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2013年5月28日 第15回シックハウス(室内空気汚染)問題に関する検討会 議事録

医薬食品局審査管理課化学物質安全対策室

○日時

平成25年5月28日(木) 14:00~17:00


○場所

中央合同庁舎第5号館6階 共用第8会議室


○議題

・関係省庁、関係団体等のシックハウスに係る取組説明・ヒアリング
・その他

○議事

○事務局 それでは、定刻となりましたので、ただいまから「第15回シックハウス問題に関する検討会」を開催いたします。
 委員の先生方におかれましては、御多忙のところ御出席賜りましてまことにありがとうございます。
 本日は、坂部委員、田辺委員、広瀬委員より御欠席の連絡をいただいております。
 委員総数12名のうち、9名に御出席いただいていることを御報告申し上げます。
 次に、本日の参考人として、北海道大学環境健康科学研究教育センターの岸先生にお越しいただいております。発表及び議論に参画していただく予定でございます。
 また、その他発表者といたしまして、住宅リフォーム・紛争処理支援センターの小椋様、産業技術総合研究所の東野様にお越しいただいております。
 それでは、座長の西川先生、以降の議事進行をお願いいたします。
○西川座長 それでは、事務局から配付資料の確認をお願いいたします。
○事務局 それでは、議事次第をごらんください。
 議事次第の下半分になりますけれども、「資料一覧」の欄がございます。
 議事次第の1枚紙と、座席表、委員名簿。
 それから、資料1といたしまして「シックハウス症候群患者の暴露私の資料は「曝露」で、最近はまた常用漢字ではない「曝露」を使うようになってきたかと思っています。「暴露」の意味は異なると考えておりますし、私は「暴露」は用いません。ただ、このような文書では常用漢字を用いる、という方針になっているということでしょうか?確認だけさせていただければと存じます。評価~日韓台室内環境基準値・指針値~」、中井先生の資料でございます。
 それから2つ目、資料2でございますが、「シックハウス症候群の原因解明のための全国規模の疫学研究」ということで、岸参考人の発表資料になります。
 それから、資料3でございますが、「シックハウスに関する相談の状況等について」、公益財団法人住宅リフォーム・紛争処理支援センター発表資料になります。
 それから、資料4でございますけれども、「室内暴露評価ツール(iAIR)の開発とシックハウス評価への取り組み」ということで産総研の資料になります。
 参考資料1といたしまして、こちらの検討会の開催について、平成24年9月に改正したものでございます。
 それから、参考資料2としまして「今後の検討スケジュール」となります。
 以上でございます。不備がございましたら、お申しつけください。
○西川座長 よろしいでしょうか。
 それでは、議事1の「関係省庁、関係団体等のシックハウスに係る取組説明・ヒアリング」として、まず「シックハウス症候群患者の暴露評価~日韓台室内環境基準値・指針値~」について、中井委員から御説明をお願いいたします。
○中井委員 横浜国大の中井と申します。どうぞよろしくお願いいたします。
 本日は、このようなタイトルでお話をさせていただくわけですけれども、どなたもこのような内容でお話をしたことがないだろうということもありましたので、今回このような、とってつけたような2つの話題なんですけれども、お話をざっとさせていただきたいと思っております。
(PP)
 早速ですけれども、まず最初は「シックハウス症候群患者の暴露評価」という話で、若干の研究報告という形で触れさせてさせていただきます。
(PP)
 化学物質過敏症であるとかシックハウス症候群、あるいはそのほかの健康被害にせよ、現状把握、因果関係の解明、予防的対策の検討のためには、室内環境測定などを行う必要が当然あるというのは言うまでもないかと思います。
 ただ、どこで、何を、いつ、どのように測定するのかということは、正直言ってまだ必ずしも十分な検討がなされていない。なかなか難しいところがあるというのは間違いないかとは思っております。
 ホルムアルデヒド、VOC、今はどんどん新しいいろいろな物質量も測らなければいけなくなっている状態もあると思いますし、自宅であり、学校であり、職場であり、その辺をどういうふうに評価していかなければいけないのかということが、急性暴露であるとか慢性暴露評価をするためにも必要になってくる。
(PP)
 さらに、一番厄介なのはいつ測るかということになろうかと思うんですけれども、通常の汚染物質の健康影響の関係というのは、何か暴露されてから時間が経過して結果が生じるということは当然かと思います。そのために、発症への影響を調べるためには、当然その前に化学物質などなどを測っておかないと、実は影響というのはなかなか見にくい。特に、シックハウスであるとか化学物質過敏症、自宅を中心に考えた場合に、いろいろな方の測定から濃度がどんどん減少していくということを考えますと、どのタイミングで測るかというのは非常に問題になってくるかと思います。
 したがいまして、我々が多分、測ることができるのは結果ができてからが非常に多い状況にあろうかと思います。そうすると、ここで化学物質測定、時間軸がこう流れていくときに、ここで測ると何を測っているのかというのが非常に厄介なことになるかと思います。
 私のきょうのお話はこれを逆手にとりまして、では化学物質過敏症、あるいはシックハウス症候群の患者さんがその後どんな経過をたどっていったのか。それと暴露との関係はどうなっていくのか。症状の改善等々と暴露等との軽減はどうなのかということをターゲットにこれの評価を行っていったということです。
(PP)
 データ自体はちょっと古いんですけれども、結論から言いまして、結論自体はぐちゃぐちゃに近いところはありますが、ざっとどんな状況かということの報告だけさせていただきたいと思っています。
 3回ほど調査をやっているんですけれども、基本的に暴露量を測る、調査票によって症状を測る。基本的には長期間、1年ぐらいの感じのイメージの調査で測る。そして、実際にどんな治療等々を行ったのか。そして、特にこのような問題でよく御批判を受けるのは、心理的な問題じゃないのかといったことがありますが、その辺の関係も一緒に調べるといったことで、暴露と症状の軽減との関係を検討する。暴露と症状にどのような心理状態が関係しているかを検討するといったもので、3段階の形で分けて検討を行っていたということになります。
(PP)
 これは、まず短期的な暴露と症状の関係をあらわしたグラフであります。これはあくまで1人の患者さん、ちなみにここからお話ししする患者さんというのは、きょうは御欠席なんですけれども、坂部先生等に北里研究所病院に診察に来られて診断された初診の患者さんを対象として、つまり先ほど言いましたように暴露というか、発症の時間までをできるだけ短くしたいという発想のもとでこのような調査を実施しているということになります。
 この場合、黄色いバーのときが1週間ぐらい、パッシブサンプラーというものをぶら下げてもらって、何かシックハウスの症状を感じたというときにもう一個サンプラーを持っていただいてそのスイッチを押すといったことで調査を続けた結果になります。
 したがって、本当にうまく測れていれば、もし黄色いバーよりも青い方が高い状況になっていれば、その物質は症状発現に関係しているだろうというような発想でこんな調査を行っております。
 一番左側がホルムアルデヒドで、アセトアルデヒド、キシレン、ピネン、リモネンというようなものを一応ここに載せてあります。あくまでもこれは一例なんですけれども、このような結果が得られています。
 一番左側の2つ、ホルムアルデヒドとアセットに関しては黄色いバーよりも青いバーが高い。つまり、この2つが関係している。この患者さんに対しては関連しているのではないかというような状況が見てとれるというふうに考えられます。しかも、そのときの濃度が実はいわゆる日常生活的には22ppbぐらい、症状を感じるところで39ppbぐらいの濃度が大体平均として観察されているというような結果がここでは出ております。
(PP)
 ただ、これは短期的な影響、短期的な症状という感じなんですけれども、これを長期的な観点から見るとどうなるかというと、こんな形になります。1年ぐらいかけた調査なんですけれども、それぞれの1週間ずつの測定を行って、先ほどの調査は実はこの時点で行っているんですが、ホルムアルデヒドが黄色いバー、アセトアルデヒドが青いバーになっていて、QEESIと呼ばれる調査票も、全部やっていただくと大変なので一部分だけ取り上げてやっているんですけれども、症状をフォローしたのがこんなグラフになっています。
 非常に厄介なことに、大体、夏にホルムアルデヒドが高くなる傾向があるんですけれども、濃度が高くなっても症状が下がっていく。症状特定が下がって軽減していくという非常によくわからないような状況がこの結果から見てとれます。
 しかも、先ほど言いましたように、一時的に症状を感じる39ppbというのは大体このぐらいの値になるんですけれども、それよりも高いところであっても症状が下がっている。平均的に見ると下がっているような結果も見てとれるというふうな形になっています。
(PP)
 もちろん、濃度と単純にその結果だけでは言えないわけですので、これはもう違う調査なのですけれども、そういった患者さんは一体、日常的にどのような対応をとられているのか。
 例えば、汚染物質を排除するであるとか、窓を頻繁に開けるとか、転居するであるとか、そういったことをどういうふうにされているかということも踏まえて検討したのが次の研究です。
 まず、これは「個人暴露測定結果」という意味ですけれども、それぞれ何回もいろいろな物質を測らせていただいているんですが、基本的には多くの患者さんは室内濃度指針値よりも低いところで住まわれている。
 この1の値のところが室内濃度指針値になるわけですけれども、多くの場合、一部のp-ジクロロベンゼンを除いて、ほとんどの家庭が非常に低い値を過ごしているということがまず結果から見てとれるかと思います。
(PP)
 症状の点数です。先ほど何度もやったんですけれども、この黒いところが一番後でやった調査になるんですが、後の調査のほうがどちらかというと低い。以前にやったときよりも低い。それで、症状は改善しているわけですけれども、検査等々の結果もつき合わせますと自立神経などの症状も改善しているという結果が見られるということになります。
 この方たちをフォローするとか、様子を見てみますと、この上を向いているのが症状が改善されているような方になりますけれども、なかなか濃度との関係で先ほどと同じようにうまく見られていないんですが、いろいろなことをされています。栄養補給、運動であるとか、原因物質の排除、いろいろなものを取り除いたり、転居なども含めてですが、いろいろなことができた方は多く症状が改善している。
 ただ、実はこの辺に横印でなっている、あるいは、バツ、バツが見られるというような方は、例えば職場等々で被害に遭われている状況が多いという方に対しては、自分でコントロールができないのでなかなか改善できていないというような結果が見てとれるというふうな感じになっております。
(PP)
 3つ目になるんですけれども、これはPOMSと呼ばれるProfile of Mood States、気分症状というものを調べる調査票になっています。ここでは緊張、抑うつ、怒り、活気、疲労等々を調べている、いろいろなところで使われている調査票なんですけれども、これを用いて症状を調べますと、まずベースライン、調査開始の状態を調べますと、緊張不安、抑うつ、怒り敵意、敵意、疲労困ぱいというのが平均得点より高い。活気は、平均のときよりも低い。これは両方とも平均的な得点で、普通の状態よりも悪いというほうに評価されるものです。
 これも先ほどと似たようなグラフで恐縮ですが、基本的には症状得点は下がっているけれども、濃度は上がっているような傾向がこの患者さんとしては見てとれる。他にもいろいろなパターンがありますけれども、ホルムアルデヒドが上昇しているにもかかわらずQEESIの症状得点は減少、または維持ということで、単純に解釈するとホルムアルデヒド濃度は上昇しているが、化学物物質過敏症患者の症状が改善というような形には読みとれる。
 ただし、ホルムアルデヒドとPOMSであるとか、QEESI等々の関係は見てとれないというような形になっています。濃度とのいろいろな関係がなかなかわからないというような状況になっている結果を示しているのかと思います。
 ただ、QEESIといわれる症状に関する得点と、POMS、気分に関する得点は非常に相関がいい状況になっております。これによって、もちろん症状にどちらが影響しているかというと何とも言えないのかもしれないですけれども、症状がよくなると気分症状も結構よくなるというような傾向が見てとれるというような結果にはなっているかと思っております。
 ただ、先ほども言いましたように、なかなか暴露との関係がうまく測れていない。うまく測らなければいけないものが測れていないなどなどのこともよくわからないんですけれども、一応このような結果は得られているというような形でここまでの紹介をさせていただきました。
(PP)
 続きまして、「日韓台室内環境基準値・指針値」、全く違うお話になってこようかと思うんですけれども、前回、私は欠席してしまったのですが、池田先生が報告されたものの補足みたいな話でお聞きいただければと思っております。
 これは、私が調べたというよりも、私は実は室内環境学会に所属しているんですけれども、これはこの学会のホームページですが、ここにバナーが張ってありますけれども、韓国の室内環境学会と台湾の室内環境学会と友好関係を結んでおりまして、このような形で実は覚え書きを用いて学術交流などもしていて、いろいろな国際シンポジウムを共同で開いたりとか、お互いにゲストを呼び合ったりということをいろいろとやっています。
(PP)
 その際の一つとして、去年の4月に台湾でこのようなものがありました。International Workshop on Indoor Air Quality、ちょっと見えないかと思いますが、台湾が主催して、私もゲストとして呼んでいただいてやらせていただいたものですが、前回の話もあったかと思いますが、台湾が去年の11月に環境基準というものを施行した。そのための、ある意味、地方の研究所等の方への説明会のような雰囲気でこれは開催されたというような状況であります。
(PP)
 これはどこかの記事から取ってきたんですけれども、室内空気質管理法、これは昨年の11月23日実施で、世界で2番目、1番目は韓国というのがあるんですが、こんなようなものを始めたということがある。室内空気改善を目指すもので、違反者への罰金は最高で25万台湾元となる云々というような形になっています。
 いろいろと書いてあるんですが、なかなかこの辺に関して数字等は余りごらんになっていないかなということもありましたので、ちょっとお示ししようかと思ってこのようなスライドを用意しております。
(PP)
 これが、台湾の室内環境の基準です。ただ、ここからほとんど英語なので申しわけないんですけれども、ごらんいただくとわかるように、この基準は「the public, and any mass transportation space」ということであって、家ではありません。家ではなくて、パブリックスペースに対しての環境基準という形になっております。
 ホルムアルデヒド、TVOC、落下細菌、カビ、PM10、PM2.5、CO2、CO、O3といったものに対して、室内環境基準というものが適用されているということになっております。値はこのような感じになっているかと思っています。
 これは前回の質問にもあったようなんですけれども、ここでいうTVOCはこれだそうです。ベンゼン、トルエン、キシレン、エチルベンゼン、スチレン、四塩化炭素、クロロホルム、1,2-ジクロロベンゼン、1,4-ジクロロベンゼン、ジクロロメタン、テトラクロロエチレン、トリクロロエチレンの合計濃度という形での定義がなされているそうです。トルエン換算等々は特に書いていないかと思っております。
 それで、これは別のところからのヒアリングの結果なんですけれども、ごらんいただければわかるのですが、結構塩素系のものが多い。多分、日本で考えているTVOCはちょっと違うかと思いますが、これはどうもこういう理由だそうです。
 屋外の農薬の飛散であるとか、含塩素系プラスチック部材みたいなものを考慮。普通の一般的な室内部材というのではなくて、こういったものを考慮した形でつくっているということで、ヒアリングのまた聞きで大変申しわけないんですけれども、そういう形で定めているようです。
 もちろん、先ほど言いましたワークショップみたいなときにはこれをどうやって測るかというのは結構問題になっていたようですが、測るのにお金もかかることですし、まだうまく軌道に乗っていないんじゃないかと想像しているところであります。
(PP)
 こちらは、韓国にいきなり移るんですけれども、韓国はこのようないろいろな法律でいろいろな場所を規定しているというのがあります。ここがアンダーグラウンドスペース、ここがパブリックファシリティーズ、ここがパブリックヘルスと書いてありますね。パーキング、これが産業現場みたいな形で、いろいろな室内に関する基準がつくられているということです。
 パブリックファシリティーズに関しては、さっきも言いましたように韓国はいろいろなパターンを分けて、アンダーグラウンドステーション、地下鉄の駅とかショッピングモールであるとか、そういうところと、メディカルセンター、あるいは室内のパーキングといった形で、例えばPM10であればこのような形で分けていろいろな関係基準を定めているというような状況があるようです。
(PP)
 韓国におきましては、家に対しても環境基準を定めている。室内環境基準を定めているということで、彼らは会うたびに自慢するんです。本当に自慢していいことなのか、よくわからないんですけれども、集合住宅という形で環境基準を定めているようです。100世帯以上でしょうか、それ以上の家屋に対しての環境基準を定めていて、後ほど出しますけれども、ここでホルムアルデヒドは5つのVOCの基準を定めているということがあるようです。
(PP)
 これは同じなので、飛ばします。
(PP)
 6つというのは、この6つだそうです。この6つに関する環境基準を定めていて、ホルムアルデヒド、ベンゼン、トルエン、エチルベンゼン、キシレン、スチレンという6つに対して新築の家庭に対して定めている状況のようです。
 値はこんな形で定めているようですが、日本の値とどうかというのは最後にまたまとめたものを出させていただきたいと思いますので、このような値になっているということだけをお示しします。←このようにはしゃべっていないかもしれませんが、意味が通じないので直してください
(PP)
 実は、測定法に関しても問い合わせを先方にかけたんですが、韓国語の説明書はあるけれども、英語はないと言われてよくわからないんですけれども、ここに「Measured with closed window for 5 hours after 30 mins」と書いてありますので、多分日本とそんなに変わらないんじゃないかとは思うのですが、状況としてはこのような形になっているかと思います。
(PP)
 皆さんのところにも資料があるかと思うんですけれども、これは要するに放散量に関する基準です。実は、これは書類を提出してから今朝、もう間に合わない段階になってからこれはちょっとおかしいんじゃないということに気がつきまして、一体、日本の値と比較するとどうなんだろうと思ったら、これは実はむちゃくちゃ高い数字になっておりまして、日本が例えばホルムアルデヒドの放散基準が0.12㎍というのがF☆☆☆☆と呼ばれる基準になっているようです。それから比べると、数千倍以上というような値になっております。
 これは下のほうに隠れてしまっていますけれども、先ほどやった国際シンポジウムのレジュメを配られたので、それをもう一回打ち直してつくっていて再度確認したんですけれども、この数字は合っていて、かつ慌てて韓国のホームページにアクセスして数字を調べたんですけれども、この数字はまだ載っているんですね。
