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2019年9月6日 第9回 在宅医療及び医療・介護連携に関するワーキンググループ

○日時

令和元年9月6日(金)13:00~14:30

 

○場所

厚生労働省専用第22会議室

○議事

 

○坪井室長補佐 お時間となりましたので、ただいまから第9回「在宅医療及び医療・介護連携に関するワーキンググループ」を開会させていただきます。
 構成員の皆様方におかれましては、お忙しい中、御出席くださいまして、まことにありがとうございます。
 本日は、中林構成員、佐藤構成員におかれまして、御欠席の御連絡をいただいております。
 また、本日は厚生労働科学研究「在宅医療の提供体制の評価指標の開発のための研究」の中間報告をしていただくため、埼玉県立大学大学院の川越雅弘様を参考人としてお呼びしております。
 なお、本日、別の公務のため、事務局は会議途中に退席を予定しておりますので、あらかじめ御報告させていただきます。
 議事に入ります前に、お手元の資料の確認をさせていただきます。
 お手元に、議事次第、構成員名簿、座席表のほか、資料1、資料2、資料3、参考資料1から4をお配りしております。不足がございましたら、お知らせください。
 本日は一部をペーパーレスの会議とするため、お手元にタブレットを御用意しております。これまで開催された会議資料、議事録につきましては、そちらを御使用の上、御確認いただきますよう、お願いいたします。不足、不具合等ございましたら、お知らせください。
 報道の方で冒頭カメラ撮り等をしておられる方がおられましたら、ここまででお願いいたします。
(冒頭カメラ撮り終了)
○坪井室長補佐 また、本日のワーキンググループは14時半を終了予定としております。続けて15時から「地域医療構想ワーキンググループ」の開催を予定しております。大変申しわけございませんが、本ワーキング終了後、次のワーキンググループの準備がございますので、本ワーキンググループのみに御参加の皆様におかれましては、速やかに会場を退出していただきますよう、御協力をお願い申し上げます。
 それでは、以降の進行は田中座長にお願いいたします。
○田中座長 皆さん、こんにちは。お久しぶりですね。
 議事に入る前に、団体を代表して御参加いただいている構成員の方が欠席の際には、かわりに出席される方について、事前に事務局を通じて座長の了解を得ること及び当日の会合において承認を得ることによって参考人として参加し、発言することを認める決まりになっております。本日の会議については、中林構成員の代理として、港区立南麻布地域包括支援センターの牧野参考人の御出席を、また、佐藤構成員の代理として日本歯科医師会常務理事、小玉参考人の御出席をお認めいただきたいと存じますが、いかがでしょうか。
(「異議なし」と声あり)
○田中座長 ありがとうございます。では、御自由に発言ください。
 早速、議事に入ります。
 まず、「在宅医療の中間見直しに向けた検討について」、資料1のうちの「1)第7次医療計画及び第8期介護保険事業(支援)計画における整備目標及びサービスの量の見込みに係る整合性の確保について」、事務局から説明をお願いします
○坪井室長補佐 田中座長、ありがとうございます。
 それでは、資料1に沿って説明させていただきます。資料1でございますけれども、このテーマにつきましては、資料の4枚目からでございます。こちらからは、しばらく既存資料が続いてございます。これが第7次医療計画の策定の際に出した方針ということでございます。
 5枚目ですけれども、こちらは在宅医療及び介護のサービス量の見込み方について示してございます。
 6枚目、7枚目につきましても、同様に旧来の考え方をお示ししたものでございます。
 8枚目と9枚目でございますけれども、こちらが現在の第7次医療計画におきまして、各都道府県で目標・見込み量をどのように見込んでいるかということの説明でございます。8枚目と9枚目に47都道府県の状況が記載してございます。赤の四角で囲まれた都道府県につきましては、第7次計画におきまして整合的なサービスの目標・見込み量を設定できていない都道府県でございます。
 10枚目につきましては、そういった見込みを行うための協議の場の開催状況というものをお示ししたところでございます。
 また、11枚目につきましては、医療と介護の按分を行うための比率の考え方の一つとしてお示ししたところでございます。
 資料番号の12枚目から、KDBのことについて触れてございます。12枚目がKDBの概要ということでございまして、医療の情報、介護の情報の双方を持ったシステムということでございます。
 13枚目でございますけれども、こちらに患者調査、病床機能報告、KDBと、それぞれのデータについて追加的需要を按分するという観点から比較したものでございまして、こちらで見ますとKDBデータが最もすぐれているということでございます。
 14枚目のスライドでございますけれども、こちらはそれぞれの調査につきまして、第7次医療計画の際に都道府県がどのデータを使ったかということについて記したものでございます。KDBが一番下でございますけれども、活用としましては、13都道府県にとどまっていたということでございまして、その理由といたしまして点線の四角囲みで記載してございます。例えば、時間の制約、経費の発生、技術的な困難さというところを挙げていただいております。
 15枚目に、これまでの議論と取組ということで、今までの状況を整理してございます。これまでの議論ということで、先ほどのまとめのようなところがございました。これまでの取組というところで、ことしの1月に「在宅医療の充実に向けた取組の進め方」という通知を発出させていただいております。その中で、中間見直しに向けて、第7次医療計画と第8期介護保険事業(支援)計画に目標を十分に反映すること。また、KDBのデータを活用することをお示ししてございます。
 16枚目からが、今回、国のほうでKDBを分析して都道府県に提供するという事業を予定してございます。
 事業の具体の内容が17枚目に概要として記載してございますけれども、1番と2番、大きく2つございまして、まず1つが、先ほど来、出ております30万人の按分のところで活用いただけるようなデータを集計するというもの。
 2つ目が、在宅医療提供体制の見える化ということで、市町村単位のデータを集計して提供させていただくというものになってございます。
 スライドの18枚目からが、30万人の按分のところに活用いただけるデータについて記しております。
 スライドの20枚目と21枚目に具体の仕様について書かせていただいております。具体の内容ですけれども、こちらは療養病床の医療区分1の退院患者さんが、具体的に退院後6カ月間の間に御利用いただきました在宅医療ですとか介護サービスを把握することで、在宅医療と介護施設の入居者数の割合を出しまして、按分に御活用いただけるような集計データというものでございます。
 スライドの22枚目からが、在宅医療提供体制の見える化というところでございます。
 スライドの24枚目に、今回集計いたします項目について書かせていただいております。在宅医療の供給側、需要側、それぞれの推計を行うことといたしておりまして、供給側といたしまして、在宅医療を実施している医療機関数等、また各医療機関における在宅医療の実施状況というものを挙げております。また、需要側の集計といたしまして、在宅医療を受けている患者数。KDBのデータになりますので、介護側のデータというものも把握できますので、要介護度とか居住形態、重症度というものも含めまして、患者数を集計するところでございます。また、市町村別の集計も予定しております。
 スライドの25枚目以降が、具体の帳票でございます。25枚目に、在宅医療を実施している医療機関数等でございまして、我々がお出ししております在宅の4機能に沿いまして、医師、看護師、薬剤師、歯科医師、リハビリ職等につきまして、それぞれの職種に関連するような診療行為の名称を挙げておりまして、これらの項目についての集計を予定してございます。
 続きまして、26ページ目でございますけれども、各医療機関における在宅医療の実施状況の帳票になってございます。こちら、ちょっと細かくなってございますので、説明は省略させていただきますが、各医療機関ごとに実施状況を見ているものでございます。
 27枚目が、在宅医療を受けている患者数でございまして、こちら、それぞれ患者さんごとに居住形態、重症度等を含めまして患者数を集計するというものでございます。
 28枚目に市町村別の流出入という帳票を掲載してございます。
 29枚目のスライドでございますが、KDBデータは留意点が幾つかございます。
 4つ挙げさせていただいておりますけれども、まず1つ目でございますが、国保・後期高齢以外の被保険者については、データに含まれていないというところでございまして、特に小児を対象とするような分析には注意が必要ということでございます。
