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2013年2月7日 薬事・食品衛生審議会医薬品第一部会 議事録

○日時

平成25年2月7日(木)
16:00~


○場所

厚生労働省共用第8会議室


○出席者

出席委員(16名) 五十音順

 奥 田 晴 宏、 加 藤 総 夫、 神 田 敏 子、 佐 藤 田鶴子、
 佐 藤 雄一郎、 鈴 木 邦 彦、 手 島 玲 子、 豊 見 雅 文、 
 野 田 光 彦、 林    邦 彦、 平 石 秀 幸、◎松 井   陽、
○松 木 則 夫、 村 田 美 穂、 本 橋 伸 高、 山 田 清 文 
 (注) ◎部会長  ○部会長代理

欠席委員(5名)

 小 川   聡、 木 村   剛、 武 田 正 之、 古 川   漸、
 増 井   徹

行政機関出席者

 平 山 佳 伸 (大臣官房審議官)
 赤 川 治 郎 (審査管理課長)
 俵 木 登美子 (安全対策課長)
 矢 守 隆 夫 (独立行政法人医薬品医療機器総合機構審査センター長)
 森   和 彦 (独立行政法人医薬品医療機器総合機構安全管理監)
 佐 藤 岳 幸 (独立行政法人医薬品医療機器総合機構審議役)

