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平成22年3月29日

厚生労働省職業能力開発局

 キャリア形成支援室 室長     伊藤 正史

 キャリア・コンサルティング専門官 辻川 英高

 キャリア・コンサルティング係長   小松 恭子

(電話) 03-3502-8931(直通)

中央職業能力開発協会

 キャリア形成推進部 次長     三野 誠登

              促進課長   石川 和弥

(電話) 03-5800-3138(促進課)

平成21年度キャリア・コンサルティング研究会報告書発表


~学校教育をはじめとした各支援領域におけるキャリア形成支援の
あり方と、キャリア・コンサルタント等が果たすべき役割・能力等を提言~


 「キャリア・コンサルティング研究会」(座長:諏訪 康雄 法政大学大学院政策創造研究科教授)では、平成21年度、
 ○ 中学校・高等学校のキャリア教育推進に当たり、キャリア・コンサルタント等の専門人材が果たす役割、求められる能力要件等
 ○ ジョブ・カードを活用した効果的なキャリア・コンサルティングのあり方等
 ○ 業種・職種専門キャリア・コンサルタントの養成・活用のあり方等
をテーマに、調査研究、検討を行いました。
 このたび、その報告書が取りまとめられたので公表します。


【報告のポイント】

1.キャリア教育においてキャリア・コンサルタント等が果たすべき役割(「キャリア教育部会」における検討)
○ 若者雇用に係る様々な課題に対応する上でのキャリア教育の重要性を確認した上で、本格的な進路決定前の中学・高校段階におけるキャリア教育推進に当たって必要となる基盤整備、担い手となる人材像、成果把握のための指標や活用方法等について具体的提言を取りまとめた。
→本提言を踏まえ、厚生労働省としては、キャリア・コンサルタントの専門性を活かした、中学・高校のキャリア教育推進を担う人材養成等の取組みを進める計画

2.ジョブ・カードを活用したキャリア・コンサルティングのあり方について(「ジョブ・カード部会」における検討)
○ ジョブ・カードをより一層効果的に活用するため、ジョブ・カードを活用した効果的なキャリア・コンサルティングのあり方や今後の課題等について具体的提言を取りまとめた。
→本提言を踏まえ、厚生労働省としては、ジョブ・カード交付を担うキャリア・コンサルタントの資質の一層の向上、活動促進に取り組む計画。

3.業種・職種専門キャリア・コンサルタントの必要性について
○ 現下の厳しい雇用情勢の下で、新規成長分野等におけるキャリア・コンサルティングを適切かつ効果的に行うことができる専門人材へのニーズを踏まえ、その養成のためのカリキュラムやキャリア形成支援ツールの開発の必要性等について提言を取りまとめた。

※ 「キャリア・コンサルティング研究会」:平成21年度厚生労働省の委託により、中央職業能力開発協会が開催。




平成21年度キャリア・コンサルティング研究会報告書の概要



1.「キャリア教育部会」における検討

○ キャリア教育に対する社会的関心が高まっているが、文部科学省中央教育審議会キャリア教育・職業教育特別部会においても「キャリア・カウンセリングの専門人材の学校への配置」、「職業能力開発を担う厚生労働省との連携・協力」等の提言がなされており、若者の雇用に係る様々な課題に対応する上でもキャリア教育・職業教育の充実が一層期待。これらを踏まえ、キャリア形成支援の専門人材であるキャリア・コンサルタントが、キャリア教育により積極的に参画することが求められるもの。

○ このため、本格的な進路決定前の中学・高校段階に焦点を当て、キャリア教育先進事例の分析等を通じ、キャリア教育推進の要諦と、キャリア・コンサルタント等の専門人材が果たす役割や養成のあり方等に係る検討を行った結果、

 ◇ キャリア教育推進に当たって必要となる基盤整備
   キャリア教育の発展局面に応じ、担い手の育成、効果的なツール、社会・仕事についての啓発的経験、世代を超えた相互啓発に資する場が基盤として求められるもの。このため、学校種・学科等の特徴を踏まえ、キャリア教育の資源・環境の計画的整備を図ることが重要。

 ◇ キャリア教育推進を担う人材像
   キャリア教育推進を担う人材像・役割は、立ち位置等により概ね以下の5つに区分。これらの役割を担い、能力を備えた各人材が適切な分担を図りつつ、総体としてキャリア教育推進に当たることが期待。また、人材像ごとに求められる能力要件を分析・体系化。自治体・学校等の研修プログラムへの反映や、キャリア・コンサルタントの自己研鑽の目標となることが期待。

中学・高校のキャリア教育推進に関わる人材の役割・機能のイメージ図



 ◇ キャリア教育の成果把握の視点・指標や活用方法
   キャリア教育の目的、進度等に応じた成果把握の視点・指標を体系化。キャリア教育の推進主体が適切な定量的評価指標を選択し、これと定性的評価との組合せにより、キャリア教育プログラムの適切な評価を行うことが期待。
等の提言が取りまとめられた。

○ 本提言を踏まえ、厚生労働省としては、キャリア・コンサルタントの専門性を活かし、中学・高校のキャリア教育推進を担う人材養成等の取組みを進める計画


2.「ジョブ・カードを活用したキャリア・コンサルティング部会」における検討

○ ジョブ・カード制度が創設され約2年が経過、これまでの経験を活かし、同制度運用の中核的役割を担う登録キャリア・コンサルタント(キャリア・コンサルタントの資格・経験を有し、ジョブ・カード講習を修了した者)による、ジョブ・カードを活用したより効果的なキャリア・コンサルティングの推進が求められている。

○ こうした観点から、具体の取組み事例に基づく検討を行った結果、

 ◇ ジョブ・カードを活用した効果的なキャリア・コンサルティングのあり方等
   相談者との関係構築を図りつつ、相談者の「自信」(自己効力感)を高めるといった観点から、ジョブ・カードの作成支援を行うことが必要。このために、傾聴・情報提供のスキルや相談者の背中を少し押すスキル等が特に重要

 ◇ 今後の課題
   実際の相談記録等を活用したより実践的な研修の実施、登録キャリア・コンサルタントの自己研鑽や情報交換等の環境の整備、ジョブ・カードの社会的認知度向上・普及のための取組みが重要。

等の提言が取りまとめられた。

○ 本提言を踏まえ、厚生労働省としては、登録キャリア・コンサルタントの資質の一層の向上、活動促進に向け、ジョブ・カード講習のプログラムの充実や、講習後の継続した学習機会や有益な情報の提供等に取組む計画。


3.業種・職種専門キャリア・コンサルタントに係る検討

○ 現下の厳しい雇用情勢を踏まえ、新規成長分野等における人材育成、就職実現を図る上で、これら特定の業種・職種に着目したキャリア・コンサルティングを適切かつ効果的に行うことができる専門人材へのニーズが高まっている。このため、その養成・活用等について検討を行った結果、

 ◇ 当面、介護福祉や情報通信技術といった分野における、専門性を備えたキャリア・コンサルタント養成を図るため、カリキュラムやキャリア形成支援ツールの開発が必要。

 ◇ 将来的には、業種・職種専門キャリア・コンサルタントへのニーズを有する、幅広い業界団体等による主体的な養成等の取組みや、関係者による協力関係のネットワーク構築が必要。

等の提言が取りまとめられた。

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