 ただ、この上に注釈がありまして、プライヤー・トゥー・リビジョンという形で書いてあって、改正前、実はポストリビジョンというのはあるんですけれども、しかもポストリビジョンが2010年までと2011年からの2つがあって、2011年からのホルムアルデヒドの放散量が0.12mg/m².hというような数字になっているようですけれども、まだホームページにもこの数字が掲載されているということなので、ちょっと取扱いがどういうふうになっているかわからないんですが、この表は済みませんが、もしかしたら削っていただくか、ちょっと括弧書きでごらんいただいたほうがいいかと思っております。
(PP)
 こんなような状況で、いろいろなものが多分お国柄等々でいろいろと違ってこんな基準が定められているということを簡単に紹介しているわけですけれども、ではこれを並べて比較するとどうなるかというと、こうなります。
 これは、日本と韓国の家に対しての基準ないしは指針という形になろうかと思います。左側が日本で右が韓国、それぞれ小さくて見にくいかと思いますが、どんな物質について定められていて、値がどうなっているかを並列させていただいております。もちろん、厚生労働省が定めていただいた指針値ということになりますけれども、結構、値が違うものもありまして、これは時間がずれているということと、多分、国の事情等も結構絡んでいるのかと思います。特に、ホルムアルデヒドだけ日本の場合100㎍ですけれども、韓国は210という値を設定しているような形で、どういうふうに定めているのかはフォローできていないんですが、こんな状況になっている。
 また、すごいのはエチルベンゼンが日本は3,800なんですけれども、韓国は360と10倍ぐらいの値が定められています。これは、とある測定の方に聞いたら、多分、測定の技術等、あるいは治験等々の話が進んでいるからこうなったんじゃないかというような話をされていましたが、その辺はまだ不確かだと思っています。日本が定めているけれども、韓国がないものなどなどもありますが、逆にベンゼンは韓国では定めているけれども、日本ではないというような状況にあると思っています。
(PP)
 パブリックスペースというところに限って話をすると、これが最後になりますけれども、この内容になるかと思います。一番右側が、一番新しくできたという台湾の基準です。日本の場合は、学校衛生基準であるとか、そういったものも入っていますので、それは一応スタンダードという形でこの辺の取り扱いにさせていただいておりますけれども、やはり同じような項目、あるいは違うような項目が似たような値のところもありますし、違う値もあるかと思うんですが、大体こちらに関しては先ほどの家よりも少し似たような値が定められているのかなという印象は持っています。
 ただ、どこがいいとか悪いとかでは多分ないかとは思うんですけれども、一応、御参考までにという形でまた、また聞きということで余りこれ以上細かい話はできないんですが、簡単に御紹介ということで本日の報告にかえさせていただければと思っています。
 どうもありがとうございました。
○西川座長 ありがとうございました。
 ただいまの御説明について、委員の先生方から御質問、コメント等ございますでしょうか。
 どうぞ、角田先生。
○角田委員 最初のシックハウス症候群と診断された患者さんとアルデヒドの関係ですが、よくシックハウス問題で言われるのは、その測定した結果はほとんどないということですので貴重な結果だと思うんですが、結局アルデヒドが低いところで動いていて、つまり以前の基準値の100よりも下のところで、一番高いのでも60台ですか。そこでも60ぐらいデ、70まではいっていないですね。
 だから、低いところでフラクチュエーションをして常に低いレベルで動いているので、ホルムアルデヒドではないのではないかという感じがするんですが、原因物質は確定した上でということでしょうか。
○中井委員 もちろん、確定しておりません。
○角田委員 だから、素直にこの結果を見ると、一時的に上がっているけれども、この患者さんが本当に化学物質によるシックハウスかどうかという問題もまた別問題なんですが、化学物質、少なくともアルデヒドによるものではないんじゃないかという感じがするんですけれども、いかがでしょうか。
○中井委員 一つの解釈として、もちろんそれはあろうかと思っています。
 ただ、このスライドともう一枚、前のスライドと同じ患者さんなんですけれども、短期の話との整合性をどうつけるかというのがなかなかよくわからないというのは最終的な結論になりますが、正直言ってわからない。
○角田委員 治療によってか、既に抑えられたとか、精神的に落ち着いたから抑えられたのか。
○中井委員 いろいろなものが絡んでしまっているんだろうなとは思うのですが。
○角田委員 何となく今の基準でいいのかなというようなイメージをちょっとこれで受けたものですから。
○中井委員 1つには、患者さんなので高いところには行かない、行けないということになっているので、それも多分に影響しているのかなとは思っております。
○西川座長 ほかにございますでしょうか。
 どうぞ、池田先生。
○池田委員 パッシブとアクティブのサンプリングの違いなんですけれども、それはないんですか。例えば、アクティブの場合ですとポンプを使っているわけですね。それでつかまるときの係数と、それからパッシブの場合の分子拡散のときとで同じような評価でいいんですか。その辺は、ちゃんと考慮した評価をした上でこの濃度が出ているんでしたか。
○中井委員 そのつもりでおります。一応、確認した上でこのデータを出していることにはなっています。
 しかも、要するにパッシブをずっと測っていて、アクティブは一時で測っていませんが、時間は少し差し引くような形で、アクティブの値を引く形でパッシブの値を出しているということです。
○西川座長 よろしいでしょうか。
 東先生、どうぞ。
○東委員 近畿大学の東でございます。貴重な御発表ありがとうございました。
 今の図と、その後の図で少しお伺いしたんですけれども、まずこの1年の傾向としまして全体的にこの1名の方は、症状が改善される方向にいっている。それで、その2ページ後に「暴露量、治療および対策、現状の症状」というところがあると思います。これは、10名の方に同じようなことを調査されていると思うんですけれども、この方たちも症状が改善された方と平行されている方があるということですが、ここで例えば「原因物質の排除」というところは、その原因物質の特定というのができたのか、あるいはどういうふうな理由でこの原因物質の排除が特定できたのかというのが1点です。
 もう一点は、「栄養補給」「運動など」、あるいは「原因物質の排除」、ほかにも例えば換気とか、空気清浄機とか、幾つかの症状を改善させる方向の介入といいますか、処置があると思うんですけれども、どの因子が一番化学物質の過敏症の方に効いて有効であるか。あるいは、有効でなかったかというのをお聞きしたいというのが2点目です。
 もう一点、申しわけないんですけれども、その後にPOMSの結果があると思います。これが、いわゆる過敏症の患者さんにとって原因か結果かというのが一番議論になるところかと思うんですけれども、そういう意味でこの1年間の中でまずPOMSをとられて、どういうふうな心理的な変化があったのか、なかったのかということもちょっとお聞きしたいというのが3点目です。よろしいでしょうか。
○中井委員 POMSの変化表を載せていないんですけれども、基本的には改善の方向に向かっているというようにとりあえずざっと表現させていただいて、それが症状得点との関係になっております。どちらが先かというのは正直いってわからないんですけれども、一応そのような形になります。
 2点目は、非常にアバウトにしか言ってしまっていないんですけれども、原因物質の排除、多分これが一番効いているんだろうというのは単純に丸の数だけの評価としてあります。それで、これは必ずしもわかっていないんですけれども、転居、換気、その辺を全部を含めて原因物質の排除という形で、もちろん可能性のあるものを捨てるとか、自分がこれが臭いがして嫌だとか、それこそソファーを捨てるとかということもここに入ってくるというふうにお考えいただければと思います。実は、済みませんが、忘れてしまっていることでもうちょっとほかにもあるんですけれども、大体関係しそうなものだけをこの表のスライドには載せているので、時間の関係もあってこれしか載せていないんですが、こういう形になっています。
 済みません。最初は何でしたか。
○東委員 今のお話で、原因物質の排除というのは何かというのが1つ目の質問でしたので、転居とか、換気とか、割と物理的な改善が効いているということでよろしいですか。
○中井委員 この場合は、そうかなというイメージを持っています。
 ちなみに、この調査に関しては実は2回しか調査できていなくて、ずっと継続はできていない。その後のフォローまですると何とも言えないかもしれないんですけれども、最初のときと2回目にやったときではこのような形になっています。
○東委員 多分、3つぐらいのポイントだと思うんです。栄養補給とかもある意味、治療につながることだと思いますし、医師の投薬とかも入ってくるかと思うんですけれども、そういった医療的な面なのか。あるいは、日常生活の改善、住まい方の改善とか、そういった工夫によるものなのか。あるいは、物理的な改善というところでどの要因が一番効いてくるのかというのが、恐らく過敏症の患者さんがこれから改善していくにとっては重要なところかと思いますので、その辺がわかればと思いました。ありがとうございました。
○中井委員 多分、この患者さんたちに対しては投薬はされていないと思います。坂部先生がいらっしゃらないので、わからないんですけれども。
○西川座長 よろしいでそうか。ほかにございますか。
 どうぞ、神野先生。
○神野委員 国立医薬品食品衛生研究所の神野です。
 日韓台のほうの御紹介いただいた結果について御質問させていただきたいのですが、ベンゼンが30μg/㎥ということで、恐らくこれですと、10の4乗のリスクレベルの値になるかと思うですが、何か理由があって10の4乗レベルで決めたとか、そういう理由があるのでしょうか。
 もう一点、韓国と台湾でオゾンが指針値に入っているのですが、この場合は外気由来のものに対して規制しているのか、あるいは室内で積極的に何か発生源を想定してこの指針値が定められているのか。その2点について教えてください。
○中井委員 まず、このベンゼンですけれども、実はこの背景までは申しわけありませんが、わかっておりません。一応、御紹介だけということで御容赦いただきたいと思います。
 オゾンの話ですけれども、あくまでも多分ですが、先ほど言いました、去年のシンポジウム、ワークショップに出たときのスライドの中で出てきた、要するに測定を試しにやっているような、結構トライアルでやっているような写真が出てきたんですけれども、やはりコピー機とか、そういったものをイメージしているのが多いようです。必ずしもそうではないのかもしれないんですけれども、室内の発生源を主に考えているのではないかと思っております。
○西川座長 よろしいでしょうか。ほかにございますか。
 どうぞ、斎藤先生。
○斎藤委員 東京都の斎藤です。
 化学物質過敏症患者さんが症状を起こす原因となる化学物質を調べるのは大変難しいとおっしゃっていらしたんですけれども、まさにそのとおりで、私は自分が過敏症の患者で15年ほどでございますので、自分はにおいとして症状を感じるんですけれども、自由にして測定ができるものですから、何が原因なんだろうというのをしょっちゅう測定するのですが、普通に空気を取って測定する限りではわからないことが大変多いです。レベルとして20μg/㎥なりの物質が非常に空気中には多いので、たくさん物質が検出されてしまって、そのうちのどれが症状の原因かというとなかなか特定できない。
 恐らく、多くの過敏症の患者さんはそのような状況でお過ごしになっていて、何が原因がわからないんだけれども、何か具合が悪いですとおっしゃることがすごく多いので、それに対して1つ、こうするともしかしたらわかるかもしれないというところは、患者さんがここが臭い、あるいはこれが臭いとおっしゃるものはそういう原因物質をかなり高濃度に発生している可能性がございますので、それを測るとそれから出てくるものが関与している可能性というものが随分高くて、自分もそれで発生源を見つけて対策をしたということがございますので、そういう方法で調査していただけると過敏症の患者さんも、これが原因物質だったのかということで、ひとつ非常に気持ちを強く持つことができると考えております。
○中井委員 ありがとうございました。いろいろなことをやりたかったんですけれども、現状的にできなかったということと、これだけやるのも、いかに患者さんに負担をかけずにできるかということを考慮して、坂部先生などとも御相談をさせていただいた上でやってそこで落ち着いたということで、とりあえずこの段階まで測らせていただいたというふうにお考えいただければと思っております。
○西川座長 ありがとうございました。
 それでは、続きまして「シックハウス症候群の原因解明のための全国規模の疫学研究」について、北海道大学環境健康科学研究教育センターの岸先生、御説明をお願いいたします。
○岸様 北海道大学の岸でございます。
 きょう、私たちの研究を説明させていただきますが、私は平成12年~14年まで分担研究者として、まず厚生労働省のシックハウス症候群の調査をさせていただきましたが、きょう発表させていただきますのは平成15年~平成22年まで、ちょうどお手元の資料の35ページのところに報告書として書かれております3回の厚生労働科学研究を私は研究代表者として行いました。それの概要を話させていただきたいと思います。
 資料は、別添としてあります。23ページ~33ページまでは私どもの班研究で、35ページからいろいろ国際誌等に論文を書いておりますが、そのうちきょうのこの検討会の目的に最も合っていると思いましたものを1編だけですが、原著のコピーを持ってまいりました。
 それから、その原著の後ろの34ページのところには、平成20年度、それから平成22年度、3年間の総合研究報告書としてまとめたものですが、先ほど来、話題になっております住宅の実際の濃度分布を記したものをほんの一部ですが、資料として持ってまいりました。
 それから、35ページ以降は班研究の報告書、あるいは班研究に基づいた私どもの論文等をまとめたものをその後ろのほうにまとめて持ってまいりました。
 それでは、パワーポイントに基づきましてお話をさせていただきます。
(PP)
 「シックハウス症候群の原因解明のための全国規模の疫学研究」を、今お話申し上げたとおり8年間、主任研究者としてやりまして、その概略でございます。
(PP)
 私のきょうの話の流れは「全国規模の疫学調査研究」、主として「新築戸建て住宅の研究概要」、どのような研究の進め方をしたのか。それから、「シックハウス症候群の有訴」と関連する要因をその後お話ししますけれども、主としてきょうは化学物質に焦点を当ててお話をいたします。シックハウス症候群の有訴と申しますのには、どのような調査票を使ったかということをお話いたします。
 それで、この検討会がアルデヒド・VOCのみならず、MVOC、SVOCに着目されてそれも考慮に入れておられるということを伺いましたので、私のほうの研究成果の中から主としてMVOC、SVOCの関係するものをかいつまんでお話させていただきたいと思います。
 最近のところでは、「小学生を対象とした疫学調査研究」をしております。その特徴をお話しし、最後に「今後の課題」と考えているところもお話させていただきます。
(PP)
 最初に、シックハウス症候群の全国規模の疫学調査研究を始めました。その研究の概要をIndoor Airに2009年にまとめて書いたものですが、6か所の地域で同じ調査票を使いまして実施いたしました。1つは北海道の札幌、それから福島、愛知県の名古屋、それから大阪、岡山、福岡の6か所でございます。
 全国規模の調査をした理由は、日本が縦に南北に長いですので生物学的要因、あるいは住宅の機密性等も関与しますので、全国規模で行うことの重要性があるためでございます。
(PP)
 研究のデザインですが、2003年にどのようにしたかと申しますと、新築住宅を建てられるときは地元の自治体に住宅の確認申請をいたします。それで、この6か所の地域の自治体と御相談しまして、住宅の確認申請から無作為に抽出をさせていただきました。私たちの行いました厚生科学研究のデータの一般性といいますか、特定の地域とか、特定の階層の人たちばかりではないということを基本にするためにこういうデザインをとりました。
 6か所の地域で6,080軒の戸建て住宅に調査票を郵送いたしまして、そのうちの490軒ほどから本当は確認申請をしたすぐですから、そんなに長い年月が経っていないはずなんですが、7年以上の方も少しおられた。あるいは、新築で確認申請したんですけれども、行方不明で宛先不明で戻ってきたというようなことを除きまして、2,297軒より回答がございました。有効回答率は、41.1%でありました。
 この方々の住宅に対しまして、自宅の環境調査をさせていただきました。それが、2004年にベースライン調査として2,297軒のうち、住宅に私どもが押しかけますので同意が得られなかった、あるいはスケジュール調整が調査者と被調査者の間でできなかったというところを除きまして425軒、調査させていただいたお住まいに住んでいらっしゃる方の総数としては1,479人になります。この年は居間の暴露調査をいたしました。
 翌年、追跡1年目ですが、全居住者の935人、270軒に関して2年目に調査ができまして、同じ化学物質、あるいは生物学的要因について真菌とか、ダニアレルゲンとか、全部調べたわけですが、この年は居間とあわせて寝室の暴露調査をいたしました。
 それから、2006年は化学物質の環境追跡としましては2回目の追跡をいたしまして、居間の暴露調査をさせていただきました。
 それで、2007年は殺虫剤調査を西日本のみいたしました。これは、きょう時間がなくてお話することができませんが、このような数で行っております。
(PP)
 「対象住宅の特徴」でございますが、札幌は576軒のうち98.3%が木造でした。これに比べますと、木造住宅が最も少ないのは北九州で63.2%でした。
 それから築年数は6年未満で、2年より短い、非常に新築といっていい方が39%、残りはこのように少し年数が経っておりました。
 家族数の割合、分布はこのとおりでございます。3~4人の家族が多かったという特徴がございます。
(PP)
 住宅当たりの有病率といいますか、有訴率ですね。シックハウスシンドロームですので、この有訴率で見ますと、6地域の平均では3.7%ぐらいなんですが、大阪が最も高く、それから札幌、名古屋、岡山、比較的低いのは北九州でした。
 この有訴率をどういうふうに考えたかというところは後でまたもう少し詳しく申し上げますが、これはシックハウス症候群の症状がいつも、または時々ある居住者がいる住宅が日本全体で3.7%、地域によっては1.7%~5.4%なんですが、回収率が4割台でございましたので、もしも全く症状がない方が返答されなかったと考えますと、この半分ぐらい、すなわち100軒いたら1~2%ぐらいが有訴者がいる住宅かというふうに考えられます。
(PP)
 「SHSのリスクとなる要因」について、かいつまんで申しますと、このページは住宅建築等で関心のありますダンプネス(湿度環境)を考えながら、ダンプネス指数と、それから個々の原因といいますか、気になっていることに丸をつけていただいたんですが、「家の空気が汚れていると感じる」「家の臭いが気になる」等が誘因にリスクを上げておりました。
 また、ダンプネスインデックスはこの上の症状のほかに、例えば結露があるとか、水漏れをしたことがあるとか、そういうようなインデックス化したもので海外で使われているものですが、P for trendと申しまして、ダンプネスの程度、指数が高くなるほどシックハウス症候群のリスクが高いということも調査でわかりました。
(PP)
 この後は、「自宅環境調査」を少しお話いたします。最初に申しましたように2004年、2005年、2006年と住宅をフォローしております。