○議事

○審査管理課長 定刻になりましたので薬事・食品衛生審議会医薬品第一部会を開催します。本日はお忙しい中、御参集いただきありがとうございます。
 薬事・食品衛生審議会の委員の改選が行われまして、この部会についても、新しく委員の任命が行われたところです。つきましては、お手元にございます「医薬品第一部会名簿」に即し、委員の先生方を御紹介申し上げます。
 本日は御欠席ですが、小川聡委員。奥田晴宏委員。加藤総夫委員。この度、新たに御就任いただきました神田敏子委員。本日は御欠席ですが、木村剛委員。佐藤田鶴子委員。佐藤雄一郎委員。鈴木邦彦委員。本日は御欠席ですが、武田正之委員。手島玲子委員。豊見雅文委員。野田光彦委員。林邦彦委員。新たに御就任いただきました平石秀幸委員。本日は御欠席ですが、古川漸委員。同じく本日御欠席ですが、増井徹委員。松井陽委員。松木則夫委員。村田美穂委員。本橋伸高委員。山田清文委員。
 また、この部会の部会長ですが、1月28日に開催された薬事分科会において選出が行われており、医薬品第一部会については、松井陽委員に部会長をお願いすることとされておりますので、御報告申し上げます。
○松井部会長 先生方、よろしく御指導下さいますようお願いいたします。
○事務局 さらに、薬事・食品衛生審議会令第7条第5項の規定に基づき、「部会に属する委員のうちから、部会長が予め指名する者が、その職務を代理する」とされており、部会長代理については、部会長から御指名いただくこととなっております。松井部会長、よろしくお願いいたします。
○松井部会長 引き続き、松木委員に部会長代理をお願いしたいと思いますが、いかがでしょうか。それでは松木委員に部会長代理をお願いいたします。
○事務局 松木委員は、部会長代理席に御移動をお願いいたします。
 本日は審議品目の議題1に関して、独立行政法人国立国際医療研究センター消化器科の小早川雅男先生を参考人としてお呼びしています。
 現在のところ、当部会委員数21名のうち、16名の委員の御出席をいただいておりますので、定足数に達しておりますことを御報告いたします。松井部会長、以後の進行をお願いいたします。
○松井部会長 審議に入ります。事務局から配付資料の確認と、審議事項に関する競合品目、競合企業リストについて、御報告をお願いいたします。
○事務局 机上に議事次第、座席表、当部会の委員名簿を配付しております。議事次第に記載されている資料1~資料14を、予めお送りさせていただいております。
 このほか、資料15「医薬品第一部会における薬事分科会における取り扱い、毒薬・劇薬の指定の要否及び生物由来製品/特定生物由来製品の要否について(案)」、資料16「専門委員リスト」、資料17「競合品目、競合企業リスト」を配付しております。
 続いて、本日の審議事項に関する競合品目・競合企業リストです。
 1ページ、「アコファイド錠100mg」です。本品目は「機能性ディスペプシアにおける食後膨満感、上腹部膨満感、早期満腹感」を予定効能・効果としており、同様の効能・効果を有する薬剤として、資料に掲げる品目を競合品目として選定しております。
2ページ、「プラリア皮下注60mgシリンジ」です。本品目は「骨粗鬆症」を予定効能・効果としており、同様の効能・効果を有する薬剤として、資料に掲げる品目を競合品目として選定しております。
 3ページ、「レグテクト錠333mg」です。本品目は「アルコール依存症患者における断酒維持の補助」を予定効能・効果としており、同様の効能・効果を有する薬剤として、資料に掲げる品目を競合品目として選定しております。
 4ページ、「リリカカプセル25mg、リリカカプセル75mg、リリカカプセル150mg」です。本品目は「神経障害性疼痛」を予定効能・効果としており、同様の効能・効果を有する薬剤として、資料に掲げる品目を競合品目として選定しております。
 5ページ、「ボルベン輸液6%」です。本品目は「循環血液量減少の予防及び治療」を予定効能・効果としており、同様の効能・効果を有する薬剤として、資料に掲げる品目を競合品目として選定しております。以上です。
○松井部会長 今の事務局からの御説明に関して、何か御意見があればお聞きしたいと思いますが、よろしいでしょうか。それでは、本部会の審議に関する競合品目、競合企業リストについては、委員の先生方の御了承を得たものといたします。委員からの申出状況についての御報告をお願いします。
○事務局 各委員からの申出状況です。
 議題1「アコファイド」、退室委員なし、議決には参加しない委員は、野田委員、平石委員、村田委員。
 議題2「プラリア」、退室委員は野田委員、議決には参加しない委員は、平石委員。
 議題3「レグテクト」、退室委員なし、議決に参加しない委員は、林委員、平石委員。
 議題4「リリカカプセル」、退室委員なし、議決に参加しない委員は、野田委員。
 議題5「ボルベン」、退室委員なし、議決には参加しない委員は、野田委員、平石委員。
○松井部会長 本日は審議事項が5議題、報告事項が8議題となっております。先生方、よろしくお願いいたします。
 審議事項議題1です。医薬品医療機器総合機構から概要説明をお願いいたします。
○機構 審議事項議題1、資料1「医薬品アコファイド錠100mgの生物由来製品及び特定生物由来製品の指定の要否、製造販売承認の可否及び再審査期間の指定並びに毒薬又は劇薬の指定の要否について」、機構より御説明いたします。
 機能性ディスペプシア(以下「FD」)は、上腹部症状を有するものの、症状を説明し得る器質的疾患が無い状態とされています。FDの病因は、未だ十分に解明されておらず、現時点では、胃内容物排出能異常、胃・小腸の知覚過敏、心理的要因等、様々な要因が複合的に関与して症状発現に至っていると考えられております。
 現在、国内において、FDに対しては患者の症状に応じてヒスタミンH2受容体遮断薬、プロトンポンプ阻害薬、消化管運動改善薬等による治療が行われています。
 アコチアミド塩酸塩水和物(以下「本薬」)は、申請者により創製されたアセチルコリンエステラーゼ阻害薬であり、コリン作動性神経終末から遊離されるアセチルコリンの分解を抑制し、胃前庭部及び胃体部におけるアセチルコリンによる収縮や運動を増強することで、FD患者における胃前庭部の運動亢進作用、胃運動低下改善作用等が期待され、開発に至っております。
 なお、本薬は、海外においても臨床試験は実施されておりますが、現時点で承認を取得している国及び地域はありません。
 本品目の専門協議では、本日の配付資料の資料16にお示しします専門委員を指名いたしました。
 続いて、審査の概要について、非臨床試験成績と臨床試験成績に分けて御説明いたします。
 まず、非臨床試験成績についてです。報告書37ページの上から20行目の中程やや下の辺りを御覧ください。「3.ラットにおける24か月間がん原性試験」と記載されている段落です。本薬、200~2000mg/kg/日の用量で投与したラット24か月間がん原性試験において、用量依存性はないものの、対照群に比べて本薬600mg/kg/日群の雌に子宮内膜腺癌の有意な増加が認められました。これを受けまして、機構は申請者に対して、本薬のがん原性について精査することを求め、最終的に追加試験が実施されております。機構は、申請者から提出された資料より、本薬は遺伝毒性やエストロゲン様作用を有しておらず、発がんプロモーション作用も認められなかったことから、本薬投与と子宮内膜腺癌との関連性はなく、本試験で認められた子宮内膜腺癌は、自然発生性によるものであると判断しました。
 次に、本薬の有効性及び安全性について、臨床試験成績の概略を御説明いたします。
 主な臨床試験成績として、食後膨満感、上腹部膨満感、早期満腹感を有するFD患者を対象として、国内第III相試験及び長期投与試験の成績が提出されております。
 まず有効性に関してですが、報告書60ページの表42を御覧ください。第III相試験において、「治療期最終調査時点の被験者の印象の改善率」及び「治療期最終調査時点の食後の膨満感、上腹部膨満感、早期満腹感の3症状消失率」の二つの主要評価項目について、いずれも本薬群はプラセボ群と比較して統計学的に有意な差が認められました。
 以上より、FDにおける食後膨満感、上腹部膨満感、早期満腹感に対する本薬の有効性は示されたと考えております。
 次に、安全性に関してですが、審査報告書61ページの表43を御覧ください。第III相試験における本薬群とプラセボ群の有害事象の発現状況をお示ししております。国内で実施された第III相試験で本薬群に認められた有害事象は、お示しのとおり、プラセボ群と同程度であり、本薬で特に発現率が高い有害事象は認められませんでした。また、報告書73ページの表51を御覧ください。こちらは、長期投与試験で認められた有害事象の時期別発現状況をお示ししております。本薬の長期投与時に、有害事象の発現率が上昇することは認められておりませんでした。以上より、今般提出された臨床試験成績から本薬の安全性は許容可能と考えております。
 まとめです。以上、機構での審査の結果、FDにおける食後膨満感、上腹部膨満感、早期満腹感に対する本薬の有効性は認められ、安全性については許容可能と考えられたことから、本薬を承認して差し支えないと判断し、当医薬品第一部会で審議されることが適当と判断いたしました。
 また、本薬は新有効成分含有医薬品であるため、再審査期間は8年、原体及び製剤は、いずれも毒薬及び劇薬には該当せず、生物由来製品及び特定生物由来製品のいずれにも該当しないとすることが適当であると判断しております。薬事分科会では報告を予定しています。
 なお、奥田委員より、事前に御質問をいただいております。「アコチアミド塩酸塩水和物の製造の出発物質として、□□□□□□□□□□□□□□□□□□□□□□□□□□□□□□□□□□□□□□□□□□□□が設定されているが、□□□□□□□□□□□□□□□□□□□□□□□□□□□□□□□□□□□□□□□□□□□□□□□□□□」という御質問です。奥田委員の御指摘を踏まえまして、□□□□□□□□□□□□□□□□□□□□□□□□□□□□□□□□□□□□□□□□□□□□□□□□□□□□□□□□□□□□□□□□□□□□□□□□□□□□□□規定することといたしました。そのため、承認申請書及びCTDを修正することといたしました。また、これに伴って審査報告書の記載を訂正させていただきます。
 審査報告書4ページの上から15行目ですが、「原薬は、□□□□□□□□□□□□□□□□□□□□□□□□□□□□□□□□□□□□□□□□□□□□□□□□□□□」との記載がありますが、「原薬は、□□□□□□□□□□□□□□□□□□□□□□□□□□□□□□□□□□□□」と、訂正いたします。なお、この改定による審査結果の変更はございません。
 以上です。御審議どうぞよろしくお願いします。
○松井部会長 ありがとうございます。それでは、委員の先生方に御審議をお願いいたします。
○事務局 本日、小早川先生に御出で頂いておりまして、FDの疾患概念と従来の胃炎等との違いについて、できれば御説明をお願いしたいと思っているのですが、よろしいですか。
○松井部会長 小早川先生、いかがですか。
○小早川参考人 はい、よろしくお願いします。
○松井部会長 では、お願いいたします。
○小早川参考人 FDと慢性胃炎との違いですが、従来、日本では胃炎という言葉がいろいろな意味で使われてきた経緯がございます。いわゆる慢性胃炎という言い方をよくするのですが、症状を中心とした、症候性の慢性胃炎という言い方、いちばん医学的に妥当な考え方である組織学的な胃炎という考え方、そのほか、内視鏡で診て小さな傷があるということで表現されるような形態学的胃炎といった胃炎の概念がございました。
 胃炎という言葉を医学的に考えるならば、胃に炎症細胞の浸潤がある状態が胃炎です。慢性胃炎というのは、そういう慢性の炎症細胞浸潤が持続していることを指す言葉であり、これはピロリ菌の発見とともに、組織学的な慢性胃炎のほとんどがピロリ菌の感染によるものだということが分かりました。
 従来から我が国においては、症状があることに対して胃が痛い、胃に膨満感があるといったことに対して、胃炎という言葉が誤って使用されてきたということがございまして、最近ではそれをあえて分けて言うために「症候性胃炎」という言葉を使用しております。
 海外では、すでに1980年代の後半ぐらいから、non ulcer dyspepsia(NUD)という言葉がございまして、胃潰瘍、十二指腸潰瘍が無いにもかかわらず症状があるような疾患を、そういう言い方を使用してきました。
 FDという疾患概念が出てきましたのは、NUDから少し名前が変わりまして、1999年にfunctional dyspepsiaと、日本では最近「機能性ディスペプシア」と訳しておりますが、要するに、潰瘍や癌など、器質的な疾患が無いにもかかわらず症状があるような疾患をFDと呼ぶようになってきております。
 古くは「慢性胃炎」という言葉が、いろいろな薬剤の効能・効果として書かれていて、今で言うところのFDという言葉に対して慢性胃炎という言葉が使われてきたのですが、今の医学水準で表しますと、それを慢性胃炎と言うのは誤りで、医学的にはfunctional dyspepsia、「機能性ディスペプシア」という言葉が正しいということで、日本消化器病学会では最近、普及、啓蒙を図っている状態です。疾患概念自体は、そこまで新しいものではなく、最近承認された、例えば「非びらん性胃食道逆流症」という言葉よりも、前からある言葉でして、その言葉とほとんど同時というか、概念自体はそれより前にあるものです。ただ、日本ではその概念の導入が少し遅れてきた事実がございます。ただし、その概念自体はそこまで古いものではございません。そういった経緯で、正しく疾患を理解しようということで、functional dyspepsiaという言葉が、最近は日本消化器病学会ではある程度当たり前に使われている言葉になってきております。簡単ですが、以上です。
○松井部会長 ありがとうございました。大変適切な御説明だったと思いますが、何か御質疑はございますか。
○鈴木委員 今の御説明はよく分かったのですが、functional dyspepsiaは、診断するためには除外診断が必要ですね。
○小早川参考人 はい。
○鈴木委員 そうすると、内視鏡が前提になると思うのですが、この文章を読みますと、「全ての方に内視鏡をするのは大変なので、一度服用させ、症状の改善がなければ検査をすれば良い」と書いてあるのですが、そういう形になると、我が国の場合はプライマリーケアの段階で気軽に内視鏡検査ができるので、それで良いのではないかと思うのですが、あえて内視鏡検査を義務づけないというか、前提としないということは、診断が確定していない状況で投与するということになります。そうすると、例えば保険適用になった場合に、疑い病名になります。疑い病名で投与するということが続くということにもなりますし、そういうことに関して、先生は御専門家として、内視鏡検査を前提とすべきだとはお考えになりませんか。
○小早川参考人 我が国では、内視鏡医が多いという、ほかの国と違う状況がございますので、まずは原因として胃がん、胃潰瘍、そのほかの疾患がないことを確認することは、初期診療においては非常に大事なことではないかと考えておりますので、そのような診断を行う方が望ましいと考えます。
