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技能実習評価試験の整備に関する専門家会議(第21回) 議事要旨
人材開発統括官海外人材育成担当参事官室
○日時 平成30年7月31日(火)10:00~12:00
○場所 厚生労働省専用第12会議室
○出席者
大迫委員、岡本委員、岡野委員、椎根委員、高野委員、冨高委員
厚生労働省人材開発統括官海外人材育成担当参事官室、法務省入国管理局入国在留課
外務省領事局外国人課、外国人技能実習機構、公益財団法人国際研修協力機構
(空港グランドハンドリング関係)鴻池運輸株式会社、国土交通省
(農産物漬物製造関係)全日本漬物協同組合連合会、農林水産省
(リネンサプライ関係)日本リネンサプライ協会、厚生労働省(生活衛生課)
○議題
1 空港グランドハンドリング職種の追加等について
2 農産物漬物製造業職種の追加等について
3 リネンサプライ職種の追加等について
○議事
1 空港グランドハンドリング職種の追加等について
○空港グランドハンドリング職種の追加について、鴻池運輸株式会社より概ね以下のとおり説明があった。
・航空貨物取扱作業の審査基準の必須業務の1号では、作業内容と使用する備品や器材への初歩的な知識の修得を目標としている。
2号では1号で修得した内容を踏まえ、作業や使用する備品、器材についての知識を深め、2年目には実際にフォークリフトに乗り、スキットを所定の場所に移動させる作業も行う。
2号では全ての業務に関する専門的な知識を修得し、異常発見時の判断を行うなど責任のある業務も担当する。2号の間に修得したフォークリフトの知識と免許により実際にフォークリフトの荷役作業を行い、業務内容、進捗状況、時間の管理や指導も行う。
・関連業務では貨物・備品・資材等の搬送作業、輸出入貨物の蔵置、確認作業を行い、周辺作業では搬送器材や施設の点検を行う。
・試験基準の学科試験では技能実習各号で修得した作業内容等に関する知識を問う問題を設定している。
・実技試験では、技能実習各号で修得した内容を踏まえ、実際に作業を行い、習熟度を確認する。
・実習生の判断すべき項目について、作業中に不具合等があった場合に実習生がとるべき行動を説明する。貨物の外装に破損、漏れ、昆虫や動物を発見した際は、技能実習1号、2号では貨物に触れずに作業責任者へ報告を行う。3号では、ダメージの度合いから搭載可否の判断を行い、異常箇所と判断内容を作業責任者へ報告を行う。
ULDや非自走器材の破損を発見した際は、技能実習1号、2号では全て作業責任者へ報告を行う。3号では破損の度合いから使用可否の判断を行い、異常箇所と判断内容を作業責任者へ報告を行う。
フォークリフトの異常発見時においても、2号では当該車両に乗車せず、作業責任者へ報告を行う。3号では使用可否の判断を行い、異常箇所と判断内容を作業責任者へ報告を行う。
全項目共通として、最終的に判断した内容又は判断ができないものに関しては、作業責任者へ全て報告を行う。
・試行試験は、初級では現在受け入れている実習生を含む外国籍社員、日本人社員を、専門級と上級では外国籍社員と日本人社員を、それぞれ対象に実施した。
1回目から3回目までの試行試験結果を踏まえ、上級の学科試験の問題内容の変更を行った。今後、全5回の試行試験の実習生や外国籍社員の結果を基準として、問題の難易度の最終検討を行う。
・航空貨物取扱作業の試験実施機関の体制は、受入先に対し鴻池運輸が試験実施機関となることで、一定の独立性を担保する。
・客室清掃作業の審査基準の必須業務の1号では、作業内容と使用する備品、器材に対する初歩的な知識を修得する。
2号では、1号で修得した内容を踏まえ、作業や使用する備品、器材についての知識を深めることとし、1号で既に行った作業においては作業後の最終点検を行う。エコノミークラスの作業要領を踏まえ、上位・最上位クラスの清掃作業を行う。業務内容、時間管理等の指導を行う。
・関連業務では、清掃作業に使用するバキュームなどの点検や指定溶剤の補充、使い古したタオルの交換を行い、周辺業務では、ラバトリー車による汚物の抜き取り、給水車・排水車による補助作業を行う。
・試験基準の学科試験では、航空貨物取扱作業と同様に、技能実習各号で修得した作業内容等に関する知識を問う問題を設定している。
・実技試験では、航空貨物取扱作業と同様に、技能実習各号で修得した内容を踏まえ、実際に作業を行い、習熟度を確認する。
・実習生の判断すべき項目について、作業中に不具合等があった場合に実習生がとるべき行動を説明する。座席上や座席回りの汚れや濡れ等の不備を発見した際は、技能実習1号では汚れや濡れの箇所を作業責任者へ報告を行う。2号では汚れや濡れの度合いによって清掃作業の方法や座席交換等の処理を判断し、判断した内容を含めて作業責任者へ報告を行う。可燃性の液体等の危険物のおそれがある場合には、自ら処理を行わず、作業責任者へ報告を行う。