 2つ目でございますが、レセプトが電子化されていない項目につきましては反映してございませんので、訪問看護療養費につきましては、今回の集計には含まれていないというところでございます。
 3点目ですけれども、市町村によっては、医療と介護の情報が突合できないというところでございます。今回、データを少し確認いたしましたところ、およそ50の市町村で十分に医療と介護の情報が突合できないという状況でございました。
 最後、4つ目でございますけれども、市町村別の分析というのは、保険者の所在地に基づいて行っておりますので、住所地特例等の制度を御活用いただいている方については、必ずしも実際の住所と一致しない場合があるということでございます。
 続きまして、30ページ目、今後のスケジュールというものをお示ししてございます。
 都道府県への集計結果の提供につきましては、今年度中に2回に分けて提供することを予定してございます。
 また、恐らく来年度になろうかと思いますけれども、データ活用の推進のために、都道府県研修会ですとか活用事例の紹介というものを予定してございます。
 31枚目のスライドに、検討事項といたしまして3点整理してございます。
 まず、1点目ですけれども、追加的需要の按分用データにつきまして、今回お示ししているもの以外に集計が必要なものがあるかどうかというのが1点目。
 2点目でございますけれども、後半部分の在宅医療の見える化というところで、今回、KDBから取得可能なデータというものをお示ししてございますが、今回挙げた項目以外に提供が好ましいものがあるかどうかという観点が2点目。
 3点目でございますが、データ活用の推進という観点から、都道府県研修会や活用事例の紹介というものは予定してございますが、そのほかに支援策があるかどうかという、この3点について御検討いただければと思います。
 資料1の前半部の説明は以上でございます。
○田中座長 説明ありがとうございました。
 では、ただいまの説明に関して御質問、御意見がある方はお願いいたします。
 角野構成員、お願いします。
○角野構成員 31ページの、データ活用推進のための都道府県研修会を考えているということですけれども、具体的にどのような内容の研修会を想定されているのですか。
○坪井室長補佐 御質問ありがとうございます。
 在宅医療の見える化と追加的需要、それぞれでございますけれども、追加的需要の考え方につきましては、これまでも整理を行ってきたところでございまして、特に見える化のほうで支援できるような取組が必要かと考えております。
 具体の内容でございますけれども、今後、検討していくというところでございます。今回、かなり多様なデータ、今まで出したことがないような、特に介護とひもづいたデータが出ているというところでございますので、都道府県の先進事例等も含めながら、我々のほうでも少し考えていきたいというところでございます。
○田中座長 吉川構成員、お願いします。
○吉川構成員 29枚目のスライドの留意事項のところに、KDBデータでは把握できないものが挙がっているのですが、小児に関するものやレセプトが電子化されていない訪問看護について、例えば別のデータを使ってどういうふうに分析できるのか。医療保険による訪問看護の実績や医療的ケア児の状況など、ほかにどのようなデータを活用すると見られるのかとか、そういったことをぜひ示してほしい。そのような国から都道府県への支援も必要になるのではないかと考えます。
○田中座長 御意見、アドバイスですね。ありがとうございます。
○吉川構成員 ぜひお願いしたい。
○田中座長 ありがとうございます。
 池端構成員、お願いします。
○池端構成員 私も全く同じところ、29ページで、吉川構成員と同じ意見なのですけれども、その前に、このKDBデータを全国的に使えるようにぜひしてほしいということを、前回までのところで私、かなり何度もお話しさせていただいて、こんなに早くできると正直、思っていなかったのですけれども、非常に早く動いていただいて、感謝申し上げたいと思います。
 ただ、その中で、特に在宅医療というと、KDBデータは、高齢者の在宅医療に関しては、これでかなりのことがわかってくると思うのですけれども、小児から青年期に至る難病の在宅医療等々はすぽんと抜け落ちてしまうことを、都道府県のデータ活用のときにきちんと御説明して、在宅医療というのは二本立てで行かないといけないと思いますので、そこはしっかり分けて考えていただいて、今、吉川構成員がおっしゃったように、それはそれで別のデータのとり方があれば、それもお示ししながらやっていただければと思っています。
 それから、31ページのほかに何か使えるものはないかということで、連携ということを考えると、入退院支援ルールということで算定ができるようになったところ。介護保険でも医療保険でもありますけれども、このデータをどうとれるか、それによって連携がどう進んでいるかということも、データを簡単にとれて、各都道府県にお示しできるものがあれば、また検討していただいてもいいのかなと個人的には思いました。
 以上です。
○田中座長 ありがとうございます。在宅医療は高齢者のためだけではない、お二人から大変大切な、ふえている医療的ケア児及び難病患者等も在宅医療の重要な対象です。ありがとうございます。
 松本構成員。
○松本構成員 小児のところはまさにそのとおりで、これまでも何回か発言したところです。おおよその人数ぐらいしかなかなかわからなくて、実態というのは本当につかみにくいところなので、ぜひそこはしっかり分析して、小児在宅、医療的ケア児の支援にしっかり取り組めるような形のデータを早く出していただきたいと思います。
○田中座長 ありがとうございます。
 どうぞ。
○池端構成員 もう一点、ぜひお願いしたいのが、このKDBデータでこれだけのデータが出るようになれば、一番想定していきたいのが、各市町単位あるいは都道府県単位の在宅医療の今後の見込み量ということで、いわゆるプロセス、アウトカムの指標をどうしようか、計画を立てるときに市町村は非常に困っていたのです。このデータがあれば、現状がこうで、アウトカム、目標値はこうだという数字の見える化ができると思うので、そういう使い方ということも逆にお示ししながらデータを流していただけると、市町村もこういう利用の仕方ができるということが理解できると思うので、そういうこともぜひ丁寧にアナウンスしていただければと思います。
 よろしくお願いいたします。
○田中座長 そのとおりですね。ありがとうございます。
 越田構成員、お願いします。
○越田構成員 私も全く同様で、小児に対するしっかりしたデータベースをぜひお願いしたいと思います。
 もう一点は、11ページの設定プロセスについてですけれども、一番下の「その他(死亡・不明等)」というのが結構大きく、そのウエートは4分の1を占めています。死亡なのか、不明というのは一体どういうカテゴリーなのか、そのあたりを御説明いただきたいなと思います。
○田中座長 御質問ですね。
○越田構成員 質問です。
○田中座長 お答えになれますか。
○松岡医師確保等地域医療対策室長 今、わからないので、また調べて、皆さんに情報提供させていただきたいと思います。
○越田構成員 死亡と不明は分けたほうがいいのかな。どのぐらい不明が入っているのかも含めまして。不明と死亡ですね。そこをまたぜひよろしくお願いいたします。
○松岡医師確保等地域医療対策室長 患者調査の集計データをそのまま持ってきているので、どこまで分けられるのかというのは私どももわからないものですから、統計情報をやっているほうと少し話をしてみて、分けられるのかどうかというところ、少し聞いてみたいと思います。
○田中座長 織田構成員、お願いします。
○織田構成員 同じ11ページですけれども、26年度の総数から、家庭に帰った方が約半数あるということですけれども、この中で在宅医療を受けておられる方が少ない。医療療養から出られた方ですから、ほとんど御高齢の方で要介護があって、本来なら在宅医療を勧められるべきものが入っていないのではないかという感じがします。そういう意味では、今後、KDBデータとか、その辺の分析によって、この辺は明らかになっていくのですね。
○田中座長 新田構成員、お願いします。
○新田構成員 今、織田先生が言われたように、KDBデータをやると、今まで統計でとられた厚労省の数的目標値と実際数値に大分乖離があるのだろうというのが1つ思います。その乖離はどこで解消するか。都道府県の医療調整会議でできるかというと、なかなか難しくて、先ほど言われましたが、市町村がちゃんと分析できるという感じのところの配慮が必要かなというのが2つ目です。
 もう一つは、在宅医療と介護施設はそんなに簡単に按分できるのかなと思って。もちろん施設の絶対数は決まっていますので、絶対数以外のものを在宅医療とする。ある意味で安易なことで、それを按分という言葉を使うかどうかですけれども、それには患者さん、あるいは家族の意思とか地域の状況とか、さまざまありますので、その按分という言葉が果たしていいのかどうかというのは、私は疑問に思います。意見でございます。