○審査第一部長 内視鏡検査を前提として器質的なものについて除外すべきではないかという御指摘だったと思います。また、審査報告書が大変読みにくい状況になっていたのではないかと反省しておりますが、鈴木委員の御指摘の部分は、申請者がこのように考えるという部分でございました。
 そこで、私どもは、器質的疾患は除外すべきということで、添付文書の2ページを見ていただきたいのですが、「効能・効果に関する使用上の注意」というところです。その(2)に、やはり器質的疾患を除くということで、「上部消化管内視鏡検査等により、胃癌等の悪性疾患を含む器質的疾患を除外すること」ということで、注意書きを記載させていただきました。
○松井部会長 鈴木委員、よろしいですか。
○鈴木委員 はい。
○佐藤(田)委員 私も同じような質問をしたかったのですが、添付文書の2ページの右側の行に、「用法・用量に関する使用上の注意」というのがあります。そこで、「本剤を1か月間投与しても症状の改善が認められない場合は本剤の投与中止を考慮すること。」ということと、2番目に、「症状が持続する場合は器質的疾患の可能性も考慮し、上部消化管内視鏡検査に加え、必要に応じて他の検査の実施を検討すること。」という場合、アルゴリズムからいうと、「先に検査を」ということをはっきりとして、この疾患を最初に御説明いただいたとおり、明確な理由が分からないような、膨満感について、投与するという薬だそうですので、そうすると、「この投薬で効かなかったので、検査をもう少ししておこう」ということが起こる可能性が強いという懸念もあるので、そのあたりを強く、投与する医師に対して注意の喚起をしていただきたいです。
 というのは、審査報告書の78ページの下から6、7行目に、長期投与の例で膵癌の死亡例があったということです。これは稀だったのかもしれませんが、大いにあり得ることかもしれません。そうすると、1か月待ち、それから検査をやっていくというのでは、逆に、膵癌などは発生する癌の部位によっても違うかもしれませんが、手遅れになっていくので、そういうものを最初から出してみようかという感じがないように、添付文書で注意喚起をしていただいた方が良いのではないかと思います。
○松井部会長 機構の御意見はいかがですか。
○機構 御指摘ありがとうございます。機構よりお答え申し上げます。
 用法・用量に関連する使用上の注意の1点目なのですが、まず、効果がない場合は、むやみに投与はしないでほしいという意図がございました。
 2番目ですが、完全ではなくとも、少し良くなる場合がございまして、その場合は、今回御指摘いただいた78ページの長期投与例もそうなのですが、完全に良くはならないけれども、効果がないわけでもないというわけで、患者と相談しながら続けるという場合があります。
 その場合に、直ちに内視鏡以外の検査をする必要があるかというのは、一律に判断するのは難しいので、患者の状態を判断して、持続する場合には、更にほかの疾患も考慮すべきではないかというような注意喚起が良いのではないかと、専門協議でも議論させていただきまして、このような注意喚起とさせていただいたのですが、先生の御意見ですと、2番目を、より強調した方が良いということでしょうか。
○佐藤(田)委員 はい。
○松井部会長 その点につきまして、よろしければ平石委員から御発言をいただけますか。
○平石委員 効能・効果に関連する使用上の注意(2)の重みと、その次の用法・用量に関連する使用上の注意の(2)の重みを、どのように位置づけるかということは非常に重要だと思います。つまり、機能性ディスペプシアというのは、器質的疾患がないというのが前提ですので、通常の消化器診療を行っている医師であれば、内視鏡検査を行って、器質的疾患を除外するというのは常識の範囲に入ってきます。
 したがって、我々消化器を専門とする者としては、これは常識になっているわけですが、問題は、消化器を専門としない先生方に対する注意喚起を、どのように行うのかということが極めて重要ではないかと考えます。
○松井部会長 機構側はいかがですか。
○機構 御指摘ありがとうございます。私どもとしましては、最初の投与開始前に、使用上の注意として、効能・効果の2番目のところに、きちんと「器質的疾患を除外すること。」ということを記載し、「その後、投与を続けても症状の改善が認められない場合は」というのは、「用法・用量に関する使用上の注意」のところで、再度検査をしていただくという形で書いたのですが、これらが分かれていることによって、更に分かりにくくなったという面もあるかと思いますので、この器質的疾患を除くということを分かりやすくするために、この部分については工夫をさせていただくということでいかがでしょうか。
○松井部会長 今の委員の先生方の御意見はいかがでしょうか。まず、「器質的疾患を除くことが望ましい」ということを明記するということが、いちばん明確な方法だと思うのですが、いかがですか。
○機構 まさに、先生の御指摘のとおりで、そこで「効能・効果に関する使用上の注意」では、「器質的疾患を除外すること」ということで、ここでは必ず除外しなさいということで明記させていただいています。
○松井部会長 委員の先生方、よろしいですか。
○鈴木委員 ほかの先生も懸念されているように、functional dyspepsiaと診断して使用する以上、日本の場合は、少なくとも内視鏡検査は前提となるということだと思います。そうでないと、慢性胃炎とどこが違うのだということになってしまいますから、そこははっきりしておいた方がいいのではないでしょうか。我が国では、医療制度上、それは全く問題なく行うことができます。
○松井部会長 委員の先生方、よろしいですか。ほかに御意見はございますか。
○加藤委員 今の添付文書のこともあるのですが、実際の臨床の現場への指導ということも含めて、今までfunctional dyspepsiaに対する、それを適応とした治療薬がなかったということなのですが、今まで、実際にこういう症状を持っている患者が来た場合は、比較的漫然と、H2ブロッカーであるとか、ドパミンのDA-2ブロッカーであるとか、5-HT4-アゴニストとか、そういうものが何となく投与されていたということが大部分だと思うのですけれども、この添付文書を見ていると、例えば相互作用や、併用に関する記述というのは、これはコリンエステラーゼ阻害薬ですので、コリンに関するものしか出ていないのですが、実際の現場で、例えばH2ブロッカーとの併用は可能かなど、そういう混乱を招くことはないのでしょうか。
 この添付文書だけを見た場合に、臨床の現場で、今までのこういう症状に対して、適応してきた臨床の現場の治療方針と、どのように相入れていくのかということについての指導を、これからどうしていくのかについて伺いたいと思います。
○松井部会長 いかがでしょうか。
○機構 まず、酸分泌抑制薬との併用ということに関しましては、非臨床でのデータがございまして、酸分泌に影響がないというデータを確認しております。
 審査報告書の79ページの記載ですが、国内外でFDに対する治療アルゴリズムというのが提唱されております。食後愁訴症候群(PDS)、心窩部痛症候群(EPS)と省略されておりますが、それぞれ、第1選択薬とされております。
 その上で、PDSに対して、消化器運動改善薬が無効の場合は、酸分泌抑制薬を追加、または切り替える。EPSに関しては、酸分泌抑制が無効な場合には、消化器運動改善薬の追加または切替えというのが、国内の専門分野の先生から御提案されている現状がございますので、そういった観点での、実際の診療の適正使用に関しては、資材等で反映させまして、市販直後調査等もございますので、現場への情報提供というのは徹底していきたいと考えております。
○加藤委員 おっしゃることは分かるのですが、その下の方を読みますと、「以上より」という段落で、「併用薬に関する安全性及び有効性について現時点では十分な情報が得られていない」ということなので、併用してもいいのかということに関して、臨床の現場に対し、どのように指導していくのかというのは、今のお答えだと分かりにくいと思います。
 実際問題として、併用したい症例はあるのではないかと思うのですが、それにどう対応していくのかというのが、今のお答えだと分からないです。現在の状況は分かりましたが、今後これが市場に出回ったときに、どう処方していいのかということに対して、どのように指導していくのかというのは、御方針があるのでしょうか。
○機構 今のところ、治験の段階では、抗コリン剤とか、コリン作動性薬剤というのは、併用禁止になっておりますので、十分な情報がないというのはおっしゃるとおりです。
 ただ、これまでの臨床試験成績等から考えまして、本薬のコリンエステラーゼ阻害作用に基づく有害事象の報告はないと考えておりますので、現時点で非常に重大な懸念があるとまでは考えていないということです。
 その点に関しましては、資材等でも情報提供等は考えておりますし、併用情報に関しましては、製造販売後等調査で、重点的に調査していくということで考えております。審査報告書81ページの使用成績調査計画の骨子にお示ししたとおり、併用薬剤については注意して調査していこうと考えております。
○松井部会長 ほかには御質疑はございますか。
○山田委員 従来あるアセチルコリンエステラーゼ阻害薬の使用上の注意に、例えば胃潰瘍、心機能で不整脈等の患者には禁忌であるなど、再発するおそれがあるので使用を注意するというような注意喚起があると思うのですが、この薬剤については、そういう注意喚起がございませんが、それは必要ないのでしょうか。
○機構 まず、非臨床試験成績におきまして、毒性試験、安全性薬理試験等で、コリンエステラーゼ阻害作用に基づく作用、縮瞳などが認められているのは事実です。ただ、それについては非常に高用量で発現しておりまして、第I相試験をはじめとして、臨床では有害事象が出ていないということと、非臨床試験成績と臨床との間の考察等につきましては、(非臨床では)ばく露量が非常に高いということで、FD臨床成績で認められているものとしては現時点で懸念があるとまでは考えておりません。
○山田委員 臨床試験では、そういう既往歴のある患者にも投与されたのでしょうか。
○機構 国内の臨床試験成績での除外基準等につきましては、重篤な心疾患、肝疾患、腎疾患、血液疾患等の患者については、除外されて治験が実施されていましたので、既往歴については、今すぐには確認できない状況です。
○松井部会長 今、おっしゃったのは、併用薬剤のことですか。疾患ですか。
○山田委員 従来の薬、例えばドネペジルのようなアセチルコリンエステラーゼ阻害剤の注意喚起の中に、胃潰瘍、不整脈等の既往歴のある方には、投与は禁忌だったような気がするのですが、薬理作用的にそういう懸念があるからだと思いますが、そういう点で、この薬剤については注意喚起する必要がないかどうかです。
○松井部会長 既往疾患に関する記述ということですが、いかがですか。
○機構 今のところ、第I相試験などでの成績から踏まえて、QT延長はないかということは確認しておりますので、その点についての懸念はないかと思います。
 ただ、臨床試験の精査をしまして、特に問題が認められてないかということは、申請者に確認したいと思いますが、必要があれば使用上の注意への反映等は考えたいと思います。
○松井部会長 今のお答えでよろしいでしょうか。
○山田委員 はい。
○松井部会長 それを適切に引用するということでお願いします。ほかに御質問、御意見はございませんか。
○平石委員 追加ですが、今、日本消化器病学会では、機能性ディスペプシアの診療ガイドラインを作成中です。作成委員長にお聞きしましたところ、本年いっぱいを目処に、FDの診療ガイドラインを作成する予定であると聞いておりますので、その作成に当たっては、この薬剤の科学的根拠も取り入れられれば、よりクリアなものが出来上がると思っています。
○機構 先ほどの御説明を補足いたします。現時点で、気管支喘息やコリンエステラーゼ阻害作用に基づいて、具体的な懸念がないか、臨床試験成績からそういった懸念がないかは、再度、申請者に確認したいと思います。
 そういった懸念がなければ、特段現時点で使用上の注意等に反映するということは考えておりません。
○松井部会長 ほかに御質疑はありませんか。もしなければ、議決に入ります。議決に関して、野田委員、平石委員、村田委員におかれましては、利益相反に関する申出に基づきまして、議決への参加を御遠慮いただきたいと思います。
 そのほかの先生方、本議題について承認を可としてよろしいですか。
 ありがとうございます。御異議がないと認めますので、承認を可として、薬事分科会に御報告いたします。
○松井部会長 議題2に移ります。野田委員におかれましては、議題2の審議の間は別室で御待機ください。
── 小早川参考人、野田委員退室 ──
○松井部会長 審議事項議題2について、医薬品医療機器総合機構から御説明をお願いします。
○機構 審議事項議題2、資料2「医薬品プラリア皮下注60mgシリンジの生物由来製品及び特定生物由来製品の指定の要否、製造販売承認の可否及び再審査期間の指定並びに毒薬又は劇薬の指定の可否について」医薬品医療機器総合機構より御説明いたします。本剤はNF-κB活性化受容体RANKのリガンドであるRANKLに対するヒト型IgG2モノクローナル抗体であり、RANKLに結合することで、破骨細胞の形成、活性化及び生存を抑制し、骨吸収を抑制する薬剤です。
 本剤は2012年10月現在、米国、欧州を含む60か国以上で承認されています。
 なお、国内では同じ有効成分のランマーク皮下注120mgが、効能・効果を「多発性骨髄腫による骨病変及び固形癌骨転移による骨病変」、用法・用量を「通常、成人にはデノスマブ(遺伝子組換え)として120mgを4週間に1回、皮下投与する」として、2012年1月に承認されています。
 本品目の専門協議では、資料16にお示しする先生方を専門委員として指名させていただいております。
 以下、本剤の有効性及び安全性について、臨床試験成績を中心に説明させていただきます。
 有効性については国内第III相骨折評価試験において、審査報告書25ページ、表11にお示ししましたように、投与24か月までの脆弱性の椎体骨折の発生率について、プラセボ群に対する本剤群の優越性が検証されました。また、27ページ、図2にお示ししましたように、本剤群における効果が36か月間概ね維持されたことが確認されました。
 安全性については33~38ページの「(3)安全性について」の項に記載しましたように、低カルシウム血症、顎骨壊死、感染症、皮膚感染症及び皮膚関連事象等について検討した結果、適切な注意喚起等がなされることを前提とすれば、本剤の安全性は許容可能と判断いたしました。
 なお、同じ有効成分のランマーク皮下注120mgの国内市販後に、重篤な低カルシウム血症の副作用が32例報告され、死亡例が2例含まれていたことから、2012年9月に安全性速報が発出されました。以上を踏まえ、低カルシウム血症に関する安全対策の観点から本剤においても患者の状態及び臨床検査値に応じて適切にカルシウム及びビタミンDを補給する旨、投与後早期及びその後も定期的に血清カルシウム濃度を測定し、測定値の変動、自覚症状、及び他覚所見に注意する旨の注意喚起を行うこと、また、情報提供資材を用いた医療現場への情報提供を行うことを申請者に指示しました。