 個人の調査票は、居住者全員に配布をいたしました。シックハウス症候群に関する項目ですが、MM040EAと書いてございますのはスウェーデンのアンダーソン博士らが開発したヨーロッパで最もよく使われている調査票の成人版を使いました。そのほか、2年以内のアレルギーの既往、それからいわゆる個人の属性ですとかライフスタイル等も聞いておりますし、住宅調査票を1軒に1部配布いたしまして、築年数ですとか構造、幹線道路との関係、機械換気が作動しているかどうか、改築を途中でされたかとか、床材、壁材料、カーペット・防虫剤・芳香剤等を聞いておりますのと、先ほど申しましたダンブネスをインデックス化して、このようなことを調べさせていただきました。
(PP)
 「シックハウス症候群の定義」ですが、アンダーソンが開発いたしましてヨーロッパ、EU各国で使われておりますものを九州の溝上先生が日本語版をつくって日本語版としてスタンダード化したものでございます。
 本研究におけるシックハウス症候群の定義でございますが、シックハウス症候群のカテゴリーとして、一般症状が目の症状、鼻の症状、喉の症状、皮膚症状でこのようなことを詳しく聞いているわけですけれども、これが毎週のようによくある、あるいは時々ある、かつその症状は家を離れるとよくなるということを、もともとのアンダーソンの定義でもそのようにしておりますので、日本語版でも全く同じやり方で聞いております。
(PP)
 これがその症状の一部でございますけれども、「よくあった」、それから「毎週のように」ある、あるいは「ときどき」ある、「まった」ない。それで、「はい」とつけた方はその症状が住宅環境によると思うか。つまり、住宅を離れると消える場合のみ取り上げたということでございます。
(PP)
 これから先、自宅環境の測定項目についてお話いたします。調べた項目は、「温室・湿度」「気中アルデヒド・VOC類」「気中真菌」「床ダスト中ダニアレルゲン」、それから2006年からSemi-volatile VOCs、フタン酸エステルですとか、リン酸トリエステルなどでございます。それから2006年は、いわゆるMicrobial VOCsに関して調査をいたしました。
(PP)
 まず、サンプリングの方法を申し上げます。アルデヒド類とVOCですが、アルデヒドに関しましてはSupelcoの拡散サンプラーで24時間室内空気を捕集いたしまして、HPLCで13アルデヒドについて測定いたしました。
 VOCに関しましては、揮発性有機化合物としましてSupelcoで24時間引きました後、GC-MSで29化合物を測定しております。
(PP)
 「指針値が定められている化合物の濃度」ですが、先ほど申しましたTakigawa et al.の論文と、それからその裏のページの班研究の報告書の抜粋に詳しいことが出ております。この手元資料というのは、その意味でございます。
 主だったところを申しますと、ホルムアルデヒド、アセトアルデヒドは2つとも検出率が95~96%、それからアセトン、トルエン、エチルベンゼン、キシレンぐらいで、この程度の検出率でございます。これは95%が最大値、最も住宅で高かった濃度のお宅でございます。それから、p-ジクロロベンゼンの検出率は61%でした。TVOC(29化合物)としましては、このぐらいの濃度でありました。
 ここで、室内濃度指針値を超過していた住宅はホルムアルデヒドで3.5%、アセトアルデヒドで12%、p-ジクロロベンゼンで5.6%、暫定指針値がありますTVOCで8%でございました。
(PP)
 「SHS症状と化学物質濃度」でございます。これもかいつまんででございますが、いずれかの一般的な症状ですね。一般的と申しますのは、ちょうど調査票にありますように頭痛があるとか、吐き気やめまいがするとかというような一般症状です。
 それから、眼の症状、鼻の症状、皮膚の症状としてみますと、そのいずれか1つでもあるということに関しまして有意でしたのがホルムアルデヒドでして、これは四分位、すなわち一番低いほうから25%のお宅、それから25%~50%、50%~75%、一番高い75%以上のところに位置するお宅という意味で、分位に分けまして、これは症状のオッズ比ですので、一番低いところの25%のお宅に比べてどういうふうにリスクが上がるかということを示しております。
 ホルムアルデヒドがこのようなデータで、また一般症状に関しましてクロロジブロモメタンが結構高いですが、このように95%(信頼区間)はかなり広いので、全てのお宅に出ているわけではないことがこの表からもわかると思います。
 それから、眼の症状に関しましてアセトアルデヒド、それからアセトン、n-ノナンがリスクを上げていることがわかります。
 鼻の症状に関しても、ホルムアルデヒドがこのように(信頼区間が)1をまたいでおりませんので、有意に症状を上げております。
 皮膚の症状に関しましても、アルデヒドの一つのプロピオンアルデヒドがリスクを上げているところがございます。
 濃度が高いほど「SHSいずれか一つ以上の症状あり」のリスクが高くなることがこれから見てとれます。
(PP)
 「室内化学物質濃度推移」でございますが、ちょうど同じ住宅を3年間にわたって測定できましたので、それを見たものでございます。
 下の横軸ですが、ホルムアルデヒド、アセトアルデヒド、アセトン、トルエン、キシレン、スチレン、アルファピネン、リモネン等で、顕著に下がっておりますのはホルムアルデヒド、アセトアルデヒド、アセトン、トルエン等は下がっておりますし、逆にリモネンは築年数が経っているにもかかわらず上がってくる。恐らく、これは暴露のソースが違うことを示しているのだと思います。
(PP)
 「アルデヒド・VOCのまとめ」でございますが、厚生労働省の指針値が定められている13化合物のうち、指針値を超える濃度を示したのは、住宅としましてはホルムアルデヒド、アセトアルデヒド、p-ジクロロベンゼンでした。ホルムアルデヒド、トルエンの濃度は3年間の観察で継時的に次第に室内濃度が低くなったことがわかります。ホルムアルデヒドの濃度が高くなると、SHSのリスクが上昇することは先ほどお見せしました。
 これ以外の13化合物以外にも、クロロジブロモメタン、アセトン、n-ノナンなどがシックハウス症候群のリスクを上げる可能性が示唆されました。
(PP)
 この後、「Microbial VOCs」の話をいたしますが、私どもは全国調査をいたしまして非常にはっきりしましたのは、住宅の水漏れがあるとか、いわゆる湿度環境が大きくシックハウス症候群に有意に関係しておりましたので、その絡みで、つまり湿度が上がるほどふえる微生物があるのではないかということで、その微生物によって産生される化学物質はMicrobial VOCsと総称されますが、それを調べました。既に私ども調査する段階で、培養実験によりまして150種類もの化合物がMVOCとして知られておりましたので、これを取り上げた次第です。
 また、MVOCの濃度は、ダンプネスのある建物でない建物より高いということも報告がございました。
 ただし、その時点でヒトの実験的暴露で1-Octen-3-olの眼や気道の粘膜刺激症状、頭痛や吐き気、それから3-methylfuranが眼、鼻、気道などの急性症状を起こすということが報告されておりましたが、実はこれは急性症状だけでして、疫学研究としてMVOCを取り上げて調査したのは世界的にも初めてでございます。
 その前に先にやらなければいけないのは分析法の確立ですので、今日はそのことをお話しする時間はございませんが、まずそれをやりました後、疫学調査を実施いたしました。
(PP)
 MVOCは、私どもは8化合物、それから後の調査ではMVOCを13化合物にふやしまして、VOCと合わせて51化合物の同時分析を可能にいたしました。
 サンプリングは、このように48時間、室内空気を捕集して、GC-MSで測定をしております。
(PP)
 MVOCの濃度ですが、これが中央値であります。それから最大値、それから検出率です。結構、多くの住宅で検出されることがわかると思います。
 このレベルですが、住宅調査と、それからスウェーデンの学校で濃度だけ測定しているものが一時点ありました。それと比べますと、日本の私どもの調査はドイツの住宅と同じ程度、またはスウェーデンの学校の調査よりは濃度がむしろ日本の家庭のほうが高いことがわかりました。
(PP)
 それで、肝心の「SHS有訴とMVOC」との関係ですが、お示ししますように1-Octen-3-ol、これは実験データがあったものですが、やはり粘膜の刺激症状は有意に高く、刺激症状のリスクを4.6倍に上げておりました。Mite allergen Der1も、確かに上げております。これは、対数変換をして正規化させているものですから濃度が10倍になったときの、そのリスクを示したものです。濃度が10倍になると、このような症状のオッズが上がるということでございます。
(PP)
 それから、「アレルギー有病とMVOC」を見てみました。全ての真菌のところでも、例えばAtopic Dermatitis、皮膚のアレルギーですね。アトピー性皮膚炎につきましては、むしろ下げていることがわかります。これは、室内のFungi(真菌)と外の真菌の差があることを、すなわち換気等を示しているんだと思います。
 1-Octen-3-olに関しましては鼻のアレルギー症状、それから眼の結膜炎の症状ですが、いずれもリスクを挙げておりました。これらは、お互いにtotal fungi(総真菌)量とか、そういうものを調整しても、性、年齢、喫煙、改築、カーペットの敷き詰め、花粉症、ダンプネス指数等を調整した上で、独立に有意にリスクを上げるものとして残ったということを示しております。
(PP)
 「MVOCのまとめ」ですけれども、1-Octen-3-olは実験データがありましたようにシックハウス症候群、特に粘膜の刺激症状、アレルギー性鼻炎、アレルギー性結膜炎のリスクを上げる可能性が示されました。暴露濃度よりもかなり低い、実験よりはかなり低い室内濃度でも症状を引き起こす可能性があるのではないかと考えております。
 この後、semi-volatile organic compoundsでありますフタル酸エステル類についてお話をいたします。
 御承知のように、種々に汎用されているということでありますが、動物実験でアレルギーのアジュバントとしての効果等が示されております。また、Bornehag 等(スウェーデンの研究者)、あるいは台湾の研究者などはアレルギーとの関連を示唆する論文を出してきております。それを日本で調べてみたということでございます。
(PP)
 2009年には3.5万トンが生産されておりますが、日本の場合、欧米と違いまして、臭素系に関しましては、臭素系の難燃剤は日本は関連業界が早目に自主規制をいたしましたので、早くからリン系の難燃剤を使っておりました。これらの物質は揮発性が低いのですが、室内空気中に長時間とどまる可能性があるために汚染が懸念されるところでございます。
 ヒトでは、Meekerらによって生物学的な関連を示されている報告がございますけれども、疫学研究はほとんどありません。
(PP)
 そこで、この2つのSVOC、フタル酸エステル類とリン酸トリエステル、それからアルキノフェノール、塩素系共力剤、その関連で調べております。
 ヨーロッパあるいはアメリカの研究は棚のダストをとって床のダストと比較したりはしていないのですが、欧米とは私どもの生活スタイルが違いますので、私どもは最初からフロアー(床)のダストといわゆるMulti-surface、床上の棚のダストを調べまして、どちらが暴露指標としていいのかということを合わせて検討いたしました。サンプリングは、アクティブ法で48時間室内空気を捕集して測定にかけております。
(PP)
 まず、最初に札幌だけ少し走りました。というのは、気中フタル酸エステル類の濃度とハウスダストの関連等を調べますと結構大変な調査ですので、全国レベルでやる前に自分たちのところで少しパイロット調査をやったということで、そのデータであります。
 フタル酸エステル類の種類がこちらに書いてありまして、これが中央値であります。それから、これが最低の濃度のお宅と最も高かったお宅で、検出率がここにございます。やはり、最もよく汎用されておりますDEHPの濃度は高いことがわかりました。後で図もお示しします。DnBPの濃度も高いことがわかりました。分子量が小さいDMPは、気中からは検出されましたけれども、ダスト中からの検出は低い。比較いたしますとこの濃度、4種類のフタル酸ですが、本研究では低いことがわかりました。
(PP)
 気中リン酸トリエステルについてをお話いたしますと、これがMedium(中央値)、こちらがRange(範囲)であります。検出率はこのぐらいで、やはり日本の住宅はリン酸トリエステル類の濃度、検出率が高いことがわかります。
 ただし、ダスト中からの検出は低目でございました。
(PP)
 この図の方が見やすいかと思うのですが、縦軸はlog変換しておりますので、フタレートのダスト中の濃度であります。低いほうから高いほうへ。それからこちらがフタル酸エステル類の濃度でございます。ごらんになってわかりますように、対数変換していますのでDEHPのレベルが非常に他と比べて高いことがわかると思います。その後、DINPもやや高目、それからこの辺りは低目でございます。これは、全国の6地域のデータをまとめたものでございます。
(PP)
 それから、フロアー(床)ダストとマルチサーフィスで棚ダストとの関連をここに小さく示しましたが、一部のフタル酸エステルを除きまして、関連はスピアアンの相関係数で見ていますけれども、高いものから低いものまで若干差はありますが、結構関連はあることがわかります。
 肝心のシックハウス症候群と、それからアレルギーの有病、有訴との関係を示しました。皆様からごらんになって一番右側がシックビルディング症候群、いわゆるシックハウス症候群のリスクとの関連、それからこの4つがAsthma(喘息)、皮膚のアレルギー症状、鼻のアレルギー症状、それからこれは眼結膜の症状でありまして、こちらがフタル酸エステルの種類でございます。
 英語で大変恐縮なのですが、いずれもこれは個々にモデルで独立に見ております。年齢とか、喫煙とか、カーペット使用ですとか、ダンプネス、あるいは花粉症なども考慮しまして、それらをアジャスト(調整)しましての値でございますが、DEHAとAsthma(喘息)との関係、それからアレルギー性の皮膚炎に関しましてはBBzPとDEHA、結膜炎に関しましてはDEHPとがリスクを2倍から3倍に上げていることが結果からわかります。
(PP)
 それから、こちらは棚ダストの濃度を見ていますが、棚ダストはAsthmaでDiBPで有意なだけで、先ほどの床ダストに比べますと日本の場合は有意の関連が一部で見られたのみでした。これは、やはり日本と海外の暮らし方の違いがあるのではないかと思います。
(PP)
 フタル酸エステル類についてまとめてお話しいたしますと、床から採取しましたダスト中のDEHP、BBzP、DEHAは喘息、アトピー性皮膚炎、アトピー性結膜炎のリスクを上昇させている可能性があります。
 棚から採取したダストの中では、フタル酸エステル類ではDnBPのみが喘息のリスクでありました。
 シックハウス症候群とダスト中のフタル酸エステル類濃度には、有意な関連は見られませんでした。
 それで、DEHPの濃度はBornehagらがスウェーデンでやった先行研究と私どものデータはほとんど同程度でありました。ただし、BBzP濃度は本研究のほうが低目でございました。スウェーデンのPVC床材にはBBzPが含まれているようなんですけれども、日本はBBzPの輸入量が少なく、またPVC床材にはDEHPが含有されていますので、むしろそれが理由と考えられます。
 また、BBzPは濃度が先ほどごらんになっていただいたように低目なんですけれども、アトピー性皮膚炎のリスクである可能性が示唆されました。さらなる検討が必要と考えます。
(PP)
 これからは、「ダスト中リン酸トリエステル類濃度」です。床ダストとMulti-surface、棚ダストの関連ですが、このように高いものから低いものまで、1つを除きましてどれも関連のケースが高いことがわかります。
 それで、このリン酸トリエステル類の濃度とアレルギーの有病率、あるいはシックハウス症候群を見ますと、シックハウス症候群に関しましてははっきした差はこの調査では認められませんでしたが、喘息、皮膚炎、鼻炎、結膜炎のうち、喘息と皮膚炎でこのとおり有意でした。
 先生方のお手元に括弧の中で書かれていると思うのですが、これは同じ物質でして物質名を少し統一したほうがいいということで直前にこのように直させていただきましたが、お手元の資料に書いてあるものと齟齬があるわけではございません。
(PP)
 それから、棚のダスト中で見ますと、TBPがAsthmaと鼻炎と有意でありました。これは、いずれも個別にモデルに投入いたしましたので、それぞれこの横軸ずつで見ていただくとありがたいです。一部これは訂正させていただきます。
 それから、室内のペットの有無ですとか、換気装置の作動の有無、始動しているかどうかというのも調整変数に入れておりましたので、これらもお手元の資料に追加をさせていただきます。
(PP)
 「リン酸トリエステル類濃度の海外との比較」でございますが、アメリカ、ドイツ、ベルギーのデータを見ますと、日本の札幌、それから6地域でやりました調査、いずれもこれは対数で取っておりますが、かなり日本が高いことがわかります。
 それから、こちらは床ダスト、右側が棚ダストでございます。
 棚ダストに関しては、スウェーデンと比較しましても日本、札幌のみならず6か所やりました調査でこのような結果で、やはり日本がリン酸トリエステル類濃度が高いことがわかります。
(PP)
 リン酸トリエステルについてまとめてみますと、アトピー性皮膚炎のリスクを上げる。それから、TBPは喘息と鼻炎のリスクを少し上げる可能性が2倍程度示唆されました。
 ダスト中のリン酸トリエステル類濃度とシックハウス症候群につきましては、この調査では統計学的に有意な関連は認められませんでした。
 ダスト中のリン酸トリエステル類の濃度ですが、海外はかつては臭素系難燃剤を使っておりましたが、最近は臭素系難燃剤の問題がありますのでリン系にシフトしてきておりますが、日本はそれが早くシフトいたしましたので、ごく最近になってアメリカなどでリン酸トリエステルについての論文が出始めてきております。
 今後も引き続き、特に日本は濃度がかなり海外より高うございますので、引き続き調査が必要と考えております。
(PP)
 「小学生を対象」とした調査を、比較的新しく実施いたしました。どうしてそういう調査をしたかという理由でございますが、全国6地域の調査は建築確認申請に基づいて無作為抽出いたしましたので、比較的、住宅の年齢としては若い、つまり築年数が短い住宅が対象で室内環境測定とシックハウス症候群の調査をいたしました。
 ただ、シックハウス症候群の有訴率ですが、今日はお示しいたしませんが、やはり小学生の有訴率は最もこの全体調査をいたしましたときに(他の年齢層より)高いということがわかりました。2倍ぐらいの高さで、ハイリスク集団であったことがわかりました。
 それから、建築確認申請から調査対象住宅に入りますと全国統一で調査はできるんですけれども、やはり戸建て住宅に限られてしまいます。それから集合住宅とか築年数が古い住宅の室内空気質ということは調査ができません。それを補う目的で小学生を対象にして、理由の1つはハイリスク集団である。それから、小学生を対象で調査を進めることによってその家族及び小学生ぐらいの子供さんを持っている方の住宅の特徴つまり、集合住宅や築年数の古い住宅についても調べることができるという利点があるからでございます。
(PP)
 「研究の流れ」のみをお話いたしますが、「質問紙調査」を旭川、札幌、福島、大阪、九州の大宰府でいたしまして、21の公立小学校、1国立小学校の全児童1万816人を対象に、先ほどのAnderssonが開発した調査票のスクール版というものがございますので小学生、中学生等を対象にしたものですが、それを使いました。これが、シックハウス症候群の内容です。
 もう一つはISAAC、これは有名なので皆さん御承知と思いますが、International Study of Asthma and Allergy in Childhoodということで、ISAACといわれますけれども、質問紙調査で喘息を調べるものであります。同時にライフスタイルですとか、ダンプネス等の住環境も調べました。
 また、学校のアルデヒド類、VOCの測定もいたしまして、子供さんたちから自宅の環境調査を178件、全国調査でさせていただきました。このときの測定は、アルデヒド類とVOC34化合物、MVOC、それから2E1H、SVOCでございます。
