ホーム> 政策について> 審議会・研究会等> 薬事・食品衛生審議会(毒物劇物部会)> 薬事・食品衛生審議会 毒物劇物部会議事録(2013年3月14日)




2013年3月14日 薬事・食品衛生審議会 毒物劇物部会議事録

○日時

平成25年3月14日(木)
10:00~


○場所

厚生労働省共用第8会議室


○出席者

出席委員(7名) 五十音順

○赤 堀 文 昭、◎大 野 泰 雄、 栗 原 正 明、 黒 木 由美子、
 城 内   博、 溝 渕 三 必、 宮 川 宗 之
(注) ◎部会長  ○部会長代理

欠席委員(2名) 五十音順

 山 口 芳 裕、 山 田 英 之

行政機関出席者

 平 山 佳 伸 (大臣官房審議官)
 長谷部 和 久 (化学物質安全対策室長)

○議事

○事務局 定刻となりましたので、ただ今より「平成24年度第2回毒物劇物部会」を開催いたします。
 毒物劇物部会の総委員数は9名ですので、定足数が過半数の5名となっております。また、本日は山口委員、山田委員から御欠席の御連絡をいただいており、現在7名の先生方に御出席いただいておりますので、この会議は定足数に達していることを御報告申し上げます。
 なお、本会議は公開で行われ、資料及び議事録も公開となってございます。それでは、開催に当たりまして、審議官より一言御挨拶申し上げます。よろしくお願いいたします。
○審議官 この「毒物劇物部会」というのは、化学物質の取扱いの一番基本となるような取扱いについて決定していただくという、非常に重要な会議でございますので、先生方の御協力には非常に感謝しております。あまり開催頻度の高くない部会ではありますけれども、その重要度は非常に大きいものというように認識しております。これからも御協力いただけるよう、お願いいたしまして、簡単ではありますが御挨拶とさせていただきます。どうもありがとうございます。
○事務局 本部会ですが、改選後初めての部会になります。部会のメンバーは、改選前と同じメンバーとなっていることを申し添えます。また、薬事・食品衛生審議会令におきまして、部会長に事故があるときには、当該部会に属する委員又は臨時委員のうちから部会長があらかじめ指名する者が、その職務を代理することとなっております。部会長に部会長代理を御指名いただきたいと思います。
○大野部会長 先日の会議で、私が部会長を仰せつかりました大野でございます。先生方におかれましては、引き続き委員を務めてくださいましてどうもありがとうございます。この分野で非常に詳しい先生ばかり来ていただきましたので、どなたも部会長代理としてふさわしいかと思います。私事ですが、調査会とか、いろいろな所で私と一緒に審議・協力してきてくださっている赤堀先生に部会長代理をお願いしたいと思いますが、いかがでしょうか。
 赤堀先生、よろしいでしょうか。よろしくお願いいたします。
○事務局 ありがとうございます。それでは、大野部会長の御指名により、赤堀委員に部会長代理をお願いしたいと思います。赤堀委員、よろしくお願いいたします。
 それでは大野部会長、議事進行のほど、よろしくお願いいたします。
○大野部会長 まず審議に入る前に、配布資料の確認を事務局からよろしくお願いいたします。
○事務局 資料の御説明と確認をさせていただければと思います。まず、議事次第、座席表、委員名簿がございます。次に審議事項として、今回御検討いただく6物質について資料1~6となっています。そして当日配布資料1(委員限り)、当日配布資料2(委員限り)、当日配布資料3、当日配布資料4(参考)となっております。もう一つ参考資料として「毒物劇物の判定基準」を付けております。お手持ちの資料に不備等がありましたらお申し出ください。
○大野部会長 よろしいでしょうか。
 それでは審議に移ります。本日の最初の議題で、「クロトンアルデヒド及びこれを含有する製剤」について、御審議いただきます。事務局から議題1について説明をお願いいたします。
○事務局 審議事項議題1、資料1「クロトンアルデヒド及びこれを含有する製剤の毒物の指定について」、御説明いたします。
 名称は、「クロトンアルデヒド及びこれを含有する製剤」です。この物質は、主にブタノール、クロトン酸、ソルビン酸等の各種化学薬品及び医薬品の製造原料。樹脂及びポリビニルアセタールの製造原料。ポリ塩化ビニルの溶媒。ゴム酸化防止剤等として使用されています。また、危険物輸送に関する国連勧告で毒物に分類されており、国立医薬品食品衛生研究所において、急性毒性及び刺激性に関する有害性情報の収集を実施したところ、別添1を御覧ください。性状は特有の刺激臭のある無色の液体であり、引火点が8℃と引火性が高く、又酸化剤との反応性が高い物質です。次に別添2を御覧ください。毒物劇物の判定基準から、急性経皮毒性試験結果よりLD50値はウサギで128mg/kg、また、急性吸入毒性試験結果よりLC50値は4時間暴露で、ラットにおいて486、495、88ppmで毒物相当と判断いたしました。なお、クロトンアルデヒドは、trans体及びtrans体とcis体の混合物が知られており、通常、本物質はtrans体が95%より多く、cis体は5%より少ない混合物として存在することから、同混合物としての知見である文献4及び6についても評価の対象といたしました。なお、物理的化学的性質のCAS番号については、cis体とtrans体の混合物の4170-30-3を記載いたしました。よって、調査会では原体及び製剤について、毒物に指定することが適当であると判断いたしました。御審議のほど、よろしくお願いいたします。
○大野部会長 どうもありがとうございます。化学構造は元のものだとあまり綺麗ではなかったのですが、綺麗な形に修正してくださいましてありがとうございます。先生方から御意見を伺いたいと思います。ウサギでの経皮毒性は毒物に相当する、吸入毒性でも毒物に相当するということでしたが、いかがでしょうか。
