で薬剤師ができる業務の中に、患家において疑義照会、処方箋の確認、服薬指導、こちらはやってよろしいと変更されているわけですが、その他のことは全部薬局でやらなければいけないというルールです。
 こういった背景に基づいて、<要望>の1(1)(2)についてお話をしたいと思います。(1)は患家(居宅)において、医師の処方箋に基づき、内服薬等の計数調剤を行うこと。(2)は調剤した薬剤を患家にて交付する際、残薬状況や患者の状況とに応じ、処方医に疑義照会を行った上で、薬剤時の計数調剤、変更を行うこと。
 こちらについては、少し具体的に申し上げますと、薬剤師が調剤した薬を患家にお持ちします。お持ちしたときに、例えば患者のお宅に残薬があって、それを薬剤師が見ながら、処方と比べて、これは今日は余っている、これは足りない、これはこういうふうに替えないと飲めない、そういう変更が必要になってきます。患家という現場で変更が必要になってくるわけですが、それはその場でやることは許されていません。
 基本的には変更ができません。計数調剤等ができませんので、それを一旦薬局に持ち帰って、薬局で作り直して、また持っていくということがあります。これは疑義照会をして、例えば便秘薬がたくさん余っていて、処方が今回反故されてしまった。では、この便秘薬は要りませんね。では、これだけを持って帰ってということができるかというと、それもできません。それも全部持って帰って、便秘薬だけ抜いて、もう一度持っていくと。現行のルールではそうなっています。そういったことが非常に在宅医療の現場の中では不合理であったり、不効率であったりする。そういったところを是正する必要があるのではないかということです。
 (3)ですが、患者等からの求めがあった場合、処方医の同意を得た上で、調剤した薬剤の使用方法に関する実技指導を行うことです。この実技指導、*(ポチ)を付けましたが、例えば既にルートが確保されている患者、こういった方に薬剤師が輸液等をお持ちします。そのときに患者の家族、若しくは患者にこうやって付けてくださいと、若しくは行ったときに空になっていれば、誰もいなければ付けて差し上げます。こういったことを今はできません。説明はできますが、そういったことができないわけです。
 例えば、流量が医師の指示どおりになっていなかったときに、疑義照会をして、では、この数値に調整してくださいと言われたときも、薬剤師は今できるか、できないかは、非常にグレーな状態です。
 外用剤を貼る。例えば今でいうと呼吸器管支拡張剤とか、疼痛緩和の貼り薬とか、たくさんいろいろなタイプが出てきていますが、まず薬剤師は、患者の御家族等がきちんとできるように、患者、家族の方、介護者の方が薬の管理が容易にできるような薬学管理をするという観点から指導をするわけですが、そのときに実技指導もできない。触ってはいけないという考え方があるので、これについては薬剤師が勝手にやるということでもないし、日々のルーチンワークとしてそれをやるということではなく、薬剤師が訪問をした際にそういう状態にあった場合、服薬指導の実技指導という範囲の中でそういったことができることが必要になってくるのではないか、ということが1点です。
 続いて裏を御覧ください。2.在宅患者に調剤を行う際の処方箋送信手段の合理化です。これを少し説明すると、薬剤師が在宅患者に向けて調剤を行う場合、その準備行為として、処方箋をファクシミリによって患家から薬局に送ることが認められています。これは患家にいらっしゃる方は、通院困難ですので、処方箋を薬局に持ってくることはできません。できたら普通の外来患者です。ですので、ファクシミリ等で情報を薬局に送って、薬局はフックスの情報に基づいて調剤準備をして、患者のお宅に薬を持っていったときに、その原本を見て確認をすると。これは今は許されているわけです。ファクシミリの利用は、平成元年から許されているし、在宅患者のファクシミリ利用は、平成9年から許されています。
 ところで、現在、実際のことを言うと、御自宅にファクシミリがほぼありません。皆さん、スマートフォンとか携帯電話になってしまっており、そうすると、ファクシミリがない方がどうやって処方箋を薬局に届けるかが大変大きな問題になります。処方をお書きになった先生が、「やあ、ここはファックスがないね」と薬局までわざわざお持ちになる場合もあります。看護師が持ってくる場合、介護者が持ってくる場合、薬局がわざわざ取りに行く場合、いろいろあります。在宅担当の方にとって、本来のサービスをするために頻度を高く訪問するのは、もちろんやぶさかではないと思うのですが、処方箋のやり取りのために何回も行ったり来たりは避けなければならないと思います。
 現状で言うと、例えば患者の御家庭には、主に携帯電話もあるし、御家族の方は、今、スマートフォンを持っていたり、アイパットを持っていたり、パソコンを持っている方もたくさんいらっしゃいます。その方が患家におかれた処方箋をファックスではなくてそういったもので、今でいうシャメとか、そういったスキャニング機能を使って、それを電子メール等で薬局に送り、薬局には「電話で送ったから、よろしくね」と、こういった現代に合った通信も認めてはいいのではないかと思っています。これは範囲の拡大をしていただきたいと思っています。
 また、確認のために申し上げますが、ファクシミリから様々なスキャナーとかデジカメデータでの送信は、今、俎上に上がっている電子処方箋とか処方箋の電子化とは全く違う。ファクシミリという媒体をほかの媒体でもよくしてはどうかと。今は例外でファクシミリしか認められていないと御理解いただきたいと思っています。
 次に3.一般用医薬品を含めた医薬品の適正使用に関する医師との連携。これはチーム医療と何が関係あるかとお考えになる方もいらっしゃるかもしれませんが、我々薬局薬剤師は、日常の業務として一般用医薬品の相談や販売を行っています。セルフメディケーションというか、一般用医薬の使用ですので、購入者の方が必ずしも正しい判断をせず薬を使ってしまう場合や、本来は受診が必要な機会のタイミングを失って重症化すると。そういったことが起きないように町の薬局では、ただ医薬品を販売するわけではなく、相談者の状態に応じて、時には「薬を使わないで養生をしてください」、時には「すぐ近くのお医者様に行ってください」、そういったことが基本的な役割としてあります。そういった意味で、地域におけるチーム医療。これから新しい医療計画とか地域包括ケアの中で、実現する上で地域の中の体制、その相談体制、そういった患者、住民、薬剤師自身の意識を明確にする、役割の明確化することが非常に重要かと思っています。
 このような提案をする経緯として、薬剤師はお客様がいらっしゃって薬を販売する、若しくは調剤をする。そこで薬が存在する場合には、情報提供義務と相談応需義務があります。ただし、そこに調剤とか薬の供給が存在しない場合、つまり、何もお売りしなかった、何もお渡ししなかったという場合には、例えば「いやいや、あなたは薬要らないですから、おうちへ帰って寝ていなさい」「おいしいものを食べて、水分を摂って寝ていなさい」「あなたはすぐお医者様に行きなさい。多分、耳鼻科がいいんじゃないでしょうか、眼科がいいんじゃないでしょうか」、こういう推薦をするわけですが、そこの部分については、物の供給が伴わないところには、薬剤師法上も明確な役割が記載されていません。
 そういった意味で、今後、薬剤師の社会的な役割、地域でのチーム医療というのでしょうか、チームの中での役割をより明確化するためには、この物を伴わない状態での情報提供、相談応需、こういったものについて、きちんと我々、薬剤師法という、どこに規定するかはまだ議論ですが、薬剤師法等に薬剤師の情報提供、相談応需、こういったものについての範囲についての見直し、拡充というのでしょうか、そういったものを御検討いただければと思っています。私からの説明は以上です。
○山口座長 討論は後でまとめて行いたいと思うので、よろしくお願いします。引き続いて、チーム医療推進協議会から半田参考人に御説明をいただきたいと思います。よろしくお願いします。
○半田参考人 今日は発言の機会を頂きまして、ありがとうございます。現在、チーム医療推進協議会は、コ・メディカルと言われている18職種が集まって、チーム医療をどんどんいい形に持っていこうということで、日夜いろいろな会議や作業をやっているところです。