 同時に、エンドトキシン、βグルカン、ダニアレルゲン等の生物学的要因も測りました。
 きょうは時間の関係でお話できませんけれども、ミニサンプラーを用いた児童の暴露評価24時間モニターをいたしまして、それの有用性も確かめた次第でございます。
(PP)
 本当にごく触りですが、シックハウス症候群の有訴があったもの、アレルギー診断があったものを図でお示ししますと、回収率は小学生1万816人のうち70.6%だったんですが、シックハウス症候群の有訴率はこの程度です。それから、喘息、季節性鼻炎・花粉症等がこの程度、それからアトピー性皮膚炎がこのぐらいでした。小学生調査も非常に面白いといいますか、いろいろと今後の参考になるデータが得られているんですが、時間の関係できょうはお話申し上げられません。
(PP)
 「結論」を申しますと、まず結露やカビ臭といったダンプネスは、シックハウス症候群の独立したリスク要因であるということを申し上げたいと思います。
 それから、住宅で厚労省の指針値を超過する化学物質はホルムアルデヒド、アセトアルデヒド、p-ジクロロベンゼン、それからトータルVOCに限定されました。
 指針値がない化学物質で室内濃度が比較的高いのはリモネン、ピネン、それからC8-12アルカンでございました。
 MVOCのうち1-octen-3-ol濃度が高いことがシックハウス症候群やアレルギー性鼻炎、結膜炎のリスクとなる可能性が示唆されました。
 それから、SVOCのうちDEHP、これは最も汎用されているものでございますが、BBzP、それからリン酸トリエステル系のこのような化学物質は、アレルギーのリスクを上げる可能性が示唆されました。特に日本の生活様式では床ダストとの接触が多いので、床ダスト濃度が高いことがリスクとなった原因とデータから考えた次第でございます。
(PP)
 「今後の課題」でございますが、C8-12アルカンによるシックハウス症候群のリスク上昇、きょう細かいデータをお示しできませんけれども、これは灯油や合成繊維が発生源である可能性があり、今後研究蓄積が必要と考えております。
 それから、リモネンやピネンは木材のほか、衛生用品などに香料として多く含まれておりまして、室内濃度も高いことが私ども何回かいろいろな調査をいたしましてわかりました。リモネンやピネンの酸化によってオキサイドができまして粘膜への刺激作用が知られておりますので、測定の工夫をしていく必要があると思っております。
 グリコールエーテル類は、やはりスウェーデン等で健康影響が懸念されているんですけれども、日本の知見はほとんどないので、今後やる必要があると思っております。
 フタル酸エステル類の暴露は、室内空気質以外に食事等から、要するに経口の摂取がございますので、今後、尿中代謝物の分析など生体内に取り込まれた量を、いわゆるバイオロジカルなモニタリングをしていく、その方向の確立とリスク評価が必要と考えております。
 リン酸トリエステル類は、海外よりも日本の住宅の濃度が非常にけた違いに高い。フタル酸エステル類と同様に、やはり生物学的モニタリングの手法の確立とリスク評価が必要と考えております。
(PP)
 多くの御家庭が研究に参加してくださいましたので、皆さんに感謝申し上げます。分担者はこのメンバーでございました。
 2007年には、一般の方が保健所等にシックハウス症候群の相談に来られますが、その保健所等職員向けのマニュアルを作成いたしました。2009年には、財団法人日本公衆衛生協会から研究班として「シックハウス症候群に関する相談と対策マニュアル」を発行いたしました。
 きょうの発表は、以上でございます。
○西川座長 岸先生、ありがとうございました。
 ただいまの御説明につきまして、御意見、御質問等ございましたらお願いいたします。どうぞ。
○角田委員 大変貴重なデータだと思うんですけれども、確認というか、論文のほうを見るとアンダーソンのほうはシックビルディング症候群という定義からシックハウスに転用したということですか。
○岸様 御承知のように、海外ではシックハウス症候群というふうな言葉は普通は使いませんので、シックビルディング症候群として一般家庭も調べております。一方、日本の場合は厚生労働科学研究でもシックハウス症候群に関する研究という名前でやっておりますので、そのように使っているだけで、中身は全く同じでございます。
 海外に行って「シックハウス症候群」というと、日本でつくられた和製英語だというふうに判断されます。アメリカ、ヨーロッパ等ではシックビルディング症候群と言いますので、アンダーソンの調査でもそのようになっております。
○角田委員 それで、ちょっと気になったのが、ダンプネスのシックハウス症候群のリスクの中で、ダンプネス指数が0~5でトレンドテストでは確かに有意になるんですが、有意になるのが3で、4、5が有意じゃなくなっているので、これは4と5を独立したらどうなるのかなというところがちょっと気になったんです。
 それで、1、2も有意じゃないので、3は出ているんですが、同数の上昇的には余りきれいに出ていないんじゃないかなというところがちょっと気になったんですが。
○岸様 疫学的にはよくあることなんですが、シックハウス症候群の場合のこのダンプネスも高い、4から5合わさって、両方ダンプネス指数が4と5ある住宅の数がほかのところより少ない場合にコンフィデンスインターバル等が少ない人数からリスクを計算いたしますので、confidence interval(信頼区間)が広がるという現象は疫学的にはしばしばあることでございます。
 ですから、3以上を1.37、1.43、2.39、3と4と5を合わせると人数にもよりますので図比は多少変わるかもしれませんが、このように一番高いところでやや低く見える。だけど、P for trendが有意であるという場合には、疫学研究としましてはしばしばあります。一番高い濃度の住宅が他よりも少ないためでございます。
○角田委員 それから、同様のことなんですが、ホルムアルデヒドもいずれか1つ、これは眼と鼻以外に何かもう一つあるのかなという気もしたんです。あるいは、眼と鼻が別々で、意外と重なっていないのかなという感じがしたんですが、その3分位だけは例えば眼は独立して挙がっていますけれども、眼も鼻も一番濃度が高いとこれも有意に達しないということもちょっと気になるかなというところです。
○岸様 動物実験と違いまして、人々の住環境というのは調べたもの以外でもいろいろな交絡要因があります。しかしそれでもP for trendが有意であるという場合はdose responseと申しますか、用量反応関係があるというふうに考えるんですけれども、全てのところで階段状にリスクが上がるというわけではございません。これは、疫学研究の特徴でございます。
○西川座長 よろしいですか。
 では、五十嵐先生お願いします。
○五十嵐委員 言葉の確認です。フタル酸エステルとかリン酸トリエステルが、喘息、アトピー性皮膚炎、それから結膜炎のリスクであったと説明されましたが、これらの化学物質が皮膚炎、結膜炎、あるいは鼻炎の症状を増悪するという意味でしょうか。
○岸様 増悪させるかどうかは、この方たちを追跡しまして、その濃度の変化があるのに従って本当に増悪しているどうかを調べないと出ませんので、増悪とはこのデータからは申し上げられません。
 ただ、症状をシックハウス症候群の場合は有訴、アレルギーに関しては有病の人の割合を上げるということで、「リスクであった」というのはちょっと私も強過ぎて、「リスクを上げる可能性が示唆された」というのが私としてはいいのではないかと思います。
 先生の御指摘、ありがとうございます。
○西川座長 池田先生、どうぞ。
○池田委員 日本大学の池田です。
 先生はこういう見方で整理されているかどうかわからないんですけれども、福島が入っていますね。ちょうど先生の研究というのは原発事故前からずっと連綿とやっているわけで、その点から見て、例えば福島原発事故で行われたさまざまな対策というのがあるんですけれども、その中にはシックハウス症候群を増悪させるようなものが幾つかあると思うんですが、そういった影響があらわれているというようなことが見られますか。
○岸様 この班研究は22年までですので、当然ながら2011年の3月の原発事故の後の方たちのデータは全く入っておりません。
 ただ、ここでお示ししましたように、シックハウス症候群の私どもの福島で参加してくださった田中先生は、仮設住宅の室内環境に関してもずっと大変興味を持ってというよりも、心配されて仮設住宅に住まわれる方のことをお調べになっていらっしゃるのですが、私は耳学問的には田中先生からやはりいろいろ仮設住宅の問題とか、健康を維持する上での困難さなどは聞いておりますが、きょうの主題ではございませんので申し上げませんでした。
○西川座長 ほかにございますか。
 東先生、それから吉田先生お願いします。
○東委員 近畿大学の東でございます。貴重な御発表ありがとうございました。
 1点、お伺いしたんですけれども、この1-octen-3-olですが、これは仮にこういう物質をマネジメントしていこうと思うと、その発生源が何かというところを考えていかなければいけないと思うんですけれども、これはどういった微生物類がこういった物質を特異的に出すとか、そういったもので何か御知見があれば教えていただきたいと思います。
 それから、室内MVOCのデータのところでも1-octen-3-olというのは検出率は割と低く29%程度ですので、家の中の状況で何か特徴的な家がこういうものを出しやすいとか、そういったような調査結果の中でわかる御知見があればお教えいただきたいんですけれども。
○岸様 御質問ありがとうございます。
 1-octen-3-olに関しましては、どの微生物が出すとかという形での調査報告はないと思います。
 ただ、一般的にMVOCは家の中の例えば食べ物のくずですとか、あるいは私たちの体のふけですとか、そういうありとあらゆる小さなごみですね。それと湿度環境の悪さといいますか、コンディションのよくなさが合わさって出てきますので、先生がおっしゃるようにそのソース、あるいは対策ということは非常に重要だと思いますけれども、そこまでのデータは世界的にないと思います。
 ほとんどが室内のごく小さなごみ、それも人間の私どもが発生するごみから湿度環境と合わさってつくられる化学物質だと考えられております。
○東委員 ありがとうございました。
○西川座長 では、吉田委員お願いします。
○吉田委員 国立衛研の吉田でございます。2点お伺いいたします。
 1つは、床と棚で測っていらっしゃいますけれども、私は疫学の素人で非常に質問として変かもしれませんが、この床というのは畳も含まれるのでしょうか。
○岸様 はい。そうです。住居によっては全部フローリングなどというお宅もありますけれども、棚ダストは35センチ以上ですので、例えばテレビ台の上とか、それからマルチサーフィスと書きましたのはテレビだとか鴨居ですとか、取れるだけ、意外と分析するだけの量が取れないこともありますので、一生懸命“マルチサーフィス”を集めましたというのがそれでございます。
 床ダストは先生も御想像がつくかもしれませんが、床ですので海外の人たちは泥靴といいますか、私たちよりもきれいに磨いた靴かもしれませんけれども、靴で生活いたしますね。日本の人は、床にしても畳にしても床は割にきれいで、ちゃんとお掃除しながらやりますので、そこの違いが海外のデータをうのみにできないと思いまして、それで両方測ることをしてみたわけでございます。
 だから、ダストをふるっております。泥を測っても泥ばかり出てきますので、ふるいをかけた上で分析にかけております。
○吉田委員 済みません、あと1点短い質問なのですが、子供さんの有訴率が高いということで大変興味深かったのですが、この喘息や鼻炎で分けられたうち、複数にかぶっているお子さんの率というのもかなりあるのでしょうか。
○岸様 そんなに多くはありませんが、アレルギーマーチといいますように、アレルギーというのはマーチのように、アレルギーになりやすい方はほかの、例えば喘息が軽くてもあって、鼻炎があってとかということもありますし、重なっている方も少しはおられましたけれども、そんなにはたくさんおりません。
○西川座長 よろしいでしょうか。
 神野さん、お願いします。
○神野委員 国立衛研の神野でございます。膨大な調査結果、どうもありがとうございます。細かいことで失礼ですが、2つほど質問させてください。
 1つは、最後の小学生を対象にした調査で2エチル1ヘキサノール、これは多分以前の調査にはなく、この調査で初めて加えていらっしゃるかと思いますが、この化合物について、例えばシックハウス症候群とか、あるいは先ほどの増悪因子としての作用が確認されるようなデータが得られたかということについて教えて下さい。
 もう一点、最初のほうの「アルデヒド・VOCのまとめ」というところでクロロジブロモメタンが一つの候補化合物として挙げられていると思いますが、これについては多分、一つの発生源としては消毒副生成物というのが考えられると思います。その流れからいいますと、例えば水周りが近くにあるとか、そのような状況かと思うのですが、この化合物の発生源等について、何か知見とか情報がございましたら教えていただけますか。
○岸様 御質問ありがとうございます。
 2エチル1ヘキサノールを入れました理由は、分担者の中の愛知医科大学の柴田先生たちのグループがコンクリートの劣化で、要するに10年、20年経ったコンクリートから水が出てきますと、それで反応して2エチル1ヘキサノールが増える可能性があるということを北海道大学の衛生工学の先生方と一緒に柴田先生達がなさったということがありまして、やはりもう少し注目したほうがいいと思いまして測定した次第です。
 細かいデータは、荒木のほうから申し上げます。
○荒木様 北海道大学共同研究者の荒木と申します。
 2エチル1ヘキサノールと小学生に関しましては、今回のデータからはシックハウス症候群のリスクとなるような結果は得られておりません。測定で出た、そのものが数が余り多くないものですから、札幌市だけの128件だけで見たところでは症状との関連性は得られませんでした。
○岸様 ただ、それを入れた理由は、その住宅のコンクリートの劣化を気にしてのことです。
○神野委員 クロロジブロモメタンはいかがですか。
○岸様 化学物質については細かい30ページと34ページで、30ページは症状と化学物質との多変量解析の結果でございます。
 それから、34ページには、シックハウス症候群がありとされた住宅と、そうでないところで少し細かく出ていますので見ていただければと思うのですが、細かい個々の物質に関しましては非常に検出率が高いものは安定してリスクがこうと言えるのですが、検出率が30%ぐらいでも出ていないお宅と出ているお宅は差があるんですけれども、なかなか数が少ない場合、安定してきれいなデータにはならないんですね。
 ただ、幾つかのここで挙げましたような30ページと34ページを見ますと、結構、オッズ比が上がっていたり、高まる傾向があったりするのが図表から見えると思うんですけれども、住宅によってはかなり違う建築資材を使っておられると思うのです。それで、濃度が高いと症状を起こしているところもあるという意味で、一般化するには、何度か調査をしておりますのである程度確かだとは思うんですけれども、本当に多様な物質を使っていて測定すると出てきてしまって、しかも濃度がそのお宅が高いと有意に出ているということで何軒かあると有意になります。1軒だけでは疫学研究では出てきませんけれども、うまく先生にお答えできているかどうか自信がないですが、結論的に申しますとそういうことでございます。
○西川座長 ありがとうございます。
 どうぞ、中井先生。
○中井委員 横浜国大の中井です。大変ありがとうございます。済みませんが、3点よろしいでしょうか。
 1点目は築年数に関することですけれども、多分これはいわゆる指針値対象物質に関しての質問になってしまうかと思うんですが、濃度の変化等々、あるいは濃度の値そのものに関して築年数が効いているのかどうかということを1点お聞きしたいというのがあります。
 2点目が、2004年~2006年の調査のほうで個人調査票を居住者の方、全員に配布されているかと思うんですけれども、これの家屋内の変動、あるいは家庭内の集積性、その辺の解析の取り扱いも含めてお教えいただければと思います。
 多分、シックハウスというといろいろと問題になるのは、ある家庭ではなられる方となられない方がいて、ケアみたいなことを考えると、苦しまれる方は大変なんだけれども、それ以外の方は全然平気なのでということもあろうかと思いますので、その辺でうまく対応がとりにくいというのもあるかと思います。その辺の集積性みたいな観点からどうなっているのかということをお聞きしたいというのが2点目です。
 3点目は簡単なんですけれども、最後の児童の調査のミニサンプラーというのが何を測られているのかをお教えいただければと思います。お願いいたします。
○岸様 それでは、お答えいたします。
 まず継続性ですが、8ページのスライドでどんどん流しましたのでわかりづらかったのではないかと思います。8ページの上段がこの3年間、4年、5年、6年の変化でございます。ごらんになってわかりますように、キシレン、スチレン等はこの絵で見る限りはほとんど変化がないように見えます。
 それに比べますと、ホルムアルデヒド、アセトアルデヒド、アセトン、トルエンの値のところは階段状に下がってきておりますが、これはキシレンとかスチレン等が例えば壁の内装だったりしますと、最初の1年、2年の間にかなり下がってきていて、調査年の4、5、6では変化がなかったということを示していると思います。
 それに比べますとホルムアルデヒド、いわゆるアルデヒド類はやはり緩慢に下がってまいりますので、それが私どもの調査、同じ住宅を1年置きに3年測ったところで、まだ数年後でも下がり続けているんだということを示していると思います。
 それに比べますと、リモネンがだんだん上がっておりますが、これは香料ですとか、いろいろな形で後から持ち込まれたものが入ってきている可能性もある。それが症状に反映していく可能性もあるのではないかということを示していると思います。
 それから、その集積性といいますか、例えば5人の家族でおりますと、その5人が同じ家族である、あるいは2人が同じ家族であるということを調整の変数に入れまして、私ども海外のジャーナルにいろいろたくさん厚生科研の結果を出さなければいけないということで出しておりますけれども、もちろん海外でもそういう指摘がございますので、それはクラスターといいますか、集積性が強調され過ぎないように、そこは調整しています。そちらのほうはできましたら個々の論文(原著)のほうでその都度詳しく書いておりますので、そちらを見ていただけるとありがたいと思います。35ページ以降に原著論文のリストを書いております。先生のおっしゃった点はやはり調整すべきでして、例えば特定の住宅ばかり、家族が5人いたり2人いたりして、5人のところが非常に濃度が高いと影響も(家族が2名のお宅よりは)大きくなりがちに見えますので、そこは調整した結果でございます。
 それから、ミニサンプラーですが、アルデヒド類を全品ミニサンプラーで測ることは残念ながらできませんでした。ホルムアルデヒドのみでございます。主としてVOCを測定しました。これはどうしてそうしたかといいますと、小学生の子供さんは家庭には恐らく十数時間いると思うのですが、残りは学校ですとか塾ですとか、もちろん公的な図書館とかに行くかもしれません。そういうことも全て合わせまして、24時間の暴露として評価したいためにミニサンプラーを使っております。
○西川座長 よろしいでしょうか。
 それでは、斎藤先生、手短にお願いします。
○斎藤委員 東京都の斎藤です。
 今後の課題といたしまして、C8-12アルカンについて調査をしていかれるということなんですが、これは実は現在の住宅でも大変よく検出されまして、トルエンが規制されたのをきっかけにシンナーの中身に非常によく入っているというのが1つと、それからドライクリーニングの溶剤としてテトラクロルエチレンなどが規制されてこちらのアルカンの混合物がよく使用されているというのがひとつ原因になっていると思いますのでお知らせをしておきます。
○岸様 ありがとうございます。
○西川座長 それで、岸先生どうもありがとうございました。
 ここで、少し休憩を取りたいと思います。あの時計で、50分まで休憩したいと思います。

