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2013年6月21日 平成25年度第1回水質基準逐次改正検討会議事録

健康局水道課

○日時

平成25年6月21日(金)
14:00~16:00


○場所

中央合同庁舎第5号館
22階専用第18会議室


○出席者

出席委員

眞柄座長 浅見委員 安藤委員 五十嵐委員 伊藤委員
遠藤委員 国包委員 西村委員 松井委員

○議題

(1)亜硝酸態窒素に係る水質基準の設定について
(2)水道水質基準に係る今後の検討事項について
(3)その他

○議事

○豊住水道水質管理室長補佐
 それでは、定刻となりましたので、ただいまより平成25年度第1回水質基準逐次改正検討会を開催いたします。
 委員の皆様方には御多忙中にもかかわらずお集まりいただきまして、ありがとうございます。
 本検討会の開催に当たり、事務局を代表して厚生労働省健康局水道課水道水質管理官の尾川より御挨拶を申し上げます。

○尾川水道水質管理官
 委員の皆様、本日は大変御多忙のところを平成25年度第1回水質基準逐次改正検討会に御出席いただきまして、まことにありがとうございます。
 本日の本検討会の議題でございますけれども、大きく2つございます。
 1つは、亜硝酸態窒素の水質基準設定手続につきまして。
 もう一つは、水道水質基準に係る今後の課題ということでございます。
 いずれにつきましても、前回、2月28日に本検討会で御審議いただいた内容を、去る3月19日に厚生科学審議会生活環境水道部会におきまして、方針を御承認いただいたものでございます。
 事務局といたしましては、本日の御議論の結果を反映いたしまして、手続を進めてまいる所存でございます。
 特に2番目の議題は、事故あるいは災害に係るものでございますので、こういうものが起きる前に、なるべく早く手を打ちたいと考えております。
 本日、どうぞ議論を尽くしていただいて、事務局への示唆をいただきますようによろしくお願い申し上げます。

○豊住水道水質管理室長補佐
 本日、西村委員が遅れておられるようでございますが、広瀬委員から御欠席の連絡をいただいておりまして、現在8名の委員の皆様に御出席をいただいております。
 お配りしております座席表の中で、広瀬委員とありますところは安藤委員の誤りでございます。お詫びして訂正いたします。
 昨年度に引き続きまして委員の皆様方におかれましては、委員に御就任いただきまして、ありがとうございます。
 また、今年度から国立医薬品食品衛生研究所生活衛生化学部長の五十嵐良明委員に御就任いただいておりますので、御紹介いたします。

○五十嵐委員
 本日よりこの検討会に委員として参加いたします、国立医薬品食品衛生研究所生活衛生化学部の五十嵐です。どうぞよろしくお願いいたします。

○豊住水道水質管理室長補佐
 ありがとうございました。
 お配りしております参考資料1に水質基準逐次改正検討会運営要領がございます。こちらの「3.検討会構成員」の(2)に、「座長は平成25年度第1回検討会において委員中から選出する」となってございますとおり、以後の議事に先立ちまして、座長の選出を行いたいと考えております。
 事務局といたしましては、昨年度に引き続きまして座長は眞柄委員にお願いしたいと考えておりますが、よろしいでしょうか。

(「異議なし」と声あり)

○豊住水道水質管理室長補佐
 ありがとうございます。
 それでは、眞柄座長、恐れ入れますが座長席のほうへ御移動をお願いいたします。

(眞柄委員、座長席に移動)

○眞柄座長
 眞柄でございます。昨年度に引き続きよろしくお願いをいたしたいと思います。よろしくお願いいたします。
 それでは、まず本日配付されております資料の御説明をお願いします。

○豊住水道水質管理室長補佐
 配付資料の確認の前に、マスコミの方におかれましては、カメラ撮りは会議の冒頭のみとさせていただいておりますので、御協力をお願いいたします。
 それでは、配付資料の確認に移ります。

○池本係長
 席上のクリップどめの資料につきまして確認させていただきます。
 クリップをおとりいただきまして、まず1枚目に議事次第と配付資料一覧の紙がございます。
 おめくりいただきまして、本検討会の座席表をつけております。
 続きまして資料ですが、ホチキスどめで資料1、資料1参考1、資料1参考2、資料1参考3、資料1参考4、資料1参考5と続きます。
 続きまして資料2、資料3、資料4。
 なお委員限りとして配付しておりますが、資料4参考をおつけしております。
 それ以降は参考資料1、参考資料2、参考資料3をそれぞれつけております。
 不足等ございましたら、事務局までお願いいたします。

○眞柄座長
 それでは、議題に入りたいと思います。
 最初に、議題1「亜硝酸態窒素に係る水質基準の設定について」であります。
 資料に基づいて説明をお願いいたします。

○池本係長
 それでは事務局から資料1を用いまして、亜硝酸態窒素に係る水質基準に関する省令等の改正について説明いたします。資料1をご覧ください。
 1番目の概要でございますが、亜硝酸態窒素につきましては、現行の水質基準を定める際に、近年の知見からきわめて低い濃度でも影響があることがわかってきたことから、幼児にメトヘモグロビン血症を発症させることがないように定められた硝酸態窒素との合計量とは別に単独で評価値を定めることが適当とされた経緯がございます。その際、WHO飲料水水質ガイドラインの亜硝酸塩のガイドライン値がヒトへの影響及びヒトの感受性についての不確実性があるために暫定値とされていたことを踏まえて、評価値が暫定とされ、水質基準とするかどうかの検討は見送られました。このたび平成24年10月29日に開催された食品安全委員会から食品健康影響評価が示されたことから、平成25年3月19日に開催された第14回厚生科学審議会生活環境水道部会において審議がなされ、暫定値扱いを取りやめ、導出された評価値を用いて検出状況を評価したところ、水質基準への見直し要件に適合することから、亜硝酸態窒素を水質基準として位置づけるとともに、関係する省令、告示等を改正することが了承されております。
 続きまして、2.基準値案について、(1)評価値の設定ですが、亜硝酸態窒素につきましては、平成24年10月29日に内閣府食品安全委員会から厚生労働大臣宛て食品健康影響評価結果が通知され、表1がその内容でございます。こちらは前回の本検討会でお示ししたものですので、御説明を続けさせていただきます。表の下でございますが、この評価結果を受け、平成25年3月19日の第14回厚生科学審議会生活環境水道部会において亜硝酸態窒素の評価値及び分類見直しに関して審議がなされ、亜硝酸態窒素に係る評価値の暫定値扱いを取りやめ、耐容一日摂取量15㎍/kg体重/日をもとに、1日2L摂取、体重50kg、寄与率10%を用いることにより導出された0.04mg/L(窒素として)を新たな評価値とすることが了承されました。
 続きまして(2)食品安全委員会における審議の状況ですが、水質基準に関する省令の改正により亜硝酸態窒素を水質基準項目に位置づけることについて、食品安全基本法第24条第1項第7号の規定に基づき平成25年5月31日付で厚生労働大臣より食品安全委員会委員長に食品健康影響評価について意見を求めてございます。そして、平成25年6月10日に開催された第477回食品安全委員会に参考1を提出して、審議がなされております。
 資料1参考1につきまして概要を説明させていただきますが、1枚目は食品安全委員会委員長宛ての意見を求める文書の写しです。
 2枚目以降が、食品安全委員会に提出した説明資料です。
 3枚目以降は、生活環境水道部会の資料からの抜粋で、前回の本検討会の資料をもとにしておりますので、御説明は割愛させていただきます。
 最後の紙2枚、別紙2ですが、こちらは平成24年10月29日以降の亜硝酸態窒素の健康影響評価に関する文献検索の結果でして、広瀬委員の御協力の上、作成しております。
 この文献検索で得られた新たな疫学調査の知見につきまして、資料1に戻りますが、平成25年6月25日の第10回化学物質・汚染物質専門調査会幹事会等において、前回の平成24年10月29日付の評価書以降に公表された、亜硝酸態窒素の健康影響評価に関する新たな知見について審議がなされる予定です。
 3.亜硝酸態窒素について、(1)亜硝酸態窒素に係る情報として、亜硝酸態窒素の物理化学的性状、用途、現行規制、測定手法、処理技術等を参考2にお示ししております。
 参考2は、平成15年の水質基準の改正の際に取りまとめられた資料を基にしておりまして、基準値等について時点修正をしたものです。
 (2)水道用薬品等における調査結果ですが、公益社団法人日本水道協会の協力を得て、水道用薬品、水道用塗料、水道用資器材及び給水装置等の既往製品を対象にして、評価試験又は浸出試験データ、原材料・製造工程における亜硝酸化合物の使用の状況等について、関係団体へのアンケート調査を行っております。その結果を資料1参考3にお示ししております。
 まず、水道用薬品等につきまして、評価試験又は浸出試験データを調査した結果、亜硝酸態窒素は検出されていない又はデータがないとのことであり、また、水道用薬品、水道用塗料、水道用資器材及び給水装置等の原材料・製造工程における亜硝酸化合物等の意図的な使用又は含有はないとの回答でした。
 資料1に戻ります。
 (3)亜硝酸態窒素の検出状況につきまして、亜硝酸態窒素の過去5年間の水質検査結果(水道原水及び浄水)につきまして、新評価値0.04mg/Lに対する検出状況を参考4に整理してございます。
 こちらは、前回の本検討会でお伝えしましたとおり、浄水、給水栓水におきまして新評価値を超過する地点が過去5年間に3件ございました。
 4.水質基準に関する省令等の改正について、今後の食品安全委員会の審議において耐容一日摂取量が現行の15㎍/kg体重/日とされた場合、以下の省令及び告示並びに関係通知について所要の改正を行う必要がございます。該当する省令及び告示につきましては、具体的には以下の(1)~(7)のとおりです。
 (1)水質基準に関する省令(平成15年厚生労働省令第101号)
 水道により供給される水の基準について、事項として亜硝酸態窒素を追加し、その基準として「0.04mg/L以下であること。」とする。
 (2)水道法施行規則
 第15条(定期及び臨時の水質検査)について、「硝酸態窒素及び亜硝酸態窒素」と同様に水質検査が実施されるよう所要の改正を行う。
 (3)水質基準に関する省令の規定に基づき厚生労働大臣が定める方法(平成15年厚生労働省告示第261号」
 水道により供給される水の検査について、事項として亜硝酸態窒素を追加し、その検査方法として、「硝酸態窒素及び亜硝酸態窒素」と同様に、イオンクロマトグラフ(陰イオン)による一斉分析法を設定する。
 次のページに移りまして
 (4)水道施設の技術的基準を定める省令(平成12年厚生省令第15号)
 別表第一に掲げる薬品基準について、事項として亜硝酸態窒素を追加し、その基準として、「0.004mg/L以下であること。」とする。
 別表第二に掲げる資機材材質基準について、事項として亜硝酸態窒素を追加し、その基準として、「0.004mg/L以下であること。」とする。ただし、施行日時点で現に設置されている資機材等については、当該水道施設の大規模の改造時までは、改正後の規定の適用を猶予することとする。
 (5)資機材等の材質に関する試験
 浸出液の分析方法について、事項として亜硝酸態窒素を追加し、その分析方法として、「硝酸態窒素及び亜硝酸態窒素」と同様に、イオンクロマトグラフ法(陰イオン)を設定する。
 (6)給水装置の構造及び材質の基準に関する省令
 別表第一に掲げる浸出等に関する基準について、事項として亜硝酸態窒素を追加し、その基準として、水栓その他給水装置の末端に設置されている給水用具の浸出液に係る基準については、「0.004mg/L以下であること。」、給水装置の末端以外に設置されている給水用具の浸出液、又は給水管の浸出液に係る基準については「0.04mg/L以下であること。」とする。ただし、施行日時点で現に設置され、若しくは設置の工事が行われている給水装置、又は現に建設の工事が行われている建築物に設置されるものについては、その給水装置の大規模の改造時までは、改正後の規定の適用を猶予することとする。
 (7)給水装置の構造及び材質の基準に係る試験(平成9年厚生省告示第111号)において定める給水装置浸出性能基準
 浸出液の分析方法について、事項として亜硝酸態窒素を追加し、その分析方法として、「硝酸態窒素及び亜硝酸態窒素」と同様に、イオンクロマトグラフ法(陰イオン)を設定する。
 以上の省令及び告示について関連する条文につきまして、後になっての御紹介で申し訳ございませんが、資料1参考5に参照条文としておつけしております。
 お伝えしました改正の内容の基準につきまして、表2に整理してございます。
 最後に5.今後の予定(案)ですが、食品安全委員会から評価結果が得られた後、直ちに意見募集を行い、厚生科学審議会生活環境水道部会等における審議及び一部WTO通報の手続きを経て水質基準に関する省令等の改正を行い、平成26年4月1日から適用する、との案をお示しさせていただいております。
 資料1の説明につきましては、以上でございます。

