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第11回ASEAN・日本社会保障ハイレベル会合 結果概要

平成26年1月10日

第11回ASEAN・日本社会保障ハイレベル会合 結果概要

 平成25年12月3日から12月5日、第11回ASEAN・日本社会保障ハイレベル会合を開催致しました。今回の会合は、「Active Aging」をテーマとして、ASEAN10ヶ国の保健、福祉、労働政策の各分野の担当行政官及び韓国、協力機関からの参加を得て活発な議論を行い、各国における今後の取組についての提言を採択しました。
 本会合の概要は、以下のとおりです。
 会合は、英語を使用言語として行われています。英語版はこちらをご参照ください。

開催概要

●開催日程・場所:
日程:平成25年12月3日(火)〜5日(木)
会場:品川プリンスホテル(東京・港区)
●参加者
・ASEAN10ヶ国※の保健、福祉及び労働政策の担当行政官 計63名
 ※ ブルネイ、カンボジア、インドネシア、ラオス、マレーシア、ミャンマー、
    フィリピン、シンガポール、タイ、ベトナム
・オブザーバー:韓国 2名
・協力機関:ASEAN事務局、世界保健機関西太平洋地域事務局(WHO/WPRO)、
 国際労働機関(ILO)駐日事務所、独立行政法人国際協力機構(JICA)5名
・有識者:
 − 尾身 茂 独立行政法人年金・健康保険福祉施設整理機構理事長
    名誉世界保健機関(WHO)西太平洋地域事務局長
 − 江口 隆裕 神奈川大学法学部教授・筑波大学名誉教授
 − 鈴木 隆雄 独立行政法人国立長寿医療研究センター研究所長
 − 曽根 智史 国立保健医療科学院企画調整主幹
 − 林 玲子   国立社会保障・人口問題研究所国際関係部長
 − 岩名 礼介 三菱UFJリサーチ&コンサルティング主任研究員
    独立行政法人国際協力機構(JICA)社会保障分野課題別支援委員会高齢者対策小委員会委員
    6名
・一般傍聴者:33名

プログラム

12月3日(火)
開会挨拶(PDF:84KB) 土屋品子 厚生労働副大臣
○講演 “ASEAN+3における高齢化の現状と課題” (PDF:1,906KB)
     (山内和志 厚生労働省大臣官房国際課国際協力室長)
○パネルディスカッション1 「Active Agingを実現する基盤となるユニバーサル・ヘルス・カバレッジと高齢者のための保健医療福祉サービス」
 話題提供:“Universal Health Coverage (UHC) as a basis for “Active Aging” and Medical and Welfare Services, Health Promotion, and Disease Prevention” (PDF:1,775KB)
     (鈴木 隆雄 独立行政法人国立長寿医療研究センター研究所長)
 発表:インドネシアプレゼンテーション(PDF:1,532KB)
     シンガポールプレゼンテーション(PDF:2,285KB)
○パネルディスカッション2 「高齢者を支えるコミュニティ」
 話題提供:“The Role of Community for the Elderly based on the long term care system” (PDF:1,263KB)
     (林 玲子 国立社会保障・人口問題研究所国際関係部長)
 発表:ミャンマープレゼンテーション(PDF:883KB)
     カンボジアプレゼンテーション(PDF:158KB)
     韓国プレゼンテーション(PDF:481KB)
     フィリピンプレゼンテーション(PDF:9,006KB)
○パネルディスカッション3 「高齢者の社会参加と社会貢献」
 話題提供:“Social Involvement and Contribution by the Elderly” (PDF:548KB)
     (江口 隆裕 神奈川大学法学部教授・筑波大学名誉教授)
   発表:ブルネイプレゼンテーション(PDF:1,301KB)
○協力機関講演
 ・協力機関講演1:“Ageing and health: WHO’s perspective” (PDF:1,995KB)
    (Anjana Bhushan, Technical Officer, WHO Regional Office for the Western Pacific)
 ・協力機関講演2:“Employment and social protection in the new demographic context” (PDF:379KB)
    (上岡 恵子 ILO駐日事務所代表)
 ・協力機関講演3:“Making the “Active Aging” real: How can the development cooperation contribute?” (PDF:1,585KB)
    (中村 信太郎 JICA 国際協力専門員)
12月4日(水)
○自治体訪問(東京都品川区)
概要説明@(PDF:1,274KB)、A(PDF:4,685KB)
・視察(介護予防事業、生活習慣病予防事業、生きがい就労事業等)
○福祉機器展示見学
東京都福祉保健財団(PDF:56KB)(東京都新宿区)
シルバープラザ梅若(PDF:208KB)(東京都墨田区)
○施設訪問(社会福祉法人カメリア会特別養護老人ホームカメリア 東京都江東区)
概要説明@(PDF:104KB)、A(PDF:984KB)
・視察
12月5日(木)
○パネルディスカッション4 「Active Agingの取組みで視察(日本)から学ぶこと」
 話題提供:“Learning from the Approaches in Japan” (PDF:4,746KB)
    (曽根 智史 国立保健医療科学院企画調整主幹)
 発表:マレーシアプレゼンテーション(PDF:1292KB)
     ラオスプレゼンテーション(PDF:1,104KB)
○パネルディスカッション5 「行政の役割」
 話題提供:“The Role of National and Local governments in Japanese Long term care policy” (PDF:851KB)
    (西澤 栄晃 厚生労働省老健局介護保険計画課課長補佐)
 発表:ベトナムプレゼンテーション(PDF:1,195KB)
     タイプレゼンテーション(PDF:2,055KB)
○パネルディスカッション6 「高齢化に関するこれからのASEANの協力と連携」
 話題提供:“Future Cooperation with and among ASEAN countries for the Aging Population” (PDF:3,896KB)
    (堀江 裕 厚生労働省大臣官房国際課長)
 ・協力機関講演4:“Initiatives of ASEAN in Promoting an Active Ageing Society” (PDF:1,167KB)
    (Edgar Gonzales Pato, ASEAN Secretariat)
 ・コメント:尾身 茂 独立行政法人年金・健康保険福祉施設整理機構理事長
       名誉世界保健機関(WHO)西太平洋地域事務局長
○提言(レコメンデーション(PDF:61KB))採択