 吸入毒性ですが、0.5時間当たりのLC50値が実験的なデータですね。そのデータに基づいて4時間当たりを計算しているわけですね。今、その計算式を見せていただいたのですが、後で結構ですので、その計算式がこういうものだということを先生方にお配りして、お示しした方がいいかと思います。単純に0.5時間を4時間に長くした時、暴露量が8倍になるか8分の1になるのか。そういう計算をしたら合わないので、そういう単純なものではないということは、この計算式で分かりましたので、お示しくださるようにお願いいたします。
 毒物に指定するという事務局の結論についてはよろしいでしょうか。
 ありがとうございます。それでは、クロトンアルデヒド及びこれを含有する製剤については毒物に指定するということにいたします。
 議題2に移りたいと思います。「クロロ酢酸メチル及びこれを含有する製剤」について、事務局から説明をお願いいたします。
○事務局 審議事項議題2、資料2「クロロ酢酸メチル及びこれを含有する製剤の毒物の指定について」、御説明いたします。
 名称は、「クロロ酢酸メチル及びこれを含有する製剤」です。この物質は、主に医薬品、香料、農薬、界面活性剤等の溶剤等として使用されています。また、危険物輸送に関する国連勧告で毒物に分類されており、国立医薬品食品衛生研究所において、急性毒性及び刺激性に関する有害性情報の収集を実施したところ、別添1を御覧ください。性状は特徴的な臭気のある無色の液体であり、還元剤や酸化剤との反応性が高い物質です。次に別添2を御覧ください。毒物劇物の判定基準から、急性吸入毒性試験結果よりLC50値は4時間暴露で、ラットにおいて210~315ppmで毒物相当と判断いたしました。よって、調査会では原体及び製剤について、毒物に指定することが適当であると判断いたしました。御審議のほど、よろしくお願いいたします。
○大野部会長 ありがとうございます。先生方、いかがでしょうか。
 これは急性経口毒性と経皮毒性では劇物に相当する。ガスの吸入毒性では毒物に相当するということで、結論としては毒物にした方がよろしいのではないかという御意見です。
 一つ気になったことがありまして、急性経口毒性のところで、ラットでLD50が50~300mg/kgよりも大きい、そういう意味ですよね。
○事務局 そうです。
○大野部会長 50は要らないのではないですか、300mg/kg以上ということで。
○宮川委員 確認ですが、これはそういう意味なのでしょうか。50mg/kgと300mg/kgで試験をして、その間に入っているのかと思って読んできたのですが。
○大野部会長 そういう意味なのですか。私はそれ以上だと思っていました。
○宮川委員 試験が新しいので、ATEの範囲推定をしたために上限と下限で試験をして、上限では多くが死亡して、下限で多くが死亡しなかったというところで判断したのかと思っていました。ほかの所にも同じような記載がありましたので。
○大野部会長 クロトンアルデヒドのところの表記と少し違いますね。クロトンアルデヒドの急性経口毒性の表記というのは、LD50が50mg/kgよりも大きくて、それから「~」があって、300mg/kgよりも小さいという表記になっています。これと比較してどうなのでしょうか。
○事務局 50mg/kgの有害性情報からすると、6例中、死亡例がなかったということです。
○大野部会長 300だといかがですか。
○事務局 300だと全てが死亡したということです。
○大野部会長 では、その間ですね。クロトンアルデヒドのところの表記のようにしてくれると、よろしいのではないかと思います。ありがとうございます。先生方、ほかに御意見はございますか。
 急性吸入毒性が毒物に相当するということで、毒物に指定するという結論でよろしいでしょうか。
ありがとうございます。それでは、そのようにさせていただきます。
それでは、議題3「テトラメチルアンモニウム=ヒドロキシド及びこれを含有する製剤」についての説明をお願いいたします。
○事務局 審議事項議題3、資料3「テトラメチルアンモニウム=ヒドロキシド及びこれを含有する製剤の毒物の指定について」、御説明いたします。
 名称は、「テトラメチルアンモニウム=ヒドロキシド及びこれを含有する製剤」です。この物質は、主に半導体及び液晶パネルのフォトリソグラフィープロセスにおいて使用。電子部品洗浄剤。触媒。試薬として使用されています。また、危険物輸送に関する国連勧告で腐食性物質に分類されており、国立医薬品食品衛生研究所において、急性毒性及び刺激性に関する有害性情報の収集を実施したところ、別添1を御覧ください。性状は白色の吸湿性針状結晶であり、水溶液は塩基と強く反応し、金属と触れると水素ガスを発生する物質です。次に別添2を御覧ください。毒物劇物の判定基準から、急性経口毒性試験結果よりLD50値はラットで34~50mg/kg、急性経皮毒性試験結果よりLD50値はラットで112mg/kgで、毒物相当と判断いたしました。よって、調査会では原体及び製剤について、毒物に指定することが適当であると判断いたしました。御審議のほど、よろしくお願いいたします。
○大野部会長 ありがとうございます。ラットによる急性経口毒性と経皮毒性、その両方が毒物に相当するということです。明確に毒物判定してよろしいかと思いますが、よろしいですか。
 ありがとうございます。そのようにさせていただきます。
○事務局 この部会の開催に当たり意見募集を事前に実施したところ、御意見をいただいておりますので、それについて紹介させていただきます。
○事務局 若干重複になりますが、実は調査会が終わった後、2月21日付けで「薬務広報」において意見募集をさせていただいております。その結果、当日配布資料1、委員限りの資料になるのですが、こちらでお示ししたような御意見をいただいておりますので説明させていただきます。
 当日配布資料1を御覧ください。ポイントを簡単に説明させていただきます。御意見の内容としては大きく2点ございます。当該物質の毒物指定に当たり、1点目としては、含有濃度下限値を設定すべきであるということ。具体的には、少なくとも濃度5%以下の製剤は毒劇物から除外できるのではないでしょうかという御意見をいただいております。
