厚生労働省

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厚生労働省

プレスリリース


医薬食品局 食品安全部 企画情報課

国際食品室

室長 猿田

担当 井関(内線2407)

(代表:03-5253-1111

(夜間直通:03-3595-2326)

平成21年9月10日

厚生労働省

農林水産省

第41回コーデックス連絡協議会の概要

平成21 年 9 月8 日(火曜日)に、三田共用会議所大会議室において、第41回コーデックス連絡協議会を開催しました。質疑応答及び意見交換の主な内容は以下のとおりです。

1 経緯

(1) 厚生労働省及び農林水産省は、コーデックス委員会の活動及び同委員会での我が国の活動状況を、消費者をはじめとする関係者に対して情報提供するとともに、検討議題に関する意見交換を行うためコーデックス連絡協議会を開催している。

(2) 今回は、本年6月29日から7月4日にかけて開催された第32回コーデックス総会について報告するとともに、9月から11月の間に開催を予定している5つの部会(第30回魚類・水産製品部会、第3回抗菌剤耐性に関する特別部会、第15回生鮮果実・野菜部会、第31回栄養・特殊用途食品部会及び第41回食品衛生部会)の主な検討議題について説明、質疑応答等を行った。

2 質疑応答及び意見交換の主な内容

(1) 第32回コーデックス総会

・ 「食品添加物の一般規格(GSFA)の食品添加物条項案及び原案」のうち、着色料エリスロシンについて、新たなデータを基にFAO/WHO合同食品添加物専門家委員会(JECFA)によるエリスロシンの曝露評価を再度行う必要があるため採択されなかった旨を説明した。 (なお、エリスロシンの毒性評価について、JECFAによる評価では、一日許容摂取量(ADI)として0-0.1 mg/kg体重とされており、食生活の中での長期的な摂取はADIを超えるとは思われないとされている。)

・「名前の付いた植物油規格の修正案:米ぬか油」について、デスメチルステロールの削除が提案された理由を問われ、米ぬか油の特徴を示す上で必須のものではないこと、さらに検査法が途上国にとって実施困難である等の発言があったと説明した。

・ 総会での最終採択の際に留保(reservation)を示すことの効果について問われ、「留保」とは、一般には積極的な反対ではないが賛成でもないという意味で使われる言葉であり、コーデックスではある国が決定に賛成しない場合に透明性を図る観点からレポートに記載されることになっていること、コーデックス総会で採択された規格は、留保の有無に関わらず国際基準として適用される旨を説明した。

・ ステップ5で採択されたチルミコシンの最大残留基準値(MRL)についてECなどが留保を示した理由を問われた。 (ECなどは、「今回提案されたMRLぎりぎりまでチルミコシンが食品に残留していると仮定して曝露量を計算した場合、一日に摂取するチルミコシン量が、EC域内で使用しているADIを大幅に上回る」として留保を表明している。)

・ 議題13(c)の「プライベートスタンダードの役割」について、コーデックスに影響を与えかねない問題であり、日本政府として明確なスタンスを持つべきである、また、我が国においても民間で農業生産工程管理手法などが取り組まれているが、欧州のようにコーデックス規格に基づいてプライベートスタンダードを作るように民間を指導していくことを期待する等の意見があった。これらの意見に対し、現在SPS委員会においても作業が進められており、日本国内の状況を把握しつつ対応していくこととしていること、こうした周辺状況についても連絡協議会の場において折々情報提供したいと考えていると答えた。

・「健康強調表示の科学的根拠についての勧告原案」がステップ8で採択されたことにより、食物繊維の重合度の範囲については各国の判断に任されることとなったが、国内制度に変更は生じるのかと問われ、現在の国内制度で特に支障は無く、変更は生じない旨を説明した。

(2) 第30回魚類・水産製品部会

・ 議題11の「生鮮/活及び冷凍あわびの規格原案」について、麻痺性貝毒(PSP)の基準案の策定の前に、科学的知見を収集するための専門家会合をまず開くべきという立場なのかと問われ、そうではなく、リスク管理として行うモニタリングの実効性の観点から、必要な科学的な情報に基づいて適切に基準を策定することが必要との立場であると説明した。

