人材育成事例238
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川崎重工は、国内外の100に及ぶ関連企業とともに“技術の企業集団”川崎重工グループを形成しています。 技術の歴史は100年を越え、磨きあげてきた先端技術をもって新たな価値を創造し、社会の発展に貢献するという理念のもと、陸・海・空はもとより、遥かな宇宙から深海にまで、多彩な製品を送り出しています。 航空機はもちろん人工衛星まで手がける航空宇宙事業。LNG、LPGなどのガス船や潜水艦を得意とする造船事業。 新幹線、ニューヨーク地下鉄など、世界に製品を送り出している鉄道車両事業。ガスタービンやバイオマス発電で実績を重ねるエネルギー関連事業。 さらに各種プラントや環境関連設備、産業機械、産業用ロボット、鉄鋼構造物など、幅広いエンジニアリング技術を必要とするさまざまな事業。そして、Kawasakiブランドで知られるモーターサイクル、ATV、ジェットスキー®、汎用ガソリンエンジン。総合エンジニアリング企業として、また、世界的なレジャー製品メーカーとして、川崎重工は、他に類を見ないユニークで幅広い事業を展開しています。 (川崎重工業株式会社 ウェブサイト) |
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グループミッション:『世界の人々の豊かな生活と地球環境の未来に貢献する“Global
Kawasaki”』
グループのミッションと事業目標を達成する上で、従業員は最も重要な財産※です。当社が大切にしている「自由闊達で風通しの良い社風」をモットーに、従業員が安心・安全な環境で自己の持つ能力を最大限発揮できる働きやすい職場環境を築くために、さまざまな取組みを積極的に進めています。 特に、従業員一人ひとりが多様性を構成する重要な要素であり、多様性=違いを生かそうというダイバーシティの考え方に基づき、「全従業員のワークライフバランス実現に向けての多様な働き方への対応」「女性活躍推進」などを軸とした各種施策を推進しています。 個々人の能力開発の面では、グループミッションに基づいて作成した人財育成マップがあり、「事務・技術職の育成」「生産職の育成(現場力の向上)」「グローバル人財の育成」の大きく3つの柱を掲げて、人財育成を行っています。 ※当社では「人材」を、財産(宝)という意味を込めて「人財」と表現しています。 |
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■働き方の多様性
人財の適正配置および人財の育成、組織活性化を目的として、以下の制度を導入しています。 (1)ジョブ・チャレンジ制度
通常の人事異動とは異なり、“新規事業部門ならびに経営戦略上の重点強化部門への人財投入”や“海外での事業運営を任せることのできる即戦力としての人財の確保”を目的として、社内から広く募集した人財をもって配置・投入を図る社内公募制度です。 (2)FA制度
従業員自らが他カンパニーへの異動を全社的に宣言する制度です。FA宣言者は、受入希望カンパニーや特定部門からの応諾があれば、半年以内に異動することができます。 (3)配偶者海外転勤休職制度
従業員の長期的な就業の継続を目的として、配偶者が海外へ転勤となり、海外で共に生活する場合に、最長3年間の休職を認める制度を整備しています。 (4)特定事由による退職者の再雇用希望申出制度
結婚、出産、育児、介護などにより退職を余儀なくされた従業員が、退職後の事由消滅による再就職ができる状態となったときに会社へ再雇用希望の申出を行うことができる制度を設けています。 ■女性活躍を推進 女性の人数・幹部職員数は年々増加していますが、女性がより活躍できる職場環境の整備・企業風土の醸成が必須の課題であるとの考えのもと、以下の取組みを推進しています。 (1)女性のキャリア促進
・女性の積極採用(2014年度大卒事務系入社者の約3割が女性) ・女性社員ネットワーク「4U(For You)ネットワーク※」を組織 ・若手女性のためのキャリア&コミュニケーション研修を実施 ・社内イントラネット上に先輩女性社員(ロールモデル)のインタビューを掲載 ・女性管理職登用目標の設定(2020年までに14年比3倍にする) ・課長研修内で女性活躍推進について講義 (2)仕事と家庭の両立サポート
・一斉振替出勤日に臨時託児所を社内に設置 ・病児・病後児、時間外労働対応のシッター費用を補助 ・育児休業復帰者およびその上司のための復帰者セミナーを実施 ※4U(For You)ネットワーク
「女性が性別やライフステージに関わらず十分に能力を発揮し、自身と誇りを持って働けるようにする」ということを目標に、2012年度に発足したネットワークです。女性発信で会社をより良くしていきたい!という思いのもと、各カンパニーから選出されたキーパーソンを中心に、さまざまな活動を行っています。 -4Uネットワークの役割-
友:女性同士が知り合い仲間を作り共に成長する 有:知恵を共有し働く女性の悩みを解決する糸口を見つける 勇:先輩の背中を見て前に踏み出す勇気を持つ 結:人と人とを結び声を集めて発信する -活動内容-