採択された提言

 本会合で共有された情報・知見に基づいて、各国の課題や施策、今後の取組について活発に議論を行い、参加者全員の合意の下、提言(レコメンデーション)を以下のとおり採択しました。

前文

「Active Aging1」をテーマに2013年12月3日から5日まで東京において開催された第11回ASEAN・日本社会保障ハイレベル会合で、ASEAN+3各国の保健、社会福祉及び労働分野の参加者は、

今年がASEAN日本友好40周年であり、我が国とASEAN各国の間でこれまでの友好的な関係を想起し、今後のさらなる協力関係の強化と戦略的なパートナーシップを目指し、

ASEAN・日本社会保障ハイレベル会合を2003年より開催している日本政府のイニシアティブに感謝するとともに、第11回会合は、保健、社会福祉及び労働分野におけるActive Agingに関する情報共有と意見交換のための有効な場であることを認識し、

また、本年11月に日本政府がジャカルタにおいてASEAN地域における高齢化に係る国際貢献に関する講演会(ASEAN-Japan Seminar, The Regional Cooperation for the Aging Society)が行われたことを評価しつつ、地域協力に関する努力の継続とさらなる連携の促進を期待し、

世界の高齢化は急速に進行しており、2050年には60歳以上の人口が20億人に達することを留意し、

ASEAN諸国においては今後急速に高齢化が進み、高齢者の健康保持や、福祉及び社会保障ニーズへの対応、高齢者の孤立・貧困防止などの対策が急務であることを認識し、

保健・福祉・労働分野における高齢化の現状及び対策の推進に際して、ASEAN諸国は多様であり、また、ASEAN諸国と日本では置かれている状況や文化・社会的背景が異なること、それゆえ現在直面している課題が異なることを考慮し、

さらに、「国際的なActive Ageingにおける日本の貢献に関する検討会」での議論成果に留意する。

1 人が年齢を重ねるにつれて、健康、社会参加、社会保障を最大限生かして、生活の質を高めていく取組のこと

参加者の合意事項

我々、会合参加者は、以下の点について合意に至った。

各国において、当該第11回会合の議事内容及び結果を担当大臣や幹部に報告する。

日本は、ASEAN事務局と協力し、本会合の議事内容及び結果をASEAN+3保健大臣/高級事務レベル会合(AHMM+3/SOMHD+3)、ASEAN+3社会福祉開発大臣/高級事務レベル会合(AMMSWD+3/SOMSWD+3)、ASEAN+3労働大臣/高級事務レベル会合(ALMM+3/SLOM+3)に報告する。

