ホーム> 政策について> 審議会・研究会等> 社会保障審議会(児童部会ひとり親家庭への支援施策の在り方に関する専門委員会)> 第4回児童部会ひとり親家庭への支援施策の在り方に関する専門委員会 議事録(2013年7月8日)




2013年7月8日 第4回児童部会ひとり親家庭への支援施策の在り方に関する専門委員会 議事録

雇用均等・児童家庭局

○日時

平成25年7月8日(火)15:00~17:00


○場所

厚生労働省(中央合同庁舎第5号館)9階 省議室


○出席者

委員

小杉委員長 (労働政策研究・研修機構特任フェロー)
海野委員 (全国母子寡婦福祉団体協議会理事)
大塩委員 (全国母子生活支援施設協議会会長)
兼子委員 (浜松市こども家庭部長)
島崎委員 (政策研究大学院大学教授)
新保委員 (神奈川県立保健福祉大学教授)
杉澤委員 (山形県子育て推進部子ども家庭課長)
中田委員 (全国母子自立支援員連絡協議会会長)
三木委員 (戸田市こども青少年部長)

参加人

新川参加人 (NPO法人WINK理事)
赤石参加人 (NPO法人しんぐるまざあずふぉーらむ理事長)
片山参加人 (NPO法人全国父子家庭支援連絡会代表理事)
佐藤参加人 (ハンドインハンドの会主任研究員)

参考人

周参考人 (独立行政法人労働政策研究・研修機構副主任研究員)

事務局

石井雇用均等・児童家庭局長
鈴木大臣官房審議官(雇用均等・児童家庭担当)
定塚雇用均等・児童家庭局総務課長
小野家庭福祉課長
高松家庭福祉課母子家庭等自立支援推進官
度会家庭福祉課課長補佐

○議題

ひとり親家庭への支援施策の在り方について
(関係団体、有識者からのヒアリング)

○配布資料

資料1 新川参加人提出資料
資料2-1 赤石参加人提出資料
資料2-2 赤石参加人提出資料
資料3 片山参加人提出資料
資料4-1 佐藤参加人提出資料
資料4-2 佐藤参加人提出資料
資料5 周参考人提出資料
資料6 前回までの指摘事項等について

○議事

○小野家庭福祉課長
 定刻より若干早いですが、皆さまおそろいですので、ただ今から「第4回ひとり親家庭への支援施策の在り方に関する専門委員会」を開催いたします。
 本日は、委員9名全員のご出席をいただいております。委員の皆さまには、お忙しい中をお集まりいただきまして誠にありがとうございます。
 それでは、議事に移りたいと思います。小杉委員長、よろしくお願いいたします。

○小杉委員長
 はじめに、お手元にお配りしております資料の確認を、事務局よりお願いします。

○小野家庭福祉課長
 配付資料でございますが、議事次第の他に資料1~6がございます。まず、資料1は新川参加人からの提出資料となります。資料2-1と2-2が赤石参加人からの提出資料となります。資料3が片山参加人からの提出資料となります。資料4-1と4-2が佐藤参加人からの提出資料となります。資料5が周参考人からの提出資料となります。資料6が「前回までの指摘事項等について」。以上、8点の資料となっております。資料の欠落などがございましたら、事務局までお申し付けいただければと思います。
 また、カメラ撮影はここまでとさせていただきますので、よろしくお願いいたします。

○小杉委員長
 次に、参加人の参加についてです。本日は、NPO法人ウインクから新川てるえ理事、NPO法人しんぐるまざあず・ふぉーらむから赤石千衣子理事長、NPO法人全国父子家庭支援連絡会から片山知行代表理事、ハンド・イン・ハンドの会から佐藤俊恵主任研究員の参加を求めますとともに、ヒアリングを行います参考人として、独立行政法人労働政策研究・研修機構の周燕飛副主任研究員の出席を求めますが、よろしいでしょうか。

(「異議なし」の声あり)

○小杉委員長
 ありがとうございます。
 次に、本日の進め方です。本日は、参加人と周参考人にプレゼンテーションをお願いしておりますので、最初に新川参加人、赤石参加人、片山参加人、佐藤参加人から、それぞれ10分程度で発表していただきたいと思います。その後、それらの発表について質疑応答の時間を10分程度設けたいと思います。その後、周参考人から20分程度で発表していただき、質疑応答を行います。
 その上で、発表の内容を踏まえまして、ひとり親家庭への支援施策の方向性について意見交換ということにしたいと思います。
 それから、最後の10分程度で、前回までの会議において委員・参加人から指摘のあった事項などについて事務局が準備いたしました資料6について説明を聴取し、事実関係についての質疑応答をしたいと思います。こちらの資料についての実質的な議論は後日の議論に回したいと思いますので、よろしくお願いします。
 それでは、まず、各参加人からのプレゼンテーションに移ります。最初に、新川参加人から。よろしくお願いします。

○新川参加人
 NPO法人ウインクの新川てるえです。よろしくお願いします。10分間という短い時間ですので何を話そうかと考えて、母親への支援はしんぐるまざあず・ふぉーらむの方でしてくれるのではないかと思ったので、私どもは「ひとり親家庭の子どもに関する支援」ということでお話ししようと思っています。
 資料をご覧ください。団体の概要は、そこに書いてあるとおりですが、立ち上げた当時と若干変わってきていますのが「当事者団体ではなく支援者団体になろう」ということで、会費は支援者からいただいています。ここに書いてある以外に、メールマガジンの無料会員が現在1,000人弱いるという状況です。
 特徴的には、NPOとしては企業との協働事業をたくさん行っていまして、私たちは会費収入ではなくて事業収入で運営を回しているといった感じです。
 本日は、NPO法人ウインクの柱となる事業から、幾つかご提案させていただこうと思っています。そこに書いてあるとおりですが、7番と振るはずが6番が二つになっていますので、訂正してください。現在、私どもが力を入れている事業はインターネットを使った情報発信、相談事業、講演講師の派遣、有料職業紹介事業、面会交流支援事業、アンファン先生の派遣事業、出版です。中でも、「インターネットを使った情報発信」というのは、前々回でも発言させていただいたのですが、できるSNS等全メディアを駆使して行う必要があると思っていまして、今はmixi、Twitter、Facebook、Amebaのブログ等ほとんどのツールを利用して情報発信しています。メールマガジンも当事者かと思いますが、1,000人ぐらいの読者がいるので、できるだけ支援情報を無料で広く発信したいと考えながらインターネットを使った情報発信には力を入れています。
 それから、面会交流を支援するカインドリボンサービスという事業を行っておりまして、そこに書いておりますとおり面会交流の援助を行っているのですが、現在、サービスを立ち上げてから1年半ぐらい経過しています。非常に困難を感じておりまして、今日は一つ失敗した事例を持ってきていますので、読み上げさせていただきます。個人情報があるので、細かいところは伏せています。

 ご相談を受けたのはモラルハラスメントの離婚ケースでした。お子さんは小学校高学年で会えない父親は調停裁判を諦めないで頑張った揚げ句、最後に渋々和解した条件が、3か月に1回、1時間からの面会交流でした。支援者として母親がウインクを選びました。父親が最初にご相談にみえたときは、まるで援助者も敵であるかのように笑顔も見せず連れ去り、母子密着、母親による引き離しの問題を援助者に切々と訴えました。いろいろ面会交流について学んできておられるという印象でしたが、それを援助者に訴えられてもというのが正直な感想でした。
 最初の面会は無事に終わりました。お子さんは最初から父親に会いたくないと言っていました。子どもの気持ちは配慮されず、裁判でも会い続けることが大切と判断されて決まった面会交流のようでした。それでも、初回が終わって援助者も成功したとほっとしました。
 その3か月後に2回目の面会日の設定がありましたが、お子さんが熱を出して延期になりました。
 その2週間後に約束された年会交流でお子さんが「会いたくない」と言い出しました。早めに来てもらって、子どもの話を聞きました。なぜ会いたくないのか、明確な理由はありません。というか、お子さんは言いません。ただ、「あの人、死ねばいいのに」と一言、自分の父親に対する発言がありました。母親が苦しんでいる。義務のように会わなくてはならないことに納得がいかない。そのようなことではないかと思いました。
 その日、父親に会うのか会わないかは母親の判断に託されました。子ども自身が「お母さんが決めて」と言ったからです。面会時間の前に母親から「息子が嫌がっているので帰ります」と連絡がありました。今回の面会ができなかった場合には、今後はカインドリボンサービスの契約をしないこと。今後一切、私どもではご支援できないことを事前に伝えてあります。
 時間にいらっしゃった父親に事の経緯を伝えました。父親の怒りは目の前にいる援助者にぶつけるしかなかったのでしょう。「だから、あなたにはできないと最初から思ったんです」の後に何かいらいらした台詞を幾つかぶつけて、あっという間に席を立ち、帰ろうとしたときに最後の一言「前回のお金、返してください」。契約前の1回の試行面談の実施料金1万5,000円についてです。本当は返す筋合いもありませんし、今まで非力ながら力を込めてうまくいくように頑張った援助でした。非常にがっかりしましたが、また会えなくなった父親の悲しい気持ちを思うと、その怒りのぶつけ場所は援助者にしかなかったのだという思いで、お金を返すことで少しでも救われるのならと、抵抗もなく返金しました。

 このケースにはいろいろな思いがあります。まず、相手を追い詰めるほどの離婚をしてしまった失敗、子どもに面会を「頑張って続けなさい」と言い切れない母親の弱さ、会えない気持ちを攻撃でしか表せない父親の態度、お互いに歩み寄りできない紛争中の面会交流のケースはお引受けできないなと実感しました。お金で割り切れる仕事ではない、気持ちがあるから頑張れるのに、感謝もされない仕事ならやりたくないと素直に思いました。

