ホーム> 政策について> 審議会・研究会等> 厚生科学審議会(疾病対策部会造血幹細胞移植委員会)> 第42回厚生科学審議会疾病対策部会造血幹細胞移植委員会議事録(2013年6月21日)




2013年6月21日 第42回厚生科学審議会疾病対策部会造血幹細胞移植委員会議事録

健康局疾病対策課臓器移植対策室

○日時

平成25年6月21日(金)10:00~12:00


○場所

厚生労働省 専用第21会議室
(東京都千代田区霞が関1-2-2 中央合同庁舎5号館)


○議題

1 臍帯血品質基準について
2 研究目的での臍帯血の利用・提供基準について
3 拠点病院の要件について
4 その他

○議事

○吉田室長補佐 それでは、定刻を少し過ぎておりますけれども、ただいまから第42回「厚生科学審議会疾病対策部会造血幹細胞移植委員会」を開催いたします。
 本日は、お忙しいところ、お集まりいただきまして、ありがとうございます。
 本日は、武藤委員と辰井委員が少しおくれてお見えになるという御連絡をいただいておりますが、全員の委員の皆様の御出席をいただける予定でございます。まことにありがとうございます。
 また、本日は移植用臍帯血基準検討会の座長であります自治医科大学附属さいたま医療センターの神田善伸先生に参考人としておいでいただいております。
 それでは、お手元の資料の確認をさせていただきたいと思います。
 本日、資料が少し多岐にわたっておりますので、確認を特にお願いしたいと思います。
 資料1といたしまして、これまでの委員会での主な御意見(概要)。
 資料2は、枝番が1から6までございます。
 資料2-1として「臍帯血供給事業について」という資料。
 資料2-2といたしまして「移植用臍帯血基準(案)方向性について」という資料。
 資料2-3といたしまして「移植用臍帯血基準(案)の概要」という資料。
 資料2-4といたしまして「日本さい帯血バンクネットワークの基準からの主な変更点について」という資料。
 資料2-5は「移植用臍帯血基準(案)」。少し厚目の資料でございます。
 資料2-6として「さい帯血バンクにおけるインシデント事例等について」ということです。
 6種類にわたってございますけれども、お手元、大丈夫でしょうか。
 続きまして、資料3「研究目的での臍帯血の利用・提供基準について」。
 資料3の別添といたしまして「さい帯血提供についての説明」という資料。
 資料4といたしまして「拠点病院の具体的な数値要件等について」という資料をつけてございます。
 過不足のほうは大丈夫でございますでしょうか。
 また、机の上にこれまでどおり法律等の参考資料とこれまでの委員会の資料をまとめたファイルを置いてございますので、議論の際の参考にしていただければと思います。
 それでは、議事進行を小澤委員長にお願いしたいと思います。
 では、よろしくお願いいたします。
○小澤委員長 それでは、法施行に向けた議論の第9回となります。よろしくお願いいたします。
 早速議事次第に従って議事に入りたいと思います。
 最初の議事は「(1)移植用臍帯血基準について」です。
 まず、事務局から臍帯血供給事業の許可基準について説明していただき、続いて、神田先生から検討会で取りまとめていただいた移植用臍帯血基準(案)について報告していただいた後、質疑を行う流れとしたいと思います。
 それでは、事務局からよろしくお願いいたします。
○西脇室長補佐 それでは、資料2-1「臍帯血供給事業について」をごらんください。
 これは、つまり、さい帯血バンクについてですけれども、前回御説明いたしました骨髄バンクと基本的な考え方は同様となっておりますので、簡単に御説明させていただきます。
 資料の1枚目の下、移植に用いる造血幹細胞の適切な提供の推進に関する法律の第三十条では「厚生労働省令で定めるところにより、厚生労働大臣の許可を受けなければならない」とされています。
 許可の基準としましては、第三十一条にありますように、「営利を目的としてその事業を行おうとする者でないこと」「業務の方法が次条の基準に適合していること」「事業を公平かつ適正に行わないおそれがないこと」などが挙げられています。
 おめくりいただきまして、2ページ目の上「品質の確保に関する基準の遵守」といたしまして、第三十二条では「移植に用いる臍帯血の安全性その他の品質確保のために必要なものとして厚生労働省令で定める基準を遵守しなければならない」とされています。
 また、「採取に当たっての説明及び同意」としましては、第三十三条に「移植に用いる臍帯血の使途、移植に用いる臍帯血の安全性の確保に関し協力すべき事項その他移植に用いる臍帯血の採取に関し必要な事項について適切な説明を行い、その同意を得なければならない」とされています。
 2ページ目の下「許可の基準の考え方」について、順次御説明いたします。
 非営利については、前回の骨髄バンクの場合と同様で、営利目的については、運営方針等を総合的に勘案して、実態を十分に審査した上で判断することとなります。
 3ページ「臍帯血の品質確保」についてです。
 移植に用いる臍帯血は、採取後、調製保存などの過程を経て供給されるものであり、品質の確保が図られることが重要です。
 これまでは、3ページ目の下にありますように、臍帯血移植検討会の作業部会で検討された「瞬帯血移植実施のための技術指針」を日本さい帯血バンクネットワークが改訂を行ってきました。
 今回新たな基準(案)を作成するに当たり、別途、健康局長のもとに移植用臍帯血基準検討会を設けて、専門家の方々に御検討いただきましたので、詳細につきましては、後ほど座長の神田先生より御説明いただきます。
 4ページ目は「公平かつ適正な実施」についてです。
 これについても骨髄バンクの場合と基本的な考え方は同様です。
 非血縁者間での移植をあっせんするものであることから、あっせん事業者は、ドナー、患者、採取移植医療機関から中立公平な立場で事業を行われなければならないと考えられます。
 簡単ですが、以上です。
○小澤委員長 ありがとうございました。
 今の事務局の説明内容につきましては、前回の委員会で説明のありました骨髄・末梢血あっせん事業の許可基準とほぼ同様の考え方に基づいたものでありますので、委員の皆様からしても大きな異論はないものと思います。いかがでしょうか。よろしいでしょうか。
(「はい」と声あり)
○小澤委員長 続いて、神田先生から移植用臍帯血基準(案)について御報告をいただきたいと思います。
 よろしくお願いいたします。
○神田参考人 よろしくお願いします。自治医大さいたま医療センターの神田と申します。
 これまで臍帯血基準の検討会のほうでは、2回の会議の開催に加えてメーリングリスト等で熱く議論を交わしておりました。
 おおよその基準(案)というものを策定いたしましたので、それについて御紹介させていただきたいと思います。
 まず、資料2-2をごらんください。こちらに基本的な考え方をまとめてあります。
 基本的な検討の方向性ということになりますけれども、まず現状から大きくがらっと変えるようなことは考えておりません。現在の日本さい帯血バンクネットワークが制定している技術指針及び各種基準書の内容を基本として、そこからいろいろと考えてきたものであります。
 例えば血液事業等関連する他の制度の基準との整合性について考慮したこと。
 国際的なことを考えていかなくてはなりませんので、国際的な品質基準に関しても考慮して検討を加えてまいりました。
 「2.具体的な検討事項について」ということです。
 留意した点としましては、効果的な治療のための品質表示の統一ということで、例えば個人にどのような情報をつけるか、そういったことに関しても、国際基準に準じた内容にしております。
 安全性と最近問題になりますトレーサビリティの確保についても情報管理をしっかりとしていきたいということで、すぐには難しい部分もあるのですけれども、今後、ISBT128に定義された符号をつけて識別できるようにしていくことが望ましいという表現にしようかと考えております。
 個別の手技などに関しましては、各さい帯血バンクの標準作業手順書、SOPがあると思いますので、そちらをしっかりと規定していこうということであります。
 「3.今後の検討について」は、今回の案に関しては当面の基準というふうに考えております。今回のものが当面の基準ですけれども、今後も検討会で検討を深めて、9月までには将来の基準に関しましても方向性を検討いたしまして、造血幹細胞移植委員会に報告を行うこととしたいと考えております。
 ここまでが基本哲学といいますか、全体の方向性ということになります。
 続きまして、もう少し細かく御説明させていただきたいと思います。
 細かな基準(案)は、資料2-5に詳しく書かれておりますが、こちらのほうは細かな技術的なことも書かれておりますので、概要として重要なポイントを資料2-3に沿って説明させていただきたいと思います。
 まず最初の「採取について」というところです。
 こちらも基本的に現在の取り扱いから大きな変更はしておりません。
 1ページの2つ目「(臍帯血の採取を行う者)」です。これを医師に限定するかどうかというところもあったのですけれども、現状に即しまして「医師または適切な教育訓練を受けた者が行う」としております。
 4つ目「(臍帯血提供者の保護)」です。臍帯血の提供者の保護の観点から「母体及び新生児への影響があると判断される場合には、採取は行わない」。これは当然のことでありますけれども、そういうふうに書かせていただいております。
 その次の「(臍帯血の安全性の確認)」ということになります。これはまた安全性を確保する観点から「臍帯血提供者の感染症や遺伝性疾患が疑われる場合には、臍帯血の採取を行わないこと」ということになります。
 それを具体的にどうやっていくかということですけれども、基本は問診になります。問診をした上で、感染症、遺伝性疾患の有無の判断基準は、献血の扱いに準じるというようにしておりますが、さらに臍帯血を提供していただいたお子さん、赤ちゃんがその後どうなっているかということの健康調査方法については、「(臍帯血の安全性の確認)」の一番下の「(※)生後4ヶ月以降の健康状態を健康調査により確認した上で、生後9ヶ月以降に臍帯血の公開を行う」としております。現状は生後6カ月以降の時点の健康状態を調査するとなっておりますけれども、実際には生後三、四カ月時点での健診結果、検査がもとになっていることが多いので、その実態を踏まえて、かつ安全性を確保する観点から、「4ヶ月の健康状態で、9ヶ月で公開」という案にさせていただきました。
 続きまして、一番下「採取に当たっての説明・同意について」というところであります。
 説明・同意の取得を誰が行うかというところも議論に挙がったのですけれども、全てを医師が行うということは現実的ではないというところもありまして、「医師または適切な教育訓練を受けた者が行い、妊婦に対し、書面による説明を行った上で、同意書を取得する」とさせていただいております。
 続きまして、ページを繰っていただきまして、「調製保存について」というところに進みます。
 「調製保存について」の一番上「(体制の確保について)」というところです。これは変更がかかるわけですが、薬事法に照らし合わせたものであります。薬事法を参考としますと、管理者を置いた上で、その監督のもとに調製保存部門と品質管理部門を設けて、これらを独立したものとしてチェック体制を整備すべきであろうということにしたいと思います。これは薬事法との絡みであります。
 また、管理者、責任者に関してはどういった者がなれるかということについて、資格要件というものがその下のところに書かれております。
 一番下「(調製保存の方法)」というところであります。
 こちらのほうで1つ大きく変わった点は、「(3)採取から凍結開始までの時間が36時間を超えないことが見込まれる」としております。