 もう1点、こちらは毒物に指定され、施行された後に経過措置期間というものを設けているのですけれども、それを長期間設けて欲しいということ。具体的には、従前3か月程度ということで経過措置期間を設けさせていただいているのですが、これよりも更に長くしてほしいという御意見をいただいています。
 まず、濃度下限値の御意見に関してなのですが、通常、濃度下限値の設定に当たりましては、企業等から毒物及び劇物から除外するに足る試験成績を添えて、下限値を設定できる旨の申出というものを行っていただいているところです。具体的には本編の参考資料の「毒物劇物の判定基準」に従い、こちらに示した毒物劇物の判定基準に基づいて急性毒性、皮膚腐食性、眼刺激性の観点から除外するに足る試験成績を御提出いただいており、こちらの成績の妥当性について御審議いただいて設定いただいているところです。今回いただいた御意見についてなのですが、事務局としては試験成績を御提出いただいていない状況ですので、参考資料に示した判定基準に照らして考えますと、現時点では除外を行うことはできないのではないかと考えております。
 2点目の経過措置期間の御意見につきましては、施行後の経過措置期間中は自治体等へ登録いただくことや、容器に毒劇物の表示をしていただくことなど、各種の規定が猶予されることになっております。この期間なのですが、従前より3か月程度とさせていただいていること、また当該品目に限って期間を延長する特別の理由が見当たらないので、事務局としては従前どおり3か月とさせていただきたいと考えております。
 なお、補足事項になるのですが、当日配布資料3を御覧ください。こちらは前回の「毒物劇物部会」を踏まえ、毒物及び劇物の指定令の改正をさせていただくに当たってのパブリック・コメントの結果になります。実は従前も類似の御意見をいただいておりまして、例えば配布資料3の3ページを御覧ください。3ページの、上の箱は「濃度下限値を設定してほしい。」という御意見、中程が「経過措置期間をより長くしてほしい。」という御意見になっており、先ほども申し上げましたような回答をさせていただいているところです。資料の説明は以上になります。
○大野部会長 どうもありがとうございました。具体的な実験データが出たところで判定した方がいいのではないかということが、意見1.に対する事務局の御意見です。いかがでしょうか。
 よろしいですか。では今までの基準に従って行います。意見2.については行政的な判断のところですので、特別な理由がなければやらないということです。それについても事務局の考えでよろしいですか。
 審議官もよろしいですか、行政的な判断の問題ですので。
○審議官 一応、取扱いについて安全性が絡む話ですので、実態に即して混乱のないようにすることは必要ですが、その都度、裁量を発揮してやっていると、混乱が更に混乱を呼ぶようなことにもなりますので、そこは一律に取り扱っていくことが必要かと思います。よほどのことがあれば、また、ヒアリング等で対応したいと思います。
○大野部会長 ありがとうございます。事務局としては、特段事由が示されていないということで、通常の猶予期間の3か月で行こうということでございます。よろしいですか。 ありがとうございます。
○城内委員 確認なのですが、希釈した場合の考え方というものが、「毒物劇物の判定基準」という今日いただいた資料の中にあります。これは無毒のもので希釈した場合ですね。そうすると、混合物として本当に外していいかどうかというのは、毒物劇物に関しては考えなくてもいいということなのでしょうか。確認させてください。
○大野部会長 劇物に関しては一定に希釈して、希釈したものの毒性が基準値の10倍以上の濃度だったら外してもいいという考え方です。毒物に関しては原則として外さないということでした。これも毒物ですけれども、前に毒物でも希釈したものについて外したことがあった気がします。うろ覚えなのですが、いかがですか。
○事務局 配合濃度が低下したことにより、毒性が低下した場合でも、今の毒物及び劇物取締法で全て劇物に指定されます。
○大野部会長 そうですか。
○事務局 毒物において、希釈されていても、原則として、除外はしないということが、毒物劇物の判定基準にも書かれていますが、毒物と劇物というのはLD50値等で明確に分かれているので、毒性評価を実施して毒物なのか劇物なのかを明確にする必要があります。希釈した濃度によっては、劇物相当と判断されたものについては、その濃度以下を劇物として指定し、それ以下の濃度のものを更に除外しているというものはありません。
○城内委員 どちらも除外はないということですか。
○事務局 はい。
○城内委員 分かりました、ありがとうございます。
○大野部会長 ありがとうございます。ほかに御質問や御意見はございますか。
 次の品目の御審議をお願いいたします。4番目として「ブロモ酢酸エチル及びこれを含有する製剤」、これについて説明を事務局からお願いいたします。
○事務局 審議事項議題4、資料4「ブロモ酢酸エチル及びこれを含有する製剤の毒物の指定について」、御説明いたします。
 名称は、「ブロモ酢酸エチル及びこれを含有する製剤」です。この物質は、主に医薬品及び農薬の製造中間体。有機合成原料として使用されています。また、危険物輸送に関する国連勧告で毒物に分類されており、国立医薬品食品衛生研究所において、急性毒性及び刺激性に関する有害性情報の収集を実施したところ、別添1を御覧ください。性状は無刺激臭を伴う無色の液体であり、また、水、酸、塩基と反応する物質です。次に別添2を御覧ください。毒物劇物の判定基準から、急性吸入毒性試験(ガス)結果により、致死濃度が68ppm/4hr、気相に近い蒸気暴露としては、動物種が不明並びにLC50値ではないことに加え、原著が確認できず、妥当性・信頼性が評価できませんでした。しかし、平成24年度第1回毒物劇物調査会において、以下の理由により、より安全性の側に立つということであれば、毒物に指定し、新たな急性毒性試験結果が提示された時点で劇物相当であれば劇物に指定を変更すべきである、との指摘がなされたため、本データをもって評価したものです。1.急性吸入毒性試験(ガス)の致死濃度が68ppm/4hrと毒物劇物の判定基準の(1)1. (C)吸入の毒物の場合のLC50が500ppm(4hr)以下より1桁さらに数値が低く極めて毒性が高いデータを示していること。2.かつて催涙ガスとして対人用途に使用され、有害性のポテンシャルがあること。3.眼の刺激性(当該物質が屋内で少量揮発しただけでその場にはいられなくなるほど眼が痛くなる。)の観点から考えても極めて重篤であること。ということで、毒物相当と判断いたしました。