 今回、要望をまとめるに当たり、我々は決して縄張争いをするつもりもないし、本当の意味でのチーム医療というのは何なのか、そのためには何が必要かということで要望をまとめています。一部危惧されていますが、我々は、医師の指示を形骸化しようとか、医療安全を無視しようなどという考えは、毛頭ありません。当然、医師の指示は前提としつつ、できるだけ利用者にとっていい形の医療を進めたいと思っています。
 そうした中で、チーム医療推進のための総括的な要望事項を5点挙げています。卒前教育のチーム医療教育の推進で、コ・メディカルの学校教育はほとんど専門学校を中心としてなされています。そうすると、ほかの職種のことを知る機会がない。そういう中で卒業しても、急にチーム医療と言われても、なかなか前に進まないだろうと。そうすると、学校教育の段階からコンバインで授業をやったらどうだと。基礎教育の所等々では、何も分けてやる必要はないのではないかが1点です。
 2点目、専門職の質の向上のための臨床研修システムの確立と支援ということで、平成22年の検討会の中で、チーム医療を推進するために各職種の質を高度化しろということが書き込まれています。この高度化のためには、研修システムを何とか、よりもっと活性化させたい。ところが、下の免許更新制度の推進も併せてですが、それぞれの職能団体、私は今現在、日本理学療法士協会会長をしていますが、多分、私どもの組織率が一番高いと思いますが、約80%組織しています。しかし、新人教育に来るのは5割ぐらいです。これが現状です。それで、全体としての質の担保ができていない。頑張る人は頑張る、そうでない人はそうでない。これでは、全体の医療に対して寄与できているかというと、そうではないだろうと。
 そうすると、何らかの形で専門職として存在する以上は、その確立と支援、あるいは1つの方法として免許更新制度あたりも検討していいのか。ただ、免許更新制度については、厚生労働省が国家試験と類似した問題を設定して5年置きに試験するというものではなくて、それぞれの公益性のある団体に対しては、そこに委任する形で何らかの制度がつくれる気がしています。
 4点目、包括的指示の積極的な運用と活用範囲の拡大です。今後、超高齢化社会になったときに、利用者の数は圧倒的に増えていくことが想定されます。その中にあって医師の指示を具体的指示に限った場合、機動力は非常に乏しくなるのではないか。
 もう1つ検討会、平成22年度検討会で、治療の標準化をしなさいということも明記されています。そうすると、包括的指示の裏側には、プロトコールをつくる等々が絶対必要になります。プロトコールをつくる、そういう過程の中で治療の標準化ができていくのではないか。その標準化を基にした包括的指示をより活発に使っていくのはどうだろうかと考えています。
 5点目です。法律ができた古いところは、昭和20年代から、あるいは最近まで法律のできた年度が違いますが、それぞれの身分法の中に他職種の連携と書き込まれた身分法と書き込まれていない身分法があります。これは全ての医療職については、連携を書き込んだ上でチーム医療を推進するという姿勢を強めたらどうだろうかと思っています。
 今度は個別的な案件になりますが、1つは、法律改正を伴う各団体の要望について、私が簡単に説明しますが、詳しいことについては、各団体の代表が今日おられると思うので、そちらのほうでお願いしたいと思います。救急救命士協会からは、救急救命士の業務の場所の緩和をしてくれという話が1点です。東日本大震災等々であったとき経験して、救急自動車の在り方について検討してみたらどうだということが出ています。日本診療放射線技師会から、検診者における医師の立会いについて、これは診療放射線技師法の改正ということで出されています。卒後研修システム、放射線治療における肛門科のカテーテルの挿入が出ています。
 日本理学療法士協会、理学療法の対象としての「身体に障害のある者」に「身体の障害を持つ、それらの者」を追加ということです。これは私の元職であるので、どういうことかを説明すると、法律の中で「身体に障害のある者に対し」という法律があります。そうすると、生活習慣病の予防等々には身体の障害がないからという理由で、君たちは違うということがあります。生活習慣病予防、転倒予防、この2つが寝たきりの一番大きな原因になっている以上、この予防が非常に大事だと思っています。
 臨床衛生検査技師会と臨床細胞学会、細胞検査技師会が合同で出していますが、包括的指示に基づいた微生物学的検査等の検体採取の実施は、当然、侵襲性が少ないことが前提になっているようです。法括的指示に基づいた細胞診検体が陰性と判定した場合の報告書の作成と提出。臨床心理士会から、国家資格化の早期実現、心理相談、心理療法の実施、心理査定の実施が出されています。以上が法律改定を伴うものです。
 法律改定を伴わないものとして、日本医療社会福祉協会から、研修システムの支援、救命救急センターへの社会福祉士の配置、あるいは地域支援病院への専任配置等々が要望として出されています。日本栄養士会から、包括的指示に基づいた病棟における管理栄養士の業務拡大、包括的指示に基づいた緩和ケア領域における管理栄養士の業務拡大、3番目に摂食機能療法領域における管理栄養士の業務拡大と出されています。日本救急救命士協会からは、救急救命士の処置範囲拡大に必要な追加教育・講習の実施ということで出されています。日本言語聴覚士協会、これも包括的指示は前提ですので、そこは割愛しますが、臨床心理・神経心理学検査種目の選択・実施、診療放射線技師との嚥下造影の実施、嚥下訓練・摂食機能療法における食物形態等の選択です。作業療法士協会からは、チーム医療による訪問リハビリテーションの提供、包括的指示に基づいた福祉機器の選別が出されています。
 診療情報管理士会からは、記録の精度担保と情報共有のデータベース構築のための診療情報管理士の役割強化と評価ということで出されています。日本理学療法士協会からは、理学療法士の病棟配置によるチーム医療の推進、包括的指示に基づいた義肢装具、あるいは生活支援機器等の選別、当然、医師の指示の下でという前提です。こちらにもチーム医療による訪問リハビリテーションの提供。今、訪問リハビリテーションの提供をするときの指示書をもらうのも、非常に大変な条件になっている。これは少しいい方法はないかということです。先ほども説明した2団体共同のものですが、厚生労働省令に定める生理学的検査の項目の追加として(味覚と嗅覚検査)、細胞・組織標本に対して施行した特殊染色の実施が挙がっています。臨床工学技士会からは、カテーテル室、外来診療時、集中治療室への臨床工学技士の配置ということで出されています。
 以上、早口で説明申し上げましたが、我々は全体として協議するときに、チーム医療を推進する、患者を中心とした医療を推進することを前提としてまとめています。
○山口座長 ありがとうございました。お二人の参考人からお話をいただきましたが、カバーしている範囲が非常に広いですし、内容も現在行われていることをどうするかという話から、新しく何かをしたいという話まで非常に幅広くありますので、これからはどのテーマに限らず、自由討論いただき、事務局で論点をまとめて次回の検討に移るという形がよいかと思います。ただいまから自由討論ということで、テーマはどれもありますし、今日はほかにもいろいろ参考人に来ていただいておりますので、場合によっては詳しい説明も聞かれるかと思いますが、どなたか御発言をいただきたいと思います。
○小森委員 日本医師会の小森です。お二方の前提とされるお言葉は、大変評価をしたいと思います。ただ、細かい点について、私どももなるほどと思うところと、違うのではないかなという点があります。
 まず全体的なことですが、「包括指示」という言葉が、大変多用されておりまして、これから重要なことはチーム医療の中でもそれぞれの患者を中心としての顔の見える関係づくりをしっかり地域、地域に、そういうシーズをたくさん作っていくことが必要だと思っています。
 包括指示という言葉については、当委員会ワーキンググループにおいても、ちょうど2年ほど前でしょうか、当時の田原会長からも、見解の説明があった議事録も拝見しましたが、すべてが具体的な指示ということでは不便がある。それはよく理解できますが、包括指示の下に、それぞれの行為を果たしてやっていいものかどうかということが非常に問題になります。ですから、「包括指示で」という言葉を安易に使うと一番大切な所が抜けてしまうという問題意識があります。やはり顔の見える関係で、それぞれの職種が具体的に連携を取りながらやっていくことが大事だと思います。その点を一番先に申し上げておきたいと思います。
○山口座長 包括指示についての御意見でしたが、川越委員、どうぞ。
