厚生労働省

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プレスリリース

平成20年9月30日

厚生労働省

農林水産省

第35回コーデックス連絡協議会の概要

平成20年9月26日(金曜日)に、第35回コーデックス連絡協議会を開催しました。主な質疑応答事項及び意見は下記のとおりです。

本協議会では、まず、第31回総会についての報告を行い、それに対する質疑応答及び意見交換がなされました。次に、今後開催が予定されている第2回抗菌剤耐性に関する特別部会、第30回栄養・特殊用途食品部会及び第16回アジア地域調整部会の主な検討議題の説明を行い、それらに対する質疑応答及び意見交換がなされました。さらにその他の議題において、今後のコーデックス連絡協議会の開催予定及び本年9月9日から開催されたFAO/WHO合同残留農薬専門家会議(JMPR)の報告について説明がなされました。

会議後半は、WTO事務局の上級参事官スタントン氏を講師に迎え、「国際基準とWTO協定」と題したセミナーを実施しました。

[1]コーデックス連絡協議会

1.コーデックス委員会の活動状況について
(1)第31回総会

最終採択された、「ナチュラルミネラルウォーターの規格のセクション3.2及び6.3.2の修正原案」及びバイオテクノロジー応用食品部会の3つのガイドラインについて、これらの文書の採択へ留保した国があるが、これらの留保はどのように扱われるのか、また、日本としてはどのように対応したのかを問われ、留保した旨は総会の報告書に記載されるものの、規格自体は採択されていること、また、日本として、これらの議題について支持する方針であったため、特段発言していない旨回答した。

コーデックスの予算は逼迫しているが、特にWHOからの予算は増加していない。日本からもWHOの場で発言するなど積極的にリードすべきではないかと問われ、コーデックスでは、FAO及びWHOの通常予算から活動資金を受け取るという原則があるが、国連の財政そのものが逼迫していることからこの原則がある限りは厳しい状況は変わらないこと、日本は既に相当額を負担しており、更なる拠出は日本としても難しい旨回答した。また、通常予算以外に特定のプロジェクトに対する拠出も行っており、これについてはトラストファンドへの拠出、専門家派遣の人件費の負担などが含まれる旨説明した。

ナチュラルミネラルウォーター部会は休会となったが、多環芳香族、アルデヒドなどについても基準を設定すべきとの指摘があり、日本として積極的に関与していくべきではないかと問われ、ナチュラルミネラルウォーター部会については、これまでもヨーロッパの摂取経験からの議論が中心で、安全性を考慮した議論ができる場ではないと思われることから、日本としてこの部会で議論が進むことが望ましいとは考えていない旨回答した。

(2)第2回抗菌剤耐性に関する特別部会

農場における薬剤耐性菌のモニタリングデータなど、日本国内にある知見を提供することについてどのように考えているか問われ、農林水産省が実施しているJVARM(JapaneseVeterinaryAntimicrobialResistanceMonitoringSystem)などのデータについては、作成中であるため現時点では提供するかどうか検討にいたっていないが、有益な情報であることから、対応していきたい旨回答した。

3つの文書の統合の検討について、(1)いつ、どのような理由で統合するという決定がなされたのか、また、(2)リスク評価とリスク管理は重要であることから、これらについては分割して個別に策定すべきではないかと問われ、(1)本年5月に開催された3つの作業部会で原案を検討した際、問題の背景等多数の項目について共通項が多いこと等から、文書の統合を検討すべきと各々の作業部会から報告されており、実際に統合するかどうかについては、第2回会合で議論される予定であること、また、(2)全体の整合性を図るべきという趣旨のものであり、リスク評価とリスク管理については個別に規定されることになる旨説明した。

(3)第30回栄養・特殊用途食品部会

「健康強調表示の科学的根拠についての勧告原案」(仮議題6)について、原案に「再評価」の項目があり、定期的又は従来の判断を覆しうる新たな知見が得られたときに再評価するという記載があるが、日本の保健機能食品の制度では再評価規定がないため、どう対処するつもりなのかと問われ、本勧告原案の「再評価」の項目については何らかの記述は必要と考えており、基本的には原案の記載ぶりが望ましいと考えているが、関係者の意見を聴取しつつ、慎重に検討を進めていきたい旨回答した。

「栄養表示ガイドラインに則った表示を目的とした栄養参照量(NRV)」(仮議題7)について、データがない国・地域の場合はどうするのかと問われ、栄養参照量に限らず、データがない場合は通常データを持つ国の値が準用される旨回答した。さらに、南米やアフリカ諸国が例えばEUのデータを準用するのは無理があるのではないかと問われ、データを使用するか否かは各国が決めることであり、使う側がNRVの性格を理解した上で使うべきものである旨回答した。

「低体重乳幼児向け穀物加工食品規格作成のための新規作業の提案に関する討議文書」(仮議題9)について、乳幼児を対象として「穀物加工食品」に関する作業を行う意味は何であるかと問われ、母乳以外の乳幼児向けの製品が手に入りにくい開発途上国において、不適切な製品を排除するため何らかの規格がほしいという考えがあり、インドから提案されたものである旨回答した。