 ということで、なぜこれを読んだかというと、面会交流の民間がサービスとして行う支援というのは非常に困難だと感じています。昨年、東京都が支援を始めたと思いますけれども、もっとたくさんの支援を行える場所がなければいけないのではないかと感じています。面会交流の相談のニーズが非常に高まっていまして、今はウインクでも週に1回ぐらい相談をお受けしている状況です。ただ、支援する援助者の数が限られていたり、土日に支援が集中するという関係上、やはり民間だけでは負えないと思っていることと、民間支援の数も圧倒的に少ないということを感じています。それから、料金の問題です。先ほど、1時間1万5,000円いただいているとお話ししましたが、支援する側からすれば1時間1万5,000円しかいただいていないという、それぐらい大変な事業だと実感しているところですが、当事者からすれば1時間1万5,000円は非常に高いと感じているようです。そこがかみ合っていないところで、非常に矛盾を感じながらこの事業を行っています。
 それから、面会場所がありません。一時私どもも児童館を使って面会を行なうということをしたのですが、児童館の理解がなく「そういうことに使わないでくれ」とはっきり断られて、援助に立った人間がとても悔しい思いをしたという経緯があります。現状は、ウインクの中のプレイルームを使って1時間の面会からスタートして、慣れてきたら遊園地へ行っているケースなどもありますが、最初の室内での1時間であったり、短い時間の面会をする初期のときの場所がないというのが現状で、困っています。
 それから、今の事例で感じていただけたと思いますが、両親と子ども三者の心のケアが非常に必要だと思っているので、支援者の教育と適性の問題というのが非常に大きいということを感じています。
 それから、もう一つウインクの事業で「アンファン先生派遣事業」というものを行っていまして、これは単なる家庭教師の派遣ではなく、どういうことを行っているかというと、離婚・再婚家庭で育った大学生を家庭教師のように離婚・再婚家庭の子どものところに派遣しています。勉強を教えるだけではなく、子どもたちの相談のニーズに応えるという意味で行っているサービスです。それに付随してウインクのホームページに「子どもの意見・相談掲示板」というものがありまして、NPO法人ウインクにアクセスして読んでいただけると、子どもたちもさまざまな悩みを抱えているということにあらためて気付かされると思います。今日は、掲示板の投稿から一つ持ってきましたので、読みます。

 「小学校6年生のときに学校から帰ったら母に「話がある」と言われ、昼ごはんを食べて離婚の話をされました。母は泣きながら話していました。今でもはっきり覚えています。つらかったけれど、小学校2年からもし離婚したら母についていくと決めていました。離婚の話を聞いた日は、実感もなく、いつもどおりでした。すると母は「○○ちゃんは強いな」と言いました。強いなと言われ、それがずっと頭に残っていて、今では弱い自分を見せられなくなりました。本当は弱いのに、弱い自分を隠して、いつも笑顔で明るい自分をつくっていました。その分、毎晩一人になると涙を流していました。離婚なんてしてほしくなかった。今では、こんな人生なら生まれてきたくなかったと思います。友達とけんかしても、仲間外れにされても、心配をかけられなくて、ただ一人で涙を流すことしかできませんでした。今も、そうです。友達から仲間外れにされて、味方になったら、最後は一人になって。そんなことを毎日繰り返しているうちに人を信じられなくなって上辺だけの友達ばかりつくっていました。母は私に父の愚痴ばかりでした。父のことは嫌いではないです。優しくてわがままも聞いてくれる温かい父です。母が言っているのが本当なのか、私が見ている父が偽物なのか。いつも不安で、いつもつらいです。なるべく一人の時間をつくっています。学校帰りは散歩したり公園で時間をつぶしたりと「死にたい」と何度も思いました。でも、自殺する勇気もなくて、毎日に押しつぶされそうになりながら生きています。「笑っていたら幸せになれる」というけれど、いくら笑っていても幸せなんて訪れないです。もう疲れました。こんな人生、早く幕を閉じてしまえばよいのに。人生に疲れました」

 これは投稿の一例ですが、掲示板の中には親の経済状況を心配して、自分の養育費の存在を知って、お金が必要なので、どうしたら離れている父親から養育費がもらえますかという相談など、広くいろいろな相談が寄せられています。現状は、やはり離婚家庭の子どもたちの相談ニーズに応える支援がほとんどないのではないかと感じていまして、相談する場所が必要だと思っています。資料の中にも書いてありますが、学習支援ボランティア事業が平成24年度に新設されています。この事業の充実を図ればよいのではないかと強く思っています。
 「NPO法人ウインクからのご提案のまとめ」としては、まず、情報発信です。SNS等をフル活用して当事者にしっかりと支援情報が届く仕組みづくりをしていただきたいと思っています。それから、面会交流における国の支援の確立が必要だと感じています。また、ひとり親家庭の子どもの支援として学習支援ボランティア事業等の充実を強く望みます。以上です。ありがとうございました。

○小杉委員長
 ありがとうございました。
 続いて赤石参加人から、プレゼンテーションをお願いします。

○赤石参加人
 NPO法人しんぐるまざあず・ふぉーらむで理事長をしております赤石です。本日は、このような機会をいただいて、ありがとうございます。パワーポイントで見ていただくものと、印刷したものが一部異なっておりますので、そのときにお伝えしたいと思います。「NPO法人しんぐるまざあず・ふぉーらむ」のご紹介から、お願いします。これは見ていただければよいのですけれど、シングルマザーが子どもと一緒に生き生きと暮らせる社会をつくるということで、当事者団体として活動しております。会員数は当事者・支援者を含めて300人ぐらい、スタッフ10人。連携団体は十数団体ということになっております。
 次の「しんぐるまざあず・ふぉーらむの歴史」です。ここは見ていただければよいかと思いますけれども、1980年に「児童扶養手当の切り捨てを許さない連絡会」として発足しました。1994年に『母子家庭にカンパイ』という本を発行したときに「しんぐるまざあず・ふぉーらむ」という名称になり、2002年にNPO法人になっております。
 今の活動は、相談・交流事業、自主事業として電話相談を毎週火曜日の午後3時から9時までやっております。メール相談は随時で、グループ相談会、メーリングリストによる相談会をやっております。情報発信は、紙による通信のほかにホームページ、TwitterやFacebook等を使っております。また、子ども支援として塾のような形で学習支援、お泊まり会、クリスマス会、野外活動も行っています。生活支援として、食糧支援を行っています。それから、研修・講師派遣などを行っています。
 次のページですが、親セミナーと一緒に子どもプログラムをやって、必要性を感じたのでこのチラシを入れておきました。普通セミナーをやるときには乳幼児の保育だけをやっていると思います。今、新川さんも発言してくださいましたけれども、子どもたちが自分たちはなぜこういう立場になったのかということを認識するためにセミナーと並行して小学生の子どもたちに子どもプログラムをやると、とても大変ですけれども効果はあると思います。
 次の「ほっとサロン」は、このような形で母親たちが輪になって話をする機会を月に2回設けております。やはり当事者同士の分かち合い、サポートの手法として、とても良いと思います。一人ではなかった、そして先行く仲間と出会えるというエンパワーの時間として、いらした最初の表情と最後に見せる笑顔の表情は全くがらりと変わります。このような場をきちんと設けることは必要だと思っております。ファシリテーターも研修を受けた当事者です。セミナーと相談会をセットにして各地で実施しております。
 それから、「各地のシングルマザー団体と連携支援」しております。北海道から沖縄まで団体がございます。島根は「しんぐるまざあず・ふぉーらむ・出雲」という名称です。失礼しました。訂正してください。結構いろいろな形で講師に来てくださいとか、一緒に事業をやりたいという話が来ております。
 次が「最近の相談事情」です。私どもの相談は、離婚前の別居中の相談が多いです。その他に職場でのパワハラとか人間関係の悩み、DVのトラウマ、子どもの不登校や障害、母子家庭になってかなり経過し疲弊して働けなくなった母親からの悲鳴のような相談、メンタルな問題を抱える母親や虐待をしてしまいそうだという訴え、それから、最近、子どものプログラムを増やしたために子どもが家出してくることもありまして、大変苦慮しながら必死に対応しています。私どもでも3週間預かりました。非婚の母からの相談もあります。
 次は「ユーザーから見たひとり親支援」ということですが、この委員会でもいろいろなメニューがあるということは分かりますけれども、支援メニューがあるけれども知らなかったというので母子就業自立支援センターが分からなかったとか、日常生活支援事業が使いたいと言ったけれども使えなかった。それから、あるのは知っていたけれども受けられるとは思わなかった高等技能訓練促進費とか、窓口で追い払われるような対応をされて支援マインドが不足しているのではないかという事例。それから、私たちの会員には非婚ママが多いのですが、非婚ママの孤立や、情報を知らなかった。児童扶養手当の返還請求のトラブルなども一定程度あります。
 提案」に移らせていただきます。まず、1児童扶養手当です。児童扶養手当は、歴史も50年以上経っておりますけれども、この委員会で役割を再確認したいと思います。生活保護を受けずにギリギリで働くひとり親が何とか非正規で生活を維持できるのは、この手当があるからです。貧困率も削減効果があるといわれています。それから、この児童扶養手当の中でこの委員会でも、なかなかそれはシングルマザーとしては予算規模が拡大するなら2倍の手当額がほしいということになると思いますが、どうも無理そうだというのは理解しておりますので、せめて第2子、第3子は5,000円、3,000円の加算でございます。しかも30年以上全く増額がない。多子世帯はとてもきついのです。ですから、ここを何とか1,000円でも上げていく方向、動くという希望を与えてあげたいと思っています。それから、4か月に1回の支給ですが、2か月に1回、あるいは毎月支給、つまり家計管理ができない人に対する支援が必要だと思っています。
 それから、事実婚の規定の改定も、一応資料を持ってまいりました。別紙資料ですが、これが事実婚の規定でございます。時間がないので読んでいただくことはできないのですけれども、頻繁な訪問、かつ、定期的な仕送りがあれば、他のことは考慮しないで事実婚と認定するという規定になっております。このことが不正受給だと言われて返還請求につながっている。1980年の通知が子どもの権利条約、児童虐待防止法あるいは家族観・住まい方の変化、シェアハウスも増えております。これらに適合しているのかどうかということを再検討することが必要ではないかと思います。それから、2003年から実施された5年あるいは7年を経過した人への支給停止についてです。児童扶養手当法第13条・第14条の、働いていない人には支給しないという項目が、果たして今の母子家庭の状況に合っているのかという問題が残っております。「一部支給停止適用除外届」、これだけで舌が回らないのですが、これを出していない人は0.4%でございますが、この受給者がどんな人なのか。果たして裕福な人なのか。親からの支援があって必要ないのか。あるいは、リーガルリテラシーもなくて届が出せない人なのか。調査をするべきではないかと思っております。
 次に、2事業の周知についてです。新川さんがSNSの活用等は言ってくださったので、私は紙も必要だということを申し上げたいと思います。東京都日野市の例を挙げておきましたが、このように意欲のある自治体は紙で作って配布しています。やはり自分が母子家庭になりそうなときに、どうなるのかということを見られるのは大きいです。東京都は少し違う形の「ひとり親家庭サポートガイド」を作っております。それから、カードのようなものも必要です。分かりやすく、シンプルに、デザイン性を考えた。デザインの良くないものは手にとっていただけないので、そういうところを気を付けていただきたい。
 次は、3母子自立支援員の業務についてです。この委員会でも重要性が再認識されているのが母子自立支援員だと思います。ぜひ、相談活動に専念できる条件整備をしていただきたい。貸付金の償還業務よりも相談業務に集中できるような条件を、あるいは身分保証とセットで支援スキルのアップをしていただきたい。この間もお話を聞いたのですが、どうしても大変な人がいらっしゃるのでしょう。「何でもやってもらえると思っているのよね」とおっしゃる支援員もいて、やはり支援スキルをどうアップできるかということが課題だと思います。併せて、名称問題です。ひとり親を支援しているということで、「母子」は変えてもよいのではないかと思います。
 次は、4日常生活支援事業の改善についてです。ひとり親の就労、生活困難に対応できる非常に大切な事業だと思います。パワーポイントの方をご覧ください。委託先を多様化していただきたい。それから、申込み窓口は市役所にした方が、実態が分かるのではないかということ。それから、ファミリーサポート事業で同じような支援をしていてこちらは減免がないので800円などで使用しております。この事業との統合もあり得るのではないか。あるいは、ファミリーサポート事業の減免措置を実施した方が良いのではないかと思います。
 5就労支援についてです。高等技能の資格の拡大について書いておきました。それから、自立支援プログラムの名称がやはり当事者に勧めにくいということがございますので、一考をお願いします。それから、高等技能はやはり意欲を持った人への支援です。高校卒業資格を持っていないような人に何があり得るのか。それは準看護師資格を取得することなのか。保育士の学校に行くことなのか。高校を卒業していない人にする支援も必要だと思います。
 次のページです。就労支援の実績評価を、もう少しクリアにしていただきたいということです。それから、今日何か資料が出ているようですが、在宅就労の実績評価は、家庭福祉課からは何も追加資料がなかったものですから。やはり、安心こども基金ですけれども、多額の予算をかけた在宅就労の強化が必要だと思います。在宅就労は子どもを見ながら仕事ができるという利点はありますが、安い報酬で社会保険もなく自営で、家にいても子どもをネグレクトするような働き方になるというリスクをお伝えしたいと思います。
 6非婚の母親への不利の解消もお願いしたいと思っております。妊娠中からの情報提供、未婚・非婚の母親は7.8%で死別より増えたので、クロス統計に入れていただきたいということ。それから、みなし寡婦控除を推進していただきたい。次のページで、八王子市での寡婦控除の有無による負担の差をお伝えしております。例2の場合は年収200万円で、保育料込みで税と一緒に20万9,000円の負担増でございます。これが貧困なシングルマザーの支援として許されるのかということを問題提起したいと思います。
 時間が過ぎて、すみません。最後に、7孤立した母子、情報の届かない母子に向けて、窓口で1回のアクセスを有効に使う、次の支援につなげるということをどう確保するのか。今、いろいろな形で死亡事例も起こっております。どうしたらよいのかを本当に真剣に考えなければいけない。電話相談カードの配布などもあり得ると思います。私はセックスワークをする、あるいは夜の職業に就いているシングルマザーが増えていることを懸念しております。今度、大阪でセックスワーカーのシングルマザーのカフェをやることになりました。また、ご報告したいと思いますが、どういう方がどういう形で暮らしておられるのか。そういう時代になっているということをお伝えしたいと思います。
 次のページでは、子どもの貧困対策法との関連についてご説明いただきたいということと、今回の委員会の成果文書については、パブリックコメントを求めたいと思います。長くなって申し訳ございませんでした。

