ホーム> 政策について> 審議会・研究会等> 医政局が実施する検討会等> 在宅医療及び医療・介護連携に関するワーキンググループ> 第8回在宅医療及び医療・介護連携WG議事録
2019年3月18日 第8回 在宅医療及び医療・介護連携に関するワーキンググループ
○日時
平成31年3月18日(月)16:00~17:40
○場所
全国都市会館 大ホール
○議事
○堤室長補佐 大変長らくお待たせいたしました。
ただいまから、第8回「在宅医療及び医療・介護連携に関するワーキンググループ」を開会させていただきます。
構成員の皆様方におかれましては、お忙しい中、御出席くださいまして、まことにありがとうございます。
本日は、角野構成員、佐藤構成員におかれましては、御欠席の御連絡をいただいております。
また、本日は平成30年北海道胆振東部地震の大規模停電時の在宅人工呼吸器を使用されている方たちへの対応について御報告をしていただくため、参考人として医療法人稲生会理事長、土畠智幸参考人をお呼びしております。
なお、本日、別の公務のため、事務局が会議途中に退席、入室を予定しておりますので、あらかじめ御報告をさせていただきます。
議事に入ります前に、お手元の資料の確認をさせていただきます。
お手元に議事次第、構成員名簿、座席表のほか、資料1、資料2-1、2-2、2-3、参考資料1、参考資料2をお配りしております。また、土畠構成員より、机上資料の配付がございます。不足がございましたら、お知らせください。
また、本日は一部をペーパーレスの会議とするため、お手元にタブレットを御用意しております。これまで開催された会議資料、議事録につきましては、そちらを御使用の上、御確認していただけますよう、お願いいたします。不足や不具合等がございましたら、事務局までお知らせください。
報道の方で冒頭カメラ撮り等をしておられる方がいらっしゃいましたら、ここまででお願いいたします。
(冒頭カメラ撮り終了)
○堤室長補佐 それでは、以降の進行は田中座長にお願い申し上げます。
○田中座長 皆さん、こんにちは。
議事に入る前に、団体を代表して参加いただいている構成員の方が欠席の場合の取り扱いについてお諮りします。かわりに出席されている方について、事前に事務局を通じて座長の了解を得ること及び当日の会合において承認を得れば参考人として参加し、かつ発言を認めるという規定になっております。本日の会議につきましては、角野構成員の代理として滋賀県健康医療福祉部医療福祉推進課副参事、中村参考人の御出席を、また、佐藤構成員の代理として日本歯科医師会常務理事、小玉参考人の御出席をお認めいただけますでしょうか。
(「異議なし」と声あり)
○田中座長 ありがとうございます。では、参加し、かつ御発言ください。
早速、議事に入ります。
まず、議題1の在宅医療の充実に関する都道府県の取り組み状況等について、資料1の説明を事務局からお願いします。
○堤室長補佐 事務局でございます。
では、お手元の資料1をごらんください。また、あわせて参考資料1も御準備いただけたらと思います。
資料1「在宅医療の充実に関する都道府県の取組状況等について」でございます。
1ページ目でございます。昨年4月から始まった第7次医療計画における在宅医療の提供体制に係る計画や、在宅医療の充実に向けて都道府県に取り組んでいただくべきことについて、これまで本ワーキングで御議論をいただき、昨年12月に「在宅医療の充実に向けた議論の整理」を取りまとめたところになってございます。
その内容を踏まえ、本年1月に厚生労働省として「在宅医療の充実に向けた取組の進め方について」を都道府県の在宅医療部局と介護担当部局に通知をしたところでございます。
今回、通知内容に沿って各都道府県の平成31年2月1日時点の取り組み状況について調査を行いましたので、御報告させていただきます。
2ページ目が今回の調査内容になってございます。詳細はお手元の通知にございますように、通知の2ページ目以降になってございます。こちら、資料1が(2)から始まってございますけれども、こちらは通知の番号にそろえてお示しをしているところになってございます。
(2)の都道府県全体の体制整備から(6)の住民の普及・啓発について、今回、この中の各項目について、さらにAをやっているとか、Bをやっているとか、そういう余り細かく問うという形ではなく、あくまで足元の取り組み状況について各県がどのように取り組んでいただいているのか、その全体像をお示しするものというような内容になってございます。
3ページでございます。こちらは御参考というような形になりますけれども、本資料の10ページ目以降の取り組み状況の結果を見る上で、図にあるような在宅医療圏域の設定のもと、各都道府県が取り組んでいらっしゃるということになっております。
4ページでございます。これ以降が調査内容の結果になってございまして、まず1つ目、都道府県の体制整備、医療政策部局と介護担当部局の連携の推進につきましては、全ての都道府県で実施されているというような結果でございました。
5ページでございます。同じく県の体制整備として年間スケジュールの策定がなされているかというようなことにつきましては、11の道府県で策定されており、残り21の県が今後策定予定、残り3分の1、15の都道府県で未策定というような状況でございました。
6ページ目になります。都道府県の体制整備について、在宅医療の充実に向けた市町村支援の内容でございます。多くの都道府県で既に実施しているというような回答でございました。
7ページになります。7~10ページ目以降が、いわゆるデータ分析、見える化のところでございまして、こちらはKDBシステムのデータ等というように調査をしておりますので、必ずしもKDBのデータ以外の活用もあるというような内容でございますけれども、約3分の1の都道府県で実施をされており、残り3分の1ずつが今後実施予定あるいは実施の予定がまだたっていないというような結果でございました。
8ページになりますけれども、こちらは以前の当ワーキングでもお示しさせていただきましたように、既存の統計情報ではなかなか見えてこないような、例えば医療機関ごとの在宅医療に対する意向等、そういった医療機関ごとの調査を病院、診療所、訪問看護ステーションに行っているかというようなことに関する内容になっております。約6割から7割の自治体が医療施設に対する調査をされているというような結果になってございました。
9ページが、これら調査結果が共有されているかというような内容になっております。おおむね実施しているとされた都道府県においては何らかの形でデータの共有がなされているというような足元の状況になってございます。
10ページでございます。こちらは在宅医療への円滑な移行として、入退院支援ルールの策定支援がなされているかというようなものになってございます。縦軸が在宅医療圏域数となってございますように、各都道府県によって、その数が異なっているというような形になっております。
したがいまして、※印で注釈をつけさせていただいておりますように、入退院支援ルールについては県統一でありますとか保健所単位で取り組んでいらっしゃるといった自治体もありますので、この圏域数のバーの高さについては地域の実情に応じて設定されているものというように考えておりますけれども、現状としましては、約半数が策定済み、そして、約3割が今後策定予定と御回答をいただいております。
11ページ、12ページでございます。こちらが在宅医療に関する人材の確保・育成でございまして、11ページの医療従事者への普及啓発あるいはスキルアップ研修の支援につきましては、おおむねほぼ全ての都道府県が実施されており、全ての在宅医療圏域で実施しているのが38都道府県というような結果でございました。
同様に12ページでございますけれども、こちらは多職種連携に関する会議や研修の支援となってございまして、(5)マル1と同じような結果でございました。
13ページでございます。13ページと14ページは住民への普及啓発になってございます。恐らく自治体の取り組みからすると14ページのほうが先ではないかと思いますので、先に14ページを御説明させていただきますと、こちらが在宅医療や介護に関する普及・啓発として、お手元の参考資料の通知をごらんいただけたらと思いますけれども、こちら、市町村の取り組み内容を確認し、双方の取り組みの調整を行った上で在宅医療や介護に関する講演会等の実施というような内容で記載してございますが、在宅医療圏域全てで実施しているのが33都道府県となっております。
ページを戻りまして13ページでございますけれども、こちらは人生の最終段階における医療やケアについての意思決定支援に関する普及・啓発でございます。約5割の在宅医療圏域で意思決定支援に関する取り組みがなされているところではありますけれども、今後実施予定が2割、今後未定が約3割といった状況になってございました。
15ページをごらんください。在宅医療の充実に関する都道府県の取り組み状況について今後の進め方の案として、現状では今回の通知に基づき、都道府県の取り組みの足元の状況について調査を行ったところですけれども、調査項目ごとによって都道府県間で取り組み状況に差があるというようなことでございました。
そのため、今後の進め方としましては、1つ目の○でございますけれども、取り組み状況が少ない調査項目や課題と考えられる項目については、先進的に取り組んでいる自治体の事例等を紹介し、いわゆる好事例の横展開を行いながら取り組み状況の均てん化を図っていってはどうかというように考えてございます。
また、2つ目でございますけれども、今後、各取り組み状況については、年2回程度の確認をしていき、市町村支援の具体的な方策等について引き続き議論を行ってはどうかというように考えております。
資料1と参考資料1については以上です。
○田中座長 ありがとうございました。
ただいま説明のありました資料1についての御意見、御質問がございましたら、お願いいたします。
新田構成員、どうぞ。
○新田構成員 ただいま説明がありました資料1の中で在宅医療の取り組み状況の見える化、KDBシステム、データ等の活用と(3)の在宅医療の取り組み状況の見える化(データ分析)の関連について、参考資料1で既にかなりのことが言われていると思っています。
この参考資料1の(3)のデータ分析の中で都道府県単位・二次医療圏単位のデータのみでは、医療関係者の当事者意識を喚起できないことや個別の地域の議論につながらないこと等の理由から、在宅医療の提供体制については、市町村単位でデータを用いて把握すること。そのため、都道府県は、関係者の在宅医療の提供体制整備にかかわる取り組み状況を評価できるよう、以下の情報、これはとてもいい文章だと思っています。
ただ、市町村単位で行うために、この下に書いてありますが、現在、データの取り扱いで国保・後期高齢者以外の被保険者については把握できていないために、マル2になるのですが、将来人口を見据えて既存統計では把握できない医療機関ごとの訪問診療の実施可能件数や訪問診療の参入意向について調査というのは、まさにそうで、既存のKDB等々のシステム等では、市町村単位で先ほどこれが県単位で実施されているのですが、市町村単位までこのデータがなかなかおりてこられない。それで、市町村単位で計画ができないという状況が現在起こっていると思っています。
