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平成23年東北地方太平洋沖地震及び長野県北部の地震の被災に伴う保険診療関係等の取扱いについて

事務連絡
平成23年3月15日
地方厚生局医療課、都道府県国民健康保険主管課、都道府県後期高齢者医療主管課 御中
厚生労働省保険局医療課、厚生労働省老健局老人保健課

平成23年東北地方太平洋沖地震及び長野県北部の地震の被災に伴う保険診療関係等の取扱いについて


平成23年3月11日の平成23年東北地方太平洋沖地震及び同月12日の長野県北部の地震による被災に伴う保険診療関係等の取扱いについては、当面、下記のとおり取り扱うこととしたいので、関係団体への周知を図るようお願いしたい。また、被災のため、被保険者証等を家に残してきたまま避難している等の理由により、保険医療機関等に提示できない場合、受診できる取扱いとしていることについては、別紙のとおり連絡しているところであるので、併せて周知願いたい。


1.保険医療機関等の建物が全半壊した場合の取扱い

保険医療機関である医療機関又は保険薬局である薬局の建物が全半壊等し、これに代替する仮設の建物等(以下「仮設医療機関等」という。)において診療又は調剤等を行う場合、当該仮設医療機関等と全半壊等した保険医療機関等との間に、場所的近接性及び診療体制等から保険医療機関等としての継続性が認められる場合については、当該診療等を保険診療又は保険調剤として取り扱って差し支えないこと。

2.保険調剤の取扱い

(1)被災地の保険薬局において、次に掲げる処方せん(通常の処方せん様式によらない、医師の指示を記した文書等を含む)を受け付けた場合においては、それぞれに掲げる事項を確認した上で、保険調剤として取り扱って差し支えないこと。

1 保険者番号、被保険者証・被保険者手帳の記号・番号の記載がない場合
被災により、被保険者証、健康手帳等を保険医療機関に提示できなかった場合であること。この場合、保険薬局において、加入の保険及び被用者保険の被保険者等にあっては事業所名、国民健康保険の被保険者及び後期高齢者医療制度の被保険者にあっては住所を確認するとともに、調剤録に記載しておくこと。
2 保険医療機関の記載がない場合
処方せんの交付を受けた場所を患者に確認すること。なお、処方せんの交付を受けた場所が、救護所、避難所救護センターその
他保険医療機関以外の場所であることが明らかな場合は、保険調剤として取り扱えないものであること。((3)参照)

(2)患者が処方せんを持参せずに調剤を求めてきた場合については、事後的に処方せんが発行されることを条件として、以下の要件のいずれにも該当する場合には、保険調剤として取り扱って差し支えない。
ア 交通の遮断、近隣の医療機関の診療状況等客観的にやむをえない理由により、医師の診療を受けることができないものと認められること。
イ 主治医(主治医と連絡が取れない場合には他の医師)との電話やメモ等により医師からの処方内容が確認できること。また、医療機関との連絡が取れないときには、服薬中の薬剤を滅失等した被災者であって、処方内容が安定した慢性疾患に係るものであることが、薬歴、お薬手帳、包装等により明らかな場合には、認めることとするが、事後的に医師に処方内容を確認するものとすること。

(3)災害救助法に基づく医療の一環として、救護所、避難所救護センター等で処方せんの交付を受けたと認められる場合には、当該調剤に係る報酬は救護所の設置主体である県市町に請求するものであること。ただし、災害救助法が適用されている期間内において処方せんが交付され、調剤されたものであること。

3.定数超過入院について

「厚生労働大臣の定める入院患者数の基準及び医師等の員数の基準並びに入院基本料の算定方法について」(平成18年3月23日保医発第0323003号)の第1の3において、保険医療機関が、医療法上の許可病床数を超過して入院させた場合の取扱いに係り、「災害等やむを得ない事情」の場合は、当該入院した月に限り減額の対象としないとされているところである。今般、被災地における保険医療機関の状況等を踏まえ、東北地方太平洋沖地震及び長野県北部の地震による被災者を受け入れたことにより超過入院となった保険医療機関にあっては、この規定にかかわらず、当面の間、同通知第1の2の減額措置は適用しないものとすること。

4.施設基準の取扱いについて

(1)今般の東北地方太平洋沖地震及び長野県北部の地震に伴い、被災者を受け入れたことにより入院患者が一時的に急増等し入院基本料の施設基準を満たすことができなくなる保険医療機関及び被災地に職員を派遣したことにより職員が一時的に不足し入院基本料の施設基準を満たすことができなくなる保険医療機関については、「基本診療料の施設基準等及びその届出に関する手続きの取扱いについて」(平成22年3月5日保医発0305第2号。以下「基本診療料の施設基準等通知」という。)の第3の1(1)の規定にかかわらず、当面、月平均夜勤時間数については、1割以上の一時的な変動があった場合においても、変更の届出を行わなくてもよいものとすること。