 製造販売後調査については、45ページ、「(4)製造販売後調査について」の項に記載しましたように、目標症例数3000例、観察期間3年間とした特定使用成績調査が計画されており、カルシウム及びビタミンD又は活性型ビタミンDの補給状況、血清カルシウム濃度について情報収集し、本剤投与時の低カルシウム血症及び高カルシウム血症の発現状況について検討される予定です。また、顎骨壊死、感染症、皮膚感染症及び皮膚関連事象、膵炎、非定型骨折、骨折遅延治癒、悪性腫瘍、心血管系リスク、白内障、過敏症、注射部位反応、抗体産生による安全性及び有効性への影響、男性患者における有効性及び安全性についても情報収集される予定です。
 以上のとおり、機構での審査の結果、「骨粗鬆症」を効能・効果として、本剤を承認して差し支えないとの結論に達し、医薬品第一部会で審議されることが適当と判断いたしました。
 本剤の再審査期間については、同じ有効成分のランマーク皮下注120mgの再審査期間に合致するよう、平成32年1月17日までとすることが適当であると判断しております。なお、原体及び製剤は、いずれも劇薬に該当し、生物由来製品に該当すると判断しています。
 薬事分科会では報告を予定しております。御審議のほど、よろしくお願いを申し上げます。
○松井部会長 それでは委員の先生方から御質疑をお願いいたします。いかがですか。
○手島委員 45ページの製造販売後調査ですが、3行目に、「他の併用薬の投与状況についても情報を収集する」ということであったのですが、今回の申請書では、ビスホスホネートとの併用ということが調べられているのですが、例えば選択的エストロゲン受容体モジュレーター等についての併用についても、情報収集されるということでよろしいですか。
○機構 機構よりお答えさせていただきます。骨粗鬆症治療におきましては、ガイドライン等では、骨吸収抑制を有するような同じ作用機序の薬剤同士の併用というのは、理論的に上乗せが期待できないので推奨されないという旨が書かれております。ただ、実際の医療現場で、骨粗鬆症の治療を目的として、どのような薬剤と併用されるかは分かりませんので、製造販売後調査においては特に薬剤を指定せずに、併用薬剤については全て収集できるように計画されております。
○松井部会長 よろしいですか。ほかにいかがですか。
○鈴木委員 添付文書を見ると、「効能・効果に関連する使用上の注意」に「2.男性患者での安全性及び有効性は確立していない。」と書いてあるのですが、それにもかかわらず、男性患者にも投与するということは、何か矛盾するような気がするのですけれど、それはいかがでしょうか。
○機構 機構よりお答えさせていただきます。「審査報告書」にも、男性患者に関する部分の議論を記載させていただいております。審査報告書の41ページを御覧ください。「2)男性患者」のところに記載させていただいております。本剤に関しまして、国内の骨折評価試験におきましては、男性の骨粗鬆症患者23例に本剤群を投与されております。この23例に限っては、安全性や有効性に大きな問題がないことは確認しております。ただ、検討症例数が少ない状況でありますので、先ほどの御指摘いただきました注意喚起をさせていただいております。男性患者に関する有効性と安全性につきましては、今後、特定使用成績調査の中で150例程度を目標として集積される予定ですので、その結果も踏まえて、再審査時にこの記載を引き続き残すことが妥当なのかどうかは、判断をさせていただくことになると思います。少し蛇足になりますが、ビスホスホネート系の薬剤についても同様な注意喚起をさせていただいており、再審査の結果等を踏まえて、このような記載を削除しているという状況もございますので、同じような対応を取らせていただければと考えます。
○鈴木委員 このように書かれてしまうと、やはり安全がもう少しはっきりしてから男性のほうは追加したほうが良い気がするのですが、どうでしょうか。まずは女性の骨粗鬆症に適用するということにしてもよいのではないでしょうか。
○機構 機構よりお答えします。骨粗鬆症の場合はやはり男女の患者数が、特に女性が多いというところがありまして、男性は5%ほどと思われます。日本で試験を行うと、どうしても男性の例数がこれまでの他の薬剤でも非常に少なく、一方、試験に全く入れないわけにもいきませんので、基本的に、男性であろうと女性であろうと、治療に必要となれば使っていただくしかないと、我々は思っております。ただし、国内臨床試験で男性患者における有効性を証明するには十分な症例数を集積できない状況にありますが、骨粗鬆症の骨折を起こしたときのQOLや、生命予後に対する影響ということを考えると、男性での有効性・安全性が確立されてなければ男性のみ使用出来ないというのも、倫理的に難しいこともございます。歴史的に、こういう領域では男性での有効性・安全性は確立されてないという記載がされてきた経緯がございます。
○鈴木委員 少し納得ができないのですが、薬というものは、有効性・安全性が大事ではないのですか。それが確立されていないと言いながら、使ってくださいと言うのは、少し問題ではないですか。男性に関しては症例が集積してから使用したほうが良いのではないかと思います。
○機構 御説明になるかどうか分かりませんが、骨粗鬆症でいちばん多いのは閉経後骨粗鬆症になります。圧倒的に患者さんは女性が多いです。ただ、男性でも、やはりエストロゲンの減少などで骨がもろくなると、骨折をきたしたときに、当然寝たきりになり医療費も掛かりますし、寝たきりになった場合、やはり生命予後が悪いというデータが出てきております。それは男女関係なく同様です。ですから、男性に対して有効性・安全性が見られるまで使えないというのは、なかなか我々としてはそこまで言えないのではないかと考えております。そこは患者さんの男女比が同数ほどであれば別なのですが、圧倒的に男性が少ないという疾患領域ですので、そういう配慮をしております。
○鈴木委員 何回も言って申し訳ございませんが、おっしゃることはよく分かります。しかし、これが唯一の治療法というわけではないし、画期的で、これがほかに何もしなくてもこれだけでも効くというのでしたら、そういうこともあるのかも知れませんが、当然骨折などあった場合には通常の手術なり、リハビリなり、そういった治療もあるわけです。これだけで治るというわけではありませんから、やはり男女においてその使用レベルが違うということをはっきりしておく必要があるのではないでしょうか。
○松井部会長 レベルというのは。
○鈴木委員 使用の安全性・有効性がこれだけ違うということを書くということですから、男性においては治療上の必要性が有効性・安全性を上回る場合においてのみとか、何か、そういうある程度リスクとベネフィットを秤にかけて、それを上回る場合は有効性・安全性は確立しないけれども使うなど、そういうようなことがもっとはっきり分かるようにすべきではないかと思うのですが、いかがですか。
○機構 御指摘ありがとうございます。先ほども御説明したように、なかなか難しい状況でございます。例えば、同種同効品一覧というのが、今お手元の資料の付箋の1.7にございます。その11ページを御覧ください。ビスホスホネートのリセドロン酸ナトリウム水和物がございます。そこで効能・効果を見ていただきますと、やはり「2.男性患者での安全性及び有効性は確立していない。」という記載をしております。また、同様に27ページにも、エルデカルシトールが出ておりますが、やはり同じような記載になっております。鈴木委員の御指摘はもっともなのですが、今までこのような扱いをしてきておりますので、この品目だけというのが難しい状況で、このような記載になっております。直接的なお答えではないのですが、状況としてはこういう御説明になります。
○松井部会長 これは、例えば小児についても、ある意味で言えることです、確立されていない。そうすると小児では使えなくなるということなのですが、大人の場合もやはり厳密には使えないということになりますか。
○機構 機構よりお答えさせていただきます。この記載に関しましては、使えないというお話ではなく、委員から御指摘をいただいているように、有効性と安全性が確立されたという状況ではないので、臨床医、実際の医療現場の先生方におかれましては、これまでのビスホスホネート製剤でありますとか、類薬それから本剤、どれを選ばれるかは患者さんの状態に応じて検討をしてくださいという旨を込めて、この記載になっております。今までの薬剤も、同じように記載をさせていただいておりますので、このままの記載とさせていただければと思います。
○松井部会長 注意して使用するようにということでしょうか。
○鈴木委員 遺伝子組換えのこういった薬というのはほかにもあるのですか。骨粗鬆症の類薬というのはあるのですか。
○機構 骨吸収抑制剤といたしましてはビスホスホネート系製剤などがありますが、本剤の薬理作用である、RANKL阻害を有する骨粗鬆症に関するお薬は、この薬剤一つです。
○鈴木委員 同じ成分で、多発性骨髄腫に使うものがあるということですが、それは癌の適応があるわけです。これは骨粗鬆症ということで対象患者さんは多いと思います。一方では、ここでは議論する話ではないでしょうが、薬価は非常に高くなる可能性があると思うので、その辺でどうかと思います。男女全く同じような使い方をしていいということで、小さく書いてはありますが、もう少し差をつけるような、注意を喚起するような書きぶりがあっても良いのではないのかという気がするのです。
○松井部会長 この点につきましては、ほかの委員の先生方は、どうお考えですか。
○佐藤(雄)委員 1.6の諸外国での使用状況を見ていたのですが、米国ですと2010年6月に女性患者さんだけを対象として承認され、男性患者が適応に入ってきたのは2012年です。これらを考えると、少し差を設けても良いという気もするのですが。もしデータを持っていれば教えていただきたいのですが、この男性患者に対して適応が広がった際の、例えば、有害事象とか効果について何かデータはありますでしょうか。
○機構 すみません、お待たせいたしました。審査報告書の中には記載しておりませんが、低骨密度の男性を対象とした試験は実施されておりまして、安全性・有効性とも問題がないということの判断で、FDAでは承認をされております。外国人のデータにはなりますけれども、一応エビデンスは確立をしているということになります。
○松井部会長 鈴木委員、少しお待ちください。
○審査第一部長 例えば、効能・効果に関連する使用上の注意の記載のところに、確立していない理由として、括弧書きで、症例数が少ないなど、そういう記載をし、その部分を後ろの方の臨床成績のところに内容を書くということで、明確化することでいかがでしょうか。他剤とは並びが少し変わるのですが、より詳しく記載をするということでどうかと思うのですが、いかがですか。
○鈴木委員 それは最低の条件だと思うのですけれども、ヨーロッパの適応を見ると、閉経後骨粗鬆症及び前立腺がん患者の骨粗鬆症におけるホルモン抑制療法による骨量減少ですから、女性の場合は閉経後で、男性は前立腺がんのホルモン療法の副作用の方のみということで、これは差をつけています。そういうことが、当面妥当ではないかという気がするのですが、いかがですか。
○機構 機構よりお答えします。この剤に限らず、これまでの類薬の開発状況を見ると、海外では男性患者を対象とした独立した試験が何とかできますが、日本はなかなか独立した男性患者だけの試験というのは現実的に難しいという状況があります。先ほど言いましたように、圧倒的に女性が多い疾患ですから、まず女性を対象に開発を先行させ、男性の開発が後ということは十分考えられます。海外ではそういう試験が後からでもできて、その段階で有効性・安全性を確認するという手段は恐らく取れると思います。では、日本で同じことをできるかというと、かなり例数を集めるためには長期間、海外の試験期間どころではない期間をやらなくてはいけないだろうと、ここは推察ですが、そうなると、海外では男性にも使える、日本はずっと使えないという状況が生じてしまうのではないかということも、我々としては考えなくてはいけないのではないかと思いますが、いかがですか。
○鈴木委員 いえ、そういう意味ではヨーロッパでは最初から、使える男性の患者を限定しているではないですか。男性の骨粗鬆症は少ないと言っても、これだけの超高齢者社会ですから、男性の骨粗鬆症患者もたくさんいると思います。ほかの疾患と比べたら数が多い疾患ですから、それはきちんともう少し力を入れておやりになったほうが良いのではないかと思います。そんなものでいいのでしょうか。そんな有効性・安全性のレベルで通してしまっていいのかというのが、素朴な疑問です。
○松井部会長 いかがですか。私も、委員の先生方の可能な限り全員一致でと、これまでもしてきたのですけれども、ではお話をどうぞ。まず御答弁をお願いします。
○機構 今の鈴木先生の御趣旨は理解しました。そういう方向で開発を進める、あるいは考えるというのは望ましいと私も思います。ただ、海外でこれが標準的治療薬かどうかというのは別として、やはり海外で新たな作用機序で、より有効で安全な薬剤が開発されたとしたら、なるべく日本でも遅れないように使っていただけるようにするのが妥当かと思いますが、その場合は、御指摘のように、有効性・安全性が日本人で確認されての話だというのは当然理解します。ただ、今骨粗鬆症の治療薬においては、ビスホスホネートが世界的な標準薬ととらえて良いかと思うのですが、だんだん市販後のデータを積み重ねていくうちに、やはり長期に使った場合の安全性はどうなのかという話題が出てきておりますので、有効性・安全性が確立されてない部分が消された薬剤であっても本当に男性あるいは女性、長期に使って良いのかという議論はまた別にありますので、その辺も考慮しなくてはいけないかと思います。先生の御質問に直接お答えしていないかと思うのですが。
○松井部会長 これ以上の議論はあまりフルーツフルではないように思いますが、特に、何か今の点について御発言ございますか。
○鈴木委員 最後に良いですか。アメリカの適応で言えば、おっしゃるとおりだと思います。ヨーロッパでは最初から適応を男女で差をつけているではないですか。そういう御判断はできなかったのですかということをお聞きしたいのです。
○松井部会長 その点についてお答えください。
○機構 機構よりお答えさせていただきます。本剤に関しては、SERMのように男性と女性で薬理作用が大きく異なる、寄与する薬理作用が異なるというような薬剤でもございませんので、男性においても、十分その有効性は期待できると考えております。また日本人においては、残念ながら検討症例数が少ないところではありますが、先ほど御指摘いただいたような海外の男性の試験もございますので、それらを考えますと、やはり閉経後骨粗鬆症というような効能・効果を付すよりは、骨粗鬆症という効能・効果を付し、できるだけ早く最新の薬理作用を有する薬剤を国内の臨床現場でお使いいただけるような環境を整えることが望ましいと判断をいたしました。
○松井部会長 今の御説明については、御理解いただけたと考えてよろしいですか。
○鈴木委員 なぜヨーロッパと違うというところは、説明になっていないと思います。なぜ違うのかというのは、なぜ適応に差をつけなかったということです。それはまだ説明になってないと思います。
