厚生労働省

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プレスリリース

平成21年3月10日

厚生労働省

農林水産省

第38回コーデックス連絡協議会の概要

平成21年3月6日(金曜日)に経済産業省別館1028号会議室において、第38回コーデックス連絡協議会を開催しました。主な質疑応答事項及び意見は以下のとおりです。

本協議会では、まず、第21回油脂部会についての報告を行い、それに対する質疑応答及び意見交換がなされました。次に、今後開催が予定されている第30回分析・サンプリング法部会、第41回食品添加物部会、第3回汚染物質部会及び第25回一般原則部会の主な検討議題の説明を行い、それに対する質疑応答及び意見交換がなされました。

1. コーデックス委員会の活動状況

(1) 第21回油脂部会

・許容される前荷に関する規準について、大豆油、菜種油、綿実油といったそれぞれの油の特徴によってバルク輸送のあり方を検討しているのか、また、遺伝子組換え植物由来の油の取扱いについては議論されているのかを問われ、本規準は輸送される食用油の安全を担保するために、油そのものではなく、その前に積むことが許される物質についての一定の規準を検討しているものであって、輸送の仕方を検討しているものではないこと、また、遺伝子組換え/非遺伝子組換えの問題については、他に適切なフォーラムがあるため、特段議論されていない旨を回答した。

・アレルギー物質に係る規準が修正されたことについて、どのような物質であれば精製後に残る/残らないといった個別の例が挙げられ議論されたのかどうか問われ、アレルギー物質の例としてピーナッツ油、大豆油が挙げられたが、個別にどうすればなくなるといったことが議論されたのではなく、精製工程後にアレルギー物質が残らなければ良いという修正を加えたものである旨を説明した。

(2) 第30回分析・サンプリング法部会

・議題7の「バイオテクノロジー応用食品の検出と同定に関する分析法の規準に関するガイドライン」に関し、DNAベースの分析法とタンパク質ベースの分析法には一長一短があり、どちらを採用するのかについてはこれまで議論があったところだが、今後は統一される方向で議論が進むのかと問われ、タンパク質ベースの分析法は簡便で迅速なので現場で使い易い、一方DNAベースの分析法は定量性に優れており、精度の高さを求める実験室向きであるとともに技術の進歩も速いなど、それぞれ特徴や使用目的が異なり、要求されるクライテリアも自ずと異なるため、ある一つの方法に決めるのではなく、求められるクライテリアを満たす方法であれば使用してもよいという考え方になる旨を回答した。

・日本政府がコメントを提出する際の手続きについて、(分析・サンプリング法部会に限らず)事前に関係者の意見を聴取する機会を設けるなど透明性を高めてほしいとの要望が出され、これまでも重要だと思われるところは連絡協議会でご意見をお聞きしているところであり、コーデックスで求められているコメント全てについて個別に連絡協議会で諮ることはリソースの問題があり、現時点では考えていない、と説明した。また、連絡協議会の際の議論等を考慮して、でき得る限りその反映に努めている旨を説明した。また、コーデックス国内委員会を設けている他のアジア地域で国内の意見をどのように聴取しているかの例として、非公開としている国や、対処方針が縛られて柔軟な対応ができていない国があることを紹介した。

・上記要望に関連して、連絡協議会の委員は必ずしも科学的な知見を詳細に検討し、関係者の意見を取りまとめた上で参加しているわけではないので、連絡協議会として何らかの結論を出すような形態にすることは望ましくなく、連絡協議会は自由に議論を交わす場であるべきとの意見が出された。

(3) 第41回食品添加物部会

・議題6の「加工助剤に関するガイドライン及び原則原案」について、本ガイドラインの対象には、我が国における加工助剤のうちどのようなものが含まれるのか、また、コーデックスにおいて本ガイドラインが策定されることによって我が国が受ける影響について問われ、加工助剤には溶剤や酵素等、様々な機能のものが含まれること、国内では、基本的にコーデックスの原案の考え方に基づき適宜指導を行っているが、引き続きコーデックスの議論を見つつ、対応を検討していきたい旨を回答した。

・議題5の「食品添加物のコーデックス一般規格(GSFA)」の食品分類について、日本独自の食品(豆乳、湯葉等)は、きちんと分類に当てはまっているのかと問われ、これらの食品が包含される形で議論が進んでいるが、そもそもGSFAの食品分類は、食品添加物の最大使用基準値を記述するために開発されたという観点から、食品添加物の使用のされ方の類似性等を踏まえて分類されるべきものであり、伝統食品を分類に入れることは目的ではないことを説明した。また、使用できる食品添加物を定めることが目的なのであれば、規格を作るのではなくGSFAで食品添加物条項を定めればよいという考え方がある旨を説明した。

・日本の食品衛生法における食品添加物の使用基準に関して、残存量が規定されている添加物や、使用量が規定されている添加物等、内容に一貫性が無いので統一してほしいとの要望が出され、統一には時間がかかると思うが、必要なことであると考えている旨を回答した。

・ナイシンについては、抗生物質であることから、食品添加物として扱うことについては慎重であるべきとの意見が出され、我が国においても本年3月2日に食品添加物としてナイシンの使用が認められたところであり、コーデックスの今後の議論を注視したい旨を回答した。