 これは、これまでは「24時間」という基準になっておりましたけれども、国際基準では「48時間」とされております。それからまた、バンクの統廃合等に伴いまして、広いエリアの広域搬送が今後さらに増える可能性もあります。そんな中で無駄が出ないようにするために、今の「24時間」という基準ではかなり厳しいというところもありました。
 そして、実際に24時間から36時間に延長しても問題がないかということに関しては、細胞の回収率、実際に実験を行いまして生細胞率を比較しておりましたところ、移植に影響が出るほどの差は全くなかったというデータがありますので、これに基づいて、国際基準では「48時間」となっていますけれども、今回は「36時間」と少し安全目の延長を考えております。
 その下の(4)有核細胞数の基準11.4×10^8というのは、ちょっと中途半端に思われるかもしれませんけれども、そういう基準にさせていただきました。
 この数字の根拠となっておりますのは、最終的に調製を行った後で10億個の細胞が欲しいということからの基準であります。実際には調製での回収率が8割程度と想定されますので、12.5×10^8になるわけですが、大体±10%ぐらいの幅を設けまして、無駄がないようにするラインとして「11.4×10^8」というラインを設定させていただきました。これも現在のラインよりも少し高いラインになることになります。
 3ページ目の上、凍結の方法です。凍結に関しては、先ほどのトレーサビリティというポイントもありましたけれども、温度変化の記録が記録として残るべきだろうということから、「プログラムフリーザーの使用が望ましい」と書かせていただいております。ただ、現実にはプログラムフリーザーが2台以上あるところというのは普通ありませんので、2つの臍帯血が同時に届いた場合に、両方にプログラムフリーザーを使うということはできません。ですので、ここは「望ましい」という記載になっております。
 「やむをえない事情がある場合には、簡易凍結法によることも差し支えない」ということです。
 その2つ下「検査用検体の保存」というところであります。
 こちらに関しても、安全性について、出庫前検査、遡及調査を行うことができるように、「臍帯血、臍帯血を提供した妊産婦の末梢血、臍帯血移植を受けた者の末梢血の検体を保存しなければならない」ということにしております。
 臍帯血細胞については、セグメントを4つ以上保存するということにさせていただきました。
 これまでは3本以上ということになっていたのですけれども、現状においてさまざまな調査が行われているところを見てみますと、確実に遡及調査ができるようにするためには、4本あるほうが安全であろうという考えであります。
 その2つ下「(手順からの逸脱への対応)」、及びその下の「(有害事象への対応)」というところであります。
 手順からの逸脱や有害事象に関しましては、各さい帯血バンクでインシデント事例等について共有し、対応を検討する体制を構築していく必要があると思います。
 ということで、造血幹細胞提供支援機関を設けまして、そちらに対する報告、及び国に対する報告を義務づけるというようにしたいと思っております。
 さらにページを繰っていただきまして、「臍帯血の供給について」のところに進めさせていただきたいと思います。
 臍帯血をさい帯血バンクから出庫する場合には、いろんな情報を添付するわけですけれども、その項目についても統一して、かつ国際基準に準じたものにするように考えております。
 また、実際に臍帯血が移植施設に搬送される際、その間の温度がしっかりと安全な温度に保たれていたかということを確認するために、輸送中の温度を監視し、その搬送記録を保存するということにいたしました。
 その下の「臍帯血供給事業者における情報の管理」というところであります。
 やはりインシデントというものがある程度の確率で発生する可能性がありますので、そういったものが発生した場合に、一体どの時点に問題があったかということを検証する必要があります。
 ということで、情報管理に関しても国際基準を勘案して基準を定めさせていただきました。
 将来的には国際的な規格であるISBT128に定義された適切な符号をつけて識別できるようにしたいと考えておりますけれども、これもすぐにパーフェクトにできることではありませんので、今回「望ましい」という記載にしております。
 「取り扱う臍帯血について、採取から出庫までの同一の識別コードにより一元的に管理できる体制を構築するよう努める」という記載をとっております。
 その下の「他の事業者からの受入れ」に関しては、さい帯血バンク間での臍帯血の移管ということが今後想定されます。例えばあるさい帯血バンクが閉鎖になって、それを移すような場合に関して、受け入れる臍帯血にかかわるさまざまな記録、検体をあわせて受け入れるということにしました。
 大きな変更点に関しては以上になります。
 これまでの内容について、変更点は資料2-4にまとめられておりますので、また御参照いただけたらと思います。
 私からの説明は以上であります。
○小澤委員長 ありがとうございました。
 神田先生におかれましては、検討会で精力的に御議論いただき、このような案を取りまとめていただきまして、ありがとうございました。感謝申し上げます。
 それでは、事務局から説明がありました臍帯血供給事業の許可基準についてと、今、神田先生から御報告いただいた移植用臍帯血基準(案)につきまして、御質問があればお願いします。
 この場は、議論というよりは、検討会でいろいろまとめていただきましたので、それについて何か質問をいただきたいということでありますけれども、いかがでしょうか。浅野委員。
○浅野委員 今回は黙っていようかと思っていたのですけれども、1つは意見です。もう一つは、非常に細かい点なので無視されてもいいのです。
 まず一つは、今の基準(案)というものを見させてもらって、私が考えていたのは骨髄バンクでの事業との比較です。これは大分違うのです。
 ちょっと気になったのは、座長から、許可基準については、前回、骨髄バンクについてのあれで大体同じなのでということがちょっと気になるのです。大分違うのですね。
 だから、許可基準も当然大きく違ってきます。例えば臍帯血は保存できるのです。骨髄移植の場合は、基本的には保存でなくて、すぐ使う。保存できるということだと、臍帯血の場合には、売買とかほかに回すとかいうのは可能。骨髄移植の場合にはそれはできません。例えばそういうことでも大きく違うのです。
 だとすると、それをやる事業者の許可基準も違ってくるはずなのです。どこがどうとは言いません。
 だから、これは同じなのだということを協調しないで考えてもらったほうがいいのではないかというのが一つです。
 もう一つは、ちょっと細かい点なのですけれども、今、御説明になった2ページの一番下、有核細胞数11.4×10^8です。これはもともと大体10億個というのが一つの目安。だけど、10億個というのは意味のあるあれではありませんね。もちろん、意味があるのですが、10億というのは、わかりやすいから10億。
 逆に、今度はこの基準を決めるときに、11.4×10^8というふうにやると、「11.4」に何か意味があるのではないかと。つまり、10億個には意味がないというのとちょっと違う。
 だとすると、私だったらば、これは12億個と決めます。
 80%というのも、えいやっだと思うのですけれども、だとすれば、基準のところは丸い数字でやったほうが、私が言うように、「11.4」というのは何か意味があるのですかというふうに言われることはない。
 非常に細かいところですけれども、そんなことを感想として持ちました。
○神田参考人 ありがとうございます。
 まさにおっしゃるとおりで、まず10億個というラインは、保存されている臍帯血の中で実際に利用されているものがどれぐらいあるかという統計データをとりまして、10億個未満のものは利用確率が非常に低いというところから10億個というライン。これもおっしゃったように、9.8億でもなく、10.2億でもなく、切りのいい10億というラインを引いております。もともとヒストグラムを書いたときに10億がラインになっているわけですけれども、そういったところから11.4という数字、逆算してきた小数点以下までついた数字に違和感を持たれるのは、全くそのとおりであります。
 80%という数字にも、恐らく±10%以上の誤差がありますし、最終的なところで有効数字3桁をとるということにそれほど大きな意味はないのかもしれません。
○小澤委員長 事務局、どうぞ。
○西脇室長補佐 臍帯血バンクなどから伺っているところを追加で御説明しますけれども、10億個というのは、患者さんの体重を50キロとしまして、通常移植に用いられる2×10^7個というのから来ているものです。体重50キロで、体重当たり2×10^7というふうにしますと、ちょうど10億個というふうになりますので、それを一つの基準としているというふうに伺っております。
 「11.4」という数字は、先ほど神田座長のほうからも御説明がありましたように、10×10^8個を回収するために、8割というのは、大体8割回収される例が多いと臍帯血バンクから伺っていることから、8割というふうに計算すると、12.5×10^8というふうになるわけですが、誤差として±10%というふうにしますと、その下限が11.4となるということです。
 12億個にしたほうがいいのではないかという意見もあったのですけれども、そうすると、実際は調製した後に10億個得られたものに関しても捨ててしてしまうことになるということで、そこは下限に近いようにしたほうがいいのではないかということで、「11.4」という数にしております。
 以上です。
○浅野委員 では、11億にすればいいではないですか。そうすると、捨てるやつが少なくなる。
○西脇室長補佐 ですけれども、先ほど申しましたように、10億個ということを考えて、11億から11.4億のものに関しては、10%というのを超えるということを考えると、無駄になる量が多いということなので、そこは数学的に計算した数というふうになっております。
○浅野委員 だから、11.4でなくて、11億と使えばいいのではないの。0.4がちょっと気になるのですよ。
○西脇室長補佐 それは10×10^8、単位として億というふうになっているからではないかなというふうにこちらでは判断しております。
○浅野委員 神田さんが後から説明になったことで納得したのです。だって、10億個に意味があるわけではなくて、10.2億でもいいし、11.8億でもいいのでしょう。捨てるのは余り多くないほうがいいとすれば、これは11億にしたほうがいいのではないですか。
 大議論をするつもりはありません。
○小澤委員長 この辺はそれほどサイエンティフィックな意味合いのあるところではなくて、どういう体裁をとるかというような話でありますけれども、こういう文言について微調整する必要があるかどうかは、また検討会のほうにお任せしたいと思いますが、よろしいでしょうか。
○浅野委員 はい。元役人はそういう体裁が意外と気になるものですから。だって、こういうのをやると、11.4の根拠は何ですかと必ず言われるのです。そういうことです。
 余計なお世話だと思ってください。
○小澤委員長 そのほか、いかがですか。宮村委員。
○宮村委員 有害事象といいますか、インシデント、アクシデントに対する対応について、日本骨髄バンクに関しては医療委員会とかドナー委員会というのがあって、その日のうちに委員会ごとの対応をしているわけですけれども、そういうインシデント、アクシデントに対する対応についてはどこに書かれているのか。書かれていなかったら、入れたほうがいいのではないかなと思うのです。
○小澤委員長 これはいかがですか。
○神田参考人 今の概要の中で言いますと、資料2-3の3ページ目の下「有害事象への対応」というところで、「有害事象が臍帯血によるものと判明した場合には、直ちに移植を実施した医療機関や臍帯血の調製保存等に関わった機関、造血幹細胞提供支援機関及び国に報告しなければならない」というふうに定めております。
 対応の実際の細かな詳細については、今後、SOPで決めていくということで、まだ細かいところまでは決まっていないです。