○川越委員 私も同じような感想を持った人間です。基本的には病院とか診療所でやっていた医療は、そもそも医者や看護師あるいは別の職種の方が、ある意味で同じ場所にいる中で、医療が行われるという格好になっていますので、余り問題がなかったのですが、現在は在宅、つまり医療者が一堂にない所で医療をやると小森委員がおっしゃったような問題がクローズアップされるのではないかと思います。
 つまり、職種の裁量権をいかに拡大していくかという問題があるわけですが、ただ、それを包括指示というのは、ちょっと丸投げという感覚をどうしても持ってしまいますので、そういう言葉を使うときには慎重であっていただきたいと思っております。
 それから、お二人の参考人の話の中にもありましたが、裁量権の拡大には、医師法とか保助看法とか薬剤師法というそれぞれの専門職の職務を決めた法律が当然あるわけで、そこに踏み込んだ見直しをする。つまり、そういう改定をどう行うのか。あるいは現行の規定の中で運用面で工夫してやれるのではないかという両方の面があると思うのですが、その点に関して、事務局から参考資料1で「医療法等の一部を改正する法律案の概要」が出ていますが、これは今はどういう格好になっているのでしょうか。具体的にはここの中でも議論されましたが、特定看護師をどうするかという問題が、かなりホットな話題になっていたと思います。私もそのあとは新聞等で報道されていることしか知らないのですが、今それがどういう状況にあるのか。もし、できたら医療法等というのは、例えば医師法と保助看法も含めているのか、その辺を分かる範囲で結構ですから説明していただきたいと思います。

○簑原医事課長補佐 参考資料1の「医療法等の一部を改正する法律案(仮称)」です。その中には医師法は入っていませんが、7のチーム医療の推進のマル1マル2マル3で、御指摘のあった看護師の関係の制度改正については、保助看法の改正をするという所で案を出しています。
 具体的には、参考資料3に「特定行為に係る看護師の研修制度について」というのがあります。こちらは先日「チーム医療推進会議」で取りまとめていただいた特定行為に係る看護師の研修制度についての内容です。表書は平成22年からずっと御議論いただいていた内容・経緯等を書いております。
 議論の過程の中で、御指摘のあった「包括的指示」という用語等がいろいろ出てきます。包括的指示と具体的指示の間にはいろいろグラデーションがある中で、包括的指示という定義を本当に置けるのかどうかという御議論も、推進会議でも種々ありました。
 その中で次ページにある、「特定行為に係る看護師の研修制度(案)」の2つ目の○です。今回の看護師の研修制度については、一定の診療の補助の中で、現行の診療の補助の範囲内ではあるのですが、その中で比較的包括度の高いやり方をやるような場合には、看護師に研修を義務付けるという案になっています。
 その1つ目のポツで「医師又は歯科医師の指示の下」です。まずは医師又は歯科医師が患者の診断をすることが大前提ですが、その指示の下、プロトコールに基づいて、特定行為を行おうとする看護師。特定行為の定義自体は、一番上の○に書いてありますので、そちらを御覧いただければと思いますが、そういう特定行為を行おうとする看護師。特定行為は、飽くまで診療の補助ですが、そういう看護師に関しては厚生労働大臣が指定する研修機関で研修の義務付けがなされるという案になったところです。
 今、御議論のあった懸念点、包括的指示というところが一人歩きするのではないか。包括度というか丸投げというイメージがあるのではないかということで、看護師の研修制度を創設するに当たり、チーム医療推進会議で基本的考え方を整理していただきました。
 そちらが3ページの別紙1で、「特定行為に係る看護師の研修制度の創設に当たって」です。今の丸投げと御指摘のところで言いますと、3.が関係してこようかと思いますが、まず指定研修を修了した看護師が、他の医療関係職種等に指示を行うのは不適切であり、指示を行うのは飽くまで医師又は歯科医師であるという御指摘の点とか、4.の本制度を導入した場合でも以下の点に変わりはないの3つ目のポツです。患者の病態や看護師の能力を勘案して、医師又は歯科医師が直接対応するのか。どのような指示によって看護師に診療の補助を行わせるのか、という判断はこの研修制度を作ったとしても、飽くまで医師又は歯科医師が行うことを前提として、先ほど御説明した看護師の研修制度の創設について、一定の取りまとめを行っていただいたということです。以上です。
○小森委員 今、御説明いただきましたように、議論するときに包括指示という下で議論するのか。現在、病院の中では、それぞれの職種がある病棟なり、少なくとも院内にそろって、院内でも一人一人の患者にケースカンファレンスを行って、そういう形でのチーム医療となっています。
 患家、在宅医療ということになりますと、患家であっても、一人一人のケースにカンファレンスをしていって、みんなで看取っていく、あるいはみんなで治療していく、支えていくことが大事です。
 包括指示ということになると、それぞれの職種が専門性を活かしながらも、実はバラバラに当たるということになってしまうと、一番大事な所が抜けてしまうのです。そういうところであるからこそ、具体的指示の下にということの中で、それぞれの専門職種が、お互いの専門性を尊重しながらチームを作っていく。ここはチーム医療の推進ということですので、その観点を忘れてはならないと思います。そこを少し整理をして議論しないと。包括指示であるという条件なのか、具体的指示の下なのかは今後の議論の先行きにちょっと問題があります。
 今回御紹介いただいた様々な職からの要望ですが、ここには確かに法改正を伴うものと、そうではないものと二大別しているのですが、実はそのほかに、ここに予算を付けてほしいとか、診療報酬体系上の問題もかなり混じっていて、そこも今日の議論を踏まえてからで結構ですが、一律に論ずることにはいささか問題がある要望が並列しておりますので、そこも効率のある議論のためには、少し整理をされてはどうかという提案をしておきたいと思います。
○山口座長 包括的指示の範囲が、どういう場面で、どこかというのは、具体的な事例を検討していかないとなかなか難しい問題かと思います。また、お話があったチーム医療の推進の中で、各職種がこういう所に参加したい、あるいは参加すべきだという議論も要望として挙げられていますが、支援という言葉も含めて、それが実際にどういう形で具体化し、推進することにつながるのかというのも、なかなか難しい幅広い御要望、御提言があったのだろうと思います。そういう個々の事例についても、何か御発言がありましたらお願いします。
○土屋委員 安部参考人からお話がありましたが、実は病院では当たりの前のごとく、例えば病棟で疑義照会をして薬の量を変更したり、そこですぐ追加をすることは可能です。実は病院は調剤所ということで認められているということがあって、薬局になりますと、その途端に様々な規制というか、薬局である以上、いろいろ限定がかかっていたということになります。
 したがって、病院等において当たり前のこととして行われていることが、現実に薬局では、特に在宅の場面でできない。正にちょっと不合理のような気もします。そこの位置付けは、病院は薬事法でいう薬局ではなくて、調剤所という位置付けですから、様々なことが医療機関の中で自由にできるが薬局ではできないことになっているというのは、時代にそぐわないのかなという点があります。特に先ほどのファクシミリの件もそうですし、規制を緩和するのではなくて、時代に合った見直しが必要なのかなという気がします。現実として疑義照会、もともと在宅ですので、お互いが顔の見える範囲でその中で、できるようにすることは必要ではないかと思います。
 一般用医薬品については、このところずっと議論がなされており、インターネットうんぬんもありますが、そうではなくて、一般用医薬品についても、話をして売らないということも当然あるわけです。元が物の移動に伴う情報提供という形になっているものですから、規制を見直すことは必要という気がしますので、それを認めていかないと、今後在宅、その他をやっていくときに必要な見直しになるのではないかという気がします。
○小森委員 まず最初に出された薬剤師会からのことを議論できればと思いますが、1点教えていただきたいのです。1ページの<要望>の(1)の患家において、医師の処方箋に基づき、内服薬等の計数調剤を行うこと。というのは、今は薬局でしかできないので調剤をしたりする道具を全部バスか何かに積んで、そこで調剤をするという意味でしょうか。具体的にはどういうことですか。