(4) 第3回汚染物質部会

・議題4の「食品中の汚染物質及び毒素に関するコーデックス一般規格(GSCTF)前文の改訂原案」について、早期に取りまとめられるよう日本がリーダーシップを発揮してほしいとの要望が出された。当該作業については、ECとともに我が国が主導的役割を果たしていること、また、作業のうち補完的食品分類システムについては、世界税関機構の関税分類コード(HSコード)を使用すべきという提案が他のメンバー国から出されているところであるが、我が国としては、HSコードは貿易上の利便性を考えた食品分類であり、食品の安全性の観点から作成されたものではないことから、食品の安全性の観点を入れて作成された現在の食品分類を拡充する方向で作業すべきとの立場で対応したい旨を説明した。さらに、現在はスケジュールI(コーデックスで採択された基準値や実施規範などを汚染物質ごとに掲載した一覧表)のみでスケジュールII(食品分類ごとに最大基準値を整理した一覧表)がないことについて、スケジュールIIについても今後作成されるのかどうかを問われ、食品分類の議論が決着してから作成することになる旨を回答した。

・議題9(e)の「アルコール飲料中のエチルカーバメート(カルバミン酸エチル)」に関する討議文書」について、過去に日本酒中のエチルカーバメートの濃度が問題となった事例があったが、対応できているのかと問われ、酒類業を所管する国税庁から聞いた話では、日本酒については、エチルカーバメートの低減技術が確立・普及していること、また、今回討議文書の対象とされているのは核果類(ストーンフルーツ)を原料とする蒸留酒で、主に欧州で製造されるものであるが、日本酒中ではエチルカーバメートが生成するメカニズムが異なること、また、我が国においてこれら蒸留酒の輸入量は極めて少なく、日常的に多飲するという状況はあまり多くないと考えられる旨を回答した。

・議題9(b)の「清涼飲料水中のベンゼンに関する討議文書」について、国内においてもベンゼンが検出された事例があることから、国内においても慎重に検討を進めて欲しいとの要望に対し、食品安全委員会において清涼飲料水におけるベンゼンの食品健康影響評価が行われており、今後、清涼飲料水の規格基準の改正が行われる際には、コーデックスにおける議論も踏まえて検討される旨を回答した。また、我が国が提出したデータを見せてほしいとの要望が出され、コーデックスの会議文書中に記載がある旨を回答した。

・議題5の「食品中のアクリルアミドの低減に関する実施規範案」について、アミノ酸に比べ、還元糖のコントロールの方が容易であるかと問われ、確かに還元糖の方がコントロールしやすいということで、これまで力が注がれてきたが、酵素を用いたアスパラギンの分解など、アミノ酸のコントロールにも注目が集まってきている旨を説明した。

(5) 第25回一般原則部会

・議題4の「コンセンサスの概念とコーデックスにおけるその適用」について、コーデックスは多数決で結論を出す方向に向かっているのか、また、オブザーバーの扱いはどうなるのかと問われ、コーデックスではこれまでも可能な限りコンセンサスが得られるよう努力してきており、投票で規格が決定された例はほとんど無いこと、また、SPS協定上の国際基準としてコーデックス規格が認められていることから、コンセンサスを得ることは重要である旨を回答した。また、オブザーバーについての取り扱いは変わるものではない旨を回答した。

・議題5の「コーデックス各部会におけるリスク分析方針の再検討」に関して、バイオテクノロジー応用食品特別部会で取りまとめられた「バイオテクノロジー応用食品のリスク分析に関する原則」も見直しの対象になるかと問われ、コーデックスが策定するリスク分析の原則に関する文書には、コーデックス委員会内の作業における原則を定めたもの(手続きマニュアルに収載される)と各加盟国向けに策定されたもの(例:「バイオテクノロジー応用食品のリスク分析に関する原則」)の2種類があり、今回見直しの対象になるのは、コーデックス委員会内向けの原則のみであるため、「バイオテクノロジー応用食品のリスク分析に関する原則」は対象とならない旨を説明した。

・議題9の「コーデックスの作業における途上国の参加」について、日本政府として途上国の旅費を援助する等の支援を行う用意はあるかと問われ、既にコーデックス委員会の親組織であるFAO/WHOへの拠出金に加え、コーデックストラストファンドへの拠出など、相当の負担をしており、これ以上の負担は現実的には難しいが、メールの活用や、会議数の削減・間隔の調整等、知恵を出し合えばよいと考えている旨を回答した。さらに、昨年11月に開催されたアジア地域調整部会において、2008年7月の総会以降に開催される一般問題部会は全て途上国での開催となっている等、コーデックスとして対応が十分に進んでいると発言したこと、また他の出席国から特段の要望がなかった旨説明した。

2. その他

コーデックス委員会が開設した、You Tubeのサイト*の紹介を行った。

*http://www.youtube.com/user/CodexAlim

お問い合わせ先

厚生労働省食品安全部企画情報課国際食品室

国際食品室長 池田 千絵子

担当:福島(電話:03-5253-1111 内線2407)

農林水産省消費・安全局国際基準課

国際基準課長 小川 良介

担当:小出(電話:03-3502-8111 内線4471)
((直)03-3502-8732)

(注:資料配布は厚生労働省のみ)


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