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秋葉副大臣会見概要(重症熱性血小板減少症候群(SFTS)について)

(H25.04.26(金) 11:00~11:22  省内会見室)

【広報室】

説明のポイント

(鳥インフルエンザA(H7N9)について)

  • 鳥インフルエンザA(H7N9)を本日午前中の閣議において指定感染症に指定することとした。これによりH5N1並の入院措置や検疫措置が可能になる。現時点では持続的なヒトからヒトへの感染は確認されていないが、内閣官房をはじめ関係省庁としっかり連携を図りながら、政府一丸となって対策を進めていく。
  • 明日から大型連休に入り、中国に行かれる方も大変多いのではないかと思うが、以下の点に是非御注意をいただきたい。
    • 不用意に動物に近寄らず、積極的に手洗いを励行する。
    • 発熱や咳などの症状が出たときにはマスクを着用し、医療機関等に相談する。
    • 帰国時に症状が出たときには検疫所や最寄りの保健所等にすぐに相談する。
    • 帰国後10日間、中国からの帰国者全員に配付している「健康カード」を熟読、保管し、症状が出たときには最寄りの保健所に中国に滞在していたことを必ず電話で伝え、受診できる医療機関や今後の注意事項について相談する。

(重症熱性血小板減少症候群(SFTS)について)

  • SFTSはマダニが病原体であるウイルスをヒトに伝播することによって起こる感染症で、本年1月末に山口県の女性で国内初の症例が確認され、日本においてもSFTSウイルスが存在していることが明らかになった。
  • 国内での患者の発生状況は、2005年から現在まで13名の方が発症し、8名が死亡している。報告されている地域は西の地域に集中しているのが特徴。春から晩秋にかけての発生が多く、5名でマダニに噛まれた跡が確認されている。
  • SFTSについて今のところ有効な抗ウイルス薬やワクチンはなく、対症療法が中心となるため、ウイルスを媒介するマダニ類に噛まれないようにすることが重要。
    • 長袖・長ズボン等の着用、首筋にタオルを巻くなどにより、極力肌の露出を少なくする。
    • 服は明るい色のものや化学繊維素材のものがお薦め
    • DEET(ディート)という成分が含まれる虫除け剤も補助的な効果が期待できる。
    • 屋外活動後は入浴し、マダニに刺されていないか確認。
  • 各自治体でもパンフレット等を作成して注意喚起しており、厚生労働省でもホームページを通じて呼びかけをしている。
  • 厚生労働省では、今年度より、国立感染症研究所等の専門家が参加し、自治体や医療機関とも連携しながら、「SFTSの実態解明に関する総合的な研究」を3年間かけて本格的に実施し、SFTS(感染症)の制圧を目指すこととしている。

会見の詳細

《冒頭》

(副大臣)