○田中座長 松本構成員。
○松本構成員 8ページ目と9ページ目で各都道府県のサービスごとの目標とか見込み量の設定状況のグラフがありますけれども、これをどう読み取るのかを少し教えていただきたいと思います。
 そのグラフの中には、青の追加的需要の機械的推計と、その右の紫、黄緑、斜線の濃い緑の計画上の数が全く同じものもあれば、追加的需要を超えるもの、あるいは追加的需要以下のものもいろいろ存在しております。全く同じだからよいと言えるのか、単純に割り振っただけなのか、推計よりも計画が余っているところは、実態を調査してみて積み上げたのか。その県での独自の根拠を持って見込んだのか。あるいは推計が下回っているところは計画ができていないのか。実態が機械的推計よりも低かったのか。この辺の読み取り方を少し踏み込んで教えていただきたいと思います。
 計画を立てていないところは、必要がないから立てていないのか、立てられない事情があるのか、そういった事情などももしあるならば、わかっている範囲内で教えていただきたいと思います。
○田中座長 ただいまの御質問に答えていただけますか。
○坪井室長補佐 ありがとうございます。
 8ページと9ページの図の読み方というところでございますけれども、左側に青い線、右側に濃い緑、黄緑、紫と3色に塗り分けられた線になっているかと思います。
 まず、青色の部分ですけれども、こちらが30万人のうち、追加的需要を見込む必要がある医療区分1の70%、及び地域差の解消分というものにつきまして、平成30年から令和7年までの8年のうち、第7次計画の前半の3年というところで、8分の3を掛けて、それぞれの都道府県に機械的に振り分けたものでございます。
 右側の3色に塗り分けられた部分が、各都道府県で医療計画におきまして見込んでいただいている部分でございます。濃い緑の部分が、療養病床からの移行分でございまして、介護医療院を初めとするような施設に移行するような部分につきまして、調査をもとに設定していただいた部分でございます。残りの黄緑と紫の部分が、先ほど来、出ております按分の部分でございまして、これはそれぞれの都道府県の考え方に基づいて行っているものでございます。
 左と右のグラフの高さという部分でございますけれども、こちらは各都道府県でそれぞれの検討によりまして見込んでいる部分でございますので、我々としてもつぶさに状況について把握しているところではございません。
 右側にグラフが出ていない、見込めていない都道府県の状況でございますけれども、一部の都道府県につきましては、介護医療院の要件等が十分に定まっていない中での検討というところでございましたので、見込まなかったという方針を立てた都道府県もございますし、単純に介護側との調整が十分に行えなかったという都道府県もあると聞いております。
○松本構成員 それぞれの県の実態というのは、機械的推計と実態の差がよくわからないところはあるのかと思いますけれども、目標を設定することはよいにしても、各医療機関における自主的な収れんによって進めていくことが基本だと思うので、目標に実態を無理に合わせるようなことはないようにしていただきたいと思いますので、よろしくお願いいたします。
○田中座長 新田構成員。
○新田構成員 今の関連でございますが、医療区分1の考え方というのは、医療提供体制のみの発想から出たもので、医療区分2と3は一体どう考えるのだろうなという視点がそこにはあって、2,3の人でも家で暮らしたい人は必ずいるわけで、その人たちの絶対数が少ないからここで省いているなら、省いてもそれはそれで構わないです。ただ、何となく数値的目標をするためだけで、ここの中で隠される医療区分2と3をどう考えるのかということも配慮して、こういう提供体制の中に文章でも何でも結構ですが、少し入れ込んであればなと思います。
 もう一つ、例えば小児在宅の話が先ほどありましたが、小児というのは医療区分幾つになるのですか。人工呼吸器をほとんどの人がつけていますね。それは医療区分分類をあえて行うと1には入らないわけです。そうすると、小児在宅はゼロという数字でよろしいのでしょうかという疑問も出てくるので、もう少し配慮した区分整理が必要かなと思います。
○田中座長 小児在宅のこの数値は、どうあらわされるかという質問がありました。
○松岡医師確保等地域医療対策室長 30万人の話というのは、地域医療構想を進めていく中で、制度の変更によって生まれてくるであろう新たな需要ということで考えておりますので、基本的に小児の人たちというのは、この三角形の部分を切り取ったところではなく、黄色とか、その下の三角形の部分のところにあらわれてくるのだろうなと考えているものだと私は理解しております。
○新田構成員 恐らく私もそうだと思うのですが、都道府県にこの数字がこのままおろされたときに、都道府県でどういう議論がなされるかというのが気になります。そこがこの数字を参考にされて、都道府県が地域医療構想も含めて、在宅医療構想も行っていますので、そのあたりの配慮という意味で言ったつもりでございます。
○田中座長 本ワーキングだと、小児のことは皆さん、重視していらっしゃいますが、単にこの数値だけ来ると、間違えて理解されてはいけないという御指摘ですね。ありがとうございます。
 織田構成員。
○織田構成員 6ページですけれども、一番下の※印で、マル4というのはC3未満ということですね。に関しては、外来医療により対応することを基本とするということですけれども、今後、一番ふえるのはここの部分ではないかという気がします。その辺を一概に外来医療を基本としていいのか、これは検討していただきたいと思います。
○田中座長 ありがとうございます。
 池端構成員。
○池端構成員 また戻って申しわけない。11ページの先ほどの図ですけれども、1つ御質問させていただきたい。これは、平成26年患者調査(厚生労働省)とありますけれども、この調査というのは、医療課が行っている調査と理解してよろしいですか。
○松岡医師確保等地域医療対策室長 これは、保険局医療課ではなくて、大臣官房の統計の部署でやっているものです。
○池端構成員 であれば、これは26年度までなのですけれども、近々で平成29年度の療養病床の退院患者のデータも既に出ていて、それで言うと、療養病床から退院する患者の約4割は死亡退院になっているのですが、ここ数年で急速に死亡退院がふえているのです。ですので、できれば29年度ぐらいのデータも入れていくと、さらにこの按分が変わってきている可能性が高いので、ぜひそれも入れ込んでいただくといいかなと思いますし、恐らく不明はほとんどなくて、死亡がほとんどではないかと思っています。医療課の調査で見ると、そういう感じだと思いますので、それで見ていただくといいかなと思いました。
 なぜそんなに死亡退院がふえているかというと、医療区分2、3が8割以上という、療養1がどんどんふえていって、療養2が減ってきている関係で、重度の方がより急性期からおりてきていて、そこで一生懸命治療するけれども、残念ながら死亡退院する方がふえているということで、ここ数年でかなり急速にふえていることもあるので、もう少し先のデータまで入れていただけるといいかなと思いました。
 よろしくお願いします。
○田中座長 そのとおりですね。ありがとうございます。
 お願いします。
○猿木構成員 有床診の猿木でございますけれども、同じく11ページですけれども、厚労省が管理していないサービス付き高齢者住宅は、家庭のその他に含まれるという理解でよろしいでしょうか。それとも、統計上とっていないのでわからないということでしょうか。
○松岡医師確保等地域医療対策室長 これを見ますと、他の病院・診療所に入院や介護保健施設、社会福祉施設に入所等といったものと違うので、多分、家庭の中に入っていると思いますけれども、そのうち当院に通院していたり、ほかのところに通院していたり、在宅医療を受けていたりする人は、家庭、自宅であるかサ高住であるかということは関係なしに、ごちゃっとして数字をつくっているはずなので、必ずしもその他というカテゴリーに全部サ高住が入っているわけではないと思いますが。
○猿木構成員 ありがとうございました。
○田中座長 向こうの調査だからしようがない。家庭は、機能の名前で、場所の名前じゃないですね。
 まだあるかもしれませんが、ほかの資料もございますので、そちらの説明に移ることにいたします。本日、皆様からいただいた御意見も踏まえ、事務局においては、引き続き第7次医療計画における在宅医療の中間見直しについて検討していくよう、お願いいたします。御議論ありがとうございました。
 続いて、「2)医療計画に記載する事項や指標の見直しについて」に移ります。資料1の残り、資料2及び資料3の説明をお願いいたします。
 まず、資料1について事務局から説明してください。
○坪井室長補佐 では、資料1のスライド32ページ目からでございます。
 33ページ目でございますけれども、こちらが現在の第7次医療計画につきまして、指針においてお示ししているイメージをお示ししたものでございます。
