人材育成事例182
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A社は、戦後の高度経済成長を支えたエレクトロニクス産業の発展に合わせて、昭和38年6月、国内基幹産業向けワイヤーハーネス(集合電線)の製造を目的に設立された。 当時国内トップで、福井県最大の地場産業の繊維産業が、日米繊維摩擦を端とする長期凋落傾向下の、企業の業種転換のモデルともなるべく、関西・中部圏市場を背景に、電子部品製造業の立地により地場産業化を目指した。従来の制御用信号の伝達手段である配管・配線に変わるワイヤーハーネスの登場が大きく寄与し、家電から自動車、新幹線から宇宙ロケットまで、すべての産業でワイヤーハーネスが採用され、現実的標準化がなされた。このような状況の中A社では、激しい競合が予想された民生用の小型ワイヤーハーネスの生産ではなく、基幹産業用に焦点を絞った特殊性の高い中・大型のワイヤーハーネスの生産に取り組んだ。創業当時は大量生産・消費は美徳の時代で、大企業など誰もが見向きもしなかった大型少量の分野に取り組んだ結果、新幹線車両用のワイヤーハーネスの受注に成功し、業界での優位性につながり、業績に貢献している。 |
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A社は3事業部門で事業展開中であるが、草創期から今日まで、大幅な人事異動をほとんど実施してこなかった。各事業部の所在地が県内3箇所と国外1箇所に分かれており、長期間地域労働力の積極採用を心掛けてきたため、一般的な定期人事異動になじまなかったからであった。 しかし今後は、総合力を生かした企業力アップを図るため、部門を横断する横の連携を強化し、グループ全体としての評価制度を確立する必要があった。 (1)支援内容 グループ全体として新たな人事評価制度を構築するに当たり、総合的なレベル設定をいかに公平に行なうかが大きな課題となった。 プラントシステム部門では独自の「資格試験、技能認定に係わる規定」が存在し、既に運用され、資格手当として支給されていた。そのため、プラントシステム部門の試験別ランクに、他部門の試験別ランクをいかに設定し、すり合わせていくかが人事評価制度構築の取り掛かりとなった。 (2)支援のポイント 総合的なレベル設定を行なうにあたり、部門ごとに求められる知識、経験などを洗い出す作業を支援するため、中央職業能力開発協会の職業能力評価基準を活用した。 |
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今回の業務内容の洗い出し作業を通じて、部門を超えた共同作業を行なうことができ、部門間でコミュニケーションを図ることができた。今後は総合的なレベル設定を具体的に進め、会社の求める人材の見える化を図っていきたい。 |