○機構 同じようなお答えを先ほどさせていただいたのですが、この薬剤に関してそうなのかということよりも、一般論的な。
○鈴木委員 いや、一般論ではないですよ。ヨーロッパの適応とアメリカの適応は違うわけですね。日本は適応が一番緩いではないですか。それがどうしてなのかと、ヨーロッパのような考え方があっても良いのではないかと思います。
○松井部会長 どのように考えたかということだと思うのです。
○機構 日本で、仮に同じように、男性を後からでもきちんとしたデータで承認するということの方向を取るとすると、恐らく現実的に日本では開発されないのではないかと思っております。つまり、有効性・安全性を検討できる例数の試験を行おうとすると、組入れ期間、あるいは実施期間はある程度2年、3年と決まってくると思いますが、必要な例数を組入れるのには、おそらく長期間掛かり、結局、開発されないのではないかと危惧しております。新薬はですね。つまり、女性だけ、一番パイの大きい女性だけ手をつけて、男性は後回しというところを危惧しております。ですから、日本で海外の考え方を適用するというのは、逆に男性患者を放置するところにつながることを懸念しております。
○松井部会長 松木先生、何かございますか。
○松木部会長代理 本当に本質的なところだと思うのですが、ただ、同様な記載で同じような薬が現場で使われているということなので、多分臨床の現場の先生方も混乱なく、これが使えるのではないだろうかと推測いたします。そこで、先ほど少し話がありましたが、例えば、症例数が少ないことがまだ確立されてないという原因であるということを書き加えるのは、一つの案ではないかと思いますが、いかがでしょうか。
○松井部会長 先生方、いかがでしょうか。
○鈴木委員 一般用医薬品部会と違って、徹底的に反対するというものでもございませんので、その辺で座長の御判断に委ねたいと思います。
○佐藤(雄)委員 41ページに、数は少ないけれども男性患者についても検討されたということですし、海外での数字も、ある程度蓄積をしていくだろうと思いますので、その辺適切に情報提供していただけたらと思います。
○豊見委員 一つだけよろしいですか。どうもシビアな議論の後で、少し聞きにくいことなのですが、聞き逃したかも分からないのですが、なぜ同じ薬で、同じ会社が出すのに、この新しい名前がついたのかということを教えていただけたらと思います。
○機構 機構よりお答えさせていただきます。今回、ランマークと同じ有効成分ではあるのですが、効能・効果が大きく異なるという所と、それから用法・用量を先ほど口頭では御説明させていただきましたが、本剤に関しては、癌の半量を6か月に1回ということで、癌は4週間に1回ですので、用法・用量がかなり異なっているという状況もありまして、本剤に関して適切な安全対策を取っていくためにも、異なるブランド名で管理をした方が良いという判断があったものと考えております。
○松井部会長 その点について、豊見先生よろしいですね。
○豊見委員 はい。
○松井部会長 それでは、今問題になりました鈴木委員の御提言は大変重要だと思いますので、男性患者に関する記載の所には、症例数が少ないのでというようなことを括弧書きにするということで、皆さんの議決を取りたいと思いますが、よろしいですか。では、そのような記述をするということで、本議題につきまして、承認を可としてよろしいでしょうか。
 どうもありがとうございます。それでは御異議がないようですので、承認を可として、薬事分科会に報告といたします。どうぞ、野田委員に入って頂いてください。
── 野田委員入室 ──
○松井部会長 審議事項議題3に移ります。よろしくお願いします。医薬品医療機器総合機構から御説明をお願いします。
○機構 審議事項議題3、資料3「医薬品レグテクト錠333mgの生物由来製品及び特定生物由来製品の指定の要否、製造販売承認の可否及び再審査期間の指定並びに毒薬または劇薬の指定の要否について」、医薬品医療機器総合機構より御説明いたします。
 まず、本剤の適応対象であるアルコール依存症について御説明させていただきます。
 審査報告書3ページ「1.起原又は発見の経緯及び外国における使用状況等に関する資料」を御覧ください。アルコール依存症は、精神作用物質に対する依存症候群の一つであり、病的飲酒、社会職業的機能障害、身体依存等の臨床症状を示し、気分障害、てんかん、自殺等の精神障害をはじめとして、肝障害、心血管障害等の身体障害も合併します。アルコール依存症に対する治療は、断酒が原則であり、断酒を継続するための治療としましては、心理社会的治療が中心となります。また断酒の継続に際しては、薬物療法として抗酒薬が併用される場合もあります。
 本剤の有効成分であるアカンプロサートカルシウムはホモタウリンの誘導体であり、中枢神経系に作用することにより効果を発揮すると考えられております。海外では1987年7月にフランスで、「アルコール依存症患者における断酒維持」の効能・効果で承認されて以来、2012年10月現在、米国及び欧州など28の国又は地域で承認されております。本邦においては、20□年□月より臨床試験が開始され、今般、製造販売承認申請が行われたものです。
 本申請の専門委員としては、資料16に記載しております10名の委員を御指名させていただきました。
 審査内容について、臨床成績を中心に御説明させていただきます。
 まず、有効性についてですが、審査報告書42ページの表15を御覧ください。入院治療プログラムを完遂し、心理社会的治療を受けているアルコール依存症患者を対象とした国内第III相試験において、有効性評価項目である投与期における完全断酒率は、プラセボ群で36.0%、本剤群で47.2%、群間差は11.3%であり、統計学的に有意な差が認められており、本剤の臨床的意義は示されていると判断いたしました。
 次に、安全性についてですが、審査報告書51ページを御覧ください。国内臨床試験におきましては、自殺関連有害事象は自殺念慮が1例認められたのみでしたが、海外臨床試験では、表23のような自殺関連有害事象の発現が認められております。アルコール依存症では自殺者の割合が高いことが知られており、自殺関連有害事象の発現との関連性が考えられますが、プラセボ群と比較して本剤群で自殺関連有害事象の発現割合が高い傾向が示され、本剤投与によりリスクが高くなる可能性は否定できないことから、自殺企図の既往のある患者、自殺念慮のある患者などを慎重投与とし、添付文書の「重要な基本的注意」の項において、自殺関連有害事象の発現リスクについて十分に注意喚起するとともに、医療関係者向けの資材等においても、適切に情報を提供し注意喚起するよう申請者に指示しております。
 また、本剤の投与期間についてですが、審査報告書58ページ、表31及び表32を御覧ください。国内臨床試験では、24週間投与による有効性及び安全性しか確認されておりませんが、海外臨床試験では1年間投与による有効性が確認されており、また、投与24週以降に新たに安全性上懸念されている事象は認められておりません。本剤のような断酒補助剤による治療は、断酒維持への確実な移行を助け、薬剤の投与を中止しても長期の断酒維持を可能とすることが目的であることを考慮しますと、本剤の投与期間は、原則として、国内臨床試験において有効性及び安全性が確認された24週間とすることが適切と考えておりますが、アルコール依存症が精神的、身体的、社会的に深刻な影響を及ぼす疾患であることを考慮しますと、本剤の投与期間を一律に規定するのではなく、本剤を漫然と投与しないように十分注意喚起した上で、治療上の有益性が認められる場合には本剤の投与継続を許容することが妥当と考えております。
 以上の審査を踏まえ、本剤のアルコール依存症患者における断酒維持の補助に対する効能・効果を承認して差し支えないとの結論に達し、本第一部会で御審議いただくことが適当と判断いたしました。本申請は、新有効成分含有医薬品であり、再審査期間は8年、原体及び製剤はいずれも毒薬及び劇薬に該当せず、生物由来製品及び特定生物由来製品にも該当しないと判断しております。
 なお、薬事分科会には報告を予定しております。よろしく御審議のほどお願いいたします。
○松井部会長 それでは御質疑をお願いします。いかがでしょうか。
○松木部会長代理 アルコール依存症のメカニズムがまだよく分からず、それに対しての効果ということで、この効能の書き方について質問です。アルコール依存症患者における断酒維持の補助ということで、これは断酒を維持するということだけなのですか。飲酒量が減っているとは思うのですが、飲酒量が減るというだけでは、あまりアルコール依存症患者の治療ということには繋がらないということで、断酒をしないといけないということなのでしょうか。
○機構 機構よりお答えさせていただきます。飲酒量の抑制効果については、審査報告書の59ページに記載しております。59ページの中程の表33を御覧ください。こちらが、国内第III相試験による飲酒状況の結果です。一番右のカラムですが、全体集団で見ましても、本剤群とプラセボ群の群間差はマイナスになっておりますので、本剤群の方が飲酒量が少なくなっておりますが、95%信頼区間を見ますと、0をまたいでおりますので、この結果から明らかに飲酒量が抑制されたということまでは言えないと考えております。また、こちらは主要評価項目と設定されたわけではありませんので、効能・効果に書けるようなものではないと考えております。また、アルコール依存症の治療の目標としては、断酒が原則になっておりますので、効能・効果としても断酒維持の補助に限定した形にするのが適切と考えております。
○松木部会長代理 もう1点あるのですが、よろしいですか。先ほどの議論と似たような感じなのですが、添付文書の2ページの6番、小児等への投与というのは重要だと思うのですが、ただ、ここは「使用経験がない」というのはアルコール依存症なので当然です。しかも、小児がアルコール依存症になること自体が問題だと思うのですが、やはりこれはルーチンに書かなくてはいけないことなのでしょうか。
○機構 機構よりお答えさせていただきます。投与経験がないというところは重要であり、きちんと情報提供すべきことと考えておりますので、括弧書きで、(使用経験がない)と書くことが適切と考えております。
○松井部会長 18歳未満は小児ですので、そういうことも考えなければいけないかと思います。
○松木部会長代理 分かりました。
○松井部会長 ほかにございますか。
○鈴木委員 添付文書(案)で、効能・効果に関する症状の注意の「3.断酒の意志がある患者にのみ使用すること。」ということですが、これはその意思があるということと、本人がこういった薬を服用することを自覚しているというのとでは、少し違うと思うのです。やはり御本人がこういう薬を投与することをきちんと理解した上で服用していただくことが必要ではないかと思います。というのは、この薬ではない類薬で、奥さんが黙って旦那さんに何かに混ぜて飲ませてしまっていて、本人は、やめるつもりでいたのだけど、たまたま飲んでしまったところ、副作用が強く出て意識障害などが残った例がありました。その場合、本人に辞める意志があっても、当初は揺れる時期もあるかと思いますし、奥さんが旦那さんを思うあまり心配して投与したのに、結果的には意識障害で寝たきりにしてしまった訳ですので、その辺は、はっきりこういう薬を使うことは本人に告げるということを入れた方が良いのではないかと思うのですが、いかがでしょうか。
○松井部会長 いかがですか。
○機構 機構よりお答えさせていただきます。アルコール依存症の治療薬として今現在使われている抗酒薬で、御指摘のあったような使い方がされているという実態は我々も把握しておりますが、本剤は、これまでの抗酒薬とは作用機序が違うということを、きちんと医師に対して情報提供することが重要だと考えております。こちらの方については、資材の中でもきちんとこれまでのものとは違うことが分かるように、書かせていただいています。
○松井部会長 よろしいですか。
○鈴木委員 本人がきちんと服用し、やめるために必要なのだということを、そのために飲むということを分かるようにしていただければいいと思います。
○機構 機構より追加でお答えさせていただきます。効能・効果に関連する使用上の注意で、同じく「2.心理社会的治療と併用すること。」と記載しているのですが、本剤を投与される患者さんというのは、基本的には心理社会的治療を十分に受けておられる患者さんだと思いますので、その心理社会的治療の中できちんと、この薬を投与して更に断酒の維持をしていくというところについては十分なコミュニケーションが図られるものだと考えております。
○松井部会長 ほかにはいかがですか。御意見ございませんか。
○本橋委員 投与期間24週間までにすることとなっておりますが、これは海外では古くから使われている薬で、長期投与の安全性は確認されているのではないかと思うのですが、その辺はいかがでしょうか。
○機構 機構よりお答えさせていただきます。おっしゃるとおり海外では、もう10年以上使われており、また欧州の方では、添付文書の中で投与期間は原則として1年ということが書かれています。24週以降、日本人に投与した場合でも、新たな有害事象、安全性の懸念が大きいとは考えておりませんので、「用法・用量に関連する使用上の注意」としては、「原則として」ということは入れさせていただき、そのあとに、「治療上の有益性が認められる場合にのみ投与期間を延長できるが、定期的に本剤の投与継続の要否について検討し、本剤を漫然と投与しないこと。」という形で記載しております。治療上の有益性が認められる場合に関して、24週以上投与することは可能と考えております。
○松井部会長 よろしいですか。ほかにございませんか。ないようですので、議決に入ろうと思いますが、林委員と平石委員におかれましては、利益相反に関する申出に基づきまして、議決への参加を御遠慮ください。
 本議題につきまして、承認を可としてよろしいでしょうか。
 御異議が無いようですので、承認を可として薬事分科会に報告いたします。
 それでは議題4に移ります。医薬品医療機器総合機構から概要説明をお願いします。
○機構 審議事項議題4、資料4「医薬品リリカカプセル25mg、同カプセル75mg及び同カプセル150mgの製造販売承認事項一部変更承認の可否について」、医薬品医療機器総合機構より御説明いたします。
 本剤の有効成分であるプレガバリンは、カルシウムチャネルのα2-δサブユニットと結合するGABA誘導体であり、本邦においては2010年4月に「帯状疱疹後神経痛」の効能・効果で承認後、糖尿病性末梢神経障害に伴う疼痛に対する臨床試験成績と併せ、2010年10月に「末梢性神経障害性疼痛」の効能・効果で承認されております。今般の申請は、中枢性神経障害性疼痛に対する臨床試験成績に基づき、末梢性及び中枢性を併せた効能・効果である「神経障害性疼痛」に変更するためのものです。
 なお、本剤は神経障害性疼痛、末梢性神経障害性疼痛、中枢性神経障害性疼痛に関連する効能・効果で、2012年7月現在、120の国又は地域で承認されており、EUでは「神経障害性疼痛」の効能・効果で、米国においては「糖尿病性末梢神経障害に伴う神経障害性疼痛、帯状疱疹後神経痛、脊髄損傷に伴う神経障害性疼痛」の効能・効果で承認されております。
 本申請の専門委員としては、資料16に記載されている4名の委員を御指名いたしております。