やはり在宅医療というのは地域包括ケアシステムの根幹でもありますので、在宅医療の体制をつくるためには、このKDBシステム等々を含めた、もう少し市町村が利用できるシステムを構築していただきたいのが一つ。そして、将来人口を見据えた把握できない、現在、いろいろ意見が言われていて、統計等で把握できて統計等で議論されることがありますが、このマル2はとてもいい議論で、統計だけではできないという問題もやはりできております。全国各地域によってできていると思いますので、このことをきょうの今後の進め方の中に具体的に入れていっていただければと思います。
以上です。
○田中座長 御意見ですね。ありがとうございます。
○新田構成員 そうです。
○田中座長 小玉参考人、お願いします。
○小玉参考人 11ページ、12ページに在宅医療に関する人材の確保・育成がありまして、あと13ページ、14ページに住民への普及・啓発等の各県のデータが示されているのですけれども、この中で医療介護総合確保基金が使われていたりとか、それぞれの県でどのような活用がされているのか、されていないのか。されているところではこういったところの広がりがあるのかないのかという点、もしわかれば教えていただきたいのですけれども、いかがでしょうか。
○田中座長 答えられますか。お願いします。
○堤室長補佐 今回は基金の活用がどこでなされているかというようなことは都道府県の調査内容に含んでございませんけれども、今後、私ども、論点としては、年2回ほど取り組み状況の確認をしていってはどうかというように考えてございますので、その中で内容に入れるべきか、また検討させていただけたらと考えております。
○小玉参考人 ありがとうございます。
より柔軟な活用の方法を考えていただければありがたいと思いますので、よろしくお願いいたします。
○田中座長 有澤構成員、お願いします。
○有澤構成員 5ページの11道府県で策定されているというのが、されていないところが3分の1ぐらいあります。次のページのところでも実際に実施できていないところが3分の1の16県、KDBシステムデータ等の活用ということで、それぞれの都道府県単位でも3分の1ぐらいできていない部分がありますが、これについての課題等はきちっと掌握されているのでしょうか。
○田中座長 お答えになれますか。お願いします。
○堤室長補佐 まず5ページでございますけれども、こちらはできていないところよりも、まずはできているところがどのようなことをなされているのかというような内容の例を御提示させていただけたらと思いますが、例えば5ページの年間スケジュールの策定などは各医師会等の関係団体と課題等を調整するでありますとか、いわゆる推進協議会などで進捗状況の確認ですとか共有をなされているというようなところになってございます。
6ページでございますけれども、市町村支援として、どういったことが例として挙げられているのかというようなことにつきましては、例えば市町村に対するヒアリングですとか意見交換会のようなものですとか、研修会の実施などを実際の例としては回答されたものがございました。
最後、御指摘いただいた7ページのKDBシステムのデータ等のところでございますけれども、実施していると言われた自治体さんの中でKDBの活用というようなところが盛り込まれているのが10ほどございました。一方、まだ実施していないと言われている16のところの理由については、今回、さらにより実態を把握するための調査がなされておりませんので、今後の課題というように受けとめさせていただけたらと考えております。
○田中座長 どうぞ。
○有澤構成員 ぜひ、多分できているところのものの例示だけではなくて、できないところというのはどういうところというのを国のほうでしっかり押さえていただいた上で、各都道府県のできていないところの課題が乗り越えられるような提案もしていただいたらいいと思います。
○田中座長 ありがとうございました。
越田構成員、お願いします。
○越田構成員 この調査の中で回答があったのかどうかわからないのですけれども、基礎自治体としては、こういったものを進めていくためにはICTの活用がかなり大きなウエートを占めているかと思っております。在宅医療・介護連携も、地域包括ケアの推進も、ICTの活用とかICTの普及とか基盤整備のために都道府県がどのように関与しているかというようなことを、もしおわかりであったら教えていただけますでしょうか。
○田中座長 室長補佐、お願いします。
○堤室長補佐 今回は、この通知の議論の取りまとめに基づいた内容を聞いてございますので、ICTについてはつぶさに把握をしたというようなことはございませんけれども、同様に、やはり今後、この通知の内容をさらにバージョンアップさせていくといいますか、そういった中でICTの活用というのが基礎自治体の皆様にとってもキーになるというようなことでしたら、検討をしていきたいと考えております。
○田中座長 どうぞ。
○越田構成員 ありがとうございます。ぜひよろしくお願いいたします。
○田中座長 中林構成員、どうぞ。
○中林構成員 資料の10ページの在宅医療の円滑な移行の入退院支援ルールの策定支援で、16都道府県という回答にはなっておりますが、この介護保険制度の入退院の算定ルールの中で、以前も厚生労働省の老健事業のほうでも入退院支援ツールをモデル事業として策定したり、ここら辺は市町村レベルで結構やられているかと思うのですけれども、逆に未策定のところというのは県の回答ですね。保険者回答までは確認がとれていないということですね。
○田中座長 いかがですか。
○堤室長補佐 あくまで県の御回答というようなことになってございます。
○中林構成員 もし、ここの未策定というところは保険者単位では、そういったルールといいますか、共通の支援ツールというものは策定されているかと思いますので、そこら辺も確認していただいたほうがいいかなと思います。
以上です。
○田中座長 あくまでこれは県の側のデータですね。
○中林構成員 はい。
○田中座長 織田構成員、お願いします。
○織田構成員 4ページの医療政策部局と介護保険担当部局の連携の推進というのは非常に重要なことだろうと思います。この事項については全ての都道府県が実施されているということですけれども、具体的に例えばこの部局同士が統合したとか、そういう好事例があったらぜひ教えていただきたいと思います。
それと、3ページですけれども、これまで在宅医療圏と二次医療圏が同一であるという都道府県が多かったと思います。今回、市町単位、市町村単位の在宅医療圏設定というのがふえていますね。前回はたしか5県でしたから、急にふえてきています。在宅医療圏が二次医療圏というか、構想区域単位と同じというのは余りにも広過ぎるので、市町単位にした県が少しふえてきているというのはいい傾向ではないかと思います。
○田中座長 そのとおりですね。御質問の部分にお答えいただけますか。
○堤室長補佐 4ページの医療政策部局と介護担当部局の連携についてでございますけれども、織田構成員がおっしゃったように、いわゆる推進班といいますか、そういった担当部局の統合等をされている、いわゆる組織対応をなさっている自治体さんもありますし、あるいは合同での会議等への参加、共同で市町村に訪問したりといったさまざまな取り組みがございましたので、いわゆる好事例というものにつきましては、今後も御紹介をしていきたいなというように考えております。
○織田構成員 部局同士が縦のつながりではなくて水平につながらないと多分これはうまくいかないだろうと思います。よろしくお願いします。
○田中座長 池端構成員、お願いします。
○池端構成員 今までの構成員の御質問と関係があるかもしれませんけれども、全体を通じての印象を話させていただきたいと思うのですが、今回は全県を通してのアンケート調査のまとめということですが、例えば今ほどあった4ページの医療政策部局と介護保険部局の連携はほぼできている。あと6ページでも在宅医療の充実に向けた市町村支援はほぼできている。あとデータ見える化は6割から7割できている。あとは11ページ、12ページを見ると、人材の確保・育成あるいはそれの研修支援等々はほぼできている。
できているというような印象を持たせるような資料になっているのですが、恐らくこれは着手した、できたという中でも都道府県でかなり温度差があると思うのです。まずスキームができたというのをイエスにしているところも随分あると思うので、これがそのままひとり歩きしてしまうと随分在宅支援ができているのではないかということになってしまう。でも、実態はそうではないと思うのです。その辺をもう少し深掘りしたようなことを今後していかないとミスリードされてしまうような気もするのですが、その辺、事務局の印象はどんな印象を持たれるのか、お聞きしたいのです。
○堤室長補佐 御指摘のとおり、今回は足元の取り組み状況でございますので、内容の深掘りをできたかというと、やはり池端構成員御指摘のところはごもっともだと思いますので、今後、そういったイエス、ノーではないような聞き方といいますか、内容を御提供できるように見直しをしていきたいとは考えてございます。
○田中座長 そのとおりですね。
どうぞ。
○池端構成員 追加で、そういう御意見をいただいた上で、例えば10ページ、入退院支援ルール策定支援がほぼできているという図が出ていますが、東京都も(私の)福井県も全部できているということになっています。でも、正直、福井はかなり5年ぐらい前から取り組んでいて、全県で1年かけて医療圏ごとにディスカッションして当日ルールを決めて3年前からやり始めて、今、実は入退院の中で8割ぐらい実際に(入退院支援ルールが)動いているのです。支援ルールを使わないのは2割以下になっている。
実際、こういうところまで行っているので、手前みそですけれども、やはりそういうところまで持っていかないと、全部できていますねで終わってということがあるのではないかということが想像できますので、その辺も含めて今後、都道府県にどんどん発破をかけていただければと思います。よろしくお願いします。
○田中座長 実感を伴った正しい御指摘ですね。
松本構成員、どうぞ。
○松本構成員 資料1の3ページ目なのですけれども、ここに約7割の都道府県が二次医療圏で同一に設定しているというように書いてありますが、これは在宅医療圏ということで意識して本当に7割がここに検討の上で設置しているという意味なのか、それとも、余り考えないで7割はしているという意味なのか、私は大分感じが違うと思うのです。ほかの3割は意識して別の圏を設定しているというようにとれるのですけれども、そこまで在宅医療圏ということで厚労省としても、在宅医療圏という言葉を推し進めて、これは別にしてくれということでやっていくのかどうか、その辺も含めてお聞きしたいと思います。
○田中座長 そうですね。それも大切ですね。二次医療圏では多過ぎると先ほども意見がありました。
どうぞ。
○堤室長補佐 御質問ありがとうございます。