○宮村委員 わかりました。
 もう一点です。今の細胞数のことですが、今でもいい臍帯血は1日か2日ですぐ誰かが選んでしまって、すぐなくなるようなぎりぎりの状態なのですが、上げることによってどのぐらい減るか。また、36時間に延ばすことによってどのぐらいふえるのか。
 もう一つは、この際、国際の48時間にしたら、いい施設からのものがもっとたくさん集まると思うのですが、48時間にしてはどうかという意見です。
○小澤委員長 いかがですか。
○神田参考人 まず2つ目のほうですけれども、一応、海外では48時間の安全性が確認されているのですが、国内の実験がまだ36時間までということで、今回、36時間にさせていただいたということと、搬送エリアが前よりも広がってきましたけれども、現状においては36時間で何とかなりそうだというところでこのラインにしたのですが、今後さらに統廃合が進みますと、おっしゃるとおり、48時間にしていくことも検討していかなくてはならないのかもしれません。
 10から11.4に上げることで何割ぐらいというのは、データがありますでしょうか。
○西脇室長補佐 事実上はほとんど影響がない。そういいますのは、先ほど浅野委員が言われたように、実際12億個で切っているバンクもあるのが実情でして、11.4億でやっているバンクが4バンク、12億でやっているバンクが3バンク、もう少し細かな規定を設けているバンクもあるというのが現状ですので、これは、どちらかというと事実上、バンクの内部でやられていたことを明示したという形になっております。
○小澤委員長 間室長。
○間臓器移植対策室長 先生の2点目の御質問に対して補足でございますけれども、いい臍帯血をより多く保存するという意味では、36時間に加えて、各バンクに土曜日もしくは日曜日、どちらか開業していただくということを促していきたいと思っています。そのように努力されているバンクもございます。これと36時間とを組み合わせますと、これまで土・日、あるいは金曜日の夜から採取された臍帯血、場合によっては廃棄せざるを得なかったものが、相当程度生かすことができるだろうと思っておりまして、これによって非常に細胞数の多い臍帯血をとっていただける、そういう技術のある採取病院からの受け入れがもっとふえるのではないかということを期待しています。
 ただ、これがどれぐらいふえるか、2日分ふえるのか、丸々ふえるのかどうかということについては、数をまた調べていきたいと思っています。いずれにしても、プラスに働くだろうと思っております。
○小澤委員長 よろしいですか。
○宮村委員 ありがとうございます。
 我々臨床の場では本当にいい臍帯血があっという間になくなるし、毎日見ていて、1日ちょっとほっておくとなくなるということは現実的によくあります。むしろこれから臍帯血がふえる中で、バンクがだんだん減ってきている状況の中でいいものを集めていくためにいろいろ考えていただいているので、ぜひ引き続きよろしくお願いします。
○小澤委員長 山口委員。
○山口委員 基準を制定されるときに海外との調和を考えられたというお話だったと思うのです。
 例えばヨーロッパ医薬品庁が臍帯血を承認したようなものもあると思いますし、アメリカのFDAだとGood Tissue Practiceという基準をつくっていると思うのです。それは臍帯血でなくて、細胞製品全体のやつだと思うのですけれども、そういうものについての調和というのはどの程度されているのか、ちょっと教えていただければと思います。
○小澤委員長 事務局からですか。
○西脇室長補佐 今回、こちらのほうではアメリカのFACTとEUROCORD、NETCORDから出されているガイドラインを参考として、検討会では各委員の先生方に御参照いただいた中で、1つは日本に合う形のものは積極的に取り入れる。ただ、日本独自の理由ということもありますので、それに関しては無理をして合わせるようなことは今回していません。伺っているところによりますと、国際基準に関しても、これで絶対ということではなくて、各国の調和を図っている段階というふうに伺っておりますので、それに関しても、絶対的な流れには乗るという形ですけれども、日本独自のものがあってもいいのではないかという形で検討しております。
○山口委員 例えばFDAなどだと、検査の方法なども規定するということをされておりますので、その辺がどういうふうになっているのかというか、今後どういうふうにされていくのかという点でちょっと質問したかったというのが意図です。
 あと、資料2-3の1ページ目の安全性のところで、感染症や遺伝性疾患が疑われる場合、できるだけそういうものを排除するというか、臍帯血の適格性の評価だと思うのですけれども、二親等、三親等までの家族歴の聴取というのは、最近の家族構成、いろいろ複雑化している中で、これが必ずしも適用できないような条件があるのではないかなと思う。その辺は、現状、本当にここまで必要なのか。多分血液製剤のほうだとそこまでは聞いていないと思うので、臍帯血のみがここまで聞く理由というか、その辺はちょっと明確にしたほうがいいのかなと思う。その辺を今、どういうふうに考えておられるのか。
○西脇室長補佐 これに関しては議論に挙がって、もう少し緩和してはどうかという話が出たのですが、国際基準のほうでもこういう扱いになっているということですので、当面はこれに合わせる。これは今、さい帯血バンクでやっているものに準じた形にもなっているということで、このような記載としております。
○小澤委員長 間室長。
○間臓器移植対策室長 先生の最初の御質問に対して若干補足いたします。
 NETCORD、EUROCORD、あるいはFACTなどもまさに今、議論している。日本もそういった議論に参画して、そういう国際スタンダードへの日本の基準の一定の反映というのもこれから考えなければいけないと思います。
 ところが、これまではそうやって議論するときの国としての土台、基準がなかったものですから、これによってようやく議論する土台が整っていくということだろうと思っています。これからそういったものに取り組んでまいりたいと思います。
○小澤委員長 野村委員。
○野村委員 宮村先生の御質問に関連して質問ですけれども、資料3の2ページ、もともとの臍帯血をとられた後に目視等の初期チェックで約68%が廃棄されているという数字のことです。今回基準を整えることによって、素人からいくと、目視の初期チェックで68%というのは非常に多いような気がしているのですが、これは、そういった基準を整えることによっても科学的に避けられないパーセンテージなのか、先ほど宮村先生が質問されたような24時間と36時間の関係でふやせるということ以外に、そのほかを整備することによって68%というのがもうちょっと上げられるのは、ほかのどのようなところで期待できるのかとか、その辺をちょっと教えてもらいたいのです。
○小澤委員長 間室長。
○間臓器移植対策室長 次のセクションで御説明する資料の関係について御質問がありましたけれども、御指摘のように、現状、さい帯血バンクが採取病院から受け入れた臍帯血のうち68%が残念ながら廃棄に至っているということですが、これについては、今回の基準によって廃棄がふえる要素も一方でありますが、逆に言うと、例えば細胞数が少ないとか、採取の仕方の技術の向上によってそれがもっと提供につながるという可能性も秘めております。
 この基準では厳しくなるほうになりますが、別途予算事業として採取病院の技術レベルを上げるような検討会、つまり、上手に臍帯血をとられているところのやり方をほかの病院にも御紹介する、そういった形でより高品質な臍帯血、つまり、廃棄しなくてもいいような臍帯血をとれるような支援も行っていきたいと思っております。そういう合わせ技で全体として品質を高めるということを目指したいと思っています。
○小澤委員長 張替委員。
○張替委員 宮村先生の御質問の追加ですけれども、今、宮城は遠隔搬送をしているのですが、どうしても採取時間が短くてモチベーションが上がらないのです。36時間だと、凍結までの時間なので、フルカバーするにはまだ足りなくて、今回とりあえず36時間にしても、いずれ48時間というのは少し考えていただいたほうがいいかなと思います。
 インシデントに関して、宮城でやっていたときも、インシデントのレベルをどこで決めて、どのようなルートで報告すべきかというのは非常に困ったので、手順書を決めるときにその辺もよく御検討いただいて決めていただければと思います。
○小澤委員長 そういう方向でよろしいですか。将来的にもう少し延長ということもまた検討課題になるのですね。
○神田参考人 将来的には検討課題に入ってくるべきものだと思います。
○小澤委員長 そのほか、よろしいですか。
 細かい話ですけれども、プログラムフリーザーを使うときは、1つの検体で時間がどのくらいかかるのでしたか。
○西脇室長補佐 プログラムフリーザーを使う時間は、大体1時間というふうになっています。
○小澤委員長 そうすると、同時に全部一緒にやらなくてはいけないということもないので、あえて簡易凍結法でもよいとすることもないような気はします。
○西脇室長補佐 複数、2個とは言わず、3個同時に調製するということもあるというふうにバンクのほうから言われておりますので、絶対と言われると、調製してしまったものを廃棄しないといけなくなってしまうということなので、100%ということは言い過ぎなのではないかという意見が出たので、このような書き方にしております。なので、使っていただくということが基本ということは確認しております。
○小澤委員長 わかりました。36時間あれば、順繰りにやっても十分こなせるかなという感じもしました。
 岡本委員。
○岡本委員 先ほどの有害事象のところですけれども、基本的にはSEARやSPEARというグローバルスタンダードがあります。ただ、欧米と比較して、日本では入院の閾値が大分違いますので、グローバルスタンダードにちゃんと応えられるようなレポートの方法に加えて、日本の中でもちゃんとAEを客観的に登録できるような体制をつくることが必要かと思います。
 有害事象も、実際に体内に入ってからの問題と、プロダクトの破損とか、そういったプロダクトに関するアドバンスイベントというのもありますので、そういったものを加味したものをぜひSOPの中につくっていただければと思います。
○小澤委員長 よろしくお願いします。
 梅田委員。
○梅田委員 次のテーマに行く前に1点だけ確認なのですが、御説明がなかった資料2-6のところです。表でインシデントについて御説明いただいているのですけれども、この中で、真ん中あたり(平成22年)のところで「臍帯血バンクでの転記誤り」というのが4件ぐらい続いていて、対策として「データの再確認を行う」ということで対応がとられています。しかし、平成25年にも同じように転記間違いというのが出ています。再発防止対策として例えばダブルチェックですとか、チェックリストによる確認ですとか、何かシステム的な対応がとられているのかなという質問です。
○小澤委員長 事務局からお願いできますか。室長。
○間臓器移植対策室長 今、梅田委員から御指摘がありましたように、資料2-6の真ん中辺にあるものにつきましては、臍帯血の基本的な情報が誤っていたということが、出庫前の検査で出庫する前にわかったということでございます。
 こういったことで、各バンクについては対応をとるということになっているわけでありますけれども、例えば各バンク間で情報共有をして、同じように対岸の火事ではないということでやったかどうかというところの徹底が十分だったかどうかということは問われると思います。
 その意味で、今回の基準の中で、インシデントにつきましても支援機関への報告を義務づけ、そして支援機関の中にその関係の委員会をつくってもらいますので、その中で各バンクにちゃんとフィードバックしていくということで徹底をしていきたい。そこのところは最終的に国の監査などでも担保していくということを考えております。