 審査内容について、臨床試験成績を中心に御説明いたします。
 有効性は、審査報告書7ページの表1を御覧ください。中枢性神経障害性疼痛の代表的な病態モデルと考えられる脊髄損傷後の患者を対象とする国際共同第III相試験が実施され、プラセボ又は本剤150~600mgを投与した結果、主要評価項目であるmITT集団での疼痛スコアのベースラインからの平均変化量において、本剤群のプラセボ群に対する優越性が検証されております。
 安全性について、審査報告書15ページ表13を御覧ください。表の中で略語として使用していますが、P-NePは末梢性神経障害性疼痛、PHNは帯状疱疹後疼痛、DPNは糖尿病性末梢神経障害性疼痛、C-NePは中枢性神経障害性疼痛を記載していて、一番右側のカラムが今回の臨床試験成績になります。こちらの有害事象として、傾眠、浮動性めまい等の発現が認められておりますが、帯状疱疹後神経痛及び糖尿病性神経障害患者を対象とした臨床試験と比較して発現状況に大きな差異は認められませんでした。したがって、添付文書においては、現在の注意喚起を継続することで大きな問題はないと判断しておりますが、製造販売後調査において更に検討したいと考えております。
 審査報告書25ページ、表の31を御覧ください。神経障害性疼痛には末梢性、中枢性に大別される御覧のような疾患、病態が含まれますが、本剤は帯状疱疹後神経痛、糖尿病性神経障害に伴う疼痛に対する有効性が示され、今般実施された国際共同第III相試験で中枢性神経障害性疼痛に対する有効性が確認されたことから、本剤の適応対象を「神経障害性疼痛」とすることは可能と判断いたしました。なお、本剤の臨床試験が実施された対象は限られていることから、製造販売後調査においては幅広い疾患、病態における安全性及び有効性の情報を収集するよう申請者に指示しております。
 以上の審査を踏まえ、本剤の神経障害性疼痛に対する効能・効果を承認して差し支えないとの結論に達し、本第一部会で御審議いただくことが適当と判断いたしました。本申請は新効能医薬品であり、再審査期間は帯状疱疹後神経痛に係る再審査期間の残余期間である平成30年4月15日までとすることが適切と判断しております。なお、薬事分科会には報告を予定しております。
 なお、事前に加藤委員から御質問、コメントをいただいておりますので、それに対する機構の見解を御説明いたします。大きく分けて4ついただいております。
 1点目は、審査報告書19ページの自殺関連事象に関するところです。「重症度が高い能動的な自殺念慮を有する患者を除外したとあり、また試験期間中の自殺リスクは自殺念慮について、本剤群が一番高めである。その後の精査で、自殺リスクに関する明確な結論を出し得ないとの結論を導いているが、それは重症度が高い能動的な自殺念慮を有する患者を除外した解析結果に基づいているのか。一般に本剤の適応となり得るこれらの慢性痛は、鬱、気分障害との合併率が有意に高いことが知られており、自殺リスクの高い患者も一般集団より高率に含まれると想定されるが、そのような企図を持つ患者における自殺リスクの影響は未評価、若しくは確立していない、と言うべきではないのか」との御質問です。また、「欧州では全般性不安障害の適応も承認されていることも併せて、その点についてどのように考えるのか」とのコメントをいただいております。
 これに関しては、審査報告書の19ページで、今回の国際共同第III相試験、これまでに実施された国内外プラセボ対照試験24試験について触れております。国際共同第III相試験では、こちらに記載しておりますとおり、Sheehan自殺傾向追跡尺度で重症度が高い自殺念慮を有する患者は除外しておりますが、一定の自殺念慮を有する患者は組入れ可能として実施しております。その結果、スコアに基づく評価ではプラセボ群7.0%、本剤の9.1%の自殺念慮が認められておりまして、この中で一定の自殺念慮を有する患者の評価はある程度、なされております。また、1.としてその下に書いていますが、本剤の国内外プラセボ対照試験24試験の併合解析では、本剤がおよそ5000例に投与され、その中では、有害事象ベースでの話ですが、プラセボ群で0.2%(1/496例)で、線維筋痛症患者で0.1%(4/2319例)の発現状況であることから、現時点で臨床試験からは自殺リスクは明確には示唆されていないと考えております。ただ一方で、先生から御指摘のとおり、重症度が高い能動的な自殺念慮を有する患者でのデータは得られておりません。
 一方、20ページの表22は、国内外での製造販売後の安全性情報を提示しています。こちらでは、臨床現場での使用に基づいて気分障害等の合併例の一定の報告等も含まれるものと考えておりますが、これらの患者での報告率は全体で3.27件/10万人となっております。ちなみに、今、日本での一般的な自殺率は10万人あたり24.4人、サインバルタの審査報告では、この製造販売後の報告率が19.3件/10万人/年となっていて、現在のリリカの試験成績から自殺リスクが高いということまでは、製造販売後の情報からも結論付けることは現時点ではできないと考えております。しかしながら、今後国内外の市販後の情報収集について引き続き努めて、自殺リスクについては検討していきたいと考えております。
 2点目は、審査報告書17ページを御覧ください。「表16、17の意識障害、転倒に関する有害事象解析では、本剤の既承認適応である線維筋痛症における適応例が一番右側のカラムに加えられているが、ほかの解析では一切触れられていない、線維筋痛症も恐らくは何らかの中枢内の可能性が関与していると想定され、疾患概念としてはC-NePではないが、これらの表だけで線維筋痛症を使用した意図が理解できない」との御指摘をいただいております。これに関しては、表16、表17、特に表17のような「転倒」や21ページの表24の「他害行為」といったものに関しては発現率が極めて低く、数パーセントの事象であったため、外国人も含めた1000例規模での併合臨床試験成績に基づいて議論することが適切と考え、試験成績を提示しております。一方で体重増加、浮腫などのところに関しては、日本人での臨床試験成績に基づいてある程度の議論が可能であったことから、基本的には、中枢性神経障害性疼痛の類似疾患である末梢性との比較に基づいて評価させていただきました。
 なお、こちらには特に記載しておりませんが、例えば18ページの表18のプラセボ対照試験における体重増加に関して、線維筋痛症ではプラセボ群248例、実薬群250例が投与され、一番上の体重増加としての有害事象はプラセボ群3.6%、実薬群15.6%といった値が国内試験成績からは得られております。また、表20の浮腫の発現状況ですが、同様に浮腫に関連する有害事象のみコメントさせていただきますと、プラセボ群で2.0%、本剤群で9.6%の発現が認められておりまして、審査においては、それらの情報も踏まえて中枢性神経障害性疼痛での有害事象の発現状況について評価いたしました。
 3点目は、審査報告書の25ページです。「EMAでは、末梢性神経障害性疼痛2疾患、中枢性神経障害性疼痛1疾患での有効性の証明で神経障害性疼痛の適応を取得できるという基準があるが、これを我が国でも採用するという文書的根拠は何であるのか。一方、米国では各個別の適応のみ承認されている。今後このような適応での申請が増える可能性があるので、本邦でも、こういった欧州での適応拡大の方針を適用できるということを明文化しておく必要がないか」という御指摘をいただいております。これに関しては、□□□□□□□□□□□□□□□□□□□□□□□□□□□□□□□□□□□□□□□□□□□□□□□□□□□□□□□。ただ一方で、明確な文書は現在存在しておりませんので、これに関しては先生から御指摘のとおり開発ガイドラインの作成等を今後検討していきたいと考えております。
 また、先生からは30ページの(8)「製造販売後調査の計画について」で、「多様な中枢性神経障害性疼痛が存在することはよく知られており、本剤が全てに同様に有効でないことは、臨床的にも実感されていることであるように思う。これに関し、(8)の機構の見解を強く支持する」とのコメントをいただいております。これに関しては、御指摘のとおり先生のコメントも踏まえて、製造販売後調査で適切に情報収集できるよう、企業を指導していきたいと考えております。
 4点目は、審査報告書の4、5ページにお戻りください。薬理試験に関してコメントをいただいておりまして、「中枢性の神経障害性疼痛に関してはSCIモデルでの静的アロディニアの閾地を上昇するという以外のエビデンスは全くない。自発痛も評価されていない。アロディニアのような誘発痛と自発痛の薬物反応性プロファイルが大きく異なることはよく知られており、臨床で評価されている自発痛に対する有効性は動物実験で支持されているとは言えない。また、薬効にα2-δサブユニットへの結合が関与しているかどうかも推論でしかなく、エビデンスを伴っていない。患者での有効性が証明されているから良いものの、薬効・薬理に未証明の点が多すぎる」との御指摘をいただいております。これに関してですが、非臨床モデルに限界があることに関しては、我々審査チームも認識しております。このことから、中枢性神経障害性疼痛に対する臨床試験における有効性を検証することが重要と考えており、本剤については薬効・薬理に基づいて過剰に様々な神経障害性疼痛に対して、同様の薬理作用で同様の有効性を期待できるかのような説明をすることは適切ではないと思いますので、そういったことに関して医療現場に情報提供が適切に行われるように申請者を指導していきたいと考えております。また、CTDの5ページの2.4.6の資料中の参考文献2につづりのミスがあることも御指摘をいただいておりまして、これについては今後同様のミスがないよう、再発防止に努めていきたいと考えております。
 以上、先生からいただいた御質問に対するコメントの回答になります。よろしく御審議のほどお願い申し上げます。
○松井部会長 委員の先生方の所に、加藤先生の質問状が行っていなかったでしょうか。行っていますか。難しかったかもしれませんが、加藤先生、御質問に対していかがですか。
○加藤委員 4点、いろいろと複雑なことを伺いましてすみません。ただ今の回答で、私としては、どれも納得出来ました。非常に重要なポイントとして、ここで適応が非常に拡大されるということです。実際、我が国で2000万人ほど潜在的な様々な種類の慢性痛患者がいるとされているので、かなり多数の患者数です。リリカは昨今、それまで適応がなかったような種類の様々な神経障害性疼痛など、あるいは今回は中枢性のものを含めて適応が拡大されるということで、場合によっては魔法の薬のようにマスコミは報道している部分もございますので、患者にとってどれだけのベネフィットがあるのか。確かに、ある種の副作用が出ているということも言われております。もちろんここにも適正な数字としての御報告がありますが、先ほど線維筋痛症のところで問題にした「ふらつき」や「転倒」など、そういう報告もあり、添付文書を拝見してその問題について何か触れているか見たのですが、「重要な基本的注意」というところで、特に高齢者は、めまい、傾眠、意識消失などで転倒、骨折などがあることは書いてありますが、それ以外のところには書いておらず、特に「使用上の注意」のところには書いていないように思われますので、こういうのも今後、非常に使用される数が増えるだろうというところで、今4点伺いましたが、そのうち3点はこれからこれだけ適応が拡大されて、様々な種類の慢性痛に使われるに当たって、的確な情報収集をかなり行わないと正しい評価につながっていかないのではないかということで、3点は質問させていただきました。御回答に関しては納得いたしました。
○松井部会長 ほかにございますか。佐藤委員お願いします。
○佐藤(田)委員 ただ今の加藤委員の御質問に対して、大変淀みなくお答えになったので、聞いていて逆に分からないところがありました。この添付文書の適応の部分を見ると、2種類の神経障害性疼痛と線維筋痛症に伴うものについて、今回、追加があったという理解でよろしいわけですか。
○機構 線維筋痛症に伴う疼痛に関しては、先般第一部会で御審議いただいて既に承認しておりまして、今回はこの神経障害性疼痛の、もともと「末梢性」が付いていたのを取るというのが申請内容です。
○佐藤(田)委員 そうすると、現在のところ、25ページの表31の中枢性神経障害性疼痛に挙げたものについては、適応が今回追加されるという考え方で良いのでしょうか。
○機構 25ページの表31で、これまでにリリカが持っていた適応は、大きく分けて左側の末梢性神経障害性疼痛です。今回は、右側の中枢性神経障害性疼痛の適応を取って、末梢性と中枢性を合わせた結果、それぞれ冒頭の言葉が取れて「神経障害性疼痛」になるということで、今回の申請は右側の部分が基本的には適応拡大の対象になるとなっています。
○佐藤(田)委員 ということになって、ここに挙げられたものの診断が付いたときには使えるということですね。
○機構 おっしゃるとおりです。
○佐藤(田)委員 もう一つ、原点に戻って申し訳ないですが、確かリリカが通るときに、その時点で、中枢性神経障害の疼痛にも効きそうだということは分かっていたのですか。こちらの末梢性の疾患とダブっていて、現在までの左側の末梢性の疼痛に対して投与していたら、右側の中枢性の人にも効果があったというので出てきたのか、それとも、前から分かっていたけれども、まずは末梢性の方からということで進めたのでしょうか。その経緯について基本的なところで結構ですので教えてください。
○機構 本剤の開発は、基本的には海外の方が先行していて、日本でこの開発を行うよりも前に、ある程度の臨床試験成績が得られておりました。中枢性の神経障害性疼痛に対して、リリカに関しては2004年までに終了したオーストラリアの臨床試験がありまして、その中で有効性が認められております。□□□□□□□□□□□□□□□□□□□□□□□□□□□□□□□□□□□□□□□□□□□□□□□□□□□□□□□□□□□□□□□□□□□□□□□□□□□□□□□□□□□□□□□□□□□□□□□□□□□□□□□□□□□□□□□。
○松井部会長 よろしいですか。
○鈴木委員 末梢に関わる話ではないですが、作用機序からすると原疾患にかかわらずということですので、原疾患を追求するのは余り意味がないと、審査されている方としてはお考えなのかどうか、御意見を伺いたいと思います。
○機構 基本的には、これが神経障害性の疼痛に対する薬剤で、神経障害性疼痛の原因というものが様々な部位であるということは、ある程度は納得できるところですので、そういった意味で、表31に示されているようなそれぞれの疾患、病態ごとに、どういうような機序で有効性を示すかなど、そういう議論をすることは難しいと考えております。ただ、一方で実施されている臨床試験は非常に限られておりますので、そこのところは実際の病態などが影響しないのかというところは製造販売後調査の中で情報を集めて、可能な有効性の評価は限られますが、例えば用量範囲が同じであるかとか、特段有効性に変わりがないかといったことを確認していきたいと考えております。
○鈴木委員 なぜ、そういう質問をしたかといいますと、現時点で保険審査上、原疾患を記載しなさいという審査委員がおります。実際はその必要性はないわけですが、そうした原疾患を特定することに意味があり、必要なのかどうかを聞きたかったのです。今のところはないという話ですね。そう理解してよろしいかと今のお話からすると思いますが。