 よって、調査会では原体及び製剤について、毒物に指定することが適当であると判断いたしました。御審議のほど、よろしくお願いいたします。
○大野部会長 どうもありがとうございました。これについても、急性経口毒性でのLD50は50mg/kgと300mg/kgの間という理解でよろしいですか。
○事務局 同様だと思います。
○大野部会長 ありがとうございます。いかがでしょうか、御質問や御意見はございますか。
 これはかつて催涙ガスとして使われていたということですけれども、日本でも使われていたことがあるのですか。
○事務局 有害性情報の調査から、ドイツとアメリカで使用されていたという経緯はありますが、日本ではございませんでした。
○大野部会長 ありがとうございます。
○赤堀委員 調査会の結果で補足させていただきたいと思います。従来はどのようなデータでも、毒物を示すデータがあれば毒物相当と指定してきました。ただ、最近は信頼性のあるデータで判断しようというように流れが変わってきています。今回、これは信頼性のおけないデータだけれども、先ほど事務局から説明がありましたように、調査会ではこれらを元にして毒物と指定したいということです。事務局からお話がありませんでしたが、そのほか、先ほど毒物に指定されたクロロ酢酸メチルですが、調査会ではこのブロモ酢酸エチルを議論する前に検討され、毒物であるというように結論づけたわけです。類似の物質も毒物に指定されていることも踏まえ、ブロモ酢酸エチルは毒物に指定した方が妥当であるという結論に至りました。
○大野部会長 赤堀先生、どうもありがとうございました。この反応性というのは、クロロとブロモで同じようなものと考えてよろしいのですか。栗原先生、よろしいですか。
○栗原委員 はい、同じように考えてよろしいかと思います。
○大野部会長 ありがとうございます。気になったのは、日本で使われていたものが、毒物を撒いていたということになると、後で問題にされると困るなと思ったのですが、日本では、使われたことは確認できなかったという御意見だったと思います。ただ、これを毒物として指定すると、催涙ガスとしては使えなくなりますね。ありがとうございました。それでは、急性吸入毒性からは毒物として判定されるものであるということですが、先生方、よろしいでしょうか。
 それでは、毒物に指定することにいたします。
 では、議題5「2-(ジエチルアミノ)エタノール及びこれを含有する製剤」についての御説明をお願いいたします。
○事務局 審議事項議題5、資料5「2-(ジエチルアミノ)エタノール及びこれを含有する製剤の劇物の指定について」、御説明いたします。
 名称は、「2-(ジエチルアミノ)エタノール及びこれを含有する製剤」です。この物質は、医薬品の製造原料。印刷インキ及びアゾ染料の緩性揮発剤。ワックス類の乳化剤。防錆剤等に使用されています。また、危険物輸送に関する国連勧告で腐食性物質に分類されており、国立医薬品食品衛生研究所において、急性毒性及び刺激性に関する有害性情報の収集を実施したところ、前々回の毒物劇物調査会で、劇物相当と判断いたしました。別添2を御覧ください。調査会で、眼の刺激性において、強度の刺激性と腐食性ということで、劇物相当と判断いたしました。その後、追加で事業者より0.7%製剤の毒性データが提出され、当該製剤が劇性を持たないものであることが判明したことを受け、製剤除外も併せて指定するものです。資料4ページの別添2「毒性(0.7%製剤)」を御覧ください。急性経口、経皮、吸入、皮膚刺激性、眼刺激性試験が行われ、いずれも劇物除外を検討できるものと考えられます。なお、急性吸入毒性試験については、事業者より、経験則から、最初は空気供給量を低めに設定し、徐々に上げて濃度の適正条件を探ったが、12.0L/min~13.0L/minまで上げたところで濃度が平衡若しくは減少傾向となり、相関性が不良という結果になった。従って、上限値であるネブライザー空気供給量16L/minとした場合においても、5mg/Lを超える濃度を達成する可能性は低いと考え、13.0L/minでの濃度5.22mg/Lが技術的な発生限界濃度であるとして、この数値を目標に本試験を実施し、暴露濃度が4.43mg/Lという結果になった。一方、経済協力開発機構(OECD)の化学物質の試験に関するガイドライン/急性吸入毒性試験(Test No.403)の中に、ミストの場合、5mg/L又は到達可能な最大濃度が上限濃度である旨記載されており、本試験の暴露濃度設定は妥当であると判断した。とのことで、よって、調査会では、2-(ジエチルアミノ)エタノール及びこれを含有する製剤(ただし、2-(ジエチルアミノ)エタノール0.7%以下を含有するものを除く。)については、劇物に指定することが適当であると判断いたしました。
 また、この物質については、この部会の開催に当たり意見募集を事前に実施したところ、御意見をいただいておりますので、それについても併せて紹介させていただきます。
○事務局 では、当日配布資料2の2ページを御覧ください。御意見の内容としては、先ほど頂いた御意見と若干重複するのですが、大きく2点あります。当該物質の劇物の指定に当たって、1点目としては含有濃度下限値を設定すべきであるということです。具体的には0.7%で案が出ているのですが、そうではなくて、更に高く、具体的には1.2%以下の製剤を劇物から除外すべきであるという御意見です。もう1点は、施行後の経過措置期間を長期間に設定すべきであるということです。具体的には、従前の3か月は短いので1年間にすべきであるという内容になっています。こちらの御意見の根拠として、3ページ以降で考察いただいております。こちらは、従前より濃度下限値の設定に当たっては、基本的には劇物から除外するに足る試験成績が必要になっているところです。当該物質については、お配りしている参考資料の「判定基準」に照らすと、原体において、毒・劇物相当となり得る項目は、本編資料の別添2の根拠データで、眼刺激性の部分で劇物相当であろうということで、劇物とすることが妥当であると考えています。それに追加して、吸入毒性試験の部分についても、吸入毒性試験の3段目のマウスの欄を見ていただくと、信頼性が不十分なので劇物相当とした根拠とはしていないのですが、数値的には劇物相当の数値が出ているという状況になっています。
