人材育成事例191
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酒田工場は2000年7月に国内3カ所目の生産拠点として設立されました。その背景には、優秀な労働力、製造に欠かせない良質な水、豊かな自然を持っている当地域について、山形県や地元自治体が継続的で情熱的な誘致活動を行った結果があります。 当工場では、化成品(自動車用塗料原料等)、電子材料(液晶用材料、半導体用等)、機能化学品(化粧品原料、プリンタインクジェット用原料等)を製造しています。工場内は豊かな緑化地帯にこれらを製造する4つの製造プラントと原材料倉庫、製品倉庫、製品の分析評価を行う技術センター、排水処理施設が配置されています。 業種の特性から、安全対策には最優先に取り組み、社内消防組織を構築して、消防車、消火器、スプリンクラーが適切に設置されています。 マネジメントシステムの運用にも力を入れており、2003年にISO9001、2005年にISO14001、2007年にOHSAS18001を認証取得しています。また、目で見る管理や改善活動を継続的に行っており、OYPM活動(Osaka Yuki Productive Maintenance)として、全社員が設備保全、品質管理、教育訓練に取り組んでいます。 そこには、経営理念の礎となった創業者が経営から学んだ人間として一番大切な考え方が脈々と息づいています。それは次の言葉です。 人間として一番大切な事 一、人を愛する心
一、人を敬う心 これを具現化するために創意や工夫を積み重ねてモラルの向上、社員のモチベーションの向上・スキルの向上、3ム(ムダ、ムラ、ムリ)の撲滅、5S(整理・整頓・清掃・清潔・躾)活動に取り組んでいます。そして、日本一きれいな工場を目指しています。 (大阪有機化学工業株式会社酒田工場 ウェブサイト) |
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グループ全体の理念は次のように定められています。 経営理念◎私たちは『約束』を大切にします。・法律の遵守は最優先事項です。違法行為はもちろん、誤解を招くようなまぎらわしい行為も行いません。
◎私たちは『コミュニケーション』を大切にします。
・お客様との契約内容は正確に伝え、確実に対応します。 ・地球環境や社会との繋がりを大切に考え、社会道徳やモラルに反する行為には厳格に対応します。 ・社外においては、お客様の話をよく聞き、お客様のニーズに的確に対応します。
◎私たちは『モノづくり』に対する好奇心を大切にします。
・社内においては、職位にとらわれることなくお互いの考えを聞き、共に気づき成長していきます。 ・自分で考えることを応援し、どんな小さなアイデアでも大切にしていきます。
・モノをつくる喜びを共有し、『モノづくり』が大好きな人を育てます。 これを受けて、品質方針の行動指針の中で人材育成については次のように定めています。 ・品質に対する全社員の意識の高揚と人材の育成をする。
・継続して社会や顧客の期待に応えられるよう将来を担う人材の育成をする。 そして、酒田工場が属している生産本部では次のように定めています。 ・各部門は利益貢献を意識し、製造原価低減を実現できる人材の育成(マルチ化、ミスの少ない人材等)を目指した人材育成を実施する。
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以上を受けて、次のことを実施しています。 1.新入社員採用されると専門分野にかかわらず本社で1ヶ月間の研修を受けます。ここでは、当社の基本的順守事項(就業規則、安全衛生、コンプライアンス等)、社会人としてのマナー、当社の製品の詳細等について学んでいます。その後各工場に3ヶ月間は仮配属され、各部署で製品や製造プロセスについて経験し、その後に本人の希望や適性等から本配属されます。 当工場の1年間の教育訓練計画に従って実施します。具体的な例として次の取組みを行っています。 ・総務部企画教育:情報セキュリティ教育(パソコン業務における情報漏洩防止の教育)、コンプライアンス教育(各種法的要求事項等)、メンタルヘルス教育(メンタルダウンに気づけるようにするためなどの教育)、リスク管理教育(リスク洗い出しの着眼等の教育)
3.管理者
・業務課、品質管理課、防災担当企画教育:変異原性教育(変異原性を有する薬品の周知等)、危険予知訓練(危険に対する感受性の向上等)、ライフゼム装着訓練(緊急時に早急に対応するための教育)、PM教育(改善事例の水平展開等) 管理者教育は総務部が企画して次のことを行っています。 ・マネジメント強化教育:コーチング研修、管理会計(業績管理)研修、内部統制研修
4.資格取得教育
・管理者資質強化教育:管理者心得研修、問題解決力研修(ロジカルシンキング)、財務知識研修 これは、上司と本人で適宜年度初めに取得目標を決めて取り組むものです。そのため、特に年間教育計画には盛り込まれてはいませんが、取得した際の一時金や資格手当に連動しているので、各部門が熱心に取り組んでいます。 現在会社が必要として認めている公的資格が40種類あります。それを各個人が自分の職場や今後のことを考えて取り組むのですが、特徴的なのは、当該職場から異動で離れたとしても、当該資格の保有者として保有手当が支給されることです。また、特に取得する資格数の制限もないので、自律的に資格取得者が増えていく仕組みとなっている点がモチベーションの維持向上や全体的な管理水準の向上につながっています。 (1)OYPM診断 他の工場も含めて全社的に取り組んでいるもので、外部委託しているコンサルタントや社長が各工場を回って、冒頭で紹介した日本一きれいな工場の実現を目指しています。具体的には、生産設備のあるべき姿を目指しての5S、定置管理、MM管理(目で見る管理)の追求です。進め方は中間診断、事前診断、トップ診断が行われて、社員が改善提案を実行しています。会社としてはこれを教育の一つとして位置づけて取り組んでいます。 (2)創立記念行事 創立記念日である12月に全社員(約350人)に大阪本社への参集を呼びかけて、社長の所感や5S表彰、後述の伝達教育の貢献者の表彰を行っています。これによって社内コミュニケーションを円滑化して社員のモチベーションを高めるとともに、会社と社員の信頼関係を太くしています。 (3)伝達教育 プラント毎に点検技能習得やワンポイントレッスンシート(写真や図をふんだんに盛り込んでいる)を掲示して、周知並びに伝承を図る取り組みも行っています。 |
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・マルチ人材の育成とミスの最小化 |