ASEAN諸国との間のActive Agingに関する協力促進については、12月に東京で開催されるASEAN日本特別首脳会合において再度確認する。

参加者の提言

我々は、全ての参加者に以下について求める。

  1. 女性が男性より長く生きることを認識しつつ、あらゆる保健、社会福祉政策、労働政策の中に、高齢者のニーズを考慮することによって、人が年齢を重ねるにつれて、健康、社会参加、社会保障を最大限生かして生活の質を高めていけることを保証する。
  2. 高齢者のための施策、介護、医療を提供できる専門家の人材育成の取組を進める。
  3. UHC(Universal Health Coverage)はActive Agingの基本である重要な政策であることを認識し、 UHC達成に向けた保健及び福祉セクターの取り組みに高齢化対策を取り入れる。
  4. 特に、非感染性疾患や認知症を含む高齢者の直面する様々な健康問題への対策に配慮しながら、高齢者に対して適切なサービスを提供できることを保証する。
  5. ASEAN諸国において急速に都市化が進行し、都市部と農村地域における高齢化対策の課題が異なることを認識し、各地域の実情に即した高齢者を支える仕組みを構築又は再構築することを検討する。
  6. 高齢者に対するボランティアを含む家族及びコミュニティの役割を再認識し、それらの能力を強化充実する施策を検討する。
  7. 高齢者がインフォーマルセクターに従事する者が多いことに留意しつつ、高齢者の社会参画の促進は、高齢者の技術・経験・能力の活用、高齢者の収入確保など様々な観点から重要であることを認識し、労働政策の中に高齢者対策を盛り込む。
  8. 高齢者にとって暮らしやすい社会を実現するための政策立案、制度設計及び計画を検討する。これには、経済的な持続可能性に対する検討、民間のリソースの活用、施設や人材に対するガイドラインや基準を含む技術的指針の策定・向上、実践的な訓練が含まれる。
  9. Active Agingの推進を目的として、根拠に基づいた政策決定のために、高齢者の特別なニーズに関する情報の質、入手可能性、正確さ、適時性を向上させるとともに、適切な伝達方法にも考慮する。
  10. 政府が優れたリーダーシップを発揮することで一層の省庁間、中央政府及び地方政府の間の調整・連携を図ることの重要性に留意する。また、高齢者対策に関して、市民社会や学術研究機関、民間セクター等の関係者とのより緊密なパートナーシップを促進する対策を進展させる。さらにASEAN+3の間で継続的に各国の実情及びグッド・プラクティスについて情報交換を行う。
  11. 終わりに、高齢化問題はASEAN+3における共通の課題であることを認識し、政策対話、技術協力、人材育成などの協力を継続し、充実していくことを期待して、交流を続けることとする。

【参考】ASEAN・日本社会保障ハイレベル会合開催の趣旨・経緯

 厚生労働省では、2003年より、ASEAN地域における社会福祉及び保健医療の各分野の人材育成を強化し、日本とASEAN諸国の協力関係を強化するため、ASEAN10ヶ国から社会福祉、保健衛生政策を担当するハイレベル行政官を招聘してASEAN・日本社会保障ハイレベル会合を開催してきました。2011年の第9回会合からは、保健及び福祉分野に加えて労働分野との連携も視野に入れて、労働政策を担当する行政官も招聘しています。

 会合では、参加国が保健、福祉及び労働分野での取組について情報を共有し、自国の政策立案にあたって参考となる多くの有益な知見を得たとの評価をいただいています。

 本会合は、ASEAN+3(日中韓)保健大臣会合及び社会福祉開発大臣会合を支える事業として関係国間で位置づけられており、第10回会合までの結果は、ASEAN+3保健大臣会合、ASEAN+3社会福祉開発大臣会合等において報告し、高い評価を得ると同時に、今後の会合への期待も表明されています。

第1回〜第10回会合のテーマ

第1回2003年11月社会福祉・保健サービスにおける人づくり
第2回2004年8月高齢化社会と福祉・医療の人づくり
第3回2005年8月社会福祉・保健におけるパートナーシップと人作り
〜母子保健福祉と障害者福祉を中心として〜
第4回2006年8月社会福祉・保健医療サービスの連携と人材育成
〜社会的弱者(児童・女性)支援と福祉・医療サービス〜
第5回2007年8月社会福祉・保健サービスの連携と人材育成・地域開発
−地域における高齢者サービス−
第6回2008年9月次世代健全育成(健やかな次世代の育成を目指して)
─保健と福祉の緊密な連携の下で─
第7回2009年8月「共生社会」の構築(障害者の自立、自己実現と社会参加)〜福祉と保健、医療システムの連携を通じて〜
第8回2010年8月社会的弱者の貧困軽減
〜保健と福祉の連携強化を通じて〜
第9回2011年10月福祉及び保健分野における人材育成
─サービス提供者の能力向上と社会的弱者の就業能力育成に焦点をあてて─
第10回2012年10月自然災害における社会的弱者への対応

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