 以上を踏まえまして、御提出いただいた御意見について、ポイントを説明させていただきます。劇物相当ではないと示すためには、吸入毒性について、劇物相当ではないことを示すことが1点。もう1点は、眼刺激性が劇物相当でないということを示すこと。この2点、吸入、眼刺激の両方とも劇物相当ではないことを示していただく必要があると、事務局としては考えております。吸入毒性試験について、事業者様、若しくは業界団体の方からこのような御意見をいただいているのですが、頂いた御意見では、調査会の審議資料に用いられた文献の中で、毒劇物に当たらないとする知見があることから、これ以上の検討は不要である旨主張されています。これは3ページの1の1.に書いてあるとおりです。ただ、こちらは先ほどの重複になるのですが、文献の中には本編資料の別添2で示したように、信頼性の観点から劇物相当とするには不十分ではあるのですが、数値的には劇物相当と見られる知見も、実はあります。この知見の扱いについては、調査会の際に眼刺激の方のデータが明らかに劇物相当であるということで、吸入試験の知見を根拠とするまでもなく、劇物と判定していただいた経緯があります。このような経緯を考えると、事務局としては、吸入毒性試験の知見はまだ不明確ということで、濃度下限値の設定に当たっては、吸入試験の知見も必要であると考えております。なお、今回、0.7%以下を除外したいと考えています。理由としては、事業者様の方で、眼刺激試験だけではなく吸入毒性試験も実施していただいておりまして、それが4ページのデータになるのですが、吸入と眼刺激の両方とも劇物相当ではないとの判定を調査会でいただいていることが理由で、0.7%以下は除外できると結論している状況です。
 2点目の腐食性に関してなのですが、頂いた御意見の中では、当該物質と水酸化ナトリウム等の強アルカリ性の物質について、これらの製剤のpHを比較することで、眼刺激性の強さを考察していただいております。これが当日配布資料の3ページの1の2.以下から4ページ、そして5ページの3「まとめ」と書いてあるところの上までの内容です。これらの当該物質、水酸化ナトリウム等の強アルカリ性の物質についてpHを比較して、眼刺激性の強さを考察しておりまして、結論としては、水酸化ナトリウムの方が、今回の当該物質よりも眼刺激性が強いのだということで記載いただいております。さらに、水酸化ナトリウムにおいては、眼刺激性を示す濃度が1.2%であるという知見があるということを示していただいております。従って、水酸化ナトリウムよりも眼刺激性が弱い今回の審議物質については、少なくとも、水酸化ナトリウムの1.2%を閾値に設定できるのではないかという御意見をいただいております。しかし、頂いた御意見のところなのですが、当該物質と水酸化ナトリウムについては、眼刺激性の強さを比較していただいているのですが、これはあくまでpHを基準にして比較したものでありますので、実際に当該物質の1.2%製剤での動物実験データはありません。従って、参考資料に示した判定基準に照らして考えると、製剤についての知見がある場合とない場合でそれぞれ判定できることになっていまして、「判定基準」の2ページの2.(1)「製剤について知見が有る場合」を御覧いただきたいのですが、こちらは適用できるのは、正に知見がある場合ということになっていますので、今回の場合は1.2%製剤での動物試験データがないということで、この基準では読めないのではないかと、事務局としては考えております。
 以上を前提にして考えると、「判定基準」の3ページ(2)「製剤について知見が無い場合」という部分で、頂いた御意見の中では、実は3%製剤でpHがちょうど11.5になるという情報をいただいていることを考えると、原体でのpHは、少なくとも11.5を超えるだろうということが想定されます。したがって、pHが原体で11.5を超える場合、かつ、製剤について知見がない場合は、「判定基準」の(2)2.の4行目「ただし、pH2以下の酸、又はpH11.5以上の塩基等については、1%未満を含有するものについて劇物から除外する。」と書いてありますので、この判定基準に照らすと、最大でも1%未満ということになると考えております。
 また、施行後の経過措置期間についてなのですが、先ほどと同じ理由によりまして、この品目に限っての特別の理由が、なかなか見出せなかったため、従前通りの期間とさせていただきたいと考えております。長くなりましたが、資料の説明は以上になります。
○大野部会長 ありがとうございます。まず、0.7%の製剤について、これを劇物から外すことに関してはいかがでしょうか。急性経口毒性のLD50が2000mg/kg以上、急性経皮毒性も10000mg/kg以上、急性吸入毒性の最大濃度は4.43mg/Lですけれども、これ以上は上げられないという御説明だったかと思います。皮膚刺激性がマイナス、眼刺激性も軽度の刺激性にとどまったということですが。