先ほど来申し上げていますように、今回は足元の把握というようなことでございますので、恐らく青で回答した32の自治体さんの中にも、ワーキング等でより小さな単位で協議であったり活動をなされているというようなところもあるかとは思うのですけれども、今回御指摘いただいた内容も含めてつぶさに把握している調査項目になってはいませんので、そのあたり、私どものこの調査をした意図というのがきちんと都道府県に伝わるようには今後していく必要があるのではないかなというように考えてございますので、あくまで全体として、なぜこの在宅医療圏域の設定を聞いたのかというようなことが資料、一貫を通してちゃんと伝わるように調査項目を見直したいなとは考えております。
○田中座長 どうぞ。
○松本構成員 そうすると、この在宅医療圏というのは、これからしっかりと構築してくださいということで進めていくという考えでよろしいのでしょうか。
○堤室長補佐 御指摘のとおりです。
○田中座長 新田構成員、お願いします。
○新田構成員 今、松本構成員の話はそのとおりだと思っていて、いわゆる地域医療構想の中の二次医療圏単位で地域医療調整会議が行われていて、地域医療調整会議そのものが在宅と地域という話でたまたま二次医療圏別に行われている。それを在宅医療圏とするとまた危険性があります。なぜかというと、これから在宅医療というのは都道府県単位で進めるのと市町村単位で進めるという2つありますね。また在宅医療圏となると二次医療圏単位で市町村がさらに集まってどうするのかという話も出てくるので、少し注意して、使うには早過ぎると思います。
なぜかというと、二次医療圏単位をつくるときにもこれでいいのかというやはり大きな問題がそれぞれあったと思うのです。二次医療圏単位はそのままで一致したのですが、在宅医療圏について。また使うと混乱するのではないかなと思うのです。意見をよろしくお願いいたします。
○田中座長 越田構成員、どうぞ。
○越田構成員 私が先にいいですか。
○田中座長 今の段階でお答えになりますか。それとも、もう一人、発言を聞いてよろしいですか。
では、室長、お願いします。
○松岡在宅医療推進室長 在宅医療は確かに市町村で構築されているということが非常に大きいと思います。一方、医療計画上では在宅医療圏に関しては柔軟にある程度地域の特性などを見ながらつくってくださいというような注文をしています。ですから、必ずしも市町村で在宅医療圏を構築しないといけないということはなくて、逆に言うと二次医療圏とそろえないといけないということもない。だから、都道府県ごとに持っている資源などに応じてつくられるべきだと思っておりますので、やはり皆さんで各都道府県がきちんと考えるべき問題なのかなと思っております。
○田中座長 越田構成員、どうぞ。
○越田構成員 同様のことなのですけれども、私は市町村独自のオーダーメイドの地域包括ケアシステムがあっていいと思ですいます。実際に我々基礎自治体の立場から申し上げますと、在宅医療・介護連携になりますと、市市郡市医師会との関係が非常に大きいのです。ですから、市町村単位、市町村市イコール郡市医師会、例えば金沢市イコール金沢市医師会というところは比較的スムーズに完結するのですけれども、逆に1つの市市郡市医師会の中に3つぐらいの市町村が入っていれば、それは1つのユニットとして考えてもいいのではないかと思います。ですから、おっしゃるとおりに医療計画の医療圏ほどクリアカットに県のほうで決めていただかなくても、あとは現場で決めるものではないかなというように思っているのがまず1点目です。
少し違うことを申し上げてよろしいですか。
○田中座長 どうぞ。
○越田構成員 2点目は私は、全国衛生部局長会議に所属しております。この会議は54の中核市と中核市ではないのですけれども、保健所が設置されている6つの市、合わせて60の市によって構成されています。先日、その60の自治体にアンケート調査をしました。すなわち、中核市なり保健所設置市というのは、ある程度、独自で地域保健事業を運営しているので、事業遂行に当たってどのくらい都道府県の指導を期待しているか、あるいはどのくらい都道府県にして欲しいことがあるかということを調査(回答率100%)したところ、全く都道府県の指示、支援を当てにしていないというところもあれば、かなり綿密に都道府県と連絡を取りつつ計画をされているところもあれば、ある程度都道府県の意見を参考にしている、等々、回答は様々でした。
そこで少し調べてみたのですけれども、中核市の人口は全国の18%なのです。これに、20の政令指定都市と東京23区の人口を加えますと、全国の人口の48%、半数近いのです。しかも政令指定都市なり中核市は県庁所在地であることが多く、規模の大きな病院などもたくさん所在するので、これらの市は、都道府県の指導や支援への期待度に関わらず、上手に柔軟に都道府県と連携をとりながら、地域医療構想の考え方を視野に入れながら地域包括ケアシステムを進めることを考えていかなければいけないかなと改めて思った次第です。
加えて、全国の48%の人口が中核市、政令指定都市、そして東京23区に居住しているということになるわけですので、必ずしも基礎自治体の在宅医療介護連携事業が、直接都道府県なり都道府県の保健所とリンクしているわけではないということも今後、この会議の中で話題にしていければいいかなというようなことを少し御提案させていただきたいなと思います。
○田中座長 貴重な紹介、ありがとうございました。
○織田構成員 先ほど新田構成員が言われましたように、在宅医療圏という言葉がひとり歩きするというのは危ないだろうと思いますね。基本的にこういう医師会単位でももちろんありますし、実際、地域の多職種が顔の見える関係でない限りは、在宅医療は進みませんから、さらに市町単位よりもっと小さい単位でいろいろ話し合いをすることもあると思うのです。だから、この在宅医療圏に関しては市町単位でもうやっている県も出てきていますので、そこら辺をぜひ参考例として、厚労省のほうでも各都道府県に話をしていただきたいと思います。その上で在宅医療圏を設定しなおしてから話し合うべきではないかなとは思います。
○池端構成員 追加で。
○田中座長 どうぞ。
○池端構成員 私も全く同じ考えで、郡市区医師会も実は市町村をまたいでいる郡市区医師会もありますし、もちろん市町村も1つの郡市区医師会が幾つかの市町村をまたいでいるところもある。これはもう本当にきちんと決めることができないと思うのと、さらに医療圏ごとに在宅医療でもかなり特殊な在宅医療の場合は広い範囲の方が提供しなければいけないこともあるということで、基本は郡市区医師会あるいは市町村を基本単位として、それぞれの地域に合った在宅医療を考えるということまでにおさめておかないと、これはそこを通じてまた地域医療圏みたいになってしまうと非常に難しくなってしまうと思うので、ベースはこういうことですよということをうたった上で、そういう形の捉え方をしないといけないかなと思っています。だから、実態はもう本当にそれぞれの地域で考えていくしかないのではないかと個人的にも思っています。
○田中座長 松本構成員、どうぞ。
○松本構成員 多くの先生、構成員の方がおっしゃったとおり、私も同じ思いです。いわゆる在宅医療拠点とか最近置かれていますけれども、その拠点事業の拠点も市町に置かれている場合もありますし、医師会単位で置かれているところもあるので、その辺の特殊事情というのは勘案したほうがいいなというようには思います。
○田中座長 ありがとうございます。
皆さん、同じ方向の意見だったと感じます。ありがとうございます。
ほかによろしゅうございますか。
どうぞ。
○中林構成員 15ページの今後の進め方について、年2回程度の確認ということですが、これまで在宅医療・介護連携推進事業のア~クのアンケートの結果とこのアンケートはどのようにリンクをさせていくのか、また、あれからの進捗でできていなかったところができているのか、まだできていないとか実施していないところは現在も実施していないのかという、そこら辺の比較とか、どのようにお考えになっていますでしょうか。
○田中座長 室長、お願いします。
○松岡在宅医療推進室長 残念ながら、きょうは老健局のほうが来ていないので、勝手にこんなことを言うと多分老健局は怒ってくると思うので、私どものほうで少し年2回のアンケートをどう取り扱うかというのは老健局と相談しながら、させていただきたいと思います。ただ、多分孤立してあるものではないと私も思っておりますので、どういうように活用していくかということを少し考えたいと思います。
○中林構成員 せっかく大々的に推進事業のほうをとられていますので、連携していただければと思います。
○田中座長 ほかによろしゅうございますか。
中村参考人、お願いします。
○中村参考人 今のに関係しての意見なのですけれども、今、言っていただきましたように、ア~クの事業以外でも地域支援事業の中の認知症の対策であったりですとか、関連してこれからは在宅医療・介護推進事業と在宅医療は進めていく必要がありますので、医療と介護の連動というところで、もっと大幅な本当に介護保険部局と連携した形で調査をやっていただきたいと思います。
現場としましては、本当によく似た時期に同じような調査が何度も来るというので、市町さんも県に対していろいろ苦情があったりとかありますので、その辺、十分に県としても連携をとっていきたいと思いますので、厚労省のほうでもぜひよろしくお願いしたいと思います。
○田中座長 ありがとうございます。
池端構成員、どうぞ。
○池端構成員 7ページ、8ページのほうですけれども、いわゆるKDBシステムのデータの活用に関してですが、これは以前にもここでお話しさせていただいたことがありましたが、ここでプレゼンテーションいただいて非常に市町村はすばらしい取り組みをされているのですが、なかなか実はお金も労力もかかるということで、できれば国ベースでKDBデータが取り扱えるような方向で何か今後進展がないだろうかということをいただいたと思うのですが、現時点でもしわかっていること、ここで公表できることがあれば、国としてデータ活用のための取り組みができるところの可能性があるのかどうか、あるいは市町村はそれを待っている可能性もあるのではないかという気がするのですが、その辺についてわかる範囲でお答えできることがあればよろしくお願いしたいと思います。
○田中座長 KDBシステムについての御質問ですが、いかがですか。
○堤室長補佐 御質問ありがとうございます。
前回も池端構成員には御質問いだいた内容だと思いますけれども、今できるご回答としては前回と同じ調整中ということでございますが、動きがありましたら、当然、このワーキングに諮りたいと思っていますし、7ページには、16未実施と回答された自治体さんがございましたが、やはりその中には国の動向を見ているというような御意見もありましたので、きちんと滞りなく何かしら御支援できることが見えてきましたら御報告したいなと考えております。
○池端構成員 ありがとうございました。
もう一つ、これは意見なのですけれども、13ページ、いろいろかなりできている取り組みが多い中で、この人生の最終段階における意思決定に対する普及啓発というのがまだ20都道府県に限っている。アンケートが昨年だったと思うので難しかったのだろうと思いますけれども、これは今後進めていくべきものではないかと思うので、ぜひ引き続き都道府県に御努力をお願いするような形でアナウンスしていただければという気が、これは意見として言わせていただきます。よろしくお願いします。
○田中座長 猿木構成員、どうぞ。
○猿木構成員 有床診療所から来ました猿木でございます。