○小杉委員長
 ありがとうございます。続きまして、片山参加人、お願いします。

○片山参加人
 NPO法人全国父子家庭支援連絡会の片山知行です。よろしくお願いします。ひとり親、特に父子家庭についてお話ししたいと思います。
 2ページ目を開いてください。「父子家庭の現状」ということで、その前に皆さま団体のことをお話ししていましたので私も口頭で。全父子連と呼んでいますが、全父子連は2009年11月に任意団体として設立して、ミッションが児童扶養手当を父子家庭に支給するように政策提言、ロビイング、アドボカシー活動をメインにした組織として立ち上げました。2010年8月にNPO法人化しております。政策提言の他に収益事業、今は飲食事業を細々としております。その他、父親の子育て、イクメンですね。そのようなものの支援や講演・イベントということで、メンバーが約30人の小さなNPOです。
 パワーポイントに戻ります。「父子家庭のイメージ」ということで、周囲に父子家庭のことについて聞いてみると、母子家庭と比べて所得も高くて生活が安定しているのではないか。父親は男性なのでということだと思いますけれど、家事、子育てが困難なのではないか。それから、母子家庭と比べて支援制度が少ないと思われている。それから、父親は男性ということもあってコミュニティの形成が難しくて、孤立しているといわれております。
 収入のお話をしていきます。平均年収が高く、生活が安定しているように見えるということですが、正規雇用・非正規雇用というものは今、世の中でも取り上げられていますが、男性の非正規雇用は10%、正規雇用は45%ということで正規雇用の方が圧倒的に多いのです。離婚してしまう、死別で父子家庭になってしまうと、子育て・家事がつきまといますので、残業・出張・早出がかなり困難になってしまって、転職を余儀なくされたり、リストラされるという報告もたくさん受けていて、非正規雇用にならざるを得ないというケースです。年収600~700万円あったのが年収200~300万円へという報告もあります。所得が下がるのはとても苦しいです。
 ひとり親ですので、子どもたちのタイムスケジュールに合わせて生活していくということで、仕事をしていくことが難しい。そのようなことで生活レベルは下がっていく。母子家庭の方々と比べてということではないのですが、父子家庭の父親は往々にして離婚すると住宅ローンやマイカーローンを背負ってしまう。世帯収入・共働きで例えば父親500万円、母親200万円でギリギリで住宅ローンを支払いながら生活をしていた方も、共有名義で借りた住宅ローンを一人で返さざるを得なくなり、500万円の収入は児童扶養手当の対象外になるのですが、そうすると年収は高いですが非常に家計が赤字になってしまうという我々は「隠れ貧困」と呼んでいますが、そういう事象が見受けられます。
 ジェンダー・バイアスということで、性ですけれども、父親は家事・子育てが困難だと思われている。前々政権で舛添さんが大臣のときは、父子家庭には児童扶養手当は要らないといわれていて、その代わり家事・子育て支援に力を入れていく。2009年の6月ぐらいにそういう発言がありましたけれども、そうとも限らない。どのようなバイアスに苦しむかといいますと、最近は「母子家庭支援」といわず、「ひとり親支援」という言葉にすり替わってきていますが、まだ往々にして母子家庭支援と世の中は思っています。子育て支援となりますと、最近はイクメンですとか、パパの子育て支援といわれていますが、やはり母親支援になってしまいます。男女共同参画ということで、11、12年前に社会基本法ができましたが、女性支援ということで最近第3次になりまして男性のこともいわれていますが、まだまだ女性支援と考えられています。ジェンダー問題ということで女性の権利と思われています。長年の日本の文化が作り上げてきたイメージにより、父子家庭は逆差別ではないですけれども、そのように思わざるを得ないような事象です。私たちは、相談事業はなかなかできませんので、しておりません。ただ、私の自宅ですが事務局には電話やメールがたくさんきます。相談内容としてブラジャーや生理のこと、仕事のことがとても多いです。
 次に「支援制度が少ない」ということですが、私どもは立ち上がって児童扶養手当を求めました。その次に、貸付金、高等技能訓練、特定就職困難者雇用開発助成金、遺族年金などたくさん求めていますけれども、ほぼ母子家庭への支援と並んできています。貸付金はまだですが、自立支援・遺族年金は来年4月にスタートします。母子家庭と同じように父子家庭もいろいろな支援を受けられるようになってきてありがたいのですが、10ページをお願いします。父子家庭の方々は、それを自分たち父子家庭が受けられるということが分かりにくいのです。支援制度が少ないと思われている理由として、法律上では確か「ひとり親」という文言はないのです。「母子家庭等」となっていますけれども、この辺は全部ではないにしても羅列して「母子及び」ですとか「母子世帯等調査」とたくさんありますが、この「等」の中に父子家庭が入っているのか入っていないのか、しっかり調べて自治体の方に確認しないと、私も分かりませんので、私のところに相談に来た人たちを誘導できないのです。マザーズハローワーク事業は父子家庭も使えると聞いたことがありますが、それすらぴんとこなくて、父子家庭の人は頼りません。これは分かりにくいので抜本的に是正していただきたいと思います。
 求める支援制度ですけれども、母子及び寡婦福祉法の改正ということで、高等技能訓練も暫定といいますか法改正なくして始めて父子家庭にも拡充していただいていますが、母子寡婦福祉法をきちんと父子家庭へも拡充してやっていかない限り、進まないのではないかと思います。それから、母子寡婦福祉貸付金制度の父子家庭への支援拡充ということで、貸付金の方は修学資金の方が特に人気というか利用されていると聞きますけれども、父子家庭の方に聞きますと、事業開始資金などさまざまな用途にチャレンジしたい。サラリーマンが困難なので、独立したい、事業を開始したいという父子家庭も多い。私は会ったことがないのですが、未婚の父子家庭もいるらしく、未婚(非婚)世帯への寡婦(寡夫)控除は財務省管轄かもしれませんが、これもやっていただきたい。最後に、名称を「母子家庭等」というのは非常に分かりにくいので「母子・父子家庭」ですとか「ひとり親家庭」のように法改正の部分から整理していっていただきたいと思います。
 12ページ「孤立」です。私たちは小さなNPOで、日本で唯一の父子家庭を支援する全国組織といわれております。その中で、何度もNPO法人を廃業して解散しようと思いました。私もひとり親で続けられない、理事の人たちにも生活があります。活動できない。ただ、Facebookやmixi等いろいろなところから、全父子連があるだけで心が救われるし頑張っているところを見ていると助かるという声がありますので、なかなかやめられない。父子家庭、父親主体のコミュニティはNPO法人や任意団体などで点在しています。いずれも民間団体です。父子家庭にも受け皿が必要ではないかと思います。全国母子寡婦福祉団体協議会のような組織が必要ではないかと思います。というのも、2009年以前までは「父子家庭」という言葉は全然世の中にも取り上げられず、私どもの理事の言葉を借りますと社会の片隅に追いやられてきたということで、主だった支援制度はなかった。もっと言いますと、父子家庭の認知・理解こそが必要ではないか。ひとり親といいますと皆さま母子家庭を連想しますけれども、父子家庭もいるのだということをどんどん広めていきたいと思います。以上です。