○眞柄座長
 それでは、ただいま説明がありました亜硝酸態窒素の省令等の改正についてでありますが、御意見あるいは御質問がございましたらどうぞお出しください。お願いします。
 五十嵐さん、どうぞ。

○五十嵐委員
 今回、亜硝酸態窒素の基準値がかなり低くなったと思います。現状硝酸態窒素と合わせて測定するイオンクロマトグラフ法があるのですが、これはそんなに選択性が良くなくて、今回基準が下がったことによってかなり低いところを見なければいけない。となると、この検査法が基準にちゃんと適用できるかどうかということを見なければいけないと思うのです。この検査法の妥当性評価ということについて、何か考えていることがあれば、またもし検査法が適用できない、このままでは無理だということがあれば、そのときはどうするかというところの考えはあるのでしょうか。

○眞柄座長
 事務局、どうぞ。

○尾川水道水質管理官
 資料1参考2をご覧いただきたいのですけれども、その下の5番のところに測定手法ということでまとめてございます。
 五十嵐委員御指摘のように、現在も告示では硝酸態窒素との合計で10mg/Lという基準値になっておりますので、このイオンクロマトグラフ法によります濃度範囲は0.01~1mg/Lと決められてございます。
 一方で管理目標設定項目として、これまで監視を行っておりますが、従来の目標値が0.05mg/Lということで、今回の0.04mg/Lと大きな違いはございません。0.05mg/Lに対応するために、通知によりまして標準的な検査法を示してございますが、その示し方と申しますのが、告示の方法を用いてくださいということと、濃度範囲は0.005~0.5mg/Lまで。上下限比100倍というのは固定でございますけれども、これでもって測定をしております。
 今、御発言にもございましたように、妥当性評価というのは昨年9月に通知をしたある意味新しい考え方でございますので、従来の定量下限付近での精度のみをもって判断していた妥当性というものが、今回通用するかどうかということについては、保証の限りではございませんけれども、事務局といたしましては、それほどこれまでの目標値と大きな違いがないので、おおむねいけるのではないかとは思っております。
 なお、検査方法の告示につきましては、別途検討会を設けてございますので、そちらで関係する検査実施機関における妥当性評価の結果についても評価をしていただいて、告示の濃度範囲を、今回ですと基準値の10分の1でございますので、「0.004mg/L~」とできるかどうかデータの確認をしていただいて、その上で手続をいたします。
 もし仮に難しいということになりますと、従前からも目標としては基準値の10分の1を定量下限としてございますが、できない場合には多少定量下限を上げていくなりといった措置が必要となることも考えられます。いずれにしても検証の結果によって数字というものは固めていきたいと思っております。

○眞柄座長
 今の御説明は、0.04mg/Lの10分の1ということであれば、0.004mg/Lですが、15年の通知での適用範囲は0.005mg/Lであるということから、ほぼ近いから大丈夫であろうと。ただし、0.004mg/Lが測れるかどうかということについては、別途検討しているので、その結果を待ちたいということであったかと思いますが、よろしゅうございますか。
 他にございましたらどうぞ。
 伊藤先生、どうぞ。

○伊藤委員
 資料1参考1の別紙2で、広瀬先生に行っていただいた文献レビューの結果、2つの文献(2013年発刊)があり、新たな知見が出てきたということで、それについて今度6月25日に改めて審議される予定ということです。今日この件についてどこまで決めるかということにもよりますが、この新たな知見が今回の評価値0.04mg/Lに影響する可能性はないということでよろしいのでしょうか。

○眞柄座長
 ありがとうございます。
 事務局、どうぞ。

○池本係長
 まず文献レビューの結果を食品安全委員会にお示ししましたところ、現行のTDIに影響するかどうかの可能性を含めて、食品安全委員会の専門調査会でこのような文献について検討するとのことでして、現状ではTDIを変更する可能性がないか、TDIに影響するかしないかの確認のために専門調査会を開催すると聞いてございます。

○伊藤委員
 わかりました。
 では、まだ評価値としてここで確定するわけにはいかないという理解でよろしいですか。

○眞柄座長
 一応、前に水道部会で検討された値、つまり0.04mg/Lを基準値にする方向で進めるけれども、食安委の方で異なる評価値が提示された場合は、改めて検討するという理解でいいかと思います。
 他にございますか。
 浅見委員、どうぞ。

○浅見委員
 今回の亜硝酸態窒素に関しましては、WHOのガイドラインより大分低い値をとっているということと、食品からの寄与が非常に大きくて、また食品を食べて体の中で内因性に発生してしまうものの評価が非常に難しいという中で、この結果を受けて寄与率を10%として水道で設定するのは、安全側を見た非常に厳しい値ではないかと思っております。
 食品安全の結果を受けて、またもし見直しが必要であれば、そのときに見直す必要があるかもしれませんし、そこはわからないですけれども、食品安全委員会のレビューをよく見て、水として必要だということであれば、今のような形で考えるということになりますが、結構大変なことなのではないかと思っております。
 もう一つは、測定の中で同じところに出てきてしまう、重なるピークがあるかもしれないという御指摘も伺いまして、非常に低いレベルで測定しなければいけないので、恐らく初めて分析をされるようなところや原水の水質が悪いところでは、ピークを間違えてしまうことがないように、注意深く測定方法の周知を図った方がいいと思っております。
 以上です。