○梅田委員 ありがとうございました。
○小澤委員長 そのほか、よろしいでしょうか。
 それでは、議題(1)に関しましては、このあたりとさせていただきます。
 移植用臍帯血基準検討会では、引き続き将来に向けた方向性や検討項目についての議論を深めていただくよう、よろしくお願いいたします。
 神田先生、本日はありがとうございました。
 次に、「議題(2)研究目的での臍帯血の利用・提供基準について」に参ります。
 まず、資料について事務局より説明をお願いします。
○吉田室長補佐 それでは、お手元の資料3に沿って御説明申し上げます。
 まず、1ページ目の下半分に関係の法律の規定を記載してございます。法律の三十五条におきまして、臍帯血供給事業者、いわゆるさい帯血バンクを考えていただければと思いますけれども、厚生労働省令で定める基準に従い、臍帯血供給業務の遂行に支障のない範囲内で臍帯血を研究のために利用、または提供できるとされております。
 さい帯血バンクの本業は、あくまで造血幹細胞移植に用いる臍帯血を供給することとなりますので、その本業に支障が生じない形でどういった基準を設けるのか、検討が必要であろうということでございます。
 その下に「臍帯血を利用した研究を取り巻く環境」について書いてございまして、臍帯血につきましては良質な研究素材として期待されておりますけれども、その一方で、さい帯血バンクでは移植に用いられることなく廃棄されている臍帯血が存在しております。
 また、従来から一定の範囲内の研究利用につきまして提供者から同意をいただいておりますので、研究利用に提供するということにつきましては、提供者の御意思にもかなうものではないかというふうに考えてございます。
 おめくりいただきまして、2ページ目、3ページ目の関係でございます。
 前々回の委員会で造血幹細胞移植の研究の促進について御議論いただきました際にお示しした資料でございますけれども、これを用いまして臍帯血の研究利用の現状についての概略を御説明させていただきます。
 2ページ目の上半分のスライド、先ほど野村委員からもお話がございましたが、さい帯血バンクから受け入れた臍帯血の利用の現状について、お示ししたものでございます。
 さい帯血バンクで受け入れた約1万3,000個のうち、最終的に移植用の公開に至るのは約3,000個、2割程度となっております。
 残りを見てみますと、約7割程度は初期チェックで廃棄に至りまして、その次、調製・保存を行う過程で細胞数不足などで公開に至らなかったものが約1割程度ございまして、それとあわせて、公開から10年程度経過したものなどが公開以外の保存ということで、こちらが移植の研究などに提供されているというような現状がございます。
 その下の半分は臍帯血の種類を分類したものでございます。
 上からA1といいますのは、移植用に公開されているものでございます。
 A2につきましては、安全性についてはA1と同等のものでございますけれども、細胞数不足や、保存から10年が経過したことなどにより移植用には公開されていないというものでございます。
 Bというのは、衛生管理上の問題などがあり、安全性が確保されていないということで公開されていないものでございます。
 少し飛びまして、3ページ目の下半分のところでございます。
 これは昨年7月の本委員会で御議論いただいた内容を記載したものでございまして、ヒトに移植・投与する臨床研究を念頭に置いたiPS細胞を樹立する研究に臍帯血を供給する場合には、移植のための臍帯血に準じた安全性が確保されている、いわゆるA2のものを提供すべきであろうということで、暫定的な合意をいただいているところでございます。
 おめくりいただきまして、4ページ目でございます。
 ただいま御説明いたしました現状を踏まえつつ、研究目的で臍帯血の利用・提供の基準をどのように考えるかという論点につきまして、上半分で流れのイメージの図とそれぞれの場面における論点を書いてございます。
 それらを整理したものを下半分のほうに列挙してございます。
 下半分のほうで御説明いたしますけれども、論点といたしましては大きく8点あろうかと考えております。
 (1)から(5)につきましては、(1)どのような研究に、(2)どういった臍帯血を、(3)どれくらいの数量、(4)誰に対して、(5)幾らで提供するのかということが1つ論点になろうかと思います。
 また、(6)から(8)につきましては、提供に当たっての手続面の関係でございます。(6)につきましては、臍帯血提供者の同意の取得をどうするか。(7)提供に当たっての個人情報の扱いをどうするか。(8)実際に提供する場合の審査手続をどのようにするか。こういった論点があろうかと考えております。
 5ページのほうにお進みいただきまして、まず上半分のほうです。
 ただいま申し上げました論点の(1)どのような研究に提供するかということについて書いてございます。
 臍帯血につきましては、基本的には造血幹細胞移植のために提供いただいているものでございますので、研究といいましても、制限なく何にでもということではないのではないかと考えてございますけれども、そういった中で、「○造血幹細胞移植の有効性・安全性の向上のための研究であること」「○疾病の新たな予防法又は治療法の開発を目的とする研究であること」を条件としてはどうかと考えてございます。
 その下に※で書いてございますけれども、その他、行政上の要請が高い研究、これは何らかの疫学的な研究などがあり得るのではないかといった将来的なものを想定いたしまして、そういったものへの提供も認められるというような形にしてはどうかと考えてございます。
 下半分のスライドで、そういった目的の上で、さらにどういった研究の類型があり得るだろうかということで、アからウのような分類を考えてございまして、これは後ほどまた御説明させていただきますが、この研究の類型に応じてどういった臍帯血を提供するのかということを考えていただくのがよいのではないかと考えております。
 まず、(ア)臨床研究は、ヒトに投与することを念頭に置いた研究であると考えていただければと思いますけれども、このうち、さらに2つの性質のものに分けることができるのではないかと考えてございます。
 (a)と(b)と分けてございますが、(a)につきましては、移植に用いる場合と同程度の細胞数が必要なもの。これは新たな移植適応となる可能性のある疾病の治療などに行う研究が考えられるところでございます。
 また、(b)といたしましては、必ずしも移植に用いる場合と同程度の細胞数を要しないものということで、これは先ほど御紹介したような臍帯血を利用してのiPS細胞ストックの樹立といったようなものが考えられるところでございます。
 (イ)として非臨床研究ということで、これは基礎研究を想定していただければと思います。
 また、バンクが保存している臍帯血のバッグ全体を提供することを念頭に置いた(ア)と(イ)につきましては、臍帯血を全て研究用に出すということを念頭に置いておりますけれども、これとは少し切り口が異なるのですが、(ウ)につきましては、バンクが保存している臍帯血の検体、いわゆる移植用に出庫した臍帯血に何か問題があった場合などに調査ができるように保存されているものでございますが、これを利用しなければ実施できない研究というものがあるであろうと考えております。
 例えば造血幹細胞移植の成績の評価を目的とする観察研究。もう少し具体的に申し上げれば、移植成績に対してHLAがどのような影響を与えていたのかというものを後で調べるような研究があるのではないかと考えてございます。
 おめくりいただきまして、6ページ目でございます。
 提供する臍帯血の種類や品質、数量についての関係の資料でございます。
 上半分は、先ほどさい帯血バンクに保存されている臍帯血の種類について、A1、A2、Bといった区分の御説明をいたしましたが、改めて整理を試みたものでございます。
 少し繰り返しになりますけれども、色が塗られておりますA1につきましては、移植用に公開しているもの。
 A2につきましては、安全性は確認されているが、細胞数不足や期間の経過により公開していないもの。
 Bにつきましては、安全性が確認されておらず、公開されていないものという形になります。
 こういった中で、どういった臍帯血を研究目的に提供することを可能としてもよいかということを考えましたときに、公開されているA1につきましても、その中でA1とA1’と分けてございますけれども、公開期間が5年というところで1つの区分けが可能ではないかと考えております。
 それと申しますのも、造血幹細胞移植に用いられている臍帯血の状況を調べてみましたところ、1年間で移植に用いられている臍帯血を見たときに、9割は採取・公開から5年以内のものが占めているという状況でございました。つまり、基本的には移植ニーズが高い臍帯血については、先ほど宮村委員からもお話がございましたけれども、公開からすぐに使われてしまうという状況があるということでございまして、逆に申し上げますと、公開から5年を超えたものについては、造血幹細胞移植へのニーズは必ずしも高くないというような状況にあるのではないかと考えてございます。
 そのため、公開から5年以内のA1というものにつきましては、まさに造血幹細胞移植のためのコアとなる部分として、守るべきものとして研究には提供しないということを原則とした上で、現状、毎年相当程度新たに臍帯血の供給をいただいておりますので、そういった現状を鑑みれば、A1’については研究に提供してもよいのではないかと考えてございます。
 こうしたことを踏まえまして、6ページの下半分、研究目的で提供する場合の臍帯血の種類・品質、数量につきまして、先ほど御説明した研究の類型に合わせて考え方をまとめてございます。
 まず、(ア)の(a)として、移植に用いる場合と同程度の細胞数を要する臨床研究に提供する場合についてでございます。これはヒトに投与するわけでございますので、移植に用いるものと同程度の安全性、細胞数のものを提供する必要があると考えており、A1’を提供することとしてはどうかと考えております。
 ただし、※に書いてございますけれども、どうしてもA1’では適合するHLAが見つからないといった場合に限りましてA1の提供も可能としてはどうかと考えております。
 また、提供できる数量につきましては、基本的にはさい帯血バンクは造血幹細胞移植のために臍帯血を供給することが本業であるということも勘案いたしまして、研究への提供数は前年の造血幹細胞移植用の提供数を超えないということにしてはどうかと考えてございます。
 次に、(ア)(b)移植に用いる場合と同程度の細胞数が必要ではない臨床研究につきましては、ヒトに投与することが前提となりますので、当然安全性を担保する必要があるわけでございますけれども、細胞数につきましては、必ずしも移植に用いる場合と同程度は必要ないということになりますので、A2を提供するということにしてはどうかと考えております。
 ただし、こちらも※で書いてございますが、そういった中でもどうしても研究目的の達成のために必要なHLAがA2では見つからないといった場合には、A1’の提供を可能としてはどうかと考えてございます。
 (イ)非臨床研究につきましては、安全性や細胞数の担保は必ずしも必要ないと考えておりますので、A2またはBを提供するということとしてはどうかと考えております。
 (ア)(b)と(イ)の数量につきましては、A2とBについては造血幹細胞移植そのものへの影響がございませんので、数量の制限は必要ないのではないかと考えてございます。
 (ウ)保存検体の利用が不可欠な研究につきましては、先ほど申し上げたように、バンクが保存している臍帯血の検体を提供することになります。これは先ほどの議題の移植用臍帯血基準におきましても、保存用検体のうち臍帯血細胞については出庫前検査や遡及調査への対応をより万全なものとするために、現行、3本以上とされているものを4本以上とするというふうにされておりますけれども、遡及調査などに対応するためのものを確保した上であれば研究用に提供できるという形にしてはどうかと考えております。