○宮川委員 0.7%製剤についての吸入毒性試験のところでの注釈の書きぶりなのですが、結果として、判定基準はミストの場合では0.5~1mg/L(4hr)が劇物相当ですので、これよりも十分大きな値なので、判定には影響はないと思うのですが、経験則から云々、濃度が4.43mg/L/4hrしか出なかった、流量を変えても濃度が上がらなかったなどというのが、多少論理的とは言えないと思います。1分間当たりのそもそものミストの発生量がどのくらいで、実際そこにどの程度の空気を流すかということでもって、最大濃度はいろいろとできると思うのですが、この試験については、結果としてこういうことをやったということが記載されているのみなので、もう少し書きぶりを工夫していただけたらよかったと思います。5mg/Lにいかなかったというのは、実際いろいろやっても可能性は低いと考えているせいもありますが、1分間当たり最大でこれだけ、量としてこれだけしか発生できなくて、濃度としてはここまでいかないということについては、恐らく、もう少し合理的な書き方ができるような気がいたしました。こういうデータが来たためだとは思いますが、その辺りについてコメントさせていただきます。
○大野部会長 結論としては、高濃度までできないということを示す必要があるということでしょうか。
○宮川委員 そうですね。できないということの書きぶりとして、今一つ納得し難い書きぶりかという気がしました。実際、この4.43だけあれば、判定には支障がないので結論としては変わりませんが。
○大野部会長 基準からいくと、この場合であれば劇物ですから、劇物の基準値の吸入での基準値が、ミストでは1mg/L以下のものとなります。基準値では10倍以上、値を超えていればいいということなので、4.43を超えていないのです。
○宮川委員 超えていないのですか。すみません。
○大野部会長 その数値だけだと、LC50が4.43mg/L/4hrだと外せないのです。
○宮川委員 すみません、製剤ですから10倍なのですね。
○大野部会長 ただ、こういう理由で、現実問題としてこれ以上、上がることはないだろうということで、除外してもいいのではないかというところだと思うのです。
○宮川委員 もう一度言い直しますと、実際はここまでしか上がらなかったということだと思いますので、これで結構だと思いますが、書きぶりとして、高い濃度が得られる可能性は低いと考えているという書きぶりではなく、これしか得られなかったと明確に書いていただいた方が、本件として採用しやすいと思います。
○大野部会長 ありがとうございます。赤堀先生、いかがでしょうか。
○赤堀委員 調査会でも同じような発言があったのですが、先生のおっしゃられるように、やはり提出されてくる資料には、明解に具体的なデータ、あるいは、その説明のある理由書として提出されるべきであるという御意見はもっともだと思いますので、今後、気をつけていきたいと思います。
○大野部会長 城内先生お願いします。
○城内委員 0.7%以下を含有するものを除くというのは、多分この形で表に出るわけです。私はGHSをやっているのですが、例えばGHSだと、急性毒性を考えるときは1%以下かどうかで考えましょうという数値があって、世界的に使われていくのだろうと思っています。そうすると、こういう個別の企業の方で何%、多分それは製品を考えてやる試験だと思うのですが、そういう個別のパーセントが、個々の物質に付いてくるようなものが、世の中に出ていくと、特に外国から見たときに、全然訳が分からないのです。果たしてそれでいいのかと、私はずっと考えていまして、できれば、ここでもGHSの判定基準等があちこちで引用されているのですが、もしそうであるならば、1%なら1%で切って、それ以下でも危険有害性の知見がある場合は、きちんと分類をして表示しましょうというような方向にいった方がいいのではないかと思います。今でもそう思われているのですが、このままだと、日本の法律は訳が分からないと、表示や分類に関しては、明らかに世界的な統一の方向でいっていますので、これはリスク管理のための法律だから、それでいいのだといえばそうかもしれないのですが、やはりこのままではあまりにも分かりにくいという印象を持っていますので、是非、検討いただきたいと思っています。
○赤堀委員 そうすると、実際市販されていく製剤は、例えば0.7や0.8などいろいろなものが出てくる可能性がありますが、製剤を劇物から除外するために提出されてくるデータとしては、1%を基準にして、そのデータを出しなさいという形で議論した方がいいと受け止めてよろしいですか。
○城内委員 それは、試験をする側の問題もあると思いますが、分類をこのカットオフ値で考えましょうという統一のものがないと、多分、かなり混乱するのではないかと思っています。
○赤堀委員 ただ、これまでは、やはり製剤については試験データを基にして判断しようということになっていましたから、これを変えることになると、出されてくるデータ、いわゆる試験後、1%なら1%と国際的に通用するような形でのデータを出しなさいということになるのかと思ったのですが。
○城内委員 いや、データは、例えばその会社で製品の中に0.7%あったら、その0.7%でやってもいいと思います。それは1%以下ですから、当然クリアということになると思います。つまり、自社製品に対して安全性を評価するかどうかというのは、その自社の持っている濃度で試験すればいいと思うのです。では、それを分類に持っていくときにどうするかというときの基準は、国際的に整合性がとれたものでやっていかないと、外から見ても分からないという環境です。
○大野部会長 ただ、そうすると、私も赤堀先生と同じような疑問なのですが、例えば0.7%で試験をやっていて、劇物から外れるという結果が得られたというときに、1%のものを外すのかどうかということになると、それは少しリスクが大きいですね。0.7%は外れるかもしれないけれども、1%は超えるかもしれない。1%で試験をやっていれば、0.7%を外すのはよろしいと思いますが。
○城内委員 つまり、1%のところで切るという意味は、基本的には1%以下であればそれほど問題はないでしょうという前提があるわけです。しかし、それはGHSでもそうですが、危険性が考えられる場合には、それはやはり試験した方がいいわけで、基本的には、会社側が自分の製品を自分で試験をして責任を取ることが第一だと思います。行政としては、ある所で線を引いてもいいのではないかという考え方です。
○大野部会長 そうするとGHSでは、現段階で劇物として指定されたものでも、1%以下のものについては、データがなくても劇物から外してもいいという考え方なのですか。