○眞柄座長
 御注意ありがとうございました。
 資料で御説明がありました資料1参考2で、水道では幸い酸化処理が導入されておりますので、浄水あるいは水道水から亜硝酸性窒素がこの濃度を超えることはないと想定をされますが、水道以外の飲料水の場合には、この0.04mg/Lを超えることが十分想定をされますので、環境省のほうの地下水の環境基準との関連もあろうかと思いますので、水道課のほうとしては、環境省とよく食品安全委員会の評価について、相互に齟齬が生じないようにしていただきたいと思います。
 他にございますか。特になければ、原案のとおりとすることといたします。ただ、この省令の改正の一番最後にありましたように、また、先ほど伊藤先生から御指摘がありましたように、食品安全委員会が6月25日に2つの文献についてレビューを追加するということでありますので、その結果を踏まえると同時に意見募集を行いまして、改正の手続をしていただきたいと思いますので、よろしくお願いします。
 それでは、ありがとうございました。
 続いて「水道水質基準に係る今後の検討事項について」、事務局から説明をお願いしたいと思います。お願いします。

○尾川水道水質管理官
 資料2「水道危害項目(仮称)の設定について」を御説明させていただきます。
 前回の本検討会でも御説明をいたしましたけれども、この水道危害項目を設定しようというきっかけとなりましたのは、昨年5月の利根川でのホルムアルデヒドの事故でございました。
 厚生労働省では、この事故が未規制のヘキサメチレンテトラミンという物質が下流に流れ下って、塩素と反応してホルムアルデヒドという基準項目を超えたということでございましたので、同種の事故が発生しないよう、再発防止ができるように検討会を設置いたしまして、取りまとめを本年3月に行ったところでございます。
 そのときにヘキサメチレンテトラミンと同種の物質が事故を起こすのではないかということにつきまして、科学院の御協力もいただいて物質を抽出し、PRTR法の第1種指定化学物質の中でホルムアルデヒドをヘキサメチレンテトラミン同様に生成しやすい物質がないかどうか、PRTR法の第1種指定化学物質以外でも同種の物質がないかどうか、またホルムアルデヒド以外の副生成物を生成しやすい物質、過去その物質そのものが事故原因となったものという、大きく4つのカテゴリーで物質を抽出したところでございます。
 ただ、これらの物質について、関係者に通知をしておりますけれども、こうした物質について水質基準制度の中でどう取り扱うかということになりますと、従来の私どもの考え方、つまり水質基準項目あるいは水質管理目標設定項目に位置づけて、水道事業体に監視をしていただくかどうかということにつきましては、従来の検査結果において評価値の10分の1を可能性があるものについて、基準項目なり管理目標、設定項目に位置づけるということでございましたけれども、突発的な事故につきましてはこういう枠組の中には入っておりません。また、一度事故が起きれば何がしかの対応ができるかもしれませんけれども、事故が起きるかもしれないものについて、過去測定実績がないものについては、この枠組みに入る可能性がないということでございます。
 ただ、全体を見ますと、水道の浄水場の上流では、幾多の化学物質が使われていること、あるいは使用され、処理される可能性もあるということでございます。そうしたリスクを抱える浄水場では、上流からこの種の物質が流れ下ってくるおそれというものがあるわけでございますので、これは何がしかの形で位置づけることによりまして、そういった物質を使っている事業場からの流出防止をしていただく、あるいは今回の利根川の事故は廃棄物の処理の問題でございましたが、そういう処理に当たっても気をつけていただく。また、万が一事故が起きた場合には、下流に対して御連絡をいただく体制を作っていただくことが必要ではないかということでございまして、これらの物質をここでは水道危害項目という名前にして、これまで検討を開始したところでございます。
 仮称とつけてございますけれども、この名前については、先生方からも御意見があろうかと思います。今後、議論の過程におきまして、この危害項目の定義ですとか、中に入る物質が固まってきましたときに、もう一度名称については、中身にふさわしい形で御議論いただきたいと思いますが、本日は危害項目ということで御説明を続けさせていただきます。
 この危害項目の位置づけでございますけれども、2の(1)でございます。ここはもう釈迦に説法でございますが、水質基準は第4条で供給のための基準ということで決められておりますし、また、水道の安全確保のために施設基準、あるいは布設工事の監督ですとか、給水開始前の検査、給水装置の使用等々が決められております。
 ページをおめくりいただきまして、22条の衛生上の措置ですとか、23条の緊急停止といったものが規定されている中で水質基準が位置づけられているということでございます。
 現行の項目分類でございますが、表に掲げております大きく3つとその他項目というものも設けてございますけれども、いずれの物質につきましても、10-fold conceptの考え方をもちまして、あらゆる物質を基準項目にするあるいは対象とするということではなく、10分の1相当量の検出のおそれがあるやなしやということによりまして、項目を分類しているところでございます。
 具体的な要件については表にございますけれども、御説明は割愛させていただきます。
 また、表の下に書いてございますように、水質基準項目に分類された場合には、20条に基づく定期の水質検査が水道事業者等に義務づけられることになります。また、水質管理目標設定項目につきましては、通知で定めておりますけれども、基準項目に準じまして検査をしていただきたいということで、水道事業体にお願いをしているところでございます。
 3ページ、一度位置づけられた項目につきまして、平成22年の生活環境水道部会で見直しについて定められております。水質基準項目、水質管理目標設定項目の中には、見直しの対象にならないものもございますが、見直すものにつきましては、この表にございますように、その時点で水質基準項目であるか、あるいは管理目標設定項目であるかによりまして、分類要件1、2を定めて、過去3年間の10%超過あるいは50%または評価値そのものの超過の具合によりまして、水質基準項目にとどめるか、管理目標設定項目へ移行させるか、あるいは水質管理項目から基準項目にするかどうかということが定められておりまして、これに基づいて逐次検討を行っておるというところでございます。
 こうしたことも踏まえまして、水道危害項目をどう位置づけるかということが、(3)でございます。
 繰り返しになりますが、水質の基準の場合には、検出率などの一定の条件を満たす物質が基準項目。これは定期検査が必要であるということでございますので、通常であれば問題にならないものは、基準項目にはなりません。また、管理目標設定項目も同様でございます。冒頭申し上げましたように、過去検出がないものであって、突発的な水質の事故の発生によるリスクというものを管理しなければいけないと考えています。
 目を転じまして、環境分野におきましては、今回ヘキサメチレンテトラミンが追加されました指定物質というものを、平成23年に水質汚濁防止法の改正によりまして導入をしておるところでございます。これは事故時の措置を義務づけるというものでございまして、排水基準はかからないのですけれども、事故が発生した場合に油の並びで事故時の措置を義務づけるという制度がございます。
 したがいまして、こうした動きも参考にしながら水道につきましても、事故が発生した場合に危害を及ぼすおそれがあるものを、水道危害項目として位置づけることにしてはどうかというものでございます。
 位置づけられた場合にどういうことになるかでございますけれども、監視ということではなく、例えば水道事業体が水安全計画や水質事故対策マニュアル、あるいは施設管理計画などを作成するときに、上流のリスクを把握する必要がございますが、そのリスク把握の対象として、そうした物質を使っている事業場があるやなしやということの対象にしていくこと。そしてこれらの物質を使用する事業場が上流にあるということは、潜在的汚染源ということになりますので、それに応じて必要な施設能力を持っていただく、あるいは監視体制をとっていただくという措置をしていただきたいということで、物質を明示していきたいということでございます。
 したがいまして、目標は監視をするということではなく、事故時の応急対策、あるいは恒久的な措置の検討を促進するための項目ということでございます。
 念押しではございますけれども、これは測っても出ないはずの物質でございます。つまり測って出る可能性があるものは、水質管理目標設定項目なりに位置づけられるべきでございますので、危害項目であるということは、定期検査の対象とはならないものが危害項目ということでございます。
 4ページ、では、危害項目に位置づけるべき物質の要件というものを、ここで幾つか中ポツで掲げてございます。
 まず1つは、水質基準項目でも水質管理目標設定項目でもないものというのが条件でございます。
 そして、幾多の物質があるわけでございますけれども、その使用状況から考えて突発的な水質事故の発生の可能性が否定できないもの。
 そして、流れ出た場合に通常の処理で対応できるものであれば、水道事業あるいは給水への影響はないわけでございますが、ヘキサメチレンテトラミンのように活性炭ではとれないといった浄水処理が困難であるものにつきましては、給水そのものあるいは浄水処理への影響が見込まれるものでございますので、こうした処理困難な物質につきましては、対象としようということでございます。
 このときの悪影響でございますけれども、市民生活への影響ということを考えますと、健康影響のみならず、臭いあるいは色ですとか、そういった性状項目に当たる物質についても対象とすべきであると考えています。
 また、塩素消費量の増ということで例示をしてございますけれども、浄水場が通常の処理では困難な場合、薬品の消費量が増加するですとか、塩素を増やすことによる別の影響ということもございますので、浄水障害についても対象にしたいと考えてございます。
 その次に書いてございますが、要検討項目でございますけれども、従来から要検討項目につきましては、水質基準項目あるいは水質管理目標設定項目以外の物質について位置づけてございましたが、危害項目が出てまいりますと、要検討項目は危害項目にも該当しないものに定義が変わると考えております。
 3番で、具体の物質でございますけれども、現在考えております物質でございますが、((1))に掲げてございますのは、冒頭申し上げましたホルムアルデヒドの事故のときの取りまとめの中で、この物質につきまして関係者に通知してございます。
 これらについては、ホルムアルデヒドが生成しやすく、かつ科学院の実験での結果で、もと物質の2割以上の生成が見込まれた物質ということでございますので、これは一つ候補になろうかと思います。
 ((2))につきましても同様に、同じく検討会で検討いたしましたホルムアルデヒド以外の副生成物についても、どこまで対象とするかということが議論になりますけれども、研究の成果も活用させていただきながら、情報の収集に努めたいということでございます。
 ((3))でございますけれども、これは事故原因物質ということでございまして、水道事業体の場合には、何かおかしいということはよくあるのですが、特に臭いなどにつきましては、原因物質が特定できていないケースが多うございますけれども、逆に申しますと、これについて原因物質が究明できた場合には候補となると考えております。
 また、既存の要検討項目についても、危害項目に当たるものにつきましては、要検討項目から危害項目へと見直しを考えていきたいということでございます。このように大きく4つのグループを考えております。
 ただ、これらの候補となった物質につきまして、先ほど分類要件のところで申し上げましたけれども、処理可能性ですとか、あるいは生成物の場合は生成するかどうかということも確認をした上で、最終的に水道危害項目として設定していくという手順を想定してございます。
 4番の目標値等でございます。
 目標値でございますけれども、ヘキサメチレンテトラミンの事故のときには、生成するホルムアルデヒドによって評価をするということが可能でございました。ただ、幾つもの事故原因物質がある場合に、その生成物を評価することで、もとの化合物の安全性に対して安全側の評価ができれば問題ないわけでございますが、そうでないケース、つまり原因物質そのものの健康影響が問題になるケースというものも想定されるものでございます。
 これらにつきまして、食品安全委員会で食品健康影響評価が行われていればそれを使うことができますけれども、そうでないケースも多数あるのではないかと考えられるところでございます。
 こうした目標値が必要な場合につきましては、食品健康影響評価がない場合であっても、海外の基準値ですとか、あるいは文献によって求められる毒性評価の結果を用いまして、暫定目標値を設定することを考えております。
 5ページ、検査法でございます。
 検査法につきましても、同じことを繰り返して申しわけございませんが、ヘキサメチレンテトラミンの場合にはホルムアルデヒド生成能を測ることによりまして、もとの物質の濃度というものを測ることができましたが、事故の場合には必ずしもそういうわけではございませんし、特に原因物質を特定しようと思った場合には、物質の特定方法というのが必要になります。
 ただ、事故対策を考えますと、給水への影響がある、あるいは浄水の障害があった場合に、他の項目によってスクリーニングをすることができれば、その後特定の研究機関による精緻な検査に移行することも可能になると考えております。
 また、こういう日常の水質検査の場合と異なって、事故のときにはオーダーを確認するということも出てくるかと思いますので、厳密な告示の検査方法の妥当性を検証する方法によらず、この事故時の検査方法については、別の検証方法についての検討も必要ではないかと考えております。
 また、事故の原因究明、その再発防止のために有効な検査方法の開発についても、進める必要があろうかと考えている次第でございます。
これらの検査方法の開発につきましては、五十嵐部長にもいらしていただいておりますけれども、国立医薬品食品衛生研究所の協力をいただきまして、分析条件を整理して、いざ事故が起きた場合に、研究機関であれば原因物質が速やかに特定できる体制といったものを整備していきたいと考えておる次第でございます。
 「(3)設定後の見直し」について書いてございますけれども、危害項目とした場合、通常モニタリングはしないわけですけれども、事故が出てきて、その原因物質として特定されるといったことも想定されるところでございますので、その物質があまたの地点で検出され、またその10分の1を超えるおそれがあるということであれば、基準項目または管理目標設定項目へ見直しを行うという道を作っておきたいと思っています。
 逆に、その物質自体が国内で使われなくなったという事態がございますれば、それはその他項目ということで整理をするのかなと思います。
また「その他」に書かせていただきましたけれども、水道施設が果たして現在十分な浄水能力を備えているかどうかということにつきましては、検証が必要であると考えています。現在、制度的に位置づけられているものではございませんが、新たに認識された上流のリスクに対しまして、それを把握し、対処できる能力を水道施設は備えることができるように、仕組みの検討を進めてまいりたいと考えております。
 資料の御説明については以上であります。