○小杉委員長
 ありがとうございました。続きまして、佐藤参加人、お願いします。

○佐藤参加人
 今日はどうもありがとうございます。ハンド・イン・ハンドの会の佐藤と申します。よろしくお願いします。自分の頭の整理にと思って資料をまとめていましたら、大変膨大な資料になって10分で終わるかどうか分かりませんが、駆け足で説明させていただきたいと思います。
 めくっていただきまして、まず「ひとり親家庭の現状認識」これは今までおやりになったことではないかと思いますけれども、ざっと簡単に説明したいと思います。
 3ページ。母子家庭が124万世帯近くいて、うち正規の職員・従業員は40%程度で平均年間就労収入は181万円。
 4ページ。高い就業率にもかかわらず母子家庭の母親は大変賃金が低い。正規の職員・従業員でも平均年間就労収入は270万円です。恐らく月額に直しますと20万円いくかいかないかというところで、正規の職員であっても収入はかなり低いということだと思います。
 5ページ。母子家庭の勤労収入の状況、パート・アルバイトの場合は9割弱が200万円未満となって、平均しますと125万円ですから大体月額10万円程度というところだと思います。
 6ページには「世帯類型別の所得の種類別平均所得額~際立つ稼働所得の少なさ~」と書いています。働いていても正規・非正規を合わせたところで児童のいる世帯の約38%程度。この38%程度には児童扶養手当などの社会保障給付金が含まれていることを念頭に置かなければなりません。
 7ページは、ひとり親家庭の児童扶養手当の受給状況です。母子家庭においては一部支給も合わせて生別家庭ですと約76.8%が受給しております。父子家庭も実は収入状況は厳しいのか半数以上は一部支給も含めて受給しているという状況でございます。
 8ページは「児童扶養手当受給者数の推移」ですけれども、離婚する世帯も増えているというデータもありますけれども、現状で107万人。これは顕著に増加していると考えます。しかも、そのうち全額受給者は6割弱ということですので、児童扶養手当が命綱になっているという現実がこの数字からも確かに見てとれると思います。
 9ページは「ひとり親世帯の生活保護の受給状況」です。これは基のデータが先日配られたものですが、平成23年全国母子世帯等調査では14.8%になっています。直近の厚生労働省の被保護者調査では平成25年3月分の概数で11万1,776万世帯が母子家庭という数字になっています。
 10ページは後ほど話をさせていただきますが、貸付金です。これは8割が修学資金であるということです。
 11ページ「現状のひとり親家庭の支援について」に移りたいと思います。平成14年に母子及び寡婦福祉法、児童手当法等を改正して支援施策の4本柱「就業支援」「子育て・生活支援」「養育費確保支援」「経済的支援」などさまざまなメニューが用意されたということでございます。細かい支援事業については次のページから4ページにわたって説明していますので、ここは端折ります。
 17ページの「ひとり親への支援に係る主な機関」、これも先だって配布された資料から引っ張ってきたものですけれども、豊富な支援メニューですけれども、母親がどこに相談してよいのか恐らくこれでは分からないのではないかと感じます。
 「現状の支援施策から見えてくる課題」でございます。豊富なメニューも知らなければ利用できません。半数以上が制度を知りません。また、制度を知っていても利用しない人が大半です。
 20ページ。支援施策のメニューは豊富でも利用は限定的です。支援事業を実施している自治体と未実施の自治体が混在しています。母子自立支援プログラムの策定事業では43都道府県で、全ての都道府県で実施されているわけではありません。人員確保等にも問題があると思います。居住地で事業を実施していなければ利用したくてもできません。また、居住地で事業を実施していても条件が整わないと利用できません。申請のための物理的な問題もあると思います。相談に行く時間、あるいは移動に伴う費用、県庁所在地に相談窓口などが集中していますと、県の外れに住んでいる人はそこまで行く費用すら事欠くという状態では相談につながらないということもあります。また、事業を実施している自治体の中にも実施できない地域的な実情が実は隠れているのではないかと思います。
 21ページ。公的機関に相談するひとり親は極めて少数だということです。相談相手は親族や知人が圧倒的に多いです。もちろん、かなりセンシティブな情報を相談しなければならないので、公的機関にアクセスすることができないと思いますが、それがたくさんのメニューがそろっていても実は制度を知らないということにつながっているように思います。
 22ページで「自立を支援する体制に係る課題」として、どういったことがあるか考えてみました。自治体の取組に温度差はないでしょうか。母子自立支援プログラム策定等事業も未実施の自治体があります。自治体の財政もひっ迫している以上、人員配置を含めひとり親家庭の支援に十分取り組めない現状があるのではないでしょうか。熱心なところであっても現場職員は2~3年で異動することが多いですから、問題認識をしっかり把握することはできるのでしょうか。また、自立を支援する母子福祉団体の基盤の脆弱さということも問題点と指摘しなければならないと思います。資金力も弱い。また、人的資源に頼らざるを得ない一方で、専門的な知識を要する人員の確保が難しい。母子自立支援員等の処遇は非常勤雇用が多く大変不安定であるといった問題も抱えておられると思います。
 23ページ。「そもそも、国の支援施策は十分なのか」と思います。平成14年の改正から10年が経過しましたけれども、児童扶養手当の受給者は増加しています。就業や自立に向けた総合的な支援というものの、それは十分に機能しているのでしょうか。事業のメニューだけを用意して、自治体任せになっているということはないでしょうか。迅速に実態を把握していただきたい。財政面の問題なのか、人員確保の問題なのか。しっかりと把握していただきたいと思います。実施が不十分な自治体については、取組みを促すための体制整備をお願いしたい。これは住居地による支援格差を解消するためでございます。また、母子福祉団体や現場の声に十分耳を傾けていただきたいと思います。
 そういった点を踏まえて、「ひとり親家庭の支援に必要なこと」を考えました。自立支援に必要な個々のニーズをまずつかんでいただきたいと思います。ひとり親家庭にはたくさんの問題を抱えている現実があります。しかも、問題は一つだけではなくて複雑に絡み合っていますし、緊急対応が必要な場合もあります。
 26ページに一例として挙げました。極めてハッピーな形での自立に向けたステップですので、このような形にいかないケースの方が多いかもしれませんけれども、一例として挙げました。離婚前は混迷期です。どうしようか。離婚しようか。暮らしていけるだろうか。でも、もうできない。子どものこともあると悩んでいます。離婚直後は混乱しています。足元がぐらぐらした状態です。その後、少しずつ平静を取り戻して、離婚後の1~3年で生活基盤の確保がされなければ自立に向かえないと感じます。また、子どもの成長に伴う問題も忘れてはなりません。子どもの年齢に合った支援が行き届かなければ子どもの問題で悩むことになります。また、近年では親の高齢化に伴う問題も付随して起きていると思います。
 27ページ。「生活の基盤確保に必要なもの」として、経済的安定や住居の安定。これは全てがそろって安定すると考えています。
 28ページ。公的機関等によるファーストカウンセリングの重要性を提言したいと思います。ファーストカウンセリングというのは、多重債務者問題のときに最初に相談して、それ以上の債務を防ぐという形でいわれているものですけれども、同様です。離婚前・離婚直後、配偶者死亡の直後の混乱した混迷したときの支援が最重要です。早期に対応することで、問題の複雑化や深刻化を防ぐことになります。問題が深刻化すればするほど自立への道のりが遠くなります。継続的な支援のために信頼関係を構築することも、この場でやらなければなりません。「ワンストップ・サービス」による個別支援の実施も、ここで検討できると思います。公的機関は「待ち」の支援体制から「アプローチ型」支援体制へ、ぜひシフトをチェンジしていただきたいと思います。支援事業を知らないひとり親が半数以上というのは、自分から情報を取りに行くのではなく、届けるという発想をお持ちいただきたい。ただ、早期の支援体制は重要ですけれども自立は決して急かさないことです。生活の基盤確保が一番でございます。
 29ページ。現状はたくさんのメニューを「お母さんが自ら個別の窓口に相談に行く」ことになっています。どこの窓口に行けばよいのか分からない場合や相談に行くことが困難な場合は、どうすればよいのか分からない。相談内容が分散して支援に必要な情報も行き届きません。
 30ページ。将来的には一つの窓口で対応する。いつでもどこでも相談できるようにする。窓口で必要があると判断した場合は、関係機関などと連携して生活の基盤確保に努めていだきたいと思います。
 個別の施策については時間も押していますので、ざっとお話しさせていただきます。
 1「母子自立支援員について」は、ファーストカウンセリングを実行する上でも極めて重要だと思っています。全国で非常勤を含めて1,600名では絶対的に不足していると思いますので、身分保障や処遇改善は喫緊の課題です。担い手不足を解消して、将来的な人材を育成することも大事だと思います。
 次に、2「高等技能訓練費促進費等事業」ですけれども、7割が常勤雇用につながっていることを考えますと、取得できる資格を増やすということですが、10万円では生活ができない。この辺りも念頭に置かなければならないと思います。養成機関に通学できるなどの地理的条件もこれを利用するには必要になってきますので、この辺も課題だと思います。
 次に、3「ひとり親家庭等の在宅就業支援事業について」は、安心こども基金からの暫定事業になっております。単価も安くてネグレクトにつながるのではないかというご指摘もありましたが、今日は北海道と石巻市の取組事例を別刷りでお配りしております。中にはそれを足がかりに就職したり在宅就労に結び付けたり、あるいは精神障害のある方が周りの人と一緒に仕事をすることはできないけれども仕事を継続できるという形での事業でございますので、成功事例も挙げていきながら、ぜひ継続的な支援をお願いしたいと思っています。
 次の4「ひとり親家庭生活支援事業」は、メニューは豊富ですけれど分かりにくいということで、これも課題だと思います。学習支援ボランティア事業は数少ない子どもに対する直接支援です。ただ、ひとり親に限定せず、地域の事業として広く活用するという方向性もあろうかと思います。
 あとはご覧いただきまして、5「養育費の確保、面会交流について」は、書いてあるとおりでございます。母親が養育費の確保に精神的・経済的な負担を抱えながら、これを自助努力でというのは大変困難が伴うと思いますので、これに補助あるいは養育費を支払う側にもインセンティブが必要だろうと考えております。
 6「児童扶養手当について」は、ひとり親の就業・自立が十分といえない現状においては現行を維持するしかなかろうと思っています。年金との併給調整については、総収入によって支給するのが公平ではないかと思います。それから、ひとり親家庭等医療費助成については、各地の対応にばらつきがありますので、早期の受診につなげるという意味でも申請後の後払いではなくて、窓口清算のない形での受診が望まれます。
 それから、7「母子寡婦福祉資金貸付金」について、お話しさせていただきたいと思います。8割が修学資金でございます。保証人制度について再検討いただきたい。日本学生支援機構の奨学金についても保証人制度について再検討という要望が各団体から出されていますので、これについても再検討いただきたい。手続きが煩雑で緊急資金として利用できないというところも検討課題だと思います。返済方法の弾力的運用も多重債務の端緒としないためにもぜひ検討していただきたい。それから、父子家庭も貸付金の利用ができるように名称を変えていただきたい。
 8「住居問題について」は、ご覧いただきたいと思います。
 ひとり親家庭が100あれば100のニーズがありますので、それをつかむには早期の相談体制の確立が重要であると思います。私どもは30年以上の活動をしております。その間感じることは、経済的な自立が図れなかった母子家庭の母親、無業や長期にわたる非正規雇用によって社会保障から隔絶されていて厚生年金はおろか国民年金の掛金も支払えず、高齢になっても年金すら受給できないケースもあります。10年20年にわたる継続的な支援体制をお願いしたいと思います。

