第13回 年金記録回復委員会(H22.5.20)議事要旨
1 日時
平成22年5月20日(木)18時〜20時
2 場所
厚生労働省省議室
3 出席者
(委員)
磯村委員長、稲毛委員、岩瀬委員、梅村委員、金田委員、駒村委員、
斎藤委員、廣瀬委員、三木委員
(日本年金機構)
紀陸理事長、薄井副理事長、矢崎理事、石塚理事、中野理事ほか
(厚生労働省)
長妻厚生労働大臣、榮畑年金局長ほか
4 議事要旨
(1) 日本年金機構の事務実施態勢の状況について(本日の視察を踏まえ)
○ 委員長から3月末に提出のあった最終段階工程表案の年金機構側の受入態勢の整備について、6月の委員会から議論を始めたいとの発言があり、以下の問題提起があった。
- 機構の正確な事務処理は世間と比べ20年遅れており、いつまでも効率化・合理化が進まず、これが記録問題解決の足を引っ張るおそれがある。
- 台場で局地的にバーコード処理しているが、年金事務所とはつながっていない。
- 高井戸では7年前からバーコードをやっているが、全国展開の提案は予算がないと断られたとのこと。
- 届出書類等が、どこで、いつ、どのよう処理されたかがわからないと、不安感と不信感を招く。漏れなくダブりなく次の担当に正確に回付されねばならないが、それができていない。これができている良い例は宅急便。
- 大阪は職員が自前でシステムを作っており、全国でもできるはず。
- バーコードがあれば、厚木のような事例は早く見つかったはず。
- お預かりしたものを大切にしっかり管理することが導入されなかったのは、旧社会保険庁幹部の鈍感さ・無関心があったのではないか。
○ 本日の作業現場視察を踏まえて、委員から以下の発言があった。
- 夕方、派遣職員が帰ってガランとした部屋の状況を見て、もったいないと感じた。臨戦態勢なのだから委託や派遣業者を使うのであれば、時間をずらす等の手立てがとれないものかと感じた。
- マニュアルでやる作業が多く、チェック作業が重複して無駄なのは仕方ないのか、流れがスムーズにできているか、疑問に思う点があった。
- 特別便も通常の給付業務も、ご本人の記憶と機構が保有する記録を擦り合わせるという意味では同じ。重複のないきれいな情報を作り、重複があり得る情報と分けて管理しないと記録問題を再生産しかねない。そういった意味では、企業から頂く情報をデジタル化してもらうことの徹底等が大切。
- 東京事務センターは一人一人の作業を紙で管理しているのが目についたが、裏返せば誰も管理していないことになる。20人分の資料を一括りにして箱管理しているが、これに20人分のタグをつけて、無線で読み取る資材管理のシステムを確立すれば良いのではないか。
- 今後算定基礎届が提出された際等に、資料を置くスペースがないように見受けられた。日々の一般業務と記録問題の業務を仕分けすべき。トータルで仕分けがないまま集中処理するのは、精査した方がよい。
- 算定の時期を前に、そのボリュームを何とかしなければならない旨所長が話していたが、仕組み作りのときは実際の業務のあり方を十分考えるべき。
- 処理がかなり細切れで無駄があるように感じた。もう少し1人1人の処理範囲を増やした方が効率的ではないか。
- 実際に3号の届書処理を見たが、必要な欄が空欄となっているものに付箋をつけていた。こういったものはOCR化すれば、はねることができる。このような問題をあちこちに内包しているのではないか。
- 必要な人をフレックス制にして確保する方法なども、考えてはどうか。
- 例えば、裁定請求書は本人が書いた届け書からのターンアラウンド方式が主流になっているが、システムは旧来の方式のまま。最小の人数で最大処理量にするには、全体を見極めるべき。本日は全体のフレームワークが見えないと感じた。
- 3号の届書処理で、住所記入漏れの書類に1人が付箋を貼り、更に別の人が確認して「住所漏れ」と付箋を貼っていたが、これは正確性の追求なのか無駄なのか。
- スペースが時期により足りないとの話が出ていたが、2交代制、3交代制にしてシフトを組めばやれるのではないか。
- 作業は本人確認に相当多くの労力を割いている。これがあれば本人と判断するといった業務のポリシーを決めて、そのポリシーに沿ったシステムや環境を詰めていく必要がある。
- 47の事務センターは県の規模により大小あるが、これは良いのか。また、健保組合などからもらう届け等は紙のままで良いのか等々問題はまだまだある。次回の委員会までに事務管理の工程表を書いてほしい。