・ 一般にバイオトキシンなどの化学物質の基準等に関する事項は、本来、汚染物質について横断的に議論する汚染物質部会の所掌であるため、魚類・水産製品部会で議論しても汚染物質部会での承認が必要であるが、魚介類の汚染物質の低減対策を考える際には、JECFAでの汚染物質そのものの評価だけでなく、汚染物質の蓄積のメカニズムを把握する必要があり、JECFAとは別の専門家会合が開かれることもあると説明した。

(3) 第3回抗菌剤耐性に関する特別部会

・ 「食品由来の抗菌剤耐性菌に係るリスク分析に関するガイドライン原案」について、原案中に言及されている他の関連文書との内容の重複を避け、簡潔な文書を作成することが必要である旨を説明した。抗菌剤耐性の問題は人の健康に関わる重要な事項であることが分かるよう、必要な事項がもれなく記述されるように対処してほしいとの要望があった。

・ ガイドラインに記載されている定義の整理に関し、過去に抗菌剤耐性菌の封じ込めの定義について、OIEコードとの整合性に時間を要したことから、今後も、他の関連文書との調整に注意が必要との意見があった。

(4) 第15回生鮮果実・野菜部会

・ 取引における品質の規格を定めようとしているように見受けられるが、コーデックス規格と日本国内の規格の考え方とで相違があるか問われ、国内における野菜の規格は平成13年度に廃止されており、また、果実についても任意の規格しかなく、コーデックス規格を策定しても国内への影響は生じないと考えている旨を回答した。

(5) 第31回栄養・特殊用途食品部会

・ 議題6「低体重乳幼児向け穀物加工食品規格作成のための新規作業の提案に関する討議文書」及び議題7「乳児及び幼児用調整補助食品に関するガイドライン改訂のための提案に関する討議文書」についての対処方針部分について、我が国にはこれらの製品を輸出している企業もあることから、「我が国においては必要とされる規格ではない」との認識は改め、積極的に対応をすべきとの意見があった。

(6) 第41回食品衛生部会

・ 検討予定議題2の「貝類中の腸炎ビブリオ及びビブリオ・バルニフィカスの管理手法についての付属文書」について、「live」「raw」「partially treated」「thoroughly treated」の4つに分類されている食品のそれぞれのカテゴリーに対し、どのような要件が設けられているかと問われたことに対し、消費する前に加熱する場合や、加熱せずそのまま喫食する場合などに応じて、微生物増殖や交差汚染を防ぐ観点から食品の流通段階で必要となる要件を記述していると説明した。また、「treated」という言葉は加熱以外の調理も含まれるということも説明した。

・ 検討予定議題5の「食品中のウイルス制御に関する衛生実施規範」について、ノロウイルスは、ヒトからヒトへの感染が主要経路ではあるものの、食品の衛生管理を通じて食中毒発生を防ぐことが重要である、ウイルスの検出方法が確立されていないなどの問題はあるが、消費者の関心が高い事項であり、ウイルスの低減に資する実施可能な対策が十分盛り込まれるよう適切に対処してほしいとの意見があった。

(7) その他

・ 消費者庁が設置されたが、今後、栄養・特殊用途食品部会について日本の行政機関のどこが対応することになるのか問われたのに対し、消費者庁が所掌する分野も含まれているが、消費者庁は設立したばかりであり部会対応についての協議はこれからである、また、これまでにも、事項によっては厚生労働省、農林水産省のみでなく食品安全委員会その他の関係府省庁との協議を経て対応を決めてきたところであり、消費者庁とも同様に協議を行うことになると思われると説明した。

・ 今後の連絡協議会の進め方について、関係省庁が一体となって対応することが重要であり、消費者庁にもこの連絡協議会に出席してもらい、協調して、コーデックスへの対応について説明・報告してもらいたいとの要望があった。これに対し、こうした要望があったことも消費者庁に伝えるとともに、次回、消費者庁の回答について報告したい旨を回答した。


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