 続きまして、7ページ目の上半分、提供を受けることが認められる主体ということでございます。
 ○のところに下線が引いてございますが、「原則として自ら倫理審査委員会を設置する医療機関・研究機関に対し、一定の手続きを経て、広く提供すること」というふうに考えてはどうかと思っております。
 下のほうに<参考>として書いてございますけれども、現在でも文部科学省主導で進められているナショナルバイオリソースプロジェクトの一環といたしまして、臍帯血を理化学研究所バイオリソースセンターを通じて、企業等も含めた産学の研究者に提供するという取り組みも行われているところでございます。そういった意味でも広く提供していくということはいいのではないかと考えてございます。
 続きまして、下半分のところで手数料の関係について書いてございます。
 ○の1つ目と2つ目のところの関係で、基本的には原価相当程度を上限として手数料を徴収することができるということにしまして、その上で、その額については厚生労働大臣にあらかじめ届け出を行っていただく。このような形にしたいと思っております。
 なお、手数料を原価相当程度ということと、現在、造血幹細胞移植を行った場合に、医療機関からさい帯血バンクのほうに手数料が実際に支払われておりますけれども、そういったものを勘案いたしますと、約40万円程度が1つの目安になってくるのではないかと考えております。
 おめくりいただきまして、8ページ目でございます。
 臍帯血提供者の同意についてということで、中ほどに少し小さなフォントで書いておりますが、法律上も臍帯血の採取に当たっては、使途について適切な説明を行い、同意を得なければならないとされておりますので、書面による説明を行った上で、同意書を取得しなければならないという形をとることを考えております。
 その下、同意書の様式についてということでございまして、資料3の後に「資料3別添」というものを御用意しておりますが、そちらをごらんいただけますでしょうか。
 資料が8枚ついてございますけれども、最後の1枚のところで「さい帯血提供の同意書」を添付しております。
 まず、ごらんいただきたいのは2番のところでございまして、提供いただいた臍帯血につきましては、造血幹細胞移植のほか、造血幹細胞移植に関する法律の規定に従って、臨床研究も含めまして研究に使用される場合があることを明記してございます。
 「また」以下で書いてございますけれども、後で少し御説明いたしますが、各種研究の実施に当たって適用される指針との関係で、研究内容について、研究を実施する方からその提供者の方への御説明を行う場合があることについても明記してございます。
 3番のところで、所有権の放棄のほか、研究成果に基づく知的財産権は研究者に帰属することについても明記してございます。
 こういった形で臍帯血の提供者の方から研究利用についての同意をきちんといただくということを担保したいと考えております。
 資料3のほうにお戻りいただきまして、8ページ目の下半分のほうをごらんいただけますでしょうか。
 提供に当たっての個人情報の取り扱いということでございます。下線を引いてございますが、臍帯血から臍帯血の提供者を特定できなくする匿名化の措置を講じた上で提供するということを原則といたしまして、臨床研究の場合には、必要な場合に個人を識別できるように対応表を残す連結可能な匿名化の形、非臨床研究の場合には、個人を識別できないように連結不可能な匿名化を行うこととしてはどうかと考えております。
 「ただし」以下に書いてございますけれども、研究の性質や内容によりましては、匿名化を行わずに提供することが求められる場合などもあり得るのではないかと考えられますので、個人情報保護法ですとか、関連する研究指針の規定に基づいて実施される場合には、例外的な取り扱いを行うということもあるであろうと考えてございます。
 なお、一番下の○、匿名化の措置を前提といたしまして、個人の特定につながらない形であれば、臍帯血のHLA情報などを提供することについても差し支えないだろうと考えております。
 9ページ目は「研究目的で利用・提供する場合の審査手続き」となります。
 上半分のところで基本的な考え方が書いてございますが、前提として、臍帯血の研究利用・提供につきましては、臍帯血供給事業者が設置する倫理審査委員会の審査を経た上で行うもの。
 さらに、○の2つ目に書いてございますけれども、研究を実施する者は、いわゆるヒト幹指針などの各種の研究指針に従って研究を実施するという考え方でどうかと考えております。
 下半分につきましては、手続の流れのイメージを記載しております。
 上のほうは臍帯血供給事業者、いわゆるバンク自身が内部で利用される場合ということで、みずから設置する倫理審査委員会の審査を経て利用することを考えております。
 下のほうは外部へ提供する場合ということでございまして、医療機関、研究機関から申請を臍帯血供給事業者が受けまして、倫理審査委員会での審査を経て提供する。
 さらに、右側のほうに吹き出しで書いてございますけれども、さい帯血バンクが研究用に提供した場合は、提供した臍帯血の数ですとか、提供した研究の内容につきまして、ホームページ等で情報公開を行うということにしてはどうかと考えております。
 また、吹き出しの下、提供を受けた研究機関は、研究の実施状況を臍帯血供給事業者、バンクのほうに毎年報告していただくとともに、論文等で実績を公表した場合にはバンクのほうへ情報提供をしていただくということにしていただきたいと思っております。
 おめくりいただきまして、10ページ目でございます。
 先ほど御説明したのが基本的な審査手続になるのですけれども、いわゆるヒト幹指針と言われる研究指針との関係も含めて想定される実際の手続を1つのモデルとして、参考にお示しするものでございます。
 京都大学のほうでのiPS細胞研究所の研究も、実際にこうした手続を経て実施される予定というふうに伺っております。
 上半分のほうで少し御説明いたします。
 ヒト幹指針につきましては、臍帯血も含めた体性幹細胞を用いる臨床研究に適用されることとなるのですけれども、ヒト幹指針と言われるものにおきましては、研究の実施に当たって、研究を実施する方が細胞の提供者に対して研究の目的や意義などを説明して、インフォームド・コンセントを受けなければならない。そのような形の要請を行っております。
 そのため、実際の提供までの流れにつきましては、上の図の「提供を希望する研究機関」から「臍帯血供給事業者」のほうに伸びている(1)申請という矢印から始まりますが、その後、(2)で事業者の倫理審査委員会の審査を経て、(3)でさい帯血バンクのほうから細胞の提供者のほうに連絡をとりまして研究の概要を説明した上で、提供者の連絡先を研究機関のほうにお伝えしてもいいかということを確認し、さらに(4)にあるように同意がとれれば、(5)バンクから研究機関のほうに連絡いたしまして、(6)研究機関が提供者のところへ研究計画の詳細を説明に伺い、同意がとれれば、その連絡を研究機関から事業者に行いまして、(9)臍帯血の提供に至るという形になっておりまして、大変慎重な手続がとられているという形になっております。
 説明が大変長くなりまして恐縮でございますけれども、以上でございます。
○小澤委員長 ありがとうございました。
 それでは、事務局の説明を踏まえまして質疑、議論をお願いしたいと思います。
 きょうは、吉村委員が途中で退席されるということですので、最初にお願いします。
○吉村委員 全体的な流れとしてはよくできていると思いますが、1点非常に気になりましたのは、提供者から同意を得るところでございます。これは恐らくES指針とか、そういったものにのっとってこういった厳しい基準が決められていると思うのです。
 例えば受精卵、ESに関しましては、その受精卵は、すなわち本人に使われるかもしれないということがあって、同意をとらなくてはいけないということが厳しく言われている。また受精卵は夫婦の子供になり得るという観点から、このような厳しい基準が設けられていると思うのです。
 ところが、臍帯血に関しましては、完全な妊婦さんの善意によるものでありまして、これを臨床応用していただきたい、あるいはまた研究に使っていただきたいというような御希望があり、自分に戻すということを全く想定しない上でさい帯血バンクというのはできていると理解をしております。
 一番最後の図の(7)と(6)というのは、非常にプラクティカルにすごく難しいのではないかなと思います。
 どうしてかと申しますと、妊婦さんはいろいろ動きますし、どこにお見えになるかわからないということ、分娩の後、フォローしているわけでもございません。そうなりますと、研究で使いたいといったときに、提供者が見つけられないということが多々あると思うのです。
 そういうことでありますと、この同意書を見させていただいたのですが、同意書の説明で包括同意のような形で研究を進めるというような方向性も考えていったほうがいいのではないか。要するに、もともとあるこういった幹細胞の指針、ES細胞の指針に必ずしものっとらなくても、こういった研究をしていただくということは大変意味のあるものではないかなと考えます。
 あとは、厳しい基準で大変よくできているというふうに認識しています。
○小澤委員長 新しい同意書に基づくものではなくて、従来ストックされているものについてはどういうふうに考えたらよろしいですか。
○吉村委員 従来も同じように考えていただいたほうがいい。これだと本当に同意をとれなくなってしまうことのほうが多いと思います。 ES細胞の場合には、必ず来ていただいて、必ずそういったステップを踏んでやっていったわけですけれども、臍帯血の場合に果たしてそういったことが可能かどうか。私は、ほとんど不可能なのではないかなと思います。
 確かにこういった同意をとっていくということは、極めて大事なステップですし、必要なことだとは思うのですが、現実的に難しいと思います。
○小澤委員長 一番重要なポイントかなと思いますけれども、研究を始めるに当たって新規に提供を受ける場合と、こういう既にバンキングされているものを利用するというのは事情が異なっていると思います。
 今村委員、何かございますか。
○今村委員 私も今、吉村委員がおっしゃったのと全く同意見です。非常に詳細に検討されたいい基準(案)だと思います。
 ただ、10ページの上のトライアングルのイメージ、三角形の上「臍帯血の提供者」のかかる部分というのは削っていいのではないかなと思います。提供を希望する研究機関と事業者の間でのやりとりということで済ますべきではないかなと思います。雑多な余り意味のないことをずっとやりとりするというような形になるのではないか。
 それに当たっては、8ページの個人情報の取り扱いの中で、連結可能、連結不可能な匿名化というものをきちっと守っていただくということが重要だろうと思います。
○小澤委員長 この問題について何か。武藤委員。
○武藤委員 このプラン全体としてはよく練られていて、細かくはまた別途御質問したいところもあるのですけれども、今の論点については、私は、一番最後のスライドにありますヒト幹細胞を用いる臨床研究に関する指針の改正の委員会の委員で、最近、実は改正が終わったばかりということなので、ちょっと責任を感じるとともに、委員会のほうではこちらの議論が十分なされなかったというか、ESのほうでほとんど時間がとられていて、さい帯血バンクにかかわるものについての議論をする時間がなかったので、言われてみて確かにびっくりというのが正直な感想です。
 20番目のスライドにありますけれども、本文の下線が引いてあるところの次の「ただし」から始まるところが重要なのです。「ただし、研究開始前に提供を受けたヒト受精胚を利用するヒト幹細胞臨床研究に基づいて樹立した既存のヒトES細胞を使用するものについては、新たなインフォームド・コンセントを受けることができない場合は、細則で規定する要件の下でこれを使用することができる」とあり、下に細則があるのですが、ここに例えば研究の目的と相当の関連性があると合理的に認められたり、情報公開されていたり、拒絶する意思はないと合理的に判断できるなど、客観的に本人の御同意を改めていただかなくても使用できるための条件が書かれていますので、これに準じる形にするという方向で何とかできないかということを拝読して思った次第です。