(午後3時42分休憩)
(午後3時50分再開)

○西川座長 それでは、時間ですので検討会を再開いたします。皆さん、お戻りですか。
 それでは、続きましてシックハウスに関する相談の状況等について、住宅リフォーム・紛争処理支援センタ—の小椋様、御説明をお願いいたします。
○小椋様 公益財団法人住宅リフォーム・紛争処理支援センターの小椋でございます。
 シックハウスに関する相談の状況ということで、私どもに寄せられた相談の状況につきまして、ごくかいつまんだ形ではありますが、御報告させていただきたいと思います。
(PP)
 最初に私どもの機関の紹介をさせていただきたいと思いますが、私ども「住宅品質確保法」、それから「住宅瑕疵担保履行法」という法律がございまして、これに基づきまして住宅紛争処理支援センターとしまして国土交通大臣から指定を受けまして業務をしております。
 主な業務の内容でございますが、消費者の利益の保護や住宅紛争の迅速、適正な解決を図るため、住宅相談、それから住宅紛争処理への支援等の業務を行っているということでございます。
 財団業務の愛称を、「住まいるダイヤル」と称しておりまして、相談窓口の周知等に力を入れているところでございます。
 ここに相談の流れが書いてあります。私どもはまず電話相談窓口を設けております。このナビダイヤルで相談をお受けします。
 詳しい説明は割愛させていただきますが、建設住宅性能評価書が交付された評価住宅とか、住宅瑕疵担保責任保険証書が付与された保険付き住宅に関しましては専用のフリーダイヤルを設けておりまして、そこで電話相談をしていただくことになっております。
 さらに評価住宅と保険付き住宅に関しましては電話相談に加えまして、住宅品質確保法と住宅瑕疵担保履行法により、請負契約や売買契約の当事者間のトラブルが起きた場合、迅速にその紛争を解決していただくように全国の52の弁護士会に紛争解決の手続をする紛争審査会というADRの機関を設けておりまして、そこで調停とかあっせんとか仲裁の手続をしていただくようにしております。
 それに加えまして、評価住宅・保険付き住宅については全国の弁護士会で専門家相談というものをやっておりまして、電話相談に加えてここで建築士と弁護士による無料対面相談を行っていただいております。ですから、評価住宅・保険付き住宅に関しては電話相談をしていただいて、それから専門家相談も受けていただいて、さらにADLの手続が利用できるというシステムができております。
 また、住宅リフォームに関しては、同様に全国の弁護士会での専門家相談を、これは消費者の方に限りますが無料で利用していただけるという仕組みをつくっております。
 さらに、リフォームの見積もりにつきましては消費者の不安が非常に大きいということで、見積もりチェックサービスを行っておりまして、私どものところに業者から取得されました見積もり書とか契約書を送っていただくと、それを相談員がチェックをしまして、助言回答を行っております。
(PP)
 したがいまして、全国からいろいろな相談が寄せられるんですけれども、これが「電話相談の受付状況」でございます。電話相談は、件数を見ますと2005年がピークになっておりまして、そこから一旦は減少しておりますが、2008年度以降、再び増加しております。それで、2011年度は2万件をちょっと超えたくらいの相談を受けています。
 このうち、内容を見ますと、下の青いところからですが、新築住宅の不具合に関する相談が約43.7%ありまして、8,955件となっております。それから、リフォームに関する相談、これは最近増えておりまして6,748件ということで、全体の3分の1を占めている。それから、ほかの知見相談、情報提供を求める相談とか、こういったものが4,000件ちょっとということになっております。
 ちなみに、2008年度以降、相談件数が急激に伸びているんですけれども、これは世の中の住宅紛争が多くなったとか、そういうことでは必ずしもございませんで、国民生活センターが全国の消費生活相談を集計した数を公表しているんですけれども、ピークは若干違うんですが、2007年まではほぼ国民生活センターの消費生活相談の推移と同じような状況です。
 それで、消費生活相談のほうはここからちょっと減少して今は横ばいという状況かと思います。ですから、全国のトラブル相談といいますか、全体のトレンドはそういうことかと思うのですけれども、私どものところでは例えばの住宅瑕疵担保履行法がスタートするに当たって全国で講習会等の周知活動がたくさん行われたものですから、それに伴って財団の窓口が周知された。
 それから、住宅エコポイント制度が2009年度に始まったりしまして相談が非常に集中しました。その関係で、2008年度以降は相談が大幅に増えているということでございます。
(PP)
 「シックハウス関連相談件数の推移」をまとめてみました。ここでいいますシックハウス関連の相談といいますのは、相談者の方がシックハウスとおっしゃっておられるという相談を含めまして、したがいまして医学的に診断されたものばかりではなくて相談者がおっしゃっているということです。それから、明確な身体被害のない相談も含んでおりますが、単純な問い合わせですね。例えば、ホルムアルデヒドとは何かという相談もなくはないんですけれども、そういう単純な相談は除いております。
 これを見ますと、棒グラフのほうは相談件数でございます。2003年度は546件ということでピークになっておりますが、実はこの年は建築基準法のシックハウスに関する改正が行われた年で、クロルピリホスの禁止とか、ホルムアルデヒドの規制とか、それから換気設備の義務づけとかがなされた年でございますので、この年には事業者からの相談も寄せられたということで多くなっております。それ以降、相談件数は減っております。
 それで、この折れ線なんですけれども、これは先ほど申し上げましたように相談件数が急激に減ったりふえたりする場合がありますので、相談全体に含まれるシックハウス関連相談の割合を示したものでございます。それで、私ども2000年から業務を開始しておるのですけれども、2000年に関しましてはシックハウス相談の割合が9.6%で、10件に1件はシックハウスの相談であったという形で非常に割合が大きかったんですけれども、これも徐々にずっと減っております。
 それで、2010年度からは100件、101件、104件ということで、最近若干微増という感じではあるんですけれども、横ばいでございます。それで、全体に占める割合につきましても0.6%、0.5%、0.5%という経過をとっております。
(PP)