○眞柄座長
 ありがとうございました。
 それでは、ただいまの御説明に関して、御質問、御意見をどうぞお出しください。
 五十嵐さん、どうぞ。

○五十嵐委員
 危害項目を設定することによって、事故時の原因究明が速やかにできる、この物質を定めること、検査法を設定するということはいいと思うのですが、今回の場合ホルムアルデヒドを生成し、それが水道基準を超えたということで問題になったと思うのです。この目標値を設定する上で、安全性も評価、もとの物質の安全性とホルムアルデヒドの安全性をあわせて目標値を設定するとあるのですけれども、ホルムアルデヒドの基準があるので、その生成率からもとの物質の目標値が定められるのではないかと思っています。目標値の設定の理由と設定の仕方について、もう少し考えたほうがいいのかなと思います。

○尾川水道水質管理官
 この基準値、目標値というものが必要ではないかと考えた背景は、ヘキサメチレンテトラミンの事故がございました。
 御案内のとおり、ホルムアルデヒドの基準値というのは0.08mg/Lをとっておるのですけれども、たまたまヘキサメチレンテトラミンにつきましては、海外で食品添加物として使われておりますことから、食安委ではないのですが、ADIが求められておりまして、そのADIを使って10%なりで計算すると、0.4mg/Lという濃度が導かれるものでございます。
 今回の事故の場合には、10トンオーダーで上流から流れてまいりましたので、0.4 mg/Lに対しましても、相当程度の濃度のヘキサメチレンテトラミンが流れ出たと考えられるわけですけれども、水道水を介した人への影響ということになりますと、ホルムアルデヒドのほうが基準値を低く設定してございますので、生成能なり生成されたホルムアルデヒドで評価することによって、ヘキサメチレンテトラミンそのものの毒性よりは安全側に評価することができたということでございます。
 ただ、これはヘキサメチレンテトラミンとホルムアルデヒドだったから言える話なのかもしれませんし、物質によってはヘキサメチレンテトラミンのようにADI、あるいはTDIがないケースのほうが多数あると考えられますので、流れたときにどうするのか。つまり水道事業体は上流の事業者に対して、一定以上の濃度では出さないでくださいというお願いをしないといけないので、その根拠となる数字が必要になってくると考えております。

○眞柄座長
 ありがとうございました。
 松井先生、どうぞ。

○松井委員
 今の五十嵐先生に関連するのですけれども、4ページ上の分類要件に「毒性評価が定まらない云々いずれにも分類できないもの」とあるので、毒性評価が定まらないものについても危害項目に入っていくと思うのです。そうしますと、その場合に評価値をどのように設定していくのか。その場合に暫定値になるとどのような扱いになるのか。この辺は今後の検討事項になっていくのか。何かお考えがあるのか、お聞かせいただければと思います。

○眞柄座長
 どうぞ。

○尾川水道水質管理官
 まさに検討事項であると考えておりますし、今年度の厚生労働科学研究でもそうしたことについて御検討いただけると私は考えておりますので、ぜひその成果を使わせていただいて私どもとしては進めていきたいと思います。
 分類要件につきましても、議論のために事務局として仮置きをしたものでございますので、実際には物質を当てはめていく過程でこうした要件も加えるべきではないか、あるいはこの要件は外すべきではないかということが出てくるのも当然かと思いますけれども、ひとまずはこうした要件を設定させていただきましたので、本日先生方からいただいた御意見で修正を加えて、研究の中でこうした情報について集めていただくことを私としては期待しております。

○松井委員
 わかりました。
 もう一つ追加でお願いしたいのですけれども、先ほどの4ページ上の分類要件を見ますと、3行目の「毒性評価が定まらない」云々で「分類できないもの」の下の「要件を次のように変更する」というところも、同じ「毒性評価が定まらない」云々で「いずれにも分類できない」とあるので、これは論理的に矛盾しているように思いますので、整理されたほうがいいと思います。

○眞柄座長
 他にありますか。
 西村先生、どうぞ。

○西村委員
 今、お話があったのですけれども、3の((3))のところに例えば臭気被害というものがございますが、このようなものはなかなか目標値の閾値点を設定しにくいので、先ほどお話を伺ったようにその辺は柔軟な考え方で、危害項目に入れたほうがいいような物質はぜひ取り入れていっていただいて、水道事業体の方々に参考になるようにしていただければと思っています。
 コメントです。以上です。

○眞柄座長
 他にございますか。
 国包先生、どうぞ。

○国包委員
 少し違った観点からですが、これは厚労省へのお願いです。
 こういった方向で、仮称であれ水道危害項目というのが新たにできると、それに関連していろいろな新しい動きも期待できるというのは非常にいいと思うのですが、一つ気になりますのは、水道事業体がこれについてどう理解して、新たな動きなりをとっていけばいいか。そのあたりのことに関連してのお願いです。
 例えば3ページの下のほうに、水安全計画などで取り上げるようになどということも書いてございます。それはそれでいいのですけれども、確かに筋としても水安全計画が非常に妥当かなと思うのですが、実際問題として水安全計画を現時点で作って使っているところというのは、事業体の数として恐らく50に満たないぐらいだと思うのです。これは義務ではないですからいたし方がないのですけれども、それにしても規模の大きい、いわば先進的な限られたところだけがそういったことができるということになります。
 ですから、水安全計画に限らず他のものも幾つか書いてございますけれども、やれるところはやるのだけれども、あるいは必要なあるところでなおかつやれるところはやるのだけれども、必要があってもやれないところも結構たくさん残ってしまうというのは極力避けたいですし、そういった意味でも監視の必要はないということですけれども、事業体への情報提供ですとか、あるいは指導監督をさらに厚く行うとか、そういったことをぜひあわせて考えていただければありがたいなと思います。
 以上です。