データの活用化はとてもいいと思うのですけれども、KDBはたしか国保データベース、国保だけですね。協会けんぽとかほかの社会保険のデータベース化は一緒にしなくてよろしいのでしょうか。
○堤室長補佐 御指摘ありがとうございます。
私どもがこれまでこの会議で、いわゆるKDBシステムのデータのレセプト情報を分析されている奈良県さんですとか岐阜県さん、こちらに御紹介いただいた資料をまた再度、ごらんいただけたら詳細が載っているところだと思いますけれども、やはり別途のビッグデータであるNDBでは、現状では医療の情報のみで介護と突合した情報がない。一方、KDBシステムはそれが突合したデータとして保険者単位で分析が可能だというようなところが一つ強みではないかなと思っております。
KDBシステムの中には御指摘のように国保と後期高齢者のレセプト情報しか入ってございませんので、まさに奈良県の資料には、いわゆる全体をこれで把握するというよりも、方向性を把握するには有用ではないかというように御指摘がなされていたと思いますので、きちんとこのデータがどういうような制限がかかったり、活用の仕方があるのかということをきちんと都道府県あるいは市町村の方々に理解していただけるように支援をする内容が今後固まっていった場合には、その点についても留意して取り組んでいく必要があるのかなと考えております。
○田中座長 どうぞ。
○猿木構成員 高齢者以外の在宅医療については、恐らく国保以外のデータを見ない限りはわからないと思うのです。やはりもう一度、医療とIDを皆さんに振り分けるわけですから、それをうまく活用していただいてデータを集める工夫をされたらいいのではないかなと提案です。
○田中座長 新田構成員、どうぞ。
○新田構成員 今、高齢者以外の在宅医療という話がありましたが、在宅医療で58%が85歳以上なのです。そうすると、この今の国保データ、出てこないのです。市町村で在宅医療の実態を調べるというデータ分析ができないのは、それが理由です。今、とてもいい指摘だと思うのですが、その意味で明確に市町村でも出せるようにやっていただきたいなというように、これはお願い、要望でございます。
○田中座長 せっかくデータベース化がいろいろなところで進んでいるけれども、それらをうまく使えるようにということと、さらにそれの使い方を市町村の方が理解せずに国に分析してくださいだけではだめ、とのご指摘でした。ありがとうございました。次の議題に移ってよろしいでしょうか。
どうぞ。
○織田構成員 基本的に共有化するためには一元化というか、フォーマットが統一化されていないとなかなか難しいのだろうと思うのです。だから、これだけ電子化されていろいろなことをやっていても、なかなかデータとして出てこないというのはそのフォーマットがばらばらだからだろうと思います。そこら辺を厚労省のほうでぜひリーダーシップをとってやっていただきたいと思います。
○田中座長 では、議題2に移ります。議題2は幾つかありますが、議題2-1を取り上げます。ブラックアウト時の在宅人工呼吸器患者への対応について、はるばるお越しいただきました土畠参考人から、おつくりいただいたデータの発表をお願いいたします。
○土畠参考人 札幌から参りました土畠といいます。
昨年の9月の地震の際には、全国の皆様に御心配をおかけして、また、多大なる御支援をいただきました。北海道民を代表して、この場をかりて御礼を申し上げたいと思います。
では、早速、資料2-1に従って報告をいたしたいと思います。
1ページ目、私たち医療法人稲生会は、訪問診療、訪問看護、居宅介護、短期入所の4事業所で、在宅で人工呼吸器等の医療的ケアを必要とするお子様、それから、主に若年の障害者の方々の診療を行っています。
2ページ目、当法人の在宅患者、4事業所合わせて全部で196名いらっしゃいますが、そのうち156名、8割が在宅人工呼吸器を使用している患者様です。156名のうち、38名、24%が24時間の人工呼吸器、残り118名、76%は夜間のみの人工呼吸器で、これらはいずれも鼻マスク式人工呼吸器、気管切開の人工呼吸器を含みます。人工呼吸器以外にも加湿器、吸引器など電気を必要とする医療機器を多く用いているというのが特徴です。
3ページ目、在宅患者の年齢構成ですが、私たちはもともと小児医療から始めたというところで6割程度が20歳未満ということになるのですが、当院は成人になってもそのまま診療を続けておりますので、4割が成人の患者様ということになっております。
4ページ、在宅患者の居住地ですが、84%が私たちの診療所があります札幌市の患者さんなのですけれども、それ以外の16%は隣接の市町村の患者様になります。札幌市の中でも右側の円グラフをごらんいただけるとわかるかと思うのですが、10区に広く患者さんが分布しているということがおわかりいただけるかと思います。
5ページ目、震災前の私たちの法人の災害対策になりますが、2013年に法人を開設して、その1年後、2014年9月11日に札幌の大雨というのもありまして、札幌市民の半分近くに避難勧告が出て、実際に避難した方は余りいらっしゃらなかったのですけれども、そういう状況になりましたので、終日診療を休止して全患者の安否確認を行いました。この際は約7時間で全患者の確認を行うことができました。
このときから災害対策チームというものを当院の中で立ち上げまして、災害対策の勉強会ですとか、またSECOMの緊急連絡網サービスを患者様に向けても導入したりだとか、BCPを作成して、それから停電時の電源確保策の資料作成・配布を行ってまいりました。
私たちの患者さんのうち、重症度別に3グループに分けて毎月20日に患者リストを更新しておりました。2018年9月5日、台風21号で、全国で被害が出たのですけれども、札幌市のほうでも一部停電地域が出ましたので、これに合わせて私たちの法人のホームページのほうで、先ほど申し上げました停電時の電源確保策の資料を公開したところ、全国からそれをうちの施設でも配布をしたいといったような連絡をいただいていたところで、実際に札幌は余り停電がない地域で私たちは使ったことがないのですということを申し上げておりましたら、翌日にあの地震が起きたということでした。
6ページ目、9月6日の3時7分に発災をいたしました北海道胆振東部地震になりますが、全道的には3時25分にブラックアウトということになっているのですが、私たちの診療所がある手稲区はもうほぼ直後に停電になったような状況でした。
3時40分以降で私も含む幹部職員が事務所に到着をいたしまして、5時ごろに事務所に集まることができた職員12名で初動対応を開始いたしました。もともと使用していたICTシステムを使って情報共有をしながら196名の安否確認を開始いたしました。
6時ごろに停電が長期化しそうだということで24時間人工呼吸器の患者さんは避難入院をするという方針に切りかえました。
10時前に北海道大学新生児科の教授から連絡をいただきまして、周産期リエゾンという仕組みがあるのですけれども、そちらのほうで周産期の患者さん、新生児とか母体のことについて情報共有をしていたそうなのですが、私たちのところも恐らく大変だろうということで連絡をいただきまして、そのメーリングリストに参加をさせていただきまして、そこからも情報を得たということです。
11時8分にはもともと使っていたICTシステムがインターネットに接続しづらくなったような状況だったので、即席で職員のLINE、SNSのグループをつくりまして、そちらのほうで情報収集を開始いたしました。その日の夕方までに避難入院が40名、そのうち24時間人工呼吸器が33名、夜間のみ人工呼吸器を使っている方が7名でした。
夕方までの時間で17名の患者さんに連絡がつきませんでした。職員5名が法人事務所に宿直をいたしました。
7ページ目です。発災後2日目、半数以上の患者さんのお宅で電気が復旧していない状況で、安全確認を継続いたしました。この日の夕方までに6名を除き安全を確認することができました。さらに停電が長期化したときのために北海道庁、札幌市と翌日以降の電源確保策の相談を開始いたしました。この日の夜にようやく法人事務所の電気が復旧をいたしました。この時点で避難入院を継続していた患者さんが29名、うち、24時間人工呼吸器が24名、それ以外の方は自宅の電気が戻ったのでということで自宅のほうに戻っております。
発災後3日目、昼の12時41分に全患者196名の安全及び電気復旧を確認できました。ここまでの50時間でLINEのグループでの投稿が1,443件ありました。避難入院を継続していた方が13名、うち24時間呼吸器が9名で、自宅の電気が戻っても物資等の不安があるということで入院を継続された方がいらっしゃいました。
8ページ目になります。こちらは札幌市内の停電状況がどれぐらい続いていたかというのを私たちの患者さん全てに関して、何時から何時まで停電していたかということを聞き取り調査した結果ですが、ごらんいただいてわかると思うのですけれども、区によって停電時間がかなりまちまちなのですが、区の中でもかなり差があるということで、実際道路を挟んで手前はついている、向こうはついていないといったような状況があって、たまたまついているところに人工呼吸器の患者さんがいらっしゃればいいのですけれども、たままたついていないところにいらっしゃると、もう目の前はついているにもかかわらず、どうしよう、どうしようといったような形になるというような状況でした。
9ページ、発災後、電気復旧までの在宅患者さんの状況になりますが、避難入院をされた方、43名いらっしゃると申し上げましたが、そのほか自宅で待機した方が65%程度いらっしゃったという状況です。
10ページ目、避難入院をした方の避難入院先なのですが、43名、かなり広範にわたっていろいろな病院にお願いをしているといったようなことがおわかりいただけるかと思いますが、このうち半数以下が災害拠点病院に入院をお願いしたということで、半数以上は災害拠点病院ではないところでお願いをしたといったような形になります。
11ページ、避難入院を決定しても実際に自分たちというか家族だけでは避難できないという方が42%いらっしゃいました。18名のうち6名のみ、当職員が支援をすることができましたが、そのほかは養護学校ですとか近隣の住民の方ですとかいろいろな方が支援をお手伝いいただいたということです。実際に停電でマンションの方はエレベーターが動かないということですので、エレベーターが動かないところをどうやっておろすかといったようなこともありますし、救急車が呼んでも全然来ないということがありましたので、どういう車で行かせるかといったようなこともありました。
12ページ、電源確保のための避難先、これは避難入院ではなく単純に電源をもらうためだけに避難をしたといったような方になりますが、避難先、生活介護事業所、就労支援事業所、知人・親戚宅に泊まりも含めて行ったという方が7名いらっしゃいました。これはたまたまそこの電気が復旧したのでということです。
それ以外、患者さんは自宅にいるのですが、日中に呼吸器等の医療機器のみを御家族が持って、そこで充電してきてまた夜に呼吸器を使うといったような方が38名いらっしゃいまして、その充電させてもらった先が、病院が17名、学校、養護学校以外の一般の学校も含む4校、公共施設、知人・親戚宅、親の職場といったようなところで、とにかく近くのところで電気をもらえるところでもらって、夜間に呼吸器を使ったといったような状況になります。