 それは、もしかすると、こちらの事務局とヒト幹委の事務局のほうで御調整いただくことになるのかもしれませんが、御検討いただければありがたいと思いました。
○小澤委員長 ヒト幹の指針は今後もまだ改正見直しはできるわけですね。
○武藤委員 今回の見直しのプロセスは一旦終わったことになっているのですけれども、ぎりぎり間に合うのかどうかというあたりは、事務局にお伺いしないとわからないところです。
○小澤委員長 室長。
○間臓器移植対策室長 御意見ありがとうございます。
 事実関係といたしまして、ヒト幹細胞を用いる臨床研究に関する指針の見直しに関する専門委員会は、既に議論が一わたり終わっておりまして、パブリックコメントまでもう終わっているということで、今回の手続の中で入れていくのは、正直なかなか難しいなというふうに聞いております。
 ただ、こちらの検討会で今、こうやって出てきたわけでありますので、この委員会での御議論をどう反映させるかというのは今後考えていきたいと思います。
 1つ考えられますのは、現在、国会に再生医療についてルール化するような新しい法律が提出をされております。まだ審議されて通ったという状況にはございませんが、それがもし通った場合には、その中でヒト幹指針が法律に基づくものに格上げになってまいりますので、そういった段階でまた議論することになるのだろうと思います。
 そういったタイミングも見計らいながら今回の御議論をちゃんと反映できるように努力をしたいと思います。
 もう一点、先ほど吉村委員から御指摘がありました連絡がつかないのではないかという点につきましては、そのおそれはもちろんございます。
 ただ、これは感覚の問題なのですけれども、バンクの方にお伺いすると、逆に言うと半分ぐらいは連絡がつくのではないかと。それはどういうことかといいますと、例えば里帰り出産をされていたような場合には、御実家を通じて連絡先を確認するということは可能かもしれない。
 ただ、そうではなくて、現在住んでおられるところの近くで出産された場合には、基本的に対象となる細胞は、10年以上経過したような細胞が中心になりますので、10年もたっていますと、子供さんも大きくなり、仕事の都合などで転居されている可能性が高いということで、里帰り出産でない場合についてはなかなか難しい面があるのかなと考えております。
 以上でございます。
○小澤委員長 この問題については何かほかにございますか。今村委員。
○今村委員 9ページの「審査手続き」のところです。
 「倫理審査委員会の審査を経た上で」というのは当然のことですけれども、この委員会の委員構成というのをちょっとお聞かせいただければと思うのです。
○小澤委員長 事務局からお願いできますか。室長。
○間臓器移植対策室長 委員構成については御提示できるような具体的な資料がございませんので、またお出ししたいと思うのですが、1つ申し上げられますのは、倫理委員会の構成に当たっては、全てのバンクにおきまして外部の委員を入れておられます。中だけで決めるわけではないということで、一定の適正さが保たれているのかなと考えております。
○今村委員 後ほど教えていただければと思いますが、今おっしゃったように、研究目的で善意のものを使用するというときには、やはり国民の目線で見て、そして評価に耐えられるものということが何より大事だと思いますので、よろしくお願いいたします。
○間臓器移植対策室長 次回の委員会にお出しできるように準備いたします。
○小澤委員長 関連して、臨床研究の場合には、臍帯血提供に係る倫理審査委員会と臨床研究そのものの審査、両方受けなくてはいけないと思うのですけれども、研究者サイドにとっては、二重の審査を受けるとかなり負担にはなりますが、うまく両者を連携させるような仕組みみたいなものは考えられるのでしょうか。
 室長。
○間臓器移植対策室長 9ページの下にございますように、提供を希望する医療機関・研究機関は、まずその研究を進めるに当たって研究機関内部の倫理審査委員会にお諮りするわけでございまして、その研究計画そのものを基本的に添付して、さい帯血バンクの倫理審査委員会にお諮りをするということでございますので、時間的なものは若干かかるかもしれませんが、事務的にはそれほどの御負担になるわけではないのではないかなと思っております。いずれにしても、資料を全部つくり直すということではないのではないかなと思っています。
 ただ、そのあたりについて過度な御負担になるようなことがないのかどうかというのは、また今後、研究機関のほうからもお話があれば、それも検討させていただきたいと思っております。
○小澤委員長 内容によりけりですけれども、国の審査が必要になるものもあるかなと思います。
 ほかに御意見ございますか。野村委員。
○野村委員 研究の進歩に水を差す気は全くないのですが、ただ、素人が考える不安としては、先ほど武藤先生がおっしゃったような、ヒト幹の下のところのただし書きで対応すれば、できることも多いのではないかなと思うのですけれども、再生医療の委員会でも議論になりましたが、今後どんな研究がという未知の世界の部分があるということ、この1点だけすごく不安があります。
 もちろん、研究に使ってほしいという善意のもとでお願いしているのですけれども、関連性が全くない研究がこれから本当に何も出てこないのかというのは、多分私がわからないだけなのかもしれないのですが、すごくわからない部分がある。全く無関係なことに使われるかもしれないというときに、最初の提供者がそれも全部オーケーなのかどうかというのはわからないという部分があって、それだけ1点心配をしています。
 三角形の(3)、(4)ぐらいは、あすにでも改善できるというか、最初の同意のところで、連絡先を教えるぐらいいいですねみたいな話のことはとっておけばいい話で、すぐ解決する話だと思うのですけれども、(6)、(7)が本当に難しいということであれば、もしかしたらこれが最初の目的と関連性が全くないような研究に使われるかもしれないという場合には、今はインターネットもありますし、昔ながらの裁判所の公示手続のような形で、異議があれば申し立てるような道というのも少しは残しておいたほうがいい。
 最初にとった善意の意図を酌み取って何でもオーケーというのは、素人から見て不安が残るという意見だけです。
○小澤委員長 坂巻委員。
○坂巻委員長代理 これを全てマストにしてしまっては研究がなかなか成り立たないし、非常に研究に対するブレーキになると思いますので、臍帯血提供についての説明の中に書かれている範囲の中で、ある意味包括的同意で十分いけるのではないかと思っております。
 今、野村委員からありましたような危惧については、全くないわけではないですが、当然そこには倫理審査委員会でのチェックが働くと思われますし、そういう場合には改めて提供者への同意ということが出てくればよいのではないのかなと思います。
 1つ問題なのは、これからちゃんととるものについては、ほとんど包括的なもので良いと思います。一方、既に保存してあるものについてどうすべきなのかというのだけは決めておく必要があると思います。
○小澤委員長 そのほか。辰井委員。
○辰井委員 私もこの同意の関係で、今のこのままですと、実際にとるのが大変だということもあるでしょうし、同時に提供者にとっても、提供したいと思っていても、一々問われるというのはかなり煩瑣だという感じがいたしますので、少なくとも近い将来には何とかしていただきたいと思います。
 そのときに、今、差し当たってはヒト幹のというお話になるのかもしれませんが、ただ、こちらのほうは、提供・研究目的が比較的それほど限定されておりませんので、関連性で判断するという枠組みを適用するのは少し難しい場合かなという感じがいたします。
 ですから、基本的には包括的な同意でいけると思いますが、ただ、どうしても再同意が必要だ、むしろ再同意をとらなければ先に進めないというようなタイプの研究が入ってくる場合も当然考えられると思いますので、先ほど坂巻先生からお話があったとおりですけれども、臍帯血供給事業者のほうの倫理審査委員会での審査の中で同意の必要性も判断するという形で、どうしても再同意が必要な場合はそこでとるという形がよろしいのかなと思いました。
○小澤委員長 ありがとうございました。
 ほかには。山口委員。
○山口委員 これから同意をとるやつについては、坂巻先生がおっしゃったように、そのときに包括的な同意をとっていけばいいのかなというふうな気がいたします。ですから、既に保管されている臍帯血をどうするかというのは、これから考えないといけないと思うのです。
 もう一点、対象は臨床研究と基礎研究と2つになっているのですけれども、京大のiPSの細胞などは、HLAホモの細胞を集めてバンク化して、それは将来、治療というもの、さらに行けば薬事法で規制するようなところにも使いたいという思いもあると思うのです。そこまで行くと臨床研究という枠組みの中には収まりきらないと思います。要するに、臨床研究だけで済まない、業としての使用についても同意が必要ではないかなという気がいたします。
○小澤委員長 宮村委員。
○宮村委員 私も今の点のことを確認したいのですが、とりあえず今の時点では2ページにあるライフサイエンス分野の研究として理化学研究所等が挙がっていますが、公的な研究機関に限るのでしょうか。
 2ページの上のほうのカラムに、ライフサイエンス分野の研究に使用するように矢印がありますけれども、これは供給する相手、申請者というものの定義はどうなっているか。
○小澤委員長 室長。
○間臓器移植対策室長 幾つかの御意見にお答えしていきたいと思います。
 まず、宮村委員の御質問ですが、2ページの上の図は現状をあらわしたものでございまして、ライフサイエンス分野の研究というものにつきましては、実は通常の臍帯血採取の際の同意書とは別に、理化学研究所作成の別途の同意書、再生医療の、しかも非臨床の目的で使いますというような別途の同意書をいただいておりまして、その同意書に基づいて出す先は理化学研究所バイオリソースセンターのみということになっています。
 今回の新しい同意書に基づいたものは、それがいわば融合した形になっておりますので、当然大学病院やその他研究機関、理化学研究所以外も含めてお出しすることはできるようになるだろうと思っております。それが1つでございます。
○宮村委員 この点について、先ほど山口委員からありましたように、HLAがついた幹細胞というのは今後いろんな治療に有用になると思いますし、将来はそれが営利を生むような形になると思います。日本でそういうのを発展させるためにも、どの時点では企業などもそういうのを使えるようになるか、そういったところの見通しについてですが、今の時点では理化学研究所及び公的な研究機関に限定するということで始まるということでしょうか。
○小澤委員長 室長。
○間臓器移植対策室長 現在、非臨床目的で臍帯血を出す場合に、直接の個人情報ではないのですけれども、HLA情報も切ってしまっているというふうに伺っております。そうすると、臍帯血の現物はあるのだけれども、それがどんなものなのかというのがわからない形で研究が求められることになりますので、非常に使いづらいという話がございます。
 そのために、今回御提案をしておりますのは、8ページの一番下の3行でございますが、HLA情報は個人が特定できるものではないので、これは添付できるようにしたらどうかというのがまず1つでございます。