○機構 本剤に関しては、特段原疾患でということは考えておりません。
○松井部会長 ただ、正しく診断を付けることはもちろん重要で、それは議論をまたないことだと思います。
○村田委員 臨床の現場ではリリカは、今とてもよく使われています。これほど使って良いのかと思うほど使われています。今回、中枢性神経障害性疼痛というのも入りまして、本来、神経障害性疼痛というのは、例えば筋肉の痛みのような痛みとは全く違って、かなり鋭い痛みで、それはNSAIDsなどではほとんど効かず、これまではテグレトール錠などがよく使われていたのですが、効き方が全く違うものです。そこで、この中枢性神経障害性疼痛の中にパーキンソン病に伴う痛みというのが入っているという事に対してとても驚きました。ほかのMSや、脳卒中のタラミックペインなどは当然、ほかのものでは効かないほどの痛みなのですが、パーキンソン病では確かに最近痛みが大変問題になっていますが、様々なタイプの痛みが入っています。ただ、審査報告書にこのような表が入っていて、おそらくここで認められると、この表は一人歩きすると思うので、パーキンソン病があり、「痛い」と言われた場合、すぐ何でも使ってしまう状況になると思います。もちろん、そういう痛みがある方もおられるので、使えることは大変ありがたいのですが、昨今の状況を見ていると、このような病態にリリカを使うのかと思われるようなものにも非常に多く使われています。これらを考えると、添付文書に、当たり前のことですが、ほかの薬にあるような「漫然と使わずに、効果をきちんと評価する」というようなことが書かれていないように思われます。そういうものはございますか。そのつもりで探したのですが見当たらなかったので、入れていただければと思います。使用上の注意のところに書くことと思いますが、私が見たところでは記載がありません。
○松井部会長 一般的にも、漫然と使ってはいけないというのは重要なことだと思いますが、それだけ頻用されているとすると、大事かもしれませんね。
○村田委員 神経障害性疼痛および、線維筋痛症が適応となりますと、本当に何でもありになります。痛くて困っていると言われる患者が見えたら、おそらくほとんど全員使えると思いますので、きちんと効果を確かめるということを是非入れていただきたいと思います。
○機構 まず前半のコメントに関して、表31は情報が偏った内容で申し訳ないのですが、実際にはここに、それぞれ並べておりますが、患者数がかなり異なってくるというのはございます。例えばパーキンソン病に関しては、パーキンソン病患者の10%が疼痛を有するという報告などもありまして、ここに書いてある中でも相当それぞれの疾患ごとに、実際に本剤の適用対象となり得るような神経障害性疼痛を有する患者の数というのは異なってまいります。その部分は国内でも、神経障害性疼痛に関してガイドラインなども出しておりますので、そういったものも参照して適切に診断して投与していただくことが重要と考えております。
 漫然と投与しないことに関しては、御指摘のとおり確かに添付文書に記載はないところですので、記載に関しては、申請者に検討するよう指示したいと思います。
○松井部会長 村田先生、よろしいですか。表31は、ここに書いてある仁井内氏の作成した表ですか。というのは、これを載せるとなると出典を書いておくべきではないかと思います。
○村田委員 この表で問題になるのは、例えば脳卒中後疼痛というのは中枢性神経障害性疼痛で、8割方は問題ないと思います。でも、パーキンソン病に伴う痛みというのは非常にいろいろな種類が入って、その中の一部が中枢性神経障害性疼痛なので、そういうものが普通に羅列されてしまっていることに問題があり、これは必ず一人歩きすると思います。
○機構 出典は、25ページの冒頭にある日本ペインクリニック学会ガイドライン作成ワーキンググループが作成したガイドラインから引用したものです。出典が不明となっていることに関して、申し訳ありません。
○松井部会長 もし、この表だけを載せるような場合がありましたら、それははっきりさせておくべきだと思います。ほかにございますか。よろしいですか。なければ議決に入ろうと思いますが、よろしいですか。なお、野田委員におかれましては利益相反に関する申出に基づいて、議決への参加を御遠慮いただきたいと思います。本議題について、承認を可としてよろしいですか。
 ありがとうございます。御異議がないようですので、承認を可として、薬事分科会に報告いたします。
○事務局 次の議題5に関しまして、冒頭に御報告させていただきました各委員からの申出状況について訂正をさせていただきます。議題5のボルベンですが、議決には参加しない委員は野田委員、平石委員、山田委員です。失礼いたしました。
○松井部会長 分かりました。それでは審議事項議題5について、医薬品医療機器総合機構から概要説明をお願いします。
○機構 審議事項議題5、資料5「医薬品ボルベン輸液6%の生物由来製品及び特定生物由来製品の指定の要否、製造販売承認の可否及び再審査期間の指定並びに毒薬又は劇薬の指定の要否について」、医薬品医療機器総合機構より御説明いたします。説明に先立ち、資料5の追加資料に関する御説明をさせていただきます。事前に先生方にお送りいたしました部会資料のうち、添付文書(案)に一部誤記がありましたので、追加資料として添付文書(案)の差し換え資料及び新旧対照表を先日送付させていただきました。それと同一の資料を本日の部会の席上にも配付させていただいておりますので、併せて御査収のほど、よろしくお願い申し上げます。
 それでは、本剤の概要につきまして、御説明いたします。審査報告書3~4ページを御覧ください。本剤は、グルコース残基のヒドロキシ基の一部がヒドロキシエチル基で置換されたヒドロキシエチルデンプン(以下、「HES」)を有効成分とした等張性の人工膠質液です。HES製剤は国内外の臨床現場において、救急治療、外傷、集中治療又は手術等の各科領域において循環血液量の維持を目的として使用されています。本剤は、海外において、既承認HES製剤に比べて安全性を向上させることを目指して開発され、重量平均分子量及びヒドロキシエチル基への置換度を最適化し、血漿増量効果を損なうことなく、血漿への蓄積による血液凝固因子への影響や組織残留性による腎機能への影響等を低減するよう設計されました。本剤は、1999年6月にドイツで、2007年12月に米国で承認され、2012年3月末現在、世界75か国以上で承認されています。本邦においては、現在使用可能なHES製剤は本剤より低分子量で高置換度のHES製剤(以下、「HES70/0.5」)のみに限られており、先ほど述べた安全性の懸念により最大投与量の上限が規定されております。
 このような状況下で、本邦の既承認HES製剤と比較して安全で高用量投与が期待できる人工膠質液として、2007年よりフレゼニウスカービジャパン株式会社により本剤の開発が開始され、今般、国内外の臨床試験成績等を基に製造販売承認申請がなされました。
 本剤の審査につきまして、専門委員として、資料16に記載されている委員が指名されました。
 本剤の審査の概略について、国内で実施された二つの第III相試験の成績を中心に御説明いたします。
 有効性について、審査報告書20ページの「1)国内第III相試験(HS-13-02-JP試験)」の項を御覧ください。本試験は、待機的整形外科手術患者における術中期に本剤及び対照薬とした既承認のHES製剤を既承認HES製剤の用量制限の範囲内で使用したときの「術中期に投与した膠質液量」を比較することを目的として実施されました。この試験では投与上限量が定められた対照薬との同等性を示す予定でしたが、21ページの表3にお示ししたとおり、本剤群と対照薬群の膠質液量の最小二乗平均値の差の95%信頼区間は、事前に規定された同等性の許容域の範囲内になく、同等性は示されませんでした。一方、審査報告書21ページの中段~23ページに記載したもう一つの国内第III相試験(HE06-008-CP3試験)を御覧ください。こちらの試験では、成人患者及び小児患者に対して、既承認HES製剤の投与量上限の約2~5倍に相当する50mL/kgまでの投与が行われ、既承認HES製剤で懸念されたような安全性の問題はなく、手術が適正に終了することが示され、安全に高用量投与が可能であるという本剤に求められる性質が示されました。さらに審査報告書23~26ページに海外で実施された同等性に関する二つの試験を記載させていただいております。こちらの試験では、本剤と既承認HES製剤の同等性が示されておりました。また、先ほどの国内で実施された同等性の試験の個々の症例における血行維持効果に関して、海外第III相試験成績と齟齬がないことなどを踏まえて、提出された資料より日本人患者においても本剤に期待される有効性は示されているものと判断しました。
 続いて安全性について、審査報告書21ページ表4を御覧ください。国内第III相試験(HS-13-02-JP試験)での有害事象の発現状況は本剤と対照薬で同様であり、先ほど述べた海外第III相試験での有害事象の発現状況とも同様でした。また、国内第III相試験においては、本剤投与後の血液凝固第VIII因子活性やVon Willebrand因子抗原の回復が対照薬の投与後よりも早いことが示されておりました。ただし、本剤は既承認製剤の上限用量を超える投与が可能となることから、本剤の高用量投与により血液凝固異常が生じるリスクに関しては、添付文書(案)の「重要な基本的注意」の項で注意喚起すると共に、外傷性大出血の患者を「慎重投与」の項に追記することが適切と判断しました。
 また、重症敗血症等の重症患者管理ではHES製剤が腎機能に悪影響を及ぼした可能性が否定できないとの海外報告もあることを踏まえて、添付文書(案)の「重要な基本的注意」の項において、重症敗血症等の重症患者管理に本剤を使用した場合には、患者の状態を悪化させるおそれがあることから、治療上の有益性が危険性を上回る場合にのみ本剤を投与するよう注意喚起するとともに、海外報告での成績を情報提供することが必要であると判断しました。なお、重症敗血症等の重症患者への本剤使用に関する情報は、今後も継続的に監視し、得られた情報に応じて迅速に適切な対応をとる予定です。
 製造販売後調査について、審査報告書44ページの「6.製造販売後調査について」の項を御覧ください。目標症例数を1200例とした使用成績調査を実施し、本調査において、国内臨床試験では情報が得られなかった救急室、集中治療室及び外科系病棟等での患者、また小児、既承認HES製剤の上限用量を超える高用量が投与された患者の安全性及び有効性を情報収集する予定です。
 以上のような検討を行った結果、「循環血液量の維持」の効能・効果で本剤を承認して差し支えないとの結論に達し、医薬品第一部会において御審議いただくことが適当であると判断いたしました。原体及び製剤は、毒薬及び劇薬に該当せず、生物由来製品又は特定生物由来製品に該当しないと判断しております。また、再審査期間は8年とすることが妥当であると判断しております。薬事分科会では報告を予定しております。御説明は以上です。よろしく御審議のほどお願いいたします。
○松井部会長 ありがとうございました。御質疑をお願いいたします。佐藤委員、お願いします。
○佐藤(田)委員 輸液の中でも大変助かるものが出てきたと思います。一つお伺いしたいのが、4ページに書いてある原薬は「モチトウモロコシデンプンを出発物質とした現物は合成されたもの」と解釈して良いかと思いますが、手術用の手袋などにも、同じモチトウモロコシかは分かりませんが、トウモロコシデンプンが付いていて、それによるアレルギーが起こる状況が、化学合成したものであれば、輸液として血管内に大量に投与されると、その障害するものの量がとても多いわけです。添付文書に書いてあり、今日配られた中にもございますが、重大な副作用としてショックやアナフィラキシーなどが出ておりますが、これの原因はトウモロコシデンプンに由来するアレルギーなのでしょうか。
 また、緊急の場合は分かりませんが、事前にアレルギーテストをしてから使うことが可能なのでしょうか。
○機構 機構よりお答えいたします。重大な副作用に記載されておりますショック、アナフィラキシーに関して、モチトウモロコシデンプン由来であるかという特定まではされておりませんが、添付文書の「禁忌」の項の6に、本剤及び本剤の成分に対し、過敏症の既往歴のある患者ということで、成分としてデンプンも含まれるかと思いますが、そういったことも踏まえて過敏症に対する注意喚起をしておりますので、こういったところでリスクの管理はできるかと考えております。
○松井部会長 今の質問は、一つはショックを起こしているような危急のときに、アレルギーテストのようなことをすることを考えているのかどうかという御質問が後半にあったと思いますが、そうですね。
○佐藤(田)委員 事前に、です。
○機構 機構より追加で御説明いたします。例えば、昔から抗生物質などでは皮内反応を行っていたと思いますが、皮内反応自体がそもそもアレルギーを起こしてしまうということもあります。また、結局、抗生物質であっても皮内反応を行うような状況ではなくなってきています。
 HESについても同様に、確かに起きてしまう事もあるのですが、手術の状況は、これを使う場合、様々な管理ができるような体制です。例えば手術室や、ICUの状況も含めて。先生がおっしゃるように手袋のアレルギーというのは現場では非常に問題になっておりますが、HESについては今まで長年使われてきていて、特にこの薬でひどいアレルギーが起こって問題になっているということもございませんので、通常の薬で起こり得るアレルギーのように注意していれば良いと考えております。直接的な答としては、皮内反応等は事前にやることは必要ないと思っています。
○佐藤(田)委員 お言葉を返して申し訳ありませんが、添付文書の中の10では、アナフィラキシーが起こることがあるため、投与速度を、これはかなりの量ですが、最初の10~20mLをよく観察しながら、ゆっくり投与して、そこで判断するということでしょうか。怖いと思いながらも、使ってもよいということですか。
○機構 そのように考えます。これも例えば点滴の抗生物質と同じですが、点滴の抗生物質も最初のうちは注意して見ていくということが現場で行われていることだと思いますので、これについても通常の対応だと思っています。
○松井部会長 よろしいですか。ほかにはいかがでしょうか。
 それでは、議決に入ろうと思いますが、よろしいでしょうか。先ほどのように野田委員、山田委員、平石委員におかれましては、議決への参加を御遠慮いただくというということでお願いいたします。
 それでは、本議題について、承認を可としてよろしいでしょうか。御異議がないようですので、承認を可として薬事分科会に御報告といたします。それでは、報告事項について、事務局、機構から御説明をお願いいたします。
○事務局 報告事項議題1、資料6「医薬品エクア錠50mgの製造販売承認事項一部変更承認について」、御報告いたします。本剤は、ビルダグリプチンを有効成分とする経口血糖降下薬で、既に本剤の単独使用、スルホニルウレア剤との併用について承認されております。