 34ページでございますけれども、第7次医療計画における「在宅医療」の追加見直しのポイントでございます。
 真ん中の、第7次医療計画から必ず記載いただくことといたしまして、訪問診療を実施している診療所、病院数に関する具体的な数値目標を挙げております。
 そして、可能な限り記載いただくことということで、退院支援、急変時の対応、看取りといった機能ごとの数値目標と施策。また、訪問看護、訪問歯科診療、訪問薬剤管理指導といった主要な職種についての数値目標と施策を挙げてございます。
 35枚目が、指標例といたしまして、ストラクチャー、プロセスにつきまして、それぞれ4機能ごとに指標をお示ししているところでございます。
 36枚目からは、各都道府県における第7次計画の策定状況を示してございます。こちら、既存の資料になってございますので、少し省略させていただきまして、39ページ目が在宅医療の4機能ごとの目標設定の状況でございます。
 日常の療養支援という、赤色で印をつけているところにつきましては、全ての都道府県で目標設定を行っているところでございますけれども、そのほかの機能につきましては、退院支援、急変時の対応、看取りに都道府県ごとに差が見られているところでございます。
 また、一番上、黄色でお示ししてございますが、30都道府県では、指標例で先ほど表でお示ししているもの以外の目標設定がされているという状況でございます。
 次の40ページ目でございますが、こちらが原則として設定していただくとしておりました、訪問診療を行う診療所・病院数に関する目標設定でございます。
 右下の点線囲みの四角で記載しております都道府県につきましては、目標項目の記載がなかったところでございます。
 41ページ目からが、4機能ごとに目標項目を各都道府県がどういった項目を活用して設定しているかというところをお示ししたものでございます。
 下の図におきまして、0と書かれているところは、我々、指標例でお示ししておりますが、都道府県での活用がなかったという指標でございます。こちらが41ページ目から44ページ目まで、各医療機能ごとにお示ししてございます。
 また、45ページ目から47ページ目の3ページにわたりまして、それぞれストラクチャー、プロセス、アウトカムの指標ごとに、国でお示しした指標例以外の項目を都道府県独自で設定していただいている項目につきまして、紹介させていただいております。
 48ページ目でございますけれども、第7次計画の策定状況のまとめでございます。
 1つ目の○でございますけれども、原則として設定していただくこととしておりました「訪問診療を実施する診療所・病院数に関する数値目標」につきましては、8府県で設定されていなかったところでございます。ただ、これらの府県におきましても、訪問診療の実施件数を目標としていた県もございました。
 また、2点目、退院支援ルールの策定状況でございますけれども、全ての在宅医療圏で設定しているのが15都道府県であったということ。
 また、3点目でございますが、在宅医療に関する議論を地域医療構想の調整会議のほうで行っているのは38都道府県であったということ。また、在宅医療圏と構想区域が同一であるものが37都道府県であったという状況でございます。
 4点目の○につきましては、先ほど申し上げたとおり、「日常の療養支援」については、全ての都道府県で設定されていた一方で、そのほかにつきましては、都道府県により差が見られる状況であったということ。
 5つ目は、指標例以外の目標設定を行っていただいている都道府県もあったという状況でございます。
 次の49ページ目のスライドに、これまでワーキングで頂戴しております主な御意見を紹介しております。
 まず、1つ目の○でございますが、在宅医療圏の規模を二次医療圏で設定している都道府県が多くございますが、こちらが大き過ぎるのではないかという御意見。
 2点目でございますが、指標につきましては、ストラクチャー、プロセス、アウトカムとございますけれども、アウトカムの部分は指標例でもお示しできていないというところで、難しいという御意見。
 3つ目でございますけれども、在宅歯科医療や訪問看護についても、実施目標を設定していただきたいという御意見。
 4つ目でございますけれども、小児など高齢者以外を対象とした在宅医療の提供体制についても考慮する必要があるのではないかという御意見を頂戴してございます。
 50枚目に、これまでの取組をまとめてございますけれども、まず1点目ですけれども、30万人のほうでも出てまいりましたが、1月に「在宅医療の充実に向けた取組の進め方」という通知を発出して、都道府県にお願いすることを記したようなものを出しております。
 2点目でございますが、今回、資料2のほうで説明させていただきますけれども、在宅歯科医療の提供体制等に関する検討会というものがございまして、本年6月に議論の整理が取りまとめられているという状況でございます。
 3点目、こちらは資料3で、後ほど川越先生より御紹介させていただきますけれども、8次計画に向けまして、厚労科研で「在宅医療の提供体制の指標の開発のための研究」というものを行っていただいている状況でございます。
 スライド番号の51枚目になりますけれども、後ほど詳しく御紹介させていただきますけれども、在宅歯科医療の議論の整理の中で、下の表につきましては、指標例の中で歯科医療に関するものを抜き出した表になってございまして、黒字が従来、7次計画の当初より設定している指標例の指標でございまして、赤字が今回、議論の整理で指標例に追加してはどうかとされた指標でございまして、ストラクチャーとプロセスにそれぞれ指標が出ているところでございます。
 52枚目のスライドにつきましては、後ほど川越先生より御紹介いただきたいところで、説明は省略させていただきます。
 53枚目のスライドで、御検討いただきたい事項としまして4つ整理しております。
 1つ目が、数値目標の設定についてということでございまして、第7次医療計画の中間見直しにおいて、既存の指標例の中で「訪問診療を実施する診療所・病院数」以外に原則として数値目標を設定する指標があるかどうかというところが1点目。
 2点目でございますが、新たな指標の追加設定についてということで、多くの都道府県において、指標例以外の目標項目が用いられてございますが、指標例に追加すべき指標があるかというところ。
 また、3点目でございますが、在宅歯科医療の提供体制等に関する検討会における議論の整理が行われてございますが、こちらは第7次の中間見直しにどこまで反映させるべきかというところ。
 4点目でございますが、今後の在宅医療のあり方について、第8次医療計画を念頭に置いて検討してはどうかというところを検討事項として整理してございます。
 資料1の説明は以上です。
○田中座長 ありがとうございました。
 続いて、資料2について、歯科保健課から説明をお願いします。
○中園専門官 歯科保健課でございます。資料2をごらんください。
 口腔の健康と全身の健康との関係につきましては、近年いろいろ指摘されているところでございまして、在宅歯科医療についても、さらに推進が求められるという背景がございまして、目的の3行目にございますけれども、医療計画における在宅歯科医療の提供体制の評価のあり方等について具体的に検討するという目的のもと、その下、検討課題が3つございますが、医療計画(在宅医療)のうち、歯科医療に関すること。
 2点目といたしましては、第7次医療計画の中間見直しに向けた在宅医療に関する評価指標の検討に関すること。この点につきましては、現行でも数値目標の例示をお示しさせていただいているところでございますけれども、全ての都道府県において設定されていないという背景も踏まえまして、これらの検討課題のもと、本年2月に「在宅歯科医療の提供体制に関する検討会」というものを設置させていただきまして、本年6月、報告書を公表させていただいたところでございます。
 ページ数を振っていなくて恐縮ですが、次のページをごらんください。その報告書の内容について簡単に御説明させていただきます。
 下の枠の在宅歯科医療に関する現状と課題でございますが、大きく4つ。
 在宅歯科医療に関しましては、医科歯科連携の推進、歯科医療と介護との連携、また歯科医療機関の間での連携の強化というものが課題でございます。
 2ポツ目と3ポツ目でございますけれども、入院によって歯科治療や口腔管理が時には中断してしまい、退院後に症状が出てきて医療につながるということがあったり、あるいは要支援・要介護の高齢者の方々については、ニーズの把握がなかなか難しいという背景も踏まえ、他職種との連携が必要であるという点。
 そして、4ポツ目でございますけれども、患者と医療機関をつなぐという観点のみならず、地域の在宅歯科医療に関する連携体制を構築するという観点から、在宅歯科医療に関する連携機能を有する地域の拠点の整備、あるいは地域のコーディネーター機能を持つ人材の育成というものが必要であると、現状と課題を整理いただいているところでございます。