○小杉委員長
 ありがとうございます。既に質疑の時間もなくなっておりますけれども、委員の方からごく短く事実関係についての質問を受けたいのですが、いかがでしょうか。
 まず、委員から。

○大塩委員
 ウインクさんに質問をよろしいでしょうか。ウインクさんの事業として有料職業紹介事業がありますが、これはどのような方が利用されて、どれぐらいの料金で職業を斡旋していらっしゃるのか。お願いします。

○新川参加人
 NPOだけでは資格が取れなかったので企業会員とタイアップして行っていて、一般の有料職業紹介と同レベルなので就業が決まった時点で企業から年収に対する20~30%の成功報酬をいただいております。

○大塩委員
 どのような方々ですか。

○新川参加人
 就業を求められる母子家庭の方は本当にさまざまですが、感じているのは無資格で年齢的には35歳の壁といわれるのですが、就業がない人たちが圧倒的に多いです。資格があったりすると私どもを頼らなくても早期に決まってしまうので、そういう方は私どもを頼らないという状況の中では非常にマッチングしづらくて、なかなか成約に結びつかないことが多いです。

○大塩委員
 ありがとうございました。

○小杉委員長
 他に、ご質問がありますか。島崎委員、どうぞ。

○島崎委員
 新川参加人に質問します。面会交流と養育費の問題について、以前、本も出されたように記憶していますけれども、当事者の意識としては、面会交流と養育費の関係についてどういうふうに捉えているのでしょうか。つまり、養育費の支払いは面会交流の一種の条件だと考えている人もいるだろうし、そこは別の話だと考えている人もいると思いますが、そこはどのような状況になっているのか。当事者の多くはこうだと思っているということがあれば、教えていただきたいのですが。

○新川参加人
 そうですね。多くは両輪であると思われていて、ただ、「卵が先か、鶏が先か」のような議論になることが多く、養育費が払われないのなら会わせないとか、会わせないのなら養育費を払わないというやり取りが非常に盛んだと感じています。ただ、養育親の中には養育費とは関係なしに子どものためを考えて会わせる必要があると判断して、現状では父親側の経済状況が苦しい中で養育費が払えないけれども会わせているというご家庭も実際には何組もあると感じています。

○小杉委員長
 いかがでしょうか。他に委員の方、ご質問がありますか。では、参加人の方からは。時間が押していますので今回ここでの質疑応答は打ち切らせていただきます。
 続きまして、労働政策研究・研修機構の周参考人からのプレゼンテーションをお願いいたします。

○周参考人
 周燕飛です。どうぞよろしくお願いします。今日は「シングルマザーへの就業支援」について、お話しさせていただきたいと思います。話の内容は、主に2008年と2012年に公表されたJILPTの労働政策報告書を基にしております。もちろん、今日の話の内容は、シングルマザーに焦点を絞っているのですが、就業メニューの多くは実は父子家庭にも適用している話です。報告書を基にしているので、シングルマザーを中心に話をさせていただきたいと思います。
 この研究の「背景」ですけれども、実は1990年代以降に離婚の件数が急増して、それに伴って母子世帯の数も急増していました。それと同時に、児童扶養手当の受給者数と給付総額も非常に増えておりまして財政的に苦しいところにきていました。そこで、2002年に母子寡婦福祉法が改正されまして、政策は金銭的支援が縮小され、就業支援が大幅に強化される方向に動きました。それに応じて2003~2008年の時限立法でシングルマザー専用の就業支援メニューがいろいろ導入されて就業支援は大幅に強化されました。今日は、先ほどの参加人の方々の説明にもありましたように、就業支援は非常にたくさんあって分かりづらかったということもありまして、私たちの報告書ではまず就業支援のツールやメニューを整理してみました。
 お手元の資料の2ページに「就業支援の3大ツール」ということでまとめております。これまでにいろいろメニューがあったのですが、それを総じて三つのツールに分けることができます。一番目は、就業機会の増大策。二番目は就業能力開発策、三番目はジョブサーチ支援策です。それぞれいろいろメニューが設けられておりまして、昔からあるものもあれば2003年以降に主に母子世帯の母親を想定して導入されたものもあります。ここの図表の中で下線が引いてある事業は母子世帯の母親専用の就業メニューとして導入されたものです。
 それぞれの詳細については3ページにまとめております。「母子家庭等就業・自立支援センター事業」というのは、いろいろ総合的支援を行っていますが、主にジョブサーチ支援のツールとして考えることができます。「自立支援教育訓練給付金事業」と「高等技能訓練促進費事業」というのは、主にシングルマザーの職業能力を開発する目的でつくられたもので、特に高等技能訓練促進費事業は金額的には充実されておりまして、利用者数が非常に増えております。「母子自立支援プログラム策定等事業」は、ジョブサーチの支援です。いかに職探しをしている母親に良いマッチングを提供するか。それを手助けするような事業です。最後は「常用雇用転換奨励金事業」ですが、この事業は既に廃止されていまして創設されたときは就業機会の増大を狙っています。パートや契約社員などで働いているシングルマザーを正社員にした場合は企業に補助金を出すような制度になっております。
 それぞれの意図ですけれども、4ページにも書かれているように、就業支援などいろいろありますが、総合的な窓口は今まで実はなかったのです。母子家庭の場合は就業とともに子どもの保育や住居など生活の面のサポートも必要なので、そういう意図もあって「母子家庭等就業・自立支援センター」がつくられています。「母子自立支援プログラム策定事業」ですけれども、ハローワークにも求職活動ができる。職業紹介をしておりましてカウンセリングもありますが、あまりきめ細かな就業支援はできないという点もありまして、そこで福祉側とハローワーク、雇用側が連携作業して時間をかけてじっくりシングルマザーの就業支援をするということを目的としてこの事業がつくられていました。「自立支援教育訓練給付金制度」ですが、シングルマザーは、実は4割以上の方が雇用保険に入っていません。この制度を作る意図は保険に加入していない母親も保険加入者と同じように教育訓練給付をもらえるということです。「高等技能訓練促進費事業」ですが、条件の良い就業をしている母親が少ないので、安定的な就業につながりやすいような専門資格を取得するために取得期間中の生活負担を軽減するために作られているものです。
 それぞれの支援メニューに対して経済学的にはどのように評価するかという問題がありますが、お手元の資料5ページ目を見ていただいて、一つずつ説明させていただきます。まず、「就業機会の増大策」、例えば常用雇用添加奨励金、雇用開発助成金、トライアル雇用などそういった制度・事業がありますが、この事業を総じてゼロサムゲーム的なものと経済学的には考えます。それはどういうものかというと、全体の雇用量つまりパイの大きさが変わらない中で、シングルマザーの方々になるべく多くの分け前がいくようにパイの分配方法を変えているにすぎません。こういう方法をとることによって、どこに正当な理由があるかというと、経済学的には外部経済性が認められるケースが多いのです。シングルマザーも含めて就業弱者は仕事を優先的に振り分けられることによって社会の所得格差、階層格差が過大にならないようにするためにこの事業が意義あるという考え方。つまり、弱者保護には外部経済性が含まれているという考え方があります。
 ただ、こういったツールに対してあまり評価しないという経済学者も実に多いのです。一つは、例えばこういった事業を利用している人自体は労働生産性の低い人間ではないかと企業側は認識する可能性があります。そういった場合は事業に適用するということ自体はその人のスティグマになることがあります。つまり、労働生産性のネガティブな指標として捉えた場合は逆にシングルマザーにとって不利な政策になる可能性があります。アメリカではこれと似たような助成金制度の政策効果を研究したものがありますが、そういった研究には短期的に雇用は改善されたということが確認できているのですが、長期的にはほとんど効果がないという研究結果があります。日本の場合は、こういった助成金制度は政策的にどのような効果があるかといった実証研究はまだないのですが、私たちの報告書では大雑把に計算してみたのですが、「雇用開発助成金」の場合は1人当たり約29万円の費用をかけております。常用雇用も30万円の費用がかかっています。こういったお金を職業能力開発に使ったらもっと良い効果を上げているのではないかということも考えられますので、そういった検討というか比べる必要が今後あるのではないかと考えられます。
 2番目のツール「職業能力開発策」ですが、ここには高等技能訓練促進費や教育訓練給付などが含まれていますが、こういった政策は訓練を受けている方々の労働生産性を高める効果が期待できます。つまり、将来的にはこの国の労働力の生産性を高めることで成長がより早くなってGDPのパイがより大きくなる可能性がありますので、経済学的には非常に望ましい制度だと考えられます。
 では、なぜシングルマザーに対してだけこういった職業能力開発を支援しなければいけないかといわれると、二つの理由があります。シングルマザーをはじめとする社会的弱者の場合はそういった「情報の欠如」と「流動性制約」の二つの問題に直面しています。「情報の欠如」というのは、多くの場合は彼女たちはどこで何の訓練を受ければ自分のキャリアが上がるのかという情報を持っていない場合が多いということです。もう一つは「流動性制約」ですが、職業訓練を受けるためにはお金がかかります。そういった訓練の資金、あるいは訓練期間中の生活資金が調達できないという問題に直面しているので、そのためにシングルマザーは自力では最適な職業訓練開発はできないということがあるので、この制度は正当性があると考えられています。国や自治体が介入することによってこういった制約を緩和して、彼女たちにとってより最適な職業訓練を受けることができますので政策として好ましいと考えられます。
 「費用対効果」ですが、これもアメリカの研究で非常に優れているものがありまして、例えばある研究は自然実験でランダムにそういうシングルマザーのようなグループを選んで、そのグループを二つに分けて、一つのグループには無料の職業訓練を与えて、もう一つのグループには何もしない。ということを追跡調査してみました。その二つのグループの4年後の賃金を比較したところ、訓練を受けたグループの方が平均賃金は1,400ドルも高いということが判明して、かかったコストも計算できますので、それを投資として計算するとリターン率は大体10%という計算結果がありました。日本の場合はそういった厳密な実験データがありませんので、大雑把な計算はしてみました。
 7ページでは、高等技能訓練促進費制度を例にして費用対効果を分析してみました。実験データがないので公的統計から大雑把に計算して、仮に3年の修業期間があって、訓練費用を最大限の助成額をもらった場合に訓練の前の年収はシングルマザーの平均的な年収で、訓練後の年収は資格取得した場合の年収。もちろん常勤・非常勤・就業しないという三つのシナリオを想定して、その平均年収を計算しました。それを計算してみると、いろいろ取得した資格にもよりますが、大体リターン率は5~18%程度になります。ですから、貯金などの普通の投資よりはこちらの方がリターン率は高いと考えてもよろしいのではないかと思います。
 三つ目のツール「ジョブサーチ支援策」ですが、ここの中には自立支援センターや支援プログラム策定事業が含まれています。このツールによって労働力資源の配置最適化を狙うことができます。シングルマザーが持っているさまざまな職業経験や資格・技能などを最大限に生かせるような職業や、子育てしながらも無理なく働けるような仕事に出会えるように、いろいろ総合的サポートと個別的サポートを行う。正当性としては、求職者のサーチコストを軽減することができます。専門家の助言があったりしますので、本人は求職期間の短縮も期待できる。費用対効果ですが、アメリカでは全く同じプログラムはありませんが、似たようなジョブサーチ支援プログラムがありまして、その研究によりますと効果があるという報告がありました。日本ではまだそういった研究があまりありません。
 9ページでは、2007年にJILPTが行った母子家庭の全国調査を基に「公的就業支援はどこまで有効か」を検証してみました。事業を三つ選んでいます。事業1は「高等技能訓練促進費事業」、事業2は「自立支援教育訓練給付金事業」、事業3は「母子自立支援プログラム策定等事業」です。まず、当時の事業の認知度と利用状況を見ていると、そのときから認知度が低い水準にあることが分かっています。その後、最近の調査の結果が出ていますが、ある程度認知度が高まっていることが分かっています。
 肝心なのは事業の利用は本当に母親の就業成果を改善しているかどうかです。10ページ目に結果をまとめています。どういった研究をしたかというと、事業を利用した母親は、利用しなかった母親に比べて就業成果が優れているかどうかを分析してみました。就業成果の指標として二つ使っておりました。一つ目は正社員への就業移動。二つ目は賃金です。
 11ページで、まず「正社員への就業移動」に影響を与えている事業はどれかというと、顕著な影響が確認できているのは「高等技能訓練促進費事業」です。この事業を利用していた人は、どの事業も利用しなかった人より正社員への就業移動する確率が38.1%ポイントも高いということです。これは単純集計の結果とも概ね一致した推定結果です。事業2と3に関しては、正社員就業促進効果は確認されていません。むしろ、結果的には事業3の利用者は非利用者よりも正社員就業確率が若干低いという結果が出ております。通常であればこのような意外な結果は出ないはずですが、一つの解釈としては事業3を利用した母親が利用しなかった母親に比べもともと個人能力や専門技能が低かった可能性がありまして、こういった個人の能力要因が完全にコントロールできなかったので、こういった結果になった可能性があります。
 12ページは「賃金」が事業の利用によって上昇したかどうかですが、これはいずれの事業についても統計的に優位な上昇は確認できていません。「高等技能訓練促進費事業」の場合はやや利用している人の方が年収は高くなっています。しかし、年齢・学歴・勤続年数などの条件の影響を全部排除すれば賃金の高い仕事に就いているとまではいえない結果でした。
 13ページは「政策的含意」です。他の参加人の方々の発表とも同じような提案をさせていただくことになりますが、この事業の存在をもっとPRする必要があります。特に、事業の存在を知らない割合の高い層、例えば低学歴の母親や若年層、低年齢児の子どもを持っている母親に対しては、より積極的な情報発信が求められていると思います。一定の就業効果が確認できている「高等技能訓練促進費事業」に関しては、まだ利用割合が非常に少ないので、今後はもっと利用者を増やすように促進を図るべきだと考えられます。その後の動向をここで少し触れさせていただきたいのですが、調査は2007年に行いましたが、それから3、4年経っておりまして、今もこの三つの事業は継続しています。利用割合も利用件数も順調に伸びています。
 こういった政策的提言をさせていただきましたが、では、具体的にどのように取り組めばよろしいかということになりますと、14ページにヒアリング調査の結果をまとめさせていただいています。2007年には厚生労働省の要請を受けまして全国から8か所の自治体を選んでヒアリング調査をさせていただきました。そのときの結果を紹介させていただきます。
 まず、支援メニューの周知徹底ですが、例えば大分県ではハンドブックの配布。非常に分かりやすいハンドブックを作成して各市町村の窓口に置いたり、児童扶養手当の現況届を渡すときに一緒に渡すという形で周知徹底を図っておりました。貝塚市の場合は、母子自立支援員が手作りのニュースレターで情報発信しておりました。年1回と、そんなに頻繁には発行していなかったのですが、そういった情報誌は児童扶養手当の証書を受け取りに来られる際に市役所で渡しているという取組を行っておりました。
 15ページは「福祉部門と雇用部門の連携」です。就業支援メニューのうち、母子家庭等自立支援センター事業と母子自立プログラム策定事業は、特にこういった二つの部門の連携が求められているのですが、実際にヒアリング調査をして分かったことは、縦割り行政の影響でこの二つの部門で積極的な連携を図るのは非常に難しいという実情でした。
 その中で、取組として参考になったのが千葉市でした。千葉市は連絡票と、連絡会議を定期的に行って連携強化を図っていました。釧路市はNPO法人を介して連携を図っていました。札幌市はハローワークOBを積極的に起用して連携を図ろうとしました。
 16ページは「優秀な支援スタッフの確保」です。就業支援の成果は、就業支援スタッフの量と質に大きく左右されるのです。量と質をどうやって図るかというと、もちろん人数もそうですが常勤スタッフをより多く確保することで母親に安心感を与えたり、担当者同士の情報交換、仕事の分担がしやすくなるので支援の質が高くなることが期待されています。
 具体的にどのように常勤スタッフを確保するかというと、浜松市と横浜市の取組は、地方の特色があるかもしれませんが、参考になると思います。浜松市は共同設置というか静岡県・静岡市・浜松市の三つの自治体が共同設置することで、職員6人全員の常勤化を図ることができました、さらに、支援の質を高めるためには6人の職員のうち4人はシングルマザーを採用したということです。横浜市の場合は人口が密集しているという特徴がありまして市内の18の区を1人4~5区ずつ担当するように人数を減らして常勤化を図ることができました。国の基準よりも高い年収を確保できたので、就労支援員の定着も高かったということでした。大分県と貝塚市の特徴は、ベテランの支援スタッフがキーパーソンになっています。2人とも非常勤ですが2003年度以来、かなり長年ずっと同じ職場で長期雇用して自主性とやる気を生かした支援活動を行っていました。
 17ページは「就業支援サービスの窓口一本化」ですが、支援のメニューが非常に多くて分かりにくいこともあるし、どこで支援を受ければよいのかを私自身も把握するのに時間がかかりまして、ここで窓口を一本化する試みが地方でも行われていました。横浜市は区に一本化しております。シングルマザーが就業支援を受けるときはもちろんそうですが、例えば児童扶養手当や離婚の相談など何かの用事で区役所に行くことがあると、そこでそういった就業支援メニューが紹介されて就労支援員につなぐという活動をやっておりました。貝塚市の場合は、児童福祉課に全ての就業支援メニューを集約させています。それをワンストップ・サービスで事業を展開していました。秋田市は、自立支援センターを中心として複数の機関から母親にアプローチするという手法をとられておりました。
 2007年という古いヒアリングの結果になっておりまして、最近また変化があったかもしれませんが、私の発表内容に関して不十分な点や、もし間違いがありましたら、ぜひご指摘いただければと思います。以上です