 相談者のプロフィールでございますが、まず性別でございます。シックハウスの関連相談につきましては明らかに女性の割合が高くて、年度とともに増加傾向ということでございます。これが各年度ですね。残念ながら、2003年度からしか統計システムの都合上データがございませんので2003年度からになっておりますが、2012年度はここまででございまして、徐々にではありますが、女性の割合が高くなっている。
 それで、これは2012年度のシックハウス関連相談以外の相談をあらわしておりますが、それと比べるとシックハウス関連相談以外の相談については若干女性のほうが多くて、ほぼ45%、55%というふうな割合なのですが、シックハウス関連相談については女性の割合が8割近く、男性が2割くらいということで、非常に大きな特徴があります。
 それで、プリントだと小さくなってしまって申し訳ないのですが、図の5としまして年代ごとの男性、女性の割合を示したものをつくってみたのですが、これで見ますと50代の女性が一番割合が高くて、ほとんど8割近くになっております。
(PP)
 それから、相談者のプロフィールとしまして年齢を集計したものでございます。これは明らかに年を追うごとに、これも2003年から始まって2012年までの推移を示しておりまして、一番上が2012年度のシックハウス関連相談以外の相談です。これを見ますと、2003年度当初ですけれども、40代までが6割強であったのが、2012年度では5割以下になっているということで、2012年度では多い順に40代、60代、30代という形になっているんですが、シックハウス関連相談以外を見ますと40代、30代、60代という順序になっております。全体的に相談を分析しますと年齢層は年ごとに高くなっているんですけれども、シックハウス関連相談に関してはそれ以外の相談と比べても若干年齢層が高いのかなということでございます。
(PP)
 それから、これは相談の内容に関しまして相談の記録を一件、一件読みまして、ちょっとここに書いてありますが、御本人がシックハウスになられたきっかけは何だったのかということをピックアップしまして集計しております。数のほうはなぜ2004年度かというと、たまたまこれはデータをつくっておいたものですから2004年度と比較しまして、今回2012年度のデータをつくってきたということでございます。
 ちょっと注釈でございますが、冒頭に申し上げましたように、相談者本人が症状ありというふうに表現しているものでございまして、なかなか相談レベルですので医学的にシックハウスと同定するようなことはできませんので、そういう性格のものではないということをひとつお断わりしておきます。
 これを見ますと一目瞭然なんですけれども、シックハウスの発現の契機と挙げていらっしゃることで最も多いのが改修でございます。これは、主にリフォームでございます。ただ、マンションのペンキの塗りかえとか共用部のリフォームがきっかけでという方も中にはいらっしゃいますので、改修の中には大規模修繕なども含ませていただいております。
 2004年度は改修が69件であったのが、2012年度も相変わらず改修がトップでございまして41件ということでございます。
 その次が、が新築の戸建て注文住宅です。それから、賃貸住宅に入居したのが発症の契機だというのが3番目で、これは多分賃借人がかわるときに原状復旧や化粧直しのリフォームの工事をしますので、そういう改修の工事が原因なのかと思われますが、賃貸入居ということに分類しております。
 この辺が上位でございまして、数は大分少なくなるんですけれども、2004年度では新築マンション購入が16件あって、これは新築して数年というものも実はございます。新築してすぐにということではなくて、新築して何年かして発症したというケースもありますのでそういう集計をしておいたのですが、2012年度はたまたまかもしれませんが、新築マンション購入、新築して数年というのがゼロになっている。それから、次に多いのが家具の購入ということでございまして、新しい家具を買ったということで、それがきっかけになっているとおっしゃっている方が2004年度は10件だったのが2012年度は半減をしているんですけれども、依然としてあるということでございます。
 ただし、これは寄せられた相談を集計したものでございますので、発生率を示すものではないということで、改修が多いからといってその改修工事がシックハウスを発症しやすいということではないということは申し上げておきたいと思います。私どもの窓口に寄せられた相談ではということでございます。
(PP)
 最後に、「相談事例」を幾つかピックアップして持ってまいりました。プライバシーの関係上、一部内容を改変しておりますが、数は少なくなったとはいえ、まだまだ深刻な被害を訴える方がいらっしゃいます。それで、その中で割と原因とか記述がはっきりした事例をピックアップして持ってまいりました。
 「事例1」は改修をきっかけにというのが一番多いのでまず「改修」でございます。「中古マンションを購入し、居室をフローリングに貼り替える工事をしたところ、床鳴りが生じたので事業者がフローリングを剥がし、接着剤により補修をした。2日ほどたつと、頬がひりひりして目が開けられないくらいはれるという症状が現れた。専門病院を受診し、シックハウスと診断された。換気を励行したが、半年たったいまでも2時間滞在すると顔に皮膚症状が出る。」ということでございます。
 「床材はFフォースターであることは確認しているがほかの物は分からない。室内空気質を測定すると、ホルムアルデヒドは50㎍/㎥程度であり、他の物質とともに測定値はいずれも」、厚生労働省の指針値以下であったということでございます。
(PP)
 それから、「事例2」としましては「新築」でございます。これらは全て2012年度に寄せられた相談でございますが、「2011年夏に注文住宅の引き渡しを受け、シックハウス症候群となった。室内空気を測定すると、TVOCが4,000㎍/㎥」ということで、かなり高いということでございます。「家具は使い慣れたものしか運びこんでいない。シックハウス専門の病院が近くにないが、一般の病院の診断書は取得した。」ということでございまして、依然として新築においてもシックハウスの相談があるということでございます。
 それから、「事例3」としましては家具の購入を加えたものでございまして、新築住宅と家具の購入が合わさったものです。「2012年に木造3階建て建売住宅に入居した。当初鼻水が出て目が痒かったが気にしていなかった。」ということで、「2か月後に食器棚を購入し、搬入したら30分でじんましんが現れ呼吸が苦しくなった。日ごとに症状がひどくなり食器棚を処分したが、それ以降、近所の塗装工事などで喘息、呼吸困難になり入院するほど悪化してしまった。」ということでございます。
(PP)
 「事例4」でございます。これは、賃貸入居でございます。「2階建賃貸住宅に2012年、入居した。その後頭が痛くなったり気管支が痛くなり呼吸が苦しくなったりして、シックハウス症候群と思える症状が起きている。ところが、他の住人にその様な症状はなく、個人的な体質に起因するものとして対応してもらえない。」ということでございます。