13ページ、自助・共助の内容ですが、何らかの自宅あるいは近所で対応ができたという方が21%。もともと私たちが説明していたこともあって、自宅に発電機を用意していたという方が8名いらっしゃいました。そのほか、発電機を借りて自宅で使用したという方が8名、呼吸器、バッテリー以外の蓄電池をもともと持っていたという方が10名、自家用車から充電ができるような仕組みにしていたという方が16名いらっしゃいました。
14ページ、ここからが私たちの患者さん196名全員に関して、実際にどの時間からどの時間まで、どのように過ごされていたかといったようなものを聞き取り調査したものをグラフに載せたものになります。これの見方なのですけれども、これは優先度C、最も優先順位が低い、電気をほとんど必要としない方がこの優先度Cになるわけですが、黒の帯が停電時間、黄色の丸があるところが安否確認を私たちができた時間、緑の帯が避難入院をした時間、オレンジの矢印が自宅以外で電源を確保した時間、肌色の帯が病院以外の場所に避難したという方で、優先度が低い方でも一部はやはり避難入院を希望された。これは私たちが指示をしたというよりも、どうしてもやはり不安なのでということで希望されて行った方というのがいらっしゃいました。
15ページは、これが最も優先度の高い24時間人工呼吸器の方、一瞬でも電気が切れてしまうと生命に危険が生じるおそれがあるという方になりますが、この方々については最優先で安否確認をいたしましたので、ブラックアウトになってからかなり早期に黄色い丸が集中しているのがおわかりいただけるかと思いますが、一方で、緑色の帯、これは避難入院になりますが、避難入院をした方がかなり多かったというのがおわかりいただけるかと思います。一部、オレンジ色の帯があるのは、何らかの形で電源を確保しながら自宅で何とかしのいだという方になります。
16ページ、これは優先度Bで、夜間だけ人工呼吸器を使っている方あるいは何とか数時間程度であれば電源がなくても大丈夫といったような方のグループになりますが、この方々は1日、2日は何とか電源がなくても乗り切れるといったようなことがありましたので、私たちの安否確認に関してもちょっと後回しさせていただきました。その結果、黄色い丸が少し後ろのほうにずれているというのがおわかりいただけるかと思いますけれども、この方々の多くは緑色の帯がありません。つまり、避難入院をしないで何とか自宅で電源確保した、あるいは電源確保できなかったのだけれども、何とか自宅で体調を悪化せず見ていたということになります。ここで多いのが肌色の帯になりますが、これはどこかで電源を確保していたという方々が結構いらっしゃったということです。
17ページが上から重症度A、B、Cと分けたものになりますが、重症度A、24時間呼吸器の方はやはり緑色の帯が多く、真ん中の夜間のみ人工呼吸器を使った方は、むしろどこかで電源を確保していたという方が多かったというのがおわかりいただけるかなと思います。
18ページ、今後の対応についてですけれども、まずよく言われている自助、共助、公助、それぞれに関して対策を考えていくというのが必要かと思いますが、自助に関して患者側での対策としては、先ほど申し上げたようなバッテリー、自動車からの電源確保をできるような仕組みを整えておく、蓄電池を用意する、自家発電機、太陽光発電といったようなものがあるかなと思います。自家発電機に関しては、全国的に今、そういうものを配付するのがいいのではないかと言われておりますが、ガスボンベ式のものが非常に簡便でいいのですけれども、気温が5度以下になると使えない可能性があると言われておりますので、北海道は半年近く使えないという可能性があります。
また、北海道内で今回、発電機を急に使って4名の方が一酸化炭素中毒で亡くなっています。これは在宅医療機器を使っている方ではありません。在宅医療機器が使えずに亡くなったという方はゼロ名ですが、焦って急に自家発電機を使って一酸化炭素中毒になった方が4名、この時期でもいらっしゃるということですので、自家発電機を急に貸して使ってもらうということがいかに危険かということがおわかりいただけるかなと思います。
2番目、共助に関して、ここが非常にすっぽり抜けていたというのが私たちの実感なのですけれども、地域での町内会とか防災訓練への参加というところとか、あとコンビニとか銀行、自宅近くにある施設で何とか電源確保をさせてもらえないかということを考えていけたらいいのかなと思っております。
実際、一部の一般の企業さんに関しては電源が復旧した、停電が解除された場合には、その施設近くの患者さんについて連絡をいただければ充電しても大丈夫ですよと言ってくださっているところもあるので、そういうところを私たちのほうでなるべく多く押さえたいと思っております。
最後、公助に関して、ここに私は病院も入ると思っておりますが、病院に関しては避難入院をするシステム、今回札幌市でも特に大きな混乱はなかったようなのですけれども、やはり今回、家屋倒壊がなかったということで自宅は何とか大丈夫な状況で、そこから電源確保のために避難するといったようなことでしたので、やはり避難入院の仕組みをある程度もう少し効率的なものを整える必要があるかなと思っております。また、医療機関での自家発電機、蓄電池、あと移動電源車等も考えておく必要があるのかなと思っています。
2つ目が、電気会社になりますが、在宅医療拠点への早期の復電というのを考えていただいてもいいのかなと思います。
最後、3つ目が行政になりますが、避難所の電源状況の把握が今回、ほとんどできておりませんでして、2日目の時点で避難所、どこで電気が復旧しているかというのは私たち、独自に電話で連絡をして調べるまで札幌市の本庁のほうは把握できていませんでした。なので、電源を確保するために避難所に来るということはもともと行政側が想定していなかったということになるのかなと思います。
あと福祉避難所というものをどういうように活用するかというのが今回札幌市でもかなり言われているところなのですけれども、電源を確保するだけに福祉避難所に行くという発想がどうなのかなというように思いますので、これだけ在宅医療の患者さんがふえておりますから、電気を確保できる場所として在宅医療避難所みたいなものがあってもいいのかなと個人的には思いました。
2018年10月に札幌市在宅医療協議会の中に災害対策小委員会というものを設置いたしまして、ことしの1月にアンケート調査を実施いたしましたので、後で机上配付資料のほうで説明をさせていただきます。
19ページ、これが私たちのほうで今後導入をしようと準備しているものになるのですけれども、今回の教訓も踏まえまして、たまたま、この4月に私たちのクリニックの事務所が移転するということがありましたので、このクリニックのほうに外から発電機で電源を供給できる、そして、中側に非常時の電源が挿せるものをつけましたので、このような形でふだん、中に蓄電池をある程度たくさん確保しておいて、それを普通の電源に挿して充電をしておいて、いざ停電が発生した場合には外で発電機を回して、そこの壁に挿せるような形にしているのですけれども、そこから充電をできる、そして、必要な患者さんにその蓄電池と、あとインバーターというものをつけないと呼吸器が壊れてしまう可能性があるので、蓄電池とインバーターをセットにして患者さんのお宅に持っていって、少なくとも次の日まではもつような形で使っていただいて、次の日にまだ停電が復旧していないという場合には再度、私たちのスタッフがかわりの蓄電池を持って患者さんの自宅に回るといったような形で、なるべく家屋倒壊がなければ自宅で頑張れるような仕組みをつくりたいなと思っております。
20ページ、最後になりますが、今回、196名の患者さんの安全を入院医療機関のバックアップで何とか確保することができました。4割以上が電源確保のために避難し、そのうち半数近くが入院となりました。避難入院先は分散していて、避難に際しては約4割で支援を必要としておりました。
先ほど申し上げたとおりですが、在宅で医療機器を使用する患者さんは増加しておりますので、家屋倒壊がなく、停電による電源確保だけが必要な今回のような場合には、病院で全てを受け入れるということは少なくとも都市部においては現実的ではないかと思っております。
今後の災害対策に関しては、電源確保策も含めて、自助、共助、公助のそれぞれに関して検討する必要があるかと思います。
患家での発電機使用に関してはリスクもありますので、在宅医療拠点に蓄電池を多数用意して、発電機により充電した蓄電池をインバーターとともに患家に届けるシステムも有効ではないかと思います。北海道のように地域の特性に合わせた在宅医療拠点における災害対策システム構築のための公的な支援があればいいなと思っております。
最後に、別資料で用意しましたA4縦刷り1枚のものをごらんいただければと思いますが、これは札幌市在宅医療協議会の会員を対象に行ったアンケート調査で回収率86.4%、非常に高い回収率だということで関心が高いのがおわかりいただけるかと思います。これは札幌市内の恐らく在宅医療施設の66%、3分の2ぐらいが所属しているだろうと思われる協議会の会員を対象としたものですが、患者さんが1万人ほどいらっしゃいます。そのうち人工呼吸器が280名で上から3段目になりますが、一番右の手稲区というところをごらんいただいて、これが私たちの所属する居住のあるところなのですけれども、ここは171名というようになっておりますので、札幌市内の61%の人工呼吸器の患者さんを私たちのところで見ていたといったようなことになるのかなと思っております。
裏側をめくっていただきまして、もともと災害対策マニュアルをつくっていたというところが2つ目になりますが、32%程度で、医師会の災害対策本部があるというのを知っていたかという質問には50%が知っていたと答えておりましたが、札幌市の医療対策本部というのがあるのを知っていましたという質問には42%のみが知っていた。札幌市の災害拠点病院を知っているかという質問には63%が知っていたと答えておりました。
DMAT/EMISに関しては56%が知っていると答えていたわけですけれども、北海道に関しては有床診療所のみがこのEMISの対象だったということで、私たちのところは無床診療所ということでEMISの存在を全く知らなかったということで、これがなかったので行政とのやりとり、あるいはDMATとのやりとりがうまくいかなかったというところが反省点だったかなと思っております。
以上です。ありがとうございました。
○田中座長 貴重な報告をありがとうございました。
資料2-2、2-3は関連しますので、先に発表して後で一括して議論いたします。お願いします。
○堤室長補佐 事務局でございます。
それでは、2-2、2-3を御説明させていただきます。
まず資料2-2でございますけれども、1枚目が平成30年、北海道胆振東部地震の概要でございます。土畠先生からの御発表にもありましたように、いわゆる大規模停電、ブラックアウトですが、おおむね全域に電力が供給できるまで約45時間かかったということになってございます。
