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2013年8月1日 第17回シックハウス(室内空気汚染)問題に関する検討会 議事録

医薬食品局審査管理課化学物質安全対策室

○日時

平成25年8月1日(木) 14:00~17:00


○場所

三田共用会議所 1階 講堂


○議題

・関係省庁、関係団体等のシックハウスに係る取組説明・ヒアリング
・指針値の見直しの仕方について
・その他

○議事

○事務局 それでは、定刻となりましたので、ただいまから第17回「シックハウス(室内空気汚染)問題に関する検討会」を開催いたします。
 委員の先生方におかれましては、御多忙のところ御出席賜りまして、まことにありがとうございます。
 広瀬委員より、本日所用で若干遅れると連絡をいただいております。
 現時点で委員総数12名のうち、10名に御出席いただいていることを御報告申し上げます。
 角田先生は恐らく間もなく来られるかと思います。
 本日、審議官は所用のため欠席いたします。
 また、7月2日付で倉持室長が着任いたしましたので、御報告いたします。
 それでは、座長の西川先生、以降の議事進行をお願いいたします。
○西川座長 それでは、まずは事務局から配付資料の確認をお願いいたします。
○事務局 それでは、配付資料の確認をいたします。
 本日の第17回シックハウス問題に関する検討会の議事次第、資料一覧という1枚紙がございますので、ご覧ください。この議事次第1枚紙と座席表、委員名簿。
 資料1「平成24年度室内空気汚染全国実態調査・新築住宅調査結果の概要」。これは国衛研の発表資料となります。
 資料2「室内空気中化学物質の指針値の見直しの仕方等について(案)」。
 参考資料1は検討会の開催要項。
 参考資料2「今後の検討スケジュール」。
 以上となります。不備等ございましたらお知らせください。
○西川座長 ありがとうございました。
 それでは、議事(1)「平成24年度室内空気汚染調査結果並びに新築住宅実態調査結果について」として、まず平成24年度室内環境汚染全国実態調査・新築住宅調査結果の概要について、国立医薬品食品衛生研究所生活衛生化学部の神野委員、御説明をお願いいたします。
○神野委員 国立医薬品食品衛生研究所の神野でございます。
 本日は私どもで昨年度、化学物質安全対策室からの委託事業として実施いたしました全国の実態調査並びに昨年度の冬に行いました新築住宅を対象としました調査の結果について御報告させていただきます。
(PP)
 まず、平成24年度室内環境汚染全国実態調査の結果について御報告させていただきます。
(PP)
 これは御協力をいただきました全国の地方衛生研究所を一覧にまとめたものです。これらの研究所と協働で、昨年夏及び冬に2回、各衛研5軒ずつを目標にということで調査を進めてまいりました。
(PP)
 これも何度もお見せしているかと思いますが、化学物質安全対策室のほうで定めております室内濃度指針値を一覧にまとめました。今回、発表させていただきます内容は、ホルムアルデヒド、アセトアルデヒドの2種類のアルデヒド類並びにトルエン、キシレン、エチルベンゼン、スチレン、パラジクロロベンゼン、テトラデカンまでの揮発性有機化合物及びそれらの総和としての総揮発性有機化合物について、これらを中心に調査を行った結果となります。
(PP)
 実際のサンプリングスケジュールをここにお示ししました。夏季は7月から9月、冬季は平成24年の12月から25年3月上旬までを対象といたしまして、合計延べ111軒の御家庭で空気をサンプリングしました。
 そのサンプリングスケジュールですが、ポンプにはGLサイエンス社のSP208 20 Dualというポンプを用いまして、流速毎分5mlで12時間、計3.6Lの空気を採取しました。居間で12時間、主に居間に在室する時間として、昼を対象にサンプリングを行いました。次いで寝室で12時間というプロトコールになっております。
 同時に室外は毎分50mlで72分間、3.6Lの空気を採取いたしました。アルデヒド類につきましては室内、屋外ともにDSD-DNPH拡散サンプラーを用いて24時間のサンプリングを行いました。室内空気中化学物質の測定マニュアルでは居住住宅の測定においては日常生活を営みながら空気を24時間採取することになっておりますが、サンプリングボリューム等の関係でここでは居間、寝室ともに12時間のサンプリング時間とさせていただいております。
(PP)
 これが実際のサンプリングの風景となりますが、ここに示しているのはホルムアルデヒド、アセトアルデヒドを捕集するパッシブサンプラー、拡散サンプラーになります。このようにして地方の衛生研究所でサンプリングしていただいたものを、私どもの研究室に輸送し、このような分析を行ったということでございます。
 揮発性有機化合物につきましては、ここに示しましたようなポンプと吸着管を用いて、高さ1.2~1.5メートルの位置で空気をサンプリングいたしました。屋外についてはこのようなポンプを用いてサンプリングを行っております。この吸着管についても同様に私どもの研究室に運び、ここに示しましたような加熱脱離-GC/MS法と呼ばれる方法で分析を行っております。
(PP)
 以下、私どもで検討を行った個々の化合物について、その結果をお示ししてまいりたいと思います。
 まずホルムアルデヒドですが、2012年夏に行った調査では、ここに居間、寝室、屋外ということで分布を示しておりますけれども、居間で指針値100μg/m3を超える御家庭が4軒、先ほど申し上げましたように測定戸数が111戸でございますので、比率にいたしますと括弧内にパーセントで示してございますが、4%、寝室では7%のお宅で指針値を超えていたことになります。
 一方、冬の調査ではここに示しましたように、いずれの御家庭、居間、寝室とも指針値を超えるお宅はございませんでした。これがホルムアルデヒドについての結果となります。
(PP)
 続きまして、もう一つのアルデヒド化合物でありますアセトアルデヒドについての結果ですが、この場合は夏、冬いずれも指針値であります78μg/m3を超えるお宅が4ないし5%あるいは2ないし3%という比率で存在しておりました。最も高いお宅では、冬の寝室で最高値が100μg/m3ということで、指針値の2倍程度の濃度で検出されたことになります。
(PP)
 以下、揮発性有機化合物の結果ですが、トルエンにつきましては指針値260μg/m3という値に対しまして、夏、冬いずれも指針値を超えたお宅はございませんでした。ただ、最高では指針値の半分程度の濃度で検出されるお宅が存在するという結果となっております。
(PP)
 エチルベンゼンにつきましては、指針値が3,800μg/m3と比較的高いこともございまして、いずれの御家庭でも指針値を超えるお宅はなく、また、測定値も十分に低いものとなっております。
(PP)
 次がスチレンの結果になりますが、スチレンにつきましても指針値の220μg/m3に対して、その半分程度の濃度に達するお宅は存在しますが、この場合も指針値を超えるお宅はないという結果になりました。
(PP)
 キシレンにつきましても同様でございまして、870μg/m3という指針値に対しまして、それを超えたお宅は存在せず、また、測定値も十分に低い値となっているかと思います。
(PP)
 一方、1,4-ジクロロベンゼンにつきましては、以前の検討会でも御報告させていただきましたが、まだかなり高いお宅が存在するということでございまして、指針値としては240μg/m3となっておりますが、最大値で見ますと1,200、これは分析を行う上での定量の上限となりますけれども、1,200μg/m3まで達するお宅が存在することになります。かつ、指針値を超過するお宅が夏季で4ないし8%、冬季ですと5ないし7%のお宅で指針値を超えているということで、これは超過の割合からも、また、指針値に対して5倍以上の濃度で検出されることになりますので、検出濃度からもかなり高い値と考えてよろしいのではないかと考えております。
(PP)
 テトラデカンにつきましては、ここに示しましたように330μg/m3が指針値でございますが、この場合は指針値を超えたお宅は存在せず、かつ、夏場に最高で指針値の2分の1ないし3分の1程度の濃度で検出されるお宅が存在したということです。発生源を反映してということでしょうが、夏場に高い傾向が認められました。
(PP)
 先ほどのテトラデカンまでが、指針値策定物質についての結果となります。
(PP)
 ベンゼン以降は、WHOのガイドラインに掲載されている化合物を対象に、今回の調査で個別に定量を行った結果を述べさせていただきたいと思います。
(PP)
 ベンゼンにつきましては、これも以前の検討会で一部のデータを御報告させていただいたかと思いますが、2012年の夏、2012年から2013年の冬ということで2回の調査を行った結果、超過率から先に申し上げますと、日本の大気環境基準3μg/m3とWHOのガイドラインによる10-5リスクとして1.7μg/m3を記載しておりますが、ここでは超過の判定を大気環境基準の3μg/m3で行いました。そういたしますと夏季では居間で3%、寝室で6%のお宅で3μg/m3を超える濃度のベンゼンが検出されたことになります。
 一方、冬。これは今回初めてお示しするデータになりますが、この場合は超過率が増加しておりまして、居間で22%、寝室で24%のお宅で3μg/m3を超えるベンゼンが検出されております。ただし、最高濃度という観点から見ますと、必ずしも冬季に高いわけではなく、夏、冬いずれも10ないし20μg/m3の濃度でベンゼンが検出される家屋が存在するという結果になっております。
(PP)
 ベンゼンにつきましては、幾つかのリスクアセスメントが既に行われており、屋外の影響が大きいという指摘もございますので、ここではそれぞれのお宅で測定した屋外の濃度を、屋内の濃度から引いた値を使って解析を行ってみたものです。しかしながら、この場合も3μg/m3を超えるお宅が夏場で3ないし5%で、最大値はさほど先ほどお示ししたデータと変わらないことがご覧いただけるかと思います。
 また、冬季につきましても外気の影響を差し引いた上でも、やはり9%のお宅で3μg/m3の値を超えておりまして、かつ、最高値が20ないし10μg/m3ということは外気の影響をほとんど受けていない。つまり、この高いベンゼンの値は、何らかの室内の発生源を疑うべきであろうということになるかと思います。
(PP)