○小杉委員長
 ありがとうございました。経済学的観点から制度の効果分析をしていただいたということだと思います。
 まず、委員から質問を受けたいと思いますが、いかがでしょうか。

○新保委員
 ご報告どうもありがとうございます。二つお聞かせいただければと思います。第1点は7ページに「リターン率」という言葉が出ていて、5.1~18.0%に至るまで、それぞれの職業のものが出ています。それぞれの賃金を上げることが一番手っ取り早い方法だと思いますが、それができないという状態の下で、このリターン率のベースを上げるということについて福祉や労働部門で何かできることは考えられるでしょうか。これが1点です。リターン率5.1~18.0%ということについて、これは市場経済の中でこのような数字になると思いますが、そもそもベースを上げることが可能な施策、例えば何らかの就労支援を並行して行うことについて、何かご提案があったら教えていただければと思います。これが1点目です。
 2点目は、2ページ目の一番ベースに戻ります。シングルマザー専用の就業支援メニューの中で、周参考人のお話を聞かせていただくと、能力開発というのがこれからウェートを置くべきことの一つとしてクローズアップされてきているように思いますが、ここに幾つかのメニューが出ていますが、周参考人のご提案として、こういうものがあったらより良い施策になるのではないかということがもしあったら教えていただければと思います。いろいろ研究をされていますので、現状はこうであるということは分かりましたが、これ以外に周参考人がお考えの施策などがあったらご提案いただければありがたいと思います。よろしくお願いします。

○周参考人
 どうもありがとうございます。まず、ベースを上げる方法ですけれども、質問の意図を確認させていただきたいのですが、つまり看護師や保育士などの給料を今よりももっと高くなるような政策ができないかということですか。

○新保委員
 そうではないです。それは私たちがすぐにできることではないので、それを動かさないという前提の下で、この数字を上げる他の方法はないかということです。

○周参考人
 もっとリターン率が上がるような方法ですか。賃金は市場で既に決められたものなのであまり動かせませんが、かかっている費用が低くなればリターン率がもっと上がっていくのと、ここの算定には資格を取れなかった人は含まれていないのです。資格を取られた場合のリターン率なので、全体的にもっと上がるにはそういった資格取得率を高くするということを政策としてやっていければよいと思います。ただ、リターン率が高い資格、例えば看護師などは結構ハードルが高いので、誰もがリターン率の高い資格を取れるわけではないので、シングルマザーの実情に合わせて、彼女たちが自分の学力や年齢段階でもチャレンジできるような資格をサポートしていくべきだと思います。ですから、幅は設けるべきだと思います。5%でも決して低くはないと私は考えております。
 もう一つ、2ページの職業能力開発策ですが、この三つのツールの中で私は特に2「職業能力開発策」に力を入れるべきだと思います。その中では特に高等技能訓練促進費制度は非常に評判が良くて利用者数も増えていますので、これからもっと制度を充実して、一つの目玉として継続していくことが重要ではないかと思います。いろいろ支援メニューがあって「これはいけない」というものはないかもしれませんが、ここではいえないのですが、もっと整理して例えば5年や10年の期間を設けて、あまり効果が確認できなかった制度を廃止したり、予算制約がある中で選択と集中を行うということが求められるのではないかと思います。

○小杉委員長
 他に、ご質問は。島崎委員。

○島崎委員
 まず、周参考人のプロポーザルについては、基本的にはそのとおりだと思いますが、2、3お伺いしたいことがあります。まず、11ページの解釈の話ですけれど、多分そこで指摘されているように、例えば自立支援プログラムについて、通常考えられる想定と違う結論になっているのは恐らくここに書いてあるようなことだと思いますが、高等技能訓練促進費の効果が比較的高く出ているのも、実は、対象者の属性を見てみれば、できるだけ高い賃金の職業に就きたいという意欲もあり、なおかつ、比較的そういう余力もある人たちなのではないか。そもそもそういう属性を持っている可能性を排除できないように思います。そうすると、先ほどおっしゃった5ページのデータとも関係するのですが、高等技能訓練促進費の政策効果が少し高めに出てきているという感じがしますけれど、その点はいかがでしょうか。