2ページ目が在宅呼吸療法、在宅酸素療法と在宅人工呼吸療法でございますけれども、この患者さん方の安否確認等の状況についてでございます。先ほどの御説明にあったように、現場においてはさまざまなルートを通じて安否確認等がなされていたと承知しているところでございますけれども、こちらの対応としましては、まず一つが在宅呼吸療法に係る機器を製造販売している12社に対し、安定供給の支障が出ていないかの確認を行ったというようなものが9月6日の8時ごろで、それに伴いまして、いわゆる重度の人工呼吸器患者さんのそういった方を優先して安否確認がなされたというようなことが確認されたのが大体2~3日程度というような形でございました。
2ページの下でございますけれども、酸素供給装置の保守点検業者さん、こちら、19社に対して患者さんの安否ですとか、サービスの提供状況についても同様に確認をお願いしたというような形になってございまして、こちらについて9月8日の夕方につきましては、酸素供給装置の保守点検メーカーからの要請に伴って、酸素ボンベの空輸なども自衛隊の協力のもと、なされたなどというような状況でございました。
3ページでございますけれども、在宅人工呼吸療法を提供している、いわゆる在宅療養支援病院などの72の医療施設に対して、在宅人工呼吸療法ですとか酸素療法の患者さんの安否、問い合わせの状況あるいは自施設での受け入れ患者の人数ですとか今後の受け入れ可能状況等を電話で確認を行いました。
最終的には約2日後の9月8日の夕方までには全ての対象施設で確認を終え、移送等の対応を必要とする患者の情報は報告がなかったというような形で確認を終えております。
続きまして、こういった現状を踏まえまして、大規模災害時等長期停電における在宅人工呼吸療法患者等に対する支援としまして、資料2-3をおめくりいただけたらと思いますけれども、1枚目でございます。現状と課題としまして、やはり災害時等による長期停電時においても、居宅で人工呼吸器や在宅酸素を使用されている方が安心して療養を続けられる環境を整備する必要があると考えてございます。
とりわけ、在宅人工呼吸器に関しましては、使用機器による差異はあるものの、内部・外部バッテリーの稼働時間は約30分から11時間という状況にあるというように聞いておりますので、患者さんの病態によっては、こういった長期停電が生命にかかわる事態となる可能性があるというように考えております。
また、今回の長期停電時におきましては、在宅人工呼吸療法等を受けられている患者さんについて、一元化された患者情報がないために安否確認に関してやはり難渋する点があったというようなところが課題でございます。
そういった現状と課題を踏まえまして論点の2つのポツマルでございますけれども、在宅人工呼吸療法患者等について、いわゆる難病や障害等の申請状況、申請要件といったことにかかわらず、平時から必要に応じて、こちらはもちろん、いわゆる個人情報保護の観点を踏まえてということにはなりますけれども、患者情報、氏名や住所、使用している機器に関する情報などでございますが、こういったものをリスト化して、発災時にも活用できるような対策を講ずるべきではないかと考えております。
また、2つ目のポツマルでございますけれども、同様に、こういったリスト化だけではなく、居宅で人工呼吸器などを使用している患者さんにつきましては、日ごろから必要に応じて非常用電源の確保でありますとか医療機関との連携、これはバックベッドの確保ですとか、そういったものを考えてございますが、そういった整備が必要ではないかと考えております。
裏の2ページ目は参考でございますけれども、こういった胆振東部地震等の状況を踏まえまして、平成30年度の2次補正予算の中では、いわゆる在宅人工呼吸療法を見ている医療機関に対し、長期停電時に貸し出すことができる簡易自家発電機やバッテリー等の整備に必要な経費の一部補助を盛り込んだところになってございます。
事務局からは以上です。
○田中座長 ありがとうございました。
ただいま説明のありました資料2-1~2-3までについて、御意見、御質問をお願いいたします。
猿木構成員、お願いします。
○猿木構成員 質問ですけれども、夜間のみの人工呼吸器は、いわゆるCPAPという理解でよろしいでしょうか。
○土畠参考人 CPAPだけではなくてNPPVというバイパップも含めてなので、CPAPを含めたかどうかというのは、当院ではCPAPの患者さんはいらっしゃいませんので、基本的には全部鼻マスク、バイパップ、いわゆる鼻マスクでの人工呼吸器ということになるのですけれども、札幌市の在宅医療協議会のほうで調べたときには、人工呼吸器の管理料を取っている患者さんということで聞いたのですが、CPAPの患者さんも含めて回答されている医療機関もあったようではあります。
○猿木構成員 ありがとうございました。
○田中座長 ほかに、池端構成員、どうぞ。
○池端構成員 大変貴重な御報告、ありがとうございました。
質問をしたいことは、資料2-2にもありましたように、今回、土畠先生の取り組みの中で、いわゆる医療機器メーカーの方々の対応ということが見えてこなかったのですが、そことのリンクとか、その辺はどのようになさっていたのか、あったのか、なかったのかも含めてお教えいただけますか。
○土畠参考人 ありがとうございます。
通常、ほかの県だと各人工呼吸器メーカーごとに医療機関が契約をしているところだと思うのですけれども、北海道だけ少し特殊で間に別の業者さんが入っていまして、そこを経由して各人工呼吸器会社さんと契約をするような形になっているのですが、その間に入っていた業者さんが連絡、酸素もそこはやっていたということもあって、酸素の供給するための工場が一時、運転がストップしたりとかということもあったようで、連絡をしたのですが、なかなか対応が難しかったということで、患者の安否確認をそちらにお願いするのは難しそうということで私たちが行ったところです。
○池端構成員 私もとてもブラックアウトのような経験ではないですけれども、数名、人工呼吸器の方がいて、1名、最近台風等で、あと大雪のときに停電をしたときに、すぐそのときは業者が対応して自家発電を持って走って、そこで対応していて、全部そういう配置をしているということをお聞きしたので、結構業者はすごいなと思っていたのですが、それは地域によってかなり違うということで理解してよろしいですね。
○土畠参考人 恐らく患者さんの数によろうかと思うのです。やはりそんなに間に入っている会社さんもたくさんふだんから人数がいるわけではないですし、酸素も含めてということになると膨大な数の対応になるので、今回も札幌以外の北海道の各地域に関しては私も少なくともお子さんを見ている医療機関については電話とかメールとかで聞き取りを行ったのですけれども、ほとんどが病院に収容できて安全ですと言われたので、札幌だけかなり患者さんが集中しているということもあって特殊性があったのかなとは思っています。
○池端構成員 もう一点、先ほど最後に御近所力を使えなかったということが課題として挙げられていましたけれども、事務局の説明にもありましたように情報共有をどこまでどう広げていくかということが個人情報も含めて難しいところがあるのではないかと思うので、となると、模擬訓練的なことをやっておかなければいけないのかなと私自身も思っていたのです。その辺についてお考えはいかがでしょうか。
○土畠参考人 もともと札幌市のほうでも個別避難計画というのをつくって、家族だけで避難できない方についてはあらかじめ区に登録をするということになったのですけれども、それも基本、札幌市に情報を提供しても、各町内会さんにそれが行くということなので、町内会でどのような取り組みをしているかというのは、実は札幌市でも把握していない。実際に支援計画に入っていたから近所の方に支援していただけました、行政の方に支援していただけましたという方はほとんどいらっしゃらなかったと聞いています。
○池端構成員 ありがとうございました。
○田中座長 越田構成員、どうぞ。
○越田構成員 何点か質問させてください。
先生、本当にすばらしい御経験と大変示唆に富む御発表、ありがとうございました。
先生の資料の9ページ目なのですけれども、この中で復旧までの間、避難入院をなさった43名の中で、拠点病院に入院をさせていただいた方が何人かと御発表されていたと思うのですが、災害拠点病院が、こういうとき、緊急避難入院(重症者でなくても)を受け入れてくれるものかなとちょっと思ったのです。まず1点目の質問。
○土畠参考人 避難入院先に関しては、基本的にふだんから入院をお願いしている病院にお願いをしていたのですけれども、一部、そこで受け入れが難しいということですとか、自宅にある車のガソリンがなくて、ガソリンを給油するだけでも物すごい時間が、かなりガソリンスタンドに並んでいるのでかかるということもあったので、中には自宅近くから歩いて行けるようなところにお願いをして入ったということもありました。私たちのほうでも特に入院をお願いするときに災害拠点病院だからどうかということでは余りなく、とにかく連絡をして受け入れてくださるところにお願いをしたという形でした。
○越田構成員 ありがとうございました。
災害拠点病院は軽症の方は基本的に受けてくれないものだと認識はしているのですけれども、今回はそれほどでもなかったわけですね。
○土畠参考人 災害拠点病院だから受けてくれなかったということはなくて、むしろ災害拠点病院、例えば北海道大学さんですとか、あと北海道医療センターさんというのがあるのですけれども、そういうところは私たちのところに患者さんがかなりいるということを連絡しましたので、もしほかのところで受けられなかったらうちで受けるということでベッドとか、ベッドがないところで医学生の研修室とかも使って受け入れの準備をしてくださっていたというのは聞いていました。
○越田構成員 わかりました。
次の質問です。EMISの話が出ていすすましたが、先生のところは、あくまでも有床診ではないわけなのですね。
○土畠参考人 はい。
○越田構成員 そうしますと、ベットを持たない外来とか訪看だけの施設だと、EMISに入っているところはほとんどないのではないかと思うのです。実際、石川県も今のところは病院だけの加入です。ただ、これから有床診だとか透析クリニックとかもEMISは入れなくてはいけないのではないかという議論が起こっております。一たび災害が起きますと、EMISは大変有用なツールになりますので、厚労省のほうでも災害時の有効活用を考える意味で、EMISをできるだけ多くの医療機関に普及していただけないかなということを思いました。要望になりですけれども、もし何かありましたらお願いします。
○田中座長 お答えになりますか。EMIS。
○松岡在宅医療推進室長 要望として承りました。ありがとうございます。
○越田構成員 もう一ついいですか。実は基礎自治体では要援護者の避難というのは福祉部局が担っているところが多いのです。ですから、行政の指導の下、地域の民生委員さんであるとか町内会の会長さんが福祉の名簿を持っている。その要援護者に対して、その要援護者たる方がこの名簿を事が起こったときに自分の名前をリリースしていいと承諾がある方のみリリースされるわけなのです。承諾がなかったときは、要援護者名簿は。クローズドのままになります。ですから、自治体福祉部局が把握している地域の要援護者名簿と医療的なケアが必要な方の名簿(医療機関、医療機器メーカーが把握している名簿)がうまくリンクしているのかどうかは日ごろから気になっておりまして、先生のお話を聞いて、ここは少し整理する必要があるのではないかなということを改めて思いました。ありがとうございました。
