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~労働基準法等に関するQ&Aのポイント~

4月27日版

【Q1】震災の影響でやむを得ず休業する場合、賃金や手当はどうすればよいのでしょうか。

[A1]震災の影響により、やむを得ず休業とする場合には、労働者の不利益を回避するよう努めるとともに、雇用調整助成金などの支援策も活用し、労働者の保護を図るようお願いします。
休業中の賃金や手当は、労働契約や就業規則などの定めに従って支払っていただく必要があります。
最低労働基準を定める労働基準法第26条との関係では、「使用者の責に帰すべき事由による休業」の場合には、使用者は、休業期間中の休業手当(平均賃金の6割以上)を支払わなければならないとされています。
「使用者の責に帰すべき事由による休業」に該当するか否かは、事業場の施設・設備が直接的な被害を受けたかどうか等の事情を勘案し、個別に判断されます。
詳細は、「労働基準法等に関するQ&A」の「1 地震に伴う休業に関する取扱いについて」をご覧ください。

【Q2】派遣先の被災等により、派遣先での業務ができなくなったことや、派遣先と派遣元の労働者派遣契約が中途解除されたことにより、派遣元が派遣労働者を即時に解雇することは許されるのでしょうか。

[A2]まず、「派遣元と派遣先との間の労働者派遣契約」と「派遣元と派遣労働者との間の労働契約」は別であることに留意が必要です。
派遣元の使用者は、派遣先での業務ができなくなったり、派遣先との間の労働者派遣契約が中途解除された場合でも、そのことのみにより直ちに解雇が認められるものではないことに注意してください。
また、派遣元の使用者には、「派遣元事業主が講ずべき措置に関する指針」に基づき、派遣先と連携して新たな就業機会の確保を行うことや、新たな就業機会の確保ができない場合でも、休業等を行い、派遣労働者の雇用の維持を図ることに努めていただくようお願いします。
派遣労働者の雇用管理について、詳しくは、「労働基準法等に関するQ&A」の「2 派遣労働者の雇用管理について」をご覧ください。

【Q3】今回の震災を理由に労働者を解雇・雇止めすることはやむを得ない対応として認められるのでしょうか。

[A3]震災を理由とすれば、解雇や雇止めが無条件に認められるものではなく、できる限り雇用の安定に配慮していただくことが望まれます。
仮に、解雇や雇止めを行わざるを得ない場合であっても、その実施に当たっては、法令で定められている規制や手続等を遵守するとともに、労働契約法の規定や裁判例におけるルールに沿って適切に対応することが必要です。
詳細は、「労働基準法等に関するQ&A」の「3 震災に伴う解雇について」をご覧ください。

【Q4】今回の震災に伴い、事業活動が縮小しているため、採用を予定している者について内定を取り消すことは可能でしょうか。

[A4]採用内定を得ている被災地の新卒者等が、可能な限り入社できるよう、また、可能な限り予定していた期日に入社できるよう最大限努力いただきますようお願いいたします。
なお、採用内定により労働契約が成立したと認められる場合には、採用内定取消しは解雇に当たります。このため、仮に、内定取消しを行わざるを得ない場合であっても、その実施に当たっては、法令で定められている解雇に関する規制や手続等を遵守するとともに、労働契約法の規定や裁判例におけるルールに沿って適切に対応することが必要です。
詳細は、「労働基準法等に関するQ&A」の「4 採用内定者への対応について」をご覧ください。

【Q5】会社が地震等により損壊し、事業活動ができません。社長とも連絡が取れません。これまで働いた分の賃金を支払ってもらうことはできるのでしょうか。

[A5]労働基準法第24条においては、賃金は、通貨で、直接労働者に、その全額を、毎月1回以上、一定期日を定めて支払わなければならないとされています。既に働いた分の賃金は、当然に支払われなければなりません。可能であれば、会社の経営者などに連絡をとり、支払を求めることをお勧めします。
なお、事業活動が停止し、再開の見込みがなく、賃金の支払の見込みがないなど、一定の要件を満たす場合には、国が事業主に代わって未払賃金を立替払する「未払賃金立替払制度」を利用することができます。詳しくは、最寄りの労働基準監督署にご相談下さい。
労働基準法第24条(賃金の支払)に関しては、「労働基準法等に関するQ&A」の「5 労働基準法第24条(賃金の支払)について」もご覧ください。

【Q6】今回の震災による被害を受け、住居を変更しなければなりません。そのための費用を使用者に請求すれば、給料日前であっても、既に行われた労働に対する賃金を支払って貰えるのでしょうか。

[A6]労働基準法第25条では、労働者が、出産、疾病、災害等の非常の場合の費用に充てるために請求する場合は、賃金支払期日前であっても、使用者は、既に行われた労働に対する賃金を支払わなければならないと定められています。
御質問の場合については、災害によるものとして、労働基準法第25条の「非常の場合の費用」に該当すると考えられます
労働基準法第25条(非常時払)に関しては、「労働基準法等に関するQ&A」の「6 労働基準法第25条(非常時払)について」もご覧ください。