○周参考人
 おっしゃるとおりで、この38.1%ポイントは少し情報バイアスがかかっている可能性はあると思います。その人のやる気や能力はアンケート調査では特定することができないという問題点はあるのですが、大きさこそバイアスが若干あるかもしれませんが、それでもプラスの効果があることは間違いないと思います。

○島崎委員
 最初の就業支援の各ツールについての経済的な評価からしてみると、率直にいうと、「就業機会の増大策」については中の分配をどうしていくかという話ではないか。それだけだというと語弊があるかもしれませんが、基本的にはそういう問題であるのに対して、職業能力を開発していくというのは1人当たりの生産性を高めていくことで日本経済全体としても良い方向に行くというご主張だと思います。私もその点はご指摘のとおりだと思います。その上で、あえて最初の「就業機会の増大策」の評価についてお伺いしたいのですが、現実問題として、ひとり親家庭だということに着目していろいろな施策がとられているわけです。その際、私も周参考人がおっしゃっている意味は分かっているつもりで質問しますが、同じ社会的弱者だといってもそこのところ子どもを一人で養育していることに着目した何らかの評価ということはできないだろうか。違う言い方をすると、社会的弱者という一くくりで括ってしまうと、例えば非正規の人が3分の1いて、その中には非常に低賃金で働いている人もいるわけで、そういう人も社会的弱者です。そうすると、社会的弱者の中にもいろいろな人がいて、悩ましいのは、ひとり親家庭の焦点をあて対策を講じるということはなぜジャスティファイされるのか。同じような状態にある社会的弱者に比べてなぜジャスティファイされるのかということが、うまくブレイクスルーできないように思いますが、その点について違う見方というか、何か良い示唆がありますかという質問です。質問の意図は分かりますか。

○周参考人
 はい。やはり、貧困層の母子家庭と他の非正規雇用などの社会的弱者に比べてどこが違うかというと、子育てしているのです。子育てという行動が外部の経済性があります。つまり、子どもを育て将来は一人前の労働力になって日本のGDPに貢献するので、より子どもが良い環境で育てられるためには母親を支援することは必要不可欠ということはシングルマザーに対する特別な支援がジャスティファイされる一つの理由になると思います。ここに挙げられている「就業機会の増大策」の中で、唯一母子家庭に特化しているのが常用雇用転換奨励金制度ですが、これも2007年度既に廃止されて、他の人も利用できる制度で統合しました。ですから、このツールでは母子家庭専用のメニューが今はない状態です。

○小杉委員長
 ありがとうございます。他に、参加人からも質問があれば。赤石参加人。

○赤石参加人
 発表いただいてありがとうございます。私の理解が浅いかもしれませんが、7ページの高等技能訓練促進費制度の費用対効果の計算方法ですけれど、私が漠と思うのは、高等技能訓練促進費で例えば看護師になる。そうなると、児童扶養手当の所得制限以上に所得を上げる人が増えるのではないかと思いますので、児童扶養手当の受給をその人がずっとこの訓練を受けなかったらその後何年か児童扶養手当を受け続ける費用も組み合わせて費用対効果を出すのが普通ではないかと思っていて、厚生労働省は多分そういう説明を財務省にしているのではないかと思いますが、ここは所得が上がることだけを書いておられるので。分からなかったので、教えてください。

○周参考人
 ご指摘はよく分かります。確かにより厳密に計算するためには児童扶養手当は受給が減る分の税金を節約しましたので、その分も考慮に入れればリターン率はもっと高くなるということになると思います。

○小杉委員長
 ここでは入っていないということですね。

○周参考人
 はい。計算しようと思えば可能です。例えば取得した後のデータがあれば何%は児童扶養手当の受給から外れたかという情報があれば、そういった計算もできると思いますので、今後の課題とさせていただきます。

○小杉委員長
 周参考人の発表について、ご質問がありますか。では、佐藤参加人。

○佐藤参加人
 ありがとうございました。高等技能訓練促進費事業は有効であるというところがデータとしても導き出されていると思いますが、先ほど島崎委員からご指摘があったように、受けられる人は能力があって地理的条件などさまざまな要件がそろった人だと思います。説明の中にも読み込めなかったので、あえてお話しさせていただきたいのですが、在宅就業支援事業は基金の中での事業でございます。大変予算を使っているのですが、基金の中から3年間促進費用が出ていたりしたので、全てが在宅就業支援事業に充てられていないということをまずご指摘した上で、地理的な条件あるいは学歴などを排除しながら訓練を受けられるというのが在宅就業支援の事業だと考えております。今日は紹介事例を二つ、北海道と石巻市の事例をお持ちしました。石巻市の方は母親の名前と年齢なども出ておりますので、今日資料をお持ち帰りになる方につきましては、本人の了解を得て掲載させていただいていますが、個人情報が含まれていますので取扱いは丁寧にお願いしたいということが1点。
 この母親たちは震災の後の支援事業に申し込みをされました。全くパソコン経験のないお三方と聞いております。ただ、支援の中のプログラムメニューの中で全く全てがe-ラーニングではございません。その中で仲間をつくり、そして自分たちの就業意識を高めて現在こうしたフリーペーパーを発行するまでになっております。このフリーペーパーは仮設住宅の方、情報が届きにくい方に対して情報を届けるという意味で、母親たちが中心になって作られていますので、まだ事業の年数が短いですから成功事例を全て挙げることはできませんし、中には向かない方もいらっしゃるので全てが成功事例になるとは限りませんが、高等技能訓練に結び付かない方を補完する制度としても極めて有効だと考えております。事業の取扱い自治体が少ないというところもございます。また、やっているところに対しては大変応募者が多くて、向いているか、向いていないかを面接して。全ての方が受けられる事業にはなっていません。事業の在り方そのものは見直し等が必要だと思います。在宅就労につなげるというよりは訓練という形で利用される方もありますし、「ひとり親家庭等」としておりますので障害者の方であるとか高齢者向けの在宅就労につなげているという自治体もありますので、高等技能訓練促進費事業は大変自立の促進が効果があるということですけれども、始まったばかりの事業ですので、その辺りもぜひお含みおきいただいて、意見に代えさせていただければと思います。申し訳ございません。ありがとうございます。

○小杉委員長
 ありがとうございます。質問というかご意見として承りました。周参考人、ありがとうございました。
 では、ここからは全体で、これからのひとり親家庭への支援施策の方向性について、意見交換ということにしたいと思います。島崎委員、お願いします。

○島崎委員
 小杉委員長は労働政策や雇用政策の大専門家でいらっしゃるので、せっかくなので周参考人の発表について専門家の立場からはどのように見えるのか。ぜひ質問していただきたいと思います。私が申し上げるのも僭越かもしれませんが。

○小杉委員長
 時間があと10分しかないとか、そういうことばかり考えておりました。ありがとうございます。経済学的なきちんとした分析は非常に大事だと思いますが、若干コントロールがうまくいかなかったところを多分いろいろ考えていらっしゃると思いますが、この中で随分差し引かなければいけないところなど、その辺をどのように考えていらっしゃいますか。今回のこの分析がどの程度内生性をどれだけコントロールできたと。何点ぐらいですか。

○周参考人
 高等技能訓練促進費制度と自立支援教育訓練給付金制度の効果を分析するに当たっては、データの制約がありまして能力ややる気などをコントロールすることはできませんでした。なぜなら、一時点の調査データしかなかったからですが、今後もしそういう条件があれば、同じ人間に対して数時点のデータを収集して、訓練を受ける前とその後の変化を調べることで、政策効果をより正確に測ることはできますので、それは実際に今JILPTの中でパネルデータを作成することを計画しておりまして、1回目の調査が終わりまして今年度は追跡調査を行う予定になっております。それを使って今後は高等技能訓練促進費と自立支援教育訓練給付金の効果を測ることにしたいと考えております。

○小杉委員長
 ありがとうございます。政策効果の研究は今非常に重要なポイントで、そのためにいろいろ私どもの研究所をはじめとして努力しているところですが、今回のこのデータは、ある意味で限定があって政策効果を測るためには、かなりきちんとした枠組みをつくってデータを作るところから作り込まなければならないので、そう簡単な話ではない。それが私のできるコメントです。ただ、それは絶対にやらなければいけないことなので、時間をかけて厚生労働省にも協力していただきながら、やらなければならないことではないかと思っています。お時間をいただいたので。すみません。

○杉澤委員
 山形県です。実は山形県では昨日、県内の母子寡婦福祉連合会の大会がございまして、現在会員は六百数十名ですが、5年ぐらい前は1,200名ぐらいいました。半減している状況です。高齢の寡婦、70代以上の寡婦会員の減少と、若年母子会員が全く入ってこないという状況にあるようです。今日、参加人の皆さまから発表いただいた中で、施策の周知が行き届いていないということがありました。山形県の場合ですと、施策の周知はどうしても母子寡婦福祉連合会を通じて、就業・自立支援センターや事業も母子寡婦福祉連合会が担っているものですから、母子寡婦福祉連合会が中心です。あるいは「ひとり親福祉のしおり」を使って現況届の際に各窓口で周知といった努力はしているのですが。参加人の皆さまと母子寡婦福祉連合会といいますか、そちらの団体との関わりですとか、どうしても若いひとり親の方は既存の団体に入りにくい状況が確かにあると思いますので、その辺のNPOとの連携で何か成功事例や提言があればお聞かせいただきたいと思います。

○小杉委員長
 ありがとうございます。既存の団体との成功事例をぜひ、赤石参加人。

○赤石参加人
 いろいろな地域の母子会があるので、それぞれ温度差があるのではないかと思います。今日の発表の中で私の発表の5ページに、親セミナーと子どもプログラムを並行して行いましたという千葉市母子寡婦福祉会の事業を私どもが企画協力させていただいています。都内から行くのは大変ですけれど、ぜひ手伝ってほしいということを行政の方と母子会の方から言われましたので、企画協力しております。その他、いろいろなところでも声を掛けていただくこともありますし、逆に講演などをお頼みしたときに、あまり快い返事をいただけない場合もありまして、これは本当に地域の裁量ではないかと思っているところです。

○小杉委員長
 地域による温度差がかなりあるということですね。どうぞ、お願いします。

○海野委員
 今の方たちの家庭状況ということも結構あるのではないかと思います。離婚後に実家へ帰る人が多くなった。要するに、孫さえ連れて来ればいつでも戻ってきてもよいという私たち世代の親の見当違いの考えがあって、親のそばに帰ってきなさいと。親のそばに帰れば家事から洗濯まで全部やっていただけるので、そちらへ帰ると利点が多いのです。そうすると、その中でどっぷりで、こういう会に入らない人が増えています。でも、私はいつも言うのですけれど、親はいつまでも生きていません。まず自分がいろいろなところへ行ってみて自立を図らなければ。順番からいえば絶対に親が先に亡くなるのだから、自分が自立しなければいけないということを言わせていただいています。今の方たちは自分で自立という考えも弱いし、意欲も弱いと思います。そういうところを、今は子どもさえ産めばいろいろな保護があり過ぎたと思います。甘えれば済むような時代にしてしまった。だから、自立もできなくなってしまったというのが現状だと思います。ですから、これから生きていくためにも、子どもが育てばまた自分も自立しなければならないという現状からいえば、今自立しなければ駄目なのだということを教育していかなければ手遅れではないかと思います。