 ベンゼンにつきまして、汚染源として屋外の大気が疑われるということで、室内外の相関、この場合は順位相関を示してございますが、いずれの場合も相関自体は居間、寝室とも有意な結果となります。したがいまして、室内のベンゼン濃度に対して屋外の大気が重要な役割を果たしていることは間違いないとは思いますが、先ほどお示ししましたように、それを考慮した上でも室内に何らかの汚染源があると言えるかと思います。
(PP)
 同じくWHOのガイドライン値が定められておりますナフタレンにつきましても、夏と冬に調査を行いましたが、ナフタレンも夏場で4ないし6%のお宅で、この場合は10μg/m3がガイドライン値とされておりますが、それを超えるお宅が存在しました。冬では1軒、これは恐らく気温の影響が大きいと思いますが、比率としては約1%のお宅でガイドライン値を超えていたという結果になります。ただし、10μg/m3というガイドライン値に対して最高濃度が320μg/m3ということで、超過倍率という観点からは、極めて高い値のお宅が存在することが今回の調査でわかりました。
(PP)
 一方、トリクロロエチレン、続いてテトラクロロエチレンの結果をお示しいたしますが、トリクロロエチレンにつきましてはWHOのガイドライン値で10-5リスクが23μg/m3とされているのに対して、中央値が定量下限値未満ということで、要するに半数以上のお宅でトリクロロエチレンは私どもの分析法での定量下限値を下回っていたことになり、ガイドライン値を超えたお宅は存在しませんでした。
(PP)
 テトラクロロエチレンにつきましても状況は同じで、中央値は定量下限値未満ということで、半数以上お宅で検出されなかったという状況でございます。また、最高値も夏場で4.6μg/m3と、この値が最も高い値でございますが、ガイドライン値250μg/m3に対して十分に低い値となっているかと思います。
(PP)
 以上がWHOのガイドライン値が示されております揮発性化合物4物質の結果になりますが、続いて暫定目標値が定められておりますTVOCという観点から評価した結果になります。
 この場合は夏では最高値が2,700μg/m3、冬では7,100μg/m3ということで、いずれも居間のほうが高い傾向が見られましたが、夏場で30ないし36%、冬場では40ないし44%の御家庭で暫定目標値であります400μg/m3という値を超える結果となっております。
(PP)
 私どもの今回の調査では、ガスクロマトグラフ質量分析計を用いてスキャンという方法で測定を行っておりますので、室内濃度指針値あるいはWHOガイドライン値が定められている化合物以外のもので、どのような化合物が検出されるかということに関しても検索を行っております。
 ここではその結果をお示ししました。括弧内に示しました数字は、定量の標準として用いましたトルエンの量として表したものになっております。したがいまして、それぞれの化合物の本来の濃度とは若干違いますが、後でお示しします幾つかの化合物につきましては、トルエンに対する相対的な感度には10ないし20%程度の差異しかございませんので、ここに示した数値がおおむねその化合物の濃度を表していると解釈していただいてよろしいかと思います。
 そういたしますと、テルペン類でありますリモネンが、右側が冬の値、こちらが夏の値になりますが、冬で412μg/m3、ピネンが560μg/m3ということでかなり高い濃度で検出されたということになります。
 脂肪族炭化水素につきましても、指針値物質でございますテトラデカン以外にも同族体が数多く検出されているということで、しかもその濃度は例えばノナンが511μg/m3、デカンが488μg/m3ということで、かなり高い値で検出されることがございます。
 また、比較的高濃度で検出されました化合物として芳香族化合物では、トリメチルベンゼンが112μg/m3という高い値となっております。
 それ以外に検出された主な化合物はアルキルシクロヘキサン類で、メチルシクロヘキサンが冬季に481μg/m3という濃度で検出されました。また、プロピルシクロヘキサンも冬季にで56μg/m3という濃度で検出されております。
 また、シロキサン類として環状シロキサンでありますデカメチルシクロペンタシロキサンが、夏季の方が高かったのですが、これも約500μg /m3に相当する量で検出されるという結果が得られております。
(PP)
 さらに、この検討会でも北海道大学の岸先生等が御指摘されておりました2-エチルヘキサノールが、この場合も夏季に122μg/m3という濃度で検出され、また、酢酸ブチルが63μg/m3、テキサノールが35μgμg/m3といった濃度で検出されることも明らかになりました。
 グリコールエーテル類は幾つかの種類が検出されていますが、プロピレングリコールモノメチルエーテルが今回の調査では最も高い濃度で検出され、その濃度が135μgトルエン相当/m3という結果となっております。また、グリコール類もプロピレングリコール、ブタンジオールが検出され、ブタンジオールは夏季に93μg/m3という濃度で検出されました。これらが、今回の調査において比較的高い濃度で一般家庭から検出、同定された化合物となります。
 そのほかに可塑剤でありますTXIBあるいはアジピン酸ジイソプロピルといった化合物が10ないし20μg/m3といった値で検出されることも明らかになりました。
 ここまでが昨年度私どもで実施いたしました夏、冬の結果の概要でございますが、以前、本検討会で調査の途中経過を御発表させていただいた際に、委員の先生方から幾つか御質問をいただいておりますので、それらの御指摘に可能な限りお答えさせていただくということで幾つかの資料を準備させていただいております。
(PP)
 田辺先生、坂部先生から2003年の建築基準法の改正が行われた前後で比較したらどうなりますかという御質問、御指摘をいただきましたので、ここでは竣工の日時で区別して、2003年7月前後で2群に分けて結果を解析いたしました。
 そういたしますと、ホルムアルデヒドの結果をここではまずお示ししましたが、一般的にp値が0.05以下の場合に有意と御判断いただければと思いますが、ホルムアルデヒドでは冬の居間及び冬の寝室でそれぞれ0.05を下回っていることから、2003年以降に建てられたお宅では濃度が有意に低いという結果となっております。したがいまして、建築基準法の改正によってホルムアルデヒドの使用が抑えられたことによって、室内環境は良好になったということが私どもの調査からも言えるのではないかという結果となっております。
(PP)
 一方、アセトアルデヒドにつきましてはここにお示ししましたように、いずれの場合も有意な差が認められないということでございますので、必ずしも2003年前後で違いがあるわけでありません。
(PP)
 トルエンでございますが、この場合は冬の居間のみで有意な差となっております。この場合、中央値で比較いたしますと2003年以前のお宅で10に対して6.95ということで約7ですので、30%程度中央値が低くなっていることになります。ただし、冬の寝室やそのほかの季節ではそのような差は認められませんでした。
(PP)
 キシレンも同様に、ここに示しました冬の居間のみで違いが見られ、この場合は2003年以前が6であるのに対して、2003年以降が2.6ということで半分以下の値となっているということになります。
(PP)
 エチルベンゼンにつきましてもほぼ同等の結果で、中央値で比較しますとそれぞれ50ないし60%程度、40%程度の低減が見られると言えるかと思います。
(PP)
 特異的なものがスチレンでございまして、この場合は例えば冬の居間、寝室で見ますと、明らかにp値は0.05を下回っておりますので有意な差があるという結論になるわけですが、中央値を比較いたしますと2003年以前が0.56であるのに対して、2003年以降が0.74ということで、2003年以降の方が高いという結果になりました。恐らくこれは築年数の問題あるいは使用される建材等の関係もあるかと思いますが、他の化合物と違ってこの場合は2003年以降のほうが高い結果が得られております。
(PP)
 パラジクロロベンゼン、1,4-ジクロロベンゼンにつきましては、全ての場合で有意な差異となっておりまして、中央値で比較しますと例えば夏の居間で3.36が1.8ということで大幅に低減しております。ただ、この解釈につきましては必ずしも建築基準法に伴ってパラジクロロベンゼンが使われなくなったということではありませんので、恐らく住まわれている方の生活習慣の変化が、この2003年前後の2群での解析に影響を及ぼしているのではないかと解釈いたしております。
(PP)
 TVOCにつきましては、ここにお示ししましたように、この場合も冬の居間で有意な差が得られております。古いお宅、2003年以前のお宅のほうが高いという結果となっております。ただし、夏季の結果では中央値がそれぞれ247、331ということですので、必ずしも2003年以降に有意に低下したという結果ではないと思います。
(PP)
 ここまでが建築基準法の改正前後で建てられた家で比較した場合どうでしょうという、御質問に対する回答として提示させていただいたデータになります。続きましてWHOのガイドライン値が定められておりますベンゼンにつきまして、その汚染源を解析した結果について簡単に述べさせていただきたいと思います。
 考えられる汚染源といたしまして報告されておりますのは、1つは喫煙習慣、もう一つは灯油等の燃焼器具の使用による増加という2つの要因が考えられだろうということで、同時に行っておりますアンケートを基に、喫煙習慣があるお宅、この場合は本数ではなくて喫煙習慣のある方がお住まいかどうかということで分類したものと、使用している燃焼器具の種類で分類した結果をお示ししております。
 その結果、冬季の寝室では喫煙習慣のない御家庭のほうが有意に低いという結果になっております。一方、燃焼器具で見ますとオープンタイプとクローズドタイプということで、オープンタイプすなわち開放型の燃焼器具を使っていらっしゃる方の方が高い。中央値で見ますと例えば冬の寝室ではそれぞれ2.6、1.7ということで、開放型暖房器具を使っているお宅のほうがベンゼン濃度が高いということでございますので、1つの発生源といたしまして、やはり灯油等の燃焼が挙げられるかと思います。
(PP)
 これは夏季、冬季の居間の揮発性有機化合物、定量を行った全ての化合物につきまして、総当たりの相関マトリックスを示したものになります。順位相関の結果を示してございますが、ここに挙げましたパラジクロロベンゼンにつきましては夏季に高いお宅は冬季も高いという結果になります。もう一つの化合物としてナフタレンも夏に高いお宅はやはり冬も高いという傾向が見てとれるかと思います。それ以外の化合物については必ずしも年間を通して一貫して高いお宅が存在するわけではないという結果になっております。