○安部参考人 先生がおっしゃるイメージで、例えば岡持みたいなのを持って、薬も入れてすぐできるようにするかというようなことは思っておりませんし、現実的にあるとは思っておりません。
 先ほど少しお話したとおり、イメージとして一番起こり得るのは、患家に過去の薬がきちんと、例えばカレンダーとか箱に並んでいます。今回新しい処方では内容が若干変わりました。そうすると、残薬が何日分かあって、新しい薬と残薬をうまく整理して、無駄がないようにそこで調整する。これも基本的には患家での調剤に当たるわけですので、例えば便秘薬を1錠、箱に入っていたのに、今日新しく追加したものを入れていくことすら、厳密にはそこで調剤しているだろうと言われるところがあります。私も現場の人間ですので、車に薬を積んでいったり、岡持に薬を持っていって、その場で何か追加しようとかについては、今のところは全くイメージはしておりません。
○小森委員 それでは、意見を述べさせていただきます。資料2に基づいて、1.の在宅の問題ですが、(1)(2)については、私は基本的には医師の直接的な具体的な指導。つまり、しっかり疑義照会を行った上でされるということは、基本的に良いことだという理解です。
 (3)は、当然同意の下ですが、注射剤のセット、流量の確認・調整は、診療の補助行為ですので、私はそういった方は、訪問看護師、主治医、介護事業所からの支援介護の方、看護の方等と「速やかに連絡をとって」というのが正しいと思います。緊急避難としての行為ならば、違法性の阻却があると思いますが、形としてやるのは、診療所の補助行為については、医師法、保助看法の問題に大きく係わる問題ですので、私は反対したいと思います。
 外用薬についてはホクナリン、ロキソニンのパップ的な話をされましたが、それは薬剤師の本来業務であろうと思いますので、丁寧に相談に乗って差し上げることはいいと思っています。
 2.のファクシミリとメールの話ですが、今後こういったICTの世界で、ファクシミリにこだわっている時代ではないということはよく理解できますが、御承知のように、ファクシミリでもたくさんの方に同時送信することは可能なのでしょうが、結構お金がかかります。一方、電子メールで何万人に出す。これはほとんど無料でできる世界です。つまり、ICTにはそれなりのリスク、特にセキュアな環境が失われるという大変大きな欠点があります。したがって、ICTの時代に向けて、時代に合わせた制度にすることには、基本的に賛成ですが、そのためには正に薬剤師会と私どもが相談している中での認証が大事であると思いますので、基盤整備が必要です。
 マイナンバー制度等については、医療は外れた中で、私どもも個別法の制定をしっかりやるという議論をほかの会議でしておりますが、個別法の制定の上に立った上で、認証局などのセキュアな環境であればいいのだろう。それ無しに、ファクシミリは不便なのでメールにするというのは、ちょっと大きな問題が起こってしまうと思っています。
 3.一般用医薬品の問題ですが、これは薬剤師の本来業務として、私は非常に大事なことだと思います。今はインターネット上の販売等の問題があって、それぞれの方が、一般医薬品についても丁寧に相談に応じる。必要であれば医療機関への受診勧奨をするのは、私はいいと思います。ただ、物が動かないと評価されないというのは、物が動かないときにも診療報酬の点数を付けてくれとしか聞こえないので、我々医師もある方を診ていて、その御家族が相談されたときに「保険証を出してください。そうでないと相談に乗りません」などということは言ってないわけで、「ああ、そうですか。こうこうこうですね」という無料の相談というか、それは地域に生きる人間で専門職としては当たり前で粛々とやっているということですので、これを何か実際の販売行為とか調剤行為以外に、今までも、今も薬剤師は丁寧にやっているのに、何を変えたいのかなと。素晴らしいことだと思いますが、あえてここで言うのは、失礼かもしれませんが、何か評価をしてほしいというように聞こえてしまうので、その辺りのことはどうなのか。もしもそういうことであれば申し訳ございません。いささか問題があると思います。
 と言いますのは、患者の状況を医学的に判断して、振り分けることになりますので、診断業務になってしまうのです。正に医療そのものの行為になりますので、そのことに対する評価は薬剤師の仕事ではない。ただ、薬剤師として丁寧に応対されることは本当に素晴らしい、有り難いことだと思っています。
○山口座長 安部参考人。ほかに何かありますか。
○安部参考人 まず3番目、先生の御心配のことについて、何らかの報酬を、例えば保険の中で求めることはイメージしておりません。私は自分自身の職業について、余りここで厳しく言うのは何なのですが、皆さん御承知のように、薬局の機能が、いわゆる調剤だけをやっている薬局も増えています。いわゆる地域の方々がちょっと具合が悪い、軽い風邪をひいた、何となく調子が悪いがというときの相談機能がだんだん衰えてきているのではないか。それを先生がおっしゃるように、診断ではなく、薬局が受けられる相談の範囲、一見して頭から血をダラダラ流していれば、診断よりも「バンドエイドと包帯を使いなさい」ではなくて、「すぐ病院へ行きなさい」になりますし、強烈な腹痛で来た方がいれば、すぐ近くの内科の先生に行ったらどうでしょうということで、医師のような診断ではなくて、健康相談のうちの自分でやっても、まだ様子を見ていいのではないかと。セルフメディケーションの中のアドバイスの範囲での話ですので、夢々そこを点数化しようなどとは思っておりませんので、是非御理解いただきたいと思います。
 ICT化の点については、私は疎いものですから、土屋委員から若干御説明いただければと思います。
○土屋委員 ネットワーク基盤検討会が電子処方箋の実現についてということで、3月に報告を出しておりますが、ここで言うのは、いわゆる電子処方箋とは全く別のもので、今ファクシミリで原本が患者のお宅にあって、それを送るという形はそのままです。紙の処方箋が現実に存在していて、その画像情報を薬局に送る手段として携帯などを使うのですが、それを電子メールという言い方をしています。あるいは患者さんのお宅にパソコンがある場合は、それでPDFにして送ることもあるのかもしれませんが、多くは写真に撮って、それを送るというイメージです。そこで検討されている2、3年後にE文書法の規定を外して、いわゆる電子処方箋というものとは、ちょっとスタイルが違うものであると、ここの記載を見ると思います。ですから、ファクシミリの手段の拡大ということになるかと思います。
○山口座長 あと、先ほどあった<要望>の(1)(2)の在宅の場合に内服薬の計数調整などを在宅で行うには法改正が必要な事項なのでしょうか。
○安部参考人 先ほど申し上げましたが、在宅でできる行為の中で、服薬指導、処方箋の確認、疑義照会は薬剤師の一連の業務で、通知でできるようになっていたと思います。その範囲でできるのかについては、厚生労働省ときちんと相談をして最高裁に怒られないようにしなければいけませんので、整理したいと思います。
○山口座長 事務局から何かありますか。
○田中総務課長補佐 医薬食品局の総務課の田中と申します。今の御質問の件でお答えさせていただきます。在宅でできる行為については、薬剤師法の下に厚生労働省令を設けて、疑義照会の行為が在宅でできるという形で規定していますので、計数調剤がどの範囲を指すのかの明確化については、先ほど小森先生の御指摘のとおり、必要になってこようかと思いますが、その点がきれいにクリアできるということであれば、その省令を見直すという形が適当と、今のところは考えています。
○山口座長 川越委員、何かありますか。
○川越委員 今のお話で大体分かったのですが、要は調剤行為が患者さんの家でできるのかという問題ではないかと思います。これは薬剤師法では、調剤というのは薬局でしかしてはいけないという規定があるわけです。そうすると、残薬を動かしてやったりというのは、正に調剤行為ですから、今の法律をそのまま読んでいくと問題があるという理解でよろしいのです。
○市川委員 (3)の実技指導の「何らかの」という所です。非常に発展的な考え方は理解できるのですが、私も看護職ですので、実際に在宅でも薬剤に関する対応の領域は非常に広がってきますから、ここで実技の例が出ていますように、例えばルートをつなぐだけとか、流量の確認であるとしても、日本病院評価機構の中で安全の所に報告されているのは、未だにエアを薬局で調剤したものが抜いたつもりが、どこかに持っていったときには、それを誤ってつないでしまった事例があるように、基礎教育でどのような実質体制を作るかということ。それから町の調剤の人たちがどんな経験を積むのかということです。