○城内委員 そうですね。それは、先ほどの質問にもつながるのですが、混合物として考えたときにどうかというと、毒物劇物法では、全体としての混合物の毒性は考えていないと思うのです。例えば、急性毒性があるものが幾つか入っていたときに、それを相関的に考えるかといえば、それは逆にないと思うのです。今、持っている法律の中でデメリットとメリットの両方があると思うのですが、どこかで線を引かないと、非常に分かりにくいことになっているのではないかという意見です。
○大野部会長 根本的に日本の規制を変えるような御意見かと思うのですが。
○宮川委員 私の理解では、一般的に1%未満であれば、GHSでは区分1や区分2、区分3、劇物毒物相当のラベル表示はする必要はないけれども、しかし、特段の根拠がある場合には、それを採用することができると思いますので、例えば、0.7%で試験をしたところ、相当の毒性があった場合には、当然、GHS上でもラベル表示等の対象になると思いますし、毒劇物では、もし毒性があれば除外にならないということで、その辺りは矛盾しないような気がします。
○大野部会長 そうすると1%以下で毒性があることを、企業が示す責任があるのではなくて、レギュラトリーサイドが証明する責任が出てきてしまうのではないですか。
○城内委員 つまり、全体的な議論としては、ここの毒物劇物の会議でもやっているように、個々の物質のデータが上がってきたときに、それを議論して、例えばここであれば0.7%がカットオフ値になっていて、そこで判断をしていくわけです。そのプロセスというのは、非常に正確で、非常に精密でいいと思うのですが、逆に言うと、日本では、これから外れたものは、全然何も網に掛かってこないということがあるわけです。
○大野部会長 それは、0.7%を超えるものについては劇物として判定するわけですね。
○城内委員 それで、もう一つ、この毒物劇物部会の会議の議論にそぐわないかもしれませんが、議論したものについては精緻にやっているのだけれども、そこから外れたもの、つまり、毒物劇物の対象外のものについては、何も網が掛かっていない状況なので、私は、そちらの方がとても問題だと思っているわけです。そうすると、あるものは非常に精緻にやって、例えば0.7%という値が出てくるけれども、逆に、毒物全体の大きなところは何も知りませんよという話の方になっていってしまうので、それならば、大ざっぱでもいいから、1%という所で切って、きちんと全体が見えるようにした方がいいのではないかという思いがあって、今の議論につながっているのです。
○大野部会長 日本の現状でも、おっしゃるように、毒物劇物について、指定するかどうかという議論が全然上がってこなかったものについては野放しなわけですね。
○城内委員 そうですね。
○大野部会長 国連でもそうなのではないですか。GHSでも。
○城内委員 それは全部網に掛かっているわけです。急性毒性があると知られているものについてはすべて網に掛かっています。例えばどこで考えるかといえば、1%未満かどうかということで考えているというだけなのです。
○大野部会長 それは、どこかでそういうデータがあれば必ず指定しなければいけないということですか。
○城内委員 そうです。
○大野部会長 行政的なレスポンスは関係なしに、ということですか。
○城内委員 そうです。
○大野部会長 そういうことなのですか。
○城内委員 それは、欧米ではもう法律になって、罰則も掛かっているわけです。そこが大きな違いなので、是非、そこのところを検討していただいた方がいいと思っているわけです。
○赤堀委員 非常に貴重な御意見だと思うのですが、ここのところの判断ではないような気はいたします。
○城内委員 はい。ただ、急性毒性のカットオフ値の50と300はGHSに合っているわけです。ですが、個別の議論にいったときに、このままで本当にこの部会の議論としてもいいのかというのは、私としては少し疑問ですということです。先生のおっしゃることはよく分かります。
○大野部会長 分かりました。ありがとうございます。ヨーロッパなどでは、一定の生産量があるものに関しては、リーチで毒性データが求められますよね。そういうものについては、行政が実際に指定するかしないかにかかわらず、そういうデータが出てくるので、そのデータである程度、GHSで規制物質としてラベリングするものになる。該当するものは自動的にラベリングする義務も出るということですね。
○化学物質安全対策室長 貴重な御意見ありがとうございました。先ほどの城内先生の御意見を実施しますと、恐らく、大分大きな法律改正が必要になると思いますので、なかなか今すぐにどうこうとはできないとは思いますが、今後も国際的な整合性も見ながら、どういったやり方が適当かということで、検討の際の参考にさせていただければと思います。ありがとうございます。
○大野部会長 よろしくお願いいたします。0.7%について、劇物から外すということに関しての結論はよろしいでしょうか。それから、先ほど御説明があった企業の方、協会の御意見では、pHに基づいての判断や、もう少し高いものについての判断などいろいろあったかと思いますが、その説明は説明として、今までの毒物及び劇物の指定のやり方から見ると、具体的なデータがないということで、その理由に基づいて外すことはできないだろうというようなことだったと思うのですが、それについてはよろしいですか。先ほどのものについても、具体的なデータがないから外すことはできないということがありましたし、協会の意見は、刺激性の部分でも、pHが問題で議論してありましたが、pHだけで必ずしも刺激性を判断できるわけではありませんので、ある程度、一定以上とか以下とか、そのものについてはそれに基づいて、試験しなくても強刺激性なり、そういうふうに判断してしまおうという合意はできています。より中性に近いものについてはpHだけで大丈夫だ、などというのは出ていませんので、それだけに基づいて判断して除外するというのはよくないかと思います。それについても却下ということでよろしいでしょうか。
 それでは、0.7%製剤について劇物から外すという結論にしたいと思いますが、よろしいでしょうか。
ありがとうございます。そのようにさせていただきます。