 次のページをごらんください。先ほどの目的のところにもございましたけれども、在宅歯科医療に関する数値目標の指標例も踏まえて、第7次医療計画の中間見直しに向けて、今後検討が必要な事項というものを整理いただいたところでございます。
 1つ目と2つ目でございますけれども、地域ごとの特性を生かし、地域の実情を反映した指標を各都道府県で柔軟に考えることが重要である点。そして、データ収集が比較的容易な指標例及び指標の考え方を示す必要があるという点がございます。
 具体に在宅歯科医療に関する数値目標の指標例の考え方でございますけれども、以下4つに大きく整理いただいているところでございます。
 マル1でございますけれども、現在、指標例として示されている3つ、「歯科訪問診療を実施している診療所・病院数」。また、より在宅歯科医療に関する機能強化がされている診療所数である「在宅療養支援歯科診療所数」。そして「訪問歯科診療を受けた患者数」、これらについて、考慮すべき点はございますけれども、在宅歯科医療の提供状況をあらわす指標としては適切であると考えられる。
 2つ目でございますけれども、地域包括ケアシステムの中で在宅歯科医療をより推進していくという観点を踏まえたときに、在宅歯科医療に従事している歯科衛生士の状況を把握することが重要である。
 その中で、2点ございますけれども、歯科衛生士が帯同した場合の歯科訪問診療の状況を把握する評価指標といたしまして、「歯科訪問診療料」の「歯科訪問診療補助加算」というものの算定状況。また、もう一点といたしましては、誤嚥性肺炎の予防などの観点から、口腔衛生管理の提供状況に関する指標といたしまして、「訪問口腔衛生指導を提供した医療機関数」または「訪問口腔衛生指導を受けた患者数」というものも検討してよいのではないか。この「訪問口腔衛生指導を受けた患者数」について、仮に診療報酬の訪問歯科衛生指導料というものを算定件数で評価する場合には、介護保険との給付調整というものの留意が必要になってくるところはございます。
 マル3でございますけれども、先ほどの現状のところで少し申し上げましたけれども、在宅歯科医療の提供体制に関するストラクチャー指標という観点において、「在宅歯科医療に関する連携拠点数」というものが考えられるのではないか。実際、その下に書いておりますけれども、連携拠点での事業内容というものを整理する必要があったりする点はございますけれども、都道府県において比較的把握しやすいと思われるところでございます。
 そして、4つ目、最後でございますけれども、NDB等データから得られる「歯科疾患在宅療養管理料」、ここにはNST等連携加算も含まれたり、「NST加算」の「歯科医師連携加算」、そして「診療情報提供料」など、診療報酬項目の算定状況につきましても、その算定要件あるいはその解釈に留意が必要ではございますけれども、都道府県の状況に応じて指標の一つとして考え得るのではないかと整理、取りまとめいただいたところでございまして、先ほど資料1の51ページの指標案を御提案させていただいた次第でございます。
 簡単ではございますが、以上でございます。
○田中座長 ありがとうございました。
 続いて、資料3について川越参考人から説明お願いします。
○川越参考人 それでは、資料3について説明させていただきます。現在、厚労科研「在宅医療の提供体制の評価指標の開発のための研究」を担当していますが、今回は、特にマネジメントの推進の視点から、第7次医療計画の現状・課題と改善策についてご報告させていただきます。
 まず、スライド3をご覧ください。
 公募要項にて本研究に期待された成果は、第7次計画で用いられた評価指標の見直しを行うことです。前回指標及び作成過程のどこに問題があったのか、どこの部分をどのように改善していけばよいのかといった課題の整理と対策の検討が1点目。それら指標の効果的な利活用をどのように進めていくのかといった、運用面の見直しについての検討が2点目です。これらが期待された成果となります。
 それに対し、3つの研究方法を設定しました。1つ目は、既存指標の作成過程の把握と課題の整理ならびに修正案の提案、2つ目は、指標の継続的な測定方法の検討、3つ目は、これら指標をマネジメントサイクルの中できちんと利活用するための方法の検討です。これら3つの研究を現在進めております。
 主な研究成果についてご報告する前に、スライド6をご覧頂きたいと思います。私どもはこれまで、市町村に対する様々な支援を行ってまいりました。それら支援過程のなかで、マネジメントの考え方そのものがあまり理解されていないことを感じてきました。そもそも、事業マネジメントの理想的な流れというのは、事業の目的と期待されている役割を理解した上で、既存データやアンケートの分析、ヒアリング、事例検証などを通じて現状を把握し、目指す姿との対比を通じて課題を抽出・整理し、その上で、関係部署とも調整しながら計画案を内部で検討し、外部の関係者を交えた会議体を運営して計画の承認を受けて実行し、実施後の評価をしながら、現行計画の改善点を明らかにして、次期の計画策定に向けた見直し作業を行うというのが一般的なマネジメントの流れかと思います。
 その際、課題をどのように捉えるかがポイントとなります。課題というのはそもそも目指す姿と現状のギャップのことを言います。また、ギャップの対象としては、量的な側面と、連携といった質的な側面のものがあるかと思います。連携であれば、目指す連携の姿を設定し、現状との違いから連携上の課題をおさえるというのが一般的な方法だと思います。
 量的側面から見た課題と質的側面から見た課題に整理した上で、現状を目指す姿に近づけるために施策を検討し、実行する。その際、効果的な施策を選択する必要があるので、課題を生じさせている要因の分析を行う。そして、現状が目指す姿に近づいたかどうかを指標に基づいて確認する。こうした基本的なマネジメントの考え方や展開方法が定着していないということを感じます。
 ここで、実際の計画の一例をスライド9に示します。これは、ある県の実際の論理展開を少し脚色したものです。目指す方向性を「医療と介護の連携強化という手段を通じて、ニーズに応じた包括的な提供体制を構築する」とした上で、例えば、在宅医療の4場面の1つである退院支援に関し、担当者の人材育成や技術の向上、知識の向上、連携の強化という課題を置き、研修の実施とルールの策定といった対策を行うとなっています。これはよく見られる計画かと思います。
 では、この計画の問題点は何か。1点目は、どんな連携を目指すのかが設定されていないことです。連携は手段であって、目的でも目標でもありません。目的と目標を設定した上で連携という手段を考えなければいけません。行政の方は、施策を考えるため、どうしても手段を強く意識される傾向にあると感じます。そのため、施策を意識しながら課題を設定しているといったことが起こっているのではないかと思います。2点目は、この施策が、実際に連携強化につながったかどうかを評価する方法が不明確であることです。
 次に、スライド10をご覧ください。これは市町村の例です。B市では「在宅医療・介護連携の推進」という目的を設定した上で、連携の推進、情報共有、提供体制の構築を目標とし、その対策として研修会の開催をあげています。
 この場合、前回計画に対する評価は、研修会を年に何回やったかの確認ということになります。これだと連携が深まったかどうかの確認はできません。また、連携の場面も設定されていません。連携という漠然としたものに対して課題を考えるため、課題も対策も抽象的になってしまいます。また、対策の内容も、市町村で行えるものに限定して考えています。これらは多くの市町村の計画で見られる現象と思われます。
 次に、スライド11をご覧ください。都道府県・市町村の計画策定における思考過程をマネジメントの視点から見直していくと、施策に対する意識が強く、何を目指すか、どこを目指すかといった目的や目標を十分に検討しないまま、手段である対策から考えている印象を受けます。目的から目標を置き、目標達成に向けた対策を考えるといった順番での思考が弱いと感じます。
 ところで、次期計画策定では、まず、第7次計画に対する評価から入ることになります。評価というのは、どんな成果を事業や施策に期待したかという期待値があって、実際にどうなっているかを確認し、そのギャップを評価することになります。事業にどんなことを期待したかということが設定されていないと評価はできないわけです。今のままでいくと、何カ所在支診を作ったかといった目標に対し、何カ所実際にできたかという評価でおそらく終わっていくという感じを受けています。指標を設定することは当然重要ですが、その指標をどのような考え方に沿って設定していったかという思考過程を強化する必要があると考えています。
 こうしたなか、新田構成員の地元の国立市の地域医療計画策定に関わる機会を得ました。また、その検討過程で、ロジックモデル的手法を導入し、検証する方向となりました。同地区の計画で重要なことは、市民にとってわかりやすい計画であるということです。例えば、看取りを例にすると、住民側にもきちんとした意識や意向を持っていただくというのは非常に重要な要素となります。計画自体を行政や委員会側で作り、それを市民に守ってもらうスタイルではなく、市民と一緒に計画をつくり込むことが非常に重要です。こうした形を実現するには、目指す姿の設定と共有は必須です。また、目指す姿が示されていて、課題が明確であり、そのための対策と目指す姿が整合的であることが、市民にとって重要な要素になってくると思います。