 例えば外用薬の使用方法などもそうですが、本当にそのとおりのことを説明するのと、実際にいろいろな患者の肌の状況を見ながら、そこをどのようにしていくかというのは、多分経験なり、プロセスに関わっていて分かるところです。訪問看護師は主治医と相談しながらしている部分を考えますと、この辺りはかなりダイナミックな教育体制をしていかなければ、かえって非常にリスクが高いいろいろな問題が発生するのではないかという気がいたします。
○安部参考人 今おっしゃったとおりで、直接その患者の体に触れるような投薬の部分については慎重にしなければいけないと思いますし、当然研修体制なども構築しなければいけないと思います。
 一方で、様々な特性の薬剤が発売され、使用法も難しいものが出てきたりします。実際に私も在宅の現場に行っておりますが、その際に訪問看護師からは薬の正しい使い方、薬の正しい知識を聞かれ、むしろ一緒に行って、最初に「こうやって貼りましょう」とか「これはこのように処置をするのです」と看護師と一緒にやっている所もあります。これまでは余り薬剤師がやっていなかったことを、全て何でもできるようにするということではなく、その現場において、看護師が薬学的な与薬を逆に安全にできるように、薬剤師の薬学的管理とうまく実際に与薬をされる看護師が現場で連携ができるような意味も含めて、全部できないとしてしまうと、何も手の出しようがありませんので、できる範囲でこういったことはよかろうということで御議論いただいて、その範囲を現状と研修の体制、現場の要望といったもので徐々に広げていくなりが必要なのかと。何も状態がない所でオール・オア・ナッシングで考えるべきものでもないと思いますので、今回は事例として出ましたが、これが全部というわけでもありません。そういうことで御理解いただければと思います。
○田口委員 地域の立場で発言させていただきます。医師の指示と薬剤師の連携の関係では、実は医療機関の中での役割と居宅での役割ともう1つ加えてほしいのが介護保険施設の関係です。医師の指示と薬剤師関係でのトラブルがあって、連携がうまくいかなくて、看護師が中間に立って、非常に苦労しているという話を時々聞きます。むしろこうやって説明をしていただいたりする役割を介護保険施設の中できちんと位置付けて、例えば1人という配置の所は、きちんと役割を発揮できると思いますが、0.5とか0.7という形で配置をされている場合には、兼任になってしまって、うまく役割を発揮していない所が見られます。ですから、介護保険施設も含めて、これからの時代は役割を考えていくということで検討いただければ有り難いと思います。
○安部参考人 施設に応じて薬剤師の配置の状況は様々違いますので、全て統一してということは言えません。最初の前提で申し上げたとおり、薬剤師が薬の専門家として介護者、看護師、本人が容易に薬の管理ができる。容易に服薬介助ができるところまでの薬学管理をきっちり担う、そこで安全性の担保をする。そして、アドフィアランスの確保をする、副作用のモニタリングもする、これからはどんどんその機能というか、他職種の連携を深めながら、薬剤師が単独で自分が自分がということではなく、施設とか地域の状況に応じて対応していく。むしろ対応を望まれたときに「できません」とか「マンパワーがありません」ということがないように日本薬剤師会としては地域の状況の把握、情報提供に努めたいと思っております。
○山口座長 ありがとうございました。あとチーム医療推進協議会からたくさん提案されていますが、1、2お聞きしたいと思います。臨床研修システムの確立とか支援あるいは新人教育の支援というのがいろいろな領域で出ていますが、具体的にはどういうイメージを要望として求められているのでしょうか。
○半田参考人 数年前に、保助看法が変わりまして、新人の看護師さんに対しては研修を受けさせなければならない、というようなことも決まりました。私はある意味ではすばらしいことではないかと思います。ほかの職種にはそういうものは全くないわけです。義務化はされていない。新人のときからしっかりとした研修体制を組み込んでいく。やはり、医療というのは、年々歳々あるいは日々変わっていくものですから、それに適応できるようなトレーニングはきちんとやるべきだろう。そのシステムに乗せるための仕組みがないと、平成22年度の検討会で言われたように、それぞれの専門職の質を上げろ、それがチーム医療の根幹だというところが、現実問題うまくいっていない。それは職能団体として一生懸命に努力しているのですが、職能団体単独ではなかなかうまくいっていない。全体としてチーム医療を推進するという視点から何か仕組みができないのか。先ほど申し上げたように、それぞれの職能団体の組織率は5割前後、その中で参加するのも5割前後だとすると、全体としては4分の1ぐらいしか参加していないということになるわけです。それで本当にきちんとした質を担保できていますか、高度化ができていますかというと、少し疑わしい。そういうシステム、全体として1つのルール化された中で、そういう研修体制をそれぞれの職能団体がより活発にやれるような仕組みを作ってくれないか。我々も一生懸命努力して一生懸命勉強しましょうとやっているのですが、組織離れというのが非常に強まってきている。その中で医療の質をどう担保するのか。これはかなり大きな課題ではないかと思っています。もっと平たく言うと、国が助けてくださいということです。職能団体としてやるべき手は打っていますが、なかなかそうはいっていませんという現状に対して、もう、平たく言えば、助けてくださいという悲鳴に近いものがあります。
○山口座長 ある程度、法的な、いろいろなレベルがあるでしょうけれども、そういう規定が入ればというイメージですか。
○半田参考人 そうですね。先ほど申し上げたように、身分法の中に研修を義務付けるようなことがあるなど、そのようなことがない限り、国家試験を通ったら一生飯が食えると思い込んでいる若いのがかなりいることは事実なのです。その人たちにどう働き掛けても反応しないというのも現実です。そういうことでは、チーム医療どころか安全性すら担保できないだろうということです。これが1つの根幹だろうと思っていますので、要するに、助けてくださいということでしょうか。
 先ほど、小森委員と川越委員から、包括的指示についての疑問が呈されました。小森先生がおっしゃるように、全ての患者さんに対して全ての関係者がカンファレンス等を開いてチームとしてやれるというのは理想だと思います。この委員会がその理想郷を目指すのであれば、その論議にしたいと思います。ただ、なかなかそれができていない現実の中でどうするのかという視点も一方では必要ではないか。私どもは包括的指示はお任せ指示にしてくれと言っているつもりは全くありません。これは、そうあってはならないという視点で、包括的指示がお任せ指示になったのでは、とてもじゃないけれど我々は責任取れないし、なかなか難しい。当然、医師とのしっかりとした関係性の中で、プロトコールもしっかり作った上で、そして、任せられるところはそういう包括的指示をする。業務によってはどうしてもプロトコールが作れないところもあります。プロトコールが作りやすいところ、作りにくいところが点在していることも事実です。そういう部分については当然その使い分けも必要だと理解しています。包括的指示によってお任せ処方をしてくださいと言っているつもりは100%ありません。このことだけは是非御理解願いたいと思います。
○小森委員 お気持ちは分かりますけれども、少し安易だなという気持ちがどうしても拭えません。この会がそういうことを目指す会であればということであれば、ということならば、そういうことにしましょう。大事なことはですね、これから増えてくる方々に今のレベルを低くすることではなくて、より高めながら一人一人を作っていくということなのです。正に一つ一つのチームを作るための努力をし続けていくことが大事であって、いろいろな職種の方がバラバラに見られて、大変なのだからとりあえずそうしましょう、ということでは、一番大事な「質」が低下してしまうと思います。それと、助けてくださいというのは、これも分からないわけではないのかもしれませんが、それはプロフェッションとしての自らのものを捨てる言葉だと思います。それはそれぞれの専門職が正にその誇りと自律的な行為の中で、会員の方々の中で、一定の資格を与えてそれを評価していく。そのために生涯修練するというのは当然のことであって、半分しか来ないから国に助けてくれというのは、大変御無礼ですが、専門職として少しこれは考えが違うのではないかと思います。国の法律に書いてあるからやるのだということであれば、これは私は本来、全くその議論にはついて行けない。ただし、いろいろな問題があるので予算を付けてほしいというのは理解できます。それは個別に交渉されるときに応援もしたいと思います。
