IDESコラム vol. 8 感染症エクスプレス@厚労省 2017年12月1日
「父が帯状疱疹になりました。」
IDES養成プログラム 3期生:西島 健
今年70歳になる父が、帯状疱疹になりました。
なんだか首のあたりに強い痛みがありちくちくすると言っていたら、そこ
にぼつぼつが出てきたので医者にかかったところ、帯状疱疹です、と言われ
たそうです。
運の悪いことに、帯状疱疹のできた場所が右耳の周りという敏感な部分で、
痛みが強いそうです。抗ウイルス薬を10日間飲んで、その後も痛み止めを飲
み続けていますが、帯状疱疹がでてきてからほぼ1か月経った今でも、ちく
ちくする頑固な痛みが残っています。本人曰く、擦れると結構痛いので好き
なテニスもできず、家で横になる時間が増えてストレスがたまる、とのこと。
典型的な「昭和の頑固親父」である父ですから、同居する母の負担やストレ
スも増えていないかも少し心配。
先日両親の古希を家族で祝ったのですが、帯状疱疹のあった皮膚はきれ
いに治っていました。ただし、痛みは続いている、と。いわゆる、「帯状疱
疹後神経痛」になってしまったようでした。このように、帯状疱疹は見かけ
上は治っても、頑固な痛みが長く続いて、その痛みをきれいさっぱり取り除く
のは難しいことがよくあります。
帯状疱疹は、水痘・帯状疱疹ウイルスが起こす病気です。水痘・帯状疱疹
ウイルスは人に感染すると、水痘(いわゆるみずぼうそう)を起こした後、
体の中に潜伏します。そして、高齢になるなどの理由で、身体の免疫力が下
がるとウイルスが再活性化し、帯状疱疹を起こすことがあります。80歳にな
るまでに3人に1人が帯状疱疹を経験する、との推計もあり、高齢化が進む日
本では、帯状疱疹を起こす人は年々増えています。
しかし、水痘、帯状疱疹ともに、ワクチンで予防することが可能な疾患で
す。2014年10月から1~3歳の子どもに水痘ワクチンが定期接種化され、その
年齢の子どもは費用の助成を受けてワクチンが接種できるようになりました。
水痘・帯状疱疹ウイルスに感染していない子供がワクチンを2回受けると、
ほぼ完全に水痘を予防できます。また、2016年3月には同ワクチンに「50歳以
上の者に対する帯状疱疹の予防」という効能効果が追加され、自費で接種す
ることにはなりますが、国が正式にその効果を認めました。現在、帯状疱疹
予防の水痘ワクチンについても定期接種にすべきかどうか、専門家による検
討が行われています。
このワクチンを打つと完全に帯状疱疹を予防できるわけではありませんが、
5-6割は予防できると報告されています。ひどい痛みを起こす帯状疱疹をワ
クチンで予防できるなら、50歳以上の方は、ワクチン接種を検討してもよい
かもしれません。ただしこのワクチン、弱毒化した帯状疱疹ウイルスから
生成した生ワクチンですので、何らかの病気などで免疫が下がっている方は
打つことができませんのでご注意を。
この水痘ワクチンを父は打っていませんでした。そして、感染症を専門に
する医師である息子の私も、このワクチンを両親に勧めるのをすっかり忘れ
ていました。もしワクチンを打っていたら、おそらく帯状疱疹を予防できた
だろうな、と思うと少し心が痛みます。同じく高齢者や免疫不全の人に勧め
られる肺炎球菌ワクチンは、両親ともに打っていることを確認していたので
すが。ごめんね、父さん!
なんだか首のあたりに強い痛みがありちくちくすると言っていたら、そこ
にぼつぼつが出てきたので医者にかかったところ、帯状疱疹です、と言われ
たそうです。
運の悪いことに、帯状疱疹のできた場所が右耳の周りという敏感な部分で、
痛みが強いそうです。抗ウイルス薬を10日間飲んで、その後も痛み止めを飲
み続けていますが、帯状疱疹がでてきてからほぼ1か月経った今でも、ちく
ちくする頑固な痛みが残っています。本人曰く、擦れると結構痛いので好き
なテニスもできず、家で横になる時間が増えてストレスがたまる、とのこと。
典型的な「昭和の頑固親父」である父ですから、同居する母の負担やストレ
スも増えていないかも少し心配。
先日両親の古希を家族で祝ったのですが、帯状疱疹のあった皮膚はきれ
いに治っていました。ただし、痛みは続いている、と。いわゆる、「帯状疱
疹後神経痛」になってしまったようでした。このように、帯状疱疹は見かけ
上は治っても、頑固な痛みが長く続いて、その痛みをきれいさっぱり取り除く
のは難しいことがよくあります。
帯状疱疹は、水痘・帯状疱疹ウイルスが起こす病気です。水痘・帯状疱疹
ウイルスは人に感染すると、水痘(いわゆるみずぼうそう)を起こした後、
体の中に潜伏します。そして、高齢になるなどの理由で、身体の免疫力が下
がるとウイルスが再活性化し、帯状疱疹を起こすことがあります。80歳にな
るまでに3人に1人が帯状疱疹を経験する、との推計もあり、高齢化が進む日
本では、帯状疱疹を起こす人は年々増えています。
しかし、水痘、帯状疱疹ともに、ワクチンで予防することが可能な疾患で
す。2014年10月から1~3歳の子どもに水痘ワクチンが定期接種化され、その
年齢の子どもは費用の助成を受けてワクチンが接種できるようになりました。
水痘・帯状疱疹ウイルスに感染していない子供がワクチンを2回受けると、
ほぼ完全に水痘を予防できます。また、2016年3月には同ワクチンに「50歳以
上の者に対する帯状疱疹の予防」という効能効果が追加され、自費で接種す
ることにはなりますが、国が正式にその効果を認めました。現在、帯状疱疹
予防の水痘ワクチンについても定期接種にすべきかどうか、専門家による検
討が行われています。
このワクチンを打つと完全に帯状疱疹を予防できるわけではありませんが、
5-6割は予防できると報告されています。ひどい痛みを起こす帯状疱疹をワ
クチンで予防できるなら、50歳以上の方は、ワクチン接種を検討してもよい
かもしれません。ただしこのワクチン、弱毒化した帯状疱疹ウイルスから
生成した生ワクチンですので、何らかの病気などで免疫が下がっている方は
打つことができませんのでご注意を。
この水痘ワクチンを父は打っていませんでした。そして、感染症を専門に
する医師である息子の私も、このワクチンを両親に勧めるのをすっかり忘れ
ていました。もしワクチンを打っていたら、おそらく帯状疱疹を予防できた
だろうな、と思うと少し心が痛みます。同じく高齢者や免疫不全の人に勧め
られる肺炎球菌ワクチンは、両親ともに打っていることを確認していたので
すが。ごめんね、父さん!
- 当コラムの見解は執筆者の個人的な意見であり、厚生労働省の見解を示すものではありません。
- IDES(Infectious Disease Emergency Specialist)は、厚生労働省で平成27年度からはじまったプログラムの中で養成される「感染症危機管理専門家」のことをいいます。