 そのために、目指す姿からそれを実現するために必要な要素を抽出し、現状との対比から課題を整理し、有効と考えられる対策をとってきたというロジックをきちんとつくり込まないといけないだろうということで、ロジックモデルの導入を進めてきた訳です。
 スライド14はロジックモデルの考え方を整理したものです。手段から物事を考えるのではなく、目指す姿を置いた上で、目指す姿を実現するためには何をしなければいけないかというところの具体的な目標を設定し、その目標を達成するためには何が必要かという要素を出した上で、その必要な要素を満たすためにはどんな手段がありうるのかといった順番で物事を考えていきましょうというものです。そして、最終的にどういった施策で目指す姿や目標達成を実現するかを考える。ですから、施策というのは最後に出てくるものになるわけです。こうした順番で物事を考えていきました。
 それと、課題を整理するときの方法をどうするかも議論になりました。都道府県・市町村では既存データやアンケートによる量的分析はよく行われているのですが、量的分析だけだと連携といった質的な問題点がなかなかクリアにならないと感じています。また、住民にもわかりにくい。そこで、国立市では、住民にもわかりやすく、委員会に入っている臨床の先生方にもわかりやすいものということで、事例を分析して課題を明確にするといった手法を採用しました。
 具体的には、看取りの事例の概要を市町村から提出していただいて、連携上ないし提供体制上の課題がどこにあるかを考えていった上で、提供された事例から何が達成できていて、何が達成できていないのかを整理していく作業を行い、それら作業を通じて目指す姿と現状がわかり、課題が整理できてきたということです。
 そうした検討の結果、目指す姿に近づけるために必要な要素として、一点目として、本人の意思の表出がされていること、二点目として、関係者間で意思がきちんと把握されていて、かつ共有されていること、三点目として、希望に沿った看取りが展開されていること、四点目として、それらを実現するためのベースとなる提供体制が整備されていることが必要であろうという整理となったわけです。
 まとめると、まずは、本人の住み慣れた地域、本人の望む場所で不安なく最期まで暮らすことができる地域をつくっていこうといった目指す姿を置く。その上で、これを実現するためには何が必要かを検討し、先ほどの4要素を挙げた。次に、4要素ごとに、例えば本人の意思の表出を達成するためには何が必要かということを整理した上で、それをやるためにはどんな手段が必要かということを検討した。その過程で、例えば事前指示書を作成しようという手段が考えられて、それらを具体的に施策としてどう落とし込むかということを考えて、そうした取組が結果的に目指す姿に近づいているかどうかの確認をするために、評価内容として何を置こうかということで指標を考えたという順番で物事の整理を行ってきたということです。
 現在、看取り、退院支援、日常療養、急変時という4場面ごとにロジックモデルの案をつくっています。確定したものをつくったわけではなく、あくまでもたたき台として、市民に見てもらい、市民と一緒に微修正をかけながら完成させていくといったプロセスも含めた形で計画策定を考えています。
 最後、今後に向けてです。指標をどのように見直していくかですが、指標設定の考え方をきちんと位置づけないと意味がないだろうと思っています。また、指標を具体的にどのように設定していけばいいのかということは、具体的な例がないとわからないだろうと考えています。国立市で行ったことは、一つの例示だと考えています。ただし、継続的にこれら指標をどのように把握していくのか、どうやってデータ入手するのかといった点は重要な検討事項です。当然、レセプト等は必須になってきますし、第8期に向けて各市町村で実施される日常生活圏域ニーズ調査も、データ把握上重要な手段になり得ます。地域が継続的に行っている各種調査の中で、指標に関する必要なデータが継続的に収集できる状況をつくるということを今後やっていこうと考えています。また、ロジックモデル、すなわち、目指す姿を地域で共有した上で必要な要素を抽出・整理し、手段を考えていくという順番で物事を考えていくということを取り入れていく必要があるのではないかと考えております。
 私からの説明は以上です。
○田中座長 マネジメントの視点に基づく解説、ありがとうございました。9ページ目、10ページ目に載っているA県とかB市とは、我がことか、うちの地元じゃないかと逆に感じたかもしれません。国立の姿に近づくことを期待いたします。
 それでは、今、説明のありました資料1の後半、資料2、資料3、どれでも結構ですので、御意見、御質問、お願いいたします。
 小玉参考人、お願いします。
○小玉参考人 日本歯科医師会の小玉でございます。
 今、事務局のほうからも説明していただきましたように、口腔ケアが誤嚥性肺炎の発症予防でありますとか、循環器疾患、脳卒中の疾病の発症にも関係するというところで、このたび「在宅歯科医療の提供体制等に関する検討会」を厚労省で立ち上げていただき、初日には吉田局長にもお出ましいただいて、御挨拶していただいたことを深く感謝申し上げます。
 資料1の51ページ目に、その議論に基づいた指標の項目が出てございますし、また議論の過程が資料2に示されてございまして、解説いただいたところですけれども、本来であれば、歯科も日常のこういった療養支援だけにとどまらず、退院支援でありますとか急変時の対応、また看取りにもかかわるところがあるかもしれません。評価項目が今、明らかに共通で理解しやすいというところは、口腔衛生に関することだと思いますので、まずはそういったところを評価項目に加えていただければありがたいと思います。
 以上です。
○田中座長 ありがとうございました。
 角野構成員、お願いします。
○角野構成員 私も51ページです。歯科のことがこうやって入ってきたというのは、非常にいいことだとまず思っております。
 ただ、今、退院支援のことをあえて今回は出していないということなのですけれども、僕はここが空白だったのがちょっと気になったところで、退院支援の部分。例えば、今、滋賀県では、歯科医師会さんのほうにお願いして、57病院のうち歯科を持っている病院がそんなにあるわけではないのです。そこに派遣事業というのをしていまして、歯科医師会の先生方が病院に派遣されて、入院中から在宅へ向けての歯科診療等々をされている。そして、在宅歯科につなげるということをやっています。ですから、どういう項目で表現すればいいかは別として、何か1つくらい、退院支援というところの項目があってもいいのではないかなというのが1点。
 それから、日常の療養支援の部分で、もちろん歯科医師の先生方も大事ですけれども、実際には歯科衛生士さんというのがふだんかかわることになる。そこで、ほかの看護師とかはかなり数がわかっているのですけれども、歯科衛生士さんのマンパワーとして、どの程度地域で活動しているかというのも指標として出てきてもいいのかなと思います。
 以上です。
○田中座長 御指摘ありがとうございました。
 越田構成員。
○越田構成員 ありがとうございました。
 いろいろな気づきがありました。確かに在宅療養をされている方の歯科の治療もさることながら、もう少し手前から、歯は大事だということを発信する必要があるのではないかと思います。基礎自治体が行う歯科健診は健康増進法の中に位置づけられていますが、受診率がまことに低い、3~4%です。高齢者に関しては単に虫歯を探すのではなくて、少し違った観点から歯科健診を行っていくという仕組みも大事ではないかなということを日ごろ感じています。
 また在宅療養に至る以前から、歯を大事にしようという意識づけ、動機づけも不可欠ではないかなと思っております。先日、ある婦人会の方とお話ししておりましたら、「この間、歯医者さんの講演会を聞きに行ったら、歯って大事だと思うようになった。」と言われました。案外口腔ケアを含めた歯の大切さを知らない。ですから、一般の方に口腔ケア、大事だよ、ちゃんと物をかんで、呼吸して、しゃべるためには、そして長生きするためにはだ大切なことなんだよというメッセージを発信していくことが必要であると思っております。
 以上です。
○田中座長 ありがとうございます。
 はい。
○猿木構成員 有床診療所の猿木でございます。
 ちょっと論点がずれてしまうかもしれませんけれども、お許しください。私、20年ほど前に友人の歯科医師、歯科の先生から、あの当時、在宅医療などない時代で、訪問車というものをつくりまして、それで訪問に行って歯科診療じゃなくて治療。ことごとく保険者に切られた。そういうものをやって、その先生は訪問診療とか訪問治療を諦めてしまったのです。現状どうなっているか知りませんけれども、歯科の先生が、動けない患者さん宅に行って、機械を持ち込んで治療するという場面があるのでしょうかということと。もしあったとして、保険請求をちゃんとできているのでしょうかという質問です。