○半田参考人 先生がおっしゃるとおりでもあるのです。ただ、今後を考えたときに、18歳人口がどんどん減っている中で、コ・メディカルスタッフの質をどう担保するのかというのは、私は、チーム医療にとって非常に大きな課題だと思っています。18歳人口が120万人を切りそうなときに、医療職だけでかなりの部分を採っていっている。その質を、どういう質の者を採ってきて、どう教育するのかということは、チーム医療以前の医療全体としての在り方の問題にも関わってくると思っています。残念ながら、かなり厳しい状況が続いていることも事実だと思います。以前の、人口がかなり多かった頃の状況とは変わってきたということも前提としては考えてみる必要があるのではないかと思っています。
○山口座長 半田参考人にまたお伺いします。各職種について、いろいろな現場への配置を更に進めたいという要望がたくさん上げられています。具体的には、薬剤師のように、保険の上でのある程度の配慮があることがそれを促進していることは理解していますが、いろいろな職種でも、救急の現場などいろいろな所への配置などがあれば実に望ましい話だと思います。片方で、現実的に人員を確保できないという問題もあるだろうと思います。いろいろな職種のそれぞれの要望の中で、大きく求められているのはどの辺にあるのでしょうか。
○半田参考人 それにつきましては各団体からお答えしていただいたほうがよろしいと思います。
○中村委員 作業療法師の中村と申します。その話にいく前に、私としては、包括的指示の問題などのこの5つの意見、(2)については、先ほど小森先生からプロフェッションとして問題があるのではないかという御発言がありましたが、まず、この5つを検討していただきたいと思っています。(2)で、それはプロフェッションとして甘いのではないかというお話について、チーム医療18団体にそれぞれプロフェッションが集まっていますが、団体の規模などは様々です。理学療法師協会は8万人、OT協会は5万人弱。先ほど言われましたように、加入率もバラバラです。それが日本の医療を支えている現状ですので、そういう現状を踏まえたときに、これは国の機関ですから国がどうするかということを私たちは検討するわけです。そうしたときに、何らかの国の施策として、全体を引き上げる方法があってもいいのではないかと、本当にそう思います。ナースはできています。ドクターも総合的に研修するための研修制度もできています。そのように考えると、同じメディカルスタッフとして、国としてそういうものがあっても、考えてもいいのではないかと思うのです。その中で、プロフェッションの団体として、こうしなさい、ああしなさいということは十分にやるのですが、制度としてあってもいいのではないのかなと思います。それはなぜかと言うと、半田課長が言われたように、日進月歩していますので、ある基準、全体の基準を示していかなければいけないと思うのです。そういうこともありますので、是非お願いしたいと思います。昨年、一昨年のチーム医療の中で、前半の話は、研修をしてほしいということに集中しました。それは、このチーム医療の全体の中での1つの問題だと思います。小森委員が言われることはよく分かりますが、是非、その方向で検討していただきたい。これが1つです。
 それから、包括的指示の問題に関してです。以前までのチーム医療の検討会では、それは棚上げにしてくれという話でした。チーム医療とは何を話すべきかという話だったと思います。それで前回は話をしました。今、包括的指示、具体的な指示ということが出ましたが、それに関わるテーマがありました。検討課題の「チーム医療の取組の指針」の中の「ガイドラインの策定」の話の中に包括されると思います。どこまでプロトコールができて、どこまで包括でどこまで具体的かということを、どちらかに偏ることなく、取り上げていただきたいと思います。
 失礼ですが、先ほどの小森委員のお話では、包括的指示はお任せ指示だというお話がありましたが、ここのメンバーの私たちは決してそういうことを思っておりません。ガイドラインを作るという線上で、この場で改めて具体的に、包括的指示と具体的指示を検討課題に挙げていただきたいと思います。
 長くなりますが、それから、この「連携」というところは必要だと思います。習っていない。ドクターもそうだと思いますが、最近のドクターは連携ということを教育されてきていますので、非常に仕事がやりやすいです。けれども、全体としてそれがあるかと言うと、そうでもないと思います。そういうところも、具体的にどうするかということを検討に挙げていただきたいと思います。
 ここにずっと、それぞれの団体が出していますが、その団体のことを話していたら全然話が進みませんので、大枠をまず固めていただいて、個々の所はどのようにするのか、事務局で検討していただきたいと思います。
○高本委員 三井記念病院の高本です。質という話が出ました。医療の質というのは、やはり、これは外から与えられるものではないのだろうと思います。外圧はあるかも分かりません。でも、質を維持するのは自らが維持していかないと。政府が外枠だけやれば外面だけ良ければいいだろうということにもなります。何よりも、質というのは何のためかと言うと、患者さんのために良い医療を提供できるという、その点で質が評価されるのだろうと思います。そうなると、やはり、それぞれの現場を持ったプロフェッションが、それぞれ自分の考えで、患者のためにこれがいいのかということを頭に置いて、質の向上を考えないといけないと思います。医師は専門医制度などそういうものがありますから、それで何とか質を向上しようという努力はしているわけです。いろいろな技師さんなどがたくさんありまして、一概に一言では言えないのかも分かりませんが、例えば医師でも、国家試験を通ったばかりでは何も分からない、薬の名前も知らない、何もできないのです。それが研修医制度あるいはレジデント制度とかそういうものを通して学んでいって、大体5~7年ぐらいで認定医や専門医を取るようになるわけです。医師よりもはるかに数が多くて、具体的にどうするか、一つ一つに問題はあるだろうと思いますけれども、認定医制度を各会が作り、それで認定医を取った人は病院も少し高い給料で雇う、技師でも将来技師長になる、そのような昇格を考えるならばそういう資格を取っていないといけないとか、そのような雰囲気というのは、そういうものが出来れば出来てくると思うのです。我々も医療界ですからサポートできることはサポートはしたいと思います。やはり、質の向上に関しては自らやらないといけないだろうと思います。それは是非頑張っていただきたいと思います。
○半田参考人 各団体は、生涯学習システムを作って、認定制あるいは専門制度を取ってやっているのです。努力は続けています。ただ、何と言いますか、例えば私は理学療法師ですが、もう病院を出られないのです。1日働いたら幾らだろうと、出してもらえないのです。制度を作っても、365日リハなどは土日も仕事をしているので、出られないのです。そうすると、看護師さんのように、1つの病院に200人、300人いらっしゃると、そこで自己完結的な研修を受けて勉強ができるのです。2、3人しかいないとどうしようもないのです。そういう問題を個々に抱えていて、制度・システム化をしているのですが、それに乗れないところがあります。それを何とかやろうとして、もがき苦しんでいるというのが現状だと思います。おっしゃられたように、自分たちでもっと頑張れと、頑張っているつもりなのです。もう1つは、日本の医療では、我々の所もどこも、人の配置人員が少ないのです。そうすると、その配置人員に起因して身動き取れないというのも事実であって、そこのところを考えていかないと、研修という1つだけではなかなか片付かない。要因が周りにたくさんあるという感じです。甘えているつもりもないし、やるべきことはやっているつもりです。本会の場合は年間数億円の研修費を出してやっています。研修費だけで数億円、年間260本の研修をしています。それでも、なのです、現実は。先ほどから、どちらかと言うと厳しい御意見を頂いていますが、それがコ・メディカルの置かれている現状として捉えて、全体としてそこをどう進めるのかという考え方も必要ではないかと思っています。