 また、例えばトルエンが高いお宅は同時にエチルベンゼンも高い場合もあり、そういう意味で同一の発生源から放散される一連の化合物の挙動がこの相関マトリックスから伺えるかと思います。
(PP)
 以上が私どもで昨年度、地方衛生研究所の皆さんの御協力を得て実施しました全国の実態調査の結果となります。
 続きまして、これも以前の検討会で齋藤委員から新築あるいは新築直後のお宅での状況はどうですかという御質問をいただきましたので、これにつきましても未入居もしくは入居後3カ月以内の住居に限定した調査を昨年度の冬に取り急ぎ実施いたしました。都合39軒についての結果をここでお示ししたいと思います。
(PP)
 まずお断りしておきたいのですけれども、新築の住宅の場合、これは厚生労働省のサンプリングマニュアルに記載されていることですが、新築住宅における室内空気中化学物質の測定は、室内空気中の揮発性有機化合物の最大濃度を推定するためのもので、30分換気後に対象室内を5時間以上密閉し、その後、おおむね30分間採取するということで、今回の調査では朝の9時前後に30分間換気をしていただいて、その後5時間以上密閉した後に空気を採取するという方法で測定を行いました。
 先ほどまでお示ししました全国の実態調査は、居住住宅の測定ということでございますので、平常の生活条件下における揮発性有機化合物の存在量や暴露量を推定するためのもので、日常生活を営みながら空気を12時間採取して分析を行っております。したがいまして、以下に示しますデータは最大濃度を表したもので、直接両者を比較することはできないということを御理解いただければと思います。
(PP)
 それでは、順番に今回調査を行いました化合物について、その結果を御説明させていただきたいと思いますが、入居前のお宅が28軒、入居後のお宅が11軒、かつ、そのうちの入居前後で6軒のお宅を測定させていただくことができました。つまり、この6軒については入居前後での変化をお示しすることができることになるかと思います。ホルムアルデヒドにつきましては、冬季の調査であるということもございまして、指針値をいずれの場合も十分に下回っている値となりました。アセトアルデヒドについては、ここに示しましたように3軒ないしは7軒程度のお宅で、指針値48μg/m3を超えているということになりました。
 ここで注目していただきたいのは、A~Fの6軒のお宅について入居前の居間、寝室、入居後の居間、寝室の結果をお示ししておりますが、入居前にはホルムアルデヒド濃度が10μg/m3を下回っているお宅が、入居後に再度測定させていただいた場合には、例えば30μg/m3程度の値となっておりました。つまり、未入居の状態ではホルムアルデヒドが指針値を十分に下回っているお宅でも、入居後にその濃度が3倍ないし4倍程度まで増加する場合があることが、今回の新築調査の測定結果からわかりました。
 アセトアルデヒドにつきましてはそのような例が1軒だけ見られましたが、大部分では入居前後で際立った変化はありませんので、やはりホルムアルデヒドについては入居後に居住者の方が持ち込む何らかのものによって、その濃度が増加することがあり得ると言えるかと思います。
(PP)
 先ほどのホルムアルデヒドでは大部分の家屋で入居後に濃度が上がっていましたが、ここに示したエチルベンゼン、キシレンの場合、指針値を超えたお宅は存在しませんでしたが、Bの御家庭では入居前にはほとんど検出されなかったエチルベンゼンが入居後に増加し、キシレンについても同様の結果となりました。つまり、この場合も入居後に持ち込まれた何らかのものによって濃度が増加したということが言えるかと思います。
(PP)
 トルエンについては、入居前の2家庭で260μg/m3という指針値を超えるお宅が存在しました。一方、スチレンについても指針値を超えるお宅が2軒で、指針値220μg/m3に対して1,000μg/m3を超えるかなり高いお宅が存在するのですが、この場合も注目していただきたいのは、Bのお宅では入居後にもともと100μg/m3程度だったのが1,000μg/m3を超えるところまでスチレンが増加するということがございました。
(PP)
 パラジクロロベンゼン、テトラデカンについてですが、例えばパラジクロロベンゼン、1,4-ジクロロベンゼンにつきましては入居前にはいずれも検出されないのに対して、入居後にこの場合必ずしも指針値を超えているわけではないのですけれども、100ないし150μg/m3の濃度で検出されるお宅が2軒存在しました。
 テトラデカンについては指針値を十分に下回っており、この場合は入居前後でそれほど劇的な変化は見てとれませんでした。
(PP)
 ベンゼン、ナフタレンにつきましても、外気で1軒だけ超えるお宅がございましたが、いずれも室内で超えるお宅はなく、入居前後で測定を行った6軒につきましても顕著な違いはないという結果となっております。ナフタレンにつきましてはE、Fのお宅で、入居前に存在する場合もありましたが、基本的には入居後に検出されるようになる化学物質であることがわかります。
(PP)
 ベンゼンについては先ほどと同様に、屋内濃度から屋外濃度を引いた値として解析を行いますと、3μg/m3を超えるお宅はなく、新築の住居において特に室内に発生源があるわけではないということが言えると思います。
(PP)
 一方、暫定目標値400μg/m3が定められておりますTVOCでは、新築ということもございまして、400μg/m3を超えるお宅が大部分で、かつ、1,000μg/m3を超えるお宅が半数程度存在しているというのが実態でございます。先ほど来、幾つかの化合物が入居後に高くなることを御報告させていただきましたBの御家庭では、TVOCについても新築時1,500μg/m3程度だったものが入居後に4,000μg/m3まで顕著に増加するということで、この場合も、TVOCに関しても入居後に持ち込まれたものが影響を及ぼしていると考えられます。
(PP)
 新築の住宅でも同様にスキャンで測定を行いましたので、先ほどの全国調査の場合と同様に、どのような化合物が新築家屋で検出されるかということの検索を行ってみました。その結果、木材等にも由来するテルペン類が2,600μg/m3、リモネンが24の部屋で360μg/m3程度の値で検出されたことになります。そのほかに直鎖状及び分枝状の脂肪族炭化水素類、芳香族炭化水素類としてトリメチルベンゼンが、これも高い値なのですけれども、370μg/m3ぐらいで検出されるということになります。また、特異的なものとしてアルコール類ではテキサノールが800μg/m3とかなり高い濃度になりました。検出頻度も高く、20室で最高830μg/m3という濃度で検出されました。また、ブタノールが227μg/m3という濃度で検出されましたが、この場合は検出頻度としては低い値となっております。
 エステル類としましては酢酸ブチル、これは全国調査でも見つかっておりますが、これが660μg/m3で、酢酸エチルも検出される場合があり、TXIBが660μg/m3ということで、全国調査の値と比べると極めて高い濃度で検出されております。そのほかに、グリコールエーテル類が検出されておりまして、最も高い濃度で検出されたのがジエチレングリコールモノメチルエーテルで、337μg/m3という値で検出されることがわかりました。
(PP)
 ここに示しましたのは、入居前には検出されずに、先ほど6軒のお宅をお示ししましたが、入居後のみの御家庭で検出された化合物を示しています。値としては若干低いのですけれども、環状シロキサンについては入居前には検出されず、入居後のみでD4と書きましたがオクタメチル、D5と呼ばれるデカメチルシロキサンがそれぞれ1室、3室で78、48μg Toluene/m3という濃度で検出されました。
 また、何に由来するかはかわからないのですけれども、メチルイソブチルケトンが2つの部屋から最高で150μg/m3の濃度で検出されております。
(PP)
 駆け足でございましたけれども、以上、全国実態調査並びに新築調査の結果について、その概略を簡単に御報告させていただきました。
 平成24年度全国実態調査において室内濃度指針値の超過が見られた化合物はホルムアルデヒド、アセトアルデヒド及び1,4-ジクロロベンゼンの3物質でございました。TVOCにつきましては30ないし44%の家屋で暫定目標値であります400μg/m3の値を上回っていることが明らかになりました。また、ベンゼン及びナフタレンにつきましては、WHOのガイドライン値を超過する例が見られたことになります。指針値の設定されていない化合物の中でテルペン類やアルカン類のほかに環状シロキサン、D5が488、メチルシクロヘキサン481、プロピレングリコールモノメチルエーテル135、2-エチルヘキサノール122などが比較的高濃度で検出された化合物となります。
(PP)
 一方、新築の住宅の調査におきましては、室内濃度指針値の超過が見られた化合物はアセトアルデヒド、これは入居前後でございました。入居前のトルエン、入居前後のスチレン及び入居後のみのパラジクロロベンゼンについて、室内濃度指針値の超過が見られました。
 指針値の設定されていない化合物の中では、テルペン類のほかにテキサノールが837、酢酸ブチルが664、TXIBが661、トリメチルベンゼンが368、ジエチレングリコールモノメチルエーテルが337、これらが比較的高濃度で検出された化合物となるかと思います。
(PP)
 以上が私どもで行いました実態調査の結果となりますが、全国実態調査は地方衛生研究所と私ども国立医薬品食品衛生研究所生活衛生科学部の協働によって実施されたものであります。御担当いただきました地方衛生研究所の職員を初め、関係者の皆さんに心より感謝いたします。
 また、新築の調査につきましては、比較的限られた時間で行いましたので、対象家屋の選定がかなり困難でございましたが、東京都福祉保健局並びに都市整備局、生活文化局を初めとする各部局の関係者の皆様に多大な御協力いただきました。また、室内環境学会や検討会の委員でございます東先生、齋藤先生にも御協力いただきまして、先ほどの39軒の新築家屋の調査を行うことができました。この場をお借りして深謝いたします。
 私の発表は以上でございます。どうもありがとうございました。
○西川座長 どうもありがとうございました。
 それでは、ただいまの御説明につきまして委員の先生方から御質問、コメント等をお願いいたします。
○中井委員 どうもありがとうございました。