○ 委員の意見を受け、大臣から以下の発言があった。
- 早急に業務改善を行わなければ税の無駄使いになってしまう。効率性を高めるための集約が、効率化を妨げていると困る。危機感をもって改善に取り組んでほしい。古い手法がまだ残っているとのことだが、QCとか小グループによる改善など、銀行などの事例をいろいろ聞いて、改善運動に取り組んでほしい。一番見ているのは職員なので、それを吸い上げる仕組みを見えるようにすること。
- 大阪の事例も参考にして、費用対効果もあるから、日々研究してほしい。
- 雇用法制はきっちり遵守した上で交代制ができるのかできないのか検討してほしい。
- 今は緊急事態なので臨戦態勢が続いている。きっちりとやってもらいたい。
- 厚生労働省では既に行っているが、機構においても6月から、毎週「今週の改善点」を吸い上げ、細かい事務の効率化が上がってくる仕組みを作ってほしい。
(2) 「ねんきん特別便」等の対応状況について
○ 日本年金機構より、資料1−1に基づき説明があった。
○ 委員から以下の発言があった。
- 受給者便の回答は、白紙が非常に多い。もっときちんと記入できるよう丁寧に説明をすべき。
- 書類が届いて、すぐに質問をするとたらい回しにされるケースが多い。何かを送る際には、事前にその対応についても決定・周知を徹底されたい。
- 作業現場でこの人をずっと使いたいというものがあれば、その人が来られる勤務体系を作ることも考えられる。
- 名寄せ便を送ってから2年が経過するが、未回答の239万件があまり減らない状況にならば、これらの方々は記録が誤っている可能性が高いことから何か対応を行う必要があるので、どういう手があるか検討されたい。
○ 日本年金機構より、1−2に基づき説明があった。
○ 委員から以下の発言があった。
- 色々な記録が見つかったが、回復の背景・状況別上位10といったものを取ることが、いずれこういう場合は見て下さいと国民に呼びかけるときに要ると考える。
(3) 遅延加算金法の施行に伴うお知らせについて
○ 厚生労働省より、資料2に基づき説明があった。
○ 委員長より、昨年4月以前に時効特例給付を支給された方へのお知らせにつきこれといった決め手はなく、どの案にしてもいろいろと問題はあると思うが、委員の方々のご意見を願いたいとの発言があり、委員から以下の発言があった。
- 民間で反応が多いのは2千円から3千円の間。
- 端株の通知と同じで、受け取りには行かないがしっかり管理しているという印象を与える。信頼回復になる面を考えると全員に出すべきと考える。
- 自己責任ということでダイレクトメールを送らないという選択もある。例えば新聞で広告を出せば、しっかりやっているというのも見せられるのではないか。
- 基本的にはしっかりやっているという「全員」が良いと思うが、現実的にはA案くらいか。
- 返送しない人はかなりいると思われるので、まず金額の高いところから出して、反応を見たうえでラインを下げて検討するという方法はどうか。
- 金額で線引きをしきれないので、まず幅広い広報をやって数を減らしてから、ダイレクトメールということは考えられないか。
- しっかりとダイレクトメールを送りたいが、帰って来ない物に金をかけるのは無駄との考え方もある。コストも考えればB案の少し上くらいではないか。
○ 委員長より、「遅延加算金は受け取っていただくべきもの」、「来年6月の振込通知書によるご案内をしっかり行う」といった前提で各委員に再度意見を求め、委員から以下の発言があった。
- 極力コストダウンを図ったうえで全員。
- 2千円のラインで。
- 全員。絞っても5百円。
- 3千円。もう1回効果を見て対策を考えながら。
- 全員だが、絞ることになるなら妥協するが、一般広報及び来年6月の振込通知書でライン以下の人も請求してほしいと丁寧にやるなら1000円と5000円の間でも妥協する。
- 百円、3百円だと費用対効果を考えていないとなるので3千円。
- ダイレクトメールはなし。広報と来年6月の振込通知で十分。
- 6月の振込通知書で全員に知らせる前提で2千円以上。
○ 委員長より、意見が広範であるので、この件は委員長預かりとしたい旨発言があり、各委員了承。
(4) その他
○ 委員長から次回開催は6月21日の予定で、その後は調整した結果7月27日、9月2日に開催予定との話があった。
照会先:年金局事業企画課
(担当・内線) 本間(3653)
佐々木(3656)
(電話代表) 03(5253)1111
(直通) 03(3595)2806