○山口座長 なかなか厳しい現状もお話しいただきました。研修がどこかで義務付けられていれば、病院から出やすいという状況も十分にできる可能性はあるのではないかと思います。
○川越委員 先ほども言われましたが、連携の問題についてです。確かに、病院での連携というのは最近とても良くなったと、私は外の在宅の人間ですが、感じております。ただ、在宅の問題について、皆さんに是非知っておいていただきたいのは、今まで医療者が経験したことのない連携をある意味で強制されているところがあるのです。それは、福祉との連携です。ざっと見て、この中には在宅で福祉をやっている方がいらっしゃらないと思いますが、この「医療と福祉の連携」が、在宅では本当に大きな問題です。そのことだけ指摘しておきたいと思います。
 それから、もう1つは、包括的指示というのは、医療のクオリティを高める、効率性を良くするといった、時代に合った方向でよろしいので、基本的には私は反対ということではありませんが、落とし穴があるので注意していただきたい。我々は見守らなければいけないのではないかと思います。高本委員がとても大事なことを言ってくれたのですが、外枠と言いますか、形だけの何かが出来たからそれで進めてしまうということ、それは絶対にないようにしていただきたいと思っています。もう少し具体的に申しますと、包括的指示をすることになりますと、一定の教育を受けた資格がどうしても必要です。それから、プロトコールあるいはパスのようなものを作って、それにのっとってやっていく方法になると思います。このプロトコールというのが非常に曲者です。これは医者だったら誰でも分かりますが、医者は標準的なものを求めていますが、やはり自分のやり方があるし、なかなか標準化が難しいものもあるのです。つまり、研修を受けてプロトコールを作って、その一定の資格をあげましたから、包括的指示で、例えば痛みの緩和を、あなたは特定何々さんなのでやってください、という、そういうやり方は絶対にまずいと思うのです。正に、具体的なチームの中でどうするかということを考えなければいけないわけで、ジェネラルで総論的な教科書的やり方と、チームの中でその医師の考えでのやり方、それらを踏まえて、そういう資格を持った人がどうやっていくかということを、しっかり持っていかなければいけない。先ほど小森委員が「顔の見える」とおっしゃっていましたが、顔が見えるだけでは駄目で、心が見えないと。病棟はみなそうです。「あの先生のやり方はこうだ」「あの看護師が言ったら注意」とか、そういうものがよく分かっている中でチームが組まれているわけです。そういうことが、言ってみれば、在宅も同じような状況です。そのような形で、質の高い医療を提供することを考えていただきたいと思っています。

○栗原委員 2、3点あります。教育に関して以前のプレゼンテーションを見させていただきました。知識・技術は、専門職のプロフェッショナルとしての方向性をしっかりということは、今の議論であったことだと思います。多職種が協働するという教育は、半田さんが言われたように、ほとんどないのです。これは、昔からチーム医療と言っていても、医者を中心としたヒエラルキーの中での習練という環境しかなかったことは歴然としています。これに関しては、学生時代以降も含めて、学生時代からのシステムがどうしても要るだろうと思います。もう1点は、半田さんがちらっと言われて、非常に重要なことだと思いますが、多くの専門職があっても、身近にいない状況でチーム医療が議論されていることは否めないと思います。特に急性期では、以前から言っているように、特別の課題ごとのチームが横から入っていくという構造です。NSTにしてもそうです。いろいろな所がその課題を増やしてチームを形成しようとしていますが、やはり、日常的にいろいろな職種が一緒になって働くという構造を追求しない限りは、本質的なチーム医療が良い方向に行かないだろうと思っています。その結果が現状の在宅の在りようだという気がしてなりません。そういった意味で、1つのチームを作った場合に、チーム全員が一緒になって責任を取れるような方向性が、理想的なチーム医療だと思います。飽くまでも、全て最終的には医者の責任だという格好でいくと、それぞれの専門職の成熟度はそこで止まってしまうという気がします。
○向井委員 チーム医療推進に関する要望事項の(1)の卒前教育について、これまでの議論でほとんど語られていませんで、今、栗原委員から少しお話がありました。チーム医療の推進協議会、コ・メディカルの18団体は、どれも4年制の大学の養成がかなり多くなってきていると思います。そこで、ここは厚生労働省ですが、文部科学省の教育との連携をどうするのか、省庁間を超えた連携もこのベースにあると思うのです。各職種でどのような教育がされているのか、どういう職種の人を世に送っているのか、いわゆるコンピテンシィのようなものがここに配られていれば、この会でも議論が前に進むのではないかと思います。ですから、厚生労働省と文部科学省の連携、各職種の連携のベースとなる典型教育の在り方、それと、各職種のコンピテンシィ等があれば、是非お配りいただいて議論する。これからのメディカルスタッフがこのような教育を受けてきているから、どのような形でそれと融合して研修するのか、そのような形を取って前に進む必要があるのではないかと思います。
○山口座長 卒前の教育の実態についての把握は事務局にはありますでしょうか。
○簑原医事課長補佐 コンピテンシィまで含めてあるかどうか、ないのではないかと思いますが、卒前教育の対効果等がありますので、単位については、どのような教育でどのような単位を取るかというところまでは整理することは可能だと思います。次回に資料等を準備させていただきたいと思います。
○小森委員 向井委員がおっしゃったことは、この検討会が何を議論するかという問題でもあると思いますが、極めて大事なことです。医学教育の学内の部分のモデルコアカリキュラムについては、何回か改訂されていますが、地域をどのように守るか、他職種との連携という項目が改訂ごとに充実しています。また、臨床研修においても、そういったことが達成目標として明確に書かれてきています。そういった項目は、それぞれの専門職の中にも当然あると思いますので、それを挙げていただくことは可能ではないか。そういったことを強力に推進していくことは、根底から、お互いの専門職を専門職として尊敬し合うことにつながります。これが一番大事なことで、ここを無しで、私はこれができる、これは私の仕事だという議論では、恐らく違った方向に行ってしまうと思います。その点は少し整理されてもいいと思います。
○堀内委員 「チーム医療推進のための総括的な要望事項」の3)についてお伺いしたいのです。ここに、「免許更新制度の推進」と書かれています。私は看護職で、看護師助産師なのです。看護職の場合でも、いわゆる基礎免許というか、免許を一旦国家試験で取った後に、それを何年ごとに更新されるということは行われていないと認識しています。助産師の場合ですと基礎の免許を1回取ったらずっとなわけですが、働いている中で必要な、新生児の蘇生などは2年に1回などの形で必ず更新していくのです。しかし、基礎免許について、更新制度というのは我が国ではどのような免許がこれで成功していらっしゃるのか、もしあれば伺いたいと思っています。最初に取った免許を何年かごとに必ず更新しているという制度がもしあれば、どのような職種でそれが成功しているのか、どなたかに教えていただきたいと思います。そうでないとすれば、一旦取った基礎免許以外の、更に付加していく、高度な別の能力のための免許のようなものが加わっていくというもの、あるいは、女性の場合に一旦休職や退職した後に戻ってくるために必要な、ブラッシュアップのための研修制度のようなものを指しているのか。本当に基礎免許の更新制度というものが我が国のどこかで成功しているとすれば、それを教えていただきたいと思います。
○山口座長 事務局から何かありますか。
○簑原医事課長補佐 少なくとも医療関係職種では、正に業務独占資格の、免許を取ればその業務ができるということがリンクしているところもありますので、そういったもので免許の更新制を取っているというものは現状はありません。半田課長から御指摘があった点については、国家試験とは別に各団体に委任してという御発言がありましたので、もう少し具体的にどのようなイメージなのか御説明いただきたいと思います。