 大変短時間の中でまとめられて大変だったのではないかと思います。
 何点か確認させていただきたいのですが、まず最初に、ご発表の111軒というのは、夏と冬で同じ御家庭でよろしいですか。
○神野委員 済みません、申し忘れました。111軒の中の109軒が夏冬の対応のあるデータ、すなわち夏と冬の2回測定させていただいた御家庭となります。
○中井委員 わかりました。
 その上での質問なのですけれども、その後に個別の居間と寝室との結果をずっと出していただいていて、アセトとパラジクロロベンゼン、ホルムアルデヒドは指針値を超えるという話があったかなと思うのですが、多分、パラジクロロベンゼンが超えている御家庭は両方とも同じかなという気がするのですけれども、アセトアルデヒドもそんな感じなのでしょうか。ホルムアルデヒドはなくなっているので、その辺は多分濃度が減少したのだろうなと思うのですけれども、何かありますでしょうか。
○神野委員 順位相関の相関マトリックスでお示ししたデータで見ますと、必ずしもアセトアルデヒドは夏、冬で相関は得られていなかったと思います。その結果からしますと、今回の調査では必ずしも夏場に高かったお宅が冬も高いということにはなりませんでした。
○中井委員 そうですか。別の要因が入ってしまって、冬場に上がってしまった家庭があるということですか。
○神野委員 そうですね。ただ、それが建材等に由来するか否かに関しては、もう少し調査が必要だと思います。夏と冬で換気回数などの違いもございますので、なかなか相関は得られにくいのだろうと思いますが、その意味ではパラジクロロベンゼンとナフタレンに相関が得られたことは、これら2物質についてはかなり強い室内の発生源が存在することを示しているのだろうと解釈いたしました。
○中井委員 幾つかあるのですけれども、ベンゼンなのですが、非常におもしろい結果だと思ったのですけれども、インドア-アウトドアの結果なのですが、これは全部プラスですね。ということは、全部の御家庭でインドアのほうが高いというのはかなりショッキングな気もするのですが。
○神野委員 そうですね。マイナスになった家庭はないのですけれども、引いた値がほとんどゼロというか、かなり低いお宅もございまして、したがって、室内でそれほど増加しているわけではないと思います。
○中井委員 差が例えば左側の居間の20というのは、室内のほうが20高かったということだと思うのですけれども。
○神野委員 ご指摘の通り、室内にかなり強い発生源があるお宅は存在するのですが、大部分のお宅ではこのあたりになります。
○中井委員 ということは、外気からの侵入がほとんど100%に近いという解釈にもなってしまう。室内にもし発生源がない場合、大体のところはゼロのところなのですけれども、濃度が低いところはそれでよろしいでしょうか。
○神野委員 そうですね。この場合は室内に発生源はほとんどないということです。
○中井委員 だけれども、差がゼロということだけですので、アウトドアとの差がないということは、アウトドアの影響がそのまま室内に来てしまっているという解釈もあり得るということでよろしいでしょうか。わかりました。
 それと、スキャンの結果が非常におもしろかったのですが、これと一番最後の新築のもので示していただいたかと思うのですけれども、これは本当にそのまま見比べていいのかという問題があるかと思うのですが、例えばこちらでは脂肪族炭化水素が検出されているにもかかわらず、後ろのほうでは検出されていないということがあるので、そう考えると脂肪族炭化水素は建材由来ではないという解釈もできると考えてしまってよろしいですか。
○神野委員 ここでは分枝状のものは混合物として検出されましたが、特定の化合物が高いということはありませんでした。全国調査で挙げさせていただいている脂肪族炭化水素類は全て直鎖状のものを表しているのですけれども、新築の調査では枝分かれしたものがあるということで、ここでは個々の化合物としては挙げておりませんが、必ずしも検出されないということではありません。ただ、脂肪族炭化水素の発生源という点からしますと、必ずしも建材等ではなく、家庭用品の使用によって増加するものだろうと私どもは考えています。
○中井委員 必ずしも本当に定量でなくても、例えばこのような比較をされることによって新たな問題となっている化学物質が検出できるヒントがあるのかなと思ったものですから、お尋ねさせていただきました。ありがとうございました。
○西川座長 よろしいですか。
 ほかにございますか。東先生、どうぞ。
○東委員 大変広範囲な調査をお示しいただきまして、ありがとうございました。
 幾つか質問がありますけれども、ベンゼンのお話なのですが、コメントにもなるのですけれども、発生源がなかなかつかみどころが難しいのがベンゼンだと思うのですが、これは2000年ぐらいにネイチャーに載った論文で、欧米では室内ではかるとIO比で2~3倍ぐらい高いということで、発生源が場合によっては屋外から来たものが吸着して再放出しているのではないかという報告もございます。それについてきっちりと証明されたものはまだ見当たらないということではあると思うのですけれども、ただ、ベンゼンですが、幾つかこのデータを見ていて気づいたことがあるのですが、1つ相関を見ているとトルエンとかキシレンとかエチルベンゼンと比較的相関が高いというのがあったのですけれども、例えばトルエン系の有機溶剤とも何らかの相乗といいますか、あわせ持った感じでベンゼンも高くなっている。例えば何らかの不純物が含まれているとか、そういったことが1つの発生源の中にあるのかなというのが感じたことでございます。
 もう一つは燃焼生成物といいますか、開放燃焼型暖房器具が発生源としてあるということは、お示しいただいたとおりかと思うのですけれども、これに関してはあわせて今回の調査ではなかったのですが、燃焼生成物に関してはWHOのガイドラインも二酸化窒素とか一酸化炭素のガイドラインをつくっておられると思うのですが、今回調査は入っていないのですけれども、恐らくこういったものも高くなっているのではないかと思います。
 実はほかの調査で二酸化窒素の濃度が冬場は高くなっている。日本の基準と比べるとかなり高いところにあるという調査もございますので、燃焼開放型暖房器具に由来するような物質については、建材ではないのですけれども、少しこれから注意していく必要があるのかなという感触を持っております。
 もう一つお伺いしたいのは、今回VOCの指針値以外のものを列挙していただいているのですけれども、1つは濃度が高いというところがあると思うのですが、あと、IO比なども勘案してお示しいただいているのかどうか。そのあたりどういった基準で指針値対象策定以外の物質を抜粋されたかというのをお伺いしたいと思っております。というのは、比較的見ておりますと酢酸エステルとかグリコールエーテル、エステル類など有機溶剤としてこれまで芳香族系のものから置きかえられているような傾向があるものが出てきているような傾向が見えましたので、そういうものが最近問題になってきているのかなという印象を受けたものでありますので、1点そのあたりをお伺いしたいと思っております。
○神野委員 ベンゼンと二酸化窒素等の関係につきましては、先生御指摘のように、恐らく相関をとるとかなりおもしろいというか、発生源を特定できるような結果になるかと思います。ただ、今回の調査ではそこまで手が回らなかったので、いずれ調査をしてみたいと思っております。ありがとうございます。
 もう一点、IO比ということですけれども、今回お示しした結果についてはIO比という評価はしておりません。と申しますのは、同じ方法で先ほどお示ししました屋外のTVOCを測定しているのですが、値といたしましては大部分のところで1ないし2μg/m3、高くても数μg程度ですので、屋外で検出されない化合物が大部分ということで御理解いただければと思います。
○西川座長 池田先生、どうぞ。
○池田委員 日本大学の池田です。
 大変興味深い調査、でも大体、今まで言われていたようなことがかなり鮮明にデータをもって証明されたのはとても意義があると思いました。
 1つここでできたら検討していただきたいというのは、いわゆる福島の原発事故以後、節電というのが東日本中心に社会的に優勢になってきているわけですけれども、その影響が室内の化学物質濃度に当然及んでいるわけで、その辺の比較というのをもししていただくことが可能なのかどうか、お伺いしたいなと思いましたけれども、いかがでしょうか。
○神野委員 現時点ですぐには対応できないのでお答えしづらいところがありますが、ご指摘の点も含めて、ただ、化学物質という観点からしますとエアコン等を使って窓を閉めた状態と、エアコンなどの使用を控えて、逆に窓をあけた状態ですと当然換気回数は増加することになりますので、どのような影響が見られるかというのは現時点で予想はつかないのですけれども、全般的な影響はいずれ評価してみたいと思っております。
○池田委員 今おっしゃったのは夏だと思うのですけれども、冬なんか特にそうだと思うのです。今まで電気だったのをそれをやめて、いわゆる開放型燃焼器具に切りかえているお宅が結構あるとすれば、そういったことが先ほどいわゆる有機化合物の濃度を上げている可能性が大いにありますので、私ども住宅ではないのですけれども、オフィスビルなんかの電気のエネルギー消費量の原発事故以前、以後を比べてみると明らかにかなり減っているわけでして、そういったことが住宅でも同じようなことが起こっているはずで、そのことが室内の空気環境にある意味で節電というのも大事なのですけれども、節電をすれば室内の空気質は犠牲になるという点を、改めて国民に警鐘を出す上でも大事なことではないかと思うので、よろしくお願いいたします。
○神野委員 念頭に調査を進めたいと思います。ありがとうございます。
○西川座長 ありがとうございます。
 坂部先生、どうぞ。
○坂部委員 東海大学の坂部ですけれども、TVOCのことで確認したいのですが、夏、冬あるいは建築時期、新築でそれぞれ評価していただいているのですけれども、結局それを跳ね上げている最も寄与しているものというのは、一番何が考えられているか。特に新築の家の場合、何が一番寄与しているのかというところは、先生、いかがでしょうか。
○神野委員 全体的な寄与率という評価まではまだ行えていないのですが、1つ言えることはテルペン類が主要なものであることは間違いありません。ただ、新築でTVOC濃度が高いのがテルペン類のみに起因するということではなく、先ほどお示ししましたようなテキサノールとかTXIBといった溶剤とか、グリコールエーテルのような化合物が数百μg/m3というかなり高い濃度だで検出されるお宅もありますので、木材等に由来するテルペン類に混じってかなり高い濃度の溶剤が検出されるというのが今回の実態調査の結果だと解釈しています。