○小杉委員長
 ありがとうございます。会に入らないのは個人の責任かどうかというのは議論があるかと思いますが。片山参加人。

○片山参加人
 母子家庭の若い母親から聞いたのですが、訪ねて行ったりすると、髪の色や爪、服装などかなり厳しいことを言われてしまうということで足が遠のいてしまうということも伺いましたし、全国があって都道府県があって自治体があって、その自治体によっても全く規約も何もかも、やり方も考え方も受け入れ方もまちまちだということで組織づいていないです。ばらばらな組織となっているというところもあまり良くないのではないかということを聞いたことがあります。

○小杉委員長
 ありがとうございます。周知という問題で、大塩委員。

○大塩委員
 全国母子寡婦福祉団体協議会の方とは少しずれるかもしれませんが、先ほど周参考人から分析などを伺って、参加人の方からもいろいろと状況をお伺いして、周参考人の分析の結果がやる気や能力のある方はリターンが多い。効果があるのですよね。そこは大事にしていかなければいけないのですが、私どもの利用者のことを考えるときに、海野委員は「若い方は」とおっしゃったのですが、自立に向けていろいろな状況の中でまだそこまで行き着くことができない方たちに対して、どうやって政策を届けるかということを本気で議論しなければいけないと思ったところです。会員になる、ならないも大事かもしれませんが、個人の問題ではないところで社会の中でひとり親が置かれている状況をきちんと議論していかないと費用対効果もやる気のある人や学歴のある人、能力の高い方は効果があるけれどということになってしまわないか不安です。この委員会の今後の方向性おいても、そこを大事にしていただきたいと思いました。

○小杉委員長
 ありがとうございます。島崎委員、どうぞ。

○島崎委員
 これまでいろいろなヒアリングをしてきたわけですが、それぞれいろいろな現状や課題が見えてきたというか、多分こういうことになっているのだろうと思っていたことと実をいうとほとんど私の中では符合します。問題は、ではどうすればよいのかという話で、いろいろな施策のメニューはあるのだから、もっと周知徹底しましょうという単純な話ではなさそうに思います。つまり、自治体の取組にしても、まちまちだということがまず一つあるわけです。しかも、それは前にも申し上げたとおり、いろいろな施策がそれぞれの都合によってそれぞれ実施主体そのものにかなり違いがあるわけです。労働ということになるとどうしてもハローワークとの関係を考えると国あるいは都道府県行政だし、政令指定都市、中核市という、いってみれば県と一般の市町村との中間的な存在もあるし、さらにいうと福祉の世界だと福祉事務所を設置している町村という概念もいろいろあって、その辺りがたくさんメニューはあるけれども十分整理できていないということもあるのだろうと思います。
 それから、もう一つ本質的な話として、いろいろなメニューを用意して全部やらなければいけないのか。つまり、各自治体がそれぞれ組み合わせて最も有効な施策を組み立てればよいということなのか。でも、そうではなくて、およそひとり親家庭の施策については広げたメニューは全部やってほしいということを目指すのか。それによっても、かなり政策の組み立て方も違うかもしれないように思います。
 もう一ついえば、先ほど面会交流の話を申し上げたのですが、質問したのはどういう趣旨かというと、面会交流とは離婚届の用紙のところに「面会交流について取り決めしていますか」と書いてあるわけです。普通に考えれば、それについてしてなければ、どこでそういうことについて相談に乗ってもらえるのかという質問が出てくるのは当たり前だと思いますが、今のところはきちんとした受け皿がないわけです。受け皿がないというと少し言い過ぎかもしれません。実際はほとんどないに等しい。それはどの省庁がやるべき話なのかということも必ずしも明確ではないように思います。低所得者の場合については厚生労働省が一部やっているという形ですけれども、どういう実施体制でやるかということも明確ではない。
 何が言いたいかというと、いろいろな施策がどういう主体の下でどういうやり方でやるかということがきちんと整理されていない。そのために、いろいろなメニューの広がりはあるけれども、相談で一番重要な即時性と総合性と専門性が十分満たされていない。したがって、政策の効果が十分に上がっていないというのが実態ではないかと私は思っています。ですから、この後今日はもう時間がないにしても、そういう観点で議論してみるとどのように見えるのか。ぜひ次回にそうした議論ができればと思っております。

○小杉委員長
 ありがとうございます。次回からは議論中心になりますので、ぜひ今の島崎委員のご発言を基にして考えていきたいと思います。時間の方が申し訳ありません。いつも時間ばかり気にしているのですが、資料6についての説明が残っております。その前に、最後にこれだけは話しておきたいということがありますか。では、短めに1分以内でそれぞれお願いします。

○佐藤参加人
 私はファーストカウンセリングを重要視してほしいと申しまして、「こんにちは赤ちゃん事業」があると思います。生後4か月以内の赤ちゃんに全戸訪問をする。そういった系統で母親にハンドブックを読むか読まないかは渡してから先の話なので、そうではなくてもっと直接的に情報を届ける仕組み、あるいは母親の抱えている問題、ニーズを把握してそれをまた何が要る、要らないの全体数が分かるという意味でも、ぜひ取組を検討していただきたいと考えています。以上です。

○赤石参加人
 私どものNPOの紹介のときに申し上げるのを忘れたのですが、私どもの団体は行政からの委託はゼロです。歴史は30年ありますけれども、全くないところで独立行政法人福祉医療機構その他の助成金をもって自主運営しております。先ほどの母子寡婦福祉団体との連携ということで今、担い手の多様化ということをどのように考えるのか。あるいは、私どもの良い点を生かしていただきながらやっていただく。ウインクさんの良い点、私どもの良い点、全国父子家庭支援団体連絡会の良い点を生かしていただくことが各自治体の政策評価につながることもありますので、ぜひ考えていただきたいと思います。

○小杉委員長
 どうもありがとうございました。それでは、事務局から、資料6「前回までの指摘事項等について」の説明をお願いします。

○小野家庭福祉課長
 それでは、資料6に基づきまして、説明させていただきます。1点目は先ほど赤石参加人からお話がありました「子どもの貧困対策の推進に関する法律」でございます。前国会で成立いたしましたので、ご紹介させていただきます。ここにありますのは「子どもの貧困対策の推進に関する法律」の成立した姿でございますが、そもそもは衆議院におきまして与党と野党のそれぞれから案が出されまして、それを修正の協議をいたしまして両者が合意したものということで、これは通ったものでございます。全会一致によりこの中身は決まっているところです。「目的」は、ここに書いてあるとおりでございます。大綱を定めなければいけない、
大綱にはこういうことを定めますということが決まっております。その上で、都道府県については「計画を定めるよう努める」とされておりまして、施行期日は公布の日から起算して1年を超えない範囲内で政令で定める日から施行することになっております。
 二つ目の資料でございます。4~6ページでございます。これと机上配布させていただいております第1回専門委員会資料の抜粋でございます。何人かの先生方からデータの方で母子世帯・父子世帯の平均年間収入を見る際に、同居親族を含む世帯全員の収入だけが出ている、これが机上配布の方ですが、それではミスリーディングではないかというご指摘をいただきましたので、母子世帯と父子世帯の両方について母または父自身の収入のみの数字を掲げたものが4ページ目の資料でございます。
 5ページ目と6ページ目は、それぞれ母の収入のみ、父の収入のみの分布状況のデータを併せて示させていただいたところでございますので、ご覧いただければと思います。
 最後に3点目は、島崎委員からお話があったことだと思いますが、母子自立支援員の地方交付税措置についてと、現状のデータでございます。スライドの7ページでございますけれども、これは、今は地方交付税措置で、地方の自治事務ではございますけれども、下記のような算定根拠となっております。人口170万人の都道府県で母子自立支援員が2人、非常勤の母子自立支援員が6人。それから、市町村では、人口10万人の標準団体規模で母子自立支援員が1人。これは児童扶養手当の事務と兼務ですが、非常勤が1人ということでございます。考え方といたしましては、これだけの人を雇えるだけの費用を国から渡しているといいますか、渡す地方交付税の算定の根拠の中にこれも入っているということになっているわけですが、地方交付税といいますのは地方の自主財源でございますので、これをどのように使うかは自治体ごとの裁量になっているというのが現状でございます。
 8ページ目と9ページ目が母子自立支援員の設置状況でございます。まず、8ページ目から説明いたします。47都道府県につきまして、左の3列が母子自立支援員の人数で、実際に何人いるかという話でございます。一番左側が「都道府県知事による委嘱」が何人いるか。真ん中は「市長及び福祉事務所設置町村長による委嘱」が何人いるか。そして合計で何人いるか。右側の三つのデータは、市及び福祉事務所設置町村での設置状況で、自治体の数のデータでございまして、市でやる、それから福祉事務所が設置されている町村がそれぞれの県に幾つあるかというのが(A)の欄です。そのうち、母子自立支援員がいる自治体が幾つあるかというのが(B)欄、設置率がA分のBということです。備考欄は、我々は都道府県に対してヒアリングいたしましたので、それぞれの都道府県庁からご説明があったことを書いております。
 9ページ目は、前のページの数の再掲でございますが、指定都市・中核市それぞれで母子自立支援員が何人いるかという自治体ごとの母子自立支援員の人数のデータでございます。後ほど、ご覧いただければと.思います。私からの説明は以上でございます。

○小杉委員長
 この資料について、事実関係の質問がございますか。

○海野委員
 これでは中核市・川崎市は0人となっているのですが、0人ということはあり得ないので、神奈川県の方に入ってしまっているのかどうか。そこのところを再確認してください。

○小杉委員長
 今すぐにではなく、次回でよろしいでしょうか。

○小野家庭福祉課長
 確認の上、次回ご説明いたします。

○小杉委員長
 よろしいでしょうか。
 それでは、次回の予定について、事務局から説明をお願いします。

○小野家庭福祉課長
 ありがとうございました。次回の日程でございますけれども、7月25日木曜日の19時からを予定しております。次回は、中間まとめに向けました議論をすることとしておりますので、よろしくお願いしたいと思います。

○小杉委員長
 では、本日の専門委員会は、これにて閉会といたします。ご出席の皆さま、どうもありがとうございました。


(了)
<照会先>

雇用均等・児童家庭局家庭福祉課母子家庭等自立支援室
代表:03-5253-1111(内線7892)
直通:03-3595-3112

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