(4)第16回アジア地域調整部会

地域規格から国際規格への変換について、「個別食品に適用可能な作業の優先順位付けのための規準の適用に関するガイドライン」を厳格に当てはめるべきという対処方針は適切である旨の発言があった。

「地域調整役の指名」(仮議題10)について、日本が受ける可能性があるのかどうかを問われ、現時点では方針は決まっておらず、今後関係省庁と相談する必要があると考えている旨回答するとともに、現実には、日本が立候補してもASEANの中から希望があればASEAN諸国が一致して当該国を支持する状況になっており、他の立候補国がない状況以外に、日本が指名されるのは難しいと回答した。

「各国の食品管理システム及び食品規格策定における消費者の参画に関する情報」(仮議題7)について、(1)当該議題の意図は消費者の参画を広めようという点にあるのか、(2)日本からどのような情報を提供する予定であるのか、を問われ、(1)当該議題の意図は、「消費者の保護」というコーデックス規格の目的を踏まえて、消費者の参画を促すためのものであると思われるが、実際のアジア地域調整部会では、事前に情報提供する国も少なく、会議中の議長の呼びかけによりやっと各国が情報を出すという状態で、その先の議論まで進む状況ではないこと、(2)日本からは、この連絡協議会などを紹介してきている旨を回答した。

2.その他

今後の連絡協議会の予定に関連し、食品表示部会を題材として、これまでよりも時間を取った審議を第37回連絡協議会で試行する予定であると説明した。4月開催予定の連絡協議会で食品表示部会が括弧書きとなっている理由を問われ、消費者庁法案では消費者庁が表示に関する事項を所管することとなっているため、食品表示部会の主担当も消費者庁となるが、消費者庁の連絡協議会への対応が決定していないため括弧書きとなっていると説明した。

山田アドバイザーより、今月開催されたJMPRについて、

1.6つの新規剤を含め24農薬成分について、毒性評価、残留評価が行われ、さらにトリアゾール類の農薬について共通する代謝物が生成することから、その毒性評価を実施したこと

2.一般事項として、毒性評価に関する考察、OECDの活動、統計的手法を用いた残留基準値の設定等11項目について検討した。新たに登録の対象となっている農産物に対して適切に使用された農薬が、収穫の後に土壌中に残留し、当該農薬の使用対象となっていない後作の農産物に移行して、不使用にもかかわらず残留農薬が検出される可能性があること及びその場合基準値をどのように設定するかについても検討したこと

3.JMPRで検討した基準値案については、次回第41回CCPRに提出され、コーデックスの基準値として検討される予定であること、また当該部会前に回付文書で各国のコメントを求めること

が説明された。

また、日本で禁止となったヘプタクロルは国際的にも禁止となったと記憶しているが、土壌に残留した成分が作物に移行するという点では、今回、後作への影響について議論された成分と同じ考え方になるのではないかと問われ、今回の議論の対象は、登録のある農薬を適切に使用した場合に使用した成分が土壌に残留し後作に移行することについてであり、ヘプタクロルのように過去に使用した農薬の成分が土壌中に残り現在使用していないにもかかわらず農作物を汚染する場合は環境汚染物質と整理され、残留基準値もEMRL(extraneousmaximumresiduelimit)として通常のMRLとは区別して設定されていることから、今回議論した事項とは異なる旨説明した。

[2]国際基準とWTO協定についてのセミナー

WTO事務局の上級参事官スタントン氏より、「国際基準とWTO協定」と題して、SPS協定とTBT協定の相違点及び類似点や、WTO紛争の具体的事例など、約1時間説明をいただいた。その後、連絡協議会委員及び傍聴者からの質問に回答していただいた。

SPS協定における予防原則について教えてもらいたいとの質問に対し、SPS協定の交渉の中で、十分な情報がない中でも各国が一時的な予防措置を行える緊急避難を認め、これが予防原則とされた、しかしEUの成長ホルモン等、措置の実施側が負けた例を挙げ、予防原則の適用はSPS協定の範囲内であることが必要との説明があった。

SPS委員会の報告書の「特定の貿易上の関心事項(二国間の貿易問題)」に関して、解決法が明確なものと不明確なものがある理由について問われ、一つの事項の解決が別の問題を生む、または業界が関心を失いそれについての交渉が停止した等、当事者がその結果を事務局に報告できない場合があるためと説明された。

衛生検疫措置についての論争に際しての国際規格の利用実態についての質問があり、EUの成長ホルモンを例に挙げ、すでにリスク評価が行われコーデックス委員会で規格があるため、EUはその結果を覆す必要に迫られたことが説明された。

SPS協定上の適切な保護水準について問われ、SPS協定では「同等」の措置を認めるとし、豪州のカナダからの鮭の病気を理由とした輸入禁止措置を例に挙げ、その病気は内臓に付くことからカナダが輸出する際に内臓を取ってしまうという措置を行えば、豪州の輸入禁止と同等の措置を講じたことになると説明された。

【問い合わせ先】

厚生労働省食品安全部企画情報課国際食品室

国際食品室長 池田 千絵子

担当:福島(電話:03-5253-1111 内線2407)

農林水産省消費・安全局国際基準課

国際基準課長 小川 良介

担当:小出(電話:03-3502-8111 内線4471)

((直)03-3502-8732)

(注:資料配布は農林水産省のみ)


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