 どうも皆さん、おはようございます。今日の副大臣会見におきましては、いわゆるマダニの問題について、皆さんに記者発表させていただきたいと思います。会見を始めるにあたりまして、まず、中国で発生しております鳥インフルエンザH7N9について御報告を申し上げたいと思います。本日の午前中の閣議におきまして、H7N9につきましては指定感染症に指定することといたしたところでございます。これによりまして、H5N1並に入院措置や検疫対応が可能となるところでございまして、国内での患者の発生に備えた万全の対策を講じてまいりたいというふうに考えております。マダニもそうですけれども、特に、明日から大型連休に入りますので、ちょうど連休に入る前のタイミングで、指定感染症にしっかりと位置づけをさせていただいたわけでございます。本年3月31日に、中国政府が3名の感染者を公表して以来、皆様も御案内のとおり、既に感染者数が112名を超え、このうち死亡者数も23名ということで日々増えてきている、また、台湾でも発現するなど、拡がりを見せているのは事実でございます。現時点においては、この鳥インフルエンザH7N9ウイルスの持続的なヒトからヒトへの感染ということについては確認はされておりませんけれども、万が一の事態に備え、内閣官房をはじめとする関係省庁としっかり連携を図りながら、政府一丸となって対策を進めていかなければならないと認識しております。明日からゴールデンウィークに入りますけれども、この長期休暇を利用して中国に行かれる方も大変多いのではないかと思います。これから中国に行かれる方々には、これから申し上げる点に、是非御注意をいただきたいと思っております。まず、渡航時におきましては、不用意に動物に近寄らないということと、そして、積極的に手洗いを励行していただきたいということ。さらに、発熱や咳など、インフルエンザのような症状が出たときにはマスクを着用し、現地の医療機関、また大使館等に御相談いただくなどしてしっかりと受診をしていただきたいということ。最後に、帰国時におきましては、発熱や咳などインフルエンザのような症状が出たときには検疫所にすぐ相談をしていただきたいということ。それから、帰国後10日間、中国からの入国者全員にお配りをしております健康カードを熟読、保管をしていただききたい。そして、発熱や咳などのインフルエンザのような症状が出た時には、最寄りの保健所に、中国に滞在していたということを必ず電話でお伝えをいただいた上で、受診できる医療機関や今後の注意事項について相談をしていただきたいというふうに考えております。御自身だけではなくて、御家族や、あるいは身近な方々に発熱や咳など、インフルエンザのような症状が出た場合にも最寄りの保健所に、中国に滞在していたということを電話でお伝えいただき、受診できる医療機関や今後の注意事項等について御相談をいただきたいと思っておりますので、是非各メディアの皆さんにも、連休前に、こうした点をしっかりと呼びかけていただければ大変ありがたく存じます。
 それでは本日は、今年1月末に国内での症例が初めて確認されました新しい感染症でございます、重症熱性血小板減少症候群、いわゆるSFTSを取り巻く現況と、厚生労働省の取り組みについて改めて御説明をさせていただきたいと思っております。SFTSはマダニが病原体であるウイルスをヒトに伝播することによって起こる感染症でございまして、平成21年、2009年頃より中国での発生が報告されるようになりました。これまで、中国以外の地域におきましては、SFTSの症例は報告されておりませんでしたけれども、昨年秋にお亡くなりになられました山口県の女性の死因が、このSFTSウイルスによる感染症であったことが、本年1月末に国立感染症研究所の検査により確認され、我が国においても初めて、このSFTSウイルスが存在しているということが明らかになったわけでございます。これを受けて、全国の地方自治体に対して、SFTSに関する情報を周知するとともに、医療機関に対しまして、SFTSの症状に合致する患者さんで、重症だったものについて、情報提供するよう協力要請をさせていただいているところでございます。その結果、ここに取りまとめておりますとおり、2005年から現在までの間に13名の方が発症をし、そして、8名の方がお亡くなりになっております。発生が報告されております地域は、これまでのところ、ここに書いてありますとおり、広島県、愛媛県、高知県、山口県、佐賀県、長崎県、宮崎県、鹿児島県ということで、西の地域に集中しているのが、大きな特徴でございます。また、患者さんの年代がいずれも50歳代以上ということで、男女比もほぼ一対一でございます。春から晩秋にかけて発生していることが多く、5名でマダニに噛まれた跡が確認をされております。また、症状といたしましては、発熱、下痢、嘔吐等消化器系の症状に加えまして、血小板や白血球の減少、血清酵素値の上昇等の臨床所見を示すことが知られているところでございます。SFTSウイルスを媒介すると言われているマダニ類ですが、このマダニ、これは両方とも血を吸った状態でございます。実際の大きさの2倍以上に膨れあがるということのようでございますけれども、これは屋内に生息するイエダニやコナダニとは全く異なるものでございます。主に森林や山間部に生息する大型のダニの一種でございまして、中国におきましてはフタトゲチマダニやオウシマダニといったマダニがSFTSウイルスを保有しているということが分かっております。国内におきましては、生息地域や、どの種類のマダニが、どの程度の割合でSFTSウィルスを保有しているかということはまだ分かっておりません。