【Q7】震災による被害により、当初の予定どおり、1年単位の変形労働時間制を実施できなくなった場合、労使協定を労使で合意解約し、締結し直すことは可能でしょうか。

[A7]1年単位の変形労働時間制とは、労使協定により、1年以内の対象期間を平均して1週間あたりの労働時間が40時間を超えない範囲内で、一定の条件の下、特定の日及び週に1日8時間・1週40時間の法定労働時間を超えて労働させることが認められる制度です。
この制度は、業務の繁閑に計画的に対応するために対象期間を単位として適用されるものですので、労使の合意によって対象期間の途中でその適用を中止することはできないと解されています。
しかし、今回の震災による被害は甚大かつ広範囲に及んでおり、当初の予定どおりに1年単位の変形労働時間制を実施することが企業の経営上著しく不適当な場合は、労使でよく話し合った上で、労使協定について、労使で合意解約をし、改めて協定し直すことも可能と考えられます。ただし、この場合であっても、協定の解約が労働者にとって不利になることのないよう留意が必要です。
詳細は、「労働基準法等に関するQ&A」の「7 労働基準法第32条の4(1年単位の変形労働時間制)について」をご覧ください。

【Q8】震災により、被害を受けた電気、ガス、水道等のライフラインの早期復旧のため、36協定によらず労働者に時間外・休日労働を行わせることは可能でしょうか。

[A8]労働基準法第33条第1項では、災害その他避けることのできない事由により臨時に時間外・休日労働をさせる必要がある場合には、使用者は、労働基準監督署長の許可(事態が急迫している場合は事後の届出)により、必要な限度の範囲内に限り、時間外・休日労働をさせることができるとされています。これは、災害その他客観的に避けることのできない場合の規定ですので、厳格に運用すべきものです。
今回の震災による被害は甚大かつ広範囲であり、一般にライフラインの復旧は、人命・公益の保護の観点から急務と考えられるので、労働基準法第33条第1項の要件に該当し得ると考えられます。
ただし、労働基準法第33条第1項に基づく時間外・休日労働はあくまで必要な限度の範囲内に限り認められるものであり、また、過重労働による健康障害を防止するため、実際の時間外労働時間を月45時間以内にするなどしていただくことが重要です。なお、労働基準法第33条による場合であっても、時間外労働・休日労働や深夜労働についての割増賃金の支払は必要です。
詳細は、「労働基準法等に関するQ&A」の「8 労働基準法第33条(災害時の時間外労働等について)」をご覧ください。

【Q9】震災直後には十分な企業活動を行えなかったことを受けて、現在、業務量が増加し、36協定で定めた延長時間を超えることになりそうですが、どのように対応すればよいのでしょうか。

[A9]労働基準法に定める労働時間の原則は、1日8時間、1週40時間とされていますが、労使協定(36協定)を締結し、労働基準監督署に届け出た場合は、協定で定める範囲内で1日8時間、1週40時間の法定労働時間を超えて、労働させることができます。
36協定を締結し、届け出ている場合であっても、36協定で定める範囲を超える時間外労働をさせることはできないので、36協定で定める範囲外の時間外労働を可能とするには新たに36協定を締結し直し、届け出ることが必要です。ただし、36協定で延長できる労働時間の限度については、大臣告示(限度基準告示)が定められており、36協定の内容は、限度基準告示に適合したものとするようにしなければならないとされています。
また、過重労働による健康障害を防止するため、実際の時間外労働時間を月45時間以内にするなどしていただくことが重要です。
詳細は、「労働基準法等に関するQ&A」の「9 労働基準法第36条(時間外・休日労働協定)について」をご覧ください。

【Q10】今回の震災による影響を受けて、会社から年次有給休暇を取得するよう命じられました。どうすればよいのでしょうか。

[A10]労働基準法第39条第1項では、使用者は一定期間継続して勤務した労働者に対して、年次有給休暇を与えなければならないと定められています。
この年次有給休暇については、使用者は、労働者が請求する時季に与えなければならないと定められており(同条第5項本文)、使用者に命じられて取得するものではありません。
なお、労働基準法においては、労働者が請求した時季に年次有給休暇を与えることが事業の正常な運営を妨げる場合には、使用者は他の時季に年次有給休暇を与えることができる(同項ただし書)こととされ、また、年次有給休暇のうち5日を超える分については、労使協定により計画的に与えることができる(同条第6項)とされています。ただし、これらは年次有給休暇について使用者が一方的に労働者にその取得を命じることができることを定めたものではありません。
詳細は、「労働基準法等に関するQ&A」の「10 労働基準法第39条(年次有給休暇)について」をご覧ください。

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