不審物を発見した際は、1号、2号ともに自ら処理を行わず、作業責任者へ報告を行う。不審物と判断できないものについては全て作業責任者へ報告を行う。
・遺失物を発見した際は、1号では遺失物の発見場所と概要を作業責任者へ報告を行う。対象物が不明の場合や判断できない場合については、触れずに作業責任者へ報告を行う。2号では遺失物の発見場所と概要を作業責任者へ報告を行い、作業責任者へ遺失物を引き渡す。危険物のおそれがあるものや機内持ち込み不可のものを発見した際は、自ら処理を行わず、作業責任者へ報告を行う。
・試行試験は、初級では現在受け入れている実習生を含む外国籍社員と日本人社員を、専門級では外国籍社員と日本人社員を、それぞれ対象に実施した。1回目から3回目までの試行試験結果を踏まえ、初級の学科試験問題の日本語表記の変更を行った。
今後、全4回の試行試験の実習生や外国籍社員の結果を基準として、問題の難易度の最終検討を行う。
・客室清掃作業の試験実施機関の体制は、航空貨物取扱作業と同様に、受入先に対し鴻池運輸が試験実施機関となることで、一定の独立性を担保する。
○同社からの説明に対し、概ね以下のような質疑があった。
委員)客室清掃作業の試験基準の学科試験に「指導に関する知識」とあるが、指導方法を問うものとなっているか。
説明者)問うものとなっていない。
委員)社内の研修部門、新入社員研修部門の担当者にも意見を聴いて、学科試験の項目に指導方法を入れるべき。
説明者)対応について検討する。
委員)管理作業の中で、上司に判断を仰ぐものなのか、自分の判断で作業を進めて後で報告するものなのか、後での報告も必要ないものなのか、3号実習生が自から判断しないといけないのか。
説明者)基本的に、自ら判断するが、判断した内容を含めて全て後ではなく、判断した時点で作業責任者に報告するという実習方法をとっていきたい。
委員)その作業責任者を3号実習生が務めることはないのか。
説明者)務めることはない。
委員)それに関する社内ルールはあるのか。
説明者)社内ルールはある。
委員)航空貨物取扱作業の審査基準の「管理作業」が拡大解釈されないように、「以下に示す項目に対する管理作業」などとの記載を入れるべき。
説明者)対応について検討する。
○検討の結果、指摘事項を踏まえて審査基準及び試験基準の修正を行うとした上で、空港グランドハンドリング職種(航空貨物取扱作業、客室清掃作業)の追加について了承された。
2 農産物漬物製造業職種の追加等について
○農産物漬物製造業職種について、全日本漬物協同組合連合会より概ね以下のとおり説明があった。
・審査基準の作業の定義は、野菜、果実等の農産物主原料を、受入れ、カット、洗浄・殺菌等の前段作業の後に、塩漬けし、一定時間経過後にそれを取り出して、水に浸漬して脱塩させる。脱塩後は別途調整した調味液に漬込みし、最終製品に仕上げる。さらに、計量・包装作業を経て、殺菌を必要とする品目については加熱殺菌を行い、異物検査を経て製品出荷ができる状態に至るまでの一連の工程を行う作業である。
以下の3つの要件も審査基準の中で定めたい。1つ目は、通年で実施できるように、農産物漬物製造は周年操業をしている施設であること。2つ目は、実習生に漬物製造に関する知識・技能を十分指導できる体制を確保するため、漬物製造管理士2級以上の有資格者が在籍している実習実施者であること。3つ目は、水産物の使用量が農産物の使用量より少ないものに限ること。
・必須業務は、技能実習1号では漬物原料の洗浄、選別・切断、下漬け、漬け込み、シール作業。
2号では、選別・切断の他に整形作業を行う、殺菌・洗浄作業として殺菌液の濃度管理を行う作業、調味液の配合等漬け込みを適切に行い、漬物の品質管理を行う、充填・計量・異物確認作業を行う。加えて、包装・シール作業。また、加熱殺菌が必要なものについては、加熱殺菌、冷却作業。出荷検査も必須業務とし、官能検査、理化学検査、包装状態や内容量、賞味期限等についての確認を行う。
衛生管理の関係では、1号は一般衛生管理、2号はこれに加えてHACCPの考え方を取り入れた衛生管理、すなわち、殺菌・洗浄、異物確認、加熱殺菌で重要な衛生管理のポイントを設定して、そのモニタリングと管理記録・改善措置を行う。こういったHACCPの考え方を実習の中で覚えていただくということも必須業務にしている。
安全衛生の関係では、1号、2号ともに同様で、5Sの遵守等7項目である。また、食品衛生の関係では、1号、2号ともに同様で、作業者の衛生管理等を含めた3項目である。
・関連業務は、圃場における原料野菜の成育確認・品質確認作業、原材料受入れ作業であり、周辺業務は、作業場内での清掃、運搬、梱包、出荷である。
・試験基準の学科試験は、初級では、食品の概論、漬物製造と漬物の種類・特徴、機械・器具の取扱、製造に使用する包装、食品衛生、安全衛生等の基本的な業務を遂行するために必要な知識等を問う。
