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人材育成事例074

国産化成工業有限会社
基本を大事にした人材育成
情報掲載年度 2013年度
情報掲載日 2014/3/8
都道府県 山形県
資本金 1000万円未満
従業員数 50人未満
産業分類 製造業
プラスチック成形業

当社は1969年に東京大田区でプラスチック成形業を始めた。1984年には手狭になってきたことにより藤島工場として現在地に新築した。また、1995年に2代目が引き継ぎ、2006年に現社長である3代目に引き継がれている。
現在は成型機14台を保有して、生産額の自動車関係7割、家電関係3割の構成である。

(国産化成工業有限会社ウェブサイト)
経営理念
●お客様満足、従業員満足、企業の満足の3つの満足を目指し、会社活動及びものづくりを行う。
これが示すとおりに、“従業員満足”が重要な理念の一つとなっており、それは次の内容である。従業員満足の中には給料の処遇や福利厚生も含まれるが、この規模で賞与も継続して出している。その他には社長の考え方で障害者も雇用して皆がやりがいを感じ、仕事の大事さを共有して、チームで行なう満足感や達成感を味わうことである。これが実現されるように、またそのレベルが高くなるようなイメージで社長は人材育成の基本的考え方をもっている。
その大前提としては社員一人ひとりが仕事に対する基本や土台がしっかりできることを目指している。基本や土台がしっかりしていると新しい仕事や応用行動を求められたときに、素早く迅速に対応できるからである。
当社では、多くの社員に役割を持たせて意識付けを高めている、例としては、品質管理責任者、内職管理責任者、教育係などである。
そのためにも、次のような具体的取り組みを行なっている。

(1)取引先での教育訓練
1)検査員
最近は自動車関係の部品が多くなってきたので、その品質保証の要求が厳しくなってきた。その一例としては顧客要求に基づいた検査員の認定が必要であり、そのために顧客のカリキュラムの研修や試験を受けて、認定を受けるのである。また、検査員として顧客認定を受けた社員が当社内で研修会の講師となって、他の社員に教育を実施している。教育を受けた社員は顧客で試験を受けて、合格すれば認定をしてもらって検査員として活動している。
このように顧客認定が必要な職種については社内でも養成でき育成する体制を整えている。

2)オペレーター
当社はプラスチック成形が主たる業務なので、成型機のオペレーターの技能が品質を大きく左右する。これについても顧客が企画する勉強会やセミナーなどに積極的に派遣してその向上に努めている。
例えば、成形不良の一つに炭化があるが、それは成型機の計量工程で不要な酸素が入り樹脂が炭化(黒く変色)してしまうのである。また、炭化を防ぐ対策はいくつかありどの対策を選択するかは、会社に任されている。派遣したオペレーターがそのテーマについて学んで社内に持ち帰って検討した結果、計量工程付近を窒素雰囲気にして、炭化が出ない工夫をした。いろいろ試行錯誤を重ねて、結果として顧客の外注先のプラスチック成形企業の中ではトップクラスの品質が保てるようになった。


(2)技術伝導会
これは、長年プラスチック成形に従事してきた社員がまもなく定年になるという3年前から始めたもので、月1回の割合で成型機や温調機、取出機など当社で使用している機械の特徴や癖、メンテナンスなどを若手に伝承する教育である。例えば、樹脂には熱硬化性と熱可塑性があり、それぞれの機械の成型条件の違いや実験や実演を通して、教育するものである。
現在熟練社員は退職したが、緊急時や必要に応じて来社してもらって技術伝導会を継続している。

(3)OJT
これは特に、新入社員が入ってきたときに教育係が主になって、樹脂、成型機等の機械、製品の良否などを教え込むものである。これについての期間やテキストは決まってはいないが、教育係がある程度“良”と判断するまで続ける。

(4)ビデオ研修
数年前には山形県職業能力開発協会で貸し出しているDVDの申し込み件数がトップになったほどで、現在でも継続的に実施している。その内容は、5S、品質管理、マナー、TPSなど多岐にわたる。これを新人にはOJTと組み合わせながら、ベテラン社員には再確認や振り返りのために行なっている。

(5)技能検定取得推進
これは、国家資格である技能検定を取得することを会社として奨励しているものである。そのために会社で定期的に継続的に研修に派遣したりはしていないが、毎年受験希望がある社員には、受験に備えるための時間確保の配慮や受験料の負担を行なっている。そして、合格すれば技能手当として、3級で3,000円/月、2級で6,000円/月、1級で9,000円/月を支給している。

(6)外部派遣研修
地元には山形県高度技術研究開発センター、山形県工業技術センター、公益財団法人庄内地域産業振興センターなどの公的機関があり、定期的に研修やセミナーを開催している。
当社ではOff-JTの一つとして、必要と判断したカリキュラムに派遣している。最近では、トヨタ生産方式(TPS)生産管理者講座、自動車部品の加工技術講座、コミュニケーション研修など、可能な限り派遣している。
現在、当社には顧客から増産や新しい製品の製造などの打診もある。それらの要求に応えていくためには、設備投資などのハード的な分野の他に、人的投資の必要性がさらに高まっていると認識している。
当社は上記で述べたような具体的取り組みを行なってきたが、さらに以下のように課題に取り組む考えを持っている。

(1)計画性の推進
これまでは特に計画を立てて教育訓練を行なってはこなかった。Off-JTでも社長が案内チラシなどを見てその都度判断していた。
これを事前に今期の目標や状況から当社に必要な育成内容は何かを決めて計画を立てるのである。そのためには情報収集も必要であるが、それはより効果的な育成につなげるための時間投資として捉えていくのである。
さらには立案する計画を下記の(2)の個人目標および(3)力量の向上と一体的に運用することによって、育成計画やキャリア形成計画にもつながっていくイメージを持っている。

(2)目標管理により人材育成
これは、本人との面談を通じて自分の力量向上の目標を設定して会社がそれをサポートする取り組みを行なおうとするものである。これまでのその都度の教育では効果が発揮しにくい。本人の動機付けのためにも有効であると考えており、今後の課題として考えている。

(3)力量表の有効活用
以前は力量表を作成した時期があったが現在は運用されていない。この原因は仕組みとして機能していなかったので、今後は上記の(1)、(2)と組み合わせてシステムとして運用していく課題がある。

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