○眞柄座長
 他にございますか。
 安藤先生、どうぞ。

○安藤委員
 私の理解が少ないので何とも言えないのですが、例えば水源二法のいわゆるトリハロメタン生成というものとこことのすみ分けというのは、ここでどう読んだらいいか。浄水場の水質事故とここですみ分けているのかどうなのかなというのがよくわからないのですが、教えてください。

○豊住水道水質管理室長補佐
 今回特にこういった動きになったのは、今、安藤委員がおっしゃったように、通常は起きていないのだけれども突発的に起きた、水質事故がきっかけになっております。
 ただ、いわゆる工場排水とか、そういう事故だけを視野に入れているのかというと、まだはっきりと枠を作っているわけではないので、具体化していく中ではっきりさせていかなければいけないと思っております。

○眞柄座長
 わかりました。
 他にございますか。
 安藤委員、どうぞ。

○安藤委員
 そうしますと、トリハロメタンは何だかわからない物質だからそれはそれ、こちらは事故という考え方に立つとすると、ここでは特にホルムアルデヒドということに特化しているわけではないですが、それも含めてということになりますと、例えば副生成物と言われているハロ酢酸だとか、そういうものも当然これから視野に入れていくという考え方に立つのでしょうか。

○尾川水道水質管理官
 こちらで何を排除するというものは全くございません。典型的なものとして昨年の事故がございましたので、その延長からものは考えてございますけれども、もちろん微生物関係についても危害項目として対象とすべきではないかというお考えもあることは承知しておりますし、まさに御議論の中で意識として、これによって現在お困りの水道事業者が、発生源なりに対して働きかける道具として使うことを考えております。
したがいまして、先ほどの御質問にもございましたけれども、水源二法というのは、水道事業者なりの負担によって達成する手段であると考えますと、将来的にはそこに入ってくることもあり得べしかと思います。ここでは、どういう物質が水道事業体に対して迷惑をかけているか、困ったものであるかということをリストアップすることを、ステップとして考えたということでございます。

○眞柄座長
 他にございますか。
 私から1、2点お伺いしたいのですが、水濁法の特定施設が届けられていて、その特定施設から水濁法で規制されている化学物質が使われているかというのは、一つの枠組みですね。
 もう一個は、それぞれの事業者がPRTRで決められている項目を、どれぐらい排出しているかということも届けをするということになっておるわけで、それも別の枠組みですね。
 今、2つの枠組みに関していうと、それは環境部局が承知していることで、その流域の水道事業体は知らないことになっている。なおかつ、表向きは河川管理者もそのことは知らないことになっている。
 そういう意味からいうと、例えば水道事業体が河川水を原水としていても、河川管理者全てとは言いませんが、幾つかの地域の河川管理者は、水道事業体は水を測らなくて結構です。河川管理者が測りますと言って、水道事業体が河川水をくむのもよしとしていないところもあって、つまり水道と河川行政と環境部局が必ずしも一体になって流域マネジメントをしていないということもあるので、先ほど国包さんがおっしゃったように、水安全計画を作って、それらと連携してくださいという枠組みを置いてきたのだけれども、現実には50しかないということだとすれば、こういう項目を水道であるいは環境部局の指定物質として対応していくということはいいことだとは思います。
 それでお願いですが、関連しているセクターと一体となって動くような枠組みを、ぜひお考えいただきたいというのが1点です。
 もう2つありますが、1点は、水道課で毎年いわゆる水源の汚染事故の調査をずっとされてきておられるので、これまで発生していた重大なあるいは深刻な水源・水質汚染事故がどういうものであったかということを、改めてもう一度調査をされて、その結果からこの間のホルムアルデヒド以外にも、こんなようなことがあるよというのもやはり抽出をして、新たに設定しようとしている項目に該当するかどうかということも検討していただきたいと思います。
 これはもう今から多分17、18年前だったと思いますが、関東の酒匂の流域の事業所で、製薬会社の発酵槽がトラブルを起こして、発酵廃液を処理する施設の機能が極端に低下をして塩素消費物質、この場合はアンモニア性窒素が主だったのですが、大量に排出されたことがあって、取水を停止せざるを得なかったという事態も発生しておりますので、やはり水源水質汚染事故を参考にしていただきたいと思います。
 もう一点は、これはどうするかということですが、4年前か3年前に北見で集中豪雨があって、濁質が大量に流出して北見の水道が取水停止をし、なおかつ給水停止をしなければならなかった。確かにこれは自然災害ですが、考えようによっては、流域管理からの土砂の流出が多くなったということで、単に降雨強度が大きくなっただけではなくて、流域の土壌、畑の管理がおろそかになったという意味では人汚染、流域管理とかかわっていると私は思います。
 あるいはその翌年、札幌市の水道がやはり流域からの大量の土砂の流出で、取水を完全には止めなかったのですが、制約をしなければならなかったという事態が起きているわけです。
 今、浄水場の排水処理の設計濁度が、恐らく生起確率の多分75%ぐらいを設計の処理対象原水の濁度にして排水処理を設計していると思います。
 その場合、多分その75%の生起確率は濁度が来ても排水処理ができるように、もちろん浄水処理はできるということで、薬注の設備と排水処理の薬品の処理設備をつけているはずです。
 そうすると、では原水濁度の何倍まで濁度が上がっても浄水場では薬注整備の能力を持たなければならないのか。何%の生起確率のものは、これはもうしようがないとするのか。
 そういう意味では、先ほど事務局から御説明がありました「その他」のところですが「浄水方式が対応可能な原水水質の濃度レベルや変動の範囲に係る知見を集積する」というのは、非常に重要なことだと思います。
 それがなかったら、要するに水道はこういう原水までは水道の責任として対応します。
 それ以上については、河川管理者なり環境部局で配慮をしてほしいという、我々の水道の側からとってお願いをできる筋が生じます。つまり、水道はどこまでできるのかということを、要するに水道行政の部局もそうですし、もちろん水道事業体も、どこまで原水の事故なり変動に対して処理をしなければならないかを明確にしておく必要があると思いますので、改めて3番目の点については、かつてはやったことがありましたけれども、それ以来必ずしもこういう研究がどこまでできるかということについて、調査もされていませんでしたので、ぜひ水道行政で調査を進めていただきたいというのが、私から3つでありますが、何かコメントがあれば出していただければと思います。

○豊住水道水質管理室長補佐
 まず一つ目の環境部局、河川部局との連携という件です。
 昨年の事故を受けて設けました検討会の取りまとめをもとに、私ども昨年度末に都道府県、水道事業者等及び国設専用水道設置者に対しまして、通知を発出いたしておりますけれども、この件について環境省の方からも都道府県に周知をいただきましたし、また、国土交通省の方からも河川管理者に対して周知をいただいているということで、まず第一歩というか、こちらの取り組みについても理解を深めていっていただく一歩になったのではないかと思っております。
 今後ともその視点で、流域の関係者ということで協力が深められるように、私どもも取り組んでいきたいと思っております。
 それから、水質事故の件は、浅見委員から取り組みなどを御紹介いただければと思うのですが、よろしいでしょうか。

○浅見委員
 水質事故につきましては、科学院のほうでも非常に関心を持っておりまして、特に過去20年ほどのデータにつきまして、今回新たに見直しをするとともに、今まで御報告の機会がなかったようなものについても、厚生労働科学研究の松井先生の研究の一環でなるべく集めたいと考えております。
 特に油の事故ですとか、微生物的な汚染というのも非常に課題になっておりますし、香料とか特殊な化学物質で今まで上がったものについてはとにかく、害がわかったものはなるべくリストにして、注意をしていただきたいというリストにできればと思っております。
 以上です。

○眞柄座長
 ありがとうございました。
 では、よろしいですか。
 それでは、この危害項目の設定について、委員の方々はこういうものがあったほうがいいだろうということは、基本的には了解をしていただきました。ステップ・バイ・ステップでホルムアルデヒドと関連につきましては、それなりに行政的な対応がとられているわけでありまして、今後それ以外の化学物質等について、どのように進めていくかということは検討の余地が残っているということで、今後の調査を待ちたいということかと思います。
 続きまして、資料3「突発的水質事故発生時等における摂取制限による給水継続について」という資料がございますので、これについて説明をしてください。お願いします。