(2)また、東北地方太平洋沖地震及び長野県北部の地震に伴い、被災者を受け入れたことにより入院患者が一時的に急増等した保険医療機関及び被災地に職員を派遣したことにより職員が一時的に不足した保険医療機関については、基本診療料の施設基準等通知の第3の1(3)及び(4)の規定にかかわらず、1日当たり勤務する看護師及び准看護師又は看護補助者(以下「看護要員」という。)の数、看護要員の数と入院患者の比率並びに看護師及び准看護師の数に対する看護師の比率については、当面、1割以上の一時的な変動があった場合においても、変更の届出を行わなくてもよいものとすること。

(3)上記と同様の場合、DPC対象病院について、「厚生労働大臣が指定する病院の病棟における療養に要する費用の額の算定方法の一部改正等に伴う実施上の留意事項について」(平成22年3月19日保医発0319第1号)の第1の3(1)?Aに規定する「DPC対象病院への参加基準を満たさなくなった場合」としての届出を行わなくてもよいものとすること。

(4) (1)から(3)の届出を行わなくてもよいこととされた保険医療機関においては、被災者を受け入れたことにより入院患者が一時的に急増等したこと又は被災地に職員を派遣したことにより職員が一時的に不足したことを記録し、保管しておくこと。

(5) 被災地域以外の保険医療機関についても、(1)から(4)までを適用するものとすること。

5.診療報酬の請求等の取扱いについて

カルテ及びレセプトコンピュータの全部又は一部が汚損又は滅失し、診療報酬を請求できない場合の概算請求及び保険者等が特定できない場合の診療報酬請求書の記載方法等については、追って連絡する予定であること。

6.訪問看護の取扱いについて

(1)訪問看護基本療養費(以下「基本療養費」という。)については、「訪問看護療養費に係る指定訪問看護の費用の額の算定方法の一部改正に伴う実施上の留意事項について」(平成22年3月5日保発0305第3号。以下「訪問看護療養費の算定方法の留意事項通知」という。)において、訪問看護指示書(以下「指示書」という。)に記載された有効期間内(6か月を限度とする。)に行った指定訪問看護(以下「訪問看護」という。)について算定する取扱いとされているところであるが、次の1.から3.のいずれにも該当する場合には、当該有効期間を超えた場合であっても基本療養費を算定できるものとする。

1.平成23年3月11日以前に主治医の指示書の交付を受けている利用者であること。
2.医療機関等が東北地方太平洋沖地震及び長野県北部の地震に係る災害救助法の適用市町村に所在する場合(東京都内に存する場合を除く。)であって、被災のため主治医と連絡がとれず、平成23 年3月12 日以降指示書の交付を受けることが困難なこと。
3.訪問看護ステーションの看護師等が利用者の状態からみて訪問看護が必要と判断し訪問看護を実施したこと。なお、患者が主治医と連絡が取れる目途がない場合には、速やかに新たな主治医のもとで適切な治療を続けられるような環境整備を行うよう配慮すること。

(2)訪問看護管理療養費(以下「管理療養費」という。)については、訪問看護療養費の算定方法の留意事項通知において利用者に係る訪問看護計画書及び訪問看護報告書(以下「計画書等」という。)を主治医に提出するなど計画的な管理を継続して行った場合に算定する取扱いとされているところであるが、保険医療機関等が東北地方太平洋沖地震及び長野県北部の地震に係る災害救助法の適用市町村に所在する場合(東京都内に存する場合を除く。)であって、被災のため主治医と連絡がとれず、やむを得ず計画書等を主治医に提出することができない場合であっても、管理療養費の算定ができるものとすること。

(3)健康保険法上、居宅において訪問看護を行った場合に、訪問看護療養費を算定する取扱いとされているところ。被保険者が東北地方太平洋沖地震及び長野県北部の地震に係る災害救助法の適用市町村に所在していた場合(東京都内に存する場合を除く。)であって、被災のため避難所や避難先の家庭等で生活している場合においても、訪問看護を行った場合にはこれを算定出来るものとすること。

(4)訪問看護ステーションは、前記(1)から(3)により訪問看護を実施した場合は、その旨を訪問看護記録書に記録しておくこと。

(5)なお、介護保険法に基づく訪問看護についても、上記と同等の取扱いとすること。

以上
厚生労働省保険局医療課企画法令第一係
TEL:03-5253-1111(内線3288・3172)
FAX:03-3508-2746

(別 紙)

事務連絡
平成23年3月11日

地方厚生局医療課、都道府県国民健康保険主管課、都道府県後期高齢者医療主管課 御中

厚生労働省保険局医療課

平成23年東北地方太平洋沖地震による被災者に係る被保険者証等の提示について

平成23年3月11日の平成23年東北地方太平洋沖地震による被災に伴い、被保険者証等を紛失あるいは家庭に残したまま避難していることにより、保険医療機関に提示できない場合等も考えられることから、この場合においては、氏名、生年月日、被用者保険の被保険者にあっては事業所名、国民健康保険及び後期高齢者医療制度の被保険者にあっては住所を申し立てることにより、受診できる取扱いとするので、その実施及び関係者に対する周知について、遺漏なきを期されたい。
なお、公費負担医療において医療券等を指定医療機関等に提示できない場合の取扱いについては、公費負担医療担当部局等より、事務連絡が発出される予定であることを申し添える。

厚生労働省保険局医療課企画法令第一係
TEL:03-5253-1111(内線3172)
FAX:03-3508-2746

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