○西川座長 よろしいでしょうか。
 角田先生、どうぞ。
○角田委員 毒性関係のベンゼンが気になるのですが、1つ確認はスモーキングハビットのところで、ノースモーカーのほうはとりあえず寝室のほうが有意に低いという結果ですね。ノースモーキングの家庭のほうが、一応低いという結果になっているので、喫煙がある程度関係している。
○神野委員 はい。
○角田委員 だからそれの不純物かなという気もしないでもないのですけれども、結局、例えばピークではかられているので、ベンゼンなんかで1と2の違いでそれほど意味があるかというのは、ピークの高さはちょっと違くなるので、高いところもはかっているので、実際に測定してみて余りこれは大きな、例えば1と2では2倍ではあるのですけれども、実際のピークを見ると物すごく大きな10とかが大きなピークの中の小さなピークをはかるという感じで、それほど意味があるかどうかというところをお伺いしたい。
○神野委員 ただ、定量下限という意味からすると、今回ベンゼンに関しては先ほどお示ししましたTVOCを測定する方法とは別に、スキャンで測定したイオンの中の特定のイオンを抜き出して定量しておりますので、定量下限値という点からしますと0.5μg/m3程度は定量できています。したがって、分析学的な意味で申し上げますと1μg/m3と2μg/m3の違いは10μg/m3と20μg/m3の違いと変わらないということになりますので、1μg/m3が2μg/m3に変わることの意義づけというのは、かなりふえているというか、違いがあるという解釈でいいかと思うのです。
○角田委員 三点図を見ると意外と0.5前後というのは結構多いと思うので、この辺は余り定量前後の話で、下限あたりの話はそれほど神経質にならなくてもいいかなという気はします。
○神野委員 そうです、おっしゃるとおりだと思います。ただ、もしもこのベンゼンが問題になるようであれば、今回は網羅的に解析するという目的で設定した定量下限値でございますので、実際はもっと低濃度からでも定量することは可能ですので、そのあたりについては必要であれば詳細な調査には対応できると思っております。
○西川座長 ほかにございますでしょうか。
 それでは、五十嵐先生。
○五十嵐委員 指針値策定外物質のことでお伺いしたいのですが、今回の実態調査は12時間の連続測定で、ホルムアルデヒドなどは家庭内でずっと出ているような物質だと思うのですけれども、策定外物質というのは見ていると割と一時的に使って、何かしらの物から出てくるのではないかと思うのです。例えば環状シロキサンが夏場が多くて、冬場は少ないというのも、もしかしたら日焼けどめとかスプレー用品を多く使って、そのときだけ高いというようなこともあるのではないかと思うのですが、アンケート調査でこういったものを使ったから多分これではないかという考えなどございますか。
○神野委員 ありがとうございます。
 今回の調査では具体的に使用した商品とかそういうものまで、あるいは時間帯まで含めてアンケートをとれていませんので、具体的に発生源が何であるかという特定までは至らないのですけれども、御指摘のように化合物の使用目的を考えると一過性に使用されて、一過性に濃度が上がる可能性が高いものが含まれているかと思います。したがいまして、この検討会で御審議いただきたいのですけれども、測定に関しても12時間ないし24時間の平均値としてあらわすほうがふさわしい化合物あるいは有害影響もあるかと思いますが、一方で刺激性などの点からすると一過性に上がった最高濃度を問題にすべき化合物もあると思うので、その辺に関しては評価手法も含めて御議論いただければと思います。
○西川座長 齋藤先生、どうぞ。
○齋藤委員 ベンゼンの発生源についてなのですけれども、私どもで調査した中では接着剤で国内製ではなく中国製のものです。国内製のものでほとんどベンゼンは含まれていないのですけれども、どうも合成の具合かベンゼンが出ているものがあったという経験がございました。
 もう一つ、燃焼ということでたばこを吸われても出るのですけれども、室内で燃焼させるものとしてお線香とかお香があるのですが、これもかなりベンゼンが発生しておりましたので、そういった居住者がお使いになられる燃やすものから、燃やすと結構いろんなものから出てくるようですので、発生源としては1つ重要なのではないかと考えております。
 新築住宅の調査についてお伺いしたいのですけれども、スチレンなのですが、住宅の入居の前後でお調べになった際に、スチレンで住宅の居住者が入居後に非常にスチレンがぼんと上がっていたお宅がBのお宅であったと思うのですが、これはお持ち込みになったもので、それによって室内が1,000μg/m3以上になってしまったという数値がかなり大きくて、これは非常に悪臭物質ですので、かなり嫌なにおいがするような状況ではなかったかなと思いますが、何か発生源に思い当たるようなものがあれば教えていただけるとありがたいです。
○神野委員 ありがとうございます。
 まずスチレンにつきましてですけれども、個々のお宅の発生源、1,000μg/m3まで上げた特定のものは何かというのまでは調査が行き届いていませんので、現時点ではお答えできないのですが、もし可能であれば追跡して、どういうものだったかを確認してみたいと思います。
 ベンゼンの発生源につきましては、私ども線香とかそこまでは考えが及んでおりませんでしたので、以後調査するときにはそういった意味での発生源も含めて広範に調べてみたいと思っております。どうもありがとうございます。
○西川座長 田辺先生、どうぞ。
○田辺委員 今回の実態調査は、新築も含めて大変広範にやられておもしろいと思って拝見をしていたのですけれども、WHOヨーロッパが2000年に出したガイドラインの後に、最近ふえてきて問題がどうもありそうな物質というレポートを2010年に出されているのですけれども、その中でここで指摘されているようなベンゼン、ホルムアルデヒド、ナフタレン、PAH、テトラクロロエチレン、トリクロロエチレンを指摘していて、かなり広範囲にレビューをされています。ベンゼンに関しても室内発生源の幾つかの文献を上げていて、建材の中のもの、家具、たばこといったものを取り上げられているので、先生お持ちだと思うのですけれども、あればまた私のほうで冊子があるのでお渡しをして、特にベンゼンは発がん性の関係もあって上限をWHOヨーロッパでは設けず、なるべく少なくしなさいということを言っています。
 もう一つ、スチレンですけれども、私も発生源に非常に興味があって、防水とかで結構使われることがあって、もしかすると室内に居住者が持ち込んだものではないかも知れません。住みだすと換気をするので部屋が負圧になると入ってくる事例というのが、私が経験したものでもありまして、ベランダのところのちょうどサッシのところに塗ってありまして、何もないときは大丈夫なのですけれども、入って第3種換気しだすと引き込んでにおったという事例の報告があります。スチレンのガイドラインは日本は高いのですけれども、ヨーロッパではたしか70μg m3なので、これは多分日本とWHOはかなり指針値が違う物質だと思います。
 あと、指針値の設定の議論にもよると思いますけれども、池田先生御指摘になったように、かなり今までこのところ問題だと言われているような物質がきちんととれているということは、大変貴重なデータではないかと思います。
 以上です。
○神野委員 ありがとうございます。
○西川座長 ほかにございますでしょうか。中井先生、どうぞ。
○中井委員 これは多分、今回の調査の管轄の外だと思うのであれなのですけれども、新築のほうだけでも結構なのですが、例えば症状等を訴えた方がいらっしゃったかどうか。そういうものは調べていないということならそれで構わないのですが。
○神野委員 今回は疾病の症状との関連の調査は行っておりませんので、ここでお答えできるデータはありません。
○西川座長 ほかよろしいですか。
 東先生、どうぞ。
○東委員 1点だけお伺いしたいのですけれども、今回の調査の対象世帯、家屋なのですが、衛研の方に御協力いただいて各5軒ぐらいということになるのですが、そこのセレクションバイアスがどのような感じになっているか心配であるところがあるのですが、例えば比較的安価な住宅あるいはそうでない住宅とか、その住宅の質、値段などによっても使われる建材の質が違ってきたりする部分があったり、先ほどの中国の話も若干ありましたけれども、輸入建材とか、そういう問題も若干あるのではないかという懸念があるのですが、そのあたり何かお気づきの点とかありましたら、今後の調査にもかかわってくる部分があるかと思いますので、お教えいただけないでしょうか。
○神野委員 ありがとうございます。
 御指摘のとおりだと思います。今回私ども地方衛生研究所の職員の方に御協力いただいて調査を行ったのですけれども、調査の対象として職員あるいはその家族等が住まわれている家屋で調査される場合が多いので、その意味では調査のバイアスはかなり大きなものがあるかもしれないと思っております。
 ただ、ポンプでのサンプリングとか調査の手法にもいろいろ技術的に難しい面もございますので、なかなかバイアスを減らすということは難しいですが、実は今年度、無作為に近い調査についてもチャレンジしておりますので、今回お示ししたデータとあわせてご覧いただく機会があれば、どの程度のバイアスがかかっているかをお示しできると思います。御指摘のとおりだと思います。どうもありがとうございます。
○西川座長 ほかよろしいでしょうか。
 それでは、神野先生、どうもありがとうございました。
 続きまして、指針値の見直しの仕方について事務局から御説明をお願いいたします。
○事務局 それでは、資料2をごらんください。「室内空気中化学物質の指針値の見直しの仕方等について(案)」でございます。
 まず「1.趣旨」でございますけれども、室内濃度指針値の設定が行われて、その後、約10年が経過したというところで、指針値が設定されている化学物質、クロルピリホス等について代替物質が出てきているのではないか、新たな化学物質が使用されているのではないかという指摘があったこと等から、改めて当該指針値と比較した超過実態を把握するとともに、化学物質の発生源と室内濃度との関係に係る科学的知見を踏まえまして、室内濃度指針値の設定のあり方、見直しの仕方等について検討するという趣旨で作ったペーパーでございます。