○田中座長 事務局、お答えいただけますか。
○田口歯科保健課長 事務局でございます。
 今、構成員の先生から御質問がございました在宅の訪問歯科診療でございますけれども、これにつきましては、診療報酬上の評価もきちんと現行ではされてございますし、それから、患者さん宅に行った場合の診療報酬の評価、あるいは施設に行った場合の評価といったものもきちんと評価されているという状況になってございます。
○猿木構成員 歯科の先生が往診に行って治療したとしますね。そのとき、これがないとだめだとか、こういう状態じゃないとだめだという縛りとかはございませんか。
○田口歯科保健課長 常時寝たきりという状態ではないですけれども、通院が困難な患者さんに限って訪問診療をやっていただくという算定上の要件というのはあるかと思います。
○猿木構成員 そうしますと、デイサービスには行けるけれども、ほとんど自宅にいるという人はどうなのでしょうか。
○田口歯科保健課長 恐らくそういった患者さんになりますと、通院ができるという形になろうかと思いますので、歯科の診療の内容によっては、在宅でやられるよりも設備の整った診療所でやられるケースのほうが非常に有用なケースもございますので、その場合には診療所に通っていただいてやっていただくというケースもあろうかと思います。
○田中座長 先に小玉参考人。
○小玉参考人 高齢の方、通院される可能性がある方はデイサービスという形ですけれども、場合によっては、デイサービスに行かれて、そこで結構時間とか、行ったり来たりの手間がかかったりする場合があるので、デイサービスの中でも治療ができるようになればいいかなと我々は考えています。将来的にはよろしくお願いいたします。
○田中座長 新田構成員、お願いします。
○新田構成員 実際に歯科の先生方、歯科衛生士と連携しておりますが、かなり重度な方においても、歯科の先生は、私の知る限りはきちんと来ていただいております。そして、例えば入院後、口腔のかみ合わせが悪いなど、筋力の低下であることがほとんどでございますので、新しいかみ合わせ等の歯科医療を行い、そして口から食べること、それによって誤嚥性肺炎を防ぐという重要な役割があります。実際、そのためにほとんど寝たきりで食べられなくて、誤嚥性肺炎を繰り返していた人が再度食べられるようになってということが、私のところでは散見して、それは地域の連携の仕事としても重要で、歯科の先生たちと一緒にやっています。
 先ほどの川越先生の発表について、言ってよろしいでしょうか。
○田中座長 資料1や3についてもどうぞ。
○新田構成員 先ほどの川越先生の発表について、私もかねがね在宅医療提供体制の推進等々、評価も含めて、厚労省の指針の中で都レベル市レベルで皆さんといろいろやってきたのですが、何かどうも違うな。それは、確かに数的なものとか、そういうことに終始して、それはそれで施策として成り立つわけですが一方、在宅医療推進のために数的なストラクチャー整備は大変重要だということをわきまえた上で、川越先生と一緒にやって、本当に考えさせられました。その中の既存指標の策定過程等が、それだけでは地域医療の推進にならないだろうということで、本日川越先生が話されたロジックモデルを行ったわけです。
 ただし、私の場合、国立でございますが、地域行政マンにとっては、最初はなかなか理解できなかったです。なぜかというと、従来型の発想がずっと頭にこびりついて、政策で数値だけをやればいいという、それで終わった。しかしながら、それでほとんど進んでいないという現実があります。そのために、私の記憶では、去年の年末、正月を含めて、4日間、合宿のように行政マンと川越先生たちと施行の方向性についての話し合いを行い、それで初めて理解していただいたという過程があります。何を言いたいかというと、地域の行政マンの頭のロジックモデルを変えるのは大変なことだなというのが1つあった次第でございます。
 その意味で、いわゆる症例からこういったモデルを策定すると市民にわかりやすいということで、新しい目標ができる。現実に今、一月に1回、行政と市民との間で対話集会をして、この医療計画を進めながら、このロジックモデルを用いて、市民も理解して、次のステップへ行くという事を行っています。補足というより、発言させていただきました。
○田中座長 ありがとうございます。市民が参加して医療計画をつくっていく。新しい姿ですね。ありがとうございました。
 織田構成員。
○織田構成員 ちょっと別の退院支援ルールについてですが、よろしいですか。
○田中座長 結構です。
○織田構成員 前の回で、退院支援ルールが決まったら、全体的に在宅復帰が非常によくなったという話があったと思いますけれども、我々の構想区域でも退院支援ルールについての話合いが始まりました。急性期医療、回復期、慢性期、機能によって退院支援のあり方は違うのですけれども、地域で介護も含めて、一緒に話し合う場ができたことが非常に重要だなと思いました。退院支援を積極的にやっている病院、そうでない病院、みんな集まって話し合うことでけれども、基本的に底上げになりますね。
 これによって在宅に向けて取り組んでいる病院が身近なところにあるというのが見えてきますから、そういう意味では、退院支援ルールの策定というよりも、そういうものについて話し合いをする場、協議する場というのは非常に有意義だなと思いました。退院支援の取組みがおくれている病院も確かにありますから、一緒に話し合うことで、そういう病院の底上げには十分役立つだろうと思います。今やっている感想です。
○田中座長 ルールづくりは手段であって、目標はもっと。
○織田構成員 ルールを厳格に決めようとしてしまうと、うまくいかないですね。ですから、大体の流れのルールで十分で、あとはそれぞれの医療機能に合わせて病院が策定する。流れは一応みんなで話し合うということと、各病院がどういう取組をやっているかということを報告することで、自分の病院ももっと積極的に進めなければとか、相手の病院のことがよくわかるのですね。だから、地域で話し合って、あそこの病院はこんな取組をやっているのか、知っていそうで意外と知らない。そういう意味で、非常にいい機会だったと思います。
○田中座長 ありがとうございます。
 池端構成員、お願いします。
○池端構成員 ありがとうございます。
 2点お話ししたいと思います。
 1点は、川越先生の御発表ですけれども、私もこれを見て、なるほどと膝を打った感じですけれども、うち、越前市でも川越先生に来ていただいて、このことではないけれども、幾つかの案件で行政の方とこういう施策にかかわっていただいて、行政マンの考え方がどんどん変わるのです。このプロセスは非常に大事だなと思っていまして、ここにこういうツールがあったのだなということを感じました。これをよく見ると、うちの経営マネジメントでも十分使えるかなと、職員にも言いたいなと思ったぐらいで、大変参考になりました。県でも市町でも、この考え方をきちんと入れて頂きたいと思いました。
 特に、課題分析に対して時間を全然割いていない。あくまでも施策をして、評価させるという、そこに視点が行ってしまっていることがよくあるので、ぜひこういう視点で私たちもかかわらせていただきたいと思っています。これは感想です。
 もう一点は提案ですけれども、53ページの検討事項のところでよろしいでしょうか。数値目標の設定ということで、第7次では特に全国で指標例として「訪問診療を実施する診療所・病院数」ということが挙がっていたかと思います。実は、当県でも調整会議でこの数字が出てきているのですけれども、実際に出てきた数字と、落とし込むときの現場感覚が全然違うのです。訪問診療をする診療所・病院は一定の数あって、全国平均より高いという数字が出ているが、現場としては供給量が全然足りていない。
 何かというと、これは手挙げして、訪問診療をやりますよというところも入れてしまったり、あるいは1件でもやれば、それはやるということになっているところがあって、それも全部1としてカウントされていると、本当の供給量として足らないけれども、件数としては一定程度、全国平均並みに上がっているということが出るので、この件数とプラス、実態、何件、訪問診療あるいはターミナルの加算等をどれぐらいとっているか、こういう数字もセットで見ていかないと、本当に必要な供給量が見えてこないのではないか。
 供給量がないから在宅が進まないのか、在宅のニーズがないから供給量がふえてこないか、どっちが先か、わからないところがよくあるので、単に同じように数字だけを出すと、その辺が落とし穴になるかなと思うので、場合によっては、訪問診療に行っている件数と診療所数ということをセットで考えていただくといいのかなと感じました。