 今般、ノバルティスファーマ株式会社から、本剤と他の経口血糖降下薬との併用が追加され、2型糖尿病へ効能・効果を変更する製造販売承認事項一部変更承認の申請がなされたものです。
 医薬品医療機器総合機構における審査の結果、本剤と他の経口血糖降下薬を併用した際の有効性及び安全性が確認されたことから、本剤を承認して差し支えないと判断いたしました。
 報告事項議題2、資料7「医薬品リバロ錠1mg、同錠2mg及び同錠4mgの製造販売承認事項一部変更承認について」御報告いたします。本剤はHMG-CoA還元酵素阻害剤であるピタバスタチンカルシウムを有効成分とする錠剤であり、2003年に「高コレステロール血症、家族性コレステロール血症」の効能・効果で承認されております。
 今般、健康成人又は高コレステロール血症の患者を対象に実施された国内外の臨床試験の結果に基づき、興和株式会社から、夕食後投与とされている本剤の投与時期の規定を用法・用量から削除する承認事項一部変更承認の申請がなされました。
 医薬品医療機器総合機構における審査の結果、本申請を承認して差し支えないと判断いたしました。
 報告事項議題3、資料8「医薬品シュアポスト錠0.25mg、同錠0.5mgの製造販売承認事項一部変更承認について」、御報告いたします。本剤は、レパグリニドを有効成分とする経口血糖降下薬であり、既に、本剤の単独使用、α-グルコシダーゼ阻害剤との併用について承認されております。
 今般、大日本住友製薬株式会社から、本剤とビグアナイド系薬剤又はチアゾリジン系薬剤との併用について効能・効果を追加する製造販売承認事項一部変更承認の申請がなされたものです。
 医薬品医療機器総合機構における審査の結果、本剤とビグアナイド系薬剤又はチアゾリジン系薬剤を併用した際の有効性及び安全性が確認されたことから、本剤を承認して差し支えないと判断いたしました。
 報告事項議題4、資料9「医薬品ミンクリア内用散布液0.8%の製造販売承認事項一部変更承認について」御報告いたします。本剤はL-メントールを有効成分とする胃蠕動運動抑制剤であり、現在、「上部消化管内視鏡検査における胃蠕動運動の抑制」の効能・効果で承認されております。
 今般、日本製薬株式会社より、上部消化管内視鏡治療における胃蠕動運動の抑制の効能を追加する新効能医薬品としての製造販売承認事項一部変更承認申請がなされました。
 医薬品医療機器総合機構における審査の結果、本剤を承認して差し支えないと判断いたしました。
○松井部会長 ここで切りましょうか。今の四つの議題について、何か御質問はございますか。
○野田委員 議題1と、議題3にも一部関係すると思うのですが、議題1について御質問させていただきます。資料6の今回の変更申請の承認に関して、資料6の28、29ページに記載のある「経口血糖降下薬の臨床評価方法に関するガイドラインについて」というOADガイドラインに基づいての申請と、その承認であると考えます。このガイドラインは経口血糖降下薬の併用についての試験を行うもので、8ページにございますように、実際に国内併用療法長期投与試験が行われております。この試験はエクア錠を対象として経口血糖降下薬のみを併用薬として試験が行われております。そしてまた、このガイドラインもそういった状況を想定しているわけですが、実際の効能・効果として、2型糖尿病として認めるということで、併用されていないインスリンに関しては、添付文書の2ページの(9)に、「本剤とインスリン製剤との併用投与の有効性及び安全性は検討されていない」と書いてあります。その効能・効果は1ページにございますように2型糖尿病ということで、これはこれでよろしいと思いますが、併用の試験をしていないインスリンについても、この効能・効果を認めて併用することを許容する論拠のようなものを挙げていただきたいと思います。
○松井部会長 いかがですか。併用の根拠ということです。
○機構 機構よりお答えします。OADガイドラインにおいては先生も御存知のように被併用薬として注射剤についての記載はされておりません。本品目については海外でインスリン併用の試験成績がありましたので、審査報告書で安全性を検討させていただき、注意喚起を行えば併用は可能であると考えました。しかしながら、被併用薬としての注射剤は、OADガイドラインに記載されていないので、今後の検討事項とは認識しておりますので、意見交換をして必要な検討は行っていきたいと思っております。
○野田委員 経口薬のガイドラインのいわば拡大解釈として、2型糖尿病ということで、インスリンを使っている方にも使えますということではなく、一つ一つの薬剤について今後検討していくという理解であるのか、それとも経口薬で試験を行ってあれば、2型糖尿病という効能・効果が付き、結果的にインスリンとも併用できるようになるのかという点です。そこのところを教えていただければと思います。
○機構 ガイドラインに従って2型糖尿病ということになれば、基本的にはインスリンの併用も含まれると解釈しております。ただし、その根拠となるデータがいろいろなケースがありますので、それに従って添付文書上での注意喚起をしていきたいと考えております。今回の場合は海外の試験はありますが国内の試験はないということで、そこについては日本において検討していないという意味で、添付文書上には「検討されていない」ということを記載し、一方でインスリン製剤というのは低血糖も当然出てきますので、慎重投与のところに「インスリンの併用については注意してください」という記載を入れるようにしました。
○野田委員 どうもありがとうございました。
○松井部会長 議題1について、ほかに御質問ありませんか。
○佐藤(雄)委員 3ページで、今回は1.と2.を削除して、2型糖尿病であればこの薬を使えるようにするというわけですが、添付文書(案)には、「重要な基本的注意」の(5)に、基本的には運動療法や食事療法を、と書いてあるわけですが、今回1.を削除したことと「重要な基本的な注意」の(5)が残ることというのは、どういう関係になるのか教えてください。 
○機構 機構よりお答えいたします。今までは2型糖尿病の単独療法として1.に記載させていただいております。2型糖尿病のガイドラインというのは、単独療法プラス併用療法長期投与試験が検討されることによって2型糖尿病の効能ということになります。今回のエクア錠は、既承認時に単独療法がありますので、それを含めて、単独療法プラス経口血糖降下薬との併用を検討し、2型糖尿病の効能としております。2型糖尿病においても、重要な基本的注意の(5)は行った上での薬物治療になると考えます。
○機構 追加で申し上げますと、糖尿病での薬の治療を開始するには、注意喚起の(5)に書いてありますように、必ず運動療法はした上でということが前提になるということです。
○佐藤(雄)委員 実質的には3ページの1.は削除されたのと同じだと考えてよろしいですか。
○機構 削除といいますか、1.の単独療法も2型糖尿病の効能・効果に含まれているという解釈です。
○佐藤(雄)委員 少し分かりにくいのですが、実質上は入っているということですか。
○機構 そうです。書く場所が変わったということです。
○松井部会長 よろしいですか。ほかに議題1~4について御質問はございませんか。御了解いただいたということでよろしいでしょうか。では、残りの議題5~議題8までお願いします。
○事務局 続きまして、報告事項議題5、資料10「医薬品グルトパ注600万、同注1200万、同注2400万、アクチバシン注600万、同注1200万及び同注2400万の製造販売承認事項「一部変更承認について」御報告いたします。本剤は、組織プラスミノーゲンアクチベータ(t-PA)の遺伝子組換え体であるアルテプラーゼ(遺伝子組換え)を有効成分とする注射剤です。本邦では1991年以降、「急性心筋梗塞における冠動脈血栓の溶解(発症後6時間以内)」、「虚血性脳血管障害急性期に伴う機能障害の改善(発症後3時間以内)」の効能・効果で承認されております。
 本剤については、医療上の必要性の高い未承認薬・適応外薬検討会議において、公知申請への該当性に係る報告書が取りまとめられ、平成24年8月31日に開催された本部会における事前評価を踏まえて、今般、田辺三菱製薬株式会社及び協和発酵キリン株式会社から、「虚血性脳血管障害急性期に伴う機能障害の改善(発症後3時間以内)」の効能・効果における治療可能時間を、発症後3時間以内から発症後4.5時間以内に延長、変更するという製造販売承認事項一部変更承認の申請がなされました。
 医薬品医療機器総合機構における審査の結果、本申請を承認して差し支えないと判断いたしました。
 報告事項議題6、資料11「医薬品インデラル錠10mg及び同錠20mgの製造販売承認事項一部変更承認について」、御報告いたします。本剤は、β受容体遮断薬であるプロプラノロール塩酸塩を有効成分とする錠剤であり、「本態性高血圧症 (軽症~中等症)」、「狭心症」等の効能・効果で承認されております。
 本剤についても「医療上の必要性の高い未承認薬・適応外薬検討会議」において公知申請への該当性に係る報告書が取りまとめられ、平成24年8月31日に開催された本部会における事前評価を踏まえた上で、今般、アストラゼネカ株式会社から、「片頭痛発作の発症抑制」の効能・効果を追加する一部変更承認の申請がなされました。医薬品医療機器総合機構における審査の結果、本申請を承認して差し支えないと判断をしたところです。
 報告事項議題7、資料12「医薬品デノタスチュアブル配合錠の製造販売承認について」御報告いたします。本剤は、沈降炭酸カルシウム、コレカルシフェロール、炭酸マグネシウムを含有する配合剤です。
 今般、日東薬品工業株式会社から、「RANKL阻害剤(デノスマブ(遺伝子組換え)等)投与に伴う低カルシウム血症の治療及び予防」を効能・効果として製造販売承認の申請がなされたものです。
 医薬品医療機器総合機構における審査の結果、本剤を承認して差し支えないと判断いたしました。
 続きまして、報告事項議題8、資料13「医療用医薬品の再審査結果について」御報告いたします。一般的名称は、「安息香酸リザトリプタン」、販売名は「マクサルト錠10mg」及び「同RPD錠10mg」です。
 本品目について、製造販売後の使用成績調査等に基づいて再審査申請が行われ、審査の結果、薬事法第14条第2項第3号に掲げられている承認拒否事由のいずれにも該当しないこと、すなわち、効能・効果、用法・用量等の承認事項について変更の必要はない「カテゴリー1」と判定したものです。報告事項は以上です。
○松井部会長 ありがとうございました。ただ今の四つの議題について、御質問はございますか。それでは、この四つの議題については、すべて御確認をいただいたことといたします。その他の事項について御説明を事務局からお願いします。
○事務局 資料14に基づきまして「医療上の必要性の高い未承認薬・適応外薬検討会議において公知申請を行うことが適当と判断された適応外薬の事前評価について」、御説明いたします。
 資料の1ページを御覧ください。プレドニゾロンに「デュシェンヌ型筋ジストロフィー」(以下DMD)の適応を追加する要望に係る報告書について御説明いたします。
 2ページを御覧ください。「3.欧米等6か国の承認状況等について」に記載しておりますが、欧米等6か国では、要望された効能は、いずれの国においても承認されていません。しかしながら、3ページ中ほどから記載しておりますとおり、米国神経学会のガイドライン「プラクティス・パラメータ」等において、DMDに対してプレドニゾロンを投与することについて記載があります。
 6ページから無作為化比較試験の成績をまとめており、海外において0.3 mg/kg/日~0.75mg/kg/日の用量範囲でDMDに投与したとき、プラセボ群に対して有効性が示されたこと等が報告されています。また、10ページですが、日本国内においては、臨床試験成績は報告されていませんでしたが、DMDに対してプレドニゾロンを使用した症例が報告されています。
 13ページから教科書等での標準的治療としての記載状況をまとめており、DMDに対する標準的な治療法としてプレドニゾロンを用量範囲0.3 mg/kg/日~0.75mg/kg/日により投与することが概ね共通して記載されています。
 18ページから要望内容に関する有効性と安全性について検討を行った結果を記載しています。有効性については、海外臨床試験において、プラセボ対照二重盲検比較試験で有効性が示され、本邦においても、限られた成績ですが、プレドニゾロンの有効性が報告されていること、また、プレドニゾロンの有効性について、民族差、人種差を示す報告は見当たらないことから、本邦においてもプレドニゾロンのDMDに対する有効性は期待できると考えられました。
 安全性については、他の疾患と比較して、DMDに対してプレドニゾロンを使用した場合の安全性プロファイルに大きな差異はないと考えられること、プレドニゾロンの安全性について民族差、人種差を示す報告は見当たらないことから、副作用の発現に注意しながら、プレドニゾロンを適切な用法・用量で使用する場合には安全性は許容可能と考えられました。以上を踏まえ、DMDに対してプレドニゾロンを投与したときの有効性・安全性は医学薬学上公知であると判断されました。
 20ページの効能・効果については、要望どおり「デュシェンヌ型筋ジストロフィー」とすることが適当と考えられました。また、用法・用量については、海外で実施された無作為化比較試験で有効性が示され、国内外のガイドライン等でも使用が推奨されている用量範囲である0.3 mg/kg/日~0.75mg/kg/日は、現在承認されているプレドニゾロンの用法・用量の範囲内であり、プレドニゾロンの用法・用量は多岐にわたる疾患を含めて設定されていること、また、本剤は既に、「用法・用量に関連する使用上の注意」において、学会のガイドライン等の最新の情報を参考に投与する旨、注意喚起されていることを考慮して、新たに設定する必要はないと考えられました。御説明は以上です。
○松井部会長 ありがとうございます。デュシェンヌ型筋ジストロヌフィー症の患者さんに対するプレドニゾロンの治療ということです。御質問ございませんか。村田先生、よろしいですか。
○村田委員 ありがとうございます。是非、使えるようにと思います。恩恵を受ける方はたくさんおられます。
○松井部会長 それでは、資料14の議題につきましては、委員の先生方の御確認を得たことといたします。事務局から何かございますか。
○事務局 ありがとうございます。次回の部会は3月8日午後3時から開催させていただく予定です。よろしくお願いいたします。
○松井部会長 最後に、本日はこの会議が長引いてしまったことをお詫び申し上げます。新しく委員になられた先生方にお伝えしたいのですが、この第一部会の決議は可能な限り、委員の先生方の全員一致をもって御報告したいと思います。ただ、やむを得ない場合には多数決ということで、絶対にゼロとは言えないのかもしれませんが、可能な限り全員で合意して分科会に送りたいと思いますので、どうかよろしくお願いいたします。
 それでは、本日はこれで終了いたします。どうもありがとうございました。


(了)

備考
 本部会は、企業の知的財産保護の観点等から非公開で開催された。

連絡先:医薬食品局 審査管理課 課長補佐 益山(内線2746)

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