 2.以降は初めてお見せしますので、読ませていただきますけれども、新たに指針値を設定する化学物質の採用に当たり考慮すべき事項といたしまして、3点挙げさせていただいています。
 まず1点目でございますが、WHO空気質ガイドライン等における指針値。国内で指針値が設定されていなくて、WHO空気質ガイドライン等において室内空気中の濃度として指針値等が設定されている化学物質については採用を検討する。ここに例として物質を挙げておりますけれども。ただし、次の(2)-1の居住環境内における実態調査等により室内濃度が海外の指針値を十分に下回っている場合には採用しない。これが1点目でございます。
 2点目でございますけれども、居住環境内における揮発性有機化合物の実態調査等の結果等。これが2つ目に考慮したい項目でございますが、そのうちの1つ目としまして居住環境内における実態調査等において定性的もしくは半定量的に検出された国内で指針値が設定されていない化学物質につきまして、詳細な暴露濃度データを収集する。高濃度、高頻度で検出された化学物質を対象としまして採用を検討する。
 逆に室内濃度、室外濃度比等の情報から室内発生源の寄与が低いと考えられる物質につきましては採用しない。
 3点目でございますけれども、家庭用品等からの化学物質の放出量の検討結果、シックハウス関連研究の知見等を考慮する項目としたい。過去数年の家庭用品等からの化学物質の放出量の検討結果、シックハウス関連研究、疫学研究等もございますので、こういった研究等も含めて、こういった知見等から対象とする化学物質をリストアップし、採用を検討する。採用に当たり考慮すべき項目としては以上を今、考えております。
 次の3.でございますけれども、指針値の設定の検討方法といたしまして、まず(1)でございますが、今、1つ上のところで説明しました2.の(1)~(3)により採用を検討するとされた化学物質について、初期暴露評価、初期リスク評価を経て、これまでに指針値が設定された化学物質の主要な用途、発生源について考慮しまして、個別の化学物質の詳細な暴露評価及びリスク評価を行う。この結果を踏まえまして検討対象となる化学物質の候補をリストアップした上で優先づけを行い、指針値の設定を検討する。また、指針値の設定数は関係者が対策を講ずるに当たり実効性のある範囲とする。
 ここは一気に書いておりますけれども、後ろのほうにフロー図というか、見直しのスキーム図があって、この図でいきますと左右にボックスがありまして、測定方法、暴露評価に資する情報、これは左側のボックスでございますけれども、こういったボックスからの情報であるとか、右側の情報で全国実態調査、新築実態調査であるとか、家庭用品の放散試験であるとか、各種学術論文、文献等、各団体からの情報を、上のほうの採用を検討すべきとされた化学物質リストというところにまず物質をピックアップすることをしまして、それから、初期暴露評価、初期リスク評価というような形で流していきまして、さらに過去の実績等から用途とか発生源を考慮して、さらに候補物質を絞り込む。絞り込まれた物質について詳細な暴露評価、詳細なリスク評価をしていって、そこで検討対象となる化学物質の優先づけを行いたい。そういったことが先ほどの1枚紙の3.(1)に書いている意図でございます。
 本文に戻っていただきまして3.(2)でございます。各指針値につきまして健康影響の種類別にカテゴリ分けをすることも考慮する。これはどういう意味かと言いますと、可能な場合には慢性影響なのか急性影響なのかそれぞれについて指針値を設定することも検討する。どういった健康影響の種類によって指針値が定められたということを、フラグを立ててあげるとユーザーが便利なのではないかという発想です。
 4.でございます。総揮発性有機化合物、トータルVOCの暫定目標値の取り扱い。健康影響を加味せず、国内の室内VOC、揮発性有機化合物実態調査の結果から、合理的に達成可能な限り低い範囲で決定した総揮発性有機化合物(TVOC)の暫定目標値について、最新の知見等を踏まえ、その取り扱いや測定の意義などについて検討するとともに、試験法の見直しを行う。
 その他の課題といたしまして5.でございますけれども、小児等のハイリスク群の指針値のあり方。2つ目としまして空気・ハウスダスト中の化学物質を監視するシステムの構築。3点目といたしましてSVOCの暴露評価方法について、こういったことが課題として挙げられるだろうといったペーパーでございます。
 このような見直しのような流れで指針値を新たに設定していくこと等を考えていきたいと思います。
 以上でございます。
○西川座長 ありがとうございました。
 ただいまの御説明について委員の先生方から御質問、コメント等ございましたらお願いいたします。角田先生、どうぞ。
○角田委員 趣旨はよくわかったのですけれども、前回の13物質のときは必ず毒性指標というものが入っていまして、これを見たところでは毒性指標の考え方が、前にも指摘したのですが、ないのです。高く出ていても健康影響が出る。シックハウスは非常に難しいのですけれども、健康影響が今まで研究でないものを出ているから出すというのは、余り整合性がないのかなという感じがするのです。
 例えばこちら居住空間なので毒性の試験で普通、許容濃度とかACGIHのThreshold Limit Valuesとか非常に多くの物質について述べられていて、大体アバウトに動物実験とかで健康影響が出たら100分の1とかそれぐらいにしているのですが、それも労働時間との兼ね合いで少し甘めにはなっていると思うのですけれども、そういうところで値も当然参考にすべきだと思いますし、いわゆるシックハウス関係なので普通100分の1とかするのを、こちらで新たに感受性の違いを考えて1,000分の1にするとか、そういうところの考え方があってしかるべきではないかと思うのですが、ここにはどうにも許容濃度の話もThreshold Limit Valuesの話もないので、その辺はどうなのかなと。
 例えば極端な話、窒素なんかは非常に高いけれども、もちろん健康影響はないからそういう設定の必要はないわけなので、そういう意味では高いから出るという考え方はちょっと問題があるのではないか。あるいは例えば揮発性有機化合物も健康影響は加味せずと書いてあるのは、ここまで書いてしまうと書き過ぎかなと。有機化合物はトータルなので、トータルで一応シックハウス等を総合して考えると可能性があるので、そういう意味ではできるだけ低くするという考え方はいいと思うのですけれども、加味しないと言い切ってしまうと何のためにやっているのですかということになると思うので、やはり健康影響というものをまず最初に網羅して、ただ、我々がやっているのは今までの考え方の健康影響で、ほとんど全ての人に起こらないところを今までの指針は考えていたのですけれども、さらにそれよりも感受性が高い人がいるから、その辺の対策を立てなければいけないということだと思うので、その辺の毒性影響を考えたほうがいいのではないかと思うのですが、いかがでしょうか。
○西川座長 ハザードの情報について事務局から回答をお願いします。
○事務局 今、御説明になりました4.のところかと思いますけれども、健康影響を加味せずといったところは、トータルVOCを結局設定するときの難しさのようなところがあるかと考えておりまして、というのはトータルVOCの中身の成分を分解していったときに、いろんな成分の組み合わせになる可能性があって、毒性が違う物質の混合体で見なければならない状況があるので、今ここで言えば健康影響を加味せずと確かに書いてはいるのですが、どちらかと言うと空気のクオリティに着目して、その意味で値を設定するというほうがいいのかなという発想で書かせていただいているところです。
 もし健康影響という形で、そこのところをリスク評価するような観点で見ていったときに、そこの中に入っている物質が一体何なのか、あるいは総量規制の観点で見ていったときにリスク評価的な形で指針値が定められるのかという難しさがあるのではないかと考えておりまして、このような形で今のところは書いています。
○角田委員 ただ、トータルVOCはほとんどシックハウスの疫学調査でちゃんとはかった調査はそもそも余りないと思うのですけれども、ただ、そういう疫学調査などをチェックした上で、ほとんど出ていないのですが、TVOCと健康影響が見られたことを探ってみてから、例えば換気が悪いということの指標で健康影響が出ているというのは、疫学調査をやった上で考えたほうが私はいいと思うのです。それで疫学調査は多分、探せば少しはあるでしょうから、TVOCではかってみて関連がなかったとかあったとか。
○西川座長 事務局いかがですか。
○事務局 まず探して当たってみてということで考えたいと思います。
○角田委員 それから、今回挙がっている物質の中で、いろいろな測定をたくさんされている物質の中で、本当にTLVとか許容濃度が決められていないのかどうか。あるものも結構あると思うので、ベンゼンなんかもちろんあるわけですから、ベンゼンはもちろん環境基準があるからそちらを優先する、もっと厳しいことになっているはずなのですけれども、工業的に使われている物質がいっぱいありますから、そちらの労働者に対してこれぐらいならいっていない。だから一般の人で、しかもシックハウスを加味したら格段に低くなる。多分そういう関係で13物質が出たときはそういう考え方で出している可能性もあると思うので、その経緯と合わせて検討されてはいかがかと思うのです。
○西川座長 ありがとうございます。
 事務局よろしいですか。
○事務局 今の御指摘につきまして、こちらのフローの中で暴露評価、リスク評価の中でどこまで加味できるか考えてまいりたいと思います。
○西川座長 池田先生、どうぞ。
○池田委員 ちょっと確認したいのですけれども、今のTVOCについては明確な健康影響が余りすぐ手に入るものがないから、必ずしもそればかりに寄らないという意味での書き方だと私は解釈したのですが、そうだとすると、このままだと少しきつ過ぎるので、ここの部分を削るとか何とか考えていただいたらいいかと思います。
 それから、その下にあるその他の課題の中に、小児等のハイリスク群の話が出ているわけですが、これについて等のハイリスク群の中にいわゆるMCSの患者さんというのが入るのかどうかを確認したいと思います。いかがなものでしょうか。そういうことなのか、ただ単に小児はハイリスクだからということなのでしょうか。
○事務局 よく言われている小児、妊婦なども考慮に入れるべきではないかという指摘もありますし、MCSの患者さんの話もあるのですけれども、とりあえずは今、世界的には小児対策をすべきとの声が大きくなってきていますので、そういった意味で小児等という形で書かせていただいているところです。