○尾川水道水質管理官
 資料3と多少関連しますので、資料4までまとめて説明させていただきます。
 資料3、ちょっと長いタイトルでございますが、摂取制限による給水継続。この摂取制限というのは、突発的な水質事故の発生を念頭に置いた摂取制限についてのペーパーでございます。
 「検討の必要性」のところでございますけれども、ここで繰り返すまでもございませんが、水道水というのは飲用だけではございませんで、生活用水にも使っており、断水をすることによって非常に大きな影響があるということでございます。
 特に医療施設などでも懸念されておりますし、経済社会全体に大きな影響があるわけでございますけれども、水質事故が起きた場合に、特に昨年の利根川での事故のときには大規模な給水停止が発生したということがございました。
 また、おととしの放射能の事故のときには、今度は摂取制限を行いながら給水を継続するという措置を取ったところでございます。住民の方からしてみると、水質基準を超えた水が供給されていいわけではございませんが、一方でこうした生活の利便というものを損なわないようにするために、こうした方法をとりまして、摂取制限しながら給水を継続するということについて考え方を整理した上で、選択肢に加えることが必要であると考えたものでございます。
 2の「水質異常時の対応」について文章で書いてございますけれども、水道法によりますと、まず1つは水道法15条で水道事業者は常時給水義務が課せられているわけでございますが、一方で23条によりまして健康を害するおそれがあることを知ったときには給水を停止する。あわせて読みますと、災害その他正当な理由があってやむを得ない場合や、人の健康を害するおそれがある場合を除きまして、給水をしないといけないという義務が課せられているところでございます。
 ここでいう災害その他正当な理由があってやむを得ない場合というのは、例えば地震などで管路が壊れてしまったというのは典型的な例かと思います。
 では、どういうときに健康を害するおそれがあって給水を停止するのかということにつきましては、平成15年10月10日の通知の中で述べられております。これにつきましては、おめくりいただきまして、3ページにフロー図をつけております。横でございますけれども、フローの左のほうをご覧ください。
 こちらをご覧いただきますと、水質基準値を超えた場合でございますけれども、50項目基準項目は健康項目と性状項目に大きく分類されるわけでございますけれども、健康項目の中で直ちに人への健康のおそれがあるもの、あるいは病原性生物による汚染が疑われる項目でございます一般細菌や大腸菌といったものと、それ以外の健康項目。そしてまた、臭いですとか色ですとか、性状項目に大きく3つ分類いたします。
 いずれにしても基準を超えた場合には、原因究明して、再検査をして本当に超えているかどうかということを確認するわけでございますが、実際に超えているということになりますと、大腸菌の類いでございますと、直ちに水質異常時とみなして取水及び給水の緊急停止ですとか、関係者への周知をしなさいと。
 ただ、真ん中でございますけれども、それら以外の長期的な健康影響によりまして基準値を決めているものにつきましては、超えたことをもって直ちに異常時とするわけではなく、まずは所要の低減対策を実施した上で、その低減対策の効果がないとか、あるいは原因がなかなか特定できずにずっとその状態が続いているといった、基準超過が継続する見込みにあるということになりますと、初めてそれが水質異常時とみなして給水停止等の措置をとる。それ以外の場合には、濃度が下がったことを確認していくということでございます。
 性状項目につきましては、こうした水質異常時の給水停止ということではなく、低減対策を実施しましょうということが現在は定められているということでございます。
 今回の摂取制限の考え方というのは、図の右の方に書いております。
現在左の方で基準超過が継続する見込みとだけ書いてあるわけでございますけれども、これについてどこまでどの程度の超過、あるいはどれぐらい継続すれば給水の緊急停止に至るのかということについて、目安がはっきりしておりませんと、水道事業体からしてみると、安全側にとりますと給水停止になるということもございますので、この選択肢をどうやったらば給水継続できるかということを定めたいというものでございます。
 本文に戻っていただきまして、1ページの下の部分でございます。
 放射性物質の事故の場合には、放射性ヨウ素が特にその場合には大きな問題になりました。ヨウ素とセシウムについて、原子力安全委員会の指標を超える可能性があるということで通知を出したわけでございます。
 これらの指標については、年間の線量をもとにして指標が決まっているということもございまして、摂取制限を行いながら給水を継続するという措置をとったものでございます。
 通知自体の抜粋は7ページに掲げてございますけれども、通知のときにはどういった場合に摂取制限をするのか、あるいは解除をするのかということにつきまして、直近3日分のデータをとりまして、その平均値で判断しようということを通知したということでございます。
 これは1つの摂取制限をとった実績でございますので、例として参考になるかと思います。
 2ページへ参ります。
 こうしたことも踏まえまして、まず摂取制限の考え方について文字にしております。
 水道事業者の責務といたしまして、原水の水質を踏まえながら施設整備を行って安全な水を供給するということでございますし、当然事故が起きるという前提で警戒態勢をとって、もし事故が起きた場合には、配管のループ化ですとか、容量を確保されていれば、あるいは緊急連絡管が整備されたりしていれば、仮に水源の水質悪化が生じたとしても給水への影響を最小限にとどめることができるわけでございますし、それをとどめることが求められているわけでございます。したがいまして、超えたら安易に摂取制限すればいいということではなく、こうした水道事業者がやるべきことをやった上でも、なおどうしても給水への影響が避けられない場合に、現実的に適用できるものと定義をしたいと考えています。
 また、もちろん摂取制限も相当の影響があるわけでございますけれども、給水停止に比べれば影響の程度としては、給水停止のほうがはるかに大きいわけでございますので、給水停止はせずに摂取制限をするということでございます。
 「本ペーパーにおいては」というパラグラフでございますけれども、ここでは普段からずっと超えている場合ということではなく、平常時については全くその項目に関して水質上の問題がないのですが、突発的に濃度が上昇したようなときに、ユーザーに対しまして直接の飲用を控えるように広報しながら給水を継続すること。これを摂取制限による給水継続と定義をしております。
 この摂取制限というのは、あくまでもその物質の摂取量が、健康に直接的な悪影響を及ばさない場合に限りまして、影響は及ぼさないのですが、なるべく飲まないほうがいいということで周知をするものでございますし、誤飲することもございますので、もし誤飲した場合に健康への影響におそれがある場合には、それは給水停止に当たるというものでございます。
 ここで2つ条件を定めてみましたけれども、誤って飲用しても直接的な健康への悪影響が生じるものではなくて、生活用水としての使用には問題がないというものについて、摂取制限による給水継続をする場合といたしました。
 また、4番「摂取制限による給水継続が可能な水質項目」といたしまして、下のほうから御説明いたしますが、病原性物により汚染されていたり、あるいはその疑いがあるときには、直ちに取水または給水停止の措置をとるわけでございますけれども、長期的な影響を考慮して基準設定がなされているものにつきましては、その超過の程度が小さい場合には、摂取制限による給水継続の対象とするというものでございます。
 4ページにイメージ図をおつけしてございますが、3本の線を書いてみました。
 下からラインを添えてございますけれども、一番下は解除の目安でございますが、ずっと濃度が上がってきて、二番目の摂取制限の開始の目安を超えた場合、一番上の給水停止の目安を超えた場合に、それぞれ摂取制限なり給水停止に至るということでございまして、摂取制限の開始の目安まで行かない、つまり検知をして低減措置が功を奏して一定以上まで行かない場合には、摂取制限なしで済むわけでございますが、超えた場合には、摂取制限、さらには給水停止に至っていくというものでございます。
 また、これは高さだけではなく継続ということを考えますと、ハッチのかけた部分、面積で見まして基準値の超過が継続して、面積として当該物質の摂取量が一定レベルを超えるような場合には、摂取制限のレベルを超えて給水停止まで至るだろうということでございます。
 今後の事務局の作業の計画といたしまして、この4ページの5のところに書いてございますけれども、今、図で御説明申し上げましたように、ずっと濃度が上がっていって下がっていくということを想定した場合に、どのレベルまで濃度が上がりそう、あるいは上がった場合に摂取制限を開始するのかという目安を検討していきたい。また、さらに上がっていった場合に、どこまで行けば摂取制限では不十分であって、給水停止をしなければいけないのか。
また、濃度が下がっていったときに、どこまで下がれば解除してよろしいのか。特に大きな課題である広報のあり方として、なかなか全員に確実に伝えるということは難しゅうございますけれども、どういう広報のあり方があるのかということと、病院ですとか、特に弱い方がいらっしゃるときにどのような形で連絡なり措置をしていくのかということについても、あわせて検討しようと考えているところでございます。
 事務局といたしましても、ここに掲げてあるのはあくまで検討事項でございますので、今日の先生方の御意見によりまして、事項を固め、また具体的な目安についての検討に入りたいと考えてございます。
 資料4は災害時でございます。
 災害時に応援給水なりをやることを考えたときに、ときどき私どもも問われるのですけれども、水質基準50項目全て測らなければいけないのか。どれぐらいのレベルであれば飲んでも構わないのか。こういう安全性の確認方法について疑義もございました。これは常に問われていることでございますので、今回、これは災害時の飲料水の供給ということになりますと、厳密には水道法でいう水道ではなくなる可能性もあろうかと思いますが、これらについて安全性の確認をする方法について検討しようということでございます。
 これにつきましては、委員の皆様にはお配りをしていますけれども、日本水道協会に、去年3月に震災時の非常時における水質試験方法というものを定めていただいております。
 これは、東日本大震災の発生を踏まえまして、水質試験の機器機材が不十分なときに水を供給する。それの安全性をどうやって保証するかという観点で取りまとめられたものでございます。
 この非常時の試験法というのは、飲料水をまず大きく3つに分類いたしておりまして、市販のボトル水を供給する場合あるいは水道水由来の給水車などで供給する場合、現場にございます井戸水などをそのまま、あるいは処理して供給する場合の3つに分類いたしまして、そのときに安全性を確認するための項目ですとか、判断基準、そして試験方法を取りまとめたものでございます。
 したがいまして、こちらの検討といたしましても、これを基本といたしまして、厚生労働省として関係者に周知すべき事項というものが、これで過不足なりないかどうかということを整理していきたいと考えております。
 検討方針が4点ございますけれども、ボトル水については未開封のものであれば構わないということかと思いますので、水道水由来の飲料水と、井戸水等由来の飲料水の2つについて検討しようということでございます。
 試験法については新たな検討を行わず、この試験法を参照すればよろしいということにいたしまして、測定項目がこれでよいか、判断基準についてもこれでよいかということを検討したいと思っています。
 そのうち、井戸水等由来飲料水につきましては、きょうも亜硝酸のお話もございましたけれども、災害の現場で高濃度の窒素汚染があるケースになりますと、給水影響も心配になります。
 現在、硝酸性窒素については基準に書いてございますけれども、同様に地下水汚染があるような地域ですとか、災害時でございますので、近所で有害物質の汚染が心配されることでもございますので、そうした水源の状況についても、この日本水道協会の試験方法に加えて留意事項を整理したいと考えてございます。
 また、水道水由来のものにつきましては、考え方はこの日本水道協会の試験方法どおりでございますけれども、もとの水道水の水質が損なわれていないかどうかを確認する方法の妥当性が、よろしいかどうかということを検証したいということでございます。
 資料は以上でございます。