 簡単ではございますが、私どものほうからの発表は以上にさせていただきます。
○西川座長 ありがとうございました。
 それでは、委員の先生方から御質問等がございましたらお願いいたします。
 斎藤先生、どうぞ。
○斎藤委員 東京都の斎藤です。
 今、相談事例を御紹介いただいたのですが、実際にこのような御相談があった場合、どのような方法で対策をしていかれるのかということを、よろしければお教えいただきたいのですが。
○小椋様 まず、私どもシックハウス関連相談に対応するために、「シックハウス相談回答マニュアル」というものをつくっておりましてホームページでも公開しております。これを用いまして、相談に対応する相談員全員にシックハウスに対する基本的な知識を周知しております。基本的には、原因物質を特定する。しかるべきところに避難する。それから、原因物質を除去するための改修等具体的措置をとる等について助言をするよう努めてはいるのですが、、電話相談では、得られる情報なども限られておりますし、相談者がすぐできる具体的な対応方法をお示しするのは困難な場合もあるというのが正直なところでございます。
○西川座長 よろしいでしょうか。
 では、どうぞ。
○中井委員 横浜国大の中井と申します。どうもありがとうございます。
 すごく久しぶりにこういう相談事例を拝見させていただいたというか、まだ結構ひどいものはあるんだなということが正直な評価なんですけれども、このような相談をされる方というのは直にこちらのセンターさんのほうに来られるのでしょうか。それとも、例えば保健所とか、そういうところを経由して来られるのか。その辺は、何か情報をお持ちでしたら教えていただきたいと思います。
○小椋様 最近は、御自分でホームページを検索されて来られる方も多いんですけれども、やはり保健所ですとか、行政の窓口、消費生活センターに聞かれてとか、そういう認知経路が多くなっております。
○西川座長 ありがとうございます。
 では、どうぞ。
○角田委員 北里大学の角田です。
 ちょっと省庁が違うのですが、事例3などは過敏的に、いわゆるというものになってしまうんですけれども、化学物質過敏症的な感じもかぶっているかなという感じがするのですが、この後になるといろいろな化学物質について悪くなったのかとか、そういう情報は、つまり塗装工事の化学物質と食器棚は明らかに違うと思うんですが、その辺の情報はございますでしょうか。
○小椋様 相談も継続して入ることがございまして、多い方ですと本当に10回とか相談を寄せられる方がありまして経過が分かるケースもあるのですが、この相談に関しては今のところこれ以上の情報はございません。
○西川座長 ありがとうございました。
 では、手短にお願いします。
○東委員 近畿大学の東と申します。
 消費者の方がこういった相談をされる窓口としては、例えば国民生活センター、今の消費生活センターもそうだと思うんですけれども、それと住宅紛争処理支援センターという2つの大きなところがあると思うんですが、どちらかというと消費者の方にとってどちらが相談しやすいといいますか、そういうことになった場合には紛争処理支援センターさんに情報が集まりにくくなっているのかなというようなイメージがあって、消費生活センターのほうにそういう相談がいく傾向があるのかなと感じているところがあります。
 といいますのは、例えば家具とかに関する相談というのは国民生活センターさんのほうではむしろ2003年以降、増加する傾向があったり、最近は少し横ばいなのかもしれませんけれども、例えば新築とか改修に関するシックハウスの相談についても大きく下がっているというようなことはお話として聞いていないところがございます。これはコメントなんですけれども、その辺の違いが少しあるのかなということがありますので、全体的にそういう相談されるところとの違いなども我々としては把握しておきたいということがありまして、コメントさせていただきました。
○西川座長 ありがとうございます。