 もう一つ、研究機関には広く出していくわけでありますが、今、企業の話がございました。これについては現在もそういうルートがございまして、これも先ほど御説明を少し申し上げたところですが、7ページの上、企業も含めて出す場合には、理化学研究所に一旦臍帯血を出して、企業から例えば研究目的の申請があった場合には、理化学研究所の倫理審査委員会のほうで判断をしてお出しするというルートになっておりまして、こういうものがあるのであれば、そういった形でお出しをしていくというのが十分あり得るのではないかと考えております。何らかの倫理的なチェックというのは必ず入れなければいけないと考えているところでございます。
○小澤委員長 その点、企業がダイレクトにということは難しいですか。
○間臓器移植対策室長 要するに、そういったものについて、個々のさい帯血バンクにばらばらに判断させるのがいいのかどうかという問題がありまして、現状、そういうのになれたところに集約化するのは一定の合理性があるのではないかというふうには思っております。このあたりは理化学研究所ともよく御相談をする必要があると思っています。
○小澤委員長 よろしいですか。
○宮村委員 先ほどの同意書の中に全てのことが研究者、あるいは今、読み返すと、そういう企業にも全部の利益が行く可能性があるということはきちんと書いてあるのですが、そこら辺も、将来的なことを考えると、HLAという重要な情報がついた幹細胞だけに、そこで発生した権利が全て研究者に行っていいのかどうなのかというのは慎重な検討が必要かなというふうに思いました。
○小澤委員長 室長。
○間臓器移植対策室長 このあたりは最新のルールにのっとってやっておりますので、要するに、ほかの分野と整合性をとることが大事でございますので、そのあたりを見ながら、必要があれば改正をする必要があるのではないかと思っております。
 委員長、関連の御質問をいただいておりました件について、よろしいでしょうか。
○小澤委員長 はい。
○間臓器移植対策室長 まず、野村委員から御質問をいただいておりましたことの関係で申し上げますと、何でもいいということではないのだろうと思っておりまして、基本は5ページの上にありますような、要するに、医学の発展に役立つ。まずは造血幹細胞移植の有効性・安全性の向上に資するということだし、2番目は、iPSだけでなくて、例えば特定の固形腫瘍の治療のために実は造血幹細胞移植が有効かもしれないというような御研究でありますとか、あるいは脳性麻痺の治療に有効かもしれないというような御研究もありまして、そういったものも含めて、ある程度医学の進歩、新しい治療法の開発、適応疾患の拡大ということには使えるようにしていく必要があるのではないかと思っています。
 個々の例や倫理審査委員会で迷う場合には国に御相談いただきたいと思っております。
 さらに、それが非常に微妙なものであれば、この審議会にもお諮りする必要があると思っております。
 その場合に、これから逸脱する可能性があるということであるとするならば、それは再度同意をとる必要があるということになると思います。
 ちなみに、いろいろ御意見をいただきました最後のやり方につきましては、今のヒト幹指針との整合性、既存の臍帯血同意書に基づくものを念頭に置いておりますので、iPS細胞研究について明確に同意を得ていたかどうかということについては議論のあるところですので、CiRA、京大のiPS細胞研究所では、より慎重な、最も手がたいことをやるとこうなるというものでございます。
 先ほどの武藤委員から御指摘もいただきましたこの下の部分、現在御検討中の基準の中で、例外の取り扱いのところの下の小さな部分、アンダーラインが引かれておりますところをごらんいただきますと、「(1)当該ヒト幹細胞等の提供時に、当該同意文書中に臨床研究における利用を許諾する意思が明示されていること」、例えばこういうルールがございます。これを今、使われている同意書に照らし合わせますと、「移植または移植に関する研究に用いること」とだけシンプルに書かれておりまして、必ずしもそこまで明示されていないという面もございます。
 これは現在の同意書、そして現在のヒト幹指針を整合するとこうなるというものでございまして、本日いただいた御意見を踏まえまして、新しい同意書、新しいルールの中で何が要るのか。特にさい帯血バンクのようにもうストックがある、試料群があるというものについてどういうふうにルール化すべきかということについて、関係の審議会でも御議論いただきたいと申し入れたいと思います。
 以上でございます。
○小澤委員長 いかがしょうか。武藤委員。
○武藤委員 先ほど辰井委員から、同意が必要かどうかの判断については臍帯血供給事業者のほうの倫理審査委員会の判断をという御提案があって、私もそれは賛同いたしますし、現在、日本の倫理審査委員会はどこもそれぞれの経験を情報共有して、基準をつくっていくという制度が制度的にないので、それが今、大問題になっているのですが、少なくとも臍帯血供給事業者間の倫理審査委員会ではそれぞれの経験をシェアしていただいて、どういった場合にもう一度同意をいただく必要があると思ったのかということについては、経験を共有していただくようなことをどこかでお願いできないかと思います。
 それと同時に、今、問題になっている(6)、(7)については、CiRAの状況もよく理解できますし、これで努力されてみて一体どういう実態になったのかということについては、やはり情報をきちんとフィードバックしていただいて、ヒト幹の委員会であったり、こちらで議論する重要なエビデンスにさせていただけたらという気がします。
 最後ですが、スライド番号の19の中で、提供を希望する研究機関のほうの倫理審査委員会というのが見えないというか、「機関」というところが「申請」からスタートしているのですけれども、やはりこちらの倫理審査委員会は必ずチェックする必要がありますので、恐らく臍帯血供給事業者からの提供、少なくとも契約が終わるまでには大体どこのバンクも倫理審査を確認し終わっていますので、それはちょっと沿えておいていただければと思います。
 以上です。
○小澤委員長 ほかにはいかがでしょう。浅野委員。
○浅野委員 今の武藤委員の御意見を聞いて、私もそうだなと思う。
 そうすると、今、参考で示されております「さい帯血提供についての説明」というわかりやすい8枚物があるのですが、8ページ目の「さい帯血提供の同意書」、こうやって同意をとられるのだなと見ていったのですけれども、2番目で、本文は多分包括的な同意だと思うのですが、「研究に使用されること」、これに同意するということですね。そうすると、その後の「また、研究目的に使用される場合には、研究者から研究内容について説明を行うことについて、さい帯血バンクから同意を求められる場合があること」というのは、要らないのではないかと思うのです。
 実態からいっても、同意を求めるべき相手は提供者でなくて、今、言ったようにさい帯血バンクに対して、こういう研究に使うのだけれども、いいかというのは、別に個人のあれでなくて、そんなものにまでこれを使われては困るということを言い返すのは、むしろさい帯血バンクではないかと思うのです。
 ということなので、これは言わずもがなで、しかも、こういうふうに書いていくということは、何となく提供者から同意をもらわないとこの研究には使えないということが前提ですね。住所が変わったりするけれども、たまたまつかまった人だけについて同意を求める。逆に言うと、見つからないと同意をもらえないわけですから、その研究に使えないということになってしまうというのは自縄自縛ではないでしょうか。
 そういうことなので、このあれからいって、「また」以下は不要、有害ではないかと思うのです。
○小澤委員長 室長。
○間臓器移植対策室長 御意見ありがとうございます。
 まず一つは、こちらの資料の10ページの上の資料でいくと、(3)のプロセスのために書いています。今のヒト幹指針と整合性をとろうと思うと、このプロセスは抜くことができないということでございます。
 もう一つは、これをあえて明記いたしましたのは、御意見はよく理解したつもりなのですけれども、現状は基本的に御連絡しませんというルールになっているのです。
 そういう中で、今回、10年たって御連絡することがあるということなので、えっということになるのだろうと思いますので、そこはあらかじめ言っておくことのほうがより重要ではないかということで、これは慎重目に記載をしたということでございます。何でもかんでも自縄自縛をするということではございません。
 したがいまして、今後の議論、この三角形にするのか、しないのかということも含めまして議論が整えば、同意書の様式につきましても変更はあり得るということだと理解をしております。現状のルール上はやむを得ないことではないかと考えております。
○小澤委員長 よろしいですか。
 岡本委員。
○岡本委員 この議論は、今、日本造血細胞移植学会のほうで宿題をいただいている移植適応ということとも関係してくると思います。臨床研究の中にもさまざまなものがありますし、本当に移植医療の進歩に繋がるとみんなが実感できるもの、あまりにも実験的でアゲンストなものもあると思います。こういった状況の中で、ヒト幹指針との整合性をとることになれば、このアルゴリズムは残す必要があると考えます。
 しかし、辰井さんがおっしゃったように、上の複雑なプロセスに行くところを倫理委員会の判断ということにしておけば、例えば固形がんに臍帯血移植をするか否かを、上位の複雑なプロセスまで使って議論する必要はないと思います。そういったところが明確になってくると、移植適応にどこまでの疾患を織り込んでいけばいいかが見えてくると思います。
○小澤委員長 ほかにはいかがでしょうか。大体よろしいでしょうか。いろいろ難しい問題があるかなと思います。
 辰井委員、どうぞ。
○辰井委員 細かいことを1つだけ。
 「臨床研究」と「非臨床研究」という言葉が使われていて、ここでの使われ方は非常に合理性があると思うのですけれども、厚労省さんの臨床研究指針においては、ヒト試料を使ったものが全部臨床研究だということになっていまして、あちらのほうに問題があると私は思いますが、用語法は何とか調整をつけて整理していただきたいと思います。
○小澤委員長 よろしいですか。
○間臓器移植対策室長 省内の問題ですので、努力したいと思います。
○小澤委員長 それでは、(2)の問題はこのくらいにしたいと思いますけれども、せっかくいい制度をつくっても、実際上、全く動かないということにならないように、また検討をよろしくお願いしたいと思います。
 次に、議事の「(3)拠点病院の要件について」に参ります。
 まず、事務局から資料について説明をお願いします。
○西脇室長補佐 それでは、資料4に基づきまして御説明申し上げます。
 資料4の1ページ目の下、拠点病院に設けられる条件についてです。これは3月の当委員会でお示ししたものですが、括弧で3つ書いてありますように、「(診療実績等)」「(人材養成の取り組み等)」「(早期採取の取り組み等)」につきまして、条件を挙げてあります。
 下線部です。
 1行目「骨髄・末梢血幹細胞移植、臍帯血移植のいずれも一定数以上定期的に行っている」。
 2行目「一定の専門性、経験のある医師が一定数配置されていること」。
 「(早期採取の取り組み等)」の一番上「骨髄採取について、一定数以上行っていること」ということで、「一定数以上」となっておりましたので、具体的な数値について今回お示ししたいと思います。
 2ページ目の上「2013年度の診療実績等の数値要件について」です。
 継続性としまして、2010年1月から2012年12月までの3年間の実績で判断することとしてはどうかと考えております。
 移植数につきましては、血縁と非血縁を合わせた同種移植が3年間で60件以上、同種の骨髄移植は25件以上、同種の末梢血幹細胞移植は7件以上、同種臍帯血移植は13件以上としています。
 この根拠です。2ページ目の下にグラフが4つ並んでおりますが、左上のものは同種移植の件数で、このグラフは横軸が移植件数、縦軸が今の骨髄移植推進財団の移植の認定施設ごとの移植件数の棒グラフを上から少ない順に並べてあります。ちょっと見にくいですけれども、細かい棒グラフが並んでいるものとお考えください。