日本に生息しておりますほとんど全てのマダニ類は成長の過程で幼ダニ、若ダニ、成ダニという3つのステージを踏みますが、それぞれのステージで一回吸血をいたします。マダニ類は草の葉の上などで、動物が側(そば)を通りかかるのを待ち構えており、動物がその側(そば)を通ると動物に飛び乗り、長時間、あるいは数日、長い場合には1~2週間かけて吸血し、満腹になると地上に落下して、脱皮したり産卵したりと、次のステージに移るようでございます。実際にその(マダニが)付いているのを目視して、取り払おうと思ってもなかなか取れないと。ですから、お風呂に入っていても、お年寄りの方なんか、背中なんか噛まれていれば、気付かないで、そのまま潰してしてしまうということがあるようでございます。このように、SFTSウイルスを保有するマダニにヒトが噛まれてウイルスに感染してしまった場合には、6日から2週間程度の潜伏期間を経て、SFTSを発症してしまうということになるわけでございます。パネルを見ていただきますと、ここに改めて患者さんの発生状況について、御報告をさせていただいております。はじめの10名の方は、山口県の国内初の症例が確認された以降に実施された調査の結果、SFTSに感染していることが判明したものでございまして、日本でも一番古いものは平成17年に長崎県の事例で感染をされているということが明らかになっております。残りの3名は今年の春以降に感染された方々でございます。このように、SFTSは最近になって急に感染が広がったものではなく、ウイルス自体は実は以前から国内にも存在していたのではないかと類推をしているところでございます。次のパネルを御覧いただきたいと思います。SFTSにつきましては今のところ有効な抗ウイルス薬やワクチンはございません。どうしても対処療法が中心となっておりまして、このために、最大の予防法はウイルスを媒介するマダニ類に咬まれないようにお気をつけいただくということでございます。そのためにはどうすればいいのかということをパネルにまとめてみました。これからだんだん季節もよくなって、薄着のシーズンになってまいります。草むらや藪など、マダニが多く生息する場所での活動をできる限り控えていただきたい。そして、やむなくそういった場所にお出かけになる場合には、長袖や長ズボン、足を完全に覆う靴や帽子、手袋を着用していただいて、特に首筋にはタオルを巻くなど、極力肌の露出を少なくしていただくということが大変大事でございます。それから、服などは明るいもの、あるいは化学繊維素材のものがお勧めでございます。それから、虫除け剤につきましても補助的な効果は期待できるわけでありまして、その際、やや専門的になりますけれども、DEET(ディート)という成分の入った虫除け剤がいいということのようでございます。服の上から使用することも、服の上からスプレーするだけでもかなり効果があるというふうにうかがっております。また、屋外で活動した後はですね、しっかりと入浴していただいて、マダニに刺されていないか等確認していただくということも大変大事になってまいります。万が一、マダニが付着していて、簡単に取り除けない、ずいぶん手で払っても簡単に落ちないそうでありますから、無理をして引き抜こうといたしますと、ダニの頭部が皮膚内に残ってしまうというケースもあるようでございますので、できるだけ速やかに皮膚科等最寄りの診療所を受診していただきたい。そして、そこで除去していただくということが最も良い方法だというふうにいわれております。こういったマダニが媒介する感染症について、各自治体では、このように佐賀県、山口県、宮崎県、まあ九州が多いわけでございますけれども、このようなパンフレットを作成いただき、注意喚起をしていただいているところでございます。我が省におきましても、ホームページで呼びかけをさせていただいているところでございますが、動物由来感染症予防体制整備事業といいまして、各自治体による住民への普及啓発に関する取組みを支援する事業がございますので、各自治体ではこのような制度を是非活用していただきたいと考えているところでございます。次に、この厚生労働省では、今年度より、厚生労働科学研究補助金事業によりまして、SFTSの実態解明に関する総合的な研究を今年から3年間かけて本格的に実施するということを考えております。この研究には、パネルにございますとおり、国立感染症研究所、長崎大学、北海道大学、国立国際医療研究センター等から研究者に参加をしていただき、また、地方自治体や医療機関等とも連携しながら、このSFTSの実態解明について総合的な研究を実施していくことといたしております。この研究班におきましては、特に、迅速な診断法の開発や、あるいはすでに患者が発生している地域を中心としたヒトでの過去の感染状況の調査、マダニ類のウイルス保有状況の調査、それからワクチンや抗ウイルス薬に関する基礎研究、診療・診断マニュアルの策定、診断・調査研究に関するネットワークの構築といったように、SFTSに関する多角的な研究を実施して、SFTSの制圧を目指すことといたしております。厚労省におきましては、このような研究成果等を踏まえて、引き続き、本病に関する対策を講じるとともに、国民の皆様への注意喚起等、適切な情報提供に努めてまいりたいと考えております。今日の報告は以上でございます。明日からの大型連休、できるだけ皆様の御協力をいただきまして、広く国民に注意喚起をしていただければ幸いでございます。以上です。ありがとうございました。