専門級では、これに加えて、調味資材の種類及び特徴、漬物製造及び品質管理、漬物検査、化学成分、電気一般を問う。
・実技試験は、製作等作業試験と判断等試験の2つで実施する。
・試行試験の初級は1号実習生の方3名にお願いした。専門級は入社後2年目の日本人の方3名にお願いした。初級、専門級ともに、学科、実技で合格のレベルに達していた。今後、試行試験の結果を踏まえて、学科試験の問題レベル、実技試験の製作等作業試験と判断等試験の課題の調整等について検討したい。
・全日本漬物協同組合連合会会長のもとに、事務局以下、技能実習評価委員会及び技能実習評価試験委員会を設け、農産物漬物製造作業に関して実習生が習得した技能・技術及び知識について公正かつ客観的な評価を行う体制とする。
・ 漬物製造管理士・技能評価試験3級の実技試験の中で、完成品の確認等を行っているが、製品の品質確認までは行っていない。このため、今後、技能実習評価試験の専門級では、国内検定の3級よりも難しい内容に制度設計することとしたい。
○同団体からの説明に対し、概ね以下のとおり質疑が行われた。
委員)試験基準の学科試験の項目の中に「電気一般」があるが、どういう意図で入れているのか。
説明者)漬物製造では、多くの機械、器具を使う一方、水も多く使うため、アース、接地接続等が非常に重要な項目となる。このため、電気用語、電気機械器具の使用方法についての基礎的な知識を問うということで、「電気一般」の項目を入れている。
委員)「電気一般」には、電流、電圧、抵抗、電力、照度等の記載があるが、漬物製造に必要な知識とは思えない、同試験の項目については、実際の仕事で本当に役立つ知識か再検討すべき。
説明者)対応について検討する。
委員)2号技能実習の審査基準の「整形」は具体的にどういうものか。
説明者)切断をしたものについて、見た目、そろえがいいように形を整えるということである。
委員)試験監督者によって採点に差が出ないように、採点基準の記載も含めて対応を検討すべき。
説明者)対応について検討する。
○検討の結果、指摘事項を踏まえて試験基準の修正を行うとした上で、農産物漬物製造職種(農産物漬物製造作業)の追加について了承された。
3 リネンサプライ職種の追加等について
○第20回専門家会議における指摘事項への対応について、日本リネンサプライ協会より概ね以下のとおり説明があった。
・ 2号実習の目標は、帰国後においてリネンサプライ工場の仕上げ作業のライン長になるために、必要な技能を習得することにある。
ライン長は、投入機への投入から検品・結束までのライン内の全作業が上手く進行しているか環境、安全、品質、生産性等も考慮しつつ管理する必要がある。
このため、2号実習において、自からも機械投入作業、検品作業、結束・包装作業、仕上げ作業に伴う機械操作・機械清掃作業を行うとともに、管理者として機械メンテナンス作業、仕上げラインの管理・指導作業を行う。
・リネンサプライ工場で日本人従業員がライン長になるには、一般に2年程度を要している。ライン長相当の「リネンサプライ業技能実習講習会」の初級では、実務経験2年程度の日本人従業員を対象としている。このため、実習生がライン長になるために必要な技能の習得には3年を要すると考えている。
・ライン長は、機械メンテナンス作業として、仕上げ作業に使用する全ての機械の種類と特徴に関する知識等を修得し、予防保全を行う。機械故障発生時には原因を把握し、チョコ停か否かの判断を行い、チョコ停であれば即座にメンテナンスを行う。チョコ停以外の故障であれば、工場長や工務課がある会社では工務課へ報告し、対策の検討を行う。
・ライン長は、洗濯作業から回されてきたリネンや仕上げ作業工程を終えたリネンの検品において、汚れの付着等の不具合を発見した場合は、その不具合の内容に応じて、各作業工程の作業員の作業方法、機械の状況等による原因を速やかに特定し、ライン内や他部署との連絡調整等の対応を行う。
○同団体からの説明に対し、概ね以下のような質疑があった。
委員)どのような知識に基づいて、どのようにチョコ停であるかどうかの判断をしているか。
説明者)こういったときに機械が止まるなど、1年間の投入作業のときにOJTで勉強することになる。
委員)専門級の試験は、機械のタイプ等も考慮の上、何を問うのか明確にした上で、技能検定の他職種の例も参考に検討すべき。
説明者)対応について検討する。
委員)ライン長は新人に対する教育も行うのか。
説明者)教育も行う。
委員)試験項目に指導方法を入れるべき。
説明者)対応について検討する。
○検討の結果、リネンサプライ職種(リネンサプライ仕上げ作業)については、厚生労働省、法務省において、省令の改正案に係るパブリックコメントを実施し、その結果を踏まえ、審査基準案や技能実習評価試験案等について引き続き議論が行われることとなった。
以上)
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