 それと、指標を見るときに、当初はアンケート調査でやっているだろうと思いますが、アンケート調査の場合は、訪問診療に手挙げしているところを全部○にしていると、それが1件になってしまっているところも、詳しく見ているとありましたので、その辺の指標も合わせなければいけないかなということを感じました。
 以上、感想と提案です。
○田中座長 ありがとうございます。
 吉川構成員、お願いします。
○吉川構成員 中間見直しに向けた指標例についての意見です。
 在宅医療のニーズが増えてきている中で、在宅での療養生活を支えていくために訪問看護が重要と考えています。35ページの日常の療養支援のストラクチャーの指標例として「訪問看護事業所数、従事者数」が示されているのですけれども、点(読点)の場合はどちらかを記載すれば良いという意味合いなのでしょうか。点と中黒の違いをもうちょっと明確にしていただきたい。今後、訪問事業所数と従事者数の両方を指標にしていただきたいと考えております。点だと、どちらか片方しかとらないということになるのでしょうか。そこを1つお聞きしたいと思います。
○田中座長 お答えください。
○松岡医師確保等地域医療対策室長 まず、中黒というのは、1つのカテゴリーの中にいろいろなものが入っていて、全部とりましょうという場合。つまり、診療所・病院数というのは、診療所アンド病院をまとめて数としてとってくださいということです。句点は、どちらか、オアという形で、一つ一つの独立した項目として挙げている。
 両方とったほうがいいというのは、おっしゃるとおりですけれども、多分、都道府県によってとれる、どういうソースからとったらいいかわからないとか、どういったソースがあるのかというのがありますので、事業所数と従事者数を両方とるべきだと思うところもあれば、どっちかでいいのではないかと思うところもあると思うのですけれども、私どもとしては、この一つ一つについて、黒いポチ、つまり重点的にとったほうがいいという推奨にしているような状況になっています。
○吉川構成員 そうしますと、地域によって、どれぐらいここでは事業所数が必要で、それは規模にもよるかと思いますけれども、どれぐらい訪問看護をする訪問看護師が必要かというのは、ちゃんと出して、把握していかないといけないところだと思います。そうなると、事業所数と従事者数を、もし分けてとるとすると、項目を変えてとる形にすれば両方とれるということになる。私たちとしては、両方とっていただきたいと考えておりますので、そこを御検討いただきたいと思います。
○田中座長 御要望ですね。在宅医療は医師だけで進むわけではないので、訪問看護ステーション数あるいは従事者数は絶対に必要な指標ですね。
 お願いします。
○猿木構成員 しつこくて恐縮ですが、在宅医療の観点から、訪問歯科診療は絶対ふやすべきだと僕は思うのです。その観点から、ぜひ余りうるさい算定要件にはしないでくださいということと。
 もう一つ、現状、訪問歯科診療は、月とか年間、一体どのぐらいあるのか、調べて報告いただけないでしょうか。
○田中座長 算定要件は保険局のほうかもしれませんが。
○松岡医師確保等地域医療対策室長 算定要件は、私どもは何とも言えないところがあるのですけれども、済みません。少なくとも数字については報告されているものがございますので、改めてお示ししたいと思っております。
○猿木構成員 ありがとうございます。よろしくお願いいたします。
○田中座長 角野構成員。
○角野構成員 先ほどの川越先生のお話もありましたように、多くの場面において手段の目的化が起こっている。今回も、どう見ても細かく数値化ということで大事ではあるのですけれども、そこにとらわれ過ぎていくと本来の姿を見失ってしまう部分があります。自由記載というか、指標例以外の記載のアウトカムのところ、47ページにちょっと例があるわけですけれども、これを見ましても、ちゃんと評価しようと思うと、どうしても数字がわかりやすいから、何か数値化できるようなアウトカム指標になっているところが幾つかあるのです。
 本来、そうではなくて、先ほどの市の目指す姿という、これがアウトカムであってもいいのです。そのとき、それをいかにわかりやすく評価するかという、評価の仕方ですね。そこを今すぐ考えることはなかなか難しいですけれども、それを常に念頭に置いていかないと、結果として、これが大事だということをきょう聞いていても、現実にはなかなかなっていかないのかな。ついつい数字に追いかけられ過ぎる。
 ですから、場合によったら、どう評価するのかと言われるのは、ちょっと横に置いてでも、思い切って、次に計画をつくるときには、わかりやすい目指す姿、あなたの県は在宅医療で何を目指しているのかというのを、何か書かすということ。無理やりでも書いてもらう。そういうのも1つあっていいのかな。そうすると、考え方も計画のつくり方も変わるのかなとちょっと思いました。
○田中座長 ありがとうございます。
 はい。
○小玉参考人 川越先生のお話で、国立市の地域医療計画策定の御苦労がよくわかったのですけれども、その中で市民の方の御意見をたくさん聞いて、意見交換会とかアンケートとかとられているのですけれども、どれぐらいの規模でアンケートをとられたのか。あと、市民の意見とおっしゃっているのですが、どういった方を主に対象に意見が聞けたのかを教えていただければありがたいです。
○川越参考人 市民の方の意見を反映させるための手段として、初年度は専門の先生方を中心とした検討会で骨格をつくる。ただし、これはあくまでたたき台をつくるのだという前提で、このロジックモデルをつくり、その後から市民の方に徐々に入っていただきながら、市民の方はどうしたいのかという思いを、お互いの対話の中でつくり込んで、徐々に最終形に収束していくことを目指しています。
 事業では継続性が大事であり、その継続性を確保するためには住民参加が必須となります。したがって、住民にいかに入ってもらい、考えを表出してもらい、対策に対するアイデアを出してもらいながら、形を作り上げていく。こう考えていくと、目指す姿から手段を考えていくといった手法が必要になっていくということかと思います。国立市では量的な調査も実はやっています。これら量的調査で平均的な絵姿をおさえつつ、個々の人の思いなどを聞きながら計画を醸成させていくということが、実は非常に重要ではないかと思いながら、計画を進めているということです。
 
○田中座長 新田構成員。
○新田構成員 先ほどのアウトカム指標についての話ですが、ここに出ているものは、在宅医療というと、看取りをどうするか、急変といった方向に流れてしまう。それはアウトカムではないと僕は思っていて、もっとポジティブヘルシング。
 例えば、要介護、重度になっても、最期まで元気で生きがいを持って生きるというのが重要なアウトカム指標。それに対して在宅医療が貢献するということだろうなと思っていまして、先ほど川越先生の中の21にも出ているのですが、例えば主観的健康観とか主観的幸福感とか、ここにあるのですが、これはどういうふうに評価をやっていくか、これからアカデミーも含めて検討することだろうと思いますが、本来、これから85歳以上の人の半数が在宅で亡くなるときに、その方たちもポジティブヘルシングでどうするかということを支えるのが在宅医療かなと私は思っています。看取りは看取りでいいのですが、今の御意見に対して、そのようなアウトカム指標をつくるべきだと思います。
○田中座長 大変的確な御指摘ですね。急変時というのは一部であって、本来の目標はもっと違う。長年、この分野で活躍されてきた新田構成員ならではの御発言です。
 まだ議論したいのですが、2時半に出ていかないと怒られそうですので、よろしいですか。
○牧野参考人 1点だけ。
○田中座長 1点だけどうぞ。
○牧野参考人 意見になります。資料2の2ページ目、在宅歯科医療に関する現状と課題に関しまして、歯科医師と介護支援専門員の連携が必要との記載がございます。指定居宅介護支援等の事業の人員及び運営に関する基準について(抄)平成11 年7月29 日老企発第22 号厚生省老人保健福祉局企画課長通知)居宅サービス計画の実施状況等の把握及び評価等(第13 号・第13 号の2)により、現在、介護支援専門員は指定居宅サービス事業者等から利用者に係る情報の提供を受けたときその他必要と認めるときは、利用者の口腔内に出血がある等、口腔機能に係る情報のうち必要と認めるものを、利用者の同意を得て主治の医師若しくは歯科医師に報告し連携を重ねている点、御報告させていただきます。
○田中座長 ありがとうございました。
 では、後半の議論で出てきたことも、これからの医療計画の中の在宅医療の中間見直しについて含めていくようお願いいたします。
 本日の議論はここまでといたしますが、事務局から何か連絡はありますか。
○坪井室長補佐 次回のワーキンググループにつきましては、詳細が決まり次第、御連絡いたします。
 以上でございます。よろしくお願いいたします。
○田中座長 では、本日のワーキンググループはここまでといたします。
 大変実のある御議論をありがとうございました。
 

 

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