○池田委員 できたらMCSの患者さんをどうするのかということを、もう少し明確に言ったほうがよろしいかなという気もしました。
 次なのですけれども、これは一応健康影響を考えるときには空気から摂取することだけを考えているわけですが、我々は空気だけを吸っているわけではなくて水も飲むし、食べ物も食べるから、そちらのほうの部分をどう考えるか。これはずっと前からの懸案なのです。
 もう一つの懸案は、それぞれの汚染物質はみんな影響が独立であるという、いわゆる相加性とか相乗性を考えずに今までいろんな話が進んできているのですけれども、必ずしも本来、独立性が証明されない限りは相加的に基準というのは考えなければいけないという原則があるわけで、その辺についてどう考えていくのかということも、今度また考えるときには改めて考えたほうがいいのではないかという気がいたしました。
 以上です。
○西川座長 ありがとうございます。
 東先生、どうぞ。
○東委員 コメントと質問なのですけれども、コメントは先ほどの角田先生のお話があったと思うのですが、アメリカ、例えばEPAとか、あるいはヨーロッパであればREACHの関係で一般環境の人たちを対象とした毒性影響データはかなりの物質で数百ぐらいはあると思うのですけれども、出ていますが、恐らくそういったものをベースにリスク評価は行っていけるのではないかと私自身は考えております。コメントでございます。以前に私も論文を出したことがございます。
 あと、1つ確認といいますかお願いといいますか、この初期リスク評価の段階なのですけれども、この段階でさまざまなハザード情報をもとに暴露データと突き合わせてリスク評価を行っていくと思うのですが、ハザード情報にはエビデンスのレベルの確からしさというものがあるかと思うのです。例えばWHOとかでガイドラインができているものはそこそこと言うと失礼ですけれども、かなりのエビデンスが整ったもの。しかし、そうでないものも米国とかヨーロッパとかOECDのデータがありますので、そのエビデンスのレベルに分けて整理をお願いできないかと思っております。
 もちろんエビデンスレベルの高いものは、優先的に指針値をつくっていくことができるわけでありますけれども、エビデンスのレベルが低いものであっても、今後例えばモニタリングを強化していくとか、有害性情報をより集めていかなければならないようなものが出てくれば、今後の検討課題として引き続き検討していく必要があるのではないかと思いますので、そういったところも初期リスク評価の段階でぜひ御考慮いただけないかと思っております。
○西川座長 ありがとうございます。
 坂部先生、どうぞ。
○坂部委員 先ほどの池田先生の御質問と関連するのですが、前回にクロルビリホスを大人と子供とで分けたガイドライン値を設定しました。そのときの議論が例えば有機リン系の化合物というのは小児のいろんな神経の発達期に暴露を受けると、非常に影響があるからということのトキシコロジー、毒性的な観点から決めたのか、あるいはMCSの研究の歴史が有機リン系の影響というところから来ているので、そういうところも加味されて決められたのかというところが今後、ハイリスクをどう決めるかというところの1つの考え方にはなるのかなと思うのですけれども、そのあたりはいかがなのでしょうか。
○事務局 確かに当時、それぞれ子供向けと大人向けという形で分けて指針値を定めて、それぞれに対して根拠となる毒性データを当てているのですが、そのときの経緯も含めまして弱者対策といいますか、小児等の対策について何ができるかというのを考えてみたいと思います。
○坂部委員 当然、医薬品は子供の量、妊婦さんのリスク、成人量とちゃんと分けているわけなので、吸っている空気も当然あるものに対してはそういう考え方をしていかないといけないというのは多分あると思うのです。
○西川座長 中井先生、どうぞ。
○中井委員 まず1点確認なのですけれども、ここに新たにという言葉が書いてあるのですが、既存のものの見直しというのは入らないのかどうかというのが1点です。
○事務局 既存のものについてもぜひやらせていただきたいと考えています。10年前に定めて以降、恐らく新しい文献等が追加されている、新しい知見が追加されていると思いますので、その知見も加味した形でやっていきたいと思います。恐らく流れとしましては、新しく設定するフローを示しておりますけれども、恐らく同じように情報を集めて、その情報に対して最新の暴露量が手に入るか検討しなければわかりませんが、暴露量を見て評価していくという同じような流れにはなろうかと思います。
○中井委員 あと、先ほどからの議論の続きになろうかなと思うのですけれども、多分、前回のときも内部あるいは外からも言っていたと思うのですが、これはどういうふうに決めたのかというのは結構議論になっているのだろうと思うのですけれども、リスク評価のやり方が確かにいわゆる従来的なドーズレスポンスの考え方に基づくと思うのですが、そこで用いる反応の変数というのは個々の物質等々で決めていくといいますか、そういうふうに検討していく形になるのかなというのが、どういう方針で考えるのかなというのは引っかかるのです。
 例えば死亡という話で議論を進めることは多分ないと思うのです。そういった話をどういうふうに進めていくかいうのは、きょうの話ではなくて、これから以降の話の中で出てくる話なのかなと考えてしまってよろしいのでしょうかというのが2番目の質問です。
○事務局 実は今日ここで決め切れないところも多分にあると考えているところがありまして、このフローの中で、リスク評価のやり方、安全性のマージンのとり方の部分とか、先ほどの子供の話なんかもあるかもしれませんが、そういったとこのマージンのとり方のところは議論していかないと、そこが不透明になるとまずいので、その点は今後加えて議論していくことになると思います。
○中井委員 きょうのところはとりあえず大枠ということでよろしいですね。わかりました。
 最後なのですけれども、今回この検討会が再スタートしたという1つには代替物質云々という話が結構出てきているかと思うのですが、現状でいくともしかしたらどんどんふえ続ける一方になってしまうことになろうかと思うのですが、前にもほかの先生方も御指摘されていると思うのですが、TVOCを中心としたというか、一種の総量規制みたいな話を含めて、どういった方針、ゴールというのは多分ないと思うのですけれども、将来的な展望、それこそ5年に1回見直すとか、そういったことも踏まえたある程度の道筋がもう少しあるといいのかなと思って読ませていただいたのです。
○事務局 「5.その他の課題」の2つ目のところの中で議論できればと思っております。
○西川座長 ありがとうございます。
 吉田先生、どうぞ。
○吉田委員 1つ目は中井先生と重なるのですが、本当にこの新しい最近の文献の中ではトキシコロジーの分野では種差の違い、人への外挿性があるなしということは随分新たな文献が出ていると思いますので、それらも含めて集めていただきたいというお願いが1つと、御質問といたしましては3.(2)ですけれども、カテゴリ化というところで急性と慢性それぞれに指針値をということですが、基本的には慢性化の指針値をということなのですか。それとも同じような比率で急性と慢性のそれぞれの指針値を設定することを検討の御予定されているのでしょうか。
○事務局 今の指針値の設定のコンセプト自体は基本、生涯吸い続けても大丈夫な濃度という形で慢性ベースではあるのですが、我々のところによく照会があるときに、どれが急性影響なのか聞かれることがあります。急性影響で定めた指針値には例えばどういうものがあるのか聞かれることがありましたもので、そこのところが例えばここの中で定めている数字のところで急性影響で引っ張れるのであれば、そういったところにフラグを立ててあげると便利なのかなというような発想でここは記載させていただいているのですが、恐らく先生は推察されていらっしゃるかもしれませんが、慢性の中に全部急性も取り込めてしまうような形での設定であると、そこのところが見えにくくなるので、何とかそこのところはユーザー側にうまく見せられないかなといった趣旨で書いております。ただ、工夫が要るのかもしれません。
○西川座長 齋藤先生、どうぞ。
○齋藤委員 先ほど中井先生からも御指摘があったと思うのですが、TVOCについて個々の物質に取り組んでいただくのも十分大事な作業だと思うのですけれども、現在あるシックハウスの状況をなるべく早急に解決していけるような道筋を1つ早めにつくっていただきたいという気持ちがございまして、皆さんそのように思っていらっしゃると思うのですけれども、それに対応できる対策として、現在あるものとしてはTVOCが一番実効性のあるものではないかと考えておりますので、ここにどのように決めていくかという方針をお示しいただいたのですけれども、ベンゼンであったりナフタレンであったりトリクロロエチレンの指針値を出していかれるのと並行して、なるべく早くTVOCについてきちんとした測定法を出して、どんな人がはかっても、どんな施設でやっても比較できるような測定法をお示しいただいて、その間に個々の指針値をふやしていただくという形でお進めいただければと考えますので、よろしくお願いいたします。
○西川座長 ありがとうございます。
 田辺先生、どうぞ。
○田辺委員 何点かありまして、まず今回のシックハウス問題の指針値に関しては、基本的に有機物質だけが取り扱われているのですけれども、WHOの空気ガイドラインやEPAのガイドラインでは、広範囲な室内汚染物質がきちんと扱われています。ここでは有機性VVOC、SVOC等を議論しているのはよくわかるのですが、室内に住む人からすれば、それらを有機物質だけを選択的に呼吸しているわけではないので、アンブレラ的な大きな室内の空気質に関する考え方をどこかに示していただければ、その中のこの部分をこのガイドラインあるいはこのシックハウスの検討会では検討していますよという、そういうものがぜひあるとよいのではないかと思います。
 2番目にTVOCですけれども、なかなか難しい問題があって、暫定目標値というのはそれなりにいい名前ではないかと思っていたのです。2006年に、2005年度ですけれども、厚生科研費で私は班長をさせていただいて、2000年以降、TVOCが定められてからの文献調査をやるというので報告書を一度書いております。そこから5年たっていますので、新たな知見等があると思います。もう一度そういう調査をすることが、特にその当時、岸先生の班の研究事例がまだ公表されていませんでした。神野先生のほうでSum of VOCという考え、70VOCぐらいを足したもので評価してはどうか。それは特に木質の建材に関するものをどう考えるかというときに、ただ足したものが高いほど悪いということをやってしまうと、これはヨーロッパもアメリカの知見でもいわゆる伝統的な木造とか、非常に影響が大きいので、そういう御提案が当時もありました。そのフォローアップも含めてTVOCの文献の調査がきちんとできるとよいのではないか。
