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平成28年12月22日 【照会先】 1~4について:社会・援護局事業課 課長 吉田和郎(3446) 室長補佐 土元敏信(3415) (直通)03(3595)2469 (代表)03(5253)1111 5について:社会・援護局援護企画課 課長補佐 岩楯信和(3406) 援護書記 星野正司(3402) (直通)03(3595)2235 (代表)03(5253)1111 |
報道関係者各位
旧ソ連抑留中死亡者の遺骨収集(ロシア連邦ハバロフスク地方)におけるDNA鑑定用検体(歯)の誤焼失事案への対応について
厚生労働省においては、平成28年10月に実施した、ロシア連邦ハバロフスク地方における旧ソ連抑留中死亡者の遺骨収集において、DNA鑑定用検体(61柱分の歯)を誤って焼失するという事態を生じさせてしまいました。
政府の責務として、一日でも早く御遺骨を御遺族の元にお届けしなければならないにもかかわらず、このような事態が生じたことについて、御遺族をはじめとする関係者の皆様に心よりお詫び申し上げます。
我々は、今後、二度とこのような事態が生じないよう、今回の事案の発生原因を徹底究明し、再発防止のための策を講じるため、社会・援護局内にワーキングチームを設置して議論を重ねるとともに、関係団体や専門家からのヒアリングを行うなど検討を行い、その検討結果を別添1のとおり取りまとめました。
我々は、遺骨収集事業が、御遺族はもとより、国民の皆様の関心の下で行われる崇高な事業であるという自覚と責任をもって、今後、二度とこのような事態が生じないよう、下記のとおり、今回取りまとめた再発防止策をもとに遺骨収集に全力で取り組んでまいります。
1.事案の概要
○ 平成28年10月11日から10月25日まで旧ソ連抑留中死亡者遺骨収集応急派遣及び埋葬地調査のため、厚生労働省職員2名の派遣団(団長及び団員)及び通訳1名をロシア連邦ハバロフスク地方へ派遣し、ロシア側事業者が手配した現地作業員11名(作業監督を含む)とともに、遺骨収集等を実施した。
○ 10月21日までに御遺骨を74柱収容。DNA鑑定のため日本に持ち帰る検体(歯)を61柱分採取し、検体袋に収納した後、ビニール袋に入れた。
両者を一つのコンテナに入れ、鍵をかけて保管した。
○ 10月22日に、検体の採取漏れがないか確認するため、ビニール袋に入った検体をコンテナから取り出し、確認作業終了後、検体の入ったビニール
袋をコンテナに戻さず、目の届かないテント内に置いた。御遺骨の焼骨式後に、テントが派遣団からの指示なく片付けられており、ビニール袋に入れ
ていた検体を探したところ、テント脇のたき火の中からビニール袋内にあった物品と焼けた歯の一部を発見した。
○ 作業監督者からは、現地作業員の誰かが誤って入れたのかもしれないという発言があった。
2.原因
(1)御遺骨や検体の安全管理の重要性について、現地に派遣された厚生労働省職員の認識が欠落していたこと
御遺族が長年御遺骨の帰還を待ち望んでいる中、御遺族に御遺骨を返還するためには、検体を日本に持ち帰りDNA鑑定を行う必要があるにもかかわらず、御遺骨や検体の安全管理の重要性について、現地に派遣された厚生労働省職員の認識が欠落していたこと。
(2)御遺骨及び検体の安全管理に関する具体的な手順を定めたものがなく、団長(厚生労働省職員)の裁量に委ねられていたため、以下の事態が発生したこと。
イ 検体の安全管理が不十分であったこと
・検体袋をコンテナに保管せずにテント内に置いたが、検体の状況を長時間にわたり把握していなかったこと。
・検体袋の入ったビニール袋が検体が入っていることが外見で不明な状態にあったこと。
・今回収集する遺骨の多さ等からみて、派遣体制が十分ではなく、派遣団の目が周囲に行き届かなかったこと。
ロ 現地作業員とのコミュニケーションの不足
・現地作業員に対して、作業の担当外である検体の取扱いについて、情報提供及び指示が行われていなかったこと。
ハ 報告の遅れ
・緊急に連絡すべき重大案件という認識が欠落していたこと。
・緊急連絡のルールがなかったこと。
3.再発防止策
(1)御遺族への御遺骨の返還に向けた戦没者の遺骨収集における七つの心得の作成及び徹底
国の責務として行われる遺骨収集事業の意義及び責任の重大性に鑑み、当該業務に携わる厚生労働省職員及び日本戦没者遺骨収集推進協会 の 職員等に関する行動規範(別添2。以下「七つの心得」という。)を定め、その趣旨を徹底する。
(2)手順書の見直し
遺骨収集作業全体の質の確保を図るため、イからハまでの事項を含め、遺骨引渡式までの遺骨収集に係る全工程を再点検した上で必要な見直しを行う。
イ 御遺骨及び検体の安全管理
・収容作業中の御遺骨及び検体は、御遺骨及び検体は団長又は団員の視認できる範囲内に置き、現地の言語等で大切なものである旨の
注意書を付すとともに、御遺骨袋と検体袋に種別を記載するなど、現地作業員が判別できるようにする。
・夜間や収容作業後の御遺骨及び検体の管理については、宿泊施設又は保管用コンテナなど施錠可能な場所において保管する。
保管においては、それぞれ大切である旨の注意書(現地の言語など複数言語)を記載するとともに、丁重に保管する。
ロ 現地作業員とのコミュニケーション
・派遣団は、作業初日に、現地作業員に対して、現地の言語で分かりやすく作成した資料により、遺骨収集作業の心構えや手順、作業上の
留意事項について説明するとともに、毎日の朝礼の際に、現地作業員に対して留意事項を口頭及び資料で説明し、徹底を図る。
ハ 現地との緊急連絡体制
・緊急事案が発生した場合は、即時に、厚生労働省本省の担当職員に報告する。
・派遣団長は、2つ以上の連絡手段を確認しておく。
(3)「七つの心得」及び手順書の徹底
・派遣前に、結団式において「七つの心得」を復唱し、その内容に係る理解を深めるとともに、手順書における作業手順を確認する。
・帰国後、手順書に沿った作業であったか確認する。
・現場の状況により、手順書によらず団長の裁量により作業を行った場合は、作業が適切であったかどうか帰国後に検証する。
(4)職員等への研修
(1)の遺骨収集作業の意義や責任の重大性、(2)の手順書の作業内容の徹底のため、職員等へ、「七つの心得」や手順書の研修を実施する。
(5)派遣体制の見直し
御遺骨の収容見込み柱数に応じて作業を適正に実施するために、必要な体制を確保する。
4.関係御遺族への説明
当該埋葬地の関係御遺族に対して御連絡し、御遺族のご意向を踏まえた上で、ご自宅をご訪問し、今般焼失した61柱分についてはDNA鑑定できない事態になったことの御説明とお詫びを実施している。
5.関係職員の処分
関係職員に対し、平成28年12月22日付で、それぞれ以下のとおり処分を行った。
専門官(派遣団長) :戒告
課 長 :訓告
室 長 :訓告
局 長 :厳重注意(文書)
審議官 :厳重注意(文書)
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