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あさコラム vol.36
感染症エクスプレス@厚労省 2017年1月6日

襷の敵

 新年あけましておめでとうございます。
 厚生労働省健康局結核感染症課長の浅沼一成です。
 今年もどうぞよろしくお願いいたします。

 この年末年始、大掃除や初詣など、皆様もお忙しかったことと思います。
 私たち結核感染症課も、鳥インフルエンザ対応など年末年始も警戒中でし
たが、この期間中、猛威をふるったのはインフルエンザA型。
 各地の休日診療所も、インフルエンザの患者さんへの対応で賑わっていた
様子でした。
 輪番で対応されていた医師や看護師、薬剤師の皆様、お疲れさまでした。

 そんな中、今年1月の2日・3日に開催された第93回東京箱根間往復大学駅伝
(箱根駅伝)。
 新春のビッグスポーツイベントと化した箱根駅伝ですが、今回も原晋監督
率いる青山学院大学が総合優勝を飾り、これで史上6校目となる3連覇。
 しかも、第28回出雲全日本大学選抜駅伝競走(出雲駅伝)、秩父宮賜杯第
48回全日本大学駅伝対校選手権大会(全日本)と合わせて、史上4校目となる
大学駅伝3冠にも輝きました。
 アクシデントもありましたが、チーム力と個の力が融合し、素晴らしい結
果を出した青山学院大学。
 その陰で優勝候補に推されていた2校が実力を発揮しきれず、残念な結果と
なりました。
 1校は出雲駅伝5位・全日本4位の駒澤大学(箱根駅伝9位)、もう1校は出雲
駅伝2位・全日本3位の山梨学院大学(箱根駅伝17位)です。

 この強豪2校の失速に共通する理由は「インフルエンザ」。
 箱根駅伝7年連続3位以内だった常勝軍団の駒澤大学は、6区の選手が昨年
12月にインフルエンザに罹患。
 出場にはこぎ着けましたが結果が出ず、その影響もあって上位には浮上で
きませんでした。
 昨年、出雲駅伝と全日本で青山学院大学を追い詰めた山梨学院大学は、主
力3選手がインフルエンザで欠場。
 代わりの選手で箱根駅伝に挑みましたが、10位以内に与えられる来年の箱
根駅伝のシード権を逃しました。

 大学4年間で最大4回しか走ることができない箱根駅伝。
 厳しい練習と激しい競争を重ねた上に、一度でもこの箱根路を走りたいと
いう各校陸上部員の強い気持ちがあるからこそ、笑顔あり、涙ありのドラマ
が生まれます。
 とはいえ、
 「最も警戒していたインフルエンザやノロウイルスなどを、一人も患って
いないことが一番です」
 と、大会直前に青山学院大学の原晋監督も話していたとおり、駅伝を走る
ためには体調管理も大切な要素。
 インフルエンザに罹患した選手も監督他関係者の皆さんも無念だったと思
いますが、20km以上の各区間を走る体力が伴わないとどうにもなりません。
 選手が皆、ベストコンディションで疾走できることを祈って、私も毎回、
沿道やTVで応援していますが、感染症が相手ではなかなか上手くはいきま
せんね。

 さて、来年は青山学院大学の4連覇か、それともSTOP青学となるのか、気が
早い箱根駅伝ファンは既に予想しているとか。
 絶対王者の青山学院大学に対し、安定の東洋大学と早稲田大学、復活の順
天堂大学と神奈川大学、潜在能力が高い日本体育大学と東海大学、新興勢力
の中央学院大学などが気になります。
 しかしながら、あさコラム的には今回のインフルリベンジを果たすべく、
「人を動かすのは、情熱と本気」と熱血のスパルタ指導・大八木弘明監督率
いる駒澤大学と、箱根駅伝予選会から息子の健太選手と親子で挑む百戦錬磨・
上田誠仁監督率いる山梨学院大学、この2大学の躍進にSTOP青学を期待したい
と思います。
(私の所属するランニングクラブのコーチたちの母校である拓殖大学、大東
文化大学、専修大学も頑張れ!)

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