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あさコラム vol.40
感染症エクスプレス@厚労省 2017年2月3日

今日は何の日、2月4日

 こんにちは、厚生労働省健康局結核感染症課長の浅沼一成です。
 皆様からの感想のメール、誠にありがとうございます。執筆の励みとなっ
ています。

 前回は献血事業における感染症予防のお話を書きましたが、その中で、私
の献血回数(139回)についてのご質問をいただきましたので、その点につい
て補足します。
 学生時代からこまめに献血には取り組んできましたが、社会人になってか
らは、年2回実施されている省内献血(400ml献血)を中心に献血をしていま
した。
 しかし、東日本大震災を契機に、自分ができる身近なボランティアは何か
と考え、月1~2回、土日や祭日に成分献血に取り組みました。

 また、他者からの血小板輸血を頻繁に行った白血病や再生不良性貧血など
の患者さんには、通常の血小板輸血では拒絶反応を起こすなど効果が乏しく、
HLA(ヒト白血球抗原)型の適合した血小板の輸血が必要となります。
 そのため、協力できる献血者のHLA等をあらかじめ登録し、日本赤十字社
(以下、日赤)の血液センターから要請を受けた際、日時を合わせて血小板
献血をしてHLAが適合した患者さんの治療に役立ててもらう「HLA適合血小板
献血制度」があり、こちらにも協力をしています。

 非血縁者間でHLA型の適合する確率は数百人から数万人に1人ですから、登
録後にこの要請を日赤から受けた時には、「自分とHLAが一致する見知らぬヒ
トがいるんだなあぁ」と素直に驚きました。
 大ヒット映画の「君の名は。」みたいですね。
 輸血される患者さんの病状に合わせて日程調整をし、(業務に支障がないよ
うに休暇取得して)指定された献血ルームで血小板献血をしましたが、大変貴
重な経験となりました。

 このように、成分献血で献血回数を増やしましたが、「私の血液がお役に
立てるなら」と、続けてきた結果だと思っています。

 さて、2月4日は暦の上では立春ですが、他にも「世界対がんデー
(World Cancer Day)」や「ビートルズの日」とのこと。
 これらに加えて、わが国では、今年から新しい意味がこの日に付与されま
した。

 それは「風疹の日」。

 日本産婦人科医会が立ち上げた「“風疹ゼロ”プロジェクト」が、2月4日
を風疹の日、2月を“風疹ゼロ”啓発月間と定めました。
 ちなみに、風疹の日は、「ふー(2)しん(4)」という語呂合わせだそう
です。
 このプロジェクトは、妊娠中に風疹に感染することで目や耳、心臓にトラ
ブルを生じる先天性風疹症候群(CRS)の出生をゼロにし、風疹の完全抑制を
目標として活動を進めるために、風疹予防に関する情報発信や啓発活動を進
めていくもので、日本産婦人科学会や日本周産期・新生児医学会などの関係
学会、国立感染症研究所、風疹をなくそうの会『hand in hand』の皆さんも
一緒に参画していくとのことです。
 もちろん、厚生労働省もこのプロジェクトに賛同、応援しています。

 「“風疹ゼロ”プロジェクト」からは、次のメッセージが送られています。
 以下、引用いたします。

 2月4日は“風疹の日”-『“風疹ゼロ”プロジェクト』-を進めましょう
 1.風疹にご注意!わが国では風疹流行のリスクはいまだに消えていません!
 2.妊娠20週頃まで(主に妊娠初期)に風疹ウイルスに感染すると胎児が先
天性風疹症候群(CRS)になるおそれが生じます
 3.30~50代の男性は風疹に対する免疫のない方は多く、風疹流行の要因と
なっています。
 4.海外流行地への渡航は風疹ウイルスに感染するリスクを上げます。渡航
の際は万全の風疹予防対策、また帰国後は風疹発症リスクに対する適切な対
応策をとってください。
 2017年2月 -“風疹ゼロ”プロジェクト-

 2013年(平成25年)の流行時には国内で約1万4千人の方に感染し、2012年
(平成24年)~2014年(平成26年)年には45名の先天性風疹症候群(CRS)の
赤ちゃんが生まれました。
 こうした流行を二度と起こすことなく厚生労働省の目標でもある東京オリ
ンピック・パラリンピック開催年度の2020年(平成32年)度までに風疹の排
除の実現を図るため、定期接種や風疹抗体検査の推進、継続的な情報発信や
啓発などに取り組み、定期接種の実施率を95%以上にしていかないといけま
せん。

 また、私も含まれる1962年(昭和37年)~1987年(昭和62年)生まれの
方々、特に、この世代の男性には風疹の抗体価が少ない方がいます。
 次世代を担う赤ちゃんを守っていくためにも、まずは、この世代の方々に
風疹の抗体検査を受けていただくようにお願いいたします。

 かくいう私も「隗より始めよ」。
 献血同様、自ら率先して風疹の抗体検査を受けるなど“風疹ゼロ”に向け
ての活動をしてまいります。

 2020年(平成32年)度には「“風疹ゼロ”で春爛漫」となるよう、結核感
染症課も継続的に風疹対策に取り組んでまいります。
 皆さんも風疹の現状を知っていただき、「“風疹ゼロ”プロジェクト」に
ご支援をいただきますよう、どうぞよろしくお願いいたします。


風しん予防啓発ポスター

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