《質疑》

(記者)

 最後の、総合的な研究で、マダニのウイルス保有状況調査ということなんですけれども、こういう調査はもうすでに始まっているんでしょうか。これからということですか。

(副大臣)

 中国で初めて明らかになって、実は国内でも初めて症例が明らかになりましたけれども、国内にも、実はウイルスは以前からいたのではないかということが想定されるわけでありまして、そういったことを前提に本格的な調査をこの25年度から実施をさせていただくということで考えております。

(記者)

 すると、これからということですか。

(副大臣)

 これからです。3年間かけてですね。

(記者)

 それから、それこそそういうことを研究しないとわからないとは思いながら、今、患者さんが見つかっているのは、広島、高知より南の地域なんですけれど、こういう地域的にこのあたりのみで見つかっているのはどういうことなのかということはわかりますでしょうか。

(副大臣)

 これもですね、国内にも存在するということが何しろ今年になって初めて明らかになった感染症でありまして、たまたま西の方に集中をしているんですけれども、東北も含めて東日本地域にいないというふうな保証はないわけでありますから、地域の偏在することなく、全国的な調査が当然必要だというふうに思っております。

(記者)

それから年齢が今、50代から80代ということですけれど、これも年齢層が何かしら発症しやすいとか、そういうことが可能性があるんでしょうか。

(副大臣)

まだ、未知の部分がありますから、そういうことも含めてこれからの研究の中で解明していくとういうことになるんだと思いますが、先ほどのパネルにもございますとおり、感染者対象者は確かに50歳代から80歳代までと幅広いわけですが、中央値を取るとだいたい60歳代ということで、やはり高齢者が多いのかなという感じはいたしております。

(記者)

これは、高齢者が噛まれるからか、幅広い層が噛まれても高齢者が発症するというのか、そのあたりはいかがでしょうか。

(副大臣)

そういったことも含めてですね、今年から3年かけてやる事業の中で、そういったことをまさに明らかにしていく必要があると思っておりますので、今年から取り組んでいくということになるだろうと思います。

(記者)

総合的研究の迅速診断法ですが、これは例えば血液検査で何かわかるようになるとか、迅速診断法のどういう中身なんでしょうか。

(事務方)

どういう方法が適しているかというのはまだ途上なんでございますが、例えば、イムノクロマトという手法を用いたものも俎上(そじょう)の一つにございます。まだこれからの研究でございます。

(記者)

これは、血液を患者さんというか、まあ、病気がみられた方の血液を採って調べるということですか。

(事務方)

そうです。そういうのができたらば、迅速な診断につながりますので。

(記者)

研究のところで、最終目的のSFTSの制圧というところだと思うんですけれども、これはおそらく3年間というか、今後続けていって最終的に目指すと思うんですが、ここでSFTSというのは感染症を指すのかウイルスを指すのかどちらなのでしょうか。

(事務方)

これは感染症でございます。ウイルスを根絶するというようなことではございません。

(記者)

仮に、SFTSというものに罹ったとしても、深刻な健康被害が生じないような状態にしたいということですか。

(副大臣)

最終的にはそういうことになります。

(事務方)

一点、先ほど、明るい色の洋服というところ、これは、マダニが付着していると視覚的に確認しやすいということです。また、化学繊維素材のもの、これ滑りやすくてですね、なかなか付着しにくいというところがあるようでございます。

(了)


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