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人材育成事例101

株式会社ホテルリッチ酒田
一期一会のおもてなしのために
情報掲載年度 2013年度
情報掲載日 2014/2/1
都道府県 山形県
資本金 5000万円以上~1億円未満
従業員数 50人以上~100人未満
産業分類 宿泊業・飲食サービス業
●ホテル経営
●宴会場・結婚式場・レストランの経営

当ホテルは昭和53年にオープンして、平成11年に現社長が経営を引き継いでから15年になり現在に至っている。それ以降、黒字基調を堅持して平成18年には全面改築を行なって当地域の唯一のシティホテルとして顧客に支持されている。

改築にあたっては、そのコンセプトとして環境に優しいホスピタリティとしてデンマークのグリーンキーを取得している。


株式会社ホテルリッチ酒田 ウェブサイト

当社の経営理念や社是、人材育成方針としては下記を設定している。


経営理念

私達は、お客様への心もこもったおもてなしと快適さを提供し、お客様の生命・財産を守ることを最も大切な使命と心得ています。
そして、お客様が言葉にされない願望やニーズを先読みしておこたえするサービスの心と感謝の気持ちを持ち続けます。

志を高め、誠実さと常に創意工夫を心懸け、情熱を持って前向きに仕事にあたることにより、お客様に従業員に、その他企業をとりまく全ての人に喜ばれ、信頼される企業作りを目指します。

以て社会と従業員と会社の末永い繁栄と幸福を願うものです。

社 是
お客様第一主義
社会への奉仕と貢献
オンリーワンへの挑戦

社 訓
1.私たちは、お客様に満足される商品とサービスの提供に努め、お客様に信頼される企業を目指します。
1.私たちは、健全かつ公正な経営を旨として、永続的な発展を図り、仕事を通じて、世のため、人のために尽くします。
1.私たちは、自由闊達の社風を尊重し、従業員の自主性・創造性・チャレンジ精神を大切にする人間尊重企業を目指します。
1.私たちは、各人の全力遂行と衆知結集で、より高い目標達成の喜びを分かちあいます。

以上のように、社長はその業種の特徴からして社員一人ひとりの意識・認識を高めその場その場で、適切なおもてなしができる社員の育成を図ることを方針としている。

(1)新入社員教育

当社の長い事業経験からまとめた数十頁のマニュアル「ハウスルール -家族のようなサービス言葉づかい-」により基本教育を行なっている。これには、言葉づかいや爪・頭髪などの身だしなみのチェックなど、おもてなしのための最低水準の内容が込められている。

この後、後述の一人ひとりの職域の広域化のためにも全部門を約1年かけて経験させて、本人の適性やその部門の状況を見て配置される。


(2)全社員

1)QC活動

これは、他の企業でも良く実施されているが、当社でも3年ほど継続して行なって人材育成の観点からは一定の効果を得ている。ただし、マンネリ的な状況も出てきているので現在は停止している。この活動によって、社訓にある自主性やチャレンジ精神を広げる一助になっている。


2)ISO9001の認証取得

これはホテル業界における県内初の取得を平成14年に行なった。これには中間管理者が中心となって、各プロセスの明確化、必要と判断した文書化、顧客志向のさらなる重点化、P,D,C,Aの確実化、管理の見える化を推進した。これらによって、特に中間管理者の意識改革の一助になったと評価している。


3)グリーンキーの認証取得

これは、今後の環境負荷低減の先取りとして、平成21年5月に国内初の認証を受けたホテルである。社長はホテルの差別化戦略の一つとして、そしてこれに取り組むことはISO9001の考え方に加えて、環境面での社員の意識向上、コストダウンを目的とした。

この規格は、デンマーク発祥の環境保護の第3者認証制度であり、水・エネルギー消費の削減、廃棄物の減量、オーガニック商品の活用など、94項目の基準のうち80以上の基準を満たすことが要件となっている。もちろん、環境に配慮した設備など物理的な環境整備も必要だが、グリーンキーの認証基準にはマネジメントやコミュニケーションに関するものも盛り込まれており、従業員・宿泊客・仕入先などホテルに関わる全ての人々への環境教育の推進にも力を入れているのが特徴的であり、これを継続していることで社員の教育機能としても位置づけている。


4)社内木鶏会の実施

これは、月刊誌である「致知」を全社員分について会社負担で購入して、社員育成に活用しているものである。

取り組み方としては、次のようなプログラムである。

1) 毎月の記事から社長が今回のテーマとするにふさわしい数点を選んで、全社員に提示する。
2) これらの記事の中で、社員自身が興味の持った内容や琴線に触れたことについて感想文を書く。
3) その後、毎月定期的に3人ずつのグループに分かれて、リーダー、発表者をその都度決める。そこでは、リーダーが進行役となって他二人の感想や考え方を聞いてお互いに意見交換を行なう。
4) 約1時間後に各グループの発表者が全員の前で、自分のグループでの意見交換の内容や感想を述べる。
5) 最後に社長が全体講評やコメントを述べて終わる。

これに全社員が参加できるように(勤務はシフト制であり、全社員が一堂に会せないので)2回に分けて毎月行なっている。

これを5年間継続しており、社員のものの考え方、感じ方、議論の仕方など変わってきており、応用動作が求められるホテル業の社員として効果が上がっているとの社長の評価である。


(3)中間管理者

中間管理者としては、毎月の営業会議が育成の場と位置づけている。現在当社には、フロント、宴会・サービス・厨房、レストラン、営業、婚礼、婚活、総務の8部門があり、社長はじめ全部門長が毎月出席して実施している。

具体的には、計数的な情報共有の他に、適宜社長から部門長として備えておかなければならない知識や物事に対する考え方を伝えたりしている。最近の例では、手段が目的化する場合が多いので、その場合の気づき方や修正の方法、結果の違いなどの内容や、“勘定合って銭足らず”の意味と重要性なども社長から部門長に伝えている。

また、目標管理には力点を置いている。しかし、結果だけを求めると短期的視点に陥ったりする弊害も懸念されるので、P,D,C,Aを部門長には特に意識させている。例えば、結果が上手くいってもなぜ上手くいったか、その要因はPなのかDなのかを考えさせるのである。また、目標が未達の場合は、そのPに問題があったのかDに問題があったのかを本人に考えてもらうのである。それらのやり取りを他の部門長が聞いていることで彼らにとっても良い育成教材となる。

これらを日常に行なうことによって中間管理者が育っている。

当社の一番の課題は中間管理者のさらなる育成である。これまでの経験から各種セミナーや研修会に派遣しても、一過性に終わる傾向にあるため継続性につながる育成方法を模索している。現状では上述の木鶏会や営業会議で図っているが、高まる顧客のニーズ対応や変化する経営環境への追随には(まだ具体策が固まっていないが)次の取り組みが必要と考えている。

今後は、社員全員の守備範囲の拡大化(多能化)である。現在の自分の担当しかできないと言うことでは、“おもてなし”という観点から遠くなってしまう。“おもてなし”は総合的サービスである。そのためには、社員自らが総合的になってもらわなければならない。総合的でありかつ自分の専門を持つイメージである。このためには会社の支援体制の見直しや何と言っても中間管理者の意識や資質にかかっている。

最後に、社長は社是・社訓に定めたことを実行するには細かいことはもちろんのこと、物事の考え方や感じ方が大切で、それを踏まえた上で技能や技術がついてくると確信している。そのために自ら考え、発想して、企画・行動する社員が多くなることを期待している。

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