 そうしたときに、3年間で60件というのは、上位30%の病院が該当することとなります。
 残りの3つのグラフは、それぞれの操作をバランスよく行っているということの要件といたしまして、骨髄、末梢血、臍帯血について、それぞれ上位約40%の施設が該当するような数値として先ほど申しました数値を設定しております。
 次に、2ページ目の上の3番目「(医師配置)」についてです。「常勤の日本血液学会認定血液専門医が造血幹細胞移植を実施している診療科ごとに複数名在籍すること」としています。
 診療科ごとに配置することが難しい場合、例えば内科に2人で、小児科に1人という場合でも、移植に関するカンファレンスを合同で行うなど、治療方針について相談できる体制がとられていればよいものとしたいと考えております。
 血液専門医については、3ページ目の上にその要件があります。「卒後6年以上の臨床研修を必要とし、このうち3年以上日本血液学会が認定した研修施設において臨床血液学の研修を行った者」など、専門性、経験が必要とされている者となっております。
 最後に、「(採取件数)」についてです。こちらは同種骨髄採取が3年間で30件以上、同種末梢血幹細胞採取が7件以上というふうにしています。
 これは、3ページ目の下に先ほどと同様に採取の件数のグラフを載せておりますけれども、いずれも上位およそ4割の施設が該当する件数としております。
 以上です。
○小澤委員長 ありがとうございました。
 それでは、今の御説明を踏まえて質疑、議論をお願いしたいと思います。拠点病院の条件ということでありますが、いかがでしょうか。
 移植件数は、個々のところで見ると、三、四割と物すごく多いのですけれども、4つを満たすところというのはどのくらいあるのでしょう。室長。
○間臓器移植対策室長 移植件数と採取件数、この6つの数値要件を全て満たす病院は、私の手元では約30ぐらいあるだろうと思っています。
 このほかにもいろんな要件がございますので、それを満たす病院の中から手を挙げていただいて、積極的にお取り組みいただきたいと思っています。
○小澤委員長 拠点病院として認定する方針といいましょうか、1年に何件とか、何年くらいでどのくらい認定しようとか、その辺の計画、予定についてはいかがですか。
○間臓器移植対策室長 拠点病院の指定をどうするのかということでよろしいでしょうか。
○小澤委員長 はい。
○間臓器移植対策室長 拠点病院につきましては、現在の計画では、最終的に全国8ブロックプラス東京で、9カ所を整備することを予定しております。そのうち今年度につきましては、予算上3カ所を予定しておりまして、残り6カ所につきましては来年度以降、整備をしたいと思っています。
 3カ所を整備するに当たっては、基本的にはこの要件を満たしていることがもっともでございますけれども、あと地域バランスなども考慮しながら選定することになるのかなと思っています。
○小澤委員長 いかがでしょうか。岡本委員。
○岡本委員 拠点病院に関しましては、日本造血細胞移植学会の将来構想会議でも議論をしてまいりまして、基本的にはこの要件については、学会の考え方は非常に近いと考えています。バランスを持って移植を行っている件数に関しましても、学会で議論した内容とほぼ同等の数になっております。骨髄が少し多いですけれども、採取病院の1つの設置の目的として、採取の経験があって、骨髄採取の数を増やしていくという目的がありますので、当然これはこの形でいいのではないかと思います。
 ここには日本血液学会の専門医と既定がありますけれども、現在、日本造血細胞移植学会では造血細胞移植の認定医というシステムを動かしております。これは血液専門医のさらに上に位置する専門医ということになりますので、次年度からは。この造血細胞移植の認定医というものを移植拠点病院の認定要件とすることが必要と考えます。よろしくお願いします。
○小澤委員長 移植医療機関は拠点病院のほうに申請、手を挙げたいというふうに大体考えておられるのでしょうか。
 このメリットとかなども説明していただいたほうがいいかなとは思いますけれども、現状はどうでしょうか。
○岡本委員 そこまでの議論はしておりませんが、基本的にはそこが移植を全て引き受けてということではなくて、特殊な移植を行っている移植施設と、それほど移植をやっていない施設の中間に位置をして、専門的な移植は専門的な移植施設に送ることを想定しています。移植施設に労働力を集めるだけではなくて、ちゃんと教育をした人材を基の施設に戻していくことが求められています。実際にそういったことを既に行っている施設があるわけですので、全く手が挙がらないということはないと思います。施設を認定することで、移植の医療の質の均てん化、採取の実績の向上ということを図る方向性を学会としても認識し、積極的にそれに参加をするという方向を共有したいと思います。
○小澤委員長 拠点病院として認定された場合のメリットについても少しお話しいただけますか。室長。
○間臓器移植対策室長 直接的なメリットといいますか、これは研修等の事業を行っていただくことにもなりますので、1病院当たり年間2,000万を超える補助金を国から直接お出しするということを予定しております。
 やはりモデル的な病院であるということの認識が高まれば、そこに専門の先生方も集まってこられるという面、そしてまた地域に戻していくということで、そのあたりのことを総合的に勘案して各病院で御判断いただけるものと思っています。
 ただ、拠点病院に指定した場合も、指定しっ放しで終わりということではありませんで、やはり毎年ちゃんと事業実績を報告いただくことが必要ですし、本来望ましくありませんけれども、もし拠点病院にふさわしくないということになりましたら、何らかの対応をしなければいけないだろう。そういう意味で、更新制に近いものになるのではないかと考えております。
○小澤委員長 坂巻委員。
○坂巻委員長代理 今、財政的なサポートという意味でのメリットを伺いましたけれども、拠点病院に課せられる責務みたいなものがある程度数値的に出されるのでしょうか。例えば骨髄採取の件数とか、それの数値目標みたいなのが決められる予定はあるのでしょうか。
○小澤委員長 室長。
○間臓器移植対策室長 まず初年度に関して申し上げますと、それは正直言ってなかなか難しいところがあるのかなと思っています。
 ただ、そもそも三十余りの候補病院があると申しましても、そこは濃淡、取り組み状況が大分違うわけですから、選考する際にその実績も当然加味していくことになる。
 そして、今、申し上げましたように実績報告もいただくという中で、将来的にはある程度実績が出てくれば、これぐらいはというよう最低ラインというものをお示しするということもあり得るのではないかと思います。
 多分求められてはいるけれども、特にことし、直ちにやりにくいものは、骨髄の早期採取に関しまして、採取数ではなくて、早期採取でどれぐらい期間が短くなったのだというのは、そんなに簡単に求められないなと思っています。
 ただ、こういうスロットを持っているような病院がやる中で、実際に短くなったという事例をどれだけ出していただけるかというのが拠点病院の真価が問われるポイントだと思っております。
○小澤委員長 ほかにはいかがでしょうか。
 申請するときにその施設も目標とか何かを掲げますから、その実績を報告してもらうと、目標に沿ってだんだん実績が上がっていくということになるのかもしれませんけれども、御意見はいかがでしょうか。この問題についてはよろしいでしょうか。
 そうしますと、議論も出尽くしたようでありますので、議題(3)についてもこのあたりとさせていただきます。
 そうしますと、(4)その他ということになりますが、全体を通して御意見、コメント等いかがでしょうか。
 前の議事の問題に戻っても結構です。
 きょうは、鎌田委員、何か。
○鎌田委員 質問をさせていただきたいのですが、臍帯血に関して、いろいろな形、実際の移植に限らず、研究も含めて、最終的に患者さんのためになる形で生かされていくことになると思うので、とてもありがたいことだと思っているのですけれども、現実的にたくさん、しっかりとれるようになってきて、また臍帯血の利用の幅も広がっていくとなると、保存する数というのが実際にふえていくということも考えられると思うのですが、どのバンクも現実に保存する能力というか、幾らでもふえても今のところそういった問題というのはないのでしょうか。保存というのは、実際には設備的にもマンパワー的にもいろんなことが必要になると思うのですけれども、そういった面では何も問題がないのかとか、これから何か整備していったり、補助していく必要があるのかどうかということを伺いたいのです。
○小澤委員長 むやみにふやす必要もなくて、努力目標があると思いますが、その辺について、室長、いかがですか。
○間臓器移植対策室長 まず大前提として、年間100万人余りお子さんがお生まれになって、そのうち臍帯血を採取させていただいている方が約1%強、実際バンクに採取している数はもうちょっと多いのですが、バンクに入ってくるのは1万3,000という数字を示しました。その中で移植に用いられるのは1,800余り、0.1%ということでございます。そういうオーダーを考えますと、数をたくさん持てばいいというよりも、やはり質を高めていくということに注力すべきではないかと思っています。
 ただ、HLAのバラエティーというのがありますから、一定の数は必要です。
 そういう意味でいくと、今、保存されているものは3万以上ございますので、相当なものだと思っています。その多くが移植に使われないまま廃棄されていくということを考えますと、それを研究にということでございます。
 では、ストックの何がボトルネックになり得るかというと、やはり場所でございます。各バンクにおかれましては、凍結のバンクがかなり巨大なものでございますので、あれを国が補助金で買って差し上げるわけですけれども、問題はその場所がネックになり得るということだと思います。
 ですから、その意味でいくと、保存している臍帯血についても、利用できるものは利用し、余り移植に用いられる可能性のないものについては、ある程度整理をしていくということも同時に必要になるのではないかと思います。
 このあたりは、臍帯血の各バンクともよく相談をし、移植、研究ともに有用に活用されるように検討してまいりたいと思います。
○鎌田委員 ありがとうございます。
○小澤委員長 張替委員は、その関係について何かありますか。
○張替委員 これから細胞数の上限も少し上がってくるとなると、むやみにその数がふえていくということは多分ないと思いますし、そういう意味で、莫大なスペースが今後必要になっていくかというと、そうではないと思いますので、対応は十分可能だろうとは思います。
○小澤委員長 ほかにはよろしいでしょうか。特にないですか。
 珍しく時間内で終わるような雰囲気でありますけれども、本日の議事は以上であります。
 次回の委員会では、事務局にこれまでの委員会での議論を踏まえた基本方針の骨子案を提示してもらうこととしたいと思います。
 また、学会に取りまとめていただいた造血幹細胞移植の適応疾病の範囲についても報告をしてもらいたいと思います。
 最後に、事務局から連絡をお願いいたします。
○吉田室長補佐 本日は活発な御議論をいただき、ありがとうございました。
 次回の委員会につきましては、8月2日16時からを予定しております。
 先生方におかれましては、お忙しいところ大変恐縮ではございますけれども、日程の確保に御協力いただきますよう、よろしくお願いいたします。
 以上でございます。
○小澤委員長 それでは、本日の会議を終了いたします。
 どうもありがとうございました。


(了)


※データの累乗を、以下のように「^」で表記しておりますのでご了承ください。
10×10^7 10×10^8

ホーム> 政策について> 審議会・研究会等> 厚生科学審議会(疾病対策部会造血幹細胞移植委員会)> 第42回厚生科学審議会疾病対策部会造血幹細胞移植委員会議事録(2013年6月21日)

ページの先頭へ戻る