 次の品目です。議題6で非常に長くて読みきれませんが、議題6についての説明をお願いいたします。
○事務局 審議事項議題6、資料6について御説明いたします。
 名称はそこに書かれておりますが、非常に長いので割愛をいたしまして簡単に読ませていただきます。基本の骨格の名称が2,3,5,6-テトラフルオロ-4-(メトキシメチル)ベンジル、その後が立体表記になっていて、-3-(2-シアノプロパ-1-エニル)-2,2-ジメチルシクロプロパンカルボキシラートです。この各異性体又は異性体混合物が五つから成り、含有量の多い順に列記した後、これらの混合物として命名しております。最初の異性体は(Z)-(1R,3R)、2番目の異性体は(E)-(1R,3R)、3番目の異性体は(Z)-(1S,3S)、4番目の異性体混合物が(EZ)-(1RS,3SR)、5番目の異性体が(E)-(1S,3S)、その後に括弧内に各異性体又は異性体混合物の含有量を範囲で、例えば(Z)-(1R,3R)の場合は「80.9%以上100%以下を含有し、」と記載しています。名称については以上です。この物質は殺虫剤原体として上市する予定であり、毒物及び劇物指定令の第2条第1項第32号の有機シアン化合物に該当し、劇物となるものですが、この度、事業者より、原体の毒性データが提出され、劇性を持たないものであることが判明したことにより、劇物から除外するものです。別添1を御覧ください。性状は白色の粉末又は小塊であり、別添2を御覧ください。急性経口、経皮、吸入、皮膚刺激性、眼刺激性試験が行われ、いずれも劇物除外を検討できるものと考えております。よって、調査会では、原体及び製剤について、劇物から除外することは適当であると判断いたしました。御審議のほど、よろしくお願いいたします。
○大野部会長 どうもありがとうございます。名前がたくさん付いているのですが、栗原先生、これは間違いないですか。
○栗原委員 はい。少々複雑なのですが、これは8個の化合物が表記されていまして、その中で、4番目に四つまとめて書いてあるので、それで合計8個の異性体がここに書かれています。間違いないです。
○大野部会長 ありがとうございます。これだけたくさんあると、どこか一つ間違っているかと思ったのですが、もし間違っていると規制上問題になりますので気にしていたのです。どうもありがとうございます。この構造はこれでよろしいのですか、全体的を表す構造として、二重結合のところの付き方なのですが。
○栗原委員 二重結合のところが、実はこれだと1種類になってしまっています。ですから、本当は波線で書いた方がよろしいのですが、そこまで詳しく書く必要があるかということで、代表的なこれを書いておけばよろしいかと思います。
○大野部会長 化学構造は、行政的な通知には出ないわけですね。全体的なイメージとして皆さんに理解していただくためのものということで、この混合物の中の一部のものを指すものと理解しておけばいいわけですね。
○栗原委員 そうです。
○大野部会長 ありがとうございます。毒性的にはいかがでしょうか。シアンが入っているというだけで、自動的に劇物になってしまうわけですが、それを外すためには毒性実験で大丈夫だという証明をしなくてはいけないということで、今回、試験をやったら急性経口毒性、経皮毒性、吸入毒性、刺激性、いずれにおいても劇物に該当しないという結論ですが、よろしいでしょうか。
 ありがとうございます。特に御意見がないということで、よろしいと判断していただけたかと思います。これについても、この部会として、劇物に該当しないので除外するということに結論したいと思います。
 以上で、本日の議題はすべて審議していただきました。今までの議題に関して、また、それ以外について、先生方から御意見ございますか。
 よろしいでしょうか。そのほか、事務局から何か連絡事項はございますか。
○化学物質安全対策室長 当日配布資料4、「参考」と書いてあるものを御覧ください。今回から新しい試みをしております。先ほど御審議いただいた議題3と議題5でも関係団体等から御意見がありまして、少し猶予期間を長く取ってもらいたいと、3か月より長く取ってほしいという御意見がありました。それを勘案しまして、これまで、どの物質を劇物に指定するかという情報が伝わるのが部会の直前ぐらいになっておりましたので、少し不確定な情報ではありますが、今後、事務局の方で、どういったものを毒物あるいは劇物にしていく予定だということを、事前にお知らせできればということで、このような、物質名だけですが、一応、試みとして部会のときに参考資料で配布するということで出させていただいております。ただ、今後の情報の集まり方や状況により、適宜、追加したり、名前が上がっていても検討しないこともありますので、あくまで参考ということでお考えいただければと思います。早めにこういった情報も出すことは重要かと思いまして、作成させていただきました。
○大野部会長 ありがとうございます。これは、関連する業界の人にも目にとまるということで、あらかじめ準備していただくということですね。ありがとうございます。
○事務局 本日御審議、御決議いただいた物質については、次回の「薬事・食品衛生審議会薬事分科会」に報告させていただきます。また、本日の議事録については、事務局において取りまとめをしたあと、先生方に御確認していただいて公開の手続を進めてまいります。以上でございます。
○大野部会長 ありがとうございます。これで閉めたいと思いますが、先生方から最後に何かありますか。
 先ほど城内先生から御意見がありましたが、すぐに対応するのはできないでしょうが、将来の問題として頭に入れていただければ有り難いと思います。何かの機会に対応してくださるようにお願いいたします。
 それでは、本日は御協力していただきまして、どうもありがとうございました。これで本部会を終了させていただきます。


(了)

備考
本部会は、公開で開催された。

ホーム> 政策について> 審議会・研究会等> 薬事・食品衛生審議会(毒物劇物部会)> 薬事・食品衛生審議会 毒物劇物部会議事録(2013年3月14日)

ページの先頭へ戻る