○眞柄座長
 ありがとうございました。
 それでは、資料4もあわせて結構ですので、御意見や御質問がありましたらどうぞお出しください。
 国包先生、どうぞ。

○国包委員
 こういった柔軟な対応というのは、必要に応じて法的な制約とかが問題にならないということであれば、私はあっていいのではないかと思っております。
 ただ、ちょっと気になりますのは、例えば4ページの絵がありますけれども、これはあくまでもイメージ図だろうと思いますが、横軸は時間ですね。この絵では事故の発生から収束までが書かれていますけれども、実際にはこういったことについての判断というのは、立ち上がりのところとか、途中で判断して行動しなければいけないということになります。
 終わりは見えていません。それだけに規定上どう決めるのかとか、あるいは実際にそれをどう現場で運用するのかというところで、考えなければいけないことがいろいろ出てくると思うのです。
 そういったことを考えた場合に、私が気になっておりますのは、水道事業者独自の判断でこういったことをやっていいのかどうかというところです。
 これも法律に照らしてどうかということもあるのでしょうが、場合によっては飲用のためのボトル水を別途配らなければいけないとか、あるいはどこかから給水車の応援を頼まなければいけないということも起こり得るでしょうし、片一方ではこれはケース・バイ・ケースでしょうが、何か健康影響発生の懸念も心配もしなければいけないでしょう。
 そういったことも考えますと、例えば市長部局というか、市であれば市当局と一緒になって判断をして動いたりとか、少なくとも情報なり意見交換をきちんとやりながらやっていくとか、そういったことも考えなければいけないと思います。その辺についてはいかがでしょうか。

○眞柄座長
 どうぞ。

○尾川水道水質管理官
 実際の運用ということになりますと、例えばもし他に水源があって止めることができるのではあれば、安全側に立って一番下の絵であっても、止めるというのはあり得べしなのだと思います。
 ただ、現在の制度では途中でも申し上げましたが、15条の義務と23条の給水停止という範囲であれば、水道事業体は給水を継続することもあるいは停止することもできる規定になっているわけです。国のほうで、直ちに止めなければいけないものなのか、あるいはある程度であれば問題がないのかということについて、市民の方がわかりやすいような形で示してあげることができないと、給水停止をすると非常に大きな影響がある場合でも止めざるを得ないケースが出てくるのではないか。給水継続しなければならない、あるいは給水継続すべきときに住民に安心していただきながら、基準値超過の状態でも給水継続ができる目安というものを考えていくということかと思います。
 実際に適用して、摂取制限しなければいけないとか、してはいけないということを判断するときには、やはりそれによる市民への影響ということが判断基準になろうかと思いますし、それは水道事業体だけで決めることではなく、行政部局との間で御相談いただきながら、必要な水を誰がどうやって確保するのかということを御検討いただくのだと思います。

○眞柄座長
 ありがとうございました。
 遠藤先生、どうぞ。

○遠藤委員
 4ページの検討事項の中に広報のあり方という項目がございますけれども、これは非常に重要なポイントだろうと思っております。最近では防災関連の広報施設が非常に発達してきていると思いますので、水道関係の緊急情報等についても使えるようあらかじめ協定を結んでおくことが非常に重要かと思います。御検討いただけたらと思います。

○眞柄座長
 今の遠藤先生のおっしゃったことと関連するので、申し上げますが、大都市あるいは都道府県では危機管理官というか、危機管理を専ら所掌する方が指定職クラスでいらっしゃるわけです。それは多分総務省の枠組みの中だろうと思いますけれども、水道を止めるということが、その地方自治体にとって危機であるか危機でないかという判断も、やはりあるのかなと。
 そうすると水道事業体の15条と23条で止める、止めないかと言っているときに、今、日本の水道は要するに地方自治体がとり行っているので、その地方自治体の危機に相当するかどうかの判断も関係してくるのかなというのをふと感じたので、その部分も少し。
 危機管理の部局を通じれば、当然広報も行うことになっていますし、いろいろな地震が来ましたという放送も全て彼らが取り仕切っているわけなので、その辺のところも少し検討する必要があるのかなと感じました。そこも少し検討していただきたいと思います。
 それから、御存じの方はいらっしゃると思いますが、この庁舎はどうかわからないけれども、建物の中で再生水を水洗便所等で使っているときには、その場所に「これは再生水ですから飲用しないでください」という札がついていますね。あれはかつて厚生省が雑用水をどうするかというときに、誤飲することがないように札をつけましょうねということでつけるようになったわけですが、今の水道を止めているときに飲まないでというのに、水に色がついているわけではないから難しいのかもしれないのだけれども、その辺のところも何となく。
 何となくというのは資料4とも関係する。水道で供給されている水で、水質基準を超えたときに云々という話がつながる。前提としてあるのかなという印象です。
 他にございましたらどうぞ。
 伊藤先生、どうぞ。

○伊藤委員
 先ほどの図にあるように、どのレベルのことを許すかというのが、今後の検討課題になるわけですが、恐らく我々が描いている常識的な範囲というのがあると思うのです。すなわち、去年のホルムアルデヒドの事例も横にらみしながら、恐らく我々が描いているのは、基準値の例えば1.5倍とか、2倍という濃度の出現が、数日とか1週間程度続くというくらいのこと。それぐらいの事象であれば、大目に見てもよいだろうという程度のことを想定しているのではないかと思うのです。それ以上のことまで許すと、それは水質基準とは一体何なのだということになってしまうのだろうと思うのです。
 一方、この図でイメージされている判断基準を決めていくときに、各化学物質の毒性を根拠にして判断基準を決めようとすると、もちろんやりようによりますが、もっと大幅な濃度超過、そして、それが長期間継続する場合ですね。例えば、基準値の10倍濃度のレベルが数カ月ぐらい続いても、これは許せてしまうということになりかねないと思うのです。
 それは、とりもなおさず基準値とは、それだけの十分な安全を見込んであるということでもあるのですが。
 そういうことで今後進めていく上で、私も注意したいと思っていることですが、我々が頭の中に描いている常識的に許せる範囲というものと、ある根拠から計算されてくるレベルの両者が整合性を持ったものになるように、上手に設計してやる必要があるだろう。そう考えています。

○眞柄座長
 大変重要なことだと思いますので、制度を作っていく上では配慮しなければいけないことだと思います。
 松井先生、どうぞ。

○松井委員
 今の伊藤先生の意見にも関連するのですけれども、科学的根拠に立てばそういったことも解析はできると思うのですが、一方で2ページ目の真ん中ぐらいには、摂取制限の考え方として「水道水の飲用を控えるよう周知する」というのがあります。控えるよう周知しているのであれば、逆に摂取制限がかかった場合には、飲用水をどうやって住民に供給するのかということについても、パラレルに検討していかなければいけないと思います。それが4ページのところに、もう一個大きな柱が出てくるのではないかなと思っています。
 一方で飲用水を控えるということを前面に出してくれば、基本的には代替水の飲用を推奨することになり、飲み水の供給という意味では断水と同じような意味合いになってしまいますので、この辺の控えるという考え方の広報の仕方をもう少し検討していかなければいけないのかなと思いますし、先ほど伊藤委員から意見がありましたように、例えば1週間なら飲用しても大丈夫だという科学的根拠に立てば、控えるというのはそれほど強く打ち出さなくてもいいわけですし、この辺の考え方が非常に難しいのではないかなと思いますので、私の厚労科研のところでもしっかり検討していきたいと思っています。

○眞柄座長
 ありがとうございます。
 他にありますか。
 何で今さらこんなことを言うのかということですが、今はこういう制度をとったら、浄水場から末端の給水栓までの間に、水質基準を超えた水が存在するようになるわけです。
 この水をいかに速やかに排出して、水質基準に適合する水を給水区域に均等に配れるような工学的な検討というのは、我が国において今まで行われたことはありません。
 これは非常に重要な問題だと思います。うんと小さな給水区域の場合だったらそれはできるだろうと思いますが、そういう意味では、工学的手段として、もっと例えば震災に強いあるいはこういう事故に強いブロック別の給水を、もっと積極的に進めるという工学的な対応も同時に考えていく。もちろん、こういうのは重要なことだと思いますが、そういうことも、一方でフォローするような技術的な側面も検討していくべきだと思いますので、あえて一言申し上げました。
 資料4ですが、東日本大震災の後、緊急的に膜ろ過の設備が被災地に提供されて、それが今でも運用されているものがあるわけです。私は実態を承知していないのですが、その場合膜ろ過の施設はもちろん塩素処理もついていますが、水質基準の50項目適合しているということを確認してから通水していいですよとされているのか。そこのところが必ずしも明快になっていなくて、行われているのか。そこはいかがですか。