○土畠参考人 実際に先ほど言ったように道路を挟んで向かいは普通にこうこうと電気がついているところで、手前側は真っ暗で、そこにたまたま呼吸器の患者さんがいるときに、道路を渡ってそこの家で電気をもらえば済むだけの話なのですけれども、それにもかかわらず電気のついていない、信号のついていない道路を病院まで行かなければいけないというリスクもあるかなと思っていますので、今回、改めて思ったのが、人工呼吸器の方がどういう地域に住んでいるかというのを地域の方も全く知らない。
北海道は特に余り近隣のやりとりが少ない、家と家の距離もかなり離れているところも多いですので、そういうところもあったのかなと思いますが、逆に今回の私たちのところでの対応報告などが新聞とかで出たときに建築業者さんなどは発電機をたくさん持っているので、そういうところが、もしお子さんがいらっしゃるのだったらうちで電気を貸してあげたかったと言ってくださった方も結構いらしたのです。
なので、人工呼吸器の方がもし停電になったらこういうように危ないのだ。あと人工呼吸器の電源と言うと物すごいものを想像されるみたいで、一般の家庭用電源だと対応できないと思われる方が多いみたいなのですけれども、そうではないのだということをもっと多くの人に知っていただく。先ほどの1つ目の議題にもあったと思うのですけれども、その市民への啓発の中にそういうものも含めていただいてもいいのかなと個人的には思っています。
○越田構成員 もう一点、通常の避難所ではなくて「福祉避難所」というのを基礎自治体は定めていると思います。金沢市も何か所かを指定しており、平時はオープンにしていないのですが、一たび災害が起こると所在地等をオープンにする。福祉避難所に避難して頂く方をある程度トリアージする必要があるからと聞いています。
しかしながらその福祉避難所には何がしかの医療的なケアが必要な方が当然入ってくると思うのです。福祉だけでは事が足りないことになると平時からの相互理解の下、医療との連携も必要かなということを感じました。いずれにしても、災害時の要援護者に対しては福祉と医療、地域住民と医療機関が連携をとる必要があるのかなということを改めて認識をさせていただきました。ありがとうございました。
○土畠参考人 福祉避難所に関しては、札幌市のほうももともと用意はしてあったのですけれども、特別養護老人ホームだとか特別支援学校とかバリアフリーというだけなのです。そこで電気を確保するという想定はどこもなかったと聞いています。なので、来られても多分ほとんどが対応できなかったということで、基本的には福祉避難所になっているところの多くが日中の時間帯にもしそういうようになった場合に、そこで家に帰れないので、しばらくそこで患者さんたちを見るといったような想定になるのかなと思っていまして、今回、あとは札幌市のほうに関しては一般の避難所にまず行って、そこから必要だと判断された場合に福祉避難所に移送するという形になっているのですが、私も実際、自宅近くの避難所に行ってみたのですが、余り把握していない方もいらして、福祉避難所がどこにあるかもわからないという方もいらっしゃって、福祉避難所にちゃんとつなげればいいのだという発想でやっても、今の準備状況だと難しいのかなと個人的には思っています。
福祉避難所も多分、結構電気が戻っていなかったのではないかなと思いますし、特別支援学校も福祉避難所に設定されていて、発電機はあったのだけれども、発電機を使ったことがなくて今回初めて使ったみたいなところもあるようですので、なかなか福祉避難所にそこまで期待するのがどれぐらいできるのかなというのが個人的な意見です。
○田中座長 新田構成員、どうぞ。
○新田構成員 お疲れさまでございます。
まず、基本的なことから教えてほしいのですけれども、6歳未満でNICUベビーちゃんは何人、何%ぐらいでしょうか。
○土畠参考人 NICUから出られた方ということですね。
○新田構成員 そうです。
○土畠参考人 3ページにあるように6歳未満が22%ということなのですけれども、これの細かい割合は今、手元にないです。
○新田構成員 そして、もう一つ、胆振東部地震における影響調査の中で手稲が171で、先生のところは手稲にあるのですね。ほとんど持っているのですね。
○土畠参考人 はい。
○新田構成員 そのために小回りがきいて、今回よかったのですか。それとも、この4ページはもう少し札幌全域ですね。そのあたりの関係が見えなかったのですが、教えていただけますか。
○土畠参考人 実際に札幌市内で在宅人工呼吸を使っているお子さんの95%ぐらい、うちのクリニックで診ているということで、一番遠いと札幌市内だけではなくて千歳空港があるところ、車で片道1時間というところもありましたので、私たちのところがほとんどのお子さんに関して把握できていたという意味では、情報が集約できてよかったというところなのですが、ただ、先生おっしゃるように小回りがきくという状況では全くありませんでしたので、私たちのほうももう電話で確認をして、実際に例えば千歳市の方でなかなか電気が戻らないということになっても私たちが出向いてそこまで全部の患者さんに行けるかというと、そこまでできなかったので、1つのところで全部把握することのよさと悪さというのが出たのかなと個人的には思っています。
○新田構成員 なるほど。それと避難先の病院がかなりの広範囲にわたりますね。これはもともと従来、先生のところと避難先の病院はかなり病診連携をしていらっしゃるのですか。
○土畠参考人 もともと全ての患者さんに関して、基本的には何か入院が必要になったときには入院できるところを確保しているのですけれども、ただ、ここにあるような全部のところと実はふだんからやりとりしていたわけではなく、今回の地震のときに何とか近くで避難入院をさせていただけるところを私たちあるいは御家族で、あとは訪問看護の方とかヘルパーさんとかで探して、結果、いいですよというところにお願いしたということなので、今回、その患者さんたちを初めて診ていただいたというところも多くて、中には自衛隊病院さんなどは多分成り立ちがそうだからというのもあるかもしれないのですが、では、すぐ来てくださいというような形で、あとファクスが使えませんでしたので、診療情報提供ができないという形でメールでした、あるいは電話でしたといったような状況なのですが、ほとんどの医療機関さんが受けてくださったということで、本当にありがたかったなと思っています。
○新田構成員 ありがとうございます。
熊本震災のときに小児、乳児も含めてみんな全員助かるのですけれども、それは日常の台風等の避難訓練をある小児科の先生を中心にやられているからということで、先生御存じかもわかりませんが、先ほど先生も台風のときという話がありましたね。日常からそれをやられているからスムーズに行ったのですか。
○土畠参考人 多分、それは熊本の緒方先生のところだと思うのですけれども、緒方先生のところはもともと消防署とかとも組んでやっているという話は聞いていますが、札幌ではそこまではできておりません。数が熊本の人工呼吸器のお子さんの数とかなり違うということもあるのと、ふだんから入院でということをやっているのですけれども、避難訓練といったようなことまでできていなかったので、今回、逆に札幌市在宅医療協議会のほうに病院さんも所属してくださっていますので、そのほうで少なくとも自分の病院のある区、近隣の区に関しては患者さんの状況を把握して、何かあったら全部受け入れたいと言ってくださっている医療機関さんもあるので、これから札幌市在宅医療協議会のほうで医療機関の連携は話し合っていくところになるのかなと思っております。
○新田構成員 ありがとうございます。
もう一つ、最後にお聞きしたいのですが、今、福祉避難所の話も先ほどありましたが、在宅医療拠点を人工呼吸器、人工呼吸器患者のみにするのか、インクルージングという発想を含めて、そこのところをどう考えるか。いわゆる難病の方、障害者の方、それについては先生、何か考えをお持ちですか。
○土畠参考人 今回の北海道で起こった、少なくとも札幌に関しては家屋倒壊がそこまで多くなかった。一部はあったのですけれども、なかったということで、私たちの患者さんに関しても、実際に家が壊れたという方はいらっしゃらなくて、影響として出たのはブラックアウトだけということなので、かなり特殊な災害のタイプだったのではないかなと思っております。今回のことを考えると電気の確保ということになるのですが、先生御指摘いただいたとおり、電気を確保しなくてもほかに物資が必要という方もいらっしゃるので、在宅医療避難所あるいは在宅医療拠点とそこをつなぐといったようなことを考えるときには、何も電気に限らないことで、在宅で患者さんをたくさん診ているところと行政がしっかり組むということが必要なのかなと個人的には思っています。
○新田構成員 最後の質問でよろしいでしょうか。
○田中座長 どうぞ。
○新田構成員 在宅医療をもちろん広める会で、かかりつけ医も含めてなのですが、そのために、先生のところのような人工呼吸器の患者のみをしている、特殊ですね。それをもう少し地域のかかりつけ医に広めるという発想とか、何か先生はお持ちでしょうか。この災害とは全然違う話です。
○土畠参考人 ありがとうございます。
今回の件がある前から、やはり札幌のような、札幌は195万人いるのですけれども、そこの大都市で95%の小児在宅人工呼吸器患者さんを1つの医療機関で診ている、しかも、有床診ではないということなので、余り望ましい状況ではないと個人的には思っておりましたので、札幌市在宅医療協議会のほうと相談をしながら、そこまで重症ではない方に関しては、ほかの成人在宅医の先生も含めてお願いするということをもともとしていたのですが、NICUから24時間呼吸器で帰ってくるという方が物すごく膨大に、在宅で受けられるからということもあるのだと思うのですが、患者さんたちに関しては200人近く診ているクリニックと初めて呼吸器を診ますよというクリニックと私たちが恣意的に振るということが難しい状況で、御家族のほうからやはりこちらで診ていただきたいというようなこともあって、胃瘻だけとか気管切開だけという方はほかのところにお願いするような形にしているのですが、ただ、札幌市内では、うちのクリニックは逆差別しているとよく言われるのですが、重症でないと診てくれない。私たちもそういうように分担していかないといけないとは思っているのですけれども、なかなか患者さん側の認識がどうかというのは難しいところなのかなとは思っています。
○新田構成員 ありがとうございました。
○田中座長 とても重要な点ですね。御指摘ありがとうございました。
小玉参考人、お願いします。
○小玉参考人 先生、昨年9月の北海道胆振東部のブラックアウトの対応、本当にすばらしいお話をお伺いいたしまして、敬意を表したいと存じます。