○半田参考人 実は、3)は、まとめるのにかなり難渋した項目でした。我々は、厚生労働省所轄下で試験をすることは全く想定していなくて、それぞれの団体で共通した単位制等々を導入して、単位制度をお互いに見ながら、5年間でこれぐらいの単位を取ろうというようなレベルの更新制ということを考えていました。実際にペーパーテストをやって、それで落ちたらということは、ほとんど想定していません。そうした場合に、ここで「免許更新制」という言葉を使っていいのかという論議もしたのですが、それに代わる言葉が具体的に出てこなかったものですから、時間切れでこのままの用語になっています。飽くまでも、ペーパーテストや国家的管理下ということは想定していないと思います。
○山口座長 それは、医師で言うと、専門医の資格更新のようなイメージなのでしょうか。
○半田参考人 基本的にはそれと、先ほどの基礎資格と言いますか、我々は1本しかありませんが、それを更に研修で積み上げていってほしいというつくりです。
○山口座長 ほかに、どなたか御発言ありますでしょうか。
○小森委員 であれば、「免許更新制度」という言葉は少し不穏当ですね。それぞれの団体の御事情は分かります。先ほど委員もおっしゃったように、我々も医療職の一員として、十全とは言えないかもしれませんが是非支援もさせていただきたいと思います。例えば医師が、どの程度年間の講習を受け、専門医の維持のためにどの程度の時間と能力と努力をし、今回の新しい専門医制度によって更に厳しい基準を自らに課そうと、そして国民に理解を求め、説明ができる形にしようと努力を日に日にしています。それは、本来はここの要望事項ということではない。自らがされたことには我々も支援申し上げます。場合によっては、こういったことについて国としてのサポートが欲しいとか、このような場でいろいろと言って足らざることがあると思いますが、是非支援はさせていただきたい。大きな要望としての「チーム医療推進のための総括的な要望事項」としては妥当ではないという印象があります。
○中村委員 OTの中村です。小森委員は反対だという御意見でしたが、この要望は、先ほどから出ている、医療の質を担保するというところで、大きな枠組みを作るものだと思います。そういう意味では、質の向上のためということです。先ほど出た「免許の更新」という背景には、質をどうやって担保するのかの1つの手段として、このような言葉が出てきています。ですから、これに代わる、例えば「認定」や「専門」というものの、コ・メディカルスタッフの一定のラインを作るというのはとても大事なことではないかと思っています。言葉は不適切かもしれませんが、質を担保するために、ここの場で議題に是非取り上げていただきたいと思います。「免許の更新制」という言葉は別として。これは全体を上げるということですよね。「認定」とか「専門」は、どちらかというと、その方向にある人を伸ばしていくという方向です。全体の質を上げるために、どのような仕組みがいいのかということを、質を担保するために、言葉は不適切かもしれませんが、重要な事項ではないかと考えます。
○小沼委員 3)についてです。これは、生涯教育の研修制度を推進するようなというイメージでは捉えなかったのでしょうか。これが1点です。それから、先ほど研修医の点数のこともありましたが、採用する側がある一定の点数を得ていないと採用できないような仕組みができないでしょうか。仕組み作りは難しいかもしれませんが、各会の院長先生もいらっしゃるようですから、その点はいかがなのでしょうか。
○山口座長 その点はいかがでしょうか。
○半田参考人 先ほど中村委員が言いましたように、これを想定したときに、先ほども説明しましたが、この数年、研修に参加したりなどの意欲について、当然、医療職であるべき論はそうだと思いますし、医療職であるならばという論議はそうだと思うのです。そうでない人たちが相当に増えてきたということも一方で事実なのです。そういう人たちの、最低限を保証する1つの切り口として。免許を取ったから一生勉強しない者が現在いることは事実なのです。これが事実。ところが、勉強したからって、コ・メディカルにインセンティブが全くないのです。我々の世界でインセンティブは全くないです。認定をやっても、専門という資格を取ったとしても、雇用とか大学の学位とかいろいろなことで、そこにも何もないのです。インセンティブがゼロのところで研修させる。これが、医療者であれば当然だろうという論理は分かるし、そう思うのですが、そうでない人たちがいる限り、何かの歯止め・関門を作る必要があるのではないかということから、これは出てきているのです。先ほどから、名称が良くないというのは十分に分かっていますし、中での論議でもかなりいろいろなことがありました。ただ、今1点、皆で勉強できる、しなければならないという体制を作り上げたいということで、これを提案させていただいています。
 もう1つは、今申し上げましたように、何か努力した人たちが報われる社会をここで構築しないと、質の高い専門職の教育あるいは研修につながらないとも思っています。
○堀内委員 私も、名前を「免許更新」ではなくて、むしろ高度な実践能力の維持・向上のための教育など、そういうことであれば、ここに挙げておくことは必要ではないかと思います。やはり、基礎免許、国家試験の免許プラス、その職種に、この時代に最低必要なものはこの能力とこの能力というのは、やはり別に教育を課して、その免許、専門医なり何かの証明書を出して働くというのが、今後の時代の求めだと思うのです。そのために、その施設なりが医療職に教育の機会や場所や時間を与え、それが最低ラインだということが保証されて働くようになっていくことがいいのではないかと思います。私は、言葉を変えて、高度な実践能力の維持・育成、あるいは、そのための支援ということは、ここにあってもいいと思います。
○取出委員 ソーシャルワーカーの取出です。本日はチーム医療についての良い議論ができた会だったと思います。私も中村委員の意見に賛同しています。この5つの要望事項が出てきた背景について、余り時間は掛けられないかもしれませんが、日本のチーム医療の推進を考えるワーキンググループのメンバーとして、全員がある程度認識することが第一歩ではないか、まだそのレベルのチーム医療の状況なのではないかと思います。一昨年度に、グレーゾーンの話が出たときに、ほとんどの人が、他職種のグレーゾーンではそんなことで困っているのかを初めて知って、本日このように、法律改正にまで至る職種もあります。パッと読んだだけでは何のことかと思われるものもあっても、一つ一つ取り上げて議論していただければ嬉しいと思います。
○山口座長 チーム医療推進協議会のお話を聞いて、各職種の置かれている状況について、またもう少し認識を新たにさせていただいた感じがするところが多々ありました。本日は総論的なお話で、要望に挙げられた各論の話をするところまではいきませんでしたが、本日の議論を踏まえて、各論の所をもう少しまとめていただいて、次回の検討とするのがよろしいのではないかと思います。ほかにどなたか御発言はありますでしょうか。
○小森委員 質問と提案です。本日の議論の中で、チーム医療推進協議会がお出しになった、各職種の要望については、日本医師会としての考え方をある程度まとめてあります。ただ、本日は議論の流れの中でそのような話をする機会はありませんでした。それぞれ委員の方々にお考えをある程度まとめられた上で、次回は集中的にそのことについて議論すべきではないかと思います。山口座長と事務局に一任申し上げますが、是非よろしくお願いいたします。
○山口座長 医師会からの御意見も次回の検討の場で出させていただく形にしたいと思います。よろしいでしょうか。いろいろと御議論をいただきましたが、本日の御議論を踏まえて事務局にまとめていただきまして、さらに、各論についても一定のまとめをしていただく形で、次回また提案いたしますので、御検討いただきたいと思います。よろしくお願いいたします。事務局から次回の日程等についての連絡をお願いいたします。
○簑原医事課長補佐 座長から御指示がありました論点等については資料を準備させていただこうと思います。また、本日御指摘のありました資料等につきましても準備をさせていただいて、次回を開催させていただきます。次回の日程は調整させていただいた上で、追って御連絡させていただきます。よろしくお願いいたします。
○山口座長 本日の会議はこれで終了とさせていただきます。どうもありがとうございました。


(了)
<照会先>

医政局医事課 企画法令係 溝口(内線:2569)

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