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人材育成事例324

特定非営利活動法人 Asanami Work Camp
生活することの本質を求めて(土台づくりからの人材育成)
情報掲載年度 2016年度
情報掲載日 2017年3月17日
都道府県 愛媛県
資本金 非公開
従業員数 50人未満
産業分類 医療・福祉

当法人は、平成16年に設立され、介護保険法による通所介護事業、障害者総合支援法に基づく事業およびAWC独自の実費による居所提供事業等を運営しています。(別紙1、別紙2)

障がい者(知的障害・発達障害・精神障害等)や更正保護にある人、ひきこもりなどで孤立していた人が、高齢者と活動場所を共有しながら、生活できる工夫がなされています。

利用者である障がい者等も、様々な資格取得を目指し、福祉サービスに携わる職員として活躍しています。正社員18人のうち、4名は非正規からキャリアアップした障がい等で生活に困窮していた職員です。非正規の25人も、ほとんどが障がい等を抱えています。

こうした障がい等で生活に困窮していた職員の人材育成事例を紹介します。

【設立目的】

社会参加、社会自立を図ろうとする障がい者・高齢者および青少年の生活に関する相談に応じ、生活および生活訓練等を実施する事業、並びに働く場所を提供する事業を行い、地域社会全体の利益の増進に寄与すること。



【障がい者等の状況・希望・目標】

当法人の障がい者等は、今の経済社会に参加できるほどの生活スキルや職業スキルを身に付けることができず、生活保護や障害基礎年金よる生活を余儀なくなれてきた。

彼らは、この現状から脱却し、●仕事をしたい ●お金を稼ぎたい ●楽しみを見つけたい ●人の役に立ちたい等の「希望」を持っている。この「希望」に対し、当法人内においてだが、介護・福祉事業所で、清掃、整理・整頓、調理手伝い、介助及び援助補助、営繕活動などの仕事があり、一般職員の指導のもと、生活スキルや職業能力を高め、地域社会においても安定的継続的な生活ができることを目指している。

【自立への道筋】

所内職場実習 → 所内職員(非正規) → 所内正社員登用 → 所外就職(自立)



【自立への訓練および研修】(別紙3、別紙4、別紙5
1.情操等取得訓練 … 人として身につけなければならない意識について学ぶ
2.基本的・継続的日常生活動作訓練 … 生活スキルを一つずつ身に付ける
3.社会的・協調的生活訓練(QOL向上訓練1)
4.職場実習・社会体験学習(QOL向上訓練2)
5.「生活基礎研修・修了証交付」
1~4の訓練を踏まえて、生活の具体的な目標を立てる。通常、半年から1年の訓練後に「生活基礎研修」(48時間)行い、部署の承認により修了証を交付し次のステップへ進む。
《1~5の訓練及び研修概要》
自己の日常生活の基本動作(ADL)や日常生活関連動作(IADL)の本質的理解をはかるため、所内の福祉事業所においてOJT方式により反復訓練を行う。一日の流れの中でも朝の会・昼の会・夕の会として質疑応答形式を取り入れ不安解消に取り組んでいる。
不安や不明点を抱えたままでの研修参加は集中力を欠き失敗を招く。障がい者が不得手とする事態の出現を常に予測させ、パニック状態でフリーズすることがないよう、小グループ・小班制にて情報の共有を図りながら、心身の環境を整えることに主眼を置いている。

6.1or2H(時間給)採用
7.4H(時間給)採用
8.「介護OJT・修了証交付」
法人内介護事業所での勤務を通し、仕事内容の専門性やリーダーシップが意識できるようなOJTを行い、修了者には修了証を交付し、9~11のステップに進む。
9.6H(時間給)採用 … 部署の小リーダーとして、責任を持った行動ができる
10.8H(時間給)採用 … 活動全体の中での役割認識、日課変更への急対応が可能
11.8H(月給)採用 … リーダーシップが取れる、問題解決力、基礎研修講師

【資格取得・自己啓発への支援】
○所外で行われる研修への参加を容易にするために、事前にそのアウトラインの理解、学習を行っており、その内容は介護職員初任者研修、青少年育成アドバイザー、スポーツ指導者資格、アロマテラピー資格取得などがある。
○資格を取るにあたっての日数は制度ではないが有給休暇扱いで実施している。自分の仕事の専門性をアップするため事業所からの推薦で研修を受ける場合においては、費用の全額支給とその期間は有給休暇扱いとしている。
○AWCにおける自己啓発の最大の特徴は、その知的レベルや障害の程度に応じ、公的資格だけではなく、民間が行っているような努力や経験で取得できる資格についても、事業所から本人にあった資格情報を提示している。提示された資格だけではなく、希望する資格についても同じ条件で受講できる。
○AWC独自の教養講座も活発に行っており、修了証明書を発行している。(別紙6
○個々人の能力に線引きをし、資格取得に挑戦する意欲をそぐようなことはしない。

【資格取得・自己啓発支援の効果】
○積極的にチャレンジした介護職員初任者研修にいたっては、13名の者が資格を取得し、現在の仕事の中で活かしている。
○簡単な資格であっても第三者が認めた資格が取れるということは、良い意味でのキャリアとしての自負が高まり、仕事遂行において良い効果が出ている。
○何事も目標を立ててチャレンジすれば何かが身につくという経験になり、自信がつき、ポジティブな考え方になってきた。

【評価】
○職業能力の評価としては、月毎に自己評価、部署評価を実施している。その両者のすり合わせを行う部署会議や、カウンセリングの実施により、客観的に自分の能力を理解できるようにフィードバックしている。
○出来高を競うのではなく、目標(自己実現)を立てそれに到達すべく努力することが大切であり、素直な態度や他者に対する思いやり、やさしさのあふれる意識が持てるような評価を行っている。
○評価ではないが、極力簡単な項目を設定し、対人関係や精神状態の把握のためのモニタリングを月ごとに実施し、職業能力の低下となる心のケアの材料をくみ上げている。

障がい者等がAWCで働き、自信や貯えができると家族が安心してしまう傾向がある。まだ、所外での就労は難しいことを本人や家族にも説明するが、親元に帰ってしまい、また、困窮状態に陥り生活破たんしてしまうケースがある。本人や家族にAWC内での、出来高でなく素直さ、心のケアを大事にする支援の中での現状(心の安定、仕事の継続、貯蓄)があるという認識をしっかりとしていただく必要がある。


・別紙1:AWC事業所
・別紙2:AWC活動のかたち
・別紙3:AWC-TC自立への道
・別紙:AWCーTC社会自立に向けて 就労継続支援A・Bの仕事(活動)について
・別紙5:利用者を支援するためのAWC職員の心得
・別紙6:教養講座の修了証書

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