・若手女性のためのキャリア&コミュニケーション研修を実施 ・社内イントラネット上に先輩女性社員(ロールモデル)のインタビューを掲載 ・育児社員へのアンケートを実施。アンケート結果・先輩体験談をイントラに掲載 ・女性社員およびその上司に「女性のキャリアに関するアンケート」を実施 ・人事担当役員に女性活躍推進の課題及び解決策を提案 ■障がい者の活躍を推進 手話通訳をつけた社内研修を実施するなど、聴覚に障がいをもつ従業員の研修受講機会の拡大を図っています。ほかにも、障がいを持つ従業員がより活躍できるようバリアフリー化にも積極的に取り組んでいます。 2013年度には「ダイバーシティ推進」の一環として特例子会社である(株)川重ハートフルサービスを設立し、さまざまな障害を持つ方々がその特性に応じて活力を持って働ける環境を確保しています。社名に用いている「ハートフル(Heartful)」は“心いっぱいの”“心のこもった”という意味を持つ和製英語です。そして、「サービス」は“おもてなし”です。従業員が心いっぱいのおもてなしの気持ちでいきいきと働き、関わる人々が笑顔になることを目指しています。 ■非正規従業員 (1)正規従業員への登用制度
特定の有期雇用従業員や派遣労働者を正規従業員(呼称は「パートナー社員」)として登用する制度を導入しています。 ■高齢者 (1)社外チャレンジ制度
定年到達以前の従業員(55歳、57歳の幹部職員)が、新たな活躍の場を社外で求めたい場合、その勤務先への出向を会社が支援する制度です。原則的に、勤務先は従業員自ら開拓します。 (2)研修・セミナー
(a)50歳代幹部キャリアセミナー
「今までの経験や能力の棚卸しを行い今後のキャリアについて考えることを通じて、仕事や人生の充実を図る」ことを目的に実施しています。主な研修内容としては、“自身のビジョンをまとめる”と“仕事と介護の両立に必要な知識を得る”をテーマにしています。 (b)生活設計気づきセミナー
「今後10年間、会社でどのように処遇され、どのように働いていくのかについての理解を深め、自身の生活設計を行う上での気づきを得る」ことを目的に、導入しています。対象者は55歳の従業員です。主な内容としては“会社における60歳以降の処遇について学ぶ”と“退職後の私生活の変化に備える”をテーマとしています。 ■生産職の技能や現場力を向上 ものづくり企業の根幹を支える現場力の維持・向上は製造業にとって重要な課題で、当社では生産職を対象とした階層別研修のほかに、各種技能競技大会への出場支援や奨励金制度を行っています。 (1)技能競技大会
全国の技能競技大会(技能グランプリ、ものづくり兵庫技能競技大会)や社内の技能交流会へ出場する若手生産職を支援しています。大会で競う技能は、業務で必要とされるスキルと異なることもありますが、自ら出場希望した選手たちは“いいモノつくろう”という信念のもと、着々と自身の腕を上げていきます。 選手の努力や大会での成果は、後世代のモチベーション向上と職場活性化にもつながり、年々参加を希望する若手生産職が増えています。また、職場の壁を越えた応援は社内に良い風を吹き込んでくれます。 2014年度の「技能グランプリ」では、「旋盤」職種で当社の選手が「女性初の入賞」という記録を残し、ますます社内外の注目を浴びています。 (2)奨励金制度
現場力向上にあたっては、あらゆる職場における技能の伝承が重要な課題となっています。この課題を解決するためには、技能の伝承を担う“熟練生産職”と技能を継承する“次世代生産職の双方”が主体的に取り組む環境作りが重要です。当社では「範師制度」を「技能資格早期取得奨励金制度」を導入し、より効果的・効率的技能伝承を図っています。 (a)範師制度
56歳以上の“伝承すべき技能を保有し、それを後進に指導・伝承する者”を範師として認定し、計画的かつ意欲的に次世代へ技能を伝承することを支援しています。範師は年間の技能伝承計画(フォローシート)を作成し、特定の継承者において計画の実行およびフォロー(範師活動)を行います。範師活動の実績に応じて、年2回技能伝承奨励金を支給します。 (b)技能資格早期取得奨励金制度
技能伝承にはその技能を受け継ぐ世代の育成とレベルアップも重要です。また、技能に対する意識づけを若いうちから行うことも必要であり、当社では全社共通の技能資格の早期取得目標を設定し、早期取得者へ奨励金を支給することで、その促進に努めています。 |
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昨今の事業のグローバル化の進展にともない、現在実施している人財育成施策をグローバルに拡大していくことが必要になると考えています。 また、全従業員のワーク・ライフ・バランスの実現をめざし、育児・介護との両立ができるような職場風土づくりや、生産性向上等による働き方の見直しなど、様々な取組みを今後も積極的に行っていきます。 |
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【会長奨励】 |