 その他にある私の話題提供でもお話をさせていただきましたけれども、もともとシックハウスの検討会が始まったときには、基本的に空気で経気から入るという毒性の評価に基づいているのですけれども、partition forco efficientが高い空気中に出ない、ほとんどが物質にくっついているものがありますので、そういったものは実は評価が非常に難しのです。DEHP等は最初指針値が作成されたときも全部空気から入るというので、そういう物質は一般的には室内ではDHPは1~2μg/m3以上にはほとんどならないので、ガイドラインから指針値から消すようにと相当圧力もありましたけれども、やはり相対的に考えるとハウスダスト等を考えて、それ以外の暴露も考えて物質をきちんと載せていくべきだろうと思います。
 私は建築に係わっていますが、建築をつくっていたり、製品をつくっている人にとっては、このリストに載ることは指針値の大きさ、高さによらず、その物質を排除しようというほうに向くのです。ですから、載せるときの、この中に書いてありますけれども、そこをよく見ながら、また代替がどうなるかということを見ながら検討していくとよいと思います。何かのTVOCは必要だと思いますけれども、特に木質系のものとの関係をぜひ考慮して、議論していっていただけるといいのではないかと思います。
 以上です。
○西川座長 ありがとうございます。
 東先生、どうぞ。
○東委員 この問題の根本的なところ、代替の問題も先ほどから議論が出ているところがありますし、TVOCの問題についてもあると思うのですけれども、継続してこういう検討をやっていくというのが一番、今は大事なのかなという気がしていまして、ドイツは17~18年ぐらい前から、今年度もグリコールエーテルエステル類の13~14物質のガイドラインを1月ぐらいに出しましたけれども、やはり置きかえられていく物質に対してもモニタリングをしっかりやりながら、それに対してリスク評価を継続しながらガイドラインが必要であればつくっていくということをやっていくのも1つ考えていかないと、なかなかTVOCだけでは限られた範囲のVOCだけしかカバーできないところもありますので、難しいところがあるのかなと感じております。
 ただ、根本的には、本来は物をつくる側が自分の扱う商品に対してきっちり消費者側でどう使われるかというのをリスク評価して、世の中に出していただければこういった問題は起きにくいのではないかと考えているのですが、なかなか仕組みが国内、国外含めてうまく回っていないから、ヨーロッパはREACHというものをやり出したのではないかと思うのですけれども、そのあたりを室内空気というか、生活衛生の中の問題としてどう対策をとっていくかというのは今後の大きな課題だと思うのですが、ぜひそのあたり継続してどう進めていくかというのを念頭に置いていただければと思っています。
○西川座長 ありがとうございます。
 事務局よろしいですか。いろいろコメントいただいたので。
○事務局 田辺先生からいただいたコメントで、暴露経路の話がありましたけれども、以前、田辺先生からお話いただいた中に吸着の話もございましたので、その点は暴露の形態が変わってきますので、暴露評価の方法の中で検討できればと考えております。
○西川座長 神野先生、どうぞ。
○神野委員 TVOCについてなのですけれども、恐らく10年前に調査されたときの公開されている文書を拝見しますと、今とかなり測定方法も違っている部分もございまして、ということは先ほどの角田先生の御指摘にも関連するのだと思うのですが、もしかすると測定方法が違う。つまり、はかっているものが違う状態で皆さんがTVOCを議論している可能性もあるかと思いますので、まず1つ分析法、それは田辺先生が以前御指摘いただいたJISとかISOで定められてきた方法がございますので、そういうものを含めてあらかじめ試験方法を決めてからという流れになるのかなと思います。
 そのときに呼び方なのですけれども、暫定目標値という言われ方をしていますが、暫定の意味づけというか、普通は指針値に対して目標値でいいのかなと思うのですけれども、当時どういう意義づけで暫定がついたのかというのも含めて、呼び方も含めてあり方を検討していただきたいということと、もう一点、有害性のところで慢性、急性を分けているというお話がありましたが、これは多分、分析法に関連してくるのだと思うのですけれども、刺激性などの急性の指標であれば恐らく暴露濃度が問題になるわけで、その場合はその他の暴露経路をそんなに考える必要はないのかなと思うのです。それに対して慢性影響で先ほどのフタル酸エステルのようなものであれば、室内環境でのハウスダスト経由の暴露もありますし、それ以外に食品、水もありますので、その場合には池田先生が御指摘されたような、どういう経路からどれくらい暴露する可能性があって、その中で室内環境でどの程度許容できるかといった、そういう観点での議論がもしかすると必要になるのではないかと思うので、その点も今後の検討の中で入れていただければと思います。
○西川座長 ありがとうございます。
 ほかよろしいでしょうか。
○広瀬委員 これはどうやって最終的に設定するかという興味とか関心のことにもかかわるのですけれども、やはり検出したものからつくっていくと、どうしても毒性データがないものが出てくる可能性があるので、もちろんすぐにはできないのですが、将来に向かってそういうものがある意味毒性実験を行うということも、この会のスコープかどうかは別にして、方針としてそういうものも検討していただけるでしょうかというのが1つと、慢性と急性の話が、急性だとしても管理をどうするかというのは1つ浮かばないので、結局、最終的には慢性で大丈夫という低い値が目標値なので、中途半端に急性の指針値というのは、先ほど指針値がどういう由来かというのを示すという意味だったらわかるのですけれども、急性用の指針値というのはいたずらにつくると混乱を招くと思ったので。
○事務局 データが仮になかった場合なのですけれども、WHOのケースですと、たしかそれは指針値をつくらないようなスキームをつくられていたかと思うのです。
○東委員 そうですね。有害性の情報がない場合はどうしても指針値はつくれませんので、それは今後の検討課題ということで一旦は保留になっているということです。ですから、私どもは確かにそれでも例えばエビデンスが弱いものであっても、非常に弱い短期間の毒性実験のデータなどで比較しても、リスク的に今後注意をしていかなければならないというものがあれば、国内でそういう実験を行っていくというのも今後、検討課題として考慮すべきところはあるのかなというのは感じておりますけれども、ただ、WHOの話はお話のとおりでございます。
○西川座長 急性の指針値の取り扱いについてはいかがですか。
○事務局 関係者の意見を聞きながら検討してまいりたいと思います。
○西川座長 よろしくお願いします。
 田辺先生、どうぞ。
○田辺委員 WHOのいわゆる健康的なものの指針値以外に、建材をつくる人の側からの指針値の考え方というのがあって、これはAgBBというドイツの建材認証のスキームなのですけれども、それは古い毒と彼らは言うのですが、古い毒と新しい毒があって、一般的によくリスクがわかっている毒のほうが規制がどんどんされていくので、代替物質に移っていく。ドイツの建材の評価スキームでは同定されて定量、定性されたものは指針値を使うのだけれども、そうでないものはかなり厳しい指針値を使って、わからないものは厳しく評価するというような建材のスキームを持っています。この時に用いられる指針値は室内濃度には使わないでくれといっています。ですから、わかったものは換算できるのだけれども、わからないものは厳しい側に評価するというスキームも実はドイツでは建材を製造する側のために考えられています。
○東委員 それは恐らく建材を、いわゆる規制ではないのですけれども、厳しめに評価することによって人の健康を保護しようと。私はその考えは非常にすばらしいと思うのですけれども、なかなか国際学会なんかに言ってもそれは健康影響ベースで必ずしもない部分が含まれているので、室内の指針値のものには適用は難しいという話であります。ですから、今回室内の指針値というようなところの議論であるのですけれども、建材の発生源をどう評価していくかというのをこの中に、今ちょっと含まれていないですが、今後どこかのところでそれを議論するというのが重要になってくるかと思います。
○西川座長 広瀬先生、どうぞ。
○広瀬委員 誤解があって、私が毒性データがないと言ったのは、例えばドイツの話で新しい建材をつくったときは、それは厳しめにしておいて、もし必要だったら業者が実験するのですけれども、意外に古くから知られている物質でもデータがないものがある。そういうときは誰がやるかという責任の問題が難しくなってきて、そういうときは国のほうでも少し見ていただけるかなという意味で質問させていただきました。
○西川座長 ということです。それについては事務局、回答いただけるのですか。
○事務局 御意見として、まず検討したいと思います。
○西川座長 御検討ください。
 ほかにございますでしょうか。いろいろ御意見いただきましたので、検討させていただきたいと思います。
 それでは、その他、事務局から何かございますか。
○事務局 参考資料2をごらんいただければと思いますけれども、今後の検討スケジュールということで、きょうはかなり宿題をいただいておりますので、ある程度、宿題に対する回答がそろったところで次回開催させていただければと思います。
 目処としては秋口を考えておりましたところ、きょうの宿題のボリュームによりけりで若干遅くなるかもしれませんが、いずれにしても秋以降、開催させていただければと思います。よろしくお願いいたします。
○西川座長 その他よろしいでしょうか。
 もしないようでしたら、これにて本日の検討会を閉会いたします。お忙しいところ御参集いただきまして、どうもありがとうございました。


(了)
<照会先>

医薬食品局審査管理課化学物質安全対策室
連絡先: 電話:03-5253-1111 (内線2424)
      FAX:03-3593-8913

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