○尾川水道水質管理官
 ちょっと今、情報を持ち合わせておりません。

○眞柄座長
 それと同じことで、これは国包先生に伺ったほうがいいと思うのですが、かつて規制緩和のときに、米国でNSFも含めてですけれども、キャンプ用の給水器具というか膜と銀を使った浄水器が水質基準に適合する水を供給するというので、特に小規模な簡水等で使っていいのではないですかという要請があって、結局はうやむやになってしまったのですが。
 そういうものを使う場合でもこういうものの対象にするのか、あるいはあの浄水器は沢の水や汚い井戸水でも浄水器を使えば飲める水になりますよというので、WHOでチェックしているのですが、そんなようなものもこの場合、例えば非常時の水質試験方法でいいということになったら使えるよとしていいのかどうか。国包先生、その辺の感触はいかがですか。

○国包委員
 ちょっと難題を投げられましたので、何をどうお答えしていいのかよくわからないのですが、これはとりあえずこういったことについても検討を今後しなければいけないでしょうということで、差し当たり半ページの資料が出てきたのだと私は理解しております。
 そういった意味では今後いろいろな角度から妥当性といいますか、ベストなやり方を考えていく必要があるのだろうと思うのです。かといって、そんなにのんびりもしていられない、時間がたてばあちこちでいろいろな事故なり緊急事態も起きてきているということですので、それなりの速やかな対応が必要だろうと思います。
 ただ、今、委員長からも御指摘があったこととか、私がこれを見せていただいての印象とか、その辺で感じることを申し上げますと、ちょっと私がよく理解できていない部分もあろうかと思いますが、少なくともこれに関しては、水道のことを限定的に考えてなのか、あるいはそうではないのかというあたりのところが非常によくわからないです。
 かなりは飲み水の安全性という一般的な衛生確保、そういうニュアンスも含まれているようですので、もしそうであれば、その辺はかなり明確に分けて考える必要があろうかと思っています。
 水道水の安全性ということに限って言えば、例えば先ほどの資料3にかなりいろいろ書かれているようなことの中で、やはりきちんと取り扱うべきことなのではないかなと思っています。検査方法とかは別にして、です。
 そうではなくて、それ以外の水源の水を緊急的に活用するのだ、そういうときのために検査方法とか検討方法ということになれば、それは全然別の次元のことになるのではないかなと思います。その辺は整理してかかる必要があると思います。
 とりあえずの印象だけです。

○眞柄座長
 非常に大事なポイントだと思います。
 水道事業体が水道水として供給している範囲の中でどう考えるかということと、それとは別に水道事業者以外の人が水を確保する手段のときにどうするかということは、やはり分けて考えるべきだというのは一つのポイントだと思いますので、今後の検討のときに留意をしていただきたいと思います。
 他に何かございますか。
 浅見先生、何かありますか。

○浅見委員
 資料4の非常時の確認方法なのですけれども、こちらのほうはむしろ水道ではなくて、緊急時に確保すべき水の必要性が非常に高い場合に使われる手段ではないかなと思うのですが、やはり消毒がちゃんとなされていて、最低限の水質が確保されているということを確認する。例えば今ですと、飲用井戸に関しましても10項目、特に緊急性が高そうな項目について保健所で検査をして、飲用適かどうかというのをまず暫定的に判定するという方法が使われていますけれども、それに近いようなものか、もっと簡便なものかではないのかなと思っています。
 あともう一つ、できれば、なのですけれども、そういう緊急時のときのベスト・アベイラブル・テクノロジーといいますか、その場で最低限これだけはやってほしいこと。ちゃんと消毒をしてほしいとか、濁度が最低限になっていることは確認してほしいとか、何か処理で求められるものと検査で確認できるものは組み合わせなくていいのかなというのを今、考えております。明快な答えがあるわけではないのですけれども、そういうことを思っておりました。

○眞柄座長
 これは遠藤先生に伺ったほうがいいですね。
 資料3か4かわからないけれども、砂ろ過がついていて、0.1度を超えた水が出てきて、そのときに災害時だからまあいいよと言うのか、やはりクリプトやジアルジアのおそれがあるからそれは煮沸して飲んでください。それだったら災害時でも使っていいですよとなるのか。先ほど感染性の生物、微生物に対する考え方はちょっと別かもしれませんよというお話があったのですが、そこらあたりはどう考えたらいいのでしょうか。

○遠藤委員
 答えになるかどうかよくわからないのですけれども、WHOの会議でのことですが、会議の終了間近になると、即ち水質基準がまとまろうとする時分に砂漠の地域から来られる委員から「ちょっと待ってください。皆さん、水って一体何ですか」、「皆さんは水というと非常にきれいな水道水を想像するでしょうが、砂漠では水質を論ずる前に水の有無が問題で、生きるか死ぬかの問題です。」という意見が出て、その都度会議が混乱したということを記憶しています。
 本会議の議論を聞いて上記のことを思い出しました。すなわち、災害時における水道水というのはいわゆる水道(事業体)から手が離れてしまっているような次元のものなのではないかと考えます。先ほど委員長と国包先生がおっしゃったように、それは水道の所掌事務の中に入るものなのかを考えなければいけないということです。一義的に水の確保が重要で、その先に(微生物学的な)安全の担保が図られるのではないでしょうか。例えば、熱源があるのであれば、熱して飲むという話になろうと思います。災害時にあっては水質基準ではなく、私も水の確保が優先されるべきものと考えます。

○眞柄座長
 ありがとうございました。
 他にはよろしいですか。浅見さん何かありますか。最後に一言どうぞ。

○浅見委員
 最後と言われると困るのですけれども、検査しないと配れないという状況は避けなければいけない状況のことが、結構今回もあったかなと思っています。
 例えば本当にパックテストでも、塩素だけでも確認できたら十分な状況なこともありますし、それさえも難しい場合であってもどういう状況になっているかということによっては、本当に判断が変わるということもあり得るのかなと思うので、非常に難しいなと思って伺っておりました。

○遠藤委員
 災害時に当たるかどうかわかりませんが、給水停止をしたけれども、管口を開けておいて、火事などの対応のために水を吸引使用という状況も想定されると思います。
 そのような状況では配管内が陰圧になり、ピンホールからの汚染が問題になるかもしれません。

○眞柄座長
 ありがとうございました。
 伊藤先生、どうぞ。

○伊藤委員
 これから検討していくことではありますが、この上水試験法別冊をお作りになった日水協の方から話を伺うと、やはりこの検査法を作られたコンセプトとは、災害時にどういう由来であるにせよ、先ほど眞柄先生がおっしゃった応急の可搬型浄水設備とか、そういう水で作られた水であるにせよ、とにかく目の前にある水に対して、水道事業体の職員ではない人が検査をして、飲用適否を判断できるということを念頭に置いて作られたものと理解しています。
 ですから、厚労省でこれを基本として関係者に周知すべき事項とありますが、こうすれば飲用適と判断していいということを、厚労省がお墨つきを与えるということとなじむのかなという疑問があります。

○眞柄座長
 ありがとうございました。
 日本の水道事業体が、災害時にできるだけ短期間のうちに被害を受けられた方々に水道水を供給するために、いろいろな給水車を含めて応援をするような体制を作っていますし、水道管が壊れたのを直して、給水を再開する際の水質試験ということをどうやっていいかということで、いろいろな意味で経験が蓄積されてきておりますので、そういう意味では日水協が作られたこのテキストを使えば、私は水道事業体が行う範囲においては、間違いは生じないだろうと思っております。
 3月ということで、まだ気候では寒い時期に東日本大震災がありましたけれども、あれだけの数の被害者と被害地域の大きさを考えて、消化器系の特に水系の感染症が出なかったということは、世界に誇れる水道界の今日の力を見せたと私は思っておりますので、ぜひそういうもとで作られたものが、他のところで不幸にして次の災害が起きたときでも、活用できるような工夫をしていただきたいというのが私の感想であります。
 おおむね時間になりましたので、きょうはこれで終わりたいと思いますが、最後に事務局からよろしくお願いいたします。

○尾川水道水質管理官
 事務局といたしまして、本日いただいた先生方からの御意見をもとにいたしまして、また途中でも申し上げさせていただきましたが、本年度の厚生労働科学研究の成果も活用させていただきながら、次回の検討会に向けて作業を行うこととしてございます。
 本日の配付資料につきましては、また委員の皆様方の御意見もございましたので、修正もさせていただきたいと思っております。
お気づきの点がございましたら、1週間以内をめどに事務局までお知らせいただけますと、それをもとに作業を進めることができますので、御協力をよろしくお願いいたします。
 また、本日は速記が入ってございますので、議事録を作成いたします。作成次第、事務局から確認のための送付をいたしますので、御確認作業をよろしくお願いいたします。
 次回の本検討会でございますけれども、年末11月か12月ごろに開催を予定してございます。日程については、別途調整をさせていただきます。
 本日はどうもありがとうございました。

○眞柄座長
 どうもありがとうございました。
 これで終わります。


(了)
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TEL: 03-5253-1111(内線4033、4034)

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