○西川座長 ありがとうございました。
 それでは、続きまして「室内暴露評価ツール(iAIR)の開発とシックハウス評価への取り組み」について、産業技術総合研究所の東野様から御説明をお願いいたします。
○東野様 独立行政法人産業技術総合研究所(産総研)の東野と申します。
 きょうは、このような表題で我々の取り組み、研究を御紹介させていただきたいと思います。
(PP)
 まず、冒頭、本題に入ります前に、我々産総研が行ってきました化学物質のリスク評価の研究の歩みについて若干御紹介したいと思います。
 2001年に省庁の研究所が独法化しまして産総研が発足したわけでございますが、その際、同時に化学物質リスク管理研究センターという研究組織が発足したわけでございます。ここでNEDOのプロジェクトで多くの個別物質のリスクの評価を行ってきたわけでございまして、その中では大気とか河川とか海域とか、屋外の濃度推定モデルの開発を行ってきたわけでございます。
 しかし、このときはまだ室内の暴露、これもリスク評価の対象としていたのですが、実測ベースでこのころはやっておりました。それからしばらく経ちまして、2007年から化学物質のリスクトレードオフの解析という物質代替、ある物質から別の物質に変えたときにリスクがどう変化するかといったような解析でございますけれども、そういった研究に取り組み始めたわけでございます。
 それで、物質代替というのは新たな物質を推定しないといけない。情報の少ないような物質を評価しないといけないというようなことがございまして、どうしても推定ベースのリスク評価にかじを切らざるを得ないということです。室内に関しましてもある程度推定でやっていくということで、iAIRという室内暴露評価ツールの開発をここで開始したわけでございます。
 それで、2012年、最近になりますと室内に存在するさまざまな消費者製品からの暴露の推定という研究に現在取り組んでおります。この中でも研究的要素の強い部分につきましては非定常暴露のシミュレーション手法の開発ということで、今年度から厚生労働科学研究のほうでまた一緒にやらせていただいているというところでございます。
 また、経済産業省の委託事業として、2012年からはシックハウス症候群のための室内空気質モデルの精緻化というものを実施しておりまして、2013年度からは経皮・経口暴露についても暴露量の推定モデルの開発を始めているというようなところでございます。
(PP)
 まず「室内暴露評価ツール(iAIR)の開発」につきまして、我々がこれまで行ってきた研究開発と活用の状況について、これから御紹介させていただきたいと思います。
(PP)
 我々のつくりましたモデル、iAIRの特徴でございますけれども、室内の消費者製品からの化学物質の吸入暴露を推定するソフトウエアでございます。それで、このiAIRというソフトは特定の家屋の状況を詳細に再現するといったようなモデルではなくて、物質代替によって日本全体とか、例えば関東地域とか、そういった地域のリスクがどのように変化をするのかということを推定するツールでございます。
 想定される主なユーザーでございますけれども、研究機関とか行政機関とか行政団体とか企業の方々が物質や部材の代替の評価、それから政策や自主基準の評価を行っていただく際に使っていただくということを想定しております。そのための研究開発として、複数の製品が混在する室内環境の再現、評価地域の住宅・世帯の再現、放散速度推定のモデル化、さらに住環境、行動、発生源のデータベースを構築して、これらをツールの中に内蔵していくというような開発を行ってきたわけでございます。
(PP)
 「室内暴露評価ツール(iAIR)の概要」についてここで御紹介させていただきますと、このiAIRというツールはマイクロソフトのエクセルをベースとして開発をしておりまして、ごく一般的なPCで動作するソフトウエアでございます。
 それで、このiAIRの濃度の推定の仕組み自体は非常にオーソドックスな方法でして、ボックスモデルという一つの空間を箱としていろいろ推定していくというものです。このiAIRの最も大きな特徴は、製品とか住宅とか行動とか世帯というような状況をデータベースとして持っていて、これから確率分布を生成して、これで濃度の推定を行っていくということでございます。つまり、室内に存在する製品と化学物質の量を推定できる。どれくらいのどんな製品が室内に入ってきて、その中にどれくらいの化学物質が入っているのかということを推定していく。その辺りが最も大きな特徴でございます。
 このモデルを使いますと、最終的には室内の濃度、それから個人の暴露の分布を再現することができまして、例えば指針値を超過する世帯が何世帯くらいあるのかといったようなことも推定することが可能となってくるわけでございます。
(PP)
 このiAIRの中では住宅とか世帯とかのデータを持っているというふうに先ほど御紹介いたしましたけれども、これは統計データから基本的に取ってきて内蔵するのですが、統計データだけではどうしても断面、断面のデータしかわからないというような問題がございます。例えば、全国の値ですと非常に細かい項目までわかるのですが、だんだん地域を絞っていきますとどうしても粗い項目でしか得られないというような問題がございます。
 そこで、我々はそのデータベースを内蔵するに当たりまして、住宅とか世帯を無作為サンプリングによるデータ構築の方法というものを検討しまして、マイクロシミュレーションと一般的に言われる方法でございますけれども、それを使いまして床面積からもある程度の世帯の属性を推定していくことができる方法を開発して搭載しております。それで、推定した属性のデータ、例えばこれは世帯主の平均の年齢の分布でございますけれども、これなどもちゃんとその断面、断面の統計データで検証をしております。
 このように、世帯の属性を細かく推定することによりまして、世帯の多様性を考慮した暴露量の推定というものがこのiAIRではできるようになっているということでございます。
(PP)
 また、「放散速度のモデル化」ということもiAIRの中では行っております。このiAIRは実は非常に多くの物質、100物質以上の評価に対応しているわけでございますけれども、このような多くの物質に対応するためにモデル化を行っています。
 どのようにしてやってきたのかということでございますが、まず非常に小さな1リットルのチャンバーを並べた装置を独自に我々のほうで開発をいたしました。もちろんこの装置が一般的には18リットルのものとどれくらい違うのかとか、大体合っているのかというようなことは全て確認して使っております。
 この装置を使いましてなるべく多くの部材、それから物質を長期間にわたってチャンバーの試験を行って濃度の測定を行いました。ただ、それだけではある程度限界がありますので、この濃度の測定結果を使ってモデル化を行っていくということです。例えば、これは分子量とか沸点とか蒸気圧によってある程度違う物質に外挿することができるような仕組みをつくっています。それも要所、要所でこうやって検証をしていくということを行う。このようなことをすることによって、多くの物質に関して化学物質を選択するだけで物性値から放散速度の推定が可能になっているわけでございます。
(PP)
 では、断面、断面で今のように検証はしているのですが、最後にいろいろなものを組み合わせて室内の濃度というのはどれくらい合っているのかということですけれども、これももちろん検証をしています。
 それで、ここに示しましたようにオゾン、デカブロモジフェニルエーテル、これはテレビとかパソコンとかに難燃剤で使われているような物質でございますが、こういった物質と、あとは代表的な溶剤であるトルエンといったところ、こういったもので実際に検証をしました。検証に使いました実測の濃度は、基本的にはいろいろな文献値から持ってきて使っているのですが、中には我々自身が測定したものもございます。
 その結果、デカなどはなかなか難しい物質なんですけれども、おおむね全国の長期的な平均濃度というところまで丸めますと、ファクター2以内、大体2分の1~2倍以内までには入っておりまして、家屋の長期平均的な濃度というものはおおむね実測値を再現できていて、オーダーは外していないだろうということでございます。
 それで、目的を誤らなければある程度リスク評価には使っていけるというふうに考えているところでございます。
(PP)
 それでiAIR、ソフトウエアでございますけれども、このソフトウエアは産総研のウエブサイトで現在無償で公開をしております。それで、現在のところ200人程度の方々に使っていただいておりまして、ユーザーの方はどういう方かということを調べるアンケートを、ダウンロードするときに取っているわけでございますが、それを見ますと、大体企業の方が多くて、目的としては自社製品の評価に使用したいというようなことで使わせていただいております。
 また、国際機関のほうでもOECDの暴露評価のタスクフォースというところで御紹介させていただいておりまして、データベースなどをOECDで整備しているのですが、ここにも登録されているということでございます。
 それから、これは経済産業省、厚労省、環境省の3省で有機顔料中に副生するPCBに関するリスク評価の検討会というものを昨年から実施しておりますが、その中でこのiAIRを用いた吸入とか経口暴露の評価というものを行っております。このように、実際に政策決定の判断材料としてもこれを使っていただいているというところでございます。
(PP)
 次に、「シックハウス評価への取りくみ」について、我々が現在進めている研究開発と、まだこれは我々も始めて1年くらいなんですけれども、今後の計画も含めてこれから御紹介させていただきたいと思います。
(PP)
 シックハウスの評価でございますけれども、冒頭でも申しましたように、経済産業省の事業として昨年度からこの表題のような事業で行っております。
 それで、「目的」ですけれども、これまでのiAIRでは行政とか企業の方が主なターゲットで、そういった方に使っていただくというようなことでございましたが、それに加えまして一般の消費者の方でも消費者製品、これは家電とか家具とか防虫剤とか、こういったようなものによる室内環境への影響を推定してシックハウス症候群などへの対策が検討できるようにするというようなことを目的として設定しております。
 それで、実際にやることは、先ほど御紹介したiAIRをベースにシックハウスに対応したツールを開発していくということです。ここに示しますような、これから御紹介しますけれども、精緻化とか製品の拡充といったようなことを行ってきている、または、計画しているわけでございます。
(PP)
 まず、「濃度推定の時間的精緻化」というところでございますけれども、従来のiAIRはこれまで申しましたように長期間の暴露の影響、それから慢性的な影響の評価というものを主な評価対象としてまいりました。そういうわけで、モデルは定常のモデルを使っていたわけでございます。
 しかながら、シックハウスの評価となりますと、ある程度短期間の高濃度の暴露というものが重要になってくるということでございまして、例えばイベントと書いていますけれども、スプレー製品の使用による間欠的な放散ですとか、製品を購入して間もない一定期間の評価というものが必要になってきます。そこで、この製品を使い始めた直後の短期間の暴露評価に対応するために、従来の定常モデルの非定常化を行っているところでございます。
 ただ、非定常にするということですけれども、では全部の製品について非定常にすればいいのかというと、それは余り賢い方法ではない。
 というのは、iAIRは非常に多くの製品を同時に評価するということが特徴でございますので、例えば全部いつ買ってというようなことをやっていくと非常に大変であるということで、ある程度どういう場合は非定常にしないといけないのか。逆をいえば、どういう場合は定常でもいいのかというようなことを前もって評価してやらないといけないということで、そういう研究を行っています。
(PP)
 例えば、ここに示しておりますように雑誌の購入という非常に簡単な例で、週に1回雑誌を購入して捨てていくというような例でこれを解析してみますと、定常モデルと非定常モデルでピークの濃度というのは1.5倍くらいになるという感じでございます。それで、実際に雑誌の購入というのはどれくらいやるか、アンケート調査をしたりしましたところ、大体月に3回、4回というところでございますので、確かにこれと同じくらい、やや過小な評価になるのですが、この程度であればある程度安全側に見て評価してやれば定常モデルでも問題ないだろうということでございます。
 しかしながら、例えばここに示します家庭用の接着剤を家の中で使うというようなことを想定しますと、我々の調査した結果では年に数回しか大体皆さんやられないということで、それを年間の消費量とかで定常でやってしてしまうと非常に低くなってしまう。実際にこれをやりますと100倍くらい定常と非定常で差が出てくるということで、定常的には放散とか高頻度の繰り返しというような事象であれば定常のモデルでも評価可能なのですが、低頻度で、かつごく短時間に高濃度暴露となりますと、どうしてもこれは非定常モデルが必要である。
 ただ、この線引きをどの辺りにしていくかというのは今後のこのモデル開発の一つのキーになっていくのではないかと考えております。
(PP)
 次に、「濃度推定の空間的精緻化」というところでございます。従来のiAIRは、家の中の一つの部屋はワンボックスということでボックスモデルを使っていたわけでございますけれども、どうしてもワンボックスだけですと発生源から近い場所での暴露になかなか対応できないということで、シックハウス症候群の評価のための改良としてマルチボックス化というものを行っていくということで今、進めているところでございます。具体的には、押し入れとかクローゼットについてはボックスの部屋の外側に小さなボックスをつくってやるということと、あとはこういったスプレーとか、近いところでの暴露の場合は部屋の中にさらにボックスをつくって評価をしていく。こういう改良を行っていくということをやっています。
 ただ、これはまだ現在やり始めたところで、モデルをつくっているというよりは、今このためのデータを取っているという段階でございます。
(PP)
 それで、そのデータの重要な一つが換気回数というものでございます。これも昨年行いました例を御紹介しますと、こういったクローゼットとか押し入れという小空間での換気回数をCO2を使って評価測定を行ってまいりました。いろいろな築年数を、扉もいろいろなタイプのものを使ってやったのですけれども、タイプによって大分閉めているときも違うのかなと思ってやってみましたところ、実は閉めているときとそれほど変わりないということで、予想とは違うような結果が出てまいりました。
 開けているときはやはり開口の面積が違うので大分違うというのと、あとは開けているときと閉めているときではかなり違うということで、これはデータはまだ少ないのでこれからもう少しデータのサンプルを増やしていこうと思うのですが、こういった扉なども普段どうやって使っているのかということも実際に暴露を推定するときには重要かとは考えているところでございます。
(PP)
 それから、「評価対象製品データの拡充」という部分でございますけれども、このシックハウスの原因物質を含む製品のデータを拡充していくということを現在進めているところでございます。これに対しましてアンケート調査と、あとは販売時点情報管理、POSデータというコンビニとかで、ぴっとやっている、あのデータを使った調査を行っています。
 また、放散速度のデータの拡充につきましても、我々が開発したチャンバーを用いて消費者製品を中心に継続して行っていくという計画でございます。
(PP)
 そこで、昨年行いましたアンケート調査結果の事例を御紹介いたしますと、接着剤と塗料についてのアンケートを行いました。それで、事前のアンケートでこれくらいの数をやったわけですけれども、意外と室内で使われている方、接着剤は23%ですが、塗料などは3.1%くらいの方しかいらっしゃらなかった。結構少ないですね。
 その方々に詳細なアンケートを取りまして、作業回数とか、あとは保護具をつけてやっているかとか、いろいろな情報ですね。これも、データベースのほうに搭載していくというようなことを行っていきたいと考えております。
(PP)
 それから、POSデータの解析です。これは何のためにやっているのかというと、各カテゴリーにおいてどのような製品がドミナントなシェアを持っているのかというようなことを調べるためにこの調査を行っています。
 例えば、住宅用のクリーナーという例が出ていますけれども、大体上位3製品で50%以上を占める。ほとんどこれは1社とか2社で占めている。それで、ほかの住宅で使うようなケミカルを見てみましても、大体そういった上位2製品、3製品というようなところで占められているというような感じでございまして、こういった製品が大体わかってきましたので、こういう製品の含有率の調査とか放散速度の調査というものを行っていきたい。
 それで、これは実際に測ったりすると大変なので、ある程度公表されているものとか、ヒアリングとか、そういうものでできれば、最終的にわからなかったら測るということもやっていきたいと考えております。
(PP)
 それから、「推定精度の検証」についてです。我々は小さなチャンバーでの実験はやっているのですが、今後はもう少し製品が全部入るような大型チャンバーの試験の結果なども使っていければと考えているところでございます。
 ただ、これは我々が持っているわけではございませんので、ほかの機関と協力して、例えばこの検討会でも3月にはNITEさんがこういったものを使ったチャンバー試験の結果を発表されておりましたが、NITEさんとか、さまざまな方々とこういった情報を共有していければと考えているところでございます。
 また、実際の家屋の測定結果との比較でございます。これにつきましても、厚労省さんのほうでも非常に詳細な調査をこれから計画されているということでございますし、我々厚労科研費のほうで御一緒にやらせていただくというような機会をいただきましたので、こういったデータにつきましても皆様とデータの共有ができると大変ありがたいと考えているところでございます。
(PP)
 最後に、どういうソフトができてくるのかというインターフェイスとか出力のイメージでございます。先ほど御紹介したiAIRよりもう少し使いやすいようなツールということでございまして、専門家でなくても使えるようなユーザーインターフェイスと、計算に必要なデータベースをある程度はそろえていこうということでございます。従来のiAIRに加えまして個々の住宅での推定に対応したり、シックハウスの評価のために時間経過に伴う濃度変化というようなものも対応していく予定でございます。
 こういった機能を搭載することによりましてミクロ的な視点、それからマクロ的な視点の両方の評価が可能なツールをつくっていきたいと考えているところでございます。
 以上でございます。
○西川座長 ありがとうございました。
 それでは、ただいまの御説明について委員の先生方から御質問、コメント等がございましたらお願いいたします。
 では、角田先生お願いします。
○角田委員 この評価というのは濃度の評価であって、個々の感受性の評価というのはちょっと難しいと思うのですが、環境中の濃度がどうなるかということの評価という理解でよろしいのでしょうか。
○東野様 暴露する室内の濃度の推定をやっているものでございます。
○西川座長 よろしいでしょうか。ほかにございますか。
 どうぞ、中井先生。
○中井委員 ありがとうございました。確認なんですけれども、基本的にワンボックスでやられているということは、後でマルチボックスの話が出ていましたが、家一軒がワンボックス、一部屋測っているのと同じようなイメージで今のところはiAIRできているということでよろしいのでしょうか。
○東野様 家一軒がワンボックスではなくて、家の中のある評価したい部屋がワンボックスという形ですが、部屋間の交換というものを今は入れていなくて、これもいずれ交換できるような形にはしていく予定でございます。
○中井委員 わかりました。
 そして、シックハウス評価への対応ということはいろいろとあったんですけれども、多分一番大きなものは定常、非定常をメインということでよろしいのでしょうか。
○東野様 これと、あとは空間的なさっき述べたような、こういうところがメインになってくることと、あとは当然シックハウスの原因となるようなデータを調べるというところが中心になってくるのかなと思っています。
○中井委員 あと、ちょっとお教えいただきたいんですけれども、パラメーターの中で例えば先ほど築年数であるとか、使用年数であるとかというものかどういう形で入っているのか、入ることができるのか。
 また、今のところ定常モデルということで、年平均なんでしょうか、よくわからないんですけれども、そうだろうと思うのですが、それがどのくらいのところまで非定常を考えるように今のところ考えているのかということです。
○東野様 それはこれから検討していかないといけないところなんですが、まずこれは消費者製品を対象としたモデルなので、築年数がどうというような住宅の評価ではないんです。それで、物がケミカルとか、例えば家具とか電化製品のようなものが入ってきたときにある一定期間、最初に買ってきて一定の期間は恐らく非定常で評価しないといけないのですが、ある線を超えた場合、期間を超えた場合は定常でいいであろう。
 ただ、それをどこにするのかということをきっとこれはどこかで決めないといけないので、そういう研究を今やっているところでございます。
○西川座長 東先生、どうぞ。
○東委員 近畿大学の東と申します。
 このツールは、今は消費者製品用ということなんですけれども、例えば建材、リフォームとか、そういうもので床を張りかえたとか、壁を張りかえたとか、そういうものへの適用は今のところはできないということですか。
○東野様 濃度の推定の仕組みとしてはそういう評価もできるのですが、ただ、データとして我々が今やっております研究プロジェクトが消費者製品なので、床とかのデータを取っていない。
 もしそういうことに今後使っていこうということであれば、そういう放散量のデータを取って入れてやれば、このモデル自体を使うことは可能でございます。
○東委員 例えば、塗料を持ち込んで消費者の方が家の中で塗料を塗ったとか、そのときの面積とか使った量から揮発される量を推定し、そこから室内濃度を予測されるというイメージでしょうか。
○東野様 そういう評価は可能です。
○東委員 あるいは、芳香剤を何か使ったとか、殺虫剤をまいたとか、そういうものに関しては今は可能ということでしょうか。
○東野様 はい。
○東委員 わかりました。
 これは角田先生のお話にもかかわるんですけれども、濃度が予測できればある程度有害性評価のデータと合わせてリスク評価、健康リスクがどの程度なのか、マージン・オブ・エクスポージャーとか、そういうもので評価できるツールにもつながっていけるような気がするんですけれども、その辺りのお考えとかがもしあればお教えいただきたいと思います。
○東野様 もともと個人暴露の分布というものも評価できるようなツールとして開発をしておりまして、例えば全国でどれくらいの人が暴露するのか。どれくらいの世帯が超えているのかというような評価もできますので、おっしゃるように有害性のデータとか、基準値がどれくらいかというようなものがあれば、そういうリスク評価に十分使っていただけるツールとして、これはつくっております。
○東委員 わかりました。ありがとうございました。
○西川座長 では、池田先生どうぞ。
○池田委員 ちょっと中井先生のおっしゃったことと関係するんですけれども、これを無理やり非定常でモデルをつくるとやたらと大変になるだけで、ある期間を区切って最初は定常でやって、このときは高いレベル、発生量、次の期間になったら低いものとかというような感じで、発生源が1つになったときと2つになったときのモデルの使い分けくらいな感じでやったほうが、むしろいいんじゃないかと思うんです。
 一生懸命やったところで、実際的な暴露量はそんなに変わらないということもあるし、それよりはこういうモデルのいいところは、先ほどおっしゃった放射線の国民線量みたいな考え方で個々の住宅とか、そういうものにどう応用できるかということよりは、日本国の国民にこういうことをした結果、国民全体の暴露量をどう減らせるか。むしろそういうような意味でのモデル開発にしたほうが、エネルギーの割に得られる結果は多いような気がしました。そんな感じを持ちました。
○東野様 おっしゃるとおりだと思いますので、全てを非定常にするというようなことはなく、必要に応じて非定常のものを入れていきたいということでやっていきたいと思います。
○西川座長 ありがとうございました。
 では、神野先生どうぞ。
○神野委員 多分、先ほど中井先生のお話にあったような一過性に濃度を超えたときに症状があらわれるというような疾病を考慮したときには、複数のイベントが重なったときの濃度がある閾値を超える可能性があるかどうかという評価が非常に重要になってくると思います。
 ですので、コメントに近いのですけれども、多数イベントによる濃度変化を合わせて追えるような、あるいは先ほど暴露シナリオをたくさんつくるとユーザーフレンドリーじゃなくなるというような御発言、御意見があったかと思いますが、逆に一般の皆さんが自分の使う製品を入力すると一過性にどれくらいの最高濃度まで達するのかということがわかるような、仮想的な日本人、標準的な日本人の行動パターンをあらかじめ搭載しておいていただけると、もう少し評価するときにやりやすくなるかと思います。その辺りも考慮していただければと思います。
○東野様 ぜひ、そのような形で開発を進めたいと考えております。ありがとうございます。
○西川座長 ほかにはよろしいですか。
 ありがとうございました。それでは、事務局からその他として何かありますでしょうか。
○事務局 事務局でございます。
 特にございませんが、次回以降のスケジュールでございますけれども、少なくとも1回、6月にもう一度ヒアリングをさせていただこうかと考えております。どの省庁、団体、委員様にプレゼンしていただくかというのは個別に御相談させていただきます。
 以上でございます。
○西川座長 その他、よろしいでしょうか。
 それでは、これにて本日の検討会を閉会いたします。お忙しいところ、御参集いただきましてどうもありがとうございました。


(了)
<照会先>

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