今、いろいろ災害弱者さんの話で、今回はたまたま停電によるブラックアウトの対応ということだったのですけれども、新田先生のお話にもございましたが、例えば去年の7月の西日本の豪雨災害のようなときには台風とか川の氾濫みたいなのが出てきます。ふだんからそういったところの訓練とか対応というのは考えないといけないのですけれども、先生の結語に自助、共助、公助の部分があるのですが、例えば共助だと先ほど自治会の話もありました。地域包括支援センターにそういった災害弱者の対応でありますとか、そこのいろいろな形での対応、助け出すとか、いろいろな機器をそろえるとか、そういった部分でのもう少しそういったところでの地域包括ケアでの災害への対応というのを落とし込んでいったときに、先生は何が一番重要なのか、お考えがあれば教えていただきたいと思います。
○土畠参考人 ありがとうございます。
私たちの患者さんに関して介護保険を使っている方が一人もいらっしゃらないという状況で、地域包括支援センターと全くつながっていないということがあります。それは私たちのクリニックの特殊性だろうかと思うのですが、地域包括センターがどのようなことをバックアップしていただけるかというのは、私は全く知識がないのですけれども、今回、私たちのクリニックがある道路の向かいに災害拠点である手稲渓仁会病院といって、私が前に所属していて、同じグループなのですが、そこがあったので、災害拠点病院のほうで私たちのクリニックで使う電源の確保などはかなり御協力いただけたというところがありましたが、たまたまそれも偶然的にということでしたので、在宅医療拠点というのもそもそも余り発想がないというところがあるのかなと思いますが、私たちのように無床診療所でそういう大規模な診療を行っているところも多いのかなと思いますので、そこを単独でふだんは大丈夫なように見えても、やはり何らかの重層的なバックアップというか、そういうものが必要かなと思っていますので、少なくとも今の時点では、災害拠点病院とつながるということと、あとは行政としっかりつながって、先ほど御指摘があったEMISを使えれば私たちも違ったのかな。
私たちも行政と相談しているときにDMATを行かせてくれということですかと聞かれたのですけれども、私のほうがDMATをどのように活用できるのか全くわからなかったということがありまして、そもそも私のところに患者さんがいるわけではなくて、患者さんが地域にいて、どうするかということですので、お一人だけ災害拠点病院の近くに住んでいた方で避難をするときに救急車が来ない、その病院のほうの判断でDMATを派遣して災害の避難を支援したということがありましたが、それ以外に関してはDMATをどのように活用できるかというのは私自身もわからないので、例えばDMATが1個隊、かなりたくさん来ていただいて大学病院の中にはいらしたみたいなのですけれども、どこまで出ていったかというのは私も把握していないのですが、例えば1個隊来ていただいて、そこで私たちが安否確認をして、ここに行ってほしいというときに蓄電池を届けていただくとかということができたらいいのかなと思う一方で、私たちのところだけ派遣していただくということは難しいですので、拠点とかDMATを派遣する先をどこに考えるかというのは整理していかなければいけないのかなとは思っています。
○小玉参考人 ありがとうございます。
○田中座長 池上構成員、お願いします。
○池上構成員 これは厚労省の方にお伺いできればと思います。資料2-3の2ページのところで、補正予算の説明をしていただきました。これまで、土畠先生のお話などをお伺いする中で、重層的にさまざまな形でフォローできる体制を整備するのが大事であると思っておりますが、今回の補正予算では、どのくらいの機器の整備が進むと見込まれているのか。また、実際にこの予算を使いたいという引き合いがどの程度出てきているのか、もし、分かれば、教えていただければと思います。
○堤室長補佐 御質問ありがとうございます。
ただいま都道府県には、この事業の使用を試みられているのかというような調査をしているところでございますけれども、我々として、いわゆる母数になり得る患者さんの人数は約3,000名ぐらいの患者さんがいるのではないかというように考えております。
○田中座長 吉川構成員、お願いします。
○吉川構成員 厚労省の2-3の資料についてです。論点のところに平時から必要に応じて在宅人工呼吸器使用患者をリスト化し、発災時に活用できるようにしておくということに関しましては、非常に賛成です。今後、在宅で医療的ケアが必要な人というのはどんどんふえてくると思いますので、これはぜひ進めていただきたいと思います。
実際に災害に遭遇した地域の訪問看護ステーションの方のお話を伺いますと、やはり患者の把握、自分たちのところでもしてはいるけれども、実際にその現場での把握に難渋しているとか、やはりどうしても人工呼吸器ですとか酸素ですとかの供給会社から情報を得ることに頼っているというのが現状というところもあるというのが事実です。そういったところから、やはり地域の体制をどのように整えていくかをぜひ行政の方を中心に、また地域で話し合って体制整備ができていくようにしていただけるといいよいかなというように思っております。
また、同時に職能団体としまして、特に訪問看護ステーションで管理している利用者に関しましての把握については、災害支援に関する事業をしても実際にやって行なっておりますので、そこら辺に関してもさらに一層発信を強化していきたいとは思っております。
○田中座長 御意見ありがとうございました。
有澤構成員、お願いします。
○有澤構成員 実は私も札幌市で、先生のところの患者さんを1人、受け持っているのですけれども、薬局でそうやって広く訪問診療なりやられている先生には、うちの近所だから実際にその患者さん、ずっと小児の方、うちに古くから子供がずっと来ているわけです。そうすると、比較的そういう把握というのは薬局としてもしていますので、多分、先ほどお話があったように職能団体として自分のところの在宅の患者さんを別に許諾をとっている、とっていない、別として、しっかり把握しているのであれば、それは災害時に対してもしっかり支援できる、うちはこういうことができるよということを言うのは必要だなと特に感じました。
特にうちは業務用に電気の自動車を使っているのです。2台ほどあるので、必要な人には充電等を差し上げてあげたので、その辺の情報共有というのがなかったのと、当然、受け持っている、また職能団体としてそういうように介入している患者さんには、ふだんからうちはこういう災害時には物が提供できるということは取りまとめて情報共有を図る必要があるのかなと思いました。
○土畠参考人 ありがとうございます。
自宅近くのところで急にお願いして受けてくださったというところで、全くこちらから診療情報提供できずに、そのまま入院の対応をしてくださったというところもたくさんあって、本当にありがたかったです。
基本的にはこういうときは、少なくともお子さんに関してはお母さんたちが一緒に入院するので、病院のスタッフがそこまで全部ケアするということがないということもあるので、たまたま電気を確保するだけのお願いをしているというところも多いかなと思うのですが、情報共有の点では結構お子さんの状況が非常に変わりやすい、人工呼吸器を前に使っていたのだけれども、やめましたとか、使っていなかったのだけれども、使うようになりましたとか、あとは引っ越ししましたとか、NICUから帰ってくる方も年間5~6名いらっしゃるのと、NICU以外でも人工呼吸器を新たに使うと言う方がうちの病院だけでも30人ぐらいいて、どこまで定期的に情報を共有できるかというのが難しいところもあるのかなと個人的には思いまして、うちは先ほど言ったように20日に毎月リストを更新していたので、例えばそれを患者さんの理解、承認を得てどこかで共有するとかといったような仕組みも使えるのかなとは思うのですが、どこまで細かく個別に情報を共有していいかというのが私たちだけでは考えるのが難しいところかなとは思っております。
○田中座長 高齢要介護者については、昔にくらべさまざまな話仕組みができ上がっていて、情報をそれこそ本人だけではなくてケアマネケアマネジャーという別な職種が持っていたりしますが、小児についてはまだまだである。きょうは大変勉強になりました。ありがとうございます。
どうぞ、お願いします。
○猿木構成員 バッテリーは大体皆さん、ついていますね。どのくらいもつものなのですか。人工呼吸器のバッテリー。
○土畠参考人 人工呼吸器のバッテリーは機種によって違うのですけれども、内部バッテリーと外部バッテリーというものがありまして、内部バッテリーは短いものだとゼロというものも中にはあります。ただ、それは自発呼吸のない方は使わないので、最低でも4時間ぐらいはもつかなと思っています。
それ以外に、2011年の東日本大震災の後に診療報酬が少し人工呼吸器に関しては上がりまして、その部分で外部バッテリーというものを予備で設けられる。ただ、それに関しても物によるのですけれども、両方、内部と外部バッテリー、全部トータル合わせても長い方でも10時間ちょっとぐらいかな。
なので、今回のような2日間、四十何時間というのは到底難しいということになるので、その10時間の間に何とか避難入院をできるというところで、実は私たちのところも24時間呼吸器の方は最初に全部避難入院でお願いしたので、そこまで困らなかったのですけれども、一番困ったのが夜間だけ使っているという方なのです。それを1週間、最初戻らないという話があったので、全員入院させるという判断をしたときに、先ほど言ったように信号がついていない中をみんな行かせる、あと救急車をそういうものに使っていいのかとか、どこまで待たせていいのかというのはかなり怖かったところで、私たちがやったように何段階かに分けて、まずい人はもう一気に医療機関に、そうではない人はまずはできるだけ自宅で頑張る、それを在宅医療機関がどう在宅で支援するか。ふだんの病診連携と余り変わらない発想なのかなとは思っているのですけれども、そういうように分けていく必要があるのかな。
先ほど先生から御指摘いただいたように、CPAPの方もどうしても電気を確保しなければいけないかというと難しいところで、睡眠時無呼吸の方は1日、2日使わないでどうにかなるかというと、ただ、中にはそれで危なくなる方もいらっしゃると思うので、その辺の判断の個別性が結構高いところかなとは思っています。
○猿木構成員 ありがとうございました。
○田中座長 資料2について、さまざまな御意見、御質問がございましたが、さかのぼって1も含めて全体を通じて何か御意見、御発言、ございますでしょうか。ありがとうございました。
では、本日いただいた御意見も踏まえて、事務局においては引き続き在宅医療の推進に向けた地域における地域の特色を生かした議論の進め方の検討をお願いします。また、土畠先生、どうもありがとうございました。
○土畠参考人 どうもありがとうございました。
○田中座長 ほかにないようでしたら、本日の議論はこれまでといたします。
最後に、事務局から何か説明がありますか。
○堤室長補佐 次回のワーキンググループにつきましては、また詳細が決まり次第、御連絡をしたいと思います。よろしくお願いいたします。
○田中座長 では、本日のワーキンググループ、私たちにとっても大変参考になりましたし、考えなくてはいけない点がよくわかりました。ここまでとさせていただきます。お忙しいところ、お集まりいただきまして、どうもありがとうございました。
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