人材育成事例017
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データ入力サービス、スキャニングサービス事業親会社(フジアルテ株式会社:大阪を本社とし、東京をはじめ全国に拠点をもつ製造アウトソーシング会社)では、もともと障がい者雇用に積極的に取り組んでおり、障がいのある従業員は、本社自社ビル内、社員寮の清掃業務や本社管理本部の事務などに従事していました。 現在でもグループ全体で雇用している障がいのある従業員の約半数は本社雇用です。 親会社に加え、さらに雇用を拡大すべく、特例子会社として当社は設立されました。 設立するにあたり、キーワードとしたのは、障がいのある従業員と障がいのない従業員との「共生」でした。「雇用率」の数字を重視するではなく、障がいのある従業員と「共生」できる会社を目指そう!と考えたことが根底にあり、それが障がい者特例子会社を設立する契機となりました。 特例子会社では、データ入力サービス、スキャニングサービス事業を行なっています。設立以降、徐々にメンバーも増え、現在(平成27年2月16日現在)は23名の障がいのある仲間が在籍しています。 (フジアルテスタッフサポートセンター株式会社ウェブサイト) |
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運営の方針としては「障がい者の雇用と自立支援」を掲げており、具体的には、障がい者個々の能力・適正に応じた作業の提供による就労意欲の向上と個々の永続的な人間的成長」を理念としています。 |
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(1)発達障がいのある従業員向けのビジネス基礎研修平成25年2月、大阪障害者職業センター南大阪支所との協働で、主に発達障がいのある従業員向けの、ビジネス基礎研修を企画・実施しました。 内容は「会社で働く」「プロ意識・責任感」「暗黙のルール」です。 「働く」「給料」「御客様」「納期」「ミス」「品質」のつながりについてを解説し、どういう仕事がみんなの給料につながっているのかを知り、みんなが気持ちよく働ける環境にするために、他人への配慮や「暗黙のルール」があるのだ、ということを理解して、実践するという目標で企画しました。 一般的な座学のみではなく、職場によくある場面を想定したロールプレイ形式も加え、みんなで考える場を設けました。例えば、お客様への挨拶の仕方や休憩時間の話題など、実際の職場の場面を想定し、良い見本と良くない見本を見た上で適切な答えをみんなで考えました。 (2)OJT制度障がいのある従業員がOJTトレーナーとして後輩や実習生へ自ら教育を行なっています。 先輩が後輩を教えるというごく自然な形をとることによって「OJTトレーナー」として自覚させ、OJT制度をルール化して運営しています。 ここは福祉施設ではなく「会社」だと認識し、「仕事」に携わってほしい、と考えています。質問する相手が明確になることで質問しやすくなるという点だけではなく、OJTトレーナー自身が、自ら仕事を教えることにより、自分の仕事も復習でき、やりがいを感じることができるなど相乗効果ももたらしています。障がいのある方ない方、私たち誰でも言えることですが、誰かになにかを教えることで自分自身が一番成長できると思います。 また、実習生については、障がいのある人が、実際の職場における体験実習を通じて、就労に対する意欲と自信を深めてもらい、社会に出る足がかりとなるように、受入れ活動を続けています。(実績:2012年度42名、2013年度49名、2014年度49名) (3)評価制度大阪府労働局労働基準部賃金相談担当者からアドバイスを受けながら、平成26年度から契約社員についても評価制度のテスト運用を開始しました。 在籍年数だけではなく、職業準備性、仕事の正確性などを合わせて評価し、結果は昇給と寸志に反映させています。 一般的な会社が、従業員を評価するにあたり、中心となるのは「業務」そのものだと思いますが、当社のような障がい者特例子会社でかつ身体・精神・発達障がい、それぞれ障がいの内容が混在する会社では、「業務」のみをフォーカスして評価するのは少し乱暴だと考えました。 自己啓発の分野に近いものがあるかもしれませんが、当社では、「業務(能力評価)」のみではなく、「職業準備性(行動評価)」を具体的に評価していこうと考えました。「業務(能力評価)」と「職業準備性(行動評価)」の割合は、全員がいつでも50%-50%ではなく、個人の経験・力量・障がい特性を総合的に判断し、半期ごとに個別に割合を知らせます。(例えば80%-20%40%-60%など) 自分で、もしくは支援者や家族と一緒に、整える努力をすれば高まっていく「職業準備性」を具体的に評価することで、一人ひとりが考え、不十分なところがわかれば、自分でやってみる・自己啓発による訓練を積むなどにつながると考えています。また、会社が「職業準備性」をフォーカスしていることを、制度として従業員に公開することで、自己啓発へ対する気持ち、機会は増えると考えます。 |
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当社は「会社」です。福祉施設ではありません。利益を求めなければいけない立場であることも事実です。仕事がなければ雇用は生まれないからです。 現在は、親会社をはじめグループ内からの仕事を、シェアードサービスの一環として、この障がい者特例子会社で行っています。(内販)加えて、グループ外のお客様からの受注も得て(外販)、両方の仕事で運営を行なっています。 当初、親会社の中には「子会社のために、自分たちの仕事を切り出す」というイメージが強く、抵抗があったことも事実です。 現在は、「障がいのある人のために」仕事を生み出すのではなく、障がいのある従業員に「任せられる仕事」をグループ会社全体で考えて「共生」していきたいという考えが浸透しつつあります。当社は、会社の規模が小さく、障がい者特例子会社としては設立から日も浅く、まだまだ発展途上です。 現在(平成27年2月16日現在)、大阪府堺市において障がい者特例子会社は当社1社です。そのこともあり、障がい者雇用促進において、「堺市を代表している!」というくらいの使命感を持って取り組んでいます。 障がいのある方を積極的に採用し、教育させていただこう!それが与えられた役割なのではないかと非常に